第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社は、安定的且つ継続的な成長を長期的目標とし、中長期的視野に立った事業ポートフォリオの構築を重視し、既存事業の強化と新規事業の確立を車の両輪と捉え、バランスの取れた資源配分・事業展開を目指しております。

 この方針を明確化するために、2021年4月に新体制を迎えるにあたり、グループのビジョン・ミッション・バリューズを新たに制定いたしました。

 「ビジョン」とは、実現を目指す、将来のありたい姿であり、ウェーブロックグループのステークホルダーの幸せを最大化するために、業界の中でも世界トップクラスの収益性を誇る存在感のある企業になることを目指します。

 「ミッション」とは、企業が果たすべき使命・存在意義であり、ウェーブロックグループの製造技術、ノウハウ、ビジネス上のリレーションやネットワークを駆使して、社会が抱えるさまざまな「不」を解決することを目指します。

 「バリューズ」とは、組織の共通の価値観であり、個人を尊重し、正直であり誠実に行動し、前向きな失敗は問わない、とするものです。

 このような方針のもと、当社グループは、安定的成長を前提とした長期利益の獲得を企図し、利益率やROE、ROIC等、収益性や効率性を重視した経営を行っていくことを目指します。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは「異なる特徴を持つモノを複数組み合わせることで新たな価値を生み出すこと」すなわち『マテリアルシナジー』を事業キーワードとして、売上の伸張、収益性の向上、および事業領域の拡大に取り組んでおります。

 当社グループが特に重視している「組み合わせ」は以下の5つです。

 第一に、技術や素材の「組み合わせ」です。当社グループの製品は樹脂を中心に、異なる性質を持つ素材の組み合わせや、複数の加工を加える事で付加価値を提供しています。素材としては樹脂、紙、糸、金属等、技術としては接着、溶着、ラミネート、表面加工、印刷、エンボス加工、編織、蒸着、発泡等であり、それらを複数組み合わせて製商品を提供しております。

 第二に、事業の「組み合わせ」です。複数の異なる事業を組み合わせる事で、1つの業界、1つの市場の趨勢だけで会社全体の命運が左右されないような事業ポートフォリオの構築に努めております。また、事業の成熟度・成長性のステージが違う事業を組み合わせることで、成熟した事業が生み出すキャッシュ・フローを、成長が期待できる分野へ投入することも可能となります。

 第三に、成長手段の「組み合わせ」です。スピードある成長を可能にするM&Aやパートナー企業との事業提携、JVの設立などの外的成長と、雇用の創出・士気高揚に繋がる内的成長(オーガニックグロース)の組み合わせをバランス良く取り入れる事が重要だと考えています。

 第四に、ジオグラフィック上の「組み合わせ」です。事業を展開する地域に関しても、特定地域に集中せずバランスが重要と考えております。工場および事業所、海外子会社等は、日本国内においてのみならず、海外においても1つの国や地域に集中しないよう意識しております。

 第五に、パートナー企業の「組み合わせ」です。当社グループの製品の多くは中間加工製品です。このため、前工程(材料メーカー、シートメーカー等)、後工程(加工メーカー、最終メーカー等)に携わる企業との継続的な協力関係が極めて重要と考えております。単なる取引先という関係ではなく「パートナー」としての友好関係が重要であり、分野毎に、国内・国外を問わず、パートナー企業との関係作り、関係強化は当社グループの業績の成否に直結します。

 また、多角化戦略として、マテリアルソリューション事業、アドバンストテクノロジー事業それぞれの事業領域において、既存領域分野における深化と新規領域分野の探索を通じて、多角化を実現するとともに、2既存事業以外の分野における新規事業の探索も「樹脂の加工」に拘らず行っていく所存です。

 

(3)経営環境

 当社グループの事業領域の中心である日本国内の樹脂製品、樹脂加工業界および当社グループは、近年、以下にあげる構造的な状況に直面しております。

 第一に、当社グループの事業は、主として建設資材、住宅資材、農業資材等の国内の成熟市場に依拠しており、今後の人口減少に伴い、市場全体の成長性が乏しいことがあげられます。

 第二に、成熟した国内市場に海外からの廉価品が輸入され、価格競争が激化しております。

 第三に、当社グループの製品は、原材料に占める樹脂依存度が高く、その収益性を樹脂材料の価格に大きく依存しております。とりわけ、昨年度後半からのナフサ価格の急騰は当社製品製造における原価上昇に直結し、利益率を下げる要因となっております。今年度におきましても、世界における樹脂の需給状況や為替等により原材料価格の動向はきわめて変動的であり、加えて、主要原材料メーカーの統合により当社グループの価格交渉力が低下していることが、収益性に大きく影響する可能性があります。

