第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりである。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。

 

(1) 経営方針

 当社グループでは、将来に亘って持続的な成長と発展を遂げていくため、以下のとおり「経営理念」と「経営方針」を掲げ、グループの総合力を結集して事業に取り組んでいる。

 

(経営理念)

 神鉄グループは、「安心」・「安全」・「快適」をお届けすることで、お客様の豊かな暮らしを実現し、地域社会に貢献します。

 

(経営方針)

  ① 心のこもったサービスで、お客様の信頼を築きます。

  ② 法令と社会規範を遵守し、誠実に行動します。

  ③ 地球環境の保護・保全に積極的に取り組みます。

  ④ 柔軟な発想で社会のニーズに応え、新たな価値を創ります。

  ⑤ 人を尊重し、活力のある企業風土をつくります。

 

 当社グループでは、経営理念・経営方針の実践や、多様な人々との連携・共創を通じて新たな価値を創出し、グループの持続的な成長を図るとともに、社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。

 その実現に向け、当社グループが果たすべき役割(ミッション)を新たに定義するとともに、2030年度時点における“あるべき企業像”を示した長期経営ビジョン「神鉄グループみらいビジョン2030」を以下のとおり策定している。

 

(ミッション)

 神鉄グループは、沿線が便利で活気に満ち、喜びや感動で彩られた魅力あるエリアとなるよう、地域と手を取り合い、共に歩みます。

 

(長期経営ビジョン「神鉄グループみらいビジョン2030」)

 “あるべき企業像” 『暮らしに彩を添える地域の共創プラットフォーム』

 神鉄グループは、暮らしに彩を添える時間やモノ、サービスの共創プラットフォームとして確固たる地位を築き、地域の持続的な価値向上に貢献するとともに、社会・経済活動を支える存在となることを目指します。

 

 上記の「神鉄グループみらいビジョン2030」の実現に向けた具体的な実行計画として、2030年度までの8年

間を前後半に分け、最初の4か年における経営計画となる「中期経営計画2026」を策定している。

 

(中期経営計画2026)

 「中期経営計画2026」においては、コロナ禍により落ち込んだ「収益力」をコロナ禍前の水準に回復させるとともに、「財務の健全性」を引き続き着実に進展させ、外部環境の変化(コロナ禍による生活様式の変化や高コスト社会など)に対応しながら、グループの持続的な成長を通じて企業価値を高めて、各種ステークホルダーの期待に応えるとともに、地域の持続的な価値向上に貢献していくこととしている。

 

  [1]基本方針

    グループの持続的な成長を通じて企業価値を高めるとともに、地域の持続的な価値向上に貢献する。

 

  [2]事業戦略

    ① 新しい時代(外部環境の変化)に対応した収益構造の構築等

    ② 沿線活性化

    ③ 成長投資・新規投資による収益拡大

    ④ ステークホルダーへの貢献・還元

 

  [3]連結数値目標

 

 

2022年度実績

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2026年度計画

営業利益

   13.9億円

   18億円以上

当期純利益

    6.7億円

    8億円以上

借入金残高

    571億円

  550億円以下

自己資本比率

    23.4%

     25%以上

 

 

(2) 経営環境

 当社グループの営業エリアにおいては、今後も少子高齢化等が進行するものとみており、また、人材の確保、自然災害、アフターコロナ社会などに対する対応等、厳しい経営環境が続くものと予想している。

 一方で、北神急行電鉄北神線の神戸市営化や、神戸市と締結している当社沿線のリノベーションに関する連携協定(2022年度実績は、有馬線花山駅・大池駅のリニューアル等)に加えて、当社グループによる積極的な事業展開などにより、駅を中心としたまちづくりが今後更に推進され、当社沿線の活性化につながるものと考えている。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

 このような経営環境下において、当社グループは、上記の経営理念を基に、「神鉄グループみらいビジョン2030」を掲げ、このビジョンの実現に向けた具体的な行動計画として、「中期経営計画2026」(2023~2026年度)を策定した。

 そして、「中期経営計画2026」においては、(1)新しい時代(アフターコロナ・高コスト)への対応、(2)沿線の活性化、(3)収益性の改善、(4)有利子負債の削減の4つを重点課題とし、以下の具体的な取組や検討を進めている。

