文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
① 経営の基本方針
当社は、「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」という企業理念の実現のために、「共有すべき行動精神」として「誠実」「和」「積極性」及び「イビテクノの進化」を掲げ、全役職員の行動の柱としております。この方針に基づき、社会に有用な技術・製品の開発・提供を行うとともに、全てのステークホルダーから信頼・評価される企業経営に努めております。
② 中期経営計画と活動の柱
当社グループでは、収益基盤をいっそう強固なものとし、新たな成長に向けて2018年度より、持続的な成長と安定的な収益の実現を目指し、2022年度を最終年度とする中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」を策定し、取り組んでおります。
この中期経営計画では、「既存事業の競争力強化」「新規事業の拡大」「人財育成」「ESG経営の推進」を活動の柱としています。
〔既存事業の競争力強化〕
電子事業においては、主力のICパッケージ基板市場において、既存のパソコン向けに加えて、データセンター、更には画像処理や仮想空間、車載分野といった新たな市場の伸びが見込まれます。当社においては、既存の国内工場ならびにフィリピン、マレーシアの各海外拠点における安定量産継続に加え、河間事業場における最先端ICパッケージ基板向け工場の建設を計画通り遂行すると共に、2021年9月に取得を発表しました岐阜県大野町における新たな工業用地も活用することで、従来から当社が強みを持つ最先端ICパッケージ基板市場におけるシェアを拡大してまいります。
セラミック事業においては、主力の自動車関連事業において、先進国を中心としたディーゼル乗用車市場は、電動化や脱ディーゼルの流れを受け、中・長期的に縮小が見込まれます。当社に於いては、環境規制の強化に伴い伸長が見込まれる中国・新興国の大型車・産業用車両市場での拡販を図ることで、中長期的な事業継続と安定的な収益確保を実現してまいります。
その他事業においては、国内グループ各社における独自の競争力を持った製品群による事業拡大と安定した電力事業により、電子事業・セラミック事業に続く「第3の収益の柱」としての位置づけを確かなものにしてまいります。
〔新規事業の拡大〕
当社においては、新製品の開発領域を主力事業との関連性も踏まえ、狙う領域を大きく3つに絞り、2022年度より技術開発本部における開発組織の再編を実施しております。具体的には、①電子事業においては、次世代ICパッケージ基板の開発を中心としたエレクトロニクス領域、②セラミック事業においては、内燃機関を取り巻く環境が大きく変化している中、電動車を含むNEV(新エネルギー車)領域、③関連会社事業を含む新規事業として、バイオ関連事業や脱炭素技術の開発などのグリーントランスフォーメーション(GX)関連を含む新領域に開発領域を定め、研究開発リソースを集中することで開発サイクルを早め、事業化への道筋を確かなものにしてまいります。
〔人財育成〕
企業成長を支えるのは人財であるとの考え方に基づき、ワークライフバランスを実現する働き方改革として、「①生産性改善 ②人事教育制度の充実 ③労働時間管理の徹底 ④多様な社員が活躍できる環境整備 ⑤IT技術の活用」の5つの施策を進めてまいります。
〔ESG経営の推進〕
当社ではESG経営を安定的・永続的な成長を実現するための基盤として位置付けております。今後も、全てのステークホルダーの皆さまより信頼される企業を目指し、企業理念である「私たちは、人と地球環境を大切にし、革新的な技術で、豊かな社会の発展に貢献します」の実現に向けた取り組みを継続してまいります。
(2) 経営環境及び優先的に対処すべき課題
今後の世界経済の見通しにつきましては、COVID-19に対するワクチン追加接種の拡大など、感染対策が進む中で、先進国を中心に経済活動の正常化が期待されるものの、感染再拡大の可能性が否定できない中、ウクライナ情勢の動向やエネルギー価格の高騰など、不確実性と不透明感が継続するものと思われます。当社グループにおきましては、市場の変化に対し、グローバルで生産体制を機動的かつ柔軟に運営するとともに、最新のデジタル技術の導入・展開により、歩留り・生産性改善を進め、保有している生産能力を最大限に活用することで、事業への影響を最小限に留めてまいります。
①電子事業
2021年度の当社電子事業の市場におきましては、テレワーク及びオンライン教育の普及拡大に伴うパソコン需要は一巡するものの、引き続きDXの進展によるデータセンター市場の拡大、更にはメタバースやAR/VR、自動車のCASEなど新たな分野も含め、サーバー用の高機能なICパッケージ基板の需要増加が予測されます。当社におきましては、河間事業場における最先端ICパッケージ基板向け工場の建設を計画通り遂行することにより、従来から当社が強みを持つ最先端分野におけるシェアを拡大してまいります。また、事業環境変化への柔軟な対応と経営資源の有効活用の視点で、生産体制・生産品目の選択と集中を引き続き進めてまいります。
②セラミック事業
