本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書の提出日現在において予測できる事情を基礎とした合理的な判断に基づくものであり、その達成を保証するものではありません。
(1)経営方針、経営戦略等
① 会社の経営の基本方針
当社は、顧客、取引先、従業員、社会などへの責務を果たした上で残存する株主価値の最大化(MSV)を経営上の唯一のミッションとしております。
例えば、下図の通り、P/L項目をステークホルダーとの関係で対比させると、売上収益は顧客、製造・販売費は取引先、人件費は従業員、金利は金融機関、税金は政府にそれぞれ対応します。MSVにおいては、まずこれらのステークホルダーに対するそれぞれの責務を充足することが大前提となります。なお、「責務の充足」には法的な契約だけでなく、社会的、倫理的責務も含まれており、サステナビリティの概念も包含されています。そして、各ステークホルダーへの責務を果たした上で残存する価値を最大化し、かかるリスクをとって投資した株主に報いることがMSVです。各ステークホルダーへの「上限のある」責務を充足させることが必要条件であり、株主価値はその充足後の残余価値となります。MSVは、あくまで中長期的な株主価値最大化を志向しており、短期的な最大化を追求する考えではありません。
② 経営モデル「アセット・アセンブラー」
アセット・アセンブラーとは、より小さな本社のもとで、各パートナー会社の自律性をより強く求め、魅力的な市場である塗料・周辺分野に特化したM&Aを積み上げていくことで、安全に高い成長を可能にする強靭なMSV追求モデルです。
このモデルのポイントは、各地域の優秀な経営陣が当社グループ傘下で自律的な成長を志向し、同時にグループが有する技術力、販売網、購買力、ファイナンス力などのさまざまな要素を本社主導ではなく主体的に取り入れ、多様な専門知識が積み上がることでシナジーを生み、またさらにM&Aにより新しいパートナー会社を迎え入れることができる点です。そして、塗料・周辺事業という分かりやすい成長市場で、かつ高い利益・キャッシュ創出力を有する市場に特化することで、M&Aに伴うPMI(Post Merger Integration)リスクを極力抑えながら、加速的な成長を実現することが可能なモデルとなります。
③ 自律・分散型経営
アセット・アセンブラーを構成する重要な要素である「自律・分散型経営」は、優秀なタレントやブランドの集合体をもたらす当社の強みの一つです。塗料市場には「地産地消」という特徴があるため、持株会社である当社が中央集権的にグループ全体を統制するより、各地域の市場特性を深く理解し、MSVを熟知しているパートナー会社のマネジメントが、グループ間で有機的な連携・協働を進め、自律的(Autonomous)な成長スタイルを志向しています。
単独でも強いものが、塗料・周辺分野に特化しているがゆえに想定以上のシナジーが期待できます。それは決して欧米型の標準化やコスト・カット・シナジーではありませんが、ローカル色の強い業界にあって各社の強みを最大限生かせる経営体制であり、だからこそ当社グループへの参画を希望する会社も増加すると見込んでいます。
④ 中長期的な会社の経営戦略
当社は、2021年3月5日付で、長期的視点を見据えた中期マイルストーンとなることをコンセプトとして、2021年度から2023年度までの「中期経営計画(2021-2023年度)」(以下「中計」といいます。)を策定・公表しており、「地域・事業戦略」「サステナビリティ戦略」「M&A戦略」「財務戦略」の4つを柱に戦略を展開しています。パートナー会社とのチームワークを発揮しながら、成長戦略を各地域・事業で推進することで、MSVを実現してまいります。なお、当社グループの経営方針・経営戦略、中計の詳細は、以下の当社ホームページにおいて公開しております。
・経営方針・経営戦略 https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/management_policy/strategy/
・中期経営計画 https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/management_policy/management_plan/
⑤ 中長期的な財務目標
2021年度から2023年度までは、既存事業における中国及びアジアの高い市場成長と各地域での市場シェアの拡大に加え、積極的なM&Aの積み上げで高い売上成長を目指し、その後も長期的に、市場成長を上回る持続的成長を目標とします。また、営業利益の年平均成長率(CAGR)は売上成長に伴う限界利益の貢献で、利益成長を図るとともにマージンの向上を目指してまいります。
中長期的に市場成長を上回る売上成長等により、基本的1株当たり当期利益(EPS)の持続的成長を目指してまいります。
⑥ 主要な地域・事業における中期的な取り組み
上記財務目標及び中計を達成するために、各地域・事業にて成長戦略を推進しています。主要な地域・事業の取り組みや業績は、以下の当社ホームページにおいて公開しております。
・統合報告書 https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/library/annual_report/
・説明会資料・動画 https://www.nipponpaint-holdings.com/ir/library/materials/
(2)経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 経営環境
グローバルの塗料市場は成長産業であり、過去の傾向から判断しても、人口が増加すれば塗料の需要も着実な増加が見込まれます。また、一般的な化学産業のように市況の大きな変動はなく、安定した成長が見込まれることが特徴にあります。
世界人口は、国際連合の発表によれば今後10年間で78億人から85億人への増加が見込まれます。特に、最大規模である中国及びアジア地域が成長のけん引役であり、同地域でのプレゼンスの拡大が重要となります。
なお、足元の状況としては、先進国において景気減速やインフレ影響に伴う市場の伸び悩みを見通す一方、中国をはじめとするアジア各国においては新型コロナウイルス感染症の影響からの復調、グローバル自動車市場においてはサプライチェーンの正常化をそれぞれ見込んでおり、人口増加や都市化率の高まりなどを背景に今後も塗料市場は堅調な成長を遂げるものと予想しております。
② 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
上記の経営環境を踏まえ、当社は持続的な成長を通じてMSVを達成するため、以下の課題に取り組んでまいります。
(a)積極的なM&Aの継続
塗料業界はその持続的な成長性に加え、キャッシュ・フローが非常に安定している特徴があります。また、昨今の市場環境は、低金利での調達が可能であり、併せてM&Aに非常に適した業界です。
マーケットの過半を占める建築用市場は地産地消のビジネスであり、原材料の調達や消費者の嗜好、販売ネットワーク、環境規制に至るまで、国ごとにビジネスモデルが大きく異なります。塗料は代替製品の脅威が低いことに加え、塗料製品間の技術的差別化が困難であることから、①強いブランド力、②充実した流通網、③現地に精通したオペレーションの確立、が成功の鍵となります。したがって、これらをベースに市場シェアNo.1を獲得すれば、競合他社による逆転は容易ではなく、No.1の会社は市場シェアをさらに伸ばして収益を享受できるなど、好循環サイクルを生み出す傾向にあります。
そうした中、当社は、MSVに資するM&Aを目指しております。パイプラインにある案件リストを恒常的に見直すとともに、M&A案件の選別にあたっては、資本コストを上回るリターンを獲得し、結果としてEPSの増大を図るものについて、財務規律を考慮しつつ優先付けを行ってまいります。
また、塗料市場の特性を踏まえた当社グループのM&Aの特長は、買収した会社やそこで働く経営陣・従業員が現地で最大限のパフォーマンスを発揮できるグループ支援体制が充実していることです。具体的には、当社がターゲットとする企業は、成功の鍵となる上記の強みを保有していれば、買収後も彼らの自律性を重視しオペレーションを任せることが可能です。当社グループの支援としては、①各パートナー会社のノウハウの共有、②原材料の共同調達、③マーケティングや設備以外に現地でのM&Aなどのさらなる成長投資のための資金提供などがあり、現地のオペレーションを強力にバックアップすることで、現地パートナー会社の強みを最大限に生かしたM&Aを志向しています。
なお、当社グループの財務目標値においては、M&Aの実行による業績への影響を見込んでおりません。
(b)サステナビリティへの取り組み
本社主導ではなく、サステナビリティとビジネスとの結び付きをよりいっそう強化する自律的なチームを構成しております。代表執行役共同社長の直下に、マテリアリティをベースとした5つのグローバルチーム「環境&安全」「人とコミュニティ」「イノベーション」「ガバナンス」「調達」を構成し、5人のビジネスリーダーが中心となりながら、グローバルで取り組みを進めています。
サステナビリティに関するガバナンスの観点では、各リーダーは代表執行役共同社長に向けてダイレクトにレポートし、代表執行役共同社長はその進捗や提案を取締役会に随時報告することで、取締役会がサステナビリティを監督しています。
