第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において、当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。

(2) 目標とする経営指標等

目標とする中長期の経営指標といたしましては、安定した経営を持続していく上で、売上高と営業利益の目標数値を重要な経営指標の一つと考え、その向上に努めてまいります。

(3) 経営戦略等

 中長期的な会社の経営戦略

 当社グループは、中長期の目標を実現するため、以下のとおり施策を推進してまいります。

① 開発力の強化

グループ内における研究開発業務の重複を防ぎ、人的リソース等の効率化を図るため、機動的な開発プロジェクト推進を可能にする組織体制の構築を図ってまいります。また、グループ共通の開発環境を整備し、グループ全体で使用できる共通コアエンジンの開発を推進し、各社のアプリケーションソフトウェアに実装する体制を構築し、自社IP製品の開発体制を強化してまいります。

② セグメント別施策

(イ)クリエイターサポート事業

主力製品でありますイラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の更なる研究開発と同時に、インターネットを中心としたサービスの充実を図り、当社グループのソフトウェア群を利用して創作活動を行うクリエイター数を国内外で最大化させることに努めてまいります。

電子書籍分野においては、顧客サポートの強化等、電子書籍市場における現在のポジションを保持しながら、新規デバイスの登場等の機会には、拡大を図ってまいります。

グラフィック分野では、クリエイター向けソフトウェア提供の事業を土台に、デジタルコンテンツの制作・流通・再生に係るサービス提供に注力し、ソフトウェア販売とのシナジーで事業化・収益化に努めてまいります。

(ロ)UI/UX事業

自社IP製品ビジネス中心の売上獲得へとビジネスモデルの転換を図り、原価低減及び利益の拡大に努めてまいります。中でも、自動車(四輪・二輪)関連分野については、車載向けソフトウェア開発プラットフォーム「CGI Studio」(シージーアイスタジオ)、及び、HMIの基盤であるUIオーサリングソフトウェア群「UI Conductor」(ユーアイコンダクター)を中心とする自社IP製品の研究開発をグループ全体で推進し、積極的に営業活動を展開してまいります。

(4) 優先的に対処すべき課題

 ① 人材の確保及び育成

当社グループは、急速な技術革新への対応と継続的な研究開発等が事業拡大には不可欠であり、このような環境や変化に対応し、適切にニーズにあったサービスを提供することが可能な体制を構築していくことが重要であると認識しております。
 そのために、優秀な人材の確保と育成は事業発展のための根幹と考え、適時必要な戦力となる社員の採用を行い、育成していくことにより、業容拡大への源泉としてまいります。

   ② グループ経営における経営の効率化

当社グループの事業において、生産性・収益性の高いオペレーションを実現していく必要があります。そのために、組織の統廃合やオペレーションの見直し等による効率化を継続して推進してまいります。

また、グループ各社の製品開発部門の集約化を進めることによって、自社製品開発の効率化を図り収益性の改善を実現してまいります。

 

 

2 【事業等のリスク】

当連結会計年度において、当有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。

なお、記載内容のうち将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。

(1) 業績の変動について

当社グループの業績は、新しいソフトウェア製品の発売時期や、当社グループ製品を搭載したデバイスの発売時期、受託開発業務の検収の時期に大きな売上計上となりますので、これらの影響により当社グループの業績も変動するという事業構造となっております。したがって、発注者である携帯電話事業者、コンテンツプロバイダー等の経営方針や開発スケジュール等に影響を受けるため、当社グループの業績も四半期毎に変動する可能性があります。

(2) 技術革新について

当社グループが主に事業展開しているソフトウェア業界は、技術革新の速度及びその変化が著しい業界であり、新技術、新サービスが次々と生み出されております。当社グループとしましては、当該技術革新に対応するよう研究開発を続けております。しかしながら、当社グループが新しい技術に対応できなかった場合、当社グループが想定していない新技術、新サービスが普及した場合又は競合他社が機能的、価格的に優位な製品で参入し、当社グループの市場シェアの維持が困難になった場合、当社グループの提供するソフトウェア、サービス等が陳腐化し、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(3) 法的規制について

