第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の記載内容のうち、歴史的事実でないものは、有価証券報告書提出日(2022年3月25日)現在における当社グループの将来に関する見通しおよび計画に基づいた将来予測です。これらの将来予測には、リスクや不確定な要素などの要因が含まれており、実際の成果や業績などは、記載の見通しとは異なる可能性があります。

 

①  企業理念 THE SHISEIDO PHILOSOPHY

当社は、1872年に創業し、今年創業150周年を迎えます。その創業当時から「『美と健康』を通じてお客さまのお役に立ち、社会へ貢献する」ことを目指して活動してきました。そして、2019年には、100年先も輝き続け、世界中の多様な人たちから信頼される企業になるべく、新・企業理念THE SHISEIDO PHILOSOPHYを定義しました。国・地域・組織・ブランドを問わず、この企業理念を常によりどころとして、世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニーを目指しています。

THE SHISEIDO PHILOSOPHYは、以下で構成されています。

1. 私たちが果たすべき企業使命を定めた OUR MISSION

2. これまでの140年を超える歴史の中で受け継いできた OUR DNA

3. 資生堂全社員がともに仕事を進めるうえで持つべき心構え OUR PRINCIPLES

 

〔THE SHISEIDO PHILOSOPHY〕


〔OUR MISSION〕

BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD

ビューティーイノベーションでよりよい世界を

資生堂は多様化する美の価値観、ニーズをとらえ、
人々に自信と勇気を与え、喜びや幸せをもたらすイノベーションに挑戦します。 

美でこの世界をよりよくするためにイノベーションを

おこし続けていくことが私たちの責任であり、使命です。

 

THE SHISEIDO PHILOSOPHYの詳細については、当社企業情報サイトの「会社案内/企業理念」(https://corp.shiseido.com/jp/company/philosophy/)をご覧ください。

 

②  中長期経営戦略 「WIN 2023 and Beyond」

当社は、スキンビューティー領域をコア事業とする抜本的な経営改革を通して、2030年までにこの領域における世界No.1の企業になることを目指す中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を遂行しています。外部環境が急激に変化する中、2021年~2023年の3年間で、収益性とキャッシュ・フロー重視の戦略へと転換し、“スキンビューティーカンパニー”としての盤石な基盤を構築します。

この戦略のもと、2021年は、「変革と次への準備」の期間としてWithコロナへの対応を進めるとともに、困難な決断も先送りすることなく、事業ポートフォリオの再構築を短期間で実行し、2022年以降の再成長に向けた準備を確実に行いました。創業150周年を迎える2022年は「再び成長軌道へ」の年と位置づけ、グローバルブランドの成長促進やDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速・進展に取り組みます。

また、2023年の「完全復活」とそれに続く成長を見据え、3年間にわたり、ブランド・イノベーション・サプライチェーン・DX・人財の強化に向け、積極的な投資を継続していきます。

 


 

③  2022年の重点方針 ~構造改革を経て、再び成長軌道へ~

新型コロナウイルス変異株の発現により、経済の先行きに対する不透明感は継続していますが、当社では、一部の地域を除き、2022年中の市場回復を見込んでいます。こうした中、2022年は以下の取り組みを重点的に実施し、「WIN 2023 and Beyond」で掲げた2023年における売上高1兆円程度・営業利益率15%達成に向け、市場の変化にも迅速・的確に対応できる柔軟性を備えた経営体制を整えていきます。

 

[2022年の重点方針]

●  スキンビューティーブランド育成、M&A機会探索

●  欧米収益性改革の続行

●  日本・中国事業 下期の本格回復を目指す

●  中国・トラベルリテール 成長基盤を維持

●  全社DX加速

●  構造改革継続、収益力・生産性の拡大

●  長期取り組み強化(ESG、サプライネットワーク、R&D、“FOCUS”、人財)

※最先端のテクノロジーを活用して会社のシステムをグローバルに統合し、データの標準化、業務プロセスの最適化を目指す全社的なプロジェクト

 

上記取り組みにより、2022年12月期の連結売上高は、事業譲渡影響などを除く実質14%成長の1兆1,000億円を見込んでいます。利益については、売上増に伴う差益増の一方、市場の回復を見据えた戦略的投資を織り込み、営業利益600億円を見込んでおりますが、今後の市場回復によるプレミアムスキンビューティーブランドを中心にした売上のさらなる拡大、原価率改善、マーケティング投資効率の向上を通じて、さらなる増益をめざします。また、経常利益635億円、親会社株主に帰属する当期純利益400億円を見込んでいます。

年間の主要な為替レートを、1米ドル=114円、1ユーロ=131円、1中国元=17.5円として計画を策定しています。

なお、2021年11月10日に発表したとおり、当社は2022年第1四半期より、従来の日本基準に替えて国際財務報告基準(IFRS)を任意適用します。同基準による2022年12月期の連結業績予想につきましては、2022年第1四半期の決算発表の際に公表予定です。

 

スキンビューティーブランドの拡充

2021年は、当社が強みを持つスキンビューティー領域をコア事業と位置づけ、スキンケアを中心としたスキンビューティーブランドを核とする事業ポートフォリオに再構築しました。2022年は、従来のスキンケアに加え、肌だけでなく体の内面を整え、健やかで美しい肌を目指すインナービューティーや、美容機器と皮膚科学技術を組み合わせたエイジングケア、そして自然や環境に配慮したサステナブル・クリーンといった領域も強化することにより、スキンビューティーブランドをさらに拡充していきます。

具体的には、「SHISEIDO」「クレ・ド・ポー ボーテ」「イプサ」「エリクシール」「dプログラム」といった既存のコアスキンケアブランド(敏感肌含む)やサンケアブランド「アネッサ」の強化、メンズカテゴリーの拡大に加え、メイクアップブランド「マキアージュ」においても、スキンケア効果を兼ね備えた美容液リキッドファンデ―ションを発売するなど、スキンビューティーを充実させていきます。

また、サステナブル・クリーンなブランド「バウム」や「Drunk Elephant」の成長を促進し、今後の伸長が期待できるサステナビリティに配慮するお客さまの需要にも積極的に対応していきます。

その他、1996年の誕生以来進化を続ける「ザ・コラーゲン」ブランドに加え、新しいインジェスティブル(摂取型)ビューティーブランド「INRYU(インリュー)」を、日本では2022年1月より発売し、中国でも発売を予定するなど、インナービューティー領域も展開していきます。

これらの取り組みにより、当社グループ全体の売上高に占めるスキンビューティーブランドの構成比を、2022年には75%超まで高めていきます。

※インジェスティブル(摂取型):経口で体内に摂取することを意味する。

 

日本事業における今後の戦略

当社は2022年後半に日本市場の回復を見込んでおり、これを視野に入れながら、成長性の回復と収益性改善に取り組んでいきます。

成長性回復に向けては、プレステージブランドの価値を強化するとともに、プレミアムブランドでは革新的な商品開発により魅力的な商品を提供していきます。加えて、DXの推進により進化したデジタルデータ・ツールを活用し、お客さま一人ひとりの価値観に寄り添ったパーソナルな接客を強化していきます。これらの取り組みにより、愛用者基盤の盤石化を加速します。

収益性の改善に向けては、スキンビューティーカテゴリーの構成比だけでなく、その中の重点ブランドの構成比を高めることにより、プロダクトミックスの好転に伴う原価率の改善を目指します。同時に、Eコマース比率も引き上げて収益性の拡大を図ります。また、マーケティング投資の管理・分析を徹底して投資リターンを最大化するとともに、原価および物流費の低減、組織の効率化に向けたオフィス再編、人的生産性を高めていくことにより、収益性を改善していきます。

 

中国事業における今後の戦略

中国では、新型コロナウイルス感染症の変異株拡大によるロックダウンなど短期的な影響はあるものの、中長期的にはEコマースとプレステージがけん引し成長が継続すると見込んでいます。こうした中、当社は、既存のブランドに対する投資を最優先し、主力ブランドが、プロダクトラインの拡充やカテゴリーの拡大を通じて、新たな成長領域の構築を図ることで成長を目指します。一方、2021年に新たに導入したブランドについては、そのユニークなブランドポジションを最大限発揮できるオペレーション構築に取り組みます。また、新規のオンライン・オフラインともにチャネル拡大を図り、お客さまとの接点を新たに創出していきます。

一方、成長とともに持続的な収益性を高めるために、自社データベースを拡充し、よりお客さま一人ひとりとつながるパーソナライズされたコミュニケーションを実現させます。中国最大のソーシャルメディア事業者であるTencent(テンセント)グループとの提携により、ソーシャルコマース売上の拡大を目指します。売上増に伴う差益増のほか、物流センターの統合やサンプルの現地生産化、間接購買の一元化などによりコスト構造を改善し、固定費率を低減していきます。

※ソーシャルメディア(SNS)とEコマース(EC)を掛け合わせて商品の販売促進を行う。

 

DXの加速

DXの推進については、2021年の資生堂インタラクティブビューティー株式会社の設立や、テクノロジー企業との戦略的パートナーシップの締結を通じ、デジタルを活用した事業モデルへの転換に向け、様々な取り組みを実行していきます。

具体的には、オンライン肌診断プログラムを多言語対応としグローバル展開することにより、幅広い消費者とエンゲージメントを高め、多様な肌データを蓄積していきます。また、先端のデジタルテクノロジーを積極的に活用し、さらに充実したデジタルマーケティングを実現させていきます。「NARS」では、臨場感あふれる世界観と革新的なデジタル技術を融合させ、ゲームの世界や仮想空間でブランドコミュニティを共創し、次世代の参加型マーケティングを展開しています。

これらの取り組みにより、2021年には34%に達したグローバルでのEコマース売上比率を、さらに引き上げていきます。

 

サプライチェーンの確立:供給能力と生産性の向上

今後のさらなる成長性を確保するためには、中長期的に安定した供給体制の確立が不可欠です。当社では、中長期経営戦略で掲げている“高収益構造への転換”、“スキンビューティーへ注力”、“成長基盤の再構築”を実現するため、2019年の那須工場、2020年の大阪茨木工場の稼働に続き、2022年の福岡久留米工場の稼働により、さらに自社供給体制の強化と生産性の向上を進めます。

大阪茨木工場は、西日本物流センターを併設しており、プレステージスキンケア製品の生産と、物流を担うサプライチェーン拠点として始動しました。生産から輸送にかかる作業効率を上げ、輸送時にかかるコストや環境負荷を軽減していきます。

また、福岡久留米工場は、次世代型工場として、IoTなどの最先端の技術や最新の設備を活用し、既存工場より少ない要員で高い生産性を実現するとともに、周囲の自然と調和し、環境に配慮した工場を目指します。

市場の回復に伴う需要の拡大に迅速かつ的確に対応できるよう、生産・供給体制を整えていきます。

 


  福岡久留米工場(2022年5月稼働予定)                  デジタル化による生産性向上

 

 

環境・社会・ガバナンス(ESG)

長期的な成長を実現するために、当社では環境、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)、コーポレートガバナンスの強化を重要視し、これらを経営戦略の一部として統合していきます。

環境面※1においては、環境関連の中期目標達成に向け、再生可能エネルギーへの切替えやエネルギー効率改善などによるCO2排出量の削減、水や廃棄物量の削減、サステナブルパッケージへの切替えなどに継続的に取り組んでいきます。

社会面においては、D&I、特に女性活躍をさらに推し進めており、国内外の当社グループ全体の女性管理職比率は58%※2に達しています。一方、日本国内の女性管理職比率は37%※2に留まっており、これを長期的に50%にまで高めていきます。また、「30% Club Japan」への参加や「資生堂女性研究者サイエンスグラント」の実施などにより、社外の女性活躍を後押しする活動も継続していきます。

コーポレートガバナンスにおいても、取締役会における社外役員や女性役員の比率を高め、実効性と透明性を向上させていきます。

※1 詳細は、16ページ「6. 社会価値創造に向けた取り組み」を参照ください。

※2 2022年2月時点(速報値)

 

