第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社は、当連結会計年度(第44期・2022年12月期)より、画像検査関連事業を主たる業務とする企業グループとして運営しています。1966年にホットスタンピングマシン専業メーカーとして創業し、特殊印刷機関連事業会社として運営してまいりましたが、2020年3月IMR事業を譲渡、2021年12月特殊印刷機関連事業を運営するナビタスマシナリー株式会社を譲渡し、国内特殊印刷機事業からは撤退いたしました。画像検査関連事業は、2004年から開始、2011年から子会社事業としておりましたが、2018年頃より特殊印刷機製造事業を上回り、利益率の高さからグループ内での利益貢献度が、最も高い事業となっていました。この特殊印刷機関連事業と画像検査関連事業は、事業戦略・成長戦略の異なる事業であり、クライアントの重なりも少なく、シナジーが出にくい組み合わせであり、効率的に運営が難しく、双方の事業展開を遅らせる要因となっていました。ここにおいて、いわゆる選択と集中は不可避であり、特殊印刷機関連事業からの撤退が株主の利益を最大化すると判断いたしました。2021年にシリウスビジョン株式会社へ社名変更し、新ブランドとして展開を開始、2023年度は3年目となります。

当社グループは、「オンリーワンの画像検査技術で世界の製品品質の向上に貢献し、人々の生活に豊かさと幸福をもたらす」ことをミッションとして掲げております。当社の主たる事業である画像検査市場は、シンクタンク等では、国内・海外共に成長が大きい分野と分析されています。この市場に向け、「世界ナンバーワンの画像検査システムを開発し、モノづくり現場の目視検査ゼロを目指す」ことを当社のビジョンとして定義しています。このビジョンは、持続可能な社会が到来することを意味し、結果として企業価値が増大し、株主の皆様への利益に資すると考えております。この実現に向け、グループ役職員一同、邁進して参ります。

(2)中長期的な会社の経営戦略

当社グループのコアコンピタンスは、画像検査技術と考えております。画像検査技術を常に相対的に高いレベルに位置付けるために、ソフトウエア開発のみならず、ハードウエア開発においても研究開発投資を継続しております。また、国内のみならず海外での画像検査市場の成長率は高いことから、積極的な投資とグローバル展開を行う攻めの経営を行う所存です。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

足元の経営環境については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。

2020年初より世界的パンデミックとなっている新型コロナウイルス感染症により、将来の業績を見通すことが極めて困難な状況となっています。この環境下において、新たな中期経営計画を公表することは、株主並びに投資家の皆様への誤った判断を誘引する可能性があると考え、当面控えさせていただいておりましたが、厚労省は2023年5月新型コロナウイルス感染症を第5類感染症へ変更することとなりましたので、新たな計画の策定と公表を準備しております。

当社は、このような経営環境について、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載したリスク要因を踏まえながら、次のような課題に取り組んでおります。

当社は、「オンリーワン画像検査技術で世界の製品品質向上に貢献し、人々の生活に豊かさと幸福をもたらす。」ことを経営理念とし、「スピード経営」と「グローバル展開」を実現してまいります。近年、国内のみならず消費者保護とコンプライアンス重視の観点から検査への要求水準が飛躍的に高くなっています。こうしたことから、積極的な研究開発投資、グローバル投資、迅速な意思決定と行動が最も重要と考えております。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関するリスクについて、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、これらのリスクを認識したうえで、事態の発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。

(1)事業構造改革について

当社は、成長性の高い画像検査事業へ経営リソースをシフトするため、これまでにないM&Aや新会社の設立など外部の経営資源を積極的に活用する施策を推進しております。今後も、当社の成長戦略に有効と判断した場合には、こうした施策を実行することがあり得ます。しかしながら、買収等により確保した優秀な人材が、異なる文化的背景から士気を維持することができない場合や製品ポートフォリオを構築することができない場合、買収後に想定していなかった重大な問題が発見された場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)市場ニーズ・価格競争について

一般に生活水準が向上することにより、製品検査ニーズは高まります。パッケージの記載に間違いがないか、成分が正しく表記されているかなどの検査が必要となります。また、医薬品市場などでは、コンプライアンスの観点からサンプリング検査ではなく全品検査が前提となる状況が発生し、その傾向は高まっています。これに対処するためには、目視では限界があり、画像検査装置が必要とされるようになっています。

社会的なニーズの変化として、誤謬に対する寛容性の拡大、意匠性の軽視等が発生する可能性は低いと考えられますが、デジタルサイネージのような通信手段にて修正が可能な技術がパッケージ表面等に採用されるなど、大きな技術的な変化が発生した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(3)生産体制について

