第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針、経営戦略等

当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと1990年に創業して以降、経営資源を研究開発に集中することで独自技術を磨くとともに、顧客の製品やサービスなどのアプリケーションに関する知識と長年培ってきたLSIの知識を融合させることで、顧客の課題解決と競争力向上に貢献するシステムLSIを企画・開発してまいりました。

また、生産を外部に委託するファブレスメーカーでありながら製品の解析を行う開発解析センターを整備するなど、厳格な品質保証体制を構築することで信頼性の高い製品を供給するとともに、システムLSIの企画・開発から供給まで一貫して顧客サポートができる体制でソリューションを提供し、顧客と共に成長してまいりました。

今後も当社グループは、経営理念の基本的考えのもと、「システム(機器)のソリューションを提供し、顧客と共に発展する」ことをミッションとして掲げ、新たな価値創造に挑戦し、独創性のある幅広いソリューションを顧客に提供することで、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献していく考えであります。そして、持続可能な社会の実現のために事業活動を通じて何ができるか、これらの課題をどう解決して社会に貢献できるかという発想で事業を展開し、地球環境、資源、社会、人権、多様性といった様々な課題に対して、ステークホルダーとの協働により長期的な観点で課題解決に取り組み、当社グループの成長と持続可能な社会をともに実現することを目指してまいります。

また、株主の皆様への適切な利益還元を重要な経営課題のひとつとして位置付け、経営環境の変化に柔軟に対応できる健全な財務体質を維持しながら積極的な利益還元に努めてまいります。

 


 

(2) 経営戦略(ビジョン)

これからの社会環境においては、通信ネットワークの超高速、低遅延、大容量、高機能化がさらに進展し、高度なネットワーク社会の到来により、人々のライフスタイルに大きな変化をもたらすことが容易に想像されます。さらには、化石燃料から再生可能エネルギーをベースとした持続可能な社会の実現を目指し、社会全体で様々な取り組みが強化されています。

当社グループが属するエレクトロニクス産業においては、あらゆるものがネットワークに繋がる高度なネットワーク社会の実現に向けて、様々な機器に搭載される電子部品の高性能化・多機能化が進み、今後の産業発展を支えるものとしてその重要性が高まってきております。

 

このような環境の中、当社グループが産業発展の一翼を担い、LSI分野においてその役割を果たしていくために、主力事業であるアミューズメント分野向けを中心とするASIC事業の事業基盤を強化しつつ、成長市場である産業機器分野、通信分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等の新規分野をターゲットに経営資源を集中的に投下し、新たな分野での事業拡大と長期における事業構造転換を推進してまいります。あわせて、事業環境の変化に耐え長期の成長を支えるため、健全な財務体質を維持してまいります。

また、持続可能な社会の実現を目指し、社会全体でその取り組みが強化されておりますが、当社グループにおいてもサステナビリティを巡る課題への対応を経営戦略の重要課題として位置づけ、企業活動や事業を通じてサステナビリティに関する取り組みを推進し、ステークホルダーとの協働により企業価値のさらなる向上を目指してまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社がターゲットとする通信分野では、従来、ネットワークに接続されていなかった様々なものが接続されるようになり、通信速度や距離の向上、タイムラグの減少、多くの機器が同時に接続できる多接続が実現するなど、IoT時代に対応する多岐にわたる通信技術の開発が進展しております。

産業機器分野では、世界的な自動化ニーズの高まりやデジタルシフトが進む中で、物流、製造オートメーションをはじめ日常のいたるところで自動化の動きが加速しており、産業用ロボットや各種産業機器の重要性が増しております。

このように、様々な分野で我々を取り巻く機器に使用される電子部品の高性能化や多機能化などのニーズが高まることによって、高精度・多機能・小型・低消費電力などに貢献するキーデバイスとして、LSI製品の需要拡大が期待される状況となってまいりました。

このような状況の下、当社グループは、アミューズメント分野を中心とするASIC事業の事業基盤を強化しつつ、今後の成長が見込まれる産業機器分野、通信分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等へ経営資源を集中的に投下し、収益基盤を強化することで中長期の成長を加速させる考えです。

また、サステナビリティに関する取り組みとして、人材の育成・多様化の推進、人権の尊重と社内環境の整備、地球環境に配慮した事業活動、持続可能なサプライチェーンの構築、エレクトロニクス分野における独自の社会貢献活動などに積極的に取り組み、持続的成長の基盤づくりを進めてまいります。

 

① 主力事業分野における事業基盤の強化

主力事業であるASIC事業においては、顧客密着・提案型営業を積極的に推進することで営業力を強化し、新規技術の開発と品質向上に取り組むこと、またサプライチェーンの一翼を担うという責任を果たすべく情報連携や生産体制の確保などに注力し、安定した製品の供給と顧客のニーズに最適なソリューションを提供することで、事業基盤の強化を図ります。

② 新たな事業分野の育成強化

急速に市場拡大が見込まれる産業機器分野、通信分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等をターゲットとして経営資源を集中的に投下し、国内外において競争力に優れた製品を積極的に市場に投入して新たな事業分野の育成による持続的成長を推進します。特に通信分野においては、業務提携先との先端技術をベースとした無線通信、高速有線通信及び電力線通信向けの製品立上げと、これらを融合したモジュール製品の開発に注力し、国内外の販売体制、生産体制の整備や人材の配置を進め、事業化を加速します。

③ 将来に向けた新たな事業創出への取り組み

当社の長期的な成長を見据え、国内外の大学との最先端技術の共同研究開発を推進するとともに、北米拠点においては、CVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドなどを通じて米国を中心とした最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業との戦略的提携や事業投資を行います。これらにより獲得した技術と、当社が培ってきた既存の技術を融合して付加価値を高め、独自性のある事業の創出を推進します。

④ 中長期の成長を支える財務体質づくり

事業構造転換や新規事業育成による中長期的な成長を支えるため、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に適応できるよう健全で強靭な財務体質を維持します。安全性に関する指標として、自己資本比率の安定化を図ります。

 