人財、組織ケイパビリティ:グローバルリーダーシップチーム

当社は、グローバルビューティーカンパニーの実現のためには、強いリーダーシップチームと、高い組織ケイパビリティが重要と考えています。

当社は、2022年1月より執行役員制度を廃止し、エグゼクティブオフィサー体制へ完全移行しました。エグゼクティブオフィサーは、当社グループの全社経営の視点から必要となる重要な職責や役割に対して、CxO(シーエックスオー)として領域ごとに責任を持つポジションです。ダイバーシティ経営を加速させるため、ジェンダー・国籍・年齢などの枠にとらわれることなく、これまで以上に適材適所を実現し、多様な人財を社内外問わずグローバルで登用していきます。

 

 

④  全社員参加型の未来プロジェクト Project Phoenix 始動

当社のコア事業である化粧品事業のグローバルな復活・成長を目指して、2021年11月に「Project Phoenix」を立ち上げました。「Project Phoenix」は、化粧品事業に関連する社員一人ひとりが、成長と発展のための大胆なアイディアを出すボトムアップ型のプロジェクトです。各地域で、リージョンCEOのリーダーシップの下、各職場で多様性に富んだ意見やアイディアを収集していきます。

「WIN 2023 and Beyond」で掲げた”2030年スキンビューティーカンパニー世界 No.1”を確実に達成するために、ブランド、商品開発、イノベーション、サステナビリティ、デジタル、サプライチェーン、人財・組織など多岐にわたる視点から、社員が自発的に課題を洗い出し、改善策を模索・提案していきます。こうして集まった提案を経営戦略に反映させ、全社がさらなる連帯感をもって”世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”を目指していきます。

 


 

⑤ 株主還元と創業150周年記念配当

株主への利益還元については、直接的な利益還元と中長期的な株価上昇による「株式トータルリターンの実現」 を目指しています。フリー・キャッシュ・フローの状況を重視し、自己資本配当率(DOE)2.5%以上を目安とした長期安定的かつ継続的な還元拡充を実現します。

また、創業150周年を記念して、記念配当を実施する方針です。これは、株主を含むステークホルダーからの長期にわたる支援に対し感謝するとともに、当社の未来の発展への決意を込めて実施するものです。

なお、2022年12月期配当予想(創業150周年記念配当)に関しては、当社企業情報サイトに掲載している以下のニュースリリースを参照ください。

https://bit.ly/362vDoq (短縮URL)


 

⑥ 社会価値創造に向けた取り組み

サステナビリティの推進体制

資生堂では、ブランド・地域事業を含む、全社横断でサステナビリティの推進に取り組んでいます。

2020年にサステナビリティ関連業務における迅速な意思決定と全社的実行を確実に遂行するため、サステナビリティ関連課題について専門的に審議し決議するSustainability Committeeを設置しました。グループ全体のサステナビリティに関する戦略や方針、TCFD開示や人権対応アクションなど具体的活動計画に関する意思決定や、中長期目標の進捗状況についてモニタリングを行っています。社長 CEOを含む、経営戦略、R&D、サプライネットワーク、広報、およびブランドホルダーなど各領域のエグゼクティブオフィサーで構成され、それぞれの専門領域の視点から活発に議論しています。

2021年は、従来のSustainability Committee開催に加えて、サステナビリティ課題を経営へ取り込むべく、関係するエグゼクティブオフィサーや主要組織の実務推進責任者と実行における対応を議論・決定する会議を追加実施し、全社での推進を強化しました。また、業務執行における重要案件に関する決裁が必要な場合は「Global Strategy Committee」や取締役会にも諮り、審議しています。

2022年1月には、サステナビリティ活動を強化・拡充し、経営戦略・事業戦略と一体的に運用・推進していくため、組織改正を行いました。具体的には、経営革新本部内に全社のサステナビリティに関する戦略・推進機能を担う「サステナビリティ戦略推進部」を設置し、社内外に向けて当社のダイバーシティ&インクルージョン(D&I)アクションを加速するために「D&I戦略推進部」を新設しました。

 

〔環境関連の中期目標〕

項目

目標値

達成時期

CO₂排出量

カーボンニュートラル※1

2026年

水 

水消費量 △40% (対2014年)※2

2026年

廃棄物

埋め立てゼロ※3 

2022年

容器包装

サステナブルな容器100%※4

2025年

パーム油

サステナブルなパーム油 100% (RSPO MB方式以上)

2026年

サステナブルな紙 100% (認証紙・再生紙など)※5

2023年

 

※1 資生堂全事業所、Scope1+2 ※2 資生堂全事業所、売上高原単位 ※3 自社工場のみ 

※4 プラスチック製容器について ※5 製品における

 

TCFD提言に基づく気候変動リスクと評価のシナリオ分析

資生堂は、気候変動問題が事業成長や社会の持続性に与える影響の重大性を踏まえ、2019年4月にTCFDへの賛同を表明し、TCFDフレームワークに沿った情報開示に着手しました。2020年はリスクと機会の定性分析の結果を開示、2021年は定量的に分析する手法を開発し、脱炭素社会への移行に伴うリスク・機会、および気候変動にともなう自然環境の変化によって引き起こされる物理的リスク・機会について、1.5℃シナリオと4℃シナリオそれぞれにおいて、分析結果と主な対応アクションを開示しました。

 

シナリオ分析の内容

1.5/2℃および4℃の気温上昇を想定し、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が示したRCP(代表濃度経路)とSSP(共通社会経済経路)シナリオに沿ってリスクと機会について分析を行いました。リスクについては、1.5/2℃シナリオでは、脱炭素の移行に伴う政策、規制、技術、市場、消費者意識の変化による要因を分析し、積極的な気候変動対策がとられない4℃シナリオにおいては、気温上昇に伴う洪水の発生や気象条件など急性/慢性的な変化による物理的影響について分析を実施。その中で、特に影響の大きな炭素税、市場や消費者動向、洪水、水不足などに伴うリスク要因について、2030年時点での財務影響を定量化しました。

一方、機会に関しては、1.5/2℃シナリオでは、消費者の環境意識の高まりに伴い、サステナビリティに対応したブランドや製品への支持が高まることが予想され、4℃シナリオでは、気温上昇に対応した製品の販売機会が拡大することが予想されます。

 

今後は、事業と連携して対応アクションを策定し、経営・事業計画に反映させることでバリューチェーンを通じたリスクの緩和に努めるとともに、機会創出につながる取り組みについて、順次開示していきます。同時に、イノベーションによる新たなソリューションの開発により、サステナブルな製品を提供していきます。

 

環境対応パッケージ開発促進

CO₂排出量や海洋プラスチックごみ問題などは、グローバルで喫緊に解決すべき環境課題であり、当社はサステナブルな容器の開発などで対応を強化しています。当社はサーキュラー・エコノミーの考えに賛同し、2025年までに100%サステナブルな容器※1とすることを目標として定めました。環境負荷軽減に向けて、容器包装に関するポリシー5Rs(Respect(リスペクト)・Reduce(リデュース)・Reuse(リユース)・Recycle(リサイクル)・Replace(リプレース))に基づき、製品のライフサイクル全体を通じた取り組みを推進します。

2021年においても、環境に配慮した様々な容器包装の取り組みを実施しました。例えば、プラスチック使用量の削減だけでなく、本体容器の繰り返し使用が促進できる「つめかえ・つけかえ」容器のグローバル展開、容器を再利用するプラットフォームLoop※2での製品の発売、リサイクルに適した単一素材容器、石油由来に比べCO₂排出量の少ないサトウキビ由来ポリエチレンを使った容器、そして株式会社カネカとの共同による優れた生分解性が期待される素材「カネカ生分解性ポリマーGreen Planet™※3」の化粧品容器への応用を実現しています。また、製品だけでなく、日用品/化粧品4社協働※4にて販促物に使用するプラスチックを紙製に変更する取り組みも実施しています。

加えて、小売店や競合他社と協働し、お客さまから使用後の空き容器を回収・リサイクルし、資源として再活用しています。

このように、当社の独自の技術や社外とのコラボレーションを通じたイノベーションにより、製品の使いやすさや美しさとともに、環境課題解決も追求していきます。

※1 プラスチック製容器について

※2 Loop: 米国に本社を持つテラサイクル社が開発した容器を回収・洗浄し再利用する循環型ショッピングプラットフォーム。米国、フランスなどではすでにスタートし、2021年に日本においてEコマースで販売

※3「カネカ生分解性ポリマー Green Planet™」:株式会社カネカが独自に開発した100%植物由来のポリマーであり、海中や土中など幅広い環境下で優れた生分解性が期待される素材

※4 資生堂ジャパン株式会社、株式会社ファイントゥデイ資生堂、ユニ・チャーム株式会社、ライオン株式会社

 

 

メイクを通じた社会貢献活動、「メセナアワード 2021」で優秀賞を受賞

当社のがん患者さんを支援する活動「LAVENDER RING MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」が、公益社団法人 企業メセナ協議会が主催する「メセナアワード 2021」において、優秀賞を受賞しました。2017年より開始した本プロジェクトは、化粧のちからで、がん患者さんが、「がんに支配されることなく自分らしく、生きていく」という意思を表現することを支援する活動です。今後も社会課題に対して真摯に向き合い、経営資源および当社が本業を通じて培った知見や経験を活かしながら、企業や団体、病院、学校などとの連携を一層強化することで、同様のお悩みを持った方々への支援を展開していきます。

 

創業150年の歴史を未来へとつなげるヘリテージ教育の強化

創業から150年にわたって積み重ねてきた、資生堂のヘリテージは私たちの強みです。この強みとナレッジを未来のイノベーションの糧とするため、社員に向けたヘリテージ教育を強化しています。

日本国内の営業担当・ビューティーコンサルタントに向けて、「BEYOND OUR HISTORY」と題した講演を実施し、創業から近代の歴史とその背景にある先人の想いをエピソードとともに伝え、リアルとオンラインを組み合わせて2,000人以上の社員に直接語りかけました。あわせて講演内容を映像コンテンツとして制作し、より多くの社員が資生堂の創業からの想いを学べるよう配信しました。グローバルな取り組みとしては、資生堂企業資料館が収集保存してきた資料および情報を全世界の社員が閲覧できるデータベース、「SHISEIDO ARCHIVES」をイントラネット上に整備しました。現在は約13万件のアーカイブが公開され、今後さらに閲覧可能なデータを増やすとともに機能を強化し、社員によるアーカイブ活用を加速させていきます。価値開発に携わるブランドホルダーやR&D部門に向けては、資生堂のDNAのひとつである「アート&サイエンス」を体感するための特別プログラムを構築し、最先端のアートや資生堂の美意識がこめられたヘリテージと向き合うことを通じて、ユニークで新しい価値を生み出すための感性を刺激しています。

こうした活動により、一人ひとりの社員が資生堂のヘリテージにインスパイアされ、他社にはない独自の価値を創造していくことを目指しています。

 

資生堂健康宣言および資生堂ビジョン・ゼロ宣言(安全宣言)

私たちは、本業であるビューティービジネスそのもので社会課題の解決や人々が幸せになるサステナブルな社会を実現することが、資生堂の使命であると考えています。それを実現するため、「資生堂健康宣言」および「資生堂ビジョン・ゼロ宣言(安全宣言)」を策定しました。

 

サステナビリティ関連銘柄・インデックスへの選定

当社は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施する令和2年度「なでしこ銘柄」に選定されました。「なでしこ銘柄」とは、女性活躍推進に優れた上場企業を中長期の企業価値向上を重視する投資家にとって魅力ある銘柄として紹介することにより、そうした企業に対する投資家の関心を一層高め、各社の取り組みを加速化していくことを狙いとするものです。

加えて、当社は、世界の代表的なサステナビリティ指標である「Dow Jones Sustainability Index(DJSI)World」および、アジア・太平洋地域を対象とした「DJSI Asia Pacific」の構成銘柄に選定されました。同インデックスは、企業の「経済・環境・社会」の3つの側面から企業活動を分析・評価し、持続可能性に優れた企業を選定するもので、企業の社会的責任に関心を寄せる投資家の意思決定にとって、重要な指標の一つとなっています。

