第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

(1)経営方針および経営環境

 当社グループでは「我々は、絶えざる創造と革新によって新しいものを求め続け、人と社会に素晴らしい『快』を提供する」という経営理念のもと、「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに掲げ、お客さまの生活・健康上のお困りごとを解決し、快適な暮らしに貢献することを使命に事業を展開しております。

 そのような中、当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及などにより、多くの国で経済活動が再開しつつある中、日本国内においても入国制限や行動制限の緩和に伴って人流が増加し、景気の持ち直しが期待されております。一方で、原材料価格の高騰やエネルギーコストの上昇に伴う消費低迷の懸念や、地政学リスクの高まりなど、先行きは依然として不透明な状況が続くと予想されます。

 このような状況にあって、「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに、今までにない付加価値のある新製品を開発し、お客様に提供してまいります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社は、将来にわたって持続的に成長していくために「2030年のありたい姿」を描き、そこからバックキャストの形で2020-22年に実行すべきことを定め、テーマである「国際ファースト」のもと、国際事業の成長、並びに新製品開発力・育成力の向上に努めてまいりました。

 また、これまでも「“あったらいいな”をカタチにする」をスローガンに掲げ、多くのチャレンジを実行してきましたが、今後はデジタル技術を活用した製品やサービス・新規事業開発を強化したいと考えております。

 そこで、これまで以上にチャレンジが歓迎・促進される風土の醸成に取り組むべく、新たに策定した2023-25年の中期経営計画のテーマを「私が“あったらいいな”をカタチにする」として、この3年間で実行すべきことを以下の通り定めました。

 

▶ 2023年-25年 中期経営計画の概要

テーマ:私が“あったらいいな”をカタチにする

~枠を超えたチャレンジ風土の醸成~

1.開発・育成の新しい挑戦

2.新しい海外サポート体制による製品提供力の強化

3.既存品の競争力強化

4.新規事業の積極的な創出

5.未来の小林製薬の基盤をつくる(DX・ESG)

 

戦略骨子1. 開発・育成の新しい挑戦

 当社では、経営指標として「新製品寄与率(全売上に占める新製品売上の割合)」を重要視しております。ここ数年は市場への定着率を高めるため開発基準を厳しくし、開発の初期段階で市場性を見極める調査を行い、その基準をクリアしたもののみ次の開発ステップへ進めるようにしてきました。その結果、開発のスピードが低下し、新製品の発売品目数が減り、新製品寄与率が伸び悩みました。

 これからは、当社らしいユニークなテーマについてはその基準にこだわらずスピード重視で開発するなど、開発プロセスを一律ではなくハイブリッドで行っていくことで、毎年安定して多くの新製品が発売できるよう努めてまいります。

 

戦略骨子2. 新しい海外サポート体制による製品提供力の強化

 使い捨てカイロや額用冷却シート「熱さまシート」は日本のみならず世界各国で販売しており、ここ数年はどちらの製品も特に海外において大きく売上が伸びております。そこで、使い捨てカイロと「熱さまシート」の国内外での戦略や開発を一本化するため、2023年より「グローバルサーモケアカテゴリー(社内組織)」を設立しました。今後は日本でも海外の戦略を立案し、将来に向けた新製品開発・製品改良への投資を効率よく行うことで、全世界での市場浸透とシェアアップを目指します。

 

戦略骨子3. 既存品の競争力強化

 新製品は発売して終わりではなく、発売後も強い表現を獲得し、リニューアルやラインアップ追加を繰り返すことで、他社に負けない競争力のあるブランドに育ってきました。

 従来は、ブランドマネージャー、開発企画、研究開発、技術開発の四位一体で開発を行ってきましたが、今後は、これまで中長期の新規テーマの開発を主に担ってきた中央研究所の技術的サポートも加えることで、より競争力のある表現を獲得し、既存品の強化を図ってまいります。

 

戦略骨子4. 新規事業の積極的な創出

 これまで当社では、持続性抗菌剤「KOBA-GUARD」や認知機能スクリーニングキット「ニンテスト」など、様々なテーマを通じて新規事業に関する知見を溜めてきました。それらの知見を活用し、次の3年間では「フェムテック」「デジタルヘルステック」「D2C」(注)等の領域でテーマを稼働させ、2030年には合計で売上高80億円規模の新規事業創出を目指します。

 

(注)フェムテック:Female(女性)とTechnology(テクノロジー)をかけあわせた造語。女性が抱える健康の課題をテクノロジーで解決でき

  る商品(製品)やサービス。

  デジタルヘルステック:IoT(製品をインターネットに接続して情報交換する技術)を用いたヘルスケア製品やサービス。

  D2C:Direct to Consumerの略。一般に少数の商品カテゴリーに絞ってメーカーから消費者に直接販売する通販モデル。

 

戦略骨子5. 未来の小林製薬の基盤をつくる(DX・ESG)

 DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進にあたっては、個々の部門に留まることなく、全体最適の視点から的確な判断をスピーディに行う必要があります。そこで、2023年よりCDO(Chief Digital Officer)ユニットを社長直下に新設し、デジタルに関わる機能を集約しました。これにより、各部門のDX戦略の策定と実行をスピーディに行ってまいります。

 社会からの要請に応え、持続的に企業価値を向上させるためには、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みの強化も欠かせません。

 環境については「気候変動課題への挑戦」を重点テーマとし、再生可能エネルギーの導入切替や、サプライヤーと連携した低炭素型の製品開発に取り組みます。

 社会については、「私が“あったらいいな”をカタチにする」という中期経営計画のテーマを実現するため、従業員の成長支援や、失敗を恐れぬ挑戦への後押しを行います。また、社会課題解決と持続的な企業価値の向上を目指すCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)活動も推進してまいります。

 ガバナンスについては、持続的な企業価値向上を支えるために、多様性に富んだ取締役会と風通しの良い企業風土の強みを伸ばす体制づくりに注力してまいります。

 

