文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
企業は社会的な存在であります。当社は社会に受け入れられる高品質の製品と最高のサービスを提供し、顧客の満足を得ることに全力を尽くしてまいります。同時に事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献してまいります。また、地域社会の一員として教育文化等地域社会の発展に役立つ活動を積極的に支援してまいります。これらを実現するために、先進の研究開発と新分野の確立に挑戦する研究開発型企業を目指し、自主的な成長発展を図ってまいります。
また、適正な利益を確保し、会社の成長発展の原資とするとともに、株主、社員そして社会へ還元したいと考えております。
(2)目標とする経営指標
当連結会計年度は「売上高経常利益率20%」、「海外売上高比率70%以上」、「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」を目標として設定し、新製品投入による新市場の開拓及び海外市場の開拓を通じ売上高を拡大し、経営効率を上げることにより、これらの目標の達成を目指してまいりました。また、自己資本当期純利益率(ROE)の構成要素のうち、売上高当期純利益率と総資産回転率の改善に向けた取り組みを各部門の事業計画と連動させることで、自己資本当期純利益率(ROE)の継続的な改善を進めてまいりました。「売上高経常利益率20%」、「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」の目標は当連結会計年度において達成いたしました。また、「海外売上高比率70%以上」の目標について、当連結会計年度の実績は63.9%と未達となりましたが、前連結会計年度から5.3ポイント上昇しました。
なお、目標とする経営指標のうち「売上高経常利益率20%」につきましては、事業としての収益性を直接判断できることから、次期は「売上高営業利益率20%」にいたします。
(3)中長期的な会社の経営戦略
研究開発面におきましては、顧客に密着し顧客の要望をいち早くつかみ、他社にないオンリーワンの製品を提供することを目指してまいります。また、将来の需要を見越して研究開発を進め、新しい価値を顧客に提案することにより新分野の確立を目指してまいります。
販売面におきましては、グローバル化の方針のもと、中国、韓国、台湾、東南アジア、インドを中心にアジア地域を最重要ターゲット市場として開拓するとともに、米国市場及び欧州市場の開拓も積極的に進め輸出を強化してまいります。
生産面におきましては、品質の向上及びコストダウンを進め、国際市場において活躍できる製品づくりを目指してまいります。また、競合他社に対する優位性の一つとして、短納期化を進めてまいります。
また、当社はコーポレート・ガバナンスを経営戦略の重要な柱の一つと考えており、コーポレート・ガバナンスを企業価値向上のための経営体制の確立と認識しております。コンプライアンスを最重要視し、経営の効率化に取り組み、適正な利益を確保すると同時に、経営情報の積極的な開示により経営の透明性を高め、株主(投資家)、顧客、社員等全てのステークホルダーに対して、その社会的な責任を果たしてまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
世界経済は、半導体等の部品需給逼迫、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格の高騰、各国の金融政策変更に伴う景気の減速見通しや不安定な為替相場など、今後も先行き不透明な状況が続くと見込んでおります。一方で、脱炭素化の世界的な流れはさらに加速することが予測され、特に世界中でEVシフトが進むことが見込まれております。また、EVシフトを前提にEVに搭載するバッテリーの高付加価値化、材料の完全リサイクル等バッテリーサーキュラーエコノミーの実現に向けた取り組みが活発になっており、それに伴う積極的な投資が期待されております。それと同時に、電源の開発、電気機器の省力化、航空機の電動化なども進み、電源の高性能化が求められるようになると予測しております。こうしたことから、自動車、電子部品、バッテリーといった市場においては、設備投資環境が引き続き堅調に推移すると見込んでおります。また、ウクライナ侵攻によるエネルギー問題を受け、主要国では再生可能エネルギーへの注目が高まっております。
当社はこのような市場変化を捉え、新たな顧客価値を創造し、独自のセンシング技術をより高めるとともに、培ってまいりました計測技術を組み合わせ、高付加価値製品を提供してまいります。さらに、「測る」という計測ソリューションから、新たな検査や試験の基準を創出し提供することで、お客様とともに持続可能な社会の実現に取り組んでまいります。
また、海外販売子会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り売上高を伸長させるとともに、世界中のお客様に安心して当社製品をお使いいただくためのグローバルアフターサービス体制の構築に引き続き取り組んでまいります。さらに、目標とする経営指標の一つである「海外売上高比率70%以上」の達成を目指し、特定の地域に依存しない均衡の取れた売上高構成を目指してまいります。
