文中における将来に関する事項は、提出日現在(2023年3月31日)において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 会社の経営の基本方針
当社グループは、《日本電気硝子 企業理念体系》の下、世界一の特殊ガラスメーカーを目指し、材料設計、溶
融、成形、加工といった技術により様々な特性や機能を持つガラス製品を開発、生産し、市場に潤沢に供給するこ
とにより、社会のニーズに対応していくことを経営の基本においています。
同時に、時代に即したCSR(企業の社会的責任)の中から重点課題を設定し活動を推進することにより、企業
の社会的責務を果たしてまいりたいと考えています。これらの取り組みを通して、社会の発展に貢献するとともに
企業アイデンティティの発信にも努め、企業価値の向上と持続的成長を図ってまいります。
《日本電気硝子 企業理念体系》
わたくしたちは、“文明の産物”の創造を通して社会に貢献するという創業の精神を、企業理念の底流をなすも
のと位置付けています。
(企業理念)
「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな未来を切り拓きます。」
スローガン: GLASS FOR FUTURE
(目指すべき企業像)
「世界一の特殊ガラスメーカー」
(大切にしている価値観)
|
・お得意先第一 |
お得意先のご要望を理解し、そのご要望にどこまでもお応えすること。 |
|
・達成への執念 |
執念をもって、課題を為し遂げること。 |
|
・自由闊達 |
前例にとらわれない自由な発想と、部門や世代にとらわれない自由な発言を尊重すること。 |
|
・高い倫理観 |
いかなる局面においても、常に高い倫理観を持って誠実に行動すること。 |
|
・自然との共生 |
自然と共存することを常に意識し、環境負荷の低減に努めること。 |
(2) 目標とする経営指標
将来に亘る事業の存続と発展を期するためには、継続的な研究開発と成長投資並びにこれらの活動を支える売
上と利益が不可欠であると考えています。このため、当社グループでは、売上高、営業利益、営業利益率を重要
な経営指標と位置付け、中期経営計画において目標値を設定しています。
(3) 経営環境、中長期的な会社の経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
<経営環境>
○事業内容
当社グループは、電子・情報の分野におけるガラスをはじめとする特殊ガラス製品及びガラス製造機械類の
製造、販売を行っています。「電子・情報」の分野においては、薄型パネルディスプレイ用ガラス、化学強化
専用ガラス、光関連ガラス及び電子デバイス用ガラスの製造、販売等を行っています。「機能材料・その他」
の分野においては、ガラスファイバ、建築用ガラス、耐熱ガラス、照明用ガラス、医療用ガラス及びガラス製
造機械類の製造、販売等を行っています。
主要製品は以下のとおりです。
|
区 分 |
製 品 分 類 |
主 要 製 品 名 |
|
電子・情報 |
薄型パネルディスプレイ(FPD)用 ガラス |
液晶ディスプレイ(LCD)用ガラス 有機EL(OLED)ディスプレイ用ガラス |
|
化学強化専用ガラス |
化学強化専用ガラス<Dinorex> |
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光関連ガラス |
光通信デバイス用キャピラリー・フェルール 光通信デバイス用レンズ部品 マイクロプリズム |
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電子デバイス用ガラス |
機能性粉末ガラス イメージセンサ用板ガラス 小型電子部品用管ガラス 蛍光体ガラス<ルミファス> |
|
|
機能材料・ その他 |
ガラスファイバ |
機能樹脂強化用チョップドストランド 建築材料用ウェットチョップドストランド 樹脂強化用ロービング 自動車用チョップドストランドマット セメント強化用耐アルカリ性ガラスファイバ |
|
建築用ガラス |
ガラスブロック 結晶化ガラス建材<ネオパリエ> 防火設備用ガラス<ファイアライト> 超薄板ガラス-樹脂 積層体<Lamion> 超低反射膜付ガラス<見えないガラス> |
|
|
耐熱ガラス |
超耐熱結晶化ガラス<ネオセラム> 調理器トッププレート用超耐熱結晶化ガラス <StellaShine> |
|
|
照明用ガラス |
|
|
|
医療用ガラス |
医薬用管ガラス 放射線遮へい用ガラス<LXプレミアム> |
|
|
ガラス製造機械 |
|
○当連結会計年度の経営環境
コロナ禍の下、各国において社会経済活動の正常化は進展したものの、インフレーションの進行や供給の制
約等が世界経済に影響を及ぼし、国内においても急激な円安の進行とも相まって物価上昇を招くなど、予断を
許さない状況が続きました。
このような中、当連結会計年度においては、売上高は前連結会計年度を上回りました。損益面においては、
営業利益及び経常利益は前連結会計年度を下回り、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度を上回
る実績となりました。
<当社グループの経営戦略>
○ビジネスモデル
ガラスは、元素の組み合わせや製造方法により多種多様な機能と形状を可能にする素材です。長年育んでき
た広範なガラスの技術と独自の発想を掛け合わせ、社会が求める様々な高機能ガラス製品を提供しています。
この「モノづくり」(※)のための「創造力」、「技術力」、「人材力」、「組織力」こそが当社グループの
強みです。
「電子・情報」の分野ではFPD用ガラス、光関連・電子デバイス用ガラスなどのビジネスを、また、「機
能材料・その他」の分野ではガラスファイバ、医薬用管ガラス、耐熱ガラス、建築用ガラスなどのビジネスを
展開し、バランスの取れた事業ポートフォリオを構築していきます。
|
創造力 |
「板」、「管」、「球」、「繊維」、「粉末」、「成形品」、薄膜・樹脂・金属等との「ハイブリッド製品」といった多種多様な形状と機能を持つガラスで新しい価値を創出しています。 |
|
技術力 |
基礎研究として、材料設計・評価、プロセス設計・開発、製品化研究を行うとともに、計算科学(AI等を活用したデータ解析を含む)を用いた研究を行っています。これらに、精密成形・加工、超薄板成形等の応用研究を組み合わせ、新製品を開発しています。 |
|
人材力 |