▶ 業績目標

前提

 原材料価格やエネルギーコストなど、様々なものが値上がりしておりますが、今後も高止まりが続くと見込んでおります。

 政府による外国人の新規入国制限の緩和に伴い、足元は訪日外国人数が増加し、国内事業におけるインバウンド需要も徐々に戻りつつあります。しかし、今後の動向については不透明なことから、当業績目標にはインバウンド需要の大きな回復は織り込んでおりません。

 将来の需要増や事業拡大に対応すべく、今後3年間で国内外の工場における新棟建設や増築、さらには中央研究所の移転・拡張を予定しております。そのため、2025年の減価償却費は2022年対比で約30億円増加する見通しで、今後3年間はEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)の増益を重視し、営業利益はほぼ横ばいとなる見込みです。

 以上を踏まえて、2025年12月期の業績目標を以下の通り定めました。

 

 

 

2022年実績

2025年目標

年平均成長率

売上高

1,662億円

1,910億円以上

+4.7%以上

営業利益

266億円

268億円以上

+0.1%以上

営業利益率

16.0%

14%以上

-

当期純利益

25期連続増益

28期連続増益

-

EBITDA※

319億円

352億円以上

+3.2%以上

ROE

(株主資本利益率)

10.2%

9%以上

-

配当

24期連続増配

27期連続増配

-

国内事業売上高

(通販含む)

1,259億円

1,376億円以上

+2.9%以上

国際事業売上高

396億円

533億円以上

+10.3%以上

国際売上高比率

23.9%

27%以上

-

※EBITDA=営業利益+減価償却費+のれん償却額

 

(参考)2030年のありたい姿

  グローバル経営を推し進め、2030年には、各国で毎年新市場を1つ創造しており、世界でもお困りごとを解決することで人と社会に貢献し、新市場(新習慣)を創造する企業として認知されつつある状態でありたい。

連結売上高2,800億円、うち国際事業900億円

-国内では「あったらいいな」開発と育成を究めている。

-その新製品を各国にスピーディにローカルフィットさせ広げている。

-全社員のデジタルリテラシーを高め、DXによる「あったらいいな」開発の刷新と、

 デジタルを搭載した新製品の創出ができている。

-欧米・中国・アジアの3極でも「あったらいいな」開発の成功例が出ている。

 

2【事業等のリスク】

当社グループは、企業が将来生み出す収益に対して影響を与えると考えられる、発生が不確定の事象を「経営リスク」と定めております。この経営リスクのマネジメントに関する全般的事項を「経営リスクマネジメント規程」として2008年4月に制定し、この規程に基づき、様々な経営リスクへの適切な対応と経営リスクが顕在化した場合の影響の極小化を図っております。

特に、2017年11月より、代表取締役社長と主要執行役員を構成員として「リスク管理委員会」を設置し、経営リスクのマネジメントシステムの構築、及び維持を目的とした活動を行っております。このリスク管理委員会では、小林製薬グループ全社で発生する経営リスクを網羅的に把握、評価し、対応の優先順位を検討しております。また、対応が必要と考えられたリスクについては、経営の関与の必要性を明確にし、対応の責任を負う担当部門を決め、責任部門における対策案の立案と実行を監督しております。リスク管理委員会における検討結果を取締役会にも報告し、取締役会において必要に応じその検証を行っております。以上のようなプロセスに基づき当社グループが当社グループの経営に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスク、及びその対応策の実施状況は、次頁以降記載のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

主要なリスクの内容

主な対応策の実施状況

(1)事業環境のリスク

当社グループの主要製品は、一般消費者向けの製品であります。当社グループは、消費者ニーズを満たす製品の提供を当社の使命と考え、消費者ニーズの変化に合わせて新製品を開発し、既存発売品の更新を行うことにより価値を創出し、他社との差別化を目指しております。

しかしながら、当社グループの想定を超える消費者ニーズの急激な変化が起こった場合、当社グループの製品への需要が大幅に縮小する可能性があります。

また当社グループの事業領域は、競合他社の新製品発売、得意先の統合による価格交渉力低下等の競争環境の変化にさらされております。そのため状況に応じて、新製品・既存発売品の需要喚起のための広告宣伝、販売促進費用や、開発費用を増加させる必要が生じる可能性があります。

さらに当社グループは、EC購買の増加や消費者の利用媒体の変化など消費者の購買行動の変化に対応し、広告宣伝手法の更新等、消費者との最適な関係構築を追究しておりますが、当社グループが想定していない購買行動の変化が起こった場合、事業効率が低下する可能性があります。

これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

当社グループは、消費者ニーズを見出し、製品のアイデアを検討する「アイデア創出」を起点としたバリューチェーンを構築しております。創出された製品アイデアについて、製品開発に向けた検討段階に進めるべきか判断する「アイデア会議」を月に1回の頻度で開催しており、消費者ニーズをタイムリーに反映した新製品の開発を持続的に行うことを目指しております。

一方、主要な既存ブランドについては、消費者ニーズの変化を捉えた訴求・表現等の見直しや、競合環境に対抗する施策などのブランド戦略のレビューと更新を半年に1回の頻度で行うことで、環境変化を精緻に捉えた戦略策定を実現するよう努めております。

これらの活動に加え、多種多様な製品をラインアップすることで、消費者ニーズが変化した際の影響を小さくするリスクヘッジが機能し、持続的に収益を確保することを目指す体制を構築しております。

また、当社グループはプロブレム解決型の製品を多く提供しているため、テレビ広告を中心とする広告投下によって、製品の特徴を消費者にわかりやすく伝えていくことが新製品の売上を確保するうえで重要であると認識しております。しかし、ターゲットとする消費者によってはWeb広告も投下し、常にこれらの広告と店頭消化との相関を把握することで、消費者の利用媒体の変化に関わらず広告効率が高く保たれるよう、広告施策を検討しております。

