第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

 当社グループは『自然との調和を大切に、発酵やバイオの技術を通じて人間の健康的な暮らしと生き生きとした社会づくりに貢献します。』という企業理念のもと、技術力、商品力、ブランド力をさらに向上させ、「和酒・日本食市場」「ライフサイエンス産業」における多様な価値を提供することで、宝グループの国内外での存在感を高めながら、持続的な成長と飛躍を実現することを目指しております。

(2)経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループを取り巻く環境は、国内では高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れによる酒類市場の長期的な縮小や、人材確保難等による人件費、物流費の高止まりが続くなど、今後も厳しさを増してくることが予想されます。また、地政学的要因を背景としたグローバルなサプライチェーンへの影響等により、原材料や燃料の高騰を起点として、国内外での様々なコストアップが懸念され、安定的な調達に対するリスクも高まっています。さらに、新型コロナウイルス感染症の流行が収束に向かい、新型コロナウイルス検査関連試薬の需要は急速に減少することが予想されます。

 一方で、ノンアルコール飲料も含めた国内のRTD市場では厳しい競争下ながらも市場の拡大が見込まれ、世界的な和酒・日本食市場は引き続き成長が期待されるほか、バイオ産業の市場規模は、再生・細胞医療・遺伝子治療等を中心に長期的な拡大が予想されており、当社グループにとって成長を見込める機会も数多く存在しています。また、気候変動、生物多様性保全、資源保全、人権尊重といった多様な課題への対応が世界的規模で求められており、持続可能な社会づくりに向けた企業の責任はますます大きくなってきています。そして、持続的な成長や企業価値の向上に向けては、資本効率性の向上による成長・強化領域への投資の強化や、人的資本やITなどの無形資産への投資の強化と活用がこれまで以上に重要になってきています。

 このような状況を踏まえ、当社グループでは、2026年3月期を最終年度とする長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」(以下、「TGC100」という。)の実行計画の総仕上げに向けた「宝グループ中期経営計画2025(以下、「本中計」という。)」を策定いたしました。本中計では、独自のビジネスモデルの確立と事業推進によって、事業の「稼ぐ力」を向上させながら、社会課題の解決に貢献することで、TGC100で掲げるVision「Smiles in Life~笑顔は人生の宝~」の実現を目指してまいります。

 本中計の概要は以下のとおりであります。

 

「宝グループ中期経営計画2025」

経営方針

~成長・強化領域への投資を加速させ、企業価値を高める3年間~

 成長・強化領域への投資を加速させ、生産性の向上やイノベーションの創出を働きがいを高めることで実現し、グローバルかつサステナブルな宝独自の2つのビジネスモデルを確立・強化することで、バランスのとれた事業ポートフォリオでの持続的な成長とVisionの実現を達成する。加えて、コーポレートとしての情報発信とコミュニケーションを強化することで、企業価値を高める。

※宝独自の2つのビジネスモデル

宝酒造・宝酒造インターナショナルグループ

日本食文化(和酒・日本食)の世界浸透推進

タカラバイオグループ

ライフサイエンス産業におけるインフラを担うグローバルプラットフォーマー

定量目標

 2026年3月期 宝グループ連結

 ・売上高    4,200億円以上

 ・営業利益    380億円以上

 ・海外売上高比率   60.0%以上(タカラバイオグループを除く海外売上高比率60.0%以上)

 ・ROE            9.0%以上

 ・ROIC          7.5%以上

事業方針

<宝酒造>

 「グローバル和酒No.1」の源泉として、伸長領域を中心に、高い技術力と「NIPPON品質」に基づいた新たな市場を創造する商品の開発・育成やブランド価値の向上に注力するとともに、宝酒造インターナショナルグループとの協業も加速させ、社会課題の解決に貢献しながら、利益額・率を大きく向上させる。

<宝酒造インターナショナルグループ>

 宝酒造や国内外のグループ会社との協業を加速し、現地のニーズを捉えた輸出・現地生産の商品ポートフォリオ拡充と、和酒に強みを持った日本食材卸としてのプレゼンスの向上によって、和酒と日本食の相乗効果を最大限に発揮した「日本食文化の世界浸透」を推進し、社会課題の解決に貢献しながらグローバル和酒・日本食材No.1企業を目指す。

 宝酒造と宝酒造インターナショナルグループにおいては、両社の協業をこれまで以上に推進し、国内外のニーズやトレンドを捉えて、スパークリング日本酒「澪」のグローバルブランド化を中心に、トラディショナル、イノベーティブの両面から和酒の開発とブランド育成を進めることで、世界の市場に和酒を拡大し、グローバル和酒No.1企業としてのプレゼンスを高める。