なお、当社グループのサステナビリティの詳細は、以下の当社ホームページにおいて公開しております。
・サステナビリティ https://www.nipponpaint-holdings.com/sustainability/
当社グループは、グローバルで塗料・コーティング事業を行っており、リスクを適切に把握し管理することが、事業の持続的成長に不可欠と考えており、内部統制システム基本方針に基づき、リスクマネジメント体制を整備しております。本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は有価証券報告書の提出日現在において判断したものです。
(1)リスクマネジメント体制
当社グループは、「アセット・アセンブラー」モデルに基づき、当社グループの地域又は事業グループごとの子会社群(以下、「パートナー会社グループ」という。)のリスクマネジメントを各パートナー会社グループの自律的な事業経営の一部として分散管理する体制を運用しております。このリスクマネジメント体制の最上位責任者である代表執行役共同社長は、その活動状況を定期的に当社取締役会に報告し、当社取締役会は、当社グループの経営や事業の遂行に伴う重要リスクの管理状況を監督しております。
上記のリスクマネジメントは、2022年1月1日に施行した「グローバルリスクマネジメント基本方針」に基づき、パートナー会社グループによるリスクの自主点検を通じた自律的な活動を基本としています。パートナー会社グループは毎年、自らの改善点とその改善計画・リードタイムの明確化、及び、リスクアプローチによる重要リスクの特定を行い、代表執行役共同社長へ報告します。代表執行役共同社長は、これらの報告に基づきグループ全体のリスクマネジメントの状態を把握した上で、地域・事業ごとの重要な経営会議体へ参加し、実効的な事業進捗のモニタリング及び適正かつ継続的なリスク対応指示を行っております。それらの内容を当社取締役会と適時共有することにより、当社は、重要なグループリスクへの対応を踏まえた適切な経営戦略の策定を行っております。
また、当社の監査部は、パートナー会社グループがリスクの自主点検を通じて行った内部統制システムに係る重要リスク評価の分析を行い、監査委員会及び代表執行役共同社長への結果報告を行っております。さらに、主要なパートナー会社の内部監査部門責任者に対しても分析結果を共有し、各地の内部監査計画に反映させることにより当社グループのリスクマネジメント体制の実効性を監視しています。
(2)事業展開に関するリスク
① 市場環境変動のリスク
当社グループは、塗料、及びその周辺製品を、建物、自動車、金属製品、構造物、電気機械、船舶等の幅広い業界で製造・販売し、また中国含むアジアを中心に、日本、豪州、米州、欧州で事業を展開しています。当社グループの経営成績及び財政状態は、当社グループが製造・販売活動を行う世界各国・地域の経済情勢や金融市場動向の影響を受ける可能性があります。近年、新型コロナウイルス感染症の流行、ロシアによるウクライナ侵攻など世界各地における地政学上の問題、世界的なインフレ懸念や金融引き締めによる景気減速、自然災害等により、サプライチェーンの混乱や、塗料需要・原材料市況の変動等、事業環境の不確実性が高まっております。とりわけアジア、特に中国は重要な事業地域であるため、中国経済の変動や政治的な動向の影響を受けやすい傾向にあります。中国の不動産市況や規制状況が予想以上に厳しくなった場合には、当社グループの事業へ影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、M&Aによる地理的な新規市場への展開や抗ウイルス製品、環境配慮型製品の開発・販売による新規需要開拓、各地におけるブランドの強化、サプライヤー動向のモニタリング、グループ全体での供給・調達能力の拡大など、グループ全体での取り組みにより持続的な成長を図ってまいりますが、仮に当社グループの予測を超えた事業環境の悪化が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
② 販売価格動向に関するリスク
当社グループは、原材料調達価格や顧客のニーズ、及び競合他社の動向等を勘案して販売価格を設定しております。原材料価格変動の影響を軽減するため、原材料価格のモニタリングによる随時交渉、調達先の多様化や戦略的な選定、原材料価格変動の影響を受けにくい代替材料の評価・導入などに取り組んでおりますが、原材料価格の高騰が当社収益に与える影響を軽減できる保証はありません。また、先進技術を活かした製品の販売や販売チャネル支援の強化や新規チャネルの開拓による競争優位性の維持・向上に取り組んでおりますが、競争要因等により、原材料価格の上昇の影響を顧客に転嫁できない可能性や、転嫁に遅れが生じる可能性があります。このようなリスクが顕在化した場合には、当社グループの収益性が損なわれ、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
③ 海外活動に関するリスク
当社グループは、海外展開を積極的に進め、多国籍企業として事業を展開しており、2022年度の海外売上収益(セグメント間取引消去後)比率は約87%に達しております。当社の海外での事業活動に関して想定されるリスクとしては、主として以下のようなものが考えられます。これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
(a)為替や物価水準の変動リスク
当社グループの海外子会社の財務諸表は外貨建てで作成され、連結財務諸表作成時に期中または期末日の為替レートで円換算しております。そのため、現地での業績に大きな変動がない場合でも、日本円に対する為替相場の変動やハイパーインフレーション時の物価変動を財務諸表に反映させる超インフレ会計適用により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、海外子会社を通じて製造・販売活動をグローバルに展開しており、世界各地に拠点を有しております。当社グループでは多くの製品の製造・販売については地産地消といった特徴があるため、為替相場の変動が当社グループ製品の競争力に与える影響は大きくないと考えておりますが、製造・販売拠点における為替相場の変動は価格競争力に影響を及ぼす可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
(b)政治・経済状況の変化などに伴うリスク
当社グループが事業展開する各国・地域において、法律・規制の変更、政治・経済状況の急激な変化、テロ・戦争・災害・パンデミック等の社会的・政治的混乱など予測し難い事態が発生し、原材料の調達難や価格の急激な高騰、製造拠点の操業の停止、物流の遮断による製造・出荷の停止等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。特に、当社グループの売上の重要な部分はアジアに依拠しており、とりわけ中国からの売上が占める割合が大きいため、中国経済・政治状況等が、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
(c)海外の法規制の遵守に関するリスク
当社グループは、当社グループが事業活動を行っている国及び地域における環境規制、製造物責任、労働安全衛生、労使関係、海外投資規制、外資規制、国家安全保障、消費者保護、競争政策、税制、贈収賄規制及び輸出管理規制等に関連する様々な法令の対象となっております。これらの法令に違反した場合、当社グループは民事上、刑事上、又は規制上の罰則等が科せられたりすることによって、当社グループの財政状態及び経営成績等、ひいては当社のブランドイメージ及び社会的信用に影響を与える可能性があります。
(d)その他のリスク
海外での事業活動においては、上記(a)ないし(c)に記載しているリスクの他にも、商慣習の違い、労働争議の可能性を含む現地の労働条件や優秀な経営人材・技術者・その他の人材確保に関するリスクが存在しております。当社は、グループ各社の自主性と自律性を重視する経営方針に基づき、権限を大幅に委譲することで、現地に精通した人材を確保し、各国・地域の法律・規制、労働、及び商習慣へ適切に対応できるよう努めておりますが、これらのリスクを全て把握し、適切に対応できる保証はありません。これらのリスクが顕在化した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、当社グループが海外において新規市場の参入や新規事業の展開を行うにあたって、想定以上のコストを要する場合や、海外子会社の経営管理を実効的に行うことができない場合にも、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
④ 原材料動向に関するリスク
(a)原材料の調達リスク
2020年初頭から世界的に流行している新型コロナウイルス感染症は、当社の原材料調達に多大なリスクを及ぼしており、発生から3年が経過した現在も、その影響が強く残っています。
