第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す。」を企業理念に掲げ、自らの行動を変革し、新しい事業創出に挑戦することで、「安全・安心」また「快適」で「高効率」な社会を作り出すことを目指しております。これらを通じて持続可能な社会の創出に寄与するとともに、社員一人一人の自己実現の場として、人と企業がともに成長していくことが当社グループの基本方針です。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループが目標とする経営指標は、「ROE10%以上」の収益水準で、「連結売上高10%伸長」で持続的に成長することとしております。またこのために「連結営業利益率15%以上」の生産性を確保することを目標としております。各事業会社が推進する基幹事業の更なる成長と、全体最適視点で経営資源の有効活用を図りつつ、新規事業の育成や事業領域の拡大を図ってまいります。絶えず創意工夫を重ねながら間接業務の効率化を行い、生産性の向上を意識し、収益の拡大に挑戦し続けることで、経営指標の継続的な実現を目指しております。

 

※財務指標は提出日現在の経営目標であり、その実現を保証あるいは約束するものではありません。

 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

地政学的リスクの高まり、半導体・電子部品の不足、原材料・資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速、急激な為替変動等、依然として不透明な状況にあります。一方、脱炭素社会の実現に向けた世界の流れが加速し、環境問題への企業の取り組みが一層注目されており、様々な社会・産業分野での省エネ、自動化、省人化に貢献できる当社グループのセンサー及び照明技術への需要は飛躍的に高まっております。

このような中で当社グループの技術の応用に対する期待にお応えしていくために、センシング技術の高度化だけでなくセンサー等から得られた情報をどのように集め、分析し、判断していくか、IoT技術やAI技術なども取り込んだインテリジェントなシステムの提供を目指してまいります。これまでのハードウェアとしての「モノ売り」から、お客様にトータルなソリューション(課題解決策)をご提供する「コト売り」へのビジネスモデル変革を中長期の経営戦略としております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

持株会社であるグループ本社の機能を充実することで、各事業会社との相互連携を強化し、グループ全体での間接コストを抑制し、収益性の回復に取り組んでまいります。

各事業会社において、既存事業の拡大による収益の増大に取り組むとともに、グループ内各社とのシナジーも追及して、新規事業への取り組みを強化してまいります。成長できる分野への投資を集中しつつ、財務内容の健全化を図ることで、株主価値の持続的な増大に取り組んでまいります。

一人当たり生産性の向上に注力し、結果として従業員の報酬水準や満足度の向上を図ることで、人と企業がともに成長していくことを実現いたします。

環境問題への取り組みについては、2022年7月に当社グループ全体のCo2削減目標を2030年までに30%(2019年比 Scope1,2)とすることとし、その取り組みを加速する為、2023年1月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。また、2022年からSS事業において事業インパクトをシナリオ分析の手法を用いて定量的に評価を行いました。

2023年からは社長直轄で全グループを対象とした「気候変動対応チーム」を組成し、温室効果ガスの測定、再生可能エネルギーの活用などによる削減策の検討、実施及びTCFDに基づいた適切な開示を行うことで企業の社会的責任を果たしてまいります。

 

2【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 新型コロナウィルス感染症

全世界に急速に拡大した新型コロナウィルス感染症は、グローバルに事業展開している当社グループの活動に多くの影響を与えております。

① 顧客の業績変動によるリスク

当社グループの顧客が新型コロナウィルス感染症拡大により業績に影響を受けている場合、設備投資を先送りする等の対策が行われることで、当社グループの製品売上が影響を受けることが考えられます。一方で、感染症拡大予防策の浸透などにより事業を伸ばしている業界もあるため、伸びている業界に注力するよう機動的に対応しております。

 

② 営業活動等の制限リスク

感染予防のため人と人との接触を制限することが多くなると、対面での営業活動が制限され、受注活動に影響が出ることが考えられます。ビデオ会議やWEBセミナーなど、新たな営業手法を構築し、顧客とのコミュニケーションを強化する対策を講じております。

 

③ 従業員罹患等による事業活動停滞リスク

事業所内でクラスターが発生した場合、事業所の一時的な閉鎖など事業活動に支障が生じる可能性があります。社員が安心して業務に就くことができるよう、在宅勤務、時差出勤を推進し、会議はビデオ等によるリモート会議を積極的に行うなど、物理的な接触機会を極力減らしつつ、コミュニケーションの充実を図っております。また今後も主要拠点に集中することを防ぐためサテライトオフィス等の小規模拠点を顧客に近いところに設置する等、「ウィズ・コロナ」時代を見据えた体制の構築を図っております。

 

(2) 経済状況について

当社グループは世界各地で事業を展開しております。このため製品を販売している国または地域の経済状況によって経営成績および財務状況に悪影響を受ける可能性があります。

これに対して海外主要地域には自社の拠点を設置するなど、現地の状況を常に把握するとともに、マクロとミクロの視点で経済情勢および市場の変化を掌握し、主要事業会社の責任者が毎月集まって、情報交換のうえで戦略の変更や状況に応じた対応が迅速に取れるように対策を行っています。