多角的なスキルアップを推進するための人材育成プログラムにより、“あらゆるステージで世界一のパフォーマンスを発揮できる人材”を育成しています。 |
|
組織力 |
研究開発部門、プロセス開発部門、事業本部の一体的な開発体制と企業戦略、マーケティング部門の支援により、シーズ・ニーズにスピーディに対応しています。 |
※当社グループが目指す「モノづくり」
社会のニーズに応えるべく、最先端の技術をベースに研究開発を推進し、優れた製品を生み出し、最高
水準の品質と高効率の生産により、潤沢に市場に製品を供給する。再び、市場からの声を研究開発に活か
す。こうした循環を当社グループが目指すべき「モノづくり」と考えています。
○展開する市場分野
|
自動車 |
:軽量化材料、照明、ディスプレイ、自動運転(カメラ・センサ等)、各種電子機器 |
|
エネルギー |
:二次電池、再生可能エネルギーシステム |
|
医療 |
:先進医薬容器、先端医療機器・設備 |
|
半導体 |
:次世代半導体材料(小型高精細・高機能)、半導体製造プロセス |
|
ディスプレイ |
:高機能ディスプレイ(高精細・薄型軽量・フレキシブル) |
|
情報通信 |
:光通信デバイス(次世代高速通信対応) |
|
社会インフラ |
:高機能防火設備、高性能構造材料(安全・耐久・軽量) |
|
家電・住設 |
:高機能家電・住設材料、多機能壁材 |
<中期経営計画「EGP2026」>
当社グループは、現在、2022年度から2026年度までの5か年を対象期間とする中期経営計画「EGP202
6」に取り組んでいます。
(スローガン)
“STRONG GROWTH” ~ 自らが変化し、スピードをあげて、やり遂げよう
(基本方針)
企業体質をより強くし、世界一環境に優しいガラスづくりを通して、
「世界一の特殊ガラスメーカー」を目指す。
(経営目標)
売上高 4,000億円(電子・情報2,100億円、機能材料・その他1,900億円)
営業利益 450億円
営業利益率 11%
目標達成年度 2026年度
各事業分野において、成長に向けた戦略を着実に実行し、目標を達成する。
(成長に向けての重点施策)
①事業基盤の強化
・強固なサプライチェーンの構築
・工場の強健化
・基礎的研究開発の継続
②機動的な投資
・マーケットの成長やカスタマーニーズに応じた迅速な投資
・DXの推進とスマートファクトリーの実現
・M&Aの積極的な取り組み
③新事業の推進
・全固体ナトリウムイオン二次電池など新製品の事業化
・半導体分野における基板ガラス、カバーガラス、LTCC材料事業の拡大
・他社との協業、提携等の積極的な活用
④カーボンニュートラルの推進
・全プロセスの電化を進め、競争力向上との両立を目指す
・再生可能エネルギーへの投資と調達
・CO₂フリーエネルギー(水素等)の技術開発
⑤人材戦略
・高度な知識や技術を持つ人材の採用と育成
・多様な人材の登用
・働きやすく、働きがいのある職場の整備
(財務方針)
・営業利益率は10%超に
・強固なバランスシートの維持
・総資産のスリム化による資産効率の向上
・キャッシュ・フローを見据えた経営
(利益還元方針)
・安定配当の継続(株主資本配当率(DOE)2%以上を維持)
・業績、財務状況等を踏まえた配当の拡充
・自己株式の弾力的な取得
<サステナビリティへの取り組み>
当社グループは、かねてより企業理念体系を基本に、企業価値の向上と持続可能な社会の実現を目的として、
「環境」、「多様性」、「地域」の3つをCSR(企業の社会的責任)の重点課題に掲げ、「環境」は環境保
全、「多様性」は人的資本、「地域」は地域貢献を主要テーマとし、各担当部門が機動的かつ主体的に取り組ん
できました。
近年、気候変動、人的資本、人権への対応等、企業の持続的成長のための課題が増加し、企業活動を通した社
会課題解決や情報開示の充実といった社会的要請も強まってきています。このため、CSRの方向性や活動内容
等について包括的に議論し、経営陣に提言し、機動的に活動を展開するとともに、より適切な情報開示につなげ
ていくための組織横断的な仕組みとして、2023年1月にCSR委員会を設置しました。
CSR委員会では、CSRの3つの重点課題を軸として、ESGやSDGs等広くサステナビリティに関連す
る課題についても取り組み、当社グループの企業価値を高めるとともに、社会の持続可能な発展に貢献してまい
ります。
CSR委員会には、各重点課題の取り組みの実効性を高めるため、「環境チーム」、「多様性チーム」、「地
域貢献チーム」の3つのワーキングチームを設置しています。
(CSRの推進体制)
(環境の取り組み)
気候変動への対応が地球規模の重要課題となる中、今後も持続可能なモノづくりを追求するとともに、気候
変動に的確に対応するため、2022年2月に2030年におけるCO2排出量削減目標(Scope1+2)と2050年
までのカーボンニュートラル達成を公表し、全電気溶融設備の水平展開や省エネ設備への切り換え、再生可能
エネルギーへの投資等、野心的な施策を推進しています。また、Scope3についても排出量算定のための
仕組み作りなど、情報開示の充実に向けた取り組みを進めています。
2021年11月に気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial
Disclosures:TCFD)の提言への賛同を表明し、気候変動が当社グループの事業にもたらすリスクと機会
を分析し、財務面への影響とその対応を検討してきました。今後も継続的に分析を行い、情報開示の充実を図
るとともに、カーボンニュートラル実行計画を着実に遂行していきます。
TCFD提言に基づく開示については、以下の当社ウェブサイトに掲載しています。
URL:https://www.neg.co.jp/csr/environment/tcfd/
(多様性の取り組み)
当社グループでは、性別、人種、障害の有無を問わず多様な人材による総合力が企業成長の原動力であると
考え、各々が健康で安全に働ける職場環境の整備や人材育成に努めています。
女性活躍については、管理職を含む女性リーダーの育成に注力しているほか、“プラチナくるみん”(子育
て支援優良企業)認定を取得し、女性従業員の活躍を後押ししています。また、優秀な海外人材をグループ経
営に参画させるため、2023年の新執行体制において初めて海外拠点の外国人従業員を執行役員に登用しまし
た。増加する国内拠点の外国人従業員に対しては、メンター制度や日本語教育等によりコミュニケーション支