(2)積極的に新製品を投入するビジネスモデルのリスク

当社グループでは成長戦略の中核的な柱として積極的な新製品の開発と市場への投入を進めており、毎年の春と秋に多くの新製品を発売しております。しかし、新製品アイデアの創出が難航し新製品の開発に着手できる品目の数が不足する場合や、開発中の製品について消費者ニーズの変化等により開発が中止となる場合、新製品発売時に競合他社からの類似製品の発売等によって市場環境が想定より厳しいものとなっている場合には、当社グループの新製品の売上が事前の想定を下回り、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

上述のとおり、当社グループは、消費者ニーズを見出し、製品のアイデアを検討する「アイデア創出」を起点としたバリューチェーンを構築しております。

新製品アイデアの継続的な創出のため、当社グループではその風土醸成を重視し、アイデア創出を基幹業務として位置づけ、十分な人的・物的なリソースの投入を継続するよう努力するとともに、全社員からアイデア提案を受け付ける制度の活用推奨、全社員アイデア大会の開催などの意識向上施策に取り組んでおります。

開発段階に進んだ新製品アイデアについては、発売予定品目をまとめた「新製品ポートフォリオ」を作成して将来の発売予定時期ごとに分類し、毎月の開発参与委員会で進捗状況を把握しております。この新製品ポートフォリオを活用し、開発中止となる品目の発生を予め想定した余裕のある開発品目数の確保と、発売スケジュールの調整を行い、常に十分な売上となる発売予定品目が確保できるよう努めております。

 

 

主要なリスクの内容

主な対応策の実施状況

(3)天候不順、気候変動による需要変動のリスク

当社グループの製品は、カイロ、感冒対策製品、暑さ対策製品、花粉症対策製品等、その製品需要が気温・天候により変動するものを含んでおります。そのため、各事業年度の気温・天候の如何により製品売上が影響を受ける可能性があります。

また、中長期的な気候変動が起こった場合、これらの製品への需要が縮小する可能性も否定出来ません。当社グループはこれらのリスクに対して、気候変動に呼応した新製品開発、既存発売品の更新による新規需要獲得で対応していく予定でありますが、急激なあるいは大きな気候変動が起こった場合、新規需要獲得が追いつかず、製品売上が減少する可能性があります。

一方、中長期的な気候変動の影響を低減させる方向での議論が進む、世界的な温室効果ガス削減の動きによって、当社グループの製品に関しても、将来的な炭素税の課税負荷、及び環境への負荷が高いと見なされた製品に関する商流からの排除、さらには消費者のエシカル意識の高まりによる排除等の影響がある可能性があります。

これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、多種多様な消費者ニーズに応え、多岐にわたる製品ラインアップを確保しており、一部製品の売上は、短期的な気温・天候による需要変動の影響を受けるものの、全体からみれば一定の規模に収まるという想定の下で気候変動リスクを受容しております。冬期の気温の動向により大きな影響を受け、一定の売上規模を持つカイロ事業については、気温に左右されにくいヘルスケア領域(温熱医療)の製品開発を進めるとともに、カイロの売上構成比が大きい米国については医薬品など気温・天候に左右されにくい他のカテゴリー製品の構成比を高める戦略を進めております。また、カイロ製品に限らず季節ごとに売上が変動する製品の返品を最小限に抑えるため、各種データを活用した漸次的な出荷調整等の活動により、リスクの最小化を図っております。

一方、中長期的な気候変動による製品需要の変化については、気候関連財務情報開示(TCFD)に関するガイダンスに基づいて、これを網羅的に予測し、リスク・機会の状況を検討しております。また、対応が必要なリスクについては、環境マネジメント体制を強化し、グループ全体として中長期的なあるべき姿や環境課題の見直しなどを検討すべく、グループ環境委員会を2018年に設立し、対策を検討し実施しております。

また、社会的な温室効果ガス削減の推進による当社グループの事業への影響についても検討しており、Scope1・2及びScope3視点での温室効果ガス排出状況の算定を行っており、2030年に向けた削減目標についてSBTイニシアティブによる認定を取得しております。中でも構成比率の高いScope3に関しては、部署横断での削減PJを立ち上げ、中長期的な温室効果ガス排出量削減活動に着手しております。

(4)海外事業のリスク

当社グループの海外売上の構成比は、海外の消費者ニーズに応えた事業展開によって上昇傾向にあります。また、海外事業の将来の成長を期待して、海外の現地工場や子会社の設立等の投資を行っております。そのため、事業を展開している各国の経済成長の鈍化、現地政府による規制の変更等によって、海外事業の業績が変動し、投資回収効率が低下する可能性があります。また、現地政府による資本流出規制によって、資本の流動性が低下する可能性があります。

さらに、在外連結子会社の売上、費用、資産及び負債を含む現地通貨建ての財務数値は、連結財務諸表の作成の際に円換算します。そのため、換算時の為替レートが大幅に変動した場合、円換算後の数値が大幅に変動する可能性があります。

これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

海外事業に対する投資に限らず、大型投資については、可能な限り段階的かつ合理的な予算で行うことを原則に、当社グループの投資判断は行われております。

また、経営判断を行う基礎となる投資計画についても、消費者ニーズ等の環境変化をタイムリーに反映させ、常に最新の投資計画を確認することで、投資回収リスクを低減するリスクヘッジを行っております。特に当社グループの注力拠点である中国においては、現地の経営状況、消費者動向、法規制、政治状況などをタイムリーにキャッチアップするために、グループ執行審議会の場で、毎週中国担当の執行役員から状況報告が行われております。

換算時の為替レートについては、主要通貨の変動と事業への影響をモニタリングし、適時社内での情報共有を行っております。そのうえで、必要に応じて、関係部門は為替変動の事業への影響を軽減する対策を検討しております。

 

 