影響の一つ目は景気動向に与えている影響です。新型コロナウイルス感染症拡大により混乱をきたした世界の経済活動は、いまだに発生前時点の正常な状態へ回復しておらず、サプライチェーンを中心に影響が残っています。欧米では人の往来が自由になり、経済活動の本格回復に向けた動きが活発化していますが、変異株の発生が新たな制約を引き起こす可能性はあり、引き続き注視が必要な状況となっています。景気の急激な回復による原材料の一時的な不足や、景気低迷長期化を見据えた原材料メーカーの生産調整などが発生した場合には、当社の原材料調達活動に影響を及ぼす可能性があります。
次に原材料需給への影響ですが、中国によるゼロコロナ政策とその転換に代表されるように、各国のコロナ政策が事業活動へ大きな影響を与えます。また、世界的な金融引き締めによる景気後退懸念により、企業が生産の抑制や人員の削減を先行実施する可能性もあります。他方、これまで制限されていた人の移動が自由になった結果、さまざまな産業において需要が回復することが期待されています。こうした不確定要素が複雑に絡みあっているため、需給の先行きを見通すことが著しく困難になっています。加えて、ロシアによるウクライナ侵攻をきっかけに経済安全保障に対する各国の関心が高まり、一部の国による資源の囲い込みや、国家間の法律や条約を遵守しない国との貿易制限など、物品の流通に影響を与える動きが出始めています。このような、新型コロナウイルス感染症に端を発した複雑かつ広範囲に及ぶ経済活動への影響や経済安全保障に対する関心の高まりにより、当社グループの原材料調達が困難となり、顧客への供給責任を果たせなくなってしまうリスクがあります。
当社グループでは、こうした事態に備え、天災や事故等の発生時の影響を最小限に抑えるため、日頃から原材料の互換化、複数購買、グローバル調達等を進めることにより安定した原材料調達を目指しておりますが、これらの手法によっても原材料メーカーの生産活動の停止やサプライチェーンの寸断の影響を完全に除去できるわけではなく、原材料の調達難による製品供給の遅延等が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
(b)原材料の価格変動リスク
当社グループの原材料は、製品の特性上、石化原料への依存度が50%程度と高く、原材料価格は、原油・ナフサ価格の変動による影響を受けます。原油価格は、OPECの生産量動向や天然ガス市況のみならず、ウクライナ情勢やカザフスタン情勢などの地政学上のリスク、中東やロシアにおける政情不安、米国の金融政策、米中の貿易摩擦、シェールオイルの復活状況、為替相場を見据えた中東産油国の価格政策、燃料電池車の普及によるガソリン需要の減退など、あらゆる要素が複雑に絡みあい、価格の動向に影響を与えています。また、新型コロナウイルス感染症に対する各国の政策が経済活動に影響を与え、原材料価格が急激かつ大幅に変動する可能性もあります。当社グループとしては、原材料の調達先の集中によるサプライヤーとの関係強化や原材料の生産地域の分散、契約の長期化など、原材料価格変動リスクを緩和する工夫を行い、安定して原材料が調達できるよう努めておりますが、これらの手法によっても原油・ナフサ価格の変動や新型コロナウイルス感染症による影響を完全に除去できるわけではなく、原材料価格が急激かつ大幅に上昇する場合やかかる原材料価格の変動を適時かつ合理的に製品価格に転嫁することができない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
⑤ 人材確保に関するリスク
「アセット・アセンブラー」モデルによる飽くなき成長を追求していく中で、主要な事業地域の経営陣をはじめとする多様なプロフェッショナルの確保・登用・定着、各地域における多様で有能な人材の育成・維持がより一層重要になっています。
リージョンごとに有能な社員の離職リスクや後継者の育成不足など課題は異なりますが、様々なリスクへ対して的確なタイミングで対策を講じることが求められています。離職率の上昇は、採用や教育での損失コストなど人件費を増加させるだけでなく、中長期的にはノウハウや技術力の伝承を阻害し、効率性や生産性を低下させる可能性があります。また、人事戦略の遂行に失敗した場合、予期せぬ離職が発生した場合、経営陣の交代要員をタイムリーに確保できなかった場合、貴重なノウハウや人的資本等の無形資産の減少を招き、効果的な競争力や戦略の遂行に支障をきたす可能性があります。
この様な中、当社の人材確保においては、(a)優秀人材の登用リスク、(b)社員の定着リスクが存在します。
(a)優秀人材の登用リスク
適切なタイミングで重要なポストに相応しいキャリアとポテンシャルを持った人材が計画どおり確保できない場合や、確保した人材の育成が計画どおりに進まない場合、若しくは育成した人材を維持できず社外流出が発生した場合等において、開発や生産の遅れなどをもたらす可能性や、研究成果や技術が流出するリスクが発生します。その対策として、当社グループでは、年間を通して優秀な人材確保に努めています。また、入社後の職場での指導・教育や能力開発のための研修体系を充実させるなど、会社が育成責任を持ち、多様な人材のパフォーマンスを最大化するための環境整備を進めています。
また、外部とのコネクションを継続的に維持して採用市場へのリクルーティングも積極的に行っています。
さらに、公平な評価・処遇制度の充実などの仕組みの構築により、従業員のエンゲージメントを高め、人材の定着を推進し、社員の能力向上及び能力のある社員が最大限のパフォーマンスを発揮できる環境整備を進めています。
(b)社員の定着リスク
労働市場の流動化が進む中、有能な社員の流出により、長期的にはノウハウや技術力の成長を阻害し、効率性や生産性を低下させる可能性があります。
また、次期経営陣をタイムリーに確保できなかった場合、貴重な経営ノウハウ等が継承されず、組織力が失われ効果的な競争力や戦略の遂行に支障をきたす可能性があります。
その対策として、当社グループではSDGs・ESG視点の経営を行うなど、種々の広報活動によりコーポレートブランド力を高め、当社グループの魅力を高めるとともに、グループの一体感を醸成して社員の定着率を高めることに努めています。また、当社グループの強みであるグローバルなネットワークを最大限に活用し、「ボーダーレスな人材活用」を強化し、人材・スキルの確保及び重要ポストのサクセッションを強化します。
このような対策を講じたとしても想定通りの効果が得られない場合は、当社グループのビジネスや財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
⑥ M&Aによるリスク
当社グループは、2019年のDuluxGroup LimitedやBetek Boya ve Kimya Sanayi Anonim Sirketiの連結子会社化をはじめとして、2021年のアジア合弁事業の100%化並びにインドネシア事業の買収、2022年にはCromology Holding SAS及びDP JUB delniska druzba pooblascenka d.d.の買収を完了するなど、株主価値の最大化(MSV)に資するM&Aを国内外で推進し、持続的な成長を目指しております。M&A案件の選別にあたっては、資本コストを上回るリターンを獲得し、結果としての基本的1株当たり当期利益(EPS)増大を図り、財務規律を考慮しつつ優先順位付けを行っております。また、市場動向や顧客のニーズ、相手先企業の業績、財政状況、技術優位性及び市場競争力、当社グループの事業ポートフォリオ並びにM&Aに伴うリスク分析結果等を十分に考慮し進めております。しかしながら、当社グループが企図した通りに買収を実行できない場合や事前の調査・検討にもかかわらず、買収後の市場環境や競争環境の著しい変化があった場合、買収した事業が計画どおりに展開・運営することができず、また、当初期待したシナジーが生まれず、投下した資金の回収ができない場合、追加的費用が発生する場合、のれんの減損が生じた場合、多額の借入れにより財務規律の確保が困難となった場合等には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、買収がなされたものの、想定どおりに統合が進まず、また、当社グループが期待するシナジー、スケールメリット等の効果を得られなかった場合、買収した企業の主要な経営幹部や従業員を引き続き確保できない場合、主要な顧客、仕入先及びその他の取引先との関係を維持できない場合等には、経営方針の大幅な変更、事業規模の縮小、スケールメリットの喪失等による収益悪化が起きる可能性があり、これにより当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
⑦ 顧客・消費者の嗜好やニーズの把握に関するリスク
当社グループの事業は、当社のブランドと製品に対する世界各国・各地域の需要の継続に依存しています。当社グループの持続的な成長には、顧客・消費者の嗜好やニーズを的確に捉え、既存商品の革新、及び新規商品の創出の両面から魅力ある製品を開発・販売することが不可欠であり、顧客・消費者の期待を満たす革新的な製品を開発・生産する当社の能力及び、販売、広告、製品ライフサイクルの管理を含むマーケティングの有効性等、多くの要因が関係します。例えば当社では、新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえ、「PROTECTON」ブランドの抗ウイルス・抗菌塗料、自動車塗装技術をベースにした防曇・反射防止機能を備えた保護フェイスシールド「ニッペフェイスガード」などをラインナップしておりますが、当社が顧客・消費者の嗜好・ニーズを把握できない場合、または製品開発の困難や遅延、或いは製品需要予測の失敗や製品革新に想定以上の費用や時間がかかる場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
