第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営の基本方針

当社のミッションは、AIテクノロジーの妥協なき追求により非常識を常識に変え続けることです。その実現のため、高品質・高価値なユーザ体験を届けることが、当社にとって最優先の事項です。当社の経営は、徹底したユーザ重視を基本方針としています。

 

(2) 目標とする経営指標

リカーリング型売上の成長を最重要指標と定めており、その要因として契約件数や契約の解約率(注1)、AIファンクションのリクエスト数を指標としております。

 

(3) 経営環境及び対処すべき課題

当社が展開する事業と関わりの深い「非IT系の外部委託市場」を例にとると、人によるデータ入力に関する外部委託市場は2022年度の6,090億円から2025年度には6,290億円へ成長していくと予想されております(市場規模は全て「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望 2021-2022(株式会社矢野経済研究所)」より)。

 

当社が事業を展開するAI-OCR市場においては、企業は、働き方改革をこれまで以上に意識した事業運営が求められていることから、社会的なデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に伴い、今後も市場の成長は持続するものと予測しております。このような環境のもと、当社が対処すべき主な課題は以下の通りと認識しております。

 

① 研究開発の強化

短期的な技術開発の場では、失敗の許されない状況における開発が主となることが多いため、既存技術のブラッシュアップにしか手を出すことができず、抜本的な技術開発には着手しにくくなります。本質的な次世代技術を開発するためには、その基盤を固める知識・経験が必須であり、将来的に確実に必要となる長期的課題にも積極的に取り組んでいかなければ、世界のAIを牽引するような企業に発展することは望めません。そのため、当社は応用研究だけではなく、基礎研究も行い続けます。

② 製品開発の強化

当社で提供しているAIは、ユーザが日々の業務で使うほど、さらなる追加学習のためにフィードバックがなされ、精度が向上するという特徴を備えております。

当社の好循環サイクルにおいて、より高精度、高価値なAIを提供し続けることが可能であります。

③ 顧客基盤の強化

1)パートナー連携推進によるリカーリング型売上の強化

当社製品については、ユーザへの直接販売、パートナーを通じた販売を行い、既にパートナー販売における契約数の割合が直接販売よりも高くなっておりますが、パートナーとより強固な関係を築くことで今後さらにその比率を上げていく方針です。また、当社が持つ既存製品・サービスに加え、それらを組み合わせた複合AIソリューションの提供により、事業規模・業種を問わない幅広い顧客基盤を構築してまいります。

加えて、セリング型の売上に含まれる初期費用などを低価格化し、導入拡大を図ることで、リカーリング型の売上を拡大させていく方針です。

2)付加価値の高いAIソリューションよる顧客・社会課題の解決

当社は、従来からの強みである画像・物体等の認識AIに加え、予測AI技術を提供してまいりました。当社が持つこれらの技術を組み合わせることにより、顧客や社会が持つ潜在課題を解決し、企業活動全体の効率化を担う付加価値の高い複合AIソリューションをパートナーとともに提供してまいります。これにより、AIソリューションの利用拡大および、より効率的な事業拡大を実現し、「誰もが意識することなくAIの恩恵を受けられる世界」を目指します。

 

④ 情報管理体制の強化

当社は、顧客企業の業務データや公開前の製品企画情報など多くの機密情報や個人情報等を保有しており、その重要性については十分に認識しております。その保護体制構築に向けて、社内規程の厳格な運用、定期的な社内教育の実施、情報セキュリティマネジメントシステムの構築・維持向上に努めることで、今後も引き続き、情報管理体制の強化を図ってまいります。

⑤ 優秀な人材の確保

当社は、今後の事業拡大に伴い、当社の企業理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材を継続的に採用していく必要があると考えております。労働市場における知名度の向上を図り採用力の向上に努めるとともに、業務環境や福利厚生の改善により採用した人材の離職率の低減も図ってまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりです。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

ガバナンス

当社のサステナビリティに関する取組については、取締役会、経営会議、リスク・コンプライアンス委員会のいずれかにて定期的に報告します。

重要会議を企業経営等の知見・経験が豊かな社外取締役を含めた出席者で構成することで、他社の知見・経験を踏まえたより多角的なサステナビリティ及び内部統制に関する活動につながるようにガバナンス態勢を構築します。

 

戦略

「AIで、人類の進化と人々の幸福に貢献する」という当社のPurposeを実現するために、当社では以下のようなサステナビリティ分野に取り組むべく、取締役会を中心に議論を進めてまいります。