主要なリスクの内容

主な対応策の実施状況

(5)事業買収・提携のリスク

当社グループは、国内外の当社グループ製品の市場の獲得と強化を目指し、製品ラインアップの強化、販売・製造拠点の確保(薬事規制対象製品に関する所要の認可等の確保を含みます)、販売力・事業遂行ノウハウの獲得を目的に、積極的なM&Aや事業提携を図っております。ただし、これらM&Aや業務提携については、事前に十分に把握しあるいは予想出来ない不確実な要素が存在する場合があるため、事後的に判明、あるいは発生した想定外の事象や環境変化によって、当初意図した成果が得られない可能性や、事業戦略の変更を行わざるを得なくなる可能性があります。

企業買収に際しては、多くの場合のれんや無形資産を相当額計上しておりますが、こうした資産が期待されるキャッシュ・フローを生み出せない場合には減損損失が生じるリスクがあります。

これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

M&A、事業提携の実施にあたっては、過去の経験からノウハウを蓄積し、抜け漏れのないデュー・デリジェンス(買収監査)を実施して精緻な情報収集を行うよう努めております。

当社グループの実施するM&Aの多くのケースは、水平統合による事業拡大の性質を持つことから、買収事業の製品は、既存の多種多様な製品のラインアップの一部に加わります。また、実際に投資を行う際の投資金額も当社グループの事業規模を勘案して適切な予算の設定を行っております。従って、想定外の業績変動が発生するリスクによる影響は、全体からみれば限定的な範囲に収まるものと想定しております。一方、獲得した成長機会が目論見どおり実現された場合の業績へのプラスの影響は大きいものとなります。この成長機会と残存リスクのバランスを十分に議論したうえで、最終的な実施の判断を行い、リスクのマネジメントを実施しております。

(6)人的資本確保・活用のリスク

当社グループは、新製品を継続的に発売するビジネスモデルを成立させるため、人的資本の確保・活用を重要視しております。特に海外事業の成長に対する人的投資のため、グローバル・マインドとスキルを持った人財の獲得・育成に努めております。しかしながら、性別・国籍等を問わない多様な人財の活躍推進の停滞や、労働市場の競争激化への対応の遅れ、従業員の企業貢献意識を向上させる施策が適切に実施できない、というような事態が生じた場合、必要な人的資本を確保・活用できなくなり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループでは、「さん付け呼称」など役職に囚われず、フラットに発言出来る企業風土を作り上げております。

また、「社員一人ひとりの成長が、会社の成長につながる」を行動規範に掲げ、従業員個々人の能力、成長意欲を引き出し、活躍させることを重視した活動を行っております。

具体的には、全ての従業員が成長を実感できるよう2018年より「成長対話」の活動を開始し、上司が部下個々人の特性に合った成長意欲を引き出し、成長を加速させる活動を、国内の全部署で行っております。また、女性活躍推進については、女性管理職比率の目標値を掲げ、キャリア志向を醸成するポジティブアクションを含めた具体的活動を推進しております。

また、多様なライフスタイルの人が活躍できる環境を整備することで、多様な人財を獲得する活動も推進しております。テレワーク制度やフレックス制度、副業制度、服装自由化など新たな制度の導入を進めており、これらによって、小林流ダイバーシティ経営を推し進め、多様な意見を出し合える風土を守り、加速させていきます。

(7)製品安全性のリスク

当社グループの製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品等を含みます。これら製品の品質管理には万全を期しておりますが、万一、設計不良、品質不良、あるいは副作用報告に応じた初期対応の誤りによって、消費者の健康及び資産に多大な被害等が発生した場合、その補償や、信用失墜によって当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループの製品品質については、監査の役割を負った専門部門(信頼性保証本部)を責任部門として、品質管理上の不具合・脆弱点を洗い出して、その発生可能性を仕組みづくりによって低減する活動を繰り返す、連続的なPDCAの取り組みを行っております。このPDCAの対象は、生産プロセスだけでなく、製品設計プロセス、製品の裏面表示(消費者の読む注意書き)の是正等、製品の品質保全に関わる、広範な領域にわたっております。また、この日々の品質改善活動の結果は、年に1回の頻度でとりまとめられPDCAの実施状況について確認するよう努めております。

なお、万一重篤な設計不良・品質不良が疑われた場合は、週に1回の頻度で実施されるグループ執行審議会で議論され、タイムリーに対応が判断されます。

 

 

主要なリスクの内容

主な対応策の実施状況

(8)製品原材料調達のリスク

当社グループの製品事業は、原材料調達コストの変動リスクにさらされております。原材料の一部については国境を越えた調達を行っており、為替相場の変動によって調達コストが増大する可能性があります。

また、当社グループは継続的なコストダウン活動により製品原価の低減を図っておりますが、原油価格の急騰等により原材料価格の急な上昇があった場合、製品原価が上昇し利益が圧迫される可能性があります。

当社グループは自然災害・人為的災害・パンデミック・戦争の発生等による原材料調達の停止リスクに対し、原材料BCPを策定し備えておりますが、想定を超えて原材料の調達が困難となった場合、市場への製品供給が阻害され機会損失が起こる可能性があります。

一方、当社グループの販売する製品の原材料は、その品目数の多さに応じて多岐にわたっております。サプライチェーンの生物多様性保全等の環境側面、あるいは労働環境、人権等の社会側面において、社会的責任ある調達への取り組みが不十分であった場合、当社グループの原材料の持続的調達が困難になるとともに、その指摘によって当社グループのブランドイメージ、信用が低下する可能性があります。

これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループの販売する製品の原材料は、その品目数の多さに応じて多岐にわたっているため、原材料の価格高騰等が限定的なものであれば、全社の業績に与える影響も軽微なものとなることが想定されます。

一方、自然災害・人為的災害・パンデミック・戦争等によって多岐にわたる原材料が供給不安に陥るケースを想定し、当社グループは「製品BCPシステム」を構築し、想定される各災害・パンデミック・戦争等のケースに応じて、どの製品のどの原材料の供給に懸念があるか等を早期に判断できる仕組みを整えております。

