第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは、「非鉄金属の取引を通じて、新たな価値を創造し、社会の発展に貢献します」を企業理念としており、「新たな素材へ」「新たな市場へ」「新たなサービスへ」「新たな分野へ」をモットーに掲げ、法令・企業倫理を遵守し、公明正大かつ透明性の高い経営を行いながら、一方で株主、取引先、従業員、地域社会との良好な関係を維持しつつ、地域社会に留まらず世界から信頼される企業を目指すべく活動を行っております。

(2)経営成績に重要な影響を与える要因について

国内外の経済環境は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が終息に向かいつつあるものの、ロシアによるウクライナ侵攻等に伴う地政学的リスクの高まりや資源価格の高騰が長期化の様相を呈し、今後の景気回復に影響を及ぼすことが懸念され、期を通して不透明な状況がさらに続くものと予想されます。当社を取り巻く事業環境は、引続き自動車、半導体関連需要の拡大が継続する一方で、物流の混乱や原材料の供給不足の解消には相応の時間を要することが見込まれ、上述のマクロ的要因も併せて今後の動向に注視する必要があります。

このような環境において、当社グループでは半導体需要の更なる増加及び自動車の電動化に伴う新たな加工部品の発生に伴い、商社流通における電子・電池材料、アルミ圧延品・伸銅品、及び製造における金属精密加工部品、自動車向け材料、化成品等の出荷は、一時的な停滞や落込みが想定されるものの、中長期的には増加していくものと見込んでおります。当社グループは引続き「電子部品」「半導体」「自動車」を中期経営計画の注力すべき成長3事業分野として掲げ、商社流通及び製造の既存事業における営業収益力向上を目指す他、製造グループ会社における生産効率向上のための設備拡張投資、M&A、そして新たな成長機会を創出する施策としてコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)を通じたスタートアップ企業への投資及び育成を推進し、更なる企業価値の向上に努めてまいります。

(3)当面の対処すべき課題の内容等

当社グループは中期経営計画において次に掲げる経営方針を全体戦略として位置づけ、連結ベースでの企業価値向上と持続的成長を目指してまいります。そのため、数値化した具体的な経営目標を設定し、「取り組むべき課題」と「目標達成のためのアクションプラン」を掲げ、積極的かつ大胆に実行することで目標の達成に努めてまいります。

 

(全体像とビジョン)

① 基本理念

 「夢みた未来を描く」

 アルコニックスは、非鉄金属の取引を通じて、「新たな価値=夢みた未来」を創造し、社会の発展に貢献します。

② 企業理念

 アルコニックスは、商社と製造業の両輪での事業展開を通じて新たな可能性に挑戦し続け、社会の発展に貢献します。

③ 経営理念(行動規範、価値観)

a.法令・企業倫理を順守し、公明正大かつ透明性の高い経営を行い、誠実で信頼されるグループへ成長します。

b.株主、取引先、従業員、地域社会との良好な関係を維持し、「良き企業市民」としての責務を果たします。

c.3R(Reduce、Reuse、Recycle)関連事業を中核として、資源循環型・環境配慮型社会の発展に貢献するとともに、新たな「環境親和型ビジネス」の創出に挑戦します。

d.高い専門性を持つ人材の育成を図り、活力に溢れ、洗練されたグループを目指します。

④ 中期経営計画「VISION」

アルコニックスは商社機能と製造業を融合する総合企業を目指します。

a.豊かな社会の構築への貢献

b.循環型・環境配慮型社会の構築に貢献

c.商社と製造業の融合による新たな未来の創出に貢献

d.ガバナンスの高度化とオペレーションの標準化

中期経営計画「VISION」は2023年5月26日に開示した中期経営計画2023にも適用されています。

 

⑤ 取組むべき課題

a.財務体質の強化

b.人的資本の強化

c.ガバナンスの改善・強化

⑥ アクションプラン

a.既存事業における営業収益力の強化

b.投資案件の再構築

c.インフラ整備及び内部統制の充実・強化

 

(数値目標:中期経営計画最終年度となる2025年度)

連結営業利益       122億円以上(2023年度見通し 84億円)

連結経常利益       120億円以上(2023年度見通し 82億円)

連結当期純利益       79億円以上(2023年度見通し 55億円)

EBITDA       160億円以上

ROE(株主資本利益率)   12%以上

ROIC(投下資本利益率)  6%以上

DOE(株主資本配当率)    3%以上

 

(取組むべき課題)

①財務体質の強化

ア 既存事業(電子機能材、アルミ銅、装置材料、金属加工の4セグメント)の収益力を強化します。

イ ROE(株主資本利益率)12%以上を目指します。また、ROIC(投下資本利益率)は 当社が想定する資本コストを考慮し、恒常的に6%以上を目指します。2022年度より新たなKPIとして採用したDOE(株主資本配当率)は3%以上を目指します。

ウ 資金調達手段の多様化。グループキャッシュマネジメントシステムの強化を行い、資金流動性の確保と資金コストの低減を図ります。

エ 当社は、グループ全体の収益性向上と適切な資本政策・財務戦略を両輪として追求していくことが1株当たり純資産(BPS)を上回る適正株価の形成、すなわち中長期的なPBR(株価純資産倍率)1倍以上の維持・拡大に必要であると考えております。これを実現するため、ROE、ROICの目標達成、資本コスト(WACC)を上回るROICの維持、DOE3%以上の株主還元を目指します。

②人的資源の強化(=人的資本の強化)

ア 優秀な「人財」確保のため、3つのK(給与、研修、機会)が魅力的な企業グループになることを目指します。

イ 当社が重視するグループ経営、投資戦略の実行に必要なスキルを洗い出し、施策の維持及び補完、並びに強化するための「人財」を確保します。

ウ 人事体系、評価体系の継続的な見直しをします。

エ グループ総合力を底上げするような人事異動、人事交流、及び社員研修の実施、さらにはリスキリング(新しい知識やスキルの習得)の機会を付与します。

③ガバナンスの強化

ア 当社はCⅹO制度による経営体制を導入しており、代表取締役会長執行役員CEOと代表取締役社長執行役員COOのTwo-Top体制による執行の役割分担を明確化し、コーポレートガバナンスの更なる強化を図ります。

イ 企業経営経験者、公認会計士、弁護士等多岐にわたる豊富な専門的知識及び経験を有する社外役員(4名の取締役及び3名の監査役)による、業務執行(CxO体制)とは独立した立場からのモニタリングを強化し、プライム企業として一段高い水準でのグループガバナンスの実現を目指します。また引き続きグループガバナンスの充実・強化のためのグループ内組織再編を推進します。

ウ グループ会社幹部社員への研修を実施します(コンプライアンス教育、コンプライアンスハンドブックの配付など)。

 

(アクションプラン)

①既存事業における営業収益力の強化

ア 当社は非鉄金属の専門商社をルーツとする「商社流通」からスタートし、その後のM&A・事業投資を積極的に推進したことにより当社の新たな事業である「製造」が加わり、「商社流通-電子機能材」「商社流通-アルミ銅」「製造-装置材料」「製造-金属加工」の現在の姿に成長しました。当社はこの4つの既存事業における成長スピードと事業価値をさらに高めるために以下の施策に取り組みます。

・収益面や投資回収における具体的なKPI(目標値)を設定

・資金流動性の改善(グループキャッシュマネジメントシステムの導入)

