(1)経営理念
当社グループは、企業理念として、世界中のステークホルダーの皆さまとともに歩む「共生」を掲げています。「共生」とは、文化、習慣、言語、民族などの違いを問わず、すべての人類が末永く共に生き、共に働き、幸せに暮らしていける社会をめざすものです。この「共生」の理念のもと、当社グループは、「共生」の理念に基づき、世界の繁栄と人類の幸福のため、企業の成長と発展を目指し企業活動を進めています。
(2)マテリアリティ
当社は、時代とともに変化する社会の動きを捉えながら、企業理念の「共生」のもと、人間尊重、技術優先、進取の気性と言った企業DNAと、自社の強固な財務基盤や豊富な人材、高い技術力など、様々なリソースを有効に活用し、また健全なコーポレート・ガバナンスを保ちながら事業を展開してまいりました。
当社のこれまでの取り組みや中長期経営計画に沿った様々な事業活動の中から、当社が取り組むべきと考える重要事項の中で、世界中のステークホルダーの皆さまの関心が特に高い「新たな価値創造、社会課題の解決」ならびに「地球環境の保護・保全」を重要課題(マテリアリティ)として抽出しました。また、さらにこれら2つのマテリアリティに取り組む上で支えとなるテーマを「人と社会への配慮」として集約し、3つ目のマテリアリティとしました。当社では、世界中のステークホルダーの意見を参考に、マテリアリティの妥当性の確認や見直しを行うほか、社会に対する当社の事業活動のインパクトを分析し、企業活動のより一層の充実を図っています。
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特定したマテリアリティ |
項目 |
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新たな価値創造、社会課題の解決 |
・人々の健康や病気の予防に貢献する医療技術の開発 ・社会の安心・安全に資するセキュリティ技術の進化 ・写真や映像分野における人々の豊かさや楽しさにつながる 製品/技術の開発 |
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地球環境の保護・保全 |
・省エネルギー化の促進/再生可能エネルギーの活用 ・使用済み製品のリユース・リサイクル ・廃棄物の削減/水域・土壌の汚染防止 |
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人と社会への配慮 |
人権と労働 |
・差別やハラスメントの防止、基本的人権の尊重 ・適正な賃金と労働時間の管理 |
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社会貢献 |
・事業活動を生かした社会貢献活動 ・次世代の育成支援 |
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(3)中長期経営計画:グローバル優良企業グループ構想フェーズⅥ
当社は、「共生」の理念のもと、永遠に技術で貢献し続け、世界各地で親しまれ、尊敬される企業を目指し、1996年に5か年計画『グローバル優良企業グループ構想』をスタートしました。
2021年を初年度とする新5か年計画「グローバル優良企業グループ構想 フェーズⅥ」(以下、フェーズⅥ)では、「生産性向上と新事業創出によるポートフォリオの転換を促進する」を基本方針に、テクノロジーとイノベーションによって新たな価値を生み出し、コンシューマーの分野ではより豊かな生活を、オフィスやインダストリーの分野ではより快適なビジネス環境を、そしてソサエティの分野ではより安心・安全な社会づくりをめざします。
①産業別グループの事業競争力の徹底強化
当社が保有する多岐にわたる技術や資産を最大限活用することを目的として、2021年に技術的に親和性のある複数の事業本部をプリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルの4つのグループに再編成しました。グループ内の各分野で人材・技術の交流と情報・リソースの共有が活発に行われたことにより、製品ラインアップの拡充と重複する機能の排除に依る合理化が進みました。今後は、各グループ内の技術交流を更に促進し、お客様の多様なニーズに応える新規事業の創出につながる将来技術の開発や、更なる生産性と品質の向上を目指して生産技術の強化に注力します。
各グループにおける、フェーズⅥの主な戦略・施策の進捗状況は以下の通りです。
プリンティンググループ
新型コロナウイルスの感染拡大により働く場所が分散し、DX(デジタルトランスフォーメーション)が進展したことでペーパーレス化が進みましたが、仕事に関する思考や情報共有において紙は有用な手段であり、プリント機器に対する底堅い需要が見込まれます。
オフィス、ホームの分野では、サテライトオフィスや自宅など働く場所や働き方の多様化が進み、働く場所で制約を受けないプリンティング環境・サービスへのニーズが高まっています。プリンティンググループでは、お客様の使用されるシーンを問わずに、リモートでも高い生産性、利便性、セキュリティ環境を提供すべく、当社製の複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンターとクラウドを連携したオンデマンドプリンティング環境の提供に注力しています。2022年は、DX対応を強化したハードウェアのラインアップの強化を行いました。また、在宅勤務でもオフィス同等の高いセキュリティ環境と管理機能を提供する新クラウド印刷サービスHybrid Workシリーズの第一弾として、オフィス向け複合機や家庭用インクジェットプリンターでの印刷に対応したHybrid Work Print Standardの販売を開始しました。引き続きお客様のニーズに合わせた商品・サービスを拡充し、オフィス、ホームの分野において世界No.1を目指します。
アナログからデジタルへのシフトが進むカタログ印刷等の商業印刷分野と、ラベル印刷やパッケージ印刷等の産業印刷の分野では、グループの総力を挙げて競争力のある商品ラインアップを揃えるとともに、お客様の省力化や付加価値向上を支援するワークフロー・ソフトの拡充に取り組んでいます。2022年は、商業印刷では当社独自技術によりアナログ印刷に匹敵する高画質と高再現性を実現したハードウェアがお客様に認められ、好調に販売台数を伸ばしました。また産業印刷では、欧州を中心としてラベル印刷や各種フィニッシング処理の機器を開発・製造・販売する英国のフレキソ産業印刷機メーカーであるイーデール社の株式を取得し、完全子会社化しました。これにより当社は、ラベル・パッケージ印刷業界の要望に応える商品とサービス展開を加速し、産業印刷事業の確立を目指します。
イメージンググループ
スマートフォンの普及により、デジタルカメラ全体の市場は大きく縮小したものの、フルサイズのセンサーを搭載したミラーレスカメラの販売は、コロナ禍にあっても堅調に推移しており、高画質の写真に対する需要は底堅いものがあります。世界屈指の光学技術を有する当社は、こうした需要に応えるカメラ・交換レンズを今後も順次市場に投入し、「高画質」を重視するプロ・ハイアマチュアユーザーを対象の中心に、ミラーレスカメラにおいても世界No.1の地位を確立します。また近年様々な分野で仮想現実映像、立体映像、360度映像の利活用が進んでいることから、自由視点映像システム、2021年に投入したEOS VRシステム、MREALなどでこれら新たな映像体験市場を取り込み、事業の拡大を図ります。
放送や映像制作の分野では、IPストリーミングの需要が増大を続けていることから、高画質リモートカメラシステムのラインアップを強化します。
ネットワークカメラの分野では、世界有数のメーカーであるアクシス社や映像管理ソフト・ベンダーのマイルストーンシステムズ社、映像解析ソフト・ベンダーのブリーフカム社を擁する当社は、グループの総力を挙げて、スマートシティ向けを含むセキュリティ分野におけるプレゼンスを強化します。また同時に、生産現場での検品業務、集配センターでの欠品検知、店舗や展示会場での混雑具合の検知など、従来のセキュリティ目的を超えて、各種業務に対する映像を活用したDXを提供する製品・サービスの展開を図ります。
自動運転などの変革が著しいモビリティの分野では、長年培ってきた当社の光学技術とネットワーク技術を基軸として車載カメラや交通インフラへの事業参入を図り、運転支援等のモビリティサービスの普及に貢献します。
以上により、イメージンググループでは、売上高で年率10%以上の成長を目指します。
メディカルグループ
世界的に進む高齢化や医療費の高騰、新型コロナなどの感染症蔓延リスクなどから医療への需要は従来よりも高まっています。メディカルグループでは、高度化する医療に対応するため、「画像診断」「ヘルスケアIT」「体外診断」の三つの領域に特に注力し、疾病予防、人びとの健康維持、病気からの回復に貢献する製品・サービスの提供に取り組んでいます。
画像診断事業では、医療従事者と患者の負担の軽減と高品質の画像の提供を目指します。2022年に発売したCTとMRIの新製品では、AIによるディープラーニングを用いて設計した画像再構成技術を標準搭載し、CTの新製品では検査ワークフローの一部を自動化しました。また、国産として初めてフォトンカウンティングCT(以下、PCCT)を開発し、国立研究開発法人国立がん研究センター先端医療開発センターに設置しました。物質をカラーで識別する高い画質性能と被ばくの低減など医療現場にさらなる価値の提供が期待されるPCCTの早期実用化を目指します。
メディカル事業の拡大に向けて、米国市場でのシェア拡大を最重要課題として取り組みます。キヤノンメディカルシステムズのマーケティング機能の一部とCanon Medical Systems USA, Inc.の販売・サービス機能の一部を新会社であるCanon Healthcare USA, INC.に移管し、アップストリームマーケティングとダウンストリームマーケティングの連携を強化することで、米国事業の拡大を図ります。
インダストリアルグループ
AI、IoT、5Gなど半導体の用途が多様化し、今後も半導体とその製造装置に対する需要は拡大すると見込まれます。インダストリアルグループでは、中長期的に見込まれる半導体露光装置の需要増加に対応するために生産能力を増強するとともに、欧米での旺盛な半導体工場投資に対応するためのグローバルでの販売体制の再整備に取り組みます。2022年には宇都宮光機事業所の隣接地に新工場の建設を開始しました。新工場は、2025年上期に稼働予定となり、2021年比で約2倍の生産能力を確保します。また、半導体露光装置のアフターサービスを強化し、生産性の向上に貢献します。2022年には、半導体露光装置のサポート業務の効率化と高稼働率を実現する機能を搭載したソリューションプラットフォームLithography Plusのサービスを開始しました。従来の露光技術に対してコスト競争力と省エネに優れたナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術については、メモリーの回路パターン形成での実用化に向けた最終段階にあり、早期の商品化に注力します。さらに今後は、産業技術総合研究所と進めているロジック分野での活動を始めとして、NILの長所を生かせるその他用途への展開を図ります。
ディスプレイ製造装置については、液晶では生産性向上と高精細化を進め、有機ELでは今後成長が期待される中型パネルやスマートグラス向け製造装置の開発を加速します。
当社とグループ会社のキヤノントッキ、キヤノンアネルバ、キヤノンマシナリーが持つ超精密位置合わせ、超高精度加工、真空システムといったコア技術を融合して新たな装置を開発し、インダストリアルグループの事業領域拡大を目指します。
②本社機能の徹底強化によるグループ生産性の向上
事業の競争力の強化と拡大を図るため、人事制度を改定し、より一層の競争原理を働かせることで管理部門の生産性を向上するとともに、事業貢献を意識した本社R&D体制の整備など、本社機能について徹底して強化を行います。2023年4月からは、特定の技術で高く評価され、当社の技術を牽引することが期待される人材を認定する制度「高度技術者認定制度」の運用の開始を予定しております。また、当社が有するあらゆる技術を活用して、材料やコンポーネントなどの事業化に取り組む横断的な組織を新設し、これまでM&Aによる獲得が中心であった新規事業を社内からも創出することで、収益拡大への貢献を進めていきます。
(4)中期経営計画連結業績目標
当社は、フェーズⅥ期間最終年度である2025年度の連結業績目標として、売上では当社史上最高を記録した2007年を上回る売上高4兆5,000億円以上、利益では営業利益率12%以上、当期純利益率8%以上の達成を目指します。また、事業ポートフォリオの転換を評価する指標として、連結売上高に対する、新規事業※1売上高の比率を設定し、2025年に全体の36%以上まで新規事業を育成することを目標とします。
今5カ年計画の2年目となる2022年は、ロシアのウクライナ侵攻後のインフレの加速と、それを抑制するために各国が金融引き締めへと転換した結果、世界経済の回復は緩やかなものとなりました。不安定な状況が続くなかで当社は、部品逼迫や物流制約については、設計変更や新規調達先の開拓、代替輸送ルートの活用を行い、高い製品競争力を背景にコストの増加を適切に販売価格に反映しつつ拡販を進めた結果、2期連続となる大幅な増収増益を達成し、売上高は2017年以来となる4兆円を突破しました。2017年と比較すると、新規事業の売上高は1兆円を超える規模に成長し、全社に占める構成比が22%から27%に上昇するなど、事業ポートフォリオの転換の効果が着実に表れています。
また、当社は、基本方針として「キャッシュ・フロー経営の徹底による健全な財務体質の維持」を掲げています。不測の事態への備えと自由度を保ちながらダイナミックな経営を行うために、当社は株主資本比率を重視し、中期経営計画の重要指標としています。業績の回復により2022年の時点で株主資本比率が61.1%と、今5カ年計画の目標である60%に達したため、2025年の目標を65%以上に引き上げました。
※1新規事業には、キヤノンプロダクションプリンティング、キヤノントッキ、アクシス、キヤノンメディカルシステムズなど、フェーズⅠ以降に取得した主要な事業会社の事業と、フェーズⅥ期間中の事業化を目指す新規事業を含めています。
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2021年 実績 |
2022年 実績 |
2023年 見通し |
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2025年 目標 |
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売上高 |
3兆5,134億円 |
4兆314億円 |
4兆2,870億円 |
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4兆5,000億円以上 |
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営業利益率 |
8.0% |
8.8% |
8.4% |
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12%以上 |
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当期純利益率 |
6.1% |
6.1% |
6.3% |
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8%以上 |
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株主資本比率 |
60.5% |
61.1% |
64% |
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65%以上 |
現行事業・新規事業売上比率
(5)気候変動とTCFDへの対応
当社は、気候変動への対応を含む「地球環境の保護・保全」をマテリアリティの一つとしています。課題解決に向けて、開発、生産、販売といった自らの事業活動だけでなく、サプライヤーにおける原材料や部品の製造、販売店などへの輸送、さらにはお客さまの使用、廃棄・リサイクルに至るまで、製品ライフサイクルの各ステージにおける環境への影響を捉え、削減に取り組んでいます。
2050年にCO₂排出量をネットゼロとすることを目指し、製品の小型・軽量化、物流の効率化、生産拠点での省エネルギー活動、製品使用時の省エネルギー、製品リサイクルなど、様々な取り組みを推進しています。「キヤノングループ中期環境目標」である「ライフサイクルCO₂製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」を確実に達成することで、CO₂排出量の着実な削減を図っていきます。
また、当社は、金融安定理事会が設置した「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」の提言に賛同しており、サステナビリティレポートやウェブサイトを通じて、推奨される情報を継続的に開示しています。
<ガバナンス>
気候変動対応を含む環境目標は、代表取締役会長兼社長 CEOが承認しています。中長期計画については、サステナビリティ推進本部が策定の上、取締役を含めた役員間の協議を経た上でCEOの承認を得ています。目標達成に向けサステナビリティ推進本部が中心となってグループ全体で活動を実行しています。目標の進捗について毎月経営層に報告するとともに、年間のレビューをCEOに報告しています。
また、当社では取締役会決議に基づき、リスクマネジメント委員会を設置し、環境法規制や自然災害に関する重大なリスクは、リスクマネジメント委員会において審議を行っています。
<戦略>
専門機関や政府機関からの情報をもとに、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の気候変動シナリオなどを活用した製品ライフサイクルCO₂削減に対する数値シミュレーションを実施し、事業上のリスクや機会を特定するとともに中長期戦略を策定しています。※特定したリスク・機会の概要は、下表を参照
また、リスクを縮小し、機会を拡大するため、製品ライフサイクル全体を視野にCO₂削減を図る「緩和」と物理リスクへの「適応」の両面からのアプローチが重要と認識し、対応計画を策定・実行しています。
さらに、資源循環への取り組みを通じたCO₂削減も実行しています。例えば、複合機のリマニュファクチュアリングにより、新規の原材料調達や部品加工に伴い発生するCO₂削減が可能であるほか、インク・カートリッジのクローズドループリサイクルにより、回収したカートリッジからプラスチックをペレット化し、再度原材料として使用することで、新規の原材料調達や輸送等にかかるCO₂を削減することが可能となります。
気候変動領域における主なリスク・機会
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リスク 機会 |
種類 |
リスク・機会の概要 |
財務 |
対処 |
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リスク |
移行 |
省エネルギー規制の強化と対応コストの増加(製品・拠点) |
大 |
・製品ライフサイクル全体での負荷削減を指標とした環境総合目標の達成 ・環境規制動向に関する情報収集/分析/適合 |
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経済的手法を用いた排出抑制(炭素税など)による事業コストの増加 |
中 |
・拠点エネルギー目標の達成 ・開発/生産/設備/環境部門が連携し、各事業所の省エネ活動を推進 |
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物理 |
台風や洪水被害の甚大化など異常気象の深刻化による操業影響 |
中 |
・BCPの策定、高リスク事業拠点の高台移転 |
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評判 |
情報開示の不足による外部評価の低下 |
小 |
・気候変動対応への考え方、取り組み状況の開示 |
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機会 |
製品・ |
省エネルギー製品をはじめライフサイクル全体でのCO₂排出量が小さい製品に対する販売機会の拡大 |
大 |
・製品ライフサイクル全体での負荷削減を指標とした環境総合目標の達成 ・省エネ性能と使いやすさを両立させた製品の開発/製造/販売 |
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ハードとソフトの両面から革新を支えるさまざまな製品・ソリューションの販売を通じた社会全体のCO₂削減への貢献 |
大 |
・製品ライフサイクル全体での負荷削減を指標とした環境総合目標の達成 |
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資源の |
生産や輸送の高効率化によるエネルギーコストの削減 |
中 |
・拠点エネルギー目標の達成 ・高効率設備や輸送手段への切り替え/新規導入 |
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エネルギー源 |
再生可能エネルギーの低コスト化による活用機会の拡大 |
中 |
・再生可能エネルギーへの切り替え |
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その他 |
気候関連情報の開示促進による企業イメージの向上 |
小 |
・気候変動対応への考え方、取り組み状況の開示 |
<リスク管理>
特定した気候変動リスク・機会は、ISO14001のPDCAサイクルに沿って管理しています。
当社は、環境保証活動の継続的な改善を実現する仕組みとして、全世界の事業所においてISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを構築しています。
具体的には、環境マネジメントシステムは、各部門の活動と連携した環境保証活動を推進(DO)するために、中期ならびに毎年の「環境目標」を決定(PLAN)し、その実現に向けた重点施策や実施計画を策定して事業活動に反映させています。さらに、各部門における取り組み状況や課題を確認する「環境監査」や、業績評価に環境側面を取り込んだ「環境業績評価」を実施(CHECK)することで、環境保証活動の継続的な改善・強化(ACT)へつなげています。
これらリスク・機会への対応は、全社環境目標や重点施策に反映されるとともに、当社では、環境への対応を経営評価の一部として取り入れており、各部門の環境目標の達成状況や環境活動の実績は、グループ全体の経営状況の実績を評価する「連結業績評価制度」の一指標として実施される「環境業績評価」の中で年2回、評価・評点化しています。評価結果はCEOをはじめとする経営層に報告されています。
<指標と目標>
製品ライフサイクル全体をスコープに、省エネ、省資源、リサイクルなどあらゆる環境活動の成果を一つの指標で統合的に捉え、管理していくため、「ライフサイクルCO₂ 製品1台当たりの改善指数 年平均3%改善」を「キヤノングループ中期環境目標」に設定しています。
