当社は、双日グループ企業理念、双日グループスローガンを掲げ、企業理念にある「豊かな未来」の創造に向け、当社グループの事業基盤拡充や持続的成長などの「双日が得る価値」と、国・地域経済の発展や人権・環境配慮などの「社会が得る価値」の2つの価値の実現と最大化に取り組んでおります。
(双日グループ企業理念)
双日グループは、誠実な心で世界を結び、
新たな価値と豊かな未来を創造します。
(双日グループスローガン)
New way, New value
(双日の価値創造モデル)

「豊かな未来」の創造、「2つの価値」の実現に向けて、当社では人材を最も重要な経営資源と考え、「人財」と表記し、価値創造モデルの中心に据えています。世界中のニーズを把握し、価値を生み出す人財力を高めていくことが、双日の価値創造の源泉です。
実効性の高い戦略と充実したコーポレート・ガバナンスのもと、常に新しい発想を持ち、トレーディング・権益投資・事業投資を通じた機能を発揮して、将来を見据え、外部環境の目まぐるしい変化やニーズの多様化に先駆けたスピード感あるビジネスを展開しています。
また、世界各国に広がる事業拠点やパートナーシップ、それぞれの地域で長年に亘り育んできたお客様との信頼関係やブランド力など、築き上げてきた確固たる事業基盤が、当社の持続的な成長を支えています。
当社が創造した価値は、「社会が得る価値」として還元され、ステークホルダーからの信頼獲得につながります。また、創造した価値は、「双日が得る価値」として、当社の人材基盤やビジネスノウハウといった各事業基盤を拡充するものとして還元され、当社の競争力強化や新たなビジネスチャンスの増加につながります。このように価値創造の循環を繰り返すことによって、持続的な企業価値向上を実現しています。
(2) 「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」の取り組みについて
世界情勢の不確実性が高まる中で、デジタル化の加速、ESGに対する意識の高まり、価値観・ニーズの多様化といった近年のメガトレンドが企業活動に与える影響は、ますます大きくなっています。改めて強固な収益基盤の構築と共に、このような状況を機会と捉え、変革を行っていく必要があります。
この大きな変革期にあたり、当社グループは、2021年4月からの3ヶ年計画である「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」を策定し、2030年における当社グループの目指す姿として「事業や人材を創造し続ける総合商社」を掲げました。必要なモノ・サービスを必要なところに提供することを総合商社の使命と捉え、人材を競争力の源泉として、「マーケットインの徹底」、「社内外での共創と共有の実践」、「スピードの追求」により競争優位・成長を追求し、これを実現するために組織や人材の変革を継続することで、持続的な価値創造を実現していきます。

① 成長戦略と注力領域について
中期経営計画2023では、サステナビリティを前提とし、競争優位性・成長マーケットを追求できる領域に経営資源を集中的に投下することを成長戦略として掲げています。具体的には「社会課題としてのEssentialインフラ開発とサービス提供」、「3R(リデュース、リユース、リサイクル)事業の深化」、「東南アジア・インド市場のリテール領域取組強化」、「国内産業活性化・地方創生の取り組みを通じた価値創造」の4つの成長戦略を掲げると共に、これらをデジタルや新技術、社内外での共創と共有により実現することを目指します。

株主価値を創造していくためには、収益性の高い規模感のある投資に挑戦していくことが必要であり、中期経営計画2023では、成長の実現に向けて、下記に示す注力領域を中心として、戦略に裏付けられた規模感のある新規投資の実行に取り組んでいます。新規投資については、キャッシュ・フローをマネージした規律を堅持しつつ、メガトレンドを踏まえた成長領域や新たな領域における投資を中期経営計画3ヶ年で合計3,300億円(うち300億円は人や組織改革に向けた非財務投資)程度を実行することにより、企業価値の着実な向上を実現していきます。

② 当社のサステナビリティ経営
中期経営計画2023では、サステナビリティへの取り組みは、企業経営における最優先事項の1つとなっています。当社では、「双日が得る価値」と「社会が得る価値」という2つの価値の考え方を土台として、サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)に基づく2050年長期ビジョン「サステナビリティ チャレンジ」を策定しており、中期経営計画2023では、脱炭素社会実現への挑戦と人権の尊重を大枠とする各種施策を打ち出しています。また、人材戦略として、多様性と自律性を備える「個」の集団を形成し、自律した個の成長をチーム・組織の成長、会社の成長へつなげていくことを目指し、価値創造できる人材を輩出し続ける人的資本経営を実践していきます。さらに、デジタルを全従業員が持つべき共通言語、かつ、顧客・社会ニーズを価値創造につなげる上での大前提として位置づけ、DX戦略を策定しています。デジタルを事業の変革・競争力強化のための手段とし、事業モデル・人材・業務プロセスの改革を進めることで、価値創造に貢献していきます。
サステナビリティに関する詳しい取り組みについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組(20~48ページ)をご参照ください。
③ 経営指標及び進捗
「株主価値の創出」と「成長と財務規律」の観点から、それぞれ目標数値を設定しました。新規投資の着実な収益化と既存ビジネスの収益構造の抜本的な改革により、規模と収益性の両方を追求し、株主価値を創造していきます。
※1 当期利益は、親会社の所有者に帰属する当期純利益を指します
※2 基礎的営業CF=会計上の営業CFから運転資金増減を控除したもの
※3 基礎的CF=基礎的営業CF+調整後投資CF-支払配当金-自己株式取得
(調整後投資CF=会計上の投資CFに長期性の営業資産等の増減を調整したもの)
当社の株主資本コストが8%程度である認識のもと、中期経営計画2023では経営指標として3ヶ年のROE平均の目標を10%超に設定しました。この目標を達成するために、社内管理指標として投下資本に対する基礎的営業キャッシュ・フローの比率を示すキャッシュリターンベースでのROIC(CROIC)を導入し、各セグメントにおける達成すべきCROICの目線を価値創造ラインとして定めております。目標に対して2022年度はROE14.2%を達成、また、当期利益に関しては3ヶ年の平均の目標650億円程度に対して2022年度は商品価格・石炭市況の上昇及び非資源事業の安定的な伸長を主な要因として1,112億円を達成しました。
2年連続で過去最高益を更新しており、当社の価値創造の着実な成果と、継続的な投資実行により、収益力が拡大しています。資源分野からの利益獲得に加え、非資源分野からも順調に利益が上がってきており、次期中期経営計画に向けた当社の収益水準の新たなステージへとつなげていきます。
④ 新規投資の進捗
新規投資については、2021年度は1,500億円、2022年度は930億円、合計2,430億円を実行しております。具体的には、米国省エネルギー事業、豪州太陽光発電事業、フィリピン通信タワー事業を始めとするインフラ・ヘルスケア領域や水産食品加工会社マリンフーズの全株式取得、ベトナム最大手ビナミルクとの協業など、東南アジアやインドといった成長市場でのリテール領域、さらにはカナダ家電・電子機器リサイクル事業や福岡県北九州市におけるフッ素化合物製造事業などの、国内外での素材・サーキュラーエコノミー領域での取り組みを強化しています。2023年度も、4月に冷凍マグロ加工販売大手のトライ産業の全株式を取得し、リテール領域における当社グループの水産バリューチェーンに新たな機能を追加するなど、引き続きキャッシュ・フローをマネージする規律を堅持しつつ、新規投資を進め、企業価値の着実な向上を実現していきます。
⑤ 株主還元
株主還元について当社は株主の皆様に対して、安定的かつ継続的に配当を行うと共に、内部留保の拡充と有効活用によって株主価値を向上させることを基本方針としています。この基本方針のもと中期経営計画2023においては、連結配当性向30%程度を基本としており、2022年度は27.0%となっております。
なお、2023年度の1株当たり配当金は年間130円を下限とする方針です。

注:2021年10月1日を効力発生日とする株式5株につき1株の株式併合を実施。
2019年3月期~2022年3月期配当は株式併合の影響を遡及した金額を記載。
さらに、中期経営計画2020及び中期経営計画2023の1年目・2年目で創出した基礎的キャッシュ・フローの黒字を成長投資へ振り向けるにあたり、その一部を株主に還元すること、及び資本効率の向上を図ることを目的として、2023年4月7日に15,299,900株の自己株式の消却を実施すると共に、取得株式総数1,000万株又は取得価額の総額300億円を上限とする自己株式の取得を2023年3月31日に公表しております。
⑥ 中期経営計画2023最終年度に向けて
外部環境については、2021年度から続くロシアによるウクライナ侵攻を始めとした地政学リスクや主要国通貨の金利引き上げの影響及びそれらを受けた新興国通貨の変動など、今後も著しい変化が続くと認識しており、多様な変化に伴うリスクを適切にマネージすると共に、自らの変革の機会と捉え、価値創造に向けた取り組みが必要と考えています。引き続き、2030年の当社の目指す姿に向けた施策、「マーケットインの徹底」、「社内外での共創と共有の実践」、「スピードの追求」により競争優位の獲得と事業の成長を追求し、併せてそれに必要な組織改革や人材の高付加価値化を継続することで、成長の実現を通じた持続的な価値創造を実践していきます。
また「事業や人材を創造し続ける総合商社」として、人的資本経営を推進していくと共に、DX戦略として全社員がデジタルを共通言語として理解し、活用し、事業ポートフォリオの変革に取り組むことによって、DXの実装とデジタル人材の育成を軸とした企業価値の向上を実現します。
こうした取り組みに関する対話や情報の発信を社内外に対して拡充することにより、成長期待の醸成、さらにPBR1倍超の実現を目指します。
DXに関する詳しい取り組みについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)DXの取り組み(47~48ページ)をご参照ください。
また、中期経営計画2023の詳細につきましては、当社ウェブサイト(https://www.sojitz.com/jp/)をご参照ください。
(3) 利益配分に関する基本方針
当社の利益配分に関する基本方針につきましては、第4提出会社の状況 3配当政策(76ページ)をご参照下さい。
※将来情報に関するご注意
本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済状況や為替相場の変動など様々な要因により大きく異なる可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。
(1) サステナビリティ チャレンジ
当社グループにとってのサステナビリティとは、「双日グループ企業理念」に基づき、ステークホルダーと共に事業を通じた「2つの価値(双日が得る価値と社会が得る価値)」の最大化を図り、当社グループと社会の持続的な成長を目指すことです。
この「2つの価値」の最大化に向けて、当社は中長期的に取り組むべき「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」を定めました。このマテリアリティの策定にあたってはパリ協定や持続可能な開発目標(SDGs)などを参照し、当社グループと社会の持続的な成長のために対処すべき普遍的な課題として「人権」「環境」「資源」「地域社会」「人材」「ガバナンス」を抽出、設定しました。
このマテリアリティの中から、個別具体的な課題を特定し2050年に向けた長期ビジョンとして「脱炭素社会実現への挑戦」と「サプライチェーンを含む人権尊重」の2本柱からなる「サステナビリティ チャレンジ」を策定しました。この長期ビジョンは「中期経営計画2023」における成長戦略を策定する上での下敷きにもなっています。
当社は、このような課題への対応のため、ステークホルダーとの対話などを通じ、当社グループにとってのリスクと機会の把握に努め、脱炭素社会実現に向けた対策や人権関連方針などの各種個別方針を策定、それらを「中期経営計画2023」にも反映し、具体的なアクションにつなげています。また、当社グループは2018年8月にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)の最終提言に賛同し、そのフレームワークを活用して積極的な情報開示と透明性向上に努めています。

