第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

1.経営方針

(1)中長期的な会社の経営戦略

 

「共創型化学会社」とは:

私たちの基盤は、川中から川下まで幅広く自在な最先端の機能材料テクノロジーである。

その上で、社会課題とその原因を鋭く可視化し、解決に向けてイニシアチブを発揮していく、

そのためには、化学業界に閉じた個社の事業活動にとどまっていては足りないと考えている。

化学企業としてグローバルにおける一流の実力を備え、

機敏かつ柔軟な行動と意思決定をもって、産業のキープレイヤーから生活者に至るまで

志を共にする仲間とよりよい社会を共創していく、

これが私たちの“共創型化学会社”の姿である。

 

 

 2022年1月、昭和電工㈱と昭和電工マテリアルズ㈱は、両社の経営体制を一本化し、社長以下12名の両社共通の執行役員が両社のマネジメントを遂行する体制により実質的統合を実現した。また、新マネジメント体制と新経営理念の始動に伴い2020年12月発表の長期ビジョンを更新した。

 両社統合のプロセスは、2023年1月の完全統合に向けて順調に進んでおり、長期ビジョンで示した統合新会社の存在意義(パーパス)「化学の力で社会を変える」に加え、社員が大切にすべき4つのバリュー(価値観)として、「プロフェッショナルとしての成果へのこだわり」「機敏さと柔軟性」「枠を超えるオープンマインド」「未来への先見性と高い倫理観」を定め、これらをパーパスと合わせて統合新会社の経営理念とした。今後この経営理念のグループ、グローバルでの浸透を図り、新生昭和電工グループが一丸となって事業に取り組むとともに、人材育成の強化、人事評価の透明性や実力主義の徹底等を進めていく。

 

 また、お客様にご提供するソリューションについても、昭和電工の川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下のアプリケーション技術、そして両社の評価・解析技術の融合によって、技術的なブレークスルーを実現し、幅広い機能の提供が可能になると考えている。

 

 現在昭和電工グループでは、こうした両社の技術的な強みを活かしつつ、補完性の高い事業ポートフォリオ経営を進めている。成長市場にてトップシェアを誇る製品等を有し、今後の当社グループの成長を担う「コア成長事業」(半導体材料やモビリティ)や、次世代の柱へと育成していく「次世代事業」(ライフサイエンス)、「安定収益事業」(カーボン、石油化学、デバイスソリューション等)、さらに各事業のイノベーションを支える「基盤事業」(セラミックスや機能性化学品等)の4つの事業群がそれぞれの役割を発揮することで、持続的な成長を実現していく。

 

 さらに両社の多岐にわたる技術を融合し、2050年のカーボンニュートラル実現等の環境問題をはじめとする様々な社会課題の解決を通じてサステナビリティを実現するための研究開発テーマを設定・推進していく「融合の舞台」や、最先端半導体パッケージを生み出すための協創型開発施設「パッケージングソリューションセンタ」等を活用しながら、お客様やパートナー企業等との協働・協創の下イノベーションを推進していくことで、「化学の力で社会を変える」という統合新会社の存在意義発揮に取り組んでいく。

 

 こうした統合の着実な進展により、当社グループは、日本の化学メーカーとして培ってきた良さを活かしつつ、グローバル企業の高度な経営手法を取り入れることで様々な社会課題を解決する「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指す。

 

<統合新会社の経営理念>

・Purpose/存在意義

化学の力で社会を変える

 先端材料パートナーとして時代が求める機能を創出し、グローバル社会の持続可能な発展に貢献する

 

・Values/私たちが大切にする価値観

プロフェッショナルとしての成果へのこだわり

 仕事に情熱と誇りを持つ

 実力主義、成果にこだわる

 結果、グローバルで認められる一流としての実力を持つ

機敏さと柔軟性

 挑戦を称賛し失敗に寛容になる

 思考と行動に柔軟性とスピードを持つ

 結果、組織としての基本速度をあげる

枠を超えるオープンマインド

 互いへの信頼と尊重を示す

 オープンに、領域を定めず関わりあう

 結果、内外のステークホルダーとの共創を実現する

未来への先見性と高い倫理観

 化学と真摯に向き合う

 数世代先の未来を見通す先見性を持つ

 化学技術への自律した倫理観と全てのステークホルダーに対する誠実さを持つ

 

 

<統合新会社の目指す姿>

「世界トップクラスの機能性化学メーカー」を目指す中で、

質的な面、計数的な面それぞれを兼ね備えた「世界で戦える会社」、

イノベーションと事業開発力で「持続可能なグローバル社会に貢献する会社」、

他企業からも注目されるような「国内の製造業を代表する人材輩出企業」

を実現していく。

 

 

<統合新会社の主要戦略>

「サステナビリティ」が全社戦略の根幹となる。

「世界トップクラスの機能性化学メーカー」に向け「プラットフォーム」を確立させ、サステナビリティが組み込まれた「グローバル水準の収益基盤の確立」、「ポートフォリオ経営の高度化」、「イノベーション」の各戦略を推進していく。

 

グローバル水準の収益基盤の確立:世界で戦える会社のエントリーチケットとして、売上1兆円以上、EBITDAマージン20%以上という規模と収益性を追求していく。

ポートフォリオ経営の高度化:重視してきた戦略適合性、ベストオーナーといった視点に加え、採算性・資本効率の視点をより一層取り込むべく管理指標としてROICを導入する。

  これらの観点から引き続きポートフォリオの最適化に注力する方針であり、事業ポートフォリオの見直し・入替も継続することで、企業価値の最大化に取り組む。

  「コア成長事業」(半導体材料・モビリティ部材等)に経営資源を集中し、成長を加速させる。全事業の画一的な成長ではなく、集中的な経営資源配分を行うコア成長事業が全社の成長をけん引し、世界で戦える会社の規模と収益性、資本効率を実現していく。

  翌連結会計年度からポートフォリオ戦略に即した新たな開示セグメントへ変更する:

   「半導体・電子材料」:半導体材料とHDそしてSiCエピタキシャルウエハーを含む電子機能材料

   「モビリティ」:モビリティ材料

   「イノベーション材料」:セラミックス・アルミ・樹脂等の基盤事業

   「ケミカル」:石油化学・化学品・黒鉛電極等

   「その他」:ライフサイエンス事業等

  半導体材料への集中投資に代表されるポートフォリオ属性に応じたメリハリある経営資源配分やポートフォリオの見直し・入替と言った戦略の効果をより確認頂きやすい開示を目指していく。

・イノベーション:川中から川下までの幅広い材料・技術を有することで、川下の顧客ニーズを明確化すると共に複数技術の擦り合わせでイノベーションを発現し、顧客価値として提供していく。

・プラットフォーム:これらの戦略を実現するため、新たな経営理念の浸透、変革をリードする新経営陣、人材育成を主軸とする新人事制度の推進も合わせて進める。

 

 

<サステナビリティ>

 パーパス「化学の力で社会を変える」に込められたサステナビリティの理念を経営の根幹におき、社会への価値提供を通じて持続的な成長と企業価値の向上を実現していく。そのために統合新会社としてのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を「責任ある事業運営による信頼の醸成」、「イノベーションと事業を通じた競争力向上と社会的価値創造」、「自律的・創造的な人材の活躍と文化醸成」と再定義した。今後もサステナビリティ・マネジメントを強化していく。

 

 

(2)長期数値目標

 

 2020年12月発表の長期ビジョン(2021~2030)においてEBITDAマージン、ネットD/Eレシオ等を統合新会社としての長期数値目標として設定した。今回、規律を重視する観点でROEに代わり今回新たな数値目標としてROICを導入し、これらの数値を達成していくことで総株主還元(TSR)は中長期的に化学業界で上位25%の水準を目指していく。

 

 

 

2021年実績

2022年予想

2025年

2030年

売上*

(兆円)

1.42

1.35

1.6

1.8~1.9

EBITDAマージン

(%)

14.3

14.4

20

 

ROIC

(%)

4.3

4.8

中長期的に10%

ネットD/Eレシオ

(倍)

1.15

1.19

1.0倍を目指す

 

      * 今後のM&A等を考慮しない場合の目安値

 

 

2.経営環境及び当社グループの対処すべき課題

新興国において急速な経済成長により生活水準が向上する一方で、カーボンニュートラルに向けCO2排出量などの地球環境への負荷増大を抑制するための取り組みが世界全域で求められている。社会動向を市場性の観点から見た場合、電子産業分野の一層の高品位化・高速化・高容量化・小型化の進展による利便性・快適性の向上、地球温暖化対策・環境保全の推進による健康で安全な社会の実現、化石エネルギー依存度低下・省エネルギー推進によるエネルギー供給保障等の人類共通の諸課題に対応するための新技術の開発と事業化が求められている。