⑧ 技術革新による当社グループ製品に対する需要の縮小に関するリスク
当社グループでは、コーティング技術をもって、人々の生活のあらゆる場面における彩と快適さ、安心の提供に努めています。中でも、当社グループのPurposeである"サイエンス+イマジネーションの力で、わたしたちの世界を豊かに"が示す通り、技術の力による社会課題の解決に向けた商品開発に、長年力を注いでいます。高い技術は、社会課題や顧客ニーズに応えるためのイノベーションを創出するとともに、製品の安定供給を可能にするなど競争優位性を高めるために必要不可欠です。国内外グループの技術者の総合力と社外ネットワークを通じたコラボレーションを強化し、また、世界のマーケットにおいて顧客や消費者のニーズ、需要の変化を的確に把握し、これまでにない革新的なソリューションを世の中に提供し続ける取り組みを進めております。しかしながら、技術革新のスピードが当社の想定より早く、当社グループにおいてタイムリーに新技術・新製品の開発ができないなど、期待した成果が得られない場合や、競合他社が技術革新により当社の既存の技術を上回る画期的な製品を開発・販売する場合、当社グループの国内外における市場シェアが低下し、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
また、自動車塗装事業の顧客を中心に、塗料・塗料製品の不要化・削減に向けた技術革新や開発により、より根本的なダウンサイドリスクにも直面しています。例えば、自動車メーカーや各種の材料エンジニアリング会社は、装飾フィルムなど、コスト、及び環境負荷低減の観点から、自動車の塗装に代わる様々な技術を開発しています。こうした動きを受け、当社では2021年7月1日、日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社の自動車用フィルム系化粧コーティングへの参入を発表し、トヨタ自動車株式会社との共同プロジェクトなど、さまざまな装飾フィルムの技術・用途の開発を進めております。技術革新やカーボンニュートラルを推進する各国の政策もあいまって、これらの代替品が主流となった場合には、塗料需要の減少や代替品へ移行するために多額の投資が必要となるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
⑨ 競合他社との競争に関するリスク
当社グループは、塗料及びその周辺事業において、国内外の同業他社と激しく競合しております。それぞれの事業において競争が激化すると、地域や世界の大手顧客の喪失、価格調整能力の低下等により、当社の市場シェアや収益性に悪影響が生じる可能性があります。また、自動車や工業用コーティング事業など、一部の事業では、顧客による統合が当社の提示する価格及び利益率にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
また、塗料事業では、原料調達、生産工程、サプライチェーン、流通、研究開発、規制対応等におけるスケールメリットが大きいため、統合効果が大きく、近年当社グループが海外でのM&Aにより事業を拡大しているのと同様に、他のグローバルメジャー各社もM&Aを通じた業界地位の強化・拡大を図っており、この傾向は今後も続くものと予想されます。競合他社が統合され、当社と比較して規模を拡大する場合、資本、技術、資金調達を含め、競合他社と効果的に競争できる保証はなく、その結果、当社の市場シェアが低下、または価格低下圧力が増大する場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
⑩ 研究開発活動に関するリスク
当社グループは、塗料が持つ魅力を技術の力で最大化するために、グループ技術の総合力と社外ネットワークとのコラボレーションを強化する取り組みを進め、多大な資源を投入して様々な社会課題の解決に資する製品・サービスを提供するための技術開発を推進しております。現在は、主力事業における継続的な新製品や、「感染症リスクの低減」、「スマート社会の実現」、「環境負荷の低減」、「社会的コストの低減」の4つの分野の社会課題を解決する新製品の技術開発に注力しております。これらの取り組みは、社会環境の変化、将来の製品や未開拓の市場機会への対応及び産業の高度化等と整合性があると考えていますが、当社グループの研究開発への継続的な投資が、投下した資源に比例した収益を得られない場合、収益性の高い製品に結びつかない場合、及び、市場構造が大きく変化した場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
⑪ 製造・販売における第三者への依存に関するリスク
当社グループは、当社グループ製品の製造・販売の一部を外部の第三者に委託しております。製造・販売の委託先はいずれも当社グループの関連会社又は長期間の取引先にあたるため、当社グループとの関係が悪化する可能性は小さいと考えられるものの、これらの第三者が当社グループとの関係悪化や当社グループの競合他社との協業等を生じさせる場合や、これらの第三者に経営環境の悪化や災害等が発生しその業務に支障が生じた場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、当該第三者の製造・販売活動の品質等が当社グループの基準を満たさない場合や当社グループの競合他社又はその外部委託先の品質等に劣る場合は、当社グループの製品やサービスに係る品質及び評価、製造・販売、並びにブランド価値に影響を及ぼす可能性があります。
⑫ ブランド価値の毀損に関するリスク
当社グループは、中国を含むアジア、オーストラリア、日本等の主要市場において高いシェアを有しており、顧客・消費者からのブランド認知度が高いと考えております。当社グループでは、ブランディングへ継続的に経営資源を投じ、認知度の維持・向上に努めておりますが、当社のブランドイメージは、製品の安全性及び品質問題、事故、違法行為、プライバシー侵害、当社の経営陣または従業員を巻き込む不祥事等、当社の管理外にあるその他要因を含むいかなる申し立てや悪評によっても損なわれる可能性があります。仮に、その一部または全部が根拠のないものであったとしても、当社グループの事業に対する社会の認識に悪影響を及ぼす可能性があります。このような事件等により、当社または当社製品に対する消費者の信頼が損なわれた場合、当社製品に対する消費者の需要及び当社ブランドの価値が著しく低下し、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
(3)中期経営計画等に関するリスク
当社グループは2021年3月5日に上記「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (1)経営方針、経営戦略等 ④中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、新中計を公表しました。新中計においては、地域・事業戦略として、強固な成長基盤を更に強化し見えてきた課題を積極的に解決すべく、①中国を含むアジア・トルコ等の高成長市場におけるマージンの確保・シェア拡大による利益成長、②安定成長市場のオセアニアにおける市場成長率を上回る売上・利益成長、③日本における設備更新や合理化投資の実施による競争優位性と生産性向上の実現及び新需要創出、④自動車用塗料事業における技術力の向上・品質保証体制の強化によるシェア拡大・新規取引獲得、⑤傘下となったグループ会社が有するSAF(Sealants, Adhesives & Fillers:シーリング材・接着剤・フィラー材)やCC(Construction Chemicals:建設化学品)、ETICS(External Thermal Insulation Composite System:断熱材)などの領域の事業経験及びノウハウを活用した塗料周辺事業の中国・アジアを含めた各地域への展開を掲げております。また、持続的成長・利益率の改善を実現すべく、サステナビリティ・M&A戦略を掲げております。しかしながら、新中計発表から2年を経過して、原油価格の高騰や物流網の混乱、半導体不足に代表されるように、当社グループがかかる目標を達成することができるか否かは、各地域・製品の市場が当社の想定通りに成長しないリスク、当社グループが各国・各製品の市場シェアを上げることができないリスク、新中計における設備投資を実行できない又は実行しても生産効率の改善など期待された効果が発現しないリスク、当社グループの技術力・品質保証体制が改善せず重要な顧客との関係が悪化するリスク、当社グループが各国の子会社の経営を有効に管理又は活用できないリスク、環境規制対応などで当社グループのコストが増加する又は競争力が損なわれるリスクなど、本「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載された事項を含む多くのリスクや課題の影響を受けます。
