文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は、「あらゆる産業において、ソフトウエア技術が生み出す新たな付加価値を通じて、お客様に安心と満足そして豊かさを提供すると共に、社員を大切にし、株主様に貢献する」ことを企業理念としております。この企業理念を基本とし、高度なソフトウエア技術力によりお客様の課題を解決し、お客様の製品や商品・インフラ開発を支援しております。また、社員全員が当社を愛し、自ら成長し続ける会社環境を提供し、社員一人ひとりが希望とやりがいが持てる会社を実現します。そして、地域社会と共に発展できる地域のコア企業としての役割を担います。
(2) 経営戦略等
当社は、システム開発及びその関連サービスの単一セグメントですが、事業の構成を「相対的に安定した利益体質の事業基盤:ソリューションカテゴリー」と「半導体工場内システムの運用・保守を支援する安定分野:半導体カテゴリー」及び「高度なソフトウエア技術により新市場を創出する成長分野:先進技術ソリューションカテゴリー」の3つのカテゴリーによる構造としております。近年の5G、IoT、AI等に代表される技術革新が急速に進むビジネス環境において、当社は、前述した3つのカテゴリーの構成による事業拡大に取り組むとともに、以下の戦略を推進することで、事業の発展、拡大及び企業価値向上を図ってまいります。
①顧客ファーストの推進
お客様のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に応えるため、最新技術を活用したソリューションの提供に取り組んでまいります。また、対象とする顧客企業領域の拡大と開発バリューチェーンの多様化を進め、事業拡大を目指します。
②スピントロニクス技術(注1)を用いたAIプロセッサ(注2)に関する独自技術(Only One Technology)の獲得
東北大学との共同研究を通じ独自技術の獲得を目指し、研究成果による新しい収益の柱の構築を進めます。また、開発早期化のための他社とのアライアンス推進や労働集約型のビジネスモデルから付加価値型モデルへの転換を推進します。
③経営基盤の強化
当社の事業拡大に重要となる人財を積極採用し体制強化を図ります。また、先進技術分野のみならず幅広いスキル創出のため、積極的に人的資本への投資を推進します。
(3) 経営環境
①ソリューションカテゴリーを取り巻く環境
近年ソフトウエアは、組込み機器やコンピュータに代表されるハードウエアの進歩と共にその需要は増大してきました。さらに今後は、ITを中心にサービスや価値が再設計される時代に入ると認識しております。このため、AIや自動運転、ロボット等に搭載されるソフトウエアが、ハードウエアを決定する「ソフトウエア中心」の時代になるといわれ、益々ソフトウエアの需要が拡大すると予想しております。
国内ソフトウエア市場は、右肩上がりの成長を持続する反面(*1)、ソフトウエア開発を支えるIT人材の不足が予想されます(*2)。つまり、日本のソフトウエア市場は益々拡大を重ね、当社のようなソフトウエアを専門として事業展開している企業の需要が益々高まっていき、一方で、IT人材をいかに獲得するかがこれらの企業の大きな課題になると考えております。
②半導体カテゴリーを取り巻く環境
半導体市場は、需給バランスの影響により「半導体サイクル」といわれる好不況の大きな波が存在しますが、全体としてはプラスの成長を維持しております。当社調べによると、製品別半導体全市場のうち、約1/4をメモリデバイス(注3)が占め(*3)、DRAM(注4)とNAND Flash メモリ(注5)がその市場の中心となっております。特にNAND Flashメモリは、主にスマートフォン等の記憶デバイスとして採用されておりますが、近年のIoTによるデータ量の急激な増大に伴い今後も市場が拡大すると当社独自に予想しております。
新型コロナウィルス拡大の影響により、企業の働き方や教育環境は大きく変化し、在宅勤務や遠隔学習の広がり等、ニューノーマルによる環境整備の動きが活発な状況となっていましたが、在宅特需の一巡などにより、自動車や産業機器用途は相対的に堅調であるものの個人向けの電子機器の需要は低迷しております。ただ、5G・IoT化の進展やそれに伴うデータセンタ能力拡張の必要性など半導体の潜在需要は引き続き強く、自動車の電動化・高性能化、再生エネルギー投資などの需要は安定していると予測されております(*4)。このような背景のもと半導体工場の建設が計画的に進んでいく見込みであり、当社の得意先であるキオクシア株式会社も新たな製造棟の建設を開始しております。
③先進技術ソリューションカテゴリーを取り巻く環境
当社が今後注力する市場である、AI(人工知能:Artificial Intelligence)技術を利用したロボット、自動運転、IoT等は、今後の企業活動で最も重要な開発領域と見ており、事業の成長を担う市場としては妥当であると考えております。
AI技術は、ロボット等の産業用機械、自動運転に代表される輸送機関連のほか、様々な民生用機器、医療、社会インフラなど、その用途は多岐にわたります。とりわけ、画像認識をはじめとするセンシング技術の応用は拡大を続けています。
