当社グループの企業ビジョンはKAYAKU spirit「最良の製品を不断の進歩と良心の結合により社会に提供し続けること」です。また当社グループのありたい姿は、「KAYAKU spiritのもと、存在感をもって、永続的に環境、社会、全てのステークホルダーに幸せやうれしさを提供できる会社であること」です。2022年4月1日に制定したサステナブル経営基本方針に基づき、コーポレート・ガバナンス、コンプライアンスをベースに、事業活動を通じて持続可能な環境と社会の実現に貢献するサステナブル経営を実践しております。このサステナブル経営の実践が、当社グループの経済的価値及び環境・社会的価値を向上し、ありたい姿、またその先のKAYAKU spiritの実現に繋がると考えております。
2022年4月より4ヵ年中期事業計画" KAYAKU Vision 2025(KV25) "をスタートいたしました。機能化学品事業、セイフティシステムズ事業では2025年を、医薬事業、アグロ事業では2030年を「ありたい姿=Vision」の到達点とし、そのゴールに向けてのロードマップを策定しております。
本中期事業計画では、そのロードマップを着実に実行し、最終年度の2025年度に売上高2,300億円、営業利益265億円、ROE8%以上、ROIC 10%以上の目標を確実に達成すべく取り組んでおります。そのために、全社重要課題として「新事業・新製品創出」、「気候変動対応」、「DX」、「仕事改革」、「働き方改革」の5つを定めました。これらの課題に対して、全社横断的組織を作り、課題解決に取り組んでおります。
「新事業・新製品創出」では、4事業と連携し既存組織の壁を越えて新事業・新製品の創出をより一層加速してまいります。「気候変動対応」では、温室効果ガス排出量削減やカーボンニュートラルの取組目標を設定し、気候変動リスク対策を進めてまいります。「DX」では最新ITを活用し、業務プロセス変革により売上拡大やコストダウンを実現してまいります。「仕事改革」では、A3 (KAIZEN)活動を通した仕事の効率化や生産性向上により資産効率と稼ぐ力を高めてまいります。「働き方改革」では、社員一人ひとりが活力をもって仕事ができるよう働き方改革と人事制度改革を進め、社員のエンゲージメントを高めてまいります。
これらの取組と合わせて、各事業のありたい姿到達に向けて、引き続き積極的な研究開発投資と設備投資を続けてまいります。特に新事業・新製品創出はモビリティ、環境エネルギー、エレクトロニクス、ライフサイエンス領域で自社技術に拘らずオープンイノベーションや製品導入、事業提携、M&Aなどの外部経営資源を取り込むための戦略的投資も精力的に検討してまいります。
当期の世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響からの正常化が見られた一方で、ロシアのウクライナ侵攻、燃料・資源高による世界的なインフレ進行、欧米を中心とした金融引き締めによる為替市況の変化等により、一層先行きの不透明感が増しました。
機能化学品産業においては、急速なデジタル技術の進歩により、次世代高速通信(5G/6G)デバイス等のデジタル機器の高機能化や自動車の高度電装化に伴う半導体関連部材のニーズが高まっております。また、世界的な省エネ・省資源の流れの中で、地球環境に配慮した新素材やリサイクル技術の開発が求められております。当期の半導体市場は第2四半期までは堅調であったものの第3四半期以降は在庫調整等の影響が見られました。
医薬品産業においては、革新的創薬により我が国の健康寿命の延伸に寄与するとともに、医薬品の品質確保・安定供給を通じて、国民が安心して良質な医療を受けられる社会を次世代へと引き継いでいくことが求められています。これらの実現のために、医薬品の研究・開発・製造・供給を迅速かつ安定的に行うことが期待されています。一方で、医療費等の社会保障費増加により財政が逼迫し、薬剤費を含む医療費の抑制政策がさらに厳しさを増す中、持続可能な医療の実現が課題となっています。
自動車産業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による世界的な需要低迷から回復が見られたものの、国内市場をはじめ一部地域では半導体の供給不足の影響による自動車の減産が続く等、依然不透明な状況にありました。自動車生産の回復には部品供給の早期正常化が求められております。
このような状況の中、当社グループは2022年度より中期事業計画“KAYAKU Vision 2025”をスタートいたしました。事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取組を進めております。
<機能化学品事業>
