第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1)経営方針

 当社グループを取り巻く環境は、地球規模の環境問題に端を発した脱炭素・カーボンニュートラルの進展、デジタル革新(DX)等による産業構造変化、また自動車業界ではCASEの進展含め、100年に一度の大変革期を迎えており、これまでに経験したことのないスピードで、大きく、多様に変化してきております。

 そのような経営環境の中、当社グループでは、社是である「信頼の大豊」をゆるぎない価値観・基盤として、トライボロジーを基盤とした保有技術と、絶え間ないイノベーションにより、持続可能な社会の実現とグループの持続的成長に向け、Visionと中期経営計画を掲げ、事業活動を推進してまいります。

 

■「VISION2025」: 地球環境とミライの社会に貢献

・トライボロジーをコアに、保有技術の深化とイノベーションをもってOnly one製品でグローバルNo.1を目指す

 - 地球環境に貢献するイノベーション

 - 激動の時代に際しチャレンジし続ける人財

 - グローバルに供給する革新的ものづくり

 

■「中期経営計画」

・変わろう大豊 未来のために ~ 信頼され続ける企業として ~

 - 「既存技術の深化」と「新たな価値の探索」によりお客様の期待を超える

 - たくましい人財とグループの力で強靭な経営基盤を確立する

 

[深化]既存分野の拡大

 トライボロジーを基盤とする保有技術を極め、既存商品の稼ぐ力の向上と、更なるシェアアップを図ってまいります。世界最大の自動車市場である中国では、更なるビジネス拡大と地位確立を目指し、新たな環境規制に対応する新製品の投入を推進してまいります。

 

[探索]新たな価値、新製品の創出

 電動化への対応として、HVやPHEV向けパワーコントロールユニットや燃料電池車両向けのアルミダイカスト製品の量産を開始しております。引き続き、当社グループの保有技術とイノベーションにより、脱炭素・カーボンニュートラルへの貢献に向け、自動車の燃費向上や電動化対応製品の開発を推進し、お客様の期待を超える付加価値と新製品の創出を図ってまいります。

 

[基盤]グループの強靭な経営基盤の確立

 取締役と執行役員の役割の明確化、ガバナンス体制の見直し等、透明、公正かつ迅速な意思決定の出来る経営体制の構築を推進すると共に、環境変化に左右されない強靭な収益基盤の確立を進めてまいります。また社員一人ひとりが仕事の質を高め、チャレンジし続ける事の出来る環境づくりや、社員総活躍に向けた施策を進めております。

 

 これらの活動を通じて、今後も当社グループはステークホルダーの皆様に信頼され続ける企業を目指し、多様化する社会課題の解決を図ることで、持続可能な社会に貢献し、更なる成長を実現してまいります。

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは、「VISION2025」達成に向けて、一丸となって、

・自動車業界の構造変化への対応

・中国市場の急成長への対応

・コモディティ化する既存製品の競争力確保

・保有技術を生かした新製品創出

・グループ基盤の強化(内部統制、収益体質)

・カーボンニュートラルに向けた対応

という重点課題に取り組んでまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、事業の成長性と収益性を重視する観点から、売上高および営業利益を経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標として位置付けております。当連結会計年度における連結売上高は105,161百万円となり、2022年7月28日に開示しております連結売上高目標103,000百万円に比べ、2,161百万円(2.1%増)の増収となりました。連結営業利益は694百万円となり、連結営業利益目標1,600百万円に比べ、△906百万円(56.6%減)の減益となりました。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存です。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 サステナビリティの基本的な考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティの基本的な考え方

 当社におけるサステナビリティの基本的な考えは「トライボロジーを基盤とした製品とエンジニアリングをもって社会に貢献する」ことです。これは、従来から定めていた「使命」そのものです。社会動向の変化に応じて経営戦略は時代とともに変化していきますが、企業としての成長や存続そのものが社会に貢献してきたことを今後も続けていくことが、サステナビリティであると考えています。

 