<タカラバイオグループ>

 試薬・機器の新製品やCDMOメニューの開発および新モダリティを創出する基盤技術の開発に向けてR&D費用を積極的に投下することで、臨床・創薬分野への事業領域拡大を加速させながら、「ライフサイエンス産業におけるインフラを提供するグローバルプラットフォーマー」としての存在感を高める。

<コーポレート部門>

 “事業と一体”となって、グローバルでサステナブルなビジネスモデルを強固に支えるグループ経営機能を強化するとともに、グループ全体の生産性の向上やイノベーションの創出の実現に向けた「働きがい」のある環境を構築しながら、コーポレートとしての情報発信とコミュニケーションを強化し、社内外のステークホルダーからの宝グループの評価を向上させる。

財務方針

・健全な財務体質の維持をベースとして、成長・強化領域への投資を加速するために、グローバルなキャッシュマネジメントを強化するとともに、資産の効率性の向上や、政策保有株式の売却等によりキャッシュフローを創出する。

・利益水準に応じた適切な株主還元(配当性向35%を目途)を実施する。

 

 当社グループは「Smiles in Life~笑顔は人生の宝~」をありたい姿(Vision)として掲げ、世界中の暮らしを、命を、人生を、笑顔で満たすために挑戦し続けることを宣言しています。そして、事業活動を通じた社会的価値の創造を将来にわたって実現し続けていくためには、様々な社会課題の解決にこれまで以上に取り組む必要があるという認識のもと、「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」を策定しています。

 「宝グループ・サステナビリティ・ポリシー」では、当社グループを取り巻く社会課題について、「安全・安心」をはじめとする10の重要課題(マテリアリティ)を取り上げ、各々についての取り組み方針を示しており、さらに、その方針に基づく具体的な中長期目標を設定した「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」を策定しています。

 当社グループは、これからも事業活動を通じた社会的価値の創造により、ステークホルダーの皆様から信頼される企業グループを目指すとともに、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 記載の数値目標は、当連結会計年度末時点で入手可能な情報および合理的であると判断する一定の前提に基づいており、その達成を保証するものではありません。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ

①ガバナンス

 当社グループでは、取締役会の監督のもと、宝ホールディングス代表取締役社長を委員長とした「宝グループ・サステナビリティ推進委員会」を設置し、気候変動を始めとするサステナビリティに関するリスク・機会の評価や戦略の策定、目標などについて審議を進めています。また、宝グループ・サステナビリティ推進委員会の下部組織として「サステナビリティ推進事務局」を設置しています。サステナビリティ推進事務局は、サステナビリティ推進委員会の決定に基づいて、グループ各社の具体的活動の設定、実行を推進します。

 これらのサステナビリティの取り組みは、宝グループ・サステナビリティ推進委員会が取締役会に報告します。

 

②リスク管理

 当社グループを取り巻く社会環境は急速に変化し、気候変動、生物多様性保全、資源保全、人権尊重といった多様な課題への対応が世界的規模で求められており、持続可能な社会づくりに向けた企業の責任はますます大きくなっています。当社グループは、グループを取り巻く社会課題について、ステークホルダーからの期待度と当社グループの事業への影響度を考慮し、「安全・安心」をはじめとする10の重要課題(マテリアリティ)を取り上げ、各々についての取り組み方針を示すとともに、取締役会の監督のもと、宝グループ・サステナビリティ推進委員会が取り組みを推進しています。

 また、気候変動を当社グループの主要リスクとして扱い、TCFDフレームワークに基づいてシナリオ分析を実施し、リスクと機会を特定しています。特定のプロセスとしては、移行リスクや物理的リスクについて、専門家の意見や公表されているレポートなどを参考に、想定されるリスク・機会を抽出し、影響を受ける可能性や大きさを考慮し、短期・中期・長期の時間軸で影響が大きいと想定されるリスク・機会を選定しました。特定されたリスク・機会の内容とその対応策は、宝グループ・サステナビリティ推進委員会が取締役会へ報告します。

 

(2) 人的資本

①戦略

 人財方針

 当社グループでは、人材は経営上の重要な資本であり「財産」であるとの視点に立ち、「人財」と表現します。企業は社員一人ひとりが集まって成り立つ組織であり、人財の総合力が企業の持続的な成長と発展の源泉であるとの考えから、さらなる企業価値の向上とグループの成長を実現するためには、人財への投資により個人や組織の能力を最大限に引き出すことが欠かせないと考えています。

 仕事のやりがいや働きがいのある職場、人を育む風土づくりを進めるとともに、グループの次世代を担う人財やグローバルな事業成長を実現する人財の育成、並びに多様な人財の活躍を実現してまいります。

 

