① 経営環境
2022年の序盤は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会的・経済的停滞から、緩やかな回復基調にあったところ、2月以降のウクライナ危機を契機に、安全保障環境の緊迫化、国際関係における資源・エネルギーの戦略的利用、エネルギーの需給ひっ迫と価格高騰、大幅な円安の進行、物価の高騰等、国際社会経済が不安定化し先行きが一層不透明な状況となりました。さらに、中国におけるゼロコロナ政策の維持、米国その他の主要国におけるインフレ抑制と利上げ等により、世界経済の回復・成長の見通しは足元において見通しが困難な状況です。しかし 、中長期的には世界の人口の拡大、新興国を中心とした経済成長等により、エネルギー需要は持続的に増加する基調は変わらないものと想定しております。このうちエネルギーの過半を占める石油・天然ガス需要については、世界経済の回復・成長に伴い、増加基調となるものと考えられ、中長期的にも、基調としてはアジアを中心とする堅調な需要が見込まれると考えております。また、石油・天然ガスは平時のみならず緊急時の燃料供給に貢献する点で、国民生活・経済活動に不可欠なエネルギー源と認識しております。
日本では、安定的なエネルギー供給確保のための石油・天然ガスの自主開発比率の向上が継続的な課題となっております。日本政府は、2021年決定した第6次エネルギー基本計画において、石油・天然ガスの開発・生産・輸送はエネルギー安全保障上引き続き非常に重要な位置を占めるとの認識のもと、自主開発比率(2021年度の実績は約40%)目標を、2030年に50%以上、2040年には60%以上に引き上げました。
他方、2021年、第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)以来、気候変動対応のため、産業革命前からの平均気温上昇を2℃未満に抑え、さらに1.5℃に抑える努力をする長期目標の実現に向けた取組みの強化が進められています。また、EU、英国、日本等の主要国をはじめ、各国で2050年に向けて温室効果ガスの排出量を実質ゼロとする、いわゆる「ネットゼロ目標」が表明されています。新型コロナウイルス感染症の影響からの経済回復、エネルギー安全保障、気候変動対応を同時に進める政策や、社会構造の省エネルギー化・クリーン化に向けた政策が展開されつつあります。こうしたネットゼロカーボン社会に向けた議論の進展により、カーボンニュートラルへの対応の緊要性が増すものと考えております。日本政府も「2050年カーボンニュートラル」を宣言し、温室効果ガス削減目標を掲げている中、水素・アンモニア・CCUS等の石油・天然ガス上流事業のクリーン化及び再生可能エネルギーの導入促進等、カーボンニュートラルを見据えた取組みが大きく加速しているとの認識です。
② 経営方針
当社は、昨年2月に「長期戦略と中期経営計画(INPEX Vision @2022)」(以下、「INPEX Vision @2022」)を発表いたしました。「INPEX Vision @2022」におきましては、経営環境の変化を踏まえつつ、2030年及び2050年に向けた当社の長期戦略をお示しするとともに、2022年から2024年までの3年間の中期経営計画を策定し、当面の具体的な取組みと目標をお示ししております。
ネットゼロカーボン社会に向けた国内外における様々な変化は、当社にとって新たな挑戦であると同時に、更なる飛躍の機会と捉えております。今後、当社はこの「INPEX Vision @2022」に基づき、以下の経営方針のもと、我が国及び世界のエネルギー需要に応えつつ、2050年ネットゼロカーボン社会の実現に向けたエネルギー構
造の変革に積極的に取り組んでまいります。
1.石油・天然ガス分野
石油・天然ガス分野を引き続き基盤事業と位置づけ、コアエリアへの選択と集中、天然ガスシフト、事業の強靭化とクリーン化の3点を基本戦略として、それらを一体で進めることで、エネルギーの安定供給と気候変動への責任ある対応という二つの社会的責任を果たしてまいります。当社は、従来、石油・天然ガス分野を対象としてコアエリアを選定していましたが、今回より、各地域に当社が持つアセット、ネットワーク、技術力等を基盤として、石油・天然ガスとネットゼロ5分野全体のコアエリアとして再設定を行い、両者のシナジーを追求していきます。
第一に、新たに選定した豪州、アブダビ、東南アジア、日本、欧州という5つのコアエリアに対して資金・人材等のリソースを集中させ、事業効率の向上とシナジーの発揮を目指します。コアエリア以外については、バランスの取れたポートフォリオ構築の観点から、収益性や将来性を踏まえて売却も含めて検討します。
第二に、当社はエネルギートランジションが進展する中にあっても天然ガスの重要性は引き続き高いものと見ており、当社ポートフォリオにおけるガスの比率の向上を目指したいと考えております。そのため、天然ガスへの投資比率を現在の50%程度から将来的に70%程度に引き上げ、アジア、オセアニアを中心に規模の拡大を図ります。また、将来の水素やアンモニアプロジェクトへの事業の転換や拡大についても検討いたします。油田開発については、早期生産、早期コスト回収、低CO2排出を重視し、厳選していきます。
第三に、強靭化については、需要減少や低油価環境下においても収益を確保できる競争力あるプロジェクトポートフォリオとしていくことを目指し、徹底的なコスト削減を図るとともに、デジタル技術の活用等による生産性向上を推進します。また、クリーン化については、CCS・CCUSの導入、ゼロフレア実現、再エネ電力の活用、森林クレジットの活用などによりプロジェクトの低炭素化を徹底して進めます。
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豪州 |
オペレータープロジェクトであるイクシスプロジェクトにおいて、当初の想定より早いペースで、ほぼ所期の生産量を継続できる状態になりました。現在の年間LNG生産能力890万トンを930万トンに引き上げた上で安定生産を継続できる体制を2024年までに構築できるよう生産プロセスの改善を実施します。また、長期的な生産量維持を確実にするため、周辺鉱区における探鉱及び既発見アセットへの参入を通して追加開発を行い、イクシス既存生産設備へ繋ぎこみを今後加速します。その進捗も踏まえつつ、長期的には2030年頃からのさらなる生産能力拡張も検討しています。 |
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アブダビ |
2030年に原油生産能力として、日量500万バレルの達成を目標とする全体の増産計画を踏まえ、当社グループがアブダビで参画する油田群の生産能力増強の早期実現を目指します。新規探鉱事業であるOnshore Block4では、2021年に掘削した試掘第1号井で発見した複数の油ガス層の評価作業を進め、早期の生産開始に取り組みます。また増産計画と併せて、生産コストの更なる削減を目指し、デジタル・トランスフォーメーションの導入等を推進するとともに、GHG排出原単位の削減に向け、CO2EOR能力の強化をADNOCとともに進めてまいります。 |
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東南アジア |
アバディプロジェクトについては、事業環境の変化を踏まえて最善の形でプロジェクトを実現すべく、経済性強靭化とクリーン化を主たる修正内容とした開発計画の再改定に向けてインドネシア政府や関係機関と交渉を継続しており、2023年中の承認取得を目指します。これに伴い、2020年代後半のFID、2030年代初頭の生産開始を目標としています。また、アジアにおけるエネルギートランジション促進を目的に更なる天然ガス資源を獲得すべく、ベトナム・マレーシア等において、探鉱・M&Aを推進します。 |
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日本国内 |
2022年度、南関原における天然ガス探鉱を実施し、その結果を踏まえて早期の天然ガス資源の開発を目指します。ガス供給インフラに関しては、新東京ラインの延伸等を行い、約1,500kmのパイプラインによる供給体制の強靭化を図ります。また、直江津LNG基地においては、ガスシフトの推進による需要増加への対応のほか、水素やアンモニアのプロジェクトの推進に合わせて、設備拡張を検討します。 |
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欧州 |
新たに取得したスノーレ油田などの生産鉱区を含むノルウェーのアセットをプラットフォームとして、保有鉱区における既発見未開発油ガス田の開発及び周辺探鉱機会の追求により事業を拡大し、さらなる価値向上を目指します。ノルウェーは石油・天然ガス事業における低炭素化の取組みにおいて先進地域であり、スノーレ油田における浮体式洋上風力発電施設の建設を進めるなど、プラントにおいて再生可能エネルギーによる電力を使用することで天然ガスなどの操業に必要な燃料の使用を減らし、操業の低炭素化を推進します。 |
2.ネットゼロ5分野
ネットゼロカーボン社会に向け、気候変動対応目標を定めるとともに、5つの事業を強力に推進します。
<気候変動対応目標及びその進捗>
気候変動に関するパリ協定目標の実現に貢献すべく、2050年自社排出ネットゼロカーボン等を目指す気候変動対応目標を定めます。具体的な目標は、「2050年絶対量ネットゼロ(Scope1+Scope2)」「2030年原単位30%以上低減(Scope1+Scope2、2019年比)」「Scope3の低減」です※1。目標達成に向け、CO2地下貯留・活用(CCUS)や森林保全によるCO2吸収等に取り組み、石油・天然ガス分野全体のCO2低減を強力に推進していきます 。
「中期経営計画 2022‐2024」においても、排出原単位を更に4.1kg/boe以上低減することを事業目標として立てています。2022年排出原単位は、2019年比で約30%(2022年12月時点の確認可能な暫定値)低減しており、継続して各種低減策の実行に取り組みます。
※1 Scope1~3の定義は以下のとおり。
Scope1:報告企業が所有又は管理する発生源からの直接排出量
Scope2:報告企業が購入し消費する電力、蒸気、熱及び冷却からの間接排出量
Scope3:報告企業のバリューチェーンで発生するその他すべての間接排出量
<5つの事業>
1.水素事業の展開
2030年頃までに3件以上の事業化の実現、及び年間10万トン以上の生産・供給を目標として設定し、その実現に向けた取組みを進めます。
・国内においては、新潟県柏崎市での水素・アンモニア製造・利用一貫実証を推進し、2024年中の運転開始を目指すとともに、この実証での成果を元に、2030年頃までに、新潟県における商業規模のブルー水素製造を目指します。
・海外においては、アブダビにおけるクリーンアンモニア製造事業を引き続き推進し、大規模なクリーンアンモニア供給を2020年代後半から実現することを目標とします。
・豪州・アブダビ・インドネシア等において、事業性検討や他社との協業による事業拡大を推進し、さらなるクリーン水素プロジェクトの立ち上げ・参画を目指します。
2.石油・天然ガス分野のCO2低減(CCUS推進)
2030年頃にCO2圧入量年間250万トン以上という目標を設定し、その実現に向けた技術開発・事業化を推進することで、CCUS分野におけるリーディングカンパニーとなることを目指します。
・国内では、南阿賀油田においてCO2-EORの実証試験を2023年までに開始し、開発中のEOR効率改善技術の確立を図り、CCUS技術の拡大と、海外油田でのEOR技術の展開を推進します。
・海外では、豪州イクシスLNGプロジェクトにおいて2020年代後半にCCSを導入し、第一段階として年間200万トン以上のCO2圧入開始を目指すとともに、ダーウィン地域でのCCSハブ事業に主導的役割を果たしていきます。また、アブダビにおいて、ADNOCとともに、アブダビ陸上鉱区の現状年間80万トンのCCUS能力の増強を目指します。
