第2  【事業の状況】

 

1  【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループでは、創業100周年にあたる2029年を見据え、Missionとして「感受性のスイッチを全開にする」、Visionとして「ブランドひとつひとつの異なる個性を生かして、世界中の人々の人生を彩る企業グループ」、更にこれらを実現するための5つの行動指針を加えた、グループ理念を掲げております。この企業理念のもと、個性・特徴を持ったブランドを複数保有し、それぞれの事業が成長することでグループ全体の企業価値向上を図っていく、「マルチブランド戦略」を展開しています。グループ各社の自主自立した経営を志向し、持株会社である当社はグループ各社の経営に対するモニタリング機能を持つことで、グループ全体の経営の健全性確保と効率性向上に努めています。

 

(2) 目標とする経営指標(2021年~2023年)

2021年からスタートした今中期経営計画(2021年~2023年)では、短中期の課題解決を通じ、長期的な成長につながる基盤の構築とコロナ禍以前(2019年)の売上高・営業利益水準の回復を目指し、取り組んでおります。目標とする経営指標として、連結売上高は2,050億円~2,150億円、連結営業利益は12%以上の営業利益率の達成を掲げ、また、ROEは2023年末時点で9%以上を目標に置き、配当性向は引き続き60%以上としてまいりました。しかしながら、想定に対して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響からの回復の進捗が遅れており、経営指標の達成は難しい状況です。次期(2023年12月期)の業績見通しにつきましては、重点戦略の着実な実行及び新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再拡大の他、世界中が抱えるインフレの常態化や金融市場の混乱等に伴う経済の下押しリスクを勘案し、連結売上高180,000百万円(前年同期比8.2%増)、連結営業利益15,100百万円(前年同期比20.0%増)、連結経常利益15,100百万円(前年同期比1.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10,000百万円(前年同期比12.7%減)を見込んでおります。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

 今後の我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響の他、物価・エネルギー資源の高騰や為替の影響等に大きく左右される状況が継続すると見込まれます。また、消費者の価値観やニーズ、ライフスタイルの多様化が益々進む今日では、これらの変化に柔軟かつ速やかな対応を実現すべく、デジタルテクノロジーの応用や消費者ニーズに応える新製品・新サービスの提供は勿論、新規事業開発、新領域の開拓といった取り組みの重要性は更に高まってくると考えております。

 このような状況の中、長期経営計画・VISION 2029の1stステージとして、「国内ダイレクトセリングの進化」「海外事業の利益ある成長」「育成ブランドの利益貢献」「新ブランド創出・事業領域の拡張」に加え、これらの実現に向けて下支えする「経営基盤強化」を重点戦略として掲げ、以下の戦略に取り組んでまいります。

 

① 国内ダイレクトセリングの強化

(POLAブランド)

●OMO推進、国内の顧客情報を統合し各チャネルをシームレスにつなぐ新ビジネスモデル構築

・国内共通の顧客基盤構築により、各チャネルの特性や強みを活かした高LTV事業を実現。

●回復基調にある顧客数の反転とLTV向上に向けた先行投資でトップライン拡大を優先

<顧客接点・認知増>

・デジタル広告に集中投資。

・オフラインイベントの拡充。

・ビューティーディレクターの採用、育成強化。

<新規購入増>

・エントリー商材投入で初回購入のハードルを下げる。

・ECチャット機能、コンテンツ拡充。

 

<店舗層客・継続顧客増>

・EC顧客向けエステチケット提供で店舗へ送客。

・チャネル共通会員プログラム。

(ORBISブランド)

●独自のカスタマーデータプラットフォームを進化、顧客数増加とLTV最大化で増収転換を果たす

・商品購入だけでなく美容成功体験を提供、LTV最大化を実現。

・アプリの新サービス「肌カ.ル.テ」で顧客に寄り添う伴走型コミュニケーションを提供。

・顧客情報の分析を高度化、1to1のコミュニケーションでスキンケア+αの購買を促進。

●スキンケア領域の戦略的拡張でターゲット市場規模を拡大

・拡大する50代以上の市場でシェア拡大、シニア世代向けの新スキンケアを発売。

・未開拓市場に向けた戦略商材発売を計画。

 

② 海外事業の利益ある成長

(POLAブランド)

●中国大陸が最重点市場、ブランドプレゼンス確立

・オフラインは出店を継続、顧客接点を拡充し更なるブランド認知拡大と顧客体験の充実を図る。

・オンラインは独自コンテンツ配信を強化、新たなプラットフォームへの出店検討。

●中国大陸以外のアジアにおける成長加速

・アジアを中心とした新規国へ展開し、グローバルでのブランドプレゼンス向上、中国市場に次ぐ成長基盤を構築。

(Jurliqueブランド)

●トップライン拡大とともに更なる構造改革を進め損益分岐点を改善、早期黒字化を目指す

・中国はオンライン中心に成長加速、豪州・香港はアフターコロナにおける事業回復を実現。

・ブランドプレゼンスを確立。フェイシャルスキンケアの強化。スター商品を軸に顧客獲得・エンゲージメントを強化。スパトリートメントによるブランド体験強化。

・固定費の削減、費用コントロール強化。商品パッケージの再生可能素材への切り替えで原価・環境負荷の低減。

(ORBISブランド)

●中国市場への投資による成長加速と黒字化

・既存のオンラインチャネルに加えて、今後拡大が見込める内陸部都市の中間層をターゲットとしたオフライン展開の拡大。

・顧客接点の拡大とブランド認知向上に向けた投資の強化。

(THREEブランド)

●中国市場への本格的な進出、積極的な投資により成長加速

・中国ローカル市場での展開本格化。

・代理店を活用しオンライン・オフラインの両チャネルで早期に顧客接点を拡大。

 

