文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針について
当社は、企業理念として次の「Mission」「Vision」「Value」を掲げております。
Mission「ひとを幸せにする」
Vision「私たちは在宅療養に新しい価値の創造を行い、すべての人が安心して暮らせる社会を実現します」
Value「(Be a challenger:努力と挑戦を続け、成長し続けます。)
(Be innovative:新しいことを追求し、新たな価値を創造し続けます。)
(Be sincere:真心をもって誠実にひとに向き合い、信頼に溢れる豊かな人生を築きます。)
(Be positive:物事を自分事として捉え、何事もチャンスと解釈し、前進させます。)
(Be professional:法と秩序を守り、ひとに安心と感動を与えるプロ集団を目指します。)」
(2)経営戦略について
今後の方向性は、主力サービス「iBow」の市場シェアを拡大させるとともに、第2のサービス「iBow 事務管理代行サービス」も拡大させることで訪問看護市場におけるプラットフォーマーとしての地位の確立を目指します。
また、主力サービスで得られる情報を匿名加工情報(特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報)として活用することでPHR(注)を活用したデータビジネス(地域包括ケア事業)につなげ、当社の事業領域の拡大と企業価値の向上を図ってまいります。
当社の事業領域は、療養治療・観察の慢性期医療と終末期医療分野という、長期的で継続的な医療・介護分野です。現在はiBowを中心に在宅療養の核となる訪問看護ステーションに向けて業務支援システムとBPOサービスを提供しております。日本では、医療・介護・健康分野の情報化として、PHRを中心とした医療データの利活用が推進されております。当社においてもこのPHR情報を地域包括ケアシステムの中に取り込み、患者を中心とした関係者が、安全で安心して情報共有ができる仕組みの構築と提供を考えております。
また、2021年より開始している在宅治験支援をはじめ、在宅医療データの活用による第3のサービスの確立が当社のさらなる成長に大きく貢献すると考えております。
(注)パーソナルヘルスレコードの略語であり、個人の健康・医療・介護に関する情報のことを指します。
(3)経営戦略上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、事業規模と収益性を測る指標として、売上高および営業利益を重視しております。
また、主力サービス「iBow」においては、サブスクリプション型のサービスを提供しているため、当社がサービスを提供する稼働ステーション数の拡大、市場シェアの拡大、月次平均解約率の低減および顧客平均単価の向上を重要な経営指標としております。複合サービスを展開し、市場シェアの拡大、満足度の向上(解約率の低位安定)、顧客単価向上の循環が当社のサステイナブルな成長の基礎と考えております。
(4)経営環境について
当社の顧客である訪問看護ステーションの事業環境は、1992年に老人保健法等の一部改正により新設された老人訪問看護ステーションからの指定老人訪問看護が始まり、1994年の健康保険法等の一部改正で創設された訪問看護ステーションから高齢者以外の在宅療養者にも指定訪問看護が提供されることとなり、以降、指定訪問看護事業所は「老人」をとり「訪問看護ステーション」となっております。
2000年の介護保険制度施行後は、訪問看護が介護保険制度の居宅介護サービスのひとつとして位置付けられて要介護認定者等にも訪問看護を提供することになり、2006年には要支援者に対する訪問看護は予防給付の「介護予防訪問看護」とされ、介護給付の「訪問看護」と区分され今日に至っております。
2011年には「介護サービスの基盤強化のための介護保険法等の一部を改正する法律」が制定され、地域包括ケアシステムの実現に向けて、医療ニーズを伴う要介護者への介護・看護一体的提供が進められています。
訪問看護制度は、乳幼児から高齢者まで家族も含めて、医師と連携し疾病や障がいの悪化防止、病院等からの在宅移行支援、在宅療養生活支援(24時間体制で緊急対応も含む)、エンドオブライフケアを行うのが訪問看護で、予防・医療・介護機能を合わせもち生活支援を行う看護は地域包括ケアシステムの要となっております。
以上のことを踏まえ、厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・看護職員需給分科会の中間まとめ」によると、2025年までに、超過勤務時間が月10時間以内で有給休暇5日以上取得する場合を前提とした場合、2016年時点の訪問看護に従事する看護職員数は4.6万人が2025年には11.7万人が必要と試算されております。これは、在宅療養の需要が増え、2025年には2倍以上の訪問看護師等の従事者が必要になることを指しております。