当社は、今後も、ジェンダーや環境など様々な社会課題に、本業であるビューティービジネスを通して取り組むことにより企業価値をさらに向上させるとともに、「人々が幸福を実感できる」サステナブルな社会の実現を目指していきます。

 

当社はこれらの活動を通じて、“世界で勝てる日本発のグローバルビューティーカンパニー”を目指し、100年先も輝き続ける企業となれるよう取り組みを継続してまいります。

 

2 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち当社グループの財政状態および経営成績等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、投資家の判断に影響を及ぼす可能性のある事項と考えています。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年3月25日)現在において当社グループが判断したものですが、ここに掲げられている項目に限定されるものではありません。

 

当社では、「あらゆるステークホルダーとの信頼関係を築き、中長期経営戦略の実現を一層確実なものとすること」を主眼に置いてリスクマネジメントを推進しています。そのため、リスクを戦略実現に影響を与える「不確実性」と捉え、脅威だけでなく、機会も含めた概念として定義し、必要な体制を構築するとともに、積極的かつ迅速に対応策を講じています。

定期的に当社グループのリスクを特定し対応策等を審議する体制として、当社CEOを委員長とし各地域CEOおよび当社エグゼクティブオフィサー等をメンバーとする「Global Risk Management & Compliance Committee」や「Global Strategy Committee」を設置しています。また、リスクに関連する情報は、グループCLO(チーフリーガルオフィサー)直轄のリスクマネジメント部門に集約されます。

 

2021年度は、総合的・多面的な手法(ホリスティックアプローチ)を用いてリスクを抽出しました。具体的には、当社CEOをはじめとしたエグゼクティブオフィサー、各地域CEOのリスク認識を把握するインタビュー、ならびに各地域で実施した地域ごとのリスク評価、当社関連機能部門との情報交換等を元に、リスクマネジメント部門による分析や外部有識者の知見を加えて、「WIN 2023 主要戦略※1」実現に影響を及ぼす可能性のあるリスクを特定しました。

そして、それらのリスクについて、「リスクが顕在化した場合の経営成績等に与える影響」、「リスクが顕在化する可能性の程度や時期」、「当該リスクへの対応の十分性」の3つの評価軸を設定し、上記Committeeや個別会議※2などを通じて、リスクの優先付けおよび対策状況の検討・確認を行いました。

アセスメントの結果抽出されたリスクは、その性質に基づき、外部の変化に起因する「生活者・社会に関わるリスク」、内部の活動に起因する「事業基盤に関わるリスク」、そして「その他のリスク」の3つのリスクカテゴリーに分類し対応しています。

また、リスクごとにリスクオーナーを設定し、対策の責任を明確化し、さらに透明性高いモニタリングを実施するため、推進状況を定期的に上記Committeeおよび取締役会にて議論する仕組みを構築・運用しています。

 

当連結会計年度のアセスメント結果で特筆すべき点として、各リスクの結びつきが強固になっており、それに伴い各リスクにおける対応策の相互依存関係が一層高まっていること、また、「生活者の価値観変化」および「優秀な人材の獲得・維持と組織風土」が他のリスクに与える影響が大きいことが挙げられます。

以下に領域ごとに、主要戦略との関係性と想定されるリスク(脅威・機会)、対応策の概要を記述します。なお、記述内容は、2022年3月25日時点におけるものです。

 

※1 WIN 2023 主要戦略

高収益構造への転換

①事業構造改革による収益性改善

②コスト競争力強化・生産拠点の生産性向上

③中国を中心としたアジア圏での成長強化

スキンビューティーへ注力

④スキンビューティーブランド育成・ポートフォリオ拡充

⑤他社との協業によるイノベーション強化

⑥インナービューティー事業の開発

成長基盤の再構築

⑦サステナビリティを中心とした経営への進化

⑧ブランドを強くするマーケティングの革新と組織強化

⑨デジタル事業モデルへの転換・組織構築

⑩人材・組織のさらなる多様化と能力開発

 

 

※2 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、Committeeの全メンバーが一堂に会する対面方式での会議開催が困難な場合があったため、リスクマネジメント部門と各メンバーとの個別オンライン会議などの手段で代替しました。

 

<生活者・社会に関わるリスク>

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

生活者の価値観変化

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・プレミアムスキンビューティー領域への注力。

・自社開発・オープンイノベーション・戦略的M&Aを組み合わせた事業ポートフォリオの強化。

・インナービューティー事業の開発。

・クロスボーダーマーケティングの強化。

〔不確実性〕

・生活者の「美」に関する価値観や化粧品・インナービューティーに対するニーズ、価格の受容性、購買タッチポイントを含む購買行動の多様化への対応が遅延する、あるいは不十分で競合に機会を奪われる可能性。(脅威)

・生活者の価値観変化に対応したマーケティング戦略により、計画以上の売上・利益につながる可能性。(機会)

〔対応策〕

・ライブコマース、オンラインカウンセリングをブランド×地域横断で展開強化。

・生活者の価値観の多様化に対応するブランドポートフォリオ強化。(Drunk Elephant・BAUM・THE GINZA・EFFECTIMの展開加速、新ブランド開発、M&A等)

・生活者情報を適宜適切に入手するための市場情報に関する専門部署の設置。

・中国人生活者に向けた価値開発機能強化。(研究開発、マーケティング等)

・「中国事業創新投資室(CBI)」を通じた中国市場動向をとらえた既存事業のイノベーションと新規事業開発の推進。

・グローバル本社を中心とした人材の多様性加速。

・他社とのオープンイノベーションによる価値・事業開発。

④⑤⑥⑦⑧⑨

デジタル化の加速

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・チャネル構造の変化を踏まえた、継続愛用者育成のための顧客エンゲージメントおよびEコマースの強化。

・社内外のプライバシー規制に準拠した形で顧客データを獲得・分析し、デジタルCRMを通じて、よりパーソナライズされたマーケティングを展開。顧客エンゲージメントの獲得・維持を強化。

〔不確実性〕

・デジタルを活用した事業モデル・価値提供の変革スピードが競合他社に対し劣後し、新規ユーザーの獲得の機会損失および既存ユーザーのブランド離反が発生し、市場シェアが低下する可能性。(脅威)

・Eコマースと店頭販売を融合させることによる当社独自の価値提供の可能性。(機会)

〔対応策〕

・グローバル本社・各地域本社におけるチーフデジタルオフィサー登用。

・DXによる事業モデルの革新に向けた、「資生堂インタラクティブビューティー株式会社」の設立。

・デジタルマーケティング専門人材の獲得・維持・育成強化。

・デジタルマインドセットをコアコンピテンシーの1つと捉えて促進するために、全社的なデジタルアカデミーを開催。

・Eコマースと店頭販売を融合させたオムニチャネル推進。

・顧客とのパーソナライズされたエンゲージメント強化に向けたビューティテック開発・導入の促進、独自の肌診断コンテンツの強化。

・オンラインや店頭で生活者に提供するサービス・技術を通じたファーストパーティーデータの取得推進。

・中国ECプラットフォーム企業との業務提携やITベンチャー企業との提携によるデジタルマーケティングの強化。

・日本におけるオムニ専属BCの本格始動。(YouTube, Instagram, チーム伴走型美容プログラム「ONLINE BEAUTY STUDIO」等)

⑧⑨⑩

 

 

 

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

最先端のイノベーション

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・独自のR&D理念「DYNAMIC HARMONY」の策定と実行による研究の選択と集中。

・プレミアムスキンビューティー領域における研究開発の強化。

・研究開発投資:売上高比率3%程度に設定し推進。

・各地域本社における研究開発と規制対応の強化。

・イノベーションの源泉となる、優れた研究開発の成果等を生活者・得意先に発信するコミュニケーションの強化。

〔不確実性〕

・開発技術が類似技術や代替技術の出現により陳腐化する、あるいは各国の薬事規制により開発技術が使用できなくなり、生活者に新たな価値を提供できなくなる可能性。(脅威)

・短期視点での新技術の投入や、中長期的視点での基盤研究やサステナビリティを加速する代替原料や処方開発の停滞、またはM&Aや外部との共同事業の進捗が遅延するなどの理由により、意図したシナジー効果を実現できなかった結果、生活者のニーズと合致した価値を提供できず、競争劣後となる可能性。(脅威)

・サービス・プロセス・組織などの領域における画期的なイノベーションによる価値創造が生活者に新たな価値を提供し、当社の競争優位を決定づける可能性。(機会)

〔対応策〕

・化粧品R&Dへの投資・リソース再拡大。

・研究開発組織の改編(ブランド価値開発研究所・みらい開発研究所)。

・環境開発機能(パッケージ・処方・原料開発)を統括し、技術開発および戦略実行のハブとして、商品開発部門と連携してスピーディーな製品化に結びつける目的で、研究所内に「サステナブル開発推進室」を新設。

・グローバル本社内にグローバル視点で薬事等の規制動向のモニタリングや戦略を策定する「グローバル規制部」を新設。

・他社との協業によるイノベーション強化の実現を目的とした、中国イノベーションセンターの新研究開発拠点の設立。

・最先端の設備を持つ那須工場、大阪茨木工場、福岡久留米工場の建設と順次稼働を予定。

・資生堂グローバルイノベーションセンター(GIC)(横浜)やBEAUTY INNOVATION HUB(中国・上海)を通じたイノベーションの促進。

・生活者のトレンドの変化に焦点を当て、外部機関との共同研究や、米国ベンチャー企業の知見の活用を強化。

・GIC主導のオープンイノベーションプログラム「fibona」におけるスタートアップ企業とのコラボレーションなど、外部との共創。

・研究開発投資対効果を測る指標(売上高研究開発費比率、研究員数、研究拠点数、特許出願数、論文数等)を設定し、モニタリング。

③④⑤⑥⑦⑧⑨

企業・ブランド

レピュテーション

〔〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・ブランド価値向上のため、デジタルマーケティングを含めた積極的なマーケティング活動を実施。

・コーポレートブランドや各ブランドのイメージ形成を狙いに、アンバサダーやインフルエンサーを起用し、積極的なマーケティング活動を展開。

〔不確実性〕

・当社の発信内容や、当社が起用したアンバサダーやインフルエンサーによる言動に対する社会的批判がその真偽に関わらず拡散し、当社イメージを低下させる可能性。(脅威)

・模倣品などが流通し、本来の当社の提供する価値が生活者に届かずブランドイメージを低下させる可能性。(脅威)

〔対応策〕

・ソーシャルメディアポリシーを定め社内に周知徹底。

・ブランドホルダーのマーケティングやコミュニケーション担当社員を対象としたブランドイメージ維持・向上のための教育。

・倫理的、社会通念上の視点から批判される可能性がある表現や言動の予防のため、宣伝・広告等の発信情報や起用アンバサダーやインフルエンサーの事前チェックシステムを導入。

・WEBサイトおよびソーシャルメディアのモニタリングによりネガティブ情報の早期発見および対応を実施。

・模倣品対策については行政との連携による摘発などの対策を実施。

④⑧⑨

 

 

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

環境・気候変動

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・より良い世界の実現に向けた取り組みとして、本業であるビューティー事業そのものを通じて、社会課題の解決や人々が幸福感を感じられる社会の実現に向けアクションを実行。

〔不確実性〕

・当領域への取り組みが十分でないと社会や生活者からの信頼を失うことや、購買動機の低下に影響を与える可能性。(脅威)

・環境課題、特に気候変動に伴うリスク対応が不十分だと、事業や財務に負の影響を与えるだけでなく、企業価値の低下につながる可能性。(脅威)

・サステナブルな商品の開発等の取り組みが、生活者をはじめとする社会からの信頼獲得に貢献し、ビューティーにおける新たな社会価値を創出することで、当社企業価値を飛躍的に向上させる可能性。(機会)

〔対応策〕

・Sustainability Committeeを定期的に開催し、中長期戦略の立案とKPIの設定、サステナビリティ関連課題の審議と決議、グローバル本社および地域本社の関連部門を巻き込んでの実行状況のモニタリングを実施。