セラミック事業におきましては、主力のディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)事業は、乗用車市場において脱ディーゼル・電動化の流れが加速することが想定されますが、世界的な半導体不足による影響からの回復に加え、中国・新興国を中心とした排ガス規制強化を背景に需要拡大が見込まれる大型商用車向け製品の需要を確実に取り込むことで、中・長期で安定的に収益を確保できる体制を構築してまいります。また、触媒担体保持・シール材(AFP)事業は、揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司において安定量産を継続するとともに、成長市場である中国の大型商用車を中心とした需要を確実に取り込むことで、セラミック事業全体の安定的な成長軌道を維持してまいります。
③その他事業
その他事業におきましては、国内グループ各社の独自競争力を持った製品群による事業拡大と安定した電力事業により、当社グループの電子事業・セラミック事業に次ぐ「第3の収益の柱」としての位置付けを確かなものにしてまいります。
(3) 新たな環境変化への挑戦
2022年度は、2018年度より始動した5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110Plan」の最終年度となります。事業拡大に向け、伸びる市場に対し、積極果敢に経営資源を投入するとともに、新製品開発におきましては、狙う領域にリソースを集中することで開発サイクルを早め、事業化への道筋を確かなものにしてまいります。また、全てのステークホルダーの皆様より信頼される会社に向け、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営を積極的に推進する中で、気候変動問題を重要な経営課題の一つと位置付け、(1)2030年度に売上高排出量原単位の半減(2017年度比)・排出総量の30%削減(2017年度比)及び(2)2040年代のできる限り早い段階で温室効果ガス排出実質ゼロの実現に向け、事業成長と気候変動対応(GX)の両立を目指してまいります。また、事業環境変化への迅速・果敢な経営判断を支える土台としてのコーポレート・ガバナンス体制につきましても、機関設計変更・役員体制のスリム化に続き、執行部門への権限委譲と稟議プロセスの効率化を主眼とした社内意思決定プロセスの改革を実施し、2022年度より施行しております。
当社グループといたしましては、これらの経営課題・リスクに着実に対処することで、収益基盤を一層強固なものとし、この不確実性の時代を乗り越え、中期経営計画の目標達成とともに、次期中期経営計画、更にその先の永続的・安定的な成長を実現するための取組みを継続してまいる所存でございます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性のあると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの事業は、複数の事業セグメントから構成されており、その中でも主たる事業である電子部門は、主に半導体メーカー、携帯電話メーカー及び各種エレクトロニクス製品を製造するメーカーに、またセラミック部門は、主に自動車メーカーに製品を供給しております。
①電子部門の製品に関しては、当社グループ製品が採用されているパソコン市場において製品ニーズが大きく変化する可能性があります。こうした市場の変化による影響を最小限にとどめるため、受注製品構成の変化に柔軟に対応できるリソース配分と生産体制の構築を図っております。
②セラミック部門の自動車関連製品に関しては、排気ガス関連規制の延期、EV・ハイブリッド車の普及加速などによるディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)需要の減少に備え、成長市場へ注力した生産・供給体制への移行とEV化対応の製品開発を図っております。
しかしながら、いずれも想定外の世界の経済情勢の悪化や製品市場の急激な変化により、当社グループの製品の需要が大幅に落ち込んだ場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、海外での販売比率が高く、また世界各国に事業を展開していることから、当社グループの外貨建ての輸出入取引や子会社の現地通貨建ての収益、費用、資産、負債は連結財務諸表作成のために円換算されるため、為替相場の変動の影響を大きく受けることになります。
当社グループにおいては、為替相場の変動リスクを縮小あるいはヘッジするための対策を講じておりますが、為替相場の変動による影響を完全に排除することは不可能であり、米ドル、ユーロ等の主要通貨及び現地通貨に対して、円高が急激かつ長期に進行した場合には、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの製品については、国内外において厳しい競争下にあり、価格は、一部の新規製品を除き主たる競争要因となっております。電子部門及びセラミック部門のセグメントが属する市場においては、有力な日本企業に加え、電子部門の製品に関しては、台湾、韓国の競合メーカーの台頭もあり、競争は更に激化しております。