日本国内においては、少子高齢化が進み、就業人員の減少が見込まれるなか、試算通りの看護師等の確保が可能であると楽観視できないものと当社は考えております。一方、需要は伸びていく状況にあるため、当社は当社のシステムやサービスを提供することで、一人一人の訪問看護師等が効率的に業務を進めることができる状況を作り出し、訪問看護師が増えない状況を、一人当たりの訪問件数を増加させることでカバーすることにより、この需給問題の解決になるのではと考えております。
また、経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師等の受入れが一般的になり、訪問看護ステーションにおいても就業されるようなことが生じたときには、当社の「iBow」も多言語化への対応等が必要になってくると考えております。
(5)社会ニーズの高まる訪問看護市場の拡大
訪問看護ステーションは、介護保険と医療保険の利用者に訪問看護を提供し、両保険に対する請求に基づき報酬が支払われております。介護給付費と医療費の割合でみると、6,682億円のうち介護給付費が3,428億円(51.3%)、医療費が3,254億円(48.7%)になっており、年々医療費割合が増加し、訪問看護への支払額は、10年間で約3倍に拡大しております。
・訪問看護業界における医療費と介護給付費 (単位:億円)
|
年度 |
2009 |
2010 |
2011 |
2012 |
2013 |
2014 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
2020 |
|
合 計 |
2,048 |
2,214 |
2,376 |
2,682 |
2,940 |
3,282 |
3,689 |
4,156 |
4,666 |
5,215 |
5,824 |
6,682 |
|
医療費 |
665 |
740 |
808 |
956 |
1,086 |
1,256 |
1,485 |
1,743 |
2,023 |
2,355 |
2,727 |
3,254 |
|
介護 給付費 |
1,383 |
1,474 |
1,568 |
1,726 |
1,854 |
2,026 |
2,204 |
2,413 |
2,643 |
2,860 |
3,097 |
3,428 |
(出所:医療費は厚生労働省「国民医療費の概況」(2009年~2020年)、介護給付費は同省「介護給付費等実態統計」(2009~2020年)、合計は当社集計)
(6)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①市場環境および顧客ニーズにタイムリーに対応できる開発体制の強化
当社は創業以来、「世にある物は活用し、世にない物を作りだす」を合言葉に、訪問看護ステーション向け業務支援システム「iBow」を提供してまいりました。
2020年12月期には、損益分岐点も超え営業利益率が2021年12月期は33.7%、2022年12月期は43.2%と安定した収益を達成しております。
しかしながら、今後さらなる市場スケールの拡大に対応するため、開発体制の強化が必要と考えております。そのため人材の確保が必須と考えており、継続的な人員採用活動および人材教育を実施し、開発体制の強化に取り組む方針であります。
②第3のサービスの確立
クラウドサービスおよびBPOサービスに次ぐ第3のサービスとして、医療データを活用した事業への参入に取り組む所存であります。
「iBow」に蓄積された膨大な在宅療養データの活用と、訪問看護ステーション毎の業務量や業務内容のデータを活用するサービスの確立が当社のさらなる成長には欠かせないと考えております。
③内部管理体制の強化による事業基盤強化
当社は、業務運営の効率化やコーポレート・ガバナンス、リスクマネジメントのための内部管理体制の強化が重要な課題であると認識しております。引き続き経営の公平性や透明性を確保するために内部統制の実効性を高め、内部管理体制の強化に取り組み、事業基盤を強化いたします。
④システム信頼性の継続的な維持や品質の向上、設備環境の強化
当社は、顧客に安心して当社サービスを利用していただくためには、システム稼働の安定化が重要な課題であると認識しております。セキュリティ・開発・保守管理体制の整備は不可欠であり、今後も引き続き投資を行い、システムの継続的な安定化、品質の向上に取り組む方針であります。
当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を与える可能性のある事項を以下に記載しております。
また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社は、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識したうえで、発生の回避および発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。
なお、本記載事項の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
(1)事業環境および事業内容に関するリスクについて
①医療保険制度・介護保険制度の改正対応について(影響度:大、発生可能性:低)
