第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 有価証券報告書に記載されている将来に関する記述は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において入手している情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。

 

(Ⅰ)経営の基本方針

 アシックスグループは、「ASICS SPIRIT」に掲げた創業哲学「健全な身体に健全な精神があれかし- "Anima Sana In Corpore Sano" 」を基本に、ビジョン「Create Quality Lifestyle through Intelligent Sport Technology-スポーツでつちかった知的技術により、質の高いライフスタイルを創造する」の実現に向けて、「アシックスの理念」をもって事業運営を行っております。

 

(Ⅱ)長期ビジョン「VISION2030」策定

 当社は、「健全な身体に健全な精神があれかし」を創業哲学とし、主に「パフォーマンス・アスリート」のための「プロダクト」を中心にビジネスを展開してきました。しかし、世界の60歳以上の人口が今後非常に速いペースで伸びていくことが予測され、より長く健康でいることが注目されています。また「健康」の定義も、昨今は身体の健康だけでなく、心の健康まで含めるようになっています。このように急激に変化していく社会環境の中で創業哲学を実現するため、誰もが「ライフタイム・アスリート」として、スポーツを通じて心も身体も満たされるライフスタイルを創造していくことを目指し、そ

のために当社が2030年にあるべき姿としてVISION2030を策定しております。

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 2030年に向けて、当社は「プロダクト」に加え、「ファシリティとコミュニティ」「アナリシスとダイアグノシス」これら3つの事業ドメインでビジネスを拡大していきます。この3つの事業ドメインを通じて、人々の心と身体の健康を実現していきます。

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 すべての事業ドメインに共通して、この3つのテーマを掲げています。進化を続けるデジタル技術を活用し、各個人に合わせてパーソナライズされた製品・サービスを、環境に配慮したサステナブルな手法で開発・提供していきます。これら3つのテーマを通じて、各事業ドメインを単独で成長させつつ、それぞれの事業ドメインが交わることで相乗効果を生み出し、価値の最大化を図ります。

 

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(Ⅲ)中期経営計画2023策定

① 中期経営計画2023の進捗状況

 中期経営計画2023の営業利益および営業利益率の目標を一年前倒しで達成しました。

 戦略目標である「デジタルを軸にした経営への転換」では、当社会員プログラムのOneASICS会員数が730万人(前期比+35.2%)となりました。EC売上高も863億円(前期比+35.3%)と伸長し、収益性の改善に繋げています。また、すべてのランナーに対してプレミアムなランニング体験を提供することを目指し、レース登録会社である株式会社アールビーズおよびnjuko SASをグループ会社化し、全世界において約1,000万人以上のレース登録を通じたランナーとの接点拡大およびランニングエコシステムの構築を加速させました。

 また、もうひとつの戦略目標である「事業活動を通したサステナブルな社会の実現」では、2050年までに事業における「温室効果ガス排出量実質ゼロ」の実現に向けた新たな取組みとして、温室効果ガス排出量を最も低く抑えたスニーカー「GEL-LYTE III CM 1.95」を9月15日に発表しました。今後も機能性と環境配慮の両立を実現するイノベーションを通じて、世界の人々の心身の健康とスポーツができる環境を守ることに貢献していきます。

 重点戦略であるパフォーマンスランニングでは、トップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED」シリーズの最新作、「METASPEED SKY+」と「METASPEED EDGE+」を発売しました。4月24日にスペインのマラガで開催した世界陸連公式レース「META:Time:Trials」(当社主催)では、当社の誇るトップアスリート73人が「METASPEED+」シリーズを着用し、29のパーソナルベスト、4つのナショナルレコードが生まれる結果となりました。主要地域である日本・米国・欧州でNo.1のランニングブランドになる為、ランニングエコシステムの構築に加え、ランニング専門店との取組み強化などにより、ランニングシューズ市場でのマーケットシェア拡大を図ります。

 

② 経営環境

●市場環境

 コロナの影響により減少し、バーチャル化されたランニング大会やイベントは、2022年には通常レースへの転換が進みました。それによりスポーツ用品市場は好調に推移しています。

 あらゆる場面でデジタルとリアルを結び付けようとする様々な取り組みが社会全体で進んでおり、今後もその傾向はますます加速していくことが予想されます。

 また、脱炭素社会に向けた地球規模での取組みや企業活動における責任について今後より一層求められていくと考えています。

 

●競合他社の状況

 スポーツイベントの再開、またコロナ禍によって高まったランニング・ウォーキングを中心としたスポーツ参加の拡大を追い風に、ほとんどのスポーツメーカーが業績を伸ばしています。

 Eコマース市場の急速な拡大を背景に、各社ともに売上は伸張しており、今後もデジタルを成長のドライバーとした売上拡大を目指していくことが想定されます。さらに、実店舗とEコマースをつなぐオムニチャネル化に向けた取り組みも進んできていることから、引き続き各社ともにデジタル分野への投資に注力していくことが予想されます。

