文中には、中期経営方針等に関する様々な業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報が開示されています。これらの業績予想及び目標数値、並びにその他の将来に関する情報は、将来の事象についての現時点における仮定及び予想、並びにアサヒグループが現在入手可能な情報や一定の前提に基づいているため、今後様々な要因により変化を余儀なくされるものであり、これらの予想や目標の達成及び将来の業績を保証するものではありません。
(1)経営の基本方針
アサヒグループは、純粋持株会社であるアサヒグループホールディングス株式会社のもと、日本、欧州、オセアニア、東南アジアを核として主に酒類、飲料、食品事業を展開しています。
グループ理念「Asahi Group Philosophy(AGP)」に基づき、未来のステークホルダーからも信頼されるグループを目指しています。AGPは、Mission、Vision、Values、Principlesで構成され、グループの使命やありたい姿に加え、受け継がれてきた大切にする価値観とステークホルダーに対する行動指針・約束を掲げています。また、AGPを補完するコーポレートステートメントとして、「Cheer the Future ~おいしさと楽しさで、未来を元気に~」を設定し、サステナビリティと経営の統合を推進しています。
各RHQ※及び事業会社が、AGPに基づく戦略を策定、実行していくことにより、グループ全体で企業価値の向上に努めています。
※ RHQ:Regional Headquarters(地域統括会社)を指します。
(2)中長期経営方針
AGPの実践に向けて、『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げています。
目指す事業ポートフォリオを示すとともに、サステナビリティと経営の統合、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化により、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指しています。
『中長期経営方針』:長期戦略の概要
<長期戦略のコンセプト>
おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する
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◆目指す事業ポートフォリオ:ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大 ・既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大 ・健康志向などを捉えた周辺領域での成長、ケイパビリティを活かした新規事業の創出・育成
◆コア戦略:持続的成長を実現するためのコア戦略の推進 ・サステナビリティと経営の統合による社会・事業のプラスインパクトの創出、社会課題解決 ・DX=BXと捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進 ・R&D(研究開発)機能の強化による既存商品価値の向上・新たな商材や市場の創造
◆戦略基盤強化:長期戦略を支える経営基盤の強化 ・目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を遂行するための人的資本の高度化 ・グループガバナンスの進化による最適な組織体制構築、ベストプラクティスの共有 |
■目指す事業ポートフォリオ
長期戦略における事業ポートフォリオでは、人々のWell-beingの変化に応えていくなかでの「リスクと機会」を捉え、ビールを中心とした既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大を目指しています。
既存事業については、各地域においてプレミアムカテゴリーへの重点的な資源配分を行ったほか、最優先ブランドである『アサヒスーパードライ』と『Peroni Nastro Azzurro』を中心に販売促進活動を強化し、5つのグローバルブランド全体で販売数量を前年比8%増加させるなど、着実に成果を創出しました。
一方、新規領域については、欧州、オセアニアを中心にノンアルコールカテゴリーの販売数量拡大に向けた取り組みを強化したほか、日本において、飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」を推進するなど、BAC※への投資強化による新市場創出を図りました。また、2022年に米国サンフランシスコに設立した投資運用会社を通じ、将来大きく成長する可能性のある魅力的なブランドや、新たな販売手法・製造手法に繋がるテクノロジーを持った米国のスタートアップ企業へのマイノリティ出資や協業により、新たな成長ドライバーの探索を目指します。
今後もビールを中心に培ってきたケイパビリティや事業基盤を活かし、BACや新商材・新サービスの領域で成長機会を拡大することで、最適な事業ポートフォリオを構築していきます。
※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビール、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。
■コア戦略 ―サステナビリティ戦略―
「サステナビリティと経営の統合」を実現させるため、サステナビリティに取り組む理由、取り組み方、取り組む内容などを示した「サステナビリティ・ストーリー」を設定しています。この考え方に基づき、グループ一丸となってサステナビリティの推進を強化するとともに、社内外のステークホルダーとのエンゲージメントの向上を進めています。
また、「重点方針」を定めるとともに、経営課題として取り組む社会課題の領域として5つの「マテリアリティ」とその「取り組みテーマ」を特定し、特に経営資源を配分するものを「重点テーマ」として設定しています。「重点テーマ」における取り組みについては、テーマごとのグループ全体の目標を各RHQの目標・計画にも落とし込み、進捗管理を行っています。
地球温暖化による異常気象などの気候変動問題は、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとって重要な社会課題です。
アサヒグループでは、2050年までにCO2排出量ゼロを目指す「アサヒカーボンゼロ」を設定しています。「アサヒカーボンゼロ」の達成に向けて、再生可能エネルギーの導入拡大などCO2排出量削減に向け、2030年までに500億円以上の投資を実施していく予定です。
2022年は欧州において、電力だけでなく熱への取り組みにも着手し、製造工程において再生可能エネルギーから生成された熱である「グリーン熱」の活用を開始するなど、カーボンニュートラルを目指した取り組みを強化しました。
今後もグループ全体における再生可能エネルギーの積極的な活用、製造工程の見直しによる省エネ化、バイオメタンガス燃料電池発電システムなど脱炭素につながる新技術の確立に取り組んでいきます。
■「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への取り組み深化
アサヒグループは、気候変動によるリスクと機会に関連する事業インパクトの評価及び対応策の立案が、持続可能な社会の実現及び事業の持続可能性に不可欠であると認識し、TCFD提言への賛同を表明しています。
アサヒグループは、主に酒類カテゴリー、飲料カテゴリー、食品カテゴリーを展開しており、シナリオ分析については、最もインパクトのあるビールカテゴリーの分析から開始し、徐々に分析対象を拡大しながら、精緻化・深化させてきました。3年目となる2021年は、2019年、2020年の分析対象に新たに食品カテゴリーを加え、初めて全カテゴリーでの分析を実施しました。2022年以降も引き続き全3カテゴリーについての分析を精緻化し、深化させています。
事業インパクト評価と対応策(一部抜粋)
2021年シナリオ分析の結果、①農産物原料の収量減少による原料価格の高騰、②炭素税の導入によるコスト増加、③水リスク(水害など)に関するコスト増加の3点が特に大きな影響を及ぼす可能性があることを認識し、事業インパクト評価を実施して、それぞれ具体的な対応策を導き出しました。
なお、詳細につきましては、以下の当社ウェブサイトに掲載しています。
容器包装は商品を提供するうえで品質保持や輸送強度を担保し、デザインや表示によるコミュニケーション手段としての機能のほか、使用段階での使いやすさや原料資源の持続可能性が求められています。一方で、不適切に廃棄されたプラスチック製の容器包装などは、海洋汚染や生態系への影響など喫緊の社会課題となっています。
アサヒグループは、容器包装の環境負荷低減を取り組むべき重要な課題であると考え、グローバル目標「3R+Innovation」を設定しています。プラスチック使用量の削減やリサイクル素材の利用推進、ラベルレスボトルの拡大展開をするほか、再生材やバイオマス素材など環境配慮素材の利活用を進め、環境負荷低減に取り組んでいます。また、容器包装の素材ごとの業界団体との連携、サプライヤーとの技術の共同開発にも取り組んでいます。
2022年はオセアニアにおいて、競合他社を含む4社の合弁会社において建設したPETリサイクル工場を本格稼働させるなど、業界の垣根を越えてプラスチック容器包装の課題に積極的に取り組みました。
今後も目標達成に向けたさまざまな取り組みを推進し、「持続可能な容器包装」の実現を目指していきます。
経済発展や社会の変化などにより、地域や共通の価値観に根差した「つながり」が、希薄化する傾向にあります。そのような状況下での新型コロナウイルスの世界的な影響は、人と人との「つながり」の持つ重要性を浮き彫りにしました。
長年にわたり地域社会に支えられてきたアサヒグループは、改めて「つながり」を見直して進化させることが重要と考え、マテリアリティ「コミュニティ」の活動スローガンを「RE:CONNECTION」と設定しました。2022年には、アサヒグループの事業活動において重要であり、コミュニティにとっても影響の大きい農産業を未来へつなぐための「持続可能な農産業」を重点活動とし、従業員が地域の社会課題の解決に参画する「コミュニティ支援活動」を基本活動とする戦略を構築し、コミュニティ活動を推進しています。
また、世界各地のアサヒグループ従業員を対象とした「コミュニティ支援活動」として、地域環境の保全を目的とした“RE:CONNECTION for the EARTH”を実施しました。6月5日の世界環境デーに合わせてグローバルで一斉に、アサヒグループ従業員が地域環境に関わる活動に参画しました。
今後もアサヒグループは、グループの資源・技術を通じて人と人、人と地域、地域と地域の「つながり」を見直して進化させ、持続可能なコミュニティの実現へ貢献していきます。
酒類は日々の暮らしに喜びと潤いをもたらす一方で、不適切な飲酒などによって、個人や家庭、社会にさまざまな問題を起こすこともあります。
アサヒグループは「酒類を取り扱う企業グループとしての飲酒に関する基本方針」に則り、不適切飲酒を防止するための活動や適正飲酒の啓発にグローバルに取り組み、アルコール起因の課題が減少している社会の実現を目指しています。また、多様な商品や飲み方の選択肢を提案し、多様性を受容できる社会の実現を目指すとともに、ノンアルコール・低アルコール飲料※の販売量構成比の目標を掲げ、基本方針の実現に向けた取り組みを推進しています。
2022年はオセアニアにおいて、『アサヒスーパードライ3.5%』を発売しました。「ミッドストレングス」と呼ばれるアルコール度数3.5%前後の市場が拡大しており、アルコール度数5%の『アサヒスーパードライ』の特長はそのままに、新たな需要拡大を見込み開発された商品です。また、ノンアルコールビール『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』の展開も開始するなど、各地域で飲み方の新たな選択肢の提案を進めました。
今後もグローバルで酒類を取り扱う企業グループとして、適正飲酒への取り組みを推進し、酒類文化の発展に貢献するとともに、アサヒグループの知見と技術を結集して新たな革新的な商品を展開し、新たな飲用機会を創出していきます。
※ アルコール度数が3.5%以下の商品。
■「新たな飲用機会の創出によるアルコール関連問題の解決」に関する目標
新型コロナウイルスや気候変動により、脆弱な立場の人々の人権に対する負の影響がさらに深刻化し、企業の人権尊重への取り組みに注目が高まっています。
アサヒグループは、自らの事業活動によって影響を受ける人々の人権を尊重することを責務として認識し、事業を行ううえで、個人の人権と多様性(ダイバーシティ)を尊重し、差別や、個人の尊厳を損なう行為を行わないこと、強制労働や児童労働を行わないことを「アサヒグループ人権方針」のなかで明示しています。本方針に基づき、人権デューデリジェンスの確立、社員・ビジネスパートナーなどへの人権尊重の教育の徹底、人権侵害の被害者に対する救済の仕組みの構築に取り組んでいます。
直近では、サプライチェーンにおける取り組みとして、主要な原材料品目を対象とした「現代奴隷リスク分析」の結果に基づき、特に深刻度・影響度が大きいエチオピア・タンザニアのコーヒー農園を対象に人権デューデリジェンスを行いました。輸入商社等の協力を得て主要な調達経路を確認した後、調査機関によるデスク・リサーチや関連するステークホルダーへのインタビュー調査を行い、潜在的な人権リスクを特定しました。今後はステークホルダーと協力して人権リスクの低減に向けた具体的な取り組みを検討し、負の影響の防止・軽減を進めていきます。
人権の尊重を全ての事業活動における基盤とし、事業活動によって影響を受ける人々への人権侵害が生じないように取り組みを推進していきます。
なお、詳細につきましては、以下の当社ウェブサイトに掲載しています。
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■コア戦略 ―DX戦略― アサヒグループのDXは単なるデジタライゼーションではなく、生き残りをかけた経営改革であると認識しており、DX=BXと捉え、「ビジネスモデル」「プロセス」「組織」の領域において、三位一体でイノベーションを推進しています。 |
