第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針、経営環境

当社は、1979年3月に設立以来、ITシステムの根幹となる技術に焦点を絞りビジネスを行って参りました。その分野は、半導体LSI(大規模集積回路)の設計と設計CADに始まり、企業内ネットワーク(LAN)の機器開発とネットワーク構築、そして近年は、ITセキュリティと映像の圧縮/送信などと、変化してきました。

当社は、受託開発の会社ではありません。輸入再販の会社でもありません。独自の標準製品を開発し、オリジナル製品の販売あるいはサービスの形でユーザーに提供しております。技術的には、ソフトとハードの両面をカバーしています。

当社が属するIT業界は、技術革新が著しく、かつてないスピードで変化し、他のあらゆる産業にも影響を与えつつあります。物と物がつながるIoTや人工知能(AI)の活用等で、あらゆる企業や社会の活動において大変革が迫ってきておりますが、この大変革においてもITセキュリティがKEYになると考えております。当社製品は、全てITシステムの根幹/インフラに属する製品です。したがって市場は世界規模で、当然、競合もグローバルとなります。世界に通ずる技術と実現のスピードが企業成長の決め手になると考えております。

 

(2)目標とする経営指標

前述の経営方針、経営環境の下、当社グループは、ITセキュリティをKEYに新たな技術や市場への積極的な展開により事業の拡大を図り、企業価値を持続的に向上させることを目指しており、1株当たり当期純利益をひとつの指標として経営を推進しております。

 

(3)対処すべき課題等

①海外展開を視野に、ユニークな製品、サービスを開発すること。

②広報/IRを強化して、企業活動や製品/サービスをわかりやすく発信すること。

③基幹システムを刷新し、一段上の生産性の向上を図ること。

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書(以下、本書という)に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)情報セキュリティ対策について

 当社グループは、開発プロジェクトの推進にあたり、ユーザーの多種多様な重要情報を取扱う機会があります。当社グループは、これらユーザーとの間において守秘義務契約を締結し、重要情報の取り扱いに際しては当社グループのコンプライアンス関連規程・マニュアル等に則り厳格に運用し、当社グループ内部からの情報漏洩を未然に防ぐ措置を講じております。しかしながら、万一、当社グループによる情報の紛失、破壊、漏洩等の発生、又は外部からの不正手段による当社グループシステムへの侵入等が生じた場合には、当社グループへの損害賠償請求又は信用低下等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)自社製品の開発リスクについて

 当社グループは、市場のニーズを先取りした新製品や新技術の開発を行っております。近年はサイバー攻撃に対する予防/検知/記録・分析といった一連の対策を実現する製品、スマートデバイスを安全かつ効率良く業務活用するためのネットワーク認証システムとセキュリティ製品、公衆モバイル回線で高品質な映像をリアルタイムに配信するシステムのためのソフトウエア、ハードウェア製品の開発に注力しております。
 しかしながら、今後の開発プロジェクトにおいて、開発期間中の市場環境の変化、あるいは類似・競合製品の出現によって、将来必ずしも開発コストを回収できない可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)他社商品の調達リスクについて

 当社グループは、国内外の他社ベンダーの商品を販売代理店として取り扱っております。これらには、当社グループの戦略上重要な商品があります。当社グループでは提携する他社ベンダーの業績や事業戦略などの情報収集を常に心がけ、事業方針の変化をいち早く察知するように努めておりますが、将来において主要な他社ベンダーが事業戦略の見直し又は吸収、合併、解散等の理由により商品の供給を停止した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)システムの不具合について

 近年ユーザーニーズは多様化しておりますが、LANからWAN、クラウドコンピューティングやモバイルの活用まで、情報網がシームレス化する中にあって、当社グループは時代の流れをリードする高度なネットワークに特化したシステム構築及びネットワーク機器等の開発に取り組んでいます。しかし、大規模システムの構築には常に初期不良などが想定され、また使用するネットワーク機器等の新製品には不具合が発見されたりします。そうしたトラブル対応には、解決のために多くの時間と労力及び費用が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)プロジェクト管理について

 当社グループは、ネットワークシステムの構築及びネットワーク機器の開発にあたり、全社的なプロジェクト管理体制を構築し、不採算プロジェクトの抑制に努めております。しかしながら、ユーザーニーズに基づく納期の短縮化、又は案件の高度化・複雑化によるプロジェクトの難易度の高まり等により、開発工数が想定を超える不採算プロジェクトが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)競合について