当連結会計年度においても、受注高及び売上高が大きく伸長しており、当社は急激な生産の増大に対処してまいりました。また、市場における半導体部品調達の長納期化が依然として継続し、生産のリードタイムが長期化しております。この結果、前連結会計年度末の受注残高48億円に対して当連結会計年度末の受注残高は69億円となっております。今後は外部環境の変化に対応し、一層効率の良い生産体制を構築してまいります。また、サステナビリティ基本方針に基づき、当社グループ一体となってサステナビリティ活動を推進すると同時に、DXに向けた取り組みも進めてまいります。
当社は、目標とする経営指標として「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」を定めております。今後も、保有する資本を有効に経営に投下し、売上高当期純利益率と総資産回転率を一層高めてまいります。また、事業としての収益性を直接判断できることから、次期は「売上高経常利益率20%」の目標を「売上高営業利益率20%」に変更し、この目標達成に当社グループ一体となって取り組んでまいります。
こうした取り組みのもと、2030年までの長期経営方針「ビジョン2030」の施策を通じ社会に貢献すると同時に、継続的に成長発展できる体制を構築してまいります。
当社及び子会社は、様々なリスクに対するリスクアセスメントと未然防止手続及び発生した場合の対処方法等を定めた「リスク管理規程」及び「危機対応規程」を制定しております。当社の代表取締役社長は、リスク管理・危機対応責任者として当社及び子会社のリスク管理・危機対応を総括しております。当社の各部門及び子会社は、当該規程に従って業務を遂行し、企業集団全体のリスクの回避と損失の軽減に努めております。
当社の各部門及び子会社は、年に一度リスクアセスメントを実施し、必要に応じて適切な措置を講じております。この結果を踏まえ、リスク管理を主管する当社の総務部は部門責任者と子会社社長へのヒアリングを実施し、各リスクの抽出に不足がないか確認することとしております。また、同時に各リスクに対する対応方法を確認することとしております。
当社の各部門及び子会社に対するリスクアセスメント結果は当社の経営会議で毎年度評価しております。リスク管理者である当社の総務部長はその内容を取締役会に報告し、必要な監督を受けることとしております。重要な事案は、取締役会で改善策を審議し決定することとしております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社グループの経営成績等に与える定量的な影響については、合理的に予測することが困難であると考えており、記載しておりません。
(1)人材に係るリスク
当社グループの成長の源泉は、企業理念に共感し自己成長する国内外の社員であります。当社グループは「業界のフロントランナーとして『測る』を進化させ続け、世界のお客様と共に持続可能な社会をつくるソリューションクリエイターになる」ことをビジョンに掲げており、人事制度を不断に見直し、社員が自律的に働ける環境を整備しております。現在、グループ各社で人材を採用するとともに教育と訓練による育成をしておりますが、計画どおり進められないリスクがあり、その場合当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2)人権に係るリスク
当社グループは、社員行動規範及び資材調達基本方針に基づき事業活動における人権尊重の取り組みを推進しております。また、グループ各社の社員を対象にコンプライアンス、人権に関する啓発活動を継続的に実施するとともに、グループ各社の社員を利用対象とする内部通報制度を運営しており、人権侵害が疑われる行為があった際に適切に対処ができる仕組みを導入しております。また、今後サプライチェーンを含めた人権尊重の取り組みを強化していく方針であります。しかしながら、当社グループにおいて人権侵害等の事象が発生した場合、社会的信用の喪失、顧客との取引停止、損害賠償責任の発生等により当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3)設備投資動向に係るリスク
当社グループは、電気測定器の開発、製造、販売を行っております。製品のユーザーは主として製造業であり、業種としては電機関係を中心に自動車、電子部品、環境・新エネルギー等多岐にわたっております。そのため、当社グループの売上高は、基本的には製造業の設備投資動向に影響を受けやすい傾向にあります。
当社は研究開発型企業であり、新分野に製品を投入し売上高の拡大を図っております。また、グループ各社とともに各地域及び各業種の市況や設備投資動向を常時注視し、必要な施策を迅速に講じております。しかしながら、当社の予測を超える製造業の設備投資動向の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4)海外売上高に係るリスク
輸出強化の方針のもと、米国、中国、シンガポール、韓国、インド、ドイツ、台湾、インドネシアに子会社を設立し、海外市場の開拓に注力してまいりました。その結果、海外売上高比率は徐々に上昇しており、2022年12月期は63.9%(2021年12月期は58.6%)になりました。
欧米地域の売上高伸長に向けた施策を継続して実施しておりますが、現在は特にアジア地域の構成比率が高く、今後当該地域の地政学的リスク及び経済動向が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、海外売上高の増加に伴い、大幅な為替変動が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)品質に係るリスク