当社グループは、オリジナルのソフトウエアを開発し販売しています。ユーザの多くは、国内のハイエンド企業であり、要求水準も高いため、ハードウエアなどを限界まで稼働させるソフトウエア品質が要求され、これに応えるエンジニアにも高い開発力が必要です。

労働市場では、慢性的にソフトウエアエンジニアが不足しており、高度な技術を持つエンジニアの不足は顕著です。社内に、こうしたスキルの高いエンジニアが不足すると、外部への委託開発やコストの高いエンジニアの採用を行う必要があります。これは、コストアップ要因であり、予定する開発が困難となったとき、当社グループの業績およびキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)特定の外注先・仕入先への依存について

画像検査装置は、搬送機器と撮像機器(カメラ・照明)とソフトウエアにて構成されますが、当社グループが供給しているのはソフトウエアのみです。半導体等の不足や金属素材や部品価格の高騰により、必要とする搬送機や撮像機器が高騰した場合、画像検査装置の価格が高騰し、市場で受け入れられなくなるリスクが考えられます。

当社グループはこうした状況に対応するため、部材の調達を長期的観点から行っておりますが、搬送機メーカーや撮像機器メーカーからの調達価格の高騰や、調達そのものが困難になった場合は、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす恐れがあります。

 

(5)製品等の品質確保について

当社グループは、お客様に満足を提供し、安全で快適な社会の維持向上を図るため、品質保証体制においても万全を尽くしておりますが、予期せぬ製品等の不具合が発生することなどにより、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。また、画像検査事業ではソフトウエアや通信サービスなどITテクノロジーを駆使してサービスを提供しておりますが、IT分野に著しい技術革新が発生した場合において、当該新技術の利用が制限されるなどした場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)為替変動について

当連結会計年度における当社グループの海外売上高は、連結売上高の19%を占めており、前連結会計年度と比較して増加しました。

当社グループは、出来る限り円建での取引を行い、為替の変動による業績への影響を最小限にするよう努力しておりますが、為替が大きく変動した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(7)人材の確保と育成について

当社グループでは、優秀な人材を確保・育成することは、今後、当社グループが事業を発展・拡大するうえで重要な項目の一つと認識しており、特に業界特有の専門知識と技術の継承は、当社グループの事業遂行に不可欠であります。従いまして、的確な人材確保や育成ができなかった場合、もしくは重要な人材の流出が発生した場合には、今後の事業展開も含めて業績その他に影響を与える可能性があります。

 

(8)新型コロナウイルス感染症の影響について

世界的な新型コロナウイルス感染症の影響により、当社グループにおいても、事業を取り巻く環境について先行き不透明な状況が生じております。販売においても、受注および出荷延期による販売高減少の影響を受けております。新型コロナウイルス感染拡大の対策として、従業員やお客様、そして地域の安心・安全を第一に安全衛生の徹底、在宅勤務、時差出勤の推進およびweb会議の活用等により感染予防に取り組んでおります。

なお、今後も動向を注視しながら適宜対策を講じてまいりますが、さらなる感染拡大等、想定を超えるような事態が発生する場合には、当社グループの財政状態や業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)その他

当社グループだけでは回避できない、経済や政治経済の変化、自然災害、戦争、テロ、感染症のパンデミック等の予期せぬ事象が発生した場合、当社グループの業績が影響を被る可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は次のとおりであります。

なお当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)に記載のとおりであります

 

① 経営成績

当連結会計年度の売上高は1,729百万円(前年同期比58.2%減)、営業損失が519百万円(前年同期は3百万円の利益)、経常損失が367百万円(前年同期は34百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は425百万円(前年同期は7百万円の利益)となりました。

 

② 財政状態

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比較して848百万円減少し、3,112百万円となりました。これは主として、現金及び預金が595百万円減少、受取手形及び売掛金が198百万円減少及び土地が153百万円減少したことによるものであります。

負債は、前連結会計年度末と比較して416百万円減少し、467百万円となりました。これは主として、短期借入金200百万円減少、流動負債のその他148百万円減少、及び支払手形及び買掛金が62百万円減少したことによるものであります。

純資産は、前連結会計年度末と比較して432百万円減少し、2,645百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により利益剰余金が472百万円減少したことによるものであります。

これらの結果、自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して6.5ポイント増加し、83.6%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して595百万円減少し、1,248百万円となりました。