当社がサービス提供を行っている「iBow」については、医療保険制度・介護保険制度の影響を強く受けます。定期的に法律全般に関する検討が加えられ、2年に1度診療報酬の見直し、3年に1度介護報酬の見直しが行われることになっており、これらの改正に対応するための適時なシステム開発が必要となります。
こうした状況は、同業他社も同様の条件であるため、開発において他社に先んじることや差別化を図ることでシェアの拡大に直結することになりますが、逆に遅れをとった場合には当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
また、新たな市場動向の変化や医療保険・介護保険法の改正動向次第で当社や顧客である訪問看護の事業環境が大きく変わる場合があります。これらの事業環境の変化が顕在化し、また、当社が適時適切に対応できず、サービスの導入延期やサービス利用数の削減、他社サービスへの乗り換え等に繋がった場合は、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対する取り組みとして、関連法令の動向等を捉え、それらを経営・事業の戦略に適時適切に反映しております。
②特定業界への依存について(影響度:大、発生可能性:低)
当社は、全売上が訪問看護ステーションを中心とする訪問看護業界向けという特定の業界に集中しております。過度に依存することがないよう訪問看護業界以外の分野への展開も視野に入れ、2021年12月期より在宅治験支援に取り組み始めるなど、事業基盤の盤石化を図っておりますが、現在の訪問看護業界からの需要が大幅に縮小した場合や看護師等の不足に伴い、訪問看護ステーションが常勤換算等の要件を満たせず訪問看護ステーション数が大幅に減少した場合には、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
③クラウド関連市場について(影響度:大、発生可能性:低)
当社が行っている訪問看護ステーション向けサービス提供事業は、売上高の大部分をクラウドサービスで提供しております。クラウドサービスに関連して、今後新たな法的規制の導入、技術革新の停滞等の要因により、クラウドサービスの導入が想定通りに進捗せず、クラウド関連市場の成長が阻害される場合には、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対し、クラウド関連市場における新たな法的規制や技術革新等の動向について、常に情報収集に努め、クラウドサービスの提供に支障が生じないよう対策を検討できる体制を構築して参ります。
④特定のサービスへの依存について(影響度:大、発生可能性:低)
当社は、「iBow」、「iBow レセプト」、「iBow 事務管理代行サービス」等を提供しておりますが、現在、全体の売上高に占める「iBow」の割合が多く(2022年12月期の売上高に対して86.2%を占めております。)、同サービスに依存しております。当社は、収益源の多様性を持つことにより、より安定した体制の構築を目指すべく、コンテンツサービスの拡大や、新たに当社の柱となる新規サービス、事業の開発に向け積極的に取り組んでおります。
しかしながら、現在時点において主要サービスである「iBow」が顧客のニーズと乖離した場合や競合他社に対する優位性を喪失する等の事態に陥った場合、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対して、第2の柱である「iBow 事務管理代行サービス」の強化、第3の柱としてPHRを中心とした医療データの利活用を進めていきます。
⑤他社との競合について(影響度:中、発生可能性:低)
現在、国内で介護・医療分野におけるクラウドサービス事業を展開する競合企業が複数存在しており、今後の市場規模拡大に伴い新規参入を検討する企業が増加する可能性があります。
その中で当社は訪問看護ステーション向けに特化し、利用者である看護師等の視点を重視し提供することで市場における優位性を構築し、競争力を向上させてまいりました。
今後も、利用者目線を重視し、UI/UXを追求しシステム構築を推進してまいりますが、新規参入等により競争が激化した場合には、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対する取り組みとして、徹底した利用者目線をもち、訪問看護という特定の分野に深化し続けることで、競合他社に対して十分な競争優位性を実現していきます。
⑥技術革新について(影響度:中、発生可能性:低)
当社のサービスは、インターネット関連技術に基づいて事業を展開しておりますが、インターネット関連分野は新技術の開発およびそれに基づく新サービスの導入が相次いで行われ、非常に変化の激しい業界となっております。このため、当社は技術者の採用・育成に関する技術やノウハウの取得に注力しております。
しかしながら、このような技術やノウハウの獲得に困難が生じた場合、また技術革新に対する当社の対応が遅れた場合には、当社の競争力が低下する可能性があります。さらに、新技術への対応のために追加的なシステム、人件費等の支出が拡大する可能性があり、その結果、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対する取り組みとして、常に複数の外注先と情報交換を進め、企画・要件定義は自社内で進めるが開発等については積極的に外部を活用することで技術の陳腐化を回避しております。
