当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、ソースネクストという社名に「次の常識をつくる」という意味を込め、コンシューマ向けソフトウェアを企画・開発・販売する会社として1996年に設立いたしました。また、製品を通じて喜びと感動を世界中の人々に広げることをミッションとしております。そのために、世界中から便利で高品質なスマートフォンアプリ・パソコンソフト等を発掘し、誰でも手軽に買える価格で提供することにより、ソフトウェア市場の新たな創出を目指しております。また、2017年12月には当社初のIoT製品であるAI通訳機「ポケトーク」を発売し、2019年12月には3世代目モデルとなる「ポケトーク S」を発売しました。2022年4月には「ポケトークアプリ(iOS 版 / Android 版)」を発表し、2022年9月には「ポケトークアプリ」を、世界26の国と地域において販売開始いたしました。2023年3月には法人向けのビジネスシリーズ「ポケトーク for BUSINESS」の「同時通訳」を発売しました。
「ポケトーク」に関しては、2022年2月に簡易新設分割により当社連結子会社としてポケトーク社を設立し、37億円の資金調達を達成いたしました。「言葉の壁をなくす」世界の実現のために、「ポケトーク」ブランドの世界的な認知向上とグローバル展開の加速を進めて参ります。
今後も市場ニーズに合致したソフトウェア、ハードウェア、IoT 製品を市場に投入し、新たな市場の創出を行なって参ります。これら製品をスピーディに提供し、市場環境の変化に柔軟に対応した製品戦略と経営基盤を構築してまいります。
(2)経営戦略
現在当社は、IoT製品及びソフトウェア製品の選択と集中を行なうことで利益の創出を目指しています。IoT製品においては不採算製品の撤退と同時に、当社の20年以上のソフトウェア開発・販売経験を活かし、「驚き・簡単・役立つ」価値のある製品を「安い」価格で提供すべく、今後も企画開発を推し進めて参ります。ソフトウェアビジネスにおいては、セキュリティソフト、「いきなりPDF」、年賀状ソフトを始めとする主力ソフトウェア製品を中心にシェアの拡大を目指し、更なる事業の拡大を推し進めております。また、「スマート留守電」を始めとするサブスクリプション型の製品への注力により安定的な利益創出体制の確立を目指しています。今後は「ポケトーク」をはじめとする当社主力IoT製品及びソフトウェア製品に注力し、市場のニーズに合致したソフトウェアの開発及び多様な供給形態への対応を通して、世界市場への展開を目指す方針であります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な経営指標
当社は、コンシューマ向けソフトウェア業界のマーケットリーダー、及びIoTメーカーとして、付加価値の高い製品を提供していくことにより、コンシューマ向け及び法人向けソフトウェア市場の更なる拡大を牽引し、IoT製品による新たな市場創出をしていく所存であります。従いまして、当該方針において当社が重視する経営指標は、①売上高、②経常利益、③売上高経常利益率です。
(4)経営環境
当期のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響や、金融資本市場の変動等の影響により、先行き不透明な状況が続いているものの、入国規制が撤廃されて以降国境をまたぐ人の往来が増加傾向にあり、インバウンド・アウトバウンドのCOVID-19以前の水準への復活が期待されます。当社の属するコンシューマ向けソフトウェアおよびハードウェア業界におきましては、技術革新の進展、AI技術の応用範囲の拡大、IoT製品のコンシューマへの浸透などの要因により、今後より一層の事業拡大が予想されます。これに伴い、更なる競争の激化が進む可能性もあります。
このような事業環境の中で、当社が対処すべき課題は次のようにまとめられます。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 新製品の企画・開発
スマートフォン・タブレット及びパソコン等のデバイスに対応したソフトウェアの企画・開発を推進して参ります。ソフトウェアタイトルの拡大におきましては、品質・コスト・開発期間のバランスに留意し、自社製品の開発や国内外の複数の開発会社からの知的財産権の取得など、様々な手法を用いて、有力ジャンルの製品開発を進めて参ります。
IoT製品の新製品開発については、製品がインターネットに繋がることで、これまでに存在しなかった新たな市場の創出が見込まれることから、「ポケトーク」はもちろん、AI通訳機以外の分野についても当社の20年以上のソフトウェア開発経験をハードウェア製品と融合させていくことで、IoT事業を強化して参ります。
また、国内におけるテレワークの浸透など、短期的に環境が大きく変わる中で、市場に求められる製品を企画・開発し、スピーディに提供して参ります。
② 販売チャネルの拡大
当社は、国内においては主要家電量販店、通信キャリア等と協業しての販売や「ポケトーク」をはじめとするIoT製品の法人への導入を推進することにより、更なる販売チャネルの維持・拡大を推進して参ります。また、オンラインショップ市場の拡大や、ペーパーレス化の推進やハイブリッドワーク体制の継続による法人市場の拡大が予測されるため、オンラインショップの商材拡充および販売、法人営業の強化に、より一層注力して参ります。さらに、製品を多言語化することなどにより、国外への展開を推し進めて参ります。AI通訳機「ポケトーク」の海外展開につきましては、米国・欧州の更なる展開強化に加え、アジアでの積極的な販路開拓を進めて参ります。世界への販路拡大を図り、今後の更なる業績拡大に繋げて参ります。
③ ユーザー層の拡大
当社の売上の多くは自社オンラインショップ販売と家電量販店等の店頭パッケージ販売、法人向け販売によるものであります。同チャネルにつきましては、長期的なブランド形成という観点からも、引き続き非常に重要と考えております。同時に、携帯キャリア、携帯キャリア以外の通信キャリア(ISP等)、全国の法人向け販売代理店など、他社と協業することで新しいチャネルを構築していくことも必要であると認識しております。販路の拡大によるユーザー層の拡大のみならず、M&A等によるユーザー層の拡大もにらみ、こうした提携を積極的に進めていく所存であります。
④ 収益力の向上
売上の拡大と同時に継続的かつ効果的なコスト管理を実施することが必要であると認識いたしております。売上の拡大につきましては、従来の売り切り型に加え、サブスクリプション型の収益モデルを拡大することで安定的な収益基盤を築いて参ります。当社は、引き続き全社的な予算実績管理を徹底し、原価削減及び効果的な販売費及び一般管理費の支出を行ない、一層の収益力の向上を図っていく所存であります。
⑤ ポケトーク社における事業と組織の構築
2022年2月に簡易新設分割によってポケトーク社を設立しました。従来のポケトーク端末、ポケトークアプリに、法人向けビジネスシリーズ「ポケトーク for BUSINESS」を加えたプロダクトラインナップで、国内及び海外に積極的に展開をして参ります。国境をまたぐ人の往来の増加によるインバウンド・アウトバウンド需要の拡大が予測されるため、コンシューマ向け及び法人向けの端末販売に注力するとともに、サブスクリプション型ビジネスモデルとなる「ポケトーク for BUSINESS」による安定的な収益基盤の構築にも重点的な事業領域として取り組んでまいります。また、国内及び海外でポケトークを積極的に展開していくために必要となる人材の採用を積極的に進めて参ります。
(1)ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティ関連への取組強化を目的として、2023年1月に、管理担当取締役兼CFOを委員長とする「サステナビリティ推進委員会」を新設しました。同委員会では、サステナビリティ課題の特定や見直しをはじめとして、気候変動を含む環境問題や人権などの社会問題に対する施策・方針、取組状況などについて審議・議論を行なっています。
サステナビリティに関する重要事項等については、サステナビリティ推進委員会およびCXO会議、経営会議での審議・議論を経て、取締役会へ付議・報告を行なっています。
取締役会は、サステナビリティ関連の取り組みについて、プロセスを監督し、必要に応じて対応の指示を行なっています。
(2)リスク管理
当社では、リスク低減と事業機会創出を確実にするため、リスク管理及び機会管理を強化しています。リスク管理においては、内部監査室が中心となり、当社内外をとりまくサステナビリティ関連を含むあらゆるリスクについて各組織へのヒアリング等を元に洗い出し、発生可能性及び損害の大きさの2軸によってリスクを評価しております。このリスク評価は定期的に取締役会へ報告を行なっております。
サステナビリティ関連のリスクおよび機会については、サステナビリティ推進委員会にて識別・評価し、施策案を策定のうえCXO会議、経営会議での審議・議論を経て、取締役会へ付議・報告を行なっています。取締役会は、進捗のチェックおよび必要に応じて対応の指示を行なっています。
(3)人的資本に関する戦略
提出会社における、人材の多様性の確保を含む人材育成に関する方針と社内環境整備に関する方針は以下の通りであります。
① 人材育成方針
当社では、不変の企業目標として「ソースネクスト株式会社 最高戦略」を制定し、あらゆる機会を通じて社内で共有を図り、その実現を目指しております。