AI技術の応用は、適切なAIアルゴリズムの実装が鍵を握ります。全世界の企業や研究機関がこぞってAIアルゴリズムを開発しておりますが、同時に製品開発に相応しいアルゴリズムを選択し、実装、評価する需要は益々高まっております。適切なアルゴリズムをベースにしたアプリケーション開発を行うことは、今や機械、電機メーカに限らず、あらゆる産業分野で必要なものと認識されつつあります。
(4) 目標とする経営指標
当社は、短期的には事業規模を表す売上高と本業の収益力を表す営業利益率を重視しております。また、中長期的には自己資本利益率(ROE)を重視しながら安定した事業運営を行うと共に事業拡大と超過利潤の獲得を目指し、企業価値の継続的向上に努めてまいります。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社は、その経営方針にある「あらゆる産業において、ソフトウエア技術が生み出す新たな付加価値」の創造実現のため、人材面、技術面の拡充と経営基盤の強化を図る必要があると認識しております。顧客のニーズにきめ細かく対応する顧客ファースト実現のためには優秀なIT人材の確保と育成が、スピントロニクス関連技術の獲得のためには高度なソフトウエア技術力の確保がそれぞれ必要であります。また、これらを実現するための経営基盤として、品質管理体制や経営管理体制の強化を行っていくことが課題であります。具体的な課題と対応方針は以下のとおりであります。
<顧客ファースト実現のための課題>
①IT人材の確保
優秀な技術者の確保は、お客様のすべてのニーズをキャッチアップし会社を発展させる上で不可欠です。このため当社は、中途採用に加え継続的な新卒採用活動も強化し、優秀な技術者の確保に努めております。また、パートナー企業からの技術者の受け入れや、地方採用における地方教育機関との連携による就職支援を行っております。今後は大学とのインターンシップによる優秀な人材の確保を実現する予定であります。
②人材の育成
当社では、専門経験のない人材も含め広く門戸を開いております。人材の育成に関しては、新卒入社時に数か月に及ぶ専門知識に関する社内教育を実施し、その後も長期にわたりOJTを実施することで、優秀な技術者の戦力化を目指しております。
③事業領域及び顧客層の拡大
ソリューションカテゴリーにおいては、当社のシェアが相対的に低い輸送・物流、医療検査機器分野への顧客層の拡大が課題であります。半導体カテゴリーにおいては、安定的な拡大が見込まれるNAND Flashメモリ工場内での業務拡大が課題であります。先進技術ソリューションカテゴリーにおいては、高度なAIや画像処理、ネットワーク技術を強みとした顧客層の拡大が課題であると認識しております。
<Only One Technology獲得のための課題>
④高度ソフトウエア技術力の確保
AIや画像処理の分野において、他社との差異化を行うためには類まれな能力の技術力が不可欠です。当社は、既に博士号を取得している数名の技術者を中心に、その人的チャネルを駆使して人材確保に当たります。
⑤次世代メモリに関する研究開発
東北大学との共同研究を通じた独自技術の獲得を目指し、新しい収益の柱を構築することは、当社の長期的成長に不可欠なものです。開発早期化のための他社とのアライアンス推進を含め、実現に向けて努めてまいります。
<経営基盤強化のための課題>
⑥品質向上と生産性向上
品質向上において最も重要なポイントは、ユーザ要求仕様の明確化であり、開発工程の初期段階にユーザ要求仕様を確定することを徹底すると共に、基本設計書・詳細設計書・テスト仕様書作成の徹底化を図ります。プログラム製造工程においては、機能の分割と機能を共有化するための定義を明確化し、機能ごとの作業分担により生産性の向上を目指しております。
さらには、優秀な技術者を雇用することで、品質及び生産性の向上を図るばかりではなく、ソフトウエア処理の高速性やプログラム不良件数のゼロ化等、信頼性の向上も同時に目指しております。
⑦内部管理体制の強化
当社の継続的な発展のために内部統制システムを整備し適切に運用することが重要であると考えております。財務報告の信頼性と業務の有効性及び効率性等を確保し、違法行為や不正等が行われることなく、組織が健全かつ有効・効率的に運営されるように内部管理体制の構築を図ってまいります。
用語解説
本項「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」等において使用しております用語の定義について以下に記します。
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注 |
用語 |
用語の定義 |
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注1 |
スピントロニクス技術 |
固体中の電子が持つ電荷とスピンの両方を工学的に利用、応用する技術のこと。 スピンとエレクトロニクス(電子工学)から生まれた造語である。 HDD(ハードディスクドライブ)の大容量化や省電力化はもちろん、不揮発性(電源を常に入れておかなくてもデータを保持できる)メモリなどにも貢献できる、応用範囲の広さが特長の一つである。 |
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注2 |
プロセッサ |
