第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 ISBグループが一丸となって次の50年を創り出していくため、ISBグループのミッション・ビジョンを新たに策定し、そしてISBグループ理念体系を定義しました。

 創立者の言葉である「夢をもって夢に挑戦」を企業理念として、ISBグループの一人ひとりが夢や希望を持ち、常に挑む精神で取り組んでいきます。ISBグループの知識や技術力で、誰もが幸せになれる社会づくりに貢献していくことを我々のミッションとし、柔軟性をもって、時代に即した新しい価値を創造し、未来につながる製品・サービスを提供することを我々のビジョンとして定め、その実現を目指してまいります。

 [ISBグループ理念体系]

  企業理念: 夢を持って夢に挑戦

  Mission : 私たちアイ・エス・ビーグループは卓越した技術と魅力ある製品・サービスで、心豊かに暮らす笑顔溢れる社会づくりに貢献します。

  Vision : 時代の変化に適応し、知恵とITの融合により、未来を切り拓く新たな価値を創造します。

  Value  : 誇り 誠実 挑戦

 

(2)経営戦略等

 2021年2月に公表いたしました、2023年を最終年度とする中期経営計画「ISBグループ中期経営計画2023」では、「新しい一歩 ~move up further~」をスローガンに掲げ、新生アイ・エス・ビーグループ創出に向け、今までの50年の更なる進化と新たな領域への挑戦で、より多くのお客様にソリューションを提供できる企業を目指してまいります。

 ① 顧客開拓、有望分野の拡大

  AI、IoT/M2M、ビッグデータ解析などのICT技術の実用化に、モバイルインフラ、スマートデバイス、センサー技術などの発展がともない、あらゆる分野・業種において新たなICT技術を利用したサービスの提供が加速してきております。当社グループの中核事業である顧客主導型の「受託開発型」ビジネスでは、そのような顧客の動向に適応していくことが非常に重要であります。そこで、それを実現し得る人材の育成と確保に鋭意注力しており、今後も常に先端の開発技術や開発言語の要求に応え得る、選ばれる企業であり続けることを重要な方針としております。

  また、特定の限られた顧客だけではなく、顧客層を様々な分野・業種に広げることで、事業を拡大するとともに、収益基盤をより安定させることができると考えております。これまでに培ってきた幅広い分野での技術・ノウハウを活かすとともに、FAE(技術営業)による提案営業の推進や、営業ツールの活用やセミナー開催等による顧客誘導など新たな営業手法の導入により、新規顧客の開拓を進めてまいります。

  さらには、当社グループで培った技術・ノウハウ、実績を活かして、5G関連、車載、モビリティサービス、医療、業務サービスなど成長が見込まれる有望分野へ注力することにより、事業拡大を図ってまいります。加えて、他の分野におきましても相乗効果による受注拡大へ繋げていきます。

 ② ソリューション事業の創出

  これまで、当社グループは、前述の「受託開発型」ビジネスに偏重している当社の事業ポートフォリオを2つの車輪経営に変えていき、将来にわたりより安定した事業基盤を構築するため、また当社グループ全体で更に高い利益率を目指すため、プロダクト事業の拡大に取り組んでまいりました。

  これからは、よりお客様に満足いただけるよう、技術力、プロダクト、営業力を融合させたソリューションを提供するとともに、新しいビジネスモデルでのサービス提供にも挑戦してまいります。

  ソリューション事業の創出に当たっては、グループ各社の技術力、プロダクト、営業力を結集することが重要であり、これらの各要素を継続的に強化していくことが必要であります。まず、技術力の強化に関してですが、当社グループの様々な分野・業種でのシステム開発力や、プライム案件におけるワンストップでのシステム導入提案サービスで培ってきた技術・ノウハウを今後も継続的に蓄積していくとともに、クラウド・IoT・AI人材の育成やシステム設計力の向上にも取り組んでまいります。次に、プロダクトの活用・創出に関してですが、医療、IoT、セキュリティーなどのプロダクト開発・販売の実績・ノウハウを活用することに加え、効果的な研究開発や販売方法の提案により、市場が求める製品・サービスを新たに創出・提供できるよう取り組んでまいります。最後に、営業力の強化に関してですが、FAEを育成していき、顧客ニーズに応える提案営業をさらに拡大していくとともに、市場環境を見極めるためのマーケティング強化と、新市場拡大のための営業手法の改善や事業部門との連携に引き続き取り組んでまいります。