 当社グループは、企業が情報システムに関して抱える様々な悩みに対し、効果的なソリューションを提供できるネットワーク・セキュリティ製品のメーカーとして、あるいはキャリアクラスの大規模で且つ先端ネットワークシステム構築を行える総合力を持ったネットワーク・インテグレーターとして、競合他社には無い強みを持っております。しかしながら、今後参入してくる機器ベンダーやネットワーク・インテグレーターとの価格競争により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)大口主要顧客との間での取引について

 当社グループでは、他企業との取引額を増やすことによって特定販売先への依存度を下げるように努めておりますが、特定販売先の設備投資動向等によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)人材の確保について

 当社グループは、事業を推進し国際ビジネスを展開して行くためには、専門性の高い優秀な人材を継続的に採用・育成し、確保することが重要であると考えております。しかしながら、当社グループがこのような人材を採用又は養成できず、優秀な人材の流出を防止できない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)知的財産権等について

 当社グループは、保有する知的財産権、並びに業務スキル・ノウハウ等の企業秘密の社内管理体制を強化しております。また、第三者の知的財産権を侵害しないよう、社内規定の整備を図り事前の調査を徹底する体制を採っております。しかしながら、技術革新に伴い、当社グループが保有する知的財産権が陳腐化するリスクがあるほか、何らかの要因により当社グループの企業秘密が不正に開示又は流用されるリスクがあります。また、当社グループが認識していない知的財産権の成立等により、当社グループの製品、サービス又は技術に対して、第三者から知的財産権の侵害訴訟等を提起されるリスクがあるほか、従業員の職務発明の補償評価に対して訴訟等を提起されるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(10)為替変動リスクについて

 当社グループは、いくつかの商品を海外から外貨建てで購入しているため、為替相場の変動により円換算による仕入価格に変動が生じ、利益率の低下を招く可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(11)自然災害等について

 地震や台風等の自然災害、未知のコンピューターウイルス、テロ攻撃、システムトラブル又は伝染病といった事象が発生し、当社グループがそれらの影響を受けた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは複数の開発拠点を設置し、システムの一部をクラウドで管理するなど、リスクの分散を図っておりますが、当社グループの拠点・地域において、これら自然災害等が発生した場合には多大な損害を被る可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

新型コロナウィルス感染症拡大に伴う経済活動への影響等には不確定要素も多いため、状況が変化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)投資有価証券について

 当社グループの連結会計年度末における投資有価証券残高の推移及び評価損益の実績は下記のとおりです。

     イ.投資有価証券残高の推移                               (百万円)

2018年12月期末

2019年12月期末

2020年12月期末

2021年12月期末

2022年12月期末

62

220

121

104

94

      ロ.投資有価証券評価損益の推移(△は投資有価証券評価損)               (百万円)

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期末

△14

△3

△146

△50

△13

 投資有価証券の取得方針に関しましては、当社グループの事業活動に密接に関係のある取引先を中心に出資することにより事業の関係の推進を目指すもの、またリスクを評価した上で手持資金を効率的に運用することでありますが、出資先の経営状態が悪化した場合や、市場において悪影響を与える事象が発生した場合には、将来的に減損処理をする可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.経営成績等の状況の概要

(1)財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度、先進国は新型コロナウイルスのワクチン接種を促進し、行動制限を緩め、経済活動が正常化に向かいはじめました。その矢先、ロシアがウクライナに軍事侵攻し、エネルギーや原材料等の価格が高騰、半導体不足やサプライチェーンの混乱による供給制約で世界的に物価が上昇しました。日本経済は、電気料金や輸送価格の値上げ、インフレに対応した各国での金融引き締め等による急激な円安進行により先行きが不透明で予断を許さない状況が続きました。

IT投資については、企業、官公庁/自治体のDX(デジタルトランスフォーメーション)やクラウドの活用、AIによる新たなサービスの開発等堅調に拡大し、当社が得意とするITセキュリティ分野の需要は底堅く拡大しました。他方、前述のロシアの軍事侵攻により、国家の安全保障戦略が一変しました。日本政府は、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」からなる「安保3文書」を2022年12月に閣議決定いたしました。サイバーセキュリティ対策が官民とも新たな展開を迎えた年になりました。

