第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営の基本方針

 当社グループでは、社員一人ひとりが大切にする企業理念として「Pigeon DNA・Pigeon Way」を設定しております。「Pigeon DNA」は経営理念と社是で構成され、当社グループの核であり、この先も貫いていくもの、「Pigeon Way」は、存在意義、基本となる価値観、行動原則で構成されており、社員個々の“心”と“行動”の拠り所であり、すべての活動の基本となる考え方として定義しております。

 当社グループは、この考えに基づき、Pigeon Wayの軸である存在意義(赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします)の実現に向けて事業展開しており、その達成に向けた5つの重要課題(マテリアリティ)を設定しております。また、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題の解決をすること、さらに新しいビジネスにも挑戦することで、社会になくてはならない存在として持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。

 

(2)経営環境

 当連結会計年度では、世界的にはウィズコロナに向けた新たな段階への移行が進み経済が持ち直しつつあった一方で、中国ではゼロコロナ政策による上海ロックダウン等の影響や、ゼロコロナ政策の緩和に伴う新型コロナウイルス感染症の再拡大により、経済や個人消費の回復ペースは鈍化しました。また世界的な出生数の減少、急激な物価上昇や供給面の制約等に加え、原材料や原油価格の高騰、著しい円安ドル高の進行がみられるなど、引き続き厳しい経営環境となりましたが、当社グループは「総合育児用品ブランド」としての強みと高いブランド力を活かし、事業の拡大と経営品質の向上を目指しております。

 

①日本事業

 新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛は断続的に発生し、また、物価高の進行による消費者の低価格志向の高まり等もあり、消耗品(ウェットティッシュや母乳パッド等)は苦戦した一方で、2月には当社の主力商品である哺乳器シリーズ「母乳実感®」を11年ぶりにリニューアルし、哺乳器の国内市場シェア(当社調べ)は引き続き高い状態を維持しております。しかしながら、急速な円安の進行や原材料価格の高騰が利益を圧迫するなど、厳しい状況が続いております。

 

②中国事業

 中国本土では期初から新型コロナウイルス感染症の拡大が続き、4月および5月には当社の販売・生産拠点のある上海エリアでのロックダウン実施により、出荷停止や工場の稼働停止等を余儀なくされました。7月以降、当社の製造・営業活動は回復した一方で、12月にはゼロコロナ政策の緩和に伴い、中国本土において感染拡大が再燃したことにより、個人の消費行動や当社の事業活動にも大きな影響を与えるなど、経営環境は依然として不透明な状況が続いております。

 

③シンガポール事業

 当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、期初には各国で新型コロナウイルス感染症の影響があったものの、その後の感染者状況の落ち着きに加え、当社販売拠点におけるwithコロナでの営業・マーケティング活動の再開・体制整備もあり、当連結会計年度の後半にかけては販売状況も回復傾向となっております。一方で原材料価格高騰の影響等により生産拠点等の利益は圧迫されており、未だ安定的な経営環境とは言えない状況が続いております。

 

④ランシノ事業

 当事業の主力市場である北米では、物流混乱による商品入荷及び出荷遅延傾向が継続していた中でも、主力製品である乳首ケアクリームやさく乳器、母乳保存バッグの販売が堅調に推移しております。一方でドイツやイギリスなど欧州の一部においては、物流混乱による調達・出荷遅延に加え、物価高騰等による消費低迷がみられております。また、各国での消耗品類の競争激化や、コロナ禍による物流混乱および輸送コスト高騰等は引き続き経営環境の課題となっております。

 

(3)経営戦略等

 当社グループは、「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」において、以下の3つのテーマを掲げ、グループの事業拡大と経営品質向上を目指してまいりました。

① Pigeon Wayをベースとしたブランド戦略と事業戦略の一体化を推進することで、経済価値の最大化と同時に、育児に関する社会課題の解決に向けた取組みを強化し、「商品を買ってもらう」から、「ビジネスに共感し、選んでもらう」ブランドへの進化を目指す。

② グローバルで自社の優位性を活かせる基幹商品カテゴリでの成長を加速させ、競合他社との一層の差別化を図り、強固な収益基盤を構築する。

③ 4事業体制及び各事業への権限移譲を推進し、現場での意思決定を迅速化することで、各地域の市場特性に合わせた「開発・生産・販売」サイクルを構築し、スピード感を持った事業運営を行う。

 

なお、各事業戦略の概要は、下記のとおりであります。

また、売上高目標については、新収益認識基準を考慮後の数値となっております。

「日本事業」

売上高目標 38,900百万円(2022年12月期)

・ベビーカー市場でトップシェア奪取

・スキンケアカテゴリ強化のための投資

「中国事業」

売上高目標 41,000百万円(2022年12月期)