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①ビジネス イノベーション
「一人ひとりの“Well-being”とサステナビリティが両立される社会をつくる」を目指す姿とし、事業ポートフォリオの成長領域を支えることのできる新たなビジネスモデルを各地域で創出していく計画です。
②プロセス イノベーション
「“グローカル”の価値を最大化し、生産性と柔軟性を両立する仕組みをつくる」を目指す姿とし、グローカル基盤と柔軟性を持ったシステム基盤の構築により、生産性を飛躍的に向上させ、環境負荷の目標を達成していく計画です。
③組織 イノベーション
「事業イノベーションを実現する次世代型自律分散組織をつくる」を目指す姿とし、ビジネスイノベーションとプロセスイノベーションを実現するために人材を獲得・育成し、組織の機能を強化していく計画です。
※1 企業全体のシステムを統一的な手法でモデル化し、業務とシステムの最適化を図る手法。
※2 得られたデータを総合的に分析し、未来予測・意思決定・企画立案などに役立てること。
※3 起業及び事業の創出をサポートするサービス・活動。
※4 ソフトウェアの開発において考え出された、より素早い開発を重視する方法。
■コア戦略 ―R&D戦略―
R&D戦略においては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドからバックキャストで導いた未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、以下の4つを重点領域として位置付け、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、海外を含む拠点間での技術シナジーの醸成、異分野とのオープンイノベーション活用による新たな価値創造にも積極的に取り組んでいます。
①アルコール関連
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消費者ニーズの多様化や「スマートドリンキング」推進のため、これまで培ってきた酒類と飲料の技術・知見などを活用し、アルコール価値代替、新価値創造の研究、BACの優位性構築に向けた商品・技術開発を中心に研究開発を強化しています。今後、市場ポジションの確立やプレゼンスの向上に加え、アルコール関連事業の持続的な成長への貢献を目指します。 アルコールを飲む人と飲まない人の垣根をなくし、人と人とのつながりを拡大することにより、変化するアルコールを取り巻く新しい環境への対応を図ります。 |
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②ヘルス&ウェルネス
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身体や心の健康に関する消費者の拡大するニーズに対し、さまざまなタイプのソリューションを提供することで人々の健康的な生活をサポートしています。 長年培ってきた乳酸菌の研究開発力を活用し、独自性のある機能を有した乳酸菌素材を中心に健康機能に関する研究を強化し、新たな価値提案につなげていきます。 また、果汁などの減糖技術の開発や新たな形態でのサービス開発などを進め、心身ともにより好ましい状態へと行動変容を促す新たな価値提案の強化を目指していきます。 |
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③サステナビリティ
環境・エネルギー分野や副産物利用における世界トップ水準の技術の実装を目指すとともに、気候変動に伴う原料コスト影響の最小化を目指し、サステナビリティ戦略の実効性を高めています。
環境・エネルギー分野では、現在、排水処理から得られるバイオメタンガスを活用し、燃料電池発電システムやCO2分離回収装置の実証試験を実施しており、早期の実用化を目指しています。また、回収したCO2の有効利用を志向した食品業界初のメタネーション※実証試験にも取り組んでおり、将来的には、グループの工場で発生したCO2を燃料や原料として再利用する「カーボンリサイクル」を視野に入れ、研究開発を加速させています。
副産物利用では、製品の製造工程で発生する廃棄物や副産物について、資源の有効利用や廃棄物の排出量削減を推進するとともに、外部機関との連携を含めて、副産物のアップサイクルなどにも取り組み、資源利用率の向上を目指しています。
※ メタネーション:水素とCO2から天然ガスの主成分であるメタンを合成する技術。
④新規事業
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中長期的に目指す事業ポートフォリオの実現に向けて、グループ内外、既存・新規の技術を組み合わせるほか、新たな技術やビジネスモデルの取込みも積極的に検討し、新規事業の創出につながる非凡なシーズの開発に取り組んでいます。また、これまでの技術的な知見や事業基盤を強みとしたシーズの開発を強化しています。 今後、当社グループを取り巻く環境の更なる変化が想定されるなか、新規事業の開拓に必要な革新的な外部の技術やこれまでと異なる領域における取り組みを強化するために、有力なパートナーとの協業にも積極的に注力し、新規技術のソーシングを加速していきます。 |
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■人的資本の高度化
戦略基盤強化に向けて、「ありたい企業風土の醸成」、「継続的な経営者人材の育成」及び「必要となるケイパビリティ※の獲得」の3つの取り組みを連携させながら、競争優位の源泉となる「人的資本の高度化」の実現を目指しています。
※ 戦略を実現するために必要な組織的能力。
①ありたい企業風土の醸成
アサヒグループを取り巻く複雑化・多様化するさまざまな課題の解決に向けて、これまでとは異なる多様な経験や発想が不可欠になっています。そうした状況なども踏まえ、2021年に策定した「ピープルステートメント」を基に、“学び、成長し、そして共にやり遂げる”風土醸成の具現化を図っています。
なお、詳細につきましては、以下の当社ウェブサイトに掲載しています。
また、従業員一人ひとりが、違いを認め、異なる意見やアイデアを大切にすると同時に、そこから学び、多様性と多文化が共存する組織をより強く、より革新的にしていくために、「ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)ステートメント」を策定し、コアメッセージとして「shine AS YOU ARE」を掲げ、全世界の従業員への浸透を図っています。
加えて、2022年1月にはDE&Iの取り組みをグローバルで推進していくための体制として、各RHQのCEOから推薦され、多様なバックグラウンドを持つ従業員をメンバーとした「グローバルDE&Iカウンシル」を設置するなど、ありたい企業風土の醸成に向けた取り組みを加速させています。
②継続的な経営者人材の育成
事業環境の変化するスピードがさらに増すことが想定されるなか、中長期的に企業価値を高めるためには、持続的に経営者人材を輩出できる仕組みを強化し、経営力の安定的充実を図っていく必要があります。
将来の経営環境の変化や『中長期経営方針』に基づき、新たな経営者像を定義し、取締役会スキルマトリックスやCEOスキルセットなどの選抜基準を見直すとともに、グループ経営にとって重要なポジションについても検証・特定を進めています。
また、各RHQを含めて従業員の能力・スキルの評価・分析をおこない、グループ全体の有能な人材の可視化を進め、最適な人材を選抜し、適材適所の配置や人材育成などを通じて、これまで以上に層の厚いリーダー人材のパイプラインを形成していく方針です。
加えて、人材育成面においても、グループ全体と各地域の両側面から人材育成プログラムの更なる拡充などを進め、中長期にわたって安定した人材を確保できる体制を強化しています。
③必要となるケイパビリティの獲得
人的資本の高度化を実現するためには、現状保有するケイパビリティと必要なケイパビリティのギャップを明らかにし、獲得することが不可欠です。『中長期経営方針』における事業ポートフォリオ戦略、コア戦略及び戦略基盤強化の観点から必要なケイパビリティを整理したうえで、グループ内の適所適材と育成を兼ねたグループ人材の活用や、外部リソースを利用した専門性に秀でた人材の獲得を進めています。
また、人材育成プログラムの拡充やグループ全体での社内公募制度による積極登用に加え、各RHQとのベストプラクティスの共有などを掛け合わせ、成長戦略を踏まえた人材パイプラインの強化を図っています。
(3)目標とする経営指標
主要指標のガイドライン
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3年程度を想定したガイドライン |
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事業利益 |
・CAGR(年平均成長率):一桁台後半※1 |
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EPS(調整後※2) |
・CAGR(年平均成長率):一桁台後半 |
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FCF※3 |
・年平均2,000億円以上 |
※1 為替一定ベース
※2 調整後とは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を除くベース
※3 FCF=営業CF-投資CF (M&A等の事業再構築を除く)
財務方針のガイドライン
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2022年以降のガイドライン |
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成長投資・債務削減 |
・FCFは債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高める ・Net Debt/EBITDA※1は2024年に3倍程度を目指す (劣後債の50%はNet Debtから除いて算出) |
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株主還元 |
・配当性向※235%程度を目途とした安定的な増配 (配当性向は2025年までに40%を目指す) |
※1 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA
※2 配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失などに係る一時的な損益(税金費用控除後)を控除して算出しております。
(4)対処すべき課題
中長期的な外部環境としては、テクノロジーの発展が人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定されます。
そうしたメガトレンドを踏まえて更新した『中長期経営方針』に基づき、各地域統括会社は、既存事業の持続的成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスを拡大していきます。さらに、サステナビリティと経営の統合などコア戦略の一層の強化により、グループ全体で企業価値の向上に努めていきます。
<地域統括会社の中期重点戦略>
[日本]
① 変化を先読みする商品ポートフォリオ最適化とシナジー創出による日本事業のポテンシャル拡大
② ニーズの多様化に対応したスマートドリンキングなどの推進、高付加価値型サービスの創造
③ カーボンニュートラルなど社会課題の事業による解決、日本全体でのサプライチェーン最適化
[欧州]
① グローバル5ブランドの拡大と強いローカルブランドを軸としたプレミアム戦略の強化
② ノンアルコールビールやクラフトビール、RTDなど高付加価値商品を軸とした成長の加速
③ 再生エネルギーの積極活用や循環可能な容器包装の展開など環境負荷低減施策の推進
[オセアニア]
① 酒類と飲料を融合したマルチビバレッジ戦略の推進、統合シナジーの創出
② BACなど成長領域でのイノベーションの推進、健康・Well-beingカテゴリーの強化
③ 新容器・包装形態などサステナビリティを重視した新価値提案、SCM改革の推進
[東南アジア]
① マレーシアの持続成長と自社ブランドの強化など、域内6億人超の成長市場での基盤拡大
② 植物由来商品など新セグメントの拡大による最適なプレミアムポートフォリオの構築
③ 環境配慮型容器の展開などによる持続可能性の確保や原材料調達での地域社会との共創
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当年度末現在においてアサヒグループが判断したものであります。
1.アサヒグループのリスクマネジメント体制
アサヒグループは、グループ全体を対象に、エンタープライズリスクマネジメント(ERM)を導入しております。この取り組みの中で、グループ理念「Asahi Group Philosophy」の具現化、並びに「中長期経営方針」の戦略遂行及び目標達成を阻害しうる重大リスクを、戦略、オペレーション、財務、コンプライアンス等全ての領域から特定及び評価し、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを継続的に実施することで、効果的かつ効率的にアサヒグループのリスク総量をコントロールします。
ERMを推進するにあたり、代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び代表取締役社長が指名する執行役員で構成される、リスクマネジメント委員会を設置しています。ERMはグループ全体を対象とし、リスクマネジメント委員会の委員長である代表取締役社長が実行責任を負います。