現在、当社グループの主な事業を推進するうえで、直接的規制を受けるような法的規制はありませんが、当社の子会社は顧客の個人情報を保有・管理しており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当します。完全に外部からの不正アクセスを防止する保障はなく、また、人的ミス等社内管理上の問題により、個人情報が漏洩する可能性は常に存在するため、個人情報の管理コストが増加する等、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。万一、個人情報が外部に漏洩するような事態になった場合には、社会的信用の失墜、損害賠償の請求等により、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(4) 知的財産権について

当社グループは、第三者の知的財産権に関して、これを侵害することのないよう留意し、製品開発、販売を行っております。また、コンテンツ等の受託制作においては、第三者の知的財産権に関する許諾を取得していること等を取引先委託企業に確認するよう努めております。しかしながら、当社グループの事業分野における知的財産権の現況を全て把握することは非常に困難であり、当社グループが把握できていないところで第三者の知的財産権を侵害している可能性は否定できません。万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者より損害賠償請求又は使用差止請求等の訴えを起こされる可能性があります。こうした場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは研究開発型の企業グループであり、新製品の開発、販売を行っております。当社グループでは、特許権、商標権等の出願を行い、知的財産権の保全を図っておりますが、これらの出願が認められない可能性や取得済の特許権等が第三者により侵害される可能性があります。このような場合には、解決するまでに多くの費用や時間を費やすことが予想され、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(5) 人材の確保及び育成について

当社グループの事業は、その大半がヒューマンリソースに依存しており、事業拡大にあたっては、急速な技術革新への対応、継続的な研究開発等が不可欠であり、これらに対応する優秀な人材を適切な時期に採用し、育成することが必要不可欠であると考えております。そのため、当社グループでは人材確保に注力しておりますが、必要とする能力のある人材を計画どおりに採用又は育成できなかった場合には、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 出資等による業務提携について

当社グループでは、当連結会計年度末において、投資有価証券34,124千円を保有しております。当社グループは事業シナジーが見込める国内外のソフトウェア関連企業に対して出資をしております。

また、研究開発型である当社グループは技術獲得のためにもM&A及び提携戦略は重要であり、必要に応じてこれらを検討していく方針であります。これらの出資先は今後の当社グループの事業推進に貢献するものと考えておりますが、出資先の経営環境や経済環境の急変等、何らかの事象により出資・投資の採算が期待どおりにならない可能性を完全に否定できません。このような場合、出資先の株式の減損処理等により当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(7) システムトラブルによるリスクについて

当社グループの事業は、コンピューターシステムを結ぶネットワークに依存しており、インターネットを利用したサービスを提供するにあたっては、バックアップ体制の構築等の様々なトラブル対策を施しております。しかしながら、自然災害や不慮の事故等によって、これらのネットワークが正常に機能しなくなった場合には、サービス提供等の当社グループの事業活動に影響を及ぼす可能性があります。

(8) 新規ソフトウェア開発投資について

当社グループが事業を展開するソフトウェア及びインターネットサービスの業界においては技術革新の速度が非常に速いことから、常に魅力ある製品・サービスを提供して競争力を維持する継続的な研究開発及び製品開発を行っております。しかしながら、業界動向の変化等により投資を回収できるだけの収益が得られなかった場合、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 海外展開について

    当社グループは、グローバルな事業展開を行っておりますが、所在地の法令、制度、政治、経済、商慣習の違い、為替等の様々な潜在的リスクが存在しております。当社グループは、当該リスクを最小限にするために十分な対策を講じてまいりますが、それらのリスクに対処できないこと等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

(10) 為替相場変動による影響について

    当社グループの売上高に対する海外売上高の比率は年々上昇しております。為替レートの変動リスクを軽減する手段を講じておりますが、急激な為替変動が生じた場合等において、当社グループの業績と財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1)財政状態及び経営成績の状況