この目標を継続的に達成することで、2030年には2008年比で50%の改善になると考えています。2022年時点では目標を上回る2008年比43%の改善となりました。また、ライフサイクルCO₂排出量は8,342千t-CO₂(スコープ1+2+3合計)でした。これらのGHG(Greenhouse Gas)排出量データは、毎年第三者保証を取得しており、2022年も取得済みです。
当社は、社会と連携しながら、製品ライフサイクル全体での取り組みを通じて、2050年にCO₂排出量をネットゼロとすることを目指しています。
「ライフサイクルCO₂製品1台当たりの改善指数」推移
※1 2008年を100とした場合
ライフサイクルCO₂排出量の推移
※1 温室効果ガス(エネルギー系温室効果ガスであるCO₂と非エネルギー系温室効果ガスであるPFCs、HFCs、SF6、N2O、メタン、NF3)を集計対象としています。
※2 原材料および加工に関わるCO₂換算係数は、2020年実績からエコリーフ環境ラベルプログラムの換算係数を使用しています(2019年実績までは、カーボンフットプリントコミュニケーションプログラムの換算係数を使用)。
※3 2021年以降のデータについてはキヤノングループの連結対象会社を集計の範囲とし、それ以前は主にISO14001統合認証の取得会社を集計の範囲としています。
(6)人的資本
人材育成の考え方
当社は、人材の成長こそ事業の強化を支える原動力と考え、積極的な人材育成を行っています。特に、当社は事業ポートフォリオの転換とこれに続く事業強化に向けて、イノベーションを創出する人材の獲得・育成を推進しています。
<戦略>
1.技術人材の育成
当社は、イノベーションを創出し続けるために、技術人材の獲得・育成を推進しています。具体的には、機械・電気・光学・材料・ソフトウエアなど専門分野ごとの教育体系を整備し、長期的な視野に立って次世代を担う技術人材を育成しています。これら5つの専門分野では、各々「技術人材育成委員会」を設置し、新入社員から技術リーダーに至るまで、階層に応じた育成に取り組んでいます。
また、2018年には研修施設「CIST(Canon Institute of Software Technology)」を設立し、これからの当社の事業戦略に必要なデジタル分野の知識を体系的に身につけることができる体制を構築しています。
2.適材適所の推進
当社は、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援を行うことで適材適所を実現し、一人ひとりが活躍できる組織体制をめざしています。
採用活動においては、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しています。入社後3年が経過した従業員に対しては、人事部門が仕事や職場との適応状況を確認する面談を行い、配属後も従業員一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えています。
また、社員の主体的なキャリア形成をサポートする仕組みとして「キャリアマッチング制度」(一般的な社内公募制度)を設けております。さらに、研修と社内公募を組み合わせた「研修型キャリアマッチング制度」を導入するなど、幅広い人材のリスキリング(職業能力の再開発・再教育)と社内転職を推進しています。
<指標及び目標>
1.ソフトウエア研修の受講者
ソフトウエア技術者の育成に向けて、2018年には研修施設CISTを設立するなど、AIやIoTに関するDX教育に注力しています。CISTでは、受講者のレベルに応じて基礎からトップクラスまでの研修を整備しており、2022年には年間のべ約6,000人がCISTでのソフトウエアに関する研修を受講しました。
2.キャリアマッチング制度による異動者数
研修型キャリアマッチング制度では、3ヵ月から6ヵ月の研修により、実務に必要な知識を習得した上で新しい部署への異動を行います。専門知識を身に着ける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築しております。
2022年には312人が研修型を含むキャリアマッチング制度で異動しています。
多様性確保の考え方
当社は1988年に制定した共生の理念のもと、文化・習慣・言語・民族などの多様性を尊重するとともに、性別や年齢、障がいの有無などにかかわらず、公平な人材の登用や活用を積極的に推進しています。
<戦略>
当社では、ダイバーシティ推進のための全社横断組織「VIVID(Vital workforce and Value Innovation through Diversity)」で全社的な活動を推進しています。
VIVID活動方針
・ダイバーシティを重要な経営課題の一つとして位置付け、全社の推進役として新しい制度の導入や、既存の仕組みの置き換えにとどまることなく、社員の考え方や意識そのものを変える。
・向上意欲が高く、能力の高い人材が、活躍の機会を限定されたり、妨げられたりすることのないように、人事施策や職場環境を見直す。
・ロールモデルの輩出やモデル職場の拡大を促すために、ダイバーシティ推進の活動を社内外に広く伝え、浸透させる。
<指標及び目標>
女性管理職比率の向上
2012年より女性管理職候補者の育成を目的とした「女性リーダー研修」を実施しており、累計244人が同研修を受講しています。また、育児休業から復職した社員とその上司を対象とした復職セミナー、女性管理職によるメンタリングの実施などにも取り組んでおり、女性管理職の人数は2011年の58人から2022年には147人に増加しております。
当社は、2020年に女性活躍推進法に基づく行動計画として、「2025年末までに女性管理職比率をVIVID発足以前の2011年の3倍以上とする」ことを目標と定めました。
女性管理職比率は、第1 企業の概況 5 従業員の状況をご参照ください。
(7)サイバーセキュリティ
<ガバナンス/リスク管理>
当社は、情報セキュリティ担当執行役員である情報通信システム本部長を情報セキュリティの意思決定責任者と位置づけ、当社の情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っています。万が一、情報セキュリティに関する事件・事故が発生した場合は、情報通信システム本部に報告され、状況に応じリスクマネジメント委員会※1に報告する体制となっています。同委員会では、当社が事業遂行に際して直面し得る重大なリスクの特定(法令・企業倫理違反、財務報告の誤り、環境問題、品質問題、情報漏洩など)を含むリスクマネジメント活動の推進に関する諸施策を立案します。また、リスクマネジメント活動の年間活動方針を立案し、取締役会の承認を得て、当社各部門および各グループ会社にリスクマネジメント活動を展開しています。そして、各部門・各社によるリスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その評価結果をCEOおよび取締役会に報告しています。
※1 詳細は2 事業等のリスク(1)リスクマネジメント体制をご参照ください。
<戦略>
1.情報システムセキュリティ対策
当社は、情報セキュリティの三要素といわれる「機密性」「完全性」「可用性」※2を保持するための施策に取り組んでいます。内部からの情報漏洩対策として、最重要情報はセキュリティを強化した専用のシステムに保管し、アクセス制限や利用状況の記録を徹底しています。また、社外から自社の情報資産に安全にアクセスできる環境を構築した上で、メールのファイル添付送信やPC・記録メディアの社外持ち出しを管理しています。また、外部からのサイバー攻撃対策として、マルウェア※3などが添付された不審メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信の監視を実施し、攻撃被害の拡大防止に努めています。さらに、サイバー攻撃を想定した対応訓練(NISC※4/NCA※5連携 分野横断的演習)に2017年より毎年参加し、障害対応体制の強化を図っています。
※2 機密性:許可された者だけが情報にアクセスできるようにすること
完全性:情報や処理方法が正確で、改ざんされないよう保護すること
可用性:許可された者が必要とする時に情報にアクセスできるようにすること
※3 不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウエア。コンピューターウイルス、ランサム
ウェアなど
※4 National center of Incident readiness and Strategy for Cybersecurity(内閣サイバーセキュリティセ
ンター)の略
※5 Nippon CSIRT Association(日本シーサート協議会)の略
2.生産設備のセキュリティ対策
当社は、マルウェアやサイバー攻撃によって工場の生産設備に稼働障害が発生し、生産活動に問題が生じることがないよう、生産設備のセキュリティ対策に取り組んでいます。従来、サイバー攻撃の対象は企業の業務システムやWebシステムなどの情報システムが主体でしたが、生産設備においても汎用OSの利用やIoT化が進み、情報システムと同等の情報セキュリティリスクが生じています。生産設備の運用期間は汎用OSのサポート期間よりも長期にわたり、情報システムとは別のセキュリティ対策が必要となるため、当社は、ウイルス感染などによる操業停止に陥らないよう、生産設備系ネットワークの不正通信監視を行っています。また、生産設備についてもセキュリティ監査を実施し、安全な生産環境の維持を図っています。
3.従業員の意識の向上をめざす情報セキュリティ教育
当社は、情報セキュリティの維持・向上のため、情報システムの利用者である従業員の意識向上にも注力しています。定期入社者、中途入社者ともに集合教育を通じて当社の情報セキュリティに関する施策やルールの徹底を図っています。また、毎年、全従業員を対象として、eラーニングによる情報セキュリティ研修を実施しています。2022年は当社の従業員全員の約2万5000人が受講しました。研修内容は、主なサイバー攻撃の事例を交えて、攻撃の変化やそのリスクについて学習し、また、在宅勤務時における注意点など、従業員の情報セキュリティリテラシー※6を向上させるものとなっています。また、当社ののべ6万2000人の従業員に対し、不審メールを受け取った際に適切に対処し被害を拡大させないための実践教育として標的型攻撃メール対応訓練も実施しました。特に、メールでの業務に慣れていない新入社員については、別途訓練を実施し、教育を強化しています。
※6 セキュリティ対策を実行する時に知っておくべき知識やスキル
4.情報セキュリティマネジメント体制の状況
2015年には、情報セキュリティインシデントが発生した際に、対処するための専門チームCSIRT※7(シーサート)を当社情報通信システム本部内に設置しました。同時に、日本シーサート協議会(NCA)に加盟し、他社CSIRT組織との連携強化を図っています。
※7 Computer Security Incident Response Teamの略。コンピューターセキュリティにかかる事件・事故に対処
するための組織の総称
(1) リスクマネジメント体制
当社は、取締役会決議に基づき、キヤノングループのリスクマネジメント体制の整備に関する諸施策を立案する「リスクマネジメント委員会」を置いております。同委員会は、財務報告の信頼性確保のための体制整備を担当する財務リスク分科会、企業倫理や主要法令の遵守体制の整備を担当するコンプライアンス分科会、品質リスクや情報漏洩リスクその他の主要な事業リスクの管理体制の整備を担当する事業リスク分科会の三分科会から構成されております。
法務部門、ロジスティクス部門、品質部門、人事部門、経理部門など、事業活動に伴う各種リスクを所管する当社の本社管理部門は、それぞれ関連する分科会に所属し、その所管分野について、各部門及び子会社のリスクマネジメント活動を統制・支援しております。
当社各部門及び子会社は、上記体制の下、自律的にリスクマネジメント体制の整備・運用を行い、その活動結果をリスクマネジメント委員会に毎年報告しております。
リスクマネジメント委員会は、各分科会並びに各部門及び子会社からの報告を受け、リスクマネジメント体制の整備・運用状況を評価し、その結果をCEO及び取締役会に報告する役割を担っております。
リスクマネジメント体制
リスクマネジメントプロセス
(2) 事業等のリスク
当社グループ(当社及びその連結子会社。以下、当該項目では「当社」という。)の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。当社では、グループ経営上のリスクについて、取締役会が定める「リスクマネジメント基本規程」に基づき設置されるリスクマネジメント委員会において、毎年、当社の経営に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスクの特定を行っており、以下のリスクも同委員会で審議のうえ特定されたものです。ただし、以下のリスクは当社に関するすべてのリスクを網羅したものではなく、対応策もこれらのリスクを完全に排除するものではありません。なお、下記の事項は有価証券報告書提出日(2023年3月30日)現在において判断した記載となっております。
リスクマップ
(注)リスクマップ上の各リスク番号は、当社で各リスクを「①事業特有の重要性が高いリスク」、「②事業横断的な重要性が高いリスク」、「③一般的なリスク」に分類の上、これらの順に設定しております。
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①事業特有の重要性が高いリスク |
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①-1.プリント市場における環境の変化に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク 多機能・高性能なスマートデバイスやアプリケーションの普及によるデジタル化、環境への配慮に伴うペーパーレス化の浸透、リモートワークの普及による働き方の変化などにより、プリント市場全体としては、将来的にプリント機会が減少していく可能性があります。 このような市場環境の変化に対応した製品やサービス、ソリューションを当社が十分に提供できない場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、家庭用インクジェットプリンターからオフィス向け複合機、大判プリンターや高速商業印刷までに至る幅広い製品群とクラウドサービスを活かして、市場環境の変化に対しても、お客様がプリントを必要とする様々な場所や機会において最適な選択肢を提供できるよう取り組んでいます。 オフィスにおけるプリント機会の変化は、柔軟な働き方の広がりにより自宅など別の場所へプリント機会がシフトすることなどに起因していますが、当社はインクジェットプリンターや小型レーザープリンターを活用し、オフィス外でもセキュリティの高い業務印刷と管理機能を提供するサービスを開始し、新しい市場環境への適合を進めています。 ペーパーレス化の浸透についても、デジタルトランスフォーメーションを促進する高速スキャナーとしての機能も併せ持つオフィス向け複合機を、様々なドキュメントマネジメントサービスと連携させることにより、ソリューションの提供を行っていきます。 また、アナログ印刷からデジタル印刷への切り替えや多品種少量印刷のニーズの高まりにより中長期的な成長が見込まれる商業印刷・産業印刷の分野においても、当社にとって成長期待の高い領域に向けて新製品やサービスを投入し需要の取り込みを進めていきます。
(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-2.カメラ・ネットワークカメラ・映像解析技術のビジネスにおける競争に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク カメラ市場は、スマートフォンなどのデジタルデバイスの撮影機能が著しく向上する中、撮影行為そのものに対する消費者の嗜好も変化し多様化しており、価格と性能の競争が激化しながら、縮小しています。競合他社に対して優位性を維持できる新製品の投入及び消費者の嗜好の変化にマッチした製品や映像を楽しむ新たなサービスの提供ができない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。一方、ネットワークカメラ市場は、セキュリティや映像解析ソリューションに対するニーズの高まりにより、市場は拡大傾向にありますが、競争が激化する中で他社に対して優位性の維持できる製品やサービスが提供できない場合、当社の地位が相対的に低下し、結果として当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社はデジタルカメラの性能をさらに進化させ、スマートフォンとの一層の差別化を図り、高品質な映像表現へのニーズの高まりを捉えるため、特にプロやハイアマチュアユーザー向けを中心に製品力の更なる強化を進めております。また、更なる撮影表現の拡大を目指しVR(Virtual Reality:仮想現実)映像撮影システムを新たに立ち上げております。加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなユーザーを掘り起こしていくために、新ジャンルのカメラの展開を進めております。 ネットワークカメラは、防犯や防災などのセキュリティ分野の成長はもちろんのこと、店舗での顧客行動の分析や工場での生産工程の効率化、また、医療現場における対面や接触の回避など、多岐にわたる分野で活用が進んでおります。市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、キヤノンがこれまで培ってきた光学技術、映像処理・解析技術とネットワーク技術を融合させ、既存事業の競争力をさらに強化するとともに、スマートシティなど新たに活躍する市場を確立し、社会インフラの構築に貢献していきます。
(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-3.医療機器市場における認証・承認等の事業環境対応に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク 画像診断装置を主とする医療機関向け医療機器市場は、その製品の性質上、医師・技師等の医療従事者に対する営業活動を行っていますが、各国・地域における営業活動に対しては種々の規制・行動基準が定められており、それらの把握及び遵守に努める必要があります。また、新技術・新製品の臨床効果の検証、さらに各国・地域の医療機器規制へ対応し認証・承認等を取得する必要があることから、製品構想、研究開発から製品販売までに時間を要します。今後の新技術・新製品の臨床効果を読みきれず、適時に製品を市場投入できずに競争力を維持できない場合、あるいは想定外の新規制により新規事業の大幅な軌道修正を余儀なくされるような場合には、投資に対して十分な収益が生み出されず、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、昨今の不安定な市場環境や部品逼迫、部材・資源価格の高騰、高インフレの長期化に加え、地政学的な問題の増加、コロナ環境がもたらした患者の検診状況、がんや循環器病系の発見遅れによる医療費の圧迫、社会保障における医療費削減や費用分担比率の変化などから事業環境の変化に即応できない場合には、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 各国・地域の様々な事業環境変化に対応する中での医療関連事業・産業の在り方を明確にし、部品調達・物流の状況をきめ細かく見極め、お客様のご要望に応えられるようサプライチェーンの強靭化を図るとともに、技術流出や国産優遇のリスクをミニマム化し、特に新興国を含む新規市場開拓を推進いたします。 また、今後も部品逼迫等の長期化への対応や地政学的なリスクヘッジなど、各国・地域の市場の変化をいち早く捉え、より迅速に対策を講じてまいります。 医療の高度化に伴いデータ量が増大する中、初期投資やメンテナンス費用を削減できる医療クラウドプラットフォームの活用が不可欠となっている状況において、医療機関を中心とした情報セキュリティの強化を支援し、臨床的価値と安心・安全の両方を提供することでお客様との信頼関係を構築していきます。
(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-4.半導体・FPD業界における特有のビジネスサイクルに関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク 半導体・FPD業界のビジネスサイクルには変動幅、時期、期間が予測しづらいという特徴があります。半導体デバイスやパネルが供給過剰となる時期には、当社の半導体露光装置、FPD露光装置や有機EL蒸着装置を含む製造設備への投資が大きく減少します。このようなビジネスサイクルを持つ環境の中で、当社は競争力を維持向上するために、研究開発へ多額の投資を継続していく必要があります。市況の下降局面では、売上減少や在庫増によるキャッシュ・フロー悪化の影響で、研究開発費などの発生した費用の全てもしくは一部を回収できない場合があり、当社のビジネス、経営成績及び財政状態は悪影響を受ける可能性があります。市場の変化が当社の想定と異なり、顧客のニーズを満たせなかった場合、顧客のビジネスに悪影響を与え、結果的に顧客との信頼関係を損ねてしまう可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、継続的な装置性能の向上と顧客ニーズへの対応力を強化することで、幅広い需要を取り込み、顧客や用途の多様化・販売地域バランスの向上に向けた製品開発を進めています。加えて、既に市場で稼働する装置に対しては、更なる装置性能向上を始め、仕様の追加や顧客ニーズの高いサービスサポートを行っており、製品開発とアフターサービスの両輪で収益基盤の安定化を図っています。また当社では、市場の変化をいち早く捉え、対策を講じるべく、事前の情報収集と分析を重視し、定常的に実施しております。 半導体において、中長期的な市場の成長や当社製品のシェア拡大が見込まれることから新生産工場の建設を決定しました。生産能力の向上に当たっては既存製造設備の活用やグループ内での柔軟な人員配置体制の構築を進めるなど、今後の市況変動の影響を最小限に抑える施策を講じています。
(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。 |
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①-5.販売に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク 当社において、HP Inc.とのビジネスは重要であり、OEMパートナーとして、長年にわたり強固な関係を構築していますが、HP Inc.が、政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社と取引のあるその他の大手ビジネスパートナーとも良好な関係を構築しています。しかし、これらのパートナーが政策、ビジネス、経営成績の変化により、当社との関係を制限または縮小する決定を為す場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、当社の想定を超える環境の変化が起こる場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、直接、間接販売のチャネルを地域ごとでバランスよく展開しております。特定パートナーの変化についても既存チャネルでの対応に加え、積極的な新規ビジネスパートナーの開拓を継続しております。 また、HP Inc.とのビジネスにおいては、多様化するワークスタイルやオフィス環境の変化に対応し、更に小型化、高機能化を進めることに加え、拡張性を備えた競争力ある製品を提供し続けるとともに、良好かつ強固なパートナーシップを維持強化していきます。 |