当社グループは、国内外の幅広い業種の顧客に対して電気測定器を提供しております。当社グループは、製品の生産に当たり、設計管理・工程管理・各種評価試験・仕入先など協力者への監査や指導等を通じ、開発段階から出荷に至る全ての段階で品質の作り込みを行う品質保証体制の整備に努めております。
しかし、当社の想定を超える事故が発生する可能性は否定できず、品質に関わる重大な問題が起こった場合には、多額の損害賠償金等の費用の発生や売上高の減少等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(6)サプライチェーンに係るリスク
当社グループは、原材料の購入から生産、販売までの一連の流れにおいて最適なサプライチェーンの構築に取り組んでおります。
当社グループは、バッテリー、デバイス、インフラ等の重点市場及び幅広い市場の顧客ニーズに適時にお応えするため、多品種少量・変種変量生産を可能とする生産体制を構築するとともに、アフターサービス体制の充実を図っております。そのため、当社グループにおいては、原材料の安定的な調達が不可欠であります。主要原材料は電気・電子部品及び金属、プラスチック等の材料部品であり、電子回路部品については半導体市場の動向によって需給が大きく変化し、そのスピードが速いことが特徴となっております。現在、半導体部品の供給が不足しており、機動的に部品の確保に努めていることから、一時的に在庫が増加しております。さらに顧客への供給責任を果たすことを最優先に様々なルートで市価を上回る半導体部品を調達したことから原材料費が増加しております。また、金属材料部品、プラスチック材料部品については原材料価格、原油価格及び為替変動の影響を受けております。
当社グループは、調達先と緊密なコミュニケーションを取り、材料部品の供給不足による生産停止を招かないよう安定的な調達活動を進めております。さらに、コストダウン努力及び製品の高付加価値化により原材料価格、原油価格及び為替変動が業績に与える影響を解消していく方針でありますが、今後これらの原材料の需給状況及び価格が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは、海外の顧客に対して空輸を中心として電気測定器を出荷、輸送しております。輸送に関する費用は、市場の需給及び原油価格等の影響を受けております。
当社グループは、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めていく方針でありますが、今後輸送に関する需給状況及び価格が当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)設備投資計画に係るリスク
従来当社グループの設備投資は研究開発及び生産の合理化等に関連した更新投資が中心でありました。しかしながら、より一層の研究・開発効率の向上と技術革新の推進を目指し、研究棟(2015年3月竣工)を建設し、それ以降、高額な実験研究設備への投資を積極的に進めております。また、増大する受注に対応するため本社工場の増床・増築工事と動線改善のための投資をいたしました。
当該設備投資は当社グループの事業拡大に寄与するものと認識しておりますが、従来の設備投資と比較すると多額なものであることから、場合によっては当該設備投資に係る減価償却費負担の増加等により当社グループの業績圧迫要因となる可能性があります。
(8)競合に係るリスク
現在、脱炭素化に向けた世界的な流れから世界各国で企業の設備投資の拡大が継続しており、重点市場における電気測定器市場の成長が期待されております。当社グループは、世界的な新製品の開発により事業拡大を図ることを目指しておりますが、競合企業の新規参入や競争の激化、当社グループの技術開発力の劣後等の要因により、競合企業と価格競争になるケースが想定され、これが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)知的財産に係るリスク
当社グループは、知的財産権を重要な経営資源の一つであると考えております。そのため、知的財産権保護とそれに関連して発生する紛争の回避は重要な経営課題と考えており、知財部門にて必要な業務を進めております。
当社グループの知的財産権が侵害されたり、特定の国・地域で十分な保護を受けられない場合、当社グループの事業活動と業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが意図しない形で第三者の特許を侵害するに至った場合や、その他知的財産権に関する紛争が発生した場合には、当社グループの事業活動と業績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)為替変動に係るリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、取引通貨の多くは人民元・米ドル・韓国ウォン・ユーロ等、日本円以外の通貨であります。これらの通貨に対する急激な為替相場の変動は売上高や利益の増減等、損益に影響を与えます。また、海外における資産や負債価値は、財務諸表上で日本円に換算されるため、為替レートの変動の結果、換算差による影響が生じます。当社では、経理部門にて為替相場を継続的にモニタリングしており、適宜必要な対応を取っておりますが、急激又は大幅な為替レートの変動等は、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(11)税制に係るリスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しております。国内はもとより、米国、中国、韓国等の国・地域に販売子会社を設立し事業運営をしており、各国・地域の税制に基づき納税をしております。当社は、国内外のグループ各社とともに各国・地域の税制等の概要、改正動向を適宜把握するとともに、国境を越える当社グループ会社間の取引価格の設定で適用される移転価格税制の遵守に努めております。しかしながら、想定しない税制改正が行われたり、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受け、追徴課税や二重課税が生じたりすることで当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(12)情報セキュリティに係るリスク