・顧客の共有化(営業力強化の支援とマーケティングソースの共有)

・グループ間での人的、技術的交流

イ 当社グループのここ数年の躍進の原動力となった3つの事業分野、すなわち電子部品関連分野、半導体関連分野、自動車関連分野という成長分野における取組みを引続き強化します。また、業界構造の転換が著しい自動車用素材については、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)、ハイブリッドカー向けの商材等の更なる開発やCASEの浸透に向けた各種商材の取扱いを拡大していきます。

ウ 当社の海外子会社を基点として、現地進出の日系企業及び現地企業との地場取引の拡大を図る他、三国間取引を拡大し、グローバル展開による連結経営での収益拡大を目指します。

②投資戦略の推進と再構築

ア 当社グループを取り巻く環境が、ロシア・ウクライナ問題の長期化に伴う地政学リスクの高まりなどで不透明性、不確実性が増している中、次なる分野・柱を創出すること、及び既存事業の更なる強化に補完的機能を付与するため、有効な施策と位置付ける資本提携やM&Aを継続します。

イ 日本の製造業は地政学的要因等で生産拠点の日本回帰、既存事業の衰退から新分野へのシフト、中小製造業の後継者問題や廃業等、大きな転換点に差し掛かっており、当社は優れた技術力、ノウハウを有する国内中小製造会社を承継するべくM&Aや事業投資を行い、日本の製造業の底上げに貢献します。

ウ 新たな商流、分野、素材、及びモノづくり支援による成長機会の獲得のために、当社と当社の連結子会社で組成したコーポレートベンチャーキャピタル(アルコニックスグローバルイノベーションファンド)を積極的に活用します。

エ 製造子会社における設備拡張投資、生産性向上のための自動化システム等の導入をPMIとして実施します。

オ 環境関連に対応した分野において投融資、M&Aなどを絡めた事業の強化を行います。またアルミ、銅スクラップの国内ヤードオペレーションの拡大を目指し、ベースメタルからレアメタル・レアアースまでを含むリサイクル、資源循環事業を展開します。

カ 投資の実績評価を客観的に測定するべくROIC(投下資本利益率)をKPIとして重視します。

③インフラ整備及び内部統制の充実・強化

ア 当社は、自社のサステナビリティに取組むためサステナビリティ委員会、及び同委員会の事務局組織となるサステナビリティ推進室を中心に、サステナビリティ及びESG(環境活動、社会貢献活動を含む)の方針に基づく気候変動、人事労務及び環境に関する全社的な指針、施策を策定します。

イ 当社は情報システムを重要な事業活動上のインフラとして位置付けており、企業を対象としたサイバー攻撃はグローバル展開を行う当社にとっても重大な関心の一つと考えています。当社は情報システム部を中心に情報セキュリティマネジメントの在り方を検討し継続的なIT設備投資を行う他、情報管理体制の充実を図ります。

ウ 当社と国内外グループ会社全体を網羅した「グローバル内部通報制度」を積極的に活用し、法令違反の未然防止と内部統制システム上のリスク低減を目指し当該制度及びシステムの更なる充実を図ります。

エ 自然災害や感染症等を想定したテレワーク、フレックスタイム等の勤務体系の多様化を推進し、遠隔勤務に備えたBCPプランの策定と充実を図ることで、緊急事態発生時における基幹業務の早期復旧と継続を可能とする強固な業務システムの構築、及び維持に努めます。

オ 適時開示体制について、更なる充実を図るため社内教育などで浸透を図ります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループは、「非鉄金属の取引を通じて、新たな価値を創造し、社会の発展に貢献します」という企業理念のもと、グローバルにビジネスを展開しています。私たちを取り巻く環境は、気候変動や資源の枯渇、紛争、人権侵害といった社会課題が深刻化・多様化しています。これらの課題解決に向けて、「地球・社会・人」への貢献と経済的価値の創出を両立するビジネスモデルを構築することが、企業価値向上につながると考えます。また、当社グループの企業活動はステークホルダーの皆さまによって支えられています。そのため、全てのステークホルダーの皆さまとの共存共栄を実現すべく、これまで培ってきた非鉄金属の知見やノウハウを活かし、当社グループだからこそ生み出せる価値のあるモノ・サービスを提供していくことが必要不可欠です。このような認識の下、当社グループは社会的価値と経済的価値を同時に追求し、地球環境や社会と当社グループ両方の持続的な発展を目指します。

 

  (当社グループのサステナビリティに関する体系図と基本方針)

0102010_001.png

 

(1)ガバナンス体制

  当社グループのサステナビリティにおけるガバナンス体制は以下の通りであります。

  ・サステナビリティ委員会

   代表取締役会長執行役員CEOが委員長、経営会議のメンバーである社内取締役5名が委員、常勤監査役がオブザーバーとして発足しました。2023年4月1日より、取締役常務執行役員CSOが委員長を務めております。

 

  (当委員会の主な取り組み項目)

   1.サステナビリティ全社方針やESG各トピックスに関する指針の制定

   2.サステナビリティに関するリスクと機会の特定と検証

   3.気候変動対策・環境保全のための指針や施策の考案

   4.労働環境是正・社内のダイバーシティ向上のための指針や施策の考案

   5.人権・環境についてのサプライチェーン・マネジメントの実施と結果分析

   6.1.~5.を踏まえた、当社グループ経営へのサステナビリティの反映に向けた助言の作成と提案

   7.サステナビリティ基本方針やESG関連企画の社内での周知、研修や実務支援の実施

   8.実施したESG関連企画の進捗状況・目標達成状況の監視、問題点の測定と改善策作成

   9.当社のESG関連対外開示の支援、TCFDシナリオ分析等の実施とESG評価スコアの改善

   10.当社事業やサステナビリティ取組みについての、取引先・調査会社からの問い合わせ処理機能の整備、問い合わせ内容の分析と今後の対応の検討

 

  ・サステナビリティ推進室

   中長期的な企業価値向上を実現するための施策を、部門横断的に検証する機関として、営業部門とコーポレート部門の若手社員を中心としたメンバーで構成され、当社グループのサステナビリティを推進しています。

 

0102010_002.png

 

(2)戦略

 ①「人財」戦略

  当社グループは、当社グループのサステナビリティにおける優先取組み項目を示すマテリアリティ(重要課題)を特定し、特定されたマテリアリティに真摯に取組み、サステナビリティ基本方針で掲げる社会的課題の解決と持続的な企業価値向上を目指すことを「サステナビリティにおける戦略」としております。

  マテリアリティの特定に当たっては、まずサステナビリティ推進室で国際ガイドラインやESG評価機関の評価基準、投資家とのミーティング結果を踏まえ、当社グループが持続可能な成長を遂げるための課題点を議論しました。そして、サステナビリティ推進室での協議報告をもとに、サステナビリティ委員会及び取締役会で社外役員や社外有識者からの意見も踏まえ項目を整理し、当社グループにおけるマテリアリティを4つ特定しました。特に、商社流通業を祖業とする当社の価値創造の源泉は従業員一人ひとりが発揮するスキルにあるという考えのもと、「H」(Human Capital=「人財」)を最重要項目として選定し、人的資本の抜本的な強化を特記しています。今後も当社グループは、社会情勢の動向やステークホルダーとの対話を通じて、マテリアリティの精緻化や、課題解決に向けた取組みを推進していきます。

0102010_003.png

0102010_004.png

 