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②事業横断的な重要性が高いリスク |
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②-1.サプライチェーンに関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:高 |
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●リスク 当社は原材料の購入から、生産、販売までの一連の流れについて、最適なサプライチェーンの構築に努めていますが、部品及び材料の供給不足や品質問題、生産コストの上昇のほか、製品の生産や販売が物流の停滞、輸送中の事故、その他の理由により損害を受ける場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 当社は重要な部品や材料を外部の特定サプライヤーに依存しています。当社の製品で横断的に使用されている部品や材料に品質問題あるいは供給不足や価格高騰が発生する場合等には、当社の生産活動の中断や製造原価の上昇等により当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。加えて、昨今の世界的な半導体部品不足に対し、供給不足の長期化や部品調達環境のさらなる悪化が生じる場合、調達コストの増加による製造原価の上昇や、顧客への納品遅延による売上の機会損失により当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 製品を世界各国・地域に供給するために、物流サービスが有効に機能する必要がありますが、コンピューター化されたロジスティクス・システムに何らかのトラブルが発生する場合、地域紛争等の問題が発生する場合、あるいは港湾労働者によるストライキといった労使紛争の問題が発生する場合、高額な製品が輸送中の事故により損害を受ける一方で、保険で補償がなされない場合及び代替製品を顧客に納入できない場合、コストの増加や配送の遅延による売上の機会損失、顧客からの信用を失う可能性があります。 また、ウクライナ情勢等の地政学的リスクにより、物流の混乱、部品及び材料の価格高騰や逼迫が生じた場合、当社のサプライチェーンに悪影響を及ぼします。 さらに、企業の社会的責任として、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みが、国際的に求められているため、人権に関連する法令違反や倫理違反などが当社グループのサプライチェーンで発生する場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、最適な生産システムの構築と品質の向上に努めています。自動化、ロボット化技術などを用いた効率的な生産体制の構築やキーパーツの内製化を進め、外部依存度を管理し、製造原価の低減を図っております。さらに、新規サプライヤーや別部品、別材料の開拓等により、供給元の多元化を推進し、原材料の高騰と供給不足に対する耐性を高めております。また、品質管理専門の組織を設置し、外部サプライヤーと一緒に品質向上のための活動を進めることで、安定的な原材料、部品の調達に努めています。 また、当社ではグループ全体の物流を管理する部門を設置し、グループ全体の物流を全世界的に運営、管理することにより、効率的な物流体制の構築及び物流コストの低減に努めるほか、問題発生時に迅速に対応できる体制の整備を図っています。そして、物流の事故に対しては保険契約により、その損害が補償されるように図っています。 さらに、サプライチェーンにおける人権の尊重及び保護への取り組みとして、当社では人権方針を策定し、人権デュー・デリジェンスや救済メカニズムの整備にも取り組んでおります。当社は、当社が加盟するRBA(Responsible Business Alliance)の行動規範を採用した「キヤノンサプライヤー行動規範」を策定し、労働・安全衛生・環境・マネジメントシステムなどに配慮した調達活動を推進しています。また、主要サプライヤーについては、RBA行動規範の遵守に関する同意書を取得するほか、児童労働・強制労働・過重労働を防止し、労働安全衛生を確保することを目的に、RBAのSAQ(Self Assessment Questionnaire)を用いた自己点検を毎年実施しています。 |
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②-2.自然災害・感染症に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:高 |
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●リスク 当社の本社ビル、情報システムや研究開発の基幹設備は、東京近郊に集中していますが、一般的に日本は世界の他の地域と比較して地震の頻度が多いため、それに伴う被害も受けやすい地域であるといえます。また、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスといった当社の施設や事務所は、世界中に点在しており、地震・気候変動による洪水等の自然災害、テロ攻撃といった事象に伴うインフラの停止により混乱状態に陥る可能性があります。そのような要因は当社の営業活動に悪影響を与え、物的、人的な損害に関する費用を発生させ、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、新型コロナウイルス感染症については変異株による感染が拡大していましたが、各地でワクチン接種が進み、経済活動の再開や回復が続いております。しかしながら、新型コロナウイルスの感染が再拡大・長期化し、世界経済・当社の事業活動が停滞する状況や取引先の事業活動や投資意欲の減退等が発生する場合、また各国政府等の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、当社のビジネス、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社関連市場において、リモートワークの進展により、オフィス機器のプリントボリュームが当社の想定ほど回復しない状況や、渡航制限により露光装置や産業機器の設置が当社の予想を下回る事態が発生する場合、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大は、世界各地のサプライチェーンや当社の生産活動に混乱をきたし、東南アジアなどに所在する当社の一部の工場で生産活動が停滞する可能性があります。加えて、日本及び海外で経済活動の制限が生じ、オフィスや販売店の閉鎖、海外渡航制限、国際貨物輸送の需給逼迫などが発生する場合、当社の販売活動が悪影響を受ける可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、本社の各所管部門が中心となってリスクマネジメント活動を継続的に実施しています。具体的には、工場操業停止といった最悪の事態に備え、同類機種を複数の拠点で並行生産するというバックアップ体制を一部整えるほか、会社の営業停止時に迅速な復旧を実現するため、初動対応事項や関係部門の役割分担の確認、緊急時の連絡体制等の整備等を行っています。さらに、研究開発、調達、生産、ロジスティクス、販売、サービスに用いる基幹システムについては、情報システムのダウンに備えてバックアップ体制を整えております。 また、当社は、安定した事業活動維持のため、時差出勤・リモートワークの実施などの感染拡大防止につながる各種対応を継続して行っております。また各拠点には、産業医や保健師を配置し、感染症に対して適切な対応に努めています。 今後も感染症が拡大する状況を想定し、国内・海外における生産活動及び販売活動の体制再構築や強化に取り組んでおります。 |
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②-3.国際政治経済に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:中 |
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●リスク 当社は生産及び販売活動の多くを日本国外で行っておりますが、海外における事業活動には主に政治、外交問題または不利な経済状況の発生、急激な為替レートの変動と予期しない政策及び法制度、規制等の変更のリスクがあります。 主要な市場における景気後退、ウクライナ情勢や貿易摩擦の問題がさらに深刻化するなど、政治、外交問題または不利な経済状況が発生し、法人顧客の投資抑制や個人消費の低迷が生じる場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。法人顧客の投資抑制は、主に当社のオフィス複合機、レーザープリンター、医療機器、露光装置、産業機器など法人顧客向け製品の需要を、また、個人消費の低迷は、カメラやインクジェットプリンターのような消費者向け製品の需要をそれぞれ減少させる可能性があります。この場合、当社製品の売上が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、急激な為替レートの変動が、外貨建売上など当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。そして、外貨建の取引から生じる当社の資産及び負債の円貨額や海外子会社の外貨建財務諸表から発生する為替換算調整勘定も変動する恐れがあります。 加えて、世界の各国・地域では政治、行政や法制度整備に係る様々な問題やウクライナ情勢に係る問題があり、当社が予期しない政策及び法制度、規制等の変更に直面するリスクがあります。 |
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☆対応・機会 政治、外交問題または不利な経済状況の発生については、当社は、当社現地法人と日常的な意思疎通を通じて収集した関連情報や定期的なビジネス概況ヒアリングによる関連情報を経営戦略、業績予想に反映しております。また、特定の市場または世界全体で需要の減少が見込まれる場合は、当社は商品の生産、供給体制に応じて生産調整を実施しています。 急激な為替レートの変動に関しては、当社は当社現地法人を含め、定常的に短期為替予約の為替ヘッジ取引を実施し、直近の為替水準を反映した価格で製品を市場に投入するなどの対策を講じております。 予期しない政策及び法制度、規制等の変更については、当社は特に国際的な環境規制や国際及び国内税制変更に係る対策を強化しております。また、公正競争、腐敗防止、個人情報保護、安全保障貿易管理、環境その他の法規制に関しては、各所管部門による統制の下、遵守を徹底しています。 |
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②-4.人材の確保に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:高 |
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●リスク 当社の将来の経営成績は、有能な人材の継続的な会社への貢献に拠るところが大きいといえます。また、開発、生産、販売、管理といった当社の活動に関して有能な人材を採用・育成し、実力ある従業員の雇用の維持を図ることができるかどうかが、当社の将来の経営成績に影響してくると考えます。一方、当社が属する先端技術産業での労働市場における人材獲得競争は、近年ますます激しさを増してきております。さらに、技術進歩が日進月歩で加速するため、製品の研究開発面で求められる能力を満たすまでに新しい従業員を育てることはますます重要になってきております。また当社の製造技術の重要課題の一つに技能の伝承があります。レンズ加工など、特殊技能については、短期間に習得できるものではありません。 有能な人材を採用・育成できず、また有能な人材の流出が生じた場合、開発や生産の遅れなどをもたらし、研究成果や技術が流出するほか、技能が適切に伝承されないリスクが発生します。 |
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☆対応・機会 当社では、戦略的な要員配置と従業員への積極的なキャリア形成支援により、適材適所を実現し、有能な人材の雇用の維持を図っています。 採用活動では、専門知識や本人の志向をもとに、配属先を入社前に確約するジョブマッチング型の採用を拡大し、各事業が求める人材を最適な部署へ配置しています。また、入社後3年が経過した従業員に対し、仕事や職場との適応状況を確認する面談を人事部門が行い、一人ひとりが安心して能力を発揮できる環境を整えています。 また、当社ではキャリアマッチング制度(社内公募制度)を充実させ、毎年多くの社員が自らの意思で新しい仕事にチャレンジしています。その中でも、従業員に研修の機会を提供し、自らの変身に挑戦できる「研修型キャリアマッチング制度」では、専門知識を身につける学び直しの機会を提供し、未経験の仕事にもチャレンジできる仕組みを構築することで、人生100年時代における自律的なキャリア形成を支援しています。さらに、当社が2018年に設立した「Canon Institute of Software Technology(CIST)」では、製品のソフトウエア開発を中心とした技術者のスキルアップから、新入社員の基礎教育や職種転換をめざす社員の教育まで、体系的かつ継続的な人材育成に取り組んでおり、技術人材の強化と同時に、技術人材への転身を支援しています。 人材育成においては、次世代リーダーの発掘・育成・任用を図る「LEADプログラム」をはじめ、研究開発・ものづくり・販売・管理などのプロフェッショナルを育成する研修プログラムや、トレーニー制度を体系的に実施しています。 当社の事業活動に欠かせない特殊技能においては、卓越した技能をたたえる「キヤノンの名匠認定・表彰」制度への取り組みを通じて、伝承を図っています。 これらの取り組みに加え、仕事の成果を公平・公正に評価し、有能な人材に、より高度な役割を与え処遇するという好循環を実現することで、人材の流出防止を図っています。
(注)人材育成・多様性の考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(6)「人的資本」に記載しております。 |
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②-5.情報セキュリティに関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:高 |
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●リスク 当社は、製造・研究開発・調達・生産・販売・会計などのビジネスプロセスに関する機密情報や、顧客やその他関係者に関する機密情報を電子データとして保有しております。当社はこれらの電子データを、第三者によって管理されているものも含め、様々なシステムやネットワークを介して利用しています。さらに、製品にも情報サービス機能などで電子データが利用されています。 これらの電子データに関し、ハッカーやコンピューターウイルスによるサイバー攻撃やインフラの障害、天災などによって、個人情報の漏洩、サービスの停止などが発生する可能性があります。特にサイバー攻撃はますます高度化、複雑化し、その攻撃対象は世界各地にわたっております。日本及び海外において事業活動を展開する当社の拠点が、情報技術の脆弱性を突かれ、攻撃を受けた場合、当社ネットワークへの不正アクセスやウェブサイト・オンラインサービスの停止などが発生する可能性があります。 このような事態が起きた場合、重要な業務の中断や、顧客やその他関係者に関する個人情報・営業機密などの機密データの漏洩、製品の情報サービス機能などへの悪影響のほか、損害賠償責任などが発生する可能性もあります。その結果、社会的信用失墜やブランド価値の低下、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社では保有する電子データを安全かつ厳密に管理するため、情報セキュリティならびに情報インフラの強化を図っています。 当社は、情報セキュリティ担当執行役員を情報セキュリティの意思決定者と位置づけ、情報通信システム本部が実務組織として、グループ全体の情報セキュリティマネジメントにおける責任を担っています。 また、情報セキュリティをグループ全体で同じレベル、同じ考え方で維持することを目的として、「グループ情報セキュリティルール」を策定し、全世界のグループ会社に適用しています。 サイバー攻撃などの情報セキュリティインシデントへの対処としては、専門チームCSIRT(Computer Security Incident Response Team)を設置しており、外部からのサイバー攻撃への対策として、不審電子メールの遮断、社内ネットワークへの不正侵入監視、インターネットへの不正通信監視などの環境を構築し攻撃被害の拡大防止に努めるとともに、定期的にサイバー攻撃対応訓練を実施し対応体制の強化を図っています。また、外部に公開するウェブサイトに対しても日常的に脆弱性(セキュリティホール)の調査・対策を実施し、オンラインサービス停止リスクを低減しています。 従業員に対しても、業務に使用するソフトウェアの管理や情報の取り扱い及びサイバー攻撃に対する社員研修、標的型攻撃メール訓練などを全社で行い、意識の向上、リテラシーの向上に努めております。また、情報セキュリティ施策適用の徹底を図るため、毎年当社及びグループ会社に対する情報セキュリティ監査を実施し、情報セキュリティレベルの継続的な維持・向上に努めています。
(注)サイバーセキュリティの考え方及び取り組みについては、第2 事業の状況 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(7)「サイバーセキュリティ」に記載しております。 |
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②-6.企業買収及び業務提携・戦略的投資に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク 当社は、事業拡大を目的として企業買収を実施しております。また、業務提携、合弁事業、戦略的投資といった様々な形態で、他社との関係を構築しております。これらの活動は、当社の成長のための施策として重要なものであります。しかし、景気動向の悪化や、対象会社もしくはパートナーの業績不振により、期待していた事業拡大を実現できない可能性があります。当社とその対象会社もしくはパートナーが互いに共通の目的を定義し、その目的達成に対して協力していくことが肝要ですが、協力体制の確立が困難となる可能性や、協力体制が確立されても、当社の事業とその対象会社もしくはパートナーが営む事業におけるシナジー効果やビジネスモデルなどが十分な成果を創出できない可能性、また業務統合に想定以上の時間を要する可能性もあります。 また、予測される将来キャッシュ・フローの低下により、当社が貸借対照表に計上しております企業買収に伴うのれん及びその他の無形固定資産が、減損の対象となる可能性もあります。さらに、有力な提携先との提携が解消になった場合、共同開発を前提とした事業計画に支障をきたし、投資に対する回収が遅れる可能性が生じたり、または回収可能性が低下し、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、既存事業の成熟化に対応すべく、M&A戦略を強力に推進し、事業ポートフォリオの転換を進めています。社内で保有する技術や得意とするビジネスに親和性の高い領域を企業買収及び業務提携、戦略的投資の対象とし、中でも優良企業でかつ経営陣の優れた会社に絞り込んで投資を行っております。企業買収及び業務提携・戦略的投資は、当社取締役会決議やCEO決裁を要しますが、健全な経営判断を担保するため、事前審査のプロセスを強化しております。事業戦略との整合性及び経済合理性、収益性や成長性、リスク等の観点で投資計画の検証を行い、それらを本社管理部門がそれぞれの専門的な視点で事前審査を行います。決議や決裁された投資案件に関しては、CEOと本社管理部門が進捗をモニタリングすることにより、継続的に投資の管理が行われております。買収後は、当社のものづくりノウハウの共有や取引先の共有及びサプライチェーンのサポートを行い、生産効率の向上やコスト削減などのシナジー効果を発揮する取り組みを行っております。 |
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②-7.環境に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク 当社は、急激な気候変動、資源枯渇、有害化学物質による暴露、大気汚染、水質汚濁等、環境における様々なリスクの可能性を認識しています。また日本及び海外の環境に関する規制の適用を受けております。これらのリスクの顕在化及び規制の強化により環境に関する費用負担や損害賠償責任が生じる可能性があります。この場合、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、当社は、現在所有しまたは操業している事業所、また以前に所有しまたは操業していた事業所に対する環境汚染の調査と浄化のための責任と義務を負っております。もし当社が将来の訴訟あるいはその他の手続により損害賠償責任を負わなければならない場合、その費用は保険で賄うことができない可能性もあります。この場合当社に与える影響は大きくなる可能性があります。 加えて、こうしたリスクへの対応に想定以上にコストを要する事態が生じた場合には、当社のビジネス、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社はグループを挙げて地球温暖化ガスの排出削減、省エネ活動、省エネ製品開発等に取り組むと同時に、高度な資源循環をめざし、製品の小型・軽量化やリマニュファクチュアリング、消耗品のリサイクル、更には水資源の効率利用や廃棄物の再資源化等の環境保護対策を進めています。世界が脱炭素社会への移行を目指す中、製品ライフサイクル全体でCO2排出量を削減する製品に対する販売機会の拡大が期待されます。また、グリーン調達による有害化学物質の厳格な管理に加え、生産工程で使用する化学物質の削減、排出抑制等の環境活動も行っております。これらの活動は本社所管部門を中心に、ISO14001によるグループ共通の環境マネジメントシステムを運用する方法を通じて推進されており、日本及び海外の環境に関する規制を遵守するため、本社所管部門がグループ全体における対応を統制しております。
(注)気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づく開示情報は、第2 事業の状況 1「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の(5)「気候変動とTCFDへの対応」に記載しております。 |
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③一般的なリスク |