当社グループは、常に新規製品・技術の開発、既存技術・製法の改良を進めることにより、単なる価格競争に陥らないよう努力を続けておりますが、価格下落の傾向が長期間にわたり継続し、コスト改善活動がこれに追いつかない場合や高付加価値製品の市場への安定的供給ができない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、顧客ニーズへの迅速な対応及び製品供給を行うために、販売・生産拠点の現地化を重要な企業戦略の一つとして、積極的に生産拠点の拡充を進めております。
従いまして、当社グループの生産拠点がある特定地域の持つ政治的、社会的な緊張から来る、突然の制度、法規則の変更等による突発的な調達・出荷・操業等の停止が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これに対応して当社グループは、グローバルな生産体制、ネットワークを活用した代替出荷や生産など、特定地域での突発事象の影響を緩和する柔軟な運用を図っております。
当社グループで生産・販売している主要製品のうち、電子部門の主要製品でありますプリント配線板に関しては、中国で重要な生産拠点を保有し、同国へ進出している特定顧客への供給体制を確立しております。
しかしながら、同国にて突然の制度、法律又は規則の変更等の政治的要因、市場環境の急激かつ大幅な変化(悪化)等の経済的要因等に起因する予期し得ない事態が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、主に銀行や取引先等との関係構築・維持のための政策上の投資として株式を保有しておりますが、株式相場の大幅な下落、又は株式保有先の財政状態の悪化や倒産等により、保有する株式の価額が著しく下落し、しかも回復可能性が認められない場合は、保有する株式の減損処理により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、将来の課税所得を合理的に見積った上で回収可能性を判断し、繰延税金資産を計上しておりますが、実際の課税所得が予測と異なり回収可能性に疑義が生じた場合、もしくは税率の変更等を含む各国の税制の変更があった場合には、繰延税金資産の計算の見直しが必要となります。その結果として、繰延税金資産の取崩が必要となった場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多数の外部の取引先から原材料及び部品等を購入しておりますが、当社グループ製品の製造に必要とされる主要原材料・部品の中には、限られた供給元に依存しているものがあります。当社グループは、継続して市場に製品を供給し続けるため、原材料・部品の長期安定供給及び低価格での供給を受けるための努力を行っておりますが、受け続けられるかどうかは、当社グループが制御できないものを含め、需要の急増に伴う供給不足、供給先からの供給遅延及び供給停止等、多くの要因による影響を受けます。このような事態が発生した場合には、当社グループの生産活動に影響を及ぼし、顧客への製品の納入や品質確保に支障をきたす可能性があります。また、原材料等の市場における需給バランスの変化等によりその価格が高騰した場合には、製造原価の上昇を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
設備投資に関して、当社グループは、電子部門及びセラミック部門の国内外での生産拠点整備のため、今後も設備投資を行う予定でおります。
設備投資について、当該設備を事業の用に供した時期に機械装置などの本勘定に振り替え、減価償却を開始しております。固定資産の取得に関して適切な会計処理が行われるように、資産計上予定表に基づき事業の用に供した時期の承認を行うなどの内部統制を構築しております。
投資にあたっては、将来の需要予測と当社グループの競争力を基に、投資効率を勘案して決定しておりますが、競合他社の開発・市場参入動向、最終製品の需要動向の変化により、当初予想した受注量を確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(10) 特定の販売先への依存について
当社グループは、半導体プラスチックパッケージ基板等の電子関連製品を米国のIntel Corp.(以下、インテル社)に販売しており、インテル社に対する販売実績の総販売実績に対する割合は、2021年3月期35.7%、2022年3月期43.3%と比較的高い水準にあります。
インテル社への売上高は、市場における電子部品等の需要動向の影響を受けるほか、同社製CPU(中央演算装置)が搭載されるパソコンやサーバー等の出荷動向及び同社製CPUの価格動向の影響を間接的に受ける可能性があります。
また、インテル社に対する半導体プラスチックパッケージ基板は、当社グループのほか、複数の競合メーカーが供給しております。当社グループは、独自技術の開発と既存技術の深耕を行い、次世代、次々世代の独自の製品を生み出すための研究開発を進めており、インテル社製CPUの世代交代に対しても、継続的な研究開発と設備投資を実施しておりますが、当社グループの製品が継続してインテル社に採用される保証はありません。
(11) 製品の品質について