 すなわち、沿線自治体や地域の皆様との連携・共創により駅を中心としたまちづくりを推進することで、賑わいを創出し地域の活性化を図るとともに、関係人口や交流人口の拡大、ひいては人口の定着に向けて取り組んでいる。

 収益力の更なる強化に向けては、不動産事業において新規の賃貸収益物件等への投資を積極的に行うとともに、既存の収益物件の維持更新を着実に行い魅力度向上に努めているほか、多様な人々との連携・共創等により既存および周辺事業の強化や新規事業の開拓等に取り組んでいる。

 新しい時代への対応が喫緊の課題となっている鉄道事業においては、新しい技術の積極的な導入等により安全性や利便性、生産性や環境性等の向上に取り組むなど、持続可能な収益構造の構築に向けた検討を図っている。粟生線においては上下分離をはじめとした同線にかかるコストの軽減策等を引き続き関係者と協議検討していく。

 当社グループのおかれた経営環境は、依然として厳しい状況にあるが、グループが一丸となってこれらの取組を着実に推し進めることで早期復配を目指していく。

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりである。

 なお、将来に関する内容は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その正確性を当社として約束する趣旨のものではなく、また、全ての影響をカバーするものではない。

 

(1)サステナビリティに関する基本的な考え方

 当社グループは、経営理念・経営方針の実践や多様な人々との連携・共創を通じて新たな価値を創出し、グループの持続的な成長を図るとともに、社会課題の解決や持続可能な社会の実現に貢献することを目指している。

 

(2)重要テーマ(マテリアリティ)

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(3)ガバナンス及びリスク管理(サステナビリティ推進体制)

 当社グループでは、サステナビリティへの取組をグループ一体で推進するため、2021年12月、当社社長を議長とし、当社の執行役員・監査等委員(常勤)とグループ各社社長により構成される「サステナビリティ推進委員会」を設置した。

 当社取締役会の監督のもと、本委員会が中心となって、同じ委員で構成される「リスク管理委員会」とも連携を図りながら、サステナビリティへの取組を統合的に協議・決定するとともに、PDCAサイクルを回していくことで取組をブラッシュアップするなど、サステナビリティ経営を推進している。

0102010_003.png

 

(4)指標と目標(KPI等)

 サステナビリティへの取組における重点目標及びKPIについては、次のとおりである。

重点的な取組

目標・KPI

安全輸送の確保

鉄道事業における有責事故 ゼロの継続

バス・タクシー事業における死亡事故 ゼロの継続

鉄道施設の強靭化

自然災害への対応力 継続的な強化 (注1)

駅を中心としたまちづくりの推進

地域における鉄道の交通分担率 増加に転換 (注2)

賃貸物件の魅力度向上 継続的な更新

新しい価値の提供

共創を起点とした関係人口の創出 共創案件や観光客数の

継続的な増加 (注3)

事業領域の拡大 不動産事業エリアの拡大新規事業の創出

脱炭素社会の実現

神鉄グループにおけるCO₂排出量(スコープ1・2)

2013年度比△46%(2030年度) (注4)

従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメント調査スコア 継続的な向上 (注5)

(注)1.防災工事を着実に推進するとともに、災害監視や対応能力の強化に継続して取り組んでいる。

2.10年ごとに実施される近畿圏パーソントリップ調査において、代表交通手段を鉄道とされる沿線の方の割合が増加に転じることを目指し、沿線自治体と連携して様々な取組を行っている。

3.神鉄グループは、「神鉄グループみらいビジョン2030」において『暮らしに彩を添える地域の共創プラットフォーム』になることを掲げており、暮らしに彩を添える時間(トキ)やモノ、サービスの共創プラットフォームとして確固たる地位を築き、地域の持続的な価値向上に貢献するとともに、社会・経済活動を支える存在となることを目指している。

4.神鉄グループ全体で、政府が掲げる温室効果ガスの削減目標(2021年10月22日決定)の達成を目指している。

5.従業員エンゲージメント調査(定期的に実施)において、調査スコアが継続的に前回を上回ることを目指す。

 