③ 育成ブランドの利益貢献

(THREEブランド Amplitudeブランド ITRIMブランド FIVEISM×THREEブランド)

●THREEは2024年の黒字化達成に向けた構造改革を推進

・THREEはブランドの再成長に向けて提供価値を再定義、基幹スキンケアシリーズをリニューアル。

・費用効率化・固定費削減。

・開発・調達プロセスを見直し原価低減。

・チャネル最適化。

(DECENCIAブランド)

●プレステージブランドとしてのブランディング強化

・プロモーションを抜本的に見直し、プレステージブランドとしてのブランドエクイティ構築。

・スター商品を育成しブランド認知拡大。

 

(FUJIMIブランド)

●更なる事業拡大と黒字化

・新ブランドメッセージ発信、新商材としてスキンケアシリーズを発売し成長加速。

 

④ 経営基盤の強化

(研究開発)

●新価値創造に向けた独自の研究戦略、研究開発投資の強化

・シンガポール研究拠点へ研究員を派遣、新価値創造のインフラ構築。

・スタートアップへの出資・アライアンスで外部連携強化、研究開発・実用化のスピードアップ。

・TDC(Technical Development Center)が2024年稼働開始予定。

(海外組織体制)

●グローバル展開加速に向けて海外組織体制を再編

・各ブランドごとに独立した事業運営体制から、地域区切りの運営に変更。

・現地への権限移譲で意思決定を効率化、現地リソースの最大活用とオペレーション最適化を図る。

 

⑤ 新ブランド、「美」に関する領域拡張

●新規事業開発手法の複線化による、事業化のスピードアップ

・社内の起業志望の人材に対し、事業化テーマを提供して新規事業を創出。

・社外の起業家候補に対し、ビジネス立上げ段階でのシード投資。

・起業家人材獲得の強化。

●研究開発型スタートアップへのLP出資を通じ、アライアンス加速

・スタートアップの保有する有望技術と自社技術と融合しコア技術創出。

・実装フェーズにある外部技術を活用することで、開発・実用化の律速を解消。

 

2  【事業等のリスク】

当社グループの事業その他に関して、投資者の投資判断上重要であると考えられるリスクは、以下の通りです。なお、本項においては、将来に関する事項は、別段の表示がない限り、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業に係るリスク

①ブランド価値の毀損

当社グループは、「POLA」「ORBIS」等のマルチブランド展開を図っており、各ブランドは、誠実な企業経営とお客さまの信頼に応えた製品・サービスの提供により、ブランドイメージの形成とその維持向上に十分努めております。しかしながら、当社グループにおける研究開発・調達・製造・物流・広告/宣伝・販売・使用・廃棄に至るサプライチェーンへの否定的な評判や評価が世間に流布することによって信用が低下し、ブランドイメージが毀損された場合、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、近年では、企業のサプライチェーンにおける、強制労働や児童労働等の人権に関する問題が提起されており、化粧品事業を展開する当社グループとの関連性が高いものとして、インドネシアやマレーシアを調達先の中心としているパーム油を生産する農園での強制労働や児童労働は重大な人権課題として懸念しております。当社グループでは、今後、認証のパーム油を調達していくとともに、パーム油農園への支援の一環として、「持続可能なパーム油のための円卓会議:Roundtable on Sustainable Palm Oil(RSPO)」を通じたクレジットの購入やサプライチェーン認証を伴った認証品の調達を行ってまいります。また人権デュー・デリジェンスを毎年実施し、事業への影響も評価することで、実効性を確保した企業としての責任ある行動に取り組んでおります。

 

②グループ内の競合

当社グループは、マルチブランド・マルチチャネル戦略を掲げ、既存の各ブランド及び新規ブランドをターゲット(購買層)別・価格帯別・販売チャネル別にカテゴライズして展開しており、競合は軽微であると認識しております。しかし、グループ戦略として既存ブランドの価値最大化及びマルチブランド化への展開を加速させていく過程において、当社グループ内での競合が発生する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このことから、取締役会では、各ブランドの事業が意図した成果を得られていることが確認できるよう、ブランド別、事業別の重要指標を複数設定し、各ブランドにおける独自性の維持・管理の状況をモニタリングすることで、リスク低減に取り組んでおります。

 

③販売パートナー(ショップオーナー/マネージャー、ビューティーディレクター)の確保

当社グループのビューティケア事業の主軸となる株式会社ポーラでは、委託販売契約に基づく事業展開を行っております。委託販売契約先となる販売パートナーの人材確保は、事業拡大に向けた重要な事業活動の一つであり、恒常的に取り組んでおります。しかし、特定商取引に関する法律の規制強化や労働環境の変化があった際に、人材確保のための施策が困難になる場合や、ビューティーディレクター希望者の減少等から、十分な人材の手当が行えない可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、従来の委託販売契約に追加して、新たなパートナーシップの導入を進めており、今後も継続的に検討を進めてまいります。

 

④戦略的投資活動

当社グループは、アジア太平洋地域を中心とした海外展開、M&A及び新規事業に対し戦略的投資を行っております。戦略的投資活動の意思決定に際しては、必要な情報収集及び検討を実施しておりますが、予期し得ない環境変化等により、当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

また、事業用資産やM&Aに伴い計上されるのれん等の資産については、今後の業績動向によって、期待されるキャッシュ・フローを生み出さない場合は、減損損失を計上する可能性があります。このため、M&A対象会社に関する各種のデュー・デリジェンス及び企業価値並びに株式価値算出に際しては、外部の専門家を活用し、精度向上に努め、適切な買収プロセス及び適正な企業価値評価に努めてまいります。

 

 