3.再生可能エネルギーの強化と重点化
洋上風力・地熱発電事業を中心に、1-2GW規模の設備容量確保を目標に、M&A等により取得したアセットをプラットフォームとして事業を加速的に拡大し、主要なプレイヤーとなることを目指します。
・風力事業については、2021年12月にオランダ洋上風力事業のルフタダウネン、ボルセレⅢ/Ⅳの株式を取得することに合意しました。また2021年6月には長崎県五島沖において国内初となる浮体式洋上風力事業の選定事業者に決定されました。これらの事業参入を機会として、風力事業の知見を蓄積し、今後、国内外で浮体式洋上風力のメインプレイヤーとなるべく注力していきます。
・地熱事業については、インドネシアでの開発を進め、2021年12月に参画したムアララボ地熱発電事業の追加開発に関する検討を進めていきます。また国内についても、小安において、建設段階への移行を決定しております。さらに、発電事業だけではなく、次世代型の地熱開発技術の開発など、多様な事業検討を積極的に進めていきます。
4.カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓
メタネーション※2の社会実装を推進し、2030年を目途に年間6万トン程度の合成メタンを当社パイプラインで供給することを目指すとともに、更なる発展を追求します。
・メタネーションについては、昨年までに新潟県長岡市の当社長岡鉱場の越路原プラントにおいて小規模メタネーション設備を設置し実証試験を行ってまいりました。今後はさらにスケールアップした実証設備を設置し、2025年までに当社ガスパイプライン経由で需要家への供給を予定しています。さらに、その発展として、2030年頃を目途に豪州において、商業規模のメタネーション設備を建設し、当社LNGバリューチェーンを用いて、合成メタンを国内の需要家に当社のガスパイプライン経由で届ける予定です。
・人工光合成技術※3について、「ARPChem(アープケム:人工光合成化学プロセス技術研究組合)」の一員として、ソーラー水素と呼ばれる太陽光による水の直接分解技術の技術開発を担当しており、豪州ダーウィンの実験サイトにてテストプラントを設置し、2021年に約12か月の実験運転を実施しました。これは、日照量が多いサンベルト地域に設置された世界で初めてのソーラー水素生成プラントであり、今後、より高効率化、長寿命化による実用化を目指します。
・また新分野事業として、メタン直接分解、ドローン技術等に注目して取り組んでおります。
※2 再エネ電力を用いて、水を電気分解し水素を生産する。これと石炭火力発電所等から排出される高濃度CO2や、当社の天然ガス生産時の随伴CO2を、CO2-メタネーションシステム(メタネーション触媒)によってメタンに変換する。
※3 人工光合成パネルの表面に設置された光触媒を用いて、太陽光により水を酸素と水素に分解し、発生した水素を燃料・原料などに利用する。
5.森林保全の推進
森林保全によるCO2吸収を目的とした事業を支援から事業参画へ強化・拡充していきます。
・2021年より、リンバラヤの事業支援を始めるとともに、顧客向けカーボンニュートラルLNG(生産から消費までのCO2排出を実質ゼロとしたLNG)等の販売を進めています。
・長期的、安定的に森林クレジットを確保することが重要と考えており、リンバラヤと同様に優良なREDD+等の事業を支援してクレジットを確保することに加えて、事業自体にパートナーとして参画していくことを目指します。
以上の取組みにより、エネルギーの安定供給とネットゼロカーボン社会への対応を推し進め、経済・社会の発展に貢献してまいります。
なお、本項の記載中、将来に関する事項については、別途記載する場合を除いて本書提出日現在での当社グループの判断であり、今後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。
以下には、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主要な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要と考えられる事項については、投資家及び株主に対する情報開示の観点から積極的に開示しております。なお、以下の記載は、当社グループの事業上のリスクをすべて網羅するものではありません。
また、本項の記載中、将来に関する事項については、別途記載する場合を除いて本書提出日現在での当社グループの判断であり、当該時点以後の社会経済情勢等の諸状況により変更されることがあります。
I.事業等の主要なリスク
1 石油・天然ガス開発事業の特徴及びリスクについて
(1)災害・事故・システム障害等のリスク
石油・天然ガス開発事業には、探鉱、開発、生産、輸送等の各段階において操業上の事故や災害等が発生するリスクがあります。また、操業に当たって様々な情報システムを利用していることから、これらの情報システムには安全対策が施されているものの、自然災害やサイバー攻撃等により、予期せぬ障害が発生し、操業が停止するリスクがあります。このような情報システムの予期せぬ障害、事故や災害等が生じた場合には、保険により損失補填される場合を除き設備の損傷によるコストが生じることがあり更には、人命にかかわる重大な事故又は災害等となる危険性があります。また、その復旧に要する費用負担や操業が停止することによる機会損失等が生じることがあります。
また、当社グループの関連プロジェクトで労働争議が行われた場合や、新型コロナウイルス感染症等の感染症の流行・拡大により、操業に必要な従業員等の不足、資機材・サービス等の調達や生産物の輸送の困難、産油国政府による操業停止の指示・命令、共同事業を行っている場合のパートナーの方針変更等が生じた場合には、一部又は全部の操業が停止・遅延する可能性があります。
国内天然ガス事業においては、2010年1月以降、輸入LNG気化ガスを原料ガスとして購入しており、更に2013年8月以降、直江津LNG基地において輸入LNGから気化ガスを製造しておりますが、当該輸入LNG気化ガス・輸入LNGの購入先及び直江津LNG基地における事故、トラブルなどにより輸入LNG原料ガスの調達ができない場合、国内ガス田のトラブルにより国産ガスの生産ができない場合、あるいはパイプラインネットワーク上における事故、災害などによりパイプラインの操業が困難になる場合には、当社顧客へのガス供給に支障をきたすなど、当社の国内天然ガス事業に悪影響を及ぼす可能性があります。
また、環境問題に関しては、土壌汚染、大気汚染及び水質・海洋汚染等が想定されます。当社グループでは、「環境安全方針」を定め、当該国における環境関連法規、規則及び基準等を遵守することは勿論のこと、自主的な基準を設け環境に対して充分な配慮を払いつつ作業を遂行しておりますが、何らかの要因により環境に対して影響を及ぼすような作業上の事故や災害等が生じた場合には、その復旧等のための対応若しくは必要な費用負担が発生したり、民事上、刑事上又は行政上の手続等が開始されてそれに伴う手続関連費用や損害賠償等の金銭の支払い義務が生じたり、操業停止による損失等が生じたりすることがあります。さらに、当該国における環境関連法規、規則及び基準等(新エネルギー・再生可能エネルギー等の支援策を含む。)が将来的に変更や強化された場合には、当社グループにとって追加的な対応策を講じる必要やそのための費用負担が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
これらの災害・事故・システム障害等のリスクについては、かかるリスクが顕在化することがないよう事故等の発生の未然防止に努めておりますが、リスクは常時あり、顕在化した場合には当社グループの業績に多大な悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、作業を実施するにあたっては、可能かつ妥当な範囲において、損害保険を付保することとしておりますが、すべての損害を填補し得ない可能性があり、また、行政処分や当社グループの石油・天然ガス開発会社としての信頼性や評判が損なわれることによって、将来の事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)探鉱・開発・生産に成功しないリスク
一般的に、鉱区権益を取得するためには、対価の支払いが必要となります。また、資源の発見を目的とした探鉱活動に際して、調査・試掘等のための費用(探鉱費)が必要となり、資源を発見した場合には、その可採埋蔵量、開発コスト、産油国(産ガス国を含む。以下同じ。)との契約内容等の様々な条件に応じて一段と多額の開発費を投ずる必要があります。
しかしながら、開発・生産が可能な規模の資源が常に発見できるとは限らず、近年の様々な技術進歩をもってしてもその発見の確率はかなり低いものとなっており、また、発見された場合でも商業生産が可能な規模でないことも少なくありません。このため、当社グループでは、探鉱投資に係る費用については連結決算上保守的に認識しており、コンセッション契約(国内における鉱業権並びに海外におけるパーミット、ライセンス又はリースを含む。)の場合には100%費用計上し、生産分与契約の場合は探鉱プロジェクトの投資については100%引当金を計上し、財務の健全性を保持しております。なお、開発プロジェクトの投資であっても、個別のプロジェクトの状況から回収できない可能性がある場合は、個別に回収可能性を勘案し、引当金を計上しております。
当社グループでは、保有する可採埋蔵量及び生産量を増加させるために、有望な鉱区には常に関心を払い、今後も探鉱投資を継続する一方、既発見未開発鉱区や既生産鉱区の権益取得等を含めた開発投資を組み合わせることにより、探鉱・開発・生産各段階の資産の総合的なバランスの中で投資活動を行っていく方針です。
探鉱及び開発(権益取得を含む。)は、当社グループの今後の事業の維持発展に不可欠な保有埋蔵量を確保する上で必要なものでありますが、各々に技術的、経済的リスクがあり、探鉱及び開発が成功しない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)生産量の特定地域及び鉱区への依存度
当社グループは、オーストラリアのイクシスガス・コンデンセート田、アラブ首長国連邦アブダビの海上・陸上油田、国内の南長岡ガス田等において安定的な原油・天然ガスの生産を行っております。当社グループの事業地域は、国内、インドネシア・オーストラリアを中心とするアジア・オセアニア地域、中東・アフリカ地域、カスピ海沿岸地域を含むユーラシア、米州などに幅広く分散していますが、2022年度における当社グループの生産量の地域別構成比率はアジア・オセアニア地域が約40%、中東・アフリカ地域が約43%と、2つの地域でその大部分を占めております。
現状では当社グループの生産量は、特定地域及び鉱区への依存度が高いため、これらの鉱区において操業が困難になる等の問題が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)契約期限等