(5)気候変動への取組

 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)のフレームワークに基づき整理した当社グループの気候変動(気候関連問題)への取組は、次のとおりである。

 なお、取組の詳細については、当社ホームページ(https://www.shintetsu.co.jp/company/)の「気候関連問題への対応」を参照。

 

① ガバナンス及びリスク管理

 上述のサステナビリティ推進体制のとおりである。

 

② 戦略

 IPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)が示す2℃シナリオや4℃シナリオ、IEA(国際エネルギー機関)のレポート(World Energy Outlook)等をもとに、脱炭素社会への移行が進む場合と気候変動によって大きな物理的変化が生じる場合における鉄道事業及び不動産事業への影響について分析を行った。

 その結果は下表のとおりである。

 

 

項目

財務影響の変化想定

4℃シナリオ

2℃シナリオ

移行リスク

炭素税賦課による税負担の増加

[2030年度時点]

△300百万円/年

再生可能エネルギー拡大による電力価格高騰

[2030年度時点]

△110百万円/年

物理的リスク

大雨(日降水量100mm以上)の発生回数増加による設備被害(法面崩壊・路盤流出等)の増加と旅客運輸収入の減少

2076~2095年平均(21世紀末)時点]

△16百万円/年

△8百万円/年

大雨(計画規模降雨)に伴う洪水(浸水)被害の増加と旅客運輸収入の減少

2050年度時点]

△16百万円/年

△5百万円/年

(注)1.影響分析に活用した将来に影響を与える要素(パラメータ)の出典は以下のとおりである。

(社内データ)CO排出量の見通し、直近10年間(2012~2021年度)における自然災害被害額。

(社外データ)IEA「World Energy Outlook2022」、自然エネルギー財団「2030年における電力需給バランスとコストの検証」(2021年2月)、文部科学省・気象庁「日本の気候変動2020-大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書-(詳細版)」(2020年12月)・国土交通省「重ねるハザードマップ」洪水浸水想定区域(計画規模降雨)・国土交通省 気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会「気候変動を踏まえた治水計画のあり方」提言(2021年4月改訂)。

2.いずれも排出規制の強化に伴う資材価格の高騰や自然災害の増加に伴う損害保険料の上昇、沿線人口の減少などの影響を加味しない場合の試算である。

3.物理的リスクは、損害保険金等の受給や一部区間の長期運行休止を織り込んだ場合の数値である。

 

 分析の結果、2℃シナリオでは、政策等により環境関連の規制が強化され、炭素税賦課や電力価格の上昇が経営に大きな影響を与えることを確認した。

 この対応として、鉄道事業において、省エネルギー型車両への更新やLED照明の導入、効率的な列車運用等により、エネルギー使用量の削減に取り組んでいる。また、不動産事業においても、賃貸物件における照明のLED化推進等による環境性能の向上を計画的に行うことにより、エネルギー使用量の削減に取り組んでいる。

 

 4℃シナリオでは、大雨の発生回数の増加により、特に鉄道事業において、物理的被害の可能性が高まることを確認した。

 当社では、このような自然災害のリスクに対応するべく、ハザードマップ等により、線路脇で土砂崩れや冠水が発生するリスクが高いと予想される個所を「災害注意箇所」として社内で定め、斜面の崩落や落石の防止、橋梁の洗掘防止、排水機能の強化などの対策を鋭意進めている。

 

③ 指標及び目標

 当社グループでは、「脱炭素社会の実現」を図ることや、沿線において「駅を中心としたまちづくり」が推進され、定住とともに公共交通の利用が促進されることが、グループの持続的な成長にとっても、また持続的な社会の実現にとっても重要と考えている。

 このうち「脱炭素社会の実現」に向けては、グループをあげて地球環境の保護・保全に取り組むものとして、2030年度までにグループ全体のCO排出量を2013年度比で46%削減する目標を掲げている。具体的には、鉄道事業において電力消費量が従来型に比べて約60%削減される新型車両の導入を計画的に進めるほか、バス・タクシーの電動化(ハイブリッド機構を含む)、照明のLED化をはじめとする設備の省エネ化、資産のスリム化等に取り組んでいる。