 ③ グループ経営強化

  グループ各社がもつ、それぞれの所有技術や、業界・営業・育成・採用等々のさまざまなノウハウ、顧客層、製品などを効果的に活かし協業もしくは分業することで、グループ各社の能力を最大限に引き出しまた相互に活かしてまいりたいと考えております。

  当社グループは、海外ではベトナム国に、そして日本国内では札幌市、仙台市、福岡市などにリモート開発の拠点を設置しております。当社グループ全体の事業拡大を図るため、これからも引き続きリモート開発活用を推進するとともに、地域内の企業からの受注拡大に取り組んでまいります。

  一方、経営管理面につきましては、M&Aによりグループ会社数が徐々に増えてきていることもあり、グループ理念体系の共有により組織力を強化するとともに、グループ会社間の連携を強化し、さらなる効率化とグループ管理体制を強化していくことが必要となってきております。

  管理業務の効率化に関しては、ITを活用することで、より効率的な業務を実現するとともに、働き方改革を推進することで、従業員一人一人の生産性向上を図ってまいります。グループ管理体制強化に関しては、統一されたグループ管理本部集団を目指すべく、管理業務の一元化と、内部管理体制強化を図ってまいります。

 

(3)経営環境

わが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種促進や政府の各種経済政策等による社会経済活動の正常化に向けた対応が進められる中、個人消費は回復傾向にあり、景気は緩やかながらも持ち直しの動きが見られました。一方、ウクライナ情勢の長期化などを受けたエネルギー・資源価格の上昇、急激な円安進行に伴う物価の高騰、半導体をはじめとした部材の供給制約等により、先行き不透明な状況が続くものと予想されます。

当社グループが属する情報サービス産業におきましては、コロナ禍に対応したシステム開発や業務生産性の向上や合理化、新技術のさらなる発展を目的としたIT関連投資については楽観視できないものの概ね安定して推移すると考えております。

今後も引き続き、慢性的な人手不足に対応するための業務生産性の向上や合理化を目的とした、企業のIT投資は底堅く推移するとみられ、また、クラウド、IoT、AIなど先進技術を活用したDXの推進に向けた戦略的IT投資需要は増加すると予想されます。しかしながら、それらIT投資需要を支える技術者の不足が深刻な問題となっており、今後についても人材の需給関係は非常に厳しく推移すると考えております。このような経営環境を打破すべく、より一層、人材確保のための採用活動を強化していくとともに、開発パートナー企業の技術者を確保することにも鋭意注力してまいります。また、刻々と進化するICT技術に対応し続けていくために、技術者育成への教育投資を促進してまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、グループの総力を結集し、さらなる事業拡大と企業価値の持続的向上を目指しております。経営指標としては、本業の成果を表す売上高、営業利益、営業利益率を重視した経営に取り組んでおります。2023年を最終年度とする中期経営計画「ISBグループ中期経営計画2023」では、2023年に連結売上高300億円、同営業利益24億円(営業利益率8.0%)を目標に掲げております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 ① 成長産業および技術分野での事業拡大

  ソフトウェアの受託開発型ビジネスは、当社グループにおいて大きな収益源であり、今後の事業継続と更なる拡大のためには、成長が見込める産業および技術分野の開拓が必須の課題であります。

  そのためには当社グループ各社の得意先、得意分野、得意技術を活かしての協業・分業による事業領域の拡大に加え、積極的かつ柔軟な業務シフトが有効であると認識しております。

  また、受託開発型ビジネスの収益性の維持・向上のためには、新たな開発手法やフレームワークを用いた生産性向上、不採算・低採算プロジェクトの発生抑止抑制のためのプロジェクト管理力の強化、海外(ISB VIETNAM COMPANY LIMITED)や国内のリモート開発活用による原価削減が有効であると認識しております。

 ② 高付加価値業務へのシフト

  当社グループの競争力と企業価値を高めるためには、顧客の期待に応えるソリューションと魅力あるITサービスおよび製品を提供していくことが、重要だと認識しております。

  企業が抱える課題解決のため、AI、IoT、クラウドなどの先進技術の活用を推進するとともに、これまでに提供してきたITサービスおよび製品を活用したソリューションの提供にも取り組んでまいります。