 具体的な取り組み

<人財育成>

・次世代を担う人財育成策の実施

 経営幹部候補育成研修、次世代リーダー育成研修等を通じてグループの次世代を担うことのできる人財を育成します。

・グローバルな事業成長を実現する人財の育成

 継続的なキャリア採用による人財獲得およびジョブローテーションによってグローバルな事業成長を担うことのできる人財を育成します。

 

<多様な人財の活躍推進>

・女性の活躍推進

 「宝グループ・サステナビリティ・ビジョン」で掲げた2030年までの長期的な目標や女性活躍推進法の行動計画に沿って、計画的かつ継続的な女性管理職、課長補佐登用を進めるとともに、女性のキャリア形成支援を目的とした研修を継続します。

・シニア人財の活躍推進

 60歳から70歳までの継続雇用制度等を導入しておりますが、今後も引き続きシニア社員が活躍できる環境整備を進めてまいります。

 

・障がい者雇用の推進

 障がい者が健常者とともに職業生活に参加できるよう継続雇用と計画的採用で「障がい者法定雇用率」以上の水準を維持し、社会的責任を果たします。

 

<快適な職場環境とワークライフバランスの実現>

・多様な働き方の推進

 年次有給休暇の確実な取得促進、男女ともに仕事と家庭を両立するための在宅勤務の効果的な活用および育児休職の取得促進に向けた環境整備と理解促進等により多様な働き方を推進します。

 

<職場・風土づくり>

・従業員エンゲージメントの向上

 従業員エンゲージメント向上などの「やりがい」の醸成が、生産性の向上やイノベーションの創出には欠かせない要素であることから、エンゲージメントの状態を把握することを目的とした調査を定期的に実施し、調査結果から抽出された課題に応じた施策を実行します。

 

②指標及び目標

(女性の活躍推進)

a.女性管理職・女性課長補佐登用(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル)

  目標:2021年度から2030年度末までにのべ50人以上を登用する。

実績:2021年度から2023年4月1日時点でのべ22名登用

 

b.女性管理職比率(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル)

  目標:2025年度末までに女性管理職比率を10%以上とする。

  実績:2023年4月1日時点 6.7%

 

c.事務系・技術系の新卒採用者に占める女性比率(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル)

  目標:事務系・技術系の新卒採用者に占める女性比率を40%以上とする。

  実績:2023年4月1日時点 54.5%

 

(障がい者雇用の推進)

d.障がい者雇用率

  目標:国内の法定雇用率以上を維持する。

  実績:2023年4月1日時点 宝ホールディングス 2.78%、宝酒造 2.49%、タカラバイオ 2.30%

 

(多様な働き方の推進)

e.育児休職からの復職率(宝ホールディングス・宝酒造・宝酒造インターナショナル・タカラバイオ)

  目標:育児休職からの復職率100%を維持する。

  実績:2022年度 100%

 

 なお、①戦略における具体的な取り組み、②指標及び目標は、当社および連結グループの主要な事業を営む国内連結子会社について記載しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努める所存であります。

 なお、記載中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載事項は投資判断に関連するリスクすべてを網羅するものではありませんのでご留意下さい。

(1) 消費者の嗜好及び需要動向の変化について

 宝酒造の売上高の大部分は、日本国内のものであり、その市場は、消費者の嗜好の変化の影響を受けやすく、コロナ禍によって変化した消費スタイルの影響をも受けております。同社は、消費者の嗜好の変化を捉えた商品の開発や、他社商品と差異化を図った独創的な商品の開発に注力しておりますが、消費者の嗜好の多様化が進み、消費動向の変化が加速しております。そのため、今後同社が消費者の嗜好や市場の変化を捉えた魅力的な商品を提供できない場合は、将来の成長性や収益性を低下させる可能性があります。また日本国内の高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れは酒類の需要の減少を招き、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。同社では、SDGsを意識した商品など消費者ニーズを捉えた高付加価値商品の開発・育成に取り組んでおります。

(2) 競合について

①宝酒造

 日本国内の酒類・調味料市場では、市場全体の伸びが鈍るなか、商品開発やマーケティング戦略など、競合各社との競争が激化しております。競争の激化は売上の減少や、高騰する原材料価格の製品価格への転嫁の阻害要因となり利益率の低下を招き、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造では、独自の技術で差異化された商品の開発・育成や、ブランド力強化、流通業態の変化に対応した販売活動、市場の理解を得られる価格政策、そしてこれらを支える原資を得るため徹底的なコストダウンや効率化に取り組んでおります。

