当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化し、化学製品のグローバル化、コモディティ化が進む一方、求められる機能も多様化しております。激しい変化に柔軟に対応し、さらなる成長を実現するため、2021年4月に長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」を定めたうえで、その最初の3ヵ年(2022年度-2024年度)計画として、2022年3月に中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」を策定しました。

( セグメント別の概況 )
マテリアルズ事業では、アクリル事業・吸水性樹脂(SAP)事業の競争激化により収益性が低下する中、収益力強化を目的に継続している「SAPサバイバルプロジェクト」は概ね計画通り進行中です。2021年度にスタートした酸化エチレン(EO)及びその誘導品への水平展開(EOレジリエンスプロジェクト)も進めており、2024年度の目標達成に向け、収益性改善に取り組んでおります。
また、社会要請が高まっているカーボンニュートラル対応に関しては、当社グループが貢献できる機会が多くあると考えており、「環境対応への変革」として推進しております。
ソリューションズ事業では、保有技術・既存製品を活かした用途展開余地があると考えており、成長分野の注目10市場において戦略製品群等の拡販を推進しております。2022年度には電池分野において他社との協業検討を開始しております。
ソリューションズ事業拡大に向け、2021年度より推進しているマーケティング機能の強化に関しては、戦略に沿ったリソースの投入を進めております。
長期ビジョンでは、「人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供」、「社会の変化を見極め、進化し続ける化学会社」、「社内外の様々なステークホルダーとともに成長」を「2030年の目指す姿」としております。
( 中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」 )
中期経営計画では、長期ビジョンで定めた「2030年の目指す姿」の実現に向けて、3つの変革である「事業の変革」「環境対応への変革」「組織の変革」を着実に実行するとともに、各変革をさらに加速させるためDX(デジタル・トランスフォーメーション)を推進し、経営目標の達成を目指してまいります。
〔 3つの変革 〕

〔 経営目標 〕
3つの変革および資本政策に関する目標は次のとおりです。
<前提条件>2024年度:ナフサ50,000円/kL、ドル110円、ユーロ130円
*1:速報値(カーボンクレジット 7.5%を含む)。排出量の確定値は2023年7月に当社ウェブサイトにて開示予定です。
*2:育児休職取得率算定のための休職取得日数の基準を1日以上から15日以上に、2024年度目標値を30%から100%にそれぞれ見直しております。
〔 3つの変革における具体的な取り組み 〕
① 事業の変革
ポートフォリオ変革として、ソリューションズ事業の営業利益割合50%を目指します。

a.ソリューションズ事業拡大に向けた取り組み
ソリューション提案力強化に向け、企画・開発・マーケティングに関するプラットフォームの整備に取り組んでおります。具体的には、1)柔軟かつ機動的なリソース配分、2)自社の強みが活かせる注目市場の設定、3)顧客情報の可視化と共有化などにより課題把握力を強化し、顧客視点での課題解決を実現します。さらにタイムリーな生産体制を構築すべく、研究開発テーマに生産技術部門が早期に関与できる仕組みを構築し、グループ内設備の効率的活用など初期投資を抑制した迅速な製品化を進めております。
b.マテリアルズ事業強靭化に向けた取り組み
アクリル事業では、収益力強化として、従来から取り組んできた「SAP(高吸水性樹脂)サバイバルプロジェクト」を継続するとともに、高効率生産技術を導入し製造コストの削減を進めております。また、サステナビリティへの取り組みとしては、バイオマス原料を活用したアクリル酸およびSAPへの取り組み、SAPリサイクルの推進とサプライチェーンを通じた取り組みを進めております。
なお、インドネシアの年産10万トンのアクリル酸製造設備の増設については、2023年4月に商業運転を開始しております。
EO(エチレンオキサイド)事業では、「SAPサバイバルプロジェクト」の知見をEOおよびその誘導品にも活かし、製造所・グループ会社一体での収益性改善に取り組んでおります(EOレジリエンスプロジェクト)。また、サステナビリティへの取り組みとして、バイオマス原料を活用したエチレン誘導品の製造・販売に向けた取り組みを進めております。
② 環境対応への変革
2050年カーボンニュートラル実現に向け、2030年の自社排出CO2削減目標30%(対2014年実績、Scope1&2)を設定しております。従来の省エネ活動等に加え、製造プロセス・技術の革新、原料およびエネルギーの転換等、複合的な活動を通じ目標達成を目指します。
また、社会全体での排出量削減に貢献する環境貢献製品の売上収益目標を設定し、当該製品を拡販することにより事業活動を通じたCO2削減(Scope3)に努めております。
③ 組織の変革
個人と組織が成長できる仕組みの実現を目指し、3つの課題を設定し、さまざまな施策を実施しております。具体的には、1)人財育成・活躍推進(新人事制度導入、多様な人財の活躍推進、多様な働き方を支える制度・インフラの整備等)、2)組織の成長(間接部門の生産性向上、組織判断の迅速化に向けた権限委譲、経営と従業員の対話強化等)、3)コーポレート・ガバナンスの強化(取締役会の実効性強化、役員に対する中長期のインセンティブ強化等)に取り組んでおります。
〔 DX推進 〕
全社横断で活動を先導・サポートするDX推進組織を設置し、DX推進を加速しております。