  また、技術力を備えた営業職の育成や、営業部門と事業部門との間での連携の強化など提案営業を推進し、より高い付加価値を提供できるITコンサルティングやシステム設計などの上流工程への業務シフトを図ってまいります。

 ③ 人材の育成と確保

  ソフトウェアの受託開発型ビジネスでは、人材が顧客へ提供する価値の多くを生み出しており、当社グループの持続的な競争優位性を維持するためには、技術力と経験を持った人材の育成と確保が不可欠であります。

  当社グループは、無線通信、組込みソフトウェア、一般業務アプリケーション、セキュリティ製品などの技術を長年にわたり蓄積し、他社との差別化を図ってまいりました。これらの技術を継承し、発展させ、進化させる人材を育成・確保するため、人材育成プログラムの推進や、事業計画に沿った適正な人材の採用などに取り組んでおります。さらにはリモート開発の活用、ビジネス・パートナーとの連携強化など、様々な形での人材確保にも注力してまいります。

 ④ グループ組織力の強化

  当社グループの収益改善のためには、業務効率化、IT化、グループ各社の管理業務の最適化などの生産性向上と後戻り工数を無くすなどの品質向上が大きな課題と認識しております。

  当社グループ各社に対する財務経理、人事労務、法務等の業務の支援・指導や定期的な情報交換により、グループ経営の効率的な運営に取り組むとともに、働き方改革の推進や働きやすい・働きがいのある職場づくりを通じて、社員がより力を発揮できる環境を提供してまいります。

  また、内部管理体制やリスクマネジメントの強化にも取り組んでおり、新型コロナウイルス感染症の拡大防止のため、緊急対策本部を設置し、感染防止対策を講じております。

 

 なお、当社連結子会社及び同社に吸収合併される前の当社連結子会社に対する税務調査の過程において、同社の役員により過去複数年にわたり不適切な取引が行われていた疑いがある旨の報告を受けたため、特別調査委員会による事実関係の調査・検証が行われ、再発防止策の提言がなされました。

 株主、投資家の皆様を始め、お取引先、市場関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をおかけすることとなりましたことを、深くお詫び申しあげます。

 当社グループは、役職員の意識改革、管理体制の強化とともに、特別調査委員会の提言に基づいた再発防止策を講じ、実効的なガバナンスの構築およびコンプライアンスの強化に取り組んでまいります。

 

2【事業等のリスク】

当社グループの事業展開上のリスク要因になる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。

なお、本項においては、将来に関する事項を記載している場合には、当該事項は本書提出日現在において判断したものであります。

 ① 競合の激化等について

  当社グループが属するソフトウェア業界においては、競合するソフトウェア開発会社が多数存在しており、これら事業者との競合が生じております。開発業務において、他社との更なる競合の激化が生じた場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、景気低迷等によるソフトウェア開発需要の減少が生じた場合は、技術者の稼働率や受注単価が低下し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当該リスクに対し、当社グループは、新たな開発手法等を用いた生産性向上、プロジェクト管理強化による不採算・低採算プロジェクトの発生抑止抑制、子会社が行う海外や国内でのリモート開発などによるコストの削減、部門間連携による稼働率の維持などで対処する方針です。

 ② 特定分野への依存について

  当社グループは、携帯端末及びそのインフラ開発などメーカー等からのソフトウェア受託開発業務を主な事業として事業基盤を拡大してまいりました。これらの事業における需要が減少した場合には、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、これまで培った技術力やノウハウの活用やFAE(技術営業)による提案営業の推進により、新規顧客を開拓し収益基盤の安定化を図るとともに、今後成長が見込まれる5G、車載、モビリティサービス、医療、業務サービスなどの有望分野での事業拡大を進め、特定分野への依存度の低減に努めております。