 このような経営環境の下で、当社グループは、上述した経営方針・経営戦略のもと、売上の伸長、収益性の向上、および事業領域の拡大に取り組んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、以下のような課題に優先的に取り組んで参ります。

①事業戦略の見直し:事業ポートフォリオのゼロベースでの見直しと製品の取捨選択

②ハード(製品)だけでなく、ソフトやサービスとの三位一体化による差別化、収益化

③生産合理化による継続的なコストダウン

④原材料価格上昇に伴う製造原価上昇をカバーする製品価格への転嫁

⑤海外関連ビジネスの強化:日本依存度の低減

⑥組織の再編と人材強化

 マテリアルソリューション事業においては、生産性の向上・資材調達の見直し等による全般的なコスト削減を進め、同時に、一定の利益率を維持する為に、原材料価格の上昇に伴う製品原価上昇をカバーする製品価格への転嫁など、機動的に対応することで競争力を強化しつつ、成熟した国内市場でのプレゼンスの向上に努めます。また、採算性の良い製品の一層の充実を図るための商材の選択と集中に努めつつ、市場のニーズを捉えた新製品を投入するため、技術開発や海外の廉価原材料の調達、海外企業への技術指導や提携等による高品質な製商品の輸入等、海外への積極的な展開を図ります。

 アドバンストテクノロジー事業においては、成長が見込まれる金属調加飾フィルム分野と高透明二層シート分野への経営資源の重点投入と収益の拡大を最優先課題として取り組みながら、世界市場に対応できる独自の差別化された高付加価値製品の開発や新商材の発掘を進めて参ります。とりわけ自動車関連産業に対し、金属調加飾フィルムと高透明二層シートを組み合わせた提案を行うことでより営業上のシナジーを創出するとともに、技術開発を加速することに注力していく方針です。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループの事業領域は、石油化学由来の樹脂製品を、日本国内の建築・住宅・農業分野に展開することを主としております。この業界においては、昨今の気候変動や海洋プラスチック問題などを背景に、石油化学由来製品の使用量の削減が喫緊の課題として進められており、この課題に対して積極的かつ能動的に対応していくことが、当社グループの収益機会につながる重要な企業価値向上施策であると認識しております。その上で、2022年3月からの「ウェーブロックグループ中期3か年計画」においては、新規領域へのチャレンジとして、環境関連ビジネスの取り組み強化を柱として掲げ、地中熱ビジネスの取り組みや環境対応素材製品の開発、環境規制の強化に応じた世界的な自動車のEV化対応製品の強化を推進しています。

 また、人的資本経営は、企業が持続可能な成長を達成するために、重要な取り組みの一つと考えております。人的資本の価値を最大限に活用することを目的としており、人的資本を組織の競争力の源泉として認識し、人財の開発・育成・活用を通じて、長期的な持続可能性を実現することを目指していきます。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループにおいては、前述のとおり、気候変動関連を含むサステナビリティを巡る課題をリスクおよび収益機会として捉えており、企業統治の体制の下で、代表取締役社長および事業子会社の社長が、サステナビリティに係る課題、施策について、取締役会での議論、報告を行っております。企業統治の体制の詳細については、「4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要 ② 企業統治の体制の概要および当該体制を採用する理由」をご参照ください。

 また、人財戦略について、経営視点で議論するため、代表取締役社長および副社長と事業子会社社長を委員とする「人財開発会議」を定期的に実施して、具体的な課題や施策(重要な組織の新設・改編、主要ポジションの任免、重要な人事施策の新設等)に関する検討や進捗状況の共有を行っています。また、タレントマネジメントシステムを導入し、グループ全体の人財情報を一元管理し人財マネジメントにも活用しています。

 

(2)戦略

 当社グループでは、人的資本を組織の競争力の源泉として認識し、人財の開発・育成・活用を通じて、長期的な持続可能性を実現することを目指しています。その中でも、人財の育成が特に重要事項であると考えており、従業員の質を高める教育や優秀な人財の採用業務に特化した人財開発部を新設し、経営戦略と連動した人財戦略を実行していきます。

① 人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針

a.従業員の成長を支援する

 当社の価値は人であると考え、従業員一人ひとりの成長が企業の成長につながると認識します。そのため、従業員が自己実現を果たし、スキルアップを図るための研修や教育プログラムを提供していきます。また、個人の興味や希望に合わせて、キャリアアップ支援も行います。