当社グループは、2022年1月から始動したマネジメント体制のもと、“共創型化学会社”に向けて目指す方向性として、「化学の力で社会を変える」ことをパーパス(存在意義)に、「プロフェッショナルとしての成果へのこだわり」「機敏さと柔軟性」「枠を超えるオープンマインド」「未来への先見性と高い倫理観」の4つを当社グループ従業員が大切にすべきバリュー(価値観)とし、これらを統合新会社の経営理念と定めた。グローバル競争の激化や市場構造の変化が予想される化学産業において、今後とも顧客企業に新たな機能・価値を提供し続け、持続可能な社会の実現に貢献していく。

また、当社グループは、経営の健全性、実効性及び透明性を確保し、企業価値の持続的な向上により社会から信頼・評価される「社会貢献企業」を実現するために、2015年、「コーポレート・ガバナンス基本方針」を定め、その充実に取り組んでいく。特に、グループ全体のリスク管理機能強化を重要課題として捉え、多面的な施策を適時実施していく。 「コーポレート・ガバナンス基本方針」については当社ホームページを参照。

 https://www.sdk.co.jp/ir/governance.html

なお、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の拡大に対し、当社グループは、お客様、お取引先、従業員など関係する皆様の安全・健康を第一に考え、COVID-19の拡大防止に向けた多くの施策を実行している。具体的には、全社に在宅勤務制度を導入し、特に本社においては抜本的な業務の改善を併せて行うことで政府が求める水準を上回るテレワークを継続実施している。また、感染懸念時における特別休暇の付与、国内外出張の制限、完全フレックスタイム制度による時差出勤の励行など従業員の安全確保と感染拡大防止を最優先にした施策を継続している。同時に、生産拠点では感染防止策を徹底した上で生産活動の維持に努め、お客様に対する製品供給の継続など社会インフラ機能の維持に注力していく。

2【事業等のリスク】

  当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があると考えられる主要なリスクには、以下のものがある。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、リスクを最小化するためにリスク管理体制の整備・充実に努めており、詳細は「第4提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要 ②内部統制システム、リスク管理体制等の整備状況」に記載している。

 なお、これらの事項は有価証券報告書提出日(2022年3月30日)現在において判断したものであり、当社グループに関する全てのリスクを網羅しているものではない。

 また、新型コロナウイルスの感染拡大による事業への影響について、今後も注視していく。

(1) 個別事業の経営成績における大幅な変動

 当社グループは、石油化学製品、化学製品、エレクトロニクス関連製品、無機製品、アルミニウム製品等様々な製品の製造・販売を行っている。主要事業において想定されるリスクとして以下のようなものがあるが、リスクはこれらの事業に限定されるものではない。

①石油化学事業

 当社グループは、大量の原料用ナフサ等を購入(輸入を含む)しており、原油価格の変動や需給バランス、為替等の要因によりナフサ価格等が変動し、販売価格との間に十分なスプレッドが確保できない場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。また、石油化学事業の収益は、需給バランスによるところが大きく、他社による大型プラントの建設等により需給が緩和した場合や、日本及び世界経済の大きな変調により需要が急激に減少した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。さらに、気候変動影響への懸念による世界的なカーボンニュートラル化推進への対応のスケジュールによって、要求される投資や費用支出が影響を受ける可能性がある。
 このようなリスクに対して、コストダウンの推進や販売方法の見直し等収益の安定化に努めている。

②ハードディスク事業

 当社グループのハードディスク事業は、販売数量がIT機器や家電製品に対する需要によって大きく変動すると同時に、技術革新のスピードが速く、国際的競争が厳しい事業である。また、これらの需要変動や競争激化は価格変動の要因ともなり得る。当社グループは、市場のニーズに合致した製品を適時・適切に開発・提供すべくグローバルな生産・販売体制を整えているが、市場のニーズが想定を超えて大きく変化した場合や需給バランスが大きく変化した場合、また、為替が大幅に変動した場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

③黒鉛電極事業

 当社グループは、アジア、北米、欧州にて黒鉛電極を生産し、その製品をグローバルで販売しており、日本及び世界経済の大きな変調により需要が急激に減少した場合には、需給バランスの悪化により販売価格と原材料調達価格の間に十分なスプレッドが確保できず、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 このようなリスクに対して、在庫を市況に応じて適正な水準を維持する、コストダウンを強化するなど、収益基盤強化に積極的な取り組みを行う。

④アルミニウム事業

 当社グループは、大量のアルミニウム地金を海外から輸入しており、LME相場やアルミ割増金の上昇、円安等によりアルミニウム地金価格が上昇し、かつそれによる製造コストの上昇分をアルミニウム関連の製品価格の上昇で吸収できない場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。また当社グループのアルミニウム製品は、自動車向け、電機電子部品・材料向けの販売が大きな比重を占めており、これらの製品の売上は、自動車市場や家電・情報機器関連市場の動向など当社グループが管理できない要因により、大きな影響を受ける可能性がある。
 このようなリスクに対して、アルミニウム製品原料の価格変動リスクをLME相場や為替相場等でヘッジするとともに、コストダウンの推進等により安定的な収益構造の構築に努めている。

⑤海外での事業活動

 当社グループは、アジア、北米、欧州にて生産及び販売活動を行っているが、海外での事業活動には、予期しえない法律または規制の変更、政治・経済情勢の悪化、テロ・戦争等による社会的混乱等、国内における事業運営とは異なるリスクが存在する。こうしたリスクが顕在化することによって、当社グループの海外での事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

⑥企業買収、資本提携及び事業再編

 当社グループは、事業領域の拡大や収益性向上を目的として国内外における企業買収、資本提携及び事業再編を実施している。当社グループでは、買収検討の対象企業のデューデリジェンスを慎重に行い、買収後の事業統合の計画を入念に検証することでリスクの低減に努めているが、当社グループ及び出資先企業を取り巻く事業環境の変化により、当初期待していた成果が得られない場合には、のれん及び無形資産の減損等により、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。

 また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

(2) 財務状況及びキャッシュ・フローの予想以上の変動

①為替相場の大幅な変動

 当社グループは、輸出入等を中心とした外貨建取引については、為替予約等を通じてリスクの最小化に努めているが、為替相場に大幅な変動が生じた場合、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性がある。特に、他の通貨に対する急激な円高は、当社グループの経営成績に悪影響を与える可能性がある。

 また、為替相場の変動は、海外グループ会社の財務諸表の円貨への換算を通しても、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性がある。

②金融市場の動向や調達環境の変化

 金融市場の動向や当社グループの財務指標の悪化が、一部借入金等の財務制限条項への抵触による期限前弁済を含め、当社グループの資金調達や支払金利に対して影響を与え、これらを通して、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性がある。また、当初想定された業績及び財務状況並びに財務指標等が実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性がある。
 このようなリスクに対して、財務体質の改善・強化に加えて、取引金融機関とのコミットメントライン契約等による流動性の確保、返済・償還額の平準化や固定金利・変動金利のバランス等を考慮した適切な資金調達に努めている。

③退職給付債務

 当社グループの退職給付債務及び退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出されており、年金資産の時価の変動、金利動向、退職金・年金制度の変更等が、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を与える可能性がある。

④有価証券

 当社グループは、時価のある株式を保有しているため、株式相場の変動に伴い、評価損が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

⑤固定資産の減損

 当社グループの連結貸借対照表に表示されるのれん、無形資産、土地等の固定資産について、事業環境の悪化による収益性の低下や、保有資産時価の著しい下落等が生じた場合、固定資産に減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 また、日立化成㈱(現昭和電工マテリアルズ㈱)に対するTOBの結果、のれん及び無形固定資産の金額が増加しており、昭和電工マテリアルズグループの業績が悪化した場合、減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、感染の拡大が長期化した場合、一部の事業において減損損失が発生し、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

⑥繰延税金資産

 当社グループは、将来減算一時差異等に対して、繰延税金資産を計上している。繰延税金資産は、将来の課税所得に関する予測等に基づき回収可能性を検討して計上しているが、将来の課税所得が予測と異なり回収可能性の見直しが必要となった場合、また、税率変更を含む税制の改正等があった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 新型コロナウイルス感染症の影響に関しては、感染の拡大が長期化した場合、一部の事業において回収可能性の見直しが必要となり、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