当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動をトータルに支援できる環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しており、当連結会計年度におきましても、ソフトウェアIPを核とした経営に重点を置き、戦略的な開発投資を継続して行い、企業価値の向上に注力しております。

9月1日には、グループの中長期的な成長の実現を目的に、より機動的なクリエイターサポート事業の経営体制構築を目指し、アートスパークホールディングスとセルシスを合併し、社名を株式会社セルシスとして活動を始めております。

4月には、株式会社ワコムと資本業務提携契約を締結しました。これまでのパートナーシップの関係をより深め、クリエイターの皆様に新しい価値や体験を提供してまいります。

12月には、新たに設立した子会社である株式会社&DC3から、あらゆるデジタルデータを唯一無二の“モノ”として扱うことで、WEB3時代の新しいデジタルコンテンツ流通を実現する基盤ソリューション「DC3」の提供開始を発表いたしました。

また、8月より、資本効率の一層の向上と経営環境に応じた機動的な資本政策を遂行することを目的として、2024年8月までの2年間で総額30億円を目途に自己株式を取得する方針のもと、約10億円分の自己株式の取得を実施いたしました。

さらに、8月には、今後の当社グループの中長期的な成長と企業価値のさらなる向上を実現していくため、東京証券取引所プライム市場への市場区分変更申請に向けた準備を行う旨の決議をいたしました。

当社グループの当連結会計年度の売上高は7,543,175千円(前年同期比9.5%増)、営業利益は1,465,781千円(前年同期比6.3%増)となりました。

経常利益につきましては、助成金収入45,269千円、為替差益130,540千円を計上したこと、株式交付費7,790千円、貸倒引当金繰入額8,355千円等により、1,605,351千円の経常利益(前年同期比13.1%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、第1四半期連結累計期間で事務所移転に伴う固定資産除却損及び賃貸借契約解約損を60,215千円計上したこと、法人税等493,622千円を計上したことにより、1,047,911千円の親会社株主に帰属する当期純利益(前年同期比14.3%減)となりました。

なお、子会社のカンデラが展開するUI/UX事業は、2022年後半以降の市場回復・拡大をにらみ、開発投資を積極的に行っておりましたが、当事業の主要な顧客である自動車関連分野は、前期に引き続き、新車開発の遅れによるモデルチェンジサイクルの長期化や、半導体不足等による生産台数の減少等を受け、厳しい事業環境が続いております。このような事業環境を踏まえたうえで、当社グループにおけるUI/UX事業の役割及び位置づけの抜本的な見直しを行った結果、加賀FEI株式会社と、当社UI/UX事業の譲渡に向けた基本合意書を締結いたしました。

 事業別セグメントにつきましては、以下のとおりであります。

<クリエイターサポート事業>

当連結会計年度においても継続して、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資を行いながら、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、プロモーション活動(中国本土を除く)を実施しております。

「CLIP STUDIO PAINT」は、2022年12月現在では累計出荷本数が2,500万本(前年同月比54.4%増)を超え、そのうち75%以上が日本語以外の海外に向けた出荷となっております。また、同月のサブスクリプション契約数は12月末では72.2万契約(前年同月比51.0%増)となり、ARR(当社がサブスクリプションから年間ベースで得られると期待できる金額)は2,545,000千円(前年同月比43.9%増)となりました。

注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価な価格で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなります。しかしながら、継続して利用頂くことで中長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデルでのライセンス提供に注力してまいります。

なお、クリエイターサポート事業は、売上の過半数が日本国外からとなっており、為替の影響を受けていますが、サブスクリプション契約の年払いモデルにおいては、売上を12か月に分割して計上しており、短期的な売上への影響は小さくなります。また、主にドル建てで費用が発生する、クラウドサーバーインフラコストや、日本国外に出稿するWEB広告のコスト等も発生していることから、為替変動の損益に対する影響額は公示されている為替レートがダイレクトに反映されることとはなりません。