当社グループは、事業上の重要情報及び事業を展開する上で入手した顧客、他企業の機密情報、取引先関係者や従業員の個人情報等を保有しております。これらの情報は、外部流出や破壊、改竄等が起こらないように、グループ全体で管理体制を構築し、ITセキュリティ、施設セキュリティの強化、ITリテラシー向上のための社員教育等の施策を実行しております。しかしながら、想定した防御水準を上回る技術によるサーバーへの攻撃や社内における過失や盗難等により、これらの情報が流出、破壊もしくは改竄される可能性を完全に回避することは困難であり、また情報システムの停止等が発生する可能性があります。
このような事態が生じた場合には、適切な対応を行うための費用負担が生じるとともに、信用低下、被害を受けた方への損害賠償金等の費用の発生、又は業務の停止等により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(13)自然災害等に係るリスク
当社グループは、自然災害、火災、戦争及びテロ行為、感染症の流行等が発生した際には、「リスク管理規程」に基づき全社でリスク低減を図る体制を構築しております。しかしながら、想定を超えた自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足、戦争及びテロ行為による社会的混乱、新型コロナウイルス感染症に代表される未知の感染症の流行によって大きな被害を受ける可能性があります。これらの予期せぬ事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(14)棚卸資産の評価に係るリスク
当社グループの棚卸資産の評価は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法によっております。製品のライフサイクル期間や修理保証期間を踏まえて決定した一定の回転期間を超える品目がある場合には、その回転期間に応じて規則的に帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。また、正味売却価額が帳簿価額を下回っている商品及び製品に対する評価につきましては、正味売却価額まで帳簿価額を切り下げる方法を採用しております。
市場の設備投資動向や競合製品による需要の低迷を受け、各品目の回転期間に変動が生じる場合があります。このような場合、棚卸資産評価損の追加計上が必要となる可能性があり、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
(15)気候変動に係るリスク
現在、気候変動に対する取り組みが国内外で進められており、当社グループは、これを重要な事業機会と捉え、電気測定器事業を通じて持続可能な社会の実現に向けた取り組みを進めております。しかしながら、気候変動に伴う市場環境の変化に対応できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、気候変動に伴い国内外で自然災害の激甚化が進んでおります。当社グループの各拠点で様々な自然災害への備えをしておりますが、予測し得ない被害が生じる可能性があり、このような場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
なお、国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDに基づく当社の取り組みを最新のコーポレート・ガバナンスに関する報告書に掲載しております。
URL https://www.hioki.co.jp/jp/ir/governance/
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
世界経済は、半導体等の部品需給逼迫、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格の高騰、各国の金融政策変更に伴う景気の減速見通しや不安定な為替相場など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。一方で、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、各国政府による方針を受けて企業の設備投資の拡大が引き続き期待されております。今後、自動車の電動化が加速すると同時に電源の高性能化が求められるようになると見込まれており、バッテリー、デバイス、エネルギーといった市場においては、設備投資環境が堅調に推移すると予測しております。