 

b.多様な人財を採用する

 異なる文化・背景・思考・経験を持つ人々から新しいアイディアを生み出すことができます。多様な人財を積極的に採用・育成し、その人財が活躍できる環境を整備していきます。

 

c.アイディアや意見を積極的に尊重する

 従業員一人ひとりがかけがえのない仲間であることを理解し、その人財を大切にします。従業員のアイディアや思いを受け入れ、組織全体の意思決定やビジネス戦略に従業員の多様な視点を取り入れ、企業の成長につなげます。

 

d. フィードバックや評価の機会を設ける

 従業員の業務成果や行動に対して、適宜フィードバックを行い、成長につながる改善点や良い点を示します。また、定期的な評価制度を導入し、目標設定やキャリアプランの策定を支援します。

 

② 社内環境整備の方針

a.フレキシブルな働き方を推進する

 テレワークと出社を組み合わせたハイブリッドワーク、フレックスタイムや時間有休を利用した柔軟な働き方が選びやすい環境を整備しております。

 

b.前向きな失敗を肯定する文化の確立

 前向きな失敗は問わず、むしろ個人のキャリアの肥やしであり、企業の成長の源泉と考えます。失敗を恐れる風土ではなく、失敗から学び成長できる風土を醸成します。従業員が自由に意見を出し合える環境を整え、チャレンジ精神を促進します。これによって、従業員の成長やチームワークが向上し、企業の競争力を高めます。

 

c.健康サポート

 健康経営の取組みの一環として、「健康は従業員一人ひとりの幸せの基盤になる」という考え方のもと、従業員が毎日健康で安心した日常を送れることを目指し、万が一の疾病に対する早期発見を目的として、がん検診や脳ドック等のオプション検査についても費用のサポートを行っております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、気候変動やサステナビリティ関連のリスクを包含した事業全般について想定される各種リスクについて、リスク管理規程を制定し、法務・コンプライアンス部にグループ全体のリスク管理体制の管理・統括を職掌させております。リスク管理体制の詳細については、『4コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要③ 企業統治に関するその他の事項b リスク管理体制の整備の状況』をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針の実効性を評価する上で、従業員エンゲージメント・レーティングは重要な指標と考えています。従業員エンゲージメント・レーティングは、組織の健全性や生産性を評価するもので、従業員のモチベーションや満足度の高さを反映します。従業員が当社に対してどの程度のロイヤルティを持っているかを示す重要な指標でもあり、人財戦略の指標や目標として考えることができます。

 当社グループでは、従業員エンゲージメントサーベイを定期的に実施し、結果を分析することで、人財育成や社内環境整備の改善につなげています。

 

当該指標に関する目標および実績は、次のとおりです。

指標

目標

実績(当連結会計年度)

エンゲージメント・レーティング

2027年3月までにAランクを実現

Cランク※

※ ㈱リンクアンドモチベーションの「モチベーションクラウド」によるエンゲージメント・レーティング。AAA〜DDの全11段階に分かれており、対象はウェーブロックグループ(国内)の全従業員。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもリスク要因に該当しない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から開示しております。これらのリスクについては、その発生可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める方針であります。

なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針に係る事項

① 原材料等の仕入について

 当社グループの一部の原材料はある特定メーカーに供給を依存しており、何らかの事情により、希望する納期、数量の原材料調達が不可能な場合には、代替原材料の使用によるコスト上昇のリスクが存在します。また、即時に代替品の調達が難しい場合、長期間製品販売が不可能となるリスクがあり、これらのリスクが顕在化した場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、一部の樹脂材料価格は、原油やナフサの相場価格に連動して上下しますが、短期間での高騰が起きたにも関わらず、当社の製品価格への転嫁が進まなかった場合、粗利が大幅に低下する恐れがあります。

 

② 生産設備について

 当社グループの一部製品の生産においては、当面の需要予測および経済性に鑑み、専用生産設備の重複化が図られていないものがあります。かかる設備を含め全ての生産設備について、適宜必要なメンテナンスを行っておりますが、何らかの事情により当該生産設備の長期停止を余儀なくされた場合、当該製品の供給が一時的に停止し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、製品供給の拡大・安定化を目指し、新規設備投資・設置の計画がありますが、外部環境等の変化により、その設備設置に遅れが生じる可能性があります。

 