「CLIP STUDIO PAINT」は、Windows/macOS買い切り(無期限)版の提供において、2012年の販売から約10年間に無償で80回を超える機能アップデートを続けて参りましたが、2023年以降の収益改善を目的に「CLIP STUDIO PAINT」を、2023年3月に有償でのメジャーアップデート及び、年払いのサブスクリプションを必要とする提供・販売方法に変更する旨の顧客への告知を2022年8月に実施いたしました。これにより、従来通り常に最新の機能を利用するためには、サブスクリプション契約をしていただく形となり、サブスクリプション契約の増加や、これまで獲得できてこなかった既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入による収益改善が期待でき、より安定した継続的なサービス提供を実現します。

本件告知の結果、現行バージョンの買い控えによる売上減の影響により、買い切り版のツール販売のみが一時的に減少しましたが、2023年3月リリース予定の「CLIP STUDIO PAINT」の最新バージョンを、購入者に無償で提供するキャンペーン等を10月から実施し、12月には広告宣伝、販売促進を推進したことで解消いたしました。なお、8月の告知以降、買い切り版以外の出荷本数及びサブスクリプション契約数、ARRは堅調に推移しております。

また、ワコムやサムスンのペン付きデバイスと「CLIP STUDIO PAINT」による、グローバルを対象としたコラボレーションに積極的に取り組みました。対象デバイスにバンドルされた「CLIP STUDIO PAINT」は、無償期間が終了後は月額契約を行うことで利用が継続できる形で提供されており、将来のサブスクリプション契約の増加が期待できます。

さらに、12月より、中国のクリエイターに向けて「CLIP STUDIO PAINT for iPad」の中国語版を提供開始しました。中国に向けた「CLIP STUDIO PAINT」ブランドでのセルシスからの直接のアプリ提供は今回が初めてになり、今後も対応するデバイスを広げながら中国における利用拡大を目指してまいります。

この他、WEB3及びメタバースを見据えた、新たなコンテンツ流通をサポートするソリューションの開発を、11月1日付で株式会社CLIPソリューションズから社名変更を行った、当社100%子会社である株式会社&DC3を中心に取り組んでおります。同社は、12月に、あらゆるデジタルデータを唯一無二の“モノ”として扱うことで、WEB3時代の新しいデジタルコンテンツ流通を実現する基盤ソリューション「DC3」を発表しました。引き続き、来期以降の収益向上のため、成長投資を行ってまいります。

以上の結果、売上高は6,355,732千円(前年同期比9.4%増)、営業利益は1,965,652千円(前年同期比10.6%増)となりました。

<UI/UX事業>

子会社のカンデラが展開するUI/UX事業では、自動車(四輪・二輪)関連分野を筆頭に、車載向けソフトウェア開発プラットフォーム「CGI Studio」及び、UIオーサリングソフトウェア「UI Conductor」を中心とする自社IP製品の開発に注力しております。

当事業の主要な顧客である自動車関連分野は、新車開発の遅れによるモデルチェンジサイクルの長期化や、半導体不足等による生産台数の減少等について、期初では2022年後半より回復が期待されていたものの改善はみられず、期を通じて厳しい事業環境が続きました。

当連結会計年度では、液晶デバイスの普及により、自動車関連に限らず今後市場拡大が見込まれる産業・民生機器等の幅広い分野で利用可能になることを目指した先行研究開発投資を行い、10月に次世代HMIソリューション「Candera Studio」を発表いたしました。「Candera Studio」は、自動車関連に限らず、液晶デバイスの普及により今後市場拡大が見込まれる、産業・民生機器等の幅広い分野での採用を目指しており、2023年度の正式リリースを予定しております。

なお、UI/UX事業については、2022年下期から役割及び位置づけの抜本的な見直しの結果、セルシスグループ内で事業を継続するメリットは少ないと判断し、カンデラの製品の販売代理店であり、製品の主要顧客に対して柔軟なソリューション提供を行うことが可能になることで、事業拡大の期待ができることを目的に、加賀FEI株式会社への譲渡の協議を進めております。