・各ブランドにおけるサステナビリティ対応やSDGsの実現のための活動。(SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテなど)

・2024年末までに、全ての工場と物流センターにおいてISO14001の認証取得に向け推進。

・企業としての方針や取り組みとKPIをまとめたサステナビリティレポートの発行。

・環境対応パッケージの採用。(カネカ生分解性ポリマーGreen Planet®を使用した商品の開発・販売、「Loop」の日本展開に参画)

・認証パーム油および認証紙への切り替えの推進。

・主な環境負荷軽減項目(CO2・パーム油・紙・水・廃棄物)の中期的目標設定・開示と、達成に向けての推進。

・「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」への賛同と、その提言に基づき、気候変動リスクが事業に与える影響を定性的・定量的に分析したシナリオと具体的アクションを策定、情報を開示。

④⑦⑩

ダイバーシティ&

インクルージョン

 

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・「女性のエンパワーメント」、「美の力によるダイバーシティ&インクルージョン」の2つを戦略の柱とし、グローバル本社、地域本社、ブランドが国際機関やNGOなどステークホルダーとも連携しつつアクションを展開。

・特に日本において、世界に大きく後れをとっている「女性活躍」について、自社内のみならず、他企業への情報支援によって日本企業、また日本社会全体の変革を牽引。

〔不確実性〕

・当社の強みである、ダイバーシティ&インクルージョンの領域において、取り組みが十分でないと社会や生活者からの信頼を失う可能性。(脅威)

・ダイバーシティ&インクルージョン促進のための取り組みが、社会価値を創造し、生活者をはじめとする社会からの信頼獲得に貢献する可能性。(機会)

・ダイバーシティ&インクルージョンが根付いた組織風土によって、多様性に富んだ優秀な人材を獲得・維持でき、結果イノベーションが促進され、当社の企業価値を飛躍的に向上させる可能性。(機会)

〔対応策〕

・中長期戦略の立案とKPIの設定、グローバル本社および地域本社の関連部門を巻き込んでの推進状況のモニタリングを実施。

・各ブランドにおけるサステナビリティやSDGsの実現のための活動。(SHISEIDO、クレ・ド・ポー ボーテなど)

・企業としての方針や取り組みとKPIをまとめたサステナビリティレポートの発行。

・日本企業の役員に占める女性比率向上を目指す「30%Club Japan」に参画、当社CEOがチェアとしてTOPIX社長会の活動をリード。

・がんサバイバーの方々のQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)向上を支援するプログラム「SLQM(Shiseido Life Quality Makeup)」「LAVENDER RING MAKEUP & PHOTOS WITH SMILES」を通じた“化粧の力”の活用機会の拡大。

⑦⑩

 

 

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

自然災害・人的災害

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・グローバルでの成長基盤の再構築のための人材や経営インフラの強化。

〔不確実性〕

・昨今の世界各地における地震・水害・竜巻等の自然災害、テロ・暴動等による社員の安全に危害を及ぼす人的被害や物的被害、サプライチェーンへの影響が事業や供給を停滞させる可能性。(脅威)

〔対応策〕

・グローバル本社および各地域の重要拠点においてBCP(事業継続計画)を策定し、かつ同計画の実効性を上げるため、国内外の拠点において定期的に訓練を実施。

・新工場の設立等により、危機発生時においても柔軟かつ継続的な供給を可能とするグローバルサプライネットワークを強化。

②⑩

 

感染症

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・グローバルでの成長基盤の再構築のための人材や経営インフラの強化。

・デジタル事業モデルへの転換と組織構築の加速。

〔不確実性〕

・新型コロナウイルス感染拡大の長期化や同様のパンデミックの発生により消費が停滞し、売上・利益等が低下する可能性。加えて、従業員が通常通り勤務できないことにより、生産性が低下する可能性。(脅威)

・感染症拡大による生活者の価値観・ニーズの変化に迅速かつ柔軟に対応することで、市場での競争優位を確保できる可能性。(機会)

〔対応策〕

・新型コロナウイルスの感染拡大を受け、社員の安心・安全を第一に考え、グローバル本社ならびに各地域において対策本部を設置。感染症BCPを改定し対応体制を強化。

②⑨⑩

地政学的問題

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・成長を牽引する中国人生活者および中国本土・アジア・トラベルリテール事業への重点投資。

・日本事業の高収益事業基盤への再構築。

・欧米事業の収益性向上。

〔不確実性〕

・アジア諸国における対日感情が悪化した場合に、当社商品がボイコットされる可能性。(脅威)

・米中対立や、アジア地域での政治的な不安に起因する事業環境が悪化する可能性。(脅威)

・世界的な物価インフレによる原材料の価格高騰を企業努力で吸収することができなくなり、商品やサービスの価格に転嫁せざるを得なくなった結果、当社の商品に対する生活者の購買意欲が減退し、事業計画の達成が困難となる可能性。(脅威)

当社進出国の政治状況の不安定化、各国間の外交関係の緊迫化、紛争の発生により、事業環境が悪化した結果、当社グループの商品の生産、供給および販売体制に悪影響を及ぼす可能性。(脅威)

〔対応策〕

・中国・日本・アジアパシフィックにおけるプレミアムスキンビューティー事業の成長加速。

・新規事業、新ブランドによる中国におけるさらなる成長加速。

・各地域の売上バランスの適正化と、日本・欧米における利益の伸長および、さらなる支持獲得。

・危機発生時においても柔軟かつ継続的な供給を可能とするグローバルサプライネットワークの強化。

 

 

<事業基盤に関わるリスク>

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

優秀な人材の獲得・維持と組織風土

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・「PEOPLE FIRST」の考えのもと、イノベーションを起こし、変革をもたらす人材を育成・獲得。

・「OUR PRINCIPLES(TRUST 8)」として、「THINK BIG」「TAKE RISKS」「HANDS ON」 「COLLABORATE」 「BE OPEN」 「ACT WITH INTEGRITY」「BE ACCOUNTABLE」「APPLAUD SUCCESS」の8つを全社員の心構えとして設定。

〔不確実性〕

・優秀な人材の獲得・維持が計画どおり進捗せず経営計画を実現する人材が不足する可能性。特に、IT・デジタル領域で優秀な人材を獲得・維持できず、デジタル事業モデルへの転換・組織構築に時間を要する可能性。(脅威)

・優秀な人材の獲得・維持により、グローバル市場での競争優位を確保できる可能性。(機会)

・業務特性に合わせた働き方改革の推進により、組織の生産性が更に高まる可能性。(機会)

〔対応策〕

・社員とのコミュニケーションや対話を通じた、透明性の高いリーダーシップとガバナンスが根付いた組織風土の継続的な醸成。

・「リモートワーク」と「オフィスワーク」を組み合わせた、最大の成果を出すための新しい働き方(資生堂流ハイブリッドワークスタイル)や、副業許可など、柔軟性・多様性を認める職場の整備と社員の健康管理の推進。

・人事関連の情報インフラの整備、グローバル人事データベース「MIRAI」導入、パフォーマンスマネジメントの統一化。

・ジョブ型雇用など、貢献度に対応した職務等級制度・処遇報酬制度の導入による人事評価の透明性確保と社員のモチベーション向上

・資生堂インタラクティブビューティー株式会社を設立し、デジタル事業モデルへの転換・構築、IT・デジタルの能力強化を加速。

⑧⑨⑩

ビジネス構造改革

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・収益性の改善のため、原価・販売費および一般管理費等の改革を推進。

〔不確実性〕

・各地域・部門におけるビジネスの構造改革が狙いどおりに進まず、収益性およびキャッシュ・フローの改善が停滞することにより経営計画の達成に影響を及ぼす可能性。(脅威)

・日本における新型コロナウイルスの収束および市場回復のタイミングが想定以上に遅れ、生活者の化粧品に対する購買意識が変化した結果、経営計画に影響を及ぼす可能性。(脅威)

・中国の経済成長の鈍化に伴い、化粧品市場の成長が想定以下となり、経営計画に影響を及ぼす可能性。(脅威)

・欧米の収益性改善、日本のローカル事業を中心とした基盤再構築、中国における強固な成長基盤の確立とグローバル市場での競争優位の可能性。(機会)

〔対応策〕

・全体戦略の構築と実行管理、迅速な意思決定および各地域構造と部門の改革案の策定と実行サポートを目的とするCEO直轄のグローバルトランスフォーメーション委員会の設置・推進。

・パーソナルケア事業の譲渡完了。

・Dolce&Gabbana S.r.lとのライセンス契約終了。

・プレステージメイクアップ3ブランド(「bareMinerals」「BUXOM」「Laura Mercier」)の譲渡完了。

①②③

 

 

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

業務上のインフラ

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・商品の調達・生産・販売に係る情報システムや、業務管理システム、主要業務プロセスのグローバルでの高度化・効率化。

〔不確実性〕

・各国の当社事業所のITシステムの再構築・移行の導入が計画より遅延する、もしくは導入後にトラブルにより意図したとおりに動作しないことで、グローバルでの経営基盤の向上を阻害し経営計画に影響を及ぼす可能性。(脅威)

・グローバルでのITシステムの最新化により更に事業基盤が強固なものとなり競争力が向上する可能性。(機会)

〔対応策〕

・社内に専門組織「ビジネストランスフォーメーション部」を設置、グローバルでのITシステムおよび業務プロセスの標準化と最新化を図る「FOCUS」プロジェクトを着実に推進。

・堅固なシステム導入方法に基づき推進することで、ビジネス・システム・人材の準備体制を確保。

・高可用性グローバルクラウドITインフラを導入し、レジリエンスを確保。

・必要な場合には、コンティンジェンシープランを発動し、業務への影響を回避。

②⑨⑩

サプライ

ネットワーク

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・中長期的に安定した生産体制を確立するため、国内での新工場や、新サプライチェーン拠点を建設し、順次稼働を開始予定。

・グローバルサプライチェーンマネジメントの強化。

・生産と供給における継続的なプロセス改善と最新技術への投資。

・安心・安全とサステナビリティへの注力。

〔不確実性〕

・特定のサプライヤーに依存している一部商品の原材料について、原材料の需要逼迫、価格高騰、サプライヤーの事業撤退、自然災害などにより供給が遅延し安定的な生産ができなくなる可能性。(脅威)

・国内6工場体制により、日本の高品質のものづくりの強みを活かし、生活者への提供価値を高める可能性。(機会)

〔対応策〕

・化粧品の製造に不可欠な原料などについて、サプライヤーのマルチソース化や緊急時に備えた在庫の確保、サプライヤーとの戦略的な連携による供給体制の強化。

・「資生堂グループサプライヤー行動基準」の遵守状況のモニタリング強化。

②⑩

コンプライアンス

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・デジタル、ビューティテック、ウェルネス、新たなM&A等の新たなビジネスモデルによる成長基盤の再構築のためのグローバルでの法令遵守体制強化。

〔不確実性〕

・当社の遵守する世界各国の法規制(製品安全、原材料やラベル、労働安全衛生、知的財産、反独占や競争、データプライバシー、環境、雇用と労働、税金、製品訴求、コーポレートガバナンス、適時開示などに関する法規制)について、予期せぬ変化があった場合における、事業コストに重大な影響を与える可能性。また、万が一遵守できなかった場合における、会社が民事上の賠償金や刑事上の罰金を科され、会社のレピュテーションに影響が及ぶ可能性。(脅威)

〔対応策〕

・「資生堂グループ倫理行動基準」で世界中の社員の行動を規定。

・グループCLOを設置し、グループ全体の法令遵守体制を明確化。CLO管轄下のリスクマネジメント部門が倫理行動基準および当社事業に関係する法規制のグローバルでの遵守を確保。

・全社員に倫理行動基準の遵守を求め、働き方の枠組みと倫理的な企業風土を醸成。また、お客さまデータの取扱いに加え、腐敗防止、反独占、ハラスメント、差別、プライバシーなどのコンプライアンス分野についても研修・啓発を実施。