(3) 特有の法的規制

 当社グループが行っている事業は国内外の各種の法規制を受ける。その規制内容は、「石油コンビナート等災害防止法」「消防法」「高圧ガス保安法」等の保安・安全に係るもの、「環境基本法」「大気汚染防止法」「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」等の環境や化学物質に係るもの等があり、当社グループはこれら法規制の遵守を徹底している。特に製造設備等に関連する法規制については、グループで法規制情報を共有するとともに、設備の新設・変更等に際し遵守状況を確認している。しかしながら、万一遵守できなかった場合は、当社グループの活動が制限される可能性がある。また、これら法規制が一段と強化された場合には、コストの増加につながり、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

(4) 重要な訴訟事件

 当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めているが、広範な事業活動の中で、訴訟の提起を受ける可能性がある。

 

(5) その他

①研究開発

 当社グループは、川中の素材技術と川下のアプリケーション技術を併せもつハイブリッド型の先端材料企業グループとして、技術融合によるイノベーションの実現に重点を置いている。川中素材の「作る化学」と、川下アプリケーションの「混ぜる化学」、そして評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の「考える化学」、この3つの技術の融合によって市場に幅広い機能を提供し続けて事業を強化・創出する研究開発に注力している。
 これらの研究開発活動の結果が目標と大きく乖離するような場合には、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

②知的財産

 当社グループは、産業財産権やノウハウ等の知的財産権が事業の競争力に重要な役割を果たしていることを認識し、自社権利の取得、活用及び保護と他社権利の尊重に努めている。しかしながら、自社権利を適切に取得、活用することができなかったり不当に侵害された場合、または第三者の知的財産権を侵害する事象が発生した場合や保有するノウハウ等が不当に第三者へ流出した場合、事業活動に支障が生じ、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

③品質保証・製造物責任

 当社グループは、「品質保証・品質管理規程」の制定や、品質保証を所管・統括・推進する組織の整備、ISO9001等の積極的な取得により、品質管理に万全を期すべく努めている。しかしながら、重大な製品欠陥や製造物責任訴訟の提起といった事象が発生した場合、社会的信用の失墜を招き、顧客に対する補償などによって、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 このようなリスクに対して、当社グループは、確実な工程管理を行うための設備維持、適切な測定機器設置、作業マニュアル整備、従業員教育等に努め、必要十分な検査実施による不良品流出防止の体制を構築するとともに、国内外を対象とした生産物賠償責任保険に加入している。

④事故・災害

 当社グループは、安全・安定操業の徹底を図り、製造設備の停止や設備に起因する事故などによる潜在的なマイナス要因を最小化するため、全ての製造設備について定期的な点検を実施している。しかしながら、事故、大規模な自然災害、サイバー攻撃等の発生により、製造設備で人的・物的被害が生じた場合、当社グループの社会的信用が低下し、事故災害への対策費用や生産活動停止による機会損失により、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 このようなリスクに対して、社内外の過去の事故・災害を解析し、得られた教訓をチェックリストとしてまとめ、リスク抽出の視点や教育資料として活用することで、事故防止及び事故発生時の被害の極小化を図ることに加え、サイバー攻撃に対して、情報管理の徹底及びインシデント発生時に影響を最小限に抑える対応策を講じている。
 また、当社グループの製造設備が直接の影響を受けない場合であっても、サプライヤーの事故・自然災害・大規模な感染症等に起因する原材料調達難、物流網の寸断及び電力の供給不足に伴い生産活動が制限された場合、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 これらサプライヤー被災による影響を最小限に留めるため、購買部門では有事における情報収集と当社生産活動への影響を把握するマニュアル整備とBCP(事業継続計画)訓練を実施している。

⑤環境に対する影響

 当社グループは、化学物質の開発から製造、流通、使用を経て廃棄に至る全ライフサイクルにおける「環境・安全・健康」を確保することを目的とした「レスポンシブル・ケア」活動を推進している。しかしながら、周囲の環境に影響を及ぼすような事象が発生した場合には、社会的信用の失墜を招き、補償などを含む対策費用、生産活動の停止による機会損失及び顧客に対する補償などによって、当社グループの経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。
 このようなリスクに対して、全事業場において網羅的なリスク棚卸による環境リスク評価を行い、環境施設の安全対策を進めるとともに、経年劣化が原因による環境汚染防止のための点検・補修等を計画的に実施している。
 また近年益々高まっている環境問題に対する社会的要求や将来的な環境法規制の強化へ適応するために、経営成績及び財務状況が影響を受ける可能性がある。

⑥感染症の蔓延

 新型コロナウイルス等の世界的な感染症の流行が発生した場合、製造拠点における生産停止や営業拠点の活動停止等により、当社グループの経営成績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性がある。
 新型コロナウイルスの感染拡大に対して、当社グループは、新型コロナウイルス対策本部を設置して国内外の情報を集約し、定期的に従業員への注意喚起、感染防止対策の指示を行っている。また、グループCEOが「(1)グループ従業員、協力企業従業員全員の健康を最優先事項として守る。(2)社会生活に不可欠な製品を供給する社会的責任を果たす。(3)新型コロナウイルスを克服した後の昭和電工グループの成長に備える。」ことを全グループ従業員にメッセージとして発信するとともに、BCPを策定し、事業活動への影響を最小限とする対応を実施している。

⑦気候変動の影響

 当社グループは、各種製品の製造過程で石化原燃料を使用しており、温室効果ガス(GHG)を排出する一方、省エネルギー・炭素循環に貢献する製品も数多く有している。また顧客によるカーボンニュートラルへの取り組みへの協力も取引上重要性を増し、各国の法規制への対応、設備投資、再生可能エネルギーの外部調達、大型化する自然災害への備えを含むコスト増も見込まれる。当社グループでは、物理的及び移行リスクに加えて、事業におけるリスクを順次把握し、対策を検討するとともに、GHG排出量の2013年度比30%削減に向けた施策を進めている。

⑧人権への取り組み

 当社グループは、2021年に人権方針を策定し、自社グループ内及びサプライチェーンにおける様々な人権リスクを把握するための人権デューデリジェンスを開始した。人権尊重に繋がる事業活動を推進するとともに人権侵害のリスクを考慮して適切に対応していくために、課題を特定し、取り組みや救済措置の策定を進めることで経営へのリスクの軽減を図っていく。

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の概要)

(1)経営成績

 ① 経営成績全般

 当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の大流行による世界的な経済活動抑制の影響により厳しい状況にあったものの、堅調に推移している半導体関連業界を含む製造業で回復過程にあるなど、持ち直しの動きが見られた。国内経済においては、個人消費は持ち直しの動きが見られ、企業収益は輸出の増加傾向により製造業を中心に持ち直すなど、企業の業況判断は回復感が見られた。

 

 当社グループは、お客様、お取引先、従業員など関係する皆様の安全・健康を第一に考え、COVID-19感染予防の施策を実施している。具体的には、全社に在宅勤務制度を導入し、特に本社においては抜本的な業務の改善を併せて行うことで政府が求める水準を上回るテレワークを継続実施している。また、感染懸念時における特別休暇の付与、国内外出張の制限、完全フレックスタイム制度による時差出勤の励行など従業員の安全確保と感染拡大防止を最優先にした施策を継続している。同時に、生産拠点では感染防止策を徹底した上で生産活動の維持に努め、お客様に対する製品供給の継続など社会インフラ機能の維持に注力している。

 

 当連結会計年度の連結営業成績については、売上高は、その他セグメントは昭光通商㈱の株式譲渡による非連結化で大幅減収となり、アルミニウムセグメントもアルミ圧延品、アルミ缶の各事業売却により減収となったが、石油化学セグメントは市況回復、化学品、エレクトロニクス、無機の各セグメントはCOVID-19の影響を受け落ち込みの大きかった前連結会計年度に比べ数量が回復し、さらに昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により、総じて大幅な増収となる1兆4,196億35百万円(前連結会計年度比45.8%増)となった。営業利益は、各セグメントで半導体供給不足に伴う自動車等生産減や、原材料価格高騰の影響を受けるなか、昭光通商㈱の非連結化によりその他セグメントは減益となったが、石油化学セグメントは主にナフサ要因の大幅な改善、無機セグメントは鉄鋼需要の回復に伴う販売数量の大幅な増加、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により増益となった。化学品、エレクトロニクス、アルミニウムの3セグメントも諸施策の効果顕現等により増益となり、総じて大幅増益となる871億98百万円(同1,066億47百万円増)となった。営業外損益は、支払利息は増加したが、前連結会計年度の旧日立化成㈱株式取得に関連する一過性の各種手数料等がなく、為替差益、持分法による投資利益が増加し、経常利益は868億61百万円(同1,308億32百万円増)となった。

 親会社株主に帰属する当期純損益は、特別損失として蓄電デバイス・システム事業の譲渡に係る事業構造改善費用301億円、アルミ機能部材事業の生産拠点における環境対策費90億円等を計上したことにより、120億94百万円の損失となったものの、前連結会計年度比では642億10百万円の大幅な改善となった。