 

(3) 為替変動によるリスクについて

当社グループは積極的に海外市場に進出しており、連結売上高の約6割は海外での売上となっております。米ドル、ユーロ、英ポンド、人民元などの主要通貨に加え、新興国含む各国通貨の急激な円に対する為替レートの変動が長期に及んだ場合、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは為替変動による損益への影響を限定する目的で、外貨建資産・負債額の一定比率に対して為替ヘッジ策を講じるとともに、海外生産を一定比率保って海外調達比率を向上する等、外貨建支出の維持による収支上の為替バランスを改善することで、為替変動に強い収益構造作りに取り組んでおります。

 

(4) 海外活動にかかるリスク、法的規制の変更・強化について

当社グループは、日本および諸外国・地域の法規制に従って事業を行っております。当社グループが事業進出している国または地域において、法令または規制の重要な変更、税制または税率の大幅な変更、為替政策の変化、輸出または輸入に関する法規制、その他経済的、社会的および政治的変動などがあった場合、経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは「(2) 経済状況について」において説明のとおり、グローバルでの状況の変化を注意深く見守り、事業会社間で情報を共有しつつ、状況に応じた迅速な対応が取れるよう対策を行っております。

また、コンプライアンス違反や昨今の労働環境規制の強化等、企業の法令違反に係るリスクが多様化する中、役職員の教育と法令順守意識の徹底を図っております。

 

 

(5) M&Aについて

当社グループでは中長期的な事業ポートフォリオ戦略を踏まえ、既存事業に関連した新しい分野への進出も視野に入れたM&Aをグローバルに検討し、積極的に実行することで、企業価値の向上を目指しております。M&Aにあたっては、買収前に十分な調査を行い、価値評価を慎重に検討したうえで実施しておりますが、買収後における想定外の事態の発生や、市場動向の大きな変動等が原因で、買収事業が所期の目標通りに推移せず、場合によってはのれん等無形固定資産の減損処理等による財務状況への悪影響が生じる可能性があります。

 

(6) 資金調達について

当社グループは、M&A等の大きな資金需要が生じた場合には、金融情勢、マクロ環境、当社の状況などを総合的に勘案し、必要な資金を調達することといたしております。このため、金融市場の不安定化が生じた場合などには、資金調達コストが増加することにより、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 生産用部材等の調達について

当社グループが生産する製品の部材等は、グローバルなサプライチェーンを通じて、国内外の仕入先から調達しております。経済状況の変動や、国際状況の変化あるいはサプライチェーンのトラブル等により、これら部材等の入手が困難な状況が発生したり、購入価格が高騰した場合、当社グループの経営成績および財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

直近では、世界的に半導体を中心とした電子部品の需給が逼迫している状況となっており、これら電子部品の需給逼迫の長期化につきましては、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、紛争鉱物への対応や、環境への配慮など、ESG観点からもより高度な対応が求められております。部材等の仕入先に対応不備があれば、部材等の調達や製品の販売に影響を与えるだけでなく、当社グループの社会的評価が悪影響を受ける可能性もあります。

当社グループでは、グローバルな経済情勢を注視し、調達環境の変化を把握するよう努めております。また代替部材の検討や、仕入先の複数化を進め、安定的な調達を図っております。さらには仕入先とのコミュニケーションを充実させ、仕入先の経営状況把握を行いつつ、管理体制の強化に協力することで顧客や社会の要求に対応しております。

 

(8) 気候変動について

当社グループは気候変動などの環境問題への対応を重要な課題の一つととらえ、気候変動に対する政策及び法規制、市場の要求を踏まえ、環境配慮型製品の開発に取り組んでおりますが、これらの規制が予測を超えて厳しくなった場合、コストの増加や販売機会損失等により、当社グループの経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、気候変動による物理的変化のリスクとして、近年増加傾向にある台風・豪雨等の異常気象、地震などの大規模自然災害等が発生した場合、当社グループの事業活動が制限され、経営成績および財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) その他

上記に掲げたリスク要因は、当社グループの事業展開その他に関するリスクのすべてを網羅しているものではありません。その他、知的財産権に係る法的リスク、情報漏洩に係る情報セキュリティリスク、顧客の信用リスク、人材育成・確保に係るリスクなども発生する恐れがあり、当社グループの事業、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは「オプテックスグループ行動規範」(2003年1月初版制定、以後随時改定)を、日本語・英語にて作成し、当社グループ全世界の役職員に配布することで、各国法令・社内規則はもとより、社会規範・倫理規範に則った職務の遂行を促し、企業風土の醸成と役職員の教育・啓発に努めております。また、様々な観点でリスクを認識し、対応策を講じるため、代表取締役社長を委員長とする「グループコンプライアンス推進委員会」においてリスクマネジメントを推進及び統括し、定期的な見直しと検討を進めております。

 

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済情勢は、世界的な半導体・電子部品の不足や、ウクライナ情勢の長期化に伴う原材料・資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速、急激な為替相場の変動等、先行き不透明な状況が継続いたしました。