 サステナビリティという観点では、プロダクトおよびサービスにおいて環境を配慮することが求められる社会となっており、スポーツメーカー各社もプロダクトやサービスだけではなく、ビジネスのあらゆる面でサステナビリティに関する目標を設定し、様々な取り組みを通じてその達成を目指しています。

 

●顧客動向

 生活者の購買動向は、コロナ禍で普及したEコマースがさらに進みデジタルを活用したツールやサービスが拡大しましたが、リアルでの購買や体験に対するニーズも戻ってきており、今後はデジタルとリアルを掛け合わせたサービス需要がますます加速することが予想されます。

 また、より持続的な社会を実現するための消費に対する価値観の変化やニーズはさらに大きくなることが予測されています。

 

③ VISION2030と中期経営計画2023の位置づけ

 中期経営計画2023は、VISION2030実現のための重要な最初の3ヵ年計画です。将来の持続的成長に向けて、まずはランニングにおいてプロダクトを軸に3つの事業ドメインの連携を強めることに注力し、アシックスの目指す未来「誰もが一生涯、運動・スポーツを通じて心も身体も満たされるライフスタイルを創造する(Lifetime Athletes in All of Us)」の実現を目指します。また、収益性にフォーカスすることで、安定した財務基盤を確立します。

 

④ 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 中期経営計画2023を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題として、 以下の戦略目標、方針に従って定めた重点戦略を着実に実行することで、収益性を高めることに注力し、将来の持続的成長のための安定した財務基盤を確立します。

 

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⑤ 経営指標

 中期経営計画2023では、以下の財務指標を設定し、利益体質の確立と資産効率の向上により、強固な財務基盤の確立を目指しております。また財務指標だけでなく、VISION2030達成に向けた非財務指標も設定し、追求していきます。

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2【事業等のリスク】

 当社グループの事業、財政状態、経営成績等に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。記載内容のうち将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 なお、当社は、リスクマネジメント委員会を設け、これらの中から定期的に経営戦略に伴うリスクの分析・評価を行い、リスク対応策を講じることで全社的なリスクを低減し、危機の発生を回避、もしくは危機発生時の損失を最小化しています。もし、危機を認知した場合は、クライシスマネジメント規程に定められた方針に則り、速やかに対応いたします。

(1)グローバルでの事業拡大に伴う、バリューチェーンにおけるリスク

当社グループは、グローバルな事業展開をしており、更なる市場拡大を目指しています。生産につきましても、OEM生産を手掛ける多くの海外工場と協力して、東南アジアおよび中国など各地域での生産を進めています。

グローバルでの事業拡大には、バリューチェーンである調達、生産、販売において、以下に掲げるリスクが内在しており、経営戦略や業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

① サステナビリティ(人権・環境)に関するリスク

a.当社グループは、生産委託先工場に対し、各国および国際的な労働基準を遵守し労働者に公正で安全な労働環境を提供するよう厳しく要求しています。しかし、当社の生産委託先工場が、人権NGOから労働基準の非遵守を指摘された場合、事実関係に関わらず、当社グループの企業イメージを損なうリスクがあります。

 

b.温室効果ガス排出量の削減、再生可能エネルギーへの転換などの気候変動への対応が遅れた場合や、廃棄物排出量の削減、資源循環の取り組みなどが適切に行われなかった場合、当社グループの企業イメージに対する社会的な信用低下を招く可能性があります。

 

c.当社グループは、製品および製造工程の有害・制限化学物質管理を進めていますが、生産委託先工場や原材料サプライヤーで有害・制限化学物質の非遵守使用があった場合、業績や企業イメージに悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② サプライチェーンに関するリスク

当社グループは、東南アジアを中心とした委託工場での生産から各販売地域を結ぶサプライチェーンにおいて、自然災害や事故等があった場合の物損に備えて、物流保険に加入しております。一方で、サプライチェーンが寸断され、商品の到着遅延による売上減があった場合は、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 信用リスク

当社グループはグローバルで販売チャネルの管理を強化していますが、代理店や小売店の経営破たんや債務不履行があった場合、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)季節的変動に係るリスク

当社グループが取扱う製品には、季節性の高いものが含まれており、季節により業績に偏りが生じる場合があります。そのような製品については、需要見通しの上で仕入・販売計画を策定しておりますが、気候条件による季節的な影響を正確に予測することは困難であり、実際の気候が予測と異なることにより、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)外部への生産委託に関するリスク

 当社グループは、製品の生産の一部を外部の協力工場に委託しております。これらの外注先の選定にあたっては、技術力や供給能力などについて、あらかじめ厳しく審査を行い、信頼できる取引先を選定しておりますが、納入の遅延や製品の欠陥をはじめとした、生産面でのリスクが生じる可能性を否定できず、外注先の生産能力不足や自然災害による外注先の操業停止などにより、当社グループが十分な製品供給を行えない可能性があります。