中期経営計画を策定する中で、当社グループは、国内外の市場環境、企業の動向、他社との競業、法令等の変化、技術革新、為替相場や原材料相場、新型コロナウイルス感染症の鎮静化状況等、経営環境に関する様々な前提や予測を置いております。このような前提や予測が将来の事実関係と異なる結果となる場合、当社グループが経営環境の変化に応じて戦略又は事業運営を適時に変更することができない場合には、当社グループが中期経営計画を実現できない可能性があります。
(4)財政状態に関するリスク
① のれんを含む無形資産の減損に関するリスク
当社グループは、M&Aの実施に伴い発生するのれん及びその他無形資産を連結財政状態計算書に計上しており、2022年度末におけるのれん及びその他の無形資産の額はそれぞれ825,525百万円及び400,052百万円となっております。
「のれん」及び「耐用年数を確定できない無形資産」については償却を行わず、減損兆候の有無にかかわらず、毎期減損テストを実施しております。当該減損テストでは、資金生成単位における処分費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方を回収可能価額として測定しております。
当該処分費用控除後の公正価値算定上の仮定、あるいは使用価値算定の基礎となる資金生成単位の使用期間中及び使用後の処分により見込まれる将来キャッシュ・フロー、割引率等の仮定は、経済条件の変動による影響を受ける可能性があり、将来にわたり、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産に係る減損損失額に重要な修正を生じさせるリスクを有しております。そのような修正が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響を与える可能性があります。
② 有利子負債・資金調達に関するリスク
当社グループは、金融機関からの借入れによる資金調達を実施しており、借入金合計(1年内に返済のものを除く。)は、2022年度末において、626,087百万円となっております。
長期借入金の大部分は固定金利でありますが、一部の外貨建ての借入金については変動金利となっております。今後金利が上昇する場合には、かかる有利子負債について追加的な負担を負う可能性があり、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
また、当社グループは、有利子負債比率等当社グループの財務状況の悪化、景気の後退、金融市場の悪化、金利の上昇、外部格付機関による格付けの引き下げ等当社グループ信用力の低下、業績の見通しの悪化等の要因により、当社グループのキャッシュ・フローに悪影響が生じる場合、又は、当社グループの資本・資金調達の取引条件の悪化、又は取引そのものが制限される場合には、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
③ 設備投資が収益に結びつかないリスク
当社グループが掲げるMSVを実現するためには、生産能力の増強と生産性向上のための設備投資を継続的に行う必要があり、今後も引き続き事業機会を捉え、品質やリスク体制、及び収益性を向上させるための投資を行ってまいります。具体的には、デジタル化技術をはじめとするサプライチェーンの物流改善、老朽化設備の維持・更新、労働安全の確保、合理化・IT投資、研究開発・環境保全などへ重点的に投資します。当社グループは、設備投資計画を事業環境の変化に合わせ、柔軟に実施してまいりますが、投資効果が十分に期待できない可能性があり、設備投資の増加や減価償却費の増加等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
(5)法律・規制に関するリスク
① 製品の品質保証・製造物責任に関するリスク
当社グループは設計審査の厳格化や品質管理体制の強化により品質保証体制を整備し、当社グループ製品の品質向上に取り組んでおり、製造物責任保険にも加入しております。しかしながら、当該保険は損害をカバーするのに十分でない可能性があり、様々な要因により製品の欠陥・品質問題やそれに伴う物損・人損等が生じ、製品の回収、製造の中断・遅延若しくは大規模なリコールの実施が必要となったり、第三者から製造物責任に基づく損害賠償請求を受けたりした場合や、当社グループの顧客から発注のキャンセル、損害賠償の請求又は品質管理体制の強化などを求められる場合には、当社グループの社会的評価に悪影響が及ぶとともに、製品補償引当金の計上等により、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
② 知的財産に関するリスク
当社グループでは、知的財産の管理に関する規程を定め、知的財産が当社グループの重要な財産であることを認識し、知的財産を経営資源として蓄積し活用するとともに、他人の知的財産を尊重するものとしております。また、当社グループでは、知的財産に該当する技術情報については、情報管理に関する規程により管理し、専用の技術情報データベースで保管して流出を防止する等の情報管理を徹底するなど、知的財産保護のための体制を整備しております。このような施策にもかかわらず、当社グループの従業員(退職者を含みます。)や製造・販売の委託先を含む第三者により当社グループの知的財産である技術情報が社外に流出し知的財産が侵害された場合、また、将来、第三者との間で知的財産に関する紛争が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
③ 環境関連を中心とした法規制への対応リスク
当社グループでは、原材料の採用や商品開発など段階に応じて法規制に関する審査を行うことに加え、将来の規制強化を踏まえた社会課題の解決に貢献する海洋環境配慮型商品や抗ウイルス商品の開発・導入などに取り組んでおります。また、工場などの操業に係わる規制を順守するとともに、環境への負の影響については目標を掲げその低減に取り組んでおります。さらに、当社グループの調達先との間で、社会的責任を踏まえた調達活動を行っております。しかしながら、当社グループが事業を行う国又は地域において、特に中国や欧州を中心に塗料業界に関連する環境、化学物質、安全衛生などの法規制の改正や強化が進んでおり、これらの規制が当社グループの予測を超えて厳しくなった場合や法改正への対応が間に合わなかった場合は、法改正対応のための費用が増加したり、製品の製造販売活動や調達活動等が制約を受けたり、又は行政上の処分を受けたりする可能性があります。当社グループがこれらの規制を遵守することができなかった場合は、規制当局からの罰金その他処分の対象となる可能性や原状回復義務の費用負担等を負う可能性があり、これによって当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
④ コンプライアンス及び訴訟リスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しているため、事業を展開する国内外の様々な法令、規則の適用を受けます。当社グループは、かかる法令等の遵守を図っておりますが、法令等の遵守のために追加の費用が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。また、法規制、法解釈の変更等により法令等の遵守が困難になり、当社グループにコンプライアンス違反が発生する場合、当社グループは、規制当局による措置、処分等に服するリスクがあります。その措置等の内容によっては当社グループの事業に支障が生じたり、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じたりする可能性があります。
さらに、当社グループは様々な国又は地域において、消費者、取引先、従業員等から製造物責任、契約違反、労働問題等に関して訴訟の提起を受けるリスクを有しております。訴訟等の結果によっては、当社グループに多額の損害賠償金等の支払いが命じられ、当社グループの事業、財政状態及び経営成績等、ブランドイメージ及び社会的信用に悪影響が生じる可能性があります。
(6)自然災害・事故災害に関するリスク
① 大規模な自然災害によるリスク
当社グループは、日本に本拠を置き、歴史的に自然災害や天候不順の影響を受けやすいアジアで事業を展開しています。このため、自然災害に対する被害・損害を最小限にするための防災、減災、さらには危機管理体制を重要なものと位置付けて取り組んでおり、また、デジタル・サプライチェーンの構築(リモート・ワークを可能にし、煩雑な作業を軽減するためのデジタル・ツールや手法の活用)や、BCPの視点からサプライチェーンの再構築に着手しております。大規模な自然災害、特に日本、インドネシア、トルコなどで大規模な地震の発生や想定以上の大津波、また、地球温暖化が要因のひとつとされる気温の上昇による大規模な山火事や巨大台風による大規模な水害が発生した場合や寒波により電力の調達コストが増大した場合には、原材料調達、製品の製造、出荷等に支障が生じ、顧客に安定して製品を供給できなくなるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。
② 火災、爆発事故によるリスク