以上の結果、売上高は1,187,443千円(前年同期比10.9%増)、営業損失は545,628千円(前年同期は498,019千円の営業損失)となりました。なお、2021年12月期第1四半期累計期間において、連結子会社であった株式会社エイチアイの全株式を売却したことにより、前第2四半期連結会計期間以降につきましては、同社の数値は連結計算書類に含まれておりません。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ1,051,561千円増加し、6,744,840千円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、1,548,469千円(前連結会計年度は1,972,356千円の獲得)となりました。これは主として、賃貸借契約解約による支払額48,947千円や法人税等の支払額732,820千円等の資金の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益1,541,533千円の計上や減価償却費の計上851,928千円等の資金の増加要因があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)
 投資活動の結果使用した資金は、1,032,758千円(前連結会計年度は473,506千円の使用)となりました。これは主として、敷金の回収による収入25,819千円等の資金の増加要因があったものの、ソフトウエア等の無形固定資産の取得による支出960,622千円、有形固定資産の取得による支出86,356千円等があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は、490,542千円(前連結会計年度は1,283,902千円の獲得)となりました。これは主として、配当金の支払額102,662千円や自己株式の取得による支出1,000,018千円等があったものの、株式の発行による収入1,593,832千円等があったことによるものであります。この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、6,744,840千円となりました。

 

  (3) 生産、受注及び販売の状況

① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

クリエイターサポート事業

2,992,715

110.3

UI/UX事業

1,015,030

101.6

合計

4,007,746

108.0

 

(注) 金額は、当期製造費用によっております。

 

② 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

クリエイターサポート事業

131,054

145.2

UI/UX事業

合計

131,054

145.2

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

③ 受注実績

当連結会計年度における生産業務は、ライセンス販売を目的とした見込生産であり、個別受注生産の占める割合が低いため、受注金額の記載を省略しております。

 

 

④ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

クリエイターサポート事業

6,355,732

109.4

UI/UX事業

1,187,443

110.9

合計

7,543,175

109.5

 

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.調整額12,500千円は、主に内部取引の調整によるものであります。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社アムタス

827,656

12.0

665,017

8.8

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、有価証券・固定資産の減損、棚卸資産の評価、貸倒引当金の設定、ビューア利用料売上の見積り計上等の重要な会計方針及び見積りに関する判断を行っています。当社の経営陣は、過去の実績や状況等に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

(2) 財政状態の分析

 当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べて1,812,292千円増加し10,156,963千円となりました。この主な要因は、償却により技術資産が102,311千円、敷金及び保証金が36,089千円減少した一方で、現金及び預金が1,055,164千円、未収入金が412,682千円、ソフトウエアが294,713千円増加したこと等によるものであります。

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べて163,684千円増加し1,932,168千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が150,937千円、役員退職慰労引当金が24,428千円減少した一方で未払金が60,958千円、前受金が147,016千円、退職給付に係る負債が42,906千円増加したこと等によるものであります。

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,648,608千円増加し8,224,794千円となりました。この主な要因は、自己株式の取得1,000,018千円による純資産の減少があった一方で親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が954,186千円、新株の発行により資本金及び資本剰余金がそれぞれ800,814千円増加したこと等によるものであります。なお、自己資本比率は、80.3%となりました。

 

 

(3) 経営成績の分析

当連結会計年度における当社グループの売上計画、営業利益の達成状況は以下のとおりです。

指標

 

計画数値

実績

計画比

連結売上高

期首

7,727,000千円

7,543,175千円

△183,825千円

連結営業利益

期首

1,942,000千円

1,465,781千円

△476,219千円

 

当連結会計年度における連結売上高は、期初では7,727,000千円、連結営業利益では1,942,000千円の計画を見込んでおりました。

計画に対し連結売上高では7,543,175千円(達成率97.6%)となり、連結営業利益は1,465,781千円(達成率75.5%)となりました。

 その他、営業利益の状況、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、「第2 事業の状況 3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループが主に事業展開しているソフトウェア業界は、技術革新の速度及びその変化度が著しい業界であり、新技術、新サービスが次々と生み出されております。当社としては、担当部門において当該技術革新に対応するよう研究開発に努めております。