当社グループの海外における事業活動の前提となる鉱区権益にかかる契約においては、鉱区期限が定められているケースが多くあります。鉱区期限が定められている契約が延長、再延長又は更新等されない場合や延長、再延長又は更新等に際し現状よりも不利な契約条件(権益比率の減少を含みます。)となった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、これらの契約の延長、再延長又は更新等に向けてパートナーとともに努力する方針でありますが、産油国国営石油会社等との契約交渉の結果、既存の契約が延長、再延長又は更新等されない場合や延長、再延長又は更新等に際し現状よりも不利な契約条件(権益比率の減少を含みます。)となった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、鉱区期限が定められている契約が延長、再延長又は更新等された場合でも、その時点における残存可採埋蔵量は、生産の進展により減少することが見込まれます。当社グループでは、これに代替し得る鉱区権益の取得を図っておりますが、代替し得る油・ガス田の鉱区権益を十分取得できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、現在探鉱中の鉱区においても契約に探鉱期間が設定されており、鉱区内において商業化の可能性がある原油・天然ガスの存在を確認している場合であっても、当該期間終了までに開発移行の決定ができない場合などにおいては、産油国政府との協議により当該期間の延長、猶予期間の設定などに向けて努力する方針ですが、かかる協議が不調に終わった場合には、当該鉱区からの撤退を余儀なくされる可能性があります。また、一般に、契約につき、一方当事者に重大な違反があるときには、契約期限の到来前に他方当事者から契約解除をすることができるのが通例ですが、これら主要事業地域における契約においても同様の規定が設けられております。当社グループにおいては、そのような事態はこれまで発生したことはなく、今後についても想定しておりませんが、もし契約当事者に重大な契約違反があった場合には、期限の到来前に契約が解除される可能性があります。
また、天然ガス開発・生産事業においては、多くの場合、長期の販売契約・供給契約に基づいて天然ガスを販売・供給しており、それぞれ契約期限が定められております。これらの契約における期限の到来までに、延長又は再延長に向けてパートナーとともに努力する方針ですが、延長又は再延長されない場合や延長された場合でも販売・供給数量の減少などがあった場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、販売契約・供給契約の契約期間中に販売条件の変更があった場合や、プロジェクトの一部又は全部の操業が停止・遅延したこと、想定外の需要変動が発生したこと等により当社が第三者から追加の天然ガスを購入・調達する必要が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)原油、コンデンセート、LPG及び天然ガスの埋蔵量
① 確認埋蔵量(proved reserves)
当社は、当社グループの主要な確認埋蔵量(proved reserves)のうち、開発投資が巨額であるなど、将来の業績への影響が大きいと考えられるプロジェクトについて、米国の独立石油エンジニアリング会社であるDeGolyer and MacNaughtonに評価を依頼し、その他のプロジェクトについては自社にて評価を実施しました。確認埋蔵量の定義は、米国の投資家に広く知られている米国証券取引委員会規則S-X Rule 4-10(a)に従っており、評価に決定論的手法または確率論的手法のいずれが用いられているかに関わらず、地質的・工学的データの分析に基づき、既知の貯留層から、現在の経済条件及び既存の操業方法の下で、評価日時点以降操業権を付与する契約が満了する時点まで(契約延長に合理的確実性があるという証拠がある場合は延長が見込まれる期間が満了する時点まで)の間に、合理的な確実性をもって生産することが可能である石油・ガスの数量となっております。また、確認埋蔵量に分類されるためには、炭化水素を採取するプロジェクトが開始されているか、妥当な期間内にプロジェクトを開始することにつき合理的な確信をオペレーターが持っていなければならず、埋蔵量の定義の中でも保守的な数値として広く認識されております。ただし、かかる保守的な数値ではあっても、将来にわたる生産期間中に、確認埋蔵量が全量生産可能であることを保証する概念ではないことに留意を要します。確率論的手法を用いて確認埋蔵量を算定する場合には、確認埋蔵量を回収することができる確率が少なくとも90%以上であることが必要とされております。
当社グループ(持分法適用関連会社分を含む)の原油、コンデンセート、LPG及び天然ガスの確認埋蔵量については「第一部 企業情報 3 事業の内容 (2)当社グループの埋蔵量」をご参照下さい。
② 埋蔵量の変動の可能性
埋蔵量の評価は、評価時点において入手可能な油・ガス層からの地質的・工学的データ、開発計画の熟度、経済条件等多くの前提、要素及び変数に基づいて評価された数値であり、今後生産・操業が進むことにより新たに取得される地質的・工学的データや開発計画及び経済条件等の変動に基づき将来見直される可能性があり、その結果、増加又は減少する可能性があります。また、生産分与契約に基づく埋蔵量は、同契約の経済的持分から計算される数量が生産量だけでなく、油・ガス価格、投下資本、契約条件に基づく投下資本の回収額及び報酬額等により変動する可能性があり、その結果、埋蔵量も増加又は減少する可能性があります。このように埋蔵量の評価値は、各種データ、前提、定義の変更等により変動する可能性があります。
(6)オペレーターシップ
石油・天然ガス開発事業においては、リスク及び資金負担の分散を目的として、複数の企業がパートナーシップを組成して事業を行う場合が多く見られます。実際の作業は、そのうちの1社がオペレーターとなり、パートナーを代表して操業の責任を負います。オペレーター以外の企業は、ノンオペレーターとしてオペレーターが立案・実施する探鉱開発計画や作業を吟味し、あるいは一部操業に参加しつつ、所定の資金提供を行うことで事業に参画します。
当社グループは、経営資源の有効活用やノンオペレーターのプロジェクトとのバランスに配慮しつつ、探鉱、開発、生産それぞれの段階での豊富な操業経験をもとに蓄積したノウハウ及び技術力をもとに、イクシス等の大型LNGプロジェクトを中心として積極的にオペレータープロジェクトを推進していく方針であります。当社は国内外で原油、天然ガスの開発、生産プロジェクトにおいてオペレーターとしての経験を有しているほか、インドネシアやオーストラリアなどにおけるLNGプロジェクトなどに参加し長年ノウハウ、知見等を蓄積してきており、また、メジャーを含めた他の外国の石油会社が行っているのと同様、専門のサブコントラクターや経験豊富な外部コンサルタントを起用することなどにより、LNGプロジェクトを含めたオペレータープロジェクトを的確に遂行することが可能と考えております。
オペレーターとしてのプロジェクト推進は、技術力の向上や、産油国・業界におけるプレゼンスの向上等を通じて鉱区権益取得機会の拡大に寄与することになる一方で、オペレーションに関する各種専門能力を有する人材確保上の制約、資金面での負担増大等のリスクが存在しており、これらのリスクに的確に対応できない場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7)共同事業
石油・天然ガス開発事業では、前述の通り、リスク及び資金負担の分散を目的として数社以上の企業が共同事業を行う場合も多くなっており、この場合、共同事業遂行のための意思決定手続やパートナーを代表して操業を行うオペレーター等を取り決めるために、共同操業協定をパートナー間で締結するのが一般的になっております。ある鉱区において当社グループが共同事業を行っているパートナーとの関係が良好であっても、他の鉱区権益の取得においては競争相手となり得る可能性があります。
また、共同事業の参加者は原則として、その保有権益の比率に応じて共同事業遂行のための資金負担をしますが、一部パートナーが資金負担に応じられない場合などには、プロジェクトの遂行に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)石油・天然ガス開発事業には巨額の資金が必要となり資金回収までの期間も長いこと
探鉱活動には相応の費用と期間とが必要であり、探鉱により有望な資源を発見した場合でも、生産に至るまでの開発段階においては、生産施設の建設費用等の多額の費用と長期に亘る期間が必要となります。このため、探鉱及び開発投資から生産及び販売による資金の回収までには10年以上の長い期間を要することになります。中でも、大型LNGプロジェクトの開発には巨額な投資が必要であり、経済金融情勢の変化によっては資金調達の内容に影響を及ぼす可能性があります。資源の発見後、生産及び販売開始までの開発過程において、政府の許認可の取得の遅延またはその変更、予測しえなかった地質等に関する問題の発生、油・ガス価及び外国為替レートの変動並びにその他資機材の市況の高騰などを含めた経済社会環境の変化や、LNGプロジェクトにおいて生産物購入候補者からの長期販売契約に関する合意が得られないことにより最終投資判断ができない等の要因により、開発スケジュールの遅延や当該鉱区の経済性が損なわれる等の事象が生じた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(9)将来の廃鉱に関するリスク
石油・天然ガス生産施設等について、産油国政府との石油契約や現地法令等に基づき、当社グループは、当該施設等の将来の操業・生産終了後に必要となる廃鉱作業に関連して発生する費用の現在価値の見積り額を、資産除去債務として計上しております。その後、廃鉱の作業方法の変更や掘削資機材の調達費用の高騰その他の理由により、当該見積り額が不足していることが判明した場合においては、当社グループの資産除去債務額の積み増しが必要となり、当社グループの財政状態及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
2 原油価格(油価)、天然ガス価格、外国為替、及び金利の変動が業績に与える影響について
(1)油価、天然ガス価格の変動が業績に与える影響
油価並びに海外事業における天然ガス価格の大部分は国際市況により決定され、また、その価格は国際的又は地域的な需給(ネットゼロカーボン社会の進展による需要の下押し圧力の強まりを含みます。)、世界経済(感染症等の世界的な流行・拡大による経済活動の縮小の影響を含みます。)及び金融市場の状況、さらには、産油国政府の方針や産油国間における生産量等に関する合意の動向を含む多様な要素の影響も受け著しく変動します。かかる事象は当社により管理可能な性質のものではなく、将来の油価、天然ガス価格の変動を正確に予測することはできません。当社グループの売上・利益は、かかる価格変動の影響を大きく受けます。油価が1バレル当たり1米ドル変動すると、当社グループの2023年12月期については年間60億円増減することになると期初時点では試算されます。その影響は大変複雑で、その要因としては以下の点が挙げられます。
① 海外事業における大部分の天然ガスの販売価格は、油価に連動していますが正比例していません。
② 売上・利益は売上計上時の油価・天然ガス価格を基に決定されているため、実際の取引価格と期中の平均油価は必ずしも一致しません。
なお、当社は一部油価変動リスクを減じる手段を講じておりますが、かかる手段は当社の油価変動リスクを全てカバーするものではなく、油価変動が与える影響を完全に取り除くものではありません。
国内における天然ガス事業は、国産天然ガス及び輸入LNGを原料としており、LNG市場価格の変動が原料価格及び販売価格に対して影響を及ぼします。また、電力・ガスシステム改革に伴う競争環境の変化が、天然ガス販売価格や天然ガス販売量に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループが保有する事業資産は、今後市況の変動等に基づく事業環境の変化等に伴い、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、その回収可能性の程度を反映させるように事業資産の帳簿価額を減額し、その減少額を減損損失とすることとなるため、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)外国為替の変動が与える業績への影響
当社グループの事業の多くは海外における探鉱開発事業であり、これに伴う収入(売上)・支出(原価)は外貨建て(主に米ドル)となっており、損益は外国為替相場の影響を受けます。円高時には、円ベースでの売上・利益が減少し、逆に円安時には、円ベースでの売上・利益が増加します。