本事業では、機能性材料事業では次世代高速通信システム(5G/6G)の普及や自動車の高度電装化に向けた基板用高機能樹脂、炭素繊維強化プラスチック用エポキシ樹脂、半導体用クリーナー、色素材料事業では産業用インクジェット用インクをはじめ車載・イメージセンサー用機能性色素、調光ガラス用二色性色素、触媒事業では省エネ・省資源に貢献するアクリル酸やメタクリル酸製造用高収率触媒、水素社会の実現に貢献する太陽光を利用した完全グリーンな水素製造用触媒、ポラテクノ事業では車載領域で求められるヘッドアップディスプレイ用高耐久偏光板、高出力のX線分析装置部材といった特徴ある製品の開発に取り組んでまいります。
<医薬事業>
本事業では、肺がんに対するバイオ医薬品「ポートラーザ®」、血液がんに対する「ダルビアス®」、光線力学診断用剤「アラグリオ®」等の新薬の市場浸透を図ります。抗体バイオシミラーと製剤工夫した特徴のあるジェネリック医薬品を含めたがん関連領域での製品ラインアップの拡充と、安定供給、品質保証体制の更なる強化に取り組んでまいります。
<セイフティシステムズ事業>
本事業では、エアバッグ用インフレータやシートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブ、歩行者保護ボンネット跳ね上げ装置用アクチュエータ、無人航空機用安全装置等の新製品開発に努めてまいります。また、電気自動車をはじめ自動運転技術の急速な進化に対応した安全部品の開発にも注力してまいります。
<その他>
アグロ事業では、製剤技術を特徴とした製品ラインナップ拡充に努めてまいります。
コーポレートガバナンス・コードへの対応をはじめ、グループ経営の強化やコンプライアンスの徹底など内部統制の充実に努め、健全で透明性・公正性の高い経営を実行してまいります。また、女性、外国人、キャリア採用者の活躍促進を含めた人材の育成・活用を推進し、多様な意見が尊重され、働きがいのある、心理的安全性の高い職場を作ってまいります。併せて、2022年4月1日に定めた日本化薬グループ人権方針に則り、すべての取引関係者とともに人権を尊重した責任あるサプライチェーンを築いてまいります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナブル経営基本方針
私たち日本化薬グループは、企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、経営の透明性・公正性を確保し、事業活動を通じて持続可能な環境・社会の実現に貢献することで、すべてのステークホルダーの信頼に応えるサステナブル経営を実践します。
(2) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理
当社グループは取締役会の直接監督のもと、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議を設置し、グループ全体でサステナビリティの取組を推進しております。サステナブル経営会議は、原則として週1回開催しており、企業・社会・環境のサステナビリティ全般に関わる事項の審議及び報告を受けております。審議事項はサステナブル経営会議の承認を経て、取締役会に審議・報告しております。コーポレート・ガバナンス体制の一環として、倫理委員会、危機管理委員会、環境・安全・品質経営推進委員会、研究経営委員会の4委員会を設置しております。各委員会は定例かつ必要に応じて開催し、サステナブル経営会議へ審議及び報告することにより、経営の透明性・公正性を確保しております。
(3) 重要なサステナビリティ項目
上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
① 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への対応
当社グループは化学製品を創出する企業として気候変動を国際社会の重要な課題と認識し、地球環境への責任を積極的に果たしていくべきと考えております。2020年7月には温室効果ガス削減の中期環境目標を定め、サステナブル経営を一層推進する中期事業計画KV25の開始に合わせて、2022年3月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しました。
気候変動対応チームは、2050年のカーボンニュートラル達成を基本的な方針として、全社的な温室効果ガス削減の取組を進めております。計画の推進にあたっては、従来からの省エネルギー活動を深化させるとともに、新たに分散型電力を導入する環境投資や、エネルギー転換のための技術的調査などを、計画的かつ着実に実施する必要があります。また、生産部門だけではなく、事業部門はもとより調達や情報開示に係る間接部門を含めて、全社一丸となって取り組むことが重要と考えております。