⑦システム障害について(影響度:中、発生可能性:低)
当社のサービスは、サービスの信頼性および取引の安全性の観点からも、当社の事業用ITインフラは障害に強い設計としております。また、管理を強化するため、情報システム開発および運用経験の豊富な人材の採用を積極的に実施しております。
しかしながら、このような体制による管理にもかかわらず、未知のコンピュータウイルスやテロ攻撃、通常使用時だけでなくシステム改修やリプレース時のシステムトラブル等により想定を超える事故が発生した場合、当社が保有する設備の損壊や電力供給、インターネットアクセスの制限等の事業継続に支障をきたす事象が発生し、その結果、当社はサービス提供および営業取引に深刻な影響を受け、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対する取り組みとして、十分なセキュリティ対策を施した上で、クラウド化を実施する等、有事の際にもサービスを提供できるよう対処しております。さらに、システム開発およびシステム運用経験の豊富な人材を採用すると共に、システムに関する従業員向け教育を積極的に実施する等、体制面での強化も継続して取り組んでおります。
⑧既存ユーザー企業の継続について(影響度:小、発生可能性:低)
当社のサービスは、サブスクリプション型のビジネスモデルであることから、当社の継続的な成長には、新規契約ステーションの獲得のみならず、既存契約ステーションの維持が重要と考えております。
しかしながら、当社サービスの魅力の低下、競合他社に対する競争力の低下、顧客ニーズに合致しない等により、当社の想定を大幅に下回る継続状態となった場合には、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
現状においては、2022年12月期における月次平均解約率(注)が0.07%であり、過去のこれまでの実績から当該リスクが顕在化する蓋然性は高くないと、当社では認識しておりますが、既存契約ステーションの維持については、機能の追加開発やサポートの充実により、契約の継続維持・向上を図っております。
(注)月次平均解約率は、各月の売上に対する前月解約による売上の減少割合である月次解約率を算出し、当該月次解約率を単純平均しております。
⑨新規事業展開に伴うリスクについて(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、既存システムを活用した新規事業の開発を進めております。新規事業の展開にあたっては、当初見込み通りの展開ができず投資を回収できなくなる可能性があり、当社の業績に重要な影響を与える可能性があります。当社は新規事業の実現可能性を慎重に見極め、開発計画を立て進捗管理を適切に行っておりますが、開発が想定通りに立ち上がらなかった場合には、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
⑩外注先への依存について(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、提供するサービスや機能を開発する場合、企画・要件定義を自社で行い、コーディング等の開発は外注を利用しております。外注先を十分に確保できない場合、または外注先の経営不振および納期遅延が発生する場合には、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
当社では、このようなリスクに対して、既存の外注先からの紹介、コンポーネント化した開発(注)を行うことで不測の事態に備えております。外注先の選定にあたっては、その経営状態、技術力、評判および反社会的勢力との関係の有無等を調査し安全・品質管理の徹底等に十分に留意しております。
(注)コンポーネント化した開発とは、機能を部品化して開発することであります。プログラムをコンポーネント単位に分けることで、機能の追加・修正・削除等が発生した場合に、コンポーネント単位で対応することができます。当社ではコンポーネント単位で必要に応じて外注し、特定の外注先への依存を回避することができる仕組みとしております。
(2)事業運営体制に関するリスクについて
①内部管理体制の整備に係るリスクについて(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、企業価値を継続的かつ安定的に高めていくためには、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するとともに、適切な内部管理体制の整備が必要不可欠であると認識しております。業務の適正性および財務報告の信頼性の確保のための内部統制ステムの適切な整備・運用、さらに法令・定款・社内規程等の遵守を徹底しておりますが、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の整備が追い付かない状況が生じる場合には、適切な業務運営が困難となり、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