営業活動によるキャッシュ・フローでは、545百万円の支出となりました。これは主として、棚卸資産の増加262百万円及び税金等調整前当期純損失380百万円によるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローでは、185百万円の収入となりました。これは主として、無形固定資産の取得による支出223百万円はあるものの、有形固定資産の売却による収入490百万円によるものであります。

財務活動によるキャッシュ・フローでは、249百万円の支出となりました。これは主として、短期借入金の純減少額200百万円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

セグメントにつきましては、単一セグメント(画像検査関連事業)となっております。

 

 a 生産実績

  当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

画像検査関連事業

1,964,048

△52.4

合計

1,964,048

△52.4

    (注) 金額は、販売価格であります。

 

 b 受注実績

  当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

画像検査関連事業

1,732,390

△55.3

480,668

7.1

合計

1,732,390

△55.3

480,668

7.1

 

 c 販売実績

  当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

画像検査関連事業

1,729,098

△58.2

合計

1,729,098

△58.2

    (注) 最近2連結会計年度における「主な相手先別販売実績」については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありませんので記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

また、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

 a 経営成績の分析

当連結会計年度(第44期・2022年12月期)のわが国は、資源高の影響を受けつつも新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで持ち直す傾向にありました。個人消費、輸出や生産は、供給制約の影響が和らぐもとで緩やかに増加し、消費者物価は、エネルギー、食糧費、耐久財などの価格上昇により2022年12月は前年比+4.0%となったものの、緩和的な金融環境や政府の経済対策効果にも支えられ、実質GDP成長率(政府見通し)は、前年比1.7%増の見込みです。

 

こうした状況の中、当連結会計年度(第44期・2022年12月期)における画像検査関連事業は、第4四半期にやや持ち直したものの前年度を下回る水準で終わりました。

主軸であるラベル検査機と検版機は、2021年に医薬品市場向けの伸びが大きかったものの、2022年通年では例年の水準に戻り、前年並みの売上には届かない状況でした。ただ、医薬品市場に加え食品市場でのラベル検査機と、紙器・パッケージ市場での検版機の引き合いが強く、それらの市場向けの標準検査機の受注が増加しております。一方、2019年から売上が減少してきたカードとビジネスフォーム市場は、さらに落ち込みが大きくなりました。これは、スマートフォンのアプリによる決済などでカード需要が減少してきたことや、印刷文書からデジタル文書へのシフトによる影響と推測されます。ボトル・容器市場は、コロナ禍のもとで3年間続いた化粧品容器用検査機の需要減少に歯止めがかからず、大幅売上減となりました。これらの落ち込みは、コロナ禍の元での人々の行動変化、いわゆる「おうち需要」と呼ばれる商材へのシフトが一因と考えられます。

このような逆境において、2019年から新技術・新製品を開発し、拡販の準備を進めてきたグラビア市場並びに紙器・パッケージ市場での新規受注と売上が増加しました。さらに、商業印刷市場とメーリング市場への新規参入も成功し、これらの新市場開拓により、受注・売上の大幅な回復が期待されております。

 

研究開発部門であるVOSTEC本部では、小型ラベル印刷機へ取付け可能なシングルボード型可変印字検査機の開発が進展しております。印刷品質向上に寄与するだけでなく、ラベル印刷コストの削減効果も期待できる新製品です。

また、業界では唯一となる高速薄紙枚葉フィーダと集積機構を開発完了し、薄紙平版印刷検査機として市場投入を目指しております。

研究開発により生み出す新技術・新製品を拡販するために、VOSTEC本部内に商品企画部を新設しました。この新部門で、“やさしい操作・低価格・コンパクト”をコンセプトにした検査機「Smartシリーズ」を新たに企画し、開発を開始しました。このシリーズの第1段として、小型移動式枚葉シート検査機「Smaco」を市場投入済で、複数の大手メーリング顧客から受注しております。2023年には本シリーズの第2段、一体型全面シート検査機「S-Con Smart」を企画開発し、平版印刷市場に投入予定です。

VOSTEC本部における研究開発は、構想設計、試作開発、仮説検証の段階を経て、事業化、実製品開発、市場投入・拡販し、投資を回収する、という一連のプロセスを辿ります。これまで多額の投資を行ってきた新技術・新製品開発テーマの多くは仮説検証段階にありましたが、2023年には事業化・市場投入し、投資を回収するフェーズに入ります。

 