②宝酒造インターナショナルグループ

 海外酒類事業では、ウイスキー市場においては世界中に多くの強豪メーカーが存在するほか、清酒をはじめとする和酒市場においても、海外現地生産および日本生産の輸出メーカーなど多くの競合各社との競争が激化しております。また、海外日本食材卸事業においても、海外での和酒・日本食市場の拡大が見込まれる一方で、競合の状況は激化しております。競合各社に勝る競争力を維持できない場合には、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造インターナショナルグループでは、M&Aを含めた拠点拡大や、宝酒造との協業により同社の技術力を生かした魅力的な商品の開発・育成やブランド力の強化に取り組んでおります。また、グループシナジーを生かした共通購買などの商品調達力強化や、強みであるレストラン向けに加えて販売チャネルの多角化へも取り組んでおります。

③タカラバイオグループ

 タカラバイオグループは、財務的な一定の基盤、アジア市場における確固としたプレゼンスおよび保有技術の幅広いラインアップを有する独自の産業的地位を占めていると考えております。

 しかしながら、研究用の試薬・機器・受託サービスの製造・販売・提供には医薬品や医療機器のような許可や承認を必要としないことから、特許等による障壁がない場合には、これらの事業への参入は比較的容易であり、国内のみならず海外においても多数の競合企業が存在しております。

 また、遺伝子治療分野においては、技術的進展により、安全性が高く治療成績に優れる治療薬が開発され、海外で製造販売承認が得られ始めております。当分野の市場規模の拡大を背景として、欧米のバイオベンチャーや製薬企業等、多数の企業が遺伝子治療の研究開発に取り組んでおります。

 このような環境の中、同グループは、独自もしくは大学等の外部団体や企業と協力して、技術や製品を開発しておりますが、他社が類似の製品や技術分野で先行した場合、当社グループの製品開発や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、同グループは開発した技術や製品を可能な限り知的財産権による保護にて、独占化あるいは差異化をはかるとともに、コストダウンの推進および製造体制の強化により、価格競争力の維持を図ってまいります。

(3) 製造に関する依存について

①宝酒造

 宝酒造の酒類製品の大部分は、伏見工場(京都市伏見区)および松戸工場(千葉県松戸市)で製造しております。これらの地域において大規模な地震やその他の操業を中断する事象が発生した場合、同社の製品の生産、供給能力が著しく低下し、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。同社では全社及び拠点毎の事業継続計画(BCP)を整備し、安定した生産・供給に努めております。また楠工場(三重県四日市市)も含めた相互応援体制による、フレキシブルな生産体制を構築しております。

②タカラバイオグループ

 タカラバイオグループの主力製品である試薬は、その大半を中国の子会社である宝生物工程(大連)有限公司で製造しており、当該子会社の収益動向の変化や、何らかの理由による事業活動の停止等により、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。このようなリスクを踏まえ、効率性向上とリスク低減のバランスを考慮しつつ、グローバルで多極的な製造・研究開発体制を整備しております。

(4) 原材料価格の変動について

 宝酒造の原材料の調達については、調達先の国又は地域の天候や経済状況の影響を間接的に受ける可能性があります。焼酎等の原料である粗留アルコールは主に南米・北米やアジア地域の、また清酒等の原料米は主に日本の天候、原料相場の影響を受けます。さらに地政学的要因を背景としたグローバルなサプライチェーンへの影響は原材料・燃料の調達価格の高騰ひいては製造コストの上昇に繋がり、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造では原材料の調達先の多様化により安定的かつ有利な条件での調達を図り、一方で技術革新による原価の低減に取り組んでおります。

(5) 特有の法的規制について

①宝酒造

 宝酒造は、日本国内において酒税の賦課徴収、酒類の製造免許および販売業免許等について定める酒税法の規制を受けております。同社は酒税法に基づき、販売業免許のほか、種類別、製造場ごとに所轄税務署長の製造免許を取得しております。今後の事業展開においても酒税法の規制を受けるほか、酒税の税率の変更によって酒類の販売価格、販売動向等に影響を受ける可能性があります。同社は酒税法などの法令遵守はもとより、酒税法の改正等に機動的に対応し、必要に応じて商品戦略の見直しを図るなどの対策を実行いたします。

②宝酒造インターナショナルグループ

 宝酒造インターナショナルグループでは、事業を展開する各国において、事業・投資の許可、国家安全保障又はその他の理由による輸出制限、関税をはじめとするその他の輸出入規制等、様々な政府規制の適用を受けております。また、通商、独占禁止、特許、消費者、租税、為替管制、運輸、人権、環境・リサイクル関連の法規制の適用も受けております。これらの規制を遵守できなかった場合、同グループの活動が制限される可能性があり、また遵守することによるコストの増加につながる可能性があります。同グループでは法令遵守のもと、これらの影響を軽減する対策を実施いたします。

③タカラバイオグループ

 タカラバイオグループの研究開発を進めるにあたっては、放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律や遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(カルタヘナ法)等の関連法規の規制を受けており、同グループは当該法規制を遵守していく方針であります。