⑤化粧品市場環境

国内化粧品市場は成熟期を迎えており、M&Aによる企業グループの再編、異業種からの新規参入、流通業及び小売業の提携・統合に伴う影響力の増大等、競争環境は厳しさを増しております。従って、当社グループが予期せぬ競争環境の変化に的確に対処できない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このため、特に中国、アジアを中心とした、海外市場の開拓を積極的に進める他、今中期経営計画では、新たな事業領域の開拓にも注力すること等に努めてまいります。

 

⑥研究開発

研究開発は当社グループの競争力の源泉のひとつであり、継続的に研究開発投資を行っております。年度研究開発計画に基づき、効果的・効率的な研究開発活動を行っておりますが、新製品の開発が長期にわたる場合、成果が翌期以降に及ぶことがあります。また、予定どおりの成果が得られない場合、期間の延長や投資額の増加を強いられる場合や、結果として製品化できない場合もあります。更に、製品化できた場合でも、様々な要因による不確実性が伴うため、必ずしもお客さまに受け容れられるとは限りません。

このように当初意図した成果が得られない場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。このことから、製品化に向けた開発期間の短縮及び確度向上を企図して、新研究開発拠点(Technical Development Center)の設置を計画し、2024年の稼働に向けて取り組んでおります。

 

⑦製造及び品質保証

製品生産に不可欠な原材料等は、購買を担当する部署の統括管理のもと、調達先を分散するとともに、調達先と良好な関係を保ち、常に適正な価格で必要量を調達できるよう努めております。しかしながら、外的要因により不測の事態が発生した場合は、必要な原材料の調達に支障が出る可能性があります。

また、当社グループの化粧品製造はポーラ化成工業株式会社の袋井工場(静岡県袋井市)、Jurlique International Pty. Ltd.のマウントバーカー工場(オーストラリアサウスオーストラリア州)の2ヶ所で行われており、品質管理基準に基づいた製品品質の維持及び向上に努めておりますが、万一製品の品質について何らかの問題が発生した場合は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの問題を未然に防止するため、グループ各社の品質保証担当者で構成した品質保証委員会では、グループ品質保証指針の策定、外注先監査結果の共有を行い、グループ品質保証体制の強化に取り組んでおります。

 

⑧海外での事業活動(グローバル経済の不安定等)

当社グループの主たる販売拠点は国内ですが、マーケットの拡大が期待されるアジア太平洋地域に展開しており、今後一層の拡大を目指しております。

これらの海外での事業活動におきましては、予期し得ない経済的・政治的な政情不安、労働問題、テロ・戦争の勃発、感染症の流行による社会的混乱等のリスクが潜在するため、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。これらのことから、各社現地法人や当社海外事業管理室による情報収集に加え、当社グループの経営及び事業を展開する上で重要な情報収集を行うMultiple Intelligence Research Center(MIRC)を設置し、世界中の情報をいち早く収集することで、早期のリスク認識によるリスク回避は勿論、機会認識することにより、既存事業の拡大や新事業領域の開拓、更には、他企業や異業種、大学や研究機関とのアライアンスの強化を進めており、中長期的な企業価値向上に資する活動に取り組んでおります。

 

⑨為替

当社グループでは、海外事業活動の展開により生じた、輸出入取引等の外貨建て決済や、海外子会社への貸付金について、為替レートの変動リスクを負っております。また、在外連結子会社の現地通貨建ての報告数値についても、連結財務諸表作成時に円換算することから、為替レートの変動が当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。このため、為替の動向を踏まえつつ、必要に応じて為替予約等のリスクヘッジをしております。

 

 

⑩知的財産権保護の限界

当社グループでは、知的財産権を確保する措置を講じておりますが、第三者による予測を超えた手段等により知的財産が侵害され、結果として技術の不正流用や模倣品の開発により、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性や、当社グループにおける認識の範囲外で、第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。このことから、グループの知的財産の管理及び戦略を専門とする知財・薬事センターを当社に設置し、国内外の活動拠点において、当社グループにおける特許権や商標権の確保といった知財戦略の策定と実行及び当社が保有する権利への不当な侵害の有無についてのモニタリングを実施しております。また、当社グループによる意図しない第三者の権利侵害を防止するため、社内審査等を実施しております。

 

⑪情報セキュリティ

当社グループでは、個人情報や研究開発情報等の機密情報の取扱いについては、情報セキュリティシステムの整備、CSR推進担当部署や各種委員会による社内規程の制定・教育を実施しております。また、内部監査の実施や外部機関を活用し、セキュリティシステムの脆弱性診断等を実施することでセキュリティ管理の徹底を図っております。しかしながら、何らかの原因によりこれらの情報が流出した場合には、当社グループに対する損害賠償請求の提起、信用失墜等が生じることにより、事業に悪影響が及ぶ可能性があります。昨今高まりを見せるサイバー攻撃等による情報漏洩リスクには、定期的にサーバへのアタックテストを実施する等、最新の防御体制を整えて対応しております。

 

⑫重要な訴訟

当連結会計年度において、当社グループに重大な影響を及ぼす訴訟等は提起されておりませんが、将来、重要な訴訟等が発生し、その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬災害等

当社グループの主たる生産拠点は、化粧品については、ポーラ化成工業株式会社の袋井工場であります。そのため、東海地方における大規模な震災、水害等が生じた場合、長期にわたって製品供給が不可能になる可能性があります。

更に、東海地方以外においても想定外の大規模震災や災害、事故等が発生した場合においては、原材料の調達、商品供給及び販売の中断等により当社グループの経営状態に影響を及ぼす可能性があります。このため災害発生に伴う一定期間の袋井工場操業停止や製品・原料調達困難を想定して、事業継続上重要な品目(グループ優先品目)を選定し製品や代替困難な原料のBCP在庫を確保しております。また、当社グループの主軸である株式会社ポーラ及びオルビス株式会社を中心に、販売する一部の商品の生産を外部の製造委託先に切り替える他、新研究開発拠点(Technical Development Center)にも、グループ優先品目に位置づけている主要製品の生産機能を持たせることで、リスク回避、分散化に向けて取り組んでおります。