〔 資本政策 〕
成長投資、競争力維持投資および株主還元の最適なバランスを取ることで、中期経営計画最終年度(2024年度)にROE7.5%、ROA6.9%達成を目指します。

( 中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」の進捗と今後の取り組みについて )
〔 2022年度の進捗状況 〕
「事業の変革」では、ソリューションズ事業拡大に向け、2023年3月よりソリューションズ部門に営業支援システムを導入し、顧客情報の可視化・共有化を開始しております。また、タイムリーな生産体制構築を目的に、研究開発・事業化の進捗を関連部門で随時共有するシステムの運用を2022年12月より開始するとともに、3つの開発テーマを全社横断プロジェクトに設定し、開発を促進しております。マテリアルズ事業の強靭化に向けては、姫路製造所にDX推進室を設置し、AI(アルゴリズム)を活用したSAPの生産計画最適化ソリューションの開発および運用を開始するなど、各種DX手法を活用したコスト削減プロジェクトを進めております。また、バイオマス原料を活用したアクリル酸およびSAPの開発では、バイオマス100%のアクリル酸およびそれを用いたSAPの小スケールのサンプル取得に成功しております。
「環境対応への変革」では、日本触媒グループの低炭素・脱炭素経営推進のため、インターナルカーボンプライシング(ICP)制度を導入しました。また、アクリル酸やSAP、EO等19品目について、バイオマス原料をマスバランス方式によって割り当てるISCC PLUS認証を取得しました。
「組織の変革」では、2022年4月より新人事制度の運用を開始するとともに、従業員のエンゲージメントを高めることを目的としたエンゲージメントサーベイを実施しております。また、役員に対する中長期のインセンティブの強化として当社取締役等を対象とした業績連動型株式報酬制度を導入しました。
DX推進では、デジタル技術を使いこなす人財の育成に向けて、DX人財定義書を作成し、全社員を対象にした育成プログラムを開始しております。また、2022年5月に経済産業省より「DX認定事業者」に認定されております。
〔 2023年度以降の取り組み 〕
「事業の変革」では、ソリューションズ事業拡大に向け、少量生産にタイムリーに対応可能な体制の構築を進めてまいります。マテリアルズ事業強靭化に向けては、既に取り組みを進めている姫路製造所に引き続き、川崎製造所内にもDX推進室を設置し、DX手法を活用したコスト削減プロジェクトを進めてまいります。また、バイオマス原料を活用したアクリル酸およびSAPの開発では、バイオマス100%のアクリル酸およびそれを用いたSAPの段階的なスケールアップ技術の確立を目指します。
「環境対応への変革」では、ISCC PLUS認証製品の製造・販売体制を整え、より幅広い低環境負荷製品の提案を進めてまいります。
「組織の変革」では、ダイバーシティ&インクルージョンの推進やシニア人財の活用およびコーポレート・ガバナンスの強化に向けた各種施策の実行を進めてまいります。
DX推進では、引き続きDX人財育成プログラムを実施し、全社員のDX知識の底上げと専門人財の育成を行ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
◆日本触媒のサステナビリティマネジメント
サステナビリティ基本方針
日本触媒は、グループ企業理念「TechnoAmenity ~私たちはテクノロジーをもって人と社会に豊かさと快適さを提供します」のもと、社会に貢献する志を掲げて事業活動を行っており、サステナビリティ活動の推進はグループ企業理念の実践そのものです。この考えに則り、当社の企業行動を経済・社会・環境の側面から総合的に捉え、企業統治、コンプライアンス、レスポンシブル・ケア、リスク管理、人権・労働、社会貢献、情報開示を経営の重点領域とし、顧客、取引先、従業員、地域社会、行政、株主・投資家など、さまざまなステークホルダーと対話を重ね、企業価値を高める活動を実践しております。また、事業活動を通じた社会課題の解決にも努め、持続可能な社会の実現に貢献します。
サステナビリティ推進体制
当社は、サステナビリティ活動を推進するため、社長を委員長とするテクノアメニティ推進委員会を設置しております。

テクノアメニティ推進委員会の役割
・当社グループのサステナビリティ活動推進に関する方針・戦略の決定
・各部門に対する計画・施策策定の指示、その実績評価
・サステナビリティ推進に関するその他重要事項などの検討
・取り組みに関するステークホルダーへの発信
◆日本触媒グループのマテリアリティ(重要課題)
日本触媒グループでは、長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で定めた2030年の目指す姿「人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供」「社会の変化を見極め、進化し続ける化学会社」「社内外の様々なステークホルダーとともに成長」の実現のため、取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。
内容は今後も定期的に確認し、見直していきます。
マテリアリティと取り組み
〔 気候変動対応の推進 〕
※CO2排出量:温室効果ガス排出量を対象としているが、そのほとんどがCO2のため、CO2排出量と記載
〔 顧客課題解決への貢献 〕
〔 安全・安定生産活動の推進 〕
〔 人財育成・活躍推進 〕
〔 コーポレート・ガバナンスの強化 〕
◆日本触媒グループの気候変動対応
2030年の目指す姿を描いた日本触媒長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」で掲げる3つの変革の一つ、環境対応への変革実現に関しては、温室効果ガス(GHG、特にCO2)排出削減によるカーボンニュートラル達成を目指した活動が最も重要と考えております。