(2)ガバナンス

 2022年2月から、気候関連問題を含む持続可能な社会への貢献に向けた活動を目的として「サステナビリティ委員会」を設置しました。当委員会では社会・環境問題をはじめとする解決すべき重要な課題(マテリアリティ)を特定し、事業を通じた当該課題への取り組みを取締役会に報告しています。原則1回/年以上開催し、構成メンバーは取締役5名(うち社外取締役2名)となっています。

 

(図)ガバナンス体制図

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(図)マテリアリティと主な取り組み

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(3)戦略

 解決すべき重要な課題(マテリアリティ)のうち、将来的な気候変動問題による影響を移行リスク(2℃以下)、物理的リスク(4℃)に分けて分類し、リスクと機会の抽出を行いました。

 また、抽出したリスクと機会についてそれぞれ当社への財務影響の大きさを予測し掲載しています。今後は事業への影響について精度を高めるとともに、それぞれのリスクと機会に対する取り組みを進めてまいります。

 

(図)シナリオ分析

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(4)リスク管理

 気候関連問題によるリスクを含め重要課題(マテリアリティ)を特定し、対応策の検討を行っています。特定方法としては抽出した事象について評価・分析を行い、経営陣による評価のもと、当社のマテリアリティとしています。

 また、特定において、取り組むべきマテリアリティを「社会にとっての重要度」と「大豊にとっての重要度」の2つの観点からプライオリティを決定しています。

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 特定したマテリアリティの例として、地球環境に貢献する製品の開発や脱炭素社会の実現、環境負荷物質の低減による循環型社会への貢献を定めています。

 主な取り組みとして、新製品開発やCO2を始めとした環境負荷物質の低減等を行っています。

 また、物理的リスクに関するものとしては災害対策本部主導のもと、サプライチェーンマネジメントの強靭化を含むBCM体制の強化を推進しています。

 

(5)指標及び目標

 気候関連リスクに対して大きくCO2、廃棄物、水資源などの目標値を定めています。CO2の削減シナリオで、2035年のカーボンニュートラル達成に向けた取り組みを推進しています。2025年に25%削減、2030年に30%削減(2013年比)の削減を目指し、日常改善の実施や工程刷新、エネルギー転換を実施しています。

 

(図)CO2削減シナリオ

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 また、当社における人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針についての戦略、内容、目標及び実績は次のとおりです

 

人材の育成

戦略

・会社の経営理念に基づき、会社の発展と従業員の自己成長のため、創造性と実践力を持った人財の育成を図ることを目的とする。

内容

・入社から定年までの階層別に教育体系を整備し、基礎知識及び業務遂行能力の向上を図る。

・マネージャー層に今より高いマネジメント力を発揮させるために 「マネジメント教育」を実施。職場が進むべき方向性を指し示し、職場の成果最大化を図る。

・現場の専門性を深めるために「スキルアップ制度」を実施。教科書のレベルアップを図り、改善事例やノウハウ集をまとめ、 モノづくりのノウハウを若手に展開する。

目標・実績

[マネジメント教育の受講]目標:100% 実績:100%(199名/199名)

[スキルアップ教育の受講]目標:100% 実績:80%(144名/180名)

 

社内環境整備

戦略

・従業員一人ひとりが「仕事と家庭の両立」「夢や目標を持って仕事に取り組む」等、自分らしく輝き、仕事で成果を出せる働きやすい職場づくりを推進する。また、各自のキャリア(ライフ)プランを主体的に描いた上で、自己研鑽しながらいきいきと活躍してもらうための仕組み、制度を充実させる。

内容

・「ワークライフバランス」に向けて長時間労働(時間外労働)の是正、年次有給休暇の取得推進を図る。

・45、50、55歳の従業員に対し「いきいきキャリアプログラム」を実施。それぞれの年齢のタイミングで必要なセミナーを開催し、定年前から能力、体力、健康、モチベーションの維持向上を図り、再雇用後も適切な業務付与を行い、新しい仕事にもチャレンジし、成果を追及する。

目標・実績

[長時間労働(時間外労働)是正]目標:23H以内/月 実績:25H/月

[年次有給休暇取得推進]目標:15日以上/年 実績:16日/年

[いきいきキャリアプログラムの受講]目標:100% 実績:94.3%(201名/213名)