・「こだわり」のモノづくりで高価格化

・Ssenseでの新ビジネスモデル構築

・最新トレンドを掴むための「深圳Creative Studio」創設

「シンガポール事業」

売上高目標 12,400百万円(2022年12月期)

・インドネシア工場拡大による生産能力の増加と取扱品目の拡大

・新興市場での現地調達品の拡充(インド・インドネシア)

「ランシノ事業」

売上高目標 14,600百万円(2022年12月期)

・"Breastfeeding"から"Maternal health"へブランド拡張

・さく乳器リーダーとしての地位確立(病産院向け商品、臨床研究の拡充)

 

(目標とする経営指標)

 当社グループは、2020年12月期を初年度とする第7次中期経営計画に沿った取組みを着実に実行していくことで、最終年度である2022年12月期の到達目標水準、売上高987億円、営業利益142億円、親会社株主に帰属する当期純利益95億円としておりました(※)。また収益性、資本効率の一層の改善を図るために、PVA(Pigeon Value Added)・ROICなどを経営指標として重視し、さらなる向上を目指してまいりました。

 ※なお、2020年2月13日に発表いたしました「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」につきましては、2020年12月期の業績及び新型コロナウイルス感染症動向を踏まえ、2021年2月10日に定量目標の修正を行いました。

 また、2022年2月15日に発表いたしました当社グループの2022年12月期業績予想につきましては、2021年12月期の業績を踏まえ、上記の数値としています。

 

(4)対処すべき課題

 当社グループを取り巻く事業環境は、世界各国での新型コロナウイルス感染症拡大により、日本や中国をはじめとした世界的な出生数の減少やロックダウン等による経済停滞および消費低迷、また、サプライチェーンの混乱による物流費や原材料価格の急激な高騰などの影響を受けております。一部では持ち直しの動きも見えるものの、その回復速度は安定感を欠き、全体的には依然先行き不透明な状況が続いております。

 そのような状況の一方、中国は少子化が進行しつつも、経済力や出生数からも依然巨大市場であることに加え、中国政府による少子化対策の拡充および強化、またアジア各国やその他新興国においても、中長期的には経済成長に伴う消費の拡大、またEコマースの浸透・発達が見込まれること等により、成長が十分期待できるものと考えております。

 このような環境の中、当社グループは、経営理念を「愛」とし、「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を存在意義として事業を展開しております。

 そして、この存在意義を実現し、当社グループが社会になくてはならない存在として中長期的に成長するために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として、以下5つの要素を設定しております。

 

1. 事業競争力向上とビジネス強靭化

2. 環境負荷軽減

3. 社会課題への貢献

4. 存在意義実現のための人材・組織風土

5. 強固な経営基盤の構築

 

 「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」においては、これら重要課題(マテリアリティ)を念頭に、グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、次に示す3つの基本戦略を着実に実行してまいります。また既存事業領域での持続的な成長はもとより、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行ってまいります。

 

1.ブランド戦略:

存在意義を企業活動の軸とし、商品を通じたブランド力向上に注力する。

 

2.商品戦略:

ものづくりを強化し、自社の優位性を活かせる哺乳器・乳首、ベビースキンケアへの集中と新規領域の探索を行う。

 

3.地域戦略:

各事業での自己完結体制を強化し、市場特性に合わせた生産・販売体制の革新による効率化や収益性改善、サプライチェーンの安定化、新規市場への拡大準備を積極的に行う。

 

 既存事業領域においては、自社の優位性・競争力を活かせる基幹商品として、特に哺乳器・乳首、ベビースキンケアカテゴリをさらに強化するべく、ライフスタイル提案、新素材の検討、環境やローカルニーズへの対応など、ポストコロナの社会変化に沿った製品・サービスの充実を図ります。合わせて、各事業における各種商品・販売戦略の抜本的な見直しやサプライチェーン改善等の構造改革の実行によって、持続的な成長を目指してまいります。

 一方、当社グループが未参入、かつ自社優位性の応用が期待できる領域として、顧客ターゲットの拡張につながるキッズ向け商品(エイジアップ)や、顧客親和性の高い女性ケア商品などをはじめとする新規商品カテゴリの創出・育成や、アフリカ地域をはじめとした新規市場への参入なども積極的に検討することで、次世代の成長を担う新規領域の探索・育成にも注力してまいります。

 加えて、当社グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)の機能は引き続き強化するとともに、事業の運営と成長を担う4つの事業部門(日本事業、中国事業、シンガポール事業およびランシノ事業)の役割と責任を明確にし、相互に連携することで、事業の永続的な成長およびコーポレートガバナンス等の経営基盤の強化を図ってまいります。