当連結会計年度におきましては、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、重点市場の計測器需要は引き続き高い状態で推移いたしました。また、海外市場における計測器需要は、幅広い地域で好調に推移いたしました。この結果、受注高は前連結会計年度比16.9%増と大きく伸長いたしました。中国上海市のロックダウンにより顧客への製品出荷ができない状況及びその影響は既に解消されております。しかし、一部の当社製品で部品欠品による出荷停止の状況が長期化いたしました。第3四半期連結会計期間末の受注残高85億円に対して当連結会計年度末の受注残高は69億円となりましたが、依然として高い水準で推移しております。
開発面では、重点市場の顧客へ試作品を貸出し、顧客の要望に柔軟に対応するアジャイル開発を進める一方で、部品需給の逼迫を踏まえ、引き続き代替部品での生産が可能となるよう既存製品の設計変更に取り組んでまいりました。新しい社会を顧客と協創する関係を構築するため、既存の研究棟内に協創ラボを新設することを決定し、顧客と協創できる空間と最新設備の導入に向けた準備を進めてまいりました(2023年3月末竣工予定)。
生産面では、生産量の増加に対応するため、本社工場における生産・物流の動線改善に向けた増床・増築工事を進め、当連結会計年度末に竣工いたしました。また、引き続き円滑な生産に向け、購買先との緊密なコミュニケーション等を通じて部品の確保に努めました。
販売面では、社内公募制度等も利用し海外販売子会社への人員配置を強化し、当該地域における業績伸長に向けた取り組みを進めてまいりました。
利益面では、部品価格の高騰に加え、顧客への供給責任を果たすことを最優先に様々なルートで市価を上回る部品を調達したことから売上原価を押し上げております。一方で、為替相場が当初の想定に比べ円安に推移し売上高が増加したことは、増益要因となりました。
以上により、当連結会計年度における業績は、売上高343億71百万円(前連結会計年度比17.2%増)、営業利益70億70百万円(同23.0%増)、経常利益72億87百万円(同21.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益53億30百万円(同17.9%増)になりました。
当社の目標とする経営指標のうち「売上高経常利益率20%」及び「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」につきましては、当連結会計年度において目標を達成いたしました。また、「海外売上高比率70%以上」につきましては、当連結会計年度の実績は63.9%と未達となりましたが、前連結会計年度から5.3ポイント上昇いたしました。
当連結会計年度末における総資産は、現金及び預金が減少いたしましたが、原材料及び貯蔵品が増加したため、前連結会計年度末と比較して42億14百万円増加し、406億5百万円になりました。
負債は、買掛金及び未払費用が増加したため、前連結会計年度末と比較して8億89百万円増加し、78億26百万円になりました。
純資産は、利益剰余金が増加したため、前連結会計年度末と比較して33億25百万円増加し、327億79百万円になりました。
なお、当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比較して24億円減少し、118億36百万円になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、12億41百万円の収入(前連結会計年度比73.6%減)になりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益72億83百万円及び減価償却費11億52百万円であります。主な減少要因は、棚卸資産の増加額40億16百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、14億75百万円の支出(同78.5%増)になりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額等により、24億55百万円の支出(同71.1%増)になりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、電気測定器事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
よって、生産実績及び受注実績につきましては製品の分類別情報を、販売実績につきましては製品の分類別情報及び顧客の所在地別情報を記載しております。
a. 生産実績
|
|
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動試験装置 |
(千円) |
3,332,156 |
100.2 |
|
記録装置 |
(千円) |
4,956,716 |
111.1 |
|
電子測定器 |
(千円) |
18,179,364 |
125.6 |
|
現場測定器 |
(千円) |
6,743,741 |
113.4 |
|
周辺装置他 |
(千円) |
1,702,712 |
114.6 |
|
合計 |
(千円) |
34,914,691 |
117.6 |
(注)金額は売価換算価額で表示しております。
b. 受注実績
|
|
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
|
自動試験装置 |
3,247,950 |
89.6 |
1,397,780 |
101.8 |
|
記録装置 |
5,063,053 |
111.7 |