また、当社グループは「小林製薬グループの調達基本方針」を示し、これに則った原材料の調達を行っております。2019年には、「小林製薬グループの調達基本方針」に、人権尊重の強化、及び企業の社会的責任を果たしていく方針を追記したうえで、年に1回の頻度で、調達先に対して実施する「調達方針説明会」においてこの方針を共有するとともに、主要原材料取引先を対象とした、人権侵害のリスクを把握するためのアンケートを実施しております。今後、対応を進めるとともに、監査強化、環境保護視点の追加等を検討し、包括的なCSR調達の達成・維持を図ってまいります。

(9)法的規制等のリスク

当社グループの製品は、医薬品、医薬部外品、化粧品等を含みます。そのため、医薬品医療機器等法等に関する法規の変更があった場合、製品の開発中止、販売中止等の影響を受ける可能性があります。

また、当社グループの売上の一部は、海外の得意先・消費者の製品輸入により成立しているため、輸出入の規制変更等によって、この売上が変動する可能性があります。

これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

国内、国外における、医薬品医療機器等法等の法令規制の変更については、法務知財部が中心となって随時の情報収集に努めるとともに、先行した対応を心がけて事業影響を最小化するよう努めております。特に中国における法規の変化はスピードが激しいため、情報収集を実施する役割を明確に負った部署を現地に設置し、行政との関係性強化、及び法規変更情報の中国生産拠点への水平化についても義務づけることで、対応に遅れが出ないことを目指した仕組みを構築しております。

(10)情報セキュリティ関連のリスク

当社グループは、通販事業を中心に、消費者の個人情報を主とする多くの情報を保有しております。万一情報漏洩が発生した場合には、その補償や、信用失墜によって当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、開発中の新製品の情報、過去の製品販売実績に基づく各種ノウハウ等の情報資産を、デジタルデータとして保有しております。サイバー攻撃等により、このデータの外部流出、あるいは喪失が発生した場合には、事業活動の一時的な中断、蓄積されたノウハウの一部喪失等により当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

情報セキュリティの確保については、社内管理体制を整備し、社内教育を徹底して、情報管理の充実には万全を期すよう努めております。

また、年に1回の頻度で当社グループにおける情報セキュリティの対応レベルについて第三者からの評価を受け、他社の対応レベルと照らし合わせて、常に適切なセキュリティ能力が確保され続けている事を確認するよう努めております。

なお、当社の重要なデジタルデータは、数日に1回の頻度でバックアップを更新し、遠隔地のサーバに保存しております。デジタルデータが改ざんされた、もしくは喪失した場合には、このバックアップデータをもとに復旧する仕組みとすることで、リスクヘッジを行っております。

 

 

主要なリスクの内容

主な対応策の実施状況

(11)コンプライアンス関連のリスク

当社グループは事業活動を行ううえで、製品の品質・安全性の確保、健全な営業活動の実施、取引先との健全な関係構築、会計基準や税法の的確な運用等の観点で、様々な法令等の適用を受けております。

また当社グループにおいて、風通しの良い労働環境の確保と、多様性を認める価値観の醸成は、新製品のアイデア創出と人財育成を重視する事業を運営する観点でも重要な活動であります。

従って、当社グループは法令違反、ハラスメントの発生等のコンプライアンス上の問題が発生することを未然に防ぐためのコンプライアンスに関する教育・遵守に注力しておりますが、万一、当社グループ、もしくはその従業員が重大なコンプライアンス上の問題を起こした場合は、当社グループの信用、経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは2012年より「グローバルコンプライアンス・ポリシー」を制定し、これに基づくコンプライアンスの推進を実施しております。

従業員及び社外取引先担当者を対象としたコンプライアンスアンケートを年に1回の頻度で実施し、スコアの推移を確認するとともに、向上に向けた研修施策等を計画・実行し、PDCAを回しております。

また、従業員からのコンプライアンス上の疑問・悩み・相談を受け付ける専用窓口として「従業員相談室」を設け、相談のしやすい環境整備を行っております。2013年より、海外の全ての関係会社を対象とした内部通報窓口も設置し、グローバルな情報収集体制を運用しております。

(12)知的財産、及び訴訟関連のリスク

当社グループは、幅広い製品を、日本を含む諸外国で製造・販売しているため、管理すべき知的財産権も広範にわたります。従って、この知的財産権を効率よく管理する仕組みの導入が遅れれば、管理コストが過大となります。

当社グループの製品ブランド及び関連する商標権等の知的財産権に関して第三者による侵害が生じた場合、当社グループは適切な対抗措置をもって対応しますが、これが認められなかった場合、損害を被る可能性があります。

一方、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合、その補償が必要となり、また、信用失墜が起こる可能性があります。

当連結会計年度においては、当社グループに重要な影響を及ぼす訴訟等は提起されていませんが、当社グループはグローバルで多岐にわたる事業展開をしており、様々な訴訟等を受ける可能性があります。

これらの要因が当社グループの経営成績や財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループの事業遂行における知的財産権の侵害、非侵害のチェックは慎重に行い万全を期すように努めております。

また、デジタル技術を活用することで多くの品目数の知的財産権侵害を効率よくチェックする仕組みも導入し、知財管理コストの増大を抑える取り組みを行っております。

一方、製品の開発段階における積極的な知的財産権の創出と戦略的出願を実施し、事業領域での参入障壁の構築、模倣品の排除等の活動を継続的に行っております。

(13)自然災害、人為的災害によるリスク

当社グループは日本をはじめ、欧米・中国・アジア等に事業拠点を持っております。また、多くの国から原材料や製品等を調達しております。これらの国々で地震、大雨・洪水等の自然災害、及び紛争、戦争、テロ等の人為的災害が発生した場合、当社グループの業務停止・遅延、資産喪失、人的被害等が発生し、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