 

 

(4)原材料の仕入価格の変動に関するリスク

当社グループが生産委託先工場に生産を委託しているフットウエア製品の原材料の仕入値は国際的な原油価格と関係があるため、原油価格の大幅な価格変動が数ヶ月後の原材料価格動向に影響を及ぼす傾向があります。フットウエア製品は、売上高の大部分を占めており、国際原油価格に著しい変動が発生した場合には、仕入価格も変動し当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製品の物流価格の変動に関するリスク

当社グループが生産委託先工場から販売子会社の市場に製品を輸送する場合の費用は、国際的な物流価格と関係があるため、物流価格の大幅な価格変動が製品仕入価格動向に影響を及ぼす傾向があります。

主に東南アジアに生産委託工場を有するフットウエア製品は、売上高の大部分を占めており、国際物流価格に著しい変動が発生した場合には、仕入価格も変動し当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)情報セキュリティに関するリスク

当社グループは、リスクマネジメント委員会の下部組織として、情報セキュリティ委員会を設け、セキュリティ専任チームが情報セキュリティの強化を進め、個人情報や営業秘密等の情報管理に努めています。しかし、高度化したサイバー攻撃により、これらの情報が万一漏洩・流出した場合、または、販売オペレーションが停止した場合には、お客様などからの損害賠償請求、売上の機会損失、および信用の失墜等により、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)個人情報の取扱いに関するリスク

当社グループは、グローバルレベルで顧客や従業員の個人情報を保有しています。欧州および各国における個人情報保護法の施行に対応するため、社内体制とプロセスを整え、当該部署への教育を強化するなどしてリスクを低減しています。特に欧州に関しては、EU一般データ保護規則違反により万一制裁金が課された場合、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性がある為、当社グループ共通ルールを定めた拘束的企業準則(Binding Corporate Rules)をEU当局に申請しています。

 

(8)知的財産権に関するリスク

当社は、国内外において、多くの特許権・商標権等の知的財産権を所有しております。知的財産権に関する侵害事件の発生など、商品開発への悪影響やブランドイメージの低下等を招く可能性があります。

知的財産権に関する侵害訴訟は解決までに相当な時間と費用を要し、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)人財育成および確保に関するリスク

当社グループにとって人財は経営の基盤であり、特にグローバルな事業活動を一層進める中で、それらの環境で活躍できる人財の育成・確保が急務であり、国内外での積極的な採用活動、研修・教育の充実、コア人財の流出の防止などの施策を講じています。これらの施策にも拘わらず、当社グループの人財育成・確保、適材適所の配置が計画通り進まなかった場合、長期的視点から当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)競合と技術革新に関するリスク

当社グループの事業に関連する製品は、国内外の市場で競合他社との激しい競争にさらされております。当社グループの競合先には、研究開発や製造、販売面で有力な企業が存在しております。現在、当社グループのブランド力および製品は、こうした競合先との競争力を十分に有しておりますが、このことが、将来においても競合他社に対し有利に競争し続け得ることを保証するものではありません。また、取引先における技術革新によって当社製品の販路が縮小され、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)新規事業に係るリスク

当社グループが新規事業に取り組む場合には、事前に十分な検討を行った上で事業計画が策定され、取締役会における承認の上で行われます。新規事業の展開には先行投資が必要となるケースが多く、当該事業が安定して収益を計上するまでには一定の時間を要することが予想されるため、一時的に当社グループの利益率が低下する可能性があります。

 

(12)M&Aに関するリスク

当社グループは新規市場への展開を行う中で、M&Aをその有効な手段のひとつとして位置付けており、今後も必要に応じてM&Aを実施する方針です。M&Aに際しては、対象企業のビジネス、財務内容および法務等について詳細なデューデリジェンスを行い、各種リスクの低減を図る方針でありますが、これらの調査の段階で確認又は想定されなかった事象がM&Aの実行後に発生又は判明する場合や、M&A実施後の事業展開が計画通りに進まない可能性があり、その場合は当社グループが当初期待した業績への寄与の効果が得られない可能性があることも考えられ、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)経済環境・消費動向の変化のリスク

当社グループが事業活動を展開している各国における経済環境や消費動向の変化により、売上の減少や過剰在庫が発生し、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)海外拠点での事業活動に係るリスク

当社は、事業活動の相当部分を米国、欧州および中国を含むその他地域で行っております。こうした海外市場で事業を行うにあたって、以下のような特有のリスクがあります。

・ゼネスト等の労働紛争

・アジア等における労働力不足と賃金水準の上昇

・政治不安

・貿易規制や関税の変更

・一般的に長期の債権回収期間

・法律や規制の予想し得ない制定または改正

・文化、商慣習の相違

・関税、輸送費用、その他の価格競争力を低下させる負担費用

・投資効果の実現までに要する長い期間と多額の資金

 