1.ガバナンス
環境問題の中でも気候変動問題は、製造、研究段階にとどまらない全社的な課題であることから、サステナビリティに関して当社経営の中核的なテーマの方針、戦略を決定する「テクノアメニティ推進委員会(委員長:社長)」で集中的に検討を行うこととし、取り組みを加速しております。
取締役会は、本委員会で議論される気候変動問題に対する、方針、戦略、計画、実績について報告を受け、必要となる指示を行います。
①マテリアリティ
テクノアメニティ推進委員会において、当社が社会的責任を果たし、事業を持続的に行う上で重要な5項目をマテリアリティ(重要課題)として設定しました。
この中でも気候変動問題対応は緊急性、重要性が特に高い項目として集中的に検討を行っております。
②気候変動問題に関するシナリオ分析の実施
当社は、2021年3月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に賛同しました。これを契機に以前より行っていた気候変動問題に関する機会・リスクのシナリオ分析をTCFD提言に沿う形で改めて実施しました。
③シナリオ分析に基づくビジネスインパクトの評価
事業機会としては、低炭素、脱炭素に寄与する素材の需要増加があげられます。なかでも自動車は、ガソリンエンジンから電気駆動モーターへの切り替え加速、さらなる自動車の軽量化による消費エネルギーの低減が期待されており、リチウムイオン電池関連材料、自動車の軽量化に寄与する自動車関連材料の課題解決に貢献できると考えております。また、排出される二酸化炭素の回収、その資源利用に向けては、CO2吸収剤やメタン製造触媒の開発により、課題解決に貢献できると考えております。
リスクとしては、気候変動関連の技術開発、エネルギーや製品原料のグリーン化が遅れることで顧客の選別から外れ、事業機会を喪失することなどがあげられます。これらのリスクについては低炭素、脱炭素関連開発テーマの重点化を行い市場からの要求に対応するとともに、原料や燃料の非化石化を進めていきます。
当社グループ全体のリスク管理は、「グループ重大リスク」と「部門別リスク」に区分して取り組んでおります。「グループ重大リスク」については、当社グループの経営戦略遂行、持続的企業価値向上、ステークホルダーからの信頼の獲得に潜在する重大なリスクを管理対象とし取締役会がリスクの特定、評価、対応要否の決定および執行部門によるリスク管理の状況の監督を実施する体制を構築しております。
4.指標と目標
・2014年を基準年とした2030年のGHG排出削減目標 30%
・売上収益全体に占める環境貢献製品の売上収益総額(当社単体とグループ会社)
2024年度 550億円
2030年度 1,350億円
詳細は
https://www.shokubai.co.jp/ja/wpdir/wp-content/uploads/2023/03/TCFD-Report-202303_jp.pdf
◆日本触媒グループの人財育成・活躍推進
当社グループは、2030年長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」の実現に向け、3つの変革(事業の変革、環境対応への変革、組織の変革)を掲げており、「組織の変革」では人財開発方針のもと、「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」を推進しております。
「人財開発方針」
当社グループは、持続的に価値を生み出す源泉は「人」であるとの認識のもと、従業員を重要な「財産」と考えます。人財開発において、会社と従業員は対等な関係に立ち、会社は従業員へ成長の場や機会を提供する一方、従業員には高い志と自ら成長する意欲を持ち、会社へ貢献することを期待します。 人財開発を進めるにあたり、以下の3点を重視します。
1.多様な人財の個性、意欲、能力を活かす
2.自律的に考動し成長する人財を支援する
3.制度に沿って人財を公正に評価し報いる
従業員の成長の基本は、OJT(On the Job Training)であり、「仕事や職場での実際の職務経験を通じた学び」にあります。上司や周りが支援を行いながら、そのプロセスを通じた成長を促します。あわせて、 Off-JT(研修等の職場外での学習)の機会を設け、従業員一人ひとりが「期待する人財像」を念頭に将来のありたい姿を描き、その達成に向けて自身の価値を磨いていく意識と行動力を醸成します。 社会の変化を見極め、持続的に進化し続ける化学会社を目指し、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活性化を行い、個々人の力を最大限発揮できるよう推進します。
「成長し続ける組織、多様な人財がいきいきと働く会社への変革」の推進にあたり、当社グループのマテリアリティの一つとして、「人財育成・活躍推進」を掲げ、①自律型人財の育成、②多様な人財の活躍推進に取り組んでおります。
①自律型人財の育成
「人財開発方針」のもと、従業員一人ひとりに焦点を当てた人財の活発化を行い、個々人の力を最大限発揮できるよう各種施策に取り組んでおります。全社内取締役が出席する人財開発会議を定期的に開催し、人財開発の取り組みや人事制度の運用、次世代経営幹部の育成などについて進捗を確認し、施策の実行や見直しに繋げております。
<人事制度>
2022年度より新しい人事制度を導入しました。新人事制度では、「考動(自ら考え行動する)」と「多様性」をコンセプトに、意欲と能力のある従業員は早期に上位の役割にチャレンジすることが可能となり、従業員の「成長したい」という自発的な意欲の醸成を図っております。具体的には、一部の職級に上司の推薦なしで自己推薦による昇級審査受験を可能としました。また、従業員自身が将来のキャリアや今後就きたい業務を申告し、上司と面談する「自己申告」制度を導入しました。
<人財育成>
「期待する人財像」として、以下の5つを掲げております。