当社グループは、各災害の発生を事業活動上いずれ顕在化するリスクとして織り込み、顕在化した際でも事業が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定するとともに、有事にはスムーズに危機管理体制を稼働し、グローバルな情報収集、タイムリーな経営判断が可能となるような体制を整えております。

特に自然災害に関しては、本社機能が集中している大阪への甚大な影響が予想される、南海トラフ地震の対策に注力しており、大阪以外で有事の指揮が可能となる他拠点の機能強化など体制整備を進めております。

また、人為的災害に際しては、即座に情報を収集し、各リスクについて、毎週のグループ執行審議会で迅速に協議、対応を進めるようにしております。

 

 

主要なリスクの内容

主な対応策の実施状況

(14)深刻な感染症流行によるリスク

当社グループは、日本をはじめ、欧米・中国・アジア等に事業拠点を持っております。これら事業拠点の所在地で大規模かつ深刻な感染症が流行した場合、現地行政による外出規制によって消費者の外出機会が減り、一部製品の売上が減少する可能性があります。また当社グループの売上の一部は、訪日観光客のインバウンド消費により成立しているため、渡航規制によってこの売上が減少する可能性があります。

実際に、2020年新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、海外渡航が規制され、訪日観光客が減少することによってインバウンド消費による売上が大幅に減少しております。

さらに感染症拡大の長期化・常態化が起こった場合、消費者の経済状況の悪化、生活様式の新常態への変化が製品需要を変動させる可能性があります。想定を超える急激な需要変動が起こった場合、新規需要獲得が追いつかず、製品売上が縮小する可能性があります。

また、当社グループでは事業所内のクラスター感染の発生に対し、三密回避を基本とする万全の予防体制を敷いておりますが、万一、事業所内で感染者が多数発生した場合には、一時的に、事業所における製品生産等の事業活動が停止する可能性があります。

これらの要因が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

感染症の流行によるインバウンド消費の喪失については、日本における製品需要が海外現地に移行したものととらえ、渡航規制等の影響を受けない海外現地での売上拡大に努めることで売上への影響の最小化に努めてまいります。

また、当社グループは、消費者ニーズを見出し、製品のアイデアを検討する「アイデア創出」を起点としたバリューチェーンを構築しております。従って、感染症拡大による新常態の定着によって消費者ニーズに変動があった場合でも、これを素早く察知し、新常態のもとで発生する新たなお困り事を解決する製品を送り出すことで、市場獲得の機会として、需要変動による製品売上消失のリスクを補填することを目指してまいります。

クラスター感染発生による事業所の停止リスクについては、感染者の情報を随時危機管理本部が把握し、スムーズな事業所消毒の実施に備えることによって、操業停止リスクを最小限に抑えた運営をしております。一方、感染状況を受けた在宅ワークの推奨、必要部署における二交代制の出勤等により、感染リスクを低減し、感染時の影響を抑える施策を実施しております。

また、当社グループは、各災害の発生を事業活動上いずれ顕在化するリスクとして織り込み、顕在化時でも事業が継続できるよう、事業継続計画(BCP)を策定しておりますが、2020年に顕在化した新型コロナウイルス感染症の影響を経験値として、経営リスクへの備えを強化してまいります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 なお、当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による会計上の見積り及び仮定への影響は軽微であります。同感染症の影響は不確定な要素が多いため、当社グループの経営成績及び財政状態に及ぼす影響は、一定期間続く可能性があると考えておりますが、翌連結会計年度以降における会計上の見積り及び仮定への影響につきましても軽微と想定しております。

 

(2)経営成績

 当連結会計年度における当社グループをとりまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症のワクチン普及などにより多くの国で経済活動が再開しつつある中、オミクロン株による感染再拡大が見られた国・地域もあり、経済活動の減速が懸念されました。それに加えて、原材料価格の高騰や地政学リスクの高まりなど、先行きが不透明な状況が続きました。

 そうした状況の中、当社グループは「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに、お客様のニーズを満たす新製品の発売や、既存製品の育成、今後の成長事業への投資に努めてまいりました。

 その結果、売上高は166,258百万円(前連結会計年度比7.1%増)、営業利益は26,669百万円(同2.3%増)、経常利益は28,281百万円(同1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は20,022百万円(同1.6%増)となりました。

 

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

 

国内事業

 当事業では、耳鳴りに効く漢方薬「ナリピタン 当帰芍薬散錠(とうきしゃくやくさんじょう)」、しつこいニオイをしっかり消臭しながら床の抗菌までしてくれるコンパクト消臭剤「トイレの消臭元 抗菌+」など春に15品目、ホルモン減少などで落ちた脂質代謝を上げ、55歳からのぽっこり下腹脂肪を改善する漢方薬「ビスラットグランEX」、更年期が終わった後などの肩こり・腰痛・重だるさ・冷えなどの症状を改善する生薬製剤「命の母 アクティブ」など秋に10品目を発売し、売上に貢献しました。

 また、新型コロナウイルス感染症のオミクロン株の拡大に伴い、痛いのどのウイルスや菌を殺菌する「のどぬ~るスプレー」や冷感ツブ配合の貼るタイプの冷却シート「熱さまシート」などの需要が高まりました。

 さらに10月以降、日本の入国制限緩和に伴い訪日外国人数が少しずつ増え、それによって当社のインバウンド需要も増加し、売上に貢献しました。

 その他の既存品については、痛くない鼻うがいが簡単にできる「ハナノア」や、サプリメントでは機能性表示食品などが売上を牽引しました。

 一方、日常的なマスク着用の習慣が続いたことで口臭を気にする人が減少し、においのもとから息をリフレッシュする口中清涼剤「ブレスケア」などの需要が昨年に引き続き低迷しました。

 その結果、売上高は124,242百万円(前連結会計年度比1.9%増)、セグメント利益は22,434百万円(同6.3%減)となりました。

 売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では5,983百万円当連結会計年度では6,702百万円となっております。

