第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

当社では、歩むべき方向性を明確にするため、経営理念を2003年4月に制定しております。この理念に則り、半導体をコアビジネスに技術力と創造力の革新に努め、独自技術によるグローバルな事業展開を進めるとともに、企業に対する社会的要請や環境との調和に対する着実な対応を通じて企業価値を最大限に高めるべく、確固たる経営基盤の確保に邁進してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社では、2021年4月から向こう3ヵ年にわたる中期経営計画(以下、「21中計」といいます。)を策定しております。本計画では、21中計最終年度である2023年度連結目標として、営業利益率13%以上、売上高1,700億円以上、ROE12%以上と設定しております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当社では、長期的に目指す姿を「独自性のある技術、人と組織のパフォーマンスで成長し、社会のイノベーションに貢献する高収益企業の実現」と設定し、21中計では、事業ポートフォリオをパワーモジュール、パワーデバイス、センサーとして、半導体の市場成長率を上回る売上成長を目指します。21中計達成に向けた経営方針につきましては以下に記載の通りです。

 

21中計の経営方針


 
 
 

市場・製品

電動化・デジタル化が加速する未来市場に適合した製品での
売上・利益拡大

技術・開発

SPPの浸透・徹底によりスピード、実行力で差別化を図り

技術的に認められる企業への変革

生産

革新的ものづくりの追求、強固なバリューチェーンの確立による
グローバル競争力の確保

販売

成長市場におけるマーケティング強化と

グローバルな販売戦略構築による売上拡大


 
   

改革

働き方改革とデジタル化の推進、絶え間ない改革による

成長戦略の実現

組織

多様性を尊重すると共に、

ステークホルダーからの信頼をかさねていく組織文化の実現

SDGs

地球環境保全に寄与する製品・技術開発と、

環境負荷低減活動による持続可能な社会の実現に貢献

 

 

 

(4)会社の対処すべき課題

今後の世界経済につきましては、コロナ禍からの経済正常化に向けた各種の政策公開による回復が期待されますが、ウクライナ情勢が長期化した場合、エネルギー不足や物流への悪影響、原材料の不足や高騰等が懸念され、当面は予断を許さない状況が続くことを見込んでおります。

当社グループが想定する中長期的な市場環境においては、白物家電のインバータ化率の上昇や、自動車のEV化加速等の環境投資がさらに重視されて行く中で、カーボンニュートラル志向を背景としたパワー半導体への旺盛な需要は、今後も継続するものと見込んでおります。この様な中長期的な展望の下、当社グループでは、「2021年中期経営計画」(以下、「21中計」)二年次における重点項目を「構造改革の成果出し」「成功戦略の実現」「ESG経営」「DX推進」「財務戦略の強化」と設定いたしました。

構造改革を終え財務基盤の安定と格付向上による資本蓄積を21中計の柱とし、ESG経営と連動した各種KPI管理に基づき、さらなる成長投資へと繋がる仕組みの構築に取り組んでまいります。また、DX推進活動では、経営ビジョン実現に寄与する「サンケンデジタルビジョン」を新たに制定し、デジタル技術の積極活用を通じた顧客体験(CX)向上と従業員体験(EX)向上の相乗効果による価値創出を目指すことといたしました。これら施策に注力することで、売上高新製品比率を高め、市況への柔軟な対応を対応を遅滞なく実行し、社会に貢献できる高収益企業への変革に臨む所存です。

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財政状態等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには以下のようなものがあります。
 なお、本項に記載した将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年3月31日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

(1) 事業上のリスク

①国際情勢

当社グループは、生産・販売の多くを海外で行っております。海外ビジネス展開において、各国・地域における政治や外交上の問題、地政学的リスクの高まり、法制度・規制変更、経済状況の悪化、貿易摩擦、エネルギー不足、原材料価格・物流価格の高騰などが、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対しては、現地法人を通じた情報収集、各所管部門の統制による法令順守等の対応を図ってまいります。

 

