文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
《不安定感強まる世界経済》
激しさを増していた米中貿易交渉も昨年末に第一段階の合意があり、最悪期を脱したように見受けられます。とはいえ、米中貿易摩擦が解消されたわけではなく、英国のBrexit後のEUの経済的混乱も予想されます。また、継続する香港のデモや米国とイランの対立等中東情勢の緊張等地政学的リスクに、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響等も加わり、世界経済は不透明感が増しています。
不安定感強まる世界経済の中、世界的に新車販売台数が伸び悩んでいますが、車載関連は環境規制対応によるxEV関連、家電製品関連では5Gの登場によるスマートフォン関連の製品に伸長が期待されます。
①中期経営計画の推進
企業価値向上
更なる売上/利益の成長を目指し、対象マーケットおよび製品ラインアップを拡充し、経営基盤の一層の強化を目指します。
(家電製品関連の強化、新規分野への取組み)
車載関連、インダストリー分野を更に成長させる一方で、コイル以外の製品関連市場の強化に取り組み、ビジネス拡大を図ります。また、コイル以外の分野でビジネスラインアップの拡大に取り組み、成長を促進させていきます。
車載関連分野ではEV/HEV、アクチュエータの領域に注力し、車載関連分野の更なる成長を図ります。また、インダストリー分野では、従来から注力してきた産業機器関連、RFID、メディカル/ヘルスケアに加え、新たにIoT分野への取組みを強化します。家電製品関連では従来から注力してきた製品に加え、メタルインダクターの製品ラインアップを見直し、拡販していきます。
(地域戦略)
新たに北米、インドを重点拡大拠点と位置付け、事業機能を拡充させていきます。北米では技術センターの拡充、製造拠点の拡充に取り組んでいきます。インドでは営業拠点の設立を足がかりに、技術サポート拠点、製造拠点の設立を進めていきます。
(製造戦略)
車載関連分野、家電製品関連分野強化を中心に高水準の設備投資を継続していきます。また、グローバル購買体制の一層の強化を図り、購買コストを削減していきます。従来製造拠点では賃金上昇を上回る生産性向上を実現させるため、設備投資を増加させていきます。
(更なる成長に向けて)
スミダグループの行動指針:グローバル、スピード、フォーカス
・グローバル
市場、顧客のみならず、マネージメント、人員構成、製造部門など全ての面でより一層のグローバル化を図っていきます。
・スピード
より迅速な対応および判断ができる機動的組織にしていきます。
・フォーカス
今後も電子部品にフォーカスするとともに、コイル以外の領域でのビジネス拡大を図ります。
(財務)
中期経営計画ステージⅢを支える内部管理、内部統制の仕組みの構築が完了
1.為替管理
(ア) ナチュラルヘッジ 製造と販売の通貨の統一
(イ) 香港法人にグループ各社の外国為替エクスポージャーを集約
2.会計システムの統一
(ア) グループ会社ほぼ全社に導入済み
3.海外グループ会社の内部統制強化
(ア) 子会社単位の財務会計数値を業績評価に使わない
(イ) ビジネスユニットという子会社を跨いだ管理会計単位で収益性を管理
② コーポレート・ガバナンス体制の強化への継続的な取組み
2003年に経営と監督の分離を明確にするために日本の上場企業第1号で委員会等設置会社に移行しました。また、当社の取締役会は、9名のうち7名が多様な専門知識をもつ社外取締役で、そのうち欧州や中国といったビジネスの比重が高いエリアから2名の外国人取締役および1名の女性取締役がおります。このような取締役会の体制をはじめコーポレート・ガバナンスの一層の強化に努めております。
③ CSRの追求
CSR(Corporate Social Responsibility)は、当社グループの経営の最重要課題の一つです。当社グループは、より良い社会の形成と企業の持続可能な発展のため、社会からのESG(環境(Environment)、社会(Society)、ガバナンス(Governance))に対する期待や要請に対し、「誠実」、「規律」、「常識」に基づいて事業を遂行し、社会的責任を果たしていきます。また、社会問題に対して、法務・コンプライアンス機能の強化等様々な取り組みを積極的に行っていきます。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2020年3月26日)現在において当社グループが判断したものであります。
①経済動向に係るリスク
当社グループでは事業拠点を世界各地域に分散させ、特定地域に偏らない事業展開を進めるとともに、特定の取引先への依存度を過度に高くすることなく、幅広い分野の顧客向けに事業展開し、各国の景気変動の影響を最小限にとどめるようにしております。また顧客からの要請に対しては迅速な設計、原材料調達先の多様化、部材の内製化、輸送手段の効率化などを進め、顧客からの信頼性や品質・機能の要求を満たす製品を提供していく体制を作っております。しかし、当社グループが属する電子部品業界は世界経済の影響を受けやすい、変化の激しい業界であります。世界各国の急激な景気変動の影響を受け、急激な需要の変化により、当社グループを取り巻く経営環境が直接あるいは間接的に影響を受けることがあります。また、エレクトロニクス市場は今後も拡大していく市場であり、市場の拡大は参入企業の増加、潜在的な競業企業の増加も考えられ、厳しい競争の中、製品に対する顧客の要求も厳しくなる可能性があります。