 

 

(外部顧客への売上高の内訳)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2021年12月期)

当連結会計年度

(2022年12月期)

増減

金額

増減率(%)

 ヘルスケア

53,593

55,497

1,903

3.6

 日用品

49,487

49,503

16

0.0

 スキンケア

7,306

6,785

△520

△7.1

 カイロ

5,584

5,753

168

3.0

 合計

115,972

117,540

1,567

1.4

 

国際事業

 当事業では、米国・中国・東南アジアを中心に、カイロや額用冷却シート「熱さまシート」、外用消炎鎮痛剤「アンメルツ」などを販売しており、広告や販売促進など積極的に投資することで、売上拡大に努めました。

 米国では、2020年に買収したOTC医薬品メーカーAlva社において、サプライチェーンの混乱により原料供給が滞

り、第1四半期を中心に一部製品で欠品が発生し、医薬品が伸び悩みました。一方、コロナ禍で発熱対策としての

習慣がついてきたことと、脱マスクの流れが加速したことでインフルエンザの罹患者数が増加し「熱さまシート」が好調に推移しました。また、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。

 中国では3月以降、各都市で新型コロナウイルス感染症の拡大によるロックダウンが実施され、物流網がストッ

プし、当社の製品出荷が一時的に滞りました。その後も各地でロックダウンが断続的に続いたことにより、需要が低迷しました。一方、12月に入って中国のゼロコロナ政策が緩和され、新型コロナウイルス感染症の罹患者数が増加したことで、発熱対策として「熱さまシート」の需要が高まりました。また、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。

 東南アジアでは、新型コロナウイルス感染症の他、インフルエンザやデング熱など各種感染症の罹患者が増加し、発熱対策として「熱さまシート」の需要が高まりました。これらに加え、円安による為替変動の影響による売上の増加も寄与し、増収となりました。

 その結果、売上高は41,554百万円(前連結会計年度比33.4%増)、セグメント利益は3,234百万円(同255.0%増)となりました。

 売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では1,400百万円、当連結会計年度では1,877百万円となっております。

(外部顧客への売上高の内訳)

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2021年12月期)

当連結会計年度

(2022年12月期)

増減

金額

増減率(%)

 米国

13,009

16,474

3,465

26.6

 中国

10,066

12,482

2,416

24.0

 東南アジア

4,206

7,493

3,287

78.1

 その他

2,456

3,225

769

31.3

 合計

29,739

39,676

9,937

33.4

 

通販事業

 当事業では、栄養補助食品、スキンケア製品等の通信販売を行っており、広告やダイレクトメールを中心とした販売促進による、新規顧客の開拓と既存顧客への購入促進に努めました。売上に大きく貢献する新製品を発売できず減収となりましたが、販売促進費等の経費削減努力により増益となりました。

 その結果、売上高は8,439百万円(前連結会計年度比6.2%減)、セグメント利益は420百万円(同5.6%増)となりました。

 売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおりません。

 

その他

 その他には、運送業、合成樹脂容器の製造販売、不動産管理、広告企画制作等を含んでおり、各社は独立採算で経営し、資材やサービス提供についてその納入価格の見直しを適宜行いました。

 その結果、売上高6,844百万円(前連結会計年度比1.3%増)、セグメント利益は528百万円(同35.6%減)となりました。

 売上高には、セグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおり、その金額は前連結会計年度では6,211百万円、当連結会計年度では6,243百万円となっております。

(3)経営上の目標の達成状況について

 当社グループは、将来にわたって持続的に成長していくために「2030年のありたい姿」を描き、そこからバックキャストの形で2020-22年に実行すべきことを定め、「国際ファースト」の方針のもと、国際事業の成長、並びに新製品開発力・育成力の向上に努めてまいりました。その結果、2022年度は原材料価格の高騰の影響により営業利益は未達となりましたが、それ以外の連結目標数値は達成することができました。セグメント別売上では、国内事業と通販事業が苦戦しましたが、国際事業は目標を大きく上回る着地となりました。

 今後も、新たに発生するお困りごとに対してスピーディに新製品開発を進めることで業績を伸ばしてまいります。

 

<業績目標>

 

2019年

実績

2022年

実績

達成

中期経営計画

2022年目標

売上高

1,583億円

1,662億円

1,620億円以上

営業利益

256億円

266億円

×

270億円以上

営業利益率

16.2%

16.0%

16%以上

親会社株主に

帰属する

当期純利益

191億円

(22期連続増益)

200億円

(25期連続増益)

25期連続増益

ROE

11.3%

10.2%

10%以上

ROIC(※)

10.5%

9.4%

9%以上

国内事業売上高

1,230億円

1,175億円

×

1,223億円以上

国際事業売上高

244億円

396億円

295億円以上

国際売上比率

15.4%

23.9%

18%以上

通販事業売上高

97億円

84億円

×

96億円以上

※ ROIC=NOPLAT/投下資本=(営業利益×(1-実効税率))/(純資産+有利子負債)

  (実効税率:30.58%、有利子負債=短期借入金+長期借入金)

 

(4)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

 至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

国内事業

125,378

102.4

国際事業

38,650

132.0

通販事業

8,301

93.4

 報告セグメント計

172,330

107.3

その他

38

128.7

合計

172,368

107.3

 (注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

②受注実績

 当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

③販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

(単位:百万円)

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

 至 2022年12月31日)

前年同期比(%)

国内事業

124,242

101.9

国際事業

41,554

133.4

通販事業

8,439

93.8

 報告セグメント計

174,237

107.5

その他

6,844

101.3

セグメント間の内部売上高又は振替高

△14,823

109.0

合計

166,258

107.1

 (注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は

        次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

 至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

 至 2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

株式会社PALTAC

70,871

45.6

72,689

43.7

株式会社あらた

15,472

10.0

15,273

 9.2

 

 