②感染症の拡大

当社グループは、日本国内のほか、海外各国、地域において生産及び販売を行っております。当該各地域では新型コロナウイルスをはじめとする感染症の拡大により経済が悪影響を受けるリスクがあります。新型コロナウイルス感染症では、先進国各国でのワクチン接種は進展したものの、未だ、変異株発生による感染拡大の可能性は残っており、新たな変異株により感染が拡大した場合、経済の回復に悪影響を及ぼすリスクがあり、これが当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。新型コロナウイルス感染拡大への当社対応として特別対策本部の活動を継続し、事業への影響に関わる情報収集と対応、感染防止策の導入、在宅勤務の定着、出張者及び希望する従業員へのPCR検査の実施、ワクチン職域接種(3回)等を行ってまいりました。

 

③新製品開発

当社グループは、市場のニーズに合った製品を開発し、市場に投入していく必要があります。当社グループは常に市場動向を把握し研究開発に取り組んでおりますが、製品のタイムリーな市場投入が出来なかった場合あるいは製品が市場に受け入れられなかった場合、当社グループの収益性が低下し業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、開発改革を推進しており、2021年5月から稼働を開始した本社ものづくり開発センターを核とする新製品開発活動を一層加速し、利益改善に取り組んでおります。

 

④価格競争

半導体業界における価格動向は需要変化により上下するものの、長期的には価格低減による競争力確保が必要となります。特に、海外競合企業の台頭は当社製品の価格決定に大きな影響を及ぼしております。価格競争は今後とも厳しさを増していくものと予想されますが、当社グループは一層の原価低減に努めるとともに、当社固有の技術を生かした付加価値の高い製品を市場投入することなどによってこれに対応してまいります。しかしながら、当社の価格引下げへの対応力を上回るような競合企業による低価格製品の出現あるいは取引先の需要の変化があった場合、当社グループの収益性を低下させ、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。こうしたリスクに対しては、設計段階からの部材共通化・材料コストダウンといった調達改革に取り組んでおります。

 

⑤為替変動

当社グループは、日本国内のほか、アジア、北米等の海外各国において生産及び販売を行っているため、当該各地域における経済動向などの環境変化が、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。また、当該各国、地域における現地通貨もしくは米ドルにて会計処理を行っていることから、円換算時の為替レートにより、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが生産を行う国の通貨価値の上昇は、製造と調達のコストを押し上げる可能性があります。コストの増加は、当社グループの利益率と価格競争力を低下させ、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループは、製品並びに原材料の海外調達の拡大による債権債務・取引高のバランスヘッジ並びに為替予約取引等によりリスクヘッジを行い、米ドル及び円を含む主要通貨間の為替レートの短期的な変動による悪影響を最小限に止める努力をしております

 

⑥資金調達

当社グループは、設備投資、研究開発などのための必要資金の調達方法として、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入等を行っております。当社グループに対する債券市場あるいは金融機関からの信用が低下した場合、こうした資金調達手段が制限されるか、もしくは調達コストが上昇し、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦知的財産権

海外の国、地域によっては、知的財産権による保護が不十分な場合があり、第三者が当社グループの知的財産を使って類似した製品を製造するのを効果的に防止できない可能性があります。一方、当社グループの事業に関連した知的財産権が第三者に成立した場合、または、当社グループの認識し得ない知的財産権が存在した場合においては、知的財産権を侵害したとの第三者の主張に基づき、ロイヤリティーの支払要求、当該知的財産権の使用禁止もしくは訴訟の提起がなされ、これらにより費用負担の増加が生じまたは製品の開発・販売が制限される可能性があります。当社グループでは、自ら開発した技術とノウハウを用いて競合他社との製品の差別化を図っており、これら独自の技術を保護するために必要に応じ、でき得る限り知的財産権の出願、登録を行っております。

 

⑧情報セキュリティ

情報セキュリティについては、システム上の防御機能の導入に加え、取引先との契約条件、技術情報、製造条件などの企業秘密、個人情報、情報資産の保護管理を強化するため「情報管理規程」を制定し、グループ全体で教育や情報管理手順などの監査を実施するなど、情報管理体制を徹底しています。