・人的資本への取組(マテリアリティ最重要項目)

  当社グループは商社流通業を祖業としており、前項のマテリアリティ特定において当社の価値創造の源泉は従業員一人ひとりが発揮するスキルにあるという考えのもと、「H」(Human Capital=「人財」)を最重要項目として選定し、「人財」の重要性を強く認識しております。特に当社グループの製造セグメントに所属する国内外製造子会社群においても、価値創出の源泉はやはり「人財」であると認識しております。当社グループはマテリアリティ特定の際に、人的資本の強化を目的に、ESGにHuman Capitalの「H」を追加し、その「H」を最重要項目として位置づけています。今後は従業員の給与・待遇の向上やスキルを最大限発揮できる環境整備として教育・研修の体系化、個性を尊重した機会の提供、評価制度の導入など、人的資本の強化に対する具体的なアクションプランを策定していきます。

0102010_005.png

  (ダイバーシティ&インクルージョン推進)

   当社グループでは、従業員の多様な価値観・働き方を尊重し、一人ひとりが能力を最大限に発揮できる、魅力ある職場づくりを推進しています。

 

  (女性活躍推進)

   全ての従業員が活躍できる組織を目指すために女性従業員の活躍を推進していきます。働き方に関する既存制度の見直しや必要に応じた新制度を導入し、女性のキャリア形成や継続支援に積極的に取組んでいきます。

 

0102010_006.png

 

 ②環境親和型ビジネスの推進

  当社グループの主力商材であるアルミニウムや銅などの非鉄金属は、近年、自動車・EVの軽量化・燃費向上等に不可欠な素材として、注目されています。しかしその一方で、生産工程における膨大な電力消費による環境負荷の高まりや、資源枯渇・採掘量の縮小に対する安定供給の維持という課題も顕在化しています。当社グループは課題を解決するべく、アルミニウム・銅のリサイクル事業に積極的に関わる等、再生・再利用までの取組みを推進し、環境親和型ビジネスを構築しています。例えば、アルミニウムスクラップを溶解して再生地金を生産する工程では、ボーキサイトから抽出したアルミナを精錬し新地金を生産する場合に比べ、電力消費量を約97%削減でき、環境への影響を大幅に抑制できます。

 

  脱炭素やIoT化の進展に伴い、非鉄金属のニーズは今後ますます増加すると予想され、それに伴い、資源のリサイクルやリユースの重要性も一層高まります。当社は創業以来培った非鉄金属リサイクル事業の知見と実績を活かして、材料・部品のトレーディング、さらに回収・再生・再利用までを完結するプラットフォームを構築し、グループ内で資源が循環する「クローズド・リサイクル」の実現を目指します。その仕組みの構築に向けて、M&Aや北九州におけるリサイクル施設用地取得等、設備投資による機能の拡充や、コーポレートベンチャーキャピタルを通じた新技術の育成を図る「補完型投資」を強化します。これらの施策を適切に実行し、今後も脱炭素・環境親和型ビジネスの推進を継続します。

 

(3)リスク管理

  ・気候変動への取組み

  当社グループでは、前項のマテリアリティの特定における「E 脱炭素・資源循環といった環境親和型ビジネスを推進する」において、地球の資源を取扱う当社グループとして積極的に気候変動への取組を推進しております。特にこの気候変動という予測困難で不確実な事象に関するリスクと機会を特定し、それらのリスクや機会がどのように当社グループへ影響を及ぼし得るのかを確認するために、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース「Task Force on Climate-related Financial Disclosures」)の枠組みに基づき、当社の注力領域である自動車関連取引についてシナリオ分析を実施いたしました。今後は他の注力領域においてもシナリオ分析を実施し、当社グループにおけるリスクと機会を確認していきます。

 

0102010_007.png

0102010_008.png

 

(4)指標及び目標

  当社グループでは前項の「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む「人財」の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は次の通りであります。

 

指標

目標

(2026年3月期)

実績

(当連結会計年度)

管理職に占める女性労働者の割合

5%

3.7%

男性労働者の育児休業取得率

100%

66.7%

労働者の男女の賃金の差異

(注)2.

全従業員60.0

管理職73.5 総合職93.3

全従業員53.8

教育研修費

4,500万円

1,300万円

(注)1.実績、目標共に単体の数値です。

   2.男性従業員を100とした場合の女性従業員の数値です。実績値は男女の人数構成及び職群でのばらつきによるものです。同一職群の場合、男女間の賃金格差はありません。

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスク要因に該当しない事項につきましても、投資判断あるいは当社グループの事業活動を理解する上で重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループはこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項記載事項及びそれ以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えます。また、以下の記載は当社株式への投資に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。
 なお、本項中の記載内容については、特に断りがない限り本有価証券報告書提出日現在の事項であり、将来に関する事項は同日現在において当社が判断したものであります。

(1)マクロ経済環境の影響による業績変動のリスク

 当社グループのビジネスは、国内における商品売買をはじめとして、輸出入・三国間による貿易取引等、多様な商取引形態を有し、非鉄金属製品の輸出入及び国内取引における仲介事業に加えて、非鉄金属の資源・素材原料の調達から商品の販売にわたる幅広い事業を展開しています。世界的あるいは特定の地域の景気減速は、商品、素材原料の流通量の減少と価格の低下、個人消費や設備投資の低下をもたらします。特に日本及びアジアの景気減速は、当社グループが取扱う商品に対する需要動向に影響が大きいことから、当社グループの事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(2)商品の販売形態にかかるリスク

 当社グループは、商社流通セグメントにおいて、アルミニウム、銅、チタン、バルブ等の非鉄金属製品、電子材料及び非鉄原材料、レアアース等レアメタルの直送(出合)取引及び在庫取引を行っております。
 直送(出合)取引は、当社グループが需要家の注文をメーカーに繋ぐ販売形態であり、商品は、需要家とメーカーとの間で合意された価格、数量、納期等の取引条件に基づき、メーカーより需要家に直接納入されます。この取引は、当社グループの主たる販売形態であるため取扱金額は多額でありますが、当社グループで在庫リスクを負担しないことから、在庫取引と比較して相対的に収益が低い販売形態であります。
 一方、在庫取引は、大半が需要家の依頼により当社が在庫を保有する取引であり、当社は在庫リスクを負いませんが(売り契約のある在庫取引)、一部の在庫取引では当社グループが予め不特定多数の需要家からの一定期間内の注文を想定して在庫を保有する販売形態であり(売り契約のない在庫取引)、商品は、メーカーから当社グループの倉庫に納入され、需要家からの注文を受けて当社グループより需要家に納入いたします。銅管、金属珪素、マグネシウム及びアルミ原料等の汎用仕様非鉄金属製品、素材、レアアース等レアメタルにおいて生じる販売形態であり、取扱金額は売り契約のある在庫取引に比べて少額となりますが、当社グループが在庫リスクを負担することから、相対的に収益が高い販売形態であります。
 上記の直送(出合)取引において当社グループは、主としてメーカーにとっての与信機能及びメーカーと需要家双方が希望する代金決済機能を果たしております。この取引では、商品はメーカーから需要家へ直送されるため、新規取引開始時の確認などの特別な場合を除き、商社が商品の現物を直接確認することはありません。当社グループでは、原則として需要家からの商品受領報告があることをメーカーへの支払条件とすることで、需要家からの支払が受けられない恐れのある商品の仕入・債務認識のリスクを回避しております。しかしながら当社が関与した取引について、メーカーの出荷認識や品質認識などにおいて需要家と認識の相違や齟齬が生じた場合には、当社グループにおいてその内容や発生原因を確認の上調整し、双方の合意を得る役割が生じることがあります。さらにメーカーと需要家双方の認識の相違が調整されない場合に紛争もしくは係争となる可能性があり、取引の当事者として解決のために負担する費用、金銭の支払が当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(3)相場変動が与える業績への影響に対するリスク