・社員の匿名通報窓口を電話やウェブ上で提供し、倫理行動基準違反の通報受付・対応を実施。

・各部署に薬事、安全性、品質、雇用、訴求の有用性、製品ラベルなどの基準の遵守状況を監視する専任チームメンバーを有し、法令遵守を徹底。お客さまと社員の安全を守る迅速かつ効果的な行動を確実にすべく、発生地域や市場でインシデント対応チームを立ち上げ対応。

 

 

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

品質保証

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・安心・安全な商品の提供は、全戦略の基盤となる当社の重要な価値であり、競争優位の源泉であるとの認識のもと、商品の設計から生産、販売まで高レベルで品質保証・管理を徹底。

〔不確実性〕

・全社的に品質保証・管理に対する当社の高い基準の適用が不十分となり、商品のライフサイクル全般にわたり、安全かつ安心な商品を生活者へ提供し続けることができない可能性。(脅威)

・日本の高い品質水準と同等の商品を日本国外でも生産し、世界中で高品質な商品を生活者へ提供することで、特に日本国外でのブランドイメージが高まり、より多くの生活者の支持を得ることができる可能性。(機会)

〔対応策〕

・「品質保証の基本指針」、「グローバル品質ポリシー・ガイダンス」を定めて独自の厳しい品質基準やさまざまな安全性保証の基準を設定し、新製品の設計、開発、原材料の管理、生産、出荷それぞれの段階で、これら基準に適合していることを確認。専門の品質保証部門を設置。

・品質保証におけるガバナンス・リスクアセスメント・業務手順の強化を目的とする社長直結のグローバルクオリティトランスフォーメーションプロジェクトを設置し、品質体制を強化。

・お客さま相談窓口に寄せられたお客さまからのお申し出に関する情報を集約し、全世界で共有・活用できるシステム(Global Quality System)の導入。

・お客さま相談窓口や、万が一品質リスクが発生した場合の社内対応体制を整備し、定期的にシミュレーション訓練を実施。

④⑤⑥⑩

ガバナンス体制

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・6つの地域本社とブランドカテゴリーからなるマトリクス型の組織体制を敷き、グローバル本社はグループ全体を統括し、日本、中国、アジアパシフィック、米州、欧州およびトラベルリテールのそれぞれを統括する地域本社に権限の多くを委譲し、責任と権限の現地化を促進。

〔不確実性〕

・地域本社がグループ全体の方針に沿わない決定を強引に推進したり、反対に権限が適切に委譲されず責任が果たせないなどの事態となれば、適法かつ健全な組織運営が円滑に進捗しなくなり、組織のレピュテーションや、持続可能性を損なう可能性。(脅威)

・地域本社がそれぞれのビジネスの責任と権限を持ち、「Think Global, Act Local」の考え方のもと、地域の生活者のニーズに合ったマーケティングや迅速な意思決定を実行した結果、より多くの生活者の支持を得ることができる可能性。(機会)

〔対応策〕

・全社の業務執行に責任を持つ「エグゼクティブオフィサー」体制の導入。

・本社機能およびブランドごとのグローバル本社と地域本社間の責任と権限に関する規定を策定し周知。

・すべての重大なリスクについて、既存のコントロールとリスクオーナーを詳述した継続的なリスク管理の枠組みを確立。リスクマネジメント部門が短期・長期リスクや新興リスクを考慮し、取締役会を含む経営陣に定期的に報告するグローバルな内部統制体制を構築。

・相互依存する多くのリスクに対応するには全社的な解決アプローチが必要とされるため、ステークホルダーの信頼を高めることに重点を置いた全社的なリスク軽減およびコミュニケーション分野の協働を推進。

・定期的な報告や継続的なグローバルリーダー会議を通じ、全ての重要事項において、各現地法人の体制がグローバル本社の指示・承認と合致しているコーポレートガバナンスを確保。

・ガバナンス体制の一環として、事業運営、資産、事業価値、レピュテーションおよびコンプライアンスなど、当社事業にかかわる極めて重大な意思決定を、経営陣が定期的にレビューし取締役会に報告。

⑦⑧⑨⑩

 

 

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

情報セキュリティ・プライバシー

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・生活者ニーズや競争環境の激化に対応するため、情報データの活用やEコマースの強化など、デジタルマーケティングのグローバルでの強化。

・お客さまへの斬新な体験価値やサービスの提供および共創に向け、機微情報を含むよりパーソナルなデータの取得および利活用の実施。

・場所や時間問わず生産性高く業務を行う新しい働き方「資生堂ハイブリッドワークスタイル」への移行。

・イノベーションを生み出すために、外部機関やスタートアップ等の外部パートナーとのより一層の連携や共創推進。

〔不確実性〕

・サイバー攻撃によるシステム停止やお客さま情報の漏洩により、損害賠償責任や当社への信頼低下が発生する可能性。(脅威)

・新しい働き方やより一層の外部パートナーとの連携、共創において、重要な情報データへのアクセスポイントが増えていく中、その管理、運用が不十分な場合の情報データ漏洩リスクが高まってしまう可能性。(脅威)

・各国・地域のデータプライバシー関連法令への対応が遅れ、または不適切な対応をしてしまうことにより、法令違反が生じ、罰金支払や当社への信頼低下が発生する可能性。(脅威)

・データプライバシーに関する社会の感度を把握せず、データプライバシーに関するお客さま等の懸念や期待に適切に対応できないことにより、当社への信頼低下やビジネス機会を逸失する可能性。(脅威)

・上記脅威に対して適切に対応することで、お客さま等が安心して個人データを当社に預けることができることを通じて、ビジネス目標の達成に貢献する可能性。(機会)

〔対応策〕

ISOやNISTのフレームワークを参考に、以下の対策を実施。

・情報セキュリティに関する専門部署を中心とするグローバルでの連携体制とガバナンス・統制を強化。

・データプライバシーに関する責任者を配置し、グローバルの連携体制を再整備および強化。

・データプライバシーの保護に関する情報開示・通知を推進。関連する当局とのコミュニケーションを推進。

・内外の環境変化を踏まえた情報セキュリティ/データプライバシー関連規程の改定を継続的に実施。

・保有する個人データを特定し、安全管理を推進。社員に対しては、情報セキュリティ啓発を継続的に実施。

・日々高度化・多様化する外部からのサイバー攻撃に対する中長期的視点での対応態勢強化(防御・検知・対応・復旧)。(フィルタリングやPC端末、クラウド利用に関するセキュリティ強化等)

・増大化する重要な情報データと多様化するデータアクセスポイントをより一層しっかりと管理運用するために、外部の専門家も含めグローバルでのセキュリティオペレーションセンター(SOC)の構築と監視の強化。

⑤⑥⑧⑨⑩

 

 

<その他のリスク>

リスク

戦略実現に向けた主要な取り組み/

その取り組みに影響を与える不確実性(脅威・機会)・対応策

WIN 2023 主要戦略※1との関連性

為替変動

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・グローバルビューティーカンパニーとして海外売上の比率の上昇。

〔不確実性〕

・輸出入取引等を行うことに伴う外貨建て決済について為替レートが大きく変動する可能性。(脅威・機会)

・海外関係会社の現地通貨建ての報告数値は、連結財務諸表作成時に円換算することから、収益が費用を上回る状況では、円高が進むと経営成績にマイナス影響を与える可能性。(脅威)

・当社の海外関係会社への投資は、円高が進行すると為替換算調整勘定を通じて純資産を減少させる可能性。(脅威)

〔対応策〕

・適切な為替予約等を付すことなどにより為替変動に対するリスクヘッジ策を推進。

・主要通貨の変動を監視し、迅速な対応を行う体制を整備。

事業投資

[戦略実現に向けた主要な取り組み]

・収益性の改善、スキンビューティーブランドの強化のため、経営戦略に合致した成長投資を推進。

[不確実性]

・投資判断時に想定していなかった水準で市場環境や経営環境が悪化し、将来事業計画の未達によって、M&Aにより計上したのれんや無形資産の減損損失が生じ、当社の業績に影響を及ぼす可能性。(脅威)

[対応策]

・定期的な業績モニタリングおよびモニタリング結果の取締役会への報告。

・関係するブランド・地域本社・グローバル本社機能部門と連携し、今後の方向性や業績改善のための対策を検討。

①④⑥

重要な訴訟等

〔戦略実現に向けた主要な取り組み〕

・デジタル・ビューティーテクノロジー、ビジネス構造改革・M&A、ビューティ・ウェルネス等の新たなビジネスモデルにより成長基盤の再構築・成長に焦点を当て、リスク軽減を重視しつつ、法令遵守・ガバナンス体制を継続的に強化。

・重大な訴訟のリスク管理・軽減を強化。従業員への研修や、内部通報制度を設置するなど、内部統制・予防措置を強化。

〔不確実性〕

・海外約120ヵ国へ進出し、各国において異なる法制度のもと一定レベルの訴訟・賠償請求・当局調査が提起される可能性。(脅威)

・当連結会計年度において、当社に重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されていないが、将来、当社に重大な影響を及ぼす重要な訴訟等が発生し、当社に不利な判断がなされた場合に財政状態及び経営成績等に悪影響を及ぼす可能性。(脅威)

〔対応策〕

・効果的な戦略や防御を確実にするべくグローバル本社と各地域本社にCLO直轄の法務チームを設置。また、重大事案の法的戦略・防御について支援を受けるため、外部の専門家や法律事務所ともネットワークを確立。

・当社の事業に影響を及ぼす法的環境や国別法規制の変化に関する研修(腐敗防止、独占禁止、差別禁止など)を社員向けに実施。

・ビジネス上の契約に補償等の救済措置を含む取引条件を明記することで紛争リスクを軽減。

・全ての知的財産をグローバル全体で保護し、侵害申立てから防御。

・全ての重要な商取引について、デューデリジェンスを実施。

 

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績

 

売上高

 

(百万円)

営業利益

 

(百万円)

経常利益

 

(百万円)

親会社株主に
帰属する
当期純利益又は

親会社株主に
帰属する
当期純損失(△)

(百万円)

EBITDA

 

(百万円)

当連結会計年度

1,035,165

41,586

44,835

42,439

172,556

前連結会計年度

920,888

14,963

9,638

△11,660

71,393

増減率

12.4%

177.9%

365.2%

141.7%

外貨増減率

7.8%

 

 

 

 

実質増減率

11.9%

 

 

 

 

 

(注)1 EBITDAは、特別損失に計上した「減損損失」および「新型コロナウイルス感染症による損失」に含まれる減価償却費を含めています。

   2 売上高における実質増減率は、パーソナルケア事業およびプレステージメイクアップ3ブランド(「bareMinerals」、「BUXOM」、「Laura Mercier」)の譲渡影響などを除いて計算しています。

 

当連結会計年度の景況感は、新型コロナウイルス感染症拡大によりグローバルで経済活動が停滞し、企業収益や雇用情勢の悪化などによる消費マインドの低下など、厳しい状況が続きました。国内化粧品市場は、断続的な緊急事態宣言による小売店の時短営業や外出自粛などによる来店客数減少に加え、訪日外国人旅行者の減少に伴い、インバウンド需要も影響を受けました。海外化粧品市場は、全体として新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続しているものの、ワクチン接種の普及が進み、欧米を中心に回復基調となりました。

当社は、急激に変化する外部環境やこれまでの中長期戦略を踏まえ、プレミアムスキンビューティー領域をコア事業とする抜本的な経営改革を実行し、2030年までにこの領域における世界No.1の企業になることを目指す中長期経営戦略「WIN 2023 and Beyond」を遂行しています。2021年~2023年の3年間は、これまでの売上拡大による成長重視から、収益性とキャッシュ・フロー重視の戦略へと転換し、“スキンビューティーカンパニー”としての盤石な基盤を構築します。

初年度である当連結会計年度は、「変革と次への準備」の期間と位置づけ、Withコロナへの対応と準備をしながら、事業ポートフォリオの再構築を中心とした構造改革および財務基盤の強化に取り組みました。具体的には、パーソナルケア事業やプレステージメイクアップ3ブランド(「bareMinerals」、「BUXOM」、「Laura Mercier」)の譲渡、Dolce&Gabbana S.r.l.とのグローバルライセンス契約の解消などを実行しました。また、DXの推進については、アクセンチュア株式会社との合弁会社資生堂インタラクティブビューティー株式会社を設立し、グローバルではデジタルマーケティング戦略強化のため、中国テクノロジー大手Tencent(テンセント)グループとの戦略的パートナーシップを締結しました。加えて、生産・物流体制を強化する大阪茨木工場および西日本物流センターも本格稼働しています。