「ソースネクスト株式会社 最高戦略」
<ミッション>
製品を通じて、喜びと感動を、世界中の人々に広げる
<ビジョン>
世界一エキサイティングな企業になる
2021年8月には、全社員でディスカッションを実施し、従来制定していた行動指針に代わる新たなバリューを定めました。最高戦略の実現に向けて、連帯感や意欲を高め、一人ひとりが働く誇りをもって、共通の価値観に沿う行動を追求していく重要性を改めて共有しました。
<バリュー>
お客様の声を聞く
新しい市場を創る
挑戦を楽しむ
2022年2月には、ソースネクストの最高戦略を実現するために必要な人物とはどのような人物であるかを議論し、「世界一のチーム」を実現するための3つの人物要件を制定しました。一人ひとりが自律した個としてのプロフェッショナルを目指し、その個々の高い力を集結し、チーム一丸となって取り組むことで、より大きな喜びや感動を世界中の人々に広げていくことを目指します。
<「世界一のチーム」を実現する3つの人物要件>
人として信頼できる
当事者意識で取り組む
実力で自ら切り拓く
2022年4月には、人事制度の改定を行ないました。新人事制度では、新たに、市場価値を基軸とした評価を導入し、グローバルマーケットの報酬データを用いて、市場競争力のある報酬水準を設定しました。当該人事制度の運用を通じ、優秀な専門性を有する人材の獲得をはかり、バリューや人物要件を体現し、意欲的に成長し続ける自律人材の育成をはかってまいります。
また、人事制度改定にともない、CXOが集まる人材開発会議を定期開催することを定めました。当該会議において、戦略的な人材開発・人材登用の実現をはかり、各領域における後継人材育成をはかるための議論や活動も開始しております。
新しい人事制度の導入と並行し、「能力・意欲のある自律した人材が活躍し、最高戦略の実現に向かって邁進し続ける組織であるためには、何を大切にしたマネジメントを行なうべきか」を管理職層に対しても問い、「自由と自己責任のマネジメント」が重要であることの認識あわせがなされました。そして2022年5月には、具体的に当社のマネジメントにおいて大切にすべきことを「マネジメントポリシー」として新たに制定しました。
<マネジメントポリシー>
安心と信頼の関係性を作る
ビジョンと目標を引き出す
オーナーシップを発揮させる
当該マネジメントポリシーの発揮度をはかるため、管理職層、および管理職候補層の人材を対象に、360度サーベイの仕組みを導入しました。年に1回、サーベイを通じて、多面的に自らの行動を棚卸し、行動変容をはかるための研修を実施しております。
2023年1月には、自らが勤勉に学び、各自が自律したプロフェッショナル人材として成長していくための意識や姿勢を強化していくためのファーストステップとして、CHROが各社員のキャリア意識の実態を把握するための面談を開始しました。(2023年3月末時点においては全社員との個別面談は進行過程にあります。)2024年3月期中に、人材育成に関する課題の整理を行ない、課題に応じた戦略の策定及び今後追うべき指標設定を進めてまいります。
② 多様性確保
当社では、従業員一人ひとりが持つ個性を尊重し、能力と意欲のある人には平等な機会が与えられ、実力があれば実力通りに評価する、公平で透明な実力主義を重視しています。年齢、性別、学歴、国籍といった属性に影響されない実力主義を貫いた結果として、女性比率は2023年3月末時点において管理職では27.3%、従業員全体では41.5%となっております。
女性の産休・育休取得後の復職率は100%であります。原則として産休前と同一の職場に復帰いただくことでやりがいを継続的に持っていただくとともに、自らの能力の伸張を図り、キャリアに活かしていくことができます。また、育児や介護の必要性に応じて、社員が希望する場合においては短時間勤務での稼働も可能です。全社的に自宅からのテレワークが可能な環境を構築しており、個々の家庭状況に応じて、仕事と育児等を両立しやすい環境も整えております。2022年10月には出生時育児休業(産後パパ育休)制度も導入しました。2023年3月までの間に実際に制度を活用し、取得した者もおります。
取締役女性比率は18.2%、CXO女性比率は9.1%であります。人材の多様性が、変化の激しいIT業界、あるいは多様なグローバルマーケットにおける経営対応力の発揮に不可欠の資質であることを鑑み、女性社員が経営レベルにおいて、今以上に能力を発揮し、また、優秀な外部人材がこれまでよりも増して経営に参画できる環境整備を進めてまいります。
また、多様なバックグラウンドを持つ、様々な領域においてキャリアを積み成長し続けている高度なプロフェッショナル人材の採用の可能性を広げるため、2021年3月より、特定のミッションを定め、正社員とは異なる報酬体系にて雇用するジョブ型社員制度を導入しております。ジョブ型社員は副業・兼業の制限は設けておりません。2021年7月には副業・兼業の許可範囲を広げ、自律的に高いパフォーマンスを出せる社員に対し、スキル強化を目的としたスキルアップ・キャリアアップ型の副業・兼業を、許可制で認める運用を開始しております。
③ 社内環境
2019年より始まったコロナ禍において、全社員が一斉に出社せずとも従前と変わりなく、業務を推進できるよう、全社的に働き方の見直しを行なってまいりました。2022年2月にはオフィスフロア面積の縮小を行ない、フリーアドレス制を導入しました。また、全社員が自宅からテレワークが可能な環境を構築しております。2023年4月現在においては、週2回の出社を推奨していますが、出社者とテレワーク稼働者が協働するハイブリッドワークが日常的に浸透しております。
2022年10月には、サードプレイスワーク(自宅外勤務)制度を導入しました。社員のライフスタイルに合わせ、一時的に実家に帰省しつつ働くといった、自宅とオフィス以外の場所でも働ける制度を設け、活用されております。
また、フレックスタイム制を導入しており、社員の個々の事情に応じて、柔軟に調整しながら働ける環境を整えております。
年次有給休暇取得促進のため、5日の連続休暇(エキサイティング休暇)の取得を推奨しております。今後も必要に応じて各自が柔軟に休暇を取得し、リフレッシュや各個人のスキルアップのための時間として活用できるよう、継続して取得促進を進めてまいります。
当社では、どのような立場の人であっても尊重され、それぞれの人が公平に仕事機会にアプローチすることができ、平等に成果を享受できる組織を目指しております。若手社員であっても、新卒であっても、中途社員であっても、公平に仕事の機会が与えられ、実力を発揮することができます。また、「さん」づけ文化に象徴されるフラットな風土によって、社員は年齢、入社年次、学歴などを意識することなく、自由に意見や考えを言い合えるオープンでフラットな組織風土の中で仕事をしております。
(4)人的資本に関する指標及び目標
提出会社における、人的資本に関する指標及び目標は以下の通りであります。
① 人材育成
2023年3月期においては、人材育成課題の整理過程にあります。
2024年3月期中に、人材育成に関する戦略策定、及び、今後追う指標の定めを進めてまいります。
② 多様性
<女性社員比率>
2022年3月期: 44.2%
2023年3月期: 41.5%
2026年3月期目標: 40%以上
<女性管理職比率>
2022年3月期: 23.5%
2023年3月期: 27.3%
2026年3月期目標: 30%以上
③ 社内環境
<テレワーク活用率>
2022年3月期: 100%
2023年3月期: 100%
2026年3月期目標: 100%
<女性育休取得率/復帰率>
2022年3月期: 100%/100%
2023年3月期: 100%/100%
2026年3月期目標: 100%/100%
<年次有給休暇取得率>
2022年3月期: 51.3%
2023年3月期: 61.6%
2026年3月期目標: 70%
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)当社グループの事業環境について
① 当社グループが属する市場について
a.通訳機市場について
IoT製品であるAI通訳機「ポケトーク」に関連する通訳機市場は、現在はCOVID-19の影響によって訪日外国人及び出国日本人数の急減に伴い停滞した状態が続いていましたが、入国規制の撤廃の撤廃以降、国境をまたぐ人の往来が復活するとともに再び当該市場は回復傾向にあります。インバウンド・アウトバウンドの拡大に加え、在留外国人の将来的な増加に伴い、当該市場は今後益々拡大していくものと予測しております。COVID-19影響下において多くの競合他社製品が撤退した状況にありますが、今後国内及び海外で競合製品が再び登場しかつ当社の独自性が際立って失われた場合、また、国境をまたぐ人の往来の回復が遅れる場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
b.個人向けのパソコン販売台数等の影響について
当社グループ製品は個人向けパソコン用ソフトの比率が高いため、個人消費やパソコンの普及状況、特に個人向けのパソコン販売台数の動向に大きな影響を受けます。従って、個人向けのパソコン販売台数の伸び悩み、及び個人消費の冷え込みがみられた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
c.スマートフォン市場の拡大について