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

1.特定の得意先への販売依存度

 当社グループは、自動車部品および自動車製造用設備の製造・販売を主な事業としており、国内外の主要な自動車メーカーおよび自動車部品メーカーにOEM製品を中心に販売しております。これらの得意先の中で、トヨタ自動車(株)への販売依存度が最も高く、当期におきましては総販売額に占める割合は29.1%となっています。

 従いまして、顧客企業の販売動向、調達方針の変更、予期しない契約の打ち切り等により、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、欧米や中国等の海外の自動車メーカーへの拡販活動により、特定の得意先への販売依存によるリスクを低減してまいります。

2.為替レートの変動

 当社グループの事業には、全世界における製品の生産と販売が含まれています。各地域における売上、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表作成のために円換算されています。従いまして、換算時の為替レートにより、円換算後の価値が影響を受ける可能性があります。

 一般に、他の通貨に対する円高(特に企業グループの売上の重要部分を占める米ドルに対する円高)は、当企業グループに悪影響を及ぼし、円安は好影響をもたらします。

 また、企業グループが日本で生産し、輸出する事業においては、他の通貨に対する円高は、製品の価格競争力を低下させ、経営成績および財務状況等に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、米ドルに対して円が1円変動した場合、為替レート変動が経常利益に与える影響は年間約30百万円と試算しております。

 当社グループでは、スムーズな現地生産化の促進や、資材の現地調達拡大等を図るとともに、各国での生産コスト低減による収益安定化を推進しておりますが、当社グループの経営成績は為替相場変動により重要な影響を受ける可能性があります。

3.資材価格の変動

 当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品を複数の供給元から調達しております。供給元とは取引基本契約を締結し、安定的な取引を前提としておりますが、市況の変化による価格の高騰や品不足の結果、当社グループの製造原価の上昇を招き、当社グループの業績及び財務状況に悪影響を及ぼす可能性があります。

4.退職給付に係る負債

 当社グループの従業員退職給付費用および債務は、割引率などの数理計算上の前提条件や年金資産の長期期待収益率に基づいて算出されております。従いまして、割引率の低下や年金資産の減少など実際の結果が前提条件と異なる場合は、将来の期間に認識される費用および計上される債務に大きな影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、年金資産の運用にあたり、より安定性の高い資産での運用を継続することにより、リスクを低減してまいります。

5.製品の欠陥に関するリスク

 当社グループは製品の品質の確保・向上に努めておりますが、大規模なリコール等につながる製品の欠陥が発生した場合には、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

6.新型コロナウイルス感染症に関するリスク

 当社グループにおいては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、経営成績への影響が生じております。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響は緩和されつつありますが、翌期以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、感染拡大を防止するため、衛生管理の徹底や時差出勤・テレワーク等の効率的な事業運営を実施しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)業績

 当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスを起因とする経済活動制限が多くの国で緩和される一方、長期化するウクライナ情勢や資源・エネルギー価格の上昇に加え、世界的な金融引き締めによる経済活動の減速懸念、為替の急激な変動など引続き予断を許さない状況が継続しました。

 自動車業界におきましては、一定の生産台数回復があったものの、半導体不足等による生産変動リスクが継続して内在しており、不透明な一面を残しております。

 このような状況の中、当連結会計年度の業績は、自動車生産台数の回復や為替影響により、売上高の増加があったものの、継続する原材料・エネルギー価格の高騰等の厳しい経済環境の影響を受けた結果、連結売上高は、前年度より6,341百万円の増収となる105,161百万円となり、連結営業利益は、414百万円減益の694百万円となりました。

 

a.財政状態

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ604百万円減少し、113,774百万円となりました。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,385百万円減少し、46,688百万円となりました。