人財開発体系を再整理し、各教育プログラムの内容を刷新しました。指示を待つだけでなく、自らの意思で考え、解決に向けて能動的に行動できる自律型人財の育成を進めております。具体的には、公募型の学習プログラムの充実を図り、従業員一人ひとりが自身の保有能力・スキルの向上を目的に、効果的かつ効率的に能力開発を行うことができる体制を整えております。
②多能な人財の活躍推進
多様な人財のさらなる活躍推進に向けて、「ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進方針」を策定し、従業員一人ひとりの多様性を尊重し、認め合い、ともに活躍・成長することができる職場環境・風土づくりを進めております。
4つの重点課題(①D&Iマインドの醸成、②従業員のさらなる活躍推進、③仕事と生活の両立支援、④制度の多様化)を設定の上、2030年度までのロードマップを策定しております。人事部D&I推進グループが中心となり、各種施策の計画と実行を推進しております。女性従業員のキャリア形成の支援策の実行、男性の育児休職取得の促進、フレックスタイム制度の利用拡充や在宅勤務の制度化、および育児、介護など様々な事情により事業所間移動を伴う異動を望まない従業員が現勤務事業所で継続就業が可能となる「勤務地継続」の制度など、当社で継続的に働き、活躍できる環境・制度の促進も積極的に行っております。
女性活躍推進については、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(2021~2024年度)において、「女性管理職(基幹職)比率を6%以上にする」を掲げ、女性のキャリア開発支援やリーダー育成など各種施策の実行を行っております。外国人およびキャリア採用者の登用等については、特に数値目標は掲げておりませんが、当社の人事制度では、性別、国籍、年齢等の属性によることなく個人の能力に基づく評価・登用を行っております。
(注) 中期経営計画において、2022年度から育児休職取得率算定のための休職取得日数の基準を1
日以上から15日以上に、2024年度目標値を30%から100%にそれぞれ見直しております。
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには次のようなものがあり、当社グループは、当該リスクの発生する可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応には最大限努力してまいります。
なお、文中にある将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであり、事業等のリスクはこれらに限られるものではありません。
当社グループは、化学品の製造販売事業をグローバルに展開しており、海外売上収益は売上収益の約57%を占めております。さらに製品は主に中間原料として様々な国・地域において多様な用途製品に使用されていることから、特定の国・地域や用途製品市場に大きく依存せず、それらの動向が経営成績及び財政状態に与える影響を抑えられる反面、各国・地域の政治・経済・景気の悪化及びそれに伴う製品需要の減少によって様々な製品の販売に影響が波及する可能性があります。また、当社グループは、日本・アジア・欧州・北米にアクリル酸、アクリル酸エステル及び高吸水性樹脂(SAP)などの生産拠点を有しているため、当該地域では販売に加えて設備稼働にも影響を及ぼす可能性があり、結果として経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが調達している主原料は原油・ナフサ価格との連動性が高いため、中東地域やウクライナ情勢などの地政学リスク、米国シェールオイルの生産状況及び為替の変動等により原油・ナフサ価格が急激に変動した場合、原料価格の上昇分全てを製品価格に転嫁できない、又は遅れる可能性があります。一部の製品や取引先との間では、国産ナフサ価格の変動を製品価格に反映させるフォーミュラ方式による製品価格を設定すること等により当該リスクを7~8割程度軽減しておりますが、全ての製品及び取引先に設定していないため、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
① 在外連結子会社等の業績
当社グループでは、在外連結子会社等の資産及び負債は期末日レート、収益及び費用は期中平均為替レートにより円換算しているため、為替レートの変動により経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 外貨建債権・債務
当社グループでは、グローバルに事業を展開しているため、米ドルやユーロ等の外貨建の債権・債務があり、短期的な為替レート変動に対して為替予約によるリスクヘッジを行っておりますが、為替レートの変動により円換算額が影響を受けることで、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
③ 外貨ベースの円貨建債権・債務
当社グループでは、一部の主原料調達において、米ドル建の原油・ナフサ価格の円換算値を指標として主原料価格(円貨建)を決定しているため、為替レートの変動により当該調達原料価格が変動し、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
詳細は、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 29. 金融商品」をご参照ください。