(15)減損に係るリスク

当社は、今後買収を通じてさらにのれん等を保有する可能性があり、これらの資産につき収益性の低下が発生した場合、当社は減損を認識しなければならず、当社の財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(16)見積り前提条件の変動リスク

当社グループは連結財務諸表を作成するに際して、売上債権の回収可能性、棚卸資産の評価、投資有価証券の減損、繰延税金資産に対する評価性引当額、従業員の退職給付制度などに関して見積りを行っております。これらの見積りは将来に関する一定の前提に基づいており、その前提が実際の結果と相違する場合には、予期せぬ追加的な費用計上が必要となり、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(17)為替レートの変動に伴うリスク

当社グループは、グローバルで製品の製造販売を行っております。各地域における現地通貨建の財務諸表を円換算して連結財務諸表を作成しており、換算時の為替レートにより、円換算後の価値に影響が出る可能性があります。製品仕入につきましては大部分を米ドル建で行っており、米ドルに対する他通貨の為替レートの変動などに伴う製造原価の上昇などにより、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、実需の範囲内で短期および長期の為替予約取引により、為替変動リスクを低減していますが、必ずしも為替リスクを完全に回避するものではありません。

 

(18)税務に関するリスク

当社グループを構成する事業法人は、各国の税法に準拠して税額計算し、適正な形で納税を行っております。なお、適用される各国の移転価格税制などの国際税務リスクについて細心の注意を払っておりますが、税務当局との見解の相違により、結果として追加課税が発生する可能性があります。

 

(19)株価下落のリスク

当社の発行済株式は、東京証券取引所にて売買可能であり、大株主による当社株式大量の市場売却や、そのような売却の可能性は、当社株式の市価を低下させる可能性があります。また、当社は当社株式に転換可能な有価証券を発行する可能性もあり、これらの事態が発生した場合、株式価値が希薄化し、株価に悪影響を与える可能性があります。

(20)製造物責任に関するリスク

当社グループは、厳密な品質基準を設けて生産および仕入れを行っております。製造物責任賠償保険に加入しておりますが、すべての賠償額を保険でカバーできるという保証はありません。製造物責任問題発生による社会的評価、企業イメージの低下は、当社製品に対する消費者の購買意欲を減少させる可能性があります。これらの事象は財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(21)法令違反リスク

当社グループは、「アシックスグローバル行動規範」を定め、内部統制の体制を整え、グループ一丸となって法令順守および倫理行動規範の徹底に努めております。それにもかかわらず、当社グループの役員または従業員が法令に違反する行為を行った場合には、当社グループの事業活動が制限され、財政状態および経営成績が悪化する可能性があります。

 

(22)紛争・訴訟リスク

当社グループと、取引先、顧客等との間に紛争や訴訟が発生した場合、当該紛争解決に多額の費用がかかり、当社グループの財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(23)大規模自然災害等に関するリスク

想定外の自然災害、政治経済状況の変化、感染症・伝染病等の流行、法律・規制の変更、テロ・戦争・その他社会情勢の混乱などが、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼすリスクがあります。

特に、グループ全体の経営管理機能を集約している本社が所在する兵庫県神戸市で大規模自然災害が発生した場合、財政状態および経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社は、大規模自然災害が本社地域および主要営業所に発生した場合に適用する「事業継続計画(BCP)」を策定しております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。

詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。

(1) 財政状態及び経営成績等の状況

 

当連結会計年度の主要な取り組み

 

 当連結会計年度も、世界的な新型コロナウイルス感染症(以下、感染症)により様々な影響が懸念されましたが、世界では社会経済活動の正常化に向けた取組みが進みつつあります。そのような状況の中、当連結会計年度の売上高は4,846億円(前期比+19.9%)と全地域で2桁成長し、為替影響を除いても+9.6%の成長となり、過去最高を記録しました。粗利益率は、主に仕入為替の悪化や米欧での物流費の高騰があったものの、チャネルミックスの良化や販売価格の適正化に努め、49.7%と前連結会計年度を上回っております。営業利益についても前期比で大幅増益の340億円(前期比+54.9%)と過去最高となり、「中期経営計画2023」における営業利益の目標である250億円を前倒しで達成しました。

 なお、ロシア・ウクライナ情勢をめぐる混乱が続いておりますが、アシックスのロシア・ウクライナ事業の規模が小さかったために、業績への影響は軽微でした。

 

◇デジタル

①全世界におけるECの売上高は863億円(前期比+35.3%)と引き続き伸長しました。また、OneASICS会員数は730万人(前期比+35.2%)となりました。引き続き、「中期経営計画2023」における重点戦略の1つである「ランニングでNo.1」実現の観点から、ランナーとのタッチポイントを拡大することでOneASICS会員数を増やし、ランニングエコシステムを早期に構築して参ります。