 当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ780百万円増加し、67,085百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、連結売上高は105,161百万円となり、前連結会計年度に比べ、6,341百万円(前年度比6.4%増)の増収となりました。利益面では、連結営業利益は694百万円(前年度比37.4%減)、連結経常利益は1,211百万円(前年度比26.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は399百万円(前年度比35.7%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、16,080百万円となり前連結会計年度末より3,535百万円減少(前年度比18.0%減)いたしました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、5,870百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,229百万円減少(前年度比17.3%減)いたしました。営業活動によるキャッシュ・フローの減少要因は、売上債権の増減額による減少1,168百万円によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、5,843百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,117百万円増加(前年度比23.6%増)いたしました。投資活動によるキャッシュ・フローの支出増加要因は、主に有形固定資産の取得による支出の増加1,057百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、4,025百万円となり、前連結会計年度末に比べ293百万円増加(前年度比7.9%増)いたしました。財務活動によるキャッシュ・フローの支出増加要因は、主に長期借入金の返済による支出の増加575百万円、長期借入れによる収入の増加が297百万円によるものであります。

 

 

(3)生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品関連事業

90,982

2.9

自動車製造用設備関連事業

13,301

8.0

合計

104,283

3.5

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 金額算出基礎は、販売価格で計算しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 なお、自動車製造用設備関連事業を除く製品については見込生産を行っております。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

自動車製造用設備関連事業

10,782

△34.6

5,054

△33.2

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

自動車部品関連事業

軸受製品

43,008

1.9

システム製品

17,240

12.5

ダイカスト製品

10,119

7.4

ガスケット製品

16,577

11.4

その他

4,746

4.1

91,692

6.1

自動車製造用設備関連事業

13,294

8.5

その他

175

2.0

合計

105,161

6.4

(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

販売高(百万円)

割合(%)

販売高(百万円)

割合(%)

トヨタ自動車(株)

33,168

33.5

30,605

29.1

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

a.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の選択、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りの不確実性があるため、これらの見積りと異なる結果となる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5経理の状況1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)、(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

① 繰延税金資産

 当社グループは、繰延税金資産について、その回収可能性を考慮して、評価性引当額を計上しております。評価性引当額を計上する際には、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

② 固定資産の減損会計
 当社グループは、固定資産の減損会計を適用しております。減損会計は資産のグルーピング、割引前将来キャッシュ・フローの総額、回収可能価額を当社グループに固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて算出しておりますが、その仮定及び予測に変動が生じた場合、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

③ 製品保証引当金

 北米の当社連結子会社において生産した製品の一部に不具合が発生する恐れがあることから得意先より市場回収処置(リコール)の届出が米国運輸省道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)に行われたことに伴い、対象台数等の現時点で入手可能な情報に基づき、保証費用の発生見込み額として製品保証引当金を計上しております。

 これらの計算には不確実性が含まれているため、予測不能な前提条件の変化等により、実際の保証費用が異なり、結果として製品保証引当金の追加計上又は戻入が必要となる可能性があります。

 

b.財政状態の分析

① 流動資産

 当連結会計年度末における流動資産の残高は58,827百万円であり、前連結会計年度末に比べ548百万円減少しております。現金及び預金の3,296百万円の減少、受取手形及び売掛金の688百万円の増加、仕掛品の567百万円の増加、原材料及び貯蔵品の1,212百万円の増加が主な要因であります。

② 固定資産

 当連結会計年度末における固定資産の残高は54,947百万円であり、前連結会計年度末に比べ56百万円減少しております。機械装置及び運搬具の214百万円の減少、建物及び構築物の353百万円の減少、建設仮勘定の436百万円の増加が主な要因であります。

③ 流動負債

 当連結会計年度末における流動負債の残高は35,669百万円であり、前連結会計年度末に比べ10,512百万円増加しております。1年内返済予定の長期借入金の9,303百万円の増加、支払手形及び買掛金の635百万円の増加が主な要因であります。

④ 固定負債

 当連結会計年度末における固定負債の残高は11,019百万円であり、前連結会計年度末に比べ11,897百万円減少しております。長期借入金の12,091百万円の減少が主な要因であります。