⑤ 人材育成・多様化の推進と社内環境の整備

人材の価値を最大限に引き出すために、人材の育成・多様化の推進、社内環境の整備に取り組みます。人材の育成・多様化においては、階層別教育、テーマ別研修等の教育体系の拡充、通年採用制度による多様な人材の採用、新卒採用活動におけるインターンシップ機会の充実などの施策を推進します。また、社内環境の整備においては、育児休業制度、育児時短勤務など多様な働き方に対応した制度の充実と利用促進、従業員の健康維持を目的としたストレスチェックや女性の健康に関する勉強会の実施や有給休暇の取得促進等、全ての社員にとって働きやすい環境づくりに取り組みます。

⑥ 地球環境の保全とサプライチェーンにおける課題への取り組み

地球環境保全のため、地球温暖化対策や環境負荷の低減に配慮した事業活動を行います。自社製品の生産委託先企業に対しては、有害化学物質の使用に関する指針の順守、二酸化炭素や有害物質の排出基準の順守の徹底を要請するなど、持続可能なサプライチェーンの構築に継続して取り組みます。また、オフィスのエネルギー消費や廃棄物の削減などの活動にも取り組みます。

⑦ エレクトロニクス分野における技術者の育成

日本の国力の基礎となる若者の支援として、国内の大学への寄付や共同研究・委託研究といった交流を通して、日本のエレクトロニクス分野で次世代を担う優秀な人材育成に取り組むとともに、研究活動を通じて先端技術の創出を促進します。また、将来の優秀な女性技術者を育成するための女子大学への支援にも積極的に取り組み、エレクトロニクス分野における技術者の多様化を推進します。

 

(4) 経営指標

具体的な目標数値は設定しておりませんが、収益力・資本効率に関する経営指標として自己資本当期純利益率、売上高営業利益率を向上させていくこと、原価率の低減や業務の効率化を進め社員一人当たりの営業利益率を高めることが重要であると考えております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

持続可能な社会の実現を目指し、社会全体でその取り組みが強化されておりますが、当社グループにおいてもサステナビリティを巡る課題への対応を経営戦略の重要課題として位置づけ、企業活動や事業を通じてサステナビリティに関する取り組みを推進し、ステークホルダーとの協働により企業価値の向上を目指してまいります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに対する考え方

メガチップスグループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、企業活動や事業を通じて社会課題の解決に取り組み、「社会・環境・人にやさしい会社」として、より豊かで安心な持続可能な社会の実現に貢献します。

① 法令・社会的規範等の遵守

あらゆる法令や国際社会のルールを遵守し、会社の規程・標準に基づき、社会的規範にもとることのない公正で健全な企業活動を行います。社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力には断固とした姿勢で対応し、企業としての社会的責任を果たします。また、リスクマネジメントに継続して取り組み、様々なリスクの予防・低減に努めます。

② 優れた製品の提供を通じた社会貢献

市場や顧客のニーズを迅速に取り込み、独自の技術力をベースにシステム(機器)のソリューションを提供することを通じて顧客の信頼に応え、安心で快適な社会の実現に貢献します。技術と知恵の融合により、製品の企画力や開発力の向上に最大限努め、新たな価値創造に挑戦します。

③ 人権の尊重と働きやすい職場環境づくり(ダイバーシティの推進)

職場の安全と全ての社員の健康を守るとともに、人権・プライバシーを尊重し、多様な人材が能力を発揮することのできる職場環境の整備と多様な働き方を推進します。また、人格や個性を尊重しつつ、社員一人一人が主体性と創造力を発揮できる企業風土を醸成し、専門性と創造性に富む個性豊かな人材を育成します。

④ 取引先・サプライヤーとの公正な取引の推進

サプライヤーをはじめとする取引先やパートナー企業との信頼関係を高め、各国の法令の遵守と国際的なルール・慣行に配慮し、自由な競争のもと公正な取引を行うとともに、取引先との間における強要や贈収賄を含むあらゆる形態の腐敗防止を徹底します。また、サプライチェーンにおける人権侵害をはじめとする様々な課題の把握に努め、持続可能なサプライチェーンの構築を推進します。

⑤ ステークホルダーの尊重

全てのステークホルダーの立場を尊重するとともに、積極的な情報開示とコミュニケーションにより信頼関係を築き、ステークホルダーとの協働により社会課題の解決に取り組みます。また、地域社会の伝統・文化を尊重して人々との信頼関係を高め、次世代を担う技術者の育成支援などを通じて、地域社会での発展に貢献します。

⑥ 地球環境の保全、豊かな社会づくりへの貢献

より安全な未来社会を実現するために環境保全を推進することが必要不可欠であるとの考えのもと、「環境と経営の共生」を実現することで、持続可能な地球環境の実現に貢献します。環境に配慮した製品づくり、製造における資源利用の効率化や化学物質の削減、輸送時のエネルギー削減など、事業活動に伴う環境負荷の削減に継続的に取り組みます。

 

(2) ガバナンス及びリスク管理

当社はサステナビリティに対する取り組みの検討とその対応を、関係部門の代表者が参加するチームを中心として部門間で連携して実施しており、コーポレート・ガバナンス体制において運用しております。コーポレート・ガバナンス体制については「第4 提出会社の状況 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

また、コーポレート・ガバナンス体制において、サステナビリティに関するリスクをはじめとする経営に影響を与える可能性のあるリスク情報を認識し、その評価を行うとともに、重要なリスクへの対処を検討し、取締役会に報告する体制でリスクマネジメントを行っております。

 

(3) 人的資本に関する方針と取り組み

① 人的資本政策に関する基本方針

人的資本政策においては、経営理念に掲げた理念に立脚した価値観で実施します。「人材を重視し、従業員の成長を通じて、会社の発展と従業員の幸せを一致させる」ことを理念として重視し、企業の成長と従業員の成長の一致を図ります。

また、従業員一人一人の人格や個性を尊重し、その尊厳と価値を認め公正適切な待遇を与えること、人種、信条、性別、宗教、国籍などあらゆる理由による差別的な取り扱いのない健全な職場環境を確保すること、プライバシーの尊重を謳い、能力・意欲に秀でており努力をする人材に対して客観的で公正な人事評価と処遇を行います。