当社グループにおけるサステナビリティに関するガバナンス体制の主要な構成要素は、取締役会、経営会議、サステナビリティ委員会の3つの会議体です。また、執行役員の中から、サステナビリティ全般を管掌する担当役員が任命されています。
サステナビリティ委員会は社長(CEO)が委員長を務め、年に4回以上開催されています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティに関する方針や考え方の整備、サステナビリティ推進体制の構築、リスクと機会の特定・評価、指標や目標の策定、取り組み状況のモニタリングなどを行っています。サステナビリティ委員会では、サステナビリティ推進部が事務局としてサステナビリティ委員会の執行の実務を担っています。
また、サステナビリティ委員会の活動や検討・協議された方針・課題は経営会議及び取締役会に付議又は報告されています。
経営会議は社長(CEO)が議長を務め、原則毎月2回開催されています。経営会議では、サステナビリティに関する全社方針や戦略などの重要事項の審議・決裁を行うほか、サステナビリティ委員会の活動報告を受けて、必要に応じてサステナビリティ委員会に対応の指示を行っています。
取締役会はこれらのプロセスを定期的に監督し、必要に応じて対応の指示を行っています。
<サステナビリティ推進・実行体制図>

サステナビリティ推進部が、社内外の動向の把握、ステークホルダーとのコミュニケーション、外部専門家や有識者からの助言・指摘等を通じて当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクの識別・特定・評価に関する情報を収集し、サステナビリティ委員会に報告しています。
サステナビリティ委員会は、それらの報告を受けて、検討・議論を行い、当社グループにおけるサステナビリティに関するリスクを特定・評価しています。
また、社長管下の業務執行機関である内部統制委員会が、業務遂行に伴う様々なリスクの認識、新たな事業や環境の変化により生じるリスクの検討を行い、必要な体制の整備とモニタリングを通じた改善施策の協議、担当部署への指示を行っています。
環境・社会(人権)リスクは、当社グループが認識するリスクの1つとして特定され、脱炭素、気候変動対応、サプライチェーンを含む人権問題の防止・対応についてのリスク管理運営の進捗、改善状況を内部統制委員会がモニタリングの上、その結果について四半期毎に経営会議、取締役会に報告しています。
加えて、当社グループの個別の投融資案件を審議する投融資審議会での審議過程において、サステナビリティに関するリスクの特定と評価が行われています。
以上のほか、当社では毎年、外部の有識者を招いて経営陣との間でステークホルダーダイアログを開催しており、その中でサステナビリティ関連のリスクが当社事業に与える影響について議論・確認しています。
環境・社会に関するリスクについては、
① 脱炭素社会実現への挑戦
Scope1、Scope2の削減
当社は、CO2排出の削減は脱炭素社会実現に向けた当社グループの責務であると考えています。したがって、当社グループによるCO2排出(Scope1とScope2)の削減を加速し、来たる脱炭素社会への耐性を高めると共に、この社会移行を新たな機会と捉え、幅広い分野におけるビジネスを進めていきます。
2021年3月には、「サステナビリティ チャレンジ」を実践すべく脱炭素対応方針を策定し、Scope1とScope2の削減のための目標(後述)を設定しました。
Scope3、Scope4の計測と把握
当社は、脱炭素社会の実現のためには、当社グループのCO2排出(Scope1とScope2)削減に加えて、サプライチェーン全体のCO2排出(Scope3)までを含めた取り組みが必要であると考えています。また、Scope3の多い産業とそのサプライチェーン上の工程においては現在又は将来的に排出削減ストレスがかかる可能性が高いと考え、リスクとしてその計測と把握を行っています。
具体的には、外部専門家を起用して、当社が事業を行っている産業のサプライチェーンにおいてScope3の多い所を特定し、リスクが高い、又は高まる箇所として分析し、その結果を示したものが次のCO2分析図です。縦軸に当社グループが関わっている一般的にCO2排出が多い産業分野を、横軸にサプライチェーン上の工程を置き、当社グループにとってのリスクがある所を定性的に表しています。そして、当社グループへの影響が特に大きいと考えられる発電分野からScope3の計測による定量把握を進めています。
一方で、CO2排出(Scope3)が多い所は当社グループにとってリスクであると同時に、CO2削減貢献による新たな事業創出の機会のある所でもあると捉え、当社グループの成長に向けた取り組みを推進すると共に、その削減貢献量をScope4として定義づけ計測と把握を行っています。
<サプライチェーン上のCO2分析図>

注:GHGプロトコルが規定する、Scope3の15カテゴリーを簡略化して作成しています。
カテゴリー別の詳細は、https://www.sojitz.com/jp/csr/sojitz_esg/e/data.php をご参照ください。
* Scope4の計算方法:(IEAが公表する2021年の世界火力発電原単位(745g/kWh)-当社発電原単位)×発電量
脱炭素ロードマップ
中期経営計画2023では、再生可能エネルギー事業、トランジション事業を含む「エッセンシャルインフラ」や「素材・サーキュラーエコノミー」を掲げていますが、それらの戦略の下敷きの1つとして、下記、脱炭素ロードマップがあります。「社会動向」や「必要な技術」を年代毎に想定し、当社の「リスク」と「機会」を整理しており、今後も定期的に見直していきます。
- 増加している再生可能エネルギーやサーキュラービジネスは恒常的に拡大し、将来的には余剰再エネ電力を使用したグリーン水素の活用が見込まれます。
- ただし、脱炭素社会への移行には、再生可能エネルギー普及時の不安定さを下支えするトランジション期間が必要と考えています。
- 当社は、トランジション事業として、高効率のガス火力発電や省エネサービス事業を推進することで、脱炭素社会への移行を事業機会につなげていきます。
- なお、技術動向は刻々と変わるため、随時見直しを行い、当社の対応の方向性を定期的に更新していきます。
<脱炭素ロードマップ>

シナリオ分析
● 移行リスク
外部調査、内部分析も踏まえ、「リスク」と「機会」が、当社グループの経営戦略、事業活動、財務計画に対する影響がより大きいと考えられる事業分野について順次シナリオ分析を行い財務への影響を分析しています。具体的には、CO2排出量の多いリスクのある所(<サプライチェーン上のCO2分析図>を参照)の中で当社グループが事業を行っており、特に影響が大きいと考えられる石炭権益事業と発電事業における移行リスクについてシナリオ分析を行いました。
<シナリオ分析>
● 物理的リスク
気候変動が抑制できず温暖化が進行した場合の物理的リスクについては、まず、海岸洪水や河岸洪水などの水に関するリスク(急性リスク)に注目して分析を行っています。具体的には、世界資源研究所(World Resources Institute)が提供する水リスクの分析ツールAqueductの評価「Extremely High」と「High」の地点に所在する事業・資産(製造・加工工場などの非オフィス)が水リスクにさらされていると考え、その2023年3月末時点の有形固定資産額(リース資産は除く)をその財務影響額として分析しました。その結果、東南アジア地域を中心に、一部の事業拠点における海岸洪水・河岸洪水の水リスクが高いことを確認し、財務影響のある資産(有形固定資産)の額は約310億円になると算定しました。
当社は、前項で説明した当社グループの気候変動における移行リスクとその機会を評価及び管理するための指標と目標を脱炭素方針として設定しています。その進捗状況を実績と共に以下のとおり示します。
<脱炭素方針と進捗状況>

<Scope1、Scope2排出量の推移(総量※)>
※2020年度以降の新規事業を含む
<Scope1、Scope2削減の進捗(既存事業)>

<権益資産推移>

なお、上記の目標は、現時点の将来見通しに基づいたものであり、社会動向や技術革新の状況の変化に応じて柔軟に見直しを行います。また、2022年度のScope1、Scope2排出量は現時点の集計値であり、第三者保証を取得した数値については当社ウェブサイト及び統合報告書にて開示いたします。
② サプライチェーンを含む人権尊重
当社グループはグローバルに様々な事業を展開していますが、その事業に関わるサプライチェーン上のどの国・地域においても人権尊重に努めるべく、人権リスクの把握及び低減を図っています。その取り組みにあたっては、「国際人権章典」及び国際労働機関(ILO)の「労働における基本的原則及び権利に関する宣言」を支持し、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」フレームワークに沿って人権尊重への対応を行っています。
<国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が定める人権対応のフレームワーク>

方針の策定・共有
当社グループは、「国連グローバル・コンパクト」の10の原則などを踏まえて、「双日グループ人権方針」や「双日グループ サプライチェーンCSR行動指針」などの方針を策定しています。サプライヤーやグループ会社に対して、当社の方針を周知し、理解と実践を求めています。
また、サプライチェーン上の人権尊重においては、事業現場における認識と理解が重要であると考えています。そこで、当社グループ各社からの人権尊重への理解と事業現場への認識徹底を行う旨の確認書の取得や、グループ各社の経営陣とサステナビリティ推進部(サステナビリティ委員会事務局)との間での対話を通じ、方針や取り組みの周知及び現場の対応状況の確認を行い、人権尊重意識の徹底と理解の浸透を図っています。
リスク評価
当社グループはグローバルに事業を展開し、その事業の範囲は多岐に亘る上に、川上から川下までサプライチェーンに広く関わっています。そこで、リスクベースアプローチの観点より、英国NGO「ビジネスと人権リソースセンター」が保有する人権リスクの発生事例データベースをもとに、当社グループの事業の中でも特にリスクが高い事業分野を特定すると共に、サプライチェーン全体において一般的にどの位置で人権リスクが発生しやすいか、分析・確認をしています。

上記のとおり特定した高リスク事業分野に対し、当社では以下のPDCAによる確認を行う体制を構築しました。
● リスク評価のPDCA

● 現地デュー・ディリジェンス
当社は、人権リスクを調査・確認するために、個々の取引や事業において取引や事業が行われている現場でのデュー・ディリジェンスを必要に応じて行っています。例えば、当社グループは木材の調達(輸入)について、合法性の確認、環境への配慮、社会への配慮の3本柱からなる木材調達方針を定めていますが、この方針の実践として、供給元を当社自身にて訪問し、その経営陣、現地NGO、行政機関、地域住民代表との面談を含む調査を行っています。
改善・救済/実績開示
策定した方針にしたがい、リスク評価を行い、サプライチェーンを含む人権尊重の取り組みを進め、「国際人権章典」や国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」が掲げる人権尊重の実現を目指します。
2023年3月期の高リスク事業分野に対するリスク評価においては、当社グループ会社のみならずサプライチェーンにおける対応について問題がないことを確認しました。今後も、外部専門家の意見も聴取しながら、これら高リスク事業分野において、PDCAを通じた継続的な改善を進めると共に、適時・適切な開示も行います。
● 木材調達における指標と目標
当社グループは、戦略のリスク評価の項にて説明のとおり、高リスク事業分野を特定しており、その中で木材分野については木材調達方針として指標と目標を定めています。具体的には、海外から調達(輸入)する木材について原産地までのトレーサビリティと、環境・社会(人権)へ配慮した森林管理の適切性に応じて以下の4つのレベルに分けて評価し調達を行うための目標を定めています。
レベルA:認証材(※)
レベルB:トレーサビリティに加え、認証以外で環境・社会(人権)に配慮した森林管理の適切性を
検証済みの木材
レベルC:トレーサビリティが確保されている木材
レベルD:トレーサビリティの確保が不十分な木材
※ FSC(R)、PEFCなどによる認証木材
<定量推移と目標>