 ・デジタルトランスフォーメーションを支援する

 ・パートナーシップで目標を達成する

 ・働く環境のダイバーシティ(多様性)を推進する

 ・環境配慮

 ・利益を社会に還元する

また、前述の取組を推進するうえで、人的資本の能力発揮の最大化が重要なテーマであることから、人的資本に関して多様性・実行力・スピード・継続性の観点で以下の取組を行います。

 1.多様性

  ① 従業員の年齢構成に多様性を持たせる採用活動の実施

  ② フレックスタイム制による個人に裁量権を持たせた柔軟な働き方の採用

  ③ 集中力とコミュニケーションの両立を図るためのリモートワークとオフィス出社の両立

  ④ 多様性確保のための働く場所の自由度の確保

  ⑤ 外国人人材活用のための社内ルールの翻訳及び翻訳担当者の採用

 2.実行力

   ① 人事制度における目標管理制度の採用

   ② 自社研修プログラム(AI Growth Program)の提供

 3.スピード

   ① 取締役への権限委譲のための監査等委員会設置会社の採用

   ② 決断・実行のスピード化のためのユニット制の採用

 4.継続性

   ① 離職率の低減

   ② ライフステージごとの柔軟な働き方の実現

   ③ エンゲージメントの調査、改善の取組

 

リスク管理

当社におけるリスク管理は、全社的リスクマネジメント(Enterprise Risk Management)を導入し、リスク・コンプライアンス委員会を中心として全社リスクに対して網羅的にPDCAサイクルを推進する態勢を構築しています。

リスク・コンプライアンス委員会は、代表取締役を委員長として、委員に業務執行取締役、監査等委員1名、執行役員、内部監査部門の責任者及び事務局で構成されています。

リスクマネジメントの工程及び体制図は以下のとおりです。

-工程-


-体制図-


 

指標及び目標

当社は人的資本に関する取組において、以下の指標を重要指標としています。またそれぞれの指標について改善することを目標としています。

2023年3月31日時点

分類

項目

内容

目標

多様性

年齢構成比率

20代:19.42% (27人)

30代:51.08% (71人)

40代:25.18% (35人)

50代: 4.32% (6人)

バランスの取れた年齢構成とすること

多様性

女性管理職比率

15.63%(男女人数比 27:5)

女性管理職比率の向上

多様性

男女賃金格差

(対男性)女性支給率:79.72%

男女賃金格差の縮小

継続性

男性育休取得率

83.30%

対象者6人中5人取得

男性育休取得率の向上

継続性

エンゲージメント調査

毎年最低1回の調査を実施

調査の実施と対策の設定

継続性

離職率

15.57%

離職率の低減

継続性

有給取得率

付与有休数    2,077日  

取得有休数 1,609.5日  

取得率     77.49%

有給取得率の向上

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社は、事業展開上のリスクになる可能性があると考えられる主な要因として、以下の記載事項を認識しております。また、リスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。当社は、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性のあるすべてのリスクを網羅したものではありません。

 

(1) 景気動向及び業界動向の変化について

企業を取り巻く環境や労働人口減少に伴う企業経営の効率化などの動きにより当社が事業を展開する市場は今後も拡大すると予想されるものの、企業の景気による影響や各種新技術の発展による影響を受ける可能性があります。当社においては当社が事業を展開する市場が経済情勢や技術革新などにより事業環境が変化した場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 競合について

当社の事業は、同様のビジネスモデルを有している企業は数社あるものの、製品の特性、その導入実績、保有特許、ノウハウによる技術等、様々な点から他社と比較して優位性を確保できていると認識しておりますが、将来の成長が期待される市場であり、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。このため先行して事業を推進していくことで、さらに実績を積み上げて市場内での地位を早期に確立してまいります。

しかしながら、今後において十分な差別化等が図られなかった場合や、新規参入により競争が激化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 技術革新について

当社の事業に関連するAI技術は、世界的に研究開発が進んでおり、技術革新のスピードが極めて速い分野であります。当社はこうした技術革新に対応できる研究開発活動を推進することで、AIを活用した事業により事業基盤の拡大を図ってまいります。しかしながら、技術革新への対応が遅れる可能性もあり、その場合には当社の競争力が低下することで、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) システムトラブルについて