当社グループは、事業展開している各国の生産拠点で所定の品質基準に基づき、各種製品を生産しております。当社グループが提供する製品は、高い信頼性が求められるものが多いため、製品の品質には細心の注意を払っておりますが、全ての製品について欠陥がなく、将来にわたっても重大な品質問題を引き起こさないという保証はありません。万一、大規模な製造物責任賠償につながるような製品の欠陥及び品質不良が発生した場合には、製造物責任保険で賄いきれない賠償責任を負担する可能性があると同時に、信用の失墜による売上高の低下を招き、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 減損会計
当社グループは、事業用の設備、不動産など様々な有形・無形の固定資産を所有しております。こうした資産は、時価の下落や、期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になるなど、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより、減損処理が必要となる場合があり、減損損失が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(13) 継続的な新製品開発力
当社グループの製品は厳しい競争下にあるため、常に研究開発の継続による新製品の開発が求められております。そのため、当社グループの収益動向に係わらず、高水準の新製品開発投資を継続して行う必要があります。
しかしながら、技術革新の目覚しい市場において、顧客のニーズを満足させる新技術を的確に予想することは容易ではなく、当社グループが常に技術の変化に対応し、新製品をタイムリーに開発・供給できるとは限りません。その場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(14) 知的財産権について
技術開発型企業を志向する当社グループは、独自開発した技術等について特許権等の産業財産権を取得するために出願を行っておりますが、特許庁の審査によっては、出願した内容の全てについて権利が付与されるとは限りません。また、権利を取得しても第三者から異議申し立て等により、取得した権利が取り消しや無効になってしまう可能性があります。
当社グループ所有の知的財産権については、厳しく管理しており、第三者からの侵害にも注意を払っておりますが、万一、不正使用などが行われた場合には、本来得られるべき利益が失われる可能性があります。また、当社グループが第三者の知的財産権を侵害したとして訴訟を提起された場合には、製造差止め請求に係る顧客への補償やこれらの係争に関連する損害賠償の発生、あるいは新たに実施許諾を受けるためのライセンス料等の支払いが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 情報セキュリティについて
当社グループは、事業運営に関連する技術、営業、個人及び経営全般に関する情報等を多数保有しております。これらの情報管理には、社内規程の整備、従業員教育等の対策を講じておりますが、予見し難い状況の発生、又は故意、過失の如何に関係ない人為的な行為に起因する理由等によって、外部に情報が流出し、第三者が不正取得・使用する可能性があり、このような事態が生じた場合には、この対応のために生じる多額の費用負担や顧客等からの信頼の失墜が、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(16) 自然災害・気候変動に関する影響
当社グループは、国内外に多数の事業拠点を有しており、地震、洪水等大規模な自然災害が発生した場合には、自社工場の操業の停止、又はサプライチェーンの寸断等、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。これらの影響を最小限にするため、自然災害による局所的な災害時の事業継続・復旧計画の策定を図ってまいります。
また、気候変動の加速を受けた気候変動関連の規制強化がエネルギー調達コストの上昇を招くリスクと捉え、発電効率の高い発電設備の増強などエネルギー効率の高い生産プロセスの実現・自社再生可能エネルギーの効率的な活用を図っております。
(17) 大規模な感染症拡大
当社グループは、国内外に多数の事業拠点を有しており、感染症の拡大による各国操業制限/往来制限措置等、世界規模のサプライチェーン停滞などが当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
大規模な感染症拡大に際しては、社員・地域の安全を最優先に、企業存続に不可欠な事業継続レベルを維持し、業務再開・回復を計画的に進める運用を図っております。
(18) 人財の確保・育成
当社グループでは技術を支えるのも事業を支えるのも人が根幹であり、人財育成を当社グループの持続的成長の生命線と捉え取り組んでおります。しかしながら、日本国内で進む少子高齢化から来る労働人口の減少による人財の不足により人財の確保・育成が計画通りに遂行できなかった場合、当社グループの事業戦略及び業績に影響を及ぼす可能性があります。これに対し、当社ではデジタル技術(DX)の活用等で、効率性の向上と、多様性のある人財の活躍支援を図っております。
当連結会計年度における世界経済は、先進国を中心に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大による影響からの正常化に向けた動きが継続しましたが、昨年末からの変異株による感染再拡大に加え、ロシアのウクライナ侵攻が拍車をかけた原材料費や、エネルギー価格の高騰など、不安定な状況となりました。国内経済は、COVID-19の影響が継続したことに加え、為替相場の円安傾向や各種資材等の価格上昇に伴い不透明感が高まりました。