③ 自然災害の影響について

 当社グループの生産工場や外注加工場は、分散されて設置されておりますが、マテリアルソリューション事業の生産工場や外注加工工場は東海・東南海地震の震源地に想定されている静岡県西部に集中しております。主要設備の建屋に関しては、耐震構造を有しておりますが、震災の被害を完全に防止できない可能性があります。同地区での震災発生により、マテリアルソリューション事業の工場が甚大な被害を被った場合、製品生産能力が低下するリスクがあります。また、同工場は浜岡原子力発電所からおよそ20kmの圏内にあり、何らかの理由により同発電所で災害が発生し避難区域等に指定された場合、長期間製造が不可能になる可能性があります。

 上記を含め、不測の大規模地震や台風等の自然災害の発生により、当社グループの生産設備への被害、製品輸送時や外部倉庫保管中の被害等が生じた場合、工場の操業や顧客への製品供給に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 在庫等の状況について

 当社グループのうち、マテリアルソリューション事業における編織製品は計画生産を行っており、実際の販売が計画から乖離した場合、一時的に製商品在庫が増加する可能性があります。編織製品以外は受注生産を行っており、製品在庫リスクは基本的にありませんが、生産ロットや歩留りの兼ね合いで受注数量以上に製品が製造され、過剰生産分に関して一般条件と異なる条件での販売による損失計上や破棄等の処分による在庫処分損計上等を余儀なくされた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に係る事項

① 財政構造について

 当社グループの売上高は手形による回収が多く、仕入決済は現金決済が殆どであります。よって、急速に売上高が伸長した場合は、必要な運転資金が増加する可能性があり、資金繰りに支障を来した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 固定資産の減損について

 当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。将来、当社グループが保有する固定資産について、経営環境の著しい悪化等による収益性の低下や市場価格の下落等により、減損損失が発生し、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 繰延税金資産について

 当社グループは将来の課税所得に関する予測・仮定に基づき、繰延税金資産の回収可能性の判断を行っております。将来の課税所得の予測・仮定が変更され、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 退職給付債務について

 当社グループの退職給付債務および退職給付費用は、年金数理計算上使用される各種の基礎率と年金資産の運用利回り等に基づき算出しております。金利環境の変動、退職給付制度の変更等に伴い、退職給付費用が変動した場合、当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 原材料費の変動について

 当社グループの主原料は石化原料であり、原材料費はナフサ価格や為替の変動により影響を受けます。この原材料費の変動は当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 為替レートの変動について

 当社グループは、韓国、中国、北米、欧州その他の地域における事業活動を展開しております。今後、海外企業への投資および海外での事業展開に伴い外貨建資産および外貨建取引が増加し、為替相場が大きく変動した場合には、当社グループの業績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、特にマテリアルソリューション事業の編織製品においては、輸入商品の取り扱いが多いため、為替変動リスクをヘッジする目的で、為替予約取引を行っております。ただし、この為替予約取引はデリバティブに該当し、時価評価の対象となっているため、今後の為替変動によっては、為替評価損の計上により当社グループの業績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 海外展開について

 海外展開においては、為替リスクに加え、地域特性によるビジネスリスクや法規制等が多岐にわたり存在し、当社グループはこれらのリスクを最小限にすべく十分な対策を講じた上で海外展開を進めますが、予測困難なビジネスリスクや法規制等によるリスクが発生した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また昨今の東欧圏における紛争により、原油価格上昇による原材料価格への影響や国際物流に対するリスクが発生することが考えられます。

 

⑧ 特定の取引先への依存について

 当社グループは多数の販売先を有しておりますが、当連結会計年度においては連結売上高の31.0%を上位10社に依存しております。これら依存度の高い取引先とは現在良好な関係を維持しておりますが、何らかの事情によりこれら販売先との商権を逸失した場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制、規則、取引慣行等に係る事項

① 石化原料に関する規制及びその他の一般的法規制等について

 当社グループの事業は、石化原料を主たる材料としている関係から「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」の適用を受けており、一部の製品に関しては「建築基準法」、「食品衛生法」等様々な法令、政令、省令等の規制を受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、当社グループの事業活動が制限される可能性、および製造方法の変更等によりコストが増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 製品の欠陥に伴う損害賠償等について

 当社グループは厳格な品質管理のもとに製品製造を行っており、製品の品質検査についても一般的に妥当とされる基準に則り実施しておりますが、製品の性格上、全数検査は極めて困難であるため抜き取り検査によっております。出荷済み製品に対して重大な欠陥によるクレームが発生し、保険による補償額を超えた損害賠償を請求された場合、賠償金支払いにより業績に影響を与える可能性があります。また、このような欠陥が発生した場合、材料・製造方法の転換や、これに伴う設備投資が発生する可能性もあります。加えて、これら改善策の実行に時間が掛かる場合、当該製品の売上を喪失するリスクも想定されます。