このような状況の中、当社グループは、「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す。」を企業理念とし、グループ本社機能の強化・レベルアップによりグループ全体の間接コストを抑制し、グループ各社の事業展開スピードを向上させ利益成長を加速することを経営方針に掲げてまいりました。

本年度の重点施策として、グループ本社の管理機能を向上させることにより、グループ全体のコストの効率化と財務力の強化を図り、グループ各社の機動的な事業展開を促進してまいりました。また、グループ各社の事業連携の強化を推し進め、シナジーの創出を加速することを目指してまいりました。

この結果、当連結会計年度は、主力事業の大幅な伸長及び為替の影響等で、売上高は548億11百万円と前年度に比べ19.5%の増収となりました。営業利益は、売上高の伸長に伴う売上総利益の増加が販売費及び一般管理費の増加を大きく上回ったことにより、63億3百万円(前年度比36.1%増)となりました。経常利益は為替差益の増加等により70億42百万円(前年度比37.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は貸倒引当金繰入額等の特別損失を計上したことにより、47億52百万円(前年度比26.3%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

(SS事業)

SS事業は、売上高234億65百万円(前年度比16.4%増)、営業利益は28億69百万円(前年度比30.3%増)となりました。

防犯関連は、売上高は160億67百万円(前年度比17.7%増)となりました。国内におきましては、警備会社向け及び大型重要施設向けの販売が堅調に推移し、前年度実績を上回りました。海外におきましても、米国及びヨーロッパでの大型重要施設向け屋外用センサーの販売が順調に推移し、前年度実績を大幅に上回りました。

自動ドア関連は、安定した製品供給体制が評価され、国内及び海外の販売が大幅に伸長した結果、売上高は53億10百万円(前年度比19.5%増)となりました。

 

(IA事業)

IA事業は、売上高297億38百万円(前年度比21.8%増)、営業利益は35億83百万円(前年度比32.7%増)となりました。

FA関連は、半導体、電子部品及び二次電池向けの需要が拡大し、中国を中心とした海外向けの販売が大幅に伸長した結果、売上高は109億94百万円(前年度比13.2%増)となりました。

MVL関連も、半導体及び電子部品業界向けの販売が好調に拡大し、売上高は133億10百万円(前年度比17.1%増)となりました。

IPC関連は、半導体製造装置向けで産業用コンピュータの販売が堅調に推移した結果、売上高は41億21百万円(前年度比23.6%増)となりました。

MECT関連は、売上高は13億11百万円となりました。なお、当連結会計年度より2021年11月に連結子会社化したミツテック株式会社を、IA事業のMECT関連としております。

 ※MECT:Mechatronics(メカトロニクス)

 

(EMS事業)

EMS事業における外部顧客への売上高は、生産受託案件の増加により10億6百万円(前年度比33.0%増)となりました。営業利益もグループ内製品の製造量が増加した結果、4億円(前年度比29.2%増)となりました。

b.財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は633億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ55億33百万円増加しました。

流動資産は479億32百万円となり、53億88百万円増加しました。これは主に、前払費用等のその他流動資産が12億57百万円減少したものの、原材料及び貯蔵品等の棚卸資産が46億11百万円、売上高の増加により受取手形及び売掛金が17億77百万円それぞれ増加したことによるものであります。

固定資産は153億70百万円となり、1億45百万円増加しました。これは主に、償却等により顧客関係資産等の無形固定資産が3億88百万円減少したものの、米国子会社における新リース基準の適用による使用権資産等の有形固定資産が6億27百万円増加したことによるものであります。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は235億67百万円となり、前連結会計年度末に比べ11億58百万円増加しました。これは主に、短期借入金が15億94百万円減少したものの、支払手形及び買掛金が5億76百万円、1年内返済予定を含む長期借入金が15億80百万円、未払費用等のその他流動負債が5億26百万円それぞれ増加したことによるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は397億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ43億75百万円増加しました。これは主に、利益剰余金が35億80百万円、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額が7億22百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して1億66百万円増加し、172億87百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は16億69百万円(前年同期は31億2百万円の獲得)となりました。これは主に棚卸資産の増加(43億42百万円)、法人税等の支払(24億33百万円)、売上債権の増加(14億7百万円)により資金が減少したものの、税金等調整前当期純利益の確保(65億75百万円)により資金が増加したものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は3億10百万円(前年同期は28億45百万円の使用)となりました。これは主に保険積立金の解約による収入(14億79百万円)、有価証券並びに投資有価証券の売却及び償還による収入(1億74百万円)があったものの、有形固定資産の取得による支出(11億47百万円)、有価証券並びに投資有価証券の取得による支出(6億1百万円)により資金が減少したものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は16億27百万円(前年同期は17億93百万円の獲得)となりました。これは主に長期借入れによる収入(21億円)があったものの、短期借入金の減少(16億8百万円)、配当金の支払(11億71百万円)、長期借入金の返済による支出(5億27百万円)により資金が減少したものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