コンピュータ本体のデータ処理装置のこと。ここでは演算装置と制御装置のことを指す。この本体は、中央処理装置(CPU)とも呼ばれている。 また、AI向けに最適化されたプロセッサのことをAIプロセッサという。 |
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注3 |
メモリデバイス |
コンピュータにおいて、プログラムやデータを記憶する装置のことをいう。DRAM、SRAM、NAND Flashメモリ等がある。 |
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注4 |
DRAM |
Dynamic Random Access Memoryの略で、半導体メモリ(半導体記憶素子)の一つ。 読み出し/書き込みが自由に行えるRAMと呼ばれる半導体メモリの方式の一種であり、コンデンサーに電荷を蓄えて情報を記憶するタイプの半導体メモリのことをいう。 |
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注5 |
NAND Flashメモリ |
NAND Flashメモリとは、Flashメモリ(電界効果トランジスタでホットエレクトロンを浮遊ゲートに注入してデータ記録を行う不揮発性メモリ)の構造・動作原理の一種で、最初に発明されたNOR型Flashメモリに次いで考案された方式である。NOR型Flashメモリと比べて回路規模が小さく、安価に大容量化できることが特徴である。従来のフロッピーディスクやハードディスク(HDD)に代わるPC用のUSBメモリやソリッドステートドライブ(SSD)、デジタルカメラ用のメモリカード、携帯音楽プレーヤー、携帯電話などの記憶装置として使用される。近年では、サーバ用HDDに比べ速度が速いことから、クラウドサーバの記憶装置として用いられている。 |
*1 受注ソフトウエアを含む国内情報サービス全体の市場は、みずほ銀行産業調査部「日本産業の中期見通し(2022年12月8日)」※1 によれば、2022年度は前年比6.5%増加の16.3兆円で着地する見込で、2023年度以降も同水準で成長していく見通しであることが記述されています。
※1 みずほ銀行産業調査部「日本産業の中期見通し(2022年12月8日)」
https://www.mizuhobank.co.jp/corporate/bizinfo/industry/sangyou/pdf/1072_all.pdf
*2 経済産業省「IT人材需給に関する調査(2019年3月)」※2によれば、ソフトウエア開発を支えるIT人材の不足が予想されております。この報告書の試算結果は、今後のIT需要の伸びをそれぞれ低位(需要伸び率1%)、中位(需要伸び率2-5%)、高位(需要伸び率3-9%)の3段階でIT人材の不足を予想しています。これによると、2019年時点において、約26万人が不足していると言われ、2030年までに16万人から79万人のIT人材不足が予想されています。
※2 経済産業省「IT人材需給に関する調査」2019年3月
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
*3 製品別世界のIC市場予測※3から、2023年の市場全体の出荷額は4,530億ドルであり、そのうちメモリは約1,116億ドルと市場のほぼ1/4をメモリが占めていることになります。
※3 JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2022年秋季半導体市場予測について)
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20221129WSTS.pdf
*4 半導体市場は、需給バランスの影響により「半導体サイクル」といわれる好不況の大きな波が存在しますが、JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2022年秋季半導体市場予測)※4によれば、2022年は前年比+4.4%、2023年は前年比△4.1%となることが予測されております。2022年初は2021年の流れを引き継いで好調が継続していたものの、2年あまり続いた在宅特需の一巡等により、特に個人向けの電子機器需要が低迷し、2023年は2022年途中からの市況悪化の影響が見込まれておりますが、5G・IoT化の進展やそれに伴うデータセンタ能力拡張の必要性など半導体の潜在需要は引き続き強く、自動車の電動化・高性能化、再生エネルギー投資などの需要は安定していると予測されております。
また、日本の半導体市場は、2022年に6.2兆円、2023年には6.6兆円になると述べられています。
※4 JEITA(電子情報技術産業協会)世界半導体市場統計(2022年秋季半導体市場予測について)
https://www.jeita.or.jp/japanese/stat/wsts/docs/20221129WSTS.pdf
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経済動向及び市場環境による影響
経済動向や情報サービス市場環境の変動により、企業の情報システムへの投資抑制、予想を超える価格競争の激化、技術革新への対応が遅れる等の事態が発生した場合、また、法律、税制、会計制度等の各種規制・制度や電力、通信等の社会基盤の変動により事業環境が悪化した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(2)特定顧客への依存度について