一方、情報セキュリティに対する侵害又はその他の不正行為があった場合、当社グループのブランドイメージ及び評判や事業に悪影響を及ぼす可能性や、当社グループが法的な責任を追及される可能性があります。サイバー攻撃がますます高度化し、より容易にツールやリソースを利用できるようになりつつあることから、不正侵入の防止あるいは検知、不正侵入への対応、データアクセス制限など、損害を防止するために当社グループが行っている対策、セキュリティへの取り組みや管理が、不正アクセス等に対し完全に安全な情報セキュリティを確保できる保証はありません。その結果、個人情報を含むビジネス情報の消失、破壊、漏洩、悪用、改変、または承諾を得ない第三者による不正アクセスが発生し、当社グループや取引先の情報システムまたは事業が破壊される可能性があります。こうした情報セキュリティに対する事象によって、多額の復旧費用が発生する可能性があり、さらに、売上の喪失、取引先及びその他の第三者との関係悪化、情報の不正漏洩、改変、破壊あるいは悪用などが生じ、当社グループの事業や活動に悪影響を及ぼす可能性があります。また、これらが当社グループのブランドイメージや評判を傷つける可能性があり、その結果、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を与える可能性があります。

 

⑨災害リスク

大規模な災害や停電などが生じた場合、当社グループの設備や事業活動が被害を受け、それがサプライチェーンや製造その他の事業遂行における混乱を引き起こし、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループの生産拠点の多くは、地震のリスクが比較的高い日本国内にあり、本社機能がある埼玉、生産拠点が所在する東北・北陸地方で大地震が起きた場合、建物や機械設備、棚卸資産が被害を受け、また、当該生産拠点での生産活動の中断といった被害を受ける可能性があります。また、原材料、部品、ネットワーク、情報通信システムインフラ、研究開発、資材調達、製造、物流、販売に使用される、当社グループや資材調達先及びその他の取引先の世界各地にある拠点や設備は、自然災害、伝染病などの疫病、テロ、大規模停電といった予期できない事象により、破壊、あるいは一時的な機能停止等の可能性があります。これらの拠点や設備のいずれかが前述の大惨事により重大な損害を受けた場合、事業活動の停止、設計・開発・生産・出荷・売上計上の遅れ、または拠点や設備の修繕・置換えにかかる多額の費用などが生じる可能性があります。これらの場合には、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩法的規則

当社グループは、日本を含め世界13の国、地域に生産・販売拠点を有し、各国、地域の定める様々な法令、規則、規制等(以下、「法的規制」)の適用を受け、事業が成立しております。また、当社グループが全世界において生産・販売等に必要な技術・製品・材料等の輸出入につきましては、展開する各国、地域の定める関税、貿易、為替、戦略物資、特定技術、独占禁止、特許、環境等に関する法的規制の適用を受け、事業活動を展開しております。万一、これらの法的規制を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限されることはもとより社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 品質・環境リスク

①品質問題

当社グループは、顧客の品質基準及び当社の品質基準を満足する各種製品を供給しております。品質管理体制を維持向上させるため、品質管理に関する国際基準ISO9001及びIATF16949の認証を取得し、必要に応じてUL規格等、製品の安全規格への適合認定も取得しています。しかしながら、将来、全ての製品について欠陥がなく、また製品の回収、修理等が発生しないという保証はありません。大規模な製品の回収、修理等及び損害賠償責任につながるような製品の欠陥は、多額のコストや社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

②環境問題

当社グループは、各生産拠点が存在する国の環境汚染、公害防止に関する法的規制を遵守することは勿論のこと、SDGsへの取り組みとして、中期経営計画において当社としてのマテリアリティを明確化し、環境問題の解決に貢献する企業像を目指しております。製品の製造過程で使用する環境負荷物質及び製品に含有する環境負荷物質につきましては、その把握・削減に努めております。サステナビリティへの取り組みにつきましては、気候変動への取組み、環境マネジメント、環境リスク管理、省資源・生物多様性への取組み、環境データに関し、当社ホームページでの情報開示を進めるとともに、TCFDガイダンスに沿ったシナリオ分析により、気候変動が当社の事業に及ぼすリスクと機会を把握し、今後の対応について明確にしています。環境に係る規制を遵守できなかった場合、環境負荷物質を大量に漏洩させる事故を起こした場合、あるいは含有が禁止されている環境負荷物質を製品から排除できなかった場合、その改善のために多額のコストが生じるほか、事業活動の制限、顧客への賠償責任、社会的信用の低下を招き、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 上場子会社の取り扱い