援を行っています。障害者雇用では、法定雇用率(2.3%)を大きく上回る雇用率を継続しています(4.28%:
2022年12月31日現在)。
また、事業活動を行う上で人権尊重は不可欠であり、企業行動憲章と企業行動規範に人権尊重を掲げていま
す。グローバルなビジネスを念頭に、各国法令や国際規範を踏まえ、グループやサプライチェーン上で問題が
生じないようリスクの把握と低減に努めています。
(地域貢献の取り組み)
永続的な事業活動には地域との融和が不可欠であり、地元人材への教育支援や地域活動への積極的な参画、
地域社会に対する支援を中心に地域貢献に取り組んでいます。
教育支援では、滋賀県立大学や京都大学における寄附講座、滋賀県小学5年生対象の「びわ湖フローティン
グスクール事業」への支援、大津市科学館での小中学生対象の出前授業等を行っています。地域活動では近隣
の清掃や植栽、納涼祭等のイベント開催を、また地域社会への支援では滋賀県内の子ども食堂に対する書籍寄
附等を実施しています。海外拠点においても、各国、各地域の文化や風習に即した地域貢献活動を展開してい
ます。今後も、地域のニーズを踏まえ活動していくことで、当社グループの企業価値向上につなげていきま
す。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在(2023年3月31日)において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものです。
(1) 発生の可能性(中)、影響度(大)
① 資材等の調達に関するリスク
当社グループの生産活動においては、調達先との良好な関係を維持するとともに、調達先の開拓や複数化、汎用品への転換等に努めていますが、原燃料、資材について供給の逼迫や遅延、価格の高騰、また、物流費の高騰等が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 自然災害、事故災害、感染症に関するリスク
当社グループは、BCP(事業継続計画)の推進や耐震建築・防災活動・製造拠点の分散などにより災害等のリスクの軽減に努めていますが、当社グループ及び当社グループの構築するサプライチェーンにおいて、地震、台風、大雨等の自然災害、火災、停電等の事故災害や感染症が発生した場合、設備等の損壊、電力、ガス、水の供給困難や感染症の流行による従業員の自宅待機、原燃料、資材の調達困難等により、一部又は全部の操業が中断し、生産及び出荷が遅延する可能性があります。また、損害を被った設備等の修復や、その他生産及び出荷の回復のために多額の費用が発生し、結果として、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 発生の可能性(中)、影響度(中)
① 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業の過程で顧客又はその他団体や個人(従業員を含む。)に関する機密的な情報を入手することがあります。これらの情報の管理には細心の注意を払っており、情報管理委員会等を設置し、情報の漏洩が生じないようにセキュリティシステムの活用や従業員の情報管理意識の向上及び知識の習得を目的とした社内研修実施等の対策を講じていますが、これらの情報が外部に漏洩する可能性は否定できません。また、ウイルス感染やサイバー攻撃等により、情報システムが使用できなくなり、事業活動が中断する可能性があります。
情報が外部に漏洩した場合には、被害を受けた者から損害賠償請求を受ける可能性及び当社グループの企業イメージが損なわれる可能性があります。また、情報漏洩や情報システムの停止により事業活動が中断した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 需要及び市場構造の急変に関するリスク
当社グループの主要事業分野である電子・情報分野においては、技術革新によってデバイスや部品、材料の転換が急速に進む可能性があります。当社は、広範かつ高度な特殊ガラス技術の蓄積を背景に研究開発を促進するとともに積極的な営業展開により、新規のニーズへの対応に努めていますが、新規のデバイス等への転換によって既存製品の需要が急激に縮小に転じ、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、需給バランスの悪化、競合他社との競争の激化等により製品価格又は供給量が大幅に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
③ 設備投資に関するリスク
当社グループでは、特殊ガラス製品を製造していますが、これらの生産設備の新設には多額の資金と相当の期間を要します。また、既設の設備についても生産性改善等のために継続的な改良や定期的な大規模修繕が必要です。
当社グループでは、適時かつ適切な生産設備の新設、継続的な改良や定期的な大規模修繕に努めていますが、需要予測に大きな変化が生じた場合、生産性等所期の設備能力が得られなかった場合、あるいは主要設備部材の価格が市況により急激に変動した場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
④ 環境に関するリスク
当社グループは、資源とエネルギーを大量に使用する環境負荷の高いガラス事業を主に行っています。そのため、環境に配慮した製品のさらなる開発を行うほか、環境への影響を低減するための設備や管理体制の充実を図る一方、生産効率すなわち資源やエネルギーの原単位向上や3R(Reduce、Reuse、Recycle)の推進などの環境負荷低減に取り組んでいます。また、炭素税やエネルギーコストの増加等が重大なリスクとの認識のもと、カーボンニュートラルに向けたCO2排出削減の取り組みを強化し、TCFD提言に基づく開示に取り組んでいますが、今後環境に関する規制や社会が求める環境責任が厳しくなることにより、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 発生の可能性(中)、影響度(小)
① 法的規制等に関するリスク
当社グループが事業を行っている国及び地域では、投資に関する許認可や輸出入規制のほか、商取引、独占禁止、製造物責任、環境、労務、特許、租税、為替等の各種関係法令の適用を受けています。当社グループは、こうした法令及び規制の遵守はもとより、法令改正の動向調査を行うとともに、定期的な社内教育や監査等も実施しながら公正な企業活動に努めていますが、万一法令・規制違反を理由とする訴訟や法的手続きにおいて、当社グループにとって不利な結果が生じた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