 

⑭感染症の流行

社会的影響の大きな感染症の拡大が発生した場合、日々の活動でお客さまや取引先と直接対面する事業の特性を踏まえ、接客活動及び営業活動を自粛、又は販売店の営業停止等により、国内外において当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、緊急事態宣言が発出され、外出の自粛や移動の規制、時短営業等の措置が講じられた際は、対面型サービスを利用した消費行動は著しく制約を受けた一方で、EC等通信販売への購買シフトが顕著に進みました。当社グループも通信販売を主要な販売チャネルとして展開するオルビス株式会社や株式会社DECENCIAではデジタルマーケティングを一層強化し、対面販売を主要な販売チャネルとする株式会社ポーラ及び株式会社ACRO等においても、オフラインとオンラインの融合等を図るチャネル強化を実行し、更なる事業成長に向けて取り組んでまいります。

 

 

⑮気候変動

気候変動の深刻化が進むことで、自然災害の頻発化や、生態系の変化等の悪影響が想定され、当社グループにおいても、企業活動を行う上でのリスクとして、温暖化による化粧品商品選択の変化(サマー品、紫外線対策品へのシフト、清涼感促進商品の増加)の影響が生じる可能性があります。また洪水による河川や海浜沿岸の事業所・工場の操業停止、山火事(温暖化要因)頻発による近隣の事業所・工場の操業停止(主にオーストラリア)、調達が困難になる原料の増加により、製品の成分や処方変更を強いられる可能性があります。

化粧品の製造・販売を主たる事業として展開する当社グループでも温室効果ガス(CO2)の排出削減に取り組んでおります。SBT(Science Based Targets)に基づき、2029年までのCO2排出量の削減目標を定め、グリーン電力への切り替え等、具体的な対策を進めております。また、当社グループの役員を対象に支給する株式報酬(LTI)と連動させることで、気候変動課題の解決に向けた実効性の向上を図っております。

 

⑯国内人口の減少

人口減少により、化粧品市場に限らず、国内の多くの業種において今後はインバウンド需要等の影響を除いた国内需要の大幅な拡大が想定しづらく、事業の停滞等の悪影響を及ぼす恐れがあります。このことのから、当社グループでは、海外事業展開の加速を重点テーマに掲げ、海外ブランドのM&A、既存ブランドの海外展開を急加速させてまいりました。新中期経営計画(2021年~2023年)においても、引き続き、海外事業の利益ある成長をテーマに、重点市場である中国を中心に店舗、ECでの展開を強化してまいります。

また、人口減少による影響は業績のみに留まらず、事業運営に携わる人材獲得という点においても、悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響に端を発して、今後も進むことが想定される新しい生活様式への対応として在宅勤務制度の大幅な拡大や副業制度の導入等の働き方改革や雇用延長の無制限化の一部導入を行ってまいりました。今後も多種多様な働き方をグループ全社で促進し、労働力確保に注力してまいります。

 

 

(2) 業界に係るリスク

①法的規制等

ビューティケア事業     :医薬品医療機器法、食品衛生法、栄養改善法、保健機能食品制度等

委託販売・通信販売     :特定商取引に関する法律等

全般            :製造物責任法、特許法、消費者基本法、不当景品類及び不当表示防止法等

 

イ 医薬品医療機器法

当社グループの主たる事業領域において、化粧品及び医薬部外品を国内にて製造販売するためには、医薬品医療機器法に基づく製造販売業・製造業の許可を必要とし、当社グループの該当事業会社各社ではその許可を取得しており、法令の定めに基づき5年毎の更新その他必要な手続きを行っております。当社グループでは、医薬品医療機器法及び上記の関連法規制の遵守を徹底しておりますが、医薬品医療機器法第74条の2(許可の取消し等)等に抵触し、業務の全部もしくは一部の停止を命ぜられ、又は化粧品事業の製造・販売に関する厚生労働省からの許可を取り消された場合、あるいは、これらの法規制が変更された場合、また予測していない法規制等が新たに設けられた場合には、当社グループの事業活動が制限され、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(ビューティケア事業に係る主要な許可の取得状況等)

取得会社

許可の名称

有効期限

取消事由及び該当状況

株式会社ポーラ

化粧品製造業許可

(株式会社ポーラ流通センター)

2027年1月23日

(取消事由)

医薬品医療機器法に定められる事由に該当した場合

 

(該当状況)

上記取消事由に該当する事項はありません。

 

化粧品製造業許可

(株式会社ポーラ流通センター袋井作業場

2024年5月25日

 

医薬部外品製造業許可

(株式会社ポーラ流通センター)

2027年1月23日

 

医薬部外品製造業許可

(株式会社ポーラ流通センター袋井作業場

2024年5月25日

 

化粧品製造販売業許可

2027年5月13日

 

医薬部外品製造販売業許可

2027年5月13日

オルビス株式会社

化粧品製造販売業許可

2024年4月30日

 

医薬部外品製造販売業許可

2024年4月30日

ポーラ化成工業株式会社

化粧品製造業許可

2024年10月31日

 

医薬部外品製造業許可

2024年10月31日

 

化粧品製造販売業許可

2024年10月31日

 

医薬部外品製造販売業許可

2024年10月31日

 

 

ロ 特定商取引に関する法律(以下「特定商取引法」)

当社グループでは、特定商取引の関連法令の遵守に努めておりますが、当社グループにおいて販売パートナー(ショップオーナー/マネージャー、ビューティーディレクター)が特定商取引法に違反するような事態に至った際の社会的信用の失墜や、特定商取引法の改正により委託販売活動が著しく制限された場合等は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②原材料価格の高騰