②為替動向に係るリスク
当社グループの事業活動は、世界各地域において様々な通貨を通じて行われているため、為替相場の変動の影響を受けます。当社グループでは、売上とコストの通貨バランスを図り、為替相場の変動の影響を極小化する対応に努めていますが、通貨のバランスが変動すること等により、営業損益が為替変動の影響を受ける可能性があります。また、急激な為替変動により、外貨建ての債権債務の計上時期と決済時期の為替レートの差異から生ずる為替換算差損が発生する可能性があります。当社グループの保有する外貨建ての資産、負債等を連結財務諸表の表示通貨である円に換算することによって発生する為替換算調整額は、資本の部の「その他の包括利益累計額」に含めて報告されます。このため、当社グループの株主資本は為替相場の変動により影響を受ける可能性があります。また、インハウス・バンクを中心にグローバルに取引通貨の相当部分を相殺しており、為替予約を行う等、為替変動による連結業績への影響を最小限にとどめるように努めておりますが、連結財務諸表作成のため外貨建て財務諸表を日本円に換算した際に、為替変動により財政状態および経営成績は影響を受けることがあります。
③金利動向に係るリスク
当社グループでは、金利動向を的確に把握し機動的な資金調達を行う一方で、調達方法の多様化を図る等金利動向の影響を最小限にとどめるべく対応しておりますが、借入金等に係る金利動向によっては、当社グループの収益に影響を与える場合があります。
④有利子負債に関するリスク
当社グループでは、当事業の運営のため取引銀行からの借入金等の確保は不可欠であります。当連結会計年度末における有利子負債(借入金および社債)の負債及び資本合計に占める割合は42%となっております。そのため、経済状況の変化により、金融機関の貸出し姿勢等が厳しくなり、当社グループの資金調達に支障をきたす状況となった場合、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を与える可能性があります。
⑤税務に係るリスク
当社グループを構成する事業法人は世界十数カ国に存在し、それぞれが各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。当社グループとしては、各国制度法令解釈の相違により生じ得るリスクにも充分に留意し、各国の諸規則を遵守しつつ、グループとしての最適なタックス・プランニングを検討、実施すべく対応に努めております。しかしながら、近年各国はそれぞれの立場から移転価格等で適正税額を主張するスタンスをとっており、各国での制度運用・解釈の結果が事業、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥繰延税金資産に係るリスク
当社グループは、将来の課税所得に関する見積りを含めた予測等に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測が変更され、将来の課税所得に基づいて繰延税金資産の一部または全部の回収ができないと判断された場合、当該繰延税金資産は減額され、当社グループの財政状態や経営成績に影響をもたらす可能性があります。なお、繰延税金資産の計上は現行の税制度を前提として行っており、税制の改正が行われた場合にも影響を受ける可能性があります。
⑦技術革新および価格競争に係るリスク
当社グループは変化の激しいエレクトロニクス業界において、常にリーディングカンパニーであることを目指し、顧客に対しより良い製品を満足できる価格で提供し、顧客の支持を拡大できるよう努力を積み重ねております。当社グループでは他社との製品上の競業関係において、より有利な地位を占めるため積極的な研究開発投資を続け、製品の差別化を図り、価格面でも競争力のある製品を提供し続ける所存です。
しかしながら、エレクトロニクス業界では当社グループと競業企業との間で技術面・価格面における競争は年々ますます激しいものとなっております。特に近年においては中国・台湾および韓国における現地競業企業の台頭がめざましいものがあり、今後の業績に影響を与える可能性があります。
⑧原材料等の調達に係るリスク
当社グループは多くの原材料を外部調達しており、主要な原材料である銅、鉄、原油等の価格は国際市況に連動していることから、市況の変動に伴い業績に影響を与える可能性があります。また、供給元における事故等の事由による原材料の供給不足、供給中断により業績に影響を与える可能性もあります。
⑨在庫リスク