当社の最大の資源は人材であり、すぐれた人材の確保や育成こそ企業の発展の根源であるという考えに立脚し、能力と努力に対する公正な評価と処遇、適材適所での人材活用、人の成長をもたらすやり甲斐のある仕事の提供、そして生き甲斐の持てる明るい活力のある職場作り等に重点を置いた人的資本政策を推進します。

 

[人材育成方針]

・当社の価値観、経営理念、行動指針に沿った考えと行動ができる人材を育てます。

・仕事に誇りとやり甲斐を持って働き、持てる能力を最大限に発揮し、自己成長できる人材を育てます。

・自ら学び、考え、創造性を発揮して挑戦し続ける人材を育てます。

[社内環境整備方針]

・性別や年齢に関係なく従業員一人ひとりが意欲をもって活躍し能力を十分に発揮できる仕組みを整備します。

・女性のキャリア形成やリーダーシップの発揮を促進するとともに全ての従業員が仕事と生活を両立できる就業環境を整備します。

・従業員の心身の健康づくりと子育て中の社員も安心して働き能力を発揮できる快適な職場環境を整備します。

 [人権の尊重について]

当社は社会課題のひとつである人権保護についてその責任を認識し、全ての従業員に尊厳をもって接し、あらゆる企業活動において人権を尊重するとともに、不当な差別、児童労働や強制労働を認めないことを以下のとおり明示いたします。

イ.平等・安全の責任の推進

・平等で安全な雇用機会を確保し、いかなる差別を行いません。

・職場におけるセクシャルハラスメント、体罰、暴言、精神的または身体的強制など、非人道的な扱いを行いません。

・人種、宗教、皮膚の色、国籍、年齢、性別、性的指向、年齢、障害、または他の国や地域によって保護されている特定の状況を含むいかなる形態の差別を行いません。

ロ.児童労働の禁止

・国が制定する各種労働法を遵守し、18歳以上の社員のみを採用するなど、国際的な社会的責任の基準や関連する国の規則を遵守します。

ハ.自由労働の保護

・いかなる形態の侮辱や非人道的な扱いも、強制労働も行わず、労働に対する不当な労働制限は、厳格に禁止します。

ニ.適正な労働時間

・労働時間は各国の法令を遵守し、法令で定められた限度時間を超過しないよう管理します。

ホ.結社の自由

・各国の法令に従い、従業員それぞれの自由意思による労働組合の結成・参加及び団体交渉の実施の権利を尊重し、社員が差別、脅迫、報復などを受けることなく経営や労働条件に関する意思疎通を図り、経営層と共有できるものとします。

 

 

② 人材育成に関する取り組み

人材育成方針に基づき、人材の価値を最大限に引き出すために、必要な人的資本への投資、教育施策、採用活動を積極的に実施していきます。取り組みの概要は次のとおりです。

・階層別教育、テーマ別研修、各職能に合わせた専門スキル研修等の教育体系の拡充

・経営戦略を実現するための社員の能力・スキル開発の推進、通年採用制度による多様な人材の採用

・幅広い大学との交流やインターンシップの充実等、様々なアプローチによる新卒採用活動の推進(ジェンダーバランスの適正化)

 

③ 社内環境整備に関する取り組み

社内環境整備方針に基づき、従業員にとって魅力的な職場環境及び働き方や制度を提供することにより、人材の定着と優秀な人材の確保に注力いたします。取り組みの概要は次のとおりです。

・労働基準法および育児・介護休業法の改正、女性活躍推進法の制定等に合わせ、多様な働き方に対応した社内制度の整備と利用促進

・男性社員の育児休業取得制度、育児時短勤務の子供の対象年齢の引き上げ、保存休暇制度等の社内制度、ライフイベントに合わせた制度の充実や利用促進活動の実施

・従業員の健康維持・増進活動として、有給休暇の取得促進、産業医との連携によるサポート体制の強化、ストレスチェックや女性の健康に関する勉強会等の実施

・地震等の大規模災害への備えとして、災害用備蓄品の整備や防災訓練の実施

 

④ 人材育成、社内環境整備に関する指標の実績及び目標

当社は、上記に記載した人材育成及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績及び目標は次のとおりです。

区分

項目

2022年度実績

2025年度目標

人的資本・多様性

人材開発研修時間

11,000時間

13,000時間

男女別人員比率

男性83.3%
女性16.7%

男性80.0%
女性20.0%

管理職に占める女性従業員の割合

6.6%

10.0%

社内環境整備

男性の育児休業取得率

100%

100%

平均残業時間(月)

17.2時間

10時間

年休取得率

68.6%

70%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 特定の取引先への依存について

① 販売先について

当社グループは、LSI製品として、アミューズメント分野向けに使用されるゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)、ゲーム機本体・周辺機器向けのLSIの他、デジタルカメラ向け等画像処理用LSI、事務機器向けLSIを主に販売しておりますが、ゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)を主に供給している、任天堂株式会社への売上高の割合が高くなっており、当連結会計年度においては79.9%を占めております。

したがって、これらのLSI製品が使用されるゲーム機器やゲームソフトウェアの販売動向、また、同社におけるLSIの採用状況などにより、当社グループの業績が変動する可能性があります。

当該リスクは完全に排除できる性格のものではありませんが、当社は任天堂株式会社と良好かつ緊密な関係を構築し、最適なソリューションの提供や安定した製品の供給等により顧客満足の獲得に努め、リスクの最小化に努めております。また、今後の成長が見込める産業機器分野、通信分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等における新たな事業の育成にも注力し、中長期において事業ポートフォリオの適正化を進めていく考えです。

なお、任天堂株式会社への売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要) (4) 生産、受注及び販売の実績」に記載のとおりであります。

② 生産委託先(外注加工先)について

当社グループは、創業より経営資源を研究開発に集中し、製品の生産を外部に委託するファブレスメーカーという事業形態を採用することにより、特徴のある技術力を核に顧客のニーズに最適な製品を開発し、多くの資金が必要となる生産設備投資に制約されることなく事業を拡大してまいりました。当社グループの製品の生産は、複数の委託先メーカーに分散して委託しておりますが、主力取引先である任天堂株式会社へ供給するゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)及びゲーム機本体・周辺機器向けのLSIなどの製品の生産を委託している、Macronix International Co.,Ltd.(以下「マクロニクス社」)への外注割合が高くなっており、当連結会計年度においては71.0%を占めております。