 

  ② セグメントの経営成績

(石油化学)

 当セグメントでは、オレフィン事業は、中国需要の回復による東アジアの需給バランスの改善、原料価格上昇によるエチレン・プロピレン等の製品市況の改善により増収となった。有機化学品事業は、酢酸エチル・酢酸ビニルは定修のあった前連結会計年度に比べ販売数量の増加に加え市況も大幅に上昇し増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は2,831億45百万円(前連結会計年度比46.4%増)となり、営業利益はナフサ要因の大幅な改善、製品市況の上昇により大幅な増益となる207億1百万円(同320.2%増)となった。

 

(化学品)

 当セグメントでは、基礎化学品事業は、液化アンモニアは数量増、アクリロニトリルは米国ハリケーンに伴う需給タイト化と原燃料価格高騰による大幅な市況上昇と数量増、クロロプレンゴムは輸出数量が増加し、総じて増収となった。情報電子化学品事業は、旺盛な半導体用途の需要を受けた数量増により増収となった。機能性化学品事業は、原材料価格高騰や自動車生産台数減少の影響が出たものの国内、輸出の数量増により増収となった。産業ガス事業、コーティング材料事業は数量増により増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は1,868億73百万円(前連結会計年度比20.0%増)となり、営業利益は215億97百万円(同60.2%増)となった。

 

(エレクトロニクス)

 当セグメントでは、ハードディスク事業はHDメディアがデータセンター向け、PC向けともに出荷数量が増加し増収となった。化合物半導体は輸出数量が増加し増収となった。リチウムイオン電池材料事業は、車載・PC・モバイル向けLIB用アルミラミネート包材SPALF®の販売量が増加し増収となった。SiCエピタキシャルウェハー事業は、需要拡大に加え、パワー半導体デバイスメーカー複数社との長期供給契約締結に伴い販売数量が増加し増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は1,208億68百万円(前連結会計年度比24.1%増)となり、営業利益は161億53百万円(同76.9%増)となった。

 

(無機)

 当セグメントでは、黒鉛電極事業は、前連結会計年度後半からの世界的な鉄鋼需要の高まりに伴い販売数量が増加し増収となった。セラミックス事業は研削材、電子材料用ファインセラミックスの販売数量が増加し増収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は1,023億0百万円(前連結会計年度比23.4%増)となり、営業利益は前連結会計年度の原材料等棚卸資産低価法の戻り益等により大幅増益となる144億12百万円(同467億12百万円増)となった。

 

(アルミニウム)

 当セグメントでは、アルミ機能部材事業は、半導体供給不足の影響を受けつつも、自動車部材、工作機械、OA機器業界向けに需要が増加し増収となった。アルミ圧延品事業とアルミ缶事業は当連結会計年度中に事業売却したため減収となった。

 この結果、当セグメントの売上高は761億79百万円(前連結会計年度比5.0%減)となったが、営業利益は69億2百万円(同64億81百万円増)となった。

 

(昭和電工マテリアルズ)

 2020年第2四半期連結会計期間より、昭和電工マテリアルズ㈱及びその子会社を連結の範囲に含めたことから、報告セグメントを新設し、2020年第3四半期連結会計期間期首より売上高、営業利益を取り込んだ。

 当セグメントでは、旺盛な半導体需要を背景に、半導体回路平坦化用研磨材料等の電子材料、銅張積層板等の配線板材料が堅調に推移した。また、樹脂成形品等のモビリティ部材は、当連結会計年度前半はCOVID-19感染拡大の影響を受けた前連結会計年度から回復したものの、後半は半導体供給不足による自動車生産台数の低迷の影響を受けた。

 この結果、当セグメントの売上高は6,350億33百万円(同109.8%増)となり、営業利益は原材料価格の高騰が減益要因となったものの、堅調な販売を背景に、203億16百万円(同266億19百万円増)となった。なお、当セグメントの営業利益には、昭和電工マテリアルズ㈱の株式取得に伴って計上したのれん等の償却費等約334億円が含まれている。

 

(その他)

 当セグメントでは、売上高は2021年第2四半期連結会計期間から昭光通商㈱の株式譲渡による非連結化に伴い大幅な減収となる440億59百万円(前連結会計年度比58.9%減)となり、営業損益は38百万円(同12億37百万円減)の小幅な損失となった。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に比べ59億97百万円の収入増加となる1,152億83百万円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による839億15百万円の収入の影響等により、前連結会計年度の連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による8,902億30百万円の支出の影響等も含め、9,586億53百万円の支出減少となる286億6百万円の収入となった。

この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ9,646億50百万円の支出減少となる1,438億89百万円の収入となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による824億5百万円の収入や社債の発行による995億39百万円の収入等があったが、長期借入金の返済による3,072億47百万円の支出や、前連結会計年度の長期借入金による7,021億63百万円の収入の影響等も含め、1兆182億62百万円の収入減少となる1,217億41百万円の支出となった。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ370億11百万円増加となる2,349億38百万円となった。

 

(生産、受注及び販売の実績)

(1)生産実績

 当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。このため生産の状況については、「経営成績等の概要 (1)経営成績 ②セグメントの経営成績」におけるセグメントの経営成績に関連付けて示している。

(2)受注実績

  当連結会計年度における受注実績は、次のとおりである。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

その他

648

△5.8

38

35.7

 (注) 上記金額には、消費税等は含まれていない。

(3)販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

石油化学

283,145

46.4

化学品

186,873

20.0

エレクトロニクス

120,868

24.1

無機

102,300

23.4

アルミニウム

76,179

△5.0

昭和電工マテリアルズ

635,033

109.8

その他

44,059

△58.9

調整額

△28,822

合計

1,419,635

45.8

 (注)1 セグメント間の取引については、相殺消去前の数値によっている。

2 上記金額には、消費税等は含まれていない。

3 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、当該割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略している。

4 販売実績が前連結会計年度と比べて大幅に増加しているが、これは主に昭和電工マテリアルズ㈱及びその子会社の通期連結化によるものである。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

(1)財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、販売量の回復と製品・原材料の高騰により営業債権や棚卸資産は増加、現金及び預金は主に公募増資の払い込みにより増加したものの、有形固定資産、のれん等無形固定資産は減少し、前連結会計年度末比612億16百万円減少の2兆1,423億90百万円となった。負債合計は、営業債務は増加したものの有利子負債(借入金、コマーシャル・ペーパー、社債及びリース債務)が減少し、前連結会計年度末比1,615億88百万円減少の1兆3,239億37百万円となった。なお、有利子負債残高は営業キャッシュ・フロー及び事業売却等によって得られた資金を返済原資として前連結会計年度末比2,095億43百万円の大幅減少となる8,506億3百万円となった。純資産は、主に半導体関連材料の急拡大しつつある需要を前倒しで取り込むための設備投資の資金調達を目的とした公募増資の実施により、資本金及び資本剰余金が増加、為替換算調整勘定等の増加もあり、前連結会計年度末比1,003億72百万円増加の8,184億52百万円となった。

 

(2)経営成績の分析

 当連結会計年度の連結営業成績については、売上高は、その他セグメントは昭光通商㈱の株式譲渡による非連結化で大幅減収となり、アルミニウムセグメントもアルミ圧延品、アルミ缶の各事業売却により減収となったが、石油化学セグメントは市況回復、化学品、エレクトロニクス、無機の各セグメントはCOVID-19の影響を受け落ち込みの大きかった前連結会計年度に比べ数量が回復し、さらに昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により、総じて前連結会計年度に比べ4,459億35百万円増加し1兆4,196億35百万円となった。

 売上原価は、売上高の増加に伴い前連結会計年度に比べ2,672億64百万円増加し1兆816億42百万円となった。

 販売費及び一般管理費は、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により前連結会計年度に比べ720億25百万円増加し2,507億96百万円となった。

 営業利益は、各セグメントで半導体供給不足に伴う自動車等生産減や、原材料価格高騰の影響を受けるなか、昭光通商㈱の非連結化によりその他セグメントは減益となったが、石油化学セグメントは主にナフサ要因の大幅な改善、無機セグメントは鉄鋼需要の回復に伴う販売数量の大幅な増加、昭和電工マテリアルズセグメントの通期連結化により増益となった。化学品、エレクトロニクス、アルミニウムの3セグメントも諸施策の効果顕現等により増益となり、総じて営業利益は、前連結会計年度に比べ1,066億47百万円増加し871億98百万円となった。

 経常利益は、支払利息は増加したが、前連結会計年度の旧日立化成㈱株式取得に関連する一過性の各種手数料等がなく、為替差益、持分法による投資利益が増加し、前連結会計年度に比べ1,308億32百万円増加し868億61百万円となった。