一方、当社グループは必要資金の借入にあたり、外貨建で借入を行っており、外貨建借入金は、円高時は期末円換算により為替差益が生じ、円安時には期末円換算により為替差損が生じることから、上記の事業の為替リスクが減殺され、為替変動による損益面への影響を小さくする方向に働きます。米ドル・円の為替レートが1円変動すると、当社グループの2023年12月期については年間32億円増減することになると試算されます。なお、当社は一部為替リスクを減じる手段を講じておりますが、かかる手段は当社の為替リスクを全てカバーするものではなく、外国為替の変動が与える影響を完全に取り除くものではありません。
(3)金利の変動が与える業績への影響
当社グループでは事業資金の一部を借入金で賄っており、このうち大部分が米ドル建て変動金利ベースの長期借入です。従って、当社の利益は米ドル金利変動の影響を受けます。なお、当社は、一部金利リスクを減じる手段を講じておりますが、かかる手段は当社の金利変動リスクを全てカバーするものではなく、金利の変動が与える影響を完全に取り除くものではありません。
3 気候変動に関するリスクについて
パリ協定目標の達成に向けて、世界的な気候変動への対応に関心が高まるなか、気候変動や地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの排出削減を目的とした取り組みが世界的に進められています。当社グループでは、TCFD提言に沿って気候変動に関するリスクを特定、評価、管理しており、具体的には下記のリスクを認識しています。これらの気候変動に関するリスクが顕在化する可能性は中長期的には増してくると考えられ、顕在化した場合には当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)政策・法規制リスク
当社グループが事業を操業する国・地域がパリ協定等に基づき気候変動対策を強化し、排出権取引や炭素税などのカーボンプライシング制度を含む環境関連法令、規則及び基準等を変更したり、新たに導入した等の場合には、当社グループとして追加的な対応策を講じる必要やそのための費用負担が発生し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2)技術及び市場リスク
低炭素関連技術が加速度的に進展し、低炭素製品の価格競争力が高まる、あるいは低炭素エネルギーへの選好により、当社グループの石油・天然ガス製品の需要が減少した場合には、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)資金調達リスク
当社グループの事業による直接的及び間接的な温室効果ガス排出量が、投資家や金融機関の投融資における気候変動リスクの評価項目として従来以上に重視された場合には、当社グループの資金調達及びその条件に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4)物理的リスク
熱帯低気圧や洪水などの極端な気象現象による急性リスク、長期的な平均気温上昇、海面上昇などの慢性リスクが、当社グループの施設等における操業に悪影響を及ぼす可能性があります。
4 海外における事業活動とカントリーリスクについて
当社グループは、日本国外において多数の石油・天然ガス開発事業を遂行しております。鉱区権益の取得を含む当社グループの事業活動は、産油国政府等との間の諸契約に基づき行われていることから、産油国における自国の資源の管理強化の動きや紛争等による操業停止など、当該産油国やその周辺国等における、政治・経済・社会等の情勢(国際紛争、政府の関与、経済発展の段階、経済成長率、資本の再投下、資源の配分、国際社会による経済活動の規制、外国為替及び外国送金の政府統制、国際収支の状況を含みます。)の変化や、OPEC+加盟国における生産制限の適用、当該各国の法制度及び税制の変動(法令・規則の制定、改廃及びその解釈運用の変更を含みます。)、訴訟等により、当社グループの事業や業績は、保険で損失補填される場合を除き大きな影響を受ける可能性があります。
また、産油国政府は、開発コストの増加などの事業環境の変化、事業の遂行状況、環境への対応などを理由として、鉱区にかかわる石油契約の条件の変更などを含めた経済条件の変更などを求める可能性があり、仮にかかる事態が生じ、経済条件の変更などが行われた場合には、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
上記の1.~4.の各種リスクに対応するため、個別のプロジェクトにおける対応として、経済性評価及びリスク評価に係るガイドラインを導入し、主要リスクを認識しております。
石油・天然ガス上流事業における新規プロジェクトの取得に際しては、上流事業開発本部により一元的に採否の分析・検討を行うとともに、関係部署と連携の上でリスク対応を行っています。既存プロジェクトについても、探鉱、評価、開発等の各フェーズにおける技術的な評価等を組織横断的に行うための仕組みとして「INPEX Value Assurance System(IVAS)審査会」を運営するとともに、原則最低年1回は経済性評価とリスク評価を実施し、そのうち、主要プロジェクトについては毎年取締役会にリスク評価結果の概要を報告しております。
再生可能エネルギー事業や水素・CCUS事業に関しては、再生可能エネルギー・新分野事業本部及び水素・CCUS事業開発本部がそれぞれ担当する事業の総合調整をしており、経済性評価及びリスク評価・対応を実施しています。新規プロジェクトの取得に際しては、IVAS審査会や外部専門家の検証を実施するとともに、重要なプロジェクトについてはリスク評価結果の概要を取締役会にて報告しております。
当社事業全般に係るリスク対応として、大規模な事故や災害等による緊急事態に対応できる能力を高めるため、緊急時・危機対応計画書を策定・維持するとともに、平時より緊急時対応訓練を定期的に実施する等、積極的にリスク管理に努めております。また、重要な業務を停止させないために事業継続計画(BCP)を策定し、適宜見直しを行っております。2020年以降の新型コロナウイルス感染拡大に際しては、BCPを発動して、在宅勤務を含めた必要な対策を実施するとともに、コーポレート危機対策本部を立ち上げ、海外事業所を含めた全社的な状況把握を実施しています。
また、情報セキュリティ委員会を定期的及び随時に開催し、組織的・体系的な情報セキュリティ対策を講じるとともに、情報漏えい防止を含む教育・訓練を実施しております。
HSE(健康・安全・環境)リスクに関しては、当社の事業活動における安全衛生、プロセスセーフティ、環境保全の継続的改善を推進するため、HSEマネジメントシステムで定めるHSEリスク管理要領に基づき、事業所毎にHSEリスクの特定、分析・評価を行っています。また、リスク対応策を策定、実行するとともに、HSEリスクを監視するため、リスク管理状況を定期的に本社に報告させ、本社ではこれを確認しております。さらに、セキュリティに関するリスク等についても、関連する要領や指針をもとに全社的な管理に取り組んでおります。さらにノンオペレータープロジェクトのHSE管理についても、各プロジェクトのリスクに応じたHSE関与を推進しております。
原油・天然ガス価格、為替、金利、及び有価証券価格に関しては、各変動リスクを特定し、それらの管理・ヘッジ方法を定めることで財務リスク管理を行っております。
気候変動対応に関しては、パリ協定目標に則し2050年までに排出量ネットゼロとする目標を設定しました。この目標達成に向けて、当社グループは、ネットゼロカーボン社会に向けた変革の時代に、社会のニーズに応えるソリューションを提案すべく、5つの事業の柱を強力に推進します。具体的には、①水素事業の展開、②石油・天然ガス分野のCO2低減(CCUS推進他)、③再生可能エネルギーの強化と重点化、④カーボンリサイクルの推進と新分野事業の開拓、⑤森林保全の推進というネットゼロ5分野を強力に推進することで、ネットゼロカーボン社会に向けた変化に積極的に対応し、エネルギートランスフォーメーションのパイオニアとなることを目指します。
カントリーリスクに関しては、事業を行う国や地域のカントリーリスク管理に係るガイドラインを制定し、リスクの高い国には累積投資残高の目標限度額を設定する等の管理を行っております。
このほか、リーガルリスクについては、リーガルユニットを独立した組織とすることで、重要な契約や訴訟等について、事業部門及び経営陣へ適切に法的助言ができる体制を整備し、また国内外の事業への法務サポート機能を充実させております。
これらのリスク対応を講じることで、リスクの管理及び影響の低減に努めているものの、全てのリスク対象をカバーするものではなく、また、個々の事象において影響を完全に取り除くものではありません。
Ⅱ.事業等のその他のリスク
1 生産分与契約について
(1)生産分与契約の内容
当社グループはインドネシア、カスピ海周辺地域などにおいて生産分与契約による鉱区権益を多数保有しております。
生産分与契約は、1社又は複数の会社がコントラクターとして、産油国政府や国営石油会社から探鉱・開発のための作業を自身のコスト負担で請負い、コストの回収分及び報酬を生産物で受け取ることを内容とする契約です。すなわち、探鉱・開発作業の結果、石油・天然ガスの生産に至った場合、コントラクターは負担した探鉱・開発コストを生産物の一部より回収し、さらに残余の生産物(原油・ガス)については、一定の配分比率に応じて産油国又は国営石油会社とコントラクターの間で配分します(このコスト回収後の生産物のコントラクターの取り分を「利益原油・ガス」と呼びます)。これに対して、探鉱作業の失敗や生産量の減少等により期待した生産を実現することができない場合には、コントラクターは投下した資金の全部又は一部を回収できないこととなります。
(2)生産分与契約の会計処理
当社グループが生産分与契約に基づき鉱区権益を保有している場合は、上述のとおりコントラクターとして当該鉱区の探鉱・開発作業に係る技術・資金を投下し、当該鉱区にて生産される生産物により投下した作業費を回収し、作業費回収後の残余生産物の一部を報酬として受け取っています。
生産分与契約に基づき投下した作業費は、将来回収が期待される資産として貸借対照表の生産物回収勘定に計上しています。生産開始後は、同契約に基づく作業費回収額を生産物回収勘定から控除します。
当該生産分与契約に基づき引き取る生産物は、作業費の回収部分と報酬部分に分けられるため、売上原価計算の方法にも特徴があります。すなわち、引き取った生産物の金額は一旦生産物引取原価として売上原価に計上し、そのうち事後的に算定される報酬部分である生産物の金額を売上原価の調整項目(無償配分生産物)に計上します。従って、売上原価には、報酬部分控除後の作業費回収部分のみが計上されることとなります。
2 国との関係について
(1)当社と国との関係
本書提出日現在、当社の発行済普通株式(自己株式を除く)の約21.19%及び甲種類株式は経済産業大臣が保有しておりますが、当社の経営判断は民間企業として自主的に行っており、国との間で役員派遣等による支配関係もありません。また、今後もそのような関係が生じることはないものと考えております。さらに国との間での当社の役員の兼任及び国の職員の当社への出向もありません。
(2)経済産業大臣による当社株式の所有、売却
経済産業大臣は、現在当社の発行済普通株式数(自己株式を除く)の約21.19%の株式を保有しております。同株式は2005年4月1日付で解散した石油公団が保有していたものを、同公団の解散に伴い経済産業大臣が承継したものであります。2005年4月1日付で解散した石油公団が保有していた石油資源開発関連資産の整理・処分については、経済産業大臣の諮問機関である総合資源エネルギー調査会の石油分科会開発部会「石油公団資産評価・整理検討小委員会」により、「石油公団が保有する開発関連資産の処理に関する方針」(以下、「答申」といいます。)が2003年3月18日に発表されております。答申においては企業価値の成長を念頭に置きながら、適切なタイミングで市場を通じて株式を売却することが肝要とされております。また、2011年12月2日に施行された「東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法」(以下、「復興財源確保法」といいます。)の附則第13条第1項第2号の規定においては、エネルギー政策の観点を踏まえつつ、その保有の在り方を見直すことによる処分の可能性について検討するとされております。このため、今後経済産業大臣は国内外で当社株式を売却する可能性があり、そのことが当社の株式の市場価格に影響を及ぼす可能性があります。