当社グループは、事業特性上、爆発、火災、有毒・有害物質の排出・放出等の危険性があります。危険物及び化学薬品の取扱いについて、事故発生の未然防止のための安全操業体制の強化に日々取り組んでおり、危険物を取り扱う工場や作業従事者の安全教育の徹底だけでなく、更なる水性材料(非危険物)への転換や改良を進め、現場の安全度の向上を図っておりますが、当社グループにおいて、火災事故、爆発事故が発生した場合、一時的に操業を停止する必要が生じるなど、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
③ 新型コロナウイルス感染症の拡大・継続によるリスク
新型コロナウイルス感染症は、人々の健康に重大な影響を及ぼし、世界中の多くの国々で医療体制や基本的な生活の維持が脅かされ、結果として多くの産業における経済活動が大きな影響を受けております。
新型コロナウイルス感染症の拡大・継続により、当社グループの工場の閉鎖、稼働の制限又は自粛、必要な従業員等の不足等により当社グループにおける製品の生産に悪影響が生じ、又は原材料や機材等の調達や当社製品の物流に支障が生じるなど、当社グループの事業運営の全部又は一部が困難になり又は制約が生じる可能性があります。これまでに、工業用塗料事業及び自動車用塗料事業において、顧客であるメーカーの生産減により、当社グループの業績にマイナスの影響が生じました。このように、世界的な経済活動の減退が当社製品の需要や価格に悪影響を及ぼした場合や当社グループの従業員に新型コロナウイルス感染症が拡大し一時的に操業を停止する必要が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
当社グループではこれらのリスクに対応するため、予防や拡大防止に対して適切な管理体制を構築しております。また、当社グループの事業は地理的に分散しており感染の影響を受けた場所はそれぞれ異なっているため、生産・販売・在庫・物流状況を世界レベルで把握するとともに、各種対策を講じて新型コロナウイルス感染症の影響の極小化を図っておりますが、今後の感染拡大の規模や収束時期の見通しは立っておらず、現時点で当社グループの財政状態及び経営成績等に与える影響を具体的に予想することは困難です。
(7)気候変動に関するリスク
① 長期的なリスク
当社グループは、地理的に広範な自然災害やアジアの一部を含む異常気象の影響を物理的に受ける可能性があります。また、気候変動に対する国内外の政策及び法規制、市場の要求を踏まえ、環境配慮型商品の開発・導入に加え、生産工程等から排出される温室効果ガスの削減目標設定や排出削減に向けた具体的な取り組みを進めていますが、脱炭素社会の実現を目指す日本政府の方針を踏まえたこれらの規制の強化や自動車メーカーの生産工程を含む温室効果ガス排出量の大幅削減目標などを含む世界的な動向により、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。具体的には、温室効果ガスの排出に関する新たな税負担等が生じた場合や再生可能エネルギーの調達にかかる費用等が想定を上回り上昇した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
② 短期的なリスク
当社グループの製品は、自動車、建物、建築資材、構造物、金属製品、電気機械、船舶等の幅広い業界において使用されておりますが、気候変動により近年発生が増加傾向にある台風、豪雨等の異常気象により、当社グループ及びサプライチェーンが甚大な被害を受けた場合、その復旧まで生産若しくは出荷が長期間に亘り停止することがあり得ます。また、冷夏、暖冬、長雨などによる異常気象により、当社グループが製品を供給する業界が影響を受けることもあり得ます。このような場合は、当社グループの財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
(8)その他のリスク
① 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、情報・ITシステムに依存して、正確かつ効率的に取引を行い、経営者への情報提供や財務報告書の作成などを行っています。
当社グループは、個人情報を安全に保管し、セキュリティ手順の周知徹底を図るため、バックアップ手順、災害復旧策を整備し、情報システムセキュリティガイドラインを策定しておりますが、当社のシステムは、地震及びその他の自然災害、機器または通信の障害、コンピュータウイルス、サイバー攻撃、当社が予期しないその他の事象によって破壊される可能性があります。
コンピュータウイルス、不正アクセス、マルウェア、その他のサイバー攻撃により、当社の内部システムが侵害される場合や、機密情報が漏洩または消去され、当社の事業遂行能力が損なわれる場合など、サイバーセキュリティインシデントは、攻撃者の意図的な攻撃や当社の意図しない事象から発生する可能性があります。
これらのインシデントには、当社システムへの不正アクセス、コンピュータウイルスまたはその他の悪意のあるコード、マルウェア、ランサムウェア、フィッシング、人為的エラー、またはセキュリティ違反を引き起こしたり、機密情報の流出や資産の流出を引き起こすその他の事象が含まれます。
当社のシステムに影響を及ぼす上記のような問題は、事業の中断、対応費用の発生、顧客情報や機密情報の漏洩、法律違反につながり、セキュリティ、バックアップ、及び災害復旧対策を行っていても、障害を回避できない事があります。このような場合は当社の社会的信用、財政状態及び経営成績等に悪影響が生じる可能性があります。
② 大株主との関係に関するリスク
2021年1月25日、Wuthelamグループに対する当社普通株式の第三者割当による当社の新株式の発行の払込みが完了しました。これにより、Wuthelamグループは当社普通株式の58.7%を保有するに至り、本有価証券報告書提出日現在において、当社の親会社となっており、当社の株主総会の特別決議及び普通決議を必要とする事項に重大な影響力を有しております。当社とWuthelamグループの間には、Wuthelamグループが保有する当社株式の保有・売却や議決権の行使についての取り決め、その他経営を制約するような契約等はありません。また、Wuthelam社の代表者であるゴー・ハップジン氏は、当社の取締役を兼務しており、今後も継続する可能性があります。
Wuthelamグループが当社の事業や経営方針に関して有する利益は、当社及び当社の少数株主の利益と異なる可能性があります。2021年8月のWuthelamグループとの取引の一環として、欧州及びインドにおける自動車用塗料事業及びインドにおける汎用塗料事業をWuthelamグループに譲渡したことにより、現在、これらの事業に関して、マネジメント・サービス契約及び買い戻しオプションを通じて、当社グループと継続的な商業的関係が成立しており、将来において利益相反が生じないことを保証するものではありません。
また、Wuthelamグループは、当社が上場会社として少数株主の保護を図りながら株主価値の最大化を目指す経営方針に賛同しており、引き続き当社の株式を継続的に保有する予定であると当社は認識しておりますが、今後Wuthelamグループは、自らの財務状況等に鑑み、当社株式の保有株式数を増減する可能性があり、その場合、当社株式の市場価格に影響が生じる可能性があります。
③ 東京証券取引所「プライム市場」の上場維持基準に適合しないリスク
当社は2022年4月4日の東京証券取引所新市場区分一斉移行におきまして、定められた上場維持基準を満たしプライム市場に移行致しました。東京証券取引所の関連規則に基づき算定される流通株式比率が35%以上であることがプライム市場上場維持基準の要件の一つですが、純投資目的で保有されている株式に関する例外規定を適用した結果、2022年12月31日時点で、流通株式比率は35%を超過しており、上記の上場維持基準を満たしております。ただし、今後の株主構成の変化や東証による例外規定廃止等の変更により、当該要件を満たすことができなくなった場合には、プライム市場において当社株式の上場を維持することができず、株価または株式流動性に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)MD&Aに共通する事項
当社グループは、2021年8月10日開催の取締役会においてNPEを解散及び清算することを決議し、2021年8月27日にNPIの株式、NPAEの株式及びBNPAの株式をINCに譲渡したため、連結財務諸表の作成上、これらの事業を非継続事業に分類しております。このため、前連結会計年度の売上収益、営業利益及び税引前利益については、非継続事業を除いた継続事業の金額を用いております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 15.非継続事業」に記載のとおりであります。
① 連結業績の概況
(a)前期比
当社グループの当連結会計年度の業績につきましては、2022年1月20日にクロージングした欧州塗料メーカーCromologyの子会社化、2022年5月31日にクロージングした欧州塗料メーカーJUBの子会社化や円安の影響、加えて主力事業である中国の汎用塗料が継続的な製品値上げを進めて好調に推移した結果、連結売上収益は1兆3,090億21百万円(前期比31.1%増)となりました。連結営業利益は、各地で原材料価格が上昇し、中国において貸倒引当金を追加計上したものの、製品値上げの浸透により、1,118億82百万円(前期比27.7%増)となりました。