①非鉄市況の変動に起因するリスク
 当社グループの主要取扱商品であるアルミニウム、銅等の非鉄金属の価格は国際市況によって変動しております。当社グループにおいては合意された取引条件をもとにメーカーと需要家を繋ぐ直送(出合)取引及び売り契約のある在庫取引が主体であるため、価格変動リスクは需要家またはメーカーが負担するシステムとなっており、基本的には非鉄金属市況変動には直接影響されにくい事業構造となっております。

 しかし、銅管、金属珪素、マグネシウム及びアルミ原料等の汎用仕様非鉄金属製品、素材、レアアース等レアメタルにおいて一部当社のリスク負担による売り契約のない在庫取引においては市況変動の影響を受ける可能性があります。当社グループといたしましては、当該リスクを回避するべく、市況の影響を極小化するための適時適量の購買、在庫の圧縮、販売価格への転嫁等に努めておりますが、市況が短期的に大幅に変動した場合には、当社グループの連結損益の悪化、棚卸資産の帳簿価額下落等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②為替相場の変動に起因するリスク
 当社グループが行う外貨建決済の貿易取引(日本からの輸出・日本への輸入及び三国間取引)と、海外子会社等の業績及び財務状況の当社の連結決算への反映は、為替相場の変動の影響を受けることがあります。
 当社グループでは、当該リスクを回避するべく為替リスクが帰属する外貨建取引について、原則として為替予約により取引金額を確定することで為替相場の変動による期間業績への影響の抑制を図っておりますが、為替相場の変動の影響を完全に排除することはできません。

 

③金利変動に起因するリスク
 当社グループは、取引先に対する信用供与に伴う資金立替え及び顧客のための在庫保有、また子会社の設立及び運営を含む投融資等の必要資金の多くを金融機関等からの借入金で賄っております。当社グループといたしましては、受取手形の流動化等により有利子負債の圧縮に努めるとともに、キャッシュ・マネジメントの効率化による金融コストの低減、金利上昇時には増加金融コストの顧客への転嫁等を図ることで当該リスクを回避する手段を講じておりますが、金融情勢の急変及び当社グループの信用の低下等により完全に金利変動による影響を排除できない場合には、当社グループの連結損益の悪化、有利子負債の増加等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(4)現行の取引関係が変化するリスク

 日本では非鉄金属メーカーから需要家までの商品流通に、取扱商社が介在するのが一般的であり、メーカー毎や需要家毎に特定の商社が継続して取引することが慣行となっております。商社は取引に介在することにより貿易事務、需要家とメーカー双方の決済条件の充足等の機能を提供しておりますが、この取引形態は将来にわたって継続する保証はありません。そのためメーカーと需要家とが直接取引することとなった場合には、商社は介在の機会を失い、商権及び収益を失う可能性が考えられます。
 また、メーカーや需要家の統合が起きた場合には、統合後のメーカーや需要家に対して統合前の複数の流通ルートが競合することになります。当社グループは商社として機能を発揮しメーカーと需要家相互にメリットが出せる提案を行ってまいりますが、メーカー側や需要家側の業界再編により非鉄金属業界の事業環境に大きな変化が生じた場合には、商権喪失に伴う減収による連結損益の悪化等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(5)在庫保有に対するリスク

 当社グループは、特定の取引先と売り契約を結んで在庫として保有する特定仕様在庫があります。このような商品は、需要家とメーカーと当社グループが、予め商品仕様、供給数量、価格条件等を合意しておくため、通常においては商品が販売できないリスク及び市況の変動の影響を受けるリスクは低いものであります。しかしながら、需要家の倒産など履行に障害が生じた場合には、特定仕様商品であるために当初の価格での転売が困難となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループでは不特定多数の需要家向けの銅管、ガリウムメタル、金属珪素、マグネシウム及びアルミ原料等の汎用仕様非鉄金属製品・素材、レアアース等レアメタルの一部において取引を見越して売り契約のない在庫を保有しており、販売価格は市況の変動による影響を受けることがあります。そのため当社グループでは当該リスクを回避するべく相場の動向に十分な留意を払いつつ在庫数量の圧縮や適時に販売価格の改定を行うことにより収益の確保を図っております。しかしながら、当社グループの予測を上回るような大幅な価格下落が生じること、あるいは販売価格の改定等が遅れた場合、連結売上高の減少、棚卸資産の帳簿価額下落等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(6)営業活動によるキャッシュ・フローの変動について

当社グループの営業活動において、輸出取引では輸送中の商品、輸入取引では未着商品が、各々の取引条件によっては期末時点の棚卸資産の増減に影響する可能性があります。

 また、輸入取引の増加は、国内取引との比較で仕入債務回転期間が短縮される傾向があり、仕入債務の減少につながる可能性があります。

 当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローの実績は、当連結会計年度は226百万円の増加、前連結会計年度は3,329百万円の減少となっております。当連結会計年度は税金等調整前当期純利益と仕入債務の減少、棚卸資産の増加、売上債権等の増加等がある一方、減価償却費及びのれん償却額等の増加により、前期に比べ3,555百万円の増加となりました。

 当社グループは、引続き商社流通における電子材料・半導体、及び製造セグメントにおける装置材料並びに金属加工事業等、収益力が見込める分野を強化することにより安定的なキャッシュ・フローに努めてまいりますが、今後も市況の変動や需給のバランス等により当社グループの期末の売上債権残高、棚卸資産残高、及び仕入債務残高が前期末との比較において変動した場合には、営業活動によるキャッシュ・フローが大きく変動する可能性があります。

 

(7)販売先の信用リスク

 当社グループは、国内・海外に有している多数の販売先に対して独自の評価基準による与信限度枠を設け信用状態の把握・管理をする等適切な対処をすることでリスクの低減に努めておりますが、それにもかかわらず破綻や倒産等により売上債権等が回収困難となった場合、貸倒の増加による連結損益の悪化並びに貸倒引当金の追加計上等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(8)仕入先の契約履行能力に係るリスク

 当社グループは国内・海外に有している多数の仕入先において、新規取引開始時もしくは多額かつ長期の仕入契約を締結する場合、契約した商品の供給が条件どおり履行されない等、取引上の事故の予防を目的として経営状況の調査・取引関係の変化等を把握・管理しております。しかしながら仕入先の破綻や倒産等により契約不履行となった場合、当社グループが販売先に対して納品責任を果たすために当社グループは別の取引先による別の取引条件で商品を仕入れることが必要となる場合があり、当該リスクの顕在化により連結損益の悪化等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(9)特定の仕入先への依存に係るリスク

 当社グループは主力取扱品であるアルミ及び銅等の製品を株式会社神戸製鋼所グループより仕入れており、同社グループからの仕入高に占める割合は6.4%となっております。また同社グループは2023年3月31日現在、当社発行済株式総数の3.31%を所有しております。当社グループは今後も緊密な情報交換と連携に努めながら良好な関係を保ちつつ取引を行ってまいりますが、将来的に同社グループとの取引関係において変化が生じた場合は当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(10)特定の供給国による輸出政策変更に係るリスク