*毎年、評価基準を厳格化しており、2020年度以降はレベルAを認証材のみとしております。2022年度の
レベルA比率は22%。レベルA+Bは2021年度94.5%→2022年度94.4%(▲0.1ポイント)となっています。
※上表における調達木材の取扱いに関する比率は、WWFジャパンの「林産物調達チェックリスト」を用いて当社が実施した評価に基づいて当社が決定したレベル毎の木材(輸入材)の[調達金額]÷[調査対象とした木材(輸入材)総調達金額]で算定しています。また各年度の調査結果は、対象先の選定・分析作業に時間を要するため2年度前のデータを使って算定しています。したがって、2022年度の調査結果は2020年度における木材調達金額をもとに算出しています。なお、2020年度より第三者保証を取得しています。
なお、当社グループの木材調達方針とその目標・実績の詳細については当社ウェブサイトをご覧ください(ただし、適宜内容を更新することがあります)。
<参考リンク>
https://www.sojitz.com/jp/csr/supply/lumber/
(2) 人材戦略に関する基本方針
2030年の目指す姿「事業や人材を創造し続ける総合商社」に向け、多様性と自律性を備えた個の成長が企業の価値創造の源泉であると考え、人材戦略の3つの柱「多様性を活かす」、「挑戦を促す」、「成長を実感できる」のもと各種施策を実行しています。「多様性を競争力に」をテーマに、社員の多様なバックグラウンドを活かし、多角的な視点からマーケットニーズを発掘すると共に、Hassojitzプロジェクトをはじめとする「挑戦」の機会を設け、所属本部外での海外トレーニーなど新たな経験を積み、「成長」を実感できるサイクルを繰り返すことで、社員の成長が当社の成長へとつながる仕組みづくりを推進しています。

<参考リンク>
人材施策特設サイト
https://www.sojitz.com/jinzai/jp/
商社にとって価値創造の中核であり最も重要な資本である「人材」の力を最大化させ、自ら変革し新たな価値を創造し続けられる「個」の集団を形成し、価値創造につなげる「人的資本経営」を次の実行体制のもとで推進しています。
人的資本経営の実行体制として、取締役会で経営視点での方針の議論を経て、重要な人事事項は、社長(CEO)が議長を務める人事審議会で審議・決裁しています。具体的な取り組みである人材KPIの進捗状況や人事施策の効果・課題などは経営会議と取締役会で定期的に議論しながら進めています。リスクの早期発見・対処のため、エンゲージメントサーベイや360度サーベイなどを活用してモニタリングする体制を整え、また、コンプライアンスホットラインや社内目安箱を設置し、現場の意見を吸い上げ、持続的な企業価値向上の推進力を高めていきます。
<人的資本経営 実行体制図>

人的資本価値の毀損「リスク」と、価値向上のための「機会」という「攻めと守り」の両面から各重要課題にアプローチすることによって、企業価値向上につなげています。また、2030年の目指す姿の体現に向け、足元の課題のみならず、将来を見据えて今着手すべき課題に対しても取り組みを開始しています。

人材KPI(動的)
当社では、人事施策の浸透度を定量的に効果測定しながら当社の人づくりを実行するため、2021年6月に以下のとおり「人材KPI」を設定しました。外部環境や人事施策の浸透状況に応じて柔軟な見直しができるよう動的KPIとし、場合によっては具体的施策の見直しなども踏まえながら、モニタリングする体制を整えています。KPIはその進捗を人事施策の取り組み状況と併せて、半期毎に経営会議及び取締役会へ上程し、経営陣と議論を重ねています。
<人材KPI(動的)と2022年度の実績>

*1 年間評価プロセスの中で設定するチャレンジ項目は、2020年度(人材KPI策定前)は任意設定者に限定されていたのに対し、2021年度からは全総合職を必須化したことによるもので、母集団は変わっています。
“双日らしい”人的資本経営を示す指標
2017年より開始したエンゲージメントサーベイ(社員意識調査)は、より当社の状況を正確に把握し、効果的な人材戦略につなげるために外部専門家の監修のもと、当社独自の設問を策定・導入しています。特に、当社における企業風土に関する回答結果からは、多様性に富むチャレンジ旺盛な社員の思いを実現できる「双日らしい」企業風土を示しています。2022年8月に実施したエンゲージメントサーベイの回答率は99%となりました(2021年回答率91%)。これらの結果は人材KPIや役員報酬の一部に組み込まれており、人的資本経営の実践に活用しています。人材と組織の実態を可視化し全社で共有、各現場組織が自らの状態を分析・改善する活動(組織改善プロジェクト)につなげることで、挑戦意欲のある人材が働きがいを感じながら挑戦し続けられる環境づくりを推進しています。
<エンゲージメントサーベイ結果(2022年8月実施)>

また、「2030年の目指す姿」の実現に向け、全社を巻き込んだ対話型プロジェクト“双日らしさの追求プロジェクト”を2023年4月より開始しました。将来と現在、会社と個人などの観点から、現状を認識、議論を通じて双日らしさ・目指す姿の輪郭を明確にし、人材の力を会社の力につなげていきます。
人材戦略の柱①「多様性を活かす」
当社では、人材の多様性を、変化の激しい市場環境に対応し、常に迅速に事業創造できる組織の力へと変えるため、女性、外国人、様々な経験を持つキャリア採用者など、多様な人材の採用、起用を積極的かつ継続的に行いつつ、それぞれの特性や能力を最大限活かせる職場環境の整備や管理職層の教育などの取り組みを進めてきました。これら多様な社員から、新たな着想や意見を多面的かつ効果的に取り込むことで、当社の価値創造につなげる環境づくりを目指しています。
<参考リンク>
人材施策特設サイト > 多様性を「活かす」仕組み
https://www.sojitz.com/jinzai/jp/diversity/
● 女性活躍推進
当社では、ダイバーシティマネジメントの専任組織を設け、人事部とも協調しながら、各種施策を実施しています。多様性をイノベーションの創出といった競争力につなげていくために、女性活躍推進を人材戦略の最重要テーマの1つと位置づけています。2030年代に全社員に占める女性社員比率を50%程度にすることを目指し、中長期の視点で、当たり前に女性が活躍する環境づくりを進めています。将来的に組織の意思決定に関わる女性社員を増やしていくために、各世代層のパイプライン形成と経験の蓄積、男女間における経験値のギャップ解消、女性特有のライフイベントを見越した「キャリアを止めない」施策に取り組んでいます。女性総合職の海外・国内出向経験割合をKPIとして設定するほか、女性課長職比率などについても、目標を設定しています。
<女性活躍推進目標と進捗>

- 女性総合職の新卒採用比率は2018年度以降継続して30%以上を維持
(2023年4月入社:34%)
- 女性課長職比率は、2023年度に10%以上の目標を2022年度に前倒しで達成
(2023年3月31日時点:12%)
- 女性総合職の海外・国内出向経験割合は2023年度に40%の目標を2022年度に前倒しで達成
(2023年3月31日時点:42%、2023年度はKPIを50%に上方修正)
人材KPIについては、指標と目標 人材KPI(動的)(34ページ)をご参照ください
- (ご参考)取締役8名のうち2名、監査役5名のうち2名が女性役員
(2023年3月31日時点:女性役員割合31%)
- (ご参考)専門知識や経験を備えた外部からの人材登用や内部昇格により、
女性執行役員は2名(2023年3月31日時点)
ジェンダーに関わらず仕事と育児を両立することについて、職場全体が理解・応援できる環境を整えることは、女性がライフイベントを経てもキャリアを中断することなく活躍できる企業風土醸成のために重要であると考え、人材KPIとして2023年度の育児休暇取得率100%を設定しており、2022年度に100%を達成しています(女性社員の育児休暇取得率100%の維持と男性社員の育児休暇取得率100%の達成)。ジェンダーに関わらず活躍できる職場、組織、会社を目指し、業務効率化やチームマネジメント力の強化に取り組んでいます。加えて、早期復職支援や柔軟な働き方の推進により、社員の仕事と育児の両立を支援しています。
多様な属性・価値観を持つ部下の個を活かし、組織の成果につなげるダイバーシティマネジメントの重要性を伝える施策として、全部課長向けにeラーニングでイクボス研修を実施し、「双日イクボス宣言」への賛同を確認しています。また、女性のキャリア意識醸成のためのコミュニケーションの場として、女性取締役によるキャリアトークセッションや、女性執行役員と社員の少人数の座談会、中堅女性社員向けのメンタープログラムなど、多様なキャリアや仕事観に触れる機会を複数提供しています。
<男性の育休取得状況>

※育休取得率 対象年度に出生後1年以内の子の養育を目的に育休を開始した男性社員数 ÷ 対象年度に子が生まれた男性社員数
※平均取得日数 対象年度に出生後1年以内の子の養育を目的に育休を開始した男性社員の平均取得日数(休業した所定労働日に連続
する所定休日含む)
<男性の育休取得日数の変化>

男女の賃金の差異については、第1企業の概況 5従業員の状況 (4)女性活躍推進法等に基づく「女性管理職比率」、「男性の育児休業取得率」及び「男女の賃金の差異」(11ページ)及び後述の女性活躍推進法による情報開示(補足説明)(44~46ページ)をご参照ください。
<参考リンク>
双日、なでしこ銘柄に7年連続で選定(2023年3月)
https://www.sojitz.com/jp/news/2023/03/20230322.php
女性活躍推進法に基づく「一般事業主行動計画(2021年度~2023年度)」
https://www.sojitz.com/jp/csr/employee/pdf/kodo2021.pdf
● 中途採用者の活躍
当社では、経営人材、DXなどの専門人材、女性・外国人などの多様性を強化すべく、中途採用にも注力しています。2023年3月末時点で、管理職ポストにおける中途採用者の割合は21%、役員ポストでは35%を占めています。なお、2022年度の採用に占める中途採用者の比率は31%でした。今後も引き続き、毎年の新規採用者数の約3割を中途採用者としていく予定で、そのうち半数程度を女性とする方針です。また、2021年12月には、CDO(チーフ・デジタル・オフィサー)・執行役員として専門人材(女性)を社外から迎えました(※)。これまでに他社で培った知見や女性ならではの視点などを経営や現場との対話に活かし、新規事業の創出と事業モデルの変革に繋がるデジタルの実装を加速していきます。
※2023年4月1日付でCDO兼CIOの常務執行役員に就任
<参考リンク>
統合報告書2022(61ページ)
https://www.sojitz.com/jp/ir/reports/annual/upload/ar2022j_a3.pdf
● 外国人人材の活躍
海外事業会社を起点に現地ネットワークに入り込み、事業領域の拡大や新規事業の創出につなげるため、外国人人材のCxOポストをさらに拡大し、2021年度時点で40%である海外事業会社の外国人CxO比率を、2025年度までに50%に引き上げることを目指しています。現在順調に現地化を進めており、2023年3月末時点の実績は46%となっています。また、域内での意見交換/情報共有によるマーケットイン・事業機会発掘の強化、共創と共有を推進するための海外地域における取り組みとして、海外事業会社外国人TOPで構成するアドバイザリーボードを米国で開催しました。社長の藤本も参加し、米州の事業会社のCxOと今後の成長戦略に関し積極的に議論しました。このような交流を通じ、共創・共有の実践による新たな価値創造を目指しています。
人材戦略の柱②「挑戦を促す」
デジタル化の進展やESGに対する意識の高まり、価値観・ニーズの多様化など変化が激しいこの時代に重要なことは、新たな視点でユニークな発想を見出し、発想の実現に責任と覚悟を持つことと考えております。とことんやり抜く探求心と自立心を持った社員の挑戦を促しています。未来の飛躍に向けた成長を続けるために、既存のビジネスや固定観念の枠を超えて価値創造できる人材の育成に取り組んでいきます。目指す姿の実現のためには、文化や意識・考え方の変革が必要です。人と人とが徹底的に向き合い、対話を通じて個人の成果を引き出し、会社の成長につなげます。当社が考える「挑戦」は、現状に満足せず周りの共感を得ながら、変革を通じて企業価値・生産性を高める自律的な行動です。
<参考リンク>
人材施策特設サイト > 挑戦を「促す」仕組み >
https://www.sojitz.com/jinzai/jp/challenge/
● 発想×双日 プロジェクト (通称:Hassojitz プロジェクト)
当社における「さらなる成長」を考え、未来構想力や戦略的思考を定着させるべく、2019年に新規事業創出プロジェクト「発想×双日プロジェクト」を開始しました。2020年度のチームであるeスポーツや早生樹の案件は会社を設立するなど、事業化を進めています。開始から4年目となる2022年度は「情熱×覚悟」をテーマに、有識者やアルムナイへのピッチとディスカッションを行い、発想を起点とした事業創出を加速させました。また、社会課題を解決する事業アイデアとそれに取り組む社会起業家を育成するインキュベーター企業である株式会社フェニクシーが提供するインキュベーションプログラムに、2021年度よりメンバーを派遣するなど、異業種交流を通じた事業アイデアの精緻、高度化、共創による発想・イノベーションの加速を促し、起業家精神の醸成と自律的に事業を創造できる人材の育成を促進しています。