したがって、何らかの理由によりマクロニクス社で生産ができなくなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

現在のところ、当該リスクの顕在化の兆候はございません。なお、当社は任天堂株式会社及びマクロニクス社との間で製造委託契約を締結しており、両社と良好かつ緊密な関係を構築し、安定的な製品の供給に努めております。

 

(2) 事業について

① LSI製品におけるリスク

当社グループは自社で生産設備は保有せず、生産は全て外部に委託するファブレスの事業形態をとっており、台湾を中心とする国内外の大手ファウンドリーとのネットワークを構築し、顧客のニーズにあわせて製品の製造を委託しております。

したがって、半導体市況の需給バランスにより調達数量と価格が影響を受け、当社グループの望む納期、数量及び価格で製品が調達できない可能性があります。

また、当社グループのLSI製品は先端のデジタル機器に採用されておりますが、当該分野は技術革新のスピードが速く、当社グループの製品が継続して採用される保証はありません。当社グループのLSIが採用されている最終製品においても、激しい市場競争にさらされていることに加え、CSR調達方針の浸透などの影響により需要が変動いたします。

 

 これらに対処するため、当社グループは製品の調達価格、生産数量、生産スケジュールの最適化に取り組むとともに、他社製品との差別化を実現する価格競争力のある製品や応用技術の開発に注力し、リスクの最小化に努めております。

② 研究開発について

当社グループは、「革新」により社業の発展を図り、「信頼」により顧客との共存を維持し、「創造」により社会に貢献し続ける存在でありたいという経営理念のもと、技術開発力をベースとして事業を展開しております。その競争力の源泉は独自のアナログ・デジタル技術をベースに、当社グループの独自性を発揮することにあります。

当社グループは、将来の成長が見込まれる分野に経営資源を投下し、顧客に最先端技術と製品を提供するための研究開発活動に取り組んでおります。当連結会計年度の研究開発費の総額は19億7千2百万円となっており、連結売上高の2.8%を占めております。

しかしながら、当社グループが属する業界は技術の進歩が目覚ましく、新しいと考えていた技術が突然陳腐化し、新たな技術やサービスが急速に普及するなど、市場に大きな変化が起こる可能性があります。変化が生じた場合には、必ずしも迅速に対応できるとは限らず、変化に対応するために多額の研究開発費用を投資する場合があります。このような場合、当社グループの業績は影響を受けます。また、技術開発競争において他社が優位に立った場合、当社グループのシェアは低下し、業績は影響を受けます。

当社グループは、今後も継続して斬新で魅力のある製品を開発し、市場に提供していくために、独自のアナログ・デジタル技術をベースに最先端の技術を開発し、技術及び製品の競争優位性を維持する最善の努力を行っております。

③ 人材の確保について

当社グループは、独自のアナログ・デジタル技術を駆使し、技術開発力をベースとして事業を展開しており、その成長は人材に大きく依存しております。そのため、優れた技術者を獲得して維持することや、必要とする人材をどのように処遇し、どのように育成していくかは、人事政策上の重要課題と認識しております。

したがって、将来において、当社グループの国内外の優秀な技術者の維持や、人材の新規採用・育成・グローバル化が計画どおりにできなかった場合、当社グループの競争力が弱まり、企業価値そのものに影響を与える可能性があります。

これらに対処するため、当社グループは人事処遇体系を整備し、中長期の新たな事業育成等のための人材投資について、育成計画に基づいて人事政策を実行いたします。また、多様な環境で能力を発揮し、組織の成果を最大化出来る人材を育成できるよう、語学教育や新入社員研修など社員教育の充実やダイバーシティ推進など様々な施策に積極的に取り組んでおります。

 

(3) 経営について

① 関係会社株式に含まれるのれん等の評価について

当社グループは、2014年11月に取得したSiTime Corporation(NASDAQ Global Market上場)の株式を所有しており、現在、当社の持分法適用の関連会社となっております。のれんを主とする無形固定資産(以下、のれん等という)を含むこれらの投資は、関係会社株式として連結貸借対照表に計上されております。これらの当連結会計年度末の残高は207億4千9百万円となっており、連結総資産の23.3%を占めております。

SiTime Corporationは、上場企業として自らの方針や戦略に基づいて経営を行っており、同社の業績・財政状態が悪化した場合に、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

また、当該関係会社株式に含まれるのれん等については、株式の市場価額を利用した正味売却価額によりその評価を行っておりますが、同社の株価が下落し正味売却価額が帳簿価額を下回った場合、減損損失の発生により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

なお、現在のところ、のれん等の評価において減損の認識は不要と判断しております。

 

 

② 戦略的投資におけるリスク

当社グループは、他社との事業連携、情報収集等を目的とした戦略的提携により当社の企業価値向上に資すると判断した場合に、提携先企業並びに最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業への投資を行う場合があります。当連結会計年度末のこれらの投資有価証券の残高は109億5百万円となっており、連結総資産の12.3%を占めております。

このような事業の成長を加速するための投資を含めた戦略的提携におきましては、事業上の補完関係の構築や業績の拡大等において、当社の予測どおりの効果が得られない可能性があります。また、投資株式の時価の下落や実質価額の著しい低下による評価損の発生により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

なお、これら戦略的投資に関しては、取締役及び社外有識者を中心とした会議体において、個別の銘柄ごとに、事業連携や情報収集の状況並びに将来の収益力などを総合的に勘案し、投資効果やリスクの検証を行ったうえで戦略的投資の可否を決定し、取締役会の承認を得て実施しております。

③ 為替変動について

当社グループは事業拠点として海外子会社等を展開しており、当社グループの事業取引においては、米ドルや台湾ドルを主とする外貨建取引が一定割合含まれております。また、海外子会社の財務諸表は連結財務諸表作成のために円換算されており、このため外国為替相場、殊に日本円・米ドル間の為替相場の変動により、当社グループの業績が変動する可能性があります。外国為替相場が円高方向に進行した場合、概して損失方向に影響し、その変動幅が大きいほど当該リスクの顕在化の可能性が高まります。