対前年度比増減率(%)

SS事業(百万円)

21,182

17.0

IA事業(百万円)

28,986

28.0

EMS事業(百万円)

628

66.7

その他(百万円)

合計(百万円)

50,797

23.5

 

b.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

対前年度比増減率(%)

SS事業(百万円)

748

8.9

IA事業(百万円)

1,467

70.1

EMS事業(百万円)

その他(百万円)

0

4.5

合計(百万円)

2,216

42.9

 

c.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

対前年度比増減率(%)

SS事業(百万円)

306

△3.3

IA事業(百万円)

20,156

19.0

EMS事業(百万円)

500

29.9

その他(百万円)

130

△6.7

合計(百万円)

21,092

18.7

 

d.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

対前年度比増減率(%)

SS事業(百万円)

23,465

16.4

IA事業(百万円)

29,738

21.8

EMS事業(百万円)

1,006

33.0

その他(百万円)

600

12.2

合計(百万円)

54,811

19.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたっては、連結会計年度末における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示並びに報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りや仮定を使用する必要があるため、過去の実績や法制度の変更など様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の今後の広がり方や収束時期等を含む仮定に関する情報は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.当連結会計年度の経営成績等

売上高は548億11百万円となり、前連結会計年度に比べ89億45百万円増加しました。これは主に、半導体や電子部品等の需給逼迫による製品供給上の課題に対する取り組みが奏功し、大型重要施設向け屋外用防犯センサーや半導体及び電子部品業界向け産業用各種製品の売上高が、国内やヨーロッパで増加したことによるものです。

営業利益は63億3百万円となり、前連結会計年度に比べ16億72百万円増加しました。これは主に売上高の増加に加え、販売費および一般管理費の売上高比率が2.4ポイント低下したことによるものであります。

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ9億90百万円増加し、47億52百万円となりました。

b.経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりです。

c.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

イ.キャッシュフローの状況

当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

ロ.資本の財源及び資金の流動性の分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料、製商品の仕入れのほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、事業拡大のための生産設備増強などの設備投資、新製品開発、製造のための金型投資、グループ基盤強化のためのM&A投資等であります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、大型の投資案件や長期運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本に、調達規模や市場環境に応じて柔軟に調達手段を選択していく方針です。

なお、当連結会計年度末における借入金残高は108億82百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は172億87百万円となっております。

d.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、連結売上高10%伸長、連結営業利益率15%以上、ROE10%以上を経営指標としております。当連結会計年度は、売上高19.5%増、営業利益率11.5%、ROE12.8%となり、営業利益率を除き目標とする経営指標を上回る業績結果となりました。

世界的な原材料価格や物流諸費用の高騰など厳しい経営環境が継続しているものの、今後とも更なる成長に向けて、グループシナジーの拡大や全体最適視点による経営資源の有効活用に努め、「ソリューション型ビジネス」への変革などに積極果敢に挑戦することにより、経営指標の達成に取り組んでまいります。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

当社グループは、「見えないものを、見るしごと。」の実現を果たすために、世の中の様々な課題やニーズに対してその解決方法を提案し、顧客満足度の向上を目指して研究開発を進めております。

センシング技術に加え、照明技術やさまざまな要素技術を取り入れ、変化や状態を「見る」、見えないものを「視る」、観察し判断する「観る」を包含した「見る」技術を進化させ、多様化するお客様に価値ある提案を行い、新たなソリューションを創造してまいります。

当連結会計年度の研究開発費の総額は3,382百万円であり、対売上高比率は6.2%となっております。

 

<SS事業>

(1) 防犯関連

防犯関連におきましては、テロへの不安、コロナ禍などの影響による治安悪化で、社会不安はより一層増大しており、如何にいち早く異常を察知し安全を維持できるかが課題となっております。このような背景のもと、各国ではデータセンター・発電所などの重要施設のみならず、事業所・商業施設などの民間施設及び一般住宅でも防犯カメラシステム、侵入警戒システムの需要が高まっております。当社はこのような社会インフラと住環境の安全・安心への要求に対し、より信頼性が高く、防犯カメラシステムとの親和性も高いセキュリティシステムの研究、開発をベースとしたソリューションを提供しております。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

 

① 屋外防犯センサー付きカメラ 「InSightシリーズ」

工事現場、資材置き場、店舗・事業所などの屋外警戒センサー市場においては、センサー発報時の画像確認を行う警備サービス(ビジュアルベリフィケーション)のニーズが高まっていることから、屋外立体警戒センサーとネットワークカメラを一体にしたカメラ付き屋外防犯センサー「InSightシリーズ」を開発いたしました。

当製品は建物に近づく侵入者を検知するとともに、警備会社及び監視センターにアラーム通知とアラーム発報時の決定的瞬間の画像を送信し、不正侵入を画像で確認し警察への通報など早期対処ができるセキュリティ製品です。センシング部分においては、遠赤外線センサーと画像センサーの融合に挑み、信頼性向上を図るとともに、従来の遠赤外線センサーでは実現できなかった検知エリアの詳細設定や方向判別機能を搭載いたしました。これにより設置、運用、保守性を格段に向上させることができました。