当社グループの上場子会社につきましては、開発戦略、事業ポートフォリオ戦略といった成長戦略との整合性の観点から、今後も一体的運営を継続すべきと考えており、これが、当社グループとしての企業価値最大化の実現に繋がるものと認識しております。しかし、経済・事業環境の変化、将来の不確実な要因、予期できない要因などにより、想定していた効果を得られない可能性があります。

 

上記項目のほか、当社製品が使われるエレクトロニクス製品の技術動向や市場環境が激変することで、当社製品に対する需要が減少する可能性があります。また、原材料の高騰や、生産拠点、資材調達先における火災、社会通信インフラ障害の発生等、さまざまな災害の発生に加え、各国、地域の法令、税制等の大幅な変更や、ロシアによるウクライナ侵攻といった地政学的リスクの急激な高まり、貿易摩擦など予期し得ないカントリーリスク、更には、製品の欠陥による人命、社会環境、企業活動への影響と、これによる訴訟・賠償等のリスク、退職給付債務の算定基礎率の変動リスク、他社との協業ビジネスが大規模な市場変動等の理由により効果を享受できないリスクなどが発生する可能性があります。
 これらリスクのいずれかあるいは複数が発生し、結果として社会的信用の低下や事業活動の停滞、多額の損失の発生などにつながった場合、当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 

(財政状態)

当連結会計年度末の資産合計額は、前連結会計年度末に比べ110億58百万円増2,447億32百万円となりました。これは主に、有形固定資産が70億21百万円増加し、投資その他の資産のその他が23億96百万円増加したことなどによるものであります。

当連結会計年度末の負債合計額は、前連結会計年度末に比べ130億95百万円減1,073億27百万円となりました。1年内償還予定の社債が150億円減少し、支払手形及び買掛金が29億54百万円減少し、長期借入金が96億85百万円増加したことなどによるものであります。

当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末に比べ241億53百万円増1,374億4百万円となりました。非支配株主持分が127億56百万円増加し、為替換算調整勘定が62億38百万円増加し、利益剰余金が26億49百万円増加したことなどによるものであります。

 

(経営成績)

 当連結会計年度における経営環境は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和されたことから次第に消費が持ち直し、グローバルで半導体の需要拡大が継続するなど、経済の回復が着実に進みました。しかしながら、2022年2月に発生したロシアのウクライナ軍事侵攻による地政学的リスクの高まりから、世界的な景気の先行きに不透明感が広がりました。

こうした環境下、当社グループでは、当期より「2021年中期経営計画」をスタートいたしました。本計画は「2018年中期経営計画」(以下、「18中計」)と一体化した経営戦略であり、「サンケンコアの復活を実現すること」、「アレグロ マイクロシステムズ インクの一段の成長」を目標としております。計画初年度となる当期におきましては、社会システム事業の譲渡を完了させ、サンケンコアへの経営リソース集中を図るとともに、18中計から構造改革として進めてまいりました半導体デバイス国内2工場の閉鎖並びに新モジュール工場の稼働等、半導体デバイスの生産体制最適化を完了させました。一方、開発改革におきましては、昨年5月から稼働を開始した本社ものづくり開発センターを核とする新製品開発の活動を一層加速し、利益改善に取り組んでまいりました。また、当期はESG経営・DX推進につきましても注力し、サステナビリティ委員会を設置して体制を整備するとともに、石川サンケン堀松工場を皮切りにカーボンオフセット実現に向けた活動を前進させてまいりました。さらに、サステナビリティ・リンク・ローンによる資金調達、全社員へのDX浸透教育、健康経営・エンゲージメント向上活動など、ESG・DXを経営の基軸に据えた各施策に注力してまいりました。

 