 

③ 従業員による発明の対価について

 当社グループは従業員の発明等に対する社内報奨制度を採用しております。該当する発明等には当該制度に則り報奨金の支払い等を行っておりますが、今後何らかの事情により従業員等から訴えられ、当該裁判の結果、多額の発明対価を支払うこととなった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う活動制限が徐々に緩和され、経済活動の正常化に向けた動きが加速し、景気に持ち直しの動きがみられました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化等に伴う資源価格や原材料価格の高騰等によりインフレが進み、さらには大幅な為替変動もあり依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 このような状況のもと、当社グループでは、度重なる原材料価格の値上がりやエネルギーコストの上昇等による厳しい事業環境の中、生産効率の向上に注力するとともに、高付加価値製品の開発や新規事業の開拓等に積極的に取り組んでまいりました。また、中期経営計画に基づく樹脂加工には必ずしも拘らない新規領域へのチャレンジとして「環境関連ビジネス」の取り組みを強化し、地中熱ビジネス推進を目的として、2022年4月に(株)エイゼンコーポレーションの全株式を取得いたしました。

 この結果、当社グループ全体の売上高は225億84百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は3億46百万円(前年同期比46.7%減)、経常利益は7億18百万円(前年同期比20.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、クレアネイト(株)(旧(株)ウェーブロックインテリア)株式売却益等の計上により23億21百万円(前年同期比254.4%増)となりました。

 

 当連結会計年度における各セグメントの経営成績は以下のとおりであります。

 なお、各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。

 

(マテリアルソリューション事業)

 マテリアルソリューション事業については、ビルディングソリューションおよびインダストリアルソリューション分野において、メッシュシートのOEM生産への切り替えが一部遅れたことにより販売が減少したものの、建設向け防音シートや、大型物件受注による防煙垂壁用高透明不燃シートが好調に推移しました。パッケージングソリューション分野においては、昨年開発した植物由来のバイオマスプラスチック配合のミルクポーション容器が、業務用だけではなく家庭用にも採用される等、一部製品の販売数量が増加いたしました。アグリソリューション分野においては、エネルギーコストの上昇等により国内農業生産者の資材等への投資意欲が減退し、防虫ネットの販売が減少したものの、林業向けで国や地方自治体からの補助事業案件の受注が増加したこと等により好調に推移しました。一方、リビングソリューション分野においては、販売先となるホームセンター業界において、一昨年の巣ごもり需要からの反動減による影響が続き、販売が落ち込みました。この結果、事業全体の売上高は180億69百万円(前年同期比10.4%増)となりました。また、原材料価格上昇分の販売価格への転嫁を進め、生産効率の向上による原価低減や継続的なコスト削減に努めたものの、度重なる原材料価格の上昇やエネルギーコストの上昇等によりセグメント利益は6億18百万円(前年同期比34.9%減)となりました。

 

(アドバンストテクノロジー事業)

 アドバンストテクノロジー事業については、デコレーション&ディスプレー分野において、北米でのEV車向けをはじめとする車両向けの販売が堅調に推移し売上を牽引いたしました。また、インドや東南アジアの二輪市場でエンブレムへの採用件数が増加したことや、将来的に先進運転支援システムとの連携ツールとして展開が期待されているVRヘッドセット用部材へ採用され、センターインフォメーションディスプレーおよびヘッドアップディスプレー用途で新規車種が量産開始されたこと等により需要が増加し、同分野における販売は好調に推移しました。一方、ディスプレー用拡散板の販売が大幅に減少したことにより事業全体の売上高は45億45百万円(前年同期比2.7%減)となりました。また、デコレーション&ディスプレー分野における設備投資に伴う減価償却負担の増加等があったものの、品質の安定化と生産効率の向上やコスト削減に努め、セグメント利益は3億63百万円(前年同期比5.1%増)となりました。

 

②財政状態

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億12百万円増加し、262億68百万円となりました。

 流動資産は15億24百万円増加し、165億46百万円となりました。これは主に売掛金が1億87百万円減少したものの、現金及び預金が4億91百万円、商品が2億13百万円、製品が4億74百万円、原材料が4億4百万円、仕掛品が2億21百万円増加したことによるものであります。

 固定資産は4億88百万円増加し、97億21百万円となりました。これは主にクレアネイト(株)(旧(株)ウェーブロックインテリア)株式を売却したこと等により投資有価証券が3億63百万円減少したものの、有形固定資産が5億82百万円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ59百万円減少し、104億34百万円となりました。