当社の事業は、PCやコンピュータシステム並びにこれらを結ぶ通信ネットワークに依存しており、これらにトラブルが発生した場合には、業務遂行に障害が生じます。このため当社では、システムトラブルを回避するために、サーバー負荷の分散、サーバーリソース監視、定期バックアップの実施等の手段を講じることでトラブルの防止及び回避に努めております。また、万一の場合に備え、サイバー保険を付保しております。

しかしながら、アクセスの急激な増加等による負荷の拡大や自然災害や事故などにより予期せぬトラブルが発生し、システムトラブルが発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社が利用しているクラウドサーバーの稼働にトラブルが生じた場合、当社が提供するサービスの安定稼働に支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5) 情報セキュリティ及び個人情報等の漏えいについて

当社では、業務上、個人情報その他機密情報を顧客より受領する場合があります。当社におきましては、2016年3月に情報セキュリティマネジメントシステム(JIS Q 27001:2014、ISO/IEC27001:2013)の規格に適合する証明を、また2018年7月にプライバシーマークを取得しており、情報管理の重要性を周知徹底するべく役職員に対し研修等を行い、情報管理の強化を図っております。また、情報セキュリティについては外部からの不正アクセス、コンピュータウィルスの侵入防止について、社内のITグループを中心にシステム的な対策を講じております。なお、万一の場合に備え、サイバー保険を付保しております。

しかしながら、当社が取り扱う機密情報及び個人情報について、漏えい、改ざんまたは、不正使用等が生じる可能性が完全に排除されているとはいえず、何らかの要因からこれらの問題が発生した場合には、顧客からの損害賠償請求等によりサイバー保険で填補できない損害が生じ、または、信用が失墜する等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) 知的財産権について

当社は、事業運営の際に第三者の知的財産権侵害などが起こらないような管理体制を構築しておりますが、第三者の知的財産権に抵触しているか否かを完全に調査することは極めて困難であります。このため、知的財産権侵害とされた場合には、損害賠償または当該知的財産権の使用に対する対価の支払い等が発生する可能性があり、その際には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 個人情報を含むデータを学習に用いるリスクについて

当社は、製品及びその他のサービスを提供するにあたり、顧客から取得した個人情報を含むデータを用いて、人工知能の学習を行うことがあります。当社は、個人情報保護法を含む法令を遵守し、また、当該学習に用いることにつき顧客の承諾を取得しておりますが、個人情報の本人など消費者から理解が得られず、当社又は顧客が批判にさらされる可能性があり、そのような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 法的規制等について

当社は、当社の事業を制限する直接的かつ特有の法的規制は本書提出日時点において存在しないと考えております。しかしながら、今後、当社の事業を直接的に制限する法的規制がなされた場合、また、従来の法的規制の運用に変更がなされた場合には、当社の事業展開は制約を受ける可能性があります。当社としては引き続き法令を遵守した事業運営を行っていくべく、今後も法令遵守体制の強化や社内教育などを行っていく方針ですが、今後当社の事業が新たな法的規制の対象となった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9) 訴訟、係争について

当社では、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟や紛争は生じておりません。

しかしながら、今後何らかの事情によって当社に関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 当社設立からの経過年数について

当社は2015年8月に設立され、本書提出日時点では9期目と若い企業です。優秀な人材を積極的に採用し、社内管理体制の構築、製品・サービスの開発、販売の強化を行ってきました。今後も事業拡大に向けた社内体制の強化、新規サービスの研究及び製品・サービスの拡販に向けた取り組みを強化してまいりますが、何らかの理由によりこれらの取り組みが想定通りに実施されなかった場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11) 小規模組織であることについて

当社は2023年3月31日現在、従業員139名と小規模な組織であり、業務執行体制もこれに応じたものとなっております。当社は今後の事業拡大に応じて従業員の育成、人員の採用を行うとともに業務執行体制の充実を図っていく方針でありますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(12) 人材の確保と育成について

当社が今後更なる成長を成し遂げていくためには、優秀な人材の確保と育成を重要課題の一つであると位置づけております。当社は現在も優秀な人材の採用を進めておりますが、これらの要員を十分に採用できない場合や、採用後の育成が十分に進まなかった場合、あるいは在職中の従業員が退職するなどした場合には、当社の事業拡大の制約となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13) 内部管理体制について

当社は、今後の事業運営及び業容拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しており、今後、事業規模の拡大に合わせて内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。しかしながら、事業規模に応じた内部管理体制の整備に遅れが生じた場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14) 特定人物への依存について