当連結会計年度における市況環境は次の通りです。

自動車市場向け製品は、コロナ禍でのサプライチェーンにおける高水準な部材確保の動きとともに、xEV化やADASの伸長もあり、旺盛な需要が継続いたしました。また、エアコンや洗濯機等のインバータ化・DCモータ化が進む白物家電市場向け製品が堅調に推移し、更に産機市場向け製品につきましても、サーバ向け製品の売上が安定した推移となる等、世界的な半導体不足を背景とした需要に対し、供給能力を上回る状況が継続いたしました。

 当連結会計年度の業績につきましては、新型コロナウイルス感染症による影響を大きく受けた前年に比べ、強い半導体需要の追い風を受け、連結売上高は1,756億60百万円と、188億64百万円(12.0%)増加いたしました。損益面につきましても、売上増加に伴い、連結営業利益は137億20百万円(前連結会計年度 連結営業損失11億98百万円)となり、連結経常利益につきましては、過去最高値となる137億円(前連結会計年度 連結経常損失34億6百万円)を計上いたしました。親会社株主に帰属する当期純利益につきましては、構造改革に伴う関係会社整理損及び棚卸資産評価損等を事業構造改革費用19億38百万円に集約して特別損失として計上したこと等から、32億4百万円(前連結会計年度 親会社株主に帰属する当期純損失69億52百万円)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、574億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ23億68百万円の減少となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、136億75百万円のプラスとなり、前期に比べ60億46百万円の収入増となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、125億98百万円のマイナスとなり、前期に比べ3億3百万円の支出増となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、65億92百万円のマイナスとなり、前期に比べ276億79百万円の収入減となりました。これは主に、株式の発行による収入の減少によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

(生産実績)

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業

177,956

124.1

パワーシステム事業

670

5.3

 

(注)1 金額は、販売価格で表示しております。

   2当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は変更後の区分に基づいております。

3当連結会計年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、パワーシステム事業におきまして、連結子会社であるサンケン電設株式会社の売却に伴うものです。

 

(受注状況)

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

受注高

受注残高

金額(百万円)

前年同期比(%)

金額(百万円)

前年同期比(%)

半導体デバイス事業

185,423

123.9

91,320

123.3

パワーシステム事業

830

5.5

 

(注)1当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は変更後の区分に基づいております。

2当連結会計年度において、受注実績に著しい変動がありました。これは、パワーシステム事業におきまして、

 連結子会社であるサンケン電設株式会社の売却に伴うものです。

 

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

前連結会計年度

(自 2020年4月1日

至 2021年3月31日)

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

前年同期比

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

構成比(%)

金額(百万円)

増減率(%)

半導体デバイス事業

142,613

91.0

174,784

99.5

32,171

22.6

パワーシステム事業

14,182

9.0

875

0.5

△13,306

△93.8

合計

156,795

100.0

175,660

100.0

18,864

12.0

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため、相手先別販売実績及び総販売実績に対する割合の記載を省略しました。

    3 当連結会計年度より、報告セグメントを変更しており、前年同期比は変更後の区分に基づいております。

    4 当連結会計年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、パワーシステム事業におきまし

      て、連結子会社であるサンケン電設株式会社の売却に伴うものです。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当社グループの財政状態、経営成績については以下の通り分析しております。
  なお、本項に記載した将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2022年6月24日)現在において判断したものであり、不確実性を内在しているため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性もありますのでご留意ください。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営成績等の分析

(売上高及び営業損益)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ188億64百万円(12.0%)増1,756億60百万円となりました。自動車市場向け製品は、コロナ禍でのサプライチェーンにおける高水準な部材確保の動きとともに、xEV化やADASの伸長もあり、旺盛な需要が継続いたしました。また、エアコンや洗濯機等のインバータ化・DCモータ化が進む白物家電市場向け製品が堅調に推移し、更に産機市場向け製品につきましても、サーバ向け製品の売上が安定した推移となる等、世界的な半導体不足を背景とした需要に対し、供給能力を上回る状況が継続いたしました。

当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度に比べ28億15百万円(2.4%)増1,204億75百万円となりましたが、売上原価率は前連結会計年度に比べ6.5ポイント良化し、68.6%となりました。 
 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ11億30百万円(2.8%)増414億64百万円となりました。これは主として、労務費の増加によるものであります。売上高販管費比率は前連結会計年度に比べ2.1ポイント良化し、23.6%となりました。
 この結果、当連結会計年度の営業損益は、前連結会計年度に比べ149億18百万円増137億20百万円の利益となりました。