当社は、キオクシアグループ、東芝グループ、日立グループを重要顧客として長年にわたり取引を継続しております。従って、当該顧客の事業方針、経営状況等が当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
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相手先 |
前事業年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) |
当事業年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
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販売高(千円) |
割合(%) |
販売高(千円) |
割合(%) |
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キオクシアグループ |
585,406 |
21.4 |
957,156 |
29.4 |
|
東芝グループ |
848,100 |
31.0 |
794,852 |
24.4 |
|
日立グループ |
589,651 |
21.6 |
703,416 |
21.6 |
(3)見積り違い及び納期遅延等の発生
案件の作業工程等に基づき必要工数やコストを予測し、見積りを行っておりますが、仕様変更や追加作業に起因する作業工数の増大により実績が見積りを超えた場合、低採算又は採算割れとなる可能性があります。また、予め定めた期日までに顧客に対して作業を完了・納品できなかった場合には損害遅延金、最終的に作業完了・納品ができなかった場合には損害賠償が発生し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4)人材の確保について
当社の事業は、技術専門性及び人間性に富んだ技術者により支えられており、優秀な人材の確保と育成及び、定着率が最も重要な命題となります。人材の確保に関しては、IT開発事業の伸びからIT人材不足が懸念され中長期的に困難になることが予想されます。採用において計画どおり優秀な人材を確保できない場合や離職により技術者が大幅に減少した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)国立大学法人東北大学との共同研究について
当社は、国立大学法人東北大学国際集積エレクトロニクス研究開発センターとの間で、以下の共同研究を行っております。
①スピントロニクス技術を搭載した次世代メモリのエラー訂正技術の研究開発
②スピントロニクス技術搭載AIプロセッサ用アプリケーションソフトウエアの研究開発
③物体認識向けAIプロセッサにおける高効率高性能アルゴリズムの研究
当社の先進技術ソリューションカテゴリーに属する事業は、当該共同研究の成果に依存する部分があります。そのため、本研究の成果が想定どおりに進まない場合には、本カテゴリーに属する事業の業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、研究成果に係る知的財産権につきましては、契約上、同法人が所有することになっておりますが、当社はその実施権について優先交渉権を有することになっております。
(6)法的規制について
a. 下請代金支払遅延等防止法(下請法)
当社が委託先に対し業務の一部を外注するにあたり、下請代金支払遅延等防止法(下請法)の適用を受け、3条書面の交付、5条書類の作成等、下請代金支払遅延の防止が求められる場合があります。下請法に違反した場合、公正取引委員会による勧告・指導に加え、罰金刑が科されるおそれがあります。当社では、コンプライアンス規程を制定し、当社の役職員が遵守すべき法的規制の周知徹底を図り、内部通報制度の導入等によって速やかに法令違反行為等の情報を収集する体制を構築しております。しかしながら、法令に抵触する事態が発生した場合、当社の社会的信用が著しく失墜し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
b. 労働者派遣法及び関係諸法令
当社の事業の一部である技術者派遣事業は、労働者派遣法に基づいて事業を営んでおり、労働者派遣法及び関係諸法令による法的規制を受けております。当社では、コンプライアンスを徹底し、リスク・コンプライアンス委員会、内部監査により関係諸法令の遵守状況の把握・監視等に努めており、事業の遂行に支障を来す要因は発生しておりません。しかしながら、労働者派遣法に定める派遣事業主としての欠格事由に該当した場合や、法令に違反する事由が発生した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、将来これらの法令ならびに関連諸法令が社会情勢の変化などに伴って、改正や解釈の変更等があり、それらが当社の事業運営に不利な影響を及ぼすものであった場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