● 双日アルムナイ
退職後も経済・社会活動を続けるOB/OGと当社役職員との人的ネットワークの形成・拡大により、ビジネス領域の拡大を促進するプラットフォームとして活用すると共に、緩やかな当社グループの形成を通じ、現状の事業領域に捉われない新たな事業機会の創出やオープンイノベーションを促進していきます。Hassojitzプロジェクト最終発表会の審査委員に双日アルムナイ幹部を招き、社外で培った知見を基にしたフィードバックやアドバイスを得て、イノベーションの質を高めています。2022年は双日アルムナイ設立1周年を迎えました。今後も、定期的に双日アルムナイの会員(当社現役職員と退職者)が関わる機会を持ち、外部の知見とネットワークを活かして事業創出につなげていきます。
● 独立・起業支援制度
独立・起業を企図する社員のために当社のリソース(資金・情報・ネットワーク)を提供し、事業推進を支援します。なお、前述のHassojitzプロジェクトを通じて発案されたアイデアも、この制度を適用して事業化・独立・起業することが可能となります。「事業や人材を創造し続ける総合商社」として、当社は独立・起業を目指す個人を含めた全社員の望むキャリアパスを支援すると共に、起業家精神を持ち積極的に挑戦し続ける人材の確保・育成、企業文化の変革を目指します。
● 双日プロフェッショナルシェア株式会社
これからの時代を見据え、年功序列や終身雇用という概念に捉われず、多様な価値観やキャリア志向を持つ全ての社員が、高いモチベーションを維持し、働き続ける環境を整えています。35歳以上の社員の多様なキャリア・ライフプランを支援するプラットフォームで、「70歳定年」「就業時間・場所の制限なし」「副業・起業」を可能とし、社員一人ひとりが新たなキャリアパスで活躍し続けられるよう支援します。当社勤務のほか、社外で大学非常勤講師や、地方中小企業のコンサルタントとして事業をサポートするなど、これまでの知見を活かし、活躍・貢献の場を拡大しています。
● デジタル人材育成
デジタル人材については、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (3)DXの取り組み(48ページ)をご参照ください。
人材戦略の柱③ 「成長を実感できる」
失敗を許容する風通しの良い風土の中で、社員が積極的に「挑戦」することで、「成長」を実感し、社員一人ひとりの「多様性」が育まれていく好循環が生まれています。当社では、社員自らが成長・貢献を実感できることが重要な報酬の1つと考え、社員と会社が選び合い、高め合う環境をこれからも築いていきます。
<参考リンク>
人材施策特設サイト > 成長を「実感できる」仕組み
https://www.sojitz.com/jinzai/jp/growth/
● 指導員制度、メンター制度
当社では、新入社員を「現場が育てる」施策として、指導員制度とメンター制度を設けております。指導員は、新入社員と同じ部署の先輩社員が務め、1年間のOJTを通じて、所属部署での業務知識や社会人としての基礎知識を指導します。メンターは、新入社員とは異なる部署のベテラン社員が担当し、業務から離れた視点で、新入社員の視野を広げ、キャリアプラン形成のサポートとなるようメンタリングを行います。
● 海外トレーニー制度
当社では、400社を超えるグループ会社を通じて多様なビジネスを展開しており、それぞれの事業会社の経営を担う人材の育成は重要な課題です。経営人材の育成・確保のため、海外トレーニー制度、MBAプログラムへの派遣制度、語学自己研鑽制度など、様々な研修を行っています。特にユニークな取り組みとして、現所属組織とは異なるミッションを持つ本部外トレーニー制度があります。例えば、コーポレート(職能)出身の人材が事業会社で営業を経験、また化学本部のトレーディング業務を担当していた人材が航空産業・交通プロジェクト本部主管の事業会社でM&A後の統合効果を最大化させるべく、経営・業務・意識統合に向けた取り組みに携わるという形で、これまでと異なる経験を積みます。
今までと異なる経験を通じて、社員が多角的な視野を身に付け、知識や人脈に加えそれぞれの幅出しのきっかけとなる成長の機会となっています。2022年度は26ヶ国に海外トレーニーを派遣(うち31%が女性社員)、日本とは異なる現場を早期に経験し、さらなる成長に繋げグローバルで活躍出来る人材の育成を目指しています。
● 研修プログラム
当社では、自ら考え、行動し、やり抜くことで、世界を舞台に「価値を創造することのできる人材」を育成すべく、各種研修を実施しています。全ての世代・階層に提供するデジタル人材育成プログラムなどのコンテンツのほか、新入社員向けや管理職向けの研修、役員向けの研修など、それぞれの世代・階層に合わせた様々な研修コンテンツを提供し個の成長をチーム・組織の成長へつなげていく取り組みをしています。さらに、次世代リーダー育成を目的に、選抜研修に注力することで、組織のレジリエンス力の向上、豊富な人材プール・サクセッションプラン構築による計画的な後継者育成を推進しています。経営人材としての素養の醸成、高度な経営スキルの獲得、他社経営人材とのネットワーキングなどを目的に、専門家によるコーチングも実施し、さらに各種異業種交流型研修にも人材を派遣しています。
<研修プログラム>

● ジョブローテーション制度、社内公募制度
当社では、管理職登用までに2つ以上の異なる業務(出向や海外駐在を含む)を経験して多様な専門知識とスキルを身に付けるジョブローテーション制度や自らが思い描くキャリアを切り拓く機会としての社内公募制度など、社員の育成促進とキャリアの幅を広げる制度を導入しています。当社は、社員とキャリアプランを共有するために定期的に面談を実施するほか、異動して約半年後のタイミングでアンケートを行うなど、社員のモチベーションをモニタリングできる体制を整え、必要に応じて面談を実施しています。また、2020年度からは昇格要件として求める経験年数を短縮し、経験を積むスピードを早めています。
● 多様な人材の活躍を支える制度・取り組み
当社グループの成長は社員と共にあると考え、多様な価値観やキャリア志向を持つ全ての双日パーソンが、挑戦・成長を積み重ねることで、高いモチベーションを維持しながら自律的に働き続けられる環境を整えていきます。
・ 健康経営
当社グループにとって最大の財産である社員一人ひとりとその家族が心身共に健康であり、社員が働きやすさと働きがいを持てる健全な職場環境づくりは、会社の重要な責任の1つと考えています。社員が仕事に対する高い意欲を持ち、最大限の力を発揮することが組織力向上につながり、当社が掲げる「新たな価値と豊かな未来の創造」を実現するという考えに基づき、健康維持・増進に関する『双日グループ健康憲章 "Sojitz Healthy Value"』を策定しました(2018年3月)。疾病の未然予防・健康増進に加え、仕事と治療の両立を図るべく、健康推進担当の組織体制を強化し、各健康関連施策を実施すると共に、定期健康診断の一次受診率100%を継続しながら、早期発見・疾病予防を高めることを目指し、二次健診受診率を人材KPIとして定め、2023年3月末時点では67%まで向上しています。また、2022年度には健康経営で解決したい経営課題と、それを解決するための手段の可視化をすべく、健康戦略マップを策定しました。これらの取り組みが評価され、「健康経営優良法人(ホワイト500)」に4度目の認定を受けています。
<参考リンク>
健康戦略マップ
https://www.sojitz.com/jp/csr/employee/pdf/strategymap.pdf
2022年4月からは、女性活躍推進の取り組みを健康面でも後押ししています。子宮頸がん・乳がん検診の対象を全年齢に拡大し、思わぬ疾病によりキャリアが長期に亘り中断されることを防ぎます。月経や更年期症状などによる影響を低減し、日頃から心身共に健康で安定的に力が発揮できるよう、社内に気軽に相談ができる婦人科嘱託医を配置、不妊治療に関わる相談窓口も設けています。また、外部企業と契約し、医師や専門家から女性の健康に関するオンラインセミナーを定期的に行うことで社員のリテラシーを高めると共に、不妊治療を含む各種検査費用の割引クーポンの提供を行います。今後も、女性社員のキャリアとライフを支援する取り組みを整えていきながら、全社員が心身健康な状態を維持し活躍し続けられる環境を整備していきます。
また、がん対策としては、40歳以上の社員に対し3年に1回、通常の健診項目に加え、胃カメラ、大腸内視鏡、胸部CT、腫瘍マーカーなどを実施し、がんの早期発見・治療に努めてきました。2022年10月からは、がんの早期発見の機会をより増やすべく「N-NOSE®」(*)の社員とその家族への紹介を開始いたしました。がんの早期発見の機会の提供による、社員とその家族の心身の健康の維持を目指します。
* 株式会社HIROTSUバイオサイエンスが開発・提供するN-NOSE®は、嗅覚に優れた線虫という生物が人の尿内に含まれる
がんの匂いを検知することを利用した、がんの一次スクリーニング検査キット
<多様な人材の活躍を支える主な制度・取り組み一覧>

● その他施策
当社は、2023年2月に、従業員持株会の会員である社員に対して、特別報酬として1人当たり100株を付与することを決定しました。現時点において当社従業員の持株会加入率は90%程度となり、この施策を通じて、社員に持続的な企業価値向上に向けた意識を醸成することを企図しています。
女性活躍推進法による情報開示(補足説明)
● 当社(提出会社)における男女の賃金の差異の状況について
当社の正社員は総合職と事務職で構成されています。総合職は基幹業務において主体的に役割を担い、事務職は総合職を補佐し事務処理業務全般を担う職種です。また、非正社員は主に定年再雇用社員です。
当社では、それぞれの職種毎に役割等級制度を採用し、年齢や性別を問わず、本人の資質や能力、取り組み意欲に応じて役割が決定されています。職務の内容や異動の範囲などが同じ役割等級では性別の違いによる賃金の差はありません。(時間外勤務などの変動要因によるものを除く)
<年間平均賃金(職位別)>