当社グループでは、前述の通り、製品生産に不可欠な原材料等は、購買を担当する部署の統括管理のもと、調達先を分散するとともに、調達先と良好な関係を保ち、常に適正な価格で必要量を調達できるよう努めております。しかし、原油等素材価格の動向により、主要原材料の仕入価格が上昇した場合は、製品の製造原価も上昇し、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(3) 持株会社としてのリスク

当社は純粋持株会社であり、収入の大部分は当社が直接保有している子会社からの経営管理料及び受取配当となっております。このうち受取配当については、一定の状況下で、会社法等の規制等により、子会社が当社に支払うことのできる金額が制限される場合があります。また、子会社が十分な利益を計上することができず、当社に対して配当を支払えない状況が生じた場合等には、当社は株主に対して配当を支払えなくなる可能性があります。

 

(4) 公益財団法人ポーラ美術振興財団との関係について

公益財団法人ポーラ美術振興財団は、1996年5月、当社グループの元会長であった故鈴木常司が、「わが国の芸術文化の向上に寄与する」ことを目的に設立した財団法人であります。当社グループは、創業時より「美と健康に関わる事業を通じて社会に貢献すること」を企業理念としていることから、同財団に対して、設立当初よりその活動に賛同し、様々な支援(寄付の実施、美術館建設資金の借入に対する債務保証、学芸員等の人員を出向させる等の人的支援(注)、美術品の寄託(無償)等)を行ってまいりました。なお、寄付の実施及び債務保証は既に解消されており、今後もこれらの実施予定はありませんが、人的支援及び美術品の寄託(無償)等については今後とも継続する予定であります。

また、同財団は、期末日現在、当社株式78,616千株を保有しており、これは、発行済株式数の34.31%(議決権比率35.50%)にあたります。当社代表取締役会長鈴木郷史は同財団の理事長を兼務しておりますが、当社代表取締役会長を含む当社グループ関係者の理事は、同財団の保有する当社株式に係る議決権行使については関与しない方針です。

(注)出向者の人件費相当額については、同財団が負担しております。

 

 

3  【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要は次の通りであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が未だ収束を見せないながらも、経済正常化に向けて徐々に動きを取り戻しつつあり、経済社会活動の本格的な再開と経済活性化が期待される状況ですが、更なる変異株の検出や流行、また、ウクライナ情勢の緊迫化や急激な為替変動、資源・エネルギー価格の高騰等、先行きの不透明感は以前より増す中で推移いたしました。

国内化粧品市場においては、行動制限が緩和された影響が大きく、特に新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大以降、著しく低迷していたメイクアップ品需要の大幅な回復がありました。また、チャネル面でも行動制限の緩和が作用し、対面型サービスの需要が徐々に回復を果たしておりますが、いずれも新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大以前の水準に回復するまでには至っておりません。当社グループが得意とするスキンケア品については、コロナ禍においてもオンラインチャネルを中心に需要を維持してきましたが、オンラインサービスが化粧品市場全体を牽引する一方で、マーケティング費用が高騰する等競争環境の激化も進んでおります。コロナ禍による行動変容が生じてから、現在のライフスタイルが一般化した状況を受けて、オンライン、オフラインそれぞれで提供価値の見直しやこれらを融合させた新サービスの拡大等、より一層の工夫が求められる状況にあります。

海外化粧品市場においては、国・地域によるばらつきを伴いつつも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の混乱から経済は回復傾向にありましたが、ロシアのウクライナ侵攻に端を発したエネルギー価格の高騰や高インフレの常態化が広範にわたって見られる等、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の脅威以外にも経済・消費を下押しする様々な圧力が先行きの不透明感を助長しております。当社グループが重点市場に定めている中国市場においては、昨年末から新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が再流行を見せ、ゼロコロナ政策の長期化が経済・消費の重石となりました。今後も新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への対応に加え、物価・エネルギー価格高騰の影響等を注視していく必要があります。

このような市場環境のもと、2021年からスタートした中期経営計画(2021年~2023年)に基づき、「国内ダイレクトセリングの進化」「海外事業の利益ある成長」「育成ブランドの利益貢献」「経営基盤の強化」「新ブランド、“美”に関する領域拡張」を重点テーマに掲げ、取り組んでまいりました。

以上の結果、当連結会計年度における業績は次の通りとなりました。

売上高は、前年同期比6.9%減166,307百万円となりました。営業利益は、売上高減による売上総利益減少により、前年同期比25.5%減12,581百万円、経常利益は為替差益2,355百万円の計上により、前年同期比21.3%減14,928百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は無形固定資産の減損損失を計上した一方で、子会社の清算を決議したことに伴う法人税等調整額の減少により、年同期比2.5%減11,446百万円となりました。

 

[業績の概要]

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

前年同期

増減額(百万円)

増減率(%)

売上高

178,642

166,307

△12,334

△6.9

営業利益

16,888

12,581

△4,306

△25.5

経常利益

18,968

14,928

△4,040

△21.3

親会社株主に帰属する
当期純利益

11,734

11,446

△287

△2.5

 

 

 

 セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。

 

[セグメント別の業績]

売上高(外部顧客への売上高)

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

前年同期

増減額(百万円)

増減率(%)

ビューティケア事業

174,150

161,654

△12,495

△7.2

不動産事業

2,112

2,083

△29

△1.4

その他

2,379

2,569

189

8.0

合 計

178,642

166,307

△12,334

△6.9

 

 

セグメント利益(営業利益)

 

前連結会計年度
(百万円)

当連結会計年度
(百万円)

前年同期

増減額(百万円)

増減率(%)

ビューティケア事業

17,060

13,793

△3,267

△19.2

不動産事業

488

491

2

0.6

その他

70

96

26

37.4

セグメント利益の調整額
(注)