当社グループは気候変動対応の活動を通じて、持続可能な社会実現と将来の事業機会創出の双方を追求することにより、更なる企業価値の向上を目指しながら、グローバルな環境問題の解決に貢献してまいります。
当社グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、将来の気候変動対応を含む事業計画等の審議及び活動状況の総括・評価を行っております。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会の監視・監督を受ける体制としております。また、気候変動対策の推進を統括する環境・安全・品質経営推進委員会(委員長:生産技術本部長)を組織し、グループ横断的な視点から、気候変動に関する課題についてより深めた議論を行っております。
当社グループでは、複数の事業をグローバルに展開しており、事業分野ごとに様々なリスクと機会を有しております。気候変動がもたらす各事業への影響を特定するため、TCFD提言に沿ってグループ全体の気候関連のリスクを評価し、さらに事業分野ごとの機会を検討しました。気候関連のリスクと機会を特定するにあたっては、リスクが出現する時期を以下のように定義しております。
気候関連の事業リスクについては、2℃シナリオと4℃シナリオの二つのシナリオに関して、国連IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による代表的濃度経路に関する将来シナリオ(RCP2.6,8.5シナリオ)、並びにIEA(国際エネルギー機関)によるSDS(持続可能な発展シナリオ)及びSTEPS(公表政策シナリオ)に基づき特定しました。
2℃シナリオにおける脱炭素経済への移行のリスク
4℃シナリオにおける物理的影響リスク
当社グループは、気候変動関連のサステナビリティ重要課題として「エネルギー消費量と温室効果ガス排出量の削減」を特定しております。取締役会、サステナブル経営会議、環境・安全・品質経営推進委員会で構成されるガバナンス体制のもと、気候変動対応チームが中心となって、気候変動リスクの特定・評価を行なうとともに、省エネや環境投資を積極的に推進するなど、具体的な計画を実行しております。
当社グループでは、気候変動のリスクに対する指標として、2030年度にグループの温室効果ガス排出量(Scope1及び2)の2019年度比32.5%削減をKPI(長期環境目標)としております。この達成のためにまず、KV25中の毎年の排出削減率3%を目指します。2030年以降、更なる削減を推進するために、サプライチェーン全体で削減を目指すための検討や、水素やアンモニアといったグリーンエネルギーへの転換に向けた事前調査などを行動計画に加えて、2050年のScope1カーボンニュートラルを目指します。
Scope1:事業者自らによる温室効果ガスの直接排出(燃料の燃焼、工業プロセス)
Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※2022年度は第三者検証中であり、速報値となります。確定値は第三者検証後に当社ホームページ(https://www.nipponkayaku.co.jp/)のサステナビリティサイトにて公開されます。
当社グループが、社会に対して果たすべき責任の一つは従業員の雇用の維持です。さらに事業活動の拡大を通じて雇用を増大させることが、当社が社会に存在する意義と考えます。
当社の成長の源泉は従業員の成長であり、従業員が最も重要な資産と考えております。自ら「成長したい」「学びたい」従業員に支援を行うことを通じて人材育成を図ってまいります。新たに人事制度にチャレンジ項目を取り入れ、従業員一人ひとりが個性を磨きながら知識と能力を伸ばす仕組みづくりを進めております。また、各種研修によるサポート体制も充実しており、仕事を通じて成長するための自律的変化を後押しし、個人の希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援してまいります。
当社グループは、代表取締役社長を議長とするサステナブル経営会議において、人的資本経営の取組等の審議及び活動状況の総括・評価を行っております。これらの審議、総括・評価の結果を取締役会へ報告し、取締役会の監視・監督を受ける体制としております。
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
人材育成方針
私たちは、企業ビジョンであるKAYAKU spiritのもと、サステナブル経営の実践を通じて、環境・社会的価値及び経済的価値を創造し、持続可能な環境・社会の実現と企業価値の向上を目指しています。
当社は、KAYAKU spiritを実現するために以下に掲げる人材育成方針を定めています。