なお、為替リスクの低減のため、必要に応じて為替予約取引を利用しております。

④ 知的財産権について

当社グループは、研究開発を主体としたファブレスメーカーであり、知的財産権の保護は事業展開上の重要課題と認識しております。

しかしながら、当社グループが出願する特許や商標などがすべて登録されるとは限らないこと、また、公開前の他社技術など、他社権利を調査しても把握できないものもあることから、他社の知的財産権を侵害し、訴えを提起された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの独創的な技術が、特定の国・地域においては、法整備等の理由により充分な保護を受けることができない可能性があります。このような状況下で、他社が当社グループの知的財産を無断で使用し、類似の製品を市場に販売した場合、これを効果的に阻止することができない可能性があります。

なお、当社グループは、知的財産に係わる社内体制及び特許事務所との連携を強化し、当社グループが提供する製品・サービスを保護するための特許や商標などの出願・登録を積極的に行うと同時に、他社権利の調査を徹底することにより他社権利の侵害を防止するなど、リスクの最小化に努めております。

⑤ 偶発的な災害等におけるリスク

当社グループが事業を展開する国内外において、大規模な地震をはじめとする自然災害や火災、未知の感染症の流行、テロ行為や社会騒動、その他の事故・事件等が発生した場合、当社グループの事業拠点、生産を委託するファウンドリーやメーカー、あるいは顧客自身に対して大きな被害が発生する可能性があります。また、これらの影響によって当社グループの事業活動の縮小等を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績及び財政状態に重大な影響を及ぼす可能性があります。

このような偶発的な災害等におけるリスクを全て回避することは極めて困難でありますが、当社においては、リスクの予防回避及び発災時の人命の安全、並びに被害の抑制・軽減、二次災害の防止、早期の業務再開を図ることを目的に危機管理マニュアルを策定し、危機管理についての必要事項と対応方法を定めるとともに、リスクの軽減に向けた対応を可能な範囲において実施しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度における電子機器業界においては、産業用電子機器の需要が微減となったものの、民生用電子機器、電子部品・デバイスの需要は概ね前年同期と変わらず、電子機器業界全体の市場は前年同期とほぼ同水準で推移いたしました。

ASIC事業においては、これまでの主力分野であるゲーム機器、デジタルカメラ、事務機器分野に加え、産業機器分野における国内外の有力顧客に向け、顧客の機器・サービスのアプリケーションに最適なソリューションを提供しております。その競争力は、顧客のアプリケーションに関する深い理解と独自のコア技術を基に、顧客の課題解決のために、独創的なアルゴリズム・アーキテクチャを搭載したシステムLSIを開発し、提供できることにあります。

ASSP事業においては、急速な情報通信技術の革新が進展する中で更なる成長を図るため、今後の成長が見込める産業機器分野、通信分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等をターゲットとした新規LSI事業の立ち上げに経営資源を集中しております。アナログ・デジタル回路の開発・設計技術の競争力強化と、国内・海外企業との戦略的な協業に取り組み、差別化できる付加価値の高いソリューションを開発・提供することで、将来の収益の重要な柱となる新たな事業の育成を図っております。

当連結会計年度の経営成績につきましては、前連結会計年度に比べ減収となりましたが、ゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)の需要が第2四半期から第3四半期にかけて堅調に推移し、売上高は707億2千2百万円前年同期比6.0%減)、営業利益は60億2千9百万円同14.2%減)となりました。

経常利益は、持分法適用の関連会社であるSiTime Corporationの持分法による投資利益(のれん等償却費を含む)が2億6百万円、為替差益が6億4千2百万円それぞれ発生したこと等により、73億1千1百万円同6.9%減)となりました。

また、関連会社であるSiTime Corporationの株式の一部を売却したことにより、特別利益として関係会社株式売却益が34億6千7百万円発生し、親会社株主に帰属する当期純利益は70億8千6百万円同74.3%減)となりました。なお、前連結会計年度においては、SiTime Corporation株式の一部売却及びSiTime Corporationの新株発行増資の実施により、関係会社株式売却益が292億5千1百万円計上されております。

当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

(2) 財政状態の変動状況

当連結会計年度末における総資産は890億2千1百万円前連結会計年度末比8億2千1百万円の減少)となりました。主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、受取手形、売掛金及び契約資産が24億2百万円、投資有価証券が85億4千6百万円、関係会社株式が20億4千4百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が65億4百万円、未収入金が67億4千1百万円それぞれ減少しております。

負債合計は144億8千5百万円同79億2千7百万円の減少)となりました。主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、支払手形及び買掛金が7億5千6百万円、未払金が4億8千5百万円、未払法人税等が60億2千1百万円それぞれ減少しております。

純資産は745億3千5百万円同71億6百万円の増加)となりました。主要な項目を前連結会計年度末と比較すると、親会社株主に帰属する当期純利益が70億8千6百万円となり、為替換算調整勘定が30億9千9百万円増加した一方で、剰余金の配当が17億2千5百万円となり、その他有価証券評価差額金が14億1千万円減少しております。

この結果、自己資本比率は83.7%(同8.6ポイントの上昇)となりました。

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、207億1千7百万円となり、前連結会計年度に比べ50億5千2百万円の減少(前年同期は43億6千1百万円の増加)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フローは、12億4千1百万円の資金の獲得前年同期は1億9千5百万円の資金の使用)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が102億7千2百万円となり、その他の資産が64億4千2百万円減少した一方で、関係会社株式売却益が34億6千7百万円発生したこと、売上債権が24億2百万円増加したこと、仕入債務が7億5千6百万円減少したこと、法人税等の支払額が83億9千3百万円あったことによるものであります。

投資活動によるキャッシュ・フローは、55億2千万円の資金の使用前年同期は200億1千8百万円の資金の獲得)となりました。これは主に、関係会社株式の売却による収入が45億9千1百万円あった一方で、投資有価証券の取得による支出が94億4千7百万円、長期前払費用の取得による支出が10億8百万円あったことによるものであります。