また、経済産業大臣は当社甲種類株式1株を保有しておりますが、甲種類株主である経済産業大臣は、当社普通株主総会又は取締役会決議事項の一部について拒否権を有しております。甲種類株式に関する詳細については後記「4 甲種類株式について」をご参照ください。
3 政府及び独立行政法人が保有する当社グループのプロジェクト会社の株式の取扱いについて
(1)石油公団が保有していた当社グループのプロジェクト会社の株式の取扱い
前述の答申において、国際石油開発(2008年10月1日付で当社が同社を吸収合併。以下同じ。)は中核的企業を構成すべきものと位置づけられ、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして我が国のエネルギー安定供給の効率的な確保という政策目標の実現の一翼を担うことが期待されていることから、同社(及び2008年10月1日付で当社が国際石油開発を吸収合併して以降においては当社)ではこれを受け、政府による積極的な資源外交との相乗効果を生かし、我が国のエネルギー安定供給の効率的な確保という政策目標の実現を図るとともに、透明性・効率性の高い事業運営の推進により、株主価値の最大化を目指すこととしてまいりました。
その結果、答申において提言された石油公団保有株式の譲受け等による統合に関して、2004年2月5日付で「石油公団保有資産の国際石油開発株式会社への統合に関する基本合意書」(以下、「統合基本合意書」といいます。)及び統合基本合意書に附属する覚書(以下、「覚書」といいます。)を締結し、2004年3月29日付で、国際石油開発と石油公団は統合の対象となる会社、統合比率等に関する詳細について合意に達し、「石油公団保有資産の国際石油開発株式会社への統合に関する基本契約」ほか関連契約を締結しました。
統合基本合意書において国際石油開発への統合対象となった4つの会社のうち、ジャパン石油開発、インペックスジャワ株式会社(2010年9月30日に売却完了)及びインペックスエービーケー石油株式会社の3社については2004年に統合を完了しました。インペックス南西カスピ海石油株式会社(現株式会社INPEX南西カスピ海石油)については、株式交換により国際石油開発の完全子会社とすべく手続を進めましたが、株式交換契約の条件が成就しなかったため同契約は失効し、予定していた株式交換が取り止めとなり、その後、2005年4月1日付の石油公団の解散に伴い、同社の石油公団保有株式は、経済産業大臣に承継されております。当社としては引き続き当該株式の取得の可能性につき検討しておりますが、当該株式に係る経済産業大臣の今後の取扱方針は未定となっていることに加え、「復興財源確保法」の規定による検討の結果如何では、今後、当社による当該株式の取得が実現しない可能性もあります。
2004年2月5日付の覚書においては、サハリン石油ガス開発株式会社(以下、「サハリン石油ガス開発」といいます。)、インペックスマセラアラフラ海石油株式会社(現株式会社INPEXマセラ)、インペックス北カスピ海石油株式会社(現株式会社INPEX北カスピ海石油)、インペックス北マカッサル石油株式会社(2008年12月19日に清算結了)、インペックス北カンポス沖石油株式会社(当社含む民間株主が同社の全株式を取得したうえで、2019年10月に第三者に対して売却済み)についての取扱いが国際石油開発と石油公団の間で合意されております。サハリン石油ガス開発の株式の取扱いについては、後記「(2)政府が保有するサハリン石油ガス開発の株式の取扱いについて」をご参照ください。サハリン石油ガス開発以外の上記各社の石油公団保有株式の国際石油開発への譲渡については、産油国や共同事業者の同意が得られること、適切な資産評価が可能となること等の前提条件が整い次第、現金を対価として譲渡することとなっておりましたが、2005年4月1日付の石油公団の解散に伴い、上記各社の石油公団保有株式は、経済産業大臣に承継されたインペックス北マカッサル石油株式会社に係る株式を除き、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(以下、「資源機構」といいます。)に承継されております。資源機構は、同機構の中期目標、中期計画において、石油公団から承継した株式については、適切な時期に適切な方法を選択して処分することとしていますが、上記各社の資源機構保有株式のうち、当社による株式の取得が実現していないものについては、譲渡の時期、方法は未定となっており、今後、当社によるそれらの株式の取得が実現しない可能性もあります。
(2)政府が保有するサハリン石油ガス開発の株式の取扱い
経済産業大臣はサハリン石油ガス開発の普通株式の50%を保有しています。サハリン石油ガス開発は、サハリン島北東沖大陸棚における石油及び天然ガス探鉱開発事業を遂行するために1995年に設立された会社であり、当社は同社発行済み普通株式の約6.08%を保有しています。
なお、今後の本事業の在り方については、現下の国際情勢、政府等の動向を踏まえつつ、当社としても適切に対応してまいります。
4 甲種類株式について
(1)種類株式の概要
① 導入の経緯
当社は、国際石油開発と帝国石油の株式移転による経営統合により、2006年4月3日付で持株会社として設立されておりますが、これに伴い、国際石油開発が発行し、経済産業大臣が保有していた種類株式が当社に移転され、同時に当社が同等の内容の当社種類株式(以下、「甲種類株式」といいます。)を経済産業大臣に対し交付しております。もともと、国際石油開発において発行された種類株式は、前記「3 政府及び独立行政法人が保有する当社グループのプロジェクト会社の株式の取扱いについて」において記述した答申において、国際石油開発が中核的企業を構成すべきものと位置づけられ、ナショナル・フラッグ・カンパニーとして我が国向けエネルギーの安定供給の効率的実現の一翼を担うことが期待され、かかる観点から、同答申を受け、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、同社の役割を確保しつつ、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、またその影響が必要最小限にとどまるよう設計され発行されたものです。
② 株主総会議決権、剰余金の配当、残余財産分配、償還
法令に別段の定めがある場合を除き、甲種類株式は当社株主総会において議決権を有しません。剰余金の配当及び残余財産の分配については2013年10月1日を効力発生日として普通株式1株につき400株の割合で株式分割を行っておりますが、甲種類株式(非上場)につきましては、株式分割を実施していないため、当該株式分割前の普通株式と同等になるよう、定款で定めております。甲種類株式は、当該甲種類株主から請求があった場合、又は甲種類株式が国若しくは国が全額出資する独立行政法人以外の者に譲渡された場合には当社取締役会の決議により償還されます。
③ 定款上の拒否権
当社経営上の一定の重要事項(取締役の選解任、重要な資産の処分、定款変更、統合、資本の減少及び解散)の決定については、当社株主総会又は取締役会の決議に加え、甲種類株主総会の承認決議を要する旨、当社定款に定められています。従って、甲種類株式を保有する経済産業大臣は、甲種類株主としてこれら一定の重要事項につき拒否権を有することとなります。甲種類株主の拒否権が行使可能な場合については、後記「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (1)株式の総数等 ② 発行済株式の注記2」をご参照下さい。
④ 甲種類株式の議決権行使の基準に定める拒否権の行使の基準
かかる拒否権の行使については令和4年経済産業省告示第54号(以下、「告示」といいます。)において基準が設けられており、以下の一定の場合にのみ拒否権を行使するものとされています。
・取締役の選解任及び統合に係る決議については、それらが否決されない場合、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われていく蓋然性が高いと判断される場合。
・重要な資産の全部または一部の処分等に係る決議については、対象となっている処分等が、石油及び可燃性天然ガスの探鉱及び採取する権利その他これに類する権利、あるいは、当該権利を主たる資産とする当社子会社の株式・持分の処分等に係るものである場合であって、それが否決されない場合、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合。
・当社の目的の変更に関する定款変更、資本金の額の減少及び解散については、それらが否決されない場合、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に否定的な影響が及ぶ蓋然性が高いと判断される場合。
・当社普通株式以外の株式への議決権の付与に関する定款変更については、それが否決されない場合、甲種類株式の議決権行使に影響を与える可能性のある場合。
なお、上記の基準については、エネルギー政策の観点から告示を変更する場合についてはこの限りではないことが規定されております。
(2)甲種類株式のリスク
甲種類株式は、投機的な買収や外資による経営支配等により、中核的企業として我が国向けエネルギー安定供給の効率的な実現に果たすべき役割に背反する形での経営が行われること又は否定的な影響が及ぶことがないよう、当社の役割を確保しつつ、経営の効率性・柔軟性を不当に阻害しないよう透明性を高くし、またその影響が必要最小限にとどまるよう設計され発行されたものでありますが、甲種類株式に関連して想定されるリスクには、以下のものが含まれます。
① 国策上の観点と当社及び一般株主の利益相反の可能性
経済産業大臣は告示に規定された上記の基準に基づき拒否権を行使するものと予想されますが、当該基準は、我が国向けエネルギー安定供給の効率的実現の観点から設けられているため、経済産業大臣による拒否権の行使が当社又は当社の普通株式を保有する他の株主の利益と相反する可能性があります。また、エネルギー政策の観点から当該基準が変更される可能性があります。
② 拒否権の行使が普通株式の価格に与える影響
甲種類株式は、上記に述べたように当社の経営上重要な事項の決定について拒否権を持つものであるため、特に、実際にある事項について拒否権が発動された場合には、当社普通株式の市場価格に影響を与える可能性があります。
③ 当社の経営の自由度や経営判断への影響
前述のような拒否権を持つ甲種類株式を経済産業大臣が保有していることにより、当社は、上記各事項については甲種類株主総会の決議を要することとなるため、当社は経済産業大臣の判断によってはその経営の自由度を制約されることになります。また、上記各事項につき甲種類株主総会の決議を要することに伴い、甲種類株主総会の招集、開催及び決議等の各手続に、また必要に応じて異議申立の処理に一定期間を要することとなります。
5 兼任社外取締役について
当社の取締役会は現在12名の取締役で構成されておりますが、うち5名は社外取締役であります。
社外取締役5名のうち2名は、当社の事業分野に関して長年の経験、知見を有する経営者経験者等であり、当社としては、専門的、客観的立場から当社の事業運営に意見を述べ、当社事業の発展に寄与することを期して、取締役を委嘱しております。なお、かかる取締役のうち1名は、当社株主である三菱商事株式会社(以下、「当社株主会社」といいます。)の顧問を兼任しております。
一方、当社株主会社は当社グループの事業と同一分野の事業を行っている企業であることから、競業その他利益相反の可能性があり、コーポレート・ガバナンス上の特段の留意が必要であると認識しております。