当社グループは、最適地での生産・販売を目的とした海外展開により、アジア・欧州・北米に生産・販売拠点を有しており、アクリル酸、高吸水性樹脂(SAP)の海外拠点生産能力はグループ全体の約5割を占めております。海外事業においては、通常では予期し得ない法律や規則の変更、自然災害、産業基盤の脆弱性及び人材の採用・確保難、並びにテロ、戦争その他の社会的又は政治的混乱といったリスクが存在しております。これらのリスクに対して、専門家や政府関係機関等から情報を収集した上で適宜対策を講じておりますが、これらのリスクが顕在化することによって、海外の事業活動に支障が生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、酸化エチレン、アクリル酸及び高吸水性樹脂(SAP)などの製品を中心に事業を拡大してまいりましたが、近年はこれらマテリアルズ事業※1の競争激化により市況変動の影響を受けやすくなってきたため、より安定した収益と成長が見込めるソリューションズ事業※2へのポートフォリオの変革を掲げ、中長期的な成長を目指しております。しかしながら、事業ポートフォリオ変革の遅れや市場ニーズの急変などによりソリューションズ事業で十分な収益が得られないなどのリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
※1 マテリアルズ事業
ベーシックケミカルズ事業(酸化エチレン等)
アクリル事業(アクリル酸、アクリル酸エステル及び高吸水性樹脂(SAP))
※2 ソリューションズ事業
インダストリアル&ハウスホールド事業(生活消費財、自動車、建材分野等)
エナジー&エレクトロニクス事業(電池、エレクトロニクス分野等)
ライフサイエンス事業(健康医療、化粧品分野)
(6) 研究開発に関するリスク
当社グループは、シーズを創出する基礎研究から顧客の真のニーズに迅速かつ的確に応える応用研究まで多層的な研究開発を行っております。また、国内外の大学を含めた第三者パートナーとの研究開発や事業提携等のオープンイノベーションも積極活用して研究開発を促進しております。しかしながら、研究開発の失敗、あるいは予測の範囲を超えた市場ニーズの急変といった予期し得ない事象が発生する恐れが常にあり、投資に見合う収益を得られない場合や収益性の高い製品を創出することができない場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、他社が当社グループの特許を侵害している場合には、警告・訴訟提起等の対策を講じておりますが、他社が当社グループの特許や製品を調査解析して類似の技術や製品を開発することを完全には防止できない可能性があります。一方、当社グループの新たな事業展開を目指した新規製品分野においては、他社の知的財産権を十分に調査解析した上で独自の技術や新製品を開発しておりますが、将来的に他社の知的財産権について紛争が生じた際に当社グループに不利な判断がなされる可能性があります。上記のようなリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これまでの研究開発活動で培った独自の技術・ノウハウ、販売製品・顧客等の営業情報、製造活動で蓄積した生産データ及び会計データ等の機密情報を電子データなどとして保有しております。これらの機密情報は当社グループの事業活動の基礎であると共に競争力の源泉でもあることから、情報セキュリティポリシーを定めた上で、情報システム、インフラのセキュリティ高度化、データセンターの複数化、アクセス権の設定、機密情報の表示、運用マニュアルの整備等の対策に加えて、従業員のモラルやセキュリティに対する意識を高める教育も実施しながら情報管理の徹底に努めております。しかしながら、外部への情報漏洩や情報の喪失等が生じた場合には、競合他社に対する事業の優位性低下や類似品の出現等当社グループの事業活動に大きな支障が生じる可能性があり、リスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) DXに関するリスク
当社グループは、基幹システムの刷新、研究開発・製造におけるデータ及びデジタル技術活用や新規顧客開拓へのデジタルツールの活用など、専門部署を中心に組織横断的に取り組んでおります。しかしながら、急速に進歩するITやデジタル技術に適応できず、それらを研究開発、製造、販売等の事業活動に有効に活用できない場合、将来的に競合他社に対する事業の優位性が低下する可能性があり、リスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、レスポンシブル・ケアの推進を公約し、グループ全社で環境保全、化学品安全、保安防災等の活動を積極的に展開し、顧客や地域社会からの高い信頼を獲得するよう努力しております。また、大災害を想定した事業継続計画(BCP)を立て対策を適宜講じております。しかしながら、自然災害や停電・電力不足、感染症の流行、製造所における事故災害等により、生産活動の継続が困難となる可能性を完全に解消することは不可能であります。
例えば当社の基幹工場である姫路製造所及び川崎製造所の所在地区において、大規模な地震や津波、事故その他操業を中断せざるを得ない事象が発生した場合には、主要製品の生産能力が著しく低下する可能性があります。また、感染症の拡大により、経済活動の制限、出社制限による事業活動の停滞などが発生し、経営成績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、気候変動を解決すべき重要な社会課題と認識し、事業活動に伴って発生する温室効果ガスを継続的に削減するだけでなく、事業を通してサプライチェーン全体の温室効果ガス削減に貢献する取り組みを推進しております。また、気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)への賛同を表明しており、情報開示にも努めております。しかしながら、気候変動に伴う天災リスクや脱炭素社会への移行などに適切に対応できない場合には事業活動に悪影響を及ぼし、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(12) 環境に関するリスク