② 為替及び金利等の変動リスク
当社グループでは、世界の市場を対象に事業活動が行われているため、為替予約などにより為替相場の変動に伴うリスクの軽減に努めていますが、当社グループの業績及び財務状況は、為替相場の変動によって影響を受けます。
また、財務の健全性維持のための有利子負債の適切な管理や借入金の金利変動リスク回避を目的とする金利スワップ取引を行うことがありますが、金利情勢の変動が当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 発生の可能性(低)、影響度(大)
① 一部製品の販売に関するリスク
当社グループでは、売上の安定を図るため顧客の多様化に努めていますが、一部製品の販売については特定の主要顧客に依存しており、このような製品については、当該顧客の投資・販売計画及び資材調達の方針等が当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 発生の可能性(低)、影響度(中)
① 海外活動に伴うリスク
当社グループの事業活動は、世界の市場を対象に行われています。これら海外における事業活動には以下に掲げるようなリスクが内在しています。当社グループは、現地の当局や在外連結子会社と緊密なコミュニケーションをとるとともに各国の情勢に詳しい専門家の助言を得ることなどによりリスクの軽減を図っています。
・予期しない法令又は規制の変更
・移転価格税制等の国際税務リスク
・特有の取引慣行
・政治及び社会情勢の変化
・テロ、戦争、感染症、その他の要因による社会的混乱
② 人材の確保及び労務関連のリスク
当社グループは、人材戦略を事業活動における重要課題の一つとして捉えており、今後の事業展開には適切な人材の確保・育成が必要と認識しています。当社グループは、多様な人材の積極的な採用や育成、自動化などによる省力を通じて最適かつ効率的な人材の確保に努めていますが、適切な人材を十分に確保できなかった場合、当社グループの事業遂行に制約を受け、又は機会損失が生じるなど当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループは法令に基づく適正な労務管理などにより、労務関連のリスクの低減に取り組んでいますが、労務関連の各種コンプライアンス違反(雇用問題、ハラスメント、人権侵害等)が発生した場合、当社グループの企業イメージ低下や争訟の発生等、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。
③ 知的財産権に関するリスク
当社グループでは、競争力における優位性を確保するため、現在の事業活動及び将来の事業展開に有用な知的財産権取得に努める一方、他社の知的財産権の調査や監視を行い、必要に応じて代替技術の開発や他社の知的財産権の譲り受け又はライセンス取得により、問題発生の防止を図っていますが、当社グループが知的財産権に関連する争訟に巻き込まれた場合、当社グループの事業、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(2022年1月1日~2022年12月31日)における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状
態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末(2022年12月31日)における資産合計は、前連結会計年度末(2021年12月31日)と比較して497億78百万円増加し、7,479億7百万円となりました。当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して206億8百万円増加し、2,189億95百万円となりました。当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して291億69百万円増加し、5,289億12百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、売上高3,246億34百万円(前連結会計年度比11.2%増)、営業利益261億84百万円(同20.1%減)、経常利益340億58百万円(同24.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益281億67百万円(同0.9%増)となりました。
部門別の経営成績は次のとおりです。
「電子・情報」の分野は、売上高1,487億64百万円(前連結会計年度比3.7%減)となりました。「機能材料・その他」の分野は、売上高1,758億70百万円(同27.9%増)となりました。
なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比べて278億60百万円減少し、1,068億62百万円となりました。
営業活動によって得られた資金は315億63百万円(前連結会計年度比383億17百万円の収入減)となりました。
投資活動に使用した資金は571億55百万円(同254億円の支出増)となりました。
財務活動に使用した資金は58億74百万円(同233億4百万円の支出減)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)における生産実績をセグメントごとに示す
と、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ガラス事業 |
346,893 |
121.1 |
|
合計 |
346,893 |
121.1 |
(注)生産金額は、平均販売価額により算出したものです。
b.受注実績
基本的に見込み生産を行っています。なお、当連結会計年度において特記すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)における販売実績をセグメントごとに示す
と、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
ガラス事業 |
324,634 |
111.2 |
|
合計 |
324,634 |
111.2 |