通信キャリア各社がスマートフォンの新製品を次々と販売開始しており、スマートフォン市場が今後も持続的な成長を続けていくと見込んでおります。当社グループでは、「スマート留守電」、「アプリ超ホーダイ」、通信キャリアへのアプリケーションの提供など、スマートフォン向けアプリケーションの開発及び販売を行なっておりますが、今後新たな法的規制の導入、技術革新の遅れ、利用料金の改定を含む通信業者の動向など、当社の予期せぬ要因によりスマートフォン市場の発展が阻害される場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 販売ルート及び販売形態の多様化について
当社グループは、消費スタイルの変化に対応するために、店頭販売だけでなく、オンラインショップや法人への販売、スマートフォン通信事業者などキャリア経由のアプリ販売等、販路の多様化に取り組んでおります。これら店頭販売以外のルートを通じた売上の比率は、2023年3月期で全体売上の84.2%となっております。また、海外展開につきましては、海外子会社を通じた米国・欧州でのさらなる展開強化に加え、アジアでの販路拡大も見込んでおります。このような販路や販売方法の多様化が、想定する効果を得られない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 製品の技術革新の速さについて
IoT製品やパソコン用ソフト、スマートフォンアプリは、OS、webサービス、デバイス、通信技術等の技術革新のスピードが速いため、絶えず技術開発と機能強化に努め、他社に先駆けて新規製品やバージョンアップ版を投入する必要があります。今後も技術革新のスピードが衰えることはないと推測されるため、当社グループ製品の機能が陳腐化した場合や、技術開発及びライセンス取得の努力にもかかわらず、技術革新への対応に遅れが生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
④ OSの動向について
パソコン用ソフトは、OSとアプリケーションソフトに区分できますが、当社グループ製品の大部分はアプリケーションソフトであり、その大部分はマイクロソフト社のOS「Windows」を前提としているため、「Windows」のバージョンアップに伴って新規需要の発生及び発売前の買い控えが起こり、業績が変動する可能性があります。また、代替OS等の登場により、現在のOS市場において圧倒的なシェアを占める「Windows」のシェアが低下する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
スマートフォンのアプリケーションにつきましては、当社グループ製品の多くがGoogle社のOS「Android」を前提としております。「Android」はパソコン用ソフトのOSよりも頻繁にバージョンアップが行なわれる傾向にあるため、当社グループ製品の新OSへの対応が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、開発委託先を含め、新OSへの対応に必要な製品開発体制を確保しております。
⑤ 競争が激しいことについて
パソコン用ソフト市場及び通訳機市場を含むIoT製品は競争が激しく、短期間で他社製品にシェアを奪われる可能性があります。
市場競争力を維持するためには、常に既存製品をバージョンアップし市場対応を行なうこと、新規性の強い製品や差別化された製品、市場に求められる製品を企画開発し、市場創造や市場細分化による利益追求を行なうこと、効果的な広告宣伝が重要です。当社グループの主要製品の1つであるセキュリティソフトは競争が激しい分野であり、2006年に年間更新料のかからない「ZEROウイルスセキュリティ」を、2011年に世界最高レベルの技術を持つBitdefender,SRLの製品を更新料0円にした「ZEROスーパーセキュリティ」をそれぞれ発売することで新しい市場、他社との差別化を図りました。しかしながら、当社グループが既存製品の市場対応又は新製品による市場創造もしくは市場細分化を適切に行なうことができなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、個人向けパソコン用ソフトの販売価格は、当社グループが業界に先駆けて税込1,980円から4,980円を中心とした低価格帯の製品を発売しておりますが、この価格体系に追随する企業もあり、今後パソコンソフトウェアメーカー間又は家電量販店をはじめとする各小売店間の競争激化等により製品単価が下落する可能性があります。将来、このような価格競争により製品の販売価格の引き下げを余儀なくされた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
その他、スマートフォンアプリにつきましては、OSベンダーやキャリアが運営するアプリストアでの配布が一般的なため、当社が従来行なってきたマーケティング手法が充分に機能せず、他社との差別化を図りながら競争力を保つことが難しくなることもあります。このような場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、通訳機を含むIoT製品については、国内大手企業はもちろん、世界規模で展開する多種多様な業種の企業が参入する新しい市場であり、製品の開発、販路の拡大、広告宣伝等において他社への優位性を保つことができない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(2)当社グループの経営方針について
① マーケティングの重要性について
個人向けのソフトウェア・ハードウェア市場においては、個人消費に対するマーケティング活動が極めて重要であると考えております。当社グループのマーケティング手法の特徴としては、以下のようなものがあります。
a.パッケージデザイン
当社グループは、パッケージデザインを店頭のマーケティング手法として非常に重視しております。パッケージデザインは内製化されており、パッケージデザインを中心として、統一的にチラシ、広告、販促品、webのデザイン等を決定しております。当社グループでは、マーケティングに効果的なパッケージデザインを制作できる優秀なデザイナーの確保が重要と考え注力しておりますが、優秀な人材を引き続き確保できない場合には、マーケティング活動に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
b.店頭市場での大型展開
当社グループでは、製品の店頭露出の向上を重要なマーケティング手法の一つと考えており、家電量販店等、小売店の店頭における当社グループ製品の特設コーナー設置等に努めております。小売店の店頭スペースを利用したマーケティングには一定の効果があるものと考えておりますが、想定する効果を得られる保証はなく、また、想定する効果を得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
c.ブランド資産と顧客資産
当社グループは、web広告やテレビコマーシャル、雑誌広告等の広告宣伝を効果的に活用することによりソフトウェア・ハードウェアメーカーとしてのブランドの確立に努めて参りました。また、近年ではタクシー広告等、対象顧客にマッチした広告配信も活用しております。こうした広告を入り口として、多数のラインアップを取り扱うことにより様々な消費者の囲い込みを実施しており、当社グループの登録ユーザーは1,900万人を超えております。
当社グループでは、これら無形資産であるブランド資産や顧客資産の活用により、より有利なマーケティング展開が望めるものと考えておりますが、実施するマーケティング活動が想定する効果を得られる保証はありません。広告宣伝費、販売促進費は、これらの支出が業績の向上に寄与するものと考えておりますが、想定する効果を得られる保証はなく、また、想定する効果を得られなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
② 企業イメージ及び製品イメージの重要性について
個人向けのソフトウェア・ハードウェア市場においては、企業イメージ及び製品イメージが重要であり、効果的な広告宣伝や顧客サポートの充実が必要であると考えております。従って、製品の不具合や瑕疵が発生した場合又は現時点においては予期し得ないユーザーからの訴訟やクレーム等が提起された場合には、企業イメージ及び製品イメージが低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは製品開発・生産の各工程における検査を徹底することで、不具合や瑕疵が発生しないよう努めております。
③ 当社グループが推進する「ZERO」戦略について
当社グループの主力製品である「ZERO」は、端末固定・期限なしのウイルス対策ソフトで、用途や予算に合わせて「ZEROウイルスセキュリティ」「ZEROスーパーセキュリティ」をそれぞれご用意しております。最初にインストールした端末が破損するまで、あるいはOSの求めるスペックを満たせなくなるまで、最新版を提供しますが、想定を超えるアフターコストが発生した場合は、利益にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。
④ ハードウェア製品について