 なお、当社グループにおける事業継続計画につきましては、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。また、重要課題(マテリアリティ)への取り組みを着実に行い、環境(E)、社会(S)およびガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求することによって、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題を解決することに加え、新しいビジネスにも挑戦することで、当社グループは社会になくてはならない存在として持続的な成長と企業価値の向上を目指してまいります。

 

 

 

2【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)出生数の減少

 当社グループの主力事業である育児用品の製造及び販売事業は、国内及び海外での出生数の減少により総需要量(数)が変動し、売上高の減少を生じる可能性が考えられます。

 

(2)経済動向・社会・制度等の変化に関するリスク

 現在、当社グループは日本をはじめ、タイ、中国、トルコ、インドネシア、インドで商品を製造し、さらに日本、アジア、オセアニア、中近東、北米、ヨーロッパを中心に国内外で事業を展開しております。日本事業・中国事業・シンガポール事業・ランシノ事業が持つリスクとしては以下のものが考えられます。当社グループも各事業におけるリスクに対しては可能な限りのリスクヘッジを講じてはおりますが、予期できない様々な要因によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

・当社グループにとって影響を及ぼす法律の改正、規制の強化

・テロ・戦争の勃発、既知および未知の感染症・伝染病の流行による社会的・経済的混乱

・地震等の自然災害の発生

・予測を超える為替の変動

 

(3)天候・自然災害

 当社グループの主力商品である育児および女性向け用品、介護用品は天候からの影響は比較的軽微と考えられますが、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故の影響で、製造、物流設備等が損害を被り、資産の喪失、商品の滞留等による損失計上により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 とりわけ、気候変動は世界共通の取り組むべき課題と認識し、2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、「ピジョングループTCFD Report 2022」および当社のコーポレートサイトにおいてTCFD提言の枠組みに則った情報開示をしています。

 

(4)原材料価格の変動

 当社グループの使用する主要な原材料には、原油価格やパルプ価格等の市場状況により変動するものがあります。それら主要原材料の価格が高騰することにより、製造コストが高騰し、また、市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)製造委託先での事故

 当社グループの主力商品である育児および女性向け用品、介護用品の一部は外部に製造委託を行っております。品質には万全を期しておりますが、事前の予想を越えた品質事故が起った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)子育て支援に関するリスク

 当社グループは、働きながら子育てをするご両親のため、保育、託児、幼児教育事業を展開し、多くの乳児、幼児をお預かりしております。そのため、安全には万全の配慮をしておりますが、乳児、幼児は予期しないケガをする可能性を秘めております。これまで当社グループの事業運営に影響を与えるような事故や補償問題は発生しておりませんが、将来にわたってそのような事態が発生しないとは言い切れず、そのような事態に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)製造物責任に関するリスク

 生活者向け商品のメーカーとして、商品の品質や安全性、商品の原料に関する評価は非常に重要であります。当社グループは商品の設計段階から量産に至るまで、品質、安全性の確保に万全を期しておりますが、商品に欠陥が発生した場合、もしくは予期せぬ事故が発生した場合には、商品回収等に伴う損失の計上や、顧客の流出による売上の減少など、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)訴訟に関するリスク

 当社グループは、会社設立以来、多額の補償金問題など大きなクレーム又は訴訟等を提起されたことはございません。しかし、国内海外を問わず事業を遂行していくうえでは、訴訟提起されるリスクは常に内包しております。

 万一当社グループが提訴された場合、また、その結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)情報システムのリスク

 当社グループは、販売促進キャンペーンや赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン等多数のお客様の個人情報をはじめ、研究活動の成果や商品開発上の機密事項など、様々な重要情報を保有しております。当社グループは、これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含めて情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等予測の範囲を超えた出来事により、情報システムの崩壊、停止又は一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合、営業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)個人情報漏洩のリスク

 当社グループは、生活者向け商品とサービスの提供を行っており、多くの個人情報を保有しております。日頃より全社員には個人情報保護の重要性の認識を徹底させ、社内教育受講の義務付け、顧客情報の管理の強化に努めておりますが、何らかの原因にて個人情報が外部に漏洩する可能性があります。個人情報が外部に漏洩するような事態に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)信用リスク

 当社グループは、国内外の取引先と商取引を展開しており、取引先の経営破綻又は信用状況の悪化により当社グループが保有する債権が回収不能になるリスクがあります。このような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度におけるわが国の経済は、原油・原材料価格の上昇および大幅な為替変動等が見られたものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大後に行動制限が緩和されたことを背景に、個人消費の緩やかな回復が続きました。世界経済は、withコロナに向けた新たな段階への移行が進み持ち直しつつある一方、急激な物価上昇や供給面の制約等に加え、中国ではゼロコロナ政策緩和に伴う新型コロナウイルス感染症の再拡大による足踏みが見られたことなどより景気の下振れリスクが高まったことから、回復ペースは鈍化しました。