半導体・電子部品業界の市場は、テレワークやオンライン教育の定着及びOS更新に伴う切り替え需要によりパソコン市場が引き続き好調に推移したことに加え、データセンター向けを中心としたサーバー市場が堅調に推移したこともあり、全体として成長傾向で推移しました。
自動車業界の排気系部品市場は、昨年度の夏場以降はCOVID-19の影響から緩やかな回復基調にありましたが、世界的な半導体不足に伴う影響等により厳しい状況が継続しました。
このような情勢のもと、当社におきましては、2018年度から始動した5ヵ年の中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」の最終年度目標の達成に向け、人財育成を基盤に、伸びる市場に対して積極的に経営資源を投入し、既存事業の競争力強化と新規事業の拡大による安定した成長の実現に向けた取り組みを進めております。
これらの結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度末における総資産は6,643億32百万円(前年同期比14.8%増)となりました。流動資産は3,632億70百万円(同27.3%増)、固定資産は3,010億62百万円(同2.7%増)となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、2,936億3百万円(同14.4%増)となりました。流動負債は1,561億60百万円(同18.4%増)、固定負債は1,374億43百万円(同10.2%増)となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は3,707億28百万円(同15.2%増)となりました。
当連結会計年度の売上高は4,011億38百万円と前連結会計年度に比べ776億77百万円(24.0%)増加しました。営業利益は708億21百万円と前連結会計年度に比べ321億86百万円(83.3%)増加しました。経常利益は743億94百万円と前連結会計年度に比べ336億77百万円(82.7%)増加しました。親会社株主に帰属する当期純利益は412億32百万円と前連結会計年度に比べ155億34百万円 (60.4%)増加しました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
電子事業の売上高は2,369億81百万円となり、前連結会計年度に比べ42.7%増加しました。同事業の営業利益は、551億13百万円となり、前連結会計年度に比べ98.2%増加しました。
セラミック事業の売上高は906億78百万円となり、前連結会計年度に比べ3.8%増加しました。同事業の営業利益は87億18百万円となり、前連結会計年度に比べ88.2%増加しました。
その他事業の売上高は734億79百万円となり、前連結会計年度に比べ4.9%増加しました。同事業の営業利益は70億90百万円となり、前連結会計年度に比べ8.2%増加しました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,855億92百万円となり、前連結会計年度末より587億7百万円増加しました。
各キャッシュ・フローの概要は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、1,083億72百万円(前連結会計年度389億54百万円)となりました。これは主に減価償却費527億15百万円、税金等調整前当期純利益592億52百万円等による増加と売上債権の増加19億22百万円、棚卸資産額の増加176億1百万円等による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動に使用された資金は、677億22百万円(前連結会計年度823億45百万円)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出662億円による減少等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって得られた資金は、139億35百万円(前連結会計年度は62億36百万円の財務活動に使用された資金)となりました。これは主に社債の発行による収入350億円による増加と、社債の償還による支出150億円や配当金の支払額55億95百万円による減少等によるものであります。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セラミック及びその他部門は主として見込生産であります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、これらの記載には将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は当連結会計年度末現在において判断しております。
当連結会計年度末における総資産は6,643億32百万円(前年同期比14.8%増)となりました。流動資産は3,632億70百万円(同27.3%増)、固定資産は3,010億62百万円(同2.7%増)となりました。