「ポケトーク」をはじめとするハードウェア製品は、当社が従来取り扱っていたソフトウェア製品と比較して部品等の生産にかかるコストが高額となると考えております。従って、当初見込みと比較して需要を大きく見誤った場合には、生産コストや廃棄コストの増加等、利益にマイナスの影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、自社製品の在庫について適正水準の維持に努めております。
また、ハードウェア製品の欠陥による品質の問題(不安全事故等)が発生した場合、欠陥に起因する損害(間接損害を含む。)に対して、当社グループは、生産物賠償責任保険で補償しきれない賠償責任を負担する可能性や多大な対策費用を負担する可能性があります。また、当該問題が生じることにより、当社グループのイメージ・評判の低下、顧客の流出等を惹起し、当社グループの事業・業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは製品開発・生産の各工程における検査を徹底することで品質の問題が発生しないよう努めております。
⑤ 海外での活動について
当社グループは、国内外を問わず優れた技術や製品を発掘し、国内を中心にパソコンソフトウェアやスマートフォンアプリの企画・開発・販売を行なって参りました。
2012年には米国のシリコンバレー、2019年1月にはオランダにそれぞれ海外子会社を設立しており、「ポケトーク」の世界での販路拡大を推進しております。
しかしながら、海外活動を行なっていく中で、各国の法令、制度、政治、経済、為替等を始めとした様々な潜在的リスクが存在します。特に欧州においては、企業の社会的責任に関する消費者の関心の高まりから、適用を受ける法規制や消費者の関心は大きく変わる可能性があり、その変化が、当社グループの事業活動費の増加、事業活動の制約及び当社グループの評判への悪影響につながる可能性があります。
また「ポケトーク」を始めとするIoT製品については、今後一層グローバルに事業を展開していくことになるため、広告、販売促進、消費者保護、輸出入要件、腐敗防止、反競争的行為、環境保護、プライバシー、データ保護、コンテンツや放送規制、課税、為替管理だけでなく、個人情報の収集、使用、保有、保全及び移転に関する法規を含む多数の地域における従来及びオンラインの事業に影響を与える多くの国々の法規制の適用を受けます。これらの法規制を遵守することは事業活動に負担をともない、また遵守にともない費用が発生する可能性があります。さらにこれらの法規制は、継続的に変更されるとともに管轄毎に異なるものとなる可能性があり、その遵守や事業遂行にかかる費用が増加する可能性があります。このような変更が、消費者にとっての当社製品の魅力の低下、新製品の導入の遅延、あるいは当社グループの事業遂行の変更や制約に結びつく可能性があります。
当社グループは、IoT製品の製造開発を当社又は提携先が製造拠点を有する中国、又は別の国・地域で行なっており、これらの国・地域おける法規制の変更、労働法、労働政策の変更は、当社製品の製造と出荷の中断、対象地域における人件費の急激な上昇、又は熟練従業員の不足を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
さらに、当社グループ、従業員、提携先、第三者サプライヤーが法規制に違反すると、当社が罰金、刑罰、法的制裁の対象となり、また、当社グループの事業遂行への制約や評判への悪影響につながる可能性があります。加えて、企業の社会的責任や調達活動に対し、全世界的に規制当局や消費者の注目が高まっており、また、これらの事項に対する情報開示の法的規制が強化されております。「ポケトーク」等、今後発売されることとなるIoT製品の製造には多くの部品や材料を使用しており、それらの部品や材料の供給を第三者サプライヤーに依存しているものの、当社は、第三者サプライヤーの調達活動や雇用環境を直接的には管理していないため、これらの領域における規制の強化もしくは消費者の関心の高まりによって、当社グループの法規制の遵守にかかる費用の増加および費用の増加により業績に影響を及ぼす可能性があります。
これら各国の規制への未遵守又は消費者への関心の高まりに対して当社グループが適切に対処していないとみなされた場合には、それが法的に求められているか否かにかかわらず、当社の評判、業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。
(3)最近5事業年度の業績の変動要因について
当社グループの最近5事業年度の業績は、売上高、経常損益並びに当期純損益に変動が生じております。各事業年度の損益の主な変動要因は、以下の通りです。
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2019年3月期 (連結) |
2018年9月に新型のAI通訳機「ポケトーク W」を発売しました。発売以降雑誌やテレビなど多数のメディアに取り上げられ評判も好調に推移し、売上が拡大しました。販売費及び一般管理費は「ポケトーク」ブランドを通訳機のデファクトスタンダードとするための先行投資として、電車・タクシー等の交通広告やTVCM、テレビショッピングを始めとする広告宣伝費を大幅増額したこと等が結果として売上の伸びを上回ったことにより営業利益、経常利益、当期純利益において前期実績を下回りました。 |
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2020年3月期 (連結) |
2019年12月に新型「ポケトーク S」を発売しました。カメラ翻訳などの新機能を追加した本製品は国内外での認知も高まり、売上が拡大しました。パソコンソフトは「平成」から「令和」へ改元されたことで年賀状ソフトが好調に推移し、創業以来過去最高となる売上高となりました。しかしながら「ポケトーク W」の自社オンラインショップ専売に伴う返品調整引当金の計上や、販促費等の増加により、営業利益、経常利益、当期純利益は前期実績を下回りました。 |
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2021年3月期 (連結) |
新型コロナウイルスの感染拡大の影響により「ポケトーク」の海外旅行者やインバウンド向けの需要が減少し、売上も大きく影響を受けました。「ポケトーク」は語学学習への訴求へ切り替えると共に「ミーティングオウル」やパソコンソフト等のテレワーク関連製品の取扱を早急に拡充することで事業多角化を強く押し進め、営業利益は前期実績を上回りました。また、中国の持分法適用関連会社による投資損失が発生し、経常利益、当期純利益は前期実績を下回りました。 |
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2022年3月期 (連結) |
新型コロナウイルス感染拡大の影響長期化により、国境をまたぐ人の往来が回復せず、日本におけるAI通訳機「ポケトーク」の需要が停滞し当社業績は大きな影響を受けました。当該影響長期化、PC出荷台数など関連市場の下落、前期テレワーク特需の反動減の影響により、家電量販店チャネル及び自社オンラインショップチャネルの業績が大きな影響を受けました。結果売上高が前期実績を下回りました。製品評価損や投資有価証券の減損なども行なったことにより、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しました。 |
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2023年3月期 (連結) |
新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化する中ですが、各種制限の段階的な緩和、今後の更なる需要回復への期待が高まり、AI通信機「ポケトーク」の販売数量が増加しました。また、当社主力のソフトウェア事業以外に市場開拓をした「360度webカメラ」「AutoMemo」も売上高を順調に伸長しております。売上高の増加および既存のコスト最適化を図りましたが、今後の景気回復を見据えて人件費および広告宣伝費は投資を行ったことで、営業損失、経常損失、当期純損失を計上しました。 |
(4)特定の取引先等への依存について
特定の業務委託先への依存について
当社グループは、開発業務、生産及び物流業務、顧客サポート業務等について、特定の第三者に委託しております。管理方法が間接的であることから、コスト管理が十分に行なえず委託業務に係る費用が上昇する可能性や、現状の契約関係を維持できなくなった場合には、当社グループの事業運営や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、委託業務の進捗管理、品質管理、コスト管理等の業務管理を徹底することで費用の管理やサービス内容の維持に努めており、既存の業務委託先との契約関係は今後も維持できると考えております。
a.開発業務の他社への依存について
当社グループ製品のプログラム開発及び「ポケトーク」を含むIoT製品の製造開発は、他社の開発力に依存している部分があります。当社グループでは、開発期間が短く、かつ、高い品質を確保できる開発委託先を選定しておりますが、これらの要求を満たすことのできる開発委託先は限定されております。また、各開発委託先により技術的な得意領域が異なっており、これをうまく組合せることにより製品化することも重要です。現状のような開発委託先の確保や組合せができなかった場合には、製品開発体制や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、開発委託先との関係強化に努めつつ、当社グループの要求を満たすことのできる新たな開発委託先の開拓、選定、確保に努めております。