・創造性・専門性を高め、自ら主体的に行動できる自律型人材の育成
・失敗を恐れず、環境変化に対し果敢にチャレンジできる人材の育成
・グローバルな視点を持って活躍できる人材の育成
人材育成方針を実現するために、当社は階層別集合教育や選抜教育、eラーニングなどさまざまな研修プログラムを用意し、人材の育成強化を推進しています。
社内環境整備方針
当社は、従業員がKAYAKU spiritに共感し、経営陣と相互に信頼し合いながら、やりがいや熱意を持ち活き活きと仕事ができるように、多様性を確保し、働きやすく働きがいのある職場風土を醸成して、従業員エンゲージメントを高めることを重視しています。
人事制度としては、年齢や性別、キャリア、学歴、国籍などにこだわらない職務配置と処遇を可能にする「ポジションクラス(職務等級)制度」や、管理職への登用において自発的にチャレンジできる制度を設け、役割と責任に基軸をおいたシステムを導入しています。
人材育成においても自ら「成長したい」「学びたい」従業員をサポートすることを通じて、従業員一人ひとりの自律的な成長を促し、個人の希望に沿った多彩なキャリアの実現を支援してまいります。
(注)方針は提出会社となります。
当社の具体的な施策は次のとおりであります。
男女共同参画
仕事と生活、子育て等の調和を図り、働きやすい職場環境の整備を行う次世代育成支援対策行動計画を策定し、男性の育児休業取得の推奨などの具体的な施策を実施して、継続的・発展的に女性の活躍を推進しております。
次世代の人材育成
次世代経営幹部の育成を目的とする日本化薬経営スクール(NBA)を実施しております。2001年を第1回として今年度で13回目を迎え、多くの経営幹部を輩出しております。
グローバル人材の活躍推進
当社グループは日本よりも海外従業員の数が多い人員構成になっております。このような環境で素早く的確に企業としての活動を進めるために、国内外という意識を取り払いグローバルな視点を持って、世界中どの場所でも活躍できる人材の育成が重要と考えております。働き方改革チームでは、KV25においてグローバル人材の育成強化の取組を始めました。海外勤務経験者や次世代の当社グループ経営幹部を育成する目的で実施している選抜研修のNBA受講者等を母集団として海外志向性の強い人材をリストアップするとともに、グローバル人材としての新卒採用及びキャリア採用を進めていきます。また、新たにグローバル人材育成プログラムを策定し、グローバルで活躍する人材の質・量の充実を目指しております。OJTや拠点ローテーション、複数の海外赴任を組み合わせるなど育成プログラムをより効果的なものになるように強化し、赴任前教育や異文化、商習慣についての教育などのサポート体制の拡充にも取り組んでおります。さらに、海外グループ会社の現地採用者の中からもグローバル人材を育てるために、経営方針の浸透と理解を進め、海外従業員へのサーベイによって、キャリア志向を調査・分析しております。KV25の重点課題として、このような育成・採用体制の確立に注力してまいります。
適切な人材配置 ~人材情報の見える化~
人材情報を見える化し、タイムリーで的確な人員配置を可能にすることを目的として、タレントマネジメントシステムを導入しました。マニュアル整備と従業員向け説明会を行い、2022年9月から運用を開始、適宜人事関連活動への適用を拡げていきます。評価履歴や自己アピール、資格、語学スキル、海外志向性、現職への適性などのデータを簡単に素早く把握できるほか、従業員の意識調査を行う手法の一つであるパルスサーベイによる従業員満足度・健康度の可視化や人事評価もシステム上で完結できるようになり、人事情報を一元管理することで、「働きやすく働き甲斐のある職場風土の醸成」や「グローバル人材の育成」と連携しやすくなります。教育・研修や1on1ミーティングと組み合わせて活用し、一人ひとりのキャリアビジョンを可視化することで人材の活躍を推進していきます。
人材の流動化が高まる中、採用競争力が低下して計画通りの人材獲得が進まなくなること、離職により組織の総合力が低下することが最大のリスクと考えております。当社グループの活動の主役は“人”であるとの考えの下、サステナビリティ重要課題として従業員一人ひとりの人権を尊重し、安心して働ける職場の中で仕事を通して成長することができる会社を目指して、働き方改革を推進することでリスク低減に努めております。取締役会、サステナブル経営会議で構成されるガバナンス体制のもと、働き方改革チームは、誰もが公平にチャレンジでき、公正に結果を評価されることにより、適正な配置・処遇につなげ、実感を伴う幸福感が得られる人事制度へ向けて改革を進めていきます。2021年度から2022年度にかけては、コロナ禍における働き方の変化に対応するべく速やかに制度を整備し、多様な働き方に対応するとともに、グローバル人材の活躍推進及び適切な人材配置の強化に注力しております。