②人材育成・確保について(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、今後想定される事業拡大や新規事業の展開に伴い成長を続けていくために不可欠な要素の一つが、優秀な人材の確保であると考えております。
今後の事業展開を見据えて、主に顧客リレーションおよびシステム分野のスキルを有する人材の確保を目指すとともに、教育研修制度の充実等、人材の育成に努めておりますが、当社が求める人材が十分に確保出来なかった場合や人材育成が円滑に進まない場合、または各部門において中心的役割を担う特定の従業員が万が一社外に流出した場合、内部管理体制や業務執行体制が有効に機能せず、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対して、社内研修の充実や各職務職位別の業務・目標の明確化を図り経営陣と従業員のミスマッチを防ぐ活動を行っております。
③特定人物への依存について(影響度:小、発生可能性:低)
当社の代表取締役社長中野剛人は、当社の創業者であり、設立以来、経営方針や事業戦略の立案・決定およびその遂行において取締役としての役割を果たしております。
当社では、経営会議を設け重要事項の審議を行うほか、各事業部門を統括する業務執行取締役に権限を委譲するなど同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社の業務を継続することが困難となった場合、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
④個人情報の管理について(影響度:大、発生可能性:低)
当社は、展開する各サービスの運営過程において、ユーザーよりユーザー自体の個人情報を取得することがあるほか、ユーザーの顧客である患者情報を当社にて取り扱うことがあります。当該個人情報の管理については、権限を有する者以外の閲覧をシステム上で制限しております。なお、患者情報に関しましては、当社はユーザーの承諾を得て閲覧することがあるものの、その情報は外部のサーバーにのみ保管され、当社システムには残らないようになっており、流出することがないよう厳格に管理・運用しております。
しかしながら、外部からの不正なアクセス、その他想定外の事態の発生により個人情報が流出した場合には、当社の社会的信用を失墜させ、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
これに対する取り組みとして、3省2ガイドライン(厚生労働省・総務省・経済産業省による医療機関向けクラウドサービス利用検討ガイドライン)を踏まえた仕組みとすることで、情報セキュリティ対応を行っております。
⑤知的財産権の保護について(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、特許権、商標権等の知的財産権の保護に努めており、当保護に当たっては当社の管理部門および弁理士等による事前調査を行っております。
しかしながら、第三者による当社の権利に対する侵害等により、企業・ブランドイメージの低下、サービス運営への悪影響等を招く等、その対応のために多額の費用が発生する可能性があります。
また、万が一当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求や差止請求等を受ける可能性があります。こうした場合、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
(3)その他
①自然災害について(影響度:小、発生可能性:低)
事業を展開する地域において、大規模な自然災害やパンデミック等が発生した場合、事業を継続することが困難な状況に陥ることが予想されます。当社では大阪本社のほか東京に拠点を置き営業活動を行っておりますが、リモートワーク環境を構築してこれら営業拠点に依存しない業務遂行体制を整備しております。
しかしながら、当該エリアにおいて地震、火災、津波、大型台風等の自然災害やパンデミック等が発生して営業活動や情報収集活動等が制約を受ける場合には、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
②訴訟について(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、本書提出日現在において、訴訟を提起されている事実はありません。
しかしながら、事業を展開するなかで、当社が提供するサービスの不備、当社が保有する個人情報および情報漏洩等により、何かしらの問題が生じた場合等、これらに起因した損害賠償の請求、訴訟の提起がなされる可能性があります。これらの訴訟により、当社の社会的信用が毀損され、また損害賠償の金額、訴訟内容および結果によっては、当社の事業および業績に重要な影響を与える可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、当社の役員および従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。新株予約権が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値および議決権割合が希薄化する可能性があります。