(注)最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり
です。
前連結会計年度(自 2021年1月1日 至 2021年12月31日)
|
相手先 |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
LGディスプレイ㈱ |
41,898 |
14.3 |
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、いずれの相手先も当該割
合が100分の10未満のため記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、提出日現在(2023年3月31日)において判断したものです。
①財政状態及び経営成績に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
|
|
前連結会計年度末 (百万円) |
当連結会計年度末 (百万円) |
増減 (百万円) |
|
総資産 |
698,129 |
747,907 |
49,778 |
|
負債 |
198,386 |
218,995 |
20,608 |
|
純資産 |
499,742 |
528,912 |
29,169 |
(総資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して497億78百万円増加し、7,479億7百万円
となりました。流動資産では、期末に向けて出荷が減少したこと等により、商品及び製品が増加しました。ま
た、価格の高騰やサプライチェーンの混乱に備えた調達により、原材料及び貯蔵品が増加しました。固定資産で
は、減価償却が進んだ一方で、設備投資や円安による外貨建て資産の円換算額の増加等により有形固定資産が増
加しました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して206億8百万円増加し、2,189億95百万円
となりました。流動負債では、原材料等の仕入高の増加により支払手形及び買掛金が、また、返済期限が1年以
内の長期借入金を振り替えたことにより短期借入金がそれぞれ増加しました。一方、社債を償還しました。
固定負債では、海外子会社において設備投資のための借入を行い、また当社初となるグリーンローンによる資
金調達を行ったこと等から、長期借入金が増加しました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比較して291億69百万円増加し、5,289億12百万
円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益を計上したこと等により利益剰余金が増加しました。また、
主要な通貨において円安に振れたことから、為替換算調整勘定が増加しました。
b.経営成績
(当連結会計年度の経営成績)
|
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (%) |
|
売上高 |
292,033 |
324,634 |
11.2 |
|
営業利益 |
32,779 |
26,184 |
△20.1 |
|
(営業利益率) |
(11.2%) |
(8.1%) |
- |
|
経常利益 |
44,979 |
34,058 |
△24.3 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
27,904 |
28,167 |
0.9 |
(部門別の経営成績)
|
区分 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減 |
|||
|
金額 (百万円) |
構成比 (%) |
金額 (百万円) |
構成比 (%) |
金額 (百万円) |
比率 (%) |
|
|
電子・情報 |
154,556 |
52.9 |
148,764 |
45.8 |
△5,792 |
△3.7 |
|
機能材料・その他 |
137,476 |
47.1 |
175,870 |
54.2 |
38,393 |
27.9 |
|
合計 |
292,033 |
100.0 |
324,634 |
100.0 |
32,601 |
11.2 |
2022年度(当連結会計年度)は、中期経営計画「EGP2026」の計画初年度です。
当連結会計年度においては、世界的にサプライチェーンが混乱しましたが、早期の調達や調達先の拡大等に取
り組んだことで、生産活動や製品出荷、設備投資に大きな影響を与えることなく事業を遂行してまいりました。
また、各事業分野において将来を見据えた戦略を着実に実行し、目標の達成に向けて歩みを進めることができま
した。
FPD用ガラス事業では、中国での事業基盤強化のため、中国厦門の生産拠点において新たに加工設備の投資
を行い、第10.5世代サイズの溶融・成形から加工までの一貫生産体制を構築しました。ガラス繊維事業では、マ
レーシアにおいて設備投資を行い、今後も成長が見込まれる自動車関連市場におけるコスト競争力向上とグロー
バル供給体制強化を図ってきました。光関連・電子デバイス用ガラス事業では、半導体分野等において拡販や新
製品の事業化を進めました。医薬用管ガラス事業では、将来の需要を見据えマレーシアで生産能力増強のための
投資を行いました。
一方、研究開発の取り組みにおいては、全固体ナトリウムイオン二次電池の開発が進展したほか、無色透明ガ
ラスとして世界一高い屈折率を持つガラスを開発し、宝飾ガラスinfiora®の事業を開始しました。
今後も世界経済は不確実性が高く将来の予測が困難な状況が続くものと思われますが、当社グループとして
は、中期経営計画のスローガンを旗印に、“自らが変化し、スピードをあげて”事業に邁進していくことで「E
GP2026」の経営目標を達成してまいります。
部門別の状況は次のとおりです。
「電子・情報」分野では、FPD用ガラスは、第2四半期以降得意先の生産調整の影響を受け、売上は前連結
会計年度を下回りました。電子デバイス用ガラスは、半導体やイメージセンサ向けを中心に需要が堅調に推移
し、売上は前連結会計年度を上回りました。これらの結果、電子・情報の売上は前連結会計年度比で減少しまし
た。
「機能材料・その他」分野では、ガラスファイバは、第3四半期に入り自動車部品向け高機能樹脂用途を中心
に需要が弱くなりましたが、円安に加え、製品価格の改定、物流やエネルギーコストに係るサーチャージが売上
