文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
ニッケグループは、長期安定的に企業価値を向上させるために、「経営理念」「経営方針」に則り、株主をはじめとする多様なステークホルダーの皆さまから信頼される経営を目指しております。
<経営理念>
”人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、
わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます。”
・未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、みらい生活創造企業を目指します。
<経営方針>
・「全員がチャレンジ精神を持ち」「人が育つ」、生命力あふれた会社を目指します。
・お客様の声と研究開発から、独自性のある商品・サービスで市場を創造します。
・常に未来を見つめ、グローバルな視点に立ち、世界に広がるお客様と社会の発展に貢献します。
・多くの市場で勝ち抜くために、広く人財を求め、多様な「知」を結集して、事業を革新・発展させます。
・お客様や株主様、社員、取引先、地域社会をはじめとした様々なステークホルダーとの永続的な信頼関係を築くことにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。
新型コロナウイルスの感染拡大は全世界に大きな影響を及ぼし、未だに収束の気配は見えていません。国内では行動制限への緩和に動き出していますが、企業活動や国民生活における傷みは大きいと考えられます。海外においても、以前の生活様式に戻している地域もあれば、ロックダウンなどの封じ込め政策を実施している地域もあり、まだら模様と言えます。加えてウクライナ情勢などの地政学リスクが高まり、エネルギー価格の高騰、原材料・部材の不足・高騰、物流の混乱など、先行きの不透明感は以前にも増して大きくなっています。国内においても物価高騰に円安も加わり、企業業績や個人消費に更なる影響を与えております。
2023年度もこの不透明な状況が続くものと想定し、新型コロナウイルスが収束したとしても以前の生活様式には戻らず、物価高も当面緩和されることはないと考えております。エネルギー関連は現在の地政学リスクに加え、長期的には地球環境への対策も必要となってきます。一方で、環境を始めとしたSDGsの高まりは新たなビジネスチャンスを生んでおり、また、最近の為替動向は品質・納期・コスト面での国内生産における優位性を改めて見直す機会となっております。
当社グループにおける環境認識は以下のとおりです。
<衣料繊維事業>
・日本では少子化による学生数の減少は続いていく。海外市場への取り組みは必須である。
・世界の衣料市場は徐々に回復していく。国内生産による優位性と海外展開が鍵となる。
・SDGsが提唱する持続可能な社会の実現、環境配慮型素材や機能素材、多様性がキーワードとなる。
<産業機材事業>
・自動車関連分野では、コロナ禍や半導体不足等からの回復は不透明ではあるものの、EV化などの技術発展によるビジネスチャンスは引き続き期待できる。
・環境関連分野では、規制強化が進む中国などを中心に環境ビジネスは拡大すると見込む。
・家電・OA分野は国内では減少傾向ではあるものの、海外は拡大すると見込む。
・生活関連分野ではラケットスポーツ、フィッシング関連ともに如何に独自性を発揮できるかがポイントとなる。
<人とみらい開発事業>
・商業施設では地域密着型ショッピングセンターは堅調に推移する。不動産開発分野では省エネビルなど資産価値を高めた物件の引き合いが増える。
・ライフサポート分野では、介護・保育関連市場は引き続き拡大していくものの、アフター・コロナにおける運営手法の構築が必要である。
・サービス関連分野では、時代の移り変わりとともに選択と集中を行い、ビジネスモデルの転換が必要となる。
<生活流通事業>
・ECやネット通販市場の盛り上がりは、アフター・コロナにおいて落ち着きを見せるものの、その利便性から拡大基調は変わらない。
・一方で、ECによるボーダレス化から、海外勢やメーカー直販も含め競合が増加する。物流関連や広告宣伝費用の上昇基調も続く。
※1 2021年1月14日公表
※2 2022年1月14日公表
※3 2023年1月13日公表
「第2次中期経営計画」の2年目となる2022年度は、売上高は未達となるものの、各利益は「第2次中期経営計画」2年目の計画数値および2022年1月14日に公表した業績予想を上回ることができました。また、株式会社フジコーの完全子会社化に伴う負ののれん発生益計上があった前年度に対しては、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となるものの、売上高・営業利益・経常利益は増収増益となりました。特に営業利益につきましては、「第2次中期経営計画」の目標の一つである「2019年度に達成した過去最高の営業利益を更新する」を前倒しで実現することができました。