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③-1.製品品質・製造物責任に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク 当社が提供する製品及びサービスに、品質問題や製造物責任問題が生じた場合、顧客や社会からの信頼が失墜し、ブランド価値が毀損され、販売に悪影響を及ぼす可能性があります。 特に、製品に重大な品質問題が発生した場合、問題への対応に多大な費用が掛かる可能性があります。これらによって、経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、国際的な品質管理規格であるISO9001の要求事項にキヤノン独自の仕組みを加えた「品質マネジメントシステム」を構築しております。 キヤノンの各事業部門は、本社品質部門や世界中のグループ会社と連携しながら、品質マネジメントシステムをベースに、各国・地域の法規制にも対応したそれぞれの事業特性に最適な品質保証体制を構築し、徹底した品質管理を行っています。 あらゆる当社製品の品質に関しては、法令で定められた安全基準はもとより、顧客目線での安全性を更に考慮した当社独自の安全基準を設定しております。 また、開発設計から生産・出荷にいたるすべてのプロセスにおいて品質を確認し、品質基準を満たしている製品のみ市場へ出荷する仕組みを徹底することで、製品の品質問題発生によるリスクの最小化を目指しております。 万が一、品質問題が発生した場合、お客様の窓口である各国・地域の販売会社から各事業本部の品質保証部門に報告が入ります。同部門では、原因の究明や対策の検討を行うとともに、重大な品質問題については事業本部内の関連部門や本社品質部門、ならびに法務部門や広報部門などと適切な対応を協議し、CEOへ報告の上、承認のもと、速やかに対応を実施します。 |
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③-2.新製品への移行に関連するリスク |
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影響度:大 |
発生可能性:低 |
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●リスク 当社が参入している業界の特徴として、ハードウェア及びソフトウェアの性能面における急速な技術の進歩、頻繁な新製品の投入、製品ライフサイクルの短縮化、また製品価格を維持しながらの従来製品以上の性能改善等が挙げられます。 新製品や新サービスの導入に伴うリスクは多岐にわたります。開発または生産の遅延、導入期における品質問題、製造原価の変動、新製品への切り替えによる現行製品への販売影響、需要予測の不確実性と適正な在庫水準を維持することの難しさに加えて、当社の製品・サービスの基盤である情報システムやネットワーク技術において技術革新が成された場合の移行対応への遅れ等のリスクがあり、当社の収益に大きな影響を及ぼす可能性があります。 また、当社の収益は競合者の製品またはサービスの導入時期によっても影響を受けます。競合者が当社製品と類似した新製品を当社より先に投入する場合は特に影響を受ける可能性があり、この場合、今後の製品やサービスの需要に影響し、結果として経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は市場のニーズに応えるイノベーティブで価格競争力のある新製品を投入するために多くの経営資源を投入しております。 当社は、上記のリスクに対応するため、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高め、市場のニーズを汲み取った商品をスピーディーに市場に供給することに努めています。
(注)当社の事業活動については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ⑦「トレンド情報」に記載しております。また、当社の研究開発活動については、第2 事業の状況 5「研究開発活動」に記載しております。 |
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③-3.有価証券に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク 当社の資産には、株式等の有価証券への投資も含まれております。金融市場におけるボラティリティ及び経済全般に対する不確実性により、株式及び債券市場の変動影響を受け、将来において当社が実施する投資額と現在のその投資額に対する公正価値との間に大きな乖離を生じる場合には、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、株価の変動や配当の受取りによって利益を受けることを目的とした株式を保有しておらず、主に中長期的成長を目的としたグループ外の企業との連携の一環として、株式を保有しております。
(注)株式の政策保有に関する方針や保有株式の合理性の検証について、第4 提出会社の状況 4「コーポレート・ガバナンスの状況等」 の(5)「株式の保有状況」に記載しております。 |
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③-4.コンプライアンス・法的行為に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク 当社は、多くの国・地域で事業活動を行うにあたり、各種法規制を遵守する必要があります。また、第三者から訴訟その他の法的行為を受ける可能性があります。 しかし、現在当社が当事者となっている、または今後当事者となる可能性のある訴訟及び法的手続の結果を予測することは困難です。例えば、当社が高いシェアを占める市場においては、独占禁止法関連の訴訟または調査を受ける可能性があります。当社にとって不利な結果が生じた場合や、訴訟や調査への対応に多大なコストが発生した場合、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 さらに、コンプライアンス上の問題、例えば、社員の不祥事や組織的不正行為が発生した場合、当社の社会的信頼とブランド価値が毀損される可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社では、リスクが現実の問題として発現する可能性や、発生した場合の経営や事業への影響度合いなどを勘案して、当社が直面し得る独占禁止法違反、腐敗防止法違反、安全保障輸出規制違反などの重大なコンプライアンス違反リスクを特定しています。これらのリスクを低減するために、業務フローの整備、ルールの整備、関係従業員への法令教育、監査・点検の実施など遵法体制の整備を行っています。 また、当社リスクマネジメント委員会「コンプライアンス分科会」では、「キヤノングループ行動規範」に基づく企業倫理をグループ内で徹底させています。 さらに、第三者からの訴訟その他の法的行為を受けたときに備え、社内に法務部門を設置し、外部弁護士等と連携して対応できるようにしています。 |
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③-5.知的財産に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:中 |
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●リスク 頻繁な技術革新を伴う当社製品にとって、プロダクト・イノベーションは非常に重要であり、そのため、特許やその他の知的財産は、競争上重要なファクターとなっておりますが、競合他社が同様の技術を独自に開発したり、当社が出願した特許が認められなかったり、当社の知的財産の不正使用あるいは侵害を防ぐために講じる手段が成功しない等のリスクがあります。特に新興市場等において、知的財産法が、当社の知的財産を保全するには不十分である等のリスクに直面しております。 一方で、第三者の知的財産権に関して、第三者からの当社に対する侵害主張が正当であると裁定される場合、特定市場における製品の販売差止め、損害賠償の支払い、他社の権利を侵害しない技術の開発や他社技術についてのライセンス取得とそれに伴うロイヤリティの支払いを要求される可能性があります。 当社の知的財産権を有効せしめるため、または他社からの権利侵害の主張に対抗するため、当社は訴訟手続を取らざるを得ない可能性があり、その場合は費用が嵩み、手続に長い期間を費やす可能性があります。 また当社は、特許使用料受取または相手技術のライセンスを受けることと引き換えに、第三者に対して自社特許のライセンスを与えることもあります。そのようなライセンスの条件や更新時の条件変更によっては、当社のビジネスが影響を受ける可能性があります。 また当社は、ルールや評価システムを設定して、当社従業員の職務発明に対して適切な支払いを行っていますが、その金額について将来争いが生じないという保証はありません。 更に、当社の商標権をはじめとする知的財産権を侵害する模倣品が流通し、模倣品の使用により顧客に事故、故障、品質不良などの被害が及ぶことで当社のブランド価値が毀損されるとともに、当社のビジネスに悪影響を及ぼす可能性があります。 上記の要因は全て、当社のビジネス、ブランド価値及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、知的財産活動の目的を事業展開の支援と明確に位置づけ、10年後、20年後の姿を描いて知的財産戦略を策定・実行しています。 当社の知的財産活動は、強い特許ポートフォリオを構築することで、競争優位性の確保と事業の自由度の確保をバランスよく両立させていることが特徴であり、事業のコア技術に関する特許などの取得はもちろんのこと、事業では競合しないが知財で競合するIT系企業などとの訴訟・交渉に備えて、例えば、AI技術やIoT技術、標準化技術などの特許取得にも力を入れています。このように外部環境や将来の事業を見据えて特許取得を行うとともに、保有する特許の入れ替えを行うことで、強い特許ポートフォリオを維持しています。 当社の知的財産戦略の基本方針として、当社はコアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせずに競争優位性の確保に活用しています。また、通信、GUI(Graphical User Interface)などの汎用技術に関わる協調領域の特許は、クロスライセンスなどに利用することで、研究開発や事業の自由度を確保し、魅力的な製品やサービスの提供につなげています。そして、他者の知的財産を尊重する一方で、当社の知的財産の侵害に対しては毅然と対応をしています。また、他者が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し、守ることで他社の追随を許さず、競争優位を確保しています。 当社は上記の知的財産活動における基本的な考え方を実行しつつ、時代とともに戦術を変化させ、知的財産に関連するリスクに対応しています。
(注)当社の知的財産戦略については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」 (2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の⑥「知的財産戦略」に記載しております。 |
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③-6.繰延税金資産の回収可能性及び国際的な二重課税に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:低 |
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●リスク 経営環境悪化に伴う事業計画の目標未達などにより課税所得の見積りの変更が必要となった場合や、税率の変動を伴う税制の変更などがあった場合には、繰延税金資産の修正が必要となり、当社の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 また、各国・地域の税務当局との間で見解の相違が生じる場合、国際的な二重課税が生じ、当社の経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は繰延税金資産に影響を与えるような、当社及び当社現地法人の課税所得に影響を及ぼす事業計画の変動要因や、各国・地域の税制変更を迅速に把握するよう、定期的な確認を行っております。 また、一部の多国籍企業の過度なタックスプランニングによる国際的な租税回避行為が政治問題化したことを契機として、G20の委託を受けたOECDにおいてBEPS(Base Erosion and Profit Shifting:税源浸食と利益移転)プロジェクトが発足し、2015年10月のBEPSに関する最終報告書公表を受け、各国・地域において税法や租税条約の改正が行われております。 さらに近年においては、経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するため、市場国へ課税権を配分する制度及び法人税の最低税率の導入を、各国・地域が足並みを揃えて制度化する準備が進められており、最低税率の導入については2023年内の法制化が、市場国へ課税権を配分する制度は2024年以降の制度化が見込まれており、我が国日本においても、2023年度税制改正においてグローバル・ミニマム課税が法制化されることが内定しています。 こうした国際課税制度の強化が図られる中、当社は、二重課税リスクを低減するため、税務に関するガバナンス体制を整備し、当社現地法人と共に各国・地域における税制や税務行政執行状況の変化への対応を実施するとともに、OECDの各種報告書や経済の電子化に伴う課税上の課題に対処するための新しい国際課税ルールの整備状況などを踏まえた国際税務に係る方針の見直しを適宜実施しております。 |
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③-7.退職給付会計に関連するリスク |
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影響度:中 |
発生可能性:低 |
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●リスク 当社及び一部の子会社は、確定給付型年金制度を有しており、未払退職及び年金費用を数理計算によって認識しております。数理計算は、割引率、期待運用収益率、昇給率、死亡率といった前提条件に基づいており、これらの前提条件と実際の結果が異なることにより生じた年金数理上の損失は、従業員の平均残存勤務年数にわたり規則的に償却し、年金費用に含めています。当社は、これらの数理計算上の前提は適切であると考えておりますが、金利低下に伴う割引率の低下や、運用収益の悪化による年金資産の減少など、予測が困難な事象から生じる前提条件からの乖離は、年金数理上の損失の増加につながり、将来の経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。 |
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☆対応・機会 当社は、各国・地域の年金積立状況や政府の規制、また人事制度を踏まえ、適宜制度の見直しを検討・実施しております。
(注)未払退職及び年金費用の会計方針については、第2 事業の状況 3「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の(2)「経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容」の ②「重要な会計方針及び見積り」に記載しております。 |
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営を取り巻く経済環境)
当連結会計年度の世界経済は、経済活動の再開が本格化した一方で、世界的なインフレとインフレを抑え込むための各国の金融引き締め政策により景気持ち直しのペースが鈍化しました。地域別に見ますと、米国では、インフレや金融引き締めの影響を受けたものの、堅調な個人消費や輸出の拡大を背景に回復基調を維持しました。欧州では、ウクライナ情勢に伴うエネルギー価格の高止まりやインフレの進行により、景気は減速しました。中国では、ゼロコロナ政策に伴う活動制限により個人消費の回復が鈍化し、設備投資も伸び悩みました。また、その他の新興国については、インドや東南アジアを中心に、景気は緩やかに回復しました。我が国ではエネルギー価格の高騰や円安進行による物価上昇が継続しましたが、個人消費を中心とした緩やかな回復が続きました。
このような不安定な経済環境の中、当社関連市場においては、半導体部品の不足やサプライチェーン混乱の影響を受けましたが、需要については総じて堅調に推移しました。製品別に見ますと、オフィス向け複合機は、オフィス出社人数の回復に伴い機器の置き換えが進み需要は堅調に推移しましたが、レーザープリンターとインクジェットプリンターは、在宅需要が一巡したことにより需要は伸び悩みました。カメラ市場は、ミラーレスカメラやレンズを中心に、プロやハイアマチュアの需要が底堅く推移しました。医療機器は、国内は2021年の補正予算を背景とした需要の反動がありましたが、海外では画像診断装置を中心に医療現場の投資は回復傾向となりました。半導体デバイス市場は、メモリー市場など一部では弱含みましたが、パワーデバイスやセンサー向け等が好調に推移し、露光装置全体としても旺盛な需要が継続しました。FPD露光装置はコロナ禍による在宅関連需要が一巡したことや景気減速によるノートPC等の需要が減少し、縮小傾向となりました。
平均為替レートにつきましては、米ドルは前期比で約22円円安の131.66円、ユーロは前期比で約8円円安の138.42円となりました。
(当連結会計年度の経営成績)
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経営指標 |
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第121期 (億円) |
第122期 (億円) |
増減率 (%) |
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売上高 |
35,134 |
40,314 |
14.7% |
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売上総利益 |
16,278 |
18,278 |
12.3% |
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営業費用 |
13,459 |
14,744 |
9.5% |
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営業利益 |
2,819 |
3,534 |
25.4% |
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営業外収益及び費用 |
208 |
△10 |
- |
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税引前当期純利益 |
3,027 |
3,524 |
16.4% |
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当社株主に帰属する当期純利益 |
2,147 |
2,440 |
13.6% |
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1株当たり当社株主に帰属する当期純利益 |
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基本的 |
205.35 |
236.71 |
15.3% |
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希薄化後 |
205.29 |
236.63 |
15.3% |
当連結会計年度は、部品不足に対して代替部品への切り替えや新規調達先の開拓を継続し、物流逼迫に対しても輸送スペースの早期確保や代替輸送ルートを活用し製品供給に努めました。さらに製品価格改定や円安による好転影響もあり、当期の売上高は、前期比14.7%増の4兆314億円となりました。事業のポートフォリオ転換を着実に進めた結果、新規事業の売上高は1兆円を超え、全社でも2017年以来5年ぶりに売上高が4兆円を超えました。
売上総利益率は、部品価格や物流コストの上昇に加え、プリンティング機器の製品供給の安定化に伴い本体比率が上がり、前期を1.0ポイント下回る45.3%となりましたが、製品価格改定や円安の追い風もあり売上総利益は前期比12.3%増の1兆8,278億円となりました。
営業費用は、売上増加に伴う販売経費の増加に加え、円安による外貨建ての営業費用の増加などにより、前期比9.5%増の1兆4,744億円となりましたが、効率性を重視した管理を徹底し経営体質の改善を進め、売上高経費率は前期を1.8ポイント下回る36.5%となりました。その結果、営業利益は前期比25.4%増の3,534億円となりました。
営業外収益及び費用は、有価証券評価損益の悪化や円安進行によるグループファイナンスの外貨建て債務から生じた為替差損などにより、前期比で218億円悪化し、10億円の損失となりました。これらの結果、税引前当期純利益は前期比16.4%増の3,524億円となり、当社株主に帰属する当期純利益は前期比13.6%増の2,440億円となりました。
基本的1株当たり当社株主に帰属する当期純利益は、前期に比べ31円36銭増加し236円71銭となりました。
(セグメント別の経営成績)
以下の情報はセグメント情報に基づきます。セグメント情報に関する詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」を参照ください。
プリンティングビジネスユニット
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経営指標 |
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第121期 (億円) |
第122期 (億円) |
増減率 (%) |
|
オフィス |
7,564 |
8,909 |
17.8% |
|
プロシューマー |
8,891 |
10,025 |
12.8% |
|
プロダクション |
2,886 |
3,621 |
25.5% |
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外部顧客向け売上高合計 |
19,340 |
22,554 |
16.6% |
|
セグメント間取引 |
48 |
65 |
35.2% |
|
売上高合計 |
19,388 |
22,619 |
16.7% |
|
売上原価及び営業費用 |
17,131 |
20,500 |
19.7% |
|
営業利益 |
2,257 |
2,120 |
△6.1% |
|
税引前当期純利益 |
2,330 |
2,258 |
△3.1% |