⑤ 純資産

 当連結会計年度末における純資産の残高は67,085百万円であり、前連結会計年度末に比べ780百万円増加しております。為替換算調整勘定の1,560百万円の増加、利益剰余金の197百万円の減少、自己株式の取得による150百万円の減少、その他有価証券評価差額金の216百万円の減少、退職給付に係る調整累計額の176百万円の減少が主な要因であります。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 「業績等の概要」の「(2)キャッシュ・フローの状況」で述べておりますように当社グループの資金状況は、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、16,080百万円となり、前連結会計年度末より3,535百万円減少いたしました。

① 営業活動によるキャッシュ・フロー

 営業活動の結果得られた資金は、5,870百万円となり、前連結会計年度に比べ1,229百万円減少(前年度比17.3%減)いたしました。これは主に、売上債権の増減額による減少1,168百万円によるものです。

② 投資活動によるキャッシュ・フロー

 投資活動の結果使用した資金は、5,843百万円となり、前連結会計年度に比べ1,117百万円増加(前年度比23.6%増)いたしました。これは主に、有形固定資産の取得による支出の増加1,057百万円によるものです。

③ 財務活動によるキャッシュ・フロー

 財務活動の結果使用した資金は、4,025百万円となり、前連結会計年度に比べ293百万円増加(前年度比7.9%増)いたしました。これは主に、長期借入金の返済による支出の増加575百万円、長期借入れによる収入の増加297百万円によるものです。

 

d.経営成績の分析

① 売上高

 当連結会計年度における売上高は、105,161百万円となり、前連結会計年度に比べ6,341百万円増加(前年度比6.4%増)いたしました。これは主として、自動車部品関連事業の売上が増加したことによるものです。

② 営業利益

 当連結会計年度における営業利益は、694百万円となり、前連結会計年度に比べ414百万円減少(前年度比37.4%減)いたしました。

③ 営業外損益

 当連結会計年度における営業外収益は、994百万円となり前連結会計年度に比べ53百万円増加(前年度比5.7%増)いたしました。これは主として、為替差益の増加によるものです。また、営業外費用は、477百万円となり78百万円増加(前年度比19.6%増)いたしました。これは主として、貸倒引当金繰入額の増加によるものです。

④ 経常利益

 当連結会計年度における経常利益は、1,211百万円となり、前述の要因により、前連結会計年度に比べ438百万円減少(前年度比26.6%減)いたしました。

⑤ 特別損益

 当連結会計年度における特別利益は、81百万円となり、前連結会計年度に比べ390百万円減少(前年度比82.7%減)いたしました。これは主として、債務免除益の減少によるものです。また、特別損失は、230百万円となり、647百万円減少(前年度比73.7%減)いたしました。これは主として、製品保証引当金繰入額の減少によるものです。

⑥ 税金等調整前当期純利益

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は、1,061百万円となり、前述の要因により、前連結会計年度に比べ181百万円減少(前年度比14.6%減)いたしました。

⑦ 法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額

 当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税及び法人税等調整額は、504百万円となりました。

⑧ 非支配株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における非支配株主に帰属する当期純利益は、連結子会社における利益の増加などにより、前連結会計年度に比べ、29百万円増加(前年度比23.3%増)して、157百万円となりました。

⑨ 親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、399百万円となり、前連結会計年度に比べ221百万円減少(前年度比35.7%減)しました。1株当たり当期純利益は前連結会計年度の21.42円に対し13.86円となりました。

セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

 

(自動車部品事業)

① 軸受製品では、中国のロックダウン等の影響があったものの、新製品の立ち上げや自動車生産台数の回復により、連結売上高は43,008百万円(前期比803百万円増、1.9%増)となりました。

② システム製品では、ターボ製品の新製品立ち上げやバキュームポンプ製品を中心とした製品の生産が回復し、連結売上高は17,240百万円(前期比1,916百万円増、12.5%増)となりました。

③ ダイカスト製品では、電動化対応製品の新規立ち上げ・増産等により連結売上高は10,119百万円(前期比699百万円増、7.4%増)となりました。

④ ガスケット製品では、市場の回復に伴い日本、北米、アジアでの生産増により連結売上高は16,577百万円(前期比1,697百万円増、11.4%増)となりました。

⑤ その他製品では、連結売上高4,746百万円(前年度比185百万円増、4.1%増)となりました。

 