 

 また、「駅を中心としたまちづくり」の推進については、沿線における人口減少やモータリゼーションの進行により、鉄道利用者の減少傾向に歯止めがかからない中、沿線自治体が策定する地域公共交通計画において、まちづくりと公共交通の連携・一体的な整備を施策として盛り込んでいただくともに、定住や鉄道の利用促進に向けて行政や民間企業・学生団体等と協働した取組を進めている。それら取組の成果として、10年毎に行われる近畿圏パーソントリップ調査において、鉄道を代表交通手段とされる沿線の方の割合が増加に転じることを目指している。

 

 これらの取組に加え、災害に強い公共交通サービスの実現を目指して、防災工事を着実に推進するとともに、災害監視や対応能力の強化に継続して取り組んでいる。

 

 なお、CO排出量の実績及び2030年度の削減目標値については、下図のとおりである。

 

0102010_004.png

(注)1.神戸電鉄及び連結子会社のCO2排出量合計。なお、2013年度実績が把握できない一部会社については2014年度実績で代用している。

2.CO排出量の数値については、第三者機関の認証等を得たものではない。

 

 

(6)人的資本についての取組

① 戦略

 当社グループの経営理念である「『安心』・『安全』・『快適』をお届けすることで、お客様の豊かな暮らしを実現し、地域社会に貢献します」を実現していくためには、多様な価値観や個性を尊重しながら、従業員一人ひとりが持つ力を最大限発揮し、活き活きと働くことができる職場環境を整備することが不可欠となる。

 それらを踏まえ、当社グループでは「多様な人材一人ひとりが活躍できるステージづくり」を人的資本投資の強化に向けた方針として掲げ、当社グループの将来の成長に向けた「新しい時代(外部環境の変化)に対応した収益構造の構築」、「沿線活性化」、「成長投資・新規投資による収益拡大」等の事業戦略を自律的に推進できる多様な人材の育成に努めるとともに、人事関連制度の見直し・健康経営体制の推進・福利厚生制度の拡充等を通じた「従業員エンゲージメント」の向上に取り組んでいる。

 今後も、引き続き「従業員エンゲージメントの向上」、「多様な人材の活躍」、「戦略的な人材育成・配置」等に取り組むことにより、従業員が働きがいを感じながら会社とともに成長していける、風通しの良い組織風土づくりに努めていく。

 

② 指標と目標

指標

目標

実績(当連結会計年度)

従業員エンゲージメントの向上

エンゲージメント調査スコアの継続的な向上

従業員エンゲージメント調査スコア62.8点/100点(2022年12月実施)

鉄道現業職の女性従業員数

15人以上(2026年3月末時点)

9人(2023年3月末時点)

係長級以上の管理監督職に就く女性社員数

5人以上(2026年3月末時点)

3人(2023年3月末時点)

(注)1.対象会社:神戸電鉄株式会社

2.従業員エンゲージメント調査は、外部機関を利用した調査であり、当該実績は、同調査を利用した他社平均と同水準の数値となっている。

 

3【事業等のリスク】

 当社グループでは、取締役会が決定した「内部統制システムの整備に関する基本方針」に基づき、定期的にリスク管理委員会を開催し、事業活動やその持続性に影響を与えるリスクの重要性や残余リスク等の定量的な評価を実施のうえ、経営方針・経営戦略との関連性の程度を考慮したうえで、優先順位を付けて対策を立案・実行している。

 これらの結果、当社グループの財政状態及び経営成績等に重大な影響を与える可能性のある主要なリスクには以下のようなものがある。ただし、以下に記載したリスクは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載されたリスク以外のリスクも存在する。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものである。

 

(1)法的規制等に係るリスク

 当社グループの運輸業では、鉄道事業は鉄道事業法等の、バス事業及びタクシー業は道路運送法等に基づき事業を運営しており、鉄道事業及びバス事業の運賃や路線の設定に当たっては国土交通省の許可・認可を得る必要がある。また、この他の事業においてもそれぞれを律する法律を前提に事業活動を行っている。こうした法律、規制、政策、会計基準等の新たな施行、変更及びその影響を予測することは困難であり、これらの法規制や法改正により、事業活動が制限を受ける場合、これらの法的規制等によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(2)競合と沿線人口の減少等に係るリスク