また、当社は取締役に対し株式報酬制度を導入する予定であり、また優秀な人材確保のために同様のインセンティブプランを実施する可能性もあり、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
④繰延税金資産の回収可能性について(影響度:中、発生可能性:低)
当社は、将来減算一時差異に対して、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断して繰延税金資産を計上しております。将来の課税所得については、経営環境の変化等を踏まえ適宜見直しを行っておりますが、その結果、繰延税金資産の全部または一部に回収可能性がないと判断した場合には繰延税金資産が減額され、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
⑤減損損失について(影響度:小、発生可能性:低)
当社は、有形固定資産やソフトウエア等の固定資産を保有しています。これらの資産については、減損会計を適用し、減損の兆候がある場合には当該資産から得られる将来キャッシュ・フローによって資産の帳簿価額を回収できるかを検証しており、減損処理が必要な資産については適切に処理を行っています。
しかしながら、将来の環境変化により将来キャッシュ・フロー見込額が減少した場合、経営成績および財政状態に影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大が見られたものの、重症化率が低下したことによる行動制限の緩和の効果もあり、経済活動面での回復の動きが見られました。しかしながらエネルギー資源や原材料価格の高騰によるインフレ懸念や急激な円安が進行する等、先行き不透明な状況で推移いたしました。
在宅医療業界におきましては、団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、地域包括ケアシステムの構築を実現させることが国策として進められているなか、厚生労働省から2022年12月28日付で、「訪問看護レセプト(医療保険請求分)の電子化」および「訪問看護のオンライン資格確認」について、2024年からの開始が通知されました。これまで医療分野で唯一電子化の対象外だった訪問看護は、これにより原則電子化に向けての取組みが強化されます。
このような環境のなかで、当社は、訪問看護が地域包括ケアにおいてより重要な役割を担えるように、訪問看護の電子化を進めるべく、当社サービスの普及と追加機能のリリース等、サービスの拡充に努めてまいりました。
その結果、売上高は、1,603,179千円(前期比34.4%増)、経常利益は676,053千円(前期比67.6%増)、当期純利益は449,562千円(前期比32.1%増)となりました。
当社は、訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
売上高をサービス別に示すと、次のとおりであります。
(単位:千円)
|
|
第11期(2022年12月期) |
||||
|
1Q 1-3月 |
2Q 4-6月 |
3Q 7-9月 |
4Q 10-12月 |
合計 1-12月 |
|
|
<クラウドサービス> |
331,581 |
362,169 |
385,519 |
401,560 |
1,480,830 |
|
iBow |
312,338 |
338,490 |
358,610 |
371,957 |
1,381,396 |
|
iBow レセプト |
19,059 |
23,407 |
26,723 |
29,158 |
98,347 |
|
その他 |
184 |
271 |
186 |
444 |
1,087 |
|
<BPOサービス> |
17,041 |
21,730 |
29,036 |
39,542 |
107,351 |
|
iBow事務管理代行サービス |
17,041 |
21,650 |
28,996 |
39,502 |
107,191 |
|
その他 |
- |
80 |
40 |
40 |
160 |
|
<その他> |
3,722 |
3,519 |
3,256 |
4,499 |
14,997 |
注1.上記の数値は管理会計上の数値であり、太陽有限責任監査法人による監査を受けておりません。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は1,406,894千円となり、前事業年度末に比べ539,643千円の増加となりました。これは主に、当期純利益の増加による現金及び預金の増加458,142千円、売上高の増加に伴う売掛金の増加78,237千円があったこと等によるものであります。固定資産は242,147千円となり、前事業年度末に比べ48,119千円の増加となりました。これは主に、東京オフィス移転に伴う有形固定資産の増加7,281千円、iBow機能追加等による無形固定資産の増加19,317千円、投資その他の資産の増加21,520千円(繰越欠損金の解消に伴う繰延税金資産の減少および本社移転(2023年6月予定)に伴う敷金の増加)があったこと等によります。