当社グループはお客様の短納期要求に対応して製品在庫を保有しております。生産拠点では受注生産を基本に、リードタイム短縮を図り棚卸資産の削減に努めておりますが、顧客の需要予測の変動等によっては、当社グループが在庫リスクを負うことになり、業績および財務状況に影響を与える可能性があります。
⑩顧客に対する信用リスク
当社グループの顧客の業績は、景気動向、個人消費動向や季節性、新製品導入、新しい仕様・規格に対する需要予測および技術革新等の事業環境に影響を受けます。そのため、当社グループの顧客の事業環境が悪化し、財務上の問題に直面した場合には、売上債権の一部が回収不能となることも想定され、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑪海外展開に伴うリスク
当社グループの製造拠点はほぼ海外(中国、ドイツ等)であり、中でも中国が中心となっております。また、当連結会計年度の連結売上収益の約87%が海外売上となっております。
各国・各地域の政治、社会、経済状況等の情報把握には万全の努力を払っております。特に各地域における各種関連法規制に関しましては、法令遵守の観点から適切な対応を図ってきておりますが、他方、近年、経済のクロスボーダー化の一層の進行の中で、制度変更あるいは各国間での制度対応の差異等が事業に影響を及ぼすケースも散見されており、経済合理性の観点から一段と海外事業展開を図る一方で、制度法令解釈の相違・変更により生じ得るリスクにも充分に留意しつつ対応に努めております。また、海外の国または地域における労働市場を取り巻く社会環境・労働環境の変化等に起因する労使関係の変化にも充分に留意しつつ対応に努めております。
しかしながら、海外展開にあたっては、当社グループが事業展開を行っている地域での戦争・テロ等の政治的リスク、海外各国における予期せぬ法規制等の変更、社会環境・労働環境の変化、疾病の流行等の社会的リスク、景気動向、為替変動等市場要因による経済的リスク等、様々なリスクが当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、中国等当社グループが製造を行う国または地域では労働集約的生産の側面があり、人件費、社会保険料の上昇や制度変更等による生産コストアップが当社グループの事業展開、業績に影響を与える可能性があります。
⑫知的財産権に係るリスク
当社グループでは、特許等知的財産権の管理を行う知財部門を強化し、当社グループの開発による新技術を確実に当社グループで権利化するとともに、製品の開発・販売に際し、第三者の特許権、意匠権、その他知的財産権との抵触が発生しないように事前調査を行い、抵触可能性が予見される場合は回避策をとるなど、第三者の知的財産権の侵害を未然に防止できるよう、万全の注意を払っております。しかしながら、世界各国において特許が日々出願されており、意図せずに第三者の特許権・意匠権等と抵触するような事態を招き、法廷の内外で相当の損害賠償金またはロイヤルティーを請求される可能性があります。また、当社グループは自前のブランドの価値を高める努力をしておりますが、世界においては模造品が多数発生しております。当社グループは模造品撲滅に注力しておりますが、模造品の流通により当社グループの売上が減少する可能性があります。
⑬品質・製造物責任に係るリスク
当社グループは常に製品の品質向上に尽力し、製品の品質確保に万全を期しておりますが、当社グループ製品の要求仕様への不一致や欠陥により供給先である顧客の製造ラインが停止する事態や、欠陥を含んだ当社グループの製品を利用した電子機器に不具合が生じる事態も考えられます。欠陥またはその他の問題が発生した場合は、当社グループの売上収益、市場シェア、当社グループブランドに対する信頼または評価、市場認知度、開発などに影響がでる可能性があり、また顧客からの法的手段による請求の可能性もあります。
⑭M&A等による事業拡大に係るリスク
当社グループは技術力の強化や販売網の拡充を目的に、当社グループ以外の会社との事業提携、合併および買収(以下M&A等)を行うことにより、中期経営計画の達成を目指しております。M&Aの実施にあたっては事前に相乗効果の有無を見極めてから実施を決定し、完了後は相乗効果を最大にするように経営努力をしております。しかしM&A等の完了後に、対象会社との経営方針のすりあわせや業務部門における各種システムおよび制度の統合等に当初想定以上の負担がかかることにより、予想されたとおりの相乗効果が得られない可能性があります。また、M&A等に係る費用等が、一時的に当社グループの経営成績、財政状態に影響を及ぼす可能性もあります。
⑮情報セキュリティ
当社グループは、技術、営業、その他の事業に関する営業機密を多数有しています。当社グループでは、情報管理において万全の体制を構築しておりますが、予期せぬ事態によって情報が外部に流出し、これを第三者が不正に取得し、使用する可能性もあります。こうした事態が発生した場合、当社グループの事業、業績および財政状態に悪影響をおよぼす可能性があります。
⑯大規模災害などのリスク
大地震、洪水等の自然災害や内乱、疫病等により社会的に混乱がおきた場合、生産および販売活動に重大な悪影響をおよぼす可能性があります。