526,486 |
101.7 |
|
電子測定器 |
19,463,965 |
125.1 |
4,116,216 |
171.6 |
|
現場測定器 |
6,967,788 |
116.5 |
753,249 |
172.7 |
|
周辺装置他 |
1,700,941 |
116.3 |
155,039 |
103.0 |
|
合計 |
36,443,699 |
116.9 |
6,948,772 |
142.5 |
c. 販売実績
(a) 製品の分類別実績
|
|
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
|
自動試験装置 |
(千円) |
3,223,586 |
98.0 |
|
記録装置 |
(千円) |
5,054,450 |
117.6 |
|
電子測定器 |
(千円) |
17,745,841 |
125.3 |
|
現場測定器 |
(千円) |
6,650,739 |
110.8 |
|
周辺装置他 |
(千円) |
1,696,492 |
108.0 |
|
合計 |
(千円) |
34,371,110 |
117.2 |
(b) 顧客の所在地別実績
|
|
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
前年同期比(%) |
||
|
国内 |
(千円) |
12,400,550 |
102.2 |
|
|
海外 |
アジア |
(千円) |
16,954,138 |
129.0 |
|
アメリカ |
(千円) |
2,619,452 |
117.2 |
|
|
ヨーロッパ |
(千円) |
1,859,027 |
131.2 |
|
|
その他の地域 |
(千円) |
537,940 |
135.3 |
|
|
計 |
(千円) |
21,970,560 |
127.8 |
|
|
合計 |
(千円) |
34,371,110 |
117.2 |
|
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10に満たないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。
この連結財務諸表の作成に当たり、連結会計年度末における資産、負債の金額、及び連結会計年度における収益、費用の金額に影響を与える重要な会計方針及び各種引当金等の見積り方法(計上基準)につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、見積り、判断につきましては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等の状況
世界経済は、半導体等の部品需給逼迫、ロシアによるウクライナ侵攻に端を発するエネルギー価格の高騰、各国の金融政策変更に伴う景気の減速見通しや不安定な為替相場など、依然として先行きが不透明な状況が続いております。一方で、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、各国政府による方針を受けて企業の設備投資の拡大が引き続き期待されております。今後、自動車の電動化が加速すると同時に電源の高性能化が求められるようになると見込まれており、バッテリー、デバイス、エネルギーといった市場においては、設備投資環境が堅調に推移すると予測しております。
当連結会計年度におきましては、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、バッテリー、デバイス、エネルギーの重点市場の計測器需要は引き続き高い状態で推移いたしました。また、海外市場における計測器需要は、幅広い地域で好調に推移いたしました。
この結果、当社グループの売上高、営業利益、経常利益ともに前連結会計年度を上回り、2年連続で過去最高の結果になりました。
また、目標とする経営指標の一つであります売上高経常利益率につきましては、20%を目標に掲げております。当連結会計年度におきましては、脱炭素化に向けた世界各国の取り組みを受け、計測器需要が国内外で好調に推移し、人件費及び経費は増加したものの、売上高が大幅に増加したことにより、経常利益は前連結会計年度を上回り、売上高経常利益率は21.2%と2年連続で目標を達成することができました。なお、事業としての収益性を直接判断できることから、次期は「売上高経常利益率20%」の目標を「売上高営業利益率20%」に変更し、この目標達成に当社グループ一体となって取り組んでまいります。売上高営業利益率を改善させるため、開発面では、重点市場として捉えております、バッテリー、デバイス、エネルギーの各分野に向けて顧客密着で高付加価値製品の開発を進め、製品を販売してまいります。
目標とする経営指標の一つであります自己資本当期純利益率(ROE)につきましては、10%以上を目標に掲げております。当連結会計年度は売上高当期純利益率が高い状態を維持したことから、自己資本当期純利益率(ROE)は前連結会計年度から0.8ポイント上昇し、17.1%になりました。
また、もう一つの目標とする経営指標であります海外売上高比率につきましては、70%以上を目標に掲げております。当連結会計年度の実績は63.9%と未達となりましたが、前連結会計年度から5.3ポイント上昇いたしました。これはアジア、アメリカ、ヨーロッパ等の幅広い地域における計測器需要が引き続き堅調に推移したことに加え、同地域に対する拡販策が奏功し、売上高が伸長したことによるものであります。今後は、海外販売子会社及び中国における研究開発等を担う孫会社を中心にHIOKIブランドの浸透を図り、海外売上高の伸長を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における製品区分別の状況は、次のとおりであります。