 また、同グループが開発・販売中の体外診断用医薬品や開発中の遺伝子治療薬は、医薬品医療機器等法をはじめとする関連法規の規制を受けており、商業活動のためには所轄官公庁の承認または許可が必要になります。同グループが研究開発を進めている個々のプロジェクトについて、かかる許認可が得られなかった場合には、同グループの事業戦略に影響を及ぼす可能性があります。

(6) 飲酒に対する社会的規制について

 酒類は人々の生活に豊かさと潤いを与えるものである一方で、不適切な飲酒はアルコール健康障害の原因となり、アルコール健康障害は、本人の健康の問題であるのみならず、その家族への深刻な影響や重大な社会問題を生じさせる危険性が高いことが指摘されております。これらのアルコールに関連する諸問題が社会的に一層深刻となった場合には、酒類の製造、販売に何らかの影響、規制が及ぶ可能性があり、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。宝酒造および宝酒造インターナショナルグループでは、これらの指摘を認識したうえで、酒類の製造、販売を行う企業として、人々の健康を維持増進し、社会的責任を果たす観点から、当社グループが定めた「責任ある飲酒に関する基本方針」に基づき、適正飲酒の啓発をはじめ、ホームページでの主要商品の純アルコール量の開示などの取り組みを行うとともに、WHO(世界保健機関)が採択した「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」を支持し、その達成に向けた取り組みを実施しております。

(7) 研究開発活動について

 バイオテクノロジーに関連する産業は、再生・細胞医療・遺伝子治療等分野、基礎研究や創薬等を目的とした大学、公的研究機関や企業、検査会社を直接のターゲットカスタマーとする研究支援分野、その他、環境・エネルギー・食品・情報分野まで多岐にわたります。

 このような状況の中、タカラバイオグループにおいて競争優位性を維持していくためにも、広範囲にわたる研究開発活動は非常に重要であると考えております。しかしながら、研究開発活動は計画通りに進む保証はなく、特に遺伝子治療分野における臨床開発は長期間を要するため、研究開発活動の遅延により、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、バイオテクノロジー業界を取り巻く経営環境の変化は激しく、同グループの事業環境は新たな技術革新や新規参入者等により大きな影響を受ける可能性があることから、現在推進している研究開発活動から必ずしも期待した効果を得られる保証はなく、計画する収益を獲得できない可能性があります。

(8) 知的財産権について

 タカラバイオグループは、研究開発の成否がそのまま事業開発の成否につながるバイオテクノロジー関連産業において、競合他社を排除するため、自社の技術を特許で保護しております。また、同グループは、研究開発を進めていくにあたって、特許出願・権利化を第一に考え対応していく方針であります。しかしながら、出願した特許がすべて登録されるとは限らず、また、登録特許が無効となる、消滅する等した場合には、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、同グループは今後の事業展開の中で、必要な他者特許については取得またはライセンスを受ける方針でありますが、このために多大な費用が発生する可能性があります。また、必要な他者特許が生じ、そのライセンスが受けられなかった場合には、同グループの事業戦略や経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

(9) 固定資産の減損処理について

 当社グループでは、のれんを含む多額の有形・無形固定資産を保有しておりますが、経営環境の急変等により固定資産の減損に係る会計基準に基づき減損損失を計上した場合には、経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは一定の投資に際しては取締役会等の承認を得ることとしており、投資効果の判定にはNPV法に基づくハードルレートを設定し、進捗を毎期検証しております。また、減損の兆候を早期に把握する体制を構築しております。

(10)為替レートの変動について

 当社グループが事業を展開する日本国外の各地域における売上高、費用、資産を含む現地通貨建ての項目は、連結財務諸表の作成のために円換算されております。これらの項目は、換算時の為替レートにより財務諸表計上額が影響を受ける可能性があります。また、輸入による商品仕入れ、原材料の調達あるいは製品輸出を外貨建てで行う場合は為替レートの変動により経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループは、為替変動リスクに備えるため通貨オプション、為替予約などのヘッジ取引を行い、為替レートの中・短期的な変動による影響を最小限にするよう努めております。

(11)製造物責任について

 当社グループが開発、製造する全ての商品について製造物責任賠償のリスクが内在しています。特に、酒類、食品、医薬品、医療機器、体外診断用医薬品、再生医療等製品、研究用製品、臨床試験に使用される治験薬などについては、製造、販売、臨床試験において瑕疵が発見され、健康障害等を引き起こした場合には製造物責任を負う可能性があります。また、大規模な製品回収や製造物責任賠償は、多額のコストが発生するうえに、当社グループの評価に重大な影響を与え、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。これらのリスクに備えるため、製造物責任賠償保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。当社グループでは、法令遵守に加え徹底した品質管理とリスク管理体制の構築に取り組んでおります。