・ 「全従業員」、「正社員」、「非正社員」の雇用管理区分による男女の賃金の差異
女性活躍推進法に基づく「全従業員」、「正社員」、「非正社員」の雇用管理区分(以下「女性活躍推進法に基づく雇用管理区分」)で算出した場合の男女の賃金の差異は以下のとおりです。
<男女の年間平均賃金の差異(男性社員の年間平均賃金に対する女性社員の年間平均賃金の割合)>
<人員数(2023年3月31日現在)>
・ 女性活躍推進法に基づく雇用管理区分で発生している男女の賃金の差異の理由と当社の考え方について
女性活躍推進法に基づく雇用管理区分においては男女の賃金の差異が発生していますが、その要因として、当社では総合職において管理職層で女性社員の割合が少なくなっていることが挙げられます。現在、人材戦略の重要施策として、女性活躍推進に取り組んでいます。2030年代に全社員に占める女性社員比を50%程度にすることを目指し、新卒及び中途採用における女性総合職社員の採用増加に加えて、仕事と育児の両立環境の整備、各世代層のパイプライン形成と経験の蓄積やキャリア意識の醸成を積極的に進めています。今後は管理職層の女性社員増加により、この要因による男女の賃金の差異は縮小していくと考えています。
各世代層のパイプライン形成については、●女性活躍推進(36~37ページ)をご参照ください。
また、総合職とは役割が異なる事務職において全員が女性社員(2023年3月31日時点)となっていることも、男女の賃金の差異の要因です。当社は事務職を多様な働き方の1つの形態と位置づけ、今後も採用を継続していく方針です。事務職は、性別に関わりなく選択可能な職種ですが、新卒採用・中途採用共、応募者は女性となっていることから、今後も男女の賃金の差異への影響は発生すると考えています。一方、当社では、総合職と事務職との間で相互に職種転換を可能とする制度を設けており、男女共に入社後に社員個人のキャリア・働き方に応じた職種転換が可能となっています。
非正社員は、主に定年再雇用制度に基づき、定年退職後(60歳定年制)に有期雇用社員として継続雇用された社員です。定年再雇用者に対する賃金は、定年時に担っていた職種と職種毎の役割等級に準じて決定されますが、女性の再雇用社員の多くが事務職からの雇用継続となっていることから賃金の差異が発生しており、全従業員の男女の賃金の差異にも影響しています。
<職種別の人員状況>

・ 総合職における男女の賃金の差異について
当社は、2016年度に公表した女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画において、2021年度までに新卒女性総合職の採用比率を30%以上に引き上げる目標を設定しました。2018年度にその比率は目標の30%を超え、以降も30%以上を維持しています。
現在、主任級までの各職位に亘って30%程度を女性総合職が占める人員構成となっています。一方で、採用増加前の世代となる係長級以上の上級職をみると、各職位に在籍する女性総合職の比率が大きく落ち込みます。総合職の職位別年間平均賃金をみると、職位毎に一定のバランスで女性総合職社員の分布が広がっている下級職では、男女の賃金の差異は100%に近いものの、上級職になるにつれて漸減し、部長級を含めた累計(総合職全体)で、70.1%という数値となっています。当社では、前述のとおり、経営戦略として女性総合職社員の採用増加(新卒及び中途)と仕事と育児の両立環境の整備、各世代層のパイプライン形成と経験の蓄積やキャリア意識醸成を積極的に進めています。今後、女性管理職の割合が増えるにつれ、総合職の全職位に亘って男女の賃金差異が縮小していくと考えています。
<総合職の職位別人員数(累計)>

<総合職の職位別年間平均賃金(累計)>

(3) DXの取り組みについて
ガバナンス体制の強化
当社は、「事業や人材を創造し続ける総合商社」への変革に向けて、社長が自ら指揮を執り、全社員がデジタルを共通言語として理解・活用し、事業ポートフォリオの変革に取り組み、DXの実装とデジタル人材の育成により、事業価値の向上を目指します。
当社は、既存事業におけるデータの活用やテクノロジーの実装を加速し、付加価値の向上、新しい価値の創造を実現します。社長自らがDX推進委員会の委員長を務め、営業本部長・コーポレート担当本部長と共に事業へのデジタルの活用のための活発な議論を交わし、迅速な意思決定を行う体制を整えています。また、組織体制としては、2023年4月1日付で「CDO室」、「IT業務部」、「ERP刷新推進室」の3部を統合・再編しデジタル推進第一部と第二部を新設しました。これにより、デジタルテクノロジーに関する機能・人材を集約させ、ビジネスへのDX推進・デジタル人材育成に加え、ERP刷新・その他ITシステム維持・刷新に関するスピード・品質向上、機動的な人材配置の実践を図ります。加えて、情報セキュリティの最高責任者であるCISOを設置することで、DX実装の加速化とデータ活用の加速に向けたセキュリティの強化を両輪で推進し、新規・既存事業双方のデジタル化を推進しています。
こうしたDXを実践するための体制づくりと、経営戦略・事業戦略に紐づいた実践によりデジタルが業務に浸透している点が評価され、当社は、経済産業省が東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構と共同で選定する「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄2023」に選定されました。
<参考リンク>
「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄2023」選定
https://www.sojitz.com/jp/news/2023/05/20230531.php

システム・情報セキュリティに関するリスクについては、
デジタル人材の育成・補強
当社は、DXを事業の変革・競争力強化の手段とし、事業モデル、業務プロセスの改革とさらなる価値創造に貢献していきます。社内外のデータやデジタル技術を利活用することでビジネスモデルや業務プロセスの変革を実践できる人材を「デジタル人材」と定義し、その育成に注力しています。多くの社員がデータやデジタル技術を活用しながら、日々の業務を行うため、デジタル人材育成計画を策定致しました。入門レベル、基礎レベル、応用レベル、更に応用レベルの中に応用基礎、エキスパート、ソートリーダーに分類しています。攻め(DX)と守り(情報セキュリティ)の両輪を意識した基礎レベルコンテンツと共に、応用レベルについても2022年夏に開講致しました。
さらに2022年から業務効率化を加速させるべく各現場の業務担当者が自身で業務アプリ開発を行うこと(市民開発)を目的としたローコードツールの社内の認定開発者の育成を開始しました。
・入門レベルのITパスポート試験は総合職の92%、事務職の63%が資格を取得
(2023年3月31日時点)
・基礎レベル修了者は1,380名、修了者率は70%(2023年3月31日時点)
・応用レベル(応用基礎編)修了者は159名、進捗率は53%(2023年3月31日時点)
・応用レベル(エキスパート)修了者は13名、進捗率は33%(2023年3月31日時点)
・社内の認定開発者は100名(2023年3月31日時点)
※海外勤務者は対象外

サステナビリティ全般に関する取り組みはSojitz ESG Bookも併せてご参照ください。
<参考リンク>
Sojitz ESG Book
https://www.sojitz.com/jp/csr/sojitz_esg/
※将来情報に関するご注意
本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済状況や為替相場の変動など様々な要因により大きく異なる可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。
有価証券報告書に記載しております、事業の状況、経理の状況などに関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、将来事項に関する記述につきましては、当期末現在において入手可能な情報に基づく当社の判断、目標、一定の前提又は仮定のもとでの予測などであります。
当社グループは、総合商社としてグローバルかつ多角的に事業を行っており、展開する事業の性質上、様々なリスクにさらされております。また、ロシアのウクライナ侵攻といった世界情勢の不確実性の高まりや、デジタル化の加速、価値観・ニーズの多様化など、外部環境は著しく変化し続けており、常に、新たなリスクへの対応をする必要があると考えております。特に、当社グループのみならず、仕入先、販売先、業務委託先などを含めたサプライチェーン全体でリスクを捉え、準備、対応することも重要と認識しております。
このようなリスク・著しい変化を機会と捉え、事業やビジネスモデルを変革し続けることを目指し、当社グループは、2023年度を最終年度とする中期経営計画2023において企業価値向上に向けた各種施策に取り組んでおります。
全社レベルでのリスク管理として、「リスク管理基本規程」に則り、社長管下の業務執行機関である内部統制委員会が、業務遂行に伴う様々なリスクを認識・分類・定義した上で、新たな事業や環境の変化により生じるリスクの確認と対応の検討を継続的に行っております。リスクについては、リスクテーマ毎に細分化、網羅的な把握がなされた上で、各々のリスク項目毎に任命されたリスク管理責任者が年度初めに「リスク管理運営方針・運営計画」を策定し、これに基づくPDCAサイクルを展開しております。リスク管理運営計画の進捗は、四半期毎に内部統制委員会がモニタリングを行い、必要に応じて改善施策の協議、担当部署への指示を行っております。また、モニタリング結果は、四半期毎に経営会議、取締役会に報告されます。
取締役会では、リスク管理に関する重要事項の付議、定例報告などを通じてリスク管理運営状況の監督及びリスク管理体制・プロセスの実効性を評価しております。また、期中で新たなリスクが識別された場合には、リスク管理体制、対応状況の確認を行うことで、リスク対応の検証を行っております。
なお、当社グループのリスクのうち、市場、事業、信用、カントリーの4つのリスクについては、リスクアセットを計測し、リスクに対する収益性を確認する指標として活用するほか、財務の健全性を維持すべくリスクアセットを自己資本の1倍以内に収めることを目標としております。2023年3月末のリスクアセットは自己資本の0.6倍であります。

また、中期経営計画2023において、内部統制の基本的な考え方である3線ディフェンス(第1線:営業本部、第2線:コーポレート、第3線:監査部)における第1線、及び第2線のリスクマネジメント力の強化に加え、新たな事業領域への参画に伴い発現するリスクへの対応強化を進めております。
期中で新たなリスクが識別された場合には、都度全社的なリスク体制、対応状況の確認を3線ディフェンスの考え方に基づき行うことで、リスク対応の検証を実施しております。