 このような状況の中、当社グループは、2020年2月に策定した「第7次中期経営計画(2020年12月期~2022年12月期)」において3つの基本戦略(ブランド戦略、基幹商品戦略、地域戦略)を掲げており、その最終年としてこれらの基本戦略を軸とし、事業の成長はもちろん、存在意義である「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を実現させるため、各施策の実行に取り組んできました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ36億91百万円増加し、1,017億33百万円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ5億48百万円増加し、217億81百万円となりました。

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ31億42百万円増加し、799億52百万円となりました。

b.経営成績

 当連結会計年度の業績は、売上高は949億21百万円(前期比2.0%増)となりました。利益面におきましては、世界的な原材料費や輸送費の高騰等による原価率の悪化に加え、各国でのリオープン(経済活動の再開)が一層進んだことによる販管費の積極的な使用等もあり、営業利益は121億95百万円(同8.6%減)、経常利益は134億65百万円(同8.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は85億81百万円(同2.3%減)となりました。

 なお、当連結会計年度の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは次のとおりです。

・米ドル:131.55円(109.85円)

・中国元:19.50円(17.03円)

注:( )内は前年同期の為替換算レート

 当社グループの報告セグメントは2020年12月期より「日本事業」、「中国事業」、「シンガポール事業」、及び「ランシノ事業」の計4セグメントとしております。

 各セグメントにおける概況は以下のとおりです。

 

「日本事業」

 当事業は、「ベビーケア」、「子育て支援」、「ヘルスケア・介護」等で構成されております。当事業の全体の売上高は363億23百万円(前期比5.1%減)、セグメント利益は売上高の減少に伴う総利益の減少や調達価格の高騰等により、14億91百万円(前期比27.8%減)となりました。

 ベビーケア(育児及び女性向け用品)につきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や、物価高の進行による消費者の低価格志向等の影響もあり、売上高は前期を下回りました。当社の基幹商品である哺乳器やさく乳器に関しては、2月のリニューアル商品を中心に引き続き堅調に推移している一方、おしりふき等の一部の消耗品では、価格競争激化の影響等もあり前期を下回りました。スキンケアカテゴリにつきましても、海外からの需要が落ち込んだことなどもあり販売は苦戦しましたが、新たな商品価値の提案として、環境にやさしい紙製キューブパックを採用したおしゃれなデザインパッケージの保湿ローションに加えて、容器を再利用できる保湿ローションの詰めかえタイプを新発売するなど、ラインアップを拡充しています。また、8月にはピジョン初となる赤ちゃんの防災用品シリーズ「sonaetta(ソナエッタ)」を新発売し、一部自治体に商品を無償提供すること等を通し、社会における「赤ちゃんの防災」に関する意識の定着化を図る取り組みも行っています。さらに11月には「ピジョン公式オンラインショップ」をリニューアルし、ソーシャルメディアとの連携強化による利便性向上や限定商品の充実等を行い、一層の販売強化に取り組んでいます。

 加えて、ダイレクト・コミュニケーションの一環として、母乳育児について楽しく学べるピジョンのマタニティセミナー「おっぱいカレッジ」のライブ配信を行い、合計で2,400名以上の方にご視聴いただいた他、医療従事者向けセミナーもオンラインで開催し、1,700名を超える方にご参加いただいています。ほかにも、withコロナ時代のママやパパの不安を和らげるため、WEBやSNSを通じた双方向コミュニケーションの活用やサポートコンテンツの充実にも継続して取り組んでおり、妊娠・出産・育児シーンの女性を応援するサイト「ピジョンインフォ」や動画配信サイトにおける商品紹介等を通して、お客様に寄り添った情報発信の一層の充実を進めています。

 ヘルスケア・介護用品では、前期より総利益率の改善に向けた取り扱い商品の見直しを実施しており、売上高は前期から減少したものの、利益率改善の効果が徐々に見られています。引き続き、小売店及び介護施設等への営業活動強化、商品開発力や介護サービス品質の向上などの施策実行を徹底していきます。

 子育て支援におきましては、当連結会計年度において事業所内保育施設等64箇所にてサービスを展開しており、今後もサービス内容の質的向上を図りながら事業を展開していきます。

 

「中国事業」

 当事業の売上高は347億76百万円(前期比6.6%減)、セグメント利益は前期を下回る104億8百万円(前期比11.7%減)となりました。

 期初より続いている中国本土における新型コロナウイルス感染症の拡大により、4月及び5月には上海エリアを中心としたロックダウンが発生し、事業活動の一時的な縮小や停止を余儀なくされましたが、6月の解除以降、7月には当社の製造・営業活動が回復し、国内の物流混乱等は順次収束しました。一方、12月にはゼロコロナ政策の緩和に伴い、中国本土において感染症拡大が再燃したことにより、顧客の消費行動や当社の事業活動にも大きな影響を与えました。