このような環境下、当社グループの業績について、売上高は、ITセキュリティ事業で業務提携による海外製品の大型更新案件が複数あったことにより、19,757百万円(前年同期比13.6%増)となりました。営業利益は、増収の主要因が粗利率の低い業務提携製品(海外製品)に多く、円安により想定以上に仕入価格が上昇、2,036百万円(前年同期比14.0%減)となりました。経常利益は、営業外収益で為替差益94百万円や助成金収入85百万円を計上しましたが、営業利益の減益の影響が大きく、2,203百万円(前年同期比11.7%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、前期に続き、海外子会社が抱えていた債務が時効を迎え債務免除益97百万円が生じましたが、1,587百万円(前年同期比15.2%減)となりました。

 

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しています。詳細は、当開示の「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 [注記事項](会計方針の変更)」を参照してください。「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当連結会計年度の売上高は131百万円減少、営業利益は57百万円減少しています。

 

セグメント別の経営成績は、次のとおりです。

 

[ITセキュリティ事業]

売上高は18,563百万円(前年同期比13.9%増)、セグメント利益は3,051百万円(前年同期比5.3%減)となりました。

半導体の供給不足で無線アクセスポイント等ネットワーク機器類の納品に遅延が生じ、当社主力製品の「NetAttestシリーズ」の販売が苦戦しましたが、ネットワーク分離向けソリューションが自治体向けに好調で、自社製品/サービスの売上は増収となりました。しかしながら、前述のように粗利率の低い業務提携製品(海外製品)の大型更新案件が増収の主要因であり、加えて、今後も拡大が続くセキュリティ需要に応えるため、人材投資を行ったことによりセグメント利益は減益となりました。また、ロシアのウクライナへの侵攻により、サイバー攻撃は企業/組織の活動どころか国家防衛に直結する脅威である、という認識が広く浸透しました。当社は国内外の機関との連携を深耕し、サイバーセキュリティへの取り組みを推進いたしました。

なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当連結会計年度の売上高は138百万円減少、営業利益は64百万円減少しています。

[映像コミュニケーション事業]

売上高は845百万円(前年同期比10.0%減)、セグメント損失は132百万円(前年同期はセグメント利益87百万円)となりました。

2017年に販売を開始した「Smart-telecaster Zao-S」の後継として、2022年4月に「Smart-telecaster Zao-X」をリリースしました。メディア系への製品販売やレンタルの動きが鈍く、大型公共案件も一部が次期となったこと等で減収となり、セグメント損失を計上しました。一方で、高解像度画像を超短遅延で伝送し、さらに制御信号も重量させ伝送することをサービスで提供するクラウド基盤の開発を進めました。サービス化することで、昨今注目されている「遠隔操縦」に対し、より広い領域で簡易に活用されることを期待しています。

なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用により、当連結会計年度の売上高は6百万円増加、営業利益は6百万円増加しています。

 

[Eco 新規事業開発]

売上高は347百万円(前年同期比133.2%増)、セグメント損失は183百万円(前年同期はセグメント損失244百万円)となりました。

既存の人感センサーの販売が底堅く推移し、官公庁から受注した小型映像伝送装置の量産製品の一部を納品したこと等により増収となりました。また、これまで培ってきたアナログ回路技術をベースに超低消費電力で動作することをターゲットとしたアナログエッジAIチップの開発を進め次期に試作品をリリースする見通しとなりました。セグメント損失は増収効果で当該AIチップの開発費の負担を吸収し、赤字幅が縮小いたしました。

なお、「収益認識に関する会計基準」等の適用による影響はありません。

 

当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べて1,955百万円増加し、19,261百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べて2,586百万円増加し、16,367百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,748百万円、前払費用が366百万円、電子記録債権が300百万円、流動資産その他が163百万円増加したこと等によるものであります。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べて631百万円減少し、2,894百万円となりました。これは主に繰延税金資産が526百万円、ソフトウエアが168百万円減少したこと等によるものであります。

 流動負債については、前連結会計年度末に比べて888百万円増加し、9,576百万円となりました。これは主に契約負債が1,353百万円、支払手形及び買掛金が113百万円増加した一方、未払法人税等が335百万円、流動負債その他が169百万円、賞与引当金が123百万円減少したこと等によるものであります。