上記「戦略」において記載した当社の人材育成方針及び社内環境整備方針に係る指標の管理と具体的な取組は当社では行われているものの、当社グループ全体としての記載は困難であります。このため、指標に関する目標及び実績は提出会社のものを記載しております。
当社において、指導的立場にある女性人材の割合を示す「女性管理職比率」をダイバーシティ推進のKPIとして追跡しております。少子化が進む日本においては、女性活躍の場を増やすことが社会的な課題です。女性が働きやすい環境を整備し、女性管理職を増やすことを目指しております。女性管理職比率は2024年度の目標を10.0%と定めており、2022年度実績は9.0%となっております。
男女共同参画のKPIとして、男性の育児休業取得率を追跡しております。男性の育児休業取得率は女性に比べて低いのが実情ですが、男性の育児休業取得を促進することで従業員の働き方やキャリア人材の獲得等へよい効果をもたらすと考え積極的に促進しております。プラチナくるみんの特例認定基準である50%を目標に設定しましたが、男性の育児休業取得を推進するための社内整備を更に進めた結果、2022年度実績は目標を超える69.6%となっております。
また、ワーク・ライフ・バランスの充実のKPIとして、有給休暇取得率を追跡しております。2021年度までの5年間、有給休暇取得率は約60%となっており、従業員の生産性及びモチベーションの向上、また優秀な人材の獲得には有給休暇取得率の向上が必要であると考えております。
「男女間賃金格差」の実績につきましては、第一部「企業情報」第1「企業の概況」の5「従業員の状況」に記載しております。
当社グループの事業を運営するにあたり、発生する可能性のあるリスクを把握し、対策を行うことでリスクの低減に努めております。
当社グループの経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に重要な影響を与えうるリスクには重要項目ごとに以下のようなものがあります。但し、これらは当連結会計年度末現在において当社グループが判断したもので、将来的に予想を超える事態が発生する場合もあり、当社グループに関する全てのリスクを網羅したものではありません。
① 経営戦略に係るリスク
当社グループの経営戦略に係るリスクには、次に示すような経営状況(経営成績、株価及び財政状態等)に直接影響を与える可能性のあるものがあります。
② 自然災害・気候変動対応に係るリスク
当社グループの自然災害・気候変動対応に係るリスクには人的、物的被害が生じ、事業継続に影響を与え、経営戦略に著しく影響を与える可能性があるものがあります。
③ コンプライアンスに係るリスク
コンプライアンス領域に係るリスクには、次に示すような企業の予期せぬ損失や信用の失墜を招く恐れのあることが考えられます。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、その作成には経営者による会計方針の選択・適用と、資産・負債及び収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りにあたっては過去の実績等を勘案し合理的な判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性によりこれらの見積りと異なる場合があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループは、2022年度より中期事業計画“KAYAKU Vision 2025”をスタートしました。事業ごとに定めた「ありたい姿=Vision」に向けたロードマップを実行するとともに、ありたい姿実現に向けて定めた全社重要課題に対し取組を進めております。
当連結会計年度の連結売上高は、医薬事業が前期を下回ったものの、機能化学品事業、セイフティシステムズ事業が前期を上回り、1,983億8千万円となり、前連結会計年度に比べ135億7千4百万円(7.3%)増加しました。当社の業績と比べると、当連結会計年度の連結売上高は当社の1.55倍となりました。
連結売上総利益は、667億5千2百万円となり、前連結会計年度に比べ27億8千4百万円(4.4%)増加しました。
販売費及び一般管理費は452億4千7百万円となり、前連結会計年度に比べ23億3千万円(5.4%)増加しました。
連結営業利益は、機能化学品事業が前期を下回ったものの、医薬事業、セイフティシステムズ事業が前期を上回り、215億5百万円となり、前連結会計年度に比べ4億5千4百万円(2.2%)増加しました。営業利益率は、前連結会計年度に比べ0.6ポイント悪化し、10.8%となりました。