プリンティングビジネスユニットでは、期後半は半導体部品の供給に改善が見られ、オフィス向け複合機の生産が回復し、販売台数は前期を上回りました。サービスと消耗品については、オフィス出社人数の回復に伴い前期から緩やかに増加しました。レーザープリンターとインクジェットプリンターは、前期のコロナ禍による生産活動の停滞から回復し、販売台数は前期を大きく上回りましたが、消耗品は在宅需要が一巡したことにより前期を下回りました。プロダクション市場向け機器は、高速カットシートインクジェットプリンターのvarioPRINT iXシリーズが好調に推移し、サービス収入も増加しました。
これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比16.7%増の2兆2,619億円となりました。税引前当期純利益は、製品価格改定を行ったものの部品価格や物流コストの上昇の影響を受け、前期比3.1%減の2,258億円となりました。
イメージングビジネスユニット
経営指標
|
|
第121期 (億円) |
第122期 (億円) |
増減率 (%) |
|
カメラ |
4,329 |
5,094 |
17.7% |
|
ネットワークカメラ他 |
2,186 |
2,936 |
34.3% |
|
外部顧客向け売上高合計 |
6,515 |
8,031 |
23.3% |
|
セグメント間取引 |
20 |
4 |
△79.2% |
|
売上高合計 |
6,535 |
8,035 |
22.9% |
|
売上原価及び営業費用 |
5,748 |
6,769 |
17.8% |
|
営業利益 |
787 |
1,266 |
60.9% |
|
税引前当期純利益 |
785 |
1,280 |
63.2% |
イメージングビジネスユニットでは、レンズ交換式デジタルカメラは、部品不足の影響を受け製品供給が停滞しましたが、EOS R5とEOS R6をはじめとしたフルサイズミラーレスカメラの販売が引き続き堅調に推移したことに加え、APS-Cサイズミラーレスカメラの新製品EOS R7とEOS R10も好評を博し、販売台数は前期を上回りました。製品ラインアップを強化したRFレンズも販売が好調に推移し、販売本数は前期を上回りました。ネットワークカメラは、製品の供給量が回復したことに加え、用途の多様化を背景に販売活動を強化し、大幅な増収となりました。また、業務用映像制作機器は、新製品のEOS R5 CをはじめとするシネマEOS、業務用ビデオカメラ、放送局用レンズの販売が好調に推移しました。
これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比22.9%増の8,035億円となりました。税引前当期純利益は、プロダクトミックスの好転により収益性が改善し、前期比63.2%増の1,280億円となりました。
メディカルビジネスユニット
経営指標
|
|
第121期 (億円) |
第122期 (億円) |
増減率 (%) |
|
外部顧客向け売上高合計 |
4,800 |
5,130 |
6.9% |
|
セグメント間取引 |
4 |
3 |
△9.0% |
|
売上高合計 |
4,804 |
5,133 |
6.9% |
|
売上原価及び営業費用 |
4,510 |
4,823 |
7.0% |
|
営業利益 |
294 |
310 |
5.4% |
|
税引前当期純利益 |
343 |
319 |
△7.0% |
メディカルビジネスユニットでは、国内は2021年の補正予算による需要増からの反動が大きく、海外では据付工事の延伸がありましたが、欧米を中心に、コロナ禍で控えられていたCT装置やMRI装置などの大型の画像診断装置を中心に需要が回復し、超音波診断装置も好調に推移しました。過去最高水準となった受注に対し、逼迫する部品への対応を進めて着実に販売へと繋げました。
これらの結果、当ユニットの売上高は前期比6.9%増の5,133億円となり、過去最高の売上となりました。税引前当期純利益は、前期は企業買収に伴う営業外収益を計上したこともあり、前期比7.0%減の319億円となりました。
インダストリアルビジネスユニット
経営指標
|
|
第121期 (億円) |
第122期 (億円) |
増減率 (%) |
|
光学機器 |
2,159 |
2,403 |
11.3% |
|
産業機器 |
1,123 |
805 |
△28.3% |
|
外部顧客向け売上高合計 |
3,282 |
3,208 |
△2.2% |
|
セグメント間取引 |
96 |
84 |
△11.9% |
|
売上高合計 |
3,377 |
3,292 |
△2.5% |
|
売上原価及び営業費用 |
2,929 |
2,712 |
△7.4% |
|
営業利益 |
449 |
580 |
29.3% |
|
税引前当期純利益 |
453 |
592 |
30.7% |
インダストリアルビジネスユニットでは、半導体露光装置は、パワーデバイスやセンサー向け等の幅広い分野において好調に推移する中、生産能力を最大限に活用し販売台数は前期を上回りました。FPD露光装置は、販売台数は設置遅れを挽回した前期を下回りましたが、コロナ禍による在宅関連需要の減少や景気減速の影響を軽微に留め、高水準を維持しました。有機ELディスプレイ製造装置は、パネルメーカーが用途の多様化に向けて投資を検討する端境期となっており、減収となりました。
これらの結果、当ユニットの売上高は、前期比2.5%減の3,292億円となりました。税引前当期純利益は、半導体露光装置の販売台数増加に伴い、前期比30.7%増の592億円となりました。
(当連結会計年度の財政状態)
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第121期 (2021年12月31日) |
第122期 (2022年12月31日) |
増減 |
|
資産合計 |
(億円) |
47,509 |
50,955 |
3,446 |
|
負債合計 |
(億円) |
16,525 |
17,465 |
940 |
|
株主資本合計 |
(億円) |
28,738 |
31,131 |
2,393 |
|
非支配持分 |
(億円) |
2,247 |
2,359 |
112 |
|
純資産合計 |
(億円) |
30,984 |
33,490 |
2,506 |
|
負債及び純資産合計 |
(億円) |
47,509 |
50,955 |
3,446 |
|
株主資本比率 |
(%) |
60.5% |
61.1% |
0.6% |
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から3,446億円増加して5兆955億円となりました。世界的な半導体部品の不足や国際物流の需給逼迫が深刻化する中で、電子部品や原材料、重要部品を厚めに確保するなど安全在庫確保に努めた結果、棚卸資産は増加しました。また売上が増加したことにより売上債権も増加しました。
負債は前連結会計年度末から940億円増加して1兆7,465億円となりました。当連結会計年度では、東芝メディカルシステムズ(株)(現キヤノンメディカルシステムズ(株))を買収した際の買収資金を1,200億円圧縮したことなどにより、長期債務は減少しました。一方、運転資金の増加に伴い、短期借入金及び一年以内に返済する長期債務は増加しました。
純資産は、前連結会計年度末から2,506億円増加して3兆3,490億円となりました。2度の自己株式取得による減少の一方で、増益により利益剰余金は増加し、また円安によりその他の包括利益累計額は増加しました。
これらの結果、当連結会計年度末の株主資本比率は前連結会計年度末より0.6ポイント上昇して61.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、為替変動の影響分を合わせて、前連結会計年度末から393億円減少し、3,621億円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
キーパーツと主要部品の在庫レベルを高めにしたことや、運転資金が増加したことなどにより、前連結会計年度末から1,884億円減少して、2,626億円の収入となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
生産能力、効率性の向上を目的とした設備投資を継続し、また有価証券購入額が増加しました。一方で、海外販売会社において機能見直しによる支店の整理等、固定資産の売却が増加したことなどにより、前連結会計年度末から264億円減少し、1,808億円の支出となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
東芝メディカルシステムズ(株)(現キヤノンメディカルシステムズ(株))を買収した際の買収資金について返済を行い、長期債務を1,200億円圧縮しました。さらには1,000億円の自己株式取得を実施し、また、増配したことで配当金の支払いが前期から304億円増加しました。一方で、運転資金の増加に伴う短期借入金の増加などがあり、1,468億円の支出となりました。
また、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した、いわゆるフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度から1,620億円減少し、818億円の収入となりました。
詳細については、「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ⑤流動性と資金源泉 b.現金及び現金同等物」に記載のとおりであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
プリンティング |
1,976,553 |
116.0 |
|
イメージング |
848,085 |
129.8 |
|
メディカル |
557,659 |
109.2 |
|
インダストリアル |
355,025 |
107.4 |
|
その他及び全社 |
75,489 |
104.1 |
|
消去 |
△99,588 |
- |
|
合計 |
3,713,223 |
117.2 |
(注)1. 金額は、販売価格によって算定しております。
2. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注実績
当社グループの生産は、当社と販売各社との間で行う需要予測を考慮した見込み生産を主体としておりますので、販売高のうち受注生産高が占める割合は僅少であります。従って受注実績の記載は行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前連結会計年度比(%) |
|
プリンティング |
2,261,938 |
116.7 |
|
イメージング |
803,480 |
122.9 |
|
メディカル |
513,331 |
106.9 |
|
インダストリアル |
329,232 |
97.5 |
|
その他及び全社 |
223,021 |
119.5 |
|
消去 |
△99,588 |
- |
|
合計 |
4,031,414 |
114.7 |
(注)1. 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとお
りであります。
|
相手先 |
第121期 (2021年1月1日から 2021年12月31日まで) |
第122期 (2022年1月1日から 2022年12月31日まで) |
||
|
販売高 (百万円) |
割合(%) |
販売高 (百万円) |
割合(%) |
|
|
HP Inc. |
405,971 |
11.6 |
484,111 |
12.0 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月30日)現在において判断しております。
はじめに
当社は、プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアル、その他の製品を世界的に事業展開する企業グループであります。また、企業の成長と発展を果たすことにより、世界の繁栄と人類の幸福に貢献することを、経営理念としております。
①主要業績評価指標
当社の事業経営に用いられる主要業績評価指標(Key Performance Indicators。以下「KPI」という。)は以下のとおりであります。
(収益及び利益率)
当社は、真のグローバル・エクセレント・カンパニーを目指し邁進しておりますが、経営において重点を置いている指標の1つに収益が挙げられます。以下は経営者が重要だと捉えている収益に関連したKPIであります。
売上高はKPIの1つと考えております。当社は主に製品、またそれに関連したサービスから売上を計上しています。売上高は、当社製品への需要、会計期間内における取引の数量や規模、新製品の評判、また販売価格の変動といった要因によって変化し、その他にも市場でのシェア、市場環境等も売上高を変化させる要因です。さらに製品別の売上高は売上の中でも重要な指標の1つであり、市場のトレンドに当社の経営が対応しているかというような内容を測定するための目安となります。
売上総利益率は収益性を測るもう1つのKPIと考えております。当社はフェーズⅥの基本方針のもと、事業競争力を徹底的に強化し、価格競争力を持つ収益性の高い商品の提供を図っています。さらに、内製化や、設計・生産技術・製造現場が三位一体となった組み立ての自動化等のグループ一丸となった原価低減活動を推進しています。当社では、売上総利益率の向上に向けて、引き続きこれらの施策を推進してまいります。
営業利益率、税引前当期純利益率及び売上高研究開発費比率も当社のKPIとして考えており、これらについて当社は2つの面からの方策をとっております。1つは、販売費及び一般管理費そのものを統制し低減に努めていること、もう1つは将来の利益を生み出す技術に対する研究開発費を一定の水準に維持していくことです。現在の市場における優位性を保持しつつ、他市場における可能性も開拓していくために必要なことであり、そうした投資が将来の事業の成功の基盤となります。
(キャッシュ・フロー経営)
当社はキャッシュ・フロー経営にも重点を置いております。以下の指標は、経営者が重要だと捉えているキャッシュ・フロー経営に関連したKPIです。
在庫回転日数はKPIの1つであり、サプライチェーン・マネジメントの成果を測る目安となります。棚卸資産は陳腐化及び劣化する等のリスクを内在しており、その資産価値が著しく下がることで、当社の業績に悪影響を及ぼすこともありえます。こうしたリスクを軽減するためには、サプライチェーン・マネジメントの強化により、棚卸資産の圧縮及び製品コスト等の回収を早期化させるために生産リードタイムを短縮させ、一方で販売の機会損失を防ぐため適正水準の製品在庫を保持していく活動の継続が重要であると考えられます。
また有利子負債依存度も当社のKPIの1つであります。当社のような製造業では、開発、生産、販売等のプロセスを経て、事業が実を結ぶまでには、一般に長い期間を要するため、堅固な財務体質を構築することは重要なことであると考えます。今後も当社は主に通常の営業活動からのキャッシュ・フローで、流動性や設備投資に対応してまいります。
総資産に占める株主資本の割合を示す株主資本比率も、当社におけるKPIの1つとしております。株主資本を潤沢に持つことは、長期的な視点に立って高水準の投資を継続することにつながり、短期的な業績悪化にも揺るがない事業運営を可能にします。特に、研究開発に重点を置く当社にとっては、財務の安全性を確保することは、非常に重要なことであると考えられます。
②重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、米国会計基準に基づいて作成されております。また当社は、連結財務諸表を作成するために、種々の見積りと仮定を行っております。これらの見積り及び仮定は将来の市場状況、売上増加率、利益率、割引率等の見積り及び仮定を含んでおります。当社は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、実際の業績は異なる可能性があります。また、パンデミックや地政学的リスク、さらにはインフレに伴う景気減速のリスク等により、当社の業績が経営者の仮定及び見積りとは異なる可能性があります。当社は、現在当社の財政状態及び経営成績に影響を与えている会計方針を適用するにあたり、以下の事項がより重要な判断事項であると考えています。
a.長期性資産の減損
基準書360「有形固定資産」に準拠し、有形固定資産や償却対象の無形固定資産などの長期性資産は、帳簿価額が回収できないという事象や状況の変化が生じた場合に、減損に関する検討を実施しております。帳簿価額が割引前将来見積キャッシュ・フローの総額を上回っていた場合には、帳簿価額が公正価値を超過する金額について減損を認識しております。公正価値の決定は、見積り及び仮定に基づいて行っております。
b.有形固定資産
有形固定資産は取得原価により計上しております。減価償却方法は、定額法で償却している一部の資産を除き、定率法を適用しております。
c.棚卸資産
棚卸資産は、低価法により評価しております。原価は、国内では平均法、海外では主として先入先出法により算出しております。
d.リース
当社は、貸手のリースでは主にオフィス製品の販売においてリース取引を提供しております。販売型リースでの機器の販売による収益は、リース開始時に認識しております。販売型リース及び直接金融リースによる利息収益は、それぞれのリース期間にわたり利息法で認識しております。これら以外のリース取引はオペレーティングリースとして会計処理し、収益はリース期間にわたり均等に認識しております。機器のリースとメンテナンス契約が一体となっている場合は、リース要素と非リース要素の独立販売価格の比率に基づいて収益を按分しております。通常、リース要素は、機器及びファイナンス費用を含んでおり、非リース要素はメンテナンス契約及び消耗品を含んでおります。一部の契約ではリースの延長又は解約オプションが含まれております。当社は、これらのオプション行使が合理的に確実である場合、オプションの対象期間を考慮し、リース期間を決定しております。当社のリース契約の大部分は、顧客の割安購入選択権を含んでおりません。
借手のリースでは建物、倉庫、従業員社宅、及び車輛等に係るオペレーティングリース及びファイナンスリースを有しております。当社は、契約開始時に契約にリースが含まれるか決定しております。一部のリース契約では、リース期間の延長又は解約オプションが含まれております。当社は、これらのオプション行使が合理的に確実である場合、オプションの対象期間を考慮し、リース期間を決定しております。当社のリース契約には、重要な残価保証または重要な財務制限条項はありません。当社のリースの大部分はリースの計算利子率が明示されておらず、当社はリース料総額の現在価値を算定する際、リース開始時に入手可能な情報を基にした追加借入利子率を使用しております。当社のリース契約の一部には、リース要素及び非リース要素を含むものがあり、それぞれを区分して会計処理しております。当社はリース要素と非リース要素の見積独立価格の比率に基づいて、契約の対価を按分しております。オペレーティングリースに係る費用は、そのリース期間にわたり定額法で計上されております。
e.企業結合
企業買収は取得法で処理しております。取得法では、取得した全ての有形及び無形資産並びに引き継いだ全ての負債を、支配獲得日における公正価値に基づき認識及び測定します。公正価値の決定には、将来キャッシュ・フローの予測、割引率、資本収益率、及びその他の利用可能な市場データに基づく見積りなどの、重要な判断や見積りを伴います。また、将来キャッシュ・フローの予測は、被買収会社の実績や、過去及び将来に想定される趨勢、市場や経済状況などの多くの要素に基づいております。
f.のれん及びその他の無形固定資産
のれん及び耐用年数が確定できないその他の無形固定資産は償却を行わず、代わりに毎年第4四半期に、または潜在的な減損の兆候があればより頻繁に減損テストを行っております。全てののれんは、企業結合のシナジー効果から便益を享受する報告単位に配分されます。報告単位の公正価値が、当該報告単位に割り当てられた帳簿価額を下回る場合には、当該差額をその報告単位に配分されたのれんの帳簿価額を限度とし、のれんの減損損失として認識しております。報告単位の公正価値は、主として割引キャッシュ・フロー分析に基づいて決定されており、将来キャッシュ・フロー及び割引率等の見積りを伴います。将来キャッシュ・フローの見積りは、主として将来の成長率に関する当社の予測に基づいております。割引率の見積りは、主として関連する市場及び産業データ並びに特定のリスク要因を考慮した、加重平均資本コストに基づいて決定しております。2021年第4四半期及び2022年第4四半期に行った減損テストの結果、個々の報告単位の公正価値は帳簿価額を十分に超過しており、減損が認識された報告単位はありません。しかし、メディカル報告単位に帰属するのれんについては、公正価値が帳簿価額を超過する割合が他の報告単位と比べて低くなっており、将来キャッシュ・フローが想定よりも減少した場合、減損損失を認識する可能性があります。なお、当該報告単位に帰属するのれんの帳簿価額は542,695百万円となっております。当該報告単位の将来キャッシュ・フローの見積りは、今後の医療機器市場の成長や事業活動地域の成長を考慮した上で立案された中期経営計画に基づいております。
耐用年数の見積りが可能な無形固定資産は、主としてソフトウェア、商標、特許権及び技術資産、ライセンス料、顧客関係であります。なお、ソフトウェアは主として3年から8年で、商標は15年で、特許権及び技術資産は7年から21年で、ライセンス料は8年で、顧客関係は10年から15年で定額償却しております。
g.法人税等の不確実性
当社は、法人税等の不確実性の評価及び見積りにおいて多くの要素を考慮しており、それらの要素には、税務当局との解決の金額及び可能性、並びに税法上の技術的な解釈を含んでおります。不確実性に関する実際の解決が見積りと異なるのは不可避的であり、そのような差異が連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。
h.繰延税金資産の評価
当社は、繰延税金資産に対して定期的に実現可能性の評価を行っております。繰延税金資産の実現は、主に将来の課税所得の予測によるところが大きく、課税所得の予測は将来の市場動向や当社の事業活動が順調に継続すること、その他の要因により変化します。課税所得の予測に影響を与える要因が変化した場合には評価性引当金の設定が必要な場合があり、当社では繰延税金資産の実現可能性がないと判断した際には、繰延税金資産を修正し、損益計算書上の法人税等に繰り入れ、当期純利益が減少いたします。
i.未払退職及び年金費用
未払退職及び年金費用は数理計算によって認識しており、その計算には前提条件として基礎率を用いています。割引率、期待運用収益率といった基礎率については、市場金利などの実際の経済状況を踏まえて設定しております。その他の基礎率としては、昇給率、死亡率などがあります。これらの基礎率の変更により、将来の退職及び年金費用が影響を受ける可能性があります。
基礎率と実際の結果が異なる場合は、その差異が累積され将来期間にわたって償却されます。これにより実際の結果は、通常、将来の年金費用に影響を与えます。当社はこれらの基礎率が適切であると考えておりますが、実際の結果との差異は将来の年金費用に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度の連結財務諸表の作成においては、給付債務の計算に使用する割引率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で1.2%、4.1%を、長期期待収益率には国内制度、海外制度ではそれぞれ加重平均後で3.1%、5.7%を使用しております。割引率を設定するにあたっては、現在利用可能で、かつ、年金受給が満期となる間に利用可能と予想される高格付けで確定利付の公社債の収益率に関し利用可能な情報を参考に決定しております。また長期期待収益率の設定にあたっては、年金資産が構成される資産カテゴリー別の過去の実績及び将来の期待に基づいて収益率を決定しております。