アサヒグループ各社は、事業単位毎にERMを実施し、リスクマネジメント委員会に取組内容を報告します。同委員会はそれらをモニタリングするとともに、委員自らがグループ全体の重大リスクを特定、評価、対応計画を策定、その実行及びモニタリングを実施します。これらの取り組みは取締役会に報告され、取締役会はこれらをモニタリングすることで、ERMの実効性を確認します。
2.アサヒグループ リスクアペタイト
アサヒグループは、ERMを推進するとともに、「中長期経営方針」の目標達成のために、「とるべきリスク」と「回避すべきリスク」を明確化する、「アサヒグループ リスクアペタイト」を制定しております。
「アサヒグループ リスクアペタイト」は、アサヒグループのリスクマネジメントに関する「方針」です。ERMの運用指針及び意思決定の際のリスクテイクの指針となるものであり、リスクに対する基本姿勢を示す「リスクアペタイト ステートメント」と、実務的な活用を想定した、事業遂行に大きく影響する主要なリスク領域に対する姿勢(アペタイト)を示す「領域別リスクアペタイト」で構成されます。グループ戦略、リスク文化とリスク状況、及びステークホルダーの期待をもとに検討し、取締役会にて決定、グループ全体に適用され、実施状況はリスクマネジメント委員会でモニタリング、取締役会へ報告されます。本取り組みを通じて、アサヒグループ全体で適切なリスクテイクを促進してまいります。
3.アサヒグループのクライシスマネジメント体制
アサヒグループでは、ERMにおけるグループ全体の重大リスクの中でも、人・モノ・カネ・情報等の経営資源遮断の危機があり「即時対応」する領域を「クライシスマネジメント」の対象としております。
クライシスマネジメントの実効性を上げるため、平時から「事前の想定」を行い、クライシス時に混乱なく速やかに対応できるよう「緊急時の即応体制」を構築しております。事前の想定については、経営資源遮断の危機を想定した「リスクシナリオ」を作成し対応を準備しております。
また、緊急時の即応体制については、クライシス類型に応じた対応主体を予め明確にし、危機発生時の初動における事実確認と重大性の評価を迅速・的確に実施し対応する体制を構築しております。
4.主要リスク
当社グループでは、「1.アサヒグループのリスクマネジメント体制」に記載の通り、当社代表取締役社長をはじめとする業務執行取締役及び執行役員で構成されるリスクマネジメント委員会で、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを特定及び評価し、以下の「(2)個別戦略リスク」として認識しております。
加えて、それ以外に考えられる当社グループの事業等のリスクについても、「(1)全体リスク」及び「(3)その他リスク」に記載しております。但し、以下に記載したリスクは当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在します。かかるリスク要因のいずれによっても、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があります。
また、前述の、当社グループリスクマネジメントの取り組みの中で、以下に記載する各リスクに対する対応策を含む種々の対応策をとりますが、それらの対策が有効に機能しない等によりリスクが解消できず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(1)全体リスク
1)中長期経営方針について
当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値向上を目指して、2019年に「Asahi Group Philosophy(AGP)」を制定し、昨年、それに基づいて、また、その後のグループ内外の環境変化も踏まえて中長期経営方針を更新しました。「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、本方針では、3年程度を想定した主要指標のガイドラインや、財務・キャッシュ・フロー方針を示しておりますが、これらのガイドライン・方針は、策定時に当社グループが入手可能な情報や適切と考えられる一定の前提に基づき、将来の事象に関する仮定及び予想に依拠して策定されたものです。そのため、本「2 事業等のリスク」に記載の各リスク等を含む様々な要因により変更を余儀なくされるものであり、当社グループの事業や業績が中期経営方針内の同ガイドライン・方針等を達成できない可能性があります。
2)事業環境について
当社グループの売上収益において日本の占める割合は約51.8%(2022年12月期決算)となっております。今後の日本国内での景気の動向によって、酒類・飲料・食品の消費量に大きな影響を与える可能性があり、人口の減少、少子高齢化が進んでいくと、酒類・飲料・食品の消費量が減少する可能性があります。また、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレの影響などにより、国内での競争環境がさらに激化することで当社売上数量・金額が低下するとともに、コスト構造の悪化を招き、当社グループ事業の収益性が想定より損なわれる可能性があります。
日本の売上収益のうち、ビール類は4割を超えます。このような状況は、当社グループのビール類商品に対するお客様の信頼を反映したものであり、当社グループ国内酒類事業での効率的な利益創出に寄与しておりますが、消費者の嗜好性の変化、世代交代等により、お客様の支持を失ってしまうと、本商品群の売上が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは海外での事業領域を拡大しており、2022年12月期決算での売上収益における欧州、オセアニア、東南アジアの占める割合は、約48.1%となっております。今後、欧州、オセアニア地域を中心とする当社グループが事業を展開する各国における景気の悪化、当該各国での競争環境の激化、消費者の嗜好の変化等、市場の需要動向が変化すること等により、当該地域における当社グループの売上収益の低下、利益率の悪化が生じる可能性があります。
当社グループは、中長期経営方針に『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』を掲げ、グローバル5ブランド『アサヒスーパードライ』、『Peroni Nastro Azzurro』、『Pilsner Urquell』、『Grolsch』、『Kozel』をはじめとした高付加価値ブランドの価値向上や新市場の創造を目指すとともに、今後の環境変化も見据えた収益構造改革を加速することで、本リスクが顕在化した場合の業績及び財政状態への影響の低減を図っていきます。また、ビール類以外にも酒類全般における商品のラインアップを充実させることで売上収益を増加させるとともに、飲料、食品事業において、消費者の健康志向の高まり及び高齢化社会に対応する領域へ挑戦することで、事業拡大を図っていきます。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、多くの国や地域でワクチン接種の進展や治療薬の承認といった、同ウイルスとの共生に向けた進展が見られる一方で、変異種の断続的感染拡大が続き、今なお予断を許さない状況です。世界全体では、2023年内にも事態が鎮静化するとの見方も示されているものの、当社グループが事業展開する個々の地域において鎮静化が遅れ、ロックダウンや緊急事態宣言が発出される事態に陥った場合には、業務用ビールを中心とした売上低迷により、当社グループの業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、テクノロジーの発展が、人類に新たな技術力と自由な時間を与え、気候変動・資源不足といった地球規模の課題を抱える中、社会・経済だけではなく人類の幸福(Well-being)のあり方も変化していくものと想定しています。そうしたメガトレンドを踏まえて更新した「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」という方針のもと、変化しつつあるWell-beingへの迅速な対応、市場環境の変化を先取りした事業戦略の立案と展開、ならびに新たなオペレーティングモデルの構築を通じて、当社グループの戦略及び事業の競争力を強化してまいります。
(2)個別戦略リスク
当社リスクマネジメント委員会は、中長期経営方針の事業遂行及び目標達成を阻害しうる特に重大なリスクを以下の通り認識しております。その中で、中長期的に顕在化が懸念されるリスクを①、短中期的に顕在化が懸念されるリスクを②、及び継続的に顕在化を留意すべきリスクを③、とそれぞれ分類し記載しました。
① 中長期的に顕在化が懸念されるリスク
1)事業拡大について
当社グループは、Schweppes Australia社の買収(2009年、買収額1,185百万豪ドル(適時開示の際に公表した金額、以下同じ))、カルピス社の買収(2012年、買収額920億円)、旧SAB Miller社の西欧ビール事業の取得(2016年、買収額2,550百万ユーロ)、中東欧ビール事業の取得(2017年、買収額7,300百万ユーロ)及びCUB事業の買収(2020年、買収額160億豪ドル)をはじめとして、国内外での事業領域拡大のため、積極的に外部の経営資源を獲得してきました。2020年6月には、CUB事業を取得する手続きを完了することで、日本、欧州に加え、オセアニア地域での事業を盤石にし、日本、欧州、オセアニアの3極を核としたグローバルプラットフォームを構築、成長基盤の拡大を実現しました。当面は財務基盤の強化を優先し大型の買収を積極的に行う予定はありませんが、今後も、成長のために、外部の経営資源を活用していきます。
外部の経営資源獲得にあたっては、慎重に検討を行い、一定の社内基準をもとに、将来の当社グループの業績に貢献すると判断した場合のみ実行します。しかしながら、営業、人員、技術及び組織の統合ができずコスト削減等の期待したシナジー効果が創出できなかった場合、アルコールや砂糖の摂取に対する社会の価値観の変化や人口動態の変化等により、買収した事業における製品に対する継続的な需要を維持できない場合、買収した事業における優秀な人材を保持し又は従業員の士気を維持することができない場合、高付加価値ブランドの育成不振等、効果的なブランド及び製品ポートフォリオを構築することができない場合、並びに異なる製品ラインにおける販売及び市場戦略の連携(クロスセルの拡大)ができない場合等により、当社グループの期待する成果が得られない可能性があります。
当社グループは、買収に伴い、相当額ののれん及び無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2022年12月末現在、のれん及び無形資産の金額はそれぞれ、連結総資産の40.7%(19,669億円)及び22.0%(10,609億円)を占めております。
当社グループは、当該のれん及び無形資産につきまして、それぞれの事業価値及び将来の収益力を適切に反映したものと考えておりますが、事業環境や競合状況の変化等により期待する成果が将来にわたって大きく損なわれると判断された場合、又はカントリーリスクの顕在化による金利高騰や市場縮小等により適用される割引率や長期成長率が大きく変動した場合等は、減損損失が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、AGP及び中長期経営方針に基づいた価値創造経営により、事業の持続的成長と中長期的な企業価値向上を目指しており、『ビールを中心とした既存事業の成長と新規領域の拡大』、や『持続的成長を実現するためのコア戦略の推進』とともに、『長期戦略を支える経営基盤の強化』の一環としてグループガバナンスの更なる実効性向上に向けた取り組みを実施することで、グループ戦略の実行と期待成果をより確実なものとします。
2)アルコール摂取に対する社会の価値観
アルコールの摂取は人々の生活を豊かにしてきた一方で、その不適切な摂取は健康面あるいは社会的悪影響が指摘されています。世界保健機関(WHO)においては世界的な規模での酒類販売に関する規制が推奨されており、当社グループの予想を上回る規制強化が行われる可能性があります。また、新型コロナウイルス感染症の拡大によって一次的にアルコールの製造販売の禁止や制限を含む行動規制が行われたことでライフスタイルを見直す動きも見られました。現状は元の状況に戻りつつありますが、将来似たような行動規制が重なると、アルコールに対する消費者の需要が縮小する可能性もあります。これらの要因により、規制に対応するための費用支出による利益圧迫や酒類の消費が減少することによる売上収益の縮小、さらにはアルコールを製造・販売する当社グループのレピュテーション及びブランド価値を毀損する等し、その結果、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、アルコール飲料を製造・販売する企業としての社会的責任を果たすため、WHOが2022年5月に新たに採択したグローバルアルコールアクションプラン2022-2030の中で掲げたグローバル目標「有害なアルコール使用20%削減」の達成に貢献する戦略の方向性を経営の中で議論してきました。今後は地域ごとに具体的なアクションプランの策定に取り組んで行きます。これまでも、責任ある飲酒の取り組み促進のためにグループスローガン「Responsible Drinking Ambassador」を打ち出し、不適切な飲酒の撲滅に向けた活動を強化するとともに、社員に対する「責任ある飲酒」の研修の取り組みを推進してきましたが、今後更に社会インパクトを創出する取り組みを強化していきます。更に、新しい飲用機会の創出に向けた取り組みとして、2025年までにアサヒグループにおけるノンアルコール・低アルコールの販売構成比を15%にする目標を掲げ、アルコール起因の課題解決にも取り組んでいます。アサヒビール株式会社は2020年に「スマートドリンキング宣言」を発表し、商品ごとの純アルコール量の積極的な開示を開始。多様な飲み方に対応すべく、様々な度数の低アルコール飲料による飲み方提案や、ノンアルコール飲料の強化などを進めています。2022年にはノンアルコールや低アルコール飲料のメニューを100種提供する店舗『SUMADORI-BAR SHIBUYA(スマドリバー シブヤ)』を展開し、飲む人も飲まない人も楽しめる飲食店のカタチを提案しています。