(12)情報セキュリティについて

 当社グループは、事業に関連して多数のITシステムを活用し、個人情報を含む膨大な情報を管理しております。これら社内情報の紛失、漏洩、改ざんあるいはランサムウェア被害などが起こった場合は業務への支障、対応コストに加えレピュテーションリスクが生じる可能性があります。また、システム不具合あるいはサイバー攻撃により、一定期間業務の遂行が不可能になった場合は事業活動の継続に影響を及ぼす可能性があります。デジタルトランスフォーメーションの進展や、在宅勤務の拡大によりこれらのリスクは拡大しております。当社グループでは「情報管理規程」「ITセキュリティポリシー」を定め、ITセキュリティに関する第三者評価を受けるなどリスクへの対応を強化しております。

(13)訴訟について

 当社グループでは、事業の遂行にあたり各種法令および規制等に違反しないようコンプライアンス活動を強化するなど最善の努力をしております。しかしながら、国内外において事業活動を遂行していくうえで、当社グループおよびその従業員が法令等に対する違反の有無にかかわらず、製造物責任法や知的財産権、発明対価請求などの問題において訴訟提起される可能性を抱えています。万が一当社グループが訴訟を提起された場合、また不利な判決結果が生じた場合は、当社グループの経営成績および財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは法令遵守を徹底するとともに、重要な契約の締結に際しては法務部門、外部専門家の助言、チェックを受ける体制を構築しております。

(14)自然災害や事故災害について

 暴風、地震、落雷、洪水、渇水等の自然災害、火災等の事故災害や感染症の世界的流行(パンデミック)が発生した場合には、災害による物的・人的被害により、当社グループの営業活動に支障が生じる可能性があります。このようなリスクを踏まえ、当社グループでは、発生時の損害の拡大を最小限におさえるべく、点検・訓練の実施、連絡体制・事業継続計画(BCP)の整備に努めております。

 当社では、当社社長を委員長とする「リスク・コンプライアンス委員会」が当社グループのリスク管理全体を総括し、同委員会の監督のもと、各担当部門において「法・社会倫理」「商品の安全と品質」「安全衛生」その他当社グループを取り巻くリスクを防止・軽減する活動に取り組んでおります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 経営成績の状況

 当連結会計年度における世界経済は、米国や欧州を中心として景気の回復が見られましたが、原材料価格やエネルギー価格の高騰に加え、欧米各国のインフレ抑制に向けた金融引締め等による世界的な景気後退懸念など、先行きは不透明な状況が続いております。

 このような経済状況の中、当社グループは、2020年5月に公表した長期経営構想「TaKaRa Group Challenge for the 100th」の実行計画の第1ステップとしての「宝グループ中期経営計画2022」に取り組んでまいりました。当連結会計年度は、その最終年度でありましたが、環境変化に柔軟に対応しつつ、強化すべき領域へ適切な経営資源の配分と投下を行い、収益力を高める多様な「価値」を生み出し続ける事業構造とグローバルなコーポレート機能の再構築を推し進めることで、国内外での持続的な成長の実現とグループの企業価値向上に注力いたしました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高350,665百万円(前期比16.5%増)、売上総利益119,941百万円(同5.6%増)、販売費及び一般管理費81,996百万円(同16.8%増)、営業利益37,945百万円(同12.5%減)、経常利益38,706百万円(同10.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益21,206百万円(同2.1%増)となりました。

 セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。

 

〔宝酒造〕

 宝酒造は、食品メーカーとして安全・安心な商品の安定的な供給に最優先に取り組むとともに、消費者に支持される差異化ポイントを付与した新商品の開発や高利益商品の育成によるプロダクトミックスの改善などに注力いたしました。また、原材料価格やエネルギー価格の高騰に対しては、徹底したコストダウンや効率化に取り組むとともに、商品価格の改定による利益率の維持・改善に取り組みました。

 当セグメントのカテゴリー別の売上状況などは次のとおりであります。

 焼酎では、甲類焼酎の大容量商品や35度焼酎などが減少しましたので、減収となりました。清酒では、料飲店市場の回復が進む中、“松竹梅「豪快」”は増加しましたが、家庭向けの“松竹梅「天」”などが減少しましたので、減収となりました。ソフトアルコール飲料では、基幹ブランドと位置づけている“タカラ「焼酎ハイボール」”が引き続き増加し、“タカラ「辛口ゼロボール」”の新発売なども寄与しましたので、増収となりました。調味料では、本みりんや食品調味料などが増加しましたので、増収となりました。原料用アルコール等も増収となりました。 