(自動試験装置)
ベアボード検査装置は高精細化が進む半導体市場、また実装基板検査装置は電子化が進む自動車市場の高度な要求に支えられ、売上高は高い水準で推移いたしました。それと同時に高付加価値製品へのシフトが進み、事業の採算性が大幅に向上いたしました。
この結果、売上高は32億23百万円(前連結会計年度比2.0%減)になりました。
(記録装置)
予兆保全等の既存分野に加え、世界の市場においてエネルギーを有効利用するための熱エネルギー管理の高度化が進んでいることから、高速で高精度なデータロガーの需要が拡大しております。また、これに加えてバッテリー評価向けの高耐圧多チャネルのデータロガーの売上高も、前連結会計年度に引き続き大幅に伸長いたしました。
この結果、売上高は50億54百万円(同17.6%増)になりました。
(電子測定器)
中国、韓国市場を中心としたバッテリー市場の設備投資は引き続き活発であり、その動きはヨーロッパやインド等の他の地域にも波及し始めております。当連結会計年度は引き続きこの市場に向け、EV用リチウムイオンバッテリーの安全性を高める検査装置や、材料の研究開発用途向けの製品等、集中的に新製品を投入いたしました。
また、脱炭素化への流れも引き続き活発であり、当社が競争優位性を有する電気エネルギー計測の分野においても高成長が続いていることから、より信頼性の高い測定を実現する新型電流センサシリーズを市場に投入いたしました。
この結果、売上高は177億45百万円(同25.3%増)になりました。
(現場測定器)
再生可能エネルギーの増加による電源の分散化が進み、データセンターや通信インフラ等、電気設備の保守メンテナンスの重要性が高まる中、現場における作業効率を向上させるためIoTに対応した現場測定器を拡充してまいりました。また、当連結会計年度はこうした現場測定器が世界中からクラウドへ接続できる機能をソフトウエア群に搭載し、グローバルに作業効率を向上させるサービスを提供いたしました。
この結果、売上高は66億50百万円(同10.8%増)になりました。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、人件費、新製品開発に必要な研究開発費、営業費用、管理費用及び設備投資資金であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を充当しております。
当社グループの経営方針、経営戦略につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に、経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当連結会計年度において、該当事項はありません。
当社グループの研究開発活動は、当社グループの事業に係るセグメントである電気測定器事業において行っております。
当社グループは「業界のフロントランナーとして『測る』を進化させ続け、世界のお客様と共に持続可能な社会をつくるソリューションクリエイターになる」というビジョンを掲げ、新しい社会システムを構成する重要市場に開発資源を集中させております。そのためオープンイノベーションによる最先端技術の習得やIoT技術者の育成とともに、新分野に精通したキャリア人材の採用も進め、アジャイル開発の概念を開発システムに取り入れ、開発スピードを強化しております。
当連結会計年度における成果としましては、中国国内におけるEV電池の残存価値評価サービスの事業化に向け株式会社日本総合研究所等の5社と協定を締結し、診断技術とバッテリー関連の計測器を提供してまいりました。また、「水素エナジーソリューション」チームを発足させ、水素エネルギー分野に向けた先行開発とソリューション提供を強化いたしました。また、水素分野におけるグローバルな連携や水素サプライチェーンの形成を推進する一般社団法人水素バリューチェーン推進協議会に加入いたしました。さらに、新しい社会を顧客と協創する関係を構築するため、既存の研究棟内に協創ラボを新設することを決定し、顧客と協創できる空間と最新設備の導入に向けた準備を進めてまいりました(2023年3月末竣工予定)。
また、世界市場におけるブランド力の向上と人材育成を目指して、世界中の先端顧客と開発者の密着による市場ニーズの把握に積極的に取り組むとともに、先端商品のマーケットがグローバル化していくことに対応し、特許など知財戦略のグローバル化にも人材と資金を投入してまいりました。さらに、発展を続ける中国市場において市場の顧客ニーズを適時に満たしていくため、研究開発、生産機能を有した日置(上海)科技発展有限公司と協調して開発を進めてまいりました。
当社は研究開発型企業としてこれまで売上高研究開発費比率10%以上を目安に人と設備への投資を進めてまいりました。当連結会計年度は連結売上高が前連結会計年度比で大きく伸長したことから指標とする10%を下回りましたが、研究開発費は前連結会計年度の実績を上回っております。当社は連結売上高及び営業利益を伸長させつつ、今後も売上高研究開発費比率10%以上の投資を継続し、持続的な成長発展を実現してまいります。
なお、前連結会計年度における研究開発費の総額は2,725百万円(売上高比9.3%)でありましたが、当連結会計年度における研究開発費の総額は