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許認可等の名称 |
有効期限 |
関連する法令 |
登録の交付者 |
取消事由等 |
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一般労働者派遣事業許可 |
2024年10月 |
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律 |
厚生労働大臣 |
労働者派遣法第6条に定める欠格事由(注)に抵触した場合 |
(注) 労働者派遣法第6条に定められている主な欠格事由としては、当社役員又は当社派遣元責任者が禁固以上の刑や関係諸法令に違反し罰金刑に処せられ5年を経過していない場合、成年被後見人、被保佐人又は破産者となり復権を得ていない場合、労働者派遣事業の許可取り消し後5年を経過していない場合等であります。
(7)業務請負契約に基づく瑕疵担保責任について
当社が業務請負契約で行う開発サービスについては、設計・開発を請負って完成すべき業務の遂行や成果物に対して対価を受領しております。したがって業務請負契約で完成すべき業務や成果物に係る瑕疵担保責任や製造物責任などの追及を受ける可能性があるため、当社では、これら瑕疵担保責任や製造物責任に係るリスクを軽減するために、個別契約(注文書)において、完成すべき業務や成果物の仕様、検収方法を明確に定義しております。しかし、当該追及を受けた場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8)情報管理について
当社の事業においては、顧客企業の製品開発やシステム開発業務に従事しており、多くの個人情報・機密情報を扱っております。当社はISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の取得等により、規程の整備と共に全従業員に対して入社時及び定期的に個人情報・機密情報の取扱いに関する啓発・教育・周知徹底を行い、また内部監査を実施することにより情報管理の強化を行っております。しかしながら、取引先内(顧客企業内)にて勤務する技術社員が知り得た顧客情報や個人情報が故意又は過失により外部へ流出し、当社の管理責任問題、法律的リスク(訴訟等)、風評被害等が生じた場合、当社の社会的信用等の失墜や多額の賠償金支払い等、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
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登録の名称 |
登録の内容 |
有効期限 |
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ISMS認証基準 ISO/IEC 27001:2013 |
情報セキュリティマネジメントシステム 登録番号:JUSE-IR-165 |
2024年3月23日 |
(9)法規制等に関するリスク
当社は、各種法令・規制等の遵守は極めて重要な企業の責務と認識の上、法令遵守の徹底を図っております。しかしながら、こうした対策を行ったとしても当社の事業活動に関連して、第三者から訴訟や法的手続が行われるリスクを完全に回避することはできず、これらの結果によっては、信用失墜若しくは予期せぬ多額の損害賠償責任を負うなど当社の経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社では、役員、従業員及び社外協力者に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。本書提出日の前月末時点において、これらの新株予約権による潜在株数が74,400株であり、発行済株式総数の1.0%に相当しております。
これらの新株予約権が行使された場合には、当社株式が発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
(11)新型コロナウィルスへの対策について
当社は新型コロナウィルスの感染拡大を受け、役員、従業員ならびに関係者の感染リスクの軽減及び安全確保を目的として2020年4月より在宅勤務及びフレックス勤務のコアタイム撤廃、ネットミーティングの活用を推進しております。また、提出日現在では、新型コロナウィルスの直接的な影響による派遣契約の打ち切りや請負契約の案件取消は発生しておりません。しかしながら、対面での営業活動が制限されるなどの影響により案件開始時期の遅れの発生や新規案件獲得の機会損失に繋がっており、感染の拡大等により、国民生活及び経済環境への影響が生じた場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当事業年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,110,767千円となり、前事業年度末に比べ240,820千円増加いたしました。これは主にファクタリングの対象となる取引の増加により未収入金が150,978千円増加し、当期純利益の計上等により現金及び預金が130,099千円増加し、売掛金が31,817千円減少したことによるものです。固定資産は170,732千円となり、前事業年度末に比べ53,231千円増加いたしました。これは主にIntelligence Design株式会社との資本業務提携に伴い投資有価証券が50,400千円増加したことによるものです。