 当社グループでは、鉄道事業を中心に主として当社沿線で事業展開しているため、沿線人口の減少や他社との競合激化の状況が続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(3)感染症に係るリスク

 新型コロナウイルス感染症をはじめとする感染症が発生・拡大した場合、当社グループの主要な事業である運輸業・不動産業・流通業においては、生活様式の変化等による利用客の減少や、従業員の感染による要員不足に伴う事業縮小や休業の可能性がある。

 これらに加えて、当社が運営する保育施設等において集団感染が発生した場合に、風評被害等の影響が及ぶ可能性がある。

 これらの事象が長期化した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(4)自然災害・気候変動等に係るリスク

 当社グループは、兵庫県南部において鉄道施設や賃貸ビル等の営業施設を所有している。鉄道においては、六甲山系を超えて神戸の北部に至る路線であることから、自然災害に備えて、橋梁、トンネル及び法面の補強等の防災工事を進めているが、近年の異常気象による豪雨や大型台風により被災し、またこれにより運休することがある。今後、当該エリアに大きな被害をもたらす地震、台風による洪水等の自然災害が発生した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(5)事故に係るリスク

 当社グループでは鉄道、バスなど大量の旅客を輸送する公共交通事業を営んでおり、安全保安諸施設の整備、従業員教育の徹底など安全管理には万全の注意を払っているが、大規模な事故が発生し、長期に亘る運休となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(6)金利の変動に係るリスク

 当社グループの有利子負債は、営業キャッシュ・フローに比べ過大である。このため金利の変動リスクを回避するため、大部分の借入金等は固定金利で調達しているものの、金利上昇が長期間続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(7)保有資産の時価下落に係るリスク

 当社グループが保有する賃貸用土地・建物をはじめとする事業用固定資産については、経済状況の悪化や競合状況の激化などによる収益性の低下や地価が著しく下落した場合に減損損失が発生する可能性が、また、当社グループが保有する有価証券については、今後市場価格が著しく下落した場合には評価損等が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

(8)要員の確保に係るリスク

 当社グループでは、鉄道をはじめ労働集約型の事業を展開しているが、労働人口の減少や価値観の多様化による人材流出により、要員の確保が難しくなってきている。このため、定年退職者の雇用延長による要員の確保を図りながら、各分野のIT化や作業用機器の導入により作業の軽減や効率化等を進め、要員の確保に努めているが、要員計画の未達成が続いた場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

(9)コンプライアンスに係るリスク

 当社グループでは、法令順守の意識と高い倫理観をもって事業運営にあたり、従業員への啓発・教育にも努めているが、これらに反する不法行為や不適切な事象が発生した場合に、社会的信用失墜のみならず、損害賠償請求等により、経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(10)個人情報の漏洩に係るリスク

 当社グループでは、多数の個人情報を取り扱っており、その管理には万全を期しているが、システムトラブルや犯罪行為により情報が流出した場合、社会的信用失墜のみならず、損害賠償請求等により、経営成績に影響を及ぼす可能性がある。

 

(11)動力費等の高騰に係るリスク

 当社グループの主要な事業である運輸業では、鉄道事業において大量の電力を消費するほか、バス・タクシーなどの営業車両の燃料として軽油等を使用している。電気料金をはじめ、これらの価格が大きく高騰した場合、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がある。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。

 

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

 当連結会計年度末の総資産は、有形固定資産が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ1,547百万円減

少の90,804百万円となった。

 当連結会計年度末の負債は、借入金が減少したこと等により、前連結会計年度末に比べ2,164百万円減少の

69,560百万円となった。

 当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ616百万円増加の

21,243百万円となり、自己資本比率は23.4%となった。

 

b.経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による行動制限の緩和等により社会経済活動に回復の動きが見られるものの、不安定な国際情勢によるエネルギー価格及び原材料価格の高騰など、先行きに不透明感が続く状況で推移した。