(自動車製造用設備事業)

 自動車製造用設備事業では、生産減からの回復に伴い、試作及び設備事業が増加し、連結売上高は13,294百万円(前年度比1,036百万円増、8.5%増)となりました。

 

e.資本の財源及び資金の流動性

① 資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、製品製造のための材料、部品の購入及び設備投資によるものであります。また、長期借入金返済のための資金需要も大きくなっております。

② 財務政策

 当社グループは、設備投資は継続して実施するものの、財務の健全性を保つために、投資金額の抑制を図り資金負担を軽減するとともに、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出すことによって、将来必要な運転資金及び設備資金を調達することを考えております。

 

f.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営に影響を与える大きな要因としては、市場動向等があります。

 自動車産業は、100年に1度ともいわれる大変革期を迎えており、今後更なるグローバル競争が熾烈になると予想されます。このような厳しい環境ではありますが、すべり軸受を中心とした既存ビジネスを強化・拡大しながら一層の収益向上を推進し、新たなる分野におけるビジネス展開へつなげ、「地球環境とお客様への貢献」をテーマに、「グローバル供給を支える製造・生産技術」、「製品技術・生産技術の革新」、「人財力の強化」など競争力強化に向けた取り組みを継続・加速して新たなる飛躍を実現したいと考えております。

 

g.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、売上高および営業利益を重要な経営指標として位置付けております。

 当社グループは、連結業績予想を2022年7月28日に開示いたしましたが、原材料価格及びエネルギー価格の高騰等が当初の見通しを大きく上回っている影響等により2023年2月2日に修正しております。

 当連結会計年度における連結売上高は105,161百万円となり、2022年7月28日に開示しております連結売上高目標103,000百万円に比べ、2,161百万円(2.1%増)の増収となりました。連結営業利益は694百万円となり、連結営業利益目標1,600百万円に比べ、△906百万円(56.6%減)の減益となりました。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存です。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社企業集団は、トライボロジー(摩擦/摩耗/潤滑技術)をコア技術として、自動車メーカのニーズはもとより、環境、社会の動向を捉え、解決すべき課題を明確にしながら、自動車用各種すべり軸受や各種機能部品の研究開発を行っており、“動きを支える”機能部品の創造に努めております。

 当連結会計年度の研究開発活動は、守りと攻めの両軸で既存製品拡大と新領域へのチャレンジを進め、次世代軸受に向けた新技術・新材料の研究とその応用製品開発、ならびに高付加価値のシステム製品の開発を重点に実施いたしました。

 また、HV、PHV、BEV、FCV等電動車両の今後の増加に向け、大豊グループの保有技術を活かし、モータ、PCU、電池、燃料電池分野の新製品開発に着手しております。一部製品につきましては、ホームページ掲載、展示会出展、客先提案等を既に開始しております。

 HV、BEVについては、これまで熱マネージメントをキーワードとして、電池冷却用電動ブロワやモーター冷却シャワー等の開発を行っており、既に多くの問い合わせを頂いております。現在はさらなる高性能と低コストを目指した開発に加え、電池部品として大豊のクラッド生産技術が活用できる電池用端子の開発にも着手しております。

 FCVに関しては、発電部のセパレータ・バイポーラプレートの開発~生産まで行うべく取り組んで参りましたが、開発力をさらに強化するために発電評価装置を導入し、設計提案・受託評価を実施できる体制も整えました。

 それに加え、今までの大豊の軸受を支えてきた基盤技術(材料技術,CAE)に関しても、新製品開発に向け体制を整えました。新材料開発については多くの大学と共同開発を推進しており、最先端の技術を取り入れております。

 

 セグメントの研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

自動車部品関連事業

1)軸受製品

 高性能エンジンや中国の環境規制に対応したエンジン用軸受、ブシュ、コンプレッサー用特殊軸受、各種軸受などを継続し開発してきました。特に、低燃費化のための摩擦低減を実現すべく様々な取組みを実施しております。2022年には海外メーカでの採用が拡大しています。