当社の代表取締役社長CEOである渡久地択は、当社の創業者であり、設立以来当社の経営方針や事業戦略の立案やその遂行において重要な役割を担っております。当社は特定の人物に依存しない体制を構築するべく、幹部社員への情報共有や権限の委譲によって同氏に過度に依存しない組織体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏の当社における業務遂行が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(15) 特定の当社サービスへの依存について

当社は「AIテクノロジーの妥協なき追求により非常識を常識に変え続けること」をミッションに掲げ、当社の製品及びサービスを展開しておりますが、主力サービスである「DX Suite」に関する売上高が大半を占めております。そのため、市場環境等の変化により「DX Suite」に関連する売上高が著しく減少した場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(16) 販売代理店への依存リスクについて

当社は顧客基盤を拡大するために代理店を通じた販売を重視しており、代理店販売における契約数の割合を高めていくべく、協業体制を引き続き推進していく方針です。そのため今後は当社の売上高に占める代理店販売の比率は高まることが想定されます。

当社は次年度以降も代理店販売契約の継続を見込んでおりますが、今後何らかの理由により契約の更新がなされない場合や、取引条件の変更、もしくは代理店経由の販売が落ち込んだ場合等には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また販売代理店の一形態であるOEM販売については、営業活動及び顧客サポートの実施はOEM先により実施されます。当社が有する販売及び顧客サポートのノウハウは適宜OEM先と共有することで、顧客獲得とその維持につながるように努めてまいりますが、OEM先の販売施策により顧客獲得の急激な増減が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(17) 当社の経営指標について

当社は重要経営指標として、リカーリング型売上を掲げております。リカーリング型売上は継続的に計上されることが期待される収益であり、当社が独自にその定義を設定し、算出した数値を開示しております。

当社は引き続きリカーリング型売上を重要指標として開示していく方針ですが、リカーリング型売上は当社と顧客間の契約件数、解約率等の関連指標の推移により影響を受けます。これらの関連指標も当社が独自に定義・算定しており、事業環境の変化による販売戦略の変更、販売代理店固有の販売施策等により影響されるものであり、結果として当社が開示するリカーリング型売上に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(18) ソフトウェアの開発について

当社ではサービス提供に使用する自社利用のソフトウェア開発に関し、ソフトウェア開発プロジェクトに関する期間や費用の見積り及び将来収益計画について妥当性の確認を行っております。しかしながら、顧客のニーズによる開発途中の要件変更や品質改善要求、開発遅延等により当初計画どおりの開発及びサービス提供がなされなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(19) 配当政策について

当社は、株主に対する利益還元を経営課題と認識しており、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元政策を決定していく所存であります。

しかしながら、当社は、成長過程にあり内部留保が充実しているとはいえず、創業以来配当を行えておりません。また、現時点では事業の効率化と事業拡大のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元に繋がると考えております。

将来的には、内部留保の充実状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案し、利益還元を行うことを検討してまいりますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。

 

(20) М&Aによる影響について

当社は、事業拡大を加速する有効な手段のひとつとして、当社に関連する事業のМ&A戦略を検討していく方針です。М&A実施に関しては、対象企業の財務・法務・事業等について事前にデューデリジェンスを行い、十分にリスクを吟味した上で決定いたしますが、買収後に偶発債務の発生や未認識債務の判明等、事前の調査で把握できなかった問題が生じた場合、また事業の展開等が計画通りに進まない場合、当社の経営成績及び財政に影響を与える可能性があります。

さらに、М&A取引の結果として、無形固定資産ののれんを計上する可能性があります。事業環境の変化等の事由によりのれんの経済価値が低下し、減損処理に至った場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(21) 当社の経営成績について

当社では創業以来、販売活動に先んじて新製品の開発に投資を継続してきました。今後も顧客の業務効率化を実現するサービスの開発を続けてまいりますが、当社が展開する事業領域は持続的に成長しており、売上高の増加に伴い損益も改善しております。

しかしながら、更なる開発を要するような状況の変化、売上拡大のための先行投資や、当社が期待するほどの売上成長とならない場合、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(22) ソフトウェアの資産計上に伴う費用化による影響について

当社では、ソフトウェアの開発に係る費用を「研究開発費等に係る会計基準」に従って研究開発費の一部について、適切に資産計上及び減価償却を行っており、ソフトウェアの合計は、2023年3月末時点で387,147千円となっております。今後、研究開発の結果として資産計上されるソフトウェアが増加した場合には、それに伴う減価償却費も増加することとなり、当社の将来の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(23) 減損の可能性について