 特別利益は、事業譲渡益の計上等により前連結会計年度に比べ146億3百万円増加し230億33百万円となった。

 特別損失は、蓄電デバイス・システム事業の譲渡に係る事業構造改善費用301億円、アルミ機能部材事業の生産拠点における環境対策費90億円等を計上したことにより、前連結会計年度に比べ542億48百万円増加し869億68百万円となった。

 これにより、税金等調整前当期純利益は229億26百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損益は120億94百万円の損失となったものの、前連結会計年度に比べ642億10百万円の大幅な改善となった。

 

(3)キャッシュ・フローの状況の分析

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益の増加等により、前連結会計年度に比べ59億97百万円の収入増加となる1,152億83百万円の収入となった。

投資活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡による839億15百万円の収入の影響等により、前連結会計年度の連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による8,902億30百万円の支出の影響等も含め、前連結会計年度に比べ9,586億53百万円の支出減少となる286億6百万円の収入となった。

この結果、フリー・キャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ9,646億50百万円の支出減少となる1,438億89百万円の収入となった。

財務活動によるキャッシュ・フローは、株式の発行による824億5百万円の収入や社債の発行による995億39百万円の収入等があったが、長期借入金の返済による3,072億47百万円の支出や、前連結会計年度の長期借入金による7,021億63百万円の収入の影響等も含め、1兆182億62百万円の収入減少となる1,217億41百万円の支出となった。

この結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響等も含め、前連結会計年度末に比べ370億11百万円増加となる2,349億38百万円となった。

 

(4)資本の財源及び資金の流動性

当社グループは、必要な資金について、自己資金の利用に加え、長期資金を主に設備投資計画等に基づき銀行借入及び社債の発行等によって調達するとともに、短期的な運転資金を銀行借入及びコマーシャル・ペーパーの発行等により調達している。

当連結会計年度においては、足元の半導体市場の活況により想定以上に早く到来した集中投資のタイミングを鑑み、2021年9月に公募増資により約772億円、2021年10月に第三者割当増資により約60億円をそれぞれ調達した。その結果、当連結会計年度末の自己資本比率は24.0%、ネットD/Eレシオは1.15倍まで改善した。引き続き財務健全性の維持・向上に努め、中期的にはネットD/Eレシオを1.0倍に近づけることを目指していく。

 

当社は、株主還元について、中長期的に化学業界で上位25%の水準の総株主還元(TSR)を目指している。企業価値向上のため、コア成長事業向けを中心とした設備投資を積極的に行うとともに、財務体質強化のための有利子負債圧縮を進め、配当については、当面、安定配当を継続する。

 

当社グループは、事業活動における収益力の向上に加え、運転資金の効率化等により、フリー・キャッシュ・フローの拡大を進めている。また、グループ各社の資金集約化等により、資金の効率的な活用も行っている。資金の流動性については、当連結会計年度末に保有している2,349億38百万円の現金及び現金同等物に加え、1,500億円のコミットメント・ラインを確保しており、資金需要にタイムリーに対応ができる状態を維持している。

 

(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 2020 年12 月発表の長期ビジョン(2021~2030)においてEBITDA マージン、ネットD/E レシオ等を統合新会社としての長期数値目標として設定した。今回、規律を重視する観点でROE に代わり今回新たな数値目標としてROIC を導入し、これらの数値を達成していくことで総株主還元(TSR)は中長期的に化学業界で上位25%の水準を目指していく。

 

 

 

2021年実績

2022年予想

2025年

2030年

売上*

(兆円)

1.42

1.35

1.6

1.8~1.9

EBITDAマージン

(%)

14.3

14.4

20

 

ROIC

(%)

4.3

4.8

中長期的に10%

ネットD/Eレシオ

(倍)

1.15

1.19

1.0倍を目指す

 

      * 今後のM&A等を考慮しない場合の目安値

 

(6)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成している。この連結財務諸表の作成にあたり、当連結会計年度における資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える将来に関する見積りを実施する必要がある。経営者は、これらの見積りについて、当連結会計年度末時点において過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断しているが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる場合がある。

 当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しているが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えている。

 なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定についての情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載している。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載している。

 

①有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の減損

 当社グループは、営業活動から生ずる損益またはキャッシュ・フローが継続してマイナスとなるなど減損の兆候が見られる場合に資産又は資産グループについて減損の判定を行い、使用価値と正味売却価額のいずれか高い方が帳簿価額を下回っていると判断される場合には、その差額を減損損失として認識する。使用価値は予算等社内における管理会計の計画数値を基に見積り、正味売却価額については不動産鑑定評価額等から関連する経費等を差し引いた額で見積っている。

 将来の不確実な経済条件の変動等により有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の評価に関する見積りの前提が変化した場合には、認識される減損損失の金額に重要な影響を与える可能性がある。

 

②たな卸資産の評価

 当社グループで保有するたな卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により期末における回収可能価額が取得原価よりも下落している場合には、回収可能価額までたな卸資産の評価を切り下げている。回収可能価額は、商品及び製品については正味売却価額に基づき、原材料等については再調達原価に基づいている。

 当社グループの保有するたな卸資産の一部は、価格変動の著しい経済環境の影響を受ける傾向にあるため、市場価格が下落した場合には、たな卸資産の帳簿価額を切下げることになる。特に原油価格が下落した場合や黒鉛電極の需要が急激に減少した場合には、たな卸資産の評価損の金額に重要な影響を与える可能性がある。

 

③繰延税金資産の評価

 当社グループが計上している繰延税金資産は、将来減算一時差異等に関するものであり、定期的かつ合理的に回収可能性の評価のための見積りを実施している。繰延税金資産の回収可能性は、主に将来の課税所得の見積りによるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社グループの事業活動の状況及びその他の要因により変化する。繰延税金資産の回収可能性に不確実性がある場合、将来回収される可能性が高いと考えられる金額までを繰延税金資産に計上している。

 当該見積りについて、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合には、繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性がある。

 

④退職給付債務及び費用

 当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在する。確定給付制度の退職給付債務は、数理計算上の仮定を用いて算定しており、当該数理計算上の仮定には、割引率、退職率、昇給率等の様々な計算基礎がある。

 当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合には、退職給付に係る資産、退職給付に係る負債及び退職給付に係る調整累計額の金額に重要な影響を与える可能性がある。

4【経営上の重要な契約等】

1.技術提携の状況

技術供与関係

(昭和電工株式会社)

契約締結先

契約発効年月

内容

摘要

(サウジアラビア)

ナマケミカルズ社

2011年1月

アリルアルコールの

製造技術

(対価)

一定金額を分割払いで受け取る。

(有効期間)

2011年1月31日から12年間

 

2.新株の発行及び資金の借入について

 当社の連結子会社であるHCホールディングス㈱は、日立化成㈱(現昭和電工マテリアルズ㈱)を完全子会社とするため、日立化成㈱の普通株式の公開買付けを実施した。そして、HCホールディングス㈱は、日立化成㈱が2020年6月23日を効力発生日として実施した株式併合の結果生じた端数株式について、会社法第235条第2項の準用する第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て、2020年10月15日に端数株式の取得を実施した。

 本取引に係る資金調達のため、HCホールディングス㈱は、㈱みずほ銀行及び㈱日本政策投資銀行を引受先とする第三者割当増資の方法で優先株式2,750億株(発行価額1株につき1円)の発行、当社を引受先とする第三者割当増資の方法で普通株式2,950億株(発行価額1株につき1円)の発行を行うことを決定し、2020年4月27日に当該払込を受けた。そして、当社は、この普通株式2,950億株の引受けに必要となる資金を調達することを目的として、㈱みずほ銀行より2,950億円の借入れ(全銀協日本円TIBORに基づく変動金利、借入期間7年、期限一括弁済)を行うことを決定し、2020年4月27日に当該借入を実行した。

 また、本取引に係る資金調達のため、HCホールディングス㈱は、㈱みずほ銀行と、合計4,000億円のタームローン(全銀協日本円TIBORに基づく変動金利、借入期間5年、500億円は分割弁済、3,500億円は期限一括弁済)及び900億円のコミットメントライン(全銀協日本円TIBORに基づく変動金利、個別貸付実行から1週間~6ヵ月後に一括弁済)に係る契約を締結した。2020年4月27日に2,805億円、2020年9月25日に5億円、2020年10月9日に1,190億円を調達している。なお、本契約には主に純資産維持条項、利益維持条項等といった一定の財務制限条項が付されており、また日立化成㈱の普通株式等の一部資産を担保として提供している。

 