この結果、総資産は2,281,500千円となり、前事業年度末に比べ294,052千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は498,233千円となり、前事業年度末に比べ57,382千円増加いたしました。これは主に外注費の増加により買掛金が30,622千円増加し、未払消費税等が11,213千円増加したことによるものです。固定負債は49,763千円となり、前事業年度末に比べ1,750千円減少いたしました。これは長期預り保証金8,071千円を流動負債に振替えたことによるものであります。
この結果、負債合計は547,996千円となり、前事業年度末に比べ55,631千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,733,503千円となり、前事業年度末に比べ238,420千円増加いたしました。これは主に利益剰余金が当期純利益の計上により440,238千円増加し、配当により30,532千円、自己株式処分差損の計上により30,117千円減少したこと、自己株式の取得及び処分により自己株式△115,717千円を計上したことによるものであります。
②経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症が急拡大し、まん延防止等重点措置の実施など厳しい状況の中、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められ、緩やかな景気の持ち直しが見られました。半導体の供給不足や資源価格の上昇、為替相場の変動など先行き不透明な状況が続いておりますが、企業活動においては、在宅勤務やオンラインミーティングの活用、クラウドサービスの活用、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進など、ITの重要性や業務のIT化の流れはますます拡大している状況であります。
当社の事業は、システム開発及びその関連サービスの単一セグメントですが、ソリューション、半導体、先進技術ソリューションの3つのカテゴリーに分け事業展開しております。上記のような経済環境の中、すべてのカテゴリーにおいて、受注が増加し、前期比増収増益を達成いたしました。カテゴリー毎の売上高は下記のとおりであります。
・ソリューションカテゴリー
ソリューションカテゴリーの当事業年度の売上高は2,429,866千円(前年同期比15.6%増)となりました。
主要取引先からの受託開発案件の受注が引き続き堅調に推移しました。特に主要取引先である半導体メーカからの工場内システムの大型開発案件があったことが寄与し、売上高は大幅に増加しました。
・半導体カテゴリー
半導体カテゴリーの売上高は584,851千円(前年同期比26.0%増)となりました。
好調な半導体市場を背景に主要取引先からの継続的な受注が順調に加え、さらなる増員要請があったことにより半導体工場における保守・運用サービスに係る派遣エンジニア数が堅調に推移し、売上高は前年より大きく伸びました。
・先進技術ソリューションカテゴリー
当カテゴリーの売上高は242,137千円(前年同期比44.9%増)となりました。
AI関連の研究開発支援サービス、画像処理アルゴリズム開発などの継続受注や新規の外観検査システム開発が順調に推移しました。特に、前期に引き続き堅調な日本電気株式会社等の既存取引先からの案件に加え、オムロン株式会社との取引も増え、売上高は前年より大きく伸び、全社に占める当カテゴリーの売上構成比は前期6.1%から、当期7.4%へ拡大いたしました。
以上の結果、当事業年度の売上高は3,256,855千円(前年同期比19.2%増)となりました。研究開発費の増加、従業員に対する業績連動賞与の計上も吸収し、営業利益は617,913千円(同49.6%増)、経常利益は626,244千円(同49.3%増)、当期純利益は440,238千円(同49.5%増)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、法人税等の支払、自己株式の取得、未収入金の増加等の要因により一部相殺されたものの、税引前当期純利益625,923千円の計上等により、前事業年度末に比べ130,099千円増加し、当事業年度末には1,405,466千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は387,243千円(前年同期比42.1%増)となりました。これは主に、その他の流動資産の増加額144,386千円、法人税等の支払額190,488千円等があったものの、税引前当期純利益625,923千円、売上債権の減少額31,817千円、仕入債務の増加額30,622千円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は55,313千円(前年同期は2,098千円の使用)となりました。これは主に投資有価証券の取得による支出50,400千円があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は201,830千円(前年同期は11,961千円の使用)となりました。これは主に自己株式の取得による支出174,873千円、配当金の支払額30,456千円があったことによるものです。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当社の事業は、システム開発及びその関連サービスの単一セグメントですが、当事業年度のカテゴリー別販売実績は次のとおりであります。