当社グループは、化学物質の開発から製造、物流、使用、最終消費を経て廃棄・リサイクルに至る全ての過程において、自主的に「環境・安全・健康」を確保することを目的に、レスポンシブル・ケア活動を積極的に展開しております。また、環境に関する法規制を遵守するとともに、化学物質の排出抑制、省エネ活動の推進、廃棄物削減や資源有効利用など、環境負荷低減に向け取り組んでおります。しかしながら、環境規制の強化や新たな法的・社会的責任の発生、法整備以前の行為に起因する環境汚染の発生などが生じた場合は、法令遵守等の対策費用増加や行政の指導などによる製造販売の制限により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 人財に関するリスク
当社グループは、多様な価値観を持ち、自律した人財を確保・育成するために、ダイバーシティ&インクルージョンを推進する組織を中心に、リーダー人財の育成、シニア人財及び女性活躍の推進などの施策に取り組んでおります。また、2022年4月からチャレンジする人財を評価する新人事制度も導入いたしました。しかしながら、人財育成計画の遅れや人財の定着が進まなかった場合には、中長期的な成長を達成することができず、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製造設備等の有形固定資産を多数所有しており、資産合計の約36%を占めております。また、棚卸資産については、資産合計の約16%に相当します。そのため、急激な需給バランスの悪化等により製品市況が著しく下落した場合には、固定資産の減損損失や棚卸資産の評価減により、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(15) 企業買収、資本提携等に関するリスク
当社グループは、事業の拡大や競争力の強化等を目的として、国内外において企業買収や資本提携などを実施することがあります。これらを行う際には、対象企業の調査を十分に行い、リスクを検討することとしておりますが、当社グループや対象企業を取り巻く事業環境の変化等により、当初期待していたシナジー効果や新規事業創出その他のメリットを得られない場合や出資先企業の業績不振により「のれん」や「株式簿価」等の減損損失を計上する場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度(以下、当年度)における当社グループ(当社及び当社の関係会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(単位:百万円)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
当年度末における当社グループの財政状態は次のとおりとなりました。
当年度末における資産合計は、前連結会計年度(以下、前年度)末に比べて51億6千8百万円増加の5,233億1千9百万円となりました。流動資産は、前年度末に比べて63億9千7百万円増加しました。販売数量の減少により営業債権が減少したものの、原料価格の上昇に伴い棚卸資産が増加したことなどによるものです。非流動資産は、前年度末に比べて12億2千9百万円減少しました。リチウムイオン電池用電解質リチウム塩の事業拡大に向けた出資により持分法で会計処理されている投資が増加したものの、退職給付に係る資産が減少したことや、償却が進んだことにより有形固定資産が減少したことなどによるものです。
負債合計は、前年度末に比べて137億7百万円減少の1,533億2千1百万円となりました。退職金制度改正に伴い退職給付に係る負債が減少したことや、営業債務が減少したことなどによるものです。
資本合計は、前年度末に比べて188億7千5百万円増加の3,699億9千8百万円となりました。利益剰余金が増加したことなどによるものです。
親会社所有者帰属持分比率は、前年度末の66.4%から69.2%へと2.8ポイント増加しました。なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は、前年度末に比べて589.89円増加の9,213.91円となりました。
当年度末における現金及び現金同等物は、設備投資等の投資活動によるキャッシュ・フローの支出及び財務活動によるキャッシュ・フローの支出が、営業活動によるキャッシュ・フローの収入を上回ったため、前年度末に比べて3億2千7百万円減少の390億3千5百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前年度の350億5千8百万円の収入に対し、414億4千7百万円の収入となりました。営業債務の減少や法人所得税の支払額の増加、税引前利益の減少などがあったものの、販売数量の減少に伴い営業債権が減少したことや、棚卸資産の増加額が前年度を下回ったことなどにより、前年度に比べて63億8千9百万円の収入の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前年度の231億5千8百万円の支出に対し、259億7千6百万円の支出となりました。リチウムイオン電池用電解質リチウム塩の事業拡大に向けた関係会社出資金の払込による支出や、有形固定資産の取得による支出が増加したことなどにより、前年度に比べて28億1千8百万円の支出の増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前年度の107億5千1百万円の支出に対し、173億2千1百万円の支出となりました。社債の償還による支出がなくなったものの、短期借入金の純増減額の減少や長期借入金の返済の増加に加え、自己株式の取得による支出、配当金の支払額が増加したことなどにより、前年度に比べて65億7千万円の支出の増加となりました。
当年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.生産実績が増加した主な要因は、原料価格の上昇や円安の進行等により販売価格が上昇したためであります。