3.子会社株式の譲渡

 当社は、アイ・シグマ・キャピタル㈱(以下、アイ・シグマ・キャピタル)が管理・運営するアイ・シグマ事業支援ファンド3号投資事業有限責任組合(以下、アイ・シグマ事業支援ファンド3号)が発行済株式の全てを保有するSKTホールディングス㈱(以下、SKTホールディングス)が、2021年3月5日から実施された当社の連結子会社である昭光通商㈱(以下、昭光通商)の普通株式(以下、昭光通商株式)に対する公開買付けに、当社が保有する昭光通商株式のうち3,160,306株(以下、応募対象株式)を応募する旨等を定めた基本契約書(以下、本基本契約)並びに当社及びSKTホールディングスが保有する昭光通商株式の取扱い等について定めた株主間契約(以下、本株主間契約)をアイ・シグマ事業支援ファンド3号との間で2021年3月4日に締結し、その後、同契約に基づき、応募対象株式を本公開買付けに応募した。

 そして、本公開買付けは、2021年4月15日をもって終了し成立した。これを受け、2021年4月22日に当社が保有する応募対象株式をSKTホールディングスに譲渡した。

 

(1)応募対象株式の譲渡理由

 変化の激しい経営環境の中で、当社としては昭光通商の中期経営計画における改革課題の実現を通じた企業価値の向上に向けた施策について検討を進めてきた。そのような状況下において、アイ・シグマ・キャピタルより昭光通商の企業価値向上に向けた提案を受けた。当社として提案内容を慎重に検討した結果、アイ・シグマ・キャピタル並びにその親会社である丸紅㈱及びそのグループ会社が有する国内外のネットワーク及び経営ノウハウを活用することで、顧客や販路の開拓、取り扱い製品ラインナップの拡充、スケールメリットを活かした利益率改善や経営の効率化等が可能となり、昭光通商の更なる成長加速と企業価値の向上を実現できるとの結論に至り、SKTホールディングスとの間で、本基本契約を締結し、応募対象株式を譲渡することとした。

 さらに、当社が本公開買付け後も昭光通商株式の一部を継続保有することに鑑み、アイ・シグマ事業支援ファンド3号との間で本株主間契約を締結し、当社が本取引後に昭光通商の取締役等候補者の一部を指名すること等の本取引後の昭光通商の事業運営及び昭光通商が発行する株式の取り扱い等について合意している。

 当社が保有する応募対象株式をSKTホールディングスに譲渡したことにより、昭光通商は当社の連結子会社から外れることとなるが、当社は、応募対象株式の譲渡後も、昭光通商との取引関係を継続していく方針である。

 

(2)昭光通商株式会社の概要(2020年12月31日現在)

名称

昭光通商株式会社

所在地

東京都港区芝公園二丁目4番1号

代表者

代表取締役社長 稲泉 淳一

事業内容

化学品、合成樹脂、金属及び電子材料等の販売

資本金

8,021百万円

 

(3)SKTホールディングスの概要(2020年12月31日現在)

名称

SKTホールディングス株式会社

所在地

東京都千代田区大手町一丁目5番1号

代表者

代表取締役社長 渡辺 昭彦

事業内容

1.株式の取得、保有、管理及び処分

2.その他前号に掲げる事業に付帯又は関連する事業

資本金

10,000円

 

(4)譲渡株式数、譲渡価額、譲渡前後の所有株式数の状況

譲渡前の所有株式数

4,790,153株

譲渡株式数

3,160,306株

譲渡価額

2,515,603,576円(1株当たり796円)

譲渡後の所有株式数

1,629,847株

 

4.アルミ缶事業及びアルミ圧延品事業の承継を含む一連の取引に関する基本契約の締結

 当社は、2021年1月28日、2021年6月24日及び2021年8月2日を効力発生日として、会社分割(吸収分割)により当社のアルミ缶事業を当社の100%連結子会社である昭和アルミニウム缶㈱(以下、昭和アルミニウム缶)に、アルミ圧延品事業を同100%非連結子会社である昭和電工堺アルミ㈱(以下、堺アルミ)に、それぞれ承継することを含む一連の取引に関する基本契約(以下、本基本契約)をApollo Global Management, Inc.及びその関連会社が投資助言するファンドが保有する特別目的会社(以下、総称して「Apollo」)との間で締結した。本基本契約に基づく一連の取引により、昭和アルミニウム缶は当社の連結子会社から外れる一方で、独立会社としてApolloに引き継がれ、堺アルミを吸収合併消滅会社、昭和アルミニウム缶を吸収合併存続会社とする吸収合併が行われた。

 

(1)一連の取引の目的

 変化の激しい経営環境を踏まえ、持続的成長の実現に向けた経営資源の最適な配分・持続的な成長を実現するポートフォリオマネジメントを検討する中で、アルミ缶事業及びアルミ圧延品事業については、あらゆる選択肢を慎重に検討した結果、アルミ事業に関する専門的な知見・経営資源を有する事業パートナーのもとで事業拡大を図ることが、両事業にとって、それぞれの事業に従事する従業員とともに更なる成長を図ることができる、との結論に至り、世界有数の投資会社として、アルミ関連業界への20年以上にわたる豊富な支援実績を有するApolloとの間で本基本契約に基づく一連の取引を推進することを決定した。

 

(2)会社分割及び一連の取引の日程

基本契約締結日

2021年1月28日

吸収分割契約締結日(アルミ缶事業)

2021年4月21日

吸収分割契約締結日(アルミ圧延品事業)

2021年6月25日

吸収分割効力発生日(アルミ缶事業)

2021年6月24日

吸収分割効力発生日(アルミ圧延品事業)

2021年8月2日

(注)本会社分割は、会社法第784条第2項に基づく簡易分割に該当するため、当社の株主総会の決議を経ずに行われた。

 

(3)会社分割に係る割当ての内容

 本会社分割に際して、株式の割当、その他の対価の交付は行われない。

 

(4)分割する部門の事業内容

アルミ缶事業

当社の飲料用アルミ缶等の製造及び販売

アルミ圧延品事業

当社の電解コンデンサーを主用途とした高純度アルミ箔等の製造及び販売

 

(5)会社分割後の吸収分割承継会社の資本金・事業の内容等

 ア.アルミ缶事業

  昭和アルミニウム缶株式会社の概要

名称

昭和アルミニウム缶株式会社

所在地

東京都品川区西五反田一丁目30番2号ウィン五反田ビル7階

代表者

代表取締役社長 田代 泰

事業内容

日本及びベトナムにおけるアルミ缶等製造業

資本金

2,160百万円

 

 イ.アルミ圧延品事業

  昭和電工堺アルミ株式会社の概要

名称

昭和電工堺アルミ株式会社

所在地

大阪府堺市堺区海山町六丁目224番地

代表者

代表取締役社長 細井 隆広

事業内容

アルミニウム等の軽合金を原材料とする地金、鋳造品、圧延品、箔の生産並びにこれらの加工

資本金

13百万円

 

5.プリント配線板事業の譲渡に関する契約の締結

当社の連結子会社である昭和電工マテリアルズ㈱は、2021年6月2日付で、昭和電工マテリアルズ㈱並びに昭和電工マテリアルズ㈱の連結子会社である昭和電工マテリアルズ・エレクトロニクス㈱(以下、SDME)、㈱山岸エーアイシー(以下、YGA)及びShowa Denko Materials (Singapore) Pte. Ltd.(以下、SDMS)のプリント配線板事業(以下、本対象事業)をポラリス・キャピタル・グループ㈱が設立した特別目的会社であるPTCJ-Sホールディングス㈱に譲渡する契約を締結した。

昭和電工マテリアルズ㈱は、その100%子会社として株式会社2社を設立し、2021年10月1日付で、会社分割の方法により、昭和電工マテリアルズ㈱の本対象事業(昭和電工マテリアルズ㈱が保有するYGA株式及びSDMS株式を含む。)及びSDMEの本対象事業(SDMEが保有するYGA株式を含む。)を各社に承継させる(以下、昭和電工マテリアルズ㈱の本対象事業を承継する株式会社を新会社、SDMEの本対象事業を承継する株式会社を新会社(SDME))。昭和電工マテリアルズ㈱は、当該会社分割(以下、個別に又は総称して本会社分割)の効力発生後、同日付で、新会社(注)の株式の全てをPTCJ-Sホールディングス㈱に譲渡した。

(注)本会社分割によって昭和電工マテリアルズ㈱の保有する新会社(SDME)の全株式が新会社に承継されるため、新会社は新会社(SDME)の全株式を保有する。

 