 

②11月に、年間登録者数330万人超を誇る欧州最大級のレース登録プラットフォームを提供する「njuko(ニューコ)SAS」(以下、「njuko」)を子会社化しました。njukoはフランス、イギリス、ドイツをはじめとする欧州各国における有名大会にてプラットフォームとして採用されています。

これによって、主要リージョンである日本、北米、欧州、オセアニアそれぞれにおけるトップクラスのレース登録会社の買収が完了しました。2023年には全世界において1,200万件以上のレース登録が期待され、アシックスはグローバルマーケットシェアNo.1のレース登録会社となる見込みです。

更なるランニングエコシステムの拡充によって、ECでは早期に売上高1,000億円を、レース登録事業やランニングアプリなどのランニングサービスでは2026年までに売上高120億円を目指します。

 

◇中華圏地域

 売上高は624億円(前期比+18.7%)と大幅に増加しました。上海などでは3月から5月にかけて感染症拡大による行動規制影響があり、北京や広州などでも10月から11月にかけて感染症拡大がありました。12月には主要都市で外出自粛が強まるなど年間を通して非常に厳しい消費環境でした。このような状況の中にもかかわらず、2019年に設立した中国本部主導のローカル性を重視した各種戦略が奏功し、売上高はパフォーマンスランニングでは+34.5%(現地通貨ベースでは+18.2%)、コアパフォーマンススポーツでは+58.5%(現地通貨ベースでは+39.7%)、スポーツスタイルでは+40.7%(現地通貨ベースでは+23.8%)と大幅伸長しました。また、2019年比較ではパフォーマンスランニングの売上高は+137.3%と2倍超の成長となりました。

 

◇パフォーマンスランニング

①売上高は2,582億円(前期比+24.0%)となりました。地域ごとの売上高について、欧州地域では前期比+20%超、中華圏地域やオセアニア地域では同+30%超、東南・南アジア地域では同+50%超と各地域で大幅伸長しました。

 

②トップアスリート向けのランニングシューズ「METASPEED(メタスピード)」シリーズが躍進を続けています。年末年始に開催された各駅伝大会におけるシェアは、前年比で拡大しました。引き続き各地におけるランニングシューズシェアの拡大を図り、「ランニングでNo.1」を目指してまいります。

 

◇オニツカタイガー

売上高は430億円(前期比+11.6%)と行動規制影響があった中華圏地域では減少となりましたが、インバウンド売上高が回復傾向にある日本地域では+35.8%、更に東南・南アジア地域では2倍超に伸長しました。

 

◇サステナビリティ

①世界の代表的なESG投資指標である「Dow Jones Sustainability Indices」(以下「DJSI」)の「Asia/Pacific Index」対象銘柄に8年連続で選出されました。DJSIは米国S&Pダウ・ジョーンズ社とスイスのESGアセスメント会社であるSAM社が共同で開発した世界の代表的なESG指数で、世界各国の企業の持続可能性(サステナビリティ)を経済・環境・社会の3つの側面から評価し、優良企業を選定するものです。アシックスはグローバルの対象企業において業界上位5%の評価を獲得しました。

 

②国際NGO「CDP」が発表した企業の気候変動対策を評価する指標において、総合評価「A-」を再取得しました。CDPの評価結果は、サステナビリティ・リンク・ボンドのパフォーマンスターゲットに設定されており、資金調達の側面でも重要な指標です。今後も非財務情報の開示を充実させてまいります。

 

◇ROAツリーマネジメント

 ROAは5.2%となり、「中期経営計画2023」で設定した4.0%を前倒しで達成しました。

 また、CCCは、前期の棚卸資産残高が生産混乱の影響を受けて平時より低い水準であったことや、好調な販売に備えた手元在庫の確保に加え、為替の変動による棚卸資産残高の押上げ影響により、189日となりました。

ROA(年率換算)=

2022年12月期当期純利益

(2021年12月期期末総資産+2022年12月期期末総資産)÷2

 

◇買収防衛策の廃止

 アシックスは、「中期経営計画2023」の策定・実行を通じた企業価値の向上および昨今の買収防衛策に関わる状況を踏まえ、「当社株式の大規模な買付行為への対応方針」について、これを継続せず、その有効期間が満了する2023年3月開催予定の定時株主総会終結の時をもって廃止することを決議しました。

今後も、創業の精神「ASICS SPIRIT」に基づき、株主、お客様、社会、従業員などのステークホルダーとの強い信頼関係を構築することで、アシックスグループを持続的に成長させ企業価値の長期継続的な向上を目指してまいります。

 

 当連結会計年度の財政状態および経営成績は、次のとおりであります。

① 財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、前期末に比べ79,293百万円増加し、425,067百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前期末に比べ53,101百万円増加し、252,337百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前期末に比べ26,192百万円増加し、172,729百万円となりました。