を下支えしました。医薬用管ガラスや耐熱ガラスは、第4四半期に需要が軟化したものの、円安等が売上に寄与
しました。これらの結果、機能材料・その他の売上は前連結会計年度を上回りました。
これらにより、売上高は3,246億34百万円(前連結会計年度比11.2%増)となりました。
損益面では、原燃料価格や物流費の高騰、円安の進行等によりコストが上昇する中、費用削減や生産性改善等
の取り組みを強化し、製品価格の改定や各種サーチャージによるコストの回収に努めました。しかしながら、F
PD用ガラスを中心とした稼働率低下による原価高が大きく影響し、営業利益は261億84百万円(同20.1%減)
となりました。この結果、売上高営業利益率は8.1%と前連結会計年度と比べ、3.1ポイント下がりました。
また、営業利益の減少に加えて、営業外収益において海外子会社の借入に係る債権債務の評価替えによる為替
差益が前連結会計年度に比べ減少したこと等により、経常利益は340億58百万円(同24.3%減)となりました。
特別損益については、前連結会計年度は、2020年に発生した国内事業場の停電等に関して多額の特別損失を計
上したため58億40百万円の損失となった一方、当連結会計年度は、上記停電に係る受取保険金を特別利益に計上
したこと等により54億59百万円の利益となりました。
これらの結果、税金等調整前当期純利益は395億17百万円(同1.0%増)となりました。また、法人税、住民税
及び事業税は81億11百万円を、法人税等調整額は29億10百万円を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は
281億67百万円(同0.9%増)となりました。
なお、1株当たり当期純利益は302円76銭(同4.0%増)となりました。
(2023年2月3日公表の2023年度の業績予想)
|
|
第2四半期(累計) |
通期 |
EGP2026目標値 |
|
売上高 |
1,600億円 |
3,400億円 |
4,000億円 |
|
営業利益 |
30億円 |
100億円 |
450億円 |
|
(営業利益率) |
(1.9%) |
(2.9%) |
(11%) |
|
経常利益 |
30億円 |
100億円 |
- |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
20億円 |
80億円 |
- |
2023年度については、世界経済は、インフレーションの加速や地政学リスクによる影響など先行き不透明な状
況が続くものの緩やかに持ち直すと見込んでいます。
「電子・情報」分野においては、FPD用ガラスは、中国市場を中心に緩やかな回復が期待されるものの、年
前半は得意先の生産調整の影響を大きく受けるものと見込んでいます。電子デバイス用ガラスは、半導体や自動
車等の注力市場において拡販と開発品の事業化を推進していきます。
「機能材料・その他」分野においては、ガラスファイバは、自動車関連市場向けを中心に需要が徐々に回復す
るものと予想しています。医薬用管ガラスは、年後半には需要が回復する見込みです。耐熱ガラスは、需要が一
巡するものの、底堅い売上を見込んでいます。
損益面では、原燃料価格のさらなる高騰や稼働調整等が利益を圧迫する見込みです。引き続き、費用削減や生
産性改善、需要動向に対応した稼働に取り組むとともに、製品価格の改定やサーチャージによるコスト回収を進
めることで利益の確保に努めてまいります。一方、新製品や新たな製造プロセスの開発など将来を見据えた成長
投資は、手を緩めることなく着実に進めてまいります。
当社グループでは、2022年度から5か年の新中期経営計画「EGP2026」をスタートしています。
初回の「EGP2018」では「企業理念の浸透」、「事業の拡大」、「積極的なM&A」に、2回目の「E
GP2021」では「事業基盤の強化」、「プロセス技術の革新」、「研究開発の推進」に取り組んできまし
た。これらの結果、2015年度と2021年度を比較すると、事業規模の拡大だけでなく、事業ポートフォリオを大き
く改善することができました。
「EGP2026」では、目指すべき企業像である“世界一の特殊ガラスメーカー”の実現に向けて、「既存
事業の持続的な成長」、「戦略事業の立ち上げ」、「カーボンニュートラルの推進」に全社を挙げて取り組んで
まいります。「EGP2026」については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課
題等(3)経営環境、中長期的な会社の経営戦略、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題 <中期経営計
画「EGP2026」>をご覧ください。
なお、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に
記載しています。
〔中期経営計画の変遷〕
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況
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|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (百万円) |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
69,881 |
31,563 |
△38,317 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△31,754 |
△57,155 |
△25,400 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△29,178 |
△5,874 |
23,304 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
134,723 |
106,862 |
△27,860 |
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度並みに推移しました。一方、販売の減速や原材
料及び貯蔵品の増加により棚卸資産が増加するとともに、法人税等の支払いが増加したこと等により、営業活動