急激な経営環境の変化のなかで、利益構成は変化しながらも全体として計画通りに進捗していることは、グループ全体での事業の多様化による相互補完により、強靭な企業グループの構築が進んでいると認識しております。
(ⅰ) 成長事業や新規事業・合理化への資源の重点配分および海外ビジネスの拡大
・衣料繊維事業における成長ドライバーの育成は、コロナ禍における行動制限から、特に海外事業の進捗に遅れが見られます。中国事業では、学生服事業について市場動向を見極めながら進めるとともに、テキスタイル事業の展開に取り組んでまいります。一方で、防刃や防炎などの機能素材では国内外で拡販に取り組み、産業用途も含め着実に実績に繋がっております。
・産業機材事業においては、環境関連分野の更なる拡大に向け、高機能フィルター「アドミレックス」の生産拠点として中国での生産設備を増強し、稼働を開始しました。コロナ禍のなかで販促活動に遅れは生じておりますが、今後の収益拡大に注力してまいります。また、前年度に完全子会社化した株式会社フジコーとは、生産体制の統合や海外拠点の活用など連携を強化しております。
・人とみらい開発事業においては、商業施設関連分野ではニッケコルトンプラザ(千葉県市川市)の一部リニューアルを実施し、来場者は順調に伸びております。不動産開発分野では、東京ビル(東京都中央区八丁堀)の再開発や収益不動産の取得などを実行しました。ライフサポート分野の拡大として2021年春に介護施設3拠点、保育施設1拠点を新規開設し、その安定運営と収益向上に取り組んでおります。
・生活流通事業においては、EC市場の拡大と競合の増加を踏まえ、独自性をもった商品の拡充と販売・調達ルートの多様化を目的として、株式会社サンコーをグループ化しました。
・メディカル関連事業においては、ニッケグループの技術を活用した商品開発を進めてまいりました。
(ⅱ) 資本効率の改善
・製造分野においては、棚卸資産の圧縮や、省エネ・生産工程のシンプル化に向けた設備投資などを行ってまいりました。
・不動産開発分野においては、既存施設・遊休施設の再開発・再々開発の実行、更なる検討を進めております。
・事業の選別を徹底し、非効率な事業の撤退や分離を推進してまいりました。
・政策保有株式については2022年度において23銘柄を売却し6億円余(簿価ベース)の縮減を実施しました。また、2022年度において3百万株の自己株式を取得し、8百万株の自己株式の消却を実行しました。
・ROEについては7.0%となり、負ののれん発生益を計上した前年度の8.4%を下回る結果となりました。更なる資本効率の改善に取り組み、ROE8%以上を継続的に達成できる経営体質の構築に取り組んでまいります。
(ⅲ) 部内再編によるシナジー効果の創出
・衣料繊維事業においては、ユニフォーム事業でのバリューチェーンにおける製販連携、海外事業におけるグループ各社の連携を進めております。
・産業機材事業においては、完全子会社化した株式会社フジコーとの連携による不織布事業の強化、海外拠点の活用を進めております。
・生活流通事業においては、EC会社の統合やグループ各社の物流機能の集約を進め、商材の拡充や販売ルートの共有、経営効率化を図っております。
2023年度は「第2次中期経営計画(2021~2023年度)」の最終年度であるとともに、「RN130ビジョン(2026年度)」に向けての総仕上げとなる「第3次中期経営計画(2024~2026年度)」を策定する年となります。経済活動の回復にはなお時間がかかり、2023年度も不透明な状況が続くと想定されます。一方で、環境を始めとしたサステナビリティ志向の高まりは新たな機会も生んでおり、これらの変化をチャンスと捉えて各種施策を実行していまいります。
急激な経営環境の変化を見込み、業績予想につきましては2021年1月14日に公表しました「第2次中期経営計画」最終年度の計画数値には届かないものの、3期連続の増収と営業利益増益を達成し、引き続き過去最高の営業利益を更新することを目指します。
グループ全体の重点方針は以下のとおりです。
・「第2次中期経営計画」各施策の効果発現と経営計画の達成
・成長投資の加速(商品開発や合理化・省エネへの投資、顧客拡大投資、人財投資)
・人的資本の拡充(チャレンジする人財の育成、多様な能力の活用など)
・資本効率を意識した運営
・サステナブル経営(社会とニッケグループの持続的な成長)への取り組み
(SDGs、地球環境問題など)
これらを踏まえた、各事業で取り組む施策は以下のとおりです。
<衣料繊維事業>
・SDGsを意識し、環境に配慮した事業を推進します。
・成長を加速させる事業へ経営資源を集中投入し、製販連携と海外成長を加速させる組織づくりを進めます。
・国内事業においては、魅力ある素材提案、循環リサイクルシステムの構築による環境負荷低減、業界におけるバリューチェーンの効率化に取り組みます。また、防刃・防炎などの機能素材の拡販を国内外で進めます。
・海外事業においては、環境配慮型素材・サステナブル・トレーサブル・リサイクルをキーワードとして、欧州や中国でのファッションテキスタイル事業を推進します。