連結税引前利益は1,044億95百万円(前期比20.9%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は794億18百万円(前期比17.5%増)となりました。
※実質ベース:継続的な事業の収益力の前期からの変化を示すため、M&Aによる新規連結影響や一時的な要因により発生した損益を調整して算出した金額
実質ベースにおける主な調整項目
為替影響、補助金等、M&A関連費用、貸倒引当金、新規連結
以降の図表に記載された実質ベースの数値は同趣旨
(注) 当連結会計年度より、従来「調整額」の中で表示してきた上場機能及び純粋持株会社機能に関する事業以外の全ての事業を分社化し、「日本」セグメントに帰属させる方法にしました。
(b)資産、負債及び資本の状況
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末と比較して4,872億57百万円増加し、2兆4,423億40百万円となりました。
流動資産につきましては、前連結会計年度末と比較して1,648億97百万円増加しております。主な要因は、現金及び現金同等物が増加したことなどによるものです。また、非流動資産につきましては、前連結会計年度末と比較して3,223億59百万円増加しております。主な要因は、Cromologyの買収に伴いのれんが増加したことなどによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末と比較して3,005億93百万円増加し、1兆2,869億82百万円となりました。主な要因は、社債及び借入金が増加したことなどによるものです。
資本につきましては、前連結会計年度末と比較して1,866億64百万円増加し、1兆1,553億58百万円となりました。主な要因は、為替換算調整勘定が増加したことなどによるものです。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は前連結会計年度末の49.1%から47.0%となりました。
(c)連結業績の推移
連結業績の推移は下図のとおりであります。
(注) 「当期利益」には「非支配持分」は含まれておりません。
② セグメント別業績の概況
(a)概要
セグメントの状況は次のとおりであります。
なお、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載のとおり、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、以下の前期比較においては、前連結会計年度の数値を変更後の区分に組み替えた数値で比較しております。
≪日本≫
自動車用塗料の売上収益については、半導体供給不足等の影響を受けたことで、自動車生産台数が通年で前期並みにとどまったことで、前期並みとなりました。工業用塗料の売上収益については、新設住宅着工戸数など市況が前期並みに推移したものの、製品値上げが浸透し、前期を上回りました。汎用塗料の売上収益については、市況が前期並みにとどまったものの、製品値上げが奏功し、前期を上回りました。
これらにより、当セグメントの連結売上収益は1,860億62百万円(前期比6.9%増)となりました。連結営業利益は、原材料価格の上昇などにより、52億96百万円(前期比44.5%減)となりました。なお、当連結会計年度より、各セグメントの経営成績をより適切に反映するため、従来「調整額」の中で表示してきた上場機能及び純粋持株会社機能に関する事業以外の全ての事業を分社化し、日本セグメントに帰属させる方法にしまし
た。
≪NIPSEA≫
自動車用塗料の売上収益については、中国・タイにおいて、半導体供給不足等の影響を受けたものの、自動車生産台数が前期を上回るなど、前期を上回りました。汎用塗料の売上収益については、中国において、都市封鎖等の影響を受けるも、既存住宅向け内装需要が引き続き堅調に推移したこと、また、中国、マレーシア、インドネシア、トルコ等の主要市場において、積極的な製品値上げの結果、前期を上回りました。
これらにより、当セグメントの連結売上収益は7,085億15百万円(前期比24.0%増)、連結営業利益は726億95百万円(前期比5.6%増)となりました。
≪DuluxGroup≫
2022年1月からのCromologyの業績、2022年6月からのJUBの業績を当社グループの連結業績に反映しております。汎用塗料の売上収益については、オセアニア及び欧州において、製品値上げが奏功したことから、前期を上回りました。塗料周辺事業の売上収益については、オセアニアにおいて、各ブランドの製品値上げが奏功したことに加え、欧州において、ETICS(断熱材)の販売が好調だったことから、前期を上回りました。
これらにより、当セグメントの連結売上収益は3,149億2百万円(前期比78.7%増)、連結営業利益は296億73百万円(前期比55.8%増)となりました。
≪米州≫
自動車用塗料の売上収益については、中核地域であるアメリカにおいて、半導体供給不足等の影響を受けたものの、自動車生産台数が前期を上回るなど、前期を上回りました。汎用塗料の売上収益については、金利上昇の影響が下期に顕在化するも、上期までの底堅い住宅需要や好天などが影響し、前期を上回りました。
これらにより、当セグメントの連結売上収益は995億40百万円(前期比30.3%増)、連結営業利益は80億77百万円(前期比124.3%増)となりました。
(b)生産、受注及び販売の状況
当連結会計年度において、前期比で、「日本」セグメント、「NIPSEA」セグメント、「DuluxGroup」セグメント及び「米州」セグメントにおける生産及び販売の実績に著しい増加がありました。
その内容については、「(1)MD&Aに共通する事項 ② セグメント別業績の概況 (a)概要」に記載しております。
(ⅰ)生産実績
生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
115,729 |
10.8 |
|
NIPSEA |
472,367 |
23.3 |
|
DuluxGroup |
167,484 |
89.1 |
|
米州 |
59,490 |
33.5 |
|
合 計 |
815,071 |
31.3 |
(注) 金額は製造原価で表示しております。
(ⅱ)受注実績
当社グループは、主として見込生産によっておりますので、受注並びに受注残高等について特に記載すべき事項はありません。
(ⅲ)販売実績
販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前期比(%) |
|
日本 |
186,062 |
6.9 |
|
NIPSEA |
708,515 |
24.0 |
|
DuluxGroup |
314,902 |
78.7 |
|
米州 |
99,540 |
30.3 |
|
合 計 |
1,309,021 |
31.1 |
(注) セグメント間の取引については含めておりません。
(c)セグメント別投資対成果
連結業績に対するセグメント毎の貢献の割合は、下図のとおりであります。
(注)1 売上収益は、セグメント間売上収益を除いております。
2 当連結会計年度より、各セグメントの経営成績をより適切に反映するため、従来「調整額」の中で表示してきた上場機能及び純粋持株会社機能に関する事業以外の全ての事業を分社化し、日本セグメントに帰属させる方法にしました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
① キャッシュ・フローの状況の分析
当期は営業活動により1,123億51百万円の収入、投資活動により1,651億7百万円の支出、財務活動により1,457億67百万円の収入があり、結果として現金及び現金同等物(以下「資金」という)は2,425億98百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,037億85百万円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による収入は、1,123億51百万円(前期比449億23百万円増)となりました。主な要因は、継続事業からの税引前利益に減価償却費及び償却費等の非資金支出費用等を加味したキャッシュ・フロー収入(運転資本の増減を除く)が1,522億68百万円あった一方で、運転資本の増加による資金の減少70億59百万円、法人所得税の支払額が328億57百万円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による支出は、1,651億7百万円(前期比627億51百万円増)となりました。主な要因は、投資有価証券の売却による254億40百万円の収入があった一方で、有形固定資産の取得による374億42百万円の支出、子会社株式の取得による1,717億52百万円の支出があったことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による収入は、1,457億67百万円(前期は623億9百万円の支出)となりました。主な要因は、借入金の増加による2,035億74百万円の収入、配当金の支払いによる235億33百万円の支出、社債の償還による147億76百万円の支出、リース負債の返済による125億86百万円の支出があったことなどによるものです。