当連結会計年度は、すべての地域で新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けましたが、日本を除く各地域では売上高を大きく回復させることができました。特に注力しているスキンビューティーブランドおよびEコマースの拡大が全社の成長に大きく貢献しています。

 

 

①  売上高

売上高は、すべての地域で新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けましたが、市場環境が厳しい日本を除く、各地域では売上高を大きく回復させることができました。特に注力しているスキンビューティーブランドへの戦略投資およびEコマースの拡大により、売上高は前年比 12.4%増の 1 兆 352 億円、現地通貨ベースでは前年比 7.8%増、事業譲渡などの影響を除く実質ベースでは前年比 11.9%増となりました。

 


 

ブランド別には、事業譲渡および事業譲渡に伴う製品供給等の影響を除いた「実質外貨前年比」の比較において、「SHISEIDO」、「クレ・ド・ポー ボーテ」および「NARS」の売り上げは、中国事業において中国最大のEコマースイベントである“ダブルイレブン”で市場を大きく上回る売上成長を達成したことなどに加え、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が継続しているものの、ワクチン接種の普及が進み、欧米を中心に市場が回復したことによりそれぞれ前年比15%増、21%増、39%増となりました。

 

②  売上原価

売上原価は、前年比10.3%増の2,630億円となりました。売上高に対する比率は、事業譲渡に伴う製品供給による原価率上昇はあったものの、 事業譲渡に伴うプロダクトミックスの好転、国内工場の生産性向上や在庫償却関連費用の減少などにより前年比0.5ポイント減の25.4%となりました。なお、事業譲渡に伴う製品供給による原価率上昇を除いた実質の原価率は前年比2.0ポイント減の23.9%となりました。

 

③  販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、前年比9.5%増の7,306億円となりました。その内訳は次のとおりです。

 

(イ) マーケティングコスト

マーケティングコストの売上高に対する比率は、デジタルコミュニケーションの強化、市場回復に向けた投資強化、中国・トラベルリテール事業でのクロスボーダーマーケティングを含めた戦略的投資により、前年比0.7ポイント増の29.3%となりました。

(ロ) ブランド開発費・研究開発費

ブランド開発費・研究開発費の売上高に対する比率は、前年比0.8ポイント減の3.5%となりました。

 

(ハ) 人件費

人件費の売上高に対する比率は、業績に応じて支給される賞与が増加したものの、欧米を中心とした不採算カウンター数減・構造改革等による人件費の適正化を進めた結果、前年比0.7ポイント減の21.3%となりました。

(ニ) 経費

  経費(その他費用)の売上高に対する比率は、ゼロベースでのコスト見直しにより前年比1.1ポイント減の16.5%になりました。

 販売費及び一般管理費に含まれる研究開発費は256億円となり、売上高に対する比率は2.5%となりました。

なお、研究開発活動についての詳細は、「5  研究開発活動」に記載しています。

※マーケティングコストは、BC(ビューティーコンサルタント)関連諸費用を含めた場合は、売上高に対する比率は38.2%となりました。人件費は、当該費用を除いた場合は、売上高に対する比率は12.4%となりました。

 

④  営業利益

営業利益は、売上増に伴う差益増、プロダクトミックスの改善に加え、市場の変化に合わせた適切なコストマネジメントを実施したことなどにより、前年比177.9%増の416億円となりました。

 

⑤  経常利益

経常利益は、営業利益の増加に加え、為替差益が増加したことにより、前年比365.2%増の448億円となりました。

 

⑥  親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、「DOLCE&GABBANA」に係る商標権の減損損失およびプレステージメイクアップ3ブランドの譲渡に伴うのれんの減損損失を計上した一方、営業増益およびパーソナルケア事業譲渡による特別利益計上などにより、前年に対し541億円増益の424億円となりました。

 

連結売上高営業利益率は4.0%、連結ROE(自己資本当期純利益率)は8.2%、連結ROIC(投下資本利益率)は3.3%となりました。

当連結会計年度における財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは、1米ドル=110.0円、1ユーロ=129.9円、1中国元=17.0円です。

 

 

 

(報告セグメントの業績)

各報告セグメントの業績は次のとおりです。なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分方法に基づいています。

 

売上高(外部顧客への売上高)

 

 

当連結会計年度
(百万円)

構成比

(参考)
前連結会計

年度
(百万円)

構成比

増減
(百万円)

増減率

外貨
増減率

実質

増減率

日本事業

276,173

26.7%

303,035

32.9%

△26,862

△8.9%

△8.9%

△1.4%

中国事業

274,721

26.6%

235,804

25.6%

38,917

16.5%

7.0%

19.1%

アジアパシフィック事業

65,003

6.3%

59,173

6.4%

5,829

9.9%

3.8%

5.8%

米州事業

121,369

11.7%

91,410

9.9%

29,958

32.8%

28.4%

29.9%

欧州事業

117,040

11.3%

94,280

10.3%

22,760

24.1%

16.4%

16.5%

トラベルリテール事業

120,460

11.6%

98,501

10.7%

21,959

22.3%

18.4%

18.4%

プロフェッショナル事業

15,866

1.5%

12,755

1.4%

3,111

24.4%

19.6%

19.6%

その他

44,528

4.3%

25,927

2.8%

18,601

71.7%

70.8%

2.1%

合計

1,035,165

100.0%

920,888

100.0%

114,276

12.4%

7.8%

11.9%

 

(注)1 報告セグメントごとの売上高は外部顧客への売上高です。

2 売上高における実質増減率はパーソナルケア事業およびプレステージメイクアップ3ブランドの譲渡影響などを除いて計算しています。

 

 

営業利益                                     (参考)

 

 

当連結会計年度
(百万円)

売上比

 

(参考)
前連結会計年度
(百万円)

売上比

 

増減
(百万円)

増減率

 

セグメント間の内部売上高

又は振替高を含めた売上高

 

 

2021年

12月期

2020年

12月期

日本事業

9,579

3.2%

9,671

2.9%

△91

△0.9%

 

300,938

329,382

中国事業

1,177

0.4%

18,386

7.8%

△17,209

△93.6%

 

275,830

236,808

アジアパシフィック事業

3,737

5.6%

3,248

5.3%

489

15.1%

 

67,166

61,090

米州事業

△13,207

△8.9%

△22,699

△19.5%

9,492

 

147,849

116,300

欧州事業

2,461

1.9%

△13,231

△12.9%

15,693

 

126,939

102,500

トラベルリテール事業

21,950

18.2%

14,640

14.8%

7,309

49.9%

 

120,615

98,812

プロフェッショナル事業

757

4.6%

△34

△0.3%

791

 

16,474

13,359

その他

30,977

13.3%

4,722

2.7%

26,255

556.0%

 

233,367

174,434

57,434

4.5%

14,702

1.3%

42,731

290.6%

 

1,289,182

1,132,686

調整額

△15,847

261

△16,109

 

△254,016

△211,798

合計

41,586

4.0%

14,963

1.6%

26,622

177.9%

 

1,035,165

920,888

 

(注)1 当連結会計年度より、当社グループ内の業績管理区分の一部見直しに伴い、従来「米州事業」に計上していたデジタル戦略に係るグローバルサービス機能の業績を「その他」に計上しています。また、「その他」に計上していたサプライネットワーク機能の業績を「日本事業」へ計上しています。なお、前連結会計年度のセグメント情報については、変更後の区分方法により作成したものを記載しています。

  2 従来「日本事業」、「中国事業」および「アジアパシフィック事業」に計上していた各地域販売子会社のパーソナルケア事業に係る売上高は、パーソナルケア事業の譲渡および商流変更に伴い、2021年7月1日以降、一部を除き発生していません。一方で、当社および当社製造子会社による㈱ファイントゥデイ資生堂およびその関係会社への売上は同日以降「その他」に計上しています。

   3「その他」は、本社機能部門、㈱イプサ、資生堂美容室㈱、生産事業および飲食業などを含んでいます。

   4 営業利益又は損失における売上比は、セグメント間の内部売上高又は振替高を含めた売上高に対する比率です。

   5 営業利益又は損失の調整額は、主にセグメント間の取引消去の金額です。

 

①  日本事業

日本事業では、コロナ禍で変化したお客さまニーズを捉え、スキンビューティー領域への戦略的投資を強化し、ベースメイクやサンケアなどのカテゴリーにおいてシェアを拡大しました。また、ライブコマースやWebカウンセリングを強化するなど、得意先と協働して店頭とオンラインの融合に取り組み、多くのお客さまとの接点を創出しました。これらにより、Eコマース売上は2桁成長しました。前年に引き続き、お客さまのニーズに対応したマスクにつかない商品の迅速な開発・導入に取り組んだほか、「Second Skin」技術を搭載した画期的な新製品の発売など、お客さまへの提供価値の最大化を追求しました。また、全国の医療従事者の方々に敬意と感謝の意を伝えることを目的とした「資生堂 Hand in Hand Project」を展開し、感染拡大防止と寄付や商品の提供により医療現場の方々をサポートしました。

一方、緊急事態宣言による小売店の時短営業や外出自粛などに伴い来店客数が減少したことに加え、訪日外国人旅行者の減少によりインバウンド需要も低調でした。

以上のことから、売上高は前年比8.9%減の2,762億円となりました。パーソナルケア事業の譲渡影響を除く実質ベースでは、前年比1.4%減となりました。営業利益は、上期の海外向け輸出事業の売上増に伴う差益増に加え、市場の変化に合わせコスト効率化を進めたものの、売上減による差益減があり、前年比0.9%減の96億円となりました。

 

②  中国事業

中国事業では、第3四半期の記録的豪雨や、主要都市を中心とした新型コロナウイルス変異株の拡大に伴い、店舗の一部閉鎖や来店客数減少などの影響を受けましたが、戦略的に投資を強化しているEコマースは好調に推移しました。中国最大のEコマースイベントである“ダブルイレブン”で市場を大きく上回る売上成長を達成したことなどにより、Eコマース売上比率は40%台後半に達しました。プレステージブランドへの戦略的投資を継続することで、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「NARS」など、高価格帯領域においてシェアを拡大しました。

以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比7.0%増、円換算後では前年比16.5%増の2,747億円となりました。パーソナルケア事業の譲渡影響などを除く実質ベースでは、前年比19.1%増となりました。営業利益は、注力ブランドへのマーケティング投資を強化したほか、一部、原価悪化に加え、パーソナルケア事業譲渡影響などにより前年比93.6%減の12億円となりました。

 

③  アジアパシフィック事業

アジアパシフィック事業では、一部の国・地域で新型コロナウイルス感染拡大に伴うロックダウンの影響が続きましたが、当社は各地域の主要Eコマースプラットフォーマーへの展開を強化したほか、「SHISEIDO」や「NARS」などのプレステージブランドが飛躍的に成長したことにより、アジア全体のEコマースでシェアを拡大しました。また、「Drunk Elephant」の展開拡大に加え、各国・地域で母の日キャンペーンを行うなど積極的なプロモーションを行いました。

以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比3.8%増、円換算後では前年比9.9%増の650億円となりました。パーソナルケア事業譲渡影響などを除く実質ベースでは、前年比5.8%増となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比15.1%増の37億円となりました。

 

 

④  米州事業

米州事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いていましたが、ワクチン接種の普及に伴い、回復が遅れていたメイクアップを含め化粧品市場のモメンタムが改善しました。その中で、米国発のスキンケアブランド「Drunk Elephant」は店舗数を拡大したほか、「NARS」はバーチャル新店舗をオープンさせるなどデジタルマーケティングを強化しシェアを拡大しました。また、プロモーションを強化した「SHISEIDO」や「クレ・ド・ポー ボーテ」に加え、フレグランスブランドも好調に推移しました。