画像検査ソフトウエア開発の中核であるWillable株式会社は、主力ソフトウエアである『FlexVision』及び『AsmilVision』の新機能開発と、次世代高速高精度画像検査ソフトウエア『PolarVision』の開発に注力してまいりました。『PolarVision』は、CPUによる従来の処理に加え、画像処理を高速に実行する専用プロセッサーであるGPU(Graphics Processing Unit)を活用することで、FlexVisionやAsmilVisionでは実現できなかった、幅1,200㎜以上の広幅印刷物を300m/分の速度で検査することが可能となりました。この結果、グラビアや紙器・パッケージ、大判商業印刷検査市場への展開を予定しております。

また、当社グループのビジョンである「モノづくり現場の目視検査をゼロにする」ために、コロナ禍の3年間、AI(人工知能)による良・不良自動判定システムの開発に投資をしてまいりました。2022年春から本AIシステムの試験導入を始めた複数の大手印刷メーカーさまから高い評価を得たため、本AIシステムを『Sirius-AIS(シリウスアイズ)』と命名し、新製品として販売開始しました。このシステムは、他社製検査機ともつながる仕組みとなっており、当社検査機を採用されていない顧客からの引合いも期待されております。

なお、当会計事業年度に新画像処理アルゴリズムの開発を完了したグラビア印刷シリンダー版検査システムがグラビア印刷メーカーさまと大手グラビアシリンダー版製造ラインメーカーさまから高い評価を受け、今期中の市場投入に向け製品化を進めております。本検査機にもAIシステム『Sirius-AIS』を搭載し、良・不良判定の自動化を目指しております。

 

ウェブサービスの企画・開発・運営を行う株式会社ウェブインパクトは、官公庁向けシステムの販売が好調でした。Willable株式会社への画像検査ソフトウエア開発支援の一環としてAsmilVisionの高機能化・安定化を担うとともに、自社製ソフトウエアである『Web給』や『Sync』などのクラウドサービスの売上も増加しました。

当社は以前より、愛知県豊橋市との技術開発連携に多くの実績がありますが、長年に亘る国立大学法人豊橋技術科学大学への学生向け実務訓練の協力が評価され、感謝状を授与されました。また、今となっては当たり前となっているテレワークを20年以上前から実施し、子育て応援企業として認知されてきました。豊橋市から特別賞を受賞した実績もあり、テレワーク実践企業として高い評価を得ております。

2022年には、豊橋市こども未来館の「ココニコ」市電シミュレータ復旧プロジェクトにおいてソフトウエア開発を支援しました。クラウドファンディングによる資金調達により本シミュレータが実現でき、子供たちが司会を行う記念イベントで本サービスの提供を開始しております。

 

DXクラウドサービスを展開する株式会社UniARTSは、印刷工場現場での製品品質向上に貢献することを目的としたクラウドソフトウエア『UniARTS』を開発してきました。UniARTSは、単にクラウド上でサービスを提供するだけでなく、定期的に「品質スクラム」会議を開催し、顧客が製造する製品の品質向上と不良品流出撲滅を支援しております。当社は、Quality well being(品質で人々をしあわせに)を標榜しており、現場顧客に寄り添ったサービスの提供を続けています。

本サービスを採用した大手印刷会社さまからは、UniARTSにより「不良品の流出を止めることができ、市場クレームを未然に防げた」、「印刷品質検査機の効率的運用と労損削減ができた」、「検査機オペレータの教育指導に役立っている」といった声が寄せられており、大きな投資をして開発してきた『UniARTS』が社会貢献につながっていることを実感しております。

本サービスは、ラベル市場、紙器・パッケージ市場、グラビア市場の大手印刷工場さまでトライアルを開始しており、当社グループの業績向上に寄与できる予定です。

 

海外市場では、アセアン諸国市場、中国市場ともに、新型コロナウイルス感染症の影響が続き、売上低迷が長期化しています。

タイ、ベトナム市場においては、ようやく営業活動が開始できていますが、コロナ禍前の状況に戻るにはまだまだ時間を要する見込みです。

中国では、長期間続いたゼロコロナ政策による営業活動への制約が大きく、計画とおりの行動ができておりません。2022年12月に開催予定であったラベル印刷関連展示会「ラベルエキスポ上海」が再び延期となり、中国ラベル検査市場の開拓が遅れております。ただし、中国の大手化粧品容器メーカーさまから受注・納品したボトル・容器印刷品質検査機は評価され、中国国内の複数の工場に採用される見込みです。

 

以上のとおり、来期に向けた業績回復と、来期以降の持続的成長のための新技術・新製品の研究開発、ソフトウエア新製品開発、及び新市場開拓のために積極的に投資を続けてまいりました。その結果、2022年12月期(2022年1月~12月)の研究開発費投資額は、428百万円を計上いたしました。