この結果、総資産は、1,649,042千円となり、前事業年度末に比べ587,762千円の増加となりました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は452,435千円となり、前事業年度末に比べ71,372千円の増加となりました。これは主に、税引前当期純利益の増加に伴う未払法人税等の増加94,253千円があったこと等によります。
固定負債は91,500千円となり、前事業年度末に比べ84,560千円の減少となりました。これは主に、長期借入金の一部を期限前弁済したこと等によります。
この結果、負債合計は543,935千円となり、前事業年度末に比べ13,187千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,105,106千円となり、前事業年度末に比べ600,950千円の増加となりました。これは主に、公募増資および新株予約権の行使により、資本金が75,970千円増加、資本準備金が75,961千円増加し、また当期純利益の計上により繰越利益剰余金が449,562千円増加したこと等によります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は1,075,210千円となり、営業活動により543,378千円増加、投資活動により136,426千円減少、財務活動により51,189千円増加したこと等により、前事業年度末と比較して458,142千円の増加となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、543,378千円(前事業年度は408,642千円の獲得)となりました。これは主に、業績が好調に推移したことによる税引前当期純利益の計上676,053千円、減価償却費の計上32,687千円があったものの、売上債権の増加78,237千円、法人税等の支払106,575千円があったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、136,426千円(前事業年度は73,755千円の使用)となりました。これは主に、東京オフィスを移転したこと等による有形固定資産の取得による支出16,037千円、iBow機能追加等による無形固定資産の取得による支出55,194千円、本社移転(2023年6月予定)に伴う敷金の差入による支出65,249千円があったこと等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、51,189千円(前事業年度は44,560千円の使用)となりました。これは主に、東京証券取引所グロース上場に伴う株式の発行による収入78,200千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入73,187千円があったものの、長期借入金の返済による支出84,560千円があったこと等によります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度(2022年12月期)の販売実績は1,603,179千円(前期比34.4%増)となりました。
なお、当社は訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。サービス別の売上高については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況 ①経営成績の状況」の概要を参照ください。
また、前期比で増加した要因は、既存サービスのシェア拡大と追加機能のリリースなどサービスの拡充に努めた結果によるものであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。また、財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表を作成するにあたり用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態、経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(a)売上高
当事業年度における売上高は、1,603,179千円(前年同期比34.4%増)となりました。これは「iBow」の契約ステーション数の増加、顧客平均単価の上昇に加え、2021年1月にリリースした「iBow 事務管理代行サービス」、および2021年4月にリリースした「iBow レセプト」の利用者数が、当事業年度において順調に増加したことによるものであります。
(b)売上原価、売上総利益
当事業年度における売上原価は、333,126千円(前年同期比43.9%増)となりました。これは主に、クラウドサービスの契約ステーション数の増加に伴う労務費とサーバーコストの増加、および「iBow」リプレース投資による減価償却費の増加、またはBPOサービスの売上高の増加に伴う人件費の増加等によるものであります。
この結果、売上総利益は、1,270,053千円(前年同期比32.1%増)となりました。