 

② アラーム監視ソフトウェア 「AMS-01Vシリーズ」

高レベルの警戒・警備システムが必要な重要施設は、セキュリティレベルを維持するため、最新の防犯警備機器への更新や、施設の運用変更に連動したセンサーの移設・増設など、継続的なメンテナンスが行われます。そのような警備システムの更新や運用変更には多大な労力とリソースが必要で、セキュリティ対策とメンテナンスの効率化を両立できるシステムの構築が求められており、お客様からは監視ソフトを含めた機器提供や、IPネットワークを利用したシステム構築のご要望をいただいておりました。これを受けて、自社センサーの活用度や保守性をさらに高めた、アラーム監視ソフトウェア「AMS-01Vシリーズ」を開発いたしました。

当製品では、侵入検知センサーのIP化対応により各センサー信号をネットワークで集約し、センサーの状態をリアルタイムで確認することができます。センサー発報時、どの場所で発報したのか画面を見ればひと目で分かるほか、システム全体の警戒設定/解除の切り替えやセンサーの検知感度の変更も行うことができます。現地に足を運ばなくてもセンサーの設定変更ができるため、現場負担を低減できます。また、ネットワーク接続により、センサー類の配線を大幅に簡素化することも可能です。これにより、導入・運用・保守・増設のそれぞれにおけるトータルコストを大幅に低減することが可能となりました。

 

③ 屋内防犯センサー 「Flip Xシリーズ」

当社のロングセラーモデルである、屋内防犯用遠赤外線センサーシリーズを、より競争力を高めるため大幅にアップデートいたしました。

当製品シリーズは各国の防犯機器規格に準拠するとともに、独自の信頼性試験を実施し、また小動物などの検知をキャンセルする機能を備え、誤検知の低減を実現いたしました。また、センサーをインテリアの一部として捉え、デザイン性を重視し、店舗や家庭に設置しても違和感がないモダンなデザインを目指しました。さらに、特に製品名の由来でもある「Flip Lens」は、レンズの上下を入れ替えるだけでワイドエリアとロングエリアの双方に対応し、設置現場に応じてフレキシブルに検知範囲を調整することが可能です。

(2) 自動ドア関連

自動ドア関連におきましては、公共施設、オフィス、店舗や工場施設などで人々が安全・安心・快適に通行できる自動開閉扉用センサーを開発、販売しております。創業以来培ってきた独自のセンシング技術で業界最高水準の安全性と、あらゆる設置環境下でも安定したパフォーマンスを発揮すべく研究開発を行っております。

現在、国内におきましては、自動ドアセンサー分野は約6割、工場や倉庫の高速シャッターセンサー分野は約7割と、当社は高い市場シェアを保持し、海外におきましては、開口部周辺の安全要求が各地域の法令として定義されるなか、当社が得意とする光技術を軸としたセンサー投入により、市場シェアは大きく拡大しております。

国内自動ドア関連事業において進めている「モノ売り」から「コト売り」への事業拡大に関しても、システム開発やアプリ開発を積極的に進め、実績に繋がっております。

また、世界的な電子部品不足の中でお客様への製品の安定供給を実現すべく、適時製品設計の変更を実施するなど、新規開発以外にも注力し、お客様とのさらなる信頼関係の構築をすすめております。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

 

① 北米市場向けスイングドア用センサー「ELITE PROシリーズ」

北米スイングドア市場向けの上位機種であるELITEシリーズの安全性と利便性を強化した新機種、「ELITE PROシリーズ」を開発いたしました。このセンサーは、従来機種で必要だった複雑な設定がワンタッチで設定できる機能を有し、施工時間を大幅に削減できるなど、効率的な自動ドア施工が可能になります。また、センサーの状態をスマートフォンで確認できる機能を有し、これまで以上に安全性を高めたセンサーになっております。

現在、北米市場において、当社はスライドドアセンサー分野で7割、スイングドアセンサー分野においては3割の市場シェアを有しております。スイングドアセンサーに関するシェア拡大の余地が大きく、この市場シェアを大きく変える機種として2023年以降に本格投入を開始します。

 

② アジア市場向けスライドドア用センサー「OA-FUNXIONシリーズ」

大きな経済成長を遂げているアジア市場向けにスライドドアセンサーの新機種として「OA-FUNXIONシリーズ」を開発いたしました。価格競争の厳しいアジア市場ですが、自動ドアセンサーの安全性に対する要求は徐々に高まっており、アジア向け機種として初めてBLUEZONE※機能を搭載した安全性の高い「OA-FUNXION」と、必要機能を最小限に絞った廉価版モデル「OA-FUNXION LITE」の2モデルを投入し、アジア市場でのシェア拡大を目指してまいります。

※BLUEZONE:ドアレール上の安全性を向上する赤外線検出技術

 