この結果、営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合算したフリー・キャッシュ・フローは、42億7千9百万円の資金の使用(前年同期は198億2千3百万円の資金の獲得)となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、17億3千8百万円の資金の使用前年同期は165億3千4百万円の資金の使用)となりました。これは主に、配当金の支払額が17億2千3百万円あったことによるものであります。

 

(4) 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度における生産実績、受注実績及び販売実績は次のとおりであります。

なお、当社グループは単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

① 生産実績

 

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

前年同期比(%)

生産高(千円)

62,267,635

101.8

 

 

② 受注実績

 

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

前年同期比(%)

受注高(千円)

68,052,467

86.1

受注残高(千円)

7,625,098

74.1

 

 

③ 販売実績

 

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

前年同期比(%)

販売高(千円)

70,722,656

94.0

 

 

(注) 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日

相手先

金額(千円)

割合(%)

任天堂㈱

66,084,184

87.8

 

当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日

相手先

金額(千円)

割合(%)

任天堂㈱

56,518,616

79.9

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

当連結会計年度における経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 売上高

ASIC事業において新たに受託開発売上が発生した一方で、ゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)の需要が、高水準ながらも前連結会計年度に比べ減少した結果、売上高は707億2千2百万円前年同期比6.0%減)となりました。

② 売上原価・販売費及び一般管理費並びに営業利益

当連結会計年度の売上原価は、586億7千2百万円となりました。売上の製品構成の変化等に伴い当連結会計年度の原価率は1.1ポイント悪化の83.0%となり、売上総利益は120億4千9百万円前年同期比11.5%減)となりました。

販売費及び一般管理費は60億2千万円となり、研究開発業務の効率化が進展したこと等により前連結会計年度と比較して5億6千4百万円減少いたしました。この主な内訳は、給料、賞与引当金繰入額等の人件費が22億2千万円(同9.4%減)、研究開発費が19億7千2百万円同22.3%減)となっております。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は60億2千9百万円同14.2%減)となりました。

当社は連結売上高営業利益率を重要な指標と考えており、その動向を注視しております。当該指標等の5年間の推移は次のとおりであります。

回次

第29期

第30期

第31期

第32期

第33期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

売上高(百万円)

95,145

65,764

83,814

75,256

70,722

研究開発費(百万円)

7,843

6,581

3,058

2,537

1,972

営業利益又はのれん等償却前営業利益(百万円)

3,152

3,449

5,608

7,030

6,029

売上高営業利益率又は売上高のれん等償却前営業利益率(%)

3.3

5.2

6.7

9.3

8.5

 

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。なお、第29期、第30期及び第31期は営業利益に代えてのれん等償却前営業利益を使用しております。
のれん等償却前営業利益: 営業利益+企業買収によるのれん及び無形固定資産の償却費
売上高営業利益率: 営業利益/売上高×100
売上高のれん等償却前営業利益率: のれん等償却前営業利益/売上高×100

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第32期の期首から適用しており、第32期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

③ 税金等調整前当期純利益

営業外収益として受取配当金が1億7千5百万円、持分法による投資利益が2億6百万円、為替差益が6億4千2百万円それぞれ発生したこと等により、営業外収益及び営業外費用の差引額は12億8千1百万円の収益となりました。

また、特別利益としてSiTime Corporationの株式を一部売却したことにより関係会社株式売却益が34億6千7百万円発生した一方で、特別損失として固定資産除却損が4億8千万円、減損損失が3億8千7百万円それぞれ発生したこと等により、特別利益及び特別損失の差引額は29億6千万円の利益となりました。

以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は102億7千2百万円前年同期比71.8%減)となりました。

 

 

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税の額が25億9千5百万円前年同期比68.0%減)、法人税等調整額がプラス5億9千万円前年同期はプラス7億5百万円)となった結果、親会社株主に帰属する当期純利益は70億8千6百万円前年同期比74.3%減)となりました。

当社は自己資本当期純利益率を重要な指標と考えており、その動向を注視しております。当該指標の5年間の推移は次のとおりであります。

回次

第29期

第30期

第31期

第32期

第33期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

自己資本当期純利益率(%)

△6.0

△6.6

53.6

46.9

10.0

 

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
自己資本当期純利益率: 親会社株主に帰属する当期純利益/期中平均自己資本×100

2.各指標は、連結ベースの財務数値により計算しております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

① 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当連結会計年度末における総資産は890億2千1百万円前連結会計年度末比8億2千1百万円の減少)となりました。流動資産は、現金及び預金、受取手形、売掛金及び契約資産、未収入金を中心に487億5千2百万円同87億2千9百万円の減少)となりました。主な項目を前連結会計年度末と比較すると、受取手形、売掛金及び契約資産が24億2百万円、有価証券が14億5千1百万円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が65億4百万円、未収入金が67億4千1百万円それぞれ減少しております。固定資産では、投資有価証券が85億4千6百万円、関係会社株式が20億4千4百万円それぞれ増加しております。

当社グループの資産構成の特徴はその流動性の高さにあり、総資産の54.8%を流動資産が占めております。流動負債は139億2百万円同74億6千5百万円の減少)となり、流動比率は350.7となりました。流動資産から、棚卸資産42億9千7百万円を控除した資産の額は444億5千4百万円となっており、総資産の49.9%を占めております。このような資産構成は、当社グループが資金を長期に亘り固定化する生産設備等の資産を持たないファブレスメーカーとして事業を展開してきた結果であります。当社グループは、今後も流動性の向上と健全な資産構成のバランスシートの維持に努めてまいります。

当連結会計年度末の負債合計は144億8千5百万円同79億2千7百万円の減少)となりました。負債の主な内容は、LSI製品の製造委託先からの仕入等に対する仕入債務73億4千4百万円であります。主な項目を前連結会計年度末と比較すると、支払手形及び買掛金が7億5千6百万円、未払金が4億8千5百万円、未払法人税等が60億2千1百万円それぞれ減少しております。