(1) 取引の目的

当社は前第2四半期連結会計期間より昭和電工マテリアルズ㈱を連結子会社とし、2023年には両社は統合を実施する予定である。持続的な成長を実現するための最適な経営資源の配分や事業ポートフォリオの再編、両社技術の融合を通じたイノベーションの創出に向けて取り組んでいる中で、本対象事業について慎重に検討し、本対象事業が保有する技術力やお客さまとの強固な関係性などの強みを最大限活用できるよう、豊富な投資実績と投資先企業の企業価値向上を実現してきた経験のあるポラリス・キャピタル・グループのもとで事業拡大を図ることが最適との結論に至り、本対象事業を譲渡することを決定した。

 

(2) 吸収分割の日程

吸収分割承継会社の設立

2021年6月22日

吸収分割契約承認取締役会

2021年7月2日

吸収分割契約締結

2021年7月2日

吸収分割の効力発生日

2021年10月1日

 

(3)会社分割に係る割当ての内容

 本会社分割に際して、株式の割当、その他の対価の交付は行われない。

 

(4)分割する部門の事業内容

 プリント配線板の製造及び販売

 

(5)会社分割後の吸収分割承継会社の資本金・事業の内容等

 SDMC分割準備株式会社の概要

名称

SDMC分割準備株式会社

所在地

東京都千代田区丸の内一丁目9番2号

代表者

取締役社長 月足 高

事業内容

プリント配線板の製造及び販売並びに当該事業を営むグループ会社の支配及び管理

資本金

1円

 

6.蓄電デバイス・システム事業の譲渡に関する契約の締結

当社の連結子会社である昭和電工マテリアルズ㈱が、同社が新たに設立する完全子会社(以下、日本新会社)に対して、昭和電工マテリアルズ㈱がその埼玉事業所及び名張事業所において行っている蓄電デバイス・システム事業(以下、本事業)を吸収分割(以下、本会社分割)の方法で承継させた上で、日本新会社の全株式に加え、昭和電工マテリアルズ㈱が直接的又は間接的に保有する、エナジーシステムサービスジャパン㈱、希世比能源科技股份有限公司、Siam Magi Co., Ltd.、Thai Energy Storage Technology Public Company Limited、Thai Nonferrous Metal Co., Ltd.、3K Products Company Limited、及びPower Plas Company Limitedの全株式を、㈱アドバンテッジパートナーズがサービスを提供するファンドを筆頭株主とするサステナブル・バッテリー・ソリューションズ㈱(以下、SBS社)に譲渡すること(以下、本株式譲渡といい、本会社分割とあわせて本取引と総称する。)を、2021年7月8日に取締役会において決議し、同日、株式譲渡契約を締結した。

 

(1) 取引の目的

当社は前第2四半期連結会計期間より昭和電工マテリアルズ㈱を連結子会社とし、2023年には両社は統合を実施する予定である。持続的な成長を実現するための最適な経営資源の配分や事業ポートフォリオの再編、両社技術の融合を通じたイノベーションの創出に向けて取り組んでいる中で、当社の連結子会社である昭和電工マテリアルズ㈱が行う本事業の在り方についても、あらゆる選択肢を慎重に検討した。その結果、本事業に関連する再生エネルギーや自動車業界等の専門的な知見及び経営資源を有し又はこれらへのアクセスを有する事業パートナーのもとで事業拡大を図ることが、本事業の取引先様、当社グループの本事業関連製品を日々ご利用いただいている最終消費者の皆様及び当該事業に従事する従業員を含むステークホルダーの皆様にとって最適であり、また、その場合の具体的な事業パートナーとしては、本取引と同種の案件を含む豊富な案件実績を誇り、各種専門的な知見へのアクセスも豊富な、日本を代表する投資会社である、SBS社が最良であると判断し、同社との間で本取引を推進することを決定した。

 

(2) 本会社分割を含む本取引の日程

本株式譲渡契約(本取引に係る株式譲渡契約)締結日

2021年7月8日

日本新会社設立日

2021年7月21日

本会社分割契約締結日

2021年9月29日

本会社分割契約承認株主総会決議日

(昭和電工マテリアルズ㈱及び日本新会社)

2021年10月27日

本会社分割効力発生日

2021年12月1日

本株式譲渡実行日

2021年12月1日

 

(3)会社分割に係る割当ての内容及び算定根拠

 日本新会社は、本会社分割に際して、その発行する普通株式9万9,999株を、昭和電工マテリアルズ㈱に対し、割当て交付する。日本新会社は、昭和電工マテリアルズ㈱の100%子会社であり、本会社分割に際して新たに発行する株式の全てが昭和電工マテリアルズ㈱に交付されることから、当該株式数については、両社で協議の上決定したものであり相当であると判断している。

 

(4)分割する部門の事業内容

 蓄電デバイスの製造及び販売並びにこれらに関するシステム・サービス事業

 

(5)会社分割後の吸収分割承継会社の資本金・事業の内容等

エナジーウィズ株式会社の概要

名称

エナジーウィズ株式会社

所在地

東京都千代田区丸の内一丁目9番2号

代表者

取締役社長 吉田 誠人

事業内容

蓄電デバイスの製造及び販売並びにこれらに関するシステム・サービス事業

資本金

10億円

 

5【研究開発活動】

 当社グループは、昭和電工マテリアルズ㈱との統合に向けた「統合新会社の長期ビジョン」に基づき、コア成長事業・次世代事業・安定収益事業・基盤事業の4つの事業群の中で、特に中長期的に当社グループの成長の中心となる事業に研究開発資源を集中し、シナジーの顕現に繋がる新規事業パイプライン創出に重点を置いた施策を進めている。

 従来当社グループが保有する川中の素材技術と昭和電工マテリアルズの川下のアプリケーション技術、両社の評価・シミュレーション、構造解析、計算科学の技術の融合によって、現業強化と周辺分野の拡大に向けた研究及び事業開発を強化するとともに、オープンイノベーションやM&Aを活用し、必要な技術を社外からも積極的に導入していくことで、将来の成長を牽引する事業の早期の成果顕現、多様な技術・事業を通じたSDGsへの貢献に注力している。

 さらに両社の多様な技術領域を融合し、ESGの観点から新たな研究開発テーマの創出・推進を実現するため、グローバル研究開発拠点「融合の舞台」(横浜市神奈川区)の竣工を2022年春頃に予定している。

 なお、当連結会計年度における研究開発費の総額は、46,750百万円である。

 セグメントごとの研究開発活動は次のとおりである。

(石油化学)

 石油化学分野では、コア技術である触媒、有機合成、高分子合成の技術を集積し、電子・電気機器、輸送機器、食品包装などの分野において、多様な市場ニーズに応えるための研究開発を推進している。

 主要な誘導品事業であるアセチル及びアリルアルコール製品群では、自社開発した製造プロセスの優位性を伸長させるため、触媒の性能向上と新触媒の開発を進めている。2014年6月、当社技術を用い大分に新設した酢酸エチルプラントは、稼働開始以来高稼働を継続しているが、更なるコスト競争力の強化と生産性の向上を達成すべく、触媒性能の向上を追求している。

 アリルアルコール製品群において、環境対応型溶剤である酢酸ノルマルプロピルは順調に販売量を増やしており、更なる市場拡大を企図して新規用途の展開を積極的に進めている。この他、当社技術の特長を活かした新規誘導品の研究開発を推進している。

 当連結会計年度における石油化学セグメントの研究開発費は、1,183百万円であった。

(化学品)

 化学品分野では、広範多岐にわたる需要、個々のお客様の要望に迅速に応え、お客様の新製品開発の鍵となる材料をタイムリーに提案することを目的として、半導体プロセス材料、光機能材料、高機能ゲル、各種有機中間体、化粧品原料、インフラケミカルズ、エネルギー関連などの研究開発を推進している。

 半導体製造プロセス材料として、各種エッチングガス、クリーニングガス、成膜材料及び洗浄剤、溶剤の開発を進め、市場展開している。今後も引き続き、低環境負荷、高性能化に寄与する研究開発を進める。

 テレビなどの大型液晶ディスプレイに使用される各種製品は、市場で高い評価を受けているが、さらにお客様との情報ネットワークを駆使して、お客様の要望に即した新規開発品を複数市場に投入している。リチウムイオン電池のセパレーターのセラミック耐熱層用バインダーに最適化したポリ-N-ビニルアセトアミド「GE191シリーズ」の展開を継続している。また、各種レジストなどの電子材料に使用される高機能性イソシアネートモノマー「カレンズAOI®」において、一般工業分野向け新グレード「AOI-VM®」の開発、生産能力の強化を行い、販売を継続している。