アルコールの有害な使用の低減による健康被害の予防に更に推進するためには産業界が協力し合って課題解決に取り組むことも重要になります。酒類事業を行う各地の関連法令遵守のほか、IARD※をはじめとする業界団体や他業種の業界と協力・連携して販売や広告に関する自主基準を設け、責任あるマーケティングに取り組んでいます。2020年1月に、IARDに加盟する企業のCEOによる未成年飲酒防止に向けた取り組みを推進する共同声明を公表しました。2021年にはIARDとしてeコマースのプラットフォームなどと共にeコマースにおける世界基準を策定し実践を開始したほか、インフルエンサーマーケティングの世界基準を新たに策定し広告代理店やPR代理店などと共に取り組むことを宣言しました。
※ IARD=International Alliance for Responsible Drinking(責任ある飲酒国際連盟)の略称。不適切な飲酒の撲滅と、責任ある飲酒を促進するという共通の目的のもとに、世界のビール、ワイン、スピリッツの製造業者である大手企業14社の加盟企業で構成される非営利団体。
3)技術革新による新たなビジネスモデルの出現
当社グループが国内外で事業を展開する、酒類・飲料・食品業界は、その製造販売に関して、技術革新による競争環境の変化が比較的少ない安定した業界でしたが、最近では、低アルコール飲料、ノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料などのビール隣接カテゴリー(BAC:Beer Adjacent Categories)による新たな飲用シーンの提案ができるようになり、最新デジタル技術を活用して“変化するWell-Being”に応えることで新たな価値の提供、AI活用によるサプライチェーンの効率化、あるいはアルコール代替品等、技術革新による新たなビジネスモデルの可能性も示されております。更に、2020年以降世界中へ拡大した新型コロナウイルス感染症の影響により、テレワークの急激な普及や、EC等のオンラインチャネル利用の加速等、それまで将来的に発生すると想定されていた変化が前倒しで出現しています。
こうした環境変化や新たなビジネスモデルの出現により、当社グループ事業がコスト構造や顧客体験で劣後し、業界での主導権喪失や競争力の低下につながり、売上収益、事業利益の低下等、当社グループ業績に影響を及ぼす可能性があります。その一方で、当社グループがこのようなイノベーションを先導することによって、市場優位性獲得や、新規市場創出につなげることが期待できます。
当社グループは、このような状況に対して、単なるリスク対応に留まることなく技術革新を先取りすることを目指して、中長期経営方針において「DX=BX※と捉え、3つの領域(プロセス、組織、ビジネスモデル)でのイノベーションを推進」及び「R&D(研究開発)機能の強化による既存商品価値の向上・新たな商材や市場の創造」を掲げ、領域を特定した戦略的DX及びR&D投資を推進していきます。
DX領域においては、グローバル調達プラットフォーム、グローバルデータマネジメント、環境負荷の予測と見える化といった生産性を向上するグローカル基盤を構築するとともに、新たな消費者データ、多様化・細分化する顧客ニーズの把握と新しい素材や製法による新ビジネスモデルの開発、及びこれらのイノベーションを実現するためのデジタルネイティブ組織への変革、インキュベーション機能の強化、アジャイル型働き方の組み込みを推進します。
R&Dにおいては、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドからバックキャストで導いた未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、変化するアルコールに関する価値観に対応した新たな価値創造、消費者の身体と心の健康の実現、サステナビリティ実現に向けた環境・気候変動リスクの軽減、及び新規事業につながる非凡なシーズの開発を重点領域と位置づけ、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発への投資を推進します。
また、米国サンフランシスコに投資運用会社を設立し、スタートアップ投資ファンドの運営を2023年1月から開始しました。本投資ファンドは、低アルコール飲料やノンアルコールビールテイスト飲料、成人向け清涼飲料など、将来大きく成長する可能性のある魅力的なブランドや、新たな販売手法や製造手法に繋がるテクノロジーを持った米国のスタートアップ企業にマイノリティ出資を行い、当社グループの市場優位性獲得や、新規市場創出につながるイノベーションに貢献することを期待します。
※ DX=BX:デジタル・トランスフォーメーション = ビジネス・トランスフォーメーション
4)気候変動に関わるリスク
地球温暖化により、これまで経験したことのない気候の変化や熱波による干ばつ、台風や豪雨による洪水など異常気象が世界各地で発生し、生命や財産に大きな被害をもたらしています。この気候変動問題は、「自然の恵み」を享受して事業を行うアサヒグループにとってきわめて重要な環境課題です。
当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「Beyondカーボンニュートラル」を2050年の世界のあるべき姿として掲げています。脱炭素社会に向けて、事業の枠を超えた社会全体におけるカーボン排出量が削減され、生物多様性が保全された世界を目指すため、バリューチェーンのCO2削減と生態系の保全の両立、CO2の排出量削減・吸収・回収の技術開発・展開などに取り組んでいきます。
将来的な気候変動が業績及び財政状態に重大な影響を与える可能性がある物理リスクとして、以下の通り認識しています。海外の生産拠点における干ばつが深刻化し、水需給が逼迫、水価格の高騰による操業コストが上昇する可能性があります。気温上昇(生育環境や労働環境の変化)・天候・自然災害・CO2濃度等が需給バランスや品質に影響し、主要な原材料価格が変動する可能性があります。更に、必要な水資源が確保できない場合、操業停止による機会損失と工場移転費用が発生する可能性があります。異常気象の激甚化により、深刻な風水害及び土砂災害が発生することで生産ラインや物流が停止し、設備被害や機会損失、製品廃棄による損失が発生する可能性があります。
また、将来的な気候変動を見据えた脱炭素社会への移行リスクを以下の通り認識しています。炭素税が導入され、特にPETボトル等の製品原材料への価格転嫁や生産拠点の操業コストが上昇する可能性があります。水ストレスの高い地域の生産拠点において取水制限を受けて操業が停止、機会損失が発生する可能性があります。エシカル志向の高まりにより、環境配慮が不十分な製品があった場合、その需要が低下し、当社グループの売上に影響を与える可能性があります。
当社グループは2050年のCO2排出量ゼロを目指す中長期目標「アサヒカーボンゼロ」の達成に向けて、2030年にScope1,2において70%削減、Scope3※において30%削減(ともに2019年比)を目標としています。さらに、Scope1,2については2025年までに40%削減する中間目標を新たに設定するとともに、使用電力の100%再生可能エネルギー化を目指すRE100の目標年を2050年から2040年へ上方修正し、今後更なる省エネルギー化や再生可能エネルギーの活用を推進していきます。また、グループ全体で水使用量削減に向けた取り組みを進めて、水リスクに対応していきます。
将来的な気候変動リスクに関連する経営のレジリエンスと持続性を高めるために、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の提言への対応を行っています。シナリオ分析によって明確化された重要なリスクと機会に対してそれぞれの対策を講じ、リスクの低減と機会の確実な獲得につなげていきます。特に、炭素税による生産コストなどへの影響を軽減するため、「アサヒカーボンゼロ」に基づくCO2排出量削減施策として、2030年までに500億円以上を投資していきます。
※ Scope1は、自社(工場・オフィス・車など)での燃料の使用によるCO2の直接排出、Scope2は、自社が購入した電気・熱・蒸気の使用によるCO2の間接排出、Scope3は、自社のバリューチェーンからのCO2の排出を指します。
5)プラスチック使用
近年、廃棄プラスチックの規制強化の動きが加速しています。同時に、プラスチックを大量に使用する製品に対する社会の目は厳しくなってきており、容器包装をプラスチック素材に依存している当社グループの飲料・食品製品の需要が著しく低下し、売上に影響を与えるだけでなく、対応不十分とのことで、当社グループに対するレピュテーションが低下する可能性があります。また、リサイクル費用の負担が増加することや、バイオマス素材等の代替素材を使用した場合の材料費が増加すること等で、製造原価が増嵩する可能性があります。
当社グループは、「アサヒグループ環境ビジョン2050」の中で、「容器包装廃棄物のない社会」を2050年の世界のあるべき姿として掲げています。容器包装の中でも海洋汚染や生態系への影響が世界的に喫緊の課題となっている海洋プラスチック問題への対応については、2020年、グループの戦略の方向性として「3R+Innovation」を定め、2022年に目標を上方修正してグローバル統一の新たな目標として2030年までにPETボトルを100%環境配慮素材に切り替えることを設定しました。それに基づき、グループ各社において様々な取り組みを進めています。
国内では、アサヒ飲料株式会社がリサイクルPET・環境配慮素材の使用、リデュースの推進、環境への配慮を前提とした新容器開発等に関する目標「容器包装2030」の達成に向けた取り組みを進めています。更なる「ラベルレスボトル」製品の拡大やリサイクル素材活用拡大のために「ボトルtoボトル」の水平リサイクルを進めています。後者の取り組みとして、再生事業者である株式会社JEPLANへの融資を行い、アサヒ飲料販売株式会社が管理・運営する首都圏エリア約3万台の自動販売機から使用済みPETボトルを回収、ケミカルリサイクルPET樹脂に再生させ、当社商品に再利用する循環システムを構築し、水平リサイクルを進めています。2022年4月から、一部の大型ペットボトル(「三ツ矢」「カルピス」「アサヒ 十六茶」「アサヒ おいしい水」「バヤリース」)でこのリサイクルPET樹脂を使用することにより、年間のCO2排出量は従来比で約47%削減され、約18,400tのCO2が削減される見込みです。また、業界の枠を超えた連携体制により使用済のプラスチックを再資源化する会社に共同出資を行い、中長期的なPET調達に向けた取り組みも強化しています。
海外では、オーストラリアの子会社Asahi Beverages Pty Ltdが、業界の枠を超えたパートナーシップ構築を通じて、PETボトルのリサイクルを推進しています。リサイクル大手企業や容器メーカーと合弁会社を設立し、2022年にはニューサウスウェールズ州でリサイクルPET樹脂の更なる生産と供給のための工場を稼働しました。さらにビクトリア州で2拠点目のリサイクル工場の建設を進めています。オーストラリアでは既に2019年より水ブランドの「Cool Ridge(クールリッジ)」に100%リサイクルPETボトルを使用しCO2排出量を従来の約半分に削減しました。
当社グループ全体として、プラスチック環境配慮素材の更なる活用を推進してまいります。
② 短中期的に顕在化が懸念されるリスク
1)主要原材料の調達リスク
当社がグローバルに事業展開する酒類・飲料・食品の製造においては、原材料の調達に関し、市況悪化による価格高騰、気候変動や自然災害及びパンデミック等による納期遅延や供給停止に陥るリスクがあります。このようなリスクに直面した場合、製造コストが上昇し、また製造数量が計画を下回ることで、グループの業績及び財政に大きな影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対し当社では、原材料毎にヘッジポリシー及びガードレールを定め、原材料商品及び為替市況をつぶさにモニタリングし、状況に応じ複数年での契約締結や、金融商品を活用することで価格高騰リスクを回避し、また必要量の安定確保に努めております。併せて、グローバル各製造拠点で原材料毎に在庫量を定め、安全在庫を確保すると共に、共通する原材料については、スケールメリットを活かした共同調達によりコスト低減に努めております。加えて、グループ間での在庫情報共有による調整機能を活用し、調達困難時でも全製造拠点で十分な在庫量を維持できるよう努めております。
2)地政学的リスク
現在、当社グループは20を超える国に拠点を構え、グローバルに事業を展開しております。世界経済全体の動向に加え、当社グループが事業活動を展開する国・地域における政治、経済、社会、法規制、自然等の要素が、各事業に影響を与える可能性があります。
さらに、近年は、地政学的な要因が事業に影響を及ぼす可能性を考慮する必要性が高まっていると認識しています。例えば、台湾を巡る緊張の高まり、米国と中国の覇権争い、米中対立構造における日本の対応などの要因により、当社グループが事業を展開する複数の国・地域において、台湾有事、輸出入制限、差別的な措置、商品不買運動、技術の分断、データに関する規制等の具体的なリスクが想定され、同時に、今後の事業の強化やエリアの拡大を進める上でも影響を与える要素となります。地政学的な要因によりこれらのリスクが顕在化した場合には、当社グループの中長期経営方針の実行や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、グループ会社での情報収集や外部コンサルタント起用等通じて、事業展開国・地域のカントリーリスクの調査、情報収集、評価をもとに、リスクを早期に認識し、顕在化する前に具体的かつ適切な対処をする取り組みを継続しております。これに加えて、地政学的な観点での情報収集・分析を強化し、リスクシナリオの策定及びリスクの把握を行い、その影響を低減するための適切な対策を継続的に検討するための運営体制の整備を進めてまいります