・製造においては、糸から織物まで供給できる国内での生産体制を強みとし、国内回帰を意識した生産体制の更なる強化に取り組みます。
<産業機材事業>
・引き続き自動車関連、環境関連を中心とした収益拡大に加え、次の「第3次中期経営計画」に向けて第3の柱を探求します。
・完全子会社化した株式会社フジコーとの連携を強化し、拠点活用による海外事業の拡大、生産性向上による不織布事業の収益拡大に取り組みます。
・中国での生産設備を増強した「アドミレックス」事業を軌道に乗せるとともに、不織布「ヒメロン」などの海外向け拡販を進めます。
<人とみらい開発事業>
・商業施設運営分野では、ニッケコルトンプラザのリニューアル効果を確実に取り込むとともに、今後の更なる収益向上プランの策定を進めていきます。
・不動産開発分野では、東京ビルの再開発を推進するとともに、遊休地や不採算施設の再開発を計画していきます。また、中長期的な視点も踏まえ収益不動産の取得を進めます。
・ライフサポート分野では、新規施設の着実な収益向上を図るとともに、不採算施設の業績回復、新規ビジネスモデルの構築を進めます。
・通信及び新規サービス分野では、事業ポートフォリオの組換え、選択と集中を実行するとともに、新たな事業への取り組みを進めます。
<生活流通事業>
・急激な環境変化に対応し、次の「第3次期中期経営計画」への準備の年として、事業改革・改善・再編に取り組みます。
・既存事業の深耕と成長に加えて、M&Aなどにより親和性の高い事業を加え、収益の拡大を図ります。
・EC事業の強化により、国内に留まらず全世界に向けた物販と販売スキルを取得し、新たな収益の柱とします。ニッケグループ全体のEC化率向上を目指します。
<メディカル関連事業>
・ニッケグループの技術を活用した開発商品の上市・収益化を目指し、メーカーとしての機能強化を図ります。また、仕入商品の取扱い拡大による収益率向上を推進します。
現在の不確実な時代においては、ステークホルダーから真に付加価値を認められたものだけがその評価を得ることができると考えています。現在の変化を「新たな常態=ニューノーマル」と考え、チャンスと捉えて事業構想に当たり、ステークホルダーから喜ばれる魅力的な事業の育成、拡大を進めてまいります。
「グループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定して、リスクの防止及び損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しております。そのうち、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のとおりであります。
なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、衣料繊維、繊維資材、乗馬用品、産業向機械等の各種製品を、国内外の取引先に販売しておりますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しております。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求等が生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当該リスクが顕在化する可能性は認識しておりますが、営業力の強化や販路の拡大、事業領域の拡大・多角化を図るなどの対応を推進しております。
また、景気後退等により重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しております。与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっております。また、取引内容によっては、取引信用保険等によるリスク移転も行っております。
当社グループは、持続的な成長と収益の向上を目指すため、必要に応じ事業の再編や事業構造改善を実施する場合があります。この場合、事業構造改善の費用が増加するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業の概況や市場動向を注視し、適切なタイミングで事業の再編や構造改善を実施するように努めております。
当社グループは、取引先を中心として市場性のある株式を相当量保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
保有する株式については、取締役会で、保有銘柄ごとに、その保有目的や保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、その保有の適否を検証しております。
また、年金資産にも市場性のある株式が含まれているため、株価が大幅に下落した場合には、年金資産の減少及び退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理)の増加が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、退職給付債務の把握、年金資産の運用状況のモニタリングを定期的に行い、年金資産の運用配分の見直しを適宜行うことによりリスクの低減を図っております。