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、2021年4月から向こう3ヵ年にわたる中期経営計画において、最終年度である2024年3月期の目標値を連結売上高1,700億円、連結営業利益率13%、ROE12%として、主要課題に取り組んでまいりました。上記に記載した影響等もあり当連結会計年度の売上高は1,756億60百万円と目標値を上回る結果となりましたが、営業利益率は7.8%、ROEは3.6%と目標値を下回る結果となりました。

 

なお、当連結会計年度より、パワーシステム事業に含まれていたユニット製品を半導体デバイス事業に移管しております。また、パワーシステム事業のうち社会システム事業につきましては、期中に譲渡を完了いたしました。これらに伴い、半導体デバイス事業以外のセグメントの重要性が低下したことから、セグメント別の記載を省略しております。

 

(為替変動の影響)

当社グループの海外売上高は1,282億23百万円で、連結売上高総額の約73.00%を占めており、そのほとんどを米ドル建で取引しております。また、主要な在外連結子会社の財務諸表は米ドル建で作成されております。このため、為替相場の変動は、円高が売上減少、円安が売上増加の方向に影響する傾向があります。
 一方、原価面でみますと、ほぼ同じ外貨ボリュームがあることから、売上高への影響額は利益段階では縮小することになります。

 

(営業外損益及び経常損益)

当連結会計年度の営業外損益は、前連結会計年度に比べ21億89百万円損失(純額)が減少し、19百万円の損失(純額)となりました。これは主として、為替差益を計上したことなどによるものであります。
 この結果、当連結会計年度の経常損益は、前連結会計年度に比べ171億7百万円増137億円の利益となりました。

 

(特別損益)

当連結会計年度の特別損益は、前連結会計年度に比べ33億65百万円損失(純額)が減少し、4億25百万円の損失(純額)となりました。これは主として、固定資産売却益が増加したことと、事業譲渡損失引当金繰入額が減少したことなどによるものであります。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損益は、前連結会計年度に比べ101億56百万円増32億4百万円の利益となりました。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(キャッシュ・フロー)

当社グループの資金状況は、「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、136億75百万円の収入(対前年度比60億46百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、税金等調整前当期純利益の増加によるものです。「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、125億98百万円の支出(対前年度比3億3百万円増)となりました。前年度比の主な要因は、有形固定資産の取得による支出の増加によるものです。「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、65億92百万円の支出(対前年度比276億79百万円減)となりました。前年度比の主な要因は、株式の発行による収入の減少によるものです。これにより、当連結会計年度末における有利子負債残高は673億84百万円となり、有利子負債依存度は27.5%となりました。これらの活動の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、574億44百万円(対前年度末比23億68百万円減)となりました。

 

(財務政策)

当社グループの資金調達の手段は、社債の発行、コマーシャル・ペーパーの発行、コミットメントライン契約、銀行借入などでありますが、2022年3月31日現在の残高は、1年内返済予定の長期借入金を含む短期借入金113億8百万円、コマーシャル・ペーパー60億円、社債50億円、長期借入金430億15百万円となっております。当社グループは、運転資金及び設備投資資金の調達は内部資金によることを基本としておりますが、当社グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローのほか、未使用のコマーシャル・ペーパー発行枠240億円、当座貸越未実行分231億円及びコミットメントライン契約161億円などにより調達可能と考えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

5 【研究開発活動】

当社グループは事業ドメインを「Power Electronics」と定め、この分野において一段上の企業像を目指すべく研究開発活動を進めております。基本方針としては、エコ・省エネ、グリーンエネルギー市場を核とした成長戦略の実現及び技術マーケティングの確立と効率的な開発マネジメントによる新製品開発の促進を掲げ、連結子会社にも研究開発部門を有し、グループを挙げて研究開発に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発費の総額は売上高の11.58%に当たる20,341百万円であります。
 