3)情報セキュリティ
当社グループは、高い市場競争力を確保するため、事業活動の多くをITシステムに依存しており、停電、災害、ソフトウェアや機器の欠陥、あるいはサイバー攻撃によって、事業活動の混乱、機密情報の喪失、個人情報の漏洩、詐欺被害、EU一般データ保護規則(GDPR)等の各国法令違反が発生する可能性があります。
このようなリスクが顕在化した場合、事業の中断、損害賠償請求やセキュリティ対策費用の増加等によるキャッシュアウト、GDPR違反による制裁金等により、当社グループの業績及び財政状態、並びに企業ブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、サイバー攻撃リスクの高まりへの対応として2022年10月にグループ全体で遵守すべきサイバーセキュリティの基準文書を制定し、運用の徹底を図っています。当基準に準じて国内・海外グループ会社のサイバー攻撃対策状況を評価し、セキュリティ体制の維持、及び向上に努めており、本件リスクが顕在化しないようにセキュリティの改善に取り組んでいます。また、当基準内でインシデント発生時の報告ルールを明示することでグループ全体でのインシデント情報を集約し、リスク対応の強化を目的とした体制整備も完了しています。
4)多様で有能な人材の確保
中長期経営方針に掲げる目標達成のためには、多様な価値観や専門性を持った社員の力が必要不可欠です。そのため、当社グループは、社員の多様性を尊重するとともに、一人ひとりが成長できる人材育成プログラムへの投資を拡大し、必要に応じて、経営幹部、一般社員問わず、外部からの登用も進めています。
しかしながら、グローバルな事業の拡大に伴う人材需要の増高及び必要スキルの変化や高度化により、多様で有能な経営幹部並びに一般社員を、必要数確保、育成及び定着させることができず、中長期経営方針の戦略を実行し目標を達成する能力を損ねる可能性があります。
当社グループは、中長期経営方針に「目指す事業ポートフォリオの構築やコア戦略を遂行するための人的資本の高度化」を掲げ、戦略を支える経営基盤を強化するために、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンを推進し、エンゲージメントの高い企業風土を醸成しています。エンゲージメントサーベイを実施することで、目指す企業風土の実現度合いを定期的に確認しています。また、計画的に経営者人材を育成するため、グループの経営幹部に共通に求められるコンピテンシーモデルを策定するとともに、将来の経営幹部候補を育成するグローバルリーダーシッププログラムを継続的に実施することで、人材パイプラインの拡充・強化を進めています。また、グループの経営幹部の後継者計画を討議するタレントレビューを実施することで、各地域の人材の可視化や国籍や性別等にとらわれない、グローバルでの適材適所配置を実施し、多様で有能な人材のグループ内での活用を推進しています。加えて、今後必要となる新たなケイパビリティを獲得するため、社外からの人材登用も積極的に行っています。
③ 継続的に顕在化を留意するリスク
1)大規模自然災害
大規模な地震、津波、台風、洪水等の自然災害に関連するリスクは年々高まっており、近年国内外問わず、世界各地で大規模災害が現実のものとなっています。今後も、中長期的に継続するとともに規模の拡大が懸念されております。このような大規模な自然災害の発生により、従業員の被害、工場損壊、設備故障及びユーティリティー(電気、ガス、水)遮断により製造が停止、倉庫損壊及び保管製品破損により出荷が停止、並びに物流機能停止により原材料資材の調達及び製品の出荷が不能になる可能性があります。更に、事務所施設の損壊、交通機関マヒによる従業員の通勤不能、及びシステム障害に伴う重要データの消失等もあわせて、事業活動が停止する可能性があります。事業活動の復旧に長期を要した場合、施設等の改修に多額の費用が発生した場合、消費マインドが落ち込んだ場合等、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、大規模災害が発生した際に、いち早く従業員及びその家族の安否を確認する仕組みを導入するとともに、大規模地震を含め災害リスクが高い日本においては、早急に被災地の被害状況を把握するため、衛星携帯電話の配備をはじめとした緊急時通信体制の強化を進めています。そのうえで、定期的な訓練を実施することで、有事の対応力を強化するとともに、災害対応意識の啓発に努めています。
また、生産工場では、建物倒壊対策のため、全建物対象に耐震診断を実施しており、対策が必要な物件については、順次計画的に補強工事を実施しています。ボイラー、冷凍機等の大型エネルギー供給設備には大地震(震度5弱相当)を検知すると、安全に自動停止する機能が付属し、大型ビール工場では電力供給が遮断した場合でも、自家発電によりタンクを冷却させることで、半製品の大量腐敗を防止する等2次災害のリスク低減対策を進めています。
また、主要グループ会社において、過去の防災対策の実績及び自然災害の経験を踏まえた「事業継続計画(BCP)」の策定を行い、主要商品の供給を継続するための需給調整機能を早急に復旧する体制を構築するとともに、受発注処理等に関する重要なデータを処理するサーバーセンターのバックアップセンターを設置する等、大規模な自然災害が起こった場合であっても被災地以外での事業活動に支障が無いように備えています。
なお、大規模な災害等が発生した際には、代表取締役社長を本部長とした「緊急事態対策本部」を設置して対応する危機管理体制を構築しており、平常時のリスクマネジメントにおいて、顕在化した際に即時対応を要するリスクを抽出し、その影響度と必要な対応を想定することで、危機発生時にクライシスマネジメントへ寸断なく移行できるよう準備しています。あわせて、国内を含めた4つのRegional Headquarters(RHQ)体制において、危機の類型に応じてRHQと当社の役割を明確にするとともに、危機発生時の情報ラインの整流化を図り、グローバルなクライシスマネジメント体制の強化も進めています。
これらの事前対策により災害による被害の最小化、当社グループの業績及び財政状態に対する影響の低減に努めています。
2)人権尊重に関わるリスク
格差や貧困の拡大、気候変動等環境問題の深刻化、感染症や紛争の勃発、さらに欧米を中心とした人権尊重に関する法規制強化などを背景に、当社グループにとって人権尊重並びに関連法規制の遵守は特に重要と認識しています。そのため2021-2022年にCEOを始めとする経営層が有識者と人権に関するダイアログを実施し、そのダイアログ内容も踏まえて経営戦略会議で継続的に人権に関する討議を行いました。その中で、人権尊重は全ての事業活動の基盤であり、全社員がいかなる理由があっても人権を尊重し、バリューチェーン全体で人権リスクを低減していくことを確認しました。またこういった社内外の動きに基づいて「人権尊重」の位置づけを変更し、取り組みテーマからマテリアリティに再定義しなおしました。
具体的な取り組みとしては、2019年に「アサヒグループ人権方針」を制定後、サプライヤーと自社従業員への人権デューデリジェンスと教育、救済へのアクセスの構築を優先して進めています。サプライヤーについては、国内外事業会社の原材料全一次サプライヤーに対してセルフアセスメント質問表(SAQ)への回答を依頼しました。この結果も踏まえて2021-22年は国内のサプライヤーを対象とし、人権を尊重した労働環境を整えていくための対話等を行い、改善を進めました。また、2021年には現代奴隷リスク分析でハイリスクとの結果が出たエチオピアとタンザニアのコーヒー豆に関わるサプライヤー等を対象とした現地調査やデスク・リサーチを行いました。2022年はブラジルのサトウキビを対象に同様の調査を実施しています。これら調査結果を踏まえて人権リスクを特定・評価し、負の影響の是正や発生予防に取組む予定です。
自社従業員については、従業員一人ひとりが人権方針を遵守するための人権教育として、国内外全役員・社員に対し、「差別・ハラスメント」をテーマにした人権動画の配信や、世界人権デーに合わせたCEOによる人権メッセージの動画配信、担当役員による人権研修動画の配信等を行いました。また、AHSEA社の主要製造拠点の2工場を対象として、NGOとともに労働環境調査とインタビュー調査を実施しました。労働通知書や契約書への労働条件に関する記載内容の変更、就業規則や注意喚起ステッカー等に外国人労働者に伝わりやすい母国語表記を取り入れる等の指摘がありました。今後、指摘事項について改善を進めていきます。
救済へのアクセス構築については、2022年に有識者ダイアログを実施し、社内外からの声に対して適切に救済を行うために必要な体制整備の検討を進めています。
3)法規制とソフトローのコンプライアンス
当社グループは事業の遂行にあたって、食品衛生法、製造物責任法、労働関連規制、贈収賄規制、競争法、GDPR等の個人情報保護規則、環境関連法規等の様々な法規制の適用を受けています。これらの法令が変更される、又は予期し得ない法律、規制等が新たに導入される等の理由による法令違反や社会規範に反した行動等により、法令による処罰・訴訟の提起・社会的制裁を受け、規制遵守対応のためのコストが増加し、又はお客様をはじめとしたステークホルダーの信頼を失うことにより、レピュテーションやブランド価値が毀損し、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
当社グループは、事業活動を行う全ての国・地域において、適用される法令・ルールを遵守することを含め、「Asahi Group Philosophy」で示したステークホルダーに対する5つのPrinciplesに基づき、企業倫理・コンプライアンスを実践するための「アサヒグループ行動規範」を制定し、グループ全体での実践を推進しています。そして、代表取締役社長が委員長を務め、業務執行取締役及び委員長が任命した執行役員で構成される「コンプライアンス委員会」を設置し、グループ全体の企業倫理・コンプライアンスを推進・監督するとともに、「アサヒグループ行動規範」に関する社員の研修等を通じてコンプライアンスのレベルを高め、法令違反や社会規範に反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
④ 個別戦略リスクのヒートマップ
⑤ 個別戦略リスクの経営方針・戦略との関連性
(3)その他リスク
1)品質について
当社グループは、研究開発、調達、生産、物流、販売、お客様とのコミュニケーションに至る全てのプロセスにおいて、お客様の期待を超える商品・サービスを提供することで、お客様の満足を追求することをグループ品質基本方針とし、いずれのグループ会社も品質を通して、お客様との信頼関係を築くことに不断の努力を続けています。お客様の健康に密接に関連する事業を展開しているため、万一、不測の事態により、お客様の健康を脅かす可能性が生じたときは、お客様の安全を最優先に考え、迅速に対応します。
しかしながら、万一、品質に問題が生じて、商品の安全性に疑義が持たれた場合には、商品の回収や製造の中止を余儀なくされ、その対応に費用や時間を要するだけでなく、お客様からの信頼を失う可能性があります。このような事象が発生した場合、中長期経営方針に掲げた「既存地域でのプレミアム化とグローバルブランドによる成長、展開エリアの拡大」の未達を含む、当社グループの業績及び財政状態、並びにレピュテーション及びブランド価値に対して影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、品質リスク低減を目的とした品質保証レベル向上の取り組みとして、サプライチェーンの全てのプロセスにおいて、品質に影響を与える業務や注意すべき事項を抽出し、その点検と是正による改善のPDCAサイクルをグローバル共通の仕組みとして展開しています。
また、食の安全に関わる分野においては、研究開発部門を中心に微生物・農薬・カビ毒・重金属・樹脂・放射性物質等多岐にわたる最新の分析技術を開発しており、グループ内の連携によりグローバルでの品質保証活動を展開する体制・仕組みを通じて、技術面からグループ全体をサポートしています。
さらに、各グループ会社の商品特性や製造工場の環境に応じて、国際的な品質・食品安全マネジメントシステムの考え方を取り入れ、必要に応じて外部認証取得しています。
2)財務リスク
為替変動: 当社グループはグローバルに事業を展開しているため為替リスクを負っています。このうち、海外子会社及び関連会社における資産や負債については円高が進行すると在外営業活動体の換算差額を通じて自己資本が減少するリスクがあります。このため、必要に応じて為替リスクのヘッジをする等の施策を実行していますが、完全にリスクが回避できるわけではありません。また、海外連結子会社等の損益の連結純利益に占める割合が比較的高く、これらの収益の多くが外貨建てであり、当社の報告通貨が円であることから、外国通貨に対して円高が進むと、連結純利益にマイナスのインパクトを与えます。一方、本国で行う輸出入、及び外国間等の貿易取引から発生する、外貨建債権及び債務等は為替レートの変動によるリスクを有しておりますが、このリスクは為替予約等と相殺されるため影響は限定されます。
金利変動: 当社グループは銀行預金や国債等の金融資産及び銀行借入金や社債、リース負債等の負債を保有しております。これらの資産及び負債に係る金利の変動は受取利息及び支払利息の増減、あるいは金融資産及び金融負債の価値に影響を与え、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、金利リスクを回避する目的で、金利を実質的に固定化する金利スワップを利用しております。またヘッジ会計の要件を満たす取引については、ヘッジ会計を適用しております。