 主要市場における中国本土においては、前年9月にリニューアルし、先行発売を開始している哺乳器「自然実感」(日本における商品名:母乳実感®)シリーズへの切り替えはおおむね完了し、お客様からも高評価を頂いています。また、基礎研究に注力しているベビースキンケアカテゴリにおいては、赤ちゃんの肌研究の成果を活かし、3才以上のお子様を対象としたキッズ向け商品等の販売を当第3四半期より開始しており、中国市場における展開カテゴリを拡張しました。

 今後は、Eコマースプラットフォームを活用した消費者との双方向コミュニケーション活動をより充実させると共に、病産院活動等の強化も引き続き実施し、お客様との接点を増やすだけでなく、新興Eコマースプラットフォームとの関係構築にも取り組むなど、一層の事業拡大に向けた取り組みを進めていきます。

 また、当事業において当期より開始している北米でのピジョンブランドによる育児用品販売事業では、前述した新型哺乳器の販売も開始しています。今後は、オンラインを中心とした情報発信や専門家とのコミュニケーションを通して、北米における認知度及びブランド価値の向上に努めていきます。

 

「シンガポール事業」

 当事業の売上高は141億53百万円(前期比12.2%増)、セグメント利益は21億40百万円(前期比18.2%増)となりました。

 当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、コロナ禍からの回復傾向もあり、重点国であるインドネシア、インドをはじめ、シンガポールやマレーシア等において売上高及び利益を伸ばしています。哺乳器カテゴリでは、中国、日本に続き、8月より主要国において、当社の主力商品である哺乳器「SofTouch」(日本における商品名:母乳実感®)シリーズのリニューアル発売を開始した他、ガラスのような透明感を実現した新素材のプラスチック「T-Ester※」を使用した哺乳器を順次発売しています。また、注力しているベビースキンケアカテゴリにおいては、「ナチュラル・ボタニカル・ベビー」シリーズを15以上の国と地域で展開しており、11月には同シリーズからコーンスターチを原料とした自然素材のベビーパウダーを発売しており、ラインアップを拡充しています。

 今後も上位中間層以上のお客様をターゲットとした商品の開発・投入を推進するとともに、当社ブランドの市場浸透を目指して積極的な営業・マーケティング活動を展開していきます。

 

「ランシノ事業」

 当事業の売上高は169億17百万円(前期比27.0%増)、セグメント利益は11億54百万円(前期比21.1%増)となりました。

 主力市場である北米および欧州では、前年からの物流混乱による商品入荷および出荷遅延傾向が継続しています。そのような中、北米では主力商品である乳首ケアクリームやさく乳器、母乳保存バッグの販売が堅調に推移したことに加えて、前年より発売を開始した産前・産後ケアカテゴリ商品も売上を伸ばしており、売上高は現地通貨で前期を上回りました。一方、ドイツやイギリス等欧州の一部では、エネルギー危機や物価高騰による消費低迷がみられたことなどもあり、売上高は現地通貨で前期を下回りました。

 利益面につきましては、海上輸送費をはじめとした物流費高騰が続いたことで、原価や発送費用等に影響が出ていることに加え、積極的なマーケティング費用投下もあったものの、北米等での増収効果もあり前期を上回りました。

 今後は一層の事業拡大に向け、各地域の消費者行動に合わせた商品ラインアップの拡充やマーケティング活動、ブランド強化等の取り組みを進めていきます。

 

※「T-Ester」は、三菱瓦斯化学株式会社の日本及びその他の国における商標又は登録商標です。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ9億34百万円減少し、342億83百万円となりました。

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、132億10百万円(前年同期は108億93百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益131億43百万円、減価償却費47億58百万円、売上債権の減少額16億31百万円等の増加要因に対し、棚卸資産の増加額18億16百万円、法人税等の支払額46億62百万円等の減少要因によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、56億59百万円(前年同期は55億93百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出53億15百万円、無形固定資産の取得による支出2億49百万円等によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は、96億66百万円(前年同期は86億93百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額89億74百万円によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

 前年同期比(%)

日本事業(百万円)

9,569

101.0

中国事業(百万円)

11,533

89.8

シンガポール事業(百万円)

7,119

107.0

ランシノ事業(百万円)

2,268

170.3

合計(百万円)

30,490

100.6

(注)金額は製造原価によっております。

 

(受注実績)

 当社グループは、主として見込みにより生産及び商品仕入を行っており、一部受注による商品仕入れを行っておりますが、受注額は僅少であります。

(販売実績)

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

 前年同期比(%)

日本事業(百万円)

36,323

94.9

中国事業(百万円)

34,776

93.4

シンガポール事業(百万円)