によって得られた資金は315億63百万円(前連結会計年度比383億17百万円の収入減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主としてFPD用ガラス及びガラスファイバ設備の取得により、投資活動に使用した資金は571億55百万円
(同254億円の支出増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
株主への配当金の支払い及び社債の償還があったものの、新たにグリーンローンによる資金調達を行ったこと
から、財務活動によって使用した資金は58億74百万円(同233億4百万円の支出減)となりました。
上記に、現金及び現金同等物に係る換算差額36億5百万円を合わせ、当連結会計年度末の現金及び現金同等物
の残高は、前連結会計年度末と比べ278億60百万円減少し、1,068億62百万円となりました。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループは、事業環境の変化に耐えうる強固な財務基盤を目指すとともに、経営全般のさらなる効率化を
追求するべく、キャッシュ・フロー重視、資産効率重視(金融資産・棚卸資産の圧縮、設備の生産性向上と集
約)、財務の健全性を財務方針に掲げています。
設備投資に関しては、設備の更新やガラス溶融炉の定期修繕のほか、マーケットの成長やカスタマーニーズに
応じた投資を行うとともに、工場の強健化やカーボンニュートラルの実現に向けた投資を実行してまいります。
研究開発に関しても、会社の成長基盤となる基礎的研究開発を継続的に行うとともに、成長分野への事業展開を
見据えた製品開発を進めてまいります。
当社グループの所要資金は、主として設備資金及び運転資金であり、これらを自己資金、借入金及び社債の発
行等で賄っています。また、グループファイナンスを活用することで手許資金の活用を図っています。一方、当
社グループは機動的な資金調達を行うため、国内金融機関と総額250億円のコミットメントライン契約を締結して
います。当社としましては、主要な取引先金融機関と良好な取引関係を維持していることに加えて、日本格付研
究所の格付は「シングルAプラス」となっていることから、安定的に資金調達ができるものと認識しています。
なお、当社は、2022年11月、グリーンファイナンス・フレームワークを策定し、当社初となるグリーンローン
により、国内金融機関5社から総額100億円の資金調達を実施しました。本フレームワークは、株式会社日本格付
研究所(JCR)からグリーンボンド原則・ガイドライン及びグリーンローン原則・ガイドラインへの適合性に
ついて最上位である「Green1(F)」の評価を得ています。
今後も、健全な財務基盤の下、事業環境の変化する中においても安定した事業運営が行えるよう努めてまいり
ます。
③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
将来に亘る事業の存続と発展を期するためには、継続的な研究開発と成長投資、並びにこれらの活動を支える売上と利益が不可欠であると考えます。このため、当社グループでは、売上高、営業利益、営業利益率を重要な指標と位置付けています。
2022年2月2日に公表しました中期経営計画「EGP2026」においても、これらを経営目標として掲げ、確実に達成してまいります。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。当社グループの連結財務諸表で採用する会計方針や、連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債及び収益費用の報告金額に影響を及ぼす見積りのうち、下記のものが特に重要なものと判断しています。
・繰延税金資産の回収可能性
当社グループでは、繰延税金資産を計上するにあたり、繰延税金資産の回収可能性について、納税主体ごとに将来減算一時差異の解消スケジュール、将来課税所得及びタックスプランニング等に基づき判断しています。将来課税所得の見積りは、経営者によって作成された事業計画を基礎としています。
課税所得の発生状況は、将来の不確実な経済状況の変動によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した金額が見積りと異なった場合、繰延税金資産の回収可能性に影響を与える可能性があります。
該当事項はありません。
当社グループ(当社及び連結子会社)は、「ガラスの持つ無限の可能性を引き出し、モノづくりを通して、豊かな
未来を切り拓きます。」という企業理念を実現することを目的に研究開発活動に取り組んでいます。また、製品、技
術、製造プロセスの一体的な開発体制構築により製品開発と事業化のスピードアップを目指し、その成果を当社の中
長期の成長のための経営戦略に反映させていきます。
当社の研究開発活動は、「基礎・応用開発」と「事業部門開発」から成っています。
「基礎・応用開発」は、研究開発と戦略的開発で構成されます。研究開発は、主としてスタッフ機能部門(研究開
発本部、プロセス技術本部)が担当しています。科学的なアプローチに基づき、材料設計、材料開発、特性評価、プ
ロセス設計や開発における研究開発をライン部門(各事業部)と密接に連携をとりながら行っています。また、計算
科学(AI等を活用したデータ解析を含む)を用いた研究開発にも取り組んでいます。戦略的開発については、スタ
ッフ機能部門とライン部門が、事業戦略に基づく中期的開発課題について密接に連携し取り組んでいます。
ガラス研究のベースとなる材料科学については基盤技術部が国内外機関との連携のもとに取り組み、また、情報解析
や企画立案については企業戦略部が支援しています。さらに、研究開発の成果をより早く、より大きく事業化するた
め、2022年1月にマーケティング部を新設し、会社全般にわたるマーケティング活動として、市場、製品、技術に係
る情報の収集や分析、製品や技術のプロモーション、顧客獲得のための情報発信等を行っています。一方、「事業部
門開発」は、主としてライン部門が担当し、各事業分野の発展につながる製品及び製造プロセス技術の研究開発を、
スタッフ機能部門と密接に連携をとりながら行っています。
当連結会計年度における当社グループの研究開発費は
なお、当社グループのセグメントは、ガラス事業単一です。
「基礎・応用開発」
研究開発では、材料設計、製造プロセス技術、評価技術といったコア技術の開発・改良、コア技術をベースにガラスの特徴を最大限に活かし、より高い機能を引き出す製品設計とプロセス設計、中長期に亘り社会や産業界のニーズに応える次世代ガラスによる新製品の創出を主たる目的とし、以下のような取り組みを行っています。