 

② 経営成績

 当連結会計年度における売上高は484,601百万円と前期比19.9%の増収、営業利益は34,002百万円と前期比54.9%の増益、経常利益は30,913百万円と前期比39.5%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は19,887百万円と前期比111.5%の大幅増益となりました。

 

 報告セグメント別の業績は、次のとおりであります。

(単位:百万円)

 

売上高

セグメント利益

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

日本地域

109,911

123,402

13,490

1,193

6,046

4,853

北米地域

86,176

105,331

19,155

848

26

△821

欧州地域

106,604

130,099

23,495

10,889

11,254

365

中華圏地域

52,593

62,411

9,818

9,147

10,067

919

オセアニア地域

24,756

33,292

8,535

3,347

5,211

1,864

東南・南アジア地域

10,903

18,448

7,544

964

2,984

2,020

その他地域

35,133

43,630

8,496

1,797

3,646

1,849

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは21,427百万円の支出となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは14,481百万円の支出となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは2,314百万円の収入となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて29,471百万円減少し、65,804百万円となりました。

 

(生産、受注及び販売の状況)

 当社グループは、生産実績の割合が僅少であるため記載を省略しております。また、受注状況につきましても、受注生産を行っている割合が僅少であるため記載を省略しております。なお、報告セグメント別の売上高につきましては、「第2 「事業の状況」 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容」をご参照ください。

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、記載内容のうち将来に関する事項につきましては、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 財政状態

 当連結会計年度末の財政状態といたしましては、総資産425,067百万円(前連結会計年度末比22.9%増)、負債合計252,337百万円(前連結会計年度末比26.7%増)、純資産合計172,729百万円(前連結会計年度末比17.9%増)でした。なお、当連結会計年度末の棚卸資産残高は、前連結会計年度末の棚卸資産残高が生産混乱の影響を受け通常より低水準だったことに加え、為替影響、会計方針の変更もあり、増加しております。

a. 流動資産

 商品及び製品の増加などにより、296,122百万円(前連結会計年度末比21.8%増)となりました。

b. 固定資産

 使用権資産の増加などにより、128,944百万円(前連結会計年度末比25.6%増)となりました。

c. 流動負債

 短期借入金の増加などにより、150,632百万円(前連結会計年度末比71.8%増)となりました。

d. 固定負債

 償還期限が1年以内となった社債の固定負債から流動負債への振り替えによる減少などにより、101,704百万円(前連結会計年度末比8.8%減)となりました。

e. 純資産

 利益剰余金の増加などにより、172,729百万円(前連結会計年度末比17.9%増)となりました。

 

② 経営成績

 当連結会計年度における売上高は484,601百万円と前期比19.9%の増収、営業利益は34,002百万円と前期比54.9%の増益、経常利益は30,913百万円と前期比39.5%の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は19,887百万円と前期比111.5%の大幅増益となりました。この結果、「中期経営計画2023」を1年前倒しで達成いたしました。

a. 売上高

 為替影響に加え、全てのカテゴリーで好調に推移したこともあり、売上高は484,601百万円と前期比19.9%の増収となりました。

b. 売上総利益

 上記増収の影響により、240,706百万円と前期比20.4%の増益となりました。

c. 営業利益

 上記増収の影響により、34,002百万円と前期比54.9%の増益となりました。

d. 経常利益

 上記増収増益の影響などにより、経常利益は30,913百万円と前期比39.5%の増益となりました。

e. 親会社株主に帰属する当期純利益

 感染症の影響による特別損失計上額が減少したことにより、19,887百万円と前期比111.5%の大幅増益となりました。

 

 カテゴリー別の業績は、次のとおりであります。

 なお、一部カテゴリーについて算出方法を変更したことに伴い、前連結会計年度の実績を組み替えて表示しております。

(単位:百万円)

 

(カテゴリー)

売上高

カテゴリー利益

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

(△は減)

前連結

会計年度

当連結

会計年度

増減額

(△は減)

パフォーマンスランニング

208,268

258,272

50,004

42,634

49,181

6,546

コアパフォーマンススポーツ

41,332

54,155

12,822

5,028

9,489

4,461

スポーツスタイル

33,252

43,466

10,213

4,310

6,425

2,114

アパレル・エクィップメント

34,115

35,278

1,162

△175

△1,645

△1,469

オニツカタイガー

38,545

43,011

4,465

4,963

7,399

2,436

 

a. パフォーマンスランニング

 売上高は、日本地域を除く全ての地域で好調に推移し、258,272百万円と前期比24.0%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、49,181百万円と前期比15.4%の増益となりました。