⑰人材の採用・確保について
当社グループの事業展開は、開発、生産、販売、財務、経営管理等のすべてのプロセス、分野における優秀な人材の確保に依存しています。特にグローバルな事業展開推進には、人材の確保が必要不可欠と考えています。しかし、優秀な人材に対する需要が高まる一方、優秀な人材は限られており、その確保のための競争が激しくなっています。これに対して当社グループでは、人材の確保に注力するとともに、適性を重視した配置など社員のモチベーションを高める諸施策により、社員の定着・育成に努めております。しかし、雇用環境の変化などにより当社が求める人材の確保やその定着・育成が計画通りに進まなかった場合には、当社グループの将来の成長に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑱公的規制とコンプライアンスについて
当社グループは、国内および諸外国・地域において、法規制や政府の許認可等、様々な公的規制の適用を受けております。こうした公的規制に違反した場合、監督官庁による処分、訴訟の提起、さらには事業活動の停止に至るリスクや企業ブランド価値の毀損、社会的信用の失墜等のリスクがあります。当社グループでは、公的規制の対象領域ごとに主管する部門を決めて対応しております。また、公的規制に対応した社内ルールを定め、未然に違反を防止するための対応をとっております。これらの取組みに加え、当社ではコンプライアンス委員会を設け、法令遵守のみならず、役員・従業員が共有すべき倫理観、遵守すべき倫理規範等を「スミダの経営に関する諸原則・行動規範」として制定し、当社および関係会社における行動指針の遵守ならびに法令違反等の問題発生を全社的に予防するとともに、コンプライアンス上の問題を報告する内部通報制度を設けております。しかし、グローバルに事業を展開するなかで、国や地域において、公的規制の新設・強化や想定外の適用等により、当社グループが公的規制に抵触することになった場合には、事業活動が制限されたり、公的規制の遵守に係る費用が増加したりする等、当社グループの業績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
⑲環境規制などのリスク
当社グループは、地球温暖化防止、水質汚濁、大気汚染、廃棄物処理、製品に含有する化学物質、土壌・地下水汚染などに関する様々な環境法令の規制を受けております。当社グループでは、これら法令を遵守し、事業活動を進めておりますが、地球環境保全の観点から、今後ますます規制が強化され、これに適応するための費用の増大が予想されます。また環境規制への適応が極めて困難な場合、想定を超える費用の発生や事業からの部分撤退、当社グループへの社会的信頼が損なわれる可能性も想定され、当社グループの業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
⑳事業運営に関するリスク
事業運営リスクには法令違反、ヒューマンエラー、役職員による不正、外部の者による詐欺、法令違反等を原因とする監督官庁の行政処分等が考えられますが、事業運営リスクが顕在化した場合、当社グループの社会的信用の低下または事業運営の効率の低下等により業績および財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度は、年間を通して米中貿易摩擦の厳しい状況が続き、世界貿易の減速、設備投資の抑制等世界経済に大きな影を落としました。中国では景気刺激策を出すものの景気減速を止めることが出来ず、欧州では英国のBrexitを巡る混乱に加え、輸出不振等からEU経済の牽引役であるドイツ経済にも陰りが見えました。また、複雑化する中東情勢の緊張、長期化・激化した香港のデモ等地政学的リスクも重なり、世界経済は先行き不透明感が増しました。
電子部品業界は前連結会計年度末から市況が低迷し、当連結会計年度も米中貿易摩擦激化による景気減速懸念の中、全体的に厳しい状況が続き受注が伸び悩みました。
スマートフォン需要はハイエンド機種の販売低迷や中国系スマートフォンの在庫調整の動きが続きました。欧州、中国等世界的な新車販売の低迷から車載関連の需要も鈍く、景気減速懸念からの設備投資抑制でFA関連や産業機器向け等の電子部品需要も低迷が続きました。
当社グループの当連結会計年度は、前連結会計年度末から減速をはじめた部品需要が当連結会計年度になっても回復しませんでした。家電製品関連はスマートフォン関連で新製品の登場があったこともあり、堅調に推移しました。車載関連ではxEV用、特にHEV向けの受注が電装化率の上昇から需要を伸ばしたものの、欧州や中国で新車販売台数の伸び悩みから需要が伸び悩み、業績に大きく影響しました。インダストリー分野は、景気先行き不透明感が高まる中、設備投資抑制の動きが強まりFA機器・産業機器向け等も足踏み状態が続きました。
こうした中、当社グループは中期経営計画の取り組みの中で地域戦略として掲げたとしてインドでのビジネス拡大を目指し、ベンガルールに営業拠点を開設しました。インドは車載関連(二輪含む)、スマートフォン関連ビジネスの顧客拡大を進めました。