b.生産及び物流業務の他社への依存について
当社グループの生産及び物流業務は、開発や年間の生産スケジュールとかかるコスト等のバランスを鑑みて、それぞれに最適と思われる他社に委託しております。当該業務の委託先の切替えは可能と考えておりますが、切替えには一定の期間とコストを要するため、現在の委託先が受託しきれないほどの急激な委託業務の追加が発生し代替先の確保が図れなかった場合には、当社グループの業務運営や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、委託業務の進捗管理を徹底することで、急激な委託業務の追加にも対応できる体制を確保しております。引き続き関係強化に努めつつ、当社グループの要求を満たすことのできる新たな委託先の開拓、選定、確保と育成準備に取り組んでおります。
c.顧客サポート業務の他社への依存について
当社グループでは、顧客サポートサービスとして、製品の使用方法や不具合に関する問合せを専用ダイヤルによる電話及び電子メールで受け付けております。本業務の一部は外部へ委託していることから、切替えには一定の期間とコストを要します。また、現在の委託先が受託しきれないほどの急激な委託業務の追加が発生し代替先の確保が図れなかった場合には、当社グループの業務運営や業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、委託業務の進捗管理を徹底することで、急激な委託業務の追加にも対応できる体制を確保しております。引き続き関係強化に努めつつ、当該業務の委託先の切替えができるよう準備を整えております。
(5)返品及び在庫について
当社グループは、契約書上に定める一定範囲において、家電量販店をはじめとする各小売店、流通代理店等より、一定の条件で当社グループ製品の返品を受け入れております。そのため、当社グループでは返品されると見込まれる製品について売上高及び売上原価相当額を認識せず、返金負債及び返品資産を計上しております。家電量販店等の在庫水準の方針転換等により当初の見積もりを超える返品を受け入れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、実売状況の把握や適正出荷に努めており、現在返品は低水準を維持しております。また、技術革新やバージョンアップ等により製品が陳腐化した場合には、大量の返品並びに製品評価損、製品廃棄損が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループでは、返品された製品を含む自社製品の在庫について、適正水準の維持に努めております。
(6)知的財産権について
① 第三者の権利使用について
当社グループがすべての著作権を保有している製品以外に、プログラム(製品内で使用するエンジンを含みます)、キャラクター等の全部又は一部について、第三者からライセンスを受けた製品があります。
通常ライセンス契約や販売契約には有効期限があるため、契約期間終了後においても引き続きライセンスや販売権を付与される保証はありません。また、当該契約の更新時において、ロイヤリティーが増加すること等の理由により当社グループ自らの判断で当該契約の更新を行なわない場合もあります。このような場合には、当該契約を前提としていた開発計画や販売計画が変更又は中止となる可能性があり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。なお、当社グループではライセンスの取得に際し、ロイヤリティーを販売数量に応じて支払う完全従量料金化を推進しておりますが、最低保証料の名目で一定金額のロイヤリティーを販売に先立って支払う場合があります。このような場合には、ロイヤリティーの支払い時に当該金額を前渡金として資産計上し、見込販売数量に基づき償却しております。従って、見込販売数量と実際の販売数量との間に大幅な差異が生じた場合には、追加償却による損失が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、ライセンス契約や販売契約を締結するに際し、ロイヤリティーや販売数量、独占・非独占の区別だけでなく、契約期間についても重要な契約条件と捉え契約締結交渉を行なっております。また、当社は、契約締結後もライセンス契約においては、ロイヤリティーの算定が契約に準拠して適切に算定され、支払われていること、また適切なロイヤリティー報告を妨げ得る事象(契約書の不備、社内の管理体制の不備など)がないこと等を、販売契約においては、リベート、特別値引き、在庫管理、返品などが契約条件を遵守した形で実施されていること等を随時確認しております。
② 知的財産権の確保について
当社グループが販売する製品の名称につきましては、その主力製品のほとんどについて商標登録を行なっております。他社製品との識別性を高めること、広告宣伝などのマーケティング施策の有効性を高めるという観点から商標権の重要性は非常に高いと認識しております。そのため、商標登録にあたっては、製品化の段階でブランド部門の意見も踏まえて複数の製品名称候補を出し、商標登録可能性を確認の上、製品名称として決定するというプロセスを通しています。商標登録後は、社外のシステムを利用し、登録した商標権の存続期間、地理的な範囲、指定商品・役務の区分等を適切に管理しており、登録商標の利用状況を定期的に見直し、商標権の適切な利用管理に努めております。
また、IoT製品に関しては製品の設計、開発段階から弁理士等の知的財産権に関する専門家の監修を受けブレスト会議を通じて特許、実用新案、意匠権の出願検討及び出願が必要となった場合には、その出願手続を行なっています。
これ以外の技術やビジネスモデルについても、特許権、実用新案権、商標権、意匠権、著作権等での保護が必要であり、それらの対象となる可能性があるものについては取得を目指しておりますが、必ずしもかかる権利を取得できる保証はありません。当社グループの技術、ノウハウ等が特許権等として保護されず他社に先んじられた場合には、製品の開発や販売に支障が生じ、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
③ 他者の知的財産権の侵害について
当社グループでは、製品名称については商標調査、製品の機能やデザイン等については特許・意匠調査を、顧問弁護士・弁理士など専門家の助言を得ながら実施し、他者の権利侵害とならないようチェックする体制を敷いております。現在において当社グループ製品による第三者の知的財産権の侵害は存在していないと認識しておりますが、今後も知的財産権の侵害を理由とする訴訟やクレームが提起されないという保証はなく、かかる事態が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下並びに製品の販売中止等により、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(7)関連法規制について
当社グループは、日本及び諸外国・地域の規制に従って事業を行なっています。当社グループが適用を受けうる法規制には、商取引、独占禁止、知的財産権、製造物責任、環境保護、消費者保護、労使関係、金融取引、内部統制及び事業社への課税に関する法規制、電気通信事業、電波、電気製品の安全性に関する法規制、犯罪による収益の移転防止に関する法規制、国の安全保障に関する法規制、及び輸出入に関する法規制等があります。当社では、法務部主導で各種法令及び法令に基づくガイドラインの改正のモニタリングを外部専門家の協力を得ながら定期的に行なっております。しかしながら、全ての法令及びガイドラインの改正を追い、全ての法令違反行為を未然に防ぐことは困難な場合があります。例えば、より厳格な法規制が導入されたり、当局の法解釈が従来よりも厳しくなったりすることにより、技術的観点や経済的観点等から当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、事業継続が困難と判断される場合には、当社グループの事業は制限を受けることになります。また、これらの法規制等を遵守するために当社グループの費用が増加する可能性があります。
さらに、当社グループは、販売方法の一つとして、インターネットを通じた消費者に対する直接販売を行なっております。それに伴い「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、「消費者契約法」、「特定商取引に関する法律」、「電子消費者契約及び電子承諾通知に関する民法の特例に関する法律」及び「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の各種法令や監督官庁の指針、ガイドライン等による規制を受けております。こうした法令等の制定や改正、新たなガイドラインや自主的ルールの策定又はそれらの改定等により、当社グループの事業が新たな制約を受け、又は既存の規制が強化された場合、当社グループがこれらの法規制に従うことが困難となり、当社グループの事業、経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