また、繊維事業の原料の多くは海外から輸入しており、為替相場が大幅に変動した場合には、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、為替予約等のリスクヘッジを行い、為替相場の変動による影響を最小限に止める措置を講じております。
当社グループは、重大な製品の欠陥等が発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのような事態に備えて、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。
当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、品質管理体制を強化し、重大な製品の欠陥が発生しないように努めております。
当社グループの繊維事業の主要製品に使用される原材料の価格は国際市況やその他の環境要因(天候、為替相場等)により大きく左右されるため、当該事業の経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、複数購買やグローバル調達による購買ルートの検討等を行い、安定調達に努めております。
当社グループは、繊維事業を中心に海外に生産拠点を保有しておりますが、予期しない法律または規制の変更、不利な政治的要因、社会混乱などのリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には、生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、在外子会社と密接なコミュニケーションをはかることにより現地の情勢把握に努めるとともに、現地専門家の助言を得ることによりリスクの軽減を図っております。
当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行う上で、それらの工場等での大規模な地震、風水害、雪害等の自然災害や火災等が発生した場合、生産活動等に著しい支障が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
災害等のリスクは常に顕在化する恐れがあると認識していますが、実際に災害等が発生した場合でも被害、損失を最小限に食い止められるよう、予防対策、緊急時の措置についての関連規程、マニュアルを整備するとともに、各種訓練を定期的に実施しております。
また、新型コロナウイルス感染症等の重大な感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、市況の悪化や国内外サプライチェーンの停滞、当社グループ事業活動の停滞等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、不測緊急事態対策本部の指示のもと、出張や大会議の自粛、Web会議システム等オンラインツールの活用、テレワークや時差出勤の適用や連絡体制の整備・強化などの対策を実施しております。
当社グループは、様々な事業分野で製品の販売やサービスの提供を行っており、このため、継続的な設備投資や事業の成長のためのM&Aを実施しております。各市場における事業環境の悪化や競合の激化等により、事業の収益性が低下した場合には、当社グループの保有する有形固定資産及びのれん等の減損損失を計上するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、各市場の事業環境を注視し、各事業分野においては、高付加価値の商品やサービスを提供するなど顧客満足の向上を目指しております。また、設備投資やM&Aの新規投資においては投資効率や投資回収期間を勘案の上、実施しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
ニッケグループは、中長期ビジョン「ニッケグループRN(リニューアル・ニッケ)130ビジョン(2017~2026年度)」(以下「RN130ビジョン」という)において、各事業が魅力的な事業を創造し、今後の更なる企業価値向上に向けて、永続的な成長と発展を目指すことを掲げております。
当連結会計年度は「RN130ビジョン」の具現化に向けて策定した「RN130第2次中期経営計画(2021~2023年度)」の2年目であるとともに、「RN130ビジョン」の折り返し点でもありました。新型コロナウイルスの影響や急速な円安進行、資材価格・エネルギー費の高騰等、依然として先行き不透明な状況ですが、このような不確実性の高い経営環境を逆にチャンスと捉え、柔軟かつ迅速に対応して事業運営に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、連結売上高109,048百万円(前年同期比2.3%増)、連結営業利益10,707百万円(前年同期比8.1%増)、連結経常利益11,715百万円(前年同期比19.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益7,283百万円(前年同期比12.3%減)となりました。衣料繊維事業および当期から株式会社フジコー(以下「フジコー」という)の通期連結が寄与する産業機材事業の業績が好調だったこと等により、売上高は増収、営業利益は過去最高値を更新しました。