 当社グループが取扱うチタン、タングステン、モリブデン、タンタル、レアアース等レアメタルの主要産出国は中国、ロシア、カザフスタン等と偏在性があり、これらの国々のサプライヤーから長年にわたり購入をしております。
 これらの国々が将来的に輸出政策を変更して、同産出品の課税や輸出制限の強化、または禁止措置等が実施された場合、従来通りの仕入が困難となることが想定されます。当社グループは万が一の場合に備えて原産地ごとのカントリーエクスポージャーを定期的にモニタリングしつつ、仕入先や取引形態の多様化、代替候補先検討等を講じておりますが、当社グループの予想を超える政策の急変等が生じた場合、供給責任が果たせないことに伴う売上減少等の損益悪化等、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(11)金融市場の逼迫等により資金調達が困難となるリスク

 当社グループは事業資金を金融機関からの借入や受取手形の流動化によって調達しております。また今後の金利上昇に対応するため、従来の短期借入金を長期借入金にシフトをする等、金融市場の影響によるリスクの分散に努めておりますが、当社グループの予想を大幅に超えるような金融情勢の急変により金融市場が逼迫した場合、あるいは当社グループの信用が低下した場合には資金調達が制約されるとともに当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(12)カントリーリスクの高い国における顧客との取引に関するリスク

 当社グループは、貿易または海外投融資の相手国の政策変更、政治・社会・経済環境等の変化により、債権または投融資の回収が不能または困難になるリスクを有しております。その対策として、外部格付機関の格付けをもとにカントリーリスクの高い国を指定し、リスクの把握とともに合理的な範囲でリスク回避を講じていますが、相手国の輸出入規制が変更された場合等においては、契約条件の変更や契約解消の可能性があります。また、相手国の政策変更や外貨事情等により相手国政府が対外送金を停止した場合、代金または投融資が回収できない事態となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

(13)コンプライアンスリスク(法的規制及び法律遵守)

 当社グループは国内での営業取引のみならず、外国企業との輸出入取引及び三国間貿易を行っている関係上、日本及び諸外国の法令等による諸規制を遵守しております。当社グループが事業活動において受ける法令等による諸規制の主なものは独占禁止、不公正取引規制、環境保護、為替管理、関税及びその他の租税、輸出入活動(国家安全保障上の規制を含む)に係るもので、免許・届出・許認可等が必要とされているものも含まれます。具体的には輸出貿易管理令に基づく特別一般包括輸出許可、建設業法に基づく特定建設業の許可、及び大阪府金属くず営業条例に基づく許可を受けており、また毒物及び劇物取締法に基づく毒物劇物一般販売業・輸入業の登録、並びに麻薬及び向精神薬取締法に基づく輸出業者業務届を行っております。

 

 また、当社グループでは海外(タイ、香港、米国、中国、ドイツ、マレーシア、台湾、ベトナム、シンガポール、韓国、メキシコ)で現地法人を設立し事業を行っております。一般的に、海外に現地法人を設立して事業運営する場合には、当該国での特異な法令の存在または法令の欠如、法令の予期しえない解釈、法規・規制の新設や改訂等によって、法令遵守のため当該現地法人の負担が増加するリスクがあります。そのため国内外の法令等の遵守並びに運用状況・改訂動向に関する情報収集には万全を期しており、社内ではコンプライアンス委員会を設け、規程の完備や社内での啓蒙及び教育の徹底を推進しておりますが、それにもかかわらず関連法規の大幅な変更、予期しない解釈の適用等が実施された場合、または法律及び諸規制を遵守することができなかったため、当社グループが債務を負うことや、免許・届出・認可等の取消し等一定期間の停止を含む罰則の適用を受けること、その他事業の中断を含む公的命令を受けたために、その後の事業の継続の障害となり、信用の低下を被る事態に陥った場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(14)製造物責任に関するリスク

 当社グループは原材料を取引先であるメーカーに納入し、メーカーがそれらの原材料を使用して製品を製造しております。それらが最終製品となり、一般消費者に渡り消費者が何らかの被害を被った場合には、通常は製造業者が責任を負うこととなりますが、当社グループも輸入業者でかつ国内取扱業者であることを原因として責任を負う可能性があります。当社及び国内子会社は製造物責任賠償保険を付保しておりますが、保険金額でカバー不能な損害賠償責任が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(15)訴訟等に関するリスク

 当社グループの営業活動において、不測の事態により国内外における訴訟や仲裁等の法的手続きの対象となる可能性があります。当社グループでは、顧問弁護士等外部の専門家と緊密に連携しリスクに対応できる体制を構築しております。しかしながら、これら法的手続きの結果のいかんにより、当社グループにおいて信用毀損が生じる場合があり、これにより当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(16)投資等が業績に影響を及ぼすことに関するリスク

 当社グループは、国内外の連結子会社、及び合弁事業や投資企業等を多数保有しており、現在更なる事業の拡充や投融資案件を推進しておりますが、期待した成果が上がらず、または事業そのものの頓挫、グループ会社における経営管理面にて発生する法務、会計、コンプライアンス上の諸問題に対する対応、撤退や縮小により損失が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

① のれんの取得に関するリスク

 当社が業容拡大のため株式取得(M&A)や事業譲受を受ける場合に取得したのれんは、将来の超過収益力として無形固定資産に計上し、会計方針に基づき効果が発現する期間の5年間または10年間で定額法により償却を行っておりますが、その後、のれん計上の対象となった連結子会社または事業において、取引先の方針変更等で取引関係が全部または部分的に消滅、または取引先の与信リスクが増加した場合等、当社の判断において取引継続を断念すること等により本来想定していた収益計画が恒常的に下回る場合、本来の収益力に見合った価値まで減損損失を認識する可能性があります。当社は2023年3月末現在における連結財務諸表の無形固定資産に1,357百万円ののれんを計上しておりますが、上記の事象が発生した場合、のれんの減損処理に伴う当社グループの損益悪化等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

② 子会社及び関連会社への出資

 当社は、子会社の設立や取得、合弁事業への投資については、充分な事前調査を実施した上で実行しておりますが、それにもかかわらず、当初期待したとおりの成果が上がらず、事業そのものが頓挫、グループ会社における経営管理面にて発生する法務、会計、コンプライアンス上の諸問題に対する対応、あるいは長期にわたり業績が低迷し、撤退や縮小、出資の減損処理が必要となる可能性があります。また、既に投資している事業会社に対して、将来、増資や貸付・保証等の信用供与を行う必要が生じ、資金負担が当初の投資額を上回る可能性があります。当社グループは当連結会計年度末現在、流通子会社20社、製造子会社40社、計60社で構成されており、当社は連結子会社への経営管理体制の定期的なモニタリングを実施し適宜、会計面、コンプライアンス面を中心とした指導を行うことでリスクの軽減に努めておりますが、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

③ 株式の保有などに伴う株価変動リスク
 当社グループは、取引先を中心に市場性のある株式を保有しておりますので、株価の変動により財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。また非上場株式についても投資先の業績が低迷し減損処理の必要性が生じた場合には、同じく当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このため、当社は保有株式については、各投資先企業の業績や財務状況並びに取引状況等を精査し、継続して保有することが適切か、また保有する便益がリスクに見合ったものかどうか、リスク管理委員会において十分な討議を経た後、取締役会にて縮減を含めた保有継続の可否を判断しております。