割引率の低下(上昇)は、勤務費用及び数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるとともに、利息費用を減少(増加)させます。割引率が0.5%低下した場合、予測給付債務は約776億円増加します。割引率の低下(上昇)による影響は、数理計算上の他の前提条件の変更による影響と同様に、翌期以降に繰り延べられます。
長期期待収益率の低下(上昇)は、期待運用収益を減少(増加)させ、かつ数理計算上の差異の償却額を増加(減少)させるため、期間純年金費用を増加(減少)させます。長期期待収益率が0.5%低下した場合、期間純年金費用は約49億円増加します。
これにより年金制度の積立状況(すなわち、年金資産の公正価値と退職給付債務の差額)を連結貸借対照表で認識しており、対応する調整を税効果調整後で、その他の包括利益(損失)累計額に計上しております。
j.収益認識
当社は、主にプリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルの各ビジネスユニットの製品、消耗品並びに関連サービス等の売上を収益源としており、それらを顧客との個別契約に基づき提供しております。当社は、約束した財またはサービスの支配が顧客に移転した時点、もしくは移転するにつれて、移転により獲得が見込まれる対価を反映した金額により、収益を認識しております。
プリンティングビジネスユニットの製品(オフィス向け複合機、レーザープリンター、インクジェットプリンター等)及びイメージングビジネスユニットの製品(デジタルカメラ等)の販売による収益は、製品の支配を顧客がいつ獲得するかにより、主に出荷または引渡時点で認識しております。
また、メディカルビジネスユニットの製品(CT装置やMRI装置等)及びインダストリアルビジネスユニットの製品(半導体露光装置やFPD露光装置等)の販売にあたり、機器の性能に関して顧客検収を要する場合は、機器が顧客の場所に据え付けられ、合意された仕様が客観的な基準により達成されたことを確認した時点で、収益を認識しております。
当社のサービス売上の大部分は、プリンティングの製品及びメディカルの製品のメンテナンスサービスに関連するものであり、一定期間にわたり認識しております。プリンティングの製品のサービス契約は、通常、顧客は、機器の使用量に応じた従量料金、固定料金、または、基本料金に加えて使用量に応じた従量料金を支払う契約であり、修理作業及び消耗品の提供を含んでおります。プリンティングの製品のサービス契約による収益の大部分は、顧客への請求金額が、履行義務の充足に伴い顧客に移転した価値と直接対応していることから、顧客への請求金額により収益を計上しております。メディカルの製品のサービス契約は、通常、顧客は、当社が提供する待機サービスの対価として、固定料金を支払っており、当社は契約期間にわたり均等に収益を認識しております。
プリンティングの製品に関するサービス契約の多くは、関連する製品販売契約と一体で実行されます。製品及びサービスの取引価格は、独立販売価格の比率に基づいて各履行義務に配分される必要があり、その配分には判断が伴います。独立販売価格は、市場の状況及びその他観察可能なインプットを含む合理的に入手可能な全ての情報に基づき、配分の目的に合致するように設定された価格のレンジを用いて見積もられています。製品またはメンテナンスサービスの取引価格が設定されたレンジを外れる場合は、見積独立販売価格に基づき取引価格は配分されることになります。契約獲得の追加コストは、関連するプリンティングの製品が販売された時に、費用として認識しております。
転用可能性がなく、かつ完了した成果に対して顧客から支払いを受ける強制力のある権利を有している一部の産業機器の販売契約(以下「長期契約」)に関する収益は一定期間にわたり認識しており、コストを基礎とする進捗度に基づき、完成時の見積り利益の当期進捗分を含む収益が当期に認識されます。未完成の長期契約に関する損失は、損失が発生することが明らかになった期に認識されます。長期契約に関する作業実績や作業状況、想定される収益性の変化や最終的な契約条項がコストや収益の見積りに与える影響は、それらが識別され合理的に見積り可能になった期に認識されます。将来コストや完成時の利益に影響を与える要素は生産効率、労働力や資材の利用可能性とコストを含み、これらの要素は見積もりの正確性に影響し、将来の収益と売上原価に重要な影響を与えることがあります。
財またはサービスの移転と交換に当社が受け取る取引価格は、値引き、顧客特典、売上に応じた割戻し等の変動対価を含んでおります。変動対価は、主として、販売代理店や小売店が主要顧客であるイメージングの製品の販売に関連しております。当社は、変動対価に関する不確実性が解消された時点で収益認識累計額の重要な戻し入れが生じない可能性が高い範囲で、変動対価を取引価格に含めております。変動対価は、過去の傾向や売上時点におけるその他の既知の要素に基づいて見積もっており、直近の情報に基づき定期的に見直しております。また、当社は、販売後の短期間、顧客に製品の返品権を付与することがあり、当該返品権により予想される返品を考慮し決定された取引価格に基づき収益認識をしております。
当社は、連結損益計算書の収益について、顧客から徴収し政府機関へ納付される税金を除いて表示しております。
k.信用損失引当金
信用損失引当金は、過去の信用損失の経験と合理的かつ裏付け可能な予測を踏まえつつ、基準書326(「金融商品-信用損失」)に基づいて、全ての債権計上先を対象として計上しております。また当社は、破産申請など顧客の債務返済能力がなくなったと認識した時点において、顧客ごとに信用損失引当金を積み増しております。債権計上先をとりまく状況に変化が生じた場合は、債権の回収可能性に関する評価はさらに調整されます。法的な償還請求を含め、全ての債権回収のための権利を行使してもなお回収不能な場合に、債権の全部または一部を回収不能とみなし、信用損失引当金を取り崩しております。
l.環境負債
環境浄化及びその他の環境関連費用に係る負債は、環境アセスメントあるいは浄化努力が要求される可能性が高く、その費用を合理的に見積ることができる場合に認識しており、連結貸借対照表のその他の固定負債に含めております。環境負債は、事態の詳細が明らかになる過程で、あるいは状況の変化の結果によりその計上額を調整しております。その将来義務に係る費用は現在価値に割引いておりません。
m.新会計基準
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注1 (24)新会計基準」に記載のとおりであります。
③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.売上高
当連結会計年度は、全世界において経済活動の再開が本格化した一方で、世界的なインフレとインフレを抑え込むための各国の金融引き締め政策により景気持ち直しのペースが鈍化しました。こうした中、半導体部品の不足やサプライチェーン混乱の影響を受けましたが、各セグメントにおける需要については総じて堅調に推移し、売上高は前連結会計年度比14.7%増の4兆314億円となりました。製品売上高及びサービス売上高は前連結会計年度比でそれぞれ、15.2%増の3兆2,318億円、12.8%増の7,996億円となりました。
当連結会計年度の海外での売上高は、連結売上高の78.5%を占めます。海外での売上高の計算は、円と外貨の為替レートの変動に影響されます。製品の現地生産及び海外からの部品や材料調達等によりその影響を抑えておりますが、為替レートの変動は当社の経営成績に大きな影響を与える可能性があります。
当連結会計年度の米ドル及びユーロの平均為替レートはそれぞれ131.66円及び138.42円と、前連結会計年度に比べて米ドルは約22円円安、ユーロは約8円円安で推移しました。米ドルとの為替レートの変動により約2,459億円の売上高増加、ユーロとの変動で約563億円の売上高増加、その他の通貨との変動で約378億円の売上高増加影響がありました。その結果、当連結会計年度の為替による売上高の増加影響は約3,400億円となりました。
b.売上原価
売上原価は、主として原材料費、購入部品費、工場の人件費から構成されます。原材料費のうち海外調達される原材料については、海外の市場価格や為替レートの変動による影響を受け、当社の売上原価に影響を与えます。売上原価にはこれらの他に有形固定資産の減価償却費、修繕費、光熱費、賃借料などが含まれております。当連結会計年度は部品、材料の価格上昇および、国際的な物流の逼迫による輸送費用の上昇による影響を受けました。その結果、売上高に対する売上原価の比率は、当連結会計年度は54.7%となり、前連結会計年度53.7%より1.0ポイント上昇しました。
c.売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、前連結会計年度と比べ12.3%増加の1兆8,278億円となりました。また売上総利益率は、前連結会計年度より1.0ポイント悪化し45.3%となりました。売上総利益の増加は、製品価格改定や円安の追い風によるものであり、一方売上総利益率の減少は、部品価格や物流コストの上昇に加え、プリンティング機器の製品供給の安定化に伴う本体比率の上昇などによるものです。
d.営業費用
営業費用は、主に人件費、研究開発費、広告宣伝費であります。営業費用は、売上増加に伴う販売経費の増加に加え、円安による外貨建ての営業費用の増加などにより、前期比9.5%増の1兆4,744億円となりました。一方、当連結会計年度売上高に対する経費率は前連結会計年度より1.8ポイント改善し、36.5%となりました。経費率の改善は、効率性を重視した管理を徹底し経営体質の改善を進めたことによるものです。
e.営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比25.4%増加の3,534億円でありました。営業利益率は0.8ポイント好転して8.8%となりました。
f.営業外収益及び費用
当連結会計年度の営業外収益及び費用は、有価証券評価損益の悪化や円安進行によるグループファイナンスの外貨建て債務から生じた為替差損などにより、前連結会計年度から218億円悪化し、10億円の損失となりました。
g.税引前当期純利益
当連結会計年度の税引前当期純利益は3,524億円で、前連結会計年度比16.4%の増益となりました。また、売上高に対する比率は8.7%でした。
h.法人税等
当連結会計年度の法人税等は205億円増加し、実効税率は26.2%でした。実効税率が日本の法定実効税率を下回っているのは、主に試験研究費の税額控除や海外子会社で適用される税率が日本の法定実効税率より低いためです。
i.当社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の当社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比13.6%の増益である2,440億円となりました。また、売上高当期純利益率は6.1%となりました。
④海外事業と外国通貨による取引
当社の販売活動は様々な地域で現地通貨により行っている一方、売上原価は円の占める割合が比較的高くなっております。当社の現在の事業構造を鑑みると、円高影響は売上高や売上総利益率に対してマイナス要因となりま
す。こうした為替相場の変動による財務リスクを軽減することを目的に、当社は為替先物契約を主とした金融派生商品を利用した取引を実施しております。
海外における売上高利益率は、主に販売活動を中心としているため、国内の売上高利益率と比較すると低くなっております。一般的に販売活動は、当社が行っている生産活動ほど収益性は高くありません。地域別セグメント情報に関する詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注23 セグメント情報」を参照ください。
⑤流動性と資金源泉
a.キャッシュ・フロー経営の基本原則
当社は財務戦略の基本方針に「キャッシュ・フロー経営の徹底による健全な財務体質の維持」を掲げ、以下の2点をキャッシュ・フロー経営の基本原則としております。
1.現行事業の収益性をさらに改善し新規事業の成長スピードを高めることにより、高収益体質の向上に努め
ます。
2.事業の中期的な拡大・成長に必要な設備投資は減価償却費の範囲内に収め、財務健全性の維持に努めま
す。ただし、成長戦略の為の大規模なM&A等は積極的に行う予定であり、必要に応じて外部からの資金調達も実施します。
資金の調達(Cash-In)
事業活動からの利益をベースとする営業活動によるキャッシュ・フローを原資とします。資金調達を行う際は、金融市場の状況を鑑みて、期間・通貨・手法を検討し、多様な選択肢から最適な手段を選定します。
資金の使途(Cash-Out)
資金の主な使途は以下の優先順位に則り決定しております。
1.成長投資:設備投資・研究開発やM&Aなど
M&Aは新規事業の早期育成・拡大の選択肢として重視しております。投資対象先の選定にあたり、市場の成長性・規模、当社の事業領域・技術との親和性の高い市場であることを基準としております。
2.株主還元
中長期的な業績の見通しに加え、将来の投資計画やキャッシュ・フローなどを総合的に勘案して、配当を中心に、安定的かつ積極的な利益還元を実施します。
3.借入金返済
成長投資と株主還元の次に、健全な財務体質維持のために、借入金返済について着実に進めて参ります。
b.現金及び現金同等物
キャッシュ・フローの推移
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度から393億円減少して、3,621億円となりました。当社の現金及び現金同等物は主に円と米ドルを中心としておりますが、その他の外貨でも保有しております。
営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、キーパーツと主要製品の在庫レベルを高めにしたことや運転資金が増加したことなどにより、前期比1,884億円減少し、2,626億円の収入となりました。営業活動によるキャッシュ・フローは、主に顧客からの現金受取によるキャッシュ・イン・フローと、部品や材料、販売費及び一般管理費、研究開発費、法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローとなっております。当連結会計年度におけるキャッシュ・イン・フローの減少は、主に売上高の増加に伴い、顧客への債権が増加したことによります。当社の回収率に重要な変化はありません。また部品や材料の支払いといったキャッシュ・アウト・フローの増加は、キーパーツと主要製品等の在庫水準が高まったことなどによるものです。法人税の支払いによるキャッシュ・アウト・フローの増加は、課税所得の増加によるものです。
投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、生産能力、効率性の向上を目的とした設備投資を継続し、また、有価証券購入額が増加しました。固定資産購入額は前連結会計年度より112億円増加して、当連結会計年度は1,885億円となり、有価証券購入額は194億円増加して、216億円となりました。一方で、当期は大型の企業買収がなかったことや、海外販売会社において機能見直しによる支店の整理等、固定資産の売却が増加したことなどにより、前連結会計年度より264億円減少し1,808億円の支出となりました。
フリーキャッシュ・フロー
当社は、営業活動によるキャッシュ・フローから投資活動によるキャッシュ・フローを控除した純額をフリーキャッシュ・フローと定義しており、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フローは、前連結会計年度の2,438億円から、1,620億円減少し、818億円の収入となりました。
当社は、キャッシュ・フロー経営に重点を置き、フリーキャッシュ・フローを常時モニタリングしております。フリーキャッシュ・フローは当社の現在の流動性や財務活動の使途を理解する上で重要であり、また投資家にも有用であると考えております。当社は資金の調達源泉を明らかにするために、米国会計基準による連結キャッシュ・フロー計算書や連結貸借対照表と併せて、米国会計基準以外の財務指標(Non-GAAP財務指標)である、フリーキャッシュ・フローを分析しております。なお、最も直接的に比較可能な米国会計基準に基づき作成された指標とフリーキャッシュ・フローの照合調整表は以下のとおりです。
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(億円) |
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第121期 |
第122期 |
増減 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
4,510 |
2,626 |
△1,884 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△2,073 |
△1,808 |
+264 |
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フリーキャッシュ・フロー |
2,438 |
818 |
△1,620 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
△2,674 |
△1,468 |
+1,205 |
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為替変動の現金及び現金同等物への影響額 |
173 |
258 |
+85 |
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現金及び現金同等物の増減 |
△63 |
△393 |
△330 |
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現金及び現金同等物の期首残高 |
4,077 |
4,014 |
△63 |
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現金及び現金同等物の期末残高 |
4,014 |
3,621 |
△393 |
財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、東芝メディカルシステムズ(株)(現キヤノンメディカルシステムズ(株))を買収した際の買収資金について返済を行い、長期債務1,200億円を圧縮しました。さらには1,000億円の自己株式取得を実施し、また、増配したことで配当金の支払いが前期から304億円増加しました。一方で、運転資金の増加に伴う短期借入金の増加などがあり、1,468億円の支出となりました。なお、当連結会計年度の配当金の支払額は、1株当たり115.00円を実施しました。東芝メディカルシステムズ(株)(現キヤノンメディカルシステムズ(株))を買収した際の借入金の残高推移は以下のとおりであります。
当社は、流動性や必要資本を満たすため、増資、社債発行、借入といった外部からの様々な資金調達方法をとることが可能です。当社は、これまでどおりの資金調達や資本市場からの資金調達が可能であり、また将来においても可能であり続けると認識しておりますが、経済情勢の急激な悪化やその他状況によっては、当社の流動性や将来における長期の資金調達に影響を与える可能性があります。
当社の長期債務は、主に銀行借入とリース債務によって構成されています。
格付け
当社は、グローバルな資本市場から資金調達をするために、格付機関であるS&Pグローバル・レーティングから信用格付を得ております。それに加えて、当社は日本の資本市場からも資金調達するために、日本の格付会社である格付投資情報センターからも信用格付を得ております。2023年2月28日現在、当社の負債格付は、S&Pグローバル・レーティング:A(長期)、A-1(短期);格付投資情報センター:AA(長期)であります。当社では、現時点で負債の返済を早めるような格付低下の要因は発生しておりません。当社の信用格付が下がる場合は、借入コストの増加につながります。
c.在庫の適正化
当社の最新の在庫水準の最適化の方針は、運転資金を最小化し、在庫の陳腐化のリスクを避け、一方で予期せぬ天災発生時でも販売活動を継続できるようにするため、適切なバランスを維持していくことであります。当社の在庫回転日数は、当連結会計年度、前連結会計年度末時点でそれぞれ、69日、66日となりました。在庫回転日数増加の主な要因は、世界的な半導体部品の不足や国際物流の需給逼迫が深刻化する中で、電子部品や原材料、重要部品を厚めに確保するなど、安全在庫確保に努めた結果として、工場の仕掛品や販売会社の製品在庫が増加したことによるものであります。
d.設備投資
当社は積極的な業績拡大に資する投資を行う一方、総額は減価償却費の範囲内に収めることでフリーキャッシュ・フローを安定的に創出するなど、財務基盤を強固にするキャッシュ・フロー経営を徹底しています。当連結会計年度における設備投資は、前連結会計年度の1,519億円から47億円増加し、1,566億円になりました。翌連結会計年度につきましては、引き続き成長のための設備投資を行うことにより、当社の設備投資は2,100億円の見込みであります。
e.退職給付債務への事業主拠出
当社の確定給付型年金への拠出額は、当連結会計年度317億円、前連結会計年度438億円であり、確定拠出型年金への拠出額は、当連結会計年度243億円、前連結会計年度227億円であります。また、一部の子会社が加入している複数事業主制度への拠出額は、当連結会計年度47億円、前連結会計年度48億円であります。
f.運転資本
当連結会計年度における運転資本(流動資産から流動負債を控除した額)は、前連結会計年度の8,175億円から269億円減少し、7,906億円になりました。減少の主な要因は、流動負債である短期借入金(1年以内に返済する長期債務を含む)の増加によるものです。当社の運転資本は、予測できる将来需要に対して十分であると認識しております。当社の必要資本は、設備投資に関わる支出の水準及び時期といった全社的な事業計画に基づいております。流動比率(流動負債に対する流動資産の割合)は、当連結会計年度は1.58、前連結会計年度は1.77であります。
g.総資本当社株主に帰属する当期純利益率
総資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の総資産平均で除した割合)は、当連結会計年度では5.0%です。当期純利益の増加により、前連結会計年度の4.6%から改善しました。
h.株主資本当社株主に帰属する当期純利益率
株主資本利益率(当社株主に帰属する当期純利益を前年度末及び当年度末の株主資本平均で除した割合)は、当連結会計年度では8.1%です。増益による利益剰余金の増加や円安による為替換算調整額の増加に伴い株主資本は増加しましたが、当期純利益も増加し、前連結会計年度の7.9%から改善しました。
i.有利子負債依存度
当社はフェーズⅥにてキャッシュ・フロー経営の徹底を重点項目の一つとしており、財務基盤の再強化を進めています。当連結会計年度では東芝メディカルシステムズ(株)(現キヤノンメディカルシステムズ(株))を買収した際の買収資金について、返済を行って1,200億円の圧縮を行っています。一方で、運転資金の増加に伴い短期借入金が増加しました。その結果、当連結会計年度における短期借入金、短期オペレーティングリース負債、長期借入金、及び長期オペレーティングリース負債は、前連結会計年度末の3,210億円から964億円増加し4,174億円となり、有利子負債依存度(総資産に対する有利子負債の割合)で表すと8.2%になります。前連結会計年度の6.8%からは増加となりましたが、財務基盤は安定しております。