14,153

112.2

ランシノ事業(百万円)

16,917

127.0

内部売上高消去(百万円)

△7,248

86.7

合計(百万円)

94,921

102.0

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

 相手先

 前連結会計年度

(自 2021年1月1日

  至 2021年12月31日)

 当連結会計年度

(自 2022年1月1日

  至 2022年12月31日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

ピップ株式会社

16,528

17.8

16,160

17.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は下記のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

1)財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ36億91百万円増加し、1,017億33百万円となりました。

 流動資産は8億88百万円増加し671億43百万円、固定資産は28億2百万円増加し345億90百万円となりました。

 流動資産の増加の主な要因は、現金及び預金が9億34百万円減少したものの、商品及び製品が18億6百万円、原材料及び貯蔵品が7億96百万円それぞれ増加したことによるものです。

 固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産の機械装置及び運搬具が5億67百万円減少したものの、有形固定資産の建物及び構築物が13億73百万円、建設仮勘定が16億99百万円それぞれ増加したことによるものです。

(負債)

 当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末と比べ5億48百万円増加し、217億81百万円となりました。

 流動負債は4億91百万円増加し155億63百万円、固定負債は57百万円増加し62億17百万円となりました。

 流動負債の増加の主な要因は、未払法人税等が1億91百万円、その他が3億50百万円それぞれ減少したものの、支払手形及び買掛金が9億79百万円増加したことによるものです。

 固定負債の増加の主な要因は、その他が4億9百万円、繰延税金負債が2億5百万円それぞれ減少したものの、リース債務が6億73百万円増加したことによるものです。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べ31億42百万円増加し、799億52百万円となりました。

 その主な要因は、利益剰余金が4億円減少したものの、為替換算調整勘定が31億56百万円増加したことによるものです。

2)経営成績

(売上高及び売上原価)

 当連結会計年度における売上高は、949億21百万円となりました。

 セグメント毎に分析しますと、当社グループの主力セグメントである日本事業は、新型コロナウイルス感染症の拡大による外出自粛や、物価高の進行による消費者の低価格志向等の影響もあり363億23百万円、中国事業は、ゼロコロナ政策の緩和に伴い、中国本土において感染症拡大が再燃したことにより、顧客の消費行動や当社の事業活動にも大きな影響を与え347億76百万円となりました。

 当連結会計年度における売上原価は、500億87百万円となりました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、326億38百万円となりました。

 各国でのリオープン(経済活動の再開)が一層進んだことによる販売費及び一般管理費の積極的な使用等により、売上高比率は1.4ポイント増加し、営業利益は121億95百万円となりました。

(営業外損益、特別損益、経常利益及び税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度の営業外損益は、受取利息を1億82百万円、助成金収入を8億26百万円計上したことにより、12億69百万円の利益となりました。

 特別損益は、減損損失2億82百万円計上したことにより3億22百万円の損失となりました。

これらの結果、経常利益は134億65百万円、税金等調整前当期純利益は131億43百万円となりました。

(法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度の法人税等は43億81百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は1億79百万円となり、これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は85億81百万円となりました。

 

 各セグメント毎の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

1)財政状態

(日本事業)

 セグメント資産は、商品及び製品が4億41百万円減少したものの、建設仮勘定の増加28億3百万円等により、前連結会計年度末に比べ22億7百万円増加の251億60百万円となりました。

(中国事業)

 セグメント資産は、建物及び構築物が10億84百万円増加したものの、受取手形及び売掛金の減少17億79百万円、建設仮勘定の減少7億87百万円等により、前連結会計年度末に比べ16億88百万円減少の190億97百万円となりました。

(シンガポール事業)

 セグメント資産は、受取手形及び売掛金の増加1億69百万円、商品及び製品の増加1億65百万円、原材料及び貯蔵品の増加1億70百万円等により、前連結会計年度末に比べ6億3百万円増加の103億51百万円となりました。

(ランシノ事業)

 セグメント資産は、受取手形及び売掛金の増加7億23百万円、商品及び製品の増加21億9百万円、建物及び構築物の増加6億14百万円等により、前連結会計年度末に比べ39億35百万円増加の116億36百万円となりました。

 

2)経営成績

 当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、「第2[事業の状況]3[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況b. 経営成績」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

1)資金需要

 当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要の2つがあります。

 運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用に係るものであります。また、設備資金需要としましては、主に生産設備の取得に伴う建物や機械装置等固定資産購入に係るものであります。

2)財務政策

 当社グループは、堅固なバランスシートの維持、事業活動のための適切な流動性資産の維持を財務方針とし、主たる資金需要である運転資金及び設備資金につきましては、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金によっておりますが、日本におけるグループ会社の資金不足は当社からの貸付けで、海外グループ会社の資金需要につきましても主に当社からの外貨建て貸付けにて対応しております。また、当社における手元資金は事業投資の待機資金であることを前提に流動性・安全性の確保を最優先に運用しております。