しかしながら、当社グループが想定していない新技術、新サービス等が普及した場合には、当社グループの提供するソフトウェア、サービス等が陳腐化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、継続的に研究開発に注力し、競争力を維持するために魅力ある製品、サービス等を提供していく所存であります。

 

(5) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析は、「経営成績等の状況の概要 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

(6) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウェア開発に係る人件費のほか、外注費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資及びM&A等によるものであります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資及びM&A等の資金調達につきましては自己資金及び金融機関からの長期借入を基本とし、場合によっては新株予約権の発行等を行うなど、資金調達の多様性を図っております。

なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高はありません。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,744,840千円となっております。

 

(7) 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標等

当社グループは、連結営業利益を経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等とし、目標数値を設定しております。

連結会計年度におきましては、連結売上高は目標7,727,000千円に対して7,543,175千円の実績となり、目標に対して183,825千円下回りました。また、連結営業利益は目標1,942,000千円に対して1,465,781千円の実績となり、目標に対して476,219千円下回りました。クリエイターサポート事業において、2023年3月を実施予定とする「CLIP STUDIO PAINT」のバージョンアップを告知したことにより、現行バージョンの買い控えによる売上減の影響により、第3四半期において、買い切り版のツール販売のみが一時的に減少しましたが、2023年3月リリース予定の「CLIP STUDIO PAINT」の最新バージョンを、購入者に無償で提供するキャンペーン等を10月から実施し、12月には広告宣伝、販売促進を推進したことで解消いたしました。一方UI/UX事業では、前事業年度に続き、自動車関連分野は、新型コロナウイルス感染症に端を発した、新車開発の遅れによるモデルチェンジサイクルの長期化や、半導体不足等による生産台数の減少等を受け、厳しい事業環境が続きました。期首予想では、自動車業界における持ち直しを織り込みUI/UX事業の業績を目論んでおりましたが、実績は厳しいものとなり下回りました。

また、営業利益につきましては、クリエイターサポート事業における、第3四半期の売上減に対応するため、販促費を投入したこと、UI/UX事業の売上未達成によるところにより、計画値を下回りました。

今後も当指標を目標として経営を行うことにより、当社グループの企業価値の向上を図ってまいります。

 

 

4 【経営上の重要な契約等】

(資本業務提携及び第三者割当による新株式発行)

当社は、2022年4月11日開催の取締役会において、株式会社ワコム(以下「ワコム」という。)との間で資本業務提携(以下「本資本業務提携」という。)を行うこと、及び本資本業務提携に係る第三者割当増資による新株式の発行をワコムに対して行うことを決議し、本資本業務提携についての契約を締結いたしました。なお、第三者割当による新株式発行は2022年4月28日に払込が完了しております。

  1.本資本業務提携の目的及び理由

ワコムのデジタルペンの技術力と全世界150以上の国と地域で提供されているワールドワイドな販売力、「CLIP STUDIO PAINT」の機能や附帯する各種サービス及びクリエイター向けイベント力を活用することで、ワコムと当社グループの一層の事業基盤強化と企業価値向上に資することと判断し、かつ、当社の中期経営計画をより強力に推進するためには、本資本業務提携契約を締結し、両社の間で中長期的な協業体制を築くことが、最善であると判断いたしました。

  2.資本提携の内容

当社は、本第三者割当増資により、ワコムに対して当社の普通株式1,813,500株(2021年12月31日現在の発行済株式総数34,220,952株(保有する自己株式数235,128株を除く)に対して5.30%)を割り当てます。本第三者割当増資の詳細は、下記「5.本新株式の概要」をご参照ください。