セグメントの概況は以下のとおりであります。
衣料繊維事業の当連結会計年度の売上高は29,735百万円(前年同期比0.5%減)、営業利益3,234百万円(前年同期比17.6%増)となりました。
(ユニフォーム分野)
学校制服用素材の販売は、前期並みでした。官公庁制服用素材の販売は、警察向けは前期並みでしたが、消防向け等は低調でした。一般企業制服用素材の販売は、コロナ禍の影響による市況悪化が継続し、新規・更改件数が伸びず低調でした。
(テキスタイル分野)
国内販売は、コロナ禍の影響で低調だった前期との比較では引合いが増加し好調でした。海外販売も、ウィズコロナを進める欧米からの引合いが増加し好調でした。
(ヤーン分野)
売糸は、ニット関連の引合いが増加し好調でした。
産業機材事業の当連結会計年度の売上高は23,853百万円(前年同期比17.0%増)、営業利益1,952百万円(前年同期比58.0%増)となりました。
(自動車関連分野)
自動車生産が半導体不足や部材調達問題等の影響を受け減産基調で推移する中、車載電装品他製造ラインのファクトリーオートメーション設備は、顧客の設備投資抑制の影響を受けて低調だった前期並みでした。車両向けの不織布や縫製糸・結束紐などは、フジコーが連結業績に寄与した影響もあり堅調でした。
(環境関連分野)
フジコーが連結業績に寄与した影響もあり、フィルター資材などの環境・エネルギー関連資材は、堅調でした。
(その他産業関連分野)
フジコーが連結業績に寄与した影響もあり、OA向け資材や工業用資材は、堅調でした。5Gやパソコンなどの需要増に伴い、半導体関連装置や画像検査装置も、堅調でした。
(生活関連分野)
ラケットスポーツ関連は、コロナ禍でのクラブ活動自粛や大会中止等の影響で低調でした。また、フィッシング関連は、春先新製品の販売が好調だったこともあり堅調でした。生活関連資材は、半導体不足による電子楽器減産の影響を受け楽器用フェルトの受注が低調でした。
人とみらい開発事業の当連結会計年度の売上高は34,938百万円(前年同期比2.6%増)、営業利益6,151百万円(前年同期比0.6%増)となりました。
(商業施設運営分野)
商業施設運営は、新型コロナウイルスまん延防止等重点措置適用による飲食業を中心とした一部店舗での時間短縮営業やコルトンプラザのリニューアル工事に伴う休業がありましたが、コルトンプラザリニューアル後の集客増加により堅調でした。自社所有外の商業施設におけるプロパティマネジメントおよびコンサルティング業務は、前期並みでした。
(不動産開発分野)
不動産賃貸事業は、コロナ禍で滞っていた契約が進行し堅調でした。ソーラー売電事業も好天に恵まれ堅調でした。建設関連の売上は、コロナ禍における受注の低迷や一部の工事で進捗遅れがありましたが、既に受注していた物件が完工したため、堅調でした。
(ライフサポート分野)
保育関連は、新設の認可保育園「ぽっかぽっかにっけ保育園朝霧(兵庫県明石市)」の入園者数が増加し、堅調でした。介護関連も、コロナ禍の影響がありましたが、昨年開業した「ニッケあすも加古川弐番館(兵庫県加古川市)」「ニッケあすも一宮弐番館(愛知県一宮市)」や、グループホーム「ニッケてとて加古川弐番館(兵庫県加古川市)」の入所者数が増加し、堅調でした。スポーツ関連は、前期並みでした。
(通信及び新規サービス分野)
通信関連は、手数料収入が減少し低調でした。新規サービス関連は、コロナ禍の影響で低迷していた児童向けアミューズメント施設の利用者数が回復したことや、持ち帰り商品の需要増加で菓子類販売等が好調だったことにより、堅調でした。
生活流通事業の当連結会計年度の売上高は16,802百万円(前年同期比10.1%減)、営業利益953百万円(前年同期比32.4%減)となりました。競争が激化しているEC事業等で、広告宣伝費等の上昇が収益を圧迫しております。
(寝装品及び業務用品分野)
寝装品は、EC向け販売が低調でした。業務用品は、災害用備蓄毛布や航空機内膝掛け毛布の販売がコロナ禍の影響を受けたことに加え、前期には感染防護衣の大口受注があったことからその比較では不調でした。
(生活雑貨分野)
100円ショップ向け等の雑貨販売は、当期より株式会社ワイワイがグループに加わり好調でした。在宅勤務向けの家具販売は、低調でした。EC向け生活家電は巣ごもり消費の需要一巡からキッチン家電の販売が不調でした。また、ゲーム用フィルム等の販売は、前期並みでした。
(ホビー・クラフト分野)
スタンプ販売は、新商品が牽引し前期並みでしたが、スタンプ用インクの販売は、低調でした。また、乗馬用品販売は、前期並みでした。