純資産は745億3千5百万円同71億6百万円の増加)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益が70億8千6百万円となり、為替換算調整勘定が30億9千9百万円増加した一方で、剰余金の配当が17億2千5百万円となり、その他有価証券評価差額金が14億1千万円減少しております。

以上の結果、自己資本は745億3千5百万円となり、自己資本比率は83.7%(同8.6ポイントの上昇)となりました。引き続き、経営環境の変化に柔軟かつ迅速に適応できるよう健全で強靭な財務体質を維持してまいります。当社グループの安全性指標等の推移は次のとおりであります。

 

 

 

回次

第29期

第30期

第31期

第32期

第33期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

流動比率(%)

150.0

126.5

213.5

269.0

350.7

自己資本比率(%)

28.5

38.8

67.1

75.1

83.7

時価ベースの自己資本比率(%)

42.6

49.5

109.0

92.4

80.7

 

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
流動比率: 流動資産/流動負債×100
自己資本比率: 自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率: 株式時価総額(期末株価終値×期末発行済株式数)/総資産 

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

当社グループは、経常的な営業運転資金に充当するため、必要に応じて金融機関から資金を調達しております。営業運転資金は、新技術・新製品の研究開発費、売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであり、営業費用の主なものはLSI製品の製造委託費用であります。

当社グループは、その健全な資産構成と財務状況の維持に努めており、当社グループの成長に必要な資金を、保有する売掛債権の売却、銀行借入れ又は増資などにより、必要に応じて調達できるものと考えております。

当連結会計年度においては、関連会社であるSiTime Corporation株式の一部売却により45億9千1百万円の資金が獲得されております。これらの資金の一部は剰余金の配当、自己株式の取得等に活用されております

なお、有利子負債は、当連結会計年度末の残高はございません。

当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の5年間の推移は下記のとおりであります。

回次

第29期

第30期

第31期

第32期

第33期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△13,700

28,256

5,513

△195

1,241

フリー・キャッシュ・フロー(百万円)

△16,200

25,715

22,536

19,823

△4,279

有利子負債(百万円)

52,827

28,491

4,790

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

100.8

86.9

 

 

(注)1.各指標の計算方法は下記のとおりであります。
フリー・キャッシュ・フロー: 営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
キャッシュ・フロー対有利子負債比率: 有利子負債/営業活動によるキャッシュ・フロー

2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

3.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

4.第29期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率については、営業活動によるキャッシュ・フローがマイナスであるため記載しておりません。

5.第32期及び第33期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率については、有利子負債の残高がないため記載しておりません。

 

 

(3) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えられる特に重要な会計方針は以下のとおりであります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

① 貸倒引当金

貸倒引当金に関して、過去の貸倒実績率により算定した額のほか、個別に債権の回収可能性を見積もって計上いたします。

② 棚卸資産

棚卸資産に関して、正味売却価額が取得原価よりも下落した場合に簿価の切下げを行います。

③ 投資有価証券

投資有価証券に関して、時価が著しく低下した場合には、当該投資有価証券は時価で連結貸借対照表に計上し、時価と簿価との差額はその期間の損失として認識いたします。適正な時価が容易に入手できない場合で、当該投資有価証券の実質価額が著しく低下している場合は、実質価額まで簿価の切下げを行います。

詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

④ 有形固定資産、無形固定資産及び長期前払費用

有形固定資産、無形固定資産及び長期前払費用に関して、回収見込額が取得価額よりも下落した場合に簿価の切下げを行います。

⑤ 工事損失引当金

工事契約に関して、工事原価総額が工事収益総額を超過する可能性が高く、かつ、その金額を合理的に見積もることができる場合に、その超過すると見込まれる額を計上いたします。

⑥ 関係会社株式に含まれるのれん

のれんに関して、その効果の発現する期間を見積り、その期間で均等償却いたします。その資産性の評価について検討し、将来において当初想定した収益が見込めなくなった場合に、簿価の切下げを行います。

⑦ 繰延税金資産

繰延税金資産に関して、事業計画やタックス・プランニングを基に将来の課税所得を見積って計上いたします。その見積りの変更により回収が見込めなくなった場合に繰延税金資産の取崩しを行います。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(1) 製造・販売の提携

契約の名称

製造委託契約

契約年月日

2001年3月22日

契約期間

2001年7月31日より2005年6月30日、以降1年間単位で異議申立のない限り自動延長

契約相手先

任天堂株式会社及びMacronix International Co.,Ltd.

契約内容

① Macronix International Co.,Ltd.は、任天堂㈱向けマスクROM、フラッシュメモリ及び各種ICを継続的に生産し、当社は同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種ICを買い取った上、任天堂㈱に販売する。

② 任天堂㈱が購入を望むMacronix International Co.,Ltd.製マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICは、全量当社が販売するものとする。

③ Macronix International Co.,Ltd.及び当社は、同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICが任天堂㈱向けのカスタム製品である場合、任天堂㈱以外の第三者に販売その他交付できない。

④ 任天堂㈱は、当社に対し継続してウエハ枚数で月間2,200枚以上の同マスクROM、フラッシュメモリ及び各種カスタムICを発注するよう最善の努力をする。

⑤ 本契約の効力発生日をもって、1995年3月31日に当社、任天堂㈱及びMacronix
International Co.,Ltd.の3社で締結した製造委託契約はその効力を失う。

 

 

(2) 販売の提携

契約の名称

Sales Agency Agreement(販売代理店契約)

契約年月日

1994年3月23日

契約期間

1994年3月23日より5年間、以降5年間単位で異議申立のない限り自動延長

契約相手先

Macronix International Co.,Ltd.