格付低下: 当社グループに対する外部格付機関による格付けが引き下げとなり、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、もしくは取引そのものが制限される場合には、当社グループの業務運営や業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
保有資産の価格変動:当社グループが保有する土地や有価証券等の資産価値の下落や事業環境の変化等があった場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
3)税務リスク
当社グループはグローバルに事業を展開しており、本国をはじめとする、各国の税制による適用を受けており、予期し得ない改正や税務当局からの更正処分を受けた場合、大幅なコストの増加、競争環境の悪化、事業活動の制限等が懸念され、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
4)訴訟リスク
当社グループは、事業を遂行していくうえで、訴訟を提起される可能性があります。万一当社グループが訴訟を提起された場合、また訴訟の結果によっては、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(業績等の概要)
(1)業績
当期における世界経済は、米国や欧州を中心として景気の回復が見られましたが、ウクライナ情勢の悪化に伴う原材料価格やエネルギー価格の高騰により物価上昇圧力が高まったことや、インフレ抑制に向けた政策金利の引き上げなどにより、先行きが不透明な状況となりました。日本経済においても、原材料価格の上昇などによる影響を受けましたが、新型コロナウイルス感染症の規制緩和や世界経済の回復などにより、景気は持ち直しの動きが見られました。
こうした状況のなかアサヒグループは、グループ理念“Asahi Group Philosophy”の実践に向けて、メガトレンドからのバックキャストにより、これまでの中期経営方針を、長期戦略を含む『中長期経営方針』として更新しました。この『中長期経営方針』では、長期戦略のコンセプトとして「おいしさと楽しさで“変化するWell-being”に応え、持続可能な社会の実現に貢献する」ことを掲げ、事業ポートフォリオでは、ビールを中心とした既存事業の持続的な成長に加えて、その事業基盤を活かした周辺領域や新規事業・サービスの拡大に取り組みました。また、サステナビリティと経営の統合、DX(デジタル・トランスフォーメーション)やR&D(研究開発)といったコア戦略の一層の強化により、持続的な成長と全てのステークホルダーとの共創による企業価値向上を目指した取り組みを推進しました。
さらに、当期は原材料価格の上昇などによる影響を大きく受けましたが、各地域において、適切な価格戦略やコストマネジメントの強化など、事業環境の変化に柔軟に対応する経営を実践することにより、グループトータルで業績の安定化を図りました。
その結果、アサヒグループの売上収益は、2兆5,111億8百万円(前期比12.3%増)となりました。また、利益につきましては、事業利益※1は2,438億1千7百万円(前期比11.9%増)、営業利益は2,170億4千8百万円(前期比2.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の増加により1,515億5千5百万円(前期比1.3%減)、調整後親会社の所有者に帰属する当期利益※2は1,654億3千万円(前期比7.0%増)となりました。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比8.0%の増収、事業利益は前期比5.9%の増益となりました。※3
※1 事業利益とは、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除した、恒常的な事業の業績を測る当社独自の利益指標です。
※2 調整後親会社の所有者に帰属する当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失など一時的な特殊要因を控除したものであります。
※3 2022年の外貨金額を、2021年の為替レートで円換算して比較しています。
|
アサヒグループの実績 (単位:百万円) |
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|
実績 |
前期比 |
|
売上収益 |
2,511,108 |
12.3% |
|
事業利益 |
243,817 |
11.9% |
|
営業利益 |
217,048 |
2.4% |
|
親会社の所有者に 帰属する当期利益 |
151,555 |
△1.3% |
|
調整後親会社の所有者 に帰属する当期利益 |
165,430 |
7.0% |
当年度の財政状態の状況は、連結総資産は前年度末と比較して2,825億9千5百万円増加し、4兆8,303億4千4百万円、負債は前年度末と比較して212億1百万円減少し、2兆7,673億9千9百万円となりました。また、資本は前年度末に比べ3,037億9千6百万円増加し、2兆629億4千5百万円となりました。
セグメントの業績は次の通りです。各セグメントの売上収益はセグメント間の内部売上収益を含んでおります。
当社グループの報告セグメントは、前年度まで「酒類事業」、「飲料事業」、「食品事業」、「国際事業」としておりましたが、当年度より、「日本」、「欧州」、「オセアニア」、「東南アジア」に変更しております。
以下の前期比較は前期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
事業セグメント別の実績
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(単位:百万円) |
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売上収益 |
前期比 |
事業利益 |
前期比 |
売上収益 事業利益率 |
営業利益 |
前期比 |
||
|
|
為替一定 |
|
為替一定 |
||||||
|
日本 |
1,301,731 |
6.8% |
6.8% |
108,913 |
5.3% |
5.3% |
8.4% |
96,417 |
△19.4% |
|
欧州 |
573,875 |
21.0% |
13.5% |
76,005 |
0.7% |
△6.3% |
13.2% |
55,163 |
19.8% |
|
オセアニア |
583,167 |
16.6% |
5.6% |
107,095 |
29.0% |
16.7% |
18.4% |
80,177 |
28.2% |
|
東南アジア |
51,680 |
21.1% |
6.8% |
572 |
39.9% |
27.6% |
1.1% |
633 |
- |
|
その他 |
8,764 |
47.0% |
44.0% |
1,407 |
13.4% |
11.7% |
16.1% |
1,257 |
△45.5% |
|
調整額計 |
△8,110 |
- |
- |
△16,575 |
- |
- |
- |
△16,599 |
- |
|
無形資産 償却費 |
- |
- |
- |
△33,601 |
- |
- |
- |
- |
- |
|
合計 |
2,511,108 |
12.3% |
8.0% |
243,817 |
11.9% |
5.9% |
9.7% |
217,048 |
2.4% |
※営業利益における無形資産償却費は各事業に配賦しています。
[日本]
日本においては、酒類、飲料、食品事業の「強み」のあるブランドに経営資源を投下するとともに、新たな価値提案などを通じて各事業のブランド価値向上を図りました。また、日本全体での事業の枠を超えたシナジー創出のためのSCMの最適化やサステナビリティへの取り組みの推進などにより、持続的な成長基盤を強化しました。
酒類事業では、ビールにおいては、『アサヒスーパードライ』を1987年の発売以降初めてフルリニューアルするとともに、『アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶』を通年販売するなど、ユーザー層の拡大を図りました。また、『アサヒ生ビール』の商品ラインアップ拡充や広告・販売促進活動を強化し、ビール市場の活性化を図りました。RTD※1においては、『アサヒ ザ・クラフト』のカクテルシリーズや期間限定商品を展開し、新たな価値提案を強化しました。また、アルコールテイスト飲料においては、お酒を「飲まない/飲めない」人も楽しめる「SUMADORI-BAR SHIBUYA」を出店するなど、飲み方の多様性を提案する「スマートドリンキング」の推進に取り組みました。
飲料事業では、『ウィルキンソン』から、需要が高まるソバーキュリアス※2スタイルに向けて、「#sober」シリーズを提案するなど、健康志向を踏まえた新たな価値創造を図りました。また、『和紅茶』においては、国産茶葉を100%使用することにより上品な香りや味わいを実現し、拡大する消費者のリラックスニーズに対応しました。
食品事業では、タブレット菓子『ミンティア』において、主力商品のリニューアルや広告・販売促進活動の展開により、ブランド力の向上に取り組みました。フリーズドライ食品『アマノフーズ』、サプリメント『ディアナチュラ』などの主力ブランドにおいても、時短ニーズや健康志向の高まりを捉えた商品の展開により、多様化するライフスタイルに対応しました。
以上の結果、売上収益は、ビールの売上が増加した酒類事業を中心に各事業が増収となり、前期比6.8%増の1兆3,017億3千1百万円となりました。
事業利益は、原材料関連やブランド投資の強化に伴う費用増加などの影響はあったものの、増収効果や各種コストの効率化などにより、前期比5.3%増の1,089億1千3百万円となりました(営業利益は前期比19.4%減の964億1千7百万円)。
※1 RTD:Ready To Drinkの略。購入後、そのまま飲用可能な缶チューハイなどを指します。
※2 ソバーキュリアス(Sober Curious)とは、“あえてお酒を飲まない”という新しいライフスタイルを指します。
[欧州]
欧州においては、主力のローカルブランドの強化、ノンアルコールビールの拡大などにより、各国のブランドポートフォリオのプレミアム化を推進するとともに、グローバルブランドの拡大展開を図りました。また、環境問題への対応やありたい企業風土の醸成に向けた取り組みを強化することで、持続的な成長基盤の更なる拡大を図りました。
欧州地域では、チェコにおいて、誕生180周年を迎えた『Pilsner Urquell』が、音楽やスポーツイベントを起点にブランド訴求を強化したほか、缶容器のリサイクル比率向上やPETボトル容器商品の製造終了など、環境負荷低減の取り組みを推進しました。また、ポーランドやイタリア、ルーマニアにおける『Kozel』、英国やルーマニアにおける『Peroni Nastro Azzurro』など、各国でグローバルブランドを拡大展開することにより、更なるプレミアム化を推進しました。さらに、ノンアルコールビールでは、チェコにおいて、『Birell』をより豊かな味わいにするリニューアルを実施するとともに、新たなフレーバーを展開したほか、ポーランドにおいて、『Lech Free』の積極的なプロモーション活動やフレーバービール『Hardmade』のノンアルコールビールの発売など、新たな飲用機会の獲得に向けた取り組みを強化しました。
グローバルブランドの展開では、『アサヒスーパードライ』において、「City Football Group」とのパートナーシップ契約の締結により、英国「Manchester City」をはじめ、同グループ傘下の日本、中国、豪州チームの公式ビールスポンサーとなり、マーケティングの強化を図りました。また、『Peroni Nastro Azzurro』においては、ノンアルコールビール『Peroni Nastro Azzurro 0.0%』を世界20カ国以上で発売し、パートナーシップ契約を締結するモータースポーツチーム「Aston Martin Cognizant FORMULA ONETM TEAM」との広告展開や体験型のイベント開催など、ブランドの認知度向上に向けた取り組みを推進しました。
以上の結果、売上収益は、各国における飲食店向けの需要回復に加えて、グローバルブランドやノンアルコールビールの売上拡大や価格改定の効果などにより、前期比21.0%増の5,738億7千5百万円となりました。
事業利益は、主に原材料やユーティリティなどの費用増加の影響があったものの、飲食店向けの需要回復に加え、ブランドポートフォリオのプレミアム化の進展などに伴う増収効果や為替変動の影響により、前期比0.7%増の760億5百万円となりました(営業利益は前期比19.8%増の551億6千3百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比13.5%の増収、事業利益は前期比6.3%の減益となりました。
[オセアニア]
オセアニアにおいては、酒類と飲料事業の強みを活かしたマルチビバレッジ戦略を推進するとともに、プレミアム化の強化や統合シナジーの創出により、収益基盤の盤石化に取り組みました。また、ノンアルコールビールなど、BAC※における新たな成長カテゴリーへの投資強化に加えて、サステナビリティを重視した新価値提案やSCM改革などを推進しました。
酒類事業では、主力ブランドの『Great Northern』において健康需要を踏まえたアウトドアイベントを展開するなど、積極的なマーケティング活動を推進したほか、全豪オープンテニスなど各種スポーツイベントとのパートナーシップ契約を締結するなど、ブランド価値の向上を図りました。また、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』から低アルコール商品を新たに発売したほか、『Great Northern Zero』を中心としたノンアルコールビールやハード・セルツァー『Good Tides』の販売促進活動を強化するなど、多様化する飲用ニーズに向けた取り組みを推進しました。