加えて、当社グループが、これら法規制等に違反したものと当局が発見または判断した場合には、当社グループが、行政指導、公表・課徴金等の行政処分、行政罰または損害賠償の対象となり、また当社グループの社会的評価に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社では、年に1回行うコンプライアンス研修で関連法規制等に関する教育、テストを全従業員対象に実施しています。またテスト以外には、法務部門が主催する弁護士による関連法規の勉強会を随時行なっております。
さらに、新たな業務フローを行う場合は、事前に弁護士を始めとする専門家や官公庁窓口に相談し、法規制等の違反がないよう努めています。このような施策により、従業員の法令違反や社会規範に違反した行為等の発生可能性を低減するよう努めています。
(8)個人情報保護について
① サービスの提供に伴う個人情報漏洩の危険性について
当社グループは、サービスの提供にあたり会員情報等の個人情報やその他の機密情報を取得し、利用しています。当社の個人情報の取り扱いについては、個人情報責任者を任命し、個人情報保護方針、個人情報保護規程及びその他細則を制定し、個人情報の取り扱いに関する業務フローを極めて厳格に管理しております。日本においては、令和2年度個人情報保護法の改正に対応するために、当社グループが取得保持している個人情報の内容を改めて精査し、遵法体制を整え全社横断的にセキュリティ委員会を設置し、個人情報のみならず、その他の機密情報を含めた情報管理全体において、従業員を対象として社内教育を充実させ、社内の意識を高めるよう努めております。特に個人情報の取り扱いが多い自社webサイトシステム、及び関連部署を中心として、セキュリティ対策を強化しており、第三者機関による審査を受け、「ISO27001」(注)の認証を受けております。しかしながら、個人情報や機密情報の流出等の重大なトラブルが発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。なお、平成30年5月施行のGDPR(EU一般データ保護規則)を始めとする適用される諸外国の個人情報保護法制について、必要な対応をしています。また、米国では、2021年8月に「ポケトーク」において、米国HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)への準拠を宣言しています。
(注) 「ISO27001」は、個人情報を含む情報資産全体を保護し、利害関係者の信頼を得るセキュリティ体制の確保を目的とする第三者適合性評価制度の基準となる規格です。
② 特定の業務委託先における機密情報漏洩・個人情報漏洩の危険性について
当社グループでは、機密情報を取扱う業務については、信頼のおける業務委託先を選定したうえで、秘密保持契約を締結しておりますが、情報管理の徹底にもかかわらず、万一、業務委託先において機密情報の漏洩や不正使用等が発生した場合には、信用の失墜によって当社グループの事業運営や業績に影響を与える可能性があります。また、顧客サポートや商品発送業務等、ユーザー情報(個人情報)を業務委託先に預託して運営する業務については、原則としてプライバシーマーク認証を受けた業務委託先を選定したうえで、定期的に当社グループにてチェックシートを用いて業務委託先のセキュリティ監査を実施するなど個人情報が漏洩しないような厳重な体制をとっております。ただし情報管理の徹底にもかかわらず、万一、業務委託先において個人情報の漏洩が発生した場合には、当社グループへの損害賠償請求や信用の低下等により、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
(9)サイバーセキュリティについて
当社は、当社が販売するIoT製品を通じて、当社製品の品質向上、顧客の動向分析を目的として、位置情報・使用履歴等の重要なユーザー情報を取得しております。当社グループでは、安全に安心して利用できるサービスをユーザーに提供するため、中長期的な視点で全社を挙げて情報セキュリティの向上に取り組んでいます。しかしながら、これらの取り組みが及ばず、業務上の人為的ミスや故意による不法行為、災害等によるシステム障害、マルウェア感染や標的型攻撃等のサイバー攻撃、システムや製品等の脆弱性等により、情報漏洩、データの破壊や改ざん、サービスの停止等の被害等が発生した場合、当社グループの業績に影響を与えるだけでなく、当社グループの信用失墜につながる可能性があります。
当社グループでは、日々高度化するサイバー攻撃等の脅威に備え、必要な対策を取るべく必要十分な費用の確保に努めています。しかしながら、想定以上にサイバー攻撃等の脅威が発生した場合には追加費用が発生し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(10)管理体制について
① 内部管理体制について
当社グループは、取締役及び監査役計11名、従業員157名(2023年3月末日現在。うち7名は臨時従業員となります)の組織であり、管理体制も現状の組織規模に応じたものとなっておりますが、人員の確保及び育成並びに管理体制の強化が順調に進まなかった場合は、適切な組織対応ができず、業務に支障をきたす可能性があります。当社グループは、今後の事業拡大と業務量の増加に備え、人員の増強と管理体制の一層の増強を図る方針であります。
② 人材の確保について
当社グループの競争力は、製品の企画及びマーケティングに依存しております。今後とも継続的な成長を維持するためには、優秀な企画要員及びマーケティング要員の確保並びに育成が重要となります。しかしながら、このような人材の確保は、労働市場における人材そのものの希少価値が高いため困難な状況にあり、また、比較的小規模な組織であるために人材育成体制が十分ではない可能性があります。さらに、市場の早い変化に対して人材確保と育成強化が遅れた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。当社グループは、今後とも人材確保及び育成を経営における重要課題の一つと捉えて努力して参ります。
③ 情報セキュリティに係るリスクについて
当社グループは、業務遂行上、顧客に関する様々な機密情報を取り扱う機会が多いことから、当社グループのサービス提供に必要なコンピューターネットワークを始めとする情報システムのセキュリティ強化を推進しております。しかしながら、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、コンピューターウイルス、自然災害、急激なネットワークアクセスの集中等により、重要データの漏洩・棄損、コンピュータープログラムの不正改ざん等の損害が発生する可能性があります。また、想定を超える事態が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社グループではそのような事態を防ぐべく、社内のシステム部門を中心にISMSに準拠した情報セキュリティシステムの構築やサーバーのクラウド移行による集中アクセスの負荷分散など情報管理体制の強化に努めております。
(11)自然災害、感染症等について
当社が事業活動を展開する地域において、想定外の大規模地震・津波・洪水等の自然災害や火災等の事故災害、感染症の流行、テロ、戦争その他の要因による社会的混乱等が発生したことにより、当社グループや主要取引先の事業活動の停止または事業継続に支障をきたす事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が長期化しており、家電量販店等、小売店での当社グループ製品の販売に悪影響を及ぼしております。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する水際対策が撤廃され、2023年5月には感染症法上の分類が5類に変更されることで一定の収束は見込まれております。しかしながら、当該緩和により感染がさらに拡大、長期化し、世界経済・当社の事業活動が停滞する場合、また政府の要請により当社の事業活動が制限される事態においては、今後も、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。
(12)環境・社会に関するリスクについて
当社グループは、持続性の観点から環境・社会に関するグローバルな課題への対応と解決を経営上の重要課題の一つとして位置付け、サステナビリティ基本方針の策定とともにサステナビリティ上の重要課題の特定を進めています。具体的な運営についてはサステナビリティ推進に関する委員会を設置し、サステナビリティに関する方針の策定・見直しなどの取り組みを推進しております。しかしながら、こうした取組みが不十分である、もしくは不十分とみなされた場合、社会的評価の低下等につながり、将来の当社グループの財政状態や業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高が103億47百万円(前期比0.4%増)となりました。「POCKETALK(ポケトーク)」や「オートメモ」などハードウェア製品の販売が好調に推移したものの、PCソフト市場の下落の影響で売上高は前期と同水準で推移しました。