j.株主資本比率
株主資本比率(株主資本を総資産で除した割合)は、当連結会計年度は61.1%となり、前連結会計年度の60.5%から増加いたしました。増益による利益剰余金の増加や、円安によるその他の包括利益累計額の増加等のため純資産が増加したことなどにより株主資本比率は0.6%好転し、引き続き高い財務基盤を維持しております。
⑥知的財産戦略
1.基本方針
当社は、独自技術で差別化した魅力的な質の高い製品・サービスにより、新市場や新規顧客を開拓する研究開発型企業として発展してきました。知的財産部門は、事業の発展を支援することを重視し、これからの時代を先読みし、10年後、20年後の姿を描き、知的財産戦略を策定・実行しています。
当社の知的財産戦略の基本戦略は下記4つとしております。
1,コアコンピタンス技術に関わる特許は、競争領域において事業を守る特許としてライセンスせず、
競争優位性の確保に活用する。
2,通信、GUIなどの汎用技術に関わる協調領域の特許をクロスライセンスなどに利用することで、
研究開発や事業の自由度を確保する。
3,他社の知的財産権を尊重する。一方でキヤノンの知的財産権の侵害に対しては毅然と対応する。
4,他社が容易に到達できない検証困難な発明は、ノウハウとして秘匿し守ることで、他社の追従を
許さず、競争優位性を確保する。
2.管理体制
当社では、当社の知的財産法務本部と各グループ会社の知的財産部門との間で、知的財産の取り扱いに関する役割と責任、活動方針の策定プロセスなどを取り決めたグローバルマネジメントルールを策定しています。
これにより、当社全体の知的財産活動を統制し、特許ポートフォリオの最適化を図りつつ、必要に応じて協働で訴訟やライセンス活動を行うことにより、利益の最大化を図っています。
3.全社の知的財産戦略
特許ポートフォリオ
当社は、さまざまな環境変化から次の時代の社会や経済の流れを読み取り、知的財産戦略を策定・実行しています。事業のコアコンピタンスに関わる知的財産権の取得はもちろんのこと、これからのビジネスの流れを先取りした知的財産権の取得にも大きなリソースを投入しています。
半導体や希少材料のサプライチェーン問題、エネルギーや食料の自給需要、環境配慮要請といった社会変化、3次元空間の映像化に対する顧客ニーズなどを踏まえ、需要が高まる製品・サービス、注目度が高まる技術を予見し、知的財産権の取得にあたっての注力分野と出願国を決定しています。また、製品やサービスの実施に不可欠となる標準技術へも投資をし、さまざまな業種の企業との交渉にも備えています。このようにして構築した知的財産ポートフォリオを保有することにより、競争優位性の確保と将来事業の自由度の確保を両立させています。
当社は、全世界で特許・実用新案を約8万3千件保有しています(2022年12月現在)。日本国内はもとより海外での特許取得も重視しており、地域ごとの事業戦略や技術・製品動向を踏まえた上で特許の権利化を推進しています。特に米国は、世界最先端の技術をもつ企業が多く市場規模も大きいことから、米国での特許出願については、事業拡大、技術提携の双方の視点から注力しており、米国の特許登録件数ランキングは37年連続で5位以内を維持しています。
オピニオンリーダーとしての活動
当社は、日本の産業の振興、ひいては世界の産業の振興への貢献をめざし、知的財産の業界をリードする活動を積極的に行っています。2014年には、LOT(License on Transfer)ネットワークを他社とともに設立し、自らは事業を行わず特許訴訟を脅しに利益を得るPAE(Patent Assertion Entity)による不当な特許訴訟から会員企業を守る仕組みを構築しました。2023年2月時点で2,800社以上が会員企業になっています。2020年には、発起人としてさまざまな業界に働きかけを行い、「COVID-19と戦う知財宣言」を立ち上げ、新型コロナウイルス感染症の早期収束を支援しています。また、2019年より、世界知的所有権機関(WIPO)が運営する、環境技術の活用を促進するためのプラットフォームであるWIPO GREENにパートナーとして参加し、WIPOと協力して環境技術の普及を行っています。さらに、各国特許庁の長官と意見交換を行い、よりよい知的財産システム(環境/制度/施策)の確立に貢献しています。
4.産業グループ別の知的財産戦略
当社は、グローバル優良企業グループ構想フェーズVIにおいて、プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルの各グループの事業競争力の強化を図る一方、ボリュメトリックビデオ、XRなどの次世代イメージング、次世代ヘルスケア、スマートモビリティなど将来のビジネス創出にも力を入れています。知的財産部門は、これらの事業が発展・成長するために、光学技術、映像処理・解析技術などのコアコンピタンス技術、AI・IoTを組み入れたサイバー&フィジカルシステムに欠かせない技術などに関する知的財産の創出・権利化に力を入れています。
Ⅰ.プリンティンググループ
プリントエンジン、材料、キーコンポーネント等のプリンター本体に関する次世代コア技術の特許網を強化しています。併せて、在宅ユーザー、シェアオフィスユーザーを含む多様な顧客へと提供される様々なソリューション技術の特許網を構築することでプリンターを取り巻く印刷事業全体の差別化を支援し、印刷事業を支える様々なグループ会社との知財連携体制を強化しております。
Ⅱ.イメージンググループ
光学やセンサーなどのコア技術を駆使したミラーレスカメラに加え、ネットワーク技術を融合させることで映像制作やセキュリティ用途のカメラ群へと映像ソリューションを展開しており、これらの特許ポートフォリオを拡充しています。さらにボリュメトリックビデオ、XRなどの3次元空間の映像処理技術、運転支援用カメラに代表されるスマートモビリティ領域など、次世代のエンターテインメントや社会インフラを支える領域でも積極的に知的財産を創出しております。
Ⅲ.メディカルグループ
プレシジョン・メディシン(個別化医療)の提供へと進化するAIソリューション、次世代型検出器搭載CT等、医療現場に次々と提供される新たな価値を創造する技術ポートフォリオを知的財産戦略に展開します。
知的財産活動を通じて、グループ内の技術シナジー実現や国内外研究機関との連携支援、画像診断領域の競争力強化とヘルスケアITや体外診断等への事業領域の拡大に貢献しております。
Ⅳ.インダストリアルグループ
露光装置、ダイボンダー、OLED製造装置、スパッタリング装置などの分野においては、特許とノウハウによるオープン&クローズ戦略を実施し、産業機器IoTにも注力しています。
ナノインプリントリソグラフィ(NIL)では産学官連携やグループ会社連携を利用し、材料技術、要素技術、装置技術から半導体プロセスまで、強靭な特許ポートフォリオを構築しております。
当社の知的財産活動に関するその他の情報は、当社ウェブサイト(https://global.canon/ja/intellectual-property/)に掲載しております。
⑦トレンド情報
当社は、プリンティング、イメージング、メディカル、インダストリアルの分野において、開発、生産から販売、サービスにわたる事業活動を営んでおります。
Ⅰ.プリンティングビジネスユニット
当社は、家庭向け、オフィス向け、プロダクションプリント向けのインクジェットプリンター、レーザープリンター、複合機の開発・製造・販売及びメンテナンス、アフターサービスを行うとともに、ソフトウェア及びサービス、ソリューションビジネスを通して顧客に付加価値を提供しています。
2020年に発売を開始したオフィス向け複合機「imageRUNNER ADVANCE DXシリーズ」、2021年の3シリーズ9モデルに続いて、2022年には4モデルの新製品を発売し、「imageRUNNER ADVANCE DXシリーズ」のラインアップを拡充しました。また、製品の高い信頼性が認められ、独立評価機関として権威あるKeypoint Intelligence社 BLI(Buyers Laboratory)事業部から、最も信頼性の高いA3オフィス複合機ブランドとして選出されました。
当社は、クラウドにつながることで複合機の機能を拡張するサービスとして、「uniFLOW Online」を提供しています。クラウドサービス連携とセキュリティの強化に加え、コロナ禍以降定着しつつあるオフィスと自宅を組み合わせたハイブリッドワーク環境に向けて、オフィス複合機と家庭用インクジェットプリンターを「uniFLOW Online」を介して組み合わせた「Hybrid Work Print Standard」の発売を新たに開始し、在宅勤務時でもオフィス同様のセキュリティとプリント管理機能を提供できるようになりました。市場動向に沿って、今後も更なる競争力の維持及び向上に向けて、ますます高度化する顧客の需要に応えるべく、製品群の更なる充実とソリューション対応力の強化を図るとともに、販売力の強化に努めていきます。
プロダクションプリントについては、新たに「imagePRESS Vシリーズ」として、高い生産性と堅牢性により大量出力物の短納期化を実現するフラッグシップモデル「imagePRESS V1350」、多種多様な用紙の高速出力により少量多品種印刷ビジネスを支援する「imagePRESS V1000」、オペレーターの作業負荷を軽減するコンパクトな本体サイズの「imagePRESS V900」の3機種を発売しラインアップを一新、様々な商業印刷のニーズに対応しました。加えて、リモート印刷管理アプリケーション「PRISMAremote Manager」との組み合わせにより印刷状況を可視化することで、ダウンタイムの削減にも貢献しています。
大判インクジェットプリンターについて当社は、アート系プロフェッショナルの高い画質要求に応えるべく、新開発した12色の「LUCIA PROインク」により色の再現性や暗部領域での表現力を大幅に向上させた「imagePROGRAF PROシリーズ」を提供しています。また、設計事務所などでの図面大量出力から、企業・店舗でのCAD・ポスターなどの大判サイズ出力ニーズに向けて、多様な印刷用途や用紙の適性に応じた高画質プリントを可能にする全5色顔料インク「LUCIA TD」を搭載した「imagePROGRAF TZ/TX/TM/TAシリーズ」を提供しています。さらに業界初となる蛍光インクを搭載し、より明るくやわらかな色再現が可能な「imagePROGRAF GPシリーズ」の提供も2021年より始めています。
ハイエンドのプロダクションインクジェット市場に向けて、当社は業界をリードする連帳プリンターを提供しており、効率的かつ高品質のフルカラー印刷の実現に貢献しています。「ColorStreamシリーズ」は、磁気インクやインビジブルインクなどのセキュリティインクを含む、カラーおよびモノクロのトランザクション、トランスプロモ、ダイレクトメール、書籍、およびマニュアルなどの印刷物に対応し、生産性と柔軟性に優れた、モジュール式でカスタマイズ可能な製品です。「ProStreamシリーズ」は、オフセット印刷に劣らぬ色再現性と生産性を実現しつつ、デジタル印刷の可変データの多用途性を兼ね備えた、高速で生産性の高い連帳プリンターです。当社が提供する高速カットシート方式のインクジェットプリンター「varioPRINT iX シリーズ」は、これまでの商業印刷のビジネスを大きく変えました。優れた画質と幅広いメディア対応力に、インクジェットの高い生産性と魅力的なコスト効率を兼ね備えています。「varioPRINT iXシリーズ」は、その高い信頼性、生産性、アップタイムによって、より多くの成果物を短時間で生産することができます。最小限の調整とセットアップで、計画的な高速印刷が可能なため、印刷業者は、お客様と合意された納期と価格に基づき、あらゆる成果物に対応し、より多くの利益を上げることができます。
大判グラフィック市場では、「Colorado」と「Arizona」のブランドの下で独自のUV LEDソリューションを提供しており、クラス最高の生産性と最小のコストを目指しております。このソリューションにより、プロの印刷業者は豊富なグラフィックスと産業用アプリケーションを顧客に提供することが可能となります。「Colorado」における、UVgelテクノロジーが、従来の印刷技術の持つ長所を損ねず、あらゆる妥協を排除した独自のプロセスにより、比類のない生産性を提供しています。UVgel460インクのより柔軟で伸縮性のある配合と、独創的なFLXfinish+テクノロジーという2つの追加テクノロジーのおかげで、幅広いアプリケーションへの印刷を可能にしています。UVgel460インクは、折りたたんだり、曲げたり、包んだりしても画像安定性を発揮します。また、FLXfinish+テクノロジーは、煌びやかなグロス調と高級感漂うマット調の印刷を使い分けることを可能にし、表現の自由度を拡大させることが出来ます。
家庭用インクジェットプリンターについては、コロナ禍における在宅勤務の増加やオンライン学習や家庭での趣味など自宅で過ごす時間が増える中、新しいライフスタイルのニーズに対応すべく、当社では幅広いラインアップを揃え、より簡単に効率よく、低ランニングコストでプリント・スキャン・コピーを行える商品を提供しています。
写真や文書印刷に適した「XK110/TS8630」は、お客様のユースシーンに合わせて選択できるUI(ユーザーインターフェース)を採用し、少ない操作でプリントやスキャンなどを行えます。文書を多く印刷するユーザーに最適な「G3370/G1330」は、特大容量タンク搭載により、大量印刷と低ランニングコストを実現しました。
また、ビジネス向けインクジェットプリンターについては、働く場所や働き方の多様化に伴い、オフィス・自宅など幅広いビジネスの現場で、コストを抑えながらビジネス文書や制作物を印刷したいというニーズに対応しました。「GX4030」は低ランニングコストでありながら、高画質なビジネス文書の印刷が可能な全色顔料インクを採用しています。さらに、「GX5030」では、設置場所を選ばない小型化を実現するとともに、低ランニングコストと高い生産性、多様な用紙への対応を実現し、さまざまなビジネスを支援していきます。
レーザープリンターについては、景気の先行きに対する懸念や金利上昇により、ディーラーやユーザーに在庫を絞る動きがみられています。また、長期的なトレンドとしては、スマートフォン、クラウド環境の普及等でユーザーのプリントスタイルが変化する中、プリント需要の減少による市場全体の成長鈍化が懸念されています。そのような環境下において、より付加価値の高い中高速機、特に複合機の拡販に注力しています。更に、当社は各種の技術的イノベーションにより、顧客との一定期間にわたる契約型ビジネスを推進するなどの競争力強化と顧客価値向上をはかり、数量・シェア拡大を図っていきます。生産面では弊社が生産拠点を有する中国のロックダウンにより、操業度が低下したことや、部品逼迫の影響を受け、プリンター本体供給が一時的に不足する問題も起きています。サプライチェーンの多元化を推進することにより製品の安定供給に努めていきます。
Ⅱ.イメージングビジネスユニット
当社は、デジタルカメラと同様に、レンズや様々な関連アクセサリーを製造、販売しております。レンズ交換式デジタルカメラでは、「EOS Rシステム」のさらなるラインアップ拡充としてAPS-Cミラーレスカメラ「EOS R7」「EOS R10」を投入しました。この2機種は APS-Cサイズのセンサーでありながら、上位機種である「EOS R3」のオートフォーカス被写体検出技術を継承するなど、静止画・動画撮影のあらゆる面で高い性能を備えています。プロやハイアマチュアユーザーによる用途に応じたサブカメラとしての使用や、一眼レフカメラからの買い替え、エントリー機からのステップアップを促すモデルとして期待しています。レンズ交換式デジタルカメラ市場は各社のミラーレスカメラと交換用レンズの新製品投入により、需要は景気減速の中でも堅調に推移しています。キヤノンとしては、米国、欧州、中国、日本といった主要地域において、引き続き台数シェア1位を獲得しております。
レンズ交換式デジタルカメラにおいては、撮影領域のより一層の拡大を目指し、更なる高画質化、小型・軽量化、動画機能/ネットワーク機能の充実など、最先端の技術をベースとした新しい製品を提供することにより、今後も成長を目指してまいります。
レンズ交換式デジタルカメラ用交換レンズでは、APS-C専用の「RF-Sレンズ」2機種を含む6機種を投入し、RFレンズのラインアップを拡充いたしました。また、EOS Rシリーズカメラ本体との相乗効果もあり、RFレンズの販売が伸長しました。
コンパクトデジタルカメラ市場は全体としては縮小傾向にあるものの、引き続きプレミアムラインを強化し、収益性の向上に努めてまいります。加えて、手軽さや特定シーンでの撮影を求める新たなニーズを掘り起こして撮影領域を拡大していくために、「PowerShot ZOOM」や、「PowerShot PICK」といった新ジャンルのカメラの展開を進めております。
コンパクトフォトプリンターでは、第3四半期に「SELPHY CP1500」を発売しました。「SELPHY」は、簡単な操作性・優れた携帯性・高画質プリント・高耐久性という強みを持ち合わせ、各地域で高いプレゼンスを維持しております。今後更に新規需要を開拓し、市場を牽引してまいります。
また、新規事業として、現実映像とCGをリアルタイムに融合するMR(Mixed Reality:複合現実)の事業にも取り組んでおります。21年に小型軽量モデルの「MREAL S1」、22年に広視野角モデル「MREAL X1」を投入し、製造業をはじめとして幅広い分野に3Dデータを活用したソリューションを提供してまいります。
ネットワークカメラでは、カメラの映像を利用した課題解決型の導入形態が定着してきています。国内では製造業向けソリューションが好調で、世界的な生産・物流の混乱の中でも堅調に売上げを伸ばしています。2022年は、性能を大幅に強化した「VB-H47」をはじめとするカメラ6機種を発売しました。暗所や逆光のような明暗差がある環境下でも鮮明な映像を撮影できるため、映像解析ソフトウェアと組み合わせたシーンにおいて解析精度の向上に寄与します。また、ネットワークカメラをAIカメラ化するmicroSDカード型ハードウェアの「AIアクセラレーター AS-AN11」と専用映像解析アプリケーション「侵入検知」、「駐車検知」、「映像変化検知」の3種類を2022年12月から国内市場に向けて順次発売を開始しました。解析専用のサーバーやクラウドが不要となり、初期投資やランニングコストを抑えたシンプルなシステム構築が可能となります。
高度監視市場向け製品は、暗闇でもカラー動画の撮影ができる超高感度性能により、港湾監視などの厳しい要件に応えることができ、順調に販売を伸ばしています。
当社は、2015年にネットワークカメラ業界最大手のアクシス社をグループに迎えました。2022年には、約130の新製品を発売し、4つの新しいアクシスエクスペリエンスセンター(AEC) を開設するなど、力強い成長を見せました。よりお客様の身近になることを目的とし、現在、世界中に34ものAECを保有しています。
産業向けには、DX推進のために新しい3つの映像ソリューションを提供しています。1.カメラを用いて周囲環境の3次元情報と位置姿勢を同時に推定する「Visual SLAM技術」を含む映像解析ソフトウェア「Vision-based Navigation Software」のAGV(Automated Guided Vehicle)をメーカーヘ提供しています。物流分野のみならず今後応用範囲拡大を目指します。2.ネットワークカメラを活用した映像解析ソフトウェア「Vision Editionシリーズ」において、画像処理性能の向上や外部機器・AIとの連携強化を実現した新製品「Vision Edition 2」を発売いたしました。より柔軟で簡易なシステム構築を可能とすることで、多様化・高度化する現場作業の生産性向上二―ズに応えてまいります。3.画像を用いた橋梁やトンネルの点検においては、これまでAI技術によるひび割れの検知をBPOサービスとして請け負って参りましたが、新たにクラウドサービスの提供を開始しました。
業務用映像制作市場では、OTT*1配信での視聴拡大による大量かつ質の高いコンテンツや、ストリーミング・ネット動画の普及による動画コンテンツへの需要が継続しており、「映像クリエーター」といったユーザーの台頭を確認できます。また、企業・教育などでのインハウス制作といった、これまでと異なる市場の立ち上がりも確認出来ます。映像制作において、制作機器の小型軽量化、制作の効率化、省人化の需要は引き続き見受けられます。スポーツや音楽ライブ等を中継する放送ライブ市場では、コロナ禍で停滞していた各種イベントの復活から機材投資の継続が見受けられ、また大判センサーを活用した浅い被写界深度の映像表現の潮流が現れ始めています。その中で当社は、動画・静止画の両方に高性能を求めるユーザー向けに小型・軽量ボディと8K・RAW内蔵記録を実現した「EOS R5C」、映像制作の効率化の需要を受けてフレキシブルにサポートするフルサイズ対応シネマズームレンズ「CN-E20-50mm」、「CN-E45-135mm」、収録からライブ中継まで幅広く活用可能なシネサーボレンズ「CN8x15」、ライブ制作で大判カメラの運用性を高める機能拡張ユニット「EU-V3」、映像制作用4Kリモートカメラ最上位モデル「CR-N700」の市場導入を行ってきました。更に映像ソリューションにおいては、スポーツ中継、エンターテインメント、CMなどでの新しい映像表現、メタバースへのデータ活用など、市場拡大が見込まれる「ボリュメトリックビデオ」での事業創出にも取り組んでまいります。今後も市場の変化を捉えた商品・ソリューションを投入することで、映像制作における幅広いプロのニーズに応え、映像文化の発展に貢献していきます。
※1 オーバーザトップの略。これまで地上波放送、衛星、ケーブルテレビ等で提供されていた映像コンテンツを、インターネットを介して視聴者に直接提供するメディアサービス。
Ⅲ.メディカルビジネスユニット
当社は、疾病の早期発見、早期診断のためCT、MRI、超音波診断装置、X線診断装置などの画像診断装置や検査機器、ヘルスケアITソリューションを開発、製造し、世界150以上の国や地域に提供しております。患者さんに優しく確信度の高い医療の提供に貢献するとともに、医療の効率化、コスト削減を実現する医療システム・サービスをお届けします。
システム事業では、AIソリューションブランド「Altivity」のもと、医療現場で培われた多くの知慧やノウハウを集結して予防・診断・治療・予後のワークフロー全体を効率化し、より質の高い医療を実現するためにAIを活用した医療への取り組みを進めています。長きにわたり日本でトップシェアを堅持しているCTでは、先進のAI自動化技術でCT検査をサポートする新世代の80列160スライスCT「Aquilion Serve」の販売を開始、MRIにおいても画像クオリティーを引き上げるディープラーニングを用いた「Advanced intelligent Clear-IQ Engine(AiCE)」を標準搭載し、複雑な検査段階をアシストする高性能で使いやすい1.5テスラMRI「Vantage Fortian」を市場に投入しました。CT、MRIとも当社製のカメラを搭載し患者さんの体位を検出することで撮影時間の短縮と簡便化を実現しています。また、コンパクトなボディにAIを用いて開発したアプリケーションを搭載することで効率の高いワークフローを実現した超音波診断装置の新製品「Aplio flex / Aplio go」は国内から販売を開始し、順次、販売地域を拡大しております。