当社グループは、主として見込生産を行っているため、受注実績は記載しておりません。
当年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
なお、当社グループは、第1四半期連結会計期間よりセグメント区分を変更しており、生産実績と販売実績の前年同期比については、変更後の区分に基づき作成したものを記載しております。セグメント区分の変更については、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 5.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」に記載しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度(以下、当年度)末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループは、IFRSに準拠して連結財務諸表を作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況1(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針」及び「同 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりです。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響から回復の動きが続く一方、地政学リスクの広がり等による先行きの不透明感が継続し、物価上昇やそれに伴う金融引締めの影響により景気の下押しが懸念されるなかで推移しました。
米国においては急速な利上げで住宅投資が落ち込んでいるものの、個人消費は持ち直しの動きがみられました。欧州においてはウクライナ情勢が深刻化するなか、高インフレが継続することで個人消費が低迷しました。中国においては米欧経済の減速を受け、輸出の伸びは低下しました。アジア新興国においては、経済活動の正常化により景気は持ち直しの動きが続きました。
日本経済は、個人消費や設備投資の伸びが続くものの、物価上昇や世界景気の下振れにより、企業収益の改善の動きに足踏みがみられました。
化学工業界におきましては、海外景気の下振れ等の影響により生産活動の拡大の動きに足踏みがみられました。
このような状況のもと、当社グループの当年度の売上収益は、販売数量は減少したものの、原料価格の上昇や円安の進行等により販売価格が上昇したことにより、前連結会計年度(以下、前年度)に比べて502億7千5百万円増収(13.6%)の4,195億6千8百万円となりました。
利益面につきましては、当第3四半期連結累計期間まで、マテリアルズを中心に一部製品の海外市況が上昇したことや円安の進行等による交易条件の改善などを受けてスプレッドが拡大したものの、販売数量が減少したことや、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したことなどが減益要因となり、営業利益は、前年度に比べて55億3千3百万円減益(△19.0%)の235億2千8百万円となりました。
税引前利益は、営業利益の減少、持分法による投資利益の減少により、前年度に比べて74億9千9百万円減益(△22.3%)の261億7千5百万円となりました。
その結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年度に比べて43億2千8百万円減益(△18.2%)の193億9千2百万円となりました。
なお、ROA(資産合計税引前利益率)は、6.8%から5.0%へ1.8ポイント減少し、ROE(親会社所有者帰属持分当期利益率)は7.2%から5.5%へ1.7ポイント減少しました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性については次のとおりであります。
当年度のキャッシュ・フローの状況は、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。当年度末における当社グループの有利子負債の合計残高は、主に海外子会社で金融機関からの借入金の返済が進んだことにより、前年度末に比べて20億6千5百万円減少し、576億1千2百万円となりました。なお、今後の設備投資計画等につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、その資金につきましては自己資金及び金融機関からの借入金により調達する予定であります。
当社グループの所要資金は、主に運転資金、設備投資、戦略投資、研究開発投資、借入金返済であり、これらを自己資金、金融機関からの借入金により賄っております。
当社グループにおける、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標及びその進捗状況については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、第1四半期連結会計期間より、事業セグメント及び報告セグメントを変更しており、当年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。
マテリアルズ事業
アクリル酸及びアクリル酸エステルは、販売数量は減少したものの、原料価格の上昇などにより販売価格が上昇したことで、増収となりました。
高吸水性樹脂は、販売数量は減少したものの、原料価格や製品海外市況の上昇などにより販売価格が上昇したことで、増収となりました。
酸化エチレンは、原料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
エチレングリコールは、原料価格の上昇に伴い販売価格は上昇したものの、販売数量の減少などにより、減収となりました。