このため、当社では、当社取締役が会社法上の競業避止義務、利益相反取引への適切な対処や情報漏洩防止等に関して、常に高い意識をもって経営にあたり、当社取締役としての職務を的確に遂行していくことの重要性に鑑み、上記1名の社外取締役を含む全取締役から、これらの点を確認する「誓約書」を受理しております。
(業績等の概要)
(1)経営成績等の状況の概要
当期における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復基調にありましたが、2月以降のウクライナ情勢緊迫化を契機に、先行きが不透明な状況となりました。その後は、緩やかに持ち直しており、今後もウィズコロナの状況下での更なる景気の改善が期待されております。ただし、世界的な金融引締めが続く中、世界経済の下振れが我が国の景気に対するリスクとなっております。また、インフレーションや供給の混乱等による経済活動への影響は引き続き懸念されております。
当社グループの業績に大きな影響を及ぼす国際原油価格は、代表的指標の一つであるブレント原油(期近物終値ベース)で当期は1バレル当たり78.98米ドルから始まりました。2月のロシア軍のウクライナ侵攻以降EUを中心とした対ロ経済制裁や欧米主要国によるロシア産エネルギーの輸入禁止の動き等から上期では120米ドルを超える値動きがありましたが、中国における新型コロナウイルスの感染再拡大や米欧を中心とした景気後退等の懸念から世界的に原油需要が減少するとの見方等から下期は軟調に推移し、年度末では85.91米ドルとなりました。これらを反映して、当期における当社グループの原油の平均販売価格は、前期に比べ、1バレル当たり29.28米ドル上昇し、97.71米ドルとなりました。
一方、業績に重要な影響を与えるもう一つの要因である為替相場ですが、当期は1米ドル115円台で始まりました。年前半は、ロシアによるウクライナ侵攻に起因する資源価格の高騰や、世界的インフレ進行に伴う米金利の引き上げを受けて、136円台まで円安が進みました。年後半は、引き続き日米の金融政策の違いから、米ドル高・円安基調で推移し、一時150円台まで値を上げましたが、期末にかけては、米国のインフレ懸念減退や日銀による長期金利の変動許容幅拡大の決定を受け、日米金利差の縮小が意識されたため、為替相場も円高方向に振れ、期末公示仲値(TTM)は前期末から17円68銭円安の132円70銭となりました。なお、当社グループ売上の期中平均レートは、前期に比べ、21円62銭円安の1米ドル131円73銭となりました。
当期は、原油及び天然ガスの販売価格の上昇により売上高が増加したこと等から、連結売上高は2兆3,246億円(前期比86.8%増)、経常利益は1兆4,382億円(同118.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,382億円(同96.5%増)となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
① 日本
油価・ガス価の上昇により、売上高は前期比769億円、59.2%増の2,070億円となりましたが、売上原価の増加により、前期の営業利益114億円に対し、当期は130億円の営業損失となりました。
② アジア・オセアニア
油価・ガス価の上昇により、売上高は前期比1,552億円、43.7%増の5,101億円となり、営業利益は前期比1,020億円、58.1%増の2,775億円となりました。
③ ユーラシア(欧州・NIS諸国)
販売数量の増加及び油価の上昇により、売上高は前期比2,038億円、174.3%増の3,208億円となり、営業利益は前期比1,412億円、457.1%増の1,721億円となりました。
④ 中東・アフリカ
販売数量の増加及び油価の上昇により、売上高は前期比6,347億円、102.7%増の1兆2,529億円となり、営業利益は前期比4,348億円、115.6%増の8,108億円となりました。
⑤ 米州
油価・ガス価の上昇により、売上高は前期比94億円、39.1%増の337億円となり、営業利益は前期比60億円、59.3%増の163億円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、有形固定資産及び投資その他の資産が増加したこと等により、前連結会計年度末比1兆1,041億円増加の6兆2,623億円となりました。一方、負債は前連結会計年度末比4,121億円増加の2兆2,239億円となり、純資産は前連結会計年度末比6,919億円増加の4兆383億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末の1,912億円に当連結会計年度中に増加した資金204億円を加えた2,116億円となりました。
当連結会計年度における営業活動、投資活動及び財務活動によるキャッシュ・フローの状況及びそれらの要因は次のとおりであります。
なお、現金及び現金同等物に係る換算差額により、資金が366億円増加しております。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前期比3,058億円増加の7,512億円となりました。これは主に、法人税等の支払額が増加したものの、販売価格の上昇により税金等調整前当期純利益が増加したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前期比3,948億円増加の5,255億円となりました。これは主に、長期貸付けによる支出や投資有価証券の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は前期比732億円減少の2,419億円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出や自己株式の取得による支出が増加したものの、長期借入れによる収入が増加したことによるものです。
(生産、受注及び販売の状況)
(1)生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
前年同期比 (%) |
|
日本 |
原油 |
1.0百万バレル |
△9.2 |
|
(日量2.6千バレル) |
|||
|
天然ガス |
36.8十億CF |
△8.4 |
|
|
(日量100.9百万CF) |
|||
|
小計 |
7.7百万BOE |
△10.9 |
|
|
(日量21.0千BOE) |
|||
|
ヨード |
559.1t |
0.5 |
|
|
発電 |
199.3百万kWh |
△4.0 |
|
|
アジア・オセアニア |
原油 |
16.5百万バレル |
△12.1 |
|
(日量45.3千バレル) |
|||
|
天然ガス |
382.6十億CF |
△3.7 |
|
|
(日量1,048.3百万CF) |
|||
|
小計 |
90.3百万BOE |
△5.6 |
|
|
(日量247.4千BOE) |
|||
|
発電 |
425.4百万kWh |
8.4 |
|
|
ユーラシア (欧州・NIS諸国) |
原油 |
23.4百万バレル |
28.3 |
|
(日量64.2千バレル) |
|||
|
天然ガス |
19.6十億CF |
103.7 |
|
|
(日量53.7百万CF) |
|||
|
小計 |
26.9百万BOE |
34.8 |
|
|
(日量73.8千BOE) |
|||
|
発電 |
313.2百万kWh |
- |
|
|
硫黄 |
61.1千t |
△35.0 |
|
|
中東・アフリカ |
原油 |
98.8百万バレル |
17.2 |
|
(日量270.6千バレル) |
|||
|
米州 |
原油 |
2.7百万バレル |
△6.7 |
|
(日量7.5千バレル) |
|||
|
天然ガス |
3.1十億CF |
△66.7 |
|
|
(日量8.6百万CF) |
|||
|
小計 |
3.4百万BOE |
△28.1 |
|
|
(日量9.4千BOE) |
|||
|
合計 |
原油 |
142.5百万バレル |
13.6 |
|
(日量390.3千バレル) |
|||
|
天然ガス |
442.2十億CF |
△3.2 |
|
|
(日量1,211.5百万CF) |
|||
|
小計 |
227.1百万BOE |
6.5 |
|
|
(日量622.2千BOE) |
|||
|
ヨード |
559.1t |
0.5 |
|
|
発電 |
937.9百万kWh |
56.3 |
|
|
硫黄 |
61.1千t |
△35.0 |
(注)1 海外で生産されたLPGは原油に含みます。
2 原油及び天然ガス生産量の一部は、発電燃料として使用しております。
3 上記の生産量は持分法適用関連会社の持分を含みます。また、上記の生産量は連結子会社及び持分法適用関連会社の決算日にかかわらず、1月1日から12月31日の実績となっております。
4 当社グループが締結している生産分与契約にかかる当社グループの原油及び天然ガスの生産量は、正味経済的取分に相当する数値を示しております。なお、当社グループの権益比率ベースの生産量は、原油153.2百万バレル(日量419.6千バレル)、天然ガス452.7十億CF(日量1,240.3百万CF)、合計239.7百万BOE(日量656.6千BOE)となります。
5 BOE(Barrels of Oil Equivalent)原油換算量
6 ヨードは、他社への委託精製によるものであります。
7 数量は小数点第2位を四捨五入しております。
(2)受注実績
当社グループの販売実績のうち、受注高が占める割合は僅少であるため受注実績の記載は省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
区分 |
当連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
前年同期比 (%) |
|
日本 |
原油 |
5,989 |
37.7 |
|
天然ガス(LPGを除く) |
182,043 |
69.3 |
|
|
LPG |
5 |
△70.4 |
|
|
その他 |
19,043 |
4.6 |
|
|
小計 |
207,082 |
59.2 |
|
|
アジア・オセアニア |
原油 |
212,815 |
48.3 |
|
天然ガス(LPGを除く) |
293,868 |
43.6 |
|
|
LPG |
3,463 |
△49.6 |
|
|
小計 |
510,147 |
43.7 |
|
|
ユーラシア (欧州・NIS諸国) |
原油 |
275,154 |
134.0 |
|
天然ガス(LPGを除く) |
43,840 |
- |
|
|
その他 |
1,807 |
364.6 |
|
|
小計 |
320,803 |
174.3 |
|
|
中東・アフリカ |
原油 |
1,252,913 |
102.7 |
|
米州 |
原油 |
31,788 |
47.1 |
|
天然ガス(LPGを除く) |
1,924 |
△26.7 |
|
|
小計 |
33,712 |
39.1 |
|
|
合計 |
原油 |
1,778,662 |
96.5 |
|
天然ガス(LPGを除く) |
521,676 |
66.3 |
|
|
LPG |
3,469 |
△49.7 |
|
|
その他 |
20,851 |
12.1 |
|
|
合計 |
2,324,660 |
86.8 |
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)財政状態・経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 概要
当期は売上高が前期に比べ86.8%増加の2兆3,246億円、親会社株主に帰属する当期純利益が前期に比べ96.5%増加の4,382億円となりました。