 ③ 不採算プロジェクトについて

  当社グループのソフトウェア受託開発では、業務の性質により受注時に開発規模等を正確に見積ることが困難な場合や受注後の諸条件の変更により、プロジェクトの採算が悪化する場合があります。また、当社グループの提供するソフトウェア製品・サービスにおいて、不具合(バグ)の発生やサービス不良品等の品質上の問題により手直し等の追加コストの発生や損害賠償が発生する可能性があります。これらは、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、品質管理に係る規程を整備し、技術難度、工期、プロジェクト規模などの観点から一定以上のリスクが想定されるプロジェクトに対し、受注時における計画や原価見積りの妥当性審査や、プロジェクト進行中の進捗や課題の状況、リスクとその軽減策を定期的に把握・管理するなど、不採算・低採算プロジェクトの発生抑止抑制に努めております。

 ④ M&Aに伴うリスクについて

  当社グループでは、企業の買収や資本参加による技術力の向上及び顧客分野の拡大を今後の経営戦略のひとつとしておりますが、当社グループがこれらの投資活動により想定したとおりの成果を得る保証はありません。買収や資本参加時において、のれんが発生する場合には資産計上し、会計規則に従った期間において償却する必要があります。また、減損の必要が生じた場合は当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当該リスクを低減するため、M&Aの意思決定時には、フィナンシャルアドバイザー、会計士、弁護士等の外部有識者などによる第三者評価、及び事業部門を含めた社内外の有識者によるデューデリジェンスを経て、発見された各リスクの検証、対応策を取締役会などにおいて予め検討・実施し、事業運営上のリスクの低減に努めております。また、M&A実施後の統合プロセス(PMI)において、親会社を中心としたグループ各社からの支援を適切に行うことにより、M&A効果の最大化を図り、売上高や利益の維持・向上に努めております。

 ⑤ 新事業について

  当社グループは、ソフトウェア受託開発業務を設立以来の主たる事業としていますが、収益源の多様化や受託開発事業のみでは限りがある利益率の改善のため、当社グループのリスク許容度を慎重に検討しつつ新事業を展開する方針であります。しかしながら、新事業の展開は大きな先行投資を伴うことがあり、今後、当社グループが展開する新事業が計画通りに進捗しない場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループでは、投資に際して投資に伴う事業計画、収益計画等について十分に検討し、また投資後にあっても、各事業に関わる市場や技術の動向、計画の進捗状況等を定期的に把握し、必要な対策を適宜講じるなど、新事業の投資リスク低減に努めております。

 ⑥ 人材確保・育成について

  当社グループは高度な技術力の提供を通じて競合他社との差別化を図ることを基本としておりますが、それを支えるのは技術要員であり、そのため優秀な人材の確保・育成が重要な課題であると考えております。当社グループの必要とする人材を確保・育成できない場合は、技術革新などへの対応が十分に行えず、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、長年にわたり蓄積してきた無線通信、組込みソフトウェア、セキュリティ製品などの技術を継承し、発展させ、進化させる人材を育成・確保することを目的に、技術等の習得のための研修の充実や、事業計画に沿った適正な人材の採用などに取り組んでおります。さらにはリモート開発の活用、ビジネス・パートナーとの連携強化など、様々な形での人材確保にも注力してまいります。

⑦ 情報セキュリティについて

  当社グループは、顧客、従業員などの個人情報やその他秘密情報を有しています。万一、情報の流出が発生した場合、当社グループの信用低下や多額の費用発生(流出防止対策、損害賠償など)により当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループは、これら情報の保護に細心の注意を払っており、情報セキュリティーポリシーや個人情報保護方針を制定し、社会情勢の変化や情報技術の進歩などに応じて、見直しや改善を実施しております。シンクライアント端末利用などのシステム面の管理強化、従業員教育及び内部監査の実施などの施策を推進し、情報セキュリティリスクの低減に努めております。

 ⑧ 知的財産権について

  当社グループが知的財産権に関し訴訟等を提起され、又は当社グループが自らの知的財産権を保全するため訴訟等を提起しなければならない事態が生じる可能性があります。このような訴訟等には、時間、費用その他の経営資源が費やされ、また、訴訟等の結果によっては、当社グループが重要な技術を利用できなくなる可能性や損害賠償責任を負う可能性があり、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

  当社グループでは、リスク度合いに応じ、知的財産権に関する調査を行うとともに、知的財産権の取得・利用・管理に関する社内での教育・啓発を図り、第三者の知的財産権を侵害しないよう、また当社グループの知的財産権を適切に保全するよう努めております。