契約内容

① Macronix International Co.,Ltd.は、当社を任天堂㈱向けカスタムマスクROMの独占販売代理店として指名する。

② 当社は任天堂㈱より当該製品を受注し、Macronix International Co.,Ltd.に発注する。Macronix International Co.,Ltd.は当社より注文を受取り、生産し当該製品を当社に供給する。

③ Macronix International Co.,Ltd.は、当社以外のチャネルを通して直接的にも間接的にも当該製品を任天堂㈱に販売してはならない。

④ 当社は任天堂㈱に対する販売価格に対して、一定割合のマージンを差し引いた価格を仕入金額としてMacronix International Co.,Ltd.に支払う。

 

 

 

(3) 業務提携の合意

当社は、2022年7月21日付でMorse Micro PTY. LTD.(以下“モースマイクロ社”という。)への出資を行うとともに、半導体・モジュール製品の供給及び販売活動についての戦略的提携を行うことを決定し、2022年9月7日付でモースマイクロ社と合意いたしました。

 

① 業務提携の目的

当社グループにおいては、最先端の技術やアイデアを持つスタートアップ企業との戦略的提携や事業投資に取り組んでおり、中長期における持続的成長に向けて、今後市場拡大が見込まれる産業機器分野、通信分野、エネルギー制御分野、ロボット分野等の最先端技術分野における新規事業の立上げを推進しております。

モースマイクロ社は、急成長中のファブレス半導体企業であり、低消費電力かつ長距離対応の新無線通信規格である「Wi-Fi HaLow」ソリューションの開発を行っております。オーストラリアに本社を置き、中国、インド、米国にオフィスを構え、強力で多様なシステムチーム、IP及び特許群を持つモースマイクロ社の「Wi-Fi HaLow」ソリューションは、監視システム、アクセス制御、産業オートメーション、モバイル機器など、IoT(モノのインターネット)エコシステム全体において、より遠くのIoTデバイスの接続を可能とするものです。

この度当社は、主にIoTをターゲットに、最速、最小、最低電力、最長距離のWi-Fi HaLowチップを実現するモースマイクロ社へ出資し、戦略的提携を行うことで、通信分野において新市場の開拓や新ソリューションの開発を促進し、新規事業の立上げを加速していく考えであります。

 

② 出資の概要

出資総額 100,000千豪ドル(96.9億円)

 

③ 業務提携の概要

本業務提携では、Wi-Fi HaLowの普及のため、モースマイクロ社の半導体及びモジュール製品の製造を当社で請け負うこと、それら製品の販売及びプロモーション活動をモースマイクロ社と共同で進めることを合意しております。

 

④ 相手先の概要

名称

Morse Micro PTY. LTD.

所在地

Level 8, 10-14 Waterloo Street, Surry Hills, NSW 2010, Australia

代表者

CEO Michael De Nil

事業内容

ファブレスの半導体企業、主にIoT市場向けのWi-Fi HaLowソリューションの開発、提供

資本金(2022年12月31日現在)

200,511千豪ドル(179.6億円)

設立

2016年8月

当社と当該会社との間の関係

資本関係

当社から100,000千豪ドルを出資しております。

人的関係

該当事項はありません。

取引関係

該当事項はありません。

関連当事者への該当状況

該当事項はありません。

 

 

 

6 【研究開発活動】

当社グループは、「独自のアナログ・デジタル技術をベースとしたシステムLSI及び当該製品を利用したソリューションを提供すること」を方針として掲げ、積極的に研究開発活動を進めております。

技術革新の著しい成長機器市場において、競争優位性を確保し維持するため、この分野におけるLSI開発の知識とアプリケーションの知識を併せ持つ技術者が顧客やマーケットの要求をいち早く的確に把握し、独創的なアルゴリズム(データの処理手順あるいは手続きや処理方法)やアーキテクチャ(アルゴリズムを実現するためのソフトウェアやハードウェア構成)を開発することにより、製品の競争力と独自性の確保を図っております。

また、経営戦略上、特許権等の工業所有権による知的所有権の保護を重視しております。当連結会計年度末における工業所有権の所有状況並びに工業所有権のうち特許権の国別の所有状況は、次のとおりであります。

 

工業所有権所有状況

 

2023年3月31日現在

 

特許権

商標権

合計

取得済み件数

643

31

674

出願中件数

48

1

49

合計

691

32

723

 

 

特許権地域別所有状況

 

 

 

2023年3月31日現在

 

日本

北米

アジア
(日本を除く)

EU

その他

合計

取得済み件数

335

244

42

22

643

出願中件数

27

11

4

4

2

48

合計

362

255

46

26

2

691

 

 

当社グループでは従業員の過半数が研究開発に従事しており、当社及び子会社の開発部門において、他社製品との差別化を実現するアナログ・デジタル技術をベースとしたシステムLSI、システムLSI向けIP(設計資産)などに関連する以下の課題を中心に研究開発を進めております。

・LSI製品の開発   :ゲーム機等エンターテインメント機器向けLSI、オーディオ・ビジュアル機器向けLSI、デジタルカメラ向け等画像処理用LSI、画像処理システムLSI用IP、光通信向けデータ処理LSI、有線通信向けLSI、アナログフロントエンドLSI

当連結会計年度における研究開発費の総額は、1,972百万円となりました。研究開発の主要テーマ、研究開発成果については次のとおりであります。

なお、当社は単一の事業セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

① 任天堂㈱製ゲーム機向けゲームソフトウェア格納用LSI

任天堂㈱製ゲーム機向けの、大容量、低消費電力を実現したゲームソフトウェア格納用LSI(カスタムメモリ)を、引き続き開発いたしました。

② 有線(撚り対線、同軸線、電源線)マルチホップ通信向けLSIの開発

既存通信規格の機能拡張・改善を盛り込んだ国際標準規格IEEE1901-2020が新たに制定されました。本通信規格に準拠した新規製品として、第4世代HD-PLC製品の量産を開始しております。先行顧客において試作・評価が開始されており、既存製品で参入できていなかった新たなアプリケーションへの展開を進めております。

③ 光通信向けIP、LSIの開発

光通信ネットワークのアクセス方式で、5G等次世代無線網でも重要な役割が期待されているPON(Passive Optical Network)の次世代システムに向け、最新の低消費電力16nmプロセスを採用した10Gbps(毎秒100億ビット)超高速SerDes(Serializer/Deserializer)IPを搭載した顧客ASICの開発が完了し、量産移管しております。また、本SerDes技術を展開し、新たな顧客ASIC開発にも着手しております。本IPを集積した次世代高性能PONシステムASIC製品が複数の通信メーカーで採用されております。