また、割当予定先 は、今後、本第三者割当増資により取得する本普通株式と合わせて、自己株式を除く発行済株式数の持株比率が10%を超えない範囲で、市場買付の方法により、当社普通株式を取得する予定です。なお、割当予定先は、業務上知り得るインサイダー情報がある場合は、市場買付による取得を実施しないことといたします。

  3.本業務提携の内容

  当社とワコムとの間で合意している業務提携の内容は、以下のとおりです。

  1.教育など特定用途に向けたワコム製品と「CLIP STUDIO PAINT」を通じたクリエイティブ創作体験の共同開

  2.KISEKI ARTサービスと「CLIP STUDIO PAINT」の連携による新しい価値提供のための共同開発

3.デジタル著作権管理、創作にまつわる権利保護に向けた技術の「CLIP STUDIO PAINT」への実装とサービス運 営の検討

4.新しいクリエイティブ制作ワークフロー開発に向けたワコム製品、新機能の「CLIP STUDIO PAINT」との連携開発

  5.パートナー企業に対するワコムの製品と「CLIP STUDIO PAINT」を連携させた共同開発・提案

   上記5つに加えワコムの製品と「CLIP STUDIO PAINT」クリエイターの体験向上に向けた継続的な共同開発

  4.資本業務提携の相手先の概要

(1)

名称

株式会社ワコム

(2)

所在地

埼玉県加須市豊野台2-510-1

(3)

代表者の役職・氏名

代表取締役社長 兼 CEO  井出 信孝

(4)

事業内容

描画用ペン入力タブレットの製造販売

(5)

資本金

4,203,469千円(2021年3月31日現在)

 

  5.本新株式の概要

(1)

払込期日

2022年4月28日

(2)

発行新株式数

当社普通株式 1,813,500株

(3)

払込金額

1株につき883円

(4)

払込金額の総額

1,601,320,500円

(5)

割当の方法

第三者割当の方法による

(6)

割当先

株式会社ワコム

 

 

 

(連結子会社の吸収合併) 

当社は、2022年2月10日開催の取締役会において、2022年7月1日を効力発生日として、当社の連結子会社である株式会社セルシスとの間で、当社を存続会社とする吸収合併を行うことを決議し、同日付で合併契約を締結いたしました。当該契約につきましては、2022年6月21日の取締役会において、合併の効力発生日を2か月延期し2022年9月1日とすることを決議し、吸収合併契約変更に係る覚書を締結し、同日付で吸収合併いたしました。

なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

(子会社への事業の譲渡)

当社は、2023年1月31日開催の取締役会において、当社事業の一部を当社の連結子会社である株式会社&DC3へ譲渡することを決議いたしました。

なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)1.100%子会社への事業譲渡」に記載のとおりであります。

 

UI/UX事業の譲渡に向けた基本合意書の締結

当社は、2023年2月10日開催の取締役会において、当社事業の一部を当社の連結子会社である株式会社&DC3へ譲渡することを決議いたしました。

なお、詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)2.UI/UX事業の譲渡に向けた基本合意書の締結」に記載のとおりであります。

 

5 【研究開発活動】

 当社グループは、デジタルによるコンテンツの創作から利用・活用に至るまでの諸活動を、トータルに支援する環境の提供を経営理念に掲げ、事業を推進しております。

 現在、セルシスとカンデラの製品開発部門を集約して、技術力・開発力の向上とオペレーションの効率化を図っており、今後はこれをさらに推進し、経営統合によるシナジーを最大化して製品・サービスを共同開発し、日々技術革新を続けるソフトウェア業界で勝ち抜く強い製品・サービスを創出してまいります。

(1) クリエイターサポート事業

クリエイターサポート事業においては、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」シリーズで使用するグラフィックエンジンに関する機能開発、また同製品に今後機能実装していく機械学習の研究開発を行いました。その結果当事業に係る研究開発費は、70,193千円となりました。

(2) UI/UX事業

当連結会計年度における、UI/UX事業に係る研究開発費の計上はありません。

上記の結果、当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費の総額は、70,193千円となりました。