 ⑨ 災害等について

  当社グループの業績は、事故や地震・台風などの自然災害、紛争・暴動・テロなどの人為的災害、新型インフルエンザなどの感染症の流行などにより事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。さらに、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化は、世界的な景気の減速をもたらし、顧客の経営状況悪化によるIT投資の抑制・先送りや既存案件の規模縮小、新規営業活動の停滞など、当社グループの事業にも大きなリスクを生じさせる可能性があります。

  このようなリスクに備え、当社グループは、事業継続計画(BCP)の整備や、一定の基準を超える災害発生時での事業継続計画の発動により、影響の回避・低減に努めております。なお、現在流行している新型コロナウイルス感染症への対応につきましては、緊急対策本部を設置し、在宅勤務の推進、オンラインツールを利用した会議の徹底等、感染防止のための対策を講じております。また、例年以上に顧客の経営状況を把握するなど、事業面でのリスク顕在化に備えるよう努めております。

 

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要。

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 a,経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種や各種政策等により社会経済活動の正常化に向けた動きが見られ、個人消費は回復傾向にあり、景気も緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化、エネルギー情勢等の影響による資源価格の上昇、円安進行や、半導体をはじめとした供給面での制約等により、先行き不透明な状況が続いております。

 このような状況の中、当社グループは、中期3か年計画「新しい一歩 ~ move up further ~」の3つの重点戦略、「顧客開拓、有望分野の拡大」、「ソリューション事業の創出」、「グループ経営強化」に取り組み、持続的な成長と企業価値の向上に努めてまいりました。

 その結果、当連結会計年度の業績は、昨年の過去最高を更新し、売上高289億52百万円(前連結会計年度比10.6%増)、営業利益23億19百万円(同24.0%増)、経常利益24億1百万円(同23.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益14億23百万円(同28.3%増)となりました。

 なお、当連結会計年度の期首から「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し、収益認識に関する会計処理方法を変更しております。財政状態及び経営成績に与える影響の詳細については、「第5 経理の状況」1 連結財務諸表等「注記事項(会計方針の変更)」を参照ください。

 セグメント別の業績は、次のとおりであります。

 

(情報サービス事業)

 情報サービス事業では、「モビリティソリューション」の車載系は、既存業務を中心に堅調に推移いたしました。5G関連業務は、堅調に推移し、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。

 「ビジネスインダストリーソリューション」の医療系は、既存業務が好調に推移いたしました。業務系は、新規ユーザーを獲得するなど堅調に推移し、組込開発メーカと既存顧客からの受注が増加し、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。

 「エンタープライズソリューション」のフィールドサービスでは、サーバネットワーク機器関連業務は、半導体不足の影響を受け、受注が減少いたしました。官庁・自治体向けシステムの受注は堅調に推移し、金融系は、既存業務が堅調に推移し、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。

 「プロダクトソリューション」のMDM事業(モバイルデバイス管理)サービス関連は、ワンストップサービス導入や営業力強化により堅調に推移し、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。

 利益面に関しましては、売上高の増加により、営業活動の拡大や人材投資による販売費及び一般管理費の増加を吸収し、セグメント利益は前年同期に比べ増加いたしました。

 以上の結果、当事業における売上高は248億89百万円(前連結会計年度比14.0%増)、セグメント利益は18億35百万円(同21.9%増)となりました。

(セキュリティシステム事業)

 セキュリティシステム事業は、世界的な半導体不足の影響を受け、制御盤等の主力製品欠品による販売機会の逸失が大きく影響し、売上高は前年同期に比べ減少いたしました。

 利益面に関しましては、主に建設キャリアアップシステム(CCUS)関連機器やALLIGATE等のリカーリングビジネスが順調に伸びたことに加え、のれんの償却が終了したことにより販売費及び一般管理費が減少し、前年同期に比べ増加しました。

 以上の結果、当事業における売上高は40億63百万円(前連結会計年度比6.3%減)、セグメント利益は4億75百万円(同34.0%増)となりました。

 

 b.財政状態の分析

  連結会計年度末における総資産は164億58百万円と前連結会計年度末に比べ20億96百万円(前連結会計年度末比14.6%増)増加いたしました。

 これは主として、現金及び預金、商品、売上高増加による受取手形、売掛金及び契約資産の増加、仕掛品、のれん、投資有価証券の売却による減少によるものであります。

 負債は、57億75百万円と前連結会計年度末に比べ9億71百万円(前連結会計年度末比20.2%増)増加いたしました。

 これは主として、外注費の増加に伴う支払手形及び買掛金、契約負債、未払法人税等の増加によるものであります。

 純資産は、106億82百万円と前連結会計年度末に比べ11億24百万円(前連結会計年度末比11.8%増)増加いたしました。

 これは主として、利益剰余金の増加によるものであります。

 