② 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは営業活動から得た収益が事業活動の財源ともなっており、設備投資や研究開発投資、運転資本充当や配当の支払い、借入金の返済に利用しております。また、持続的な成長の実現に向けた戦略投資に必要な資金需要に対しては、今後の収益見通し、全体的な資金需要、返済能力を考慮して財務規律を維持し外部より資金調達を実施いたします。今年度におきましては、欧州塗料メーカーCromology及びJUBの買収資金に加え、手元流動性確保のための資金も合わせ2,700億円の外部借入を行っており、当連結会計年度末の社債及び借入金残高は当社が7,100億11百万円、連結子会社が120億45百万円となっております。また、当連結会計年度末の運転資本は2,305億19百万円となっております。
当連結会計年度の現預金残高は2,425億98百万円となっており、当社の現預金保有残高は750億48百万円、国内子会社、海外子会社の現預金保有残高はそれぞれ29億95百万円、1,645億55百万円となっております。国内子会社の現預金はCMS(キャッシュマネジメントシステム)によって当社が集中管理しております。海外子会社の保有する現預金は、主として現地での拡大再生産のために利用する事を目的として保有しており、余剰資金が発生した場合に通常配当とは別に特別配当として資金を回収しております。
現時点で当社グループの事業活動を円滑に維持して行く上で十分な手許資金を有しており、将来の資金需要に対しても不足が生じる懸念は少ないと判断しております。
③ 資本政策
当社は顧客、取引先、従業員、社会などへの責務を果たした上で残存する株主価値の最大化を経営上の最重要目標としております。
その際、当社は財務規律を維持しつつ、成長投資を優先的に実施し、基本的1株当たり当期利益(EPS)の増大を通じて株主の皆様のトータル・シェアホルダー・リターン(TSR、株主総利回り)を向上させることに主眼を置いています。
そして、TSRのうち配当については、業績動向、投資機会を総合的に勘案しながらも、配当性向30%を目途に安定的かつ継続的に行う方針としております。
《基本的1株当たり当期利益(EPS)、1株当たり配当額及び配当性向の推移》
基本的1株当たり当期利益(EPS)、1株当たり配当額及び配当性向の推移は下図のとおりであります。2021年3月31日を基準日及び2021年4月1日を効力発生日として、普通株式1株につき5株の割合で株式分割を行っております。また、基本的1株当たり当期利益(EPS)及び1株当たり配当額は、2018年度の期首に当該株式分割が行われたと仮定して算定しております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は国際財務報告基準(IFRS)に基づいて作成されております。また、当社は連結財務諸表を作成するために、種々の仮定と見積りを行っております。それらの仮定と見積りは資産・負債・収益・費用の計上金額並びに偶発資産及び債務の開示情報に影響を及ぼします。重要な仮定と見積りは、営業債権等の回収可能額、棚卸資産の正味実現可能価額、繰延税金資産の回収可能性、確定給付制度債務、非金融資産(のれんを含む)の減損、企業結合により取得した資産及び引き継いだ負債の公正価値の評価及び開示に反映しております。なお、実際の結果がこれらの見積りと異なることもあり得ます。
重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、連結財務諸表の「注記3.重要な会計方針」及び「注記4.重要な会計上の見積り、判断及び仮定」に記載しております。
(1)金銭消費貸借契約
当社は、欧州建築用塗料メーカーCromology及びその子会社等の株式の取得に要する買収資金の調達のため、2022年1月19日に金融機関と借入契約(ブリッジローン)を締結しました。
(借り入れの内容)
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借入先: |
株式会社三井住友銀行、株式会社三菱UFJ銀行 |
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借入金総額: |
172,700百万円 |
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借入実行日: |
2022年1月19日 |
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支払金利: |
基準金利+スプレッド |
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借入期間: |
1年以内 |
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変動・固定の区分: |
変動 |
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担保・保証の有無: |
なし |
(2)金銭消費貸借契約
当社は、欧州塗料メーカーJUB及びその子会社等の株式の取得(2022年5月31日)に要する買収資金の調達や、欧州塗料メーカーCromology及びその子会社等の株式の取得に伴う2022年1月19日付ブリッジローンの借換え、並びに運転資金の確保を目的として、2022年3月から5月に金融機関と金銭消費貸借契約を締結しました。
(借り入れの内容)
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借入先: |
株式会社三井住友銀行、三井住友信託銀行株式会社、株式会社三菱UFJ銀行、 株式会社日本政策投資銀行、株式会社みずほ銀行 |
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借入金総額: |
270,000百万円 |
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借入実行日: |
2022年3月31日~2022年5月31日 |
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支払金利: |
基準金利+スプレッド |
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借入期間: |
1~7年 |
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変動・固定の区分: |
固定 |
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返済方法: |
期日一括返済 |
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担保・保証の有無: |
なし |
第2「事業の状況」 1(1)①に記載されている会社の経営の基本方針のもと、当社は、塗料・周辺市場において、あらゆる変化に適応可能な組織の構築、実現力あるコア技術の開発、周辺市場、新興市場への進出の3つの柱で構成されるイノベーション戦略を立案しています。国内外のパートナー会社の技術チームは、各市場や顧客ニーズに効果的に対応するため高い自律性を維持しながら、技術協力や知的財産を共有しており、技術的な視点から、「株主価値最大化(MSV)」の実現を目指しています。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費用は
日本ペイントグループで働いている世界全体の技術系人材は3,895名であり、日本グループの技術系人材は1,141名です。技術系人材は、持続的なビジネスの成長を実現する強力なイノベーションの原動力であり、競争力を生み出す中核的な存在です。技術系人材は国内外の顧客と消費者のニーズに対応するため、東京と大阪、中国・上海、シンガポール、豪州・メルボルン、米国・ロサンゼルスとクリーブランド、欧州・ドイツとフランスなど、世界52ヵ所の研究開発・技術施設に従事しています。2022年は新たに169件の特許を出願しました。2022年末時点で登録されている特許権は1,508件に達しています。
新製品売上高指数(NPSI)は、テクノロジーを駆使して生産された製品の生産量を測定する指標の1つです。当社グループは、総売上高に対する過去3年間に製品化された新製品の売上高比率をNPSIと定義しており、NIPSEAグループでは2018年、日本グループでは2022年に導入を行いました。日本グループとNIPSEAグループを合わせると、2022年のNPSIは19.5%となり、11,786の新製品を発売しています。
また、当社グループでは、新製品の評価に用いる「サステナビリティ・スコアボード(得点システム)」と研究開発プロジェクトの管理システムに導入される「グリーンデザイン・レビュー」をそれぞれ開発するなど、サステナビリティを意識した研究開発を推進しています。
今後も引き続き、国内外のパートナー会社の技術チームが、最新の技術情報とノウハウを共有しながら、事業を展開する各市場に向けての商品開発に取り組むとともに、さらなる製造コストの低減、安定した品質の確保に取り組んでまいります。
なお、セグメントごとの研究開発費用は、日本が