当社グループは原油及び天然ガスの探鉱、開発、生産事業を行っており、また、確認埋蔵量の9割超は海外であることから、当社グループの業績は原油及び天然ガスの価格ならびに為替レートの変動に大きく左右されます。また、保有する埋蔵量は生産活動により減少するため、油田買収や探鉱活動による新たな埋蔵量の発見が不可欠となっております。当社グループでは探鉱投資に係る費用について会計上保守的に認識しており、コンセッション契約の場合には100%営業費用に計上しております。また、生産分与契約に基づき投下した探鉱プロジェクトの探鉱作業費については100%引当て、営業外費用に計上しております。
|
|
|
|
|
(単位:百万円) |
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
増減率(%) |
|
売上高 |
1,244,369 |
2,324,660 |
1,080,290 |
86.8 |
|
(原油売上高) |
905,199 |
1,778,662 |
873,463 |
96.5 |
|
(天然ガス売上高) |
320,575 |
525,145 |
204,569 |
63.8 |
|
営業利益 |
590,657 |
1,246,408 |
655,750 |
111.0 |
|
経常利益 |
657,627 |
1,438,242 |
780,615 |
118.7 |
|
特別損失(減損損失) |
14,170 |
25,799 |
11,629 |
82.1 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
223,048 |
438,276 |
215,227 |
96.5 |
|
|
前期 |
当期 |
増減 |
増減率(%) |
|
原油販売量(千bbl) |
120,118 |
138,116 |
17,998 |
15.0 |
|
売上平均油価(米ドル/bbl) |
68.43 |
97.71 |
29.28 |
42.8 |
|
天然ガス販売量(百万cf) |
464,805 |
442,416 |
△22,389 |
△4.8 |
|
海外ガス販売量(百万cf) |
377,068 |
360,291 |
△16,777 |
△4.4 |
|
海外ガス単価(米ドル/千cf) |
4.96 |
7.17 |
2.21 |
44.6 |
|
国内ガス販売量(百万㎥) |
2,351 |
2,201 |
△150 |
△6.4 |
|
国内ガス売上平均単価(円/㎥) |
45.73 |
82.73 |
37.00 |
80.9 |
|
売上平均為替レート(円/米ドル) |
110.11 |
131.73 |
21.62 |
19.6 |
(注)1 天然ガス販売量、海外ガス販売量及び国内ガス販売量はLPG販売量を除いております。
2 海外ガス単価及び国内ガス売上平均単価はLPGを除いて計算しております。
② 売上高
当期の売上高は2兆3,246億円で、このうち、原油売上高は1兆7,786億円と前期の9,051億円と比べ8,734億円、96.5%の増収、天然ガス売上高は5,251億円と前期の3,205億円と比べ2,045億円、63.8%の増収、その他の売上高は208億円と前期の185億円と比べ22億円、12.1%の増収となりました。
当期の販売数量は、原油が前期比17,998千バレル、15.0%増の138,116千バレルとなり、天然ガスは前期比22,389百万立方フィート、4.8%減の442,416百万立方フィートとなりました。このうち、海外天然ガスは前期比16,777百万立方フィート、4.4%減の360,291百万立方フィート、国内天然ガスは前期比150百万立方メートル、6.4%減の2,201百万立方メートル、立方フィート換算では82,125百万立方フィートです。販売価格は、海外原油売上の平均価格が1バレル当たり97.71米ドルとなり、前期比29.28米ドル、42.8%上昇、海外天然ガス売上の平均価格は千立方フィート当たり7.17米ドルとなり、前期比2.21米ドル、44.6%上昇、また、国内天然ガスの平均価格は立方メートル当たり82円73銭となり、前期比37円0銭、80.9%上昇しております。売上高の平均為替レートは1米ドル131円73銭となり、前期比21円62銭、19.6%の円安となりました。
売上高の増加額1兆802億円を要因別に分析しますと、販売数量の増加により1,136億円の増収、平均単価の上昇により6,169億円の増収、売上の平均為替レートが円安となったことにより3,473億円の増収、その他の売上高が22億円の増収となりました。
③ 営業利益
当期の売上原価は9,434億円と前期の5,689億円と比べ3,744億円、65.8%増加しております。探鉱費は292億円と前期の64億円と比べ227億円、353.1%の増加、販売費及び一般管理費は1,056億円と前期の783億円と比べ272億円、34.8%の増加となりました。
以上の結果、当期における営業利益は1兆2,464億円と前期の5,906億円と比べ6,557億円、111.0%の増益となりました。
④ 経常利益
当期の営業外収益は3,318億円と前期の1,122億円と比べ2,196億円、195.7%増加しております。これは、持分法による投資利益の増加等によるものです。営業外費用は1,400億円と前期の452億円と比べ947億円、209.3%増加しております。これは、金融資産の条件変更から生じる損失の計上等によるものです。
以上の結果、当期における経常利益は1兆4,382億円と前期の6,576億円と比べ7,806億円、118.7%の増益となりました。
⑤ 親会社株主に帰属する当期純利益
当期の特別損失は、生産量見通しの下方修正等や売却の蓋然性が高まったことに伴い、一部プロジェクトで減損損失を計上したことにより257億円となりました。法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額は9,705億円と前期の4,295億円と比べ5,410億円、126.0%の増加となりました。また、非支配株主に帰属する当期純利益は36億円となりました。
以上の結果、当期における親会社株主に帰属する当期純利益は4,382億円と前期の2,230億円と比べ2,152億円、96.5%の増益となりました。
⑥ セグメント情報
セグメント別の売上高、営業利益については、「(業績等の概要)」に記載しております。
⑦ 財政状態の分析
当連結会計年度末における総資産は6兆2,623億円となり、前連結会計年度末の5兆1,581億円と比較して1兆1,041億円の増加となりました。このうち、流動資産は7,294億円で、受取手形、売掛金及び契約資産の増加及び有価証券の計上等により前連結会計年度末と比較して2,105億円の増加となりました。固定資産は5兆5,329億円で、有形固定資産及び投資その他の資産の増加等により前連結会計年度末と比較して8,935億円の増加となりました。
一方、負債は2兆2,239億円となり、前連結会計年度末の1兆8,117億円と比較して4,121億円の増加となりました。このうち、流動負債は5,267億円で、前連結会計年度末と比較して1,778億円の増加、固定負債は1兆6,972億円で、前連結会計年度末と比較して2,343億円の増加となりました。
純資産は4兆383億円となり、前連結会計年度末の3兆3,464億円と比較して6,919億円の増加となりました。このうち、株主資本は2兆9,192億円で、前連結会計年度末と比較して2,386億円の増加となりました。その他の包括利益累計額は8,575億円で、前連結会計年度末と比較して4,141億円の増加、非支配株主持分は2,615億円で、前連結会計年度末と比較して391億円の増加となりました。
セグメント別の財政状態の分析は次のとおりであります。
a)日本
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して374億円、14.3%増の2,996億円となりました。
b)アジア・オセアニア
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して7,492億円、22.1%増の4兆1,432億円となりました。
c)ユーラシア(欧州・NIS諸国)
主に投資その他の資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して1,907億円、33.6%増の7,615億円となりました。
d)中東・アフリカ
主に流動資産が増加したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して631億円、10.1%増の6,862億円となりました。
e)米州
主に有形固定資産が減少したことにより、セグメント資産は前連結会計年度末と比較して100億円、25.9%減の285億円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
① キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「(業績等の概要)」に記載しております。
② 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
石油・天然ガスの探鉱・開発活動及び天然ガス供給インフラ施設等の建設においては多額の資金を必要とするため、内部留保による手許資金のほかに、外部からも資金を調達しております。探鉱資金については手許資金及び外部からの出資により、また、開発資金及び天然ガス供給インフラ施設等の建設資金については手許資金、銀行借入及び社債発行により調達することを基本方針としております。現在、開発資金借入については株式会社国際協力銀行及び市中銀行等から融資を受けており、これら融資に関しては、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の保証制度を活用しております。また、国内の天然ガス供給インフラ施設等の建設資金借入については、株式会社日本政策投資銀行及び市中銀行からの融資を受けております。なお、イクシスLNGプロジェクトでは、当期も持分法適用関連会社である、イクシス下流事業会社(Ichthys LNG Pty Ltd)を借入人として、国内外の輸出信用機関及び市中銀行からプロジェクトファイナンスの借入等を行っております。
当期は、開発投資等を目的とした資金調達を実施しつつ、当社中期経営計画に沿って有利子負債の削減に努めております。このほか、開発投資・探鉱投資等に向けて、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構の出資を受けております。
資金の流動性については、短期の運転資金のほかに油価の急な下落等に備え、一定の手許資金を保有することを基本方針としており、また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、資金調達枠を確保しております。
当連結会計年度末における借入金の残高は1兆2,402億円、現金及び預金の残高は2,278億円です。
③ 資金の配分方法
資金の配分方法については、「第2事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
石油契約等
|
契約会社名 |
相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
|
㈱INPEXマセラ (連結子会社) |
インドネシア共和国政府 ほか |
インドネシア共和国マセラ鉱区における生産分与契約 |
1998年11月16日から 2055年11月15日まで |
|
㈱INPEX南マカッサル (連結子会社) |
インドネシア共和国政府 ほか |
インドネシア共和国南マカッサル海域セブク鉱区における生産分与契約 |
1997年9月22日から 2027年9月21日まで |
|
㈱INPEXコンソン (連結子会社) |
ベトナム共和国政府 ほか |
ベトナム共和国05-1b/05-1c鉱区における生産分与契約 |
2004年11月18日から 2034年11月17日まで |
|
INPEX Ichthys Pty Ltd (連結子会社) |