具体的には、研修、eラーニングなどによる業務管理の最前線を担う営業本部管理職のリスクマネジメント意識の向上や組織毎にリスクポイントをチェックする自己点検を実施することにより、全社員へリスクの重要性についての意識を浸透させております。
また、昨今における外部環境や事業領域の変化を踏まえサイバーセキュリティ、安全保障貿易管理及びBtoCビジネスに対するリスク対応について、重要性を鑑みた管理体制強化に努めております。
2022年4月には、リスクの多様化やサプライチェーンの広がりに対応するため、トレード事業におけるリスク管理組織を再編し、サプライチェーンリスク管理部を設置しております。同部では、個々のリスクをサプライチェーン全体で捉え、突発的なリスク発現時においても速やかに影響度合いを把握し、機動的に対応することを通じた、レジリエンス(回復力)強化に取り組んでおります。2022年度には、地政学的リスク、災害リスク、品質リスク、環境・人権リスクそれぞれについてシナリオを策定し、営業本部・コーポレートとの対話並びに経営会議での議論を通じて、リスク発現時の対応策などを確認しております。
また、環境変化のスピードが加速し、企業を取り巻くリスクが多様化していることなどから、従前以上に問題発生から解決までの対応・判断スピードが重要性を増しております。そのため、必要な経営判断を迅速に行い、リスクが拡大する可能性を最小化することを目的として、現場から経営への第一報を上げる報告プロセスと体制を整備しております。
当社グループは、こうした様々なリスクに対処するため、適切なリスク管理体制を整備し、リスク管理にあたっておりますが、これらの全てのリスクを完全に回避できるものではありません。
当社グループの事業に関しては、以下のようなリスクがあります。
(1) マクロ経済環境の変化によるリスク
当社グループは、グローバルにビジネスを展開し、事業活動は多岐に亘っており、当社グループの業績は、日本及び関係各国の政治経済状況や世界経済全体の影響を受けます。そのため、世界的あるいは特定地域における経済動向は、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(2) 市場リスク
当社グループは、貿易業や事業投資を通じた外貨建の取引などに伴う為替変動リスク、資金の調達や運用などに伴う金利変動リスク、営業活動における売買契約・在庫商品などに伴う商品価格変動リスク並びに上場有価証券の保有などに伴う価格変動リスクなどの市場リスクにさらされております。当社グループは、これらの市場リスクを商品の売買残高などの資産・負債のマッチングや先物為替予約取引、商品先物・先渡取引、金利スワップ取引などのヘッジ取引によって極小化することを基本方針としております。
① 為替リスク
当社グループは、外貨建の輸出入取引・外国間取引を主要な事業活動として行っており、その収益・費用などは主に外国通貨による受払いとして発生する一方、当社グループの連結決算上の報告通貨が日本円であることから、外国通貨の対日本円での為替変動リスクにさらされております。この為替変動リスクに伴う損失の発生又は拡大を未然に防ぐために、先物為替予約などのヘッジ策を講じておりますが、これらの対応を行っても為替変動リスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、海外の事業会社からの受取配当金、海外連結子会社・持分法適用関連会社の損益の多くが外貨建であり、日本円に換算する際の為替変動リスクを負っています。さらに、当社グループは、海外に多くの現地法人・事業会社などを保有しており、財務諸表を日本円に換算する際の為替変動により、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、為替の収益感応度(米ドルのみ)は、1円/米ドル変動すると、売上総利益で年間7.5億円程度、当期純利益(当社株主帰属)で年間3億円程度、自己資本で20億円程度の影響があります。
② 金利リスク
当社グループは、営業債権などによる信用供与・有価証券投資・固定資産取得などのため金融機関からの借入又は社債発行などを通じて資金調達を行っております。資産・負債を金利感応度の有無により分類し、金利感応度のある資産と負債との差額を金利ミスマッチ金額と捉え、固定・変動調達比率を調整することで金利変動リスクを管理しておりますが、金利変動リスクを完全に回避できるものではなく、金利水準の急上昇による調達コスト増大が当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2023年3月末の当社グループの有利子負債残高は8,837億4百万円であり、平均利率につきましては、短期借入金は4.48%、1年内返済予定の長期借入金は2.79%、長期借入金(1年内返済予定のものを除く)は1.62%となっております。
③ 商品価格リスク
当社グループは、総合商社として様々な事業分野において多岐に亘る商品を取扱っており、相場変動などによる商品価格変動リスクにさらされております。取扱い商品については、社内組織単位毎にポジション(ロング・ショート)限度額とMax Loss Amount(MLA)を設定の上、ポジション・損失管理を行うと共に、損切りルール(評価額を含む損失額がMLAの90%に抵触した場合、MLAの範囲内に収めるべく速やかにポジションを解消するルール)を設定し運用しておりますが、これらの対応を行ってもリスクを完全に回避できる保証はなく、予期せぬ市場の変動などにより当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、各商品ポジションに関しては、モニタリングの上、本部別に増減内容の分析を行うなど、適正水準にコントロールするための施策を行っております。
④ 上場有価証券の価格リスク
当社グループは、市場性のある有価証券を保有しております。中期経営計画2023において、2020年12月末比で2024年3月末までに政策保有株式を半減させるという方針のもと、実行時期も含めた具体的な売却計画を策定し、計画に基づく着実な売却を実行しております。また、引き続き保有する上場株式については、個別銘柄毎の保有意義の見直しを毎年実施しております。
保有上場株式の株価が大幅に下落した場合、有価証券の公正価値の変動によって、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3) 信用リスク
当社グループは、多様な商取引を行う中で国内外の取引先に対し信用供与を行っております。これらの商取引においては、販売先の業績不振や経営破綻などにより、当社の債権が回収できないリスクが存在します。また仕入先において、経営不振などにより仕入契約どおりに当社商品供給がなされない場合、当社グループが主契約者として販売先に販売契約の義務を果たせず、契約履行責任を問われるなどのリスクも存在します。
これらのリスクについて、取引先に対し11段階の信用格付けを付与し、当該格付や当社が負うリスクの類型により取引先毎に取引限度を設定し、債権残並びに契約残を設定された限度の範囲内でコントロールしております。また、定期的に取引先信用状況やサプライチェーン全体を俯瞰し取引条件を見直し、かつ取引先の信用状況やその変化に応じ、担保・保証の取得や保険の付保など保全措置を講じ、信用リスクが顕在化した場合に、予想される損失の軽減にも努めております。さらに、債権査定制度を導入し、回収に懸念のある債権については、当該取引先の信用状況、債権回収実績、保全内容などを基に回収可能性について査定を行い、回収が難しいと判断する債権額を算定し適時に貸倒引当金を計上しております。
しかしながら、こうした信用リスクの管理を行った場合でもリスクを完全に回避できる保証はなく、取引先の破綻などにより債権の回収不能などの事象が発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(4) 事業投資リスク
当社グループは、様々な事業領域において企業買収や新規事業会社設立といった事業投資を行っております。事業投資は、事業計画どおりに収益獲得ができないリスク、投下資本回収リスク、事業撤退時に損失が発生するリスクが存在します。事業投資から発生する損失の予防と抑制を目的として、当社グループは事業投資案件の実行の判断時、また投資実行後の管理や撤退に関して事業投資基準を設けて、管理しております。
新規事業投資案件の実行時においては、取り組み意義やキャッシュ・フロー計画を含めた事業計画を厳格に評価しております。特に収益性の評価に関しては内部収益率(IRR)を指標とし、これに対しハードルレートを設定した上で、これを上回る案件を取り上げることとしており、事業投資実行の判断において、当社グループの株主価値を向上させ、かつリスクに見合う収益が得られる案件を選別する仕組みを構築しております。
実行済の事業投資案件については、投資案件毎にROIC(Return on Investment Capital)や、キャッシュリターンベースでのROICであるCROIC(Cash-Return on Investment Capital)が資本コストを超えているかを測定し、定期的に事業性を評価しながらそれぞれの事業の問題点を早期に把握し、適時適切に改善策の実行、あるいは撤退を進めることで当社グループのバランスシートの劣化を防ぎ、企業価値の維持・向上につなげております。
このように、事業投資の実行時、実行後の仕組みを整備しておりますが、期待通りの収益が上がらないリスクや事業計画を達成できないリスクを完全に回避することは困難であり、事業投資先で損失が発生する、又は当該事業からの撤退などに伴い損失が発生する可能性があります。これらの場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(5) カントリーリスク
当社グループは、カントリーリスク発現時の損失の発生を最小化するためには、特定の国・地域に対するエクスポージャーの集中を避ける必要があると考えております。また、カントリーリスクが大きい国との取り組みでは、貿易保険などを活用し案件毎にカントリーリスクヘッジ策を講じることを原則としております。
カントリーリスクの管理にあたっては、各国・地域毎にカントリーリスクの大きさに応じて客観的な手法に基づく9段階の国格付けを付与すると共に、国格付けと国の経済規模に応じてネットエクスポージャー(エクスポージャーの総額から貿易保険などのカントリーリスクヘッジを差し引いたもの)の上限枠を設定し、各々の国のネットエクスポージャーを上限枠内に抑制しております。また、当年度は、特定地域におけるリスク発現シナリオを検討・協議し、当社の取引、並びに経営への影響度を確認しました。
しかしながら、これらのリスク管理やヘッジを行っていても、当社グループの取引先所在国や当社グループが事業活動を行う国の政治・経済・法制度・社会情勢の変化によって計画どおりの事業活動を行えない可能性や損失発生の可能性を完全に排除することはできません。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(6) 固定資産に係る減損リスク
当社グループが保有する不動産、機械装置・運搬具、のれん、鉱業権などの固定資産及び使用権資産については、減損リスクにさらされております。当社グループでは、対象資産に対し当期末時点において必要な減損処理を行っております。しかしながら、今後価格下落などによりこれらの対象資産の価値が著しく減少した場合、必要な減損処理を行う結果として当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(7) 資金調達リスク
当社グループは、事業資金を金融機関からの借入金又は社債発行などにより調達しております。金融機関との取引関係の維持、一定の長期調達比率の確保などによる安定的な資金調達を行っておりますが、金融システム・金融資本市場の混乱や格付会社による当社グループの信用格付けの大幅な引下げなどの事態が生じた場合には、資金調達が制約されると共に、調達コストが増加するなどにより、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8) 環境・社会(人権)リスク
当社グループは、グローバルに事業を展開しており、事業活動とそのサプライチェーンは多岐・広範に亘っておりますが、その当社グループの事業活動及びサプライチェーンにおいて、環境問題や労働安全衛生、人権などにかかわる問題が発生した場合、又は環境・人権保護団体などから環境や労働安全衛生、人権などにかかわる問題に関与していると批判を受けた場合に、事業活動の停止・中止、汚染除去・浄化費用の支出、被害・損害の補償、訴訟や損害賠償などの負担が発生するリスク、当社グループがサプライチェーンから外される、又は当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼすリスクがあります。
また、気候変動を抑制できずに温暖化が進行した場合に、当社事業の収益や資産価値に影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、気候変動抑止のために法規制が強化されるなどの移行リスクと、気温上昇により洪水などの災害が発生し、被害が生じる物理的リスクがあります。
当社グループは、長期ビジョンとしてサステナビリティ チャレンジを策定し、環境方針や人権方針などの個別の方針も策定して、それらの環境・社会(人権)リスクに対応しております。
環境・社会(人権)リスクについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (1)サステナビリティ チャレンジ リスク管理(22ページ)を併せてご参照ください。
(9) コンプライアンスリスク
当社グループは、様々な事業領域で活動を行っており、事業活動に関連する法令・規制は、会社法、税法、汚職など腐敗行為防止のための諸法令、ハラスメント防止のための諸法令、独占禁止法、関税法、外為法を含む貿易関連諸法令や化学品規制などを含む各種業界法など広範囲に亘っております。これらの国内外の法令・規制を遵守するため、当社グループではコンプライアンスプログラムを制定し、コンプライアンス委員会を設け、グループ全役職員にコンプライアンスマインドを浸透・定着させるための取り組みを、全社をあげて実施しております。また、安全保障貿易管理委員会を中心とした安全保障貿易に関する実行体制の整備・運用にも取り組んでおります。しかしながら、このような取り組みによっても事業活動におけるコンプライアンスリスクを完全に排除することはできるものではなく、関係する法律や規制の大幅な変更、予期しない解釈の適用などが当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(10) 法務リスク
事業活動に関連して、当社グループが国内又は海外において訴訟、仲裁などの法的手続きの被告又は当事者となることがあります。訴訟などには不確実性が伴い、その可能性の程度や時期、結果を現時点で予測することはできませんが、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(11) システム・情報セキュリティリスク
当社グループは、情報資産を適切に保護・管理するため、各種規程を整備し、チーフ・インフォメーション・セキュリティ・オフィサー(CISO)を議長とする情報・ITシステムセキュリティ委員会を中心とした管理体制を構築し、情報セキュリティに係る体制を強化しております。また、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策を施すと共に、ファイアウォールによる外部からの不正アクセスの防止、システムの脆弱性を悪用するウイルス対策、暗号化技術の採用などによる情報漏洩対策の強化にも努めております。
当期からは、グループ全体のセキュリティガバナンス強化に重点的に取り組んでおり、グループ全体のIT資産・脆弱性の一元的な管理、サイバー攻撃を早期に検知し影響を抑え込むソフトウエアの導入、不審メールに対する訓練など、従来から本社中心に取り組んでいたセキュリティ対策をグループ全体に展開しております。
さらに、2021年度から取り組んでいる本社、子会社のセキュリティリスクアセスメントを当期も実施し、必要に応じたセキュリティ対策の指導を行いました。本取り組みは毎年繰り返し、PDCAを通じた継続的な対応改善を図ると共に、当社グループが抱えるセキュリティ上の課題・リスクを可視化し、優先度をつけた中長期的なセキュリティ対策を実施してまいります。
このように総合的な情報セキュリティの強化と事故防止に努めておりますが、近年急増しているサイバー攻撃やコンピュータへの不正アクセスなどにより、個人情報を含めた重要な情報資産が漏洩又は毀損、予期できない自然災害や障害を原因として情報通信システムが不稼働の状態に陥る可能性は排除できません。その場合に被害の規模によっては当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12) 災害等リスク
地震、風水害などの自然災害や感染症の大規模な流行により事務所・設備・従業員とその家族などに被害が発生し、当社グループに直接的又は間接的な影響を与える可能性があります。災害対策マニュアル並びに感染症マニュアルの作成、防災訓練、従業員の安否確認システムの整備、事業継続計画(BCP)の策定などの対策を講じております。
大規模な災害時における取引上のサプライチェーン維持の取り組みとして、代替取引先・代替商品の検討を行い取引継続の強靭化に取り組むと共に、サプライチェーンへの影響の可視化と保険の付保を行うなどして被災した場合の損害の低減を講じております。しかしながら、被害を完全に回避できるものではなく、サプライチェーン寸断により当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(13) ウェブサイト・SNSを介した企業情報発信に関するリスク
当社グループのウェブサイト・SNSは、システムの脆弱性に起因する掲載情報の改ざんリスクや収集した個人情報の流出リスク及び運用に起因する批判・非難の集中や著作権・商標権・肖像権の侵害リスクにさらされております。システムの脆弱性に関しては、上記(11)の「システム・情報セキュリティリスク」に記載のとおり、可能な限りの安全対策に努めております。また、運用に関しては、グループ共通のSNS運用ポリシーや規程類に基づき、ウェブサイト・SNSを保有する組織毎に、投稿に関する事前承認手続きやウェブサイトの定期見直しなどをルール化、明文化することを義務づけております。しかしながら、このような取り組みによっても、リスクを完全に排除できるものではなく、当社グループの信用やブランド価値に悪影響を及ぼす可能性があります。
(14) 品質に関するリスク
当社グループでは、事業投資の実行に伴い、事業領域が拡大・多様化しており、製造業やサービス業への進出も増加しています。これに伴い、全社に共通する品質管理の基本方針を「双日グループ・品質管理ポリシー」として制定し、これに基づく現場での自律的、主体的な品質管理を推進しております。また、提供するモノ・サービスの品質を適切に管理する全社横断組織として品質管理委員会を設置し、下図に示すように、事業現場での品質管理状況を網羅的にモニタリングする体制を整えております。