 固定負債については、前連結会計年度末に比べて70百万円減少し、70百万円となりました。これは主に長期未払金が72百万円減少したこと等によるものであります。

 純資産の部については、前連結会計年度末に比べて1,137百万円増加し、9,615百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,209百万円増加した一方、為替換算調整勘定が85百万円減少したこと等によるものであります。

なお、当連結会計年度末において、自己資本比率は49.8%、1株当たり純資産額は518円28銭となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,748百万円増加し、当連結会計年度末には10,199百万円(前年同期比20.7%増)になりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動から獲得した資金は2,298百万円(前年同期比10.4%増)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,316百万円、契約負債の増加1,416百万円、減価償却費453百万円であります。支出の主な内訳は、法人税等の支払額574百万円、売上債権及び契約資産の増加364百万円、前払費用の増加353百万円、その他210百万円、為替差益138百万円、賞与引当金の減少123百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動に使用した資金は305百万円(前年同期比34.1%減)となりました。

 支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出198百万円、有形固定資産の取得による支出105百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動に使用した資金は252百万円(前年同期比47.6%減)となりました。

 支出の主な内訳は、配当金の支払額277百万円等であります。

 

(3)生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産する製品は主にソフトウエアであり、また当社グループの取り扱う製品は、受注生産形態をとらない製品であるため、生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

  販売実績

   当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

ITセキュリティ(百万円)

18,563

13.9

映像コミュニケーション(百万円)

845

△10.0

Eco 新規事業開発(百万円)

347

133.2

合計(百万円)

19,757

13.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

   2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり

     であります。

 

相手先

前連結会計年度

(自  2021年1月1日

至  2021年12月31日)

当連結会計年度

(自  2022年1月1日

至  2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ダイワボウ情報システム

株式会社

1,572

9.0

2,254

11.4

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容の内容は次のとおりであります。

 なお、本文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りや仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債の金額及び会計期間の収益・費用の金額に影響を与えます。しかし、これらの見積りや仮定は、実際の結果とは異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を与える可能性があります。

①貸倒引当金

当社グループは、債権等の貸倒れによる損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。見積りには期日経過債権の回収期間、現在の経営環境等の様々な要因を考慮しております。

②棚卸資産

当社グループは、棚卸資産の評価方法として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しており、期末における正味売却価額が取得原価よりも下落している場合には、当該正味売却価額をもって貸借対照表価額としております。また、滞留及び過剰在庫の内、陳腐化した棚卸資産については、適正な価値で評価されるように評価減の金額を見積もっております。

③繰延税金資産

当社グループは、繰延税金資産における回収可能性が低いと考えられる金額については、評価性引当額を設定しております。評価性引当額の必要性を検討するにあたっては、将来の課税所得の見積りに基づいております。

④投資有価証券

当社グループは、長期的な取引維持のために、特定の取引先の株式等を保有しております。これらの株式等には、価格変動性が高い上場株式と、株価の決定が困難な非上場株式等が含まれます。これらの株式等について、時価が取得価額を下回っている場合、将来における価値の回復可能性及び発行会社の経営状態を検討しております。

⑤市場販売目的のソフトウエア

 当社グループは、市場販売目的のソフトウエアの減価償却方法について、見込販売収益に基づく償却額と残存有効期間(3年以内)に基づく均等配分額とを比較し、いずれか大きい額を減価償却費として計上しております。また、減価償却を実施した後の未償却残高が翌期以降の見込販売収益の額を上回った場合、当該超過額は一時の費用として処理しております。当社グループの販売見込収益の算定における主要な仮定は、販売計画に基づく受注予測であります。

 

(2)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①売上高・売上総利益

当連結会計年度の売上高19,757百万円(前年同期比13.6%増)、売上総利益7,630百万円(前年同期比2.5%減)、売上総利益率38.6%(前年同期45.0%)となりました。

売上高のセグメント別変動要因に関する詳細については、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。売上総利益率は、ITセキュリティ事業で自社製品/サービスを中心に販売を行いましたが、前年同期比6.4%減少となりました。

②営業利益

経費面では、人材投資や販売促進費等の増加により、販売費及び一般管理費は5,593百万円(前年同期比2.5%増)となりました。それにより当連結会計年度の営業利益は2,036百万円(前年同期比14.0%減)、売上高営業利益率は10.3%(前年同期13.6%)となりました。