飲料事業では、健康志向の高まりを受け、炭酸飲料やスポーツ飲料のノンシュガー商品を中心に販売促進活動を強化しました。さらに、CUB事業の販路を活用して清涼飲料の飲食店向けの販売を強化したほか、2021年5月に取得したプレミアムコーヒー豆焙煎販売事業を展開するAllpress Espresso社のコーヒー豆を既存顧客向けに販売するなど、マルチビバレッジ戦略による統合シナジーの創出に取り組みました。
また、競合他社を含む4社の合弁会社において建設した豪州最大のPETリサイクル工場の本格稼働に加え、在庫管理の自動化を促進するなど、持続可能なサプライチェーンの構築を推進しました。
以上の結果、売上収益は、新型コロナウイルス感染拡大の影響はあったものの、ビールや炭酸飲料、スポーツ飲料を中心とした主力カテゴリーの売上拡大や為替変動の影響により、前期比16.6%増の5,831億6千7百万円となりました。
事業利益は、原材料関連の費用増加の影響などはあったものの、統合シナジーの創出を中心としたコスト効率化や為替変動の影響もあり、前期比29.0%増の1,070億9千5百万円となりました(営業利益は前期比28.2%増の801億7千7百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比5.6%の増収、事業利益は前期比16.7%の増益となりました。
※ BAC:Beer Adjacent Categoriesの略。低アルコール飲料、ノンアルコールビール、成人向け清涼飲料など、ビール隣接カテゴリーを指します。
[東南アジア]
東南アジアにおいては、自社ブランドを中心としたブランド投資の拡大などにより、マレーシア、フィリピン、インドネシアを中心とした展開国におけるプレゼンスの更なる向上を図りました。また、CO2排出量の削減や地域社会への貢献など、サステナビリティの取り組みを推進しました。
マレーシアでは、『CALPIS』から、ナタデココの配合により食物繊維も摂取でき満足感のある味わいの『Calpis Chewy』や、期間限定商品『Calpis White Peach』を発売するなど、商品ラインアップを拡充し、ブランド力の強化を図りました。また、『WONDA』では、サッカーイベントを活用した情報発信の強化や、在宅需要に合わせたインスタントコーヒーの積極的な販売促進活動などに取り組みました。
以上の結果、売上収益は、一部の国において新型コロナウイルスの影響が継続したものの、マレーシアにおける主力ブランドの販売が好調に推移したことに加え、マレーシア以外の展開国における新商品効果、価格改定や為替変動の影響などにより、前期比21.1%増の516億8千万円となりました。
事業利益は、原材料関連の費用や輸送費の増加などの影響があったものの、固定費全般の効率化などを推進したことにより、前期比39.9%増の5億7千2百万円となりました(営業利益は前期比11億1千9百万円改善の6億3千3百万円)。
なお、為替変動による影響を除くと、売上収益は前期比6.8%の増収、事業利益は前期比27.6%の増益となりました。
[その他]
その他については、売上収益は、前期比47.0%増の87億6千4百万円となりました。
事業利益については、前期比13.4%増の14億7百万円となりました(営業利益は前期比45.5%減の12億5千7百万円)。
[『中長期経営方針』の中期的なガイドラインの進捗]
「主要指標のガイドライン」については、2022年度の事業利益(為替一定ベース)は、各地域において原材料価格上昇による影響を受けたことなどにより、ガイドラインを若干下回りましたが、EPS(調整後)はガイドラインどおりの進捗となりました。また、フリー・キャッシュ・フロー(FCF)については、着実な利益成長と不稼働資産売却などのキャッシュ創出により、ガイドラインどおりの進捗となりました。
「財務方針のガイドライン」については、FCFがガイドラインどおりの進捗となったことなどにより、Net Debt/EBITDAもガイドラインどおりの進捗となりました。また、株主還元については、EPSが増加したことにより、当期は1株当たりの配当額を4円増配の113円とすることにより、ガイドライン並みの水準となる予定です。
主要指標のガイドライン
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3年程度を想定したガイドライン |
2022年実績 |
|
事業利益 |
・CAGR(年平均成長率):一桁台後半※1 |
5.9% |
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EPS(調整後※2) |
・CAGR(年平均成長率):一桁台後半 |
7.0% |
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FCF※3 |
・年平均2,000億円以上 |
2,011億円 |
※1 為替一定ベース
※2 調整後とは、事業ポートフォリオの再構築や減損損失など一時的な特殊要因を除いたものです。
※3 FCF=営業CF-投資CF (M&A等の事業再構築を除く)
(注)「主要指標のガイドライン」における2022年実績の金額は、表示単位未満を四捨五入して表示しております。
財務方針のガイドライン
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2022年以降のガイドライン |
2022年実績 |
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成長投資・債務削減 |
・FCFは債務削減へ優先的に充当し、成長投資への余力を高める ・Net Debt/EBITDA※1は2024年に3倍程度を目指す (劣後債の50%はNet Debtから除いて算出) |
3.61倍 |
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株主還元 |
・配当性向※235%程度を目途とした安定的な増配 (将来的な配当性向は40%を目指す) |
34.6% |
※1 Net Debt/EBITDA(EBITDA純有利子負債倍率)=(金融債務-現預金)/EBITDA
※2 配当性向は、親会社の所有者に帰属する当期利益から事業ポートフォリオ再構築及び減損損失などに係る一時的な損益(税金費用控除後)を控除して算出しております。
(2)キャッシュ・フローの状況
当年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前利益が2,059億9千2百万円となりましたが、法人所得税等の支払による減少があった一方で、減価償却費等の非キャッシュ項目による増加や運転資本の効率化により、2,659億9千1百万円(前期比:718億2千万円の収入減)の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出などにより、691億8千6百万円(前期比:548億3千8百万円の支出増)の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に社債発行による収入があった一方で、社債の償還や長期借入金の返済による支出などがあり、2,195億5千6百万円(前期比:1,007億6千8百万円の支出減)の支出となりました。
以上の結果、当年度末では、前年度末と比較して現金及び現金同等物の残高は153億4百万円減少し、374億3千8百万円となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当年度におけるセグメントごとの生産実績は以下の通りであります。
|
セグメントの名称 |
金額 |
前期比 |
|
|
日本 |
1,212,157 |
百万円 |
6.1% |
|
欧州 |
455,728 |
百万円 |
20.3% |
|
オセアニア |
502,002 |
百万円 |
18.1% |
|
東南アジア |
44,328 |
百万円 |
26.9% |
(注)1 金額は、販売価額によっております。
2 IFRSに基づく金額を記載しております。
3 日本の生産高には、外部への製造委託を含めております。
(2)受注実績
当社グループでは受注生産はほとんど行っておりません。
(3)販売実績
当年度におけるセグメントごとの販売実績は以下の通りであります。
|
セグメントの名称 |
金額 |
前期比 |
|
|
日本 |
1,301,731 |
百万円 |
6.8% |
|
欧州 |
573,875 |
百万円 |
21.0% |
|
オセアニア |
583,167 |
百万円 |
16.6% |
|
東南アジア |
51,680 |
百万円 |
21.1% |
|
その他 |
8,764 |
百万円 |
47.0% |
|
調整額 |
△8,110 |
百万円 |
- |
|
合計 |
2,511,108 |
百万円 |
12.3% |
(注)1 調整額はセグメント間取引であります。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、外部顧客への売上収益のうち、総販売高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当年度の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下の通りであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表注記 5 重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
(2)当年度の経営成績の分析
① 売上収益
アサヒグループの当年度の売上収益は、前期比12.3%増、2,750億3千2百万円増収の2兆5,111億8百万円となりました。日本においては、ビールの売上が増加した酒類事業を中心に各事業が増収となり、前期比6.8%増の1兆3,017億3千1百万円となりました。欧州においては、各国における飲食店向けの需要回復に加えて、グローバルブランドやノンアルコールビールの売上拡大や価格改定の効果などにより、前期比21.0%増の5,738億7千5百万円となりました。オセアニアにおいては、新型コロナウイルス感染拡大の影響はあったものの、ビールや炭酸飲料、スポーツ飲料を中心とした主力カテゴリーの売上拡大や為替変動の影響により、前期比16.6%増の5,831億6千7百万円となりました。東南アジアにおいては、一部の国において新型コロナウイルスの影響が継続したものの、マレーシアにおける主力ブランドの販売が好調に推移したことに加え、マレーシア以外の展開国における新商品効果、価格改定や為替変動の影響などにより、前期比21.1%増の516億8千万円となりました。その他においては、前期比47.0%増の87億6千4百万円となりました。
② 事業利益
当年度の事業利益は、前期比11.9%増、258億7千6百万円増益の2,438億1千7百万円となりました。日本においては、原材料関連やブランド投資の強化に伴う費用増加などの影響はあったものの、増収効果や各種コストの効率化などにより、前期比5.3%増の1,089億1千3百万円となりました。欧州においては、主に原材料やユーティリティなどの費用増加の影響があったものの、飲食店向けの需要回復に加え、ブランドポートフォリオのプレミアム化の進展などに伴う増収効果や為替変動の影響により、前期比0.7%増の760億5百万円となりました。オセアニアにおいては、原材料関連の費用増加の影響などはあったものの、統合シナジーの創出を中心としたコスト効率化や為替変動の影響もあり、前期比29.0%増の1,070億9千5百万円となりました。東南アジアにおいては、原材料関連の費用や輸送費の増加などの影響があったものの、固定費全般の効率化などを推進したことにより、前期比39.9%増の5億7千2百万円となりました。その他においては、前期比13.4%増の14億7百万円となりました。
③ 営業利益
営業利益は、事業利益の増益などにより、前期比2.4%増、51億4千8百万円増益の2,170億4千8百万円となりました。
④ 税引前利益
当年度の税引前利益は、営業利益の増益に加え、金融収益が前期比4.4%減、2億5千5百万円減少の54億9千8百万円となったことや、金融費用が前期比7.0%減、12億9千5百万円減少の172億2千1百万円となったことなどにより、前期比3.1%増、61億6千6百万円増益の2,059億9千2百万円となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益
親会社の所有者に帰属する当期利益は、法人所得税費用の増加により、前期比1.3%減、19億4千4百万円減益の1,515億5千5百万円となりました。
また、基本的1株当たり利益は299.10円(前期302.92円)となり、親会社所有者帰属持分比率は42.7%(前期38.6%)となりました。
また、事業ポートフォリオ再構築など一時的な特殊要因を除いた親会社の所有者に帰属する当期利益を算出に用いた調整後基本的1株当たり利益は326.48円(前期302.92円)となりました。
(3)財政状態の分析
① 総資産
当年度の連結総資産は、為替相場の変動によるのれん及び無形資産を含む外貨建資産の増加等により、総資産は前年度末と比較して2,825億9千5百万円増加し、4兆8,303億4千4百万円となりました。
② 負債
負債は、原材料関連の価格上昇等に伴う営業債務及びその他の債務の増加や、為替相場の変動による外貨建負債の増加、社債及び借入金の減少等により、前年度末と比較して212億1百万円減少し、2兆7,673億9千9百万円となりました。
③ 資本
資本は、前年度末に比べ3,037億9千6百万円増加し、2兆629億4千5百万円となりました。これは、配当金支出により利益剰余金が減少したものの、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により利益剰余金が増加したこと及び為替相場の変動により在外営業活動体の換算差額が増加したこと等によるものです。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は42.7%となりました。