 当社グループは、健全な財務体質、営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も海外事業を中心とする成長性を確保するために現在の手元流動性を超える投資資金需要が発生した場合でも、必要資金を調達することが可能であると考えております。

 なお、2023年12月期の設備投資資金等の長期資金需要につきましては、内部資金をもって充当する予定であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りは、過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。

 当社グループの連結財務諸表で採用した重要な会計方針は、第5[経理の状況]1[連結財務諸表等](1)[連結財務諸表]の[注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)に記載しておりますが、以下に
掲げる会計方針は、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えておりますので、特に記述いたします。

・固定資産の減損

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しております。減損損失の認識にあたり使用する回収可能価額の算定にあたっては、将来キャッシュ・フローを適正な割引率で割り引いた使用価値等様々な仮定を用いております。なお、当連結会計年度においては減損損失を282百万円計上しております。

 

 なお、当社グループの経営に影響を与える大きな要因として、当社グループの主力事業の1つである国内育児用品の販売事業は、出生数の減少により総需要量(数)が変動し、売上高の減少を生じる可能性が考えられます。また、景気悪化による個人消費の冷え込みや訪日外国人によるインバウンド消費の減少等に起因する、流通在庫圧縮の動きも懸念されます。このような市場環境の下、これまで60年以上にわたる育児研究から生まれた競争優位性を発揮できる新商品の開発及び発売、カテゴリー拡大による新規事業の確立に努めてまいります。

 また海外市場におきましては、海外各国における経済、社会情勢の変化、為替変動、新興国の経済成長に伴う原材料需給状況の変化等により売上高、利益額の減少が生じる可能性が考えられます。当社グループの事業成長継続のため、各市場に合わせた商品の開発と供給体制の整備・充実、及び、ブランド力強化と販売活動の一層の拡大が重要と考えております。

 また、当社グループは、保育、託児、幼児教育事業及び高齢者通所介護(デイサービスセンター)事業を展開し、多くの乳幼児及び高齢者をお預かりしております。このような子育て、介護支援サービズ事業は予期せぬ事故が発生する可能性があります。これまでには、震災などの自然災害によるものを含め、業績に影響を与えるような事故等は発生しておりませんが、将来にわたってそのような事態が発生しないとは言い切れず、そのような事態に陥った場合、当社グループの経営成績に与える可能性があります。

 

(経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 第64期(2020年12月期)を初年度とし、第66期(2022年12月期)を最終年度とする第7次中期経営計画にて目標に掲げた主な指標は次のとおりであります。

 当連結会計年度の売上高は949億21百万円、営業利益は121億95百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は85億81百万円、PVAは4,617百万円、EPSは71.72円、ROEは11.4%、ROICは10.9%となっております。

 

第64期

(2020年12月期)

第65期

(2021年12月期)

中期経営計画目標

(2022年12月期)

売上高(百万円)

99,380

93,080

98,700

営業利益(百万円)

15,316

13,336

14,200

親会社株主に帰属する当期純利益(百万円)

10,643

8,785

9,500

PVA(百万円)

(Pigeon Value Added)

7,144

5,600

6,099

EPS(円)

88.93

73.44

79.41

ROE(%)

15.5

12.2

12.9

ROIC(%)

15.0

12.5

12.9

(注) ROICの算定に使用する法人税率は30%としております。

 第64期及び65期の数値は実績値を記載しております。

 なお、第66期の計画については、新収益認識基準を考慮後の数値を記載しております。

 

4【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

 当社グループの研究開発の基本姿勢は、妊娠、出産から子育て、そして高齢者、介護などの生活シーンにおいて生活者の研究を核に新たなニーズを掘り起こし、技術シーズの裏付けを持った新しい商品およびサービスを生み出すことにあります。

 中央研究所を拠点とする開発本部では、グループの各開発部門と連携しながら、効率的かつ迅速な商品開発の実現を図ることでグローバル市場での競争優位性の実現を目指しております。特に、当社の商品開発の核となる赤ちゃんの哺乳・授乳に関する基礎研究については専任の開発組織を設置しており、そこで得たナレッジをグローバルに展開することで、永続的に開発可能な体制の強化を図っています。

 また、当社では開発本部とともにSCM(サプライチェーンマネジメント)本部において、新商品開発時における商品評価及び量産化後の品質管理を担っております。研究開発から量産化に至る一貫した商品開発体制を備えることにより、各拠点の現地開発体制も含めたグループ全体の商品開発機能の中枢を担っています。