③ メディアセンサー「OB-01シリーズ」

2020年より、国内市場において自動ドアセンサーを活用した情報シェアリングサービス「OMNICITY(オムニシティ)※」を開始、ビーコン※機能を搭載した自動ドアメディアセンサー「OAB-215シリーズ」を市場投入し、順調にビジネスを拡大しております。「OMNICITY」のさらなるニーズ拡大が期待される中、お客様から色々な箇所への取付けを可能にしたいという要望をいただき、既存センサーに後付けできるメディアセンサー「OB-01シリーズ」を開発いたしました。OB-01シリーズを活用することで、「OMNICITY」をより簡単に導入できるようになります。

※OMNICITY:出入り口に設置された自動ドアセンサーにビーコン機能を搭載することで、通行者に商品情報やクーポンの配信、病院やホテルなどで自動チェックイン・アウトが可能となるプラットフォーム

※ビーコン:BLE(Bluetooth Low Energy)という無線技術を利用した伝達手段。範囲内のビーコン信号受信端末に対し、位置情報の取得や、情報の送信が可能

 

 

(3) その他

その他のSS事業におきましては、液体の色や濁りを素早く正確に測定する水質計測用センサーなど、安全・品質・衛生管理の特殊な計測ニーズに対応した製品の開発を行っております。

また、独自の画像センシング技術による、客数情報システムの開発・販売も手掛けております。客数情報は、これまでは導入者側の分析データとして活用されておりましたが、コロナ禍においては、施設利用者が混雑状況を把握できる安全・安心のためのデータとしてご利用の範囲が広がっております。今後はセンシングエリアをさらに細分化し、より詳細な人数データを提供できる新しい人数情報カウント用センサーの開発に取り組んでまいります。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

 

① 水質モニタリングサービス 「WATER it」

水質計測分野におきましては、計測データを含むソリューションを提供する簡易水質測定システム「WATER it」の展開に引き続き注力しております。本サービスは、『「はかる」「つたえる」「みる」をカンタンに。』をコンセプトに、いつでも、どこでも水環境を把握できる水質管理のDX(デジタルトランスフォーメーション)として現場の負担を大幅に削減できるソリューションです。

2022年には、新たに開発した4G対応のゲートウェイ※(SC-AG2)を追加ラインナップすることで「WATER it」の通信性をさらに高め、入力インターフェースを拡充させることで接続可能な機器の幅を広げました。また、クラウドによるデータマネジメントサービスでは、「WATER it」の標準仕様を、お客様ブランドやご要望の仕様に合わせてカスタマイズするという、お客様に寄り添った対応により、ご利用満足度の向上を図っております。今後もこのカスタマイズ対応によって、様々なお客様がより使いやすく、利用の範囲を広げられるように努めてまいります。

※ゲートウェイ:通信手段の異なるネットワーク同士を中継する役割を担う機器

 

② 客数情報カウントシステム

店舗売場内における顧客の購買行動のデータ化を目的とした、人検出センサー「AIO-CX1」を開発いたしました。

このセンサーは、360°の人物認識・追跡ができる画像処理技術を搭載しており、店舗への入店、商品棚への立ち寄り、レジの購買データなどのマーケティングデータを計測します。その計測データはクラウドと連携し、購買行動の可視化・分析用のデータサービス「TRASTREAM」にて、定額課金制での提供を行います。

また、「客数カウント+性別年齢推定」の機能を一つの製品に搭載した製品シリーズの開発を進めております。センサー&クラウドサービスを活用し小売業界における「店舗DXニーズ」に対応したソリューションの提供を拡充してまいります。

 

<IA事業>

(1) FA関連

FA関連におきましては、さまざまな製造業の工場における製造ラインの自動化・省力化に不可欠なFA用センサー(産業用センサー)の製品開発、研究に取り組んでおり、可視光や赤外光を用いた光電センサーのみならず、距離を計測する変位センサー、カメラを用いた画像センサー、LED照明機器、非接触温度計などのセンサー及び産業IoT(IIoT)※、環境の構築に貢献するIO-Link※製品など、幅広く開発しております。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

※産業IoT(IIoT):Industrial Internet of Thingsの略で、産業用機械や装置・設備・システムなどをネットワークで相互接続し、現場作業の効率化や見える化などを実現するもの

※IO-Link:センサーと制御システムの間で各種データ交換を行う通信技術のこと。設備の予知保全などに役立つ

 

① 多機能LED照明コントローラ 「OPPXシリーズ」

12V・24V入力に対応したことにより、当社製照明だけでなく、他社製の照明も接続が可能なLED照明コントローラ製品を開発いたしました。PWM、定電圧、ストロボオーバードライブの3つの調光方式に対応し、種類の異なる照明を使用する場合でもコントローラを統一でき、省配線・省スペース化を実現します。また、高密度実装技術と最適な放熱設計により、コンパクトサイズで大容量を実現いたしました。主要PLC(Programmable Logic Controller)の高さ(100mm)と同等のため、盤内の設置も容易に行うことができます。さらに、新技術「FALUX sensing +」による照明の個体識別およびモニタリング・フィードバックが可能で、従来からの当社独自技術を進化させております。