(その他)
保険代理店の経営成績は、前期並みでした。コンテナ販売は、新規設置が大幅に増加し好調でした。
当連結会計年度の営業活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べ、棚卸資産の増加等により、2,954百万円減少して9,449百万円となりました。
当連結会計年度の投資活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ、有価証券の取得による支出の増加等により4,785百万円増加して6,878百万円となりました。
当連結会計年度の財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ、自己株式の取得による支出の増加等により、8,015百万円増加して9,498百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比6,689百万円減少して34,363百万円となりました。
当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。
(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値を用いて、以下の計算式により計算しております。
自己資本比率 :自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率 :株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い
(注2)株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。
(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
(注4)営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態・単位等は必ずしも一様でなく、また受注生産をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注及び販売の状況については「①財政状態及び経営成績の状況」における、各セグメント業績に関連付けて示しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度における総資産は163,384百万円(前連結会計年度比0.2%減)となりました。
当連結会計年度における自己資本比率は65.3%となり、当連結会計年度における1株当たり純資産は1,508円32銭となりました。また、自己資本当期純利益率(ROE)は、7.0%(前連結会計年度比1.4ポイント減)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度における流動資産は88,904百万円(前連結会計年度比2.5%減)となりました。その主な内容は、現金及び預金の減少6,656百万円や有価証券の増加3,000百万円等であります。
(固定資産)
当連結会計年度における固定資産は74,479百万円(前連結会計年度比2.8%増)となりました。その主な内容は、投資有価証券の増加3,430百万円や建設仮勘定の減少634百万円等であります。
(流動負債)
当連結会計年度における流動負債は38,239百万円(前連結会計年度比4.8%減)となりました。その主な内容は、その他流動負債の減少1,577百万円、短期借入金の減少439百万円等であります。
(固定負債)
当連結会計年度における固定負債は17,409百万円(前連結会計年度比7.7%減)となりました。その主な内容は、長期借入金の減少1,302百万円や繰延税金負債の増加472百万円等であります。
(純資産)
当連結会計年度における純資産は107,734百万円(前連結会計年度比3.0%増)となりました。その主な内容は、自己株式の減少3,161百万円、その他有価証券評価差額金の増加1,043百万円等であります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は109,048百万円(前連結会計年度比2.3%増)となりました。
セグメント別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
衣料繊維事業につきましては、ビジネスユニフォーム、中国事業が低調であったものの、国内スクールユニフォーム、テキスタイル、ヤーン、合繊テキスタイル分野が堅調に推移したこと等により、営業利益は増加いたしました。
産業機材事業につきましては、自動車生産が半導体不足や部材調達問題等の影響を受け減産基調で推移したものの、当期から通期連結となったフジコーが連結業績に寄与した影響もあり、営業利益は増加いたしました。
人とみらい開発事業につきましては、建設工事の完工が進んだことや、介護・保育施設の増加、また新規サービス関連のキッズランド事業、菓子販売が好調だったこと等により、営業利益は増加いたしました。