 

④ 子会社の設備投資

 当社は現在、メーカーに対するM&Aを積極的に進めており、グループ内における製造分野を強化することにより、新たな商流の創出を推進しております。子会社化したメーカーは、取引先のニーズに応えるため継続的な設備投資を行っており、当連結会計年度に生産設備を中心とした5,800百万円の設備投資を行いました。今後も当社中期経営計画の設備投資方針において投資効率を考慮した設備投資を推進いたします。しかしながら、設備投資完了後において、国内外における景気動向により需要が大幅に変動した場合、生産設備の稼働率が減少し、当初予定していた生産計画通りに進まず、投資額の回収が困難になる場合があります。このほか既存設備の陳腐化、老朽化により修繕、廃棄等により多額の資金負担が発生する場合、予期せぬ運転資金の減少、減損損失の発生に伴う当社グループの損益悪化等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(17)長期性資産の減損損失に関するリスク

 当社グループは、有形固定資産、のれん等の長期性資産の連結貸借対照表計上額について、当該資産の公正価値が資産の帳簿価額を超過しているかどうか定期的に検討しておりますが、当該資産が生み出す将来キャッシュ・フローが悪化した場合は減損損失を認識することが考えられます。特に当社グループでは製造子会社が多くの生産設備を保有しており、キャッシュ・フローの悪化に伴う減損損失を認識した場合、有形固定資産の使用価値毀損、並びに当社グループの損益悪化等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(18)情報システム・情報セキュリティに関するリスク

 当社グループは、情報システム部を中心にネットワークインフラの整備や、社内情報共有システムの導入及びネットワークセキュリティに関する対策等を進めております。また更なるネットワーク環境と堅固なセキュリティ体制の構築を進めておりますが、外部からの不正アクセスやウイルス感染による個人情報を含めた情報資産の漏洩や予期せぬ障害により、情報システムが正常に稼動しない事態が発生した場合には、取引の中断等の営業活動への支障等、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(19)自然災害や感染症の感染拡大に伴う当社グループへの影響について

自然災害や政府が指定する新たな感染症(以下、感染症)の影響に関して、当社グループは現時点では、様々なリスクを想定した上で事業活動を行なっております。

自然災害、及び感染症は経済、企業活動に広範な影響を与える事象であり、現時点で当社グループにおける業績への影響を見通すことは極めて困難でありますが、点検・訓練の実施、調達手段の多様化、テレワーク・遠隔勤務に備えたBCPプランの策定等、事業リスクの最小化に向けた施策を推進しております。しかしながら自然災害や感染症等による従業員や施設・設備等への直接的な被害、また感染症の感染拡大に伴う事業活動の制限等が長期化し、内外経済活動並びに需要への影響が想定以上に広がりをみせた場合、主要需要先との取引減少、サプライチェーンの混乱による仕入先や当社グループ各社の事業停滞等が予想され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 また、当社の中期経営計画は1年ごとに更新するローリング方式を採用しており、2024年3月期を初年度とする中期経営計画については、2023年3月期連結経営成績における感染症の影響による主要取引先の事業環境、事業活動制限に伴うサプライチェーンの状況、及び主要産業の一時的な需要減少を考慮し算出された予想数値で策定しております。その計画数値につきましては「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)当面の対処すべき課題の内容等」をご参照ください。

 なお、将来において、これらの見積り及び仮定とは異なる結果となる可能性があります。

(20)役員・社員の内部統制に係るリスク

 当社グループは、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンス及びリスク管理を経営上の重要な課題と位置付けており、その一環として当社及びグループ会社にてコンププライアンス研修を継続的に展開しております。業務運営においては役員・社員の不正及び不法行為の防止に万全を期しておりますが、万一かかる行為が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

1.業績等の概要

(1)業績

当連結会計年度における国内外の経済情勢は、中国経済の減速やウクライナ情勢の長期化の他、期を通じて高止まりを続けるエネルギー・資源価格、円安等に伴うインフレの加速や各国での金利上昇もあり、総じて先行き不透明な状況で推移いたしました。

当社グループを取巻く業界では、幅広い用途で需要が拡大してきた半導体・電子部品が当連結会計年度後半以降、それら需要の一服感と、世界的なインフレからくるユーザーの購買力低下等によりスマートフォンをはじめとしたエレクトロニクス製品の販売が減速し、これに伴い一部の半導体製造装置に受注調整が生じる等、需要は低調に推移いたしました。また、自動車関連は当連結会計年度後半に入り部品調達不足の緩和や完成車メーカーによる増産が計画され需要増加に期待感が高まったものの、断続的なサプライチェーンの混乱や台風等自然災害の影響等により国内生産が伸び悩み、本格的な回復基調には至りませんでした。

このような経済環境のもと、当社グループの売上高においては半導体製造装置向け金属加工部品、めっき材料等の出荷、及び電子部品、半導体材料等向けニッケル製品、アルミ圧延品の取扱高が前期に比べ増加いたしましたが、国内自動車生産の低迷の影響を受けた精密金属プレス部品、関連材料の出荷は前期に比べ減少いたしました。損益面においては、円安やエネルギー価格及び原材料価格高騰による仕入価格の上昇や連結子会社の新規取込に伴う販売費及び一般管理費の増加等により営業利益及び経常利益は前期比で減益となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、製造子会社の株式取得に伴う負ののれん発生益を特別利益に計上したものの、税金費用を控除した結果、前期比で減益となりました。

 

当連結会計年度における主な経営成績は次のとおりであります。

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比増減額

(百万円)

前期比増減率

(%)

売上高

156,286

178,333

22,046

14.1

営業利益

11,020

8,393

△2,627

△23.8

経常利益

11,009

8,176

△2,832

△25.7

親会社株主に帰属する

当期純利益

7,507

5,488

△2,019

△26.9

 

当連結会計年度におけるセグメントの業績は次のとおりであります。また、各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおります。

 

 

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

前期比増減額

(百万円)

前期比増減率

(%)

商社流通

-電子機能材

売上高

36,806

42,161

5,354

14.5

セグメント利益

4,273

3,601

△672

△15.7

商社流通

-アルミ銅

売上高

60,848

66,804

5,956

9.8

セグメント利益

2,032

1,171

△861

△42.4

製造

-装置材料

売上高

36,269

42,464

6,194

17.1

セグメント利益

1,245

998

△247

△19.8

製造

-金属加工

売上高

27,532

29,715

2,182

7.9

セグメント利益

3,449

2,416

△1,033

△30.0

 

・商社流通-電子機能材事業

電子部品向け部材及び半導体材料等向けニッケル製品は幅広い用途での需要増加を受けて取扱高は堅調に推移いたしましたが、二次電池材料は、世界的なスマートフォン関連需要の減速の影響により前期に比べ取扱高が大きく減少いたしました。一方、レアメタル・レアアースは、自動車関連の低調な生産の影響を受けて取扱数量は伸び悩みましたが、市況の上昇等もあり売上及び利益は前期に比べ増加いたしました。

 

・商社流通-アルミ銅事業

製品分野においては、堅調な国内建設需要を背景にアルミ圧延品の取扱いが前期に比べ増加いたしましたが、IT関連需要の減速等により電子部品向けを中心とした伸銅品の取扱いが前期に比べ減少いたしました。原料分野においては、低調な自動車生産の影響により銅・アルミスクラップ及びアルミ再生塊の取扱数量は共に前期に比べ減少いたしました。