流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が587億7百万円増加したことによります。
固定資産の増加の主な要因は、機械装置及び運搬具が172億6百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の負債合計は、2,936億3百万円(同14.4%増)となりました。流動負債は1,561億60百万円(同18.4%増)、固定負債は1,374億43百万円(同10.2%増)となりました。
流動負債の増加の主な要因は、支払手形及び買掛金が54億32百万円、未払法人税等92億85百万円増加したことによります。
固定負債の増加の主な要因は、社債が150億円増加したことによります。
当連結会計年度末の純資産合計は3,707億28百万円(同15.2%増)となりました。
純資産合計の増加の主な要因は、利益剰余金が352億32百万円増加したことによります。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末の54.61%から54.88%となりました。また、1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の2,262円99銭から2,611円43銭となりました。
売上高は、4,011億38百万円(前年同期比24.0%増)となりました。
売上原価は、2,810億59百万円(前年同期比18.1%増)となりました。売上原価率は3.5ポイント改善し、70.1%となりました。
この結果、営業利益は、708億21百万円(前年同期比83.3%増)となりました。
営業外損益は、前連結会計年度の20億82百万円の利益(純額)から当連結会計年度は35億73百万円の利益(純額)となり、利益(純額)が増加しました。主な変動要因は、為替差益が13億74百万円増加したことによります。
この結果、経常利益は、743億94百万円(前年同期比82.7%増)となりました。
特別損益は、前連結会計年度の85億50百万円の損失(純額)から当連結会計年度は151億42百万円の損失(純額)となり、損失(純額)が増加しました。主な変動要因は、固定資産除却損が35億50百万円増加したことや関係会社株式売却損を70億97百万円計上したことによります。
この結果、税金等調整前当期純利益は、592億52百万円(前年同期比84.2%増)となりました。
法人税等は、前連結会計年度の62億46百万円から当連結会計年度は176億88百万円となり、増加しました。
この結果、当期純利益は、415億63百万円(前年同期比60.4%増)となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の2億20百万円から当連結会計年度は3億31百万円となり、増加しました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、412億32百万円(前年同期比60.4%増)となりました。
1株当たり当期純利益は、295円35銭となりました。
ROE(自己資本当期純利益率)は、12.12%となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、第2「事業の状況」 2「事業等のリスク」に記載のとおりであります。
経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、特に定めておりませんが、連結中期経営計画「To The Next Stage 110 Plan」の4年目にあたる2022年3月期の期初に掲げました売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の計画に対する達成状況は、以下のとおりであります。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討事項は、次のとおりであります。
パッケージ(PKG)事業におきましては、パソコン向けの需要が引き続き堅調に推移したことに加え、大垣中央事業場における第1期投資の安定量産の継続、更に第3四半期からは第2期投資が計画通り量産稼働を開始したことにより、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。
マザーボード・プリント配線板(MLB)事業におきましては、一部の中国顧客のスマートフォン向けの売上が減少しましたが、モジュール基板の売上が堅調に推移した結果、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、電子事業の売上高は2,369億81百万円となり、前連結会計年度に比べ42.7%増加しました。同事業の営業利益は551億13百万円となり、前連結会計年度に比べ98.2%増加しました。
自動車排気系部品であるディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)は、半導体不足による自動車生産台数の減少に加え、世界的な脱炭素化の流れに伴い、乗用車を中心に電動化が加速した結果、売上高は前連結会計年度に比べ減少しました。営業利益は、高機能品の生産性改善、更には大型商用車向け製品への受注シフトを進めた結果、前連結会計年度に比べ増加しました。