また、個々の事業においては、品質に起因したリスク発現に対して、事業特性も考慮しながら、顧客対応を実践しており、品質管理委員会では、その実践状況を議論・研究し、成果や気付きを全社に共有の上、他事業への応用・品質改善につなげる取り組みをしております。とりわけトレード事業においては、個々の商流のサプライチェーン全体を見据えた品質起因のリスクの洗い出しとリスク対応の点検を行っております。なお、当年度は、個別取引のリスク発現シナリオを検討し、想定される損害や保険などによるヘッジ状況を確認しました。
しかしながら、品質問題の発生を完全に抑制することは困難であり、当該問題により生じた損害について、当社グループが責任を負う可能性があります。このような場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(15) 人材リスク
当社グループは、人材を会社の資本、価値の源泉と捉え、価値創造できる人材を輩出し続ける人的資本経営を推進しており、経営戦略・事業戦略の実現に向けた人材の確保・育成に努めております。
人材確保に関しては、人材ポートフォリオを意識した、多様性の推進、イノベーションの創出、機能強化を目指したM&Aやデジタル人材など専門性の獲得を目的としてキャリア採用に力を入れています。2022年度のキャリア採用人数は40名(採用目標人数:新卒採用100名、キャリア採用40名~50名)となり、キャリア採用の強化を通じて、30代から40代前半が少ない当社社員の年齢構成の適正化を図ります。
人材育成に関しては、多様性と自律性を備える「個」の集団形成を目指す人材戦略の中で、経営人材、デジタル人材、外国人人材など事業戦略の実現に必要となる人材育成を強化しています。重要テーマについては人材KPIを設定し、進捗や効果を定量的にモニタリングする体制を整備しています。
このように人材戦略に基づいた様々な取り組みを行っていても、高齢化に伴う労働人口の減少や、人材の流動化により必要な人材の確保・育成が十分にできない場合、事業計画の進捗に遅れが生じる可能性があります。
人材リスクについては、第2事業の状況 2サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)人材戦略に関する基本方針 リスク管理(33ページ)を併せてご参照ください。
(財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、経営者は会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、見積り及び仮定を設定することが義務付けられております。実際の業績はこれらの見積りと異なる場合があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しております。会計上の見積りの見直しによる影響は、見積りを見直した会計期間及び将来の会計期間において認識しております。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
当社グループは、資産又は負債の公正価値を測定する際に、入手可能な限り、市場の観察可能なデータを用いております。公正価値の具体的な算定方法は次のとおりであります。
(a) 資本性金融資産
上場株式については、取引所の価格によっております。非上場株式については、割引将来キャッシュ・フローに基づく評価技法、類似会社の市場価格に基づく評価技法、純資産価値に基づく評価技法、その他の評価技法を用いて算定しております。非上場株式の公正価値測定に当たっては、割引率、評価倍率等の観察可能でないインプットを利用しており、必要に応じて一定の非流動性ディスカウント、非支配持分ディスカウントを加味しております。非上場株式の公正価値の評価方針及び手続の決定はコーポレートにおいて行っており、評価モデルを含む公正価値測定については、個々の株式の事業内容、事業計画の入手可否及び類似上場企業等を定期的に確認し、その妥当性を検証しております。
(b) デリバティブ金融資産及びデリバティブ金融負債
通貨関連デリバティブ
為替予約取引、直物為替先渡取引、通貨オプション取引及び通貨スワップ取引については、期末日の先物為替相場に基づき算出しております。
金利関連デリバティブ
金利スワップについては、将来キャッシュ・フローを満期日までの期間及び信用リスクを加味した利率で割り引いた現在価値により算定しております。
商品関連デリバティブ
商品先物取引については、期末日現在の取引所の最終価格により算定しております。商品先渡取引、商品オプション取引及び商品スワップ取引については、一般に公表されている期末指標価格に基づいて算定しております。
当社グループは期末日において、資産が減損している可能性を示す兆候があるか否かを判定し、減損の兆候が存在する場合には当該資産の回収可能価額を見積っております。のれん及び耐用年数の確定できない無形資産については毎期、さらに減損の兆候がある場合には都度、減損テストを実施しております。個別資産又は資金生成単位の帳簿価額が回収可能価額を超過する場合には、当該資産を回収可能価額まで減額し、減損損失を認識しております。
回収可能価額は、個別資産又は資金生成単位の処分コスト控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い金額としております。公正価値は市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積もって算定しております。使用価値は、貨幣の時間価値及び個別資産又は資金生成単位に固有のリスクに関する現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて、見積将来キャッシュ・フローを割引いて算定しております。将来キャッシュ・フロー見積りにあたって利用する事業計画は原則として5年を限度としております。なお、当社グループは、使用価値及び公正価値の算定上の複雑さに応じて外部専門家を適宜利用しております。
過年度にのれん以外の資産について認識した減損損失については、期末日において、認識した減損損失がもはや存在しない又は減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合には、回収可能価額の見積りを行い、当該回収可能価額が資産の帳簿価額を上回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで増額し、減損損失の戻入れを認識しております。のれんについて認識した減損損失は、以後の期間において戻入れておりません。
なお、持分法適用会社に対する投資の帳簿価額の一部を構成するのれんは区分して認識しないため、個別に減損テストを実施しておりません。持分法適用会社に対する投資が減損している可能性が示唆されている場合には、投資全体の帳簿価額について回収可能価額を帳簿価額と比較することにより単一の資産として減損テストを行っております。
当社グループでは、固定資産の減損会計等の会計上の見積りについて、連結財務諸表作成時において入手可能な情報に基づき実施しております。
引当金は、過去の事象の結果として現在の債務(法的債務又は推定的債務)を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、当該債務の金額について信頼性のある見積りが可能である場合に認識しております。
貨幣の時間的価値の影響に重要性がある場合、当該負債に特有のリスクを反映させた現在の税引前の割引率を用いて割引いた金額で引当金を計上しております。
確定給付制度は、確定拠出制度以外の退職給付制度であります。確定給付制度債務は、制度ごとに区別して、従業員が過年度及び当年度において提供したサービスの対価として獲得した将来給付額を見積り、当該金額を現在価値に割り引くことによって算定しております。制度資産の公正価値は当該算定結果から差し引いております。
割引率は、当社グループの確定給付制度債務と概ね同じ満期日を有するもので、かつ支払見込給付と同じ通貨建ての、主として報告日における信用格付けAAの債券の利回りであります。
過去勤務費用は、即時に純損益で認識しております。
当社グループは、確定給付制度から生じるすべての確定給付負債(資産)の純額の再測定を即時にその他の包括利益で認識しており、直ちに利益剰余金に振り替えております。
⑤ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産及び繰延税金負債は、資産及び負債の帳簿価額と税務基準額との差額である一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除について認識しており、期末日における法定税率又は実質的法定税率、及び税法に基づいて、資産が実現する期又は負債が決済される期に適用されると予想される税率又は税法で算定しております。
繰延税金資産は、将来減算一時差異、税務上の繰越欠損金及び繰越税額控除のうち、将来課税所得に対して利用できる可能性が高いものに限り認識しております。繰延税金資産の帳簿価額は期末日において再検討しており、繰延税金資産の便益を実現させるだけの十分な課税所得を稼得する可能性が高くなくなった範囲で繰延税金資産の帳簿価額を減額しております。
当連結会計年度は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が長期化し、インフレの抑制を図った金融引き締めにより、世界経済への下押し圧力が顕在化しました。米国での銀行破綻や欧州での銀行経営不安を受けて、各国の金融当局は信用不安の拡大を防ぐため対応を急ぎました。
米国では、2022年3月以来、FRBが度重なる利上げを行いましたが、インフレ率の高止まりが長期化しています。物価と雇用が堅調に推移する中、今後もインフレ対策の継続が見込まれ、政府、民間に関わらず利払い負担が増大することによる景気への影響に注意が必要です。
欧州では、ECBが物価安定を最優先課題として、利上げを継続しています。また、エネルギー価格がピークアウトしたものの、エネルギーの供給不安は依然残っており、経済回復ペースの鈍化が続くと考えられます。
中国では、2022年12月のゼロコロナ政策の転換により景気回復が加速し、2023年は実質5%台のGDP成長が見込まれます。2023年3月に行われた全国人民代表大会で習近平国家主席が三選され、今後の経済発展や国際関係の方向性が引き続き注目されます。
日本では、新型コロナウイルス感染症関連の規制緩和により経済活動が活発化した一方、物価高と海外景気の減速に伴う需要停滞から主力工業製品の生産・輸出の回復が鈍っており、特に外需減退のリスクに留意が必要です。日本銀行は2023年3月の金融政策決定会合で従来の緩和的な金融政策を維持しました。2023年4月から植田新総裁体制に移行しましたが、日本が緩和姿勢を継続する中で日米金利差は依然として開いており、今後の金融政策と為替動向には留意が必要です。
その他アジア地域では、新型コロナウイルス感染症の影響から経済が回復しつつあり、2023年は実質5%台のGDP成長が予想されています。ASEAN、インドなどの新興国では、経済活動の正常化に伴い内需が成長を牽引しましたが、インフレ高止まり、金融引き締めによる資金繰り悪化、米国が利上げを継続する中での通貨安、対外債務膨張、経常赤字拡大などの景気下押しリスクがあります。
当期の経営成績を分析しますと、次のとおりであります。
収益は、水産食品加工会社の取得によるリテール・コンシューマーサービスでの増収に加え、石炭価格の上昇による金属・資源・リサイクルでの増収、各種化学品の市況上昇による化学での増収などにより、2兆4,798億40百万円と前期比18.0%の増収となりました。
売上総利益は、石炭価格の上昇による金属・資源・リサイクルの増益に加え、各種化学品の市況上昇による化学での増益、水産食品加工会社の取得によるリテール・コンシューマーサービスでの増益などにより、前期比662億48百万円増加の3,375億67百万円となりました。
税引前利益は、連結子会社の新規取得などによる販売費及び一般管理費の増加に加え、台湾洋上風力発電事業の損失計上による持分法による投資損益の減少があったものの、売上総利益の増益などにより、前期比377億41百万円増加の1,550億36百万円となりました。
当期純利益は、税引前利益1,550億36百万円から、法人所得税費用392億11百万円を控除した結果、当期純利益は前期比303億53百万円増加の1,158億24百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期純利益は前期比289億15百万円増加し、1,112億47百万円となりました。
当期純利益にFVTOCIの金融資産や在外営業活動体の換算差額などを計上した結果、当期包括利益は前期比27億85百万円減少し、1,458億3百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期包括利益は前期比39億95百万円減少し、1,384億34百万円となりました。
次に、これをセグメント別に分析しますと、以下のとおりであります。
当社グループは、2022年4月1日付にて「生活産業・アグリビジネス」、「リテール・コンシューマーサービス」を再編し、報告セグメントの区分方法を変更しております。
(以下「当期純利益」は「親会社の所有者に帰属する当期純利益」を指しております。)
収益は、海外自動車事業での為替及び収益性良化などにより、2,988億1百万円と前期比22.9%の増収となりました。売上総利益の増益があったものの、為替による販売費及び一般管理費の増加などにより、当期純利益は、前期比10億70百万円減少し、60億13百万円となりました。
収益は、航空機機体販売における減収などにより、690億25百万円と前期比1.4%の減収となりました。ビジネスジェットチャーター販売や船舶の堅調な推移による売上総利益の増益により、当期純利益は、前期比17億2百万円増加し、63億89百万円となりました。
収益は、米国省エネルギーサービス事業の取得などにより、1,026億32百万円と前期比66.1%の増収となりました。台湾洋上風力発電事業の損失計上による持分法による投資損益の減少があったものの、売上総利益の増益に加え、LNG事業会社の増益による持分法による投資損益の増加や、国内太陽光発電事業の一部売却によるその他の収益・費用の増加などにより、当期純利益は、前期比8億94百万円増加し、75億18百万円となりました。
収益は、石炭価格の上昇などにより、6,456億68百万円と前期比15.2%の増収となりました。売上総利益の増益などにより、当期純利益は、前期比286億36百万円増加し、627億4百万円となりました。
<化学>
収益は、各種化学品の市況上昇などにより、6,228億84百万円と前期比15.7%の増収となりました。売上総利益の増益などにより、当期純利益は、前期比58億43百万円増加し、184億73百万円となりました。
収益は、肥料価格の上昇などにより、3,400億89百万円と前期比19.0%の増収となりました。木材価格の下落による売上総利益の減益があったものの、持分法による投資損益の増加などにより、当期純利益は、前期比38百万円増加し、63億98百万円となりました。
<リテール・コンシューマーサービス>
収益は、水産食品加工会社の取得などにより、3,069億75百万円と前期比39.1%の増収となりました。売上総利益の増益に加え、リート資産運用会社の売却によるその他の収益・費用の増加などにより、当期純利益は、前期比24億25百万円増加し、74億35百万円となりました。
なお、本部別の成長戦略は以下のとおりです。
自動車の卸売・組立事業と小売事業を中核とし、成長市場のアジア・ラテンアメリカなど、成熟市場の日本・米国などで展開しています。地域密着型のセールス・マーケティングとアフターサービスの強化、デジタル技術の活用などを通じた事業のバリューアップと共に、有望市場でさらなる事業領域の拡大を図ります。また、販売金融事業や時代の変化を捉えた自動車関連サービスにも積極的に取り組み、豊かなモビリティ社会に貢献していきます。
ボーイング社とのパートナーシップを活かした取り組みの深化に加え、ビジネスジェットなどの航空関連事業の強化、空港運営事業での収益拡大に取り組んでいます。加えて、北米鉄道事業や新興国での交通インフラビジネス、船舶関連事業にも取り組み、空港・港湾、その間を移動する人・モノを融合したソリューションを創出すると共に、外部パートナーなどとの事業の「共創と共有」を積極的に推進し、バリューアップを図ります。
新興国を中心としたインフラ・ヘルスケア関連の需要増や気候変動、デジタル化、価値観の多様化などのグローバルな社会課題に対し、エネルギー、通信、都市インフラ、ヘルスケアなどの事業領域において、当社ならではの機能・発想を複合的に組み合わせることで新たなソリューションを提供し、価値を創造していきます。
金属資源や鉄鋼分野における上流権益投資及びトレーディング事業に加えて、リサイクルを含むサーキュラーエコノミーの領域など、社会ニーズに対応した新規事業の創出・推進に取り組んでいます。近年の脱炭素社会や循環型社会への変化を事業機会と捉え、資源関連ビジネスの変革やリサイクル分野への取り組み強化など長期に亘り金属・資源を安定的に供給する体制の構築を進めていきます。
<化学>
メタノールをはじめとする基礎化学品、合成樹脂を中心とする機能性材料、工業塩・レアアースといった無機化学品などの幅広いトレードや事業の展開に加え、新規環境事業開発にも取り組んでいます。強みのある事業を伸ばすと共に、脱炭素・循環型社会の実現に向けた取り組みを強化し、優良な事業資産を拡充していきます。
持続可能な消費と生産をテーマに、東南アジアなど成長著しい地域において、アグリビジネス事業、食料・飼料畜産事業、林産資源事業などの既存事業を強化すると共に、周辺事業の拡大に取り組んでいます。社会課題の解決からの価値創造をテーマに、日本の地域創生にも取り組み、優良な事業資産を拡充していきます。
<リテール・コンシューマーサービス>
消費者・需要家起点の事業モデルを念頭に、食品・消費財流通事業、水産事業、商業施設運営事業、不動産事業など、消費者のニーズに応える事業を国内外で展開しています。ベトナムやインドなど成長が期待される新興国において、既存事業の変革を推進すると共に、人々に「生活の豊かさ」と「利便性」をもたらす新規事業を創出していきます。また、日本国内におけるリテール領域の強化にも取り組み、収益源の多様化と持続的な成長を目指します。
当期末の資産合計は、円安の影響に加え、棚卸資産が石炭や自動車により増加したものの、営業債権及びその他の債権が航空機関連取引により減少したことなどにより、前期末比8億37百万円減少の2兆6,608億43百万円となりました。
負債合計は、円安の影響に加え、営業債務及びその他の債務が石炭や煙草により増加したものの、借入金の返済による有利子負債の減少などにより、前期末比1,135億36百万円減少の1兆7,842億66百万円となりました。
資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、当期純利益の積み上がりなどにより、前期末比1,097億1百万円増加の8,377億13百万円となりました。
この結果、当期末の自己資本比率は31.5%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比1,408億65百万円減少の6,294億26百万円となり、ネット有利子負債倍率は0.75倍となりました。
※自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、親会社の所有者に帰属する持分を使用しております。
また、有利子負債総額にはリース負債を含めておりません。
次に、これをセグメント別に分析しますと、以下のとおりであります。
当期末のセグメント資産は、その他の投資の売却などにより前期末比81億23百万円減少の1,836億86百万円となりました。
当期末のセグメント資産は、航空機関連取引における営業債権及びその他の債権の減少などにより、前期末比43億62百万円減少の2,136億73百万円となりました。
当期末のセグメント資産は、関連会社の取得による持分法で会計処理されている投資の増加などにより、前期末比347億65百万円増加の4,558億15百万円となりました。
当期末のセグメント資産は、石炭価格の上昇による棚卸資産の増加などにより、前期末比204億10百万円増加の5,318億74百万円となりました。
当期末のセグメント資産は、営業債権及びその他の債権の減少や、棚卸資産の増加などにより、前期末比17億11百万円減少の3,187億65百万円となりました。
当期末のセグメント資産は、関連会社の取得による持分法で会計処理されている投資の増加などにより、前期末比33億96百万円増加の2,423億30百万円となりました。
当期末のセグメント資産は、煙草関連取引における営業債権及びその他の債権の減少などにより、前期末比195億44百万円減少の4,075億97百万円となりました。
当期のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは1,716億39百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは291億57百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは2,303億67百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額などを調整した結果、当期末における現金及び現金同等物の残高は2,472億86百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動による資金は、営業収入及び配当収入などにより1,716億39百万円の収入となりました。前期比では1,065億55百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動による資金は、家電・電子機器リサイクル事業やフィリピンオフィスビル開発事業への拠出があったものの、政策保有株や国内太陽光発電事業の売却による回収などにより291億57百万円の収入となりました。前期比では1,679億76百万円の収入増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動による資金は、借入金の返済及び配当金の支払いなどにより2,303億67百万円の支出となりました。前期比では2,772億65百万円の支出増加となりました。
中期経営計画2023におけるキャッシュ・フローマネジメントにつきましては、引き続き営業活動と資産入替により創出されたキャッシュの範囲内で成長投資と株主還元をマネージしていくこととしております。中でも、短期の運転資金増減の影響を受けない基礎的キャッシュ・フローを、「中期経営計画2020」から「中期経営計画2023」の6年間累計で黒字とする計画です。加えて、継続したBSマネジメントにより、優良資産から質の高い利益とキャッシュを創出し、キャッシュ・フローマネジメントによる成長モデルを実現していきます。
当期は、業績が堅調に推移したため、基礎的営業キャッシュ・フローが1,452億円となりました。これに加え、政策保有株式や入替による投資の売却、航空機関連取引での回収などもあり、新規投資の実行や株主還元による支出もありましたが、基礎的キャッシュ・フローは1,360億円の黒字となりました。
中期経営計画2023の1年目・2年目の新規投資については、第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」の取り組みについて ④新規投資の進捗(18ページ)をご参照ください。
また、配当や自己株取得などの株主還元については、第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」の取り組みについて ⑤株主還元(18ページ)をご参照ください。