営業外損益は、前連結会計年度に比べ5億8千2百万円減少し、15億2千万円の利益となりました。主な営業外損益の減少は為替差益4億2千5百万円であります。連結経常利益は、230億2千5百万円と前連結会計年度に比べ1億2千8百万円(0.6%)減少しました。
特別利益は、前連結会計年度に比べ4億7百万円減少し、13億7千7百万円となりました。主な減少は固定資産売却益9億6百万円であります。特別損失は、前連結会計年度に比べ21億9千2百万円増加し、34億3千1百万円となりました。主な増加は減損損失20億3千5百万円、投資有価証券評価損7千7百万円であります。税金等調整前当期純利益は、209億7千2百万円と前連結会計年度と比べ27億2千8百万円(11.5%)減少しました。
法人税等は、前連結会計年度に比べ5億2千6百万円減少し、59億2千9百万円となりました。法人税等の負担率は、前連結会計年度の27.24%から28.27%に増加しました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ5百万円減少し、5千7百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は149億8千4百万円となり、前連結会計年度と比べ21億9千6百万円(12.8%)減少しました。当社の業績と比べると、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は当社の1.19倍となりました。
経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
セグメントの業績は次のとおりであります。
売上高は816億9千6百万円となり、前連結会計年度に比べ45億4千3百万円(5.9%)増加しました。
機能性材料事業は、半導体関連部材となるエポキシ樹脂が民生向けに需要が第3四半期以降に落ち込んだものの、MEMS等の複合材が堅調に推移したことにより、機能性材料事業全体で前期を上回りました。
色素材料事業は、産業用インクジェットプリンタ用色素・インクの市況が回復基調にあったものの、テキスタイル用染料が低調であったことにより、色素材料事業全体で前期を下回りました。
触媒事業は国内、輸出ともに受注が堅調に推移したことにより前期を上回りました。
ポラテクノ事業は、染料系偏光フィルムが低調に推移したものの、X線分析装置用部材が堅調に推移し、また外貨建て売上の為替が有利となったことにより、ポラテクノ事業全体で前期並みとなりました。
セグメント利益は原材料の高騰等費用の増加により、105億8千6百万円となり、前連結会計年度に比べ9億1千4百万円(8.0%)減少しました。
売上高は517億1千1百万円となり、前連結会計年度に比べ3億7千1百万円(0.7%)減少しました。
国内向け製剤は、薬価改定等の影響を受けながらも、血液がんに対する新薬「ダルビアス®点滴静注用」を2022年8月に、抗体バイオシミラー「ベバシズマブBS」を2022年11月に上市し、製剤工夫した特徴のあるジェネリック抗がん薬「ペメトレキセド点滴静注液」、光線力学診断用剤「アラグリオ®顆粒剤分包」の好調な市場浸透が寄与し、ほぼ前期並みの結果となりました。
国内向け原薬、診断薬は、前期を上回りましたが、輸出、受託事業は、前期を下回りました。
セグメント利益は新製品などの売上寄与により、86億9千6百万円となり、前連結会計年度に比べ5千万円(0.6%)増加しました。
売上高は542億2千万円となり、前連結会計年度に比べ81億7百万円(17.6%)増加しました。
国内事業は、半導体不足等の影響による自動車の減産を受け需要が低調に推移したことにより、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータは前期を上回ったものの、エアバッグ用インフレータは前期を下回り、国内事業全体で前期を下回りました。
海外事業は、世界的なインフレ進行や半導体不足の影響を受ける一方で、各国の各種政策等により新型コロナウイルス感染症による世界的な需要低迷からの回復が続き、エアバッグ用インフレータ、シートベルトプリテンショナー用マイクロガスジェネレータ、スクイブは前期を上回りました。
セグメント利益は海外における需要の回復及び為替の影響による売上高の増加により、78億5千1百万円となり、前連結会計年度に比べ15億4千5百万円(24.5%)増加しました。
④その他
売上高は107億5千1百万円となり、前連結会計年度に比べ12億9千5百万円(13.7%)増加しました。
アグロ事業は、国内、輸出ともに前期を上回りました。
不動産事業は、前期並みとなりました。
セグメント利益は19億8千万円となり、前連結会計年度に比べ1億3千8百万円(7.5%)増加しました。
(生産、受注及び販売の状況)