 ①ディーゼルエンジンの高筒圧化に対応するため、世界で初めてオーバーレイにBi-Sb合金を用いたエンジン用軸受は、従来課題となっていた耐疲労性と耐酸性を飛躍的に向上させました。この製品は2022年の自動車技術会にて技術開発賞を受賞しております。海外メーカでの量産採用が決定し、海外拠点(中国)での生産も開始しました。

 ②車両用電動コンプレッサーでは、転がり軸受をすべり化することで、長寿命、低振動・低騒音に貢献出来る事から、海外メーカへの供給を開始しました。

 開発期間短縮・コスト削減の対応として、製品開発へMBD(モデルベース開発)の適用を進めています。2020年2月よりホームページにMBD事例を公開し、シミュレーションの受託解析を開始するとともに、周辺部品を含めたシステムに最適な仕様を短期間で提案しています。

 また、完全子会社化した中国で最大のアルミ軸受素材メーカ「常州恒業軸瓦材料有限公司」では、アルミ鋳造ラインを導入し、素材から加工までの完全一貫生産体制を構築しています。

 これらの技術および生産の取り組みが認められ、国内外の自動車メーカへの納入も拡大し、グローバル展開を積極的に推進しております。

 

2)ダイカスト製品

 ダイカスト製品では、デジタルエンジニアリングを基軸とした製品設計、CAE解析(流動解析、凝固解析など)を用いた最適金型方案設計、生産技術、製造の一気通貫でモノづくりを推進し、短納期で高品質、低コストな製品を提供し顧客ニーズに応えております。

 また、自動車の電動化に伴い、HV、BEV製品に取組み、2020年からPCUインバーターケース、コンバーターケースの量産を開始しました。今後も電動化製品の拡販、生産拡大を推進しております。

 

3)ガスケット製品

 エンジン用メタルヘッドガスケットについては、連結子会社の日本ガスケット(株)によるCAE、ノウハウを活かした開発により、顧客と綿密な連携のもと、高機能化、低コスト化、短期間開発を推進しております。国内自動車メーカ様へ納入している新型エンジン用のヘッドガスケットは、新試験法による開発期間の短縮への貢献が認められ、2021年度プロジェクト活動賞を受賞しました。

 

4)システム製品他

 市場実績のある商用車向けの電子制御式EGRバルブをベースとし、多段ターボチャージャ用切換えバルブ、2020年には排気後処理装置の温度制御に用いる排気スロットルバルブを量産化しました。これらの技術を深化させ、高温の排ガス制御用バルブの市場拡大を行っています。

 バキュームポンプは、高信頼性に加え、低コスト設計と部品共通化による良品廉価なシステムとして採用され、現在は国内2拠点、海外2拠点(タイ、北米)でグローバルに対応しております。

 ホイール用のバランスウェイトは、グローバルシェア約11%(世界3位)の生産量を誇ります。2022年から、車体の振動低減にも採用されるようになりました。

 エンジン用バランスシャフトギヤについては、2012年に樹脂化し、量産実績が10年以上となりました。現在は、抄造製法の強みである長繊維でも高い分散性と安定した配向性を活かした製品開発に発展させております。昨年2022年6月には国産物流ドローン用メーカへの抄造CFRP製品を納入開始しました。リサイクル炭素繊維を用いた環境面での評価も高く、今後は自動車以外の分野におけるご要望にも対応して参ります。

 

自動車製造用設備関連事業

 当社連結子会社の大豊精機(株)において、自動車製造用設備についての試験研究および開発を進めております。

 昨年に引き続き画像検査を用いた人の眼からAI画像検査移行への取り組みや工程の無人化、協働ロボットの導入、従来の素材より高性能な素材の研究・開発に取り組んでおります。

 

 当社グループの研究開発費の総額は、3,681百万円であり、自動車部品関連事業の研究開発費の金額は3,506百万円、自動車製造用設備関連事業の研究開発費の金額は174百万円となっております。