 ②キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度の現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、15億54百万円の増加(前期は8億75百万円の増加)となりました。その結果、前連結会計年度末(2021年12月31日)の資金の残高60億71百万円を受け、当連結会計年度末の資金の残高は、76億26百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、資金の増加は19億26百万円(前期は14億57百万円の増加)となりました。

 これは主に、税金等調整前当期純利益23億94百万円、減価償却費1億31百万円、のれん償却額3億55百万円等の資金の増加要因が、売上債権の増加3億7百万円、棚卸資産の増加3億79百万円、法人税等の支払額8億40百万円等の資金の減少要因を上回ったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、資金の減少は73百万円(前期は2億2百万円の減少)となりました。

 これは主に、保険積立金の払戻による収入75百万円を、有形固定資産の取得による支出1億15百万円、会員権の取得による支出30百万円等の資金の減少要因が上回ったものによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、資金の減少は3億41百万円(前期は4億2百万円の減少)となりました。

 これは主に、配当金の支払額3億40百万円等の資金の減少要因によるものであります。

 

③経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

 ④経営戦略の現状と見通し

経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略等」に記載しております。

(2)生産、受注及び販売の実績

①生産実績

 当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

 前年同期比(%)

情報サービス事業(千円)

24,889,532

114.0

セキュリティシステム事業(千円)

4,063,463

93.7

合計(千円)

28,952,996

110.6

 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

     2.金額は販売価格で表示しております。

 

②受注実績

 当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

 

前年同期比(%)

 

受注残高(千円)

前年同期比(%)

情報サービス事業

25,929,948

116.3

5,495,142

123.4

セキュリティシステム事業

4,636,236

108.0

1,374,156

171.5

合計

30,566,185

115.0

6,869,298

130.7

 (注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

     2.金額は販売価格で表示しております。

 

③販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

 前年同期比(%)

情報サービス事業(千円)

24,889,532

114.0

セキュリティシステム事業(千円)

4,063,463

93.7

合計(千円)

28,952,996

110.6

 (注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

     2.金額は販売価格で表示しております。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。

 

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内かつ合理的と考えられる見積り及び判断を行っている部分があり、この結果が資産・負債、収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、一部過去の実績に基づく概算数値を用いるために、不確実性が伴っており実際の結果と異なる場合があります。なお、重要な会計方針については「第5経理の状況1連結財務諸表等(1) 連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。

 なお、会計上の見積りにおいて、新型コロナウイルス感染症について、今後の広がり方や収束時期を予想することは困難ですが、現時点において影響は軽微なものとして見積りを行っております。

 

 ②財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 a.財政状態の分析

 当連結会計年度末における総資産は164億58百万円と前期末比20億96百万円(前期末比14.6%増)増加いたしました。

 これは主として、債権の回収による現金及び預金の増加15億54百万円、売上高増加および会計基準の変更に伴う、受取手形、売掛金及び契約資産の増加4億57百万円、商品の在庫増加4億60百万円、のれんの償却による減少3億55百万円等によるものであります。

 負債は、57億75百万円と前期末比9億71百万円(前期末比20.2%増)増加いたしました。

 これは主として、外注費の増加に伴う支払手形及び買掛金の増加4億31百万円、未払法人税等の増加3億20百万円、未払消費税等の減少25百万円等によるものであります。

 純資産は、106億82百万円と前期末比11億24百万円(前期末比11.8%増)増加いたしました。

 これは主として、利益剰余金の増加11億円、為替相場の変動による、為替換算調整勘定の増加47百万円等によるものであります。

 