 なお、2019年1月より、事業部門を地域別に4つに分割し、日本事業、中国事業、シンガポール事業及びランシノ事業として、その役割と責任を明確にしております。そのうえで、商品企画だけでなく、商品開発、品質管理も現地で完遂する仕組みを構築し、さらなるスピードアップを目指しています。

 今後も、グローバルに安心・安全な商品の提供を目指し、グループ全体の研究開発体制をさらに強化していきます。

 なお、研究開発に携わる人員の総数はグループ全体で256名となっており、当連結会計年度における研究開発費の総額は3,792百万円となっております。事業セグメント別の研究開発活動状況は以下のとおりです。

 

(日本事業)

 日本市場では、基幹商品カテゴリである哺乳器・乳首カテゴリより、60年以上にわたる基礎研究のもとに開発された哺乳器である2代目(従来型)「母乳実感®」をさらにアップグレードし、従来型に比べてより“赤ちゃんが自然に飲める”ようになった3代目「母乳実感®」の発売に向けた活動を行いました。また、シンガポール事業において先行販売した新素材のプラスチック「T-Ester※」を使用した哺乳器の発売に向けた活動も行いました。同じく基幹商品カテゴリであるベビースキンケアカテゴリでは、保湿成分が増え、より環境にも配慮されたパッケージにリニューアルした「ピジョン ベーシックスキンケア」シリーズ発売に加えて、環境にやさしい紙製のキューブパックを採用したおしゃれなデザインパッケージの保湿ローションや、容器を再利用できる保湿ローションの詰めかえタイプを新しく発売するなど、ラインアップの拡充や新たな商品価値の提案に向けた活動を積極的に行いました。このほかにも、“日常の子育てのなかで自然にソナエができている”というコンセプトのピジョン初となる赤ちゃん防災用品シリーズ「sonaetta(ソナエッタ)」や全自動で除菌から乾燥まで行える哺乳びんスチーム除菌・乾燥器 「POCHItto(ポチット)」も新発売しています。介護関連市場においては、トイレットペーパーに吹きかけるだけでおしりふきのように汚れをかんたんにしっかりふき取りつつ、肌にも優しいスプレー「ラクラクおしりキレイミスト」の発売を開始するなど、引き続き消費者・介護者のニーズに寄り添った新商品開発及び商品ラインアップの拡充に向けた活動を行いました。

 この結果、当連結会計年度の研究開発費は1,811百万円となりました。

 

(中国事業)

 中国市場では、前期の3代目新型哺乳器「自然実感(日本名:母乳実感®)」シリーズ発売につづいて新デザイン商品を追加発売し、ラインアップ拡充に向けた活動を行いました。スキンケアカテゴリにおいては、これまで赤ちゃんの肌研究で培ったノウハウを活かし、3歳以上のお子様を対象とするキッズ向けスキンケア商品の発売に向けた研究開発を行い、顧客対象年齢の拡大に取り組みました。

 この結果、当連結会計年度の研究開発費は947百万円となりました。

 

(シンガポール事業)

 東南アジアやインド等の市場に対しては、中国、日本に続き、主要国において当社の主力商品である哺乳器「SofTouch」(日本における商品名:母乳実感®)シリーズのリニューアル発売や、ガラスのような透明感を実現した新素材のプラスチック「T-Ester※」を使用した哺乳器を他の市場に先駆けて発売するための活動を行いました。ベビースキンケアカテゴリにおいては、自然由来で赤ちゃんの肌にやさしく、地球環境にもやさしいスキンケアシリーズ「ナチュラル・ボタニカル・ベビー」シリーズから、コーンスターチを原料とした自然素材のベビーパウダーを新発売し、ラインアップの拡充に向けた活動を行いました。

 この結果、当連結会計年度の研究開発費は296百万円となりました。

 

(ランシノ事業)

 ランシノ事業では、前期に発売を開始した新規商品カテゴリである産前・産後ケア商品の展開国拡大や更なる商品ラインアップ拡充に向けた活動を行いました。また、さく乳器の進化・改良や、さらなる新規商品カテゴリ探索に向けた活動など、多様なニーズのある市場に向けて積極的な活動を行いました。

 この結果、当連結会計年度の研究開発費は609百万円となりました。

 

(全社)

 当社の中核となる哺乳・授乳商品カテゴリへ特化し、グローバル市場での競争優位を実現するための活動を実施しました。

 特に、商品開発段階における新たな商品評価手法を検証・確立したほか、基礎研究成果の学会発表等にも積極的に取り組みました。

 この結果、当連結会計年度の研究開発費は128百万円となりました。

 今後も市場ニーズに的確に応える商品の開発に努めるとともに、基礎研究により培われた成果を中長期的視野での商品開発に繋げていくことにも注力していきます。

 

※「T-Ester」は、三菱瓦斯化学株式会社の日本及びその他の国における商標又は登録商標です。