オーストラリア連邦政府 ほか |
オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-50-L/WA-51-L鉱区における生産ライセンス |
2012年3月1日から |
|
INPEX Oil & Gas Australia Pty Ltd (連結子会社) |
オーストラリア連邦政府 ほか |
オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-44-L鉱区における生産ライセンス |
2011年5月20日から |
|
INPEX DLNGPL Pty Ltd (連結子会社) |
オーストラリア連邦政府 ほか |
バユ・ウンダンフィールドからオーストラリア連邦ダーウィンまでのパイプライン敷設ライセンス |
2001年4月27日から |
|
㈱INPEXアルファ石油(連結子会社) |
オーストラリア連邦政府 ほか |
オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-35-L鉱区における生産ライセンス |
2008年10月17日から |
|
オーストラリア連邦政府 ほか |
オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-43-L鉱区における生産ライセンス |
2009年11月18日から |
|
|
オーストラリア連邦政府 ほか |
オーストラリア連邦西オーストラリア州WA-55-L鉱区における生産ライセンス |
2013年6月18日から |
|
|
㈱INPEXサウル石油 (連結子会社) |
東チモール民主共和国政府 ほか |
東チモール民主共和国のPSCTL-SO-T 19-12鉱区における生産分与契約 |
2019年8月30日から 2023年3月31日まで |
|
INPEX Idemitsu Norge AS (連結子会社) |
ノルウェー王国政府 |
ノルウェー王国PL057/089鉱区等 における生産ライセンス |
2022年1月31日から |
|
㈱INPEX南西カスピ海石油 (連結子会社) |
ソカール(アゼルバイジャン共和国国営石油会社) ほか |
アゼルバイジャン共和国領カスピ海海域ACG油田における生産分与契約 |
1994年12月12日から 2049年12月31日まで |
|
㈱INPEX北カスピ海石油 (連結子会社) |
カザフスタン共和国エネルギー鉱物資源省、カズムナイガス(カザフスタン共和国国営石油会社) ほか |
カザフスタン共和国北カスピ海沖合鉱区における生産分与契約 |
1998年4月27日から 2031年12月31日まで (10年延長を1回可能) |
|
INPEX BTC Pipeline, Ltd. (連結子会社) |
アゼルバイジャン共和国/ジョージア/トルコ共和国 |
各国政府が協力して3カ国を通過するBTCパイプラインプロジェクトの遂行、各国通過を認める契約(IGA) |
2000年6月21日発効 |
|
契約会社名 |
相手先 |
契約内容 |
契約期間 |
|
|
INPEX BTC Pipeline, Ltd. (連結子会社) |
HGA (注) |
アゼルバイジャン共和国政府及びBTCプロジェクト当事者 |
BTCプロジェクトを遂行する権利付与等契約 |
2000年10月18日から、船積み開始後40年間(10年延長を2回可能) |
|
ジョージア政府及びBTCプロジェクト当事者 |
同上 |
2000年10月19日から、船積み開始後40年間(10年延長を2回可能) |
||
|
トルコ共和国政府及びBTCプロジェクト当事者 |
同上 |
2000年10月20日から、船積み開始後40年間(10年延長を2回可能) |
||
|
ジャパン石油開発㈱ (連結子会社) |
アラブ首長国連邦アブダビ首長国政府 ほか |
アラブ首長国連邦アブダビ沖合サター油田及びウムアダルク油田における利権契約 |
2018年3月9日から 2043年3月8日まで |
|
|
ADNOC(アブダビ国営石油会社) ほか |
アラブ首長国連邦アブダビ沖合上部ザクム油田に係る修正共同開発協定 |
2006年1月1日から 2051年12月31日まで |
||
|
JODCO Lower Zakum Limited (連結子会社) |
アラブ首長国連邦アブダビ首長国政府 ほか |
アラブ首長国連邦アブダビ沖合下部ザクム油田における利権契約 |
2018年3月9日から 2058年3月8日まで |
|
|
JODCO Onshore Limited (連結子会社) |
アラブ首長国連邦アブダビ首長国政府 ほか |
アラブ首長国連邦アブダビ陸上鉱区(ADCO鉱区)における利権契約 |
2015年1月1日から 2054年12月31日まで |
|
(注) HGA(Host Government Agreement)は、BTCパイプラインが通過する3カ国(アゼルバイジャン共和国、ジョージア及びトルコ共和国)の各国政府とBTCプロジェクト当事者との間で締結された各国政府の合意及び義務を定めた契約であります。
当社グループでは、INPEX Vision @2022を踏まえ、エネルギートランジション実現に貢献し、主要エネルギー供給事業者としての責務を果たすために、事業の基盤となる技術、更には新事業開発の先鋒としての技術の在り方・方向性と将来達成すべき目標を「INPEX技術戦略」として2022年8月にまとめました。また、当社技術研究所に「INPEX Research Hub for Energy Transformation」(略称「I-RHEX(アイレックス)」)を2022年4月に新設し、ネットゼロ分野の研究開発を進めております。当連結会計年度の研究活動費の合計は
(1) 水素・アンモニア
当社は、2050年 のネットゼロカーボン社会の実現に向け、水素・CCUS事業開発本部を中心として水素・アンモニア事業に注力しております。
取組みの一つとして、新潟県柏崎市にブルー水素・アンモニア製造実証プラントの準備・建設作業を、2024年の運転開始を目指して進めております。本実証試験では、天然ガスを原料として年間700トンの水素を製造し、その一部をアンモニア製造に使用、残りを水素発電に使用するとともに、副次的に発生するCO2を既にガス生産を終了した東柏崎ガス田平井地区の貯留層へ圧入するという計画です。なお、本実証試験のうち、水素・アンモニアの製造および CO2回収については、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(New Energy and Industrial Technology Development Organization、以下「NEDO」)で採択された助成事業として、また、CO2 の地中貯留の実施と評価については、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(Japan Organization for Metals and Energy Security、以下「JOGMEC」)との共同研究として実施してまいります。
また、水素サプライチェーンの重要要素である輸送・貯蔵技術については、I-RHEXの技術課題の一つとして探求してまいります。
(2) CCS/CCUS(Carbon dioxide Capture and Storage/ Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)
2021年度から、新潟県阿賀野市においてCO2を用いた原油回収効率改善技術(EOR)のための研究をJOGMECと共同で実施しております。本技術は、CO2と水を混合し泡状流体(フォーム)の状態にして地下に圧入するものであり、従来のCO2 EORで弱点とされてきた地層間の浸透性の違いに起因する不均一な圧入とそれに伴う地下の原油の取り残しの発生を軽減し、原油の回収効率を改善させることが期待されております。また、原油回収後、CO2の一部は地下に残留するため、温室効果ガスの一つであるCO2削減効果についても検証することを予定しております。
CO2の分離回収・貯留(CCS)技術に関しては、2016年度から二酸化炭素地中貯留技術研究組合に参画し、大規模CO2圧入・貯留の安全管理技術の開発・実証に取り組んでおります。また、CO2-EOR(CCUS)を含むCO2地下貯留の国際基準(ISO/TC265)策定活動に積極的に貢献すると共に日本CCS調査株式会社の株主として日本国内における実証プロジェクトに参加しております。
さらに、I-RHEXではCCSにおける地下および地上環境の各種モニタリング手法の研究開発も進めております。
(3) メタネーション
当社は、新潟県長岡市のINPEX長岡鉱場越路原プラント内で、生産されるガスに随伴して排出される二酸化炭素8Nm3/hを利用したメタネーションの基盤技術開発事業の試験(※1)を2017年から2021年まで実施しておりましたが、2021年10月には同プラントにて400Nm3-CO2/hのメタネーション実用化技術開発事業(※2)を開始し、2025年に既存パイプラインへ合成メタンを注入するという予定で関連作業を進めております。将来的には、大型化に向けた技術開発及びスケールアップを行い、2030年を目途に10,000Nm3-CO2/hスケール、年間6万トン程度の合成メタンを製造し、当社のパイプラインで供給することを目指しております。
※1NEDO委託事業「次世代火力発電等技術開発/次世代火力発電基盤技術開発/CO2有効利用技術開発」
※2NEDO課題設定型産業技術開発費助成事業「カーボンリサイクル・次世代火力発電等技術開発/CO2排出削減/有効利用実用化技術開発/気体燃料へのCO2利用技術開発/大規模なCO2-メタネーションシステムを用いた導管注入の実用化技術開発」
(4) CO2回収・DAC(Direct Air Capture)、SAF(Sustainable Aviation Fuel)、人工光合成
経済産業省及びNEDOが主導する「人工光合成化学プロセス技術研究組合」に参加し、太陽エネルギーを利用した光触媒の水分解による水素の生成、並びに、生成された水素とCO2からプラスチック原料等基幹化学品の製造を目指す研究開発プロジェクトに継続して取り組んでおります。
I-RHEXにおいてはCO2回収・輸送を含む効率的なサプライチェーン構築のための技術開発、FT(Fischer-Tropsch)合成によるSAF製造の研究開発も進めております。
(5) 石油天然ガス
エネルギー構造の変革期においても引き続きエネルギーの安定供給の責任を果たし、事業の強靭化・クリーン化を推進するため、国内外の大学・研究機関・企業と連携を図りつつ研究開発を進めております。
在来型油ガス田の開発・生産に関する既保有技術の維持・向上の為に、具体的には油層中で生産障害となるアスファルテンの制御技術、生産プラントへのダメージや環境問題を引き起こす水銀の制御・管理技術、油井管やパイプラインの腐食防食技術の研究開発に取り組んでおります。
低浸透性貯留層に対しては、新潟や北米のプロジェクトを通じて獲得した知見に基づき、数値モデルを用いた生産量/圧入量予測モデルの作成や地下の貯留岩のフラクチャ―形状を把握するマイクロサイスミック等の研究開発を進めております。
また、次世代のEOR技術としての低塩分濃度水攻法や難条件下でのEOR技術研究開発を進めております。
(6) DX
当社グループが関与する事業においてデジタル技術を最大限に活用し、供給エネルギー及び内外のステークホルダーに新たな付加価値を提供してまいります。具体的には以下を進めております。
①油ガス田開発分野では、地震探査データ処理・解釈や貯留/シール層の岩相・化石種の自動判定等、地下評価への機械学習適用の取り組みを通じて作業効率の最大化を進めております。また、油ガス生産・処理施設の操業・保全分野では、デジタル技術活用による省人化・無人化施策推進、AI活用、ロボット・ドローンの技術検証等に取り組んでおります。
②CCS/CCUS分野では、デジタルによる貯留効率評価ツールやCCSデータモニタリングシステム構築等を進めております。