|
カテゴリーの名称 |
当事業年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
前年同期比(%) |
|
ソリューション(千円) |
2,429,866 |
115.6 |
|
半導体(千円) |
584,851 |
126.0 |
|
先進技術ソリューション(千円) |
242,137 |
144.9 |
|
合計(千円) |
3,256,855 |
119.2 |
(注)1.ソリューションカテゴリーにはキオクシアグループへの販売実績も含まれており、半導体カテゴリーには東芝グループ等キオクシアグループ以外への販売実績も含まれております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前事業年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) |
当事業年度 (自 2021年12月1日 至 2022年11月30日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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キオクシア(株) |
496,252 |
18.2 |
720,310 |
22.1 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであり、純資産は、前事業年度末に比べ238,420千円増加して、期末残高は1,733,503千円となりました。その結果、自己資本比率は76.0%、自己資本利益率(ROE)は27.3%となりました。
売上高は前事業年度より524,083千円増加し、3,256,855千円(前年同期比19.2%増)となり、営業利益率は、前事業年度より3.9ポイント上昇し、19.0%となりました。これは、IT人材不足等を背景とした好調な市況のもと、高稼働の状態が続いたことが主な要因であり、業績連動賞与の引当金繰入額61,000千円を吸収して、営業利益は617,913千円と大きく増加しました。重要な営業外損益や特別損益はなかったため、税引前当期純利益は625,923千円(同49.3%増)となり、当期純利益は440,238千円(同49.5%増)となりました。
当社の財政状態及び経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の当事業年度のキャッシュ・フローについては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ130,099千円増加して、期末残高は1,405,466千円となりました。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、将来の事業活動に必要な資金を確保し、適切な流動性を維持することを基本方針としております。現在、金融機関からの借入は行っておりませんが、運転資金及び設備投資等の調達につきましては、自己資金を充当することを原則としながら、必要に応じて銀行借入による調達を行う予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
(1)共同研究契約
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相手方の名称 |
契約締結日 |
契約期間 |
契約内容 |
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国立大学法人 |
2019年6月27日 2022年4月1日変更 |
2019年7月1日から 2023年3月31日まで |
次世代メモリの制御ソフトウエアに関する共同研究 |
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国立大学法人 |
2019年8月1日 2022年4月1日変更 |
2019年8月1日から 2023年3月31日まで |
次世代メモリの応用ソフトウエアに関する共同研究 |
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国立大学法人 東北大学 |
2021年8月18日 |
2021年10月1日から 2022年9月30日まで |
物体認識向けAIプロセッサにおける高効率高性能アルゴリズムの研究 |
(2)コミットメントライン契約
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契約締結先 |
株式会社りそな銀行 |
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借入極度額 |
5億円 |