 以上の結果、宝酒造の売上高は、122,921百万円(前期比2.7%増)となりました。売上原価は93,645百万円(同3.0%増)となり、売上総利益は29,276百万円(同1.6%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や事業場間転送の効率化により運送費などが減少し、24,385百万円(同1.2%減)となりましたので、営業利益は4,890百万円(同18.3%増)となりました。

〔宝酒造インターナショナルグループ〕

 宝酒造インターナショナルグループは、日本からの酒類の輸出や海外各地で酒類の製造・販売を行う海外酒類事業と海外の日本食レストランや小売店などに日本食材などを販売する海外日本食材卸事業を展開しております。

 当セグメントの売上状況などは次のとおりであります。

海外酒類事業

 ウイスキーはプレミアムバーボン“Blanton's”が引き続き好調に推移し、スコッチウイスキー“Tomatin”も売上を伸ばしました。清酒など和酒の売上は、中国ではコロナ禍の影響を大きく受けて減少したものの、市場規模が大きい米国では増加しましたので、海外酒類事業の売上高は18,253百万円(前期比29.8%増)となりました。

海外日本食材卸事業

 米国や欧州などの料飲店市場の好調に加え、小売店やネット通販などの販売チャネルの多角化への取組みや、顧客ニーズに即した商品調達と供給体制の整備にも取り組んだことなどにより、海外日本食材卸事業の売上高は、121,354百万円(前期比35.2%増)となりました。

 以上の結果、セグメント内取引消去後の宝酒造インターナショナルグループの売上高は、137,483百万円(前期比34.5%増)となりました。売上原価は95,088百万円(同35.8%増)となり、売上総利益は42,394百万円(同31.9%増)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や運送費などが増加し、31,573百万円(同33.4%増)となりましたので、営業利益は10,821百万円(同27.7%増)となりました。

 

〔タカラバイオグループ〕

 タカラバイオグループは、バイオテクノロジーを利用する研究開発活動がますます広がりを見せる中、こうした研究開発活動を支援する試薬・機器を開発し、世界中のバイオ研究者に提供する事業を展開しております。また、近年、製薬企業などで開発が盛んな再生・細胞医療・遺伝子治療の開発・製造を支援するCDMO受託を展開しております。CDMOとは医薬品の製法開発から製造までの工程を受託する事業を指し、タカラバイオグループでは、遺伝子治療の分野に注力しております。その他、遺伝子医療事業では、遺伝子治療薬の製造補助剤の製造・販売、新規モダリティ(治療法)の創出、臨床開発プロジェクトを進め、独自のバイオ創薬基盤技術の価値の最大化に取り組んでおります。

 当セグメントの売上状況は、機器・受託事業の売上高が減少したものの、試薬事業の売上高が抗原検査試薬を含む新型コロナウイルス検査関連試薬の大幅伸長により、増加いたしました。また、遺伝子医療事業の売上高も増加いたしました。

 以上の結果、売上高は、78,142百万円(前期比15.4%増)となりました。売上原価は、売上構成の変化等により、33,377百万円(同80.5%増)となり、売上総利益は44,765百万円(同9.0%減)となりました。販売費及び一般管理費は、人件費や研究開発費などが増加し、24,224百万円(同19.3%増)となりましたので、営業利益は、20,541百万円(同28.9%減)となりました。

 

〔その他〕

 その他のセグメントは、不動産賃貸事業、物流事業、ワイン輸入販売などであります。当セグメントの売上高は、ワインの輸入販売が引き続き好調に推移したことにより、30,950百万円(前期比0.8%増)となりました。売上原価は26,770百万円(同0.5%増)となり、売上総利益は4,179百万円 (同2.1%増)となりました。販売費及び一般管理費は、運送費などが増加し、1,885百万円(同0.8%増)となりましたので、営業利益は2,293百万円(同3.2%増)となりました。

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は241,513百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,189百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が16,375百万円増加し、受取手形及び売掛金が1,232百万円、商品及び製品が5,360百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 固定資産は157,661百万円となり、前連結会計年度末に比べ27,546百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が9,143百万円、投資その他の資産がASC第842号「リース」の適用などにより17,831百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果、総資産は、399,174百万円となり、前連結会計年度末に比べ36,736百万円増加いたしました。

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は67,454百万円となり、前連結会計年度末に比べ11,696百万円減少いたしました。これは主に1年内償還予定の社債が10,000百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は76,401百万円となり、前連結会計年度末に比べ17,670百万円増加いたしました。これは主に固定負債のその他がASC第842号「リース」の適用などにより15,417百万円増加したことによるものであります。

 以上の結果、負債合計は、143,856百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,973百万円増加いたしました。

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は255,318百万円となり、前連結会計年度末に比べ30,762百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が13,891百万円、為替換算調整勘定が9,355百万円、非支配株主持分が7,231百万円、それぞれ増加したことによるものであります。