また、事業ポートフォリオ再構築や為替変動など一時的な特殊要因を除いた「親会社の所有者に帰属する当期利益」及び「親会社の所有者に帰属する持分合計」を算出に用いた調整後親会社所有者帰属持分当期利益率は11.1%(前期11.0%)となりました。
(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析
① キャッシュ・フロー分析
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
また、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下の通りであります。
|
|
前年度 |
当年度 |
|
親会社所有者帰属持分比率(%) |
38.6 |
42.7 |
|
時価ベースの親会社所有者帰属 持分比率(%) |
49.9 |
43.2 |
|
キャッシュ・フロー対有利子 負債比率(年) |
5.1 |
6.1 |
|
インタレスト・カバレッジ・ レシオ(倍) |
30.1 |
24.5 |
(注)親会社所有者帰属持分比率:親会社の所有者に帰属する持分/総資産
時価ベースの親会社所有者帰属持分比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
※ 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
※ 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
※ キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを使用しております。
② 資金の調達
アサヒグループの資金の源泉は、主として営業活動からのキャッシュ・フローと金融機関からの借入、社債の発行からなります。当社は経営方針として、有利子負債残高の圧縮を基本として掲げておりますが、「事業基盤強化・効率化を目指した設備投資」及び「M&Aを含む戦略的事業投資」については資金需要に応じて金融債務を柔軟に活用することとしております。一方、運転資金需要については、短期借入金及びコマーシャル・ペーパーでまかなうことを基本としております。
③ 資金の流動性
当社及び主要な連結子会社はCMS(キャッシュマネジメントシステム)を導入しており、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。
(5)戦略的現状と見通し
2023年度は、原材料・エネルギー価格の高騰やインフレの影響など、厳しい経営環境が続くことが想定されますが、『中長期経営方針』に基づいて、既存事業の持続的成長と新たな成長領域の拡大のほか、サステナビリティと経営の統合を軸としたコア戦略の一層の強化により、持続的な成長と企業価値向上を目指します。
日本においては、酒類、飲料、食品各事業で「強み」のある主力ブランドの価値向上を軸に成長戦略を推進するとともに、環境変化を捉えた新たな価値提案の強化に取り組みます。また、各事業の収益基盤の強化に加え、事業の枠を超えた日本全体でのシナジーの創出やサステナビリティへの取り組み強化により、持続的な成長基盤を構築していきます。
欧州においては、『アサヒスーパードライ』や『Peroni Nastro Azzurro』などのグローバルブランドの拡大展開を加速させるとともに、ローカルではブランドポートフォリオの競合優位を発揮し、プレミアム戦略の強化を推進していきます。また、サステナビリティの重点テーマである「環境」や「コミュニティ」などの取り組みを深化させることにより、持続可能な成長に向けた基盤を強化します。
オセアニアにおいては、酒類、飲料事業におけるプレミアム戦略の強化に加え、各事業の強みを融合したマルチビバレッジ戦略の推進や統合シナジーの創出などにより、収益基盤の更なる強化を図ります。また、健康やウェルネスを意識した新たな商品やサービスの提案など、サステナビリティを重視した取り組みを推進していきます。
東南アジアにおいては、主力ブランドへの選択と集中の加速や各販売チャネルとの関係強化などにより、マレーシアを中心に各展開国における事業ポートフォリオの再構築を図ります。また、環境や貧困などの社会課題に対する取り組みや人材育成などの強化を通じて、持続的な成長基盤の確立を推進していきます。
(6)経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針につきましては、この文中に記載したほか、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。
(7)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
業務提携等に関する契約
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会社名 |
契約事項 |
契約締結先 |
締結年月 |
発効年月 |
有効期限 |
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アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
中国における「アサヒスーパードライ」及び「アサヒビール」の製造ライセンス供与のための 「 の合弁契約 |
伊藤忠商事株式会社 日鉄物産株式会社 |
1997年 10月 |
1998年 8月 |
2024年 7月 |
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アサヒビール 株式会社 (連結子会社) |
沖縄県及び鹿児島県奄美大島群島を除く日本における「アサヒ オリオンドラフト」等の販売契約 |
オリオンビール株式会社 |
2020年 7月 |
2020年 7月 |
自動更新 |
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アサヒビール 株式会社 (連結子会社) |
沖縄県における「アサヒスーパードライ」等の製造販売ライセンスの供与契約 |
オリオンビール株式会社 |
2003年 5月 |
2003年 5月 |
自動更新 |
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アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
飲料事業、チルド事業、食品事業、海外事業、調達・物流等の機能面における業務提携契約 |
カゴメ株式会社 |
2007年 2月 |
2007年 2月 |
自動更新 |
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アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
中国における食品事業「開曼島商頂新控股有限公司」(TING HSIN (CAYMAN ISLANDS) HOLDING CORP.)の株主間契約 |
(英領ヴァージン諸島) Ho Te Investments Limited他 |
2015年 3月 |
2015年 3月 |
2022年 12月 (注)1 |
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アサヒ飲料 株式会社 (連結子会社) |
「シャンソン十六茶」バルクの継続的売買及び商標の使用許諾に関する契約 (注)2 |
株式会社シャンソン化粧品 |
1998年 12月 |
1998年 12月 |
自動更新 |
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Asahi Europe & International Ltd (連結子会社) |
英国においてFullers, Smith & Turner社が運営するパブに対するビール等の飲料の供給契約 |
Fuller, Smith & Turner plc |
2019年 4月 |
2024年 4月 |
いずれの当事者も5年間の期間の延長を相手方に請求できる |
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CUB PTY LTD (連結子会社)、 (CUBの義務履行に関する保証のみ) アサヒグループ ホールディングス 株式会社 (提出会社) |
豪州におけるCorona・Lowenbrau等のビールの継続的供給及びブランドの使用許諾に関する契約(但し、2021年1月5日付けでHeineken社に売却された、Stella Artois及びBeck’sに関する保証債務は消滅) |
ANHEUSER-BUSCH INBEV SA/NV |
2020年 6月 |
2020年 6月 |
無期限 (但し一定の終了事由あり) |
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CUB PTY LTD (連結子会社) |
豪州におけるCUB PTY LTD等の買収事業の内、豪州競争法当局の承認を受けた問題解消措置としての一部ブランド(ビール及びサイダー)の売却に付随する買主のための製造受託。 |
DBG (Australia) Pty Ltd及び SBM Beer Pty Ltd |
2021年 1月 |
2021年 1月 |
最長2年間 |
(注)1 当社は、その保有する「開曼島商頂新控股有限公司(TING HSIN (CAYMAN ISLANDS) HOLDING CORP.)」株式の全部を2022年12月15日付で譲渡しました。その結果、当社は当該株主間契約から同日付で離脱しました。
2 「シャンソン十六茶」バルクとは、アサヒ飲料社商品「十六茶」の原料茶葉であります。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、
日本、欧州、オセアニア、東南アジアでは、各地域統括会社における『中期重点戦略』※に基づき、研究開発活動を行いました。
アサヒクオリティーアンドイノベーションズ㈱では、アサヒグループの先端研究の拠点として、アサヒグループにおける持続的な成長を実現するため、中長期的な社会環境や競争環境の変化を見据え、メガトレンドからバックキャストで導いた未来シナリオとこれまでの研究で蓄積してきた技術・知見・ノウハウを踏まえ、グループの研究開発の重点領域に対して、新たな価値創造やリスク軽減に向けた商品・技術開発に取り組んでいます。また、グローバルに展開している強みを活かし、最適な研究成果の導出先を見極め、各リージョンと連携を取りながら成果の最大化に努めています。
※『中期重点戦略』の詳細は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)対処すべき課題」をご参照ください。
[先端研究]
(アルコール関連)
アルコール関連飲料市場において、健康志向などの消費者ニーズの多様化により、さまざまなアルコールの楽しみ方が世界的に広がっています。このような市場変化及び将来の市場ニーズを見据え、培ってきたビールを中心とした酒類と飲料の技術・知見などを活用し、アルコール代替価値、新価値創造の研究や、BACの優位性構築に向けた商品・技術開発を中心に研究開発を強化しています。新たな価値を、来るべきタイミングに提供することで、変化するアルコールを取り巻く環境への対応を図ってまいります。
(ヘルス&ウェルネス)
酵母・乳酸菌をはじめとする微生物活用技術や、これまで培ってきた機能性評価技術を活用し、独自価値を有した素材の開発、飲食の持つ価値の科学的検証、発酵技術を活かした新たな商品開発への貢献、などに取り組んでいます。研究成果のひとつとして、近年注目を集め、世界的にも市場が急成長しているフェムテック分野において、ラクトバチルス・ガセリCP2305株が女性の軽度の更年期症状を緩和することを見出しました。本株は先に腸内環境改善、睡眠改善、女性の月経前症状の緩和に効果があることを見出しており、今回の研究成果が追加されることでさらにヘルス&ウェルネスに大きく貢献することができる素材と期待しています。またヒトの腸内細菌の1種であるバクテロイデス・ユニフォルミス及びこの細菌が好む環状オリゴ糖が持久運動のパフォーマンスを向上させることを明らかにしました。これら得られた知見をもとに、変化拡大する身体や心の健康に対する消費者ニーズに対し、様々なソリューションを提供し、人々の健康的な生活をサポートしてまいります。一方で、アルコール飲料を製造、販売する企業の責任として、アルコール摂取における健康影響に関しても様々な観点から引き続き研究を行っています。
(サステナビリティ)
アサヒグループではサステナビリティは企業活動を行う中で必ず担保していかなくてはならないものであると位置づけ、研究活動においても重点領域と捉え、取り組んでいます。アサヒグループとして掲げている「アサヒグループ環境ビジョン2050」及び「アサヒカーボンゼロ」の達成に向けて、CO2排出量削減という課題に積極的に取り組んでいます。具体的にはアサヒビール茨城工場にてビール工場排水由来のバイオメタンガスを利用した燃料電池による発電の実証事業を実施しており、安定的に世界トップレベルの連続運転を続けています。本システムは排水中処理時に発生したメタンガスを利用・発電しており、カーボンニュートラルな燃料でのエネルギー獲得を実現するシステムです。今後工程の更なる改良を進め、より身近なシステムになるよう検討してまいります。また発生したCO2を回収・有効利用によるCO2削減にも取り組んでいます。具体的にはボイラー排ガス中のCO2を分離・高効率に回収する装置を導入し、実証試験を行っています。長時間にわたり安定的にCO2回収が可能であることを確認しています。回収されたCO2の有効利用手段の一つとして、水素と反応させメタンを生成し、燃料等として利用することを考えています。そのための設備をCO2回収装置と接続した実証実験を行っています。これらの取り組みを通じ、持続可能な社会の実現と事業収益向上の両立に貢献してまいります。