 引き続き、商品力強化・マーケティング投資拡大により、マラソン・駅伝でのシェア拡大に向けた攻勢を継続してまいります。

b. コアパフォーマンススポーツ

 売上高は、全ての地域で好調に推移し、54,155百万円と前期比31.0%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、9,489百万円と前期比88.7%の増益となりました。

 引き続き、契約選手や主要国際大会と連動したマーケティング活動や商品訴求を継続的に実施してまいります。

c. スポーツスタイル

 売上高は、全ての地域で好調に推移し、43,466百万円と前期比30.7%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、6,425百万円と前期比49.1%の増益となりました。

 今後は、世界的に影響力を持つライフスタイルメディアであるHYPEBEASTの2022年ベスト・フットウェア・ブランドに選定されたことを背景に、グローバルでの売上拡大やブランド価値向上を図ってまいります。

d. アパレル・エクィップメント

 売上高は、為替影響により、35,278百万円と前期比3.4%の増収となりました。カテゴリー損失につきましては、販売費及び一般管理費の増加などにより、1,645百万円となりました。

 引き続き、「中期経営計画2023」最終年度としてランニング・トレーニングに経営資源を集中し、黒字化を目指してまいります。

e. オニツカタイガー

 売上高は、上海などでの感染症による行動規制の影響で中華圏地域が減収となったものの、日本地域や東南・南アジア地域での好調により、43,011百万円と前期比11.6%の増収となりました。カテゴリー利益につきましては、上記増収や粗利益率の改善などにより、7,399百万円と前期比49.1%の増益となりました。

 今後も、ミラノファッションショーでの発表やデジタルツールを活用したマーケティング活動により、ブランド認知および価値向上に努めてまいります。

 

 

報告セグメント別の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

a. 日本地域

 売上高は、コアパフォーマンススポーツやオニツカタイガーの好調により、123,402百万円と前期比12.3%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収により、6,046百万円と前期比406.6%の大幅増益となりました。

 引き続き、収益改善に向け、カテゴリー毎に適した戦略を立案、推進してまいります。また、ECビジネスの加速など、原価率の改善および販管費コントロールに努めてまいります。

b. 北米地域

 売上高は、パフォーマンスランニングやコアパフォーマンススポーツの好調や為替影響により、105,331百万円と前期比22.2%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、ECの売上増加に伴う販売費及び一般管理費の増加などにより、26百万円と前期比96.9%の減益となりました。

 引き続き、当社の強みであるパフォーマンスランニングのビジネス拡充に注力し、ランニング専門店でのシェアNo.1を目指します。また、収益性の改善については、引き続きOneASICS会員数の拡大によるECチャネルの成長を進めると共に、商品構成の見直し、不採算店舗の削減、販管費コントロールに努めてまいります。

c. 欧州地域

 売上高は、パフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調だったことにより、130,099百万円と前期比22.0%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、11,254百万円と前期比3.4%の増益となりました。

 今後は、パフォーマンスランニングを中心に、引き続きマーケットシェアの拡大を図ります。また、2022年に買収したnjuko社を活用し、ロイヤルカスタマーの拡大を進め、デジタル戦略の更なる強化を継続してまいります。

d. 中華圏地域

 売上高は、パフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調だったことにより、62,411百万円と前期比18.7%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収や為替影響などにより、10,067百万円と前期比10.1%の増益となりました。

 今後は、パフォーマンスランニングに注力をしながらも、スポーツを推進する政府方針を受け、コアパフォーマンススポーツを更に強化していくとともに、ECの更なる強化、及び直営店、パートナーストアの展開により、ビジネスの拡大、ブランド訴求を推進します。また、中国本部の機能を活用した、現地のニーズに適合した製品の企画・開発を継続的に強化してまいります。

e. オセアニア地域

 売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、33,292百万円と前期比34.5%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響に加え、粗利益率の改善などにより、5,211百万円と前期比55.7%の増益となりました。

 今後は、更なる収益性の改善を図るため、直営店舗およびECチャネルの拡大に努めてまいります。また、2021年に買収したレース登録サイトRegister Nowの活用も含めて、引き続き豪州におけるパフォーマンスランニング市場No.1のブランドの地位を堅持してまいります。

f. 東南・南アジア地域

 売上高は、全てのカテゴリーが好調だったことにより、18,448百万円と前期比69.2%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響に加え、粗利益率の改善などにより、2,984百万円と前期比209.5%の大幅増益となりました。

 今後は、東南アジアにおいてはパフォーマンスランニング、オニツカタイガーに注力し、収益性の改善を図るため、直営店舗及びECチャネルの拡大に努めてまいります。インドにおいては引き続きパートナーストアとオンライン販売の更なる拡大を進めると共に、収益性向上やブランド強化を目的とした、将来的な直営事業展開の為に外資規制で求められている要件を満たすべく、今後も現地生産の拡大に努めてまいります。

 