△731

△1,800

△1,068

合 計

16,888

12,581

△4,306

△25.5

 

(注) セグメント利益の調整額とは、グループの内部取引に伴う利益及びセグメントに含まれない経費等を連結時に消去・加算した金額であります。なお、セグメント利益の調整額の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等) 3 報告セグメントごとの売上高、利益又は損失、資産その他の項目の金額に関する情報(注2)」をご覧ください。

 

(ビューティケア事業)

ビューティケア事業は、基幹ブランドとして「POLA」「ORBIS」を、海外ブランドとして「Jurlique」を、育成ブランドとして「THREE」「DECENCIA」「Amplitude」「ITRIM」「FIVEISM×THREE」「FUJIMI」を展開しております。

POLAブランドでは、エイジングケア・美白を中心とした高機能商品の投入により、更なるブランド価値の向上、中長期的な顧客基盤構築を進めております。国内事業では、オンラインとオフラインのチャネル融合(OMO:Online Merges with Offline)を図り、新規顧客の獲得と定着、顧客LTVの向上に、海外事業では、成長市場である中国及びトラベルリテールにそれぞれ注力しております。国内事業では、コロナ禍でも市場成長が続くECチャネルにおいて、オンラインカウンセリング、ライブコマースを強化し、顧客コミュニケーションの向上に取り組みました。同チャネルは新規顧客の獲得とオフライン店舗への誘導というOMO施策において重要な役割を担っており、EC既存顧客の増加に加え、PS事業(百貨店事業)での売上成長を果たす等、チャネルシームレスでの顧客定着が徐々に進んでおりますが、委託販売チャネル(対面型販売)での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によるビューティーディレクターの稼働率低下及び顧客数減少の影響をカバーするに至っておりません。海外事業では、重点地域である中国及びトラベルリテール市場における中長期的なブランドコントロールに重点を置き、割引価格での販売やGWP(Gift With Purchase)によるオファー、CtoC市場への商品流通等を抑制することで、ブランドロイヤリティの維持・向上を進めております。また、顧客別のパーソナルコミュニケーションの深化とECシフト加速に向けて、ターゲットとの親和性の高いプラットフォームでのプロモーションを強化し、新規顧客の獲得とLTVの拡大を図りましたが、長引くゼロコロナ政策の影響を大きく受けております。以上の結果、POLAブランドは前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。

ORBISブランドでは、高収益事業へと再成長を遂げるため、ブランド差別性の創出によるプレゼンス、顧客ロイヤリティの向上と、エイジングスキンケアシリーズ「オルビスユー」を中心に据えたシワ改善・美白ケア等、スキンケア顧客の拡大を進めております。国内事業では、ブランド体験の基軸となるワンストップアプリを更に進化させ、ユーザーが能動的にブランド接触頻度を高めるオルビス独自のCRMによりコミュニケーション改革を進めております。アプリのダウンロード数は前年から2桁伸長を果たしており、顧客稼働率は前年を上回る実績となりました。減少が続いていた顧客数については、前年同期の水準を回復するまでには至っていないものの、第4四半期以降は改善傾向にあります。海外事業では、重点市場である中国での事業に投資を集中し、引き続き顧客接点の拡大によるブランド認知率の向上に取り組んだ結果、中国での2桁成長を実現しましたが、国内事業における顧客数減少の影響が大きく、ORBISブランドは前年同期を下回る売上高・営業利益となりました。

 Jurliqueブランドでは、引き続き、豪州及び中国とアジアを中心としたトラベルリテール市場での事業成長に向けて取り組みを進めております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を特に受けた香港を除くと、全ての地域で前年同期を上回る売上高となったことに加えて、費用面でも積極的な固定費の削減に取り組んだ結果、営業損失も改善する結果となりました。

 H2O PLUSブランドは、米国を中心に化粧品の製造・販売を行ってまいりましたが、同社を取り巻く事業環境は厳しく、計画を下回る業績で推移したこと、また、ビューティケア事業におけるブランドポートフォリオの改革と更なる収益性向上を目指す一環として、2022年4月28日付でH2O PLUSブランドが展開する全事業から撤退することを決定しております。

育成ブランドでは、オフライン店舗を主力チャネルとするTHREEブランドの不調がありましたが、FUJIMIブランドを前年4月に完全子会社化した影響による売上の成長により、育成ブランド全体では前年同期を上回る売上高となりました。また、各ブランドにおいて厳格な費用コントロールを実施したことが奏功し、営業損失も改善しております。

以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は161,654百万円前年同期比7.2%減)、営業利益は13,793百万円前年同期比19.2%減)となりました。

 

(不動産事業)

不動産事業では、都市部のオフィスビル賃貸を中心に、魅力的なオフィス環境の整備による賃料の維持向上と空室率の低下に取り組むとともに、子育て支援に特化した賃貸マンション事業も展開しております。当連結会計年度は、コロナ禍によるオフィス需要の低下により、前年同期を下回る売上高となりましたが、積極的な費用削減に取り組んだことで前年同期を上回る営業利益となりました。

以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は2,083百万円前年同期比1.4%減)、営業利益は491百万円前年同期比0.6%増)となりました。

 

(その他)

   その他に含まれている事業は、ビルメンテナンス事業であります。

 ビルメンテナンス事業は、主にビルの運営管理を行っております。当連結会計年度は、契約数の増加により、売上高、営業利益ともに前年同期を上回る結果となりました。

以上の結果、売上高(外部顧客に対する売上高)は2,569百万円前年同期比8.0%増)、営業利益は96百万円前年同期比37.4%増)となりました。

 