 この間、当社グループにおいては、各部門において増収やコストの削減に努めた結果、当連結会計年度の経営成績は次のとおりとなった。

 すなわち、営業収益は21,321百万円となり前連結会計年度に比べ804百万円(3.9%)増加、営業利益は1,391百万円となり前連結会計年度に比べ326百万円(30.6%)増加、経常利益は998百万円となり前連結会計年度に比べ346百万円(53.1%)増加、親会社株主に帰属する当期純利益は676百万円となり前連結会計年度に比べ157百万円(30.3%)増加した。

 

 

運 輸 業

 鉄道事業においては、「安全の絶対確保」を図るため、安全管理体制のさらなる整備・充実に取り組んだほか、「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業」等の補助を活用しながら、軌道の強化、電気設備の更新等の工事を推し進め、運転保安度の一層の向上に努めた。また、リニューアル工事を進めていた有馬線花山駅の新駅舎は2022年11月に、有馬線大池駅の上りホーム側駅舎は12月に供用を開始するとともに、それぞれの駅前広場が2023年3月に完成した。引き続き駅を中心としたまちづくりを推進し、地域の賑わいの創出に努めていく。

 営業活動については、有馬温泉への旅客誘致を図るため、「恋たび有馬」キャンペーンを開催し、「有馬グルメ&湯けむりチケット」の発売や「恋活列車」の運行等を実施した。このほか、神鉄沿線のおでかけに便利な企画乗車券の発売に加え、沿線自治体・各種団体と連携した企画ハイキングや3年ぶりとなる「神鉄トレインフェスティバル2022」の開催など、コロナ禍における行動制限の緩和が進む中で鉄道の利用促進に取り組み、増収に努めた。

 また、神戸市との連携事業である「#駅活~Challenge~」では地域との交流を通じた駅周辺の活性化を、同じく連携事業である「KOBE Rail&Trail」ではハイキングなどのアウトドアを通じた当社沿線の活性化を図っている。特に「KOBE Rail&Trail」は、兵庫県の大阪・関西万博に向けた県内各地域への誘客施策である「兵庫フィールドパビリオン」の認定も受けており、沿線地域の魅力を国内外により一層発信している。引き続き、地域の皆様や沿線自治体と連携したプロジェクトを推進しながら、沿線の活性化や鉄道の利用促進に取り組んでいく。

 バス事業においては、企業や学校の貸切送迎業務をはじめ積極的な営業活動を展開し、増収に努めた。

 タクシー業においては、乗務員の採用に注力し、稼働率の向上に努めた。

 これらの結果、当連結会計年度の運輸業の営業収益は12,562百万円(前連結会計年度比9.9%増)となり、営業利益は318百万円(前連結会計年度は営業損失46百万円)となった。

 なお、2023年4月から導入した「鉄道駅バリアフリー料金制度」により、バリアフリー施設の整備を着実に推進するとともに、引き続き安心・安全・快適な鉄道を目指していく。

 

 (提出会社の運輸成績)

期別

 

 

 

種別

単位

当連結会計年度

(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

 

対前期増減率

(%)

営業日数

365

0

営業キロ

キロ

69.6

0

客車走行キロ

千キロ

14,649

△1.9

旅客人員

定期

千人

34,537

3.4

定期外

17,885

17.2

52,423

7.7

旅客運輸収入

定期

百万円

3,988

2.3

定期外

4,154

17.4

8,143

9.5

運輸雑収

1,047

9.1

収入合計

9,190

9.4

乗車効率

20.6

 

 

(注)1. 乗車効率の算出は、

 

 

延  人  キ  ロ

客車走行キロ×平均定員

 

          による。

2. 客車走行キロ数は社用、試運転及び営業回送を含んでいない。

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

鉄道事業

9,190

9.4

バス事業

1,655

4.7

タクシー業

1,728

18.8

消去

△11

営業収益計

12,562

9.9

 

不 動 産 業

 土地建物賃貸業においては、既存物件へのテナント誘致を進めるとともに、2022年9月に収益の拡大を図るため新規物件(兵庫県伊丹市)を取得し賃貸を開始した。

 また、土地建物販売業においては、2022年11月に神戸市北区の販売土地を売却した。

 なお、神戸市及び神戸市道路公社から管理運営業務を受託している「神戸市立三宮駐車場(神戸市中央区)」他5施設について、円滑な運営に努めている。

 これらの結果、当連結会計年度の不動産業の営業収益は2,000百万円となり、前連結会計年度に比べ9百万円(0.4%)減少し、営業利益は889百万円となり、前連結会計年度に比べ11百万円(1.2%)減少した。