(5)資本の財源及び資金の流動性

①財政状態

 当連結会計年度の財政状態は以下のとおりです。

 総資産は、前連結会計年度末に比べ3,273百万円増加し、255,827百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加(1,209百万円)、受取手形及び売掛金の減少(7,288百万円)、有価証券の減少(5,722百万円)、商品及び製品の増加(1,132百万円)、原材料及び貯蔵品の増加(1,522百万円)、建物及び構築物(純額)の増加(1,349百万円)、建設仮勘定の増加(10,426百万円)等によるものです。

 負債は、前連結会計年度末に比べ973百万円増加し、57,927百万円となりました。主な要因は、電子記録債務の増加(854百万円)等によるものです。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ2,299百万円増加し、197,900百万円となり、自己資本比率は77.3%となりました。主な要因は、利益剰余金の減少(6,248百万円)自己株式の減少(9,223百万円)等によるものです。

 

②キャッシュ・フローの状況

(単位:百万円)

 

前連結会計年度

(2021年12月期)

当連結会計年度

(2022年12月期)

増減

 営業活動によるキャッシュ・フロー

22,419

31,914

9,495

 投資活動によるキャッシュ・フロー

7,991

△14,312

△22,303

 フリー・キャッシュ・フロー

30,410

17,601

△12,808

 財務活動によるキャッシュ・フロー

△10,377

△20,759

△10,382

 現金及び現金同等物期末残高

81,987

79,480

△2,506

 

営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果獲得した資金は31,914百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が27,950百万円、減価償却費が4,360百万円、売上債権の減少額が8,296百万円、棚卸資産の増加額が1,977百万円、仕入債務の増加額が1,240百万円、法人税等の支払額が8,003百万円あったためです。

 

投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は14,312百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出が47,567百万円、定期預金の払戻による収入が45,996百万円、有価証券の売却及び償還による収入が5,713百万円、有形固定資産の取得による支出が14,747百万円あったためです。

 

財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は20,759百万円となりました。これは主に、自己株式の取得による支出が14,056百万円、配当金の支払額が6,509百万円あったためです。

 

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度より2,506百万円減少し79,480百万円となりました。

 

(注)フリー・キャッシュ・フローは、以下の計算式を使っております。

フリー・キャッシュ・フロー = 営業活動によるキャッシュ・フロー + 投資活動によるキャッシュ・フロー

③資金需要

 当社グループにおきましては、原材料等の仕入れ、研究開発費及び販売費などの運転資金のほか、競争力強化と事業の拡充・発展を目的とした研究開発投資、設備投資、製品導入等に主たる資金需要が生じます。これらの資金需要に対しましては、営業活動によるキャッシュ・フローの創出による調達を基本としております。

 手許の運転資金は、国内連結子会社の余剰資金を当社へ集中し、グループ管理を行うことで資金効率の向上を図っており、成長投資を進めながらも財務規律の維持に努めております。また、緊急時における資金需要は、金融機関との当座貸越契約で対応することとしております。

 株主還元の方針としましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

合弁契約の合意解消と今後の見通し

 

 2015年9月30日付でバードインターナショナル インクとの合弁解消の契約を締結し、2015年11月2日付で同社との合弁関係を友好的に解消するとともに同日付で当社が保有する株式会社メディコン株式(発行済株式総数の50%)全てを株式会社メディコンに譲渡いたしました。

 なお、合弁解消後に関する合意事項を遵守する対価として、2023年12月期以降に以下の金額を受領し、営業外収益に計上する予定です。

 

2023年12月期   400百万円

2024年12月期   300百万円

2025年12月期   300百万円

 

5【研究開発活動】

 当社グループは「“あったらいいな”をカタチにする」をブランドスローガンに、お客様の潜在的ニーズを掘り起こし、今までにない付加価値のある新製品を提供することで、お客様の生活を豊かにしていくことが使命と考えております。

 当連結会計年度のグループ全体の研究開発費は8,327百万円であり、研究開発活動ならびに研究開発費は次のとおりであります。

 

国内事業

 当事業では、お客様が健康で快適な生活を送るために役立つ製品を提供すべく、ヘルスケア、日用品、スキンケア、カイロの4つのカテゴリーを研究開発対象として積極的な研究開発活動を行っております。

 そして当社では、新製品4年寄与率(過去4年間に発売した新製品の当連結会計年度における売上高を、全売上高で割ったもの)を20%以上とすることを目標としております。当連結会計年度は、25品目の新製品を発売し、新製品4年寄与率は10.2%となりました。

 主なカテゴリーの研究開発活動の成果は次のとおりであります。

 ヘルスケア

   耳鳴りに効く漢方薬「ナリピタン 当帰芍薬散錠(とうきしゃくやくさんじょう)」、ホルモン減少などで落ちた脂質代謝を上げ、55歳からのぽっこり下腹脂肪を改善する漢方薬「ビスラットグランEX」、更年期が終わった後などの肩こり・腰痛・重だるさ・冷えなどの症状を改善する生薬製剤「命の母 アクティブ」などの11品目を開発いたしました。

 日用品

   しつこいニオイをしっかり消臭しながら床の抗菌までしてくれるコンパクト消臭剤「トイレの消臭元 抗菌+」、目もと専用冷却アイマスク「熱さまシート ジェルでひんやりアイマスク」、清潔な膣環境を整える膣清浄化ジェル「サラサーティClean」など14品目を開発いたしました。

 

 結果、当事業に係る研究開発費は6,640百万円となりました。

 

国際事業

 当事業では、海外のお客様が健康で快適な生活を送るために役立つ製品を提供すべく研究開発活動を行っており、当事業に係る研究開発費は1,434百万円となりました。

 

通販事業

 当事業では、栄養補助食品、スキンケア製品を主な研究対象として、積極的な研究開発活動を行っており、当事業に係る研究開発費は252百万円となりました。

 

その他

 研究開発活動は行っておりません。