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,104百万円減少し、205,935百万円前連結会計年度末比1.0%減)となりました。主な増減項目は、建設仮勘定の増加4,793百万円、投資有価証券の増加4,044百万円、繰延税金資産の増加4,445百万円により増加し、一方で現金及び預金の減少9,106百万円、有価証券の減少2,153百万円、原材料及び貯蔵品の減少957百万円、のれんの減少2,366百万円により減少しております。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ296百万円減少し、34,476百万円前連結会計年度末比0.9%減)となりました。主な増減項目は、契約負債の増加5,437百万円、資産除去債務の増加875百万円により増加し、一方で未払金の減少1,541百万円、退職給付に係る負債の減少1,549百万円により減少しております。

純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,808百万円減少し、171,459百万円前連結会計年度末比1.0%減)となりました。主な増減項目は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上11,446百万円により増加し、一方で剰余金の配当11,516百万円、為替換算調整勘定1,302百万円の減少により減少しております。

 

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ9,131百万円減少し、62,562百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次の通りであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、15,548百万円の収入前年同期比34.8%減)となりました。

主な要因は、税金等調整前当期純利益12,311百万円、減価償却費8,482百万円並びに減損損失2,539百万円、契約負債の増減額1,487百万円により資金は増加し、一方で退職給付に係る負債の増減額986百万円、為替差損益2,174百万円、その他の負債の増減額1,584百万円、法人税等の支払額5,695百万円により資金は減少しております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、12,370百万円の支出前年同期比468.9%増)となりました。主な要因は、有価証券の売却及び償還による収入10,200百万円により資金は増加し、一方で、有価証券の取得による支出2,000百万円、有形固定資産の取得による支出7,482百万円、無形固定資産の取得による支出3,917百万円、投資有価証券の取得による支出9,907百万円により資金は減少しております。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、12,668百万円の支出前年同期比39.2%増)となりました。主な要因は、リース債務の返済による支出1,136百万円、配当金の支払額11,518百万円によるものであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

自己資本比率(%)

77.0

83.9

83.2

83.1

83.0

時価ベースの自己資本比率(%)

268.5

254.5

227.4

203.9

199.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.1

0.1

0.1

0.1

0.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

510.0

251.1

264.6

264.1

168.6

 

 

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注)1  いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

   2  株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

   3  キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。

   4  有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象
  としております。

 

 

③生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

ビューティケア事業

25,866

△3.2

合計

25,866

△3.2

 

(注) 1  金額は製造会社販売価額によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

2  不動産及びその他事業については、生産活動を行っておりません。

 

(受注実績)

重要な受注生産を行っておりませんので記載を省略しております。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

 

セグメントの名称

 販売高(百万円)

前年同期比(%)

ビューティケア事業

161,654

△7.2

不動産事業

2,083

△1.4

その他

2,569

+8.0

合計

166,307

△6.9

 

(注)   セグメント間取引については相殺消去しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、その作成には経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。この判断及び見積りに関しては過去の実績等を勘案し合理的に判断しております。しかしながら、実際の結果は、見積り特有の不確実性が伴うことから、これら見積りと異なる可能性があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積り及び仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

 イ 売上高

当連結会計年度の売上高は166,307百万円前年同期比6.9%減)となりました。セグメントごと(セグメント間取引を除く)に見ると、ビューティケア事業で161,654百万円前年同期比7.2%減)、不動産事業で2,083百万円前年同期比1.4%減)、その他の事業で2,569百万円前年同期比8.0%増)となりました。ビューティケア事業における減少の主な要因は、POLAブランド、ORBISブランドの顧客数減による減収や、POLAブランドの韓国免税向け出荷抑制によるものであります。

 

   ロ 売上総利益

当連結会計年度の売上総利益は、売上高の減少に伴い、前連結会計年度より14,651百万円減少し、135,270百万円前年同期比9.8%減)となりました。

 

 ハ 販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より10,344百万円減少し、122,688百万円前年同期比7.8%減)となりました。変動費であるPOLAブランドの販売手数料が減少した他、全社的なコスト合理化に取り組んだものの、売上高減少による固定費負担の影響が増加したことにより、売上高に対する比率は前年を上回っております。

 

 ニ 営業利益

営業利益は、前連結会計年度より4,306百万円減少し、12,581百万円前年同期比25.5%減)となりました。前述の売上高減による売上総利益減少によるものであります。

 

 ホ 経常利益

経常利益は、前連結会計年度より4,040百万円減少し、14,928百万円前年同期比21.3%減)となりました。前述の営業利益の減少が主な要因です。

 

 ヘ 税金等調整前当期純利益

税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度より5,300百万円減少し、12,311百万円前年同期比30.1%減)となりました。主に前述の経常利益の減少に加えて、特別損失としてFUJIMIブランドののれん減損損失の計上及びH2O PLUSの清算に伴う損失を計上した影響により、前年を下回っております。

 

 ト 法人税等

法人税等は、前連結会計年度より5,017百万円減少し、804百万円前年同期比86.2%減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が減少したものの、H2O PLUSの清算に伴い法人税等調整額の減少を計上した影響であります。

 

 チ 親会社株主に帰属する当期純利益

以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より287百万円減少し、11,446百万円前年同期比2.5%減)となりました。

 

(財政状態)

当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ2,104百万円減少し、205,935百万円となりました。

当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ296百万円減少し、34,476百万円となりました。

当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ1,808百万円減少し、171,459百万円となりました。

主な増減内容については、『(1)経営成績等の状況の概要』に記載の通りであります。

以上の結果、財務指標としては、流動比率が前連結会計年度末の513.5%から455.7%に低下し、自己資本比率が前連結会計年度末の83.1%から83.0%に低下しております。

 

 

(経営戦略の現状と見通し)

経営戦略の現状と見通しについては、『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』にて報告しております。

 

(資本の財源及び資金の流動性についての分析)