当社は先般、米国に新会社「Canon Healthcare USA, INC.」を設立することを決定しました。メディカル市場において影響力の大きい米国での事業強化を図ることで事業全体の成長を加速します。アップストリームマーケティング機能の一部を新会社に移管し、米国キーオピニオンリーダーとのネットワークを構築することで、臨床ニーズをとらえた製品開発・ソリューション提案につなげます。また、11月にレドレン・テクノロジー社の技術を活用したフォトンカウンティング検出器搭載型Ⅹ線CT(以下PCCT)を国立研究開発法人国立がん研究センター(以下国立がん研究センター)に設置し、実用化に向けた共同研究を開始しました。さらには米国医療機関ともPCCT共同研究を開始し、早期にCTの世界シェアNo.1の達成を目指します。
Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット
半導体露光装置市場では、新型コロナウイルスの影響による長期的な景気回復時期の不透明感に加え、貿易摩擦激化による投資への影響等が懸念されてきましたが、その影響は軽微に留まり、ロジックやセンサー向けを中心に露光装置の設備投資は堅調に推移しました。後工程露光装置の市場では、半導体チップの高集積化・薄型化への要求の高まりを受け、TSV(Through-Silicon Via)技術等によるメモリーの大容量化やウェハレベルパッケージング化などへの設備投資が伸長しました。
当社では、多様化する半導体アプリケーションに柔軟に対応するため、顧客要望を製品開発の初期段階から反映させる「デザインイン」型のビジネススタイルが定着しております。高付加価値製品の開発も順調に進んでおり、急速に普及が進むIoT(Internet of Things)や車載デバイスなど幅広い分野に向けた製品を展開しております。メモリー向けでは、業界最高水準の生産性と重ね合わせ精度を実現したKrFスキャナー「FPA-6300ES6a」、ならびにi線ステッパー「FPA-5550iZ2」の継続的なアップグレードで、更なる市場シェアの拡大を目指してまいります。また、市場で稼働中の露光装置に対するサービスを充実化するためのソリューションプラットフォーム「Lithography Plus」をリリースしました。装置のリアルタイム分析、異常時の自動復旧、最適な製造条件提案等、当社の露光装置を導入しているユーザーの生産性向上に貢献してまいります。ナノインプリントリソグラフィ(NIL)半導体製造装置は、メモリーデバイスの量産展開に向けた準備を加速するとともに、様々なメーカーと共同開発を行い、NILの適用範囲拡大に向けた活動も進めております。
FPD露光装置市場は、新型コロナウイルス特需の終焉に加え、世界的なインフレや景気減速等により急激に縮小しています。これに伴い、顧客投資計画は一時的に延伸しておりますが、PCやタブレット等の有機ELパネル化需要は旺盛で、2023年後半から2024年初めには市場が回復すると見込んでおります。
薄型の普及が進むパネル市場は今後、大型化、4K/8Kの高精細化に加え、有機ELに代表される高品位なディスプレイに移行していくと予想されています。当社は、高品位な65型パネルを一括露光することにより高い生産性を実現する第8世代ガラス基板向け露光装置「MPAsp-H1003T」、ならびに中小型ディスプレイ製造の更なる高精細化ニーズに応える第6世代ガラス基板向け露光装置「MPAsp-E903T」により、更なる市場シェア拡大を目指してまいります。また、オンライン会議や教育の普及によりニーズが高まったノートPC・タブレットなどのIT機器用ディスプレイに対応するため、高生産性と高精細化を両立したIT機器用ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-H1003H」をラインアップに加え、市場ニーズに応えてまいります。
有機ELパネル製造装置市場においては、当社が圧倒的シェアを持つ中小型パネル向け有機EL蒸着装置の競争力を堅持するとともに、大型パネル向け装置の開発を進めてまいります。
(1)当社が締結している技術供与契約
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相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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京セラドキュメントソリューションズ(株) |
日本 |
電子写真に関する特許実施権の許諾 |
2002年4月1日から 対象特許の満了日まで |
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ブラザー工業(株) |
日本 |
電子写真及びファクシミリに関する特許実施権の許諾 |
2009年6月27日から 対象特許の満了日まで |
(2)当社が締結している相互技術援助契約
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相手方の名称 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
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HP Inc. |
米国 |
バブルジェットプリンターに関する特許実施権の許諾 |
1993年2月19日から 対象特許の満了日まで |
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Xerox Corporation |
米国 |
ビジネスマシンに関する特許実施権の許諾 |
2001年3月30日から 対象特許の満了日まで |
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International Business |
米国 |
情報処理システム製品及びその製造装置に関する特許実施権の許諾 |
2005年12月15日から 対象特許の満了日まで |
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Eastman Kodak Company |
米国 |
電子写真及びイメージ・プロセス技術に関する特許実施権の許諾 |
2006年11月1日から 対象特許の満了日まで |
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セイコーエプソン(株) |
日本 |
情報関連機器に関する特許実施権の許諾 |
2008年8月22日から 対象特許の満了日まで |
(3)その他
当社は、2021年12月28日付で株式会社みずほ銀行及び株式会社三菱UFJ銀行にて、長期借入を行っております。
詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 注9 短期借入金及び長期
債務」に記載のとおりであります。
当社は創業当時より、業界をリードするコア製品を生み出す「コアコンピタンス技術(以下、コア技術)」と、技術蓄積のベースとなる「基盤要素技術」、さらには成長の中で蓄えられてきたキヤノンブランドを支える技術・ノウハウであり、商品化技術のベースとなる「価値創造基盤技術」を多様に組み合わせた「コアコンピタンスマネジメント」を展開して事業の多角化を行うと共に、事業の競争力を高めてきました。
研究開発における主要戦略としては、1.「基盤要素技術と価値創造基盤技術のさらなる強化」、2.「強いコア技術と基盤要素技術に基づく次なる事業の芽の創出」、及び3.「時代の要請に応じたイノベーション型の技術開発の強化」を掲げ、その取り組みを進めています。
1.では、価値創造基盤技術をさらに進化させることによって、現行事業の高効率化に貢献します。並行して現行事業がもつ幅広いコア技術のエッセンスを抽出し、基盤要素技術を深化させ、新規事業のコア技術に注入します。これにより、現行事業と新規事業の競争力の徹底強化を図ります。
2.では、例えば、インク・トナー材料の基礎となる材料技術を生かした新たな機能性材料、特徴ある材料を生かした装置を開発し、事業の芽につながる次世代技術の育成に取り組む等、技術多角化を通して、新事業領域の開拓につなげていきます。
3.では、DXやカーボンニュートラルなどのトレンドを捉え、企業価値の向上につながる技術開発を推進します。特に、多様なサービスの結合を可能とするサイバー(仮想)空間と人との接点であるフィジカル(現実)空間、これらを高度に融合するサイバー&フィジカルシステムに注目しています。フィジカル領域において世界トップレベルのコア技術に、アライアンスなども活用しながら高度なサイバー技術の拡張開発を進め、一歩先を行くサイバー&フィジカルのビジネスモデルと商品を開発し、さまざまなイノベーションを生み出していきます。
当期におけるグループ全体の研究開発費は、
Ⅰ.プリンティングビジネスユニット
オフィス向け複合機においては、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」のラインアップを強化しています。新開発の低融点トナーにより定着温度を下げたことで、業界トップレベル※1の標準消費電力量(TEC2018※2)を実現しており、加えて小サイズ紙の出力生産性向上や、さまざまな静音化の工夫により稼働音の低減を図るなど、複合機としての本質性能を向上させています。増加するセキュリティリスクに対しても、ネットワークに接続されるIoT機器として、データの保存や通信において強固な暗号化機能を提供する「TPM 2.0」や「TLS 1.3」、無線LANのセキュリティプロトコル「WPA3」といった最新規格に対応を行っています。加えて、「imageRUNNER ADVANCE DX シリーズ」はクラウド型MFP機能拡張プラットフォーム「uniFLOW Online」を介して、認証によるセキュアな印刷や集計レポート機能、さまざまなクラウドサービスとの連携や在宅勤務時でもオフィス同様のセキュリティを保って業務印刷が行える機能などを実現し、業務のさらなる効率化に寄与します。使いやすく高性能な複合機と多彩なデジタルサービスの組み合わせで、オフィス業務のデジタルトランスフォーメーションを強力にサポートします。
商業印刷向け大型複合機においては、定着ベルトの温度を均一に制御できる大径加熱ローラーと、用紙との接触面積が広いワイドニップを用いた新定着システム「POD-SURF」を開発し、「imagePRESS V1350」と「imagePRESS V1000」の2機種に搭載しました。「imagePRESS V1350」では、従来機種より35%向上した135枚/分のシリーズ最高の高速印刷を実現し、印刷物の短納期化に寄与します。「imagePRESS V1000」では、一冊の冊子で厚紙と普通紙が混在するような印刷でも用紙ごとに定着温度を切り替える頻度を抑制し、温度調整によるダウンタイムを削減しました。厚紙と普通紙で機器を分けずに、1台で高い生産性を維持した連続印刷が可能です。「imagePRESS V900」では、コンパクト設計でありながら、オプションユニットの拡張性と幅広い用紙対応力で多様な印刷が可能になりました。これまで上位機種でしか採用されていなかったオプションのインライン分光センサーで、高精度な色調整がボタン一つで実施可能になり、オペレーターの負荷軽減を実現します。ハードウェアだけでなく、リモート印刷管理アプリ「PRISMAremote Manager」を活用することで、印刷機から離れた場所でも用紙の補充タイミングや稼働状況をリアルタイムに把握可能です。用紙切れなどのエラーを事前に防止することで、ダウンタイムを削減し業務効率化を支援します。
プロダクションCAD市場向けの大判インクジェットプリンター「imagePROGRAF TZ-30000 MFP」は、業界初となる「ストップレスロール紙交換システム」を搭載しています。本体にセットされた上下2段のロール紙のうち、一方が印刷中でも、もう一方のロール紙交換が可能となり、ダウンタイムを削減します。また、ポスター市場向けの「imagePROGRAF GP-4000/GP-2000/GP-300/GP-200」は、業界初となる蛍光インクを搭載し、ポスター印刷での明度と彩度を向上させ、明るく柔らかな色表現が可能になりました。
家庭用インクジェットプリンター 「PIXUS XK500/XK110/TS8630/TS3530」は、仕事や趣味・学習などのさまざまなユースシーンに応える機能と使い勝手を向上させました。「XK500」の4.3型液晶タッチパネルは、素早く簡単に写真印刷ができるUI を採用しています。「XK110」のタッチパネルには、「標準モード」に加えて、「仕事」「学習」「ライフ」といったシーンごとに使う機能をまとめた「Switch UI」を新たに採用しました。また、「TS8630」には「かんたんモード」を採用し、よく使う機能の設定を簡素化することで、手軽にプリントやコピーが行えます。加えて、特大容量タンクを搭載した「G3370/G1330」では、低ランニングコストと新デザインによる使いやすさを実現します。
特大容量タンク搭載のビジネス向けインクジェットプリンター「GX5030/GX4030」は、低ランニングコストながら全色顔料インク採用で高画質を実現しました。窓付き封筒やポスター、ラベル用紙などの多様な用紙にも対応し、1台でさまざまな制作物を印刷できます。さらに「GX4030」は、「背面水平トレイ」をサポートし、厚手の用紙を曲げることなく給紙でき、ビジネスシーンで使用するさまざまな掲示物の印刷に対応しています。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、
※1 オフィス向けカラー複合機(A4片面、毎分70枚の出力速度)において。2021年7月5日現在。
オフィス向けモノクロ複合機(A4片面、毎分25-45枚の出力速度)において。2022年9月27日現在。(当社調べ)
※2 国際エネルギースタープログラムで定められた測定法による数値。
Ⅱ.イメージングビジネスユニット
レンズ交換式デジタルカメラ(デジタル一眼レフカメラ及びミラーレスカメラ)の世界市場において、2003年から19年連続で台数シェアNo.1※3を達成しました。これからも基本コンセプトである「快速・快適・高画質」を追求し続けることで、幅広い製品ラインアップを揃え、写真・映像文化の発展に貢献していきます。
「EOS Rシステム」では、さらなるラインアップ拡充として、「EOS R7」「EOS R10」を発売しました。APS-Cサイズのセンサーでありながら、上位機種である「EOS R3」のオートフォーカス被写体検出技術を継承するなど、静止画・動画撮影のあらゆる面で高い性能を備えています。
また、「RFレンズ」では、ミラーレスカメラ用の大口径超望遠レンズとして大幅な小型・軽量を実現した「RF800mm F5.6 L IS USM」「RF1200mm F8 L IS USM」や、APS-C 専用の「RF-Sレンズ」2機種など、6機種をラインアップに加え累計32本まで拡充しています。
ネットワークカメラでは、低照度性能、ワイドダイナミックレンジ、配信・圧縮性能を大幅に強化したラインアップに刷新しました。高度監視カメラでは、赤外撮影時の赤みを低減した自然な色調での撮影機能を開発し、ノイズを抑えた鮮鋭な画質で低照度環境での視認性を向上しています。映像解析ソフトウエアでは、独自のAIを利用して、指定した場所を通過する大人数のカウントが可能な「群衆通過カウント」を開発し、大型イベントでの人数推移の把握など、様々なシーンに応用できるようになりました。また、ネットワークカメラをAIカメラ化できる「AIアクセラレーター」と専用映像解析アプリケーションを開発しました。映像解析に必要な学習をしたディープラーニングモデルをmicroSDカード型のハードウェアに内蔵することで、AIカメラではない従来のネットワークカメラでもAIを使った複雑な映像解析が可能となります。
社会インフラ点検向けサービスとしては、橋梁やトンネルなどの画像からひび割れや漏水といった変状を検知するAIを開発してきましたが、2022年11月より、そのAI技術でひび割れ等を検知するクラウドサービスの提供を開始しました。これにより、高速道路や鉄道といったより多くの構造物の点検作業の高度化・効率化に貢献して参ります。
「CINEMA EOS SYSTEM」においては、デジタルシネマカメラ「EOS R5 C」は、自社開発のフルサイズCMOSセンサーと、映像エンジン「DIGIC X」の搭載により、8K/30P・RAW動画に加え、外部電源供給による8K/60P・RAW動画の内蔵記録を実現しました。また、デジタルシネマカメラの機能拡張ユニット「EU-V3」は、オンエア中の映像がどのカメラで撮影した映像かを認識できるようにするタリー機能や、オンエア中の映像をカメラマンが確認するためのリターン機能など、ライブ制作用のシステムカメラに求められる機能を使用可能とし、「EOS C500 Mark Ⅱ」と「EOS C300 Mark Ⅲ」のライブ制作における運用性を高めます。
業務用4Kビデオカメラにおいては、「XA60」と「XA75/70」はUSB接続で映像伝送を可能にする通信規格「UVC(USB Video Class)」に対応することで、昨今、普及が加速しているストリーミング配信にも活用用途を広げました。
映像制作用のリモートカメラシステムにおいては、パン、チルト機構とズーム機能を備えた「CR-N700」は業務用4Kビデオカメラ同等の映像プラットフォームを採用し、4K/60Pの高品位映像の撮影が可能です。また、キヤノン独自のIP「XCプロトコル」や映像制作現場にて広く普及する「NDIIHX」※4に加え、高品質・低遅延・安全な映像伝送を特長に、近年広く採用されている「SRTプロトコル」※5に対応し、リモートカメラシステムとしての拡張性、安全性を高めつつ、さまざまな機器との連携が可能です。 また、新たな映像制作手法であるバーチャルプロダクションにおいても活用できるよう「free-d プロトコル」※6にも対応し、高品質なVR/AR映像制作に貢献します。映像ソリューションにおいては「ボリュメトリックビデオシステム」(旧称:自由視点映像生成システム)で、撮影・映像生成技術の改良により画質の改善を進め、プロ野球、バスケットボール、柔道、競輪などのスポーツ放送に、実際のカメラ位置にとらわれない自由な視点からの映像を展開しました。3Dコンテンツの撮影から編集までをワンストップで実現した「ボリュメトリックビデオスタジオ-川崎」では、CMやミュージックビデオ、TV番組で実績を積み重ね、さらに虎ノ門ヒルズエリアにおける11社XRコンテンツ開発プロジェクトに参画しました。東京から世界に発信するためのクリエイティブエコシステムの構築を目指します。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、
※3 2022年3月現在。(当社調べ)
※4 NDIは、NewTek, Inc.の米国およびその他の国における商標または登録商標。
※5 Haivision社によって開発、オープンソース化され、SRTAllianceを通じてサポートされている映像伝送プロト
コル。「Secure Reliable Transport」の略。
※6 主にバーチャルスタジオシステムにおいてカメラのトラッキング情報伝達用に広く採用されているプロトコル。
Ⅲ.メディカルビジネスユニット
国産初のフォトンカウンティング検出器搭載型X線CT(以下PCCT)を開発し、国立がん研究センターに設置され、今後の実用化に向けた研究が開始されています。PCCTには、レドレン社の検出器材料を生産する結晶製造/加工技術を生かした、高品質な最新のモジュラー型フォトンカウンティング検出器が搭載されております。最新のモジュラー型にしたことで、検出器サイズの拡張や、製造、サービスコストの低減が可能となります。レドレン社の技術に、当社独自のAI画像再構成や解析技術などを融合した次世代のPCCTを実用化することで、CTグローバルシェアNo.1の早期実現を目指します。また、レドレン社のフォトンカウンティング検出器を全世界の医療機器メーカーに供給することで、画像診断技術の発展に寄与してまいります。
超音波診断装置では2022年度全国発明表彰において、「低速微細血流を映像化する超音波映像装置用信号処理法の発明:Superb Micro-vascular Imaging(SMI)(特許第6553140号)」が「経済産業大臣賞」および「発明実施功績賞」を受賞しました。
「Altivity」ブランドのもと、これまでAI技術の一つであるディープラーニングを画像再構成に適用した「AiCE」をはじめ、ヘルスケアITの分野においても「Automation Platform」のような読影業務の効率化を支援するシステムをAI技術の活用により実現してまいりました。また、AI技術を使ったがん診断領域における様々な診断支援ソリューションの開発も進めております。例えば、すい臓がんの発見に不可欠な膵管の抽出も、当社の高精細CT画像に独自のAI技術を適用することで、数ミリ程度と言われる細い膵管の抽出が可能となり、すい臓がんの早期発見、早期治療への貢献が期待されています。次のステップとして画像及び非画像を用いた診断支援システムへの展開を進めてまいります。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、
Ⅳ.インダストリアルビジネスユニット
半導体露光装置においては、新たなアフターサービスとしてソリューションプラットフォーム「Lithography Plus」を加え、装置のリアルタイム分析、異常時の自動復旧、最適な製造条件提案等、当社の露光装置を導入しているユーザーの生産性向上に貢献しています。また、「NILによる超微細半導体の省エネルギー加工技術」が、半導体製造時の消費電力削減に貢献し、今後のIoT(Internet of Things)社会の急速な拡大を支える技術として評価され、国立研究開発法人 国立環境研究所/日刊工業新聞社主催、環境省後援の第49回環境賞で優良賞を受賞いたしました。ポストSi半導体として他分野で注目される化合物半導体などのデバイス製造に対応し、半導体製造に必要な総コストの指標であるCoO(Cost of Ownership)を低減したi線ステッパー「FPA-3030i5a」により、多様な半導体デバイス製造を可能としました。これにより今後需要が見込まれる車載向けパワーデバイスや5G対応の通信デバイスなどの半導体デバイス製造に対応していきます。また、後工程向けi線ステッパー「FPA-5520iV LF2オプション」では、現行機種の基本性能を継承しつつ、繋ぎ露光による100×100mmの超広画角を実現しており、半導体業界に新しいパラダイムを生むと言われる先端パッケージングのニーズに応えています。
FPD露光装置においては、第8世代ガラス基板にて、高生産性と高精細化を両立したIT機器用ディスプレイ向け露光装置「MPAsp-H1003H」をラインアップに追加しました。第8世代ガラス基板向け露光装置に第6世代ガラス基板向け露光装置の超解像技術を採用することで、第8世代ガラス基板でも1.5マイクロメートルの解像力を実現しています。また、従来から定評のある高速ステージ技術の進化改良により生産性向上にも貢献しています。
真空分野においては、2021年度日本真空工業会表彰にて「EC7430誘電体成膜用スパッタリング装置製品化」が真空装置部門賞を受賞いたしました。
当ビジネスユニットに係る研究開発費は、
また、基礎研究等のその他及び全社に係る研究開発費は48,803百万円であります。
注:製品名は日本国内での名称です。