本投資は、2019年から始まったカード・ボトル・ビジネスフォーム印刷検査市場の落ち込みを、グラビアや紙器・パッケージ、メーリングなどの新市場開拓と、DX・クラウドサービスやAI(人工知能)などの新技術分野開拓でカバーするための前向きな開発投資ととらえております。しかしながら、その投資総額は、2021年12月期及び2022年12月期の売上額に対して相対的に大きくなりました。この結果、当社単体では2期連続の営業赤字となったことから、固定資産について減損を実施することといたしました。

 

 b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループは事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を目指し、その財源として安定的な営業キャッシュ・フローの創出を最優先事項と考えており、事業活動に必要な運転資金及び設備投資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動によるキャッシュ・フローで賄っており、運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することに努めております。

また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,248百万円となっております。

なお、当社グループは画像検査関連事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は記載を省略しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

(連結子会社の吸収合併)

 当社は、2022年6月9日開催の取締役会において、2022年8月1日を効力発生日として、当社を存続会社、当社連結子会社であるVOSTEC株式会社(以下「VOSTEC」という。)を消滅会社とする吸収合併(以下「本合併」という。)を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。

1.本合併の目的

 VOSTECは、当社の完全子会社として、画像検査に関する研究開発事業を担ってまいりましたが、今般、グループ全体の経営資源の集約による事業運営の効率化を目的として吸収合併することといたしました。

 

2.本合併の要旨

(1)合併の日程

取締役会決議(両社)

2022年6月9日

合併契約締結日

2022年6月9日

合併効力発生日

2022年8月1日

 なお、本合併は、当社においては会社法第796条第2項の規定に基づく簡易合併に該当し、VOSTECにおいては同法第784条第1項に規定する略式合併に該当するため、いずれも株主総会の承認決議を経ておりません。

 

(2)合併の方式

 当社を存続会社とする吸収合併方式で、VOSTECは解散いたしました。

 

(3)合併に係る割当の内容

 当社はVOSTECの全株式を保有しているため、本合併による新株式の発行、資本金の増加及び合併交付金、その他一切の対価の交付はありません。

 

(4)消滅会社の新株予約権及び新株予約権付社債に関する取扱い

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 2018年12月、基礎研究強化のため、コンシューマ向け新製品開発の経験が豊かな人材を研究開発室長に迎え、研究開発体制を一変しました。当社グループの成長に必要な技術を長期的な視野で、市場調査・仮説検証からスタートし、試作評価を経て、設計量産・事業化というステップを目指すことを前提に、従来の研究開発案件を全て見直しました。研究開発室は、2020年には、意思決定の迅速化のために別法人としましたが、グループ全体のシナジーを高めるために2022年にシリウスビジョン株式会社に再度合流しています。この間、研究開発投資総額は8億円超、特に2022年は、投資額が12.1億円を超え、売上規模に対して多額となりすぎているという批判もありましたが、2021年には多くの案件が試作評価段階に入り、2023年には将来の事業の柱として成長が期待される案件が順次事業化を迎える予定です。2023年2月発表いたしました株式会社サトーさま(本社:東京都港区、代表取締役社長:小沼 宏行)との共同開発など、医薬品ラベル市場での成長が期待されるような成果を生み出しております。

 また、Willable株式会社では、ソフトウエア開発としては、グラビア市場への参入のためにPolarVisionを開発しましたが、単に新市場への投入製品としてではなく、これまで開発してきた基幹技術を活かし、今後のソフトウエア製品のポートフォリオを意識した製品群開発を行っております。

 生産現場では、IoT技術が求められておりますが、導入までの敷居の高さや、その活用方法に手を出し難い現実があります。こうした分野でも、特に印刷現場に合わせたソリューションを株式会社UniARTSにて開発、ネットワーク工事が不要で、クラウドからリアルタイムに品質管理が可能なサービスを開発いたしました。株式会社UniARTSではさらに、AIを活用するエンジンを提供、そのための深層学習ツールの開発なども行っております。

 こうした一連の研究開発は、クライアントの利便性のみならず、当社としても実益を追求するスタンスを持ち、最先端の技術を分かりやすい、使いやすい形で提供することを心がけております。そして、難しい技術を意識せずとも、簡単にその恩恵が享受できる製品を開発コンセプトとしております。

 当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費は143百万円となり、対売上高研究開発費率が8.3%となりました。