当社グループは、事業継続に必要と考える資金は確保していると認識しております。今後の資金使途につきましては、新価値創出に向けた研究開発投資、店舗の出店・リニューアルや生産性向上のための設備投資、M&Aを含む新規ブランドの創出・育成に取り組むことで、将来のキャッシュ・フローの創出を目指します。なお、キャッシュ・マネジメント・システムを導入し、子会社における資金業務を当社に集中させることにより、当社グループ全体の資金効率化を図っております。

事業資金と余剰資金については、それぞれ資金運用管理規程及び資金運用管理基準をもとに運用しております。当連結会計年度末の現金及び預金残高は63,318百万円と前連結会計年度末に比べ9,106百万円減少しております。

 

(経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

2021年から始まった今中期経営計画は、短中期の課題解決を通じ、長期的な成長に繋がる基盤の構築とコロナ禍以前(2019年)の売上高・営業利益水準の回復を目指し、取り組んでおります。2023年の経営指標は売上高は2,050億円~2,150億円とし、営業利益は営業利益率12%以上の達成を掲げ、また、ROEについては9%以上を目標に置き、配当性向は引き続き60%以上としてまいりましたしかしながら、想定に対して新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響からの回復の進捗が遅れており、経営指標の達成は難しい状況です。

次期(2023年12月期)の業績見通しにつきましては、重点戦略の着実な実行及び新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の再拡大の他、世界中が抱えるインフレの状態化や金融市場の混乱等に伴う経済の下押しリスクを勘案し、売上高180,000百万円(前年同期比8.2%増)、営業利益15,100百万円(前年同期比20.0%増)、経常利益15,100百万円(前年同期比1.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益10,000百万円(前年同期比12.7%減)を見込んでおります。『経営方針、経営環境及び対処すべき課題等』に記載の重点戦略に取り組み、目標とする経営指標の達成を目指してまいります。

 

 

4  【経営上の重要な契約等】

(1)委託販売契約

当社グループのビューティケア事業の主要子会社である株式会社ポーラでは、委託販売を主力として展開しており、全国の販売パートナーと委託販売契約を締結しております。

契約会社名

相手先の名称

契約内容

契約期間

株式会社ポーラ

ショップオーナー/マネージャー
(個人事業主)
 

株式会社ポーラが商品の販売を委託したショップオーナー/マネージャーと、各ショップオーナー/マネージャーから販売の再委託を受けたビューティーディレクターが、お客さまに商品を販売し、同社は、ショップオーナー/マネージャー及びビューティーディレクターに、それぞれの販売実績に応じた販売手数料を支払う旨を主に定めた委託販売に関する基本契約

契約日より1年間(1年毎の自動更新)

 

 

(当社連結子会社における契約)

契約会社名

契約先

契約内容

契約期間

株式会社ピーオーリアルエステート

鹿島建設株式会社

工事の請負

2021年3月30日~

2024年1月22日

ポーラ化成工業株式会社

株式会社竹中工務店

工事の請負

2021年10月25日~

2023年12月28日

 

 

5  【研究開発活動】

当社グループでは、グループの長期的発展の成長エンジンとなる新価値創出を加速するべく、主として当社及びビューティケア事業において、研究開発活動を行っております。

商品やサービスという形で最新の美容理論、効果の高い独自素材をお客さまに提供できるよう、技術面で牽引することを研究開発方針としております。

研究開発活動の成果は、IFSCC(国際化粧品技術者会連盟)をはじめとする各種国際学会や学術誌、各ブランドが開催する新製品発表会等において、独自性の高い研究内容が注目され、高い評価を得ております。

その結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は4,686百万円となりました。

 

セグメントごとの研究開発活動は、以下の通りであります。

 

(1)当社(全社費用)

グループ全体の研究統括機能を担う当社の「MIRC(Multiple Intelligence Research Center)」では、化粧品の枠を超えた新価値創出を狙い、研究戦略、研究成果のグループ最適配分、及び技術に立脚した新規事業開発を担っております。また、イギリスに拠点を置くSTYLUS社等、企業や大学と連携しながら世界の次世代ニーズや美の情報を収集するとともに、オープンイノベーションの促進や投資案件を探索しております。共同研究や協業は、「MIRC」及びビューティケア事業の研究の実行を担う「FRC(Frontier Research Center)」において、中国の大手製薬企業の雲南白薬社やペプチドリーム株式会社、ANAホールディングス株式会社をはじめとするパートナーとの間で、約20件が進行しております。

当連結会計年度における研究開発費の金額は625百万円となりました。

 

(2)ビューティケア事業

主たる研究開発は、ポーラ化成工業株式会社にて実施しております。「FRC」では、「MIRC」で決定した中長期的な研究戦略に基づいて、Science、Life、Communicationの3つの重点研究カテゴリを設定し、化粧品の基礎研究だけでなく、化粧品の枠を超える新価値創造に向け、最先端科学の深耕・新領域の開拓を行っております。また、製品開発に特化した製品設計開発部では、新原料成分や剤型の検討、製品設計・開発、製品の安全性、安定性、有効性評価、品質確保を担当し、お客さまのニーズに迅速に応え、精度の高い製品づくりを進めております。なお、研究・開発・生産を連動させた新たな技術開発拠点として「新剤型研究機能の強化」と「高付加価値商品の生産機能」を担う「TDC(Technical Development Center)」を、2024年を目途に新設予定です。

Jurliqueブランドの製品に関しては、Jurlique International Pty. Ltd. のサウスオーストラリア州マウントバーカーで研究開発を行っております。「農園から生まれる化粧品」に重点を置き、自社農園にてバイオダイナミック無農薬有機農法で育てた植物から独自の方法で成分を抽出することで、ピュアでパワフルな化粧品の開発を行っております。

当連結会計年度における研究開発費の金額は、4,060百万円となりました。