半導体デバイス事業においては、製品開発における技術マーケティングの導入により成長市場へのシフトを担う製品開発に注力するとともに、共通コンセプトによる設計改革、業務改革を推進し開発スピードのアップを図っております。また、成長著しい新興国向けの汎用品の製品開発にも積極的に取り組んでおります。当連結会計年度における研究開発の主な成果は次のものがあります。

 

プラットフォーム技術SPP(Sanken Power-electronics Platform)で着手した新製品を完成させ、継続的に成長する高収益企業へ変換を行うと共に生産改革を実現させ、開発効率1/2とライン生産性2倍を目指した「ものづくり開発センター」を設立。

・高放熱を実現できるDirect Bonded Copper (DBC) 基板と高電流密度化したField Stop IGBT (FS-IGBT)を採用することで、放熱性能を損なわずにパッケージサイズの小型化とパワー素子の低損失化を実現、また、端子数及び端子配置を最適化し、パターン占有面積削減、端子間距離不足の改善も実現した白物家電用モータドライバIC SIM2-151を開発。

・Micro Controller Unit (MCU) をモータドライバICに内蔵することで、ロバストで高効率な特性を少ない開発工数で実現することを目的としたDigital制御IPM (SIM2652M)を開発。

・前モデルと比較しパッケージサイズを30%縮小、絶縁距離確保、各品質要求へ対応し、IGBT, Diode, ゲートドライバICなど必要な部品を1つのパッケージに搭載した車載向けモータドライバIPM SAM265M30AA1 / SAM265M50AA1を開発。

・制御回路が半導体微細化技術とデジタル制御化を進めた新しいソリューションで、電源の高効率化と部品削減、小型化を可能としたデジタル制御電源IC MD6753を開発。

・蛍光体技術を応用し低波長域を低減、「低誘虫性能」及び「レジスト剤への影響低減」を示唆する特殊色LEDを開発。

・小型化要件を実現するための高周波化スイッチング対応や機能安全性を取り込み、高耐圧・大電流に対応した車載用DC/DCコンバータIC MD4010を開発。

・自動車・産業機器市場における高電圧大電流モータドライバの需要の高まりから、最大電圧1200V、最大電流50Aに対応するため、1200V高耐圧BCDプロセスであるSG7UHVプロセスを用いたMIC (Monolithic Integrated Circuit)を開発。

・独自開発した技術を用いて、EMI(電磁干渉)の抑制に優れた効果を発揮するVFP (Vertical Field Plate) -MOSFETを開発。

・従来品と比較し、低コストマイコンチップを使用、Bridgeless PFC制御と電流共振制御を内蔵したフルデジタル制御の電源IC MD6762 /  MD6762Sを開発。

・効率を向上するため動作モードを自動切替、充実した保護機能により構成部品が少なく、コストパフォーマンスの高い電源システムを容易に構成できるPWM型スイッチング電源用パワーIC STR6S161HXD を開発。

・従来品と比較し、待機動作時のトランス音鳴り抑制機能を追加した高効率低ノイズ電源システム向け共振電源用IC SSC3S937を開発。

・低損失、低リーク電流を実現し、汎用性の高い面実装パッケージTO-252を採用したトレンチ構造のショットキーバリアダイオード SPETシリーズを開発。

・精肉用、鮮魚・青果用、総菜用の3種の食材の特性に応じてスペクトルを制御し、最適な光で食材を照らすことにより、よりおいしく見せることが可能な食品専用LEDを開発。

 

なお、SiCデバイスに関しては、NEDO先導研究プログラム内で産業技術研究所と共同で『高速スイッチング可能でタフなSiCモジュール技術開発』を実施完了いたしました。本成果を活用した高温度動作に於いても安定し、信頼性の高いモジュールの量産化の検討を進めております。

Ganデバイスに関しては、NEDO基盤技術研究促進事業で得られたGan on Si技術を活かし、横型HEMTデバイスのカスタム製品を少量出荷中です。並行して、GaN基板を用いた縦型デバイスの検討を、名古屋大学中心に進められているGaNコンソーシアムに参画して行っております。

 

また、当社グループは、半導体デバイス事業及びパワーシステム事業でありますが、パワーシステム事業の全セグメントに占める割合が僅少であり、開示情報としての重要性が乏しいため、セグメント情報の記載を省略しております。