 流動負債は4億34百万円増加し、75億90百万円となりました。これは主に1年内返済予定の長期借入金が5億71百万円減少したものの、短期借入金が6億円、未払法人税等が3億39百万円増加したことによるものであります。

 固定負債は4億94百万円減少し、28億44百万円となりました。これは主に長期借入金が6億97百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ20億71百万円増加し、158億33百万円となりました。これは主に利益剰余金が親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により20億67百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末と比較して4億91百万円増加し24億53百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

 営業活動の結果得られた資金は1億29百万円(前年同期は78百万円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益30億74百万円、減価償却費6億53百万円、売上債権の減少額3億8百万円の資金の増加要因があったものの、投資有価証券売却益25億28百万円、棚卸資産の増加額11億85百万円、仕入債務の減少3億45百万円、法人税等の支払額5億38百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 投資活動の結果得られた資金は13億97百万円(前年同期は8億50百万円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出11億86百万円等の資金の減少要因があったものの、投資有価証券の売却による収入27億63百万円、保険の解約による収入3億54百万円等の資金増加要因があったことによるものであります。

 財務活動の結果使用した資金は10億12百万円(前年同期は21億84百万円の支出)となりました。これは、短期借入れによる収入13億35百万円等の資金の増加要因があったものの、短期借入金の返済による支出12億77百万円、長期借入金の返済による支出15億21百万円等の資金の減少要因があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

マテリアルソリューション

10,946,685

119.6

アドバンストテクノロジー

2,530,559

126.0

合計

13,477,244

120.7

 (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は、実際原価によっております。

 

b.仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

マテリアルソリューション

3,880,553

93.7

アドバンストテクノロジー

781,139

50.2

合計

4,661,693

81.8

 (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は、仕入価格によっております。

 

c.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

受注高

(千円)

前年同期比

(%)

受注残高

(千円)

前年同期比

(%)

マテリアルソリューション

7,570,270

134.2

963,184

106.6

アドバンストテクノロジー

3,499,793

92.7

49,724

68.8

合計

11,070,064

117.5

1,012,909

103.8

 (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.金額は標準原価によっております。

 

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

マテリアルソリューション

18,041,492

110.4

アドバンストテクノロジー

4,543,425

97.4

合計

22,584,917

107.5

 (注)1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.前連結会計年度にありました「その他」の区分については、当連結会計年度の販売実績はありません。

3.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合について、当該割合が100分の10以上の主要な販売先はありませんので、記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループは、マテリアルソリューション事業においては、生産性の向上、資材調達の見直し、生産設備の改造、生産工程計画の見直し等を通じてコスト削減を進め、競争力を強化しつつ、市場ニーズに合った新製品を上市することで、市場でのプレゼンスの向上や収益改善に努めてまいりました。また、アドバンストテクノロジー事業においては、自動車、弱電等の注力する業界の世界的なニーズに臨機応変に対応し、販売面においては自ら積極的に市場開拓するとともに、製造面においては製品品質の安定化を図り、収益の拡大を目指してまいりました。

 この結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は225億84百万円(前年同期比7.5%増)、営業利益は3億46百万円(前年同期比46.7%減)、経常利益は7億18百万円(前年同期比20.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億21百万円(前年同期比254.4%増)となりました。

 売上高については、原材料価格、エネルギーコスト、副資材費等の大幅な上昇を受け、一部製品の販売価格へ転嫁を進めたことや、(株)エイゼンコーポレーションを連結子会社としたこと等により売上高は増加しました。営業利益については、アドバンストテクノロジー事業の車両向け販売は好調であったものの、マテリアルソリューション事業において、価格転嫁がコスト増加に追い付かなかったこと等もあり、苦戦しました。

 なお、セグメントごとの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(マテリアルソリューション事業)

 マテリアルソリューション事業については、一昨年、新型コロナウイルス感染拡大による影響により、巣ごもり需要の恩恵を受けたホームセンター向けの商材等が、前連結会計年度に引き続き当連結会計年度においても反動減の影響は改善されず需要が減少しました。また、農業資材分野では、エネルギーコストの上昇に加え度重なる物価の高騰等により投資意欲が減衰し需要が減少しました。厳しい事業環境の中、生産効率向上やコスト削減等による原価低減に努めてまいりましたが、原材料価格およびエネルギーコスト上昇の影響は大きく、価格転嫁を進めたものの、コストの増加に追い付くことができず増収減益となりました。なお、新たな成長分野として地中熱ビジネスを推進しておりますが、2022年4月1日に土木・官工事等22種に及ぶ多彩な許可を「特定建設業」として保有している(株)エイゼンコーポレーションの株式を取得し、今後は地中熱関連設備工事の元請となることが可能となりました。当連結会計年度においては、大口施工案件受注獲得に向けた準備期間とし、体制の強化および営業活動に注力しましたので次年度以降、さらなる成長が期待できます。