 

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

土地建物販売業

47

67.9

土地建物賃貸業

1,953

△1.4

営業収益計

2,000

△0.4

 

流 通 業

 食品スーパー業においては、青果部門を中心とした生鮮部門の品揃えを強化するなど、販売促進策を各店舗で積極的に展開した。また、2022年5月に「神鉄食彩館北鈴店(神戸市北区)」のリニューアルを行うとともに、4月から移動スーパー「とくし丸」の営業を開始し、11月には新たに2号車を運行するなど、収益の拡大に努めた。

 コンビニ業及び飲食業においては、各店舗で増収に努めた。

 しかしながら、エネルギー価格や食料品価格の高騰に伴う消費者の買い控え傾向、競合の激化等により、当連結会計年度の流通業の営業収益は4,930百万円(前連結会計年度比5.9%減)となり、営業損失は4百万円(前連結会計年度は営業利益38百万円)となった。

 

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

食品スーパー業

3,629

△8.2

コンビニ業

984

1.4

飲食業

300

0.7

その他

17

21.4

営業収益計

4,930

△5.9

 

そ の 他

 保育事業及び健康事業においては、駅に近接する各施設の強みを活かしてご利用者の増に努めた。

 建設業においては、当社グループ外からの受注拡大に努めた。

 これらの結果、当連結会計年度のその他の営業収益は3,178百万円となり、前連結会計年度に比べ88百万円(2.8%)増加し、営業利益は167百万円となり、前連結会計年度に比べ1百万円(0.6%)増加した

 

 

期別

 

 

 

種別

当連結会計年度

(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益

(百万円)

対前期増減率

(%)

建設業

1,242

△8.0

施設管理・警備業

1,316

0.5

保育事業及び健康事業

850

6.8

その他

460

△0.4

消去

△692

営業収益計

3,178

2.8

 

②キャッシュ・フローの状況

  当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ180百万円(14.3%)増加し、当連結会計年度末は1,436百万円となった。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりである。

 

    (営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、3,422百万円と前連結会計年度に比べ613百万円の増加となった。これは、税金等調整前当期純利益が増加したこと等によるものである。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、1,355百万円と前連結会計年度に比べ282百万円の増加となった。これは、工事負担金等受入による収入が減少したこと等によるものである。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、1,886百万円と前連結会計年度に比べ46百万円の増加となった。これは、借入金の返済による支出が増加したこと等によるものである。

 

③生産、受注及び販売の実績

  当社グループは運輸業、不動産業及び流通業など多種多様な事業を営んでいるため、そのセグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。

  このため生産、受注及び販売の実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」における各セグメントの経営成績に関連付けて示している。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりである。

a.財政状態の分析

    当連結会計年度の財政状態の分析は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりである。

b.経営成績の分析

営業収益及び営業利益

 営業収益は、運輸業では、依然として新型コロナウイルス感染症の影響を受けているものの、行動制限の緩和等により前期に比べその影響は軽減されたこと等により、前連結会計年度に比べ1,133百万円(9.9%)の増加となった。

 不動産業では、土地建物賃貸業において、当社が保有する賃貸物件へのテナント誘致を進めるとともに、2022年9月に収益の拡大を図るため新規物件(兵庫県伊丹市)を取得し賃貸を開始したものの、前連結会計年度に比べ9百万円(0.4%)と若干の減少となったが、引き続き堅調に推移した。

 流通業では、エネルギ-価格や食料品価格の高騰に伴う消費者の買い控え傾向、競合の激化等により、前連結会計年度に比べ307百万円(5.9%)の減少となった。

 これらの結果、営業収益は21,321百万円と前連結会計年度に比べ804百万円(3.9%)の増加となった。

 営業利益は、電気料金の高騰などのコスト増加があったものの、各部門において増収やコスト削減に努めた結果、1,391百万円と前連結会計年度に比べ326百万円(30.6%)の増加となった。