生活流通事業につきましては、巣ごもり需要等で前期好調であったEC向け販売(寝装品、家具・生活家電等)が低調だったこと等により、営業利益は減少いたしました。
以上の結果、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は22,102百万円(前連結会計年度比3.4%増)となり、営業利益は10,707百万円(前連結会計年度比8.1%増)となりました。
(経常利益)
営業外損益は、前連結会計年度に持分法による投資損失を計上していたこと等により、収益増加となりました。
以上の結果、当連結会計年度における経常利益は11,715百万円(前連結会計年度比19.7%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別損益は、前連結会計年度に段階取得に係る差損や新型コロナウイルス感染症による損失等を計上していたものの、同じく前連結会計年度に持分法適用関連会社だった㈱フジコーの完全子会社化に伴う負ののれん発生益や新型コロナウイルス感染症による助成金収入等を計上していたこと等により、収益減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は11,112百万円(前連結会計年度比1.0%増)となり、法人税等の減少等により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は7,283百万円(前連結会計年度比12.3%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要は、主に衣料繊維事業における原材料の仕入や製造経費、販売費及び一般管理費等であり、投資を目的とした資金需要は、主に保有する不動産への設備投資等によるものであります。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は19,445百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は34,363百万円となっております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、以下のとおりであります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、将来の利益計画に基づき慎重に検討を行っておりますが、その見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。
退職給付に係る資産及び負債のうち、確定給付制度に係る分については、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の計算が前提条件と異なる場合、または制度に変化や変更が生じた場合は、将来の退職給付に係る負債、及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。
当社グループは、「売上高」、「営業利益」、「自己資本当期純利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「売上高」は109,048百万円(前連結会計年度比2.3%増)、「営業利益」は10,707百万円(前連結会計年度比8.1%増)、「自己資本当期純利益率(ROE)」は7.0%(前連結会計年度比1.4ポイント減)となりました。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は
羊毛産業のリーディングカンパニーに相応しい、「安全」「安心」「快適」「環境」をテーマに社会貢献につながるモノ作りを目指しています。
当連結会計年度における当社グループの衣料繊維事業の研究開発費は
①新しい紡績工法による毛羽の少ないウール糸・織物の開発
②植物由来ポリエステルおよび再生ポリエステルを活用した環境に配慮したウール織物の開発
当社グループの産業機材事業における研究活動は、主に資材製造販売子会社の研究開発部門を中心に、産業用資材、スポーツ用品等顧客満足に応えられる商品開発を行っております。
当連結会計年度における当社グループの産業機材事業の研究開発費は
①ソフトテニスガット RISINGSTORM
②ソフトテニスガット テックフィール
③テニスガット G-SPIN3 16LGA(ゲージ展開)
研究開発センターは「研究開発ビジョン:既存事業の一歩先を行く成長分野にチャレンジ」を基に「安全・安心」「健康・快適」「環境」の実現に向けた研究テーマに取り組んでいます。
当連結会計年度における研究開発センターの研究開発費は387百万円であり、当期に取り組んだ主な内容は前期からの継続を含め次のとおりです。
① 医療用素材の開発
② 高機能素材の開発
③ 環境対応素材の開発
④ IoTへの取り組み
⑤ 介護機器の開発
⑥ CO2削減策の検討