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 生産金額は販売価格をもって算出しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b. 受注状況
当社グループ(当社及び連結子会社)では、受注生産によらず見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(中期事業計画の成果)
4ヵ年中期事業計画 KAYAKU Vision 2025 の初年度となる当連結会計年度は、売上高は過去最高の1,983億円、営業利益は215億円となりました。上期は売上高、営業利益ともに上期として過去最高となりましたが、下期は半導体関連市場の減速と国内自動車生産の落ち込み、また原材料、エネルギー価格の高騰等による費用の増加と半期ごとに事業環境が大きく変化いたしました。
そのような状況の中で設備投資は235億円、研究開発投資は133億円実施し、本中計の達成、また将来の事業拡大に向けて積極的な投資を行っています。
変化が激しく、原材料、エネルギー価格の高騰等厳しい事業環境の中ではありますが、本中計達成に向けて、機能化学品事業、医薬事業、セイフティシステムズ事業及びアグロ事業の4事業を中心として、更なる事業発展を目指してまいります。
4ヵ年中期事業計画 KAYAKU Vision 2025の初年度の成果は以下のとおりであります。
(単位:億円)
総資産は3,228億5千8百万円となり、前期末に比べ73億9千8百万円増加しました。主な増加は現金及び預金95億9千2百万円、商品及び製品94億3千3百万円、原材料及び貯蔵品58億5千7百万円、建設仮勘定22億8千8百万円であり、主な減少は有価証券88億9千万円、売掛金77億7千8百万円であります。
負債は678億3千1百万円となり、前期末に比べ12億2百万円減少しました。主な増加は長期借入金67億2千5百万円であり、主な減少は1年内償還予定の社債40億円、支払手形及び買掛金17億7千2百万円、繰延税金負債11億6千万円であります。
純資産は2,550億2千7百万円となり、前期末に比べ86億1百万円増加しました。主な増加は利益剰余金74億1千万円、為替換算調整勘定67億円であり、主な減少は自己株式28億9千9百万円であります。
セグメントの財政状態は次のとおりであります。
セグメント資産は、売掛金の減少により1,029億6千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億8千6百万円減少しました。
セグメント資産は、棚卸資産の増加により641億5百万円となり、前連結会計年度末に比べ59億7千1百万円増加しました。
セグメント資産は、現金及び預金の増加により856億8千3百万円となり、前連結会計年度末に比べ86億6千5百万円増加しました。
セグメント資産は、売掛金の減少により198億3千4百万円となり、前連結会計年度末に比べ6千9百万円減少しました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、200億3千9百万円の収入(前期は231億4千1百万円の収入)となりました。これは主に棚卸資産の増加が141億5千3百万円、法人税等の支払額が68億4千3百万円あったものの、税金等調整前当期純利益が209億7千2百万円、減価償却費が136億9千4百万円、売上債権の減少が81億6千4百万円あったことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、151億5千8百万円の支出(前期は106億4千1百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が122億2千1百万円、投資有価証券の取得による支出が27億9千7百万円あったことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、79億5千万円の支出(前期は110億9千万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入が100億円あったものの、配当金の支払額が75億5千万円、社債の償還による支出が40億円、自己株式の取得による支出が30億円、長期借入金の返済による支出が23億4千万円あったことによるものです。