(c)販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ17,803千円増加し、577,256千円(前年同期比3.2%増)となりました。また、当事業年度における営業利益は、前事業年度に比べ290,889千円増加し、692,796千円(前年同期比72.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費の主な増加要因は、東京オフィス移転による地代家賃の増加、展示会やWEB広告の強化による広告宣伝費の増加等によるものです。
(d)営業外損益、経常利益
当事業年度における営業外収益は、前事業年度に比べ667千円増加し、5,082千円(前年同期比15.1%増)となりました。営業外収益の増加額は主に助成金収入の増加によるものです。また、営業外費用は、前事業年度に比べ18,791千円増加し21,825千円(前年同期比619.2%増)となりました。営業外費用のうち15,638千円が株式上場に伴う費用であります。
以上の結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度に比べ272,765千円増加し、676,053千円(前年同期比67.6%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
当事業年度(2022年12月期)におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社は、経営上の目標の達成状況を「稼働ステーション数」「市場シェア」「四半期平均解約率」「月間平均単価」の指標で判断しております。当事業年度末までの各指標の状況は次のとおりであります。
当社は、サブスクリプションでサービスを提供しており、既存収入の安定、新規顧客の獲得、低解約率の継続により今後の業績は順調に推移すると認識しております。
・稼働ステーション数 (単位:件)
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
2022年12月期 |
|||||||||
|
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
|
1,009 |
1,116 |
1,191 |
1,269 |
1,337 |
1,485 |
1,561 |
1,644 |
1,697 |
1,823 |
1,921 |
1,996 |
(注)稼働ステーション数は、「iBow」のサービス利用中の四半期ごとの稼働ステーション数の月末平均であり、サービス提供準備中のステーション数は含んでおりません。
・市場シェア (単位:%、件)
|
|
2019年12月 |
2020年12月 |
2021年12月 |
2022年12月 |
|
市場シェア |
9.7 |
11.7 |
13.7 |
15.1 |
|
契約ステーション数 |
1,082 |
1,398 |
1,777 |
2,161 |
|
市場ステーション数 |
11,161 |
11,931 |
13,003 |
14,304 |
(注)市場シェアは、毎年12月末における当社契約ステーション数を、毎年6月に一般社団法人全国訪問看護協会が公表する4月1日時点における稼働訪問看護ステーション数で除して算出しております。
契約ステーション数は、稼働ステーションおよびサービス準備中のステーション数の合計であります。
・四半期平均解約率 (単位:%)
|
2020年12月期 |
2021年12月期 |
2022年12月期 |
|||||||||
|
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
1Q |
2Q |
3Q |
4Q |
|
0.12 |
0.20 |
0.18 |
0.17 |
0.09 |
0.08 |
0.03 |
0.15 |
0.05 |
0.06 |
0.07 |
0.11 |
(注)1.四半期平均解約率は、各月の売上に対する前月解約による売上の減少割合である月次解約率を算出し、当該月次解約率を四半期ごとに単純平均しております。
2.月次平均解約率を重要な経営指標としているのは、解約率が低位で安定していることは、顧客の満足度を図る一つの指標であると考えているためであります。
・月間平均単価
|
|
2020年12月期4Q |
2021年12月期4Q |
2022年12月期4Q |
|
月間平均単価 |
59.9千円 |
69.0千円 |
74.4千円 |
(注)月間平均単価は、各年度の4Qにおける平均月間売上高を「iBow」の4Qにおける月末平均稼働ステーション数で除して算出しております。
該当事項はありません。
当社は、在宅医療・看護・介護分野におけるICT化の強化を目的として研究開発を行っております。
研究開発活動の内容といたしましては、主に業界のDXを推進するため有償無償を問わず新たなサービスが提供できるよう研究開発を行っており、当事業年度における研究開発費は
また、当社は訪問看護ステーション向けサービス提供事業の単一セグメントであり、セグメント別の記載を省略しております。