 

(アドバンストテクノロジー事業)

 アドバンストテクノロジー事業については、前連結会計年度から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響、世界的な半導体不足やウクライナ紛争等の要因でサプライチェーンが混乱する中、ディスプレー用拡散板の販売が大幅に減少した影響で減収となりました。一方、デコレーション&ディスプレー分野において、北米、インド、東南アジアを中心に自動車、二輪車分野の採用が増加し販売を牽引しました。また、より付加価値の高い製品の販売を拡大出来たことで利益率が改善し生産工程の歩留り率も改善した結果、利益面では前連結会計年度と比べ改善しました。このため、事業全体では減収増益となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料および商品の購入費用、製品製造のための費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

 当社グループは、運転資金および設備投資資金につきましては、自己資金または金融機関からの借入によって調達することとしております。

 このうち、金融機関からの借入による資金調達に関しましては、基本的に固定金利によって調達しております。長期借入金以外の資金調達については、金融機関の借入枠の実行によるものがあります。

 当連結会計年度末における資金は、前連結会計年度末に比べ4億91百万円増加し、24億53百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが1億29百万円の収入(前年同期は78百万円の収入)、投資活動によるキャッシュ・フローが13億97百万円の収入(前年同期は8億50百万円の支出)、財務活動によるキャッシュ・フローが10億12百万円の支出(前年同期は21億84百万円の支出)であります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

54.6

56.6

60.1

時価ベースの自己資本比率(%)

27.8

23.6

19.6

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

2.4

53.1

32.2

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

37.2

2.4

5.2

自己資本比率           :自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ :キャッシュ・フロー/利払い

 ※ 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。これら連結財務諸表の作成にあたって、決算日における資産・負債の報告数値および報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りおよび仮定設定を行わねばなりません。経営者は、債権、棚卸資産、投資、繰延税金資産、退職給付等に関する見積りおよび判断について、継続して評価を行っており、過去の実績や状況に応じて合理的と思われる様々な要因に基づき、見積りおよび判断を行っております。また、その結果は資産・負債の簿価および収益・費用の報告数字についての判断の基礎となります。実際の結果は、見積り特有の不確実性のため、これら見積りと異なる場合があります。

 特に以下の重要な会計方針が、連結財務諸表の作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

a.貸倒引当金

 当社グループは、一般債権については貸倒実績率等による計算の結果、合理的に引当金額を算定しております。また、貸倒懸念債権等特定の債権に関しては個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を算定しております。

 

b.棚卸資産

 当社グループの保有する棚卸資産について、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号)に基づき、処理を実施しております。回収可能価額の評価を行うに当たっては、製品、商品について正味売却価額に基づき収益性の低下を検討しております。将来における実際の需要または市況が見積りより悪化した場合は、追加の評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

c.固定資産の減損

 当社グループは、「固定資産の減損に係る会計基準」(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会))および「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号)を適用しております。将来、企業収益が大幅に低下する場合、経済環境の著しい悪化および市場価格の著しい下落等により、固定資産の減損処理が必要となる可能性があります。

 

d.投資有価証券、関係会社株式の減損

 当社グループは、長期的かつ戦略的な取引関係維持を目的に特定の取引先の株式を所有しております。これら株式には上場株式と非上場株式が存在します。当社グループは投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、減損処理を行っております。上場株式については、時価が取得原価の50%以上下落した場合には全て減損処理を行い、30~50%程度下落した場合には、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。非上場株式および関係会社株式については、実質価額が取得原価の50%以上下落した場合に、当該金額の重要性、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。

 

e.繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得および税務計画につき検討し、繰延税金資産の全部または一部について、回収可能性がないものと判断した場合は、当該判断を行った期間に繰延税金資産の取り崩しを行います。

 

f.退職給付費用

 当社グループは、従業員退職給付費用および退職給付に係る債務を数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。これら前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、死亡率等が含まれます。割引率は日本の国債の市場利回りを参考に決定しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、その影響は累積され将来にわたって規則的に認識されるため、将来期間において認識される費用および計上される債務に影響を及ぼします。当社グループの当連結会計年度末における退職給付に係る負債は19億45百万円であり、当連結会計年度の退職給付費用は1億48百万円です。当連結会計年度末に発生した数理計算上の差異は△44百万円であり、翌連結会計年度に一括収益処理いたします。現在、当社グループの割引率は0.01%を適用しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは「異なる特徴を持つモノを複数組み合わせることで新たな価値を生み出すこと」すなわち『マテリアルシナジー』を事業キーワードとして、樹脂を中心に異なる性質を持つ素材の組み合わせや、複数の加工を加える事で付加価値を提供しており、永年蓄積した各種関連加工技術と設備によって新製品の研究開発に取り組んでまいりました。さらに既存製品についても、顧客の要望に応じて機能性の向上等絶えず製品の改良を行い、用途や分野の拡大に努めております。