 b.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高289億52百万円(前連結会計年度比10.6%増)となり、前連結会計年度と比べて27億76百万円の増加となりました。セグメントごとの概況につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は69億55百万円(同10.5%増)となり、前連結会計年度と比べて6億59百万円の増加となりました。主たる要因は、売上高の増加に伴う増収によるものです。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は46億36百万円(同4.8%増)となり、前連結会計年度と比べて2億10百万円の増加となりました。主たる要因は、人件費等の増加であります。人材採用・育成に向けた経費や基幹システムの刷新による経費等も増加いたしました。セキュリティ事業では、次期製品開発に向けた研究開発費やALLIGATEの基本機能向上等の開発費がありますが、「入退室管理システム X-LINE」を発売し、開発費が減少したことに加え、のれんの償却が終了したこと等により、販売費及び一般管理費は減少いたしました。販売費及び一般管理費比率は、前連結会計年度比0.9ポイント改善いたしました。

 以上のとおり、増収増益となり、販売費及び一般管理費率も改善し、営業利益は前連結会計年度比4億49百万円増加し23億19百万円(同24.0%増)となり、営業利益率も前連結会計年度比0.9ポイント改善いたしました。

(営業外損益)

 当連結会計年度における営業外収益は1億11百万円(同3.8%増)となりました。これは、受取利息の増加、有価証券の売却によるものです。営業外費用は30百万円(同19.1%減)となりました。これは、為替変動による為替差損17百万円、リース物件の解約によるリース解約損7百万円によるものです。

 この結果、経常利益は前連結会計年度に比べて、4億60百万円増加し、24億1百万円(同23.7%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は9億70百万円となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べて3億13百万円増加し14億23百万円(同28.3%増)となりました。

 

 ③キャッシュ・フローの分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの分析」をご参照ください。

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、子会社株式の取得等によるものであります。当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は1億20百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は76億26百万円となっております。

 

4【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5【研究開発活動】

1.研究開発費に関する基本的な考え方

当社グループの研究開発費は、下記の二点の基本的な考え方において投入いたします。

a.製品、ITサービス創出のための研究開発

当社グループは、ソフトウェア開発およびインフラ構築や運用支援業務、また、電気錠などのセキュリティ関連の製品開発の経験、実績を持っています。これらの技術、ノウハウをベースに、これまでの受託開発以外のビジネスを創造していくため、研究開発費を投入していくことを基本方針としています。例として、当期におきましては、当社グループの主力技術である電気錠の技術を応用し、「ALLIGATE Lock Pro(アリゲイト ロック プロ)」、「入退室管理システム X-LINE」等の製品化が挙げられます。今後につきましては、当社グループで培った技術を活かした製品開発を積極的に行ってまいりたいと考えており、グループ全体で通期連結売上高の1%程度を上限に研究開発費を投入してまいりたいと考えております。

b.社内システム

当社グループの社内業務効率化を図るべく社内システムを新規開発、改善を行っております。各種業務アプリケーションを設計、開発し、サーバー、ネットワークを構築し各部門、各拠点事業所での業務効率を向上します。そのための、開発、機器導入に向け研究開発費用を投入いたします。

2.最近5年間の研究開発費の推移および変動要因

 

2018年12月期

2019年12月期

2020年12月期

2021年12月期

2022年12月期

研究開発費
(千円)

228,295

198,466

126,697

211,477

165,493

 

 (注)研究開発費の変動要因

期別

変動要因

 2018年12月期

 前年比93,928千円の減少で、Wi-SUN製品、PET-CT Viewer、「ALLIGATE(アリゲイト)」に対応した「Lock」、「Logger」等を開発。

 2019年12月期

 前年比29,828千円の減少で、WhiteBoxSwitchの開発、Qtを活用したエッジAIソリューションの開発、「ALLIGATE(アリゲイト)」及びVECTANT SDMでは他社サービス連携に対応した開発。

 2020年12月期

 前年比71,769千円の減少で、VECTANT SDMの新サービスの研究開発、QNX、Qtを利用したデモ製品等の開発、「ALLIGATE(アリゲイト)」の他社サービス連携に対する開発等。

 2021年12月期

 前年比84,780千円の増加で、VECTANT SDMの新サービスの研究開発、次期製品の開発や「ALLIGATE(アリゲイト)」の他社サービス連携に対する開発等。

 2022年12月期

 前年比45,984千円の減少で、VECTANT SDMの新サービスの研究開発、次期製品の開発や「入退室管理システム X-LINE」の開発等。