 

② IO-Link対応高機能デジタルファイバーセンサー「D4RFシリーズ」

従来機種の超高速応答(16μs)を引き継ぎながら、ハイパワーLEDと高効率集光レンズにより大幅に検出距離を向上させた、高機能デジタルファイバーセンサーを開発いたしました。基本的な検出性能だけでなく、OLEDディスプレイ※による操作性・視認性の向上、ファイバサインによるファイバユニットの挿入不足防止などより、使いやすさにこだわった機能を多数搭載いたしました。また、IO-Linkへの標準対応により、これからの製造現場のデジタル化にも貢献いたします。

※OLEDディスプレイ:Organic Electro light Luminescence Diode (有機ELダイオード)ディスプレイ

 

③ マルチプロトコル対応IO-Linkマスタ 「UR-ES16DT」 対応プロトコル追加

スプリングクランプ端子台によるコンパクトなIO-Linkマスタの対応ネットワークを拡充するべく、市場要求の高いEtherCATプロトコルを追加いたしました。今回の対応により、EtherCAT、Ethernet/IP、Ethernet/TCP、Modbus/TCP、CC-Link IE Field Basicの5つのプロトコルを本体設定で簡単に切り替えて接続することが可能になりました。本製品により、IoTやIndustry4.0※への対応をより加速させることができると考えております。

※Industry4.0:ドイツ政府が推進する製造業の高度化を目指す国家プロジェクトのこと。工場内のあらゆる機器類をインターネット経由で一括管理することにより、生産性と収益性の向上に役立つ

 

④ レーザー変位センサー 「CD2Hシリーズ」 60-200mm測定レンジ拡充

2021年に開発した高精度小型レーザー変位センサーに、新たにミドルレンジを追加いたしました。OLEDディスプレイによる優れた操作性と上位機種譲りの高精度測定はそのままに、お客様の設計に合わせて、より柔軟な選択肢を提供いたします。

 

(2) MVL関連

コロナ禍を発端とした製造業の人手不足、海洋汚染や温暖化ガス発生を抑えるためのプラスチックごみ削減など、新たな社会問題が発生しております。これらの問題解決が、MVL関連においては新しい用途になっております。そのため、MVL関連におきましては、照明や関連機器の高性能化・高機能化だけではなく、先進技術の積極的な活用によるソリューション提案力の強化に努めてまいりました。

 

具体的には、AIを組み込んだ自動外観検査システム「ソリューション愛(AI)」、材質の違いを可視化できるハイパースペクトルイメージング、目視検査に適した照明と作業の改善方法を提案する「目視検査改善コンサルティング」などに取り組んでまいりました。また、これらの最先端ソリューションをじかに体感していただくため、国内主要都市でプライベート展示会やソリューションEXPOを開催し、多くのお客様にご来場いただき大変好意的な評価をいただきました。

他方で海外市場でも着実にシェアを伸ばしておりますが、それを加速すべく、CCS KOREA Inc.を駐在員事業所から現地法人に格上げし、発展が進むアジアエリアのサポート強化を実現しております。また、英語圏のマシンビジョン業界で最も影響力が強いメディアの一つであるVision System Designが開催する2022 Innovators Awardsにて「OLB-LTシリーズ(曲げられるマシンビジョン用有機EL照明)」が銀賞を受賞するなど、海外市場でも高い評価を頂いております。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

 

① ソリューションの促進 「ソリューション愛(AI)」

製造業では、人手不足の解消や検査精度の向上を目的として、目視検査などの工程にAIを活用し、自動化を実現したいというニーズが高まっております。画像処理開発ツール「TechView(日本エレクトロセンサリデバイス株式会社)」に、シーシーエス独自開発の AI推論用プラグインを実装し、各社AIソフトウェアを組み合わせて、「ソリューション愛(AI)」として販売を開始いたしました。

「ソリューション愛(AI)」では、直感的な操作でAI推論用アプリケーション構築ができるため、プログラミングやデバッグなどの作業工数やコストの大幅削減に繋がり、製造現場へのAI外観検査導入が容易になっております。

 

② 可視化技術の向上 「ハイパースペクトルイメージング照明」

2022年に施行されたリサイクル資源循環法で、より重要度を増したリサイクル産業においては、従来技術では対応できない樹脂分別の需要が高まっております。多くの場合、分別にはハイパースペクトルカメラが利用されますが、このカメラは広い波長領域の照明を必要とします。シーシーエスと子会社であるEFFILUX社(フランス)では、ハイパースペクトルイメージングに適した照明ラインナップを充実させ、お客様の幅広い用途や素材に対応しております。

 

③ ライティング技術の活用 「目視検査改善コンサルティング」

シーシーエスが長年培ってきたライティング技術と検査ノウハウをもとに、目視検査での適切な照明と作業の改善方法を提案する「目視検査改善コンサルティング」を開始いたしました。照明の提案だけでなく、カメラ・レンズなどの検査関連メーカーと連携し、お客様のご要望に応じた機器選定や設定を最適化するトータルソリューション提案を行っております。