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契約締結日 |
2022年5月31日 |
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契約期間 |
3年 |
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契約形態 |
相対型コミットメントライン |
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資金使途 |
運転資金 |
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担保の有無 |
無担保・無保証 |
当社の研究開発は先進技術ソリューションカテゴリーの基礎研究となっており、当事業年度の研究開発費の総額は
当社の研究開発はスピントロニクス技術を用いた次世代メモリとAIとの融合をテーマとしております。現在CIESで研究開発されているスピントロニクス技術を用いた次世代メモリは、世界トップレベルの技術であり(*1)、これを搭載したマイコンやAIプロセッサの消費電力は、従来のプロセッサに比べ性能を落とすことなく1/100~1/1,000に低減できるという実績が報告されております(*2)。近年の自動運転・画像処理・IoT機器・ロボット産業といった分野の急成長には、低消費電力化が不可欠です。CIESの次世代メモリ及びそれを搭載したチップの研究成果は、上述した分野の急成長の実現に大きく貢献することが期待されています。CIESの取り決めにより、共同研究への参加企業は「1業種1社」とされており、当社はこの研究活動の中で、特にこれらに関連したソフトウエアの研究開発全般を担当します。現在は、以下のテーマを中心に研究開発活動を行っております。
(1) スピントロニクス技術を搭載した次世代メモリのエラー訂正技術の研究開発
スピントロニクス技術を搭載した次世代メモリは、既存のメモリと同様に書き込み・読み込み時のビット反転エラーが発生することがあります。このエラービットを訂正するには『誤り訂正符号』と呼ばれるエラー訂正技術が有効です。これは、元の情報に訂正用の情報を付加して冗長性を持たせることによりエラーを訂正する技術です。エラー訂正符号は既にフラッシュメモリなどで利用されていますが、次世代メモリはフラッシュメモリよりも高速な動作が期待されているため、当社ではエラー訂正符号が高速かつ安定に動作するアルゴリズムの研究開発を進めております。
(2) スピントロニクス技術搭載AIプロセッサ用アプリケーションソフトウエアの研究開発
自動運転や産業用機器、IoT機器に搭載されるAIプロセッサは消費電力が少なく応答が速いことが期待されておりますが、現状ではまだ開発途上のステージにあります。消費電力と応答に優れたスピントロニクス技術を用いた次世代メモリをAIプロセッサに搭載することで、これまでの機器よりもさらに省エネ・小型化・高機能化を実現することが可能であります。当社では、次世代メモリを搭載したAIプロセッサを最大限に活かすためのソフトウエア開発技術の研究開発を進めております。
(3) 物体認識向けAIプロセッサにおける高効率高性能アルゴリズムの研究
AIの主な活用先として、音声認識、画像認識等が挙げられます。その中で、物体認識の応用範囲は広く様々なアプリケーションで用いられることが知られています。本研究では、スピントロニクス技術を用いた次世代メモリを搭載するAIプロセッサに適した省電力・高性能な物体検出アルゴリズムの研究開発を進めております。
*1 CIESは、世界初となる各実証に成功しており、世界トップレベルの技術を有していると認識しております。
・「スピントロニクス技術とCMOS技術の融合により、スピン軌道トルク型磁気トンネル接合(SOT-MTJ)素子を用いた不揮発メモリ(SOT-MRAM)チップの試作・実証に初めて成功」(2020年6月16日)
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http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/06/press20200616-01-sot-mram.html |
・「4重界面磁気トンネル接合素子(Quad-MTJ)の材料・デバイス技術の開発により、工業製品化されている従来の2重界面磁気トンネル接合素子(Double-MTJ)では困難であった車載スペックでの10年以上のデータ保持特性を維持しながら、1)10ナノ秒(ns)の高速書き込み動作と、2)21%の低消費電力動作と、3)1011回以上の高書込み耐性の同時達成を世界で初めて実証(2020年6月15日)
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http://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/06/press20200615-01STT-MRAM.html |
また、第14回産学官連携功労者表彰で、CIESの研究成果が「内閣総理大臣賞」を受賞しております。
*2 「日経エレクトロニクス」2020年6月号 P28~38 日経BP社