○コア技術の開発・改良:ガラスの基礎物性や新プロセスの研究に基づく材料設計、シミュレーション研究や溶融清澄研究などによる製造プロセス技術、高度な分析・測定・解析技術を用いた評価技術の研究開発。
○製品設計とプロセス設計:求められる製品の特性や用途に合わせ、コア技術を駆使し、ディスプレイ用ガラスや表示デバイス用カバーガラス(化学強化専用ガラス)、光関連ガラスや電子デバイス用ガラス、ガラスファイバ、医薬用管ガラス、耐熱ガラス、高機能粉末ガラスなどの製品設計とプロセス設計における研究開発。
○次世代ガラスによる新製品創出:世界最高性能の赤外線透過ガラスによる明るく鮮明な画像創出に貢献する赤外線用レンズ、従来材料の約2倍の磁気光学特性を有するガラスを用いた高性能な光アイソレータ、電池の主部材すべてに結晶化ガラスを用いたオール酸化物全固体ナトリウム(Na)イオン二次電池、ダイヤモンドに匹敵する輝きとダイヤモンドを超えるファイアを併せ持つ宝飾ガラス「infiora®」など、従来にはない特性を有するガラスを新製品の創出に繋げる研究開発。
上記に加え、新技術の導入やコア技術のさらなる進化など研究開発の活性化を目的に、国内外の大学や研究機関とのネットワーク構築や共同研究に積極的に取り組んでいます。
戦略的開発では、現事業分野を超える次世代の技術・製品やプロセスの開発を行っています。カーボンニュートラルプロジェクトを立ち上げ、2050年までのカーボンニュートラルの達成を目指して、全電気溶融の全社的水平展開、水素-酸素バーナーを用いた燃焼技術によるガラス溶融の実証等CO2フリー燃料の技術開発や再生可能エネルギーの活用等の施策を推進しています。また、風力発電用風車ブレード用途の高弾性率ガラスファイバや全固体Naイオン二次電池等の環境配慮製品の開発にも取り組んでいます。その他、ガラスの可能性を広げる加工技術として、特殊な熱源による曲面成形やレーザー光を利用した精密加工などのプロセス技術開発も行っています。
これらの結果、基礎・応用開発における研究開発費は3,135百万円となりました。
「事業部門開発」
事業部門開発では、製造プロセス技術の研究開発、その技術を活かしたガラスの高機能化を主たる目的に、以下のような取り組みを行っています。
○製造プロセス技術の研究開発:超高精細ディスプレイ用ガラスや高強度な化学強化専用ガラス、極限まで薄いガラス、高機能化する電子デバイス用ガラス、ガラスファイバ、医薬用管ガラスなどの製造を可能にする溶融・成形・加工・検査技術などの高度化。
○ガラスの高機能化:防眩や反射防止、汚れ防止など様々な機能を持たせた膜をガラスに付与する成膜技術や各種高性能ミラーなどの研究開発。ガラスを金属、セラミックス、樹脂などの有機材料と組み合わせる複合化技術の研究開発。他社との協業や提携を行うことにより、当社のガラスの機能をさらに高める研究開発や新規分野の開拓に繋がる研究開発。
これらの結果、事業部門開発における研究開発費は4,131百万円となりました。
具体的な状況は次のとおりです。
(電子・情報)
ディスプレイ用ガラスについては、超高精細ディスプレイの需要に対応するため、得意先の製造工程での寸法変化を極力小さくする材料及び技術開発に取り組んでおり、化学強化専用ガラスについては、モバイル端末用途では高落下強度を実現するカバーガラスの開発に取り組んでいます。車載用では防眩、反射防止、防汚膜を施したカバーガラスの技術開発に取り組み、新型電気自動車の車載ディスプレイへの採用も進んでいます。さらに高度な薄膜技術を駆使した車載、自動運転関連をはじめとする各種センサー用高機能膜の技術開発や、ディスプレイの高コントラスト化を実現できるカバーガラス用成膜材料の技術開発にも取り組んでいます。
また、薄いフィルムのような柔軟性を持つ超薄板ガラス「G-Leaf」のロール巻き量産技術や、その切断・成膜といった製造プロセス開発に取り組み、ロール・ツー・ロールプロセスにより貼り合わせて一体化した世界初の超薄板偏光フィルムの開発にも成功しています。“超薄板ガラス-樹脂 積層体”「Lamion」については、デジタルサイネージ保護パネルや駅のホームドアなどの機能向上に加え、新たな分野への適用を目指した技術開発に取り組んでいます。さらに、フォルダブルディスプレイのカバーガラス用に世界最薄となる薄さの化学強化専用ガラス「Dinorex UTG」の開発にも成功しました。
光関連ガラス・電子デバイス用ガラスについては、蛍光体ガラス「ルミファス」などの照明や家電、情報通信分野における新製品の研究開発に取り組んでいます。例えば、赤外線吸収効率を維持しつつ世界最高の可視光透過率を持つ赤外線吸収フィルター、イメージセンサやLEDなどの素子を封止するのに最適なセラミックス封止用レーザーガラスフリット及びハンダ付きリッドガラス、世界最高の屈折率と内部透過率を備えたスマートグラス用基板ガラス、石英ガラスと同等の深紫外線透過率を有し、低温で熱加工が可能な深紫外線透過ガラス、世界最高の光取り出し効率を持つ深紫外LED用リッドガラス、高速化・大容量化が求められる5G(次世代通信規格)における光通信デバイスの小型化・高性能化に貢献する全面反射防止膜付き微小ボールレンズなどの光部品用ガラス、5G無線通信エリアを拡大するガラス基板を用いた透明アンテナや電波レンズを用いた電源不要のリピーター、業界最小の誘電正接を有するLTCC用材料、ガソリンの燃焼効率を高めるための各種センサー用ガラスなど様々な新製品の研究開発を進めています。
(機能材料・その他)
ガラスファイバについては、自動車の軽量化と燃費改善に役立つ主力の自動車部品向け高機能樹脂用のチョップドストランド、建築・土木分野でのセメント強化用として最適な耐アルカリ性ガラスファイバ、モバイル端末の筐体などの樹脂強化用として断面を楕円形状にすることで強度と外観品位を向上させるフラットガラスファイバ、風力発電用風車ブレード用途の高弾性率ガラスファイバ、その他の市場開拓を目指した新製品の研究開発に取り組んでいます。
医療分野においては、医療の高度化に伴って反応性の高い新薬が開発されており、容器内面での反応による薬液の汚染への対策として化学的耐久性に優れた高品位の医薬用管ガラスの技術開発を進めています。
耐熱ガラスの分野においては、調理器トッププレート等に使用されている結晶化ガラスの適用範囲の拡大を目指し、世界初となる無色化に成功するなど、特性改善に関する開発に取り組んでいます。