③経常利益

主に営業外収益として為替差益が94百万円、助成金収入が85百万円発生したことにより、当連結会計年度の経常利益は、2,203百万円(前年同期比11.7%減)となりました。

④親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益について、海外子会社が抱えていた債務の一部について時効を迎えたことによる債務免除益97百万円、海外子会社を清算したことによる関係会社清算益32百万円が生じ、特別損失で投資有価証券評価損13百万円を計上しました。これにより、親会社株主に帰属する当期純利益は1,587百万円(前年同期比15.2%減)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の1株当たり当期純利益金額は85.74円(前年同期比15.34円減)となりました。なお、当連結会計年度における財政状態の概況については、「1.経営成績等の状況の概要(1)財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

(3)資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループは、営業活動によって獲得した現金と金融機関からの借入金によって、必要となる運転資金の確保と事業拡大の為の設備投資を行っています。

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの概況については、「1.経営成績等の状況の概要(2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社グループのキャッシュ・フローの状況と指標の推移は次のとおりであります。

キャッシュ・フローの状況

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

 

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

688

2,436

2,620

2,080

2,298

 

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△468

△635

△1,120

△464

△305

 

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△813

△136

△1,105

△481

△252

 

フリー・キャッシュフロー    (百万円)

220

1,801

1,500

1,616

1,993

 

キャッシュ・フロー関連指標の推移

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

 

自己資本比率(%)

45.7

46.4

43.8

48.9

49.8

 

時価ベースの自己資本比率(%)

107.2

181.5

222.1

159.1

108.6

 

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.5

0.2

0.1

0.1

0.1

 

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

364.4

1,354.9

1,317.3

1,536.1

1,965.2

・フリー・キャッシュ・フロー:営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー

・自己資本比率:自己資本÷総資産

・時価ベースの自己資本比率:株式時価総額÷総資産

・キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債÷営業活動によるキャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業活動によるキャッシュ・フロー÷利息の支払額

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループの研究開発活動には、基礎的な要素技術の開発と、現在の製品の改善のための開発があります。
 なお、当連結会計年度の研究開発費は866百万円であり、この他売上原価に算入されているソフトウエア開発費用1,632百万円と合わせ、開発活動に関する費用の総額は2,499百万円であります。当連結会計年度における研究開発活動の主なものの概要は、セグメント別に以下のとおりです。

 

(1)ITセキュリティ事業

ITセキュリティ事業の研究開発費は484百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。

[製品]

①SmartOn新バージョンの開発・リリース

世界最高水準の新顔認証エンジンを搭載したPCログオンソフト「SmartOn」の新バージョンを開発しリリースしました。SmartOnは、顔や指紋、ICカードなどを用いた多要素認証で、PC利用時の認証を強化します。さらに、USBメモリなどの利用や、データへのアクセス制御をトータルに実現するPCセキュリティシステムです。テレワークにおいて、PC内蔵カメラによる顔認証により厳格でスムーズな本人認証を可能にします。出社時においても、高い認証精度を持つ顔認証エンジンを搭載し、マスク着用時でも本人認証を可能にします。また、マスク着用のほか、メガネの着用や顔の角度・経年変化にも対応しています。

②SecureGateway/SecureBrowser新バージョンの開発・リリース

SecureBrowserのユーザー認証で使用する認証サーバーとして、ID認証サービス「Soliton OneGate」を利用する機能を追加したSecureGateway の新バージョンをリリースしました。また、Windows版SecureBrowserⅡでは、リモートアクセスに加えてネットワーク分離環境での利用が増える中、ユーザーの多様なニーズに対応するため、ブックマークバーの表示や、閲覧データ(履歴、Cookie、プロキシ認証情報)の保存、ダウンロードしたファイルをFileZen S(弊社製品)へアップロードする操作の簡易化など、主にユーザーの利便性向上を目的とする機能強化を実施した新バージョンをリリースしました。