当社では時価のある有価証券552,583千円を関係会社株式として保有しておりますが、時価のある有価証券については株式市場の変動などにより時価が著しく下落した場合には、評価損を計上することとしております。また、当社は事業用の設備やレンタル資産等を固定資産として計上しておりますが、これら資産が期待どおりのキャッシュ・フローを生み出さない状況になる等、その収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなることにより減損処理が必要となる場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(24) 自然災害に関するリスクについて

大規模な地震等の自然災害や事故など、当社による予測が不可能かつ突発的な事由によって、事業所等が壊滅的な損害を被る可能性があります。このような自然災害に備え、免震性の高いビルへのオフィス移転、従業員安否確認手段の整備、オフィスでの備蓄食料・生活物資の確保、無停電電源装置の確保等に努めておりますが、想定を超える自然災害が発生する場合は、当社の事業活動が制限され、業績に影響を及ぼす可能性があります。当社が直接被災しない場合であっても、外部パートナー等の被災により、間接的に損害を被る場合もあります。

また、災害等の発生によって、電力等の使用制限による社会インフラ能力の低下、個人消費意欲の低下といった副次的な影響により、顧客企業の事業活動の抑制につながる可能性があり、そのような場合は、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べて1,026,585千円減少し、4,047,749千円となりました。この主な要因は、現金及び預金が1,184,206千円減少したことによるものであります。また、固定資産は、前事業年度末に比べて853,792千円増加し、2,627,728千円となりました。この主な要因は、ソフトウェア資産が252,879千円増加、のれんが1,343,226千円増加、関係会社株式が685,292千円減少したことによるものです。この結果、総資産は、前事業年度末に比べ172,793千円減少し、6,675,478千円となりました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べて138,701千円増加し、2,252,907千円となりました。この主な要因は、未払法人税等が30,427千円増加、未払消費税等が129,131千円増加、未払金が33,213千円減少したこと等によるものであります。固定負債は、株式給付引当金が50,000千円増加したこと等により68,363千円となりました。この結果、総負債は、前事業年度末に比べて203,885千円増加し、2,321,271千円となりました。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて376,678千円減少し、4,354,207千円となりました。これは、主に株式報酬等に伴うその他資本剰余金170,326千円の増加、新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金が11,004千円ずつ増加したこと、当期純損失518,524千円を計上したこと等によるものです。

なお、当事業年度末における自己資本比率は65.2%となり、前事業年度末に比べ、3.9ポイント減少しております。

 

② 経営成績の状況

近年我が国において、少子高齢化や人口減により生産年齢人口が減少する一方、人によるデータ入力に関する外部委託市場は2022年度の6,090億円から2025年度には6,290億円へ成長していくと予測されております(市場規模は全て「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望 2021-2022(株式会社矢野経済研究所)」より)。企業は、労働者の在宅ワーク導入など働き方改革をこれまで以上に意識した事業運営が求められていることから、社会的なデジタルトランスフォーメーション(DX)推進は加速していくものとみられます。

このような市場環境において、当社は、ディープラーニングによる手書き文字認識AIを活用した生産性向上のためのAI-OCRサービス「DX Suite」、および当社のミッション「AIテクノロジーの妥協なき追求により、非常識を常識に変え続ける」を実現するための製品「Learning Center」の開発・提供を進めてまいりました。また、当期において、株式会社aiforce solutionsとの事業統合により「Learning Center Forecast」「AI Growth Program」の提供を行いました。

その結果、売上高及び各段階利益については以下の実績となりました。

 

 

 

(売上高)

当事業年度の売上高は3,802,642千円(前年同期比114.8%)となりました。当事業年度における当社及びその他販売パートナーがそれぞれの顧客へ提供している「DX Suite」利用ライセンスは前年同期の2,232件から2,568件に堅調に増加し、またチャーンレート(解約率)の実績は低水準で推移しており、営業活動による新規案件の獲得により売上高の積上げを進めてまいりました。

加えて、第1四半期会計期間に吸収合併を行った株式会社aiforce solutionsの予測・判断AI技術を取り込んだ 「Learning Center Forecast」(旧称:AMATERAS RAY)及び非エンジニア人材のAI人材化を加速する「AI Growth Program」(旧称:AMATERAS EDU)の収益が計上されております。

 

売上高のうち、リカーリング型モデル(注1)及びセリング型モデル(注2)の内訳は以下のとおりとなりました。

 

収益モデル

第7期事業年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

第8期事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

売上高(千円)

前年同期比(%)

売上高(千円)