*1 基礎的営業CF=会計上の営業CFから運転資金増減を控除したもの
*2 自己株式取得を含む
*3 基礎的CF=基礎的営業CF+調整後投資CF-支払配当金-自己株式取得
(調整後投資CF=会計上の投資CFに長期性の営業資産等の増減を調整したもの)
③ 資金の流動性と資金調達について
当社グループは、中期経営計画2023におきまして、従来と同様に資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針とし、一定水準の長期調達比率の維持や、経済・金融環境の変化に備えた十分な手元流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めており、当期末の流動比率は162.0%、長期調達比率は81.0%となりました。
長期資金調達手段の1つである普通社債につきましては、当連結会計年度は発行しておりませんが、引き続き金利や市場動向を注視し、適切なタイミング、コストでの起債を検討してまいります。
また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円(未使用)及び25.75億米ドル(7.74億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を有しております。
(目標とする経営指標の達成状況等)
第2事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)「中期経営計画2023 ~Start of the Next Decade~」の取り組みについて ③経営指標及び進捗(17ページ)をご参照ください。
(販売、仕入及び成約の状況)
① 販売の状況
「(2) 当連結会計年度の経営成績の分析」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 5 セグメント情報」をご参照下さい。
② 仕入の状況
仕入は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
③ 成約の状況
成約は販売と概ね連動しているため、記載は省略しております。
※将来情報に関するご注意
本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済状況や為替相場の変動など様々な要因により大きく異なる可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。
特記事項はありません。
特記事項はありません。