・製造-装置材料事業

材料分野においては、米国及び中国の両拠点におけるめっき材料の需要拡大と市況上昇により出荷が前期に比べ増加いたしました。装置分野においては、探傷剤及びペイント等消耗材料の出荷が国内外で堅調でありましたが、自動車を中心とした部品の調達不足による顧客の操業低下等の影響により非破壊検査及びマーキング双方における装置需要が落ち込み、出荷が前期に比べ減少いたしました。

・製造-金属加工事業

精密切削加工部品は半導体製造装置のうちプロセス用処理装置の出荷・販売が高水準に推移し、また生産現場の自動化、EVを含む脱炭素関連の設備投資需要を取り込み、出荷が堅調に推移いたしました。また、半導体実装装置向け精密研削加工部品の出荷は、世界的なスマートフォン向け需要の減速の影響を受けて低調でありました。一方、精密金属プレス部品は顧客からの引合は強い一方で低調な自動車生産の影響を受け、出荷は前期に比べ減少いたしました。なお、2022年11月に連結子会社化し、当第4四半期より収益を取込んだ株式会社ソーデナガノの車載向けリチウムイオン電池用プレス部品は概ね当初の計画通りに推移いたしました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ129百万円減少し、25,814百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

キャッシュ・フローの状況

 営業活動による
キャッシュ・フロー

 営業活動によるキャッシュ・フローは226百万円の増加(前期比3,555百万円の増加)となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益8,473百万円、及びのれん償却を含む減価償却費等4,851百万円であります。また主な減少要因は法人税等の支払額4,961百万円、仕入債務の減少額4,537百万円、棚卸資産の増加額3,924百万円、及び連結子会社の株式取得に伴う負ののれん発生益346百万円であります。

 投資活動による
キャッシュ・フロー

 投資活動によるキャッシュ・フローは7,045百万円の減少(前期比3,788百万円の減少)となりました。主な増加要因は投資有価証券の売却による収入157百万円であります。また主な減少要因は製造子会社を中心とした設備増強に伴う有形及び無形固定資産の取得による支出4,790百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,030百万円、及び投資有価証券の取得による支出476百万円であります。

 財務活動による
キャッシュ・フロー

 財務活動によるキャッシュ・フローは5,896百万円の増加(前期比135百万円の増加)となりました。主な増加要因は短期借入金の純増加額5,383百万円、及びコマーシャル・ペーパー(CP)の発行による増加額1,997百万円、及び長期借入金の純増加額251百万円であります。また主な減少要因は配当金の支払額1,631百万円、及び社債の償還による支出149百万円であります。

 

(3)仕入及び販売の実績

①仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

仕入高(百万円)

前年同期比(%)

電子機能材事業

38,073

102.5

アルミ銅事業

59,634

104.9

装置材料事業

29,029

116.9

金属加工事業

14,161

115.8

合計

140,898

107.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.金額は実際仕入価格によっております。

 

②販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 セグメントの名称

 当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

販売高(百万円)

前年同期比(%)

電子機能材事業

41,418

122.9

アルミ銅事業

65,861

110.5

装置材料事業

41,783

116.8

金属加工事業

29,269

107.7

合計

178,333

114.1

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度において総販売実績販売比率が10%を超過する販売先はありません。

 

 

2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

(2)当連結会計年度の経営成績の分析

・財政状態

① 流動資産

当連結会計年度における流動資産は144,212百万円であり、前連結会計年度末比9,092百万円の増加となりました。主な内訳は棚卸資産の増加5,736百万円、受取手形及び売掛金の増加3,067百万円、及び現金及び預金の増加303百万円であります。

② 固定資産

当連結会計年度における固定資産は47,677百万円であり、前連結会計年度末比6,360百万円の増加となりました。主な内訳は、有形固定資産の増加6,932百万円、無形固定資産の償却による減少950百万円、及び投資その他の資産の増加378百万円であります。

③ 流動負債

当連結会計年度における流動負債は100,348百万円であり、前連結会計年度末比5,704百万円の増加となりました。主な内訳は短期借入金の増加7,175百万円、コマーシャル・ペーパーの増加1,997百万円、支払手形及び買掛金の減少2,497百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少1,126百万円、及び未払法人税等の減少1,047百万円であります。

④ 固定負債

当連結会計年度における固定負債は28,494百万円であり、前連結会計年度末比4,032百万円の増加となりました。主な内訳は長期借入金の増加2,129百万円、長期未払金の増加1,474百万円、及び社債の減少75百万円であります。

⑤ 純資産

当連結会計年度における純資産は63,047百万円であり、前連結会計年度末比5,716百万円の増加となりました。主な内訳は利益剰余金の増加3,834百万円、為替換算調整勘定の増加2,210百万円、繰延ヘッジ損益の減少341百万円、及び上場株式の時価評価等によるその他有価証券評価差額金の減少103百万円であります。

・経営成績

① 売上高

商社流通では半導体材料向けニッケル製品、アルミ圧延品の取扱いが前期に比べ増加いたしましたが、IT関連機器需要の減少により電子材料向け伸銅品、及び自動車生産の低迷の影響によりアルミ原料、銅スクラップ等の非鉄原料の取扱いが前期に比べ減少いたしました。

製造では半導体実装装置向け精密研削加工部品がスマートフォン向け需要の減速の影響を受けて出荷が前期に比べ減少いたしましたが、半導体製造装置向け精密切削加工部品及びめっき材料の出荷が堅調に推移いたしました。しかし自動車向け需要の減少により精密金属プレス部品、カーボンブラシ等素材、非破壊検査及びマーキング等の出荷は前期に比べ減少いたしました。なお、当連結会計年度に連結子会社化した株式会社ソーデナガノの車載向けリチウムイオン電池用プレス部品の収益を取込みました。

この結果、当連結会計年度における売上高は178,333百万円(前期比14.1%増加)となりました。

② 売上総利益

増収であったものの、円安によるインフレやエネルギー・資源価格の高止まりに起因した仕入コストの上昇等により、当連結会計年度における売上総利益は25,075百万円(前期比2.7%減少)となりました。

③ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度に連結子会社化したジュピター工業株式会社及び株式会社ソーデナガノの損益取込み、及び営業費用の費消が前期に比べ増加し、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は16,682百万円(前期比13.1%増加)となりました。

④ 営業利益

 上記の結果、当連結会計年度における営業利益は8,393百万円(前期比23.8%減少)となりました。

⑤ 営業外収益、営業外費用

支払利息の増加等により、営業外収支(営業外収益-営業外費用)は216百万円の支出超となりました。(前期は11百万円の支出超)。

⑥ 経常利益

上記の結果、当連結会計年度における経常利益は8,176百万円(前期比25.7%減少)となりました。

 

⑦ 特別利益、特別損失

製造子会社の株式取得に伴う負ののれん発生益、及び投資有価証券売却益等による特別利益581百万円を計上する一方、連結子会社によるのれんの一時償却、及び固定資産除却損等の特別損失284百万円を計上いたしました。

⑧ 親会社株主に帰属する当期純利益

税金等調整前当期純利益8,473百万円から法人税等2,934百万円、連結子会社15社における非支配株主に帰属する当期純利益50百万円を差引き、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は5,488百万円(前期比26.9%減少)となりました。