特殊エステルは、原料価格の上昇や円安の進行により販売価格は上昇したものの、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
無水マレイン酸は、原料価格の上昇に伴い販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
プロセス触媒は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
以上の結果、マテリアルズ事業の売上収益は、前年度に比べて16.3%増加の3,056億8千9百万円となりました。
営業利益は、販売数量が減少したこと、海上輸送費の高騰などにより販売費及び一般管理費が増加したことなどの減益要因があるものの、当第3四半期連結累計期間まで、一部製品の海外市況が上昇したことや円安の進行等による交易条件の改善などを受けてスプレッドが拡大したことにより、前年度並みの209億4千9百万円となりました。
マテリアルズ事業の資産は、前年度末に比べてほぼ横ばいの3,336億2千6百万円となりました。
ソリューションズ事業
コンクリート混和剤用ポリマー及び塗料用樹脂は、販売価格が上昇したことや販売数量が増加したことにより、増収となりました。
セカンダリーアルコールエトキシレート、洗剤原料などの水溶性ポリマー及びエチレンイミン誘導品は、販売数量が減少したものの、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
ヨウ素化合物は、販売価格が上昇したことにより、増収となりました。
脱硝触媒は、販売数量が増加したことにより、増収となりました。
電子情報材料は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
電池材料は、販売数量が減少したことにより、減収となりました。
以上の結果、ソリューションズ事業の売上収益は、前年度に比べて7.0%増加の1,138億7千9百万円となりました。
営業利益は、原料価格上昇による在庫評価差額の影響などがあったものの、生産・販売数量の減少、販売費及び一般管理費の増加などが減益要因となり、前年度に比べて80.8%減少の15億3百万円となりました。
ソリューションズ事業の資産は、前年度末に比べて54億7千5百万円増加の1,439億6千9百万円となりました。主として持分法で会計処理されている投資が増加したことによるものです。
技術援助契約のうち、技術供与関係で重要なものは次のとおりであります。
長期ビジョン「TechnoAmenity for the future」および中期経営計画「TechnoAmenity for the future-Ⅰ」に基づき、2030年の目指す姿である「人と社会から必要とされる素材・ソリューションを提供」を実現するために、研究開発活動に積極的に取り組んでおります。また、「環境対応への変革」として、2050年カーボンニュートラル実現に向け、基幹製品のバイオ化や環境貢献製品の拡充に注力しております。
当社グループの研究開発は、当社の研究開発部門、製造所の技術部門及び各連結子会社の研究・技術部門により推進しております。
当連結会計年度(以下、当年度)において、当社は、ソリューションズ事業拡大やカーボンニュートラル実現に向けた研究開発機能の強化のため、2022年4月1日付で研究組織の変更を行いました。具体的には、事業創出本部を改編、新たにコーポレート研究本部を設置し、事業創出本部とコーポレート研究本部の2本部体制としました。これにより、それぞれの役割を明確にするとともに関連部門との連携により新規事業やコア技術創出に注力しております。
研究開発スタッフはグループ全体で約790名にのぼり、これは、総従業員数の約2割にあたります。
当年度におけるグループ全体の研究開発費は、
当年度における主な研究開発活動とその成果及び研究開発費は次のとおりであります。
「マテリアルズ事業強靭化」として、主力事業である酸化エチレン、アクリル酸、高吸水性樹脂の生産性向上や次世代の技術開発に向け、研究開発を行っております。
当年度の主な成果として、2050年カーボンニュートラル実現に向け、アクリル酸のバイオマス原料からの製法開発を進めております。また、アクリル酸エステルでは、新規バイオベースアクリレートを開発し、顧客評価が進展しております。さらに、高吸水性樹脂(SAP)について、大人用紙おむつメーカー大手の株式会社リブドゥコーポレーション及びリサイクル業者のトータルケア・システム株式会社と共同で、新規リサイクル技術の開発を進めております。
当事業における研究開発費は、
「ソリューションズ事業拡大」に向け、「環境対応・カーボンニュートラル」「デジタル技術の発達」「生活の質(QOL)の向上」を社会課題と捉え、当社の強みを活かせる10の注目市場に向けた研究開発を進めております。具体的には、生活消費財、自動車・建材分野、電池・エレクトロニクス分野、健康医療・化粧品分野向け材料の開発及びヨード、シアン、臭素などの応用展開や、粘着加工品等の研究開発を行っております。
当年度の主な成果として、パッケージング/プリンティング分野では、曲面印刷領域に優れたUV硬化材料であるモノマーAOMA、VEEAでは、3Dプリンターメーカーやインクジェットプリンターメーカーでの顧客評価が進展しております。また、半導体分野で用いられる微粒子の新タイプを上市しました。水素分野では、グリーン水素製造に貢献するアルカリ水電解用セパレータにおいて、トクヤマ社との「高圧方式に適した大型アルカリ水電解装置及びセパレータの開発事業」がNEDO事業として採択され、また、実用化に向けた顧客での評価も進展しております。さらに、電池分野において、リチウムイオン電池の充電時間短縮や長寿命化に貢献するリチウムイオン2次電池用電解質「イオネル」では、製造設備の立ち上げを進めているメーカーへ資本参画すると共に、研究員・技術員を派遣し、量産体制の構築を進めております。
当事業における研究開発費は、