 

④ 製品の多機能化 「デジタル電源 PD4シリーズ」

当社照明用電源の主力シリーズであるPD3シリーズの後継機として、多彩な機能を追加し、製造現場での使い易さを追求したデジタル電源、PD4シリーズを発売いたしました。

最大 16 ステップの照明点灯・消灯の発光パターンを設定するシーケンス制御機能を追加し、フォトメトリックステレオ法を用いた検査などに活用することが可能です。また、PLC(Programmable Logic Controller)との連携やカメラとの同期が容易となり、設定の工数を削減できます。さらに、照明の稼動状況やログをリアルタイムにモニタリングできるので、予防保全にも役立てることができます。

 

⑤ 複数の照射方法を一つの照明で選択可能 「拡散光バー照明 LBシリーズ」

バー型の画像処理検査用LED照明「LBシリーズ」を発売いたしました。均一な拡散光で広範囲を明るく照射し、正反射光観察やバックライト、広範囲均一照射、拡散光ドーム照射といった複数の照射方法を選択でき、幅広い用途に対応しております。

さらに発光面幅は50mm/100mm/150mmの3種類、発光面長は200mm~2700mmで100mm刻みの26種類、LED発光色は白/赤/青/赤外の4種類、また一部モデルではオーバードライブ発光が可能な高出力タイプもラインアップに加えて、計338機種を一斉発売しております。これまで特注対応していた形状やサイズの照明を、今回は標準品としてラインアップに加え、納期面や価格面などでご利用いただきやすくなっております。

 

(3) IPC関連

IPC関連におきましては、様々な産業分野向けとして、高い品質と長期供給性を追求した組み込みボード製品の製造や、生産ライン、社会インフラ向けのシステムを構築し、CPUボード、I/Oボード、コントローラ装置など組み込み用コンピュータ構築に必要なプラットフォーム提供からアプリケーション・システムの構築、さらには最新のセンシングや制御装置の提供など、広くお客様のニーズに対応しております。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

 

① EMI可視化サービス

EMI※の適合は様々な業界からの要求がありますが、EMI試験所での測定結果は合否判定及び測定した装置全体のノイズ周波数特性が分かるのみであり、具体的にどこからどの周波数のノイズが漏れているかは分かりません。

当社では、EMIを含めたEMC※について研究を行い、その成果を応用して製品づくりを行っております。その成果の一つであるEMIの可視化システム(プリント基板上などの電磁波発生状況を画像で見える仕組み)を使用し、問題となるノイズ発生源をつきとめ、対策を行うサービスを開始いたしました。

※EMI:Electro Magnetic Interferenceの略で、電波や高周波の電磁波がノイズとして電子機器などに影響を与えること

※EMC:Electro Magnetic Compatibilityの略で、電磁両立性のこと。電磁波障害の加害者にも被害者にもならない性能を持つ

 

② 無線見える化システム

近年、自動搬送装置を無線で制御するなど、生産現場で利便性のある、無線を利用した機器の導入が増えております。しかし、有線とは異なり、突然通信ができなくなるなど、生産現場で必要とされる安定稼働に不安が残り、本格導入に踏切ることができないという声が聞かれます。

当社は、国立研究開発法人情報通信研究機構との共同研究を通して、無線の強弱や外乱となる登録外無線の状況を色分けして可視化する「無線見える化システム」を開発いたしました。今後は、「無線見える化システム」で明らかになる無線状況から課題を見つけ、その対策を行うサービスに着手いたします。これにより、生産現場だけでなく、様々な現場で安定した無線通信の導入に貢献したいと考えております。

 

(4) MECT関連

MECT関連におきましては、電動自動車用などの二次電池製造装置や、電気・電子・医薬品などの多様な産業分野向け自動化装置および画像処理検査装置を開発・製造・販売しております。高度なメカトロ技術※や画像処理技術により、ものづくりの現場の生産性向上と品質向上に貢献しております。

当連結会計年度の主な成果は、次のとおりです。

※メカトロ技術:メカトロニクス技術の略称で、機械工学(メカニクス)と電子工学(エレクトロニクス)を融合させた技術分野のこと

 

立体物(鋳造品・成型品)高速外観検査プラットフォーム

複雑な形状をしたワーク(製品)でも、超高速の駆動機構を用いて様々な撮像方向から自由自在に外観検査をすることができます。また、凹凸に強い独自の照明技術を用いて検出能力を向上させており、良品を不良品と判定してしまう過検出の低減を実現できます。

通常、複雑な立体形状のワークに対する外観検査を自動化する場合、多関節ロボットなどの複雑な動作を用いてカメラを動かす必要があるため、どうしても検査に時間がかかってしまいます。当社の高速外観検査装置は、スムーズかつ高速に動き、検査の時間を短縮することができます。今後は、鋳造部品製造や樹脂成型部品製造など、様々な分野で外観検査ソリューション事業を展開してまいります。