前年同期比(%)

リカーリング型モデル

3,027,780

75.1

3,454,920

114.1

セリング型モデル

282,963

50.1

347,722

122.8

合計

3,310,744

72.0

3,802,642

114.8

 

(注)1. リカーリング型:顧客が当社のサービスを利用する限り継続的に計上される収益形態を表します。

 2. セリング型:特定の取引毎に計上される収益形態を表します。

 

(売上原価、売上総利益)

当事業年度の売上原価は、837,621千円(前年同期比102.0%)となりました。これは、主にサーバ費用等によるものであります。この結果、売上総利益は2,965,020千円(前年同期比119.1%)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当事業年度の販売費及び一般管理費は、2,681,351千円(前年同期比139.6%)となりました。これは、主に業容拡大に伴う採用費・人件費の増加、2022年5月より発生したのれん償却費によるものであります。この結果、営業利益は283,668千円(前年同期比49.8%)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当事業年度において、営業外収益は11,365千円発生しました。これは、主に補助金の交付による収入10,396千円が発生したことによるものです。また、営業外費用は15,552千円発生しました。これは、主に短期借入金に係る支払利息9,523千円、為替差損5,919千円が発生したこと等によるものです。この結果、経常利益は279,482千円(前年同期比49.6%)となりました。

 

(特別損益、当期純利益)

当事業年度において、特別損失が685,292千円発生しました。これは、関係会社株式評価損を計上したことによるものです。また、法人税、住民税及び事業税を106,632千円、法人税等調整額6,081千円を計上した結果、当期純損失は518,524千円となりました。

 

なお、セグメントについては、当社は人工知能事業の単一セグメントであるため、記載しておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,184,206千円減少し、3,235,034千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は793,847千円(前事業年度は208,832千円の使用)となりました。主な内訳は、税引前当期純損失405,810千円の計上、売上債権が106,499千円増加した一方で、非資金損益項目である関係会社株式評価損685,292千円の計上及びのれん償却額301,540千円の計上、減価償却費150,638千円を計上したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において投資活動の結果使用した資金は2,068,903千円(前事業年度は223,635千円の使用)となりました。主な内訳は、子会社株式の取得による支出1,642,005千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度において財務活動の結果使用した資金は21,650千円(前事業年度は35,256千円の獲得)となりました。主な要因は、株式発行による22,008千円の収入がある一方で、長期借入金の返済による支出43,395千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産に該当する事項がないため、生産実績に関する記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社で行う事業は、受注から役務提供の開始までの期間が短く、受注状況には重要性がないため記載を省略しております。

 

c.販売実績

当事業年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社は人工知能事業の単一セグメントであるため、収益計上のモデル別に記載しております。

 

収益モデル

売上高(千円)

前年同期比(%)

リカーリング型モデル

3,454,920

114.1

セリング型モデル

347,722

122.8

合計

3,802,642

114.8

 

 

(注) 1.当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

第7期事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

第8期事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

西日本電信電話株式会社

355,510

10.7

49,486

1.0

 

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りを行うにあたり、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる結果をもたらす場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

財政状態に関する分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりです。

 

③ 経営成績の分析

経営成績に関する分析は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② 経営成績の状況」に記載のとおりです。

 

④ キャッシュ・フローの状況の分析

キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

⑥ 資本の財源及び資金の流動性について

当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金需要のうち主なものは、当社サービスを拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費、また研究開発に係る費用であります。これらの資金については自己資金にて充当する方針です。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、人工知能を活用した画像認識技術や独自の匿名化技術等、専門的な知識とノウハウ、特許を有しており、それらをベースとしたAIプラットフォームの研究開発を行っております。また、それをさらに普遍化した高度なアルゴリズムの研究開発に取り組んでおります。

社内体制としては、大手IT企業での研究開発職、大学での専門的なディープラーニングの研究など高い専門性を有するメンバーが在籍し、研究開発に従事しております。

 

当事業年度における研究開発費の主な内容は、研究開発における人件費、サーバー費用等の131,518千円になります。

なお、当社は人工知能事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

当事業年度の研究開発活動は、以下のとおりであります。

(1) AnyData

当社が持つ製品技術を統合し、あらゆるデータを活用してAIが自律的に学習し、新しいAIモデルを生み出すソリューションの研究開発を行いました。

(2) AI inside Cube

クラウドにアクセスすることなくユーザの元でAI処理を行う、エッジコンピューティング用ハードウェアの研究開発を行いました。