 高速液体クロマトグラフィー用「ショウデックス®カラム」では、先進国向けを主体に、最先端技術へ適用できるカラムを開発し、並行して新興国の市場開発を積極的に進めている。世界6拠点から収集した営業情報に基づき、分析ノウハウ・技術サービスを的確、迅速にお客様に提供している。また従来にない迅速分析を実現したSEC(サイズ排除クロマトグラフィー)用充填カラム、医薬・バイオ・食品分野における高感度分析を可能としたHILIC(親水性相互作用クロマトグラフィー)用充填カラム、抗体タンパク質を高精度で分析可能なSEC用充填カラム等の市場ニーズに適した新製品を順次発売している。

 有機中間体では、当社固有原料と精密有機合成技術の強みを活かした各種中間体の開発に注力し、化粧品原料では、保湿効果及び新たに見出した抗大気汚染物質効果をもつ糖誘導体「モイストール®」を開発した。また水溶性ビタミンE誘導体「TPNa®」に目のクマへの改善効果を見出し、アイケア用途として出荷も継続して行っている。

 インフラケミカルズでは水力発電向け補修材の試験施工を積極的に実施した。また光硬化タイプの下水管更生用樹脂の技術開発は継続して注力している。

 エネルギー関連では、リチウムイオン電池負極材用水系バインダー樹脂「ポリゾール®LBシリーズ」の持つ、低抵抗性、優れた温度特性、負極集電体との高密着性などの特性が認められ、順調に出荷を伸ばしている。今後もさらに研究開発を加速し、長寿命化、超急速充電対応化などの特性をレベルアップし、リチウムイオン電池の高性能化へ寄与していく。

 当連結会計年度における化学品セグメントの研究開発費は、2,737百万円であった。

 

(エレクトロニクス)

 エレクトロニクス分野では、高性能化の市場要請に応えるべく、最先端技術の開発に邁進している。

 記録材料については、ハードディスク外販のトップメーカーとして、市場をリードする新技術の開発を継続しており、世界に先駆けて実用化した垂直磁気記録方式での高性能化を進めると共に、次世代ハードディスクへの高密度記録となるシングルド記録(瓦書記録)、マイクロ波アシスト記録、熱アシスト記録の開発により更なる高性能化に向けた取り組みを行っており、Seagate Singapore International Headquarters Pte. Ltd.と熱アシスト磁気記録に対応した次世代ハードディスクメディアを共同開発する契約を締結した。また、㈱東芝 研究開発センターと東芝デバイス&ストレージ㈱の提唱する新記録原理に基づいた次世代記録技術強磁性共鳴効果マイクロ波アシスト磁気記録に対応したハードディスクドライブ用のハードディスクを開発した。世界最大の記録容量である第9世代ハードディスクとして、2.5インチサイズにおいては1枚当たり1テラバイト、3.5インチサイズにおいては1枚当たり1.5~1.8テラバイトのハードディスクの出荷をしている。

 省エネルギー効果の高い次世代パワー半導体材料として注目されるSiCエピタキシャルウェハーについては、市場の高品質化要求に応えた新グレード品「ハイグレードエピ(HGE)」が良好な評価を得ており、さらに高品質な「HGE-2G」も開発し、㈱デンソー製の燃料電池自動車向け次期型昇圧用パワーモジュールに採用され、Infineon Technologies AGと長期販売及び共同開発に関する契約を締結、ローム㈱、東芝デバイス&ストレージ㈱とも長期供給契約を締結するなど、積極的に市場展開している。

 発光素子・材料では、高効率化、高出力化をターゲットとしたLED製品の開発に注力している。反射型LEDは、産業機器用光電センサーなどに採用されているが、本技術を発展させ、従来の反射型LEDの2倍近い出力の「ダブルジャンクション反射型LED」を開発し、生体認証や監視カメラ、バーチャルリアリティ、車載センサーなど高出力が求められる用途に受注活動を進めている。

 先端電池材料については、各種電気自動車用に加えスマートフォン等の携帯用など多様なリチウムイオン電池に必要な、カーボンナノファイバー「VGCF®」、外装材であるアルミラミネートフィルム「SPALF®」などの素材・部材の開発・販売を引き続き進めている。

 当連結会計年度におけるエレクトロニクスセグメントの研究開発費は、5,686百万円であった。

(無機)

 無機分野では、素材の特性を活かした材料及びその用途開発を進めている。

 電子デバイス、パワーデバイス市場向けには、デバイスの高密度化、高性能化に対応した高い放熱性と電気絶縁性を併せ持つフィラー材料の開発を行っている。アルミナや窒化ホウ素に加えて、高耐湿・高熱伝導の窒化アルミニウムフィラーを新たに開発した。高熱伝導材料の開発と評価技術の深化により、放熱部材向けのフィラーとしての性能向上を実現し、パワーモジュール等の用途への展開を進めている。

 また、スマートフォンなど多くの電子機器に用いられる積層セラミックコンデンサー(MLCC)の用途では、MLCCの更なる小型化・高容量化に貢献すべく、原料である超微粒子酸化チタンの材料開発に取り組んでいる。

 当連結会計年度における無機セグメントの研究開発費は、571百万円であった。

(アルミニウム)

 アルミニウム分野では、市場から要望されている軽量、高強度、高機能の材料、部品及び製品の開発を進めると共に、これらの製造プロセスに係る基盤技術の研究にも注力している。

 素形材関連では、昨今の自動車における軽量化ニーズの高まりを受け、サスペンションや駆動部品を始めとした自動車用部品でアルミ製品の採用が拡大しており、今後も需要は堅調に増加することが見込まれる。2018年2月喜多方事業所(福島県)内に開所した研究施設「アルミ製品評価センター」における評価・解析技術に加え、人工知能(AI)を活用することでアルミ合金の開発を強化するとともに、冷却器関連では、パワーデバイス向けモジュール提案に向けた熱マネジメントシステムの開発・評価を強化している。

 当連結会計年度におけるアルミニウムセグメントの研究開発費は、1,107百万円であった。

(昭和電工マテリアルズ)

 昭和電工マテリアルズ分野では、次世代事業のコアとなる基礎・基盤技術の研究開発、事業部門協働による新製品・新事業創出、社会を変える長期R&Dを目的として、研究開発部門との密接な連携の下に研究開発を推進している。

 機能材料では、主要製品である電子材料、配線板材料に関する研究開発を進めている。一例としては、半導体デバイスの微細な回路形成を実現する半導体回路平坦化用研磨材料、5G対応プリント配線板用積層材料等の付加価値を高める開発をした。

 先端部品・システムでは、主要製品であるモビリティ部材、ライフサイエンス関連製品に関する研究開発を進めている。一例としては、銅含有量を極めて少量に抑えたディスクブレーキパッド等の付加価値を高める開発をした。

 当連結会計年度における昭和電工マテリアルズセグメントの研究開発費は、28,517百万円であった。

(その他)

 プリンテッドエレクトロニクスについては、高効率の製造法を確立した銀ナノワイヤを用いて透明導電フィルムのロール試作品を作成し、市場開拓を進めている。

 カーボン分野では、三菱商事㈱と共同で運営するフロンティアカーボン㈱を通じて、引き続きフラーレン製品の製造及び販売を促進していく。技術開発においては高純度フラーレンの合成と精製の効率向上に取り組むと共に、フラーレンの特性を最大限に引き出す分散技術の開発にも注力している。特に、電子受容性に優れる特性を活かした有機薄膜太陽電池の負極材や、他の有機エレクトロニクスデバイス向けを主軸に開発を進めている。

 研究開発における人工知能(AI)活用も積極的に取り組んでいる。内閣府総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「統合型材料開発システムによるマテリアル革命」に参画し、NIMS、東京大学とともに、AIの一種であるニューラルネットワークを活用し、材料開発を加速し、さらにより広範囲での最適な合金設計条件の探索を可能とするシステムの開発を進めた。マテリアルズ・インフォマティクス(MI)分野に関してはLux Research Inc.の調査でMI活用の世界トップ10大企業に選ばれた。

手書き 文字を含む技術文書をAIで高精度自動読み取りし電子テキスト化する機能と、利便性の高い検索機能を併せ持つ技術文書活用データベースシステムを開発した。さらに、日本IBMと共同で、AIを用いて特許情報の効率的なスクリーニングを支援する特許読解支援システムを開発し全社で運用を開始している。

 接合分野では、樹脂と金属など異種材料を簡便かつ強固に接合するフィルムタイプの接合技術「WelQuick®」を開発し、6月からサンプル提供を開始した。軽量性、耐熱性、強度などの単一素材では解決できない高度なニーズに対し、簡便かつ効果的な接合ソリューションを提案し、お客様のコスト低減や製造プロセスの効率化による二酸化炭素の排出量削減貢献を推進していく。

 当連結会計年度におけるその他セグメントの研究開発費は、全社共通を含め、6,949百万円であった。