③WrappingBox新バージョンの開発・リリース

WrappingBoxの隔離領域内で利用する標準のブラウザーとしてWindows版SecureBrowserⅡを同梱し、機能を刷新した新バージョンをリリースしました。Internet ExplorerベースのSecureBrowser Proでは正常に動作しなかったWebサイトも表示できるようになり、SecureBrowserⅡで強化された機能をWrappingBoxのユーザーも利用できるようになりました。また、隔離領域内で動作するアプリケーション間のデータのやりとりや、SecureBrowserⅡでの操作感をさらに向上させるために、クリップボード制御とドラッグアンドドロップ制御についての処理を全面的に見直し、ユーザーにとってより使いやすい製品になっています。

[クラウドサービス]

①OneGate新バージョンの開発・リリース

ネットワーク認証から社内外のアプリケーション利用までの多要素認証に対応したID認証サービス「Soliton OneGate」の機能追加を実施した新バージョンの開発・サービス提供を実施しました。新バージョンでは認証機能の強化としてリスクベース認証に対応しており、OneGateへのログインの際にログインユーザーの位置情報などを取得し、リスクがあると判断した場合にだけ追加の認証を要求することにより利便性を維持しつつログイン時のセキュリティ強化を実現します。また、スマートフォンを利用したWindows端末へのログイン、Chromebookへの証明書配布などもサポートし、利便性と運用性の更なる向上を図りました。

(2)映像コミュニケーション事業

映像コミュニケーション事業の研究開発費は10百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。

①4KエンコーダーのZao-Xを発売開始

モバイル回線を利用して高画質の動画をライブ中継するSmart-telecasterシリーズの最新モデルとして「Smart-telecaster Zao-X」を発売開始しました。従来機との大きな違いは、4K解像度の中継をサポートしていること、LTEモデムを4つ束ねるMLU(Multi Link Unit)を同梱したこと、です。また、最短遅延(Grass to grass 50ms)を従来機より継承しています。

②クラウド経由で制御信号を伝達

従来の当社の遠隔制御システムはエンコーダーとデコーダーを1対1で接続する構成でしかできませんでしたが、Zao Cloud Viewに統合することによりサーバー経由での短遅延での制御が可能になりました。この統合により、遠隔操縦をしているオペレーターはもちろん、それ以外の場所でその制御状態を監視したり、複数の車両を一人のオペレーターが監視管理できるシステムを構築することが可能になりました。受信側は前連結会計年度に開発したH.265対応Webブラウザを使用します。高画質の画像をモニタリングし、ハンドルなどのコントロール信号を同ブラウザ経由で伝送します。専用ワークステーションを用いていた従来システムと比較して安価に受信側のシステムを構成することが可能です。

(3)Eco 新規事業開発

Eco 新規事業開発の研究開発費は242百万円であります。主要な研究開発項目は以下のとおりです。

①アナログ方式エッジAIチップの開発

超低消費電力でありながら、端末において高度な認識を可能にする、アナログ方式によるエッジAIチップの開発を独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の助成を受けて行っております。詳細シミュレーションによって数百マイクロワットでの動作が見込まれております。実チップでの動作検証に向けて設計開発を進めました。

②短遅延映像伝送技術の開発

遠隔運転、遠隔医療、遠隔操縦などの実現に必須となる短遅延映像伝送技術の研究開発を行っています。当連結会計年度は短遅延伝送技術を組み込んだ新製品「Zao-X」の販売を開始しました。独自の伝送プロトコル「RASCOW2」により、マルチリンクでの短遅延伝送を可能とします。またRASCOW2をライブラリとして開発者向けに提供するプロジェクトを進めています。

(4)その他

その他の研究開発費は129百万円であります。主要な開発項目は以下のとおりです。

①「遠隔運転システム」の開発と空港内での専用貨物車に対する走行実験の実施

遠隔地から自動車を運転操作できる「遠隔運転システム」を、日本航空株式会社(以下、JAL)の空港専用貨物牽引車に搭載し、中部国際空港エリア内で名古屋市内から遠隔運転する実証実験を行い成功しました。JALと共同で、引き続き試験を継続中です。

②自動運転(レベル4)向け「次世代遠隔システム」の経産省からの受託開発

自動運転(レベル4:ドライバー無人)に必須となる「次世代遠隔システム(基盤となる車載用通信システムを含む)」の開発について、経済産業省から、前連結会計年度に続き当連結会計年度も継続して受託しました。実用化に向け福井県永平寺町の道路で、地元自治体並びに自動運転開発会社等と共同で、走行検証を実施いたしました。