以上の結果、当期における現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べ1億3千3百万円増加し、530億9千6百万円となりました。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの財務戦略は、経営目標・事業戦略に基づいて策定しており、事業が将来にわたり持続的に成長できる強い財務基盤を維持することを基本方針としております。資本コストを考慮しながら投資に必要な資金調達を行い、安定的な自己資本比率となる最適な財政状態を常に意識した財務活動を行います。企業ビジョンを実現するため、市場ニーズを的確にとらえ、経営資本を投入する事業・製品領域を明確化し、グローバルな成長市場で既存ビジネスの拡大と新事業・新製品の展開を加速させ、企業価値の向上を図ってまいります。また、サステナビリティ経営の観点から特定した重要課題(マテリアリティ)のもと、持続可能な開発目標(SDGs)を意識した運営を行い、全てのステークホルダーの満足を高め信頼される会社を目指します。
なお、今後の資本的支出の内容は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(3) その他の契約
当社グループは、研究開発を事業成長の原動力と捉え、積極的な研究開発活動を行っております。これまで培ってきた要素技術や基盤技術をさらに深化させ、新しい技術開発を加えて、生命と健康を守り、豊かな暮らしを支える新製品・新事業を創出し続けることで、社会に貢献し続けてまいります。
当連結会計年度における研究開発費は
当連結会計年度におけるセグメントごとの活動状況及び研究開発費は次のとおりであります。
(機能化学品事業)
機能化学品事業では、独自の素材開発とその複合化に継続して取り組んでおります。次世代高速通信に対応した高周波の伝送損失を低減できる低誘電樹脂素材や低誘電異種接着剤、熱膨張率を低減したMEMS用ドライフィルム、また、高画質かつ高速印刷を実現した産業用インクジェットインク、染料合成技術を利用した新規機能性色素、高活性でより長寿命なアクリル酸、メタクリル酸製造用触媒、車載ディスプレイ用の超高耐久偏光板を開発しております。
当事業に係る研究開発費は
(医薬事業)
医薬事業では、がん治療薬創出に向けた創薬プロジェクトが進行中であり、新規物質取得などの成果が出始めています。また、複数の社外研究機関に研究員を派遣し、共同研究を行いながら、新規技術の構築にも取り組んでいます。一方、ジェネリック抗がん薬では利便性に富む工夫製剤の開発に注力し、バイオシミラーを含めて医療費の適正化に貢献していきます。さらに、治療薬だけでなく体外診断薬の新製品開発にも力を入れており、診断・治療の両面から医療を支えるべく取り組んでおります。
当事業に係る研究開発費は
(セイフティシステムズ事業)
セイフティシステムズ事業では、当社創業時からの火薬技術を活かしたエアバッグ用インフレータ、シートベルト用マイクロガスジェネレータ、インフレータ/マイクロガスジェネレータ用のスクイブなどの自動車安全部品の開発を推進しております。中でも側突エアバッグ用インフレータについては、更なる安価軽量製品を目指し次世代品を開発中です。また既存領域に留まらず新たな自動車用安全デバイスに使用される火工品開発にも着手しております。さらに、新事業につながる新製品として、市場拡大が期待される産業用ドローンに向け、予期せぬ落下に対応した安全装置「PARASAFE®」の2021年度販売開始を皮切りに、様々な大きさのドローンに対応したラインナップの拡充や、空飛ぶ車向けの安全装置の開発にも着手しております。
当事業に係る研究開発費は
(その他)
アグロ事業では、新規殺虫剤の創薬を目指し研究開発を進める一方、安全性や使い勝手を高める製剤や、界面技術を応用した製品群の研究を進めています。また、農薬、肥料に次ぐ第3の資材として成長が期待される新規分野のバイオスティミュラントの研究を進める他、環境と共生する次世代農業へ貢献する微生物資材の研究にも取り組んでいます。
研究開発本部では特に環境エネルギー分野に注力し、スタートアップ企業やアカデミア(大学・産学連携の研究機関)などの外部の技術を積極的に導入・活用しながら、早期の新製品創出・新規事業創生に向けて研究開発活動を推進しております。具体的な活動として、2022年12月にUMI(ユニバーサル マテリアルズ インキュベーター株式会社)が運営するUMI3号投資事業有限責任組合に出資し、研究・開発に必要な要素技術をオープンイノベーションなどの社外との積極的な交流によって導入していきます。さらに2021年8月より電池用白金代替触媒の開発・事業化に向け、スタートアップ企業のAZUL Energy社と共同研究をしており、2023年2月に新たに業務提携をして研究開発を加速しております。また、その他新製品・新事業の創出を目指した研究開発のうち将来、大きな成長分野となることが期待できるテーマは、全社的な経営資源を戦略的に配分して社内外の技術・知的財産などの融合を進めており、当社グループの特長を活かしたコーポレート研究として取り組んでおります。
アグロ事業及びその他の研究開発費は