販売費及び一般管理費につきましては、テレワーク体制の定着に伴うオフィス面積縮小による地代家賃の減少や業務委託費の削減などがあった一方で、今後の事業拡大に対応するための人件費の増加、「ポケトーク」のTVCMの実施やデジタルマーケティングに注力した事による広告宣伝費の増加等がありました。結果、販売費及び一般管理費は75億48百万円(前期比9.6%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損失は25億74百万円(前期営業損失22億59百万円)となり、経常損失は25億37百万円(前期経常損失21億28百万円)となりました。非支配株主に帰属する当期純損失が2億23百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は23億3百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失35億2百万円)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し3億42百万円減少し、196億39百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加10億33百万円、商品及び製品の減少9億1百万円、前渡金の減少2億29百万円、売掛金の減少1億85百万円によるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較し2億85百万円減少し97億36百万円となりました。主な要因は短期借入金の減少10億円、長期借入金(1年内返済予定を含む)の増加3億8百万円、その他流動負債の増加3億46百万円によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較し56百万円減少し99億3百万円となりました。主な要因は利益剰余金の減少23億3百万円、連結子会社の第三者割当増資等による資本剰余金の増加18億23百万円、非支配株主持分の増加2億62百万円、新株予約権の増加58百万円によるものであります。
② 連結キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億33百万円増加し、64億84百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は、3億30百万円の支出であったのに対して、当連結会計年度は、1億70百万円の収入となりました。主な要因は、棚卸資産の減少による収入が8億41百万円増加したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が19億38百万円減少し、9億99百万円の支出となりました。主な要因は、投資有価証券の取得による支出が14億55百万円減少したこと、ソフトウエアの取得による支出が3億9百万円減少したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が22億10百万円減少し、16億9百万円の収入となりました。主な要因は、短期借入金の純増加が33億円減少したことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、生産活動を行なっておりませんので、生産実績は記載しておりません。
b.受注実績
当社グループは、受注生産を行なっておりませんので、受注状況は記載しておりません。
c.販売実績
当社グループの事業は、単一セグメントであるため、販売実績については製品分野別に記載しております。当連結会計年度における製品分野別の販売実績及び総販売実績は次の通りであります。
|
製品分野 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
ポケトーク |
2,462,605 |
17.9 |
|
セキュリティ |
806,153 |
3.4 |
|
ハガキ |
1,399,549 |
1.1 |
|
ソフトその他 |
3,886,368 |
△9.4 |
|
ハードその他 |
1,793,003 |
1.6 |
|
合計 |
10,347,679 |
0.4 |
(注)1 販売チャネル別の状況
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販売チャネル |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
|
オンラインショップ |
5,254,489 |
5.8 |
|
家電量販店 |
1,637,282 |
△23.7 |
|
法人営業 |
2,431,337 |
△1.3 |
|
その他 |
1,024,570 |
40.1 |
|
合計 |
10,347,679 |
0.4 |
2 主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が、100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
この連結財務諸表の作成に当たり、経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。
これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表作成のための重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響が長期化する中で、各種制限の段階的な緩和により、経済活動は緩やかに持ち直しの動きが見られました。2022年10月11日より入国規制が完全撤廃されて以降、訪日外客数は増加が続いております。一方で、出国日本人数の戻りは芳しくなく、アウトバウンド需要の回復は依然として緩やかな状態が続いております。2023年4月29日に水際対策が撤廃され、2023年5月8日にCOVID-19の感染症法上の分類が5類へ移行された影響により、今後インバウンド・アウトバウンド需要の回復がさらに加速することが期待されます。諸外国においても、経済活動の規制緩和や出入国の規制撤廃の動きが進み国境をまたぐ人の往来の回復はCOVID-19以前の水準にむけて進んでいます。一方で、ウクライナ情勢の長期化や急速な為替変動に伴う原材料価格の上昇や金融資本市場の変動等が続き、依然として先行き不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境は、2022年4月~2023年3月におけるパソコン出荷台数は前年比96.4%で推移しました(2023年4月、JEITA調べ)。また観光目的の国際的な移動の制約も依然続いており、2022年4月~2023年3月の訪日外客数は8,521,662人(COVID-19 影響前の2019年比69.3%減、前期比2,940.0%増)となり、出国日本人数は4,254,152人(COVID-19 影響前の2019年比76.5%減、前期比606.2%増)となりました(2023年4月、日本政府観光局調べをもとに当社作成)。
こうした状況の中、当社グループのAI通訳機「POCKETALK(ポケトーク)」の国内の販売台数は、国境をまたぐ人の往来に係る規制が撤廃されたことによるインバウンド需要の拡大や、今後の更なるインバウンド・アウトバウンド需要回復への期待もあり、家電量販店チャネルを中心に前期比で増加しました。また、海外市場においても、特に米国において教育機関、医療機関、公共機関、そのほか企業等における非ネイティブへの対応ニーズといった内需主導によって「ポケトーク」事業の成長が引き続き牽引され、当連結会計年度においては、米国における売上高は昨対比49.2%増となりました。
「ポケトーク」ブランドの新製品として、2022年4月に「ポケトークアプリ(iOS 版/ Android 版)」を発表しました。2022年9月には、「ポケトークアプリ」を、世界26の国と地域において新たに販売開始いたしました。また、2023年3月の新製品発表会では、法人向けのビジネスシリーズ「ポケトーク for BUSINESS」の「同時通訳」をOpenAI社の技術を活用して、発表・販売開始しました。
そのほかのIoT製品については、2022年4月に360度webカメラの自社新ブランドとして、「KAIGIO CAM360(カイギオ カム360)」を発売しました。これまで取り扱っていた360度webカメラ「Meeting Owl Pro(ミーティングオウル プロ)」と合わせ、360度webカメラ市場の開拓と拡大を進め、360度webカメラシリーズの売上高は前期を上回りました。
また、AIにより音声を自動的に文字起こしするボイスレコーダー「AutoMemo S(オートメモ エス)」の販売が好調に推移し、「オートメモ」シリーズの売上高は前期比で増加しました。「オートメモ」の端末購入者から、サブスクリプション型文字起こしサービスへの加入率が高く、累計アカウント数は6万5千人(2023年3月末時点)を突破しました。「オートメモ」端末販売による収益と合わせて、サブスクリプション型サービスから得られる継続的収益の基盤も拡大してきています。
ソフトウェアでは、当社主力ソフトウェア製品であるセキュリティ、「いきなりPDF」、年賀状ソフトの売上が好調に推移し前期売上高を上回りました。しかし、パソコン出荷台数が減少するなどパソコンソフトを取り巻く市場が下落している影響によりソフトウェア全体の売上高は前期比で減少しました。
これらの結果、当連結会計年度の売上高は103億47百万円(前期比0.4%増)、売上総利益49億73百万円(前期比7.4%増)となりました。