触媒担体保持・シール材(AFP)は、DPFと同様に自動車市場全体の減速による影響を受けたものの、新工場(揖斐電精密陶瓷(蘇州)有限公司)を計画通り立上げ、中国市場の需要を取り込んだことで、売上高・営業利益ともに前連結会計年度と同水準となりました。
特殊炭素製品(FGM)は、半導体製造装置向け製品を中心に、世界的な半導体需要の高まりを受け、売上高・営業利益ともに前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、セラミック事業の売上高は906億78百万円となり、前連結会計年度に比べ3.8%増加しました。同事業の営業利益は87億18百万円となり、前連結会計年度に比べ88.2%増加しました。
建設部門におきましては、受変電設備及び非常用発電設備工事の受注に加え、環境事業における土壌分析の受注が堅調に推移し、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
建材部門におきましては、原材料費の高騰や資材調達難などウッドショックの影響を受けたものの、抗ウイルスメラミン化粧板・関連商材の販売が増加し、売上高は前連結会計年度並みとなりました。
その他部門におきましては、世界的な原油価格の高騰に伴う石油製品の販売価格の上昇に加え、合成樹脂加工部門における発泡樹脂製品の販売が堅調に推移し、売上高は前連結会計年度に比べ増加しました。
以上の結果、その他事業の売上高は734億79百万円となり、前連結会計年度に比べ4.9%増加しました。同事業の営業利益は、70億90百万円となり、前連結会計年度に比べ8.2%増加しました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、設備投資に必要な資金及びその他の所要資金には手元資金を充当することを基本的な方針とし、グループ内ファイナンスの活用による効率的な資金運用を行っております。また、資金運用の柔軟性を保つため、必要な都度、借入等による資金調達を行うこととしております。
当連結会計年度の当社グループのキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリーキャッシュ・フローは、プラス406億50百万円となりました。また、財務活動によって得られた資金は、社債の発行による収入等により139億35百万円となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高(資金)は1,855億92百万円となりました。
この資金の運用については、当社グループは、資金の流動性を考慮して、短期的な預金などとして運用する方針です。さらに、当社グループでは、旺盛な顧客需要に対応するために、ICパッケージ基板の生産能力増強を図る目的で設備投資を継続しており、これらの資金需要に対して資金を充当してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
該当事項はありません。
当社グループにおける研究開発活動は中核となる当社の技術開発部門、生産技術部門並びに各事業本部の技術部門及び関係会社において幅広く進めております。
技術開発部門におきましては、顧客の将来ニーズと社会課題を素早くキャッチし、事業化に素早く結び付けるために多機能を取り込んだ事業開発体制を築いています。既存のコア技術の進化に加えて、新領域での事業の模索も取り組んでおります。
生産技術部門におきましては、DXを活用して生産性・品質をより向上させるための支援、及び新たな工法や設備開発に継続して取り組んでおります。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は、
主な研究開発活動状況は次のとおりであります。
(電子事業)
新市場(IoT、5G通信、AI、データセンター、車載)への事業拡大に向けた製品設計、要素技術、プロセス技術の開発を進めております。高速伝送・低ロス化の要求に対応した高密度、高機能のパッケージ基板やプリント配線基板などの開発を行っております。
研究開発費の金額は、
(セラミック事業)
NEV分野の安全性向上に貢献する部材や半導体関連に必要とされる部材、さらには引き続き要望がある高機能排気システムに対応した部材の開発を行っております。
研究開発費の金額は、
(その他事業)
建材事業では、高機能化粧板の開発を行っております。
法面事業では、国土交通省が進めるNETIS(新技術情報提供システム)で最高ランクの推奨技術に認定された「GTフレーム工法」に次ぐ自然地山対応の工法開発と老朽化するインフラ設備の補修・補強に対する技術開発を目指しています。
造園事業では、特殊空間緑化(壁面・屋上緑化)関係の維持管理技術に特化した新技術、気候変動に対応した植物活性化材の研究・開発を行っております。
農畜水産物加工業では、即席麺用の各種乾燥具材やご飯用ふりかけなどで使用される乾燥具材製品の研究開発を行っております。
情報サービス業では、医療機関向けにAIによるデータ解析技術を活用した治療支援システムの開発や、既存製品に対し新しいニーズを組込んだクラウドサービスへの転換を行っております。また、センサーやカメラなどを含むIoTデバイスから収集したデータを解析することで、省力化や生産性向上を実現するための生産支援システムの研究開発などを行っております。
研究開発費の金額は、