①財政状態および経営成績の状況
この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は96,561百万円となり、前連結会計年度末比2,284百万円増加しました。現金及び現金同等物、棚卸資産等が減少したため、流動資産は3,260百万円減少しました。また、のれん、繰延税金資産などが減少したものの、有形固定資産等の増加に加え、オペレーティング・リースの資産計上(IFRS第16号「リース」)により、非流動資産は5,544百万円増加しました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は61,967百万円となり、前連結会計年度末比3,128百万円増加しました。有利子負債残高は、前連結会計年度末に比べ290百万円減少(短期有利子負債は前連結会計年度末比46百万円減、1年内返済予定又は償還予定の長期有利子負債は同329百万円増、長期有利子負債は同573百万円減)しました。
1年内返済予定のリース債務が増加したことなどから、流動負債が474百万円増加しました。長期有利子負債の減少したものの、オペレーティング・リースの負債計上(IFRS第16号「リース」)などから非流動負債が2,654百万円増加しました。
なお、ネットDEレシオは前連結会計年度末の1.05倍から当連結会計年度末は1.09倍となりました。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は前連結会計年度末比844百万円減少し、34,593百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益が1,582百万円であったものの、配当金の支払等があったためです。その結果、親会社の所有者に帰属する持分合計は33,013百万円となり、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の35.9%から当連結会計年度末は34.2%となりました。
b. 経営成績
売上収益面ではスマートフォン関連が堅調だったことから家電製品関連が前年同期を上回ったものの、車載関連では世界の新車販売台数が伸び悩み、加えて為替市場が円高/ユーロ安で推移したこと等から前年同期を下回り、インダストリー分野も伸び悩んだことから、当連結会計年度の売上収益は前年同期比3.3%減の94,283百万円となりました。下半期からEUにおける経費およびコスト削減、アジア地域における生産性向上、銅等原材料価格低減等に加え円高/人民元安の影響等があったものの、セールス・ミックスや受注の伸び悩みによる工場の操業度低下の影響等が大きく、営業利益は同34.2%減の3,543百万円となりました。為替や支払金利等の影響で金融収益/金融費用の純額が1,358百万円のマイナスとなったこともあり、税引前利益は同46.2%減の2,184百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同34.6%減の1,582百万円となりました。
(報告セグメントの状況)
当連結会計年度における報告セグメントの状況は次のとおりであります。
1)アジア・パシフィック事業
アジア・パシフィック事業では、車載関連の需要が低迷したものの、スマートフォン関連が堅調であったことから家電製品関連が売上収益を伸ばし、当連結会計年度の売上収益は前年同期比1.6%増の60,073百万円になりました。セールス・ミックスや操業度低下等の影響で、セグメント利益は同28.6%減の2,651百万円となりました。
2)EU事業
EU事業では、欧州における新車販売台数が伸び悩む中、車載関連の需要が低迷したことで、当連結会計年度の売上収益は前年同期比11.0%減の34,210百万円となりました。操業度低下等の影響でセグメント利益は同41.6%減の1,435百万円となりました。
②キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末比811百万円減少し、3,286百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は8,732百万円(前連結会計年度は4,672百万円の収入)となりました。
税引前当期利益2,184百万円、減価償却費及び償却費5,309百万円、棚卸資産の減少1,708百万円等の収入があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は8,133百万円(前連結会計年度は15,153百万円の支出)となりました。有形固定資産の売却による収入177百万円等があったものの、生産設備拡充のため積極的な設備投資で有形固定資産の取得による支出7,353百万円、無形資産の取得による支出949百万円等の支出があったことによるものです。