販売費及び一般管理費につきましては、テレワーク体制の定着に伴うオフィス面積縮小による地代家賃の減少や業務委託費の削減などがあった一方で、今後の事業拡大に対応するための人件費の増加、「ポケトーク」のTVCMの実施やデジタルマーケティングに注力した事による広告宣伝費の増加等がありました。結果、販売費及び一般管理費は75億48百万円(前期比9.6%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損失は25億74百万円(前期営業損失22億59百万円)となり、経常損失は25億37百万円(前期経常損失21億28百万円)となりました。非支配株主に帰属する当期純損失が2億23百万円となり、親会社株主に帰属する当期純損失は23億3百万円(前期親会社株主に帰属する当期純損失35億2百万円)となりました。
当社グループはIoT製品、ソフトウェアの企画・開発・販売及びその他のサービス事業の単一セグメントでありますが、各販売チャネルの営業概況は以下の通りです。
なお、当連結会計年度より、販売チャネルの区分を変更しております。従来「家電量販店」に区分しておりました他社オンラインショップ販売を「自社オンラインショップ」に追加し、名称を「オンラインショップ」に変更しております。このため、前年同期との比較については、変更後の数値に組み替えて比較を行なっています。
ア)オンラインショップ
当チャネルでは、当社直販サイト及びAmazon等の国内ウェブサイトにおけるオンラインショップにおいて、「ポケトーク」や「オートメモ」をはじめとするIoT製品、年賀状ソフトやセキュリティソフトなどのソフトウェア製品等の販売を行なっております。
当連結会計年度はハードウェア製品の販売が好調に推移しました。「オートメモ」のほか、360度webカメラシリーズ(「カイギオ カム360」、「ミーティングオウル プロ」)が牽引し、売上高が前期よりも増加しました。一方で、ソフトウェア製品では、年賀状ソフトの自動継続版、「いきなりPDF」の販売が好調に推移したものの、PCソフト市場下落の影響で売上高が前期よりも減少しました。
この結果、当チャネルの売上高は52億54百万円(前期比5.8%増)となりました。
イ)家電量販店
当チャネルでは、主に全国の家電量販店において、個人ユーザー向けのIoT製品及びパソコンソフト等の販売を行なっております。
当連結会計年度は「ポケトーク」、「オートメモ」、「カイギオ カム360」などの主力ハードウェア製品の販売が好調に推移し売上高は前期比で増加しました。一方で、PC出荷台数などの市場下落の影響が大きく、年賀状ソフトを含むソフトウェア製品の販売は前期に比べ減少しました。
この結果、当チャネルの売上高は16億37百万円(前期比23.7%減)となりました。
ウ)法人営業
当チャネルでは、法人向け「ポケトーク」を始めとするIoT製品並びにweb会議関連のハードウェアの販売・レンタル提供や、パソコンソフト・スマートフォンアプリの使い放題サービス等の提供を行なっております。当期より、スマート留守電を中心とするスマートフォンアプリケーションの月額販売にも注力しております。
当連結会計年度は360度webカメラシリーズ(「カイギオ カム360」、「ミーティングオウル プロ」)や「オートメモ」といったハードウェア製品の販売が好調に推移しました。一方、ソフトウェア製品では「いきなりPDF」の販売が好調に推移したものの、アプリ使い放題サービスの縮小等の影響が上回り売上は前期に比べ減少しました。
この結果、当チャネルの売上高は24億31百万円(前期比1.3%減)となりました。
エ)その他
海外では米国や欧州のAmazon及び法人直接販売取引を中心に「ポケトーク」の販売が拡大しております。特に米国では、2021年8月に「ポケトーク」の米国HIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)への準拠を宣言して以降、セキュリティの高さに関する認知が高まっており大型の法人取引につながっています。また、2020年の米国Newsweek誌「パンデミックにおけるGood company 50社」に選出されて以降「ポケトーク」自体のブランド認知が高まっており、Amazonをはじめとする個人・法人のオーガニックな販売増につながっています。当連結会計年度における米国での販売は前期を上回り、売上高9億8百万円(前期比49.2%増)となりました。
この結果、「その他」の売上高は10億24百万円(前期比40.1%増)となりました。
(財政状態)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較し3億42百万円減少し、196億39百万円となりました。主な要因は現金及び預金の増加10億33百万円、商品及び製品の減少9億1百万円、前渡金の減少2億29百万円、売掛金の減少1億85百万円によるものです。
負債は、前連結会計年度末と比較し2億85百万円減少し97億36百万円となりました。主な要因は短期借入金の減少10億円、長期借入金(1年内返済予定を含む)の増加3億8百万円、その他流動負債の増加3億46百万円によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比較し56百万円減少し99億3百万円となりました。主な要因は利益剰余金の減少23億3百万円、連結子会社の第三者割当増資等による資本剰余金の増加18億23百万円、非支配株主持分の増加2億62百万円、新株予約権の増加58百万円によるものであります。
(連結キャッシュ・フローの状況)
(単位:千円)
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通期 |
増減 |
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2022年3月期 |
2023年3月期 |
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営業活動によるキャッシュ・フロー |
△330,875 |
170,943 |
501,819 |
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投資活動によるキャッシュ・フロー |
△2,938,066 |
△999,341 |
1,938,725 |
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財務活動によるキャッシュ・フロー |
3,820,313 |
1,609,350 |
△2,210,963 |
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現金及び現金同等物期末残高 |
5,451,092 |
6,484,572 |
1,033,480 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ10億33百万円増加し、64億84百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度は、3億30百万円の支出であったのに対して、当連結会計年度は、1億70百万円の収入となりました。
主な要因は、棚卸資産の減少による収入が8億41百万円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ支出が19億38百万円減少し、9億99百万円の支出となりました。
主な要因は、投資有価証券の取得による支出が14億55百万円減少したこと、ソフトウエアの取得による支出が3億9百万円減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ収入が22億10百万円減少し、16億9百万円の収入となりました。
主な要因は、短期借入金の純増加が33億円減少したことによるものであります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社の資本の財源及び資金の流動性については、主として自己資金によって充当し、必要に応じて外部から資金調達を行なっております。
当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は72億49百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は64億84百万円となっております。
経営の安定性を示す自己資本比率は、当連結会計年度において46.9%(前連結会計年度比1.1ポイント減)となっており、財務の安全性が保持されております。
今後も、当社のさらなる成長と安定的な財務体質の構築を実現し、喜びと感動を広げる製品を世界中の人々へ提供することで利益の最大化につとめて参ります。
該当事項はありません。
当社グループでは、パソコンソフトウェア、スマートフォン・タブレット等のデバイスに対応したソフトウェア及び、IoT技術を活用するハードウェアの新規開発をしております。
研究開発体制につきましては、当社グループが開発・販売する製品分野は多岐に渡り、それぞれのプログラマーが得意とする分野や開発言語が異なることから、プログラマーを社内に大量に直接雇用するのではなく、複数の外部パートナーと提携することにより、案件ごとに柔軟な開発体制を構築することを基本としております。
当連結会計年度は研究開発費として
なお、当社グループは、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。