 現在の研究開発は全事業に専属の技術部門を設置する体制となっており、各子会社同士の連携・協力関係を保ち、顧客ニーズを的確に研究成果に反映できる体制となっております。

 

 当連結会計年度における研究開発費の総額は300百万円となっております。

 セグメント別の研究開発の概要は次のとおりです。

(マテリアルソリューション事業)

 ビルディングソリューション、インダストリアルソリューション分野では樹脂の配合設計技術と加工技術を活かし、お客様のニーズに合った「物作り」に注力し、品質、コスト面および納期対応の改善は勿論のこと、サステナブルな社会の構築へ貢献するべくリサイクル性が高く、環境負荷低減につながる製品の開発および上市を行っています。

 破損、落下による危険回避を目的とした、従来の建築部材用ガラス代替材料として高透明不燃シートを開発し、上市製品は従来品にない透明性が評価されておりますが、市場のニーズに合わせ、継続的に性能と価格のバランスを取ったミドルタイプ、高採光性タイプを上市し、好評を得ております。また、バイオマス素材を使用したシートの開発を行い、産業用、メディア用に展開を図っております。一部製品はバイオマスプラマークの認証を受けております。

 パッケージングソリューション分野では押出成型技術をベースに、押出同時ラミネートによる高付加価値シートや多層押出による高機能シート加工、シートの真空圧空成型加工に至るまでの一貫した成型技術を確立し、生産の安定化と効率化を図っております。また、昨今の省資源化の流れを受けて、独自の発泡プロセスにより、物性を保持しつつ軽量化や石化由来材料比率を低減した製品の製造技術を確立しております。また、配合技術を活かし、天然素材を高充填させつつ高い物性強度を保持した、環境配慮型成型用シートを開発、複数のユーザー様で採用に向け評価いただいております。

 リビングソリューション分野では、大きなテーマとして取り組んでいる「防虫」という観点から、現有製品の防虫性能の向上、更には、新たに防虫機能を有した資材の研究開発を行い、より多くの場面で効率良く防虫を可能とすることで感染症等の抑制や快適な生活に寄与できることを目指しております。

 アグリソリューション分野では、農園芸用の資材網において、作物・地域に特化、機能の強化、新機能をテーマに掲げ、栽培環境が作物に与える影響を研究し、作物の成長をコントロールする資材網の開発を行い、作物の品質向上、収量増等に寄与できることを目指しております。同分野についても、バイオマス素材を利用したバイオマスプラマーク認証製品を開発しラインナップしております。また、よりエネルギー効率、生産効率の高い農作物の生産システムに対しソリューションを提供する取組みを行っております。

 継続的な取組みとして、リサイクル材の積極的活用や原材料高騰対応など、環境面への配慮やコストダウンも進めております。

 当事業に係る研究開発費は105百万円であります。

 

(アドバンストテクノロジー事業)

 デコレーション&ディスプレー分野では、自動車内外装、家電製品など様々な工業製品の樹脂部品を対象とした加飾用フィルムを製造しており、メッキや塗装では表現が困難な高い質感の意匠表現、電磁波透過機能並びに3次元成形性能を両立させる事で世界各国のお客様に高いご評価を頂いております。加えて、近年では、環境への意識の高まりを背景に、従来工法に比べCO2の排出が比較的少ない製造工法であることも注目して頂いており、世界各国のニーズに対応すべく、迅速に研究開発を行い、世界の最前線で存在感を示すことを目標に、付加価値の探求に取組んでおります。また、高透明二層シートについては、CASE技術の躍進を受けて、自動車内装用途としてヘッドアップディスプレイや大型ユーザーインターフェースへの採用件数も増加傾向にあります。加えてVRヘッドセットの様な新規デバイス用途での実績も出てきております。これら市場の拡大に伴い、シート表面に求められる表面性能や機能に関して、多様なご相談を頂いており、お客様の課題解決やニーズに応えるために、引き続き製品の開発に取り組んでいきます。

 当事業に係る研究開発費は194百万円であります。