以上により、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの金額から投資活動によるキャッシュ・フローの金額を控除したフリーキャッシュ・フローは598百万円の収入となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は1,261百万円(前連結会計年度は9,477百万円の収入)となりました。有利子負債が552百万円純増したことによる収入があったものの、配当金の支払額731百万円、リース債務の返済による支出878百万円等の支出があったことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
アジア・パシフィック事業(百万円) |
58,885 |
97.7 |
|
EU事業(百万円) |
34,325 |
88.5 |
|
合計(百万円) |
93,211 |
94.1 |
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
当連結会計年度末 (2019年12月31日現在) |
||
|
受注高 |
前年比(%) |
受注残高 |
前年比(%) |
|
|
アジア・パシフィック事業(百万円) |
51,461 |
81.0 |
6,830 |
44.2 |
|
EU事業(百万円) |
32,295 |
80.9 |
9,394 |
83.1 |
|
合計(百万円) |
83,757 |
80.9 |
16,225 |
60.7 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2019年1月1日 至 2019年12月31日) |
|
|
売上収益 |
前年同期比(%) |
|
|
アジア・パシフィック事業(百万円) |
60,073 |
111.6 |
|
EU事業(百万円) |
34,210 |
89.0 |
|
合計(百万円) |
94,283 |
96.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.当社グループの売上収益の10%以上を占める顧客グループが存在しており、当該顧客グループから生じた売上収益は前連結会計年度において17,469百万円(アジア・パシフィック事業およびEU事業)、7,408百万円(アジア・パシフィック事業)、当連結会計年度において13,883百万円(アジア・パシフィック事業およびEU事業)、9,746百万円(アジア・パシフィック事業)であります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討等
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
(経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報)
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下のとおりであります。なお、提出会社は日本基準に基づく連結財務諸表を作成していないため、差異の金額は概算額で記載しております。
(のれんの償却)
日本基準では効果が及ぶ一定の期間にわたって償却しておりました。IFRSではIFRS移行日以降の償却を停止しております。この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べ「営業利益」が455百万円増加しております。
(開発費の資産化)
開発活動に係る支出は、日本基準では費用処理しておりましたが、IFRSでは特定の要件を満たす場合は無形資産として計上し、耐用年数にわたって償却しております。この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べ「営業利益」が445百万円増加しております。
(確定退職給付債務)
確定退職給付債務の数理計算上の差異は、日本基準では当期発生額のうち費用処理されない部分をその他の包括利益に計上しておりましたが、IFRSでは数理計算上の差異は純損益で計上せずその他の包括利益で計上しております。この影響により、当連結会計年度において、IFRSでは日本基準に比べ「営業利益」が33百万円増加しております。
該当事項はありません。
当連結会計年度の研究開発活動は、アジア・パシフィック事業およびEU事業ともに家電製品関連分野では、機器開発におけるアナログ回路設計と電源設計の技術およびその関連分野の開発を進めました。車載関連では、ハイブリッド・電気自動車向けモーター、オルタネータの制御回路、ECU制御用途向けに、高対恒性のインダクタ、トランスの製品・ユニット開発を進めました。インダストリー分野ではハイブリッド自動車・電気自動車向け各種トランスおよび大電流コイル、産業機器、通信機器向け一次電源用トランスおよびコイル、家電・産業機器・医療機器向けの高周波トランスおよびリアクトル等を中心とした製品の開発を進めています。さらに製品の開発に必要不可欠な素材の研究も重要と考えております。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費の金額はアジア・パシフィック事業