経常利益

 営業外収益は、237百万円と前連結会計年度に比べ88百万円(27.1%)の減少となった。これは、主に雇用調整助成金の減少である。

 営業外費用は、630百万円と前連結会計年度に比べ108百万円(14.6%)の減少となった。これは、借入金の減少等に伴い支払利息が減少したことと、雇用調整助成金に対応した従業員への支給である休業手当などの減少である。

 これらの結果、経常利益は998百万円と前連結会計年度に比べ346百万円(53.1%)の増加となった。

親会社株主に帰属する当期純利益

 特別利益は、主に「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費」等の補助を含む他の工事負担金受入額を計上したこと等により828百万円となり、前連結会計年度に比べ362百万円(77.7%)の増加となった。

 特別損失は、主に「鉄道軌道安全輸送設備等整備事業費」等の補助を含む他の工事負担金圧縮額を計上したほか、賃貸ビルの減損損失を計上したこと等により967百万円となり、前連結会計年度に比べ493百万円(104.0%)の増加となった。

 これらの結果、税金等調整前当期純利益は859百万円と前連結会計年度に比べ215百万円(33.4%)の増加となり、これから法人税等(法人税等調整額を含む)を控除した当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は676百万円と前連結会計年度に比べ157百万円(30.3%)の増加となった。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

  当社グループの当連結会計年度の営業キャッシュ・フローは3,422百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を1,436百万円保有している。

  当社グループは、キャッシュ・フロー重視の経営を行っており、収益力の強化により営業活動によるキャッシュ・フローを高め、さらに、投資効率を重視した設備投資を行うとともに、有利子負債の削減を進めることに取組んでいる。

 

  a.有利子負債

当連結会計年度末現在の有利子負債の概要は、以下のとおりである。

 

 

年度別要支払額(百万円)

有利子負債

合 計

1年以内

1年超3年以内

3年超5年以内

5年超

(1)短期借入金(※1)

10,050

10,050

(2)長期借入金(※1)

47,099

8,413

15,920

18,336

4,429

(3)リース債務(※2)

532

167

247

90

26

(4)その他有利子負債(※3)

1,065

292

589

183

合 計

58,747

18,923

16,758

18,610

4,455

 

(※1)1年内返済予定の長期借入金は、「(2)長期借入金」に含めている。

(※2)「(3)リース債務」は、流動負債と固定負債のリース債務の合計である。

(※3)「(4)その他有利子負債」は、流動負債と固定負債の未払金の合計である。なお、主に変電所機械等の割賦購入代金等である。

 

  b.資金需要

  当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、持続的な成長のための投資や各事業に係る運転資金の他、鉄道事業をはじめとする運輸業における設備の更新等に要する設備資金である。

  c.財務政策

  当社グループの事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入等により資金を調達しており、資金については当社及び金融業を営む子会社で一元管理している。

  資金調達に際しては、金利スワップ等を活用し、調達コストの低減に努めている。

  また、金融機関に借入枠を有しており、当社グループの運営に必要な運転資金及び設備資金の安定的な調達は今後も可能である。

  なお、当連結会計年度末における借入金、リース債務等を含む連結有利子負債残高は58,747百万円である。

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成において、経営者は、見積り及び仮定の設定を行っている。見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直されている。会計上の見積りの見直しによる影響は、その見積りを見直した連結会計年度と将来の連結会計年度において認識される。

実際の業績は、これら会計上の見積り及びその基礎となる仮定と異なる場合がある。

当社グループの連結財務諸表上で重要と判断する会計上の見積り及びその基礎となる仮定は以下のとおりである。

  a.固定資産の減損

当社グループは、固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等に基づき算出している。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更があった場合、固定資産の減損を実施する可能性がある。

  b.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を判断するに際して、事業計画に基づいて将来獲得しうる課税所得の時期及びその金額を見積り算定している。従って、将来獲得しうる課税所得の見積額や時期が変更された場合は、繰延税金資産が増額又は減額される可能性がある。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当連結会計年度において、経営上の重要な契約等はない。

 

6【研究開発活動】

  該当事項なし。