以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比28.4%増、円換算後では前年比32.8%増の1,214億円、プレステージメイクアップ3ブランドの譲渡影響などを除く実質ベースでは、前年比29.9%増となり、2019年を上回る水準に回復しました。営業損失は、売上増に伴う差益増に加え、販売事業での固定費削減による収益性改善が寄与したことなどにより、前年に対し95億円改善の132億円となりました。

 

⑤  欧州事業

欧州事業では、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続いていましたが、ワクチン接種の普及に伴い、スキンケアやフレグランスを中心に市場は回復基調となりました。その中で、「クレ・ド・ポー ボーテ」や「Drunk Elephant」の展開拡大に加え、オンラインカウンセリングやデジタルプロモーションの強化によりEコマース売上も伸長するなど、需要回復を捉え、全カテゴリーでシェアを拡大しました。

以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比16.4%増、円換算後では前年比24.1%増の1,170億円、プレステージメイクアップ3ブランドの譲渡影響などを除く実質ベースでは、前年比16.5%増となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増に加え、販売事業での収益性改善が寄与したほか、デジタルメディア投資強化に伴う費用効率化や固定費削減などにより、前年に対し157億円改善の25億円となり、黒字に転換しました。

 

⑥  トラベルリテール事業

トラベルリテール事業(空港・市中免税店などでの化粧品・フレグランスの販売)は、引き続き国際線の大幅減便に伴うグローバルでの旅行者減少などの影響を受けました。中国海南島においても、新型コロナウイルス変異株拡大に伴うフライトの減便など、移動制限の影響を受けましたが、Eコマース売上を中心に大きく成長しました。また、「Drunk Elephant」の展開強化に加え、主要ブランドの海南島での店頭カウンター数の拡大などにより、アジアを中心に力強い成長を実現しました。

以上のことから、売上高は現地通貨ベースで前年比18.4%増、円換算後では前年比22.3%増の1,205億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年比49.9%増の220億円となりました。

 

⑦  プロフェッショナル事業

プロフェッショナル事業は、ヘアサロン向けのヘアケア、スタイリング剤、ヘアカラー剤やパーマ剤などの技術商材を日本、中国、アジアパシフィックで販売しています。当期は、一部の国・地域では新型コロナウイルスの感染拡大の影響が続きましたが、ヘアサロンへの来店客数の回復やEコマースでのプロモーション強化、新プレミアムヘアカラーブランド「ULTIST」、サステナブルな取り組みのもとに作られたサロン向け新ヘアケアブランド「HAIR KITCHEN」の貢献などにより、売上高は現地通貨ベースで前年比19.6%増、円換算後では前年比24.4%増の159億円となりました。営業利益は、売上増に伴う差益増などにより、前年に対し8億円改善の8億円となり、黒字に転換しました。

 

 

(生産、受注及び販売の実績)

生産、受注及び販売の実績は次のとおりです。

なお、当連結会計年度より報告セグメントの区分方法を変更しており、増減率は変更後の区分方法に基づいています。

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

日本事業

中国事業

4,914

16.4

アジアパシフィック事業

4,605

22.7

米州事業

32,266

17.0

欧州事業

31,002

20.7

トラベルリテール事業

プロフェッショナル事業

その他

158,082

3.4

合計

230,871

7.8

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しています。

2  金額は製造原価によっています。

3  上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

② 受注状況

当社グループ製品については受注生産を行っていません。また、OEM(相手先ブランドによる生産)等による受注生産を一部実施しているものの金額は僅少です。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績を報告セグメントごとに示すと、次のとおりです。

 

セグメントの名称

金額(百万円)

増減率(%)

日本事業

276,173

△8.9

中国事業

274,721

16.5

アジアパシフィック事業

65,003

9.9

米州事業

121,369

32.8

欧州事業

117,040

24.1

トラベルリテール事業

120,460

22.3

プロフェッショナル事業

15,866

24.4

その他

44,528

71.7

合計

1,035,165

12.4

 

(注) 1  セグメント間取引については相殺消去しています。

2  上記の金額には、消費税等は含まれていません。

 

(2) 財政状態

①  資金調達と流動性マネジメント

当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な営業キャッシュ・フローの創出、幅広い資金調達手段の確保に努めています。成長を維持するために将来必要な運転資金および設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入や社債発行により調達しています。資金調達に関しては、有利な条件で調達が可能となる格付シングルAレベルを維持すべく、ネットデット・エクイティ・レシオ0.2倍、ネットEBITDA有利子負債倍率0.5倍を目安としながら、市場環境などを勘案して最適な方法でタイムリーに実施します。ただし、今後の収益力及びキャッシュ・フロー創出力を考慮したうえで、上記指標は第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 ⑤株主還元と創業150周年記念配当」に記載の株主還元方針と併せて、さらなる資本効率の向上に資する最適資本構成になるよう、適宜見直します。

手元流動性については、連結売上高の1.5カ月程度を一つの目安としています。当連結会計年度末の現金及び預金の総額は1,721億円となり、手元流動性は連結売上高(2021年1月1日から2021年12月31日までの期間)の2.0カ月分となりました。

一方、当連結会計年度末現在の有利子負債残高は1,934億円となっています。金融機関と締結しているコミットメントライン契約の未使用額1,000億円、国内普通社債の発行登録枠の未使用枠2,700億円、当社及び欧米子会社2社を発行体とするプログラム型シンジケート・ローンの未使用枠300百万米ドルを有し、資金調達手段は分散化されています。

当連結会計年度末現在において、当社グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。

 

②  格付け

当社グループは、流動性及び資本政策に対する財務の柔軟性を確保し、資本市場を通じた十分な資金リソースへのアクセスを保持するため、一定水準の格付けの維持が必要であると考えています。当社グループは、社債による資金調達を行うため、ムーディーズ・ジャパン株式会社より格付けを取得しています。

2022年2月28日現在の発行体格付けはA2(見通し:ネガティブ)となっています。

 

③  資産及び負債・純資産
(資産)

当連結会計年度末の総資産は、事業譲渡に伴うたな卸資産および無形固定資産の減少などにより、前連結会計年度末に比べ249億円減の1兆1,794億円となりました。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、事業譲渡で得た資金を有利子負債の返済に充当し857億円減の6,119億円となりました。

有利子負債の詳細は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  ⑤連結附属明細表」に記載しています。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上および円安による為替換算調整勘定の増加などにより608億円増の5,674億円となりました。

1株当たり純資産額は、前連結会計年度末に対し151.94円増の1,364.28円となり、自己資本比率は、前連結会計年度末比6.0ポイント増の46.2%となりました。また、自己資本に対する現預金を除いた有利子負債の割合を示すネットデット・エクイティ・レシオおよびEBITDAに対する現預金を除いた有利子負債の割合を示すネットEBITDA有利子負債倍率は以下のとおりです。

※ネットデット・エクイティ・レシオの計算における有利子負債は社債、借入金、リース債務です。

 

2020年12月期

2021年12月期

ネットデット・エクイティ・レシオ (Net D/E ratio)

0.4倍

0.03倍

ネットEBITDA有利子負債倍率 (Net D/EBITDA ratio)

2.4倍

0.1倍

 

 

 

 (3) キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

64,045

122,887

投資活動によるキャッシュ・フロー

△70,084

63,739

財務活動によるキャッシュ・フロー

46,880

△176,222

現金及び現金同等物 期末残高

136,347

156,503

 

 

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ202億円増加し、1,565億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、事業譲渡益(740億円)、法人税等の支払額(239億円)、構造改革費用の支払額(220億円)などがあった一方、税金等調整前当期純利益(733億円)、減価償却費(630億円)などの非資金費用、仕入債務の増加(340億円)などにより、前年同期に比べ588億円増加の1,229億円の収入となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出(725億円)、無形固定資産の取得による支出(199億円)などがあった一方で、事業譲渡による収入(1,499億円)などにより、前年同期に比べ1,338億円増加の637億円の収入となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入(100億円)などがあった一方で、長期借入金の返済による支出(947億円)、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーの減少による支出(579億円)、配当金の支払額(160億円)、リース債務の返済による支出(105億円)などにより、前年同期に比べ2,231億円支出は増加し1,762億円の支出となりました。

 


 

 

(4) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としています。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載していますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えています。

 

①  有形固定資産

当社グループでは、有形固定資産の簿価について、それが回収できなくなる可能性を示す兆候がある場合には、減損の有無を判定しています。この判定は、事業用資産についてはグルーピングした各事業単位の将来キャッシュ・フローの見積りに基づいて、遊休資産については個別に比較可能な市場価格に基づいて行っています。経営者は将来キャッシュ・フローおよび回収可能価額の見積りは合理的であると考えていますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、将来キャッシュ・フローや回収可能価額が減少し、減損損失が発生する可能性があります。

なお、当社グループは、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(連結損益計算書関係)  ※8  減損損失」に記載のとおり、当連結会計年度において減損損失26,463百万円を計上しています。

 

②  のれん、商標権およびその他の無形固定資産

当社グループでは、のれん、商標権およびその他の無形固定資産について、減損の判定を行っています。のれん、商標権およびその他の無形固定資産の公正価値の見積りや減損判定に当たっては、外部専門家などによる評価を活用しています。公正価値の見積りは、主に割引キャッシュ・フロー方式により行いますが、この方式では、将来キャッシュ・フロー、割引率など、多くの見積り・前提を使用しています。これらの見積り・前提は、減損判定や認識される減損損失計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。経営者は、当該判定における公正価値の見積りは合理的であると判断していますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化によって見積りが変更されることにより、公正価値が下落し、減損損失が発生する可能性があります。なお、「資生堂アメリカズCorp.」報告単位に関するのれんの評価については、「第5  経理の状況  1  連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。

新型コロナウイルス感染症拡大の影響については、地域および事業によって異なるものの、2022年下期から回復基調となり、2023年に本格回復するという一定の前提をおいています。

 

③  有価証券

当社グループでは、その他有価証券のうち、取得原価に比べ時価又は実質価額が著しく下落したものについては、回復可能性があると判断される場合を除き、減損処理を行っています。時価のあるものについては、決算日現在の時価が取得原価に比べて50%以上下落した場合には回復可能性はないものと判断し、30%以上50%未満下落した場合には当該有価証券の発行会社の財政状態および経営成績を勘案し、回復可能性を判断しています。時価のないものについては、発行会社の財政状態の悪化により、実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合には、回復可能性があると判断できる場合を除き、減損処理を行っています。経営者は、回復可能性の判断が適切なものであると判断していますが、回復可能性ありと判断している有価証券についても、将来、時価の下落又は投資先の財政状態および経営成績の悪化により、減損損失が発生する可能性があります。

 

 

④  繰延税金資産

当社グループでは、回収可能性がないと判断される繰延税金資産に対して評価性引当額を設定し、適切な繰延税金資産を計上しています。繰延税金資産の回収可能性は各社、各納税主体で十分な課税所得を計上するか否かによって判断されるため、その評価には、実績情報とともに将来に関する情報が考慮されています。経営者は、当該計上額が適切なものであると判断していますが、将来の予測不能な事業上の前提条件の変化に伴う各社、各納税主体の経営悪化により、繰延税金資産に対する評価性引当額を追加で設定する可能性があります。

 

⑤  退職給付費用および債務

当社グループの主要な退職給付制度は、日本における企業年金制度です。従業員の退職給付費用および債務は、割引率、退職率、死亡率および年金資産の長期期待運用収益率等を含む前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件は年に一度見直しています。割引率と長期期待運用収益率は、退職給付費用および債務を決定する上で、重要な前提条件です。割引率は一定の格付けを有し、安全性の高い長期社債の期末における市場利回りを基礎として決定しています。長期期待運用収益率は年金資産の種類ごとに期待される収益率の加重平均に基づいて決定しています。経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実際の結果との差異や前提条件の変更が将来の退職給付費用および債務に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(パーソナルケア事業の譲渡)