 

g. その他地域

 売上高は、パフォーマンスランニングやスポーツスタイルが好調だったことにより、43,630百万円と前期比24.2%の増収となりました。

 セグメント利益につきましては、上記増収の影響などにより、3,646百万円と前期比102.9%の大幅増益となりました。

 南米では引き続き健全な利益を創出するために、ブラジルの継続的な伸長に加え、他の南米諸国での成長を加速させることで、事業規模を拡大してまいります。また、収益改善に向けたECチャネルの拡大、および、現地生産を活用し、現地ニーズへの迅速な対応や原価率の改善に努めてまいります。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

 キャッシュ・フローにおきましては、営業活動によるキャッシュ・フローが好調な販売を見込み手元棚卸資産を積み増しした結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、65,804百万円と前期比29,471百万円減少しました。

 

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は21,427百万円(前年同期は49,146百万円の獲得)となりました。

 支出の主な内訳は、棚卸資産の増加額47,764百万円、売上債権の増加額14,684百万円、法人税等の支払額11,356百万円です。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は14,481百万円となり、前期比4,314百万円の支出増加となりました。

 支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出8,030百万円、有形固定資産の取得による支出3,253百万円です。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は2,314百万円(前年同期は25,968百万円の使用)となりました。

 収入の主な内訳は、短期借入金の純増額16,800百万円であり、支出の主な内訳は、リース債務の返済による支出9,137百万円、配当金の支払額5,126百万円です。

 

キャッシュ・フロー指標のトレンド

 

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

自己資本比率(%)

54.1

48.0

37.9

42.2

40.1

時価ベースの自己資本比率(%)

87.1

105.0

108.8

135.0

125.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.5

5.4

6.4

2.2

△6.5

インタレスト・カバレッジ・レシオ

13.8

11.5

11.6

28.7

△8.6

(注) 自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い

1.各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。

3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いにつきましては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(3)資本の財源および資金の流動性についての分析

当社グループの資金運営は、営業キャッシュ・フローで獲得した資金を主な財源としております。また、当社グループは、事業活動を行うための資金の調達に際し、低コストで安定的な資金の確保を重視しております。当連結会計年度末の有利子負債は139,799百万円であります。

資金効率の向上と金融費用の削減、ならびに財務面のグループガバナンス強化を目的として、グローバル・キャッシュ・マネジメント・システム(グローバルCMS)を2016年3月より金融機関と構築しており、グローバルCMS参加グループ会社を一体とみなして資金の預入および借入を行っております。これに伴い、従来当社から行っておりました一部子会社への貸付けを解消いたしました。当該グローバルCMSにおいて、預入金および借入金の相殺表示を行うためのすべての要件を満たしているため、相殺表示を行っております。なお、当連結会計年度末の相殺金額は45,037百万円であります。

 

(4)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況

当社グループは10年先を見据えた「VISION2030」を制定し、2023年12月期を最終年度とする中期経営計画で「連結営業利益250億円」「連結営業利益率6.0%以上」「ROA4.0%」を数値目標に設定しております。

当連結会計年度は、パフォーマンスランニングの売上高が全ての地域で増収となったことや、コアパフォーマンススポーツの売上高がテニスにおけるシェアNo.1となった北米、欧州などに牽引される形で大幅増収となったことに加え、EC売上高構成比の上昇による粗利益率改善などにより、売上高、営業利益ともに過去最高額を記録しました。その結果、営業利益は34,002百万円(前期比54.9%改善)、営業利益率は7.0%(前期比1.6ppt改善)、ROAは5.2%(前期比2.4ppt改善)と、「中期経営計画2023」を1年前倒しで達成いたしました。

中期経営計画の最終年度である2023年は、積極的なデジタル投資により、顧客接点の拡大や他企業との連携を通じ、ランニングエコシステムの拡大に努め、製品以外の事業ドメインにおいても更なるサービスの充実と収益拡大に取り組んでまいります。

 

(5)重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、日本において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

4【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発は、経営の基本方針である機能性豊かで質の高いスポーツ用品を提供していくことを基礎とし、蓄積されたスポーツテクノロジーに基づき、パフォーマンスランニング、コアパフォーマンススポーツ、スポーツスタイル、アパレル・エクイップメントおよびオニツカタイガーの各分野において、各統括部門および各関係会社が新製品の開発を担当し、スポーツ工学研究所が材料開発、機能設計、製品の機能評価などを通じて、各統括部門および各関係会社の新製品開発の支援業務を行っております。さらには、研究所では、製品設計で得られた多くのデータ、知見をもとに、パフォーマンスの向上やウェルネスケアの分野において、価値あるサービスの提供を目指した研究開発も行っております。

 当連結会計年度の研究開発費の総額は6,085百万円(前期比23.9%増)となっております。なお、当社グループの行っている研究開発活動は各セグメントに共通するものであり、各セグメントに関連づけて記載しておりません。