(3)経営戦略の現状と見通し

当社グループは中期経営計画に掲げるVISION「商社機能と製造業を融合する総合企業」を目指し、連結ベースでの企業価値向上と持続的成長の実現に向けて以下の施策を推進しております。

(営業収益力の強化)

①グループ企業間のシナジー

従来型の商社の枠組みを越え、M&Aや事業投資により製造セグメントの事業拡充を図り、商社機能との融合、及び製造セグメント内の企業間シナジーにより営業収益力の飛躍的アップを目指します。

②成長事業の収益力強化

当社グループの飛躍的な成長の原動力となった電子部品関連分野、半導体関連分野、自動車関連分野という3つの事業を重点分野として引き続き強化いたします。

(電子部品関連)

結晶材料、金属粉末、液晶や電池用材料、半導体周辺素材、機能化学品等、次世代自動車や移動通信システム(5G)の普及、及びさらなるAIやIoTの深化に欠かせない電子材料と電子部品分野での取組を強化いたします。

(半導体関連)

IoTの深化に伴い、半導体実装装置を含む半導体製造装置の需要はさらに成長を続けるものと予測されます。この分野の素材調達は商社流通セグメントにおいて、また部品加工と供給は製造セグメントにおいて、セグメントを横断する連携を深めながら取組を強化いたします。

(自動車関連)

・自動車の電装化、パワートレイン系の多様化に伴い、素材、部品等の構成が変化をとげております。これら変化をキャッチアップし、それぞれのセグメントにおいて関連の商品への取組を強化いたします。

・自動車の素材については、燃料電池車(FCV)、電気自動車(EV)、ハイブリッドカー向けの商材等の更なる開発やCASEの浸透に向けた各種商材の取扱いを拡大していきます。

③環境対応関連分野

環境対応に関連した分野において投融資を絡めて事業の強化を図ります。アルミ・銅スクラップの国内ヤードオペレーションに加え、ベースメタルからレアメタル・レアアースまでを含むリサイクル事業のグローバル展開を推進いたします。

④海外事業展開

当社の海外子会社を基点として、現地進出の日系企業及び現地企業との地場取引の拡大を図る他、三国間取引を拡大し、グローバル展開による連結経営での収益拡大を目指します。

(投資案件の推進)

①M&A

業容拡大の柱として、国内外におけるM&Aを積極的に推進しております。M&Aは短期間での連結利益獲得と当社グループとのシナジーによる新たな商流の創出を実現する当社グループの最重要施策であります。当社は現在、「商社機能と製造業を融合する総合企業」を目指すべく、製造業を中心としたM&Aを推進しており、ニッチでありながら優れた技術力を持つ製造業を連結子会社化するとともに当社グループ内にて再編を行い、当社の営業力とグローバルネットワークをフルに活用した新たな商流の開拓を進めてまいります。当連結会計年度においては、2022年4月27日に電子部品用精密コネクタ金属端子部品等を製造するジュピター工業株式会社、及び同年11月30日に車載向けリチウムイオン電池用プレス部品を製造する株式会社ソーデナガノの各社における発行済株式の全てを取得し連結子会社化いたしました。当社グループの金属加工セグメントと親和性の高いこれら2社を当社グループとしたことで、更なるグループ間シナジーが期待されます。当社は引続き製造業を中心としたM&Aにより事業分野の拡充を進めることに加え、既存事業における生産性向上のための設備拡張投資を推進し、安定的な収益力の強化を目指してまいります。

 

②事業投資

新たな商流の創出、資源確保を目的として国内外事業への投融資を行っており、今後も金属・化学品分野を中心とする事業投資並びに合弁事業設立を推進いたします。また、新たな商流、分野、素材を手掛ける有望なスタートアップ企業や事業の開拓、及びモノづくり支援による成長機会の獲得のために設立したコーポレートベンチャーキャピタル「アルコニックスグローバルイノベーションファンド投資事業有限責任組合」を積極的に活用し「先端・高成長分野での事業取組機会の確保」「素材、モノづくり分野での当社プレゼンスの拡大」「事業投資から生じる財務収益の取込み」を運営目的とし、当社グループにおける新たな価値の創造とシナジーの向上を目指してまいります。

 なお、2023年3月期の連結業績をふまえ、新たに数値目標を刷新した2026年3月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、引き続き積極的にM&Aや事業投資を実施し業容拡大を図りつつ、経営環境の変化にすばやく対応でき、安定収益と持続的成長を可能とする事業基盤を確立してまいります。具体的な数値目標及びその施策につきましては「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、(3)当面の対処すべき課題の内容等」をご参照ください。

(4)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な運転資金需要は在庫の購入費用、製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また投資を目的とした資金需要は、M&A並びに事業投資に係る株式取得関連費用、及び連結子会社化後の製造子会社による設備投資費用等であります。当社グループはこれらの資金需要に応じて金融機関からの短期及び長期の借入、コマーシャル・ペーパーの発行による資金調達手段の多様化の他、グループ全体での資金効率向上のため導入したCMSの活用等、流動性の確保と資金コストの低減を図っております。

なお、当社グループでは財務体質の強化を図るべく、資金調達手段の多様化、及び運転資金の適正化によるフリーキャッシュ・フローの黒字化定着を基本方針としております。具体的な資金の流動性については「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.業績等の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

(5)経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するよう努めておりますが、当社グループを取り巻く事業環境を鑑みますと、メーカー間での事業統合を含めた合従連衡、国内生産拠点の海外移転に伴う製造業の空洞化並びに輸出の低迷、地政学的リスクの高まり、非鉄金属の中で代替商品の開発等が予想を超えるスピードで進むこと等の要因により当社グループが収益機会を逸することが懸念されます。これらの問題に対応するため、当社グループは高い専門性を持つ人材の育成に努めるとともに常にアンテナを高くして顧客ニーズを先取りし「新たな素材へ」「新たな市場へ」「新たなサービスへ」「新たな分野へ」をモットーに挑戦し続けることで、当社グループのプレゼンスを向上できるものと確信しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

(株式会社ソーデナガノの株式取得に関する契約の締結)

 当社は2022年4月26日の取締役会決議に基づき、同日付に売主であり創業者である同社代表取締役早出 隆幸氏との間で株式会社ソーデナガノ株式の譲渡契約を締結いたしました。詳細につきましては「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」をご参照ください。

 

6【研究開発活動】

 当連結会計年度における研究開発費の総額は348百万円であり、主な研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次の通りであります。

・製造-装置材料事業

 当事業セグメントに所属するマークテック株式会社において、非破壊検査事業及びマーキング事業(主に水性ペイント用印字装置)に関わる装置及び化学品の設計、開発及び改良を行っており、当該事業に係る研究開発費は164百万円であります。

 また株式会社富士カーボン製造所において、カーボンブラシ製品及び特殊炭素製品に使用する原材料、製造手法の新規開発・改良、また当該製品の評価手法の改善・確立を行っており、当該事業に係る研究開発費は77百万円であります。

・製造-金属加工事業

 当事業セグメントに所属する株式会社富士プレスにおいて、金属プレス加工に関する開発及び改良を行っており、当該事業に係る研究開発費は48百万円であります。また、ジュピター工業株式会社において、中国拠点にてプレス用金型の開発及び試作を行なっており、当該事業に係る研究開発費は47百万円です。