当社は、2021年7月1日付けで当社のパーソナルケア事業(以下、「対象事業」)を当社および当社国内子会社(資生堂ジャパン㈱および㈱エフティ資生堂) から会社分割により㈱ファイントゥデイ資生堂(以下、「新FTS」)に承継させ、新FTSの全株式を㈱Oriental Beauty Holding(以下、「OBH」)に譲渡しました。また、当社は2021年7月1日に現物出資によりOBHの完全親会社である㈱Asian Personal Care Holding の株式の35%相当を取得しました。なお、2021年10月1日付けで OBHを存続会社、新FTSを消滅会社とする合併が行われ、合併後のOBHの商号を㈱ファイントゥデイ資生堂に変更しています。

また、2021年7月1日に当社中国子会社2社(資生堂(中国)投資有限公司および資生堂化妆品制造有限公司)、2021年9月1日に当社中国子会社1社(資生堂香港有限公司)およびアジアパシフィック子会社2社(Shiseido Singapore Co., (Pte.) Ltd.、Shiseido Korea Co., Ltd.)は、対象事業に係る資産をOBHの関係会社に譲渡しました。

上記取引に加え、正味運転資本の減少等を調整した後の、株式および資産の譲渡対価合計は、143,153百万円です。

上記を除くアジアで対象事業を展開する当社子会社7社(台湾資生堂股份有限公司、法来麗國際股份有限公司、Shiseido Thailand Co., Ltd.、Shiseido Malaysia Sdn. Bhd.、Shiseido Philippines Corporation、PT. Shiseido Cosmetics Indonesia、Shiseido Cosmetics Vietnam Co., Ltd.)は、2022 年以降に対象事業に係る資産を譲渡する予定です。

なお、この会社分割、株式譲渡、資産譲渡および現物出資による株式取得は、当社およびOBHの間の Purchase Agreementに基づいて行われています。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(Dolce&Gabbana S.r.l.とのグローバルライセンス契約の一部解消)

当社の子会社であるボーテプレステージインターナショナルS.A.S.は、Dolce&Gabbana S.r.l.(以下、「D&G社」)との間で締結していた、フレグランス、メイクアップ、スキンケア商品の開発、生産及び販売・マーケティングに関するグローバルライセンス契約(以下、「本ライセンス契約」)を解消することについて、2021年4月28日にD&G社と合意しました。

本ライセンス契約の解消に伴い、すべての市場での本ライセンス契約に関する事業展開が2021年12月31日を効力発生日として終了しました。

 

(プレステージメイクアップブランド「bareMinerals」、「BUXOM」および「Laura Mercier」の譲渡)

当社は、2021年12月6日付けで、アメリカ地域本社であり当社子会社である資生堂アメリカズCorp.(本社所在地:米国、デラウェア州、以下、「資生堂アメリカ」)を通じ、プレステージメイクアップブランド「bareMinerals」、「BUXOM」、「Laura Mercier」の3ブランドに関して、プライベートエクイティファンドAdvent International Corporation(本社所在地:米国、マサチューセッツ州)が出資する法人に関連資産(資生堂アメリカの子会社株式を含む)を譲渡しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。

 

(プロフェッショナル事業における会社分割および承継会社の株式譲渡)

当社は、当社のプロフェッショナル事業(以下、「対象事業」)を譲渡することを決定しました。この決定を受けて、会社分割(吸収分割)により、当社が日本国内で保有する対象事業の関連資産を当社から当社の100%子会社である資生堂プロフェッショナル株式会社(以下、「SPI」)に承継させることを前提に、SPIの株式の80%をHenkel AG & Co. KGaA(以下、「ヘンケル」)の子会社であるHenkel Nederland B.V.に譲渡するとともに、海外における対象事業の子会社株式および関連資産をヘンケルグループ会社に譲渡することに関して、2022年2月9日付けで法的拘束力を有する正式契約を締結しました。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

 

5 【研究開発活動】

 当社グループは、強みである皮膚科学技術や処方開発技術、人間科学、情報科学に加えて、デジタル技術や機器開発技術などの新しい科学技術を国や業界を超えて融合し、日本発のイノベーションを創出することで、資生堂の企業使命「BEAUTY INNOVATIONS FOR A BETTER WORLD」の実現に取り組みます。 

資生堂グローバルイノベーションセンター(呼称「S/PARK エスパーク」)をはじめ、米国、フランス、中国、シンガポールの各海外研究開発拠点においては、現地のマーケティング部門と連携しながら、各地域のお客さまの肌や化粧習慣の研究、その特性にあった製品開発に取り組んでいます。新たに2021年には、美容・健康産業特区「東方美谷」の中国イノベーションセンター新拠点での本格的な活動を開始しました。同地区内で展開する様々な企業・機関と協働し、中国の化粧品業界をリードするとともに、資生堂グループ全体の成長に貢献します。

当社グループのイノベーションへの取り組みは外部から高い評価を受けています。化粧品技術を競う世界最大の研究発表会「国際化粧品技術者会連盟カンクン中間大会2021」(IFSCC Conference 2021 in Cancún)において、口頭発表部門の「最優秀賞」を受賞しました。総受賞回数は通算29回(うち最優秀賞は25回)となり、世界の化粧品メーカーの中では最多の受賞回数となります。

さらなる研究開発活動強化を目的に、独自の研究開発理念として「DYNAMIC HARMONY」を制定しました。「DYNAMIC HARMONY」は、明治期に日本初の民間洋風調剤薬局として創業以来取り組んできた、西洋の科学と東洋の叡智を融合した成り立ちに端を発するものです。一見相反する価値や両立が難しい価値を融合し、唯一無二の新たな価値を生み出すという独自の研究開発の考え方を当社の強みとして再定義し、明文化しました。この理念のもと、5つの研究アプローチを柱に据え、多様なバックグラウンドをもつ世界中の研究員が能力を最大限発揮することを狙います

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は256億円(売上高比2.5%)であり、商品カテゴリー別の研究成果は、以下のとおりです。なお、研究開発活動については、特定のセグメントに関連付けられないため、セグメント別の記載は行っていません。

 

(1)スキンケア

シワができる本質には皮膚のかたさが大きく関わると考えられますが、皮膚は性状の異なる複数の層から形成されるため、シワの本質を理解するためには層ごとのかたさを評価する技術開発が必要とされていました。最先端の3D弾性イメージング技術を独自に開発して、幅広いお客さまの皮膚の層毎のかたさとシワの関係を調査した結果、加齢にともなって生じる「角層と真皮層の間で生じるかたさのバランスの崩れ」がシワの本質であることを発見しました。今回の研究成果は、まだ見えないシワの予防から刻まれたシワの改善までが可能になる、画期的なスキンケアへ繋がる知見です。本研究成果を「SHISEIDO」の商品開発にて応用しました。

シミと異常な毛細血管ネットワークの関係性について明らかにしてきましたが、更なる研究によりシミ部位での血管生成に関わる因子の機能の高まりとその抑制成分を見出しました。加えて、独自の肌内部の血管観察技術を用いて、シミ部位の血管状態がシミの形成だけでなく改善プロセスにおいても密接に関係していることを解明し、美白ケアにおける血管の重要性が改めて示されました。本技術を「HAKU」へ応用しました。

 日焼け止めには、高い紫外線防御力や耐水性などの観点から酸化チタンなどに代表される粉末が一般的に用いられています。高い機能性を持つ一方で、肌への負担感や塗布後の被膜感、白さなど使用感触の面では課題もありました。そこで紫外線防御粉末を微細化する技術 “スムースプロテクトテクノロジー”を新たに開発し、自社従来品よりも少ない紫外線防御粉末で効果的に日焼け止め効果を引き出すことに成功しました。本技術を「アネッサ」へ応用しました。

 

(2)メイクアップ 

シワ、たるみなどの形状の悩みは加齢とともに加速し、改善したいというニーズは広く存在しています。しかし、目袋のような大きな形状変化の改善は困難でした。そこで、米国ベンチャー企業 Olivo Laboratories より取得した「Second Skin」の基本技術に当社の強みである処方開発技術を組み合わせ、たるんだ目もとを自然な見え方でカバーするだけでなく長時間持続させる、効果と剥がれにくさを両立させた製剤の開発に成功しました。本技術を「SHISEIDO」へ応用しました。

つやのある仕上がりをもち色移りしにくい口紅類を開発してきましたが、マスクによるこすれ対応には課題がありました。そこで、ジェル中へ独自成分とティント成分、密着油分・コート油分の2種の油分を配合する技術を開発しました。ジェルを唇に塗布すると、ティント成分は唇に染めつき、2種の油分は独自成分のサポートを受け「コート層」、「密着層」の二層に分かれ、つやのある滑らかな膜を形成します。このオイルコントロール技術により、マスクへの色移りのしにくさと、つやのある仕上がりの両立に成功しました。本技術を「マキアージュ」へ応用しました。

 

(3)ヘルスケア

美と健康をつなぐ食品の研究開発を進めています。「コケモモ」と「アムラ果実」の美容成分がコラーゲンを生み出す力を相乗的に高めるという研究成果を「ザ・コラーゲン」へ応用しました。

 

(4)ヘアケア

「ナチュラルやサステナブルなヘアケアアイテムには興味はあるが、仕上がりや使用感には満足できない」と感じている方が多い点に着目し、厳選された天然由来の野菜や果物のエキスやエシカル・サステナブルな香料を一部に使用しながら髪および頭皮に優しくなめらかな使い心地を実現した処方を開発し、「HAIR KITCHEN」へ応用しました。

 

(5)デジタル・機器

非接触かつメイクを落とさなくても、サーモカメラ計測による皮膚表面温度から肌内部の血流状態を判定する機器を開発しました。透明感、ハリ・弾力、なめらかさなどの肌要素も同時に判定することで、肌の内外の判定結果から、パーソナライズされたビューティーアドバイスが可能となりました。本技術を「SHISEIDO」へ応用しました。

高周波・低周波を含む複合的な物理刺激(STエネルギー)を肌組織に作用させることで、毛細血管密度を高め、新しい肌を生みだす真皮幹細胞の数を増やすことを発見しました。さらに、顔に4週間、物理刺激とそれを肌に伝えるために最適化した化粧品基剤を毎日1回組合せて使用連用した結果、ハリの改善などの効果を見出しました。本技術を「EFFECTIM」へ応用しました。

 

以下、その他の活動について記載します。

サステナブルな製品開発(パッケージ、処方)を推進しています。パッケージにおいては、リユースの取り組みとして、洗浄・製品の再充填および再販売ステップへの耐久性と高級感を兼ね備えたガラス容器を独自開発して「AQL」へ応用し、循環型ショッピングプラットフォーム“Loop”サイトでE-コマースにて発売しました。

オープンイノベーションもさらに強化すべく、オープンイノベーションプログラム「fibona(フィボナ)」の活動を推進しています。活動の1つの目的である「スタートアップ企業のアイデアを商品やサービスへスピーディーに活用」への取り組みでは、株式会社ORPHEと共同で歩行の美しさに関する新評価法の実証実験を開始しました。「美しい歩行動作」を定量化する独自評価法と株式会社ORPHEが保有する小型センサー内蔵のスマートシューズとアプリを用いた動作分析システムの融合により、歩行動作の分析・評価サービスの提供、さらには美しい動きと肌や心身の健康との関連解明を目指します。また、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)の事業共創プラットフォーム「THINK SPACE LIFEプラットフォーム」が新たに立ち上げた「THINK SPACE LIFE アクセラレータプログラム2021」に参画し、「生活リズム/体内リズムの見える化と適正化による美の実現」について事業提案を募りました。今後、選定企業と共同開発を進め、新事業価値創出、さらには宇宙における暮らしへの応用を目指します。

 社外に向けてR&D戦略発表会を開催しました。紫外線を肌に有益な光に変え,環境と共生してその恵みから美を生み出す「紫外線変換技術」、加齢や重力による顔の変化を肌の外側と内側の双方向から最先端解析技術で解き明かした「たるみ研究」、目袋やほうれい線など圧倒的な顔の形状補正効果と、使いやすさの両立を追求し叶える「『Second Skin』技術」の発表を行いました。これらの研究や技術の進化をすすめ、商品へのさらなる活用を目指していきます。