 以上の結果、自己資本比率は、51.1%(前連結会計年度末は49.8%)となりました。

③キャッシュ・フローの状況

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益39,692百万円、減価償却費9,118百万円、売上債権の減少2,634百万円、棚卸資産の減少8,969百万円、未払消費税等の増加2,104百万円、法人税等の支払額15,535百万円などで45,478百万円の収入と前期に比べ29,101百万円の収入増加となりました。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出23,167百万円、定期預金の払戻による収入24,008百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出10,618百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出1,068百万円などにより10,474百万円の支出と前期に比べ74百万円の支出増加となりました。

 財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出10,000百万円、配当金の支払額7,305百万円、非支配株主への配当金の支払額1,579百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出1,551百万円などにより22,215百万円の支出(前期は4,133百万円の収入)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物に係る換算差額を含めた当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より16,056百万円増加し、91,785百万円となりました。

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の生産実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期増減率(%)

 

品種

宝酒造

 

 

 

焼酎

36,750

△5.6

 

清酒

11,960

△5.7

 

ソフトアルコール飲料

40,214

1.4

 

その他酒類

4,084

△5.3

 

本みりん

9,560

5.1

 

その他調味料

8,921

3.1

 

111,491

△1.7

宝酒造インターナショナルグループ

12,200

26.1

タカラバイオグループ

 

 

 

試薬

24,517

9.3

 

機器

119

107.9

 

受託

8,499

△28.9

 

遺伝子医療

1,484

△10.6

 

34,620

△4.1

報告セグメント計

158,313

△0.5

その他

1,710

10.0

合計

160,023

△0.4

(注)1.金額は酒税込みの販売価格によっております。

2.宝酒造の原料用アルコール等は、大部分が酒類等の原料として使用されていること、また、販売実績に対応する生産実績を正確に把握することが困難であることから記載を省略しております。

3.当連結会計年度よりタカラバイオグループの品種の区分を変更しており、「前期増減率(%)」は変更後の品種の区分に組み替えた数値で算出しております。

b.主要な原材料価格

 当連結会計年度における宝酒造セグメントの主要な原材料である粗留アルコールの購入価格は、世界的なアルコール需要の高まりなどの影響を受け、前連結会計年度に比べ約5割上昇しております。

c.商品仕入実績

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期増減率(%)

宝酒造

782

22.6

宝酒造インターナショナルグループ

92,367

30.2

タカラバイオグループ

6,315

△68.9

報告セグメント計

99,464

8.3

その他

9,958

1.3

合計

109,423

7.6

(注)1.金額は仕入価格によっております。

2.当連結会計年度において、タカラバイオグループの仕入実績に著しい変動がありました。これは、抗原検査キットの輸入等の減少によるものであります。

d.受注実績

 タカラバイオグループにおいて、一部受注生産を行っておりますが、ほとんどの場合において、生産に要する期間が短く、受注残高が僅少であることから記載を省略しております。

e.販売実績

 当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の販売実績をセグメントごとおよび品種別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

前期増減率(%)

 

品種

宝酒造

 

 

 

焼酎

36,597

△3.5

 

清酒

12,145

△5.1

 

ソフトアルコール飲料

40,069

6.3

 

その他酒類

5,328

△2.5

 

本みりん

9,477

4.2

 

その他調味料

8,780

2.6

 

原料用アルコール等

10,522

28.8

 

122,921

2.7

宝酒造インターナショナルグループ

 

 

 

海外酒類

18,253

29.8

 

海外日本食材卸

121,354

35.2

 

その他

2,847

 

グループ内連結消去

△4,972

 

137,483

34.5

タカラバイオグループ

 

 

 

試薬

65,925

25.6

 

機器

1,375

△9.4

 

受託

8,200

△28.2

 

遺伝子医療

2,640

16.1

 

78,142

15.4

報告セグメント計

338,547

16.9

その他

30,950

0.8

セグメント計

369,498

15.4

事業セグメントに配分していない収益およびセグメント間取引消去

△18,832

合計

350,665

16.5

(注)1.販売金額には酒税を含んでおります。

2.当連結会計年度よりタカラバイオグループの品種の区分を変更しており、「前期増減率(%)」は変更後の品種の区分に組み替えた数値で算出しております。

3.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10を超える販売先はありません。

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項につきましては、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」および「同(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度のセグメント別経営成績については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 宝酒造の売上高は、焼酎等が減少しましたが、ソフトアルコール飲料や、原料用アルコール等が増加し、増収となりました。原材料や燃料のコストアップ及び為替の影響を、コストダウンや当連結会計年度に実施した価格改定で補い、営業利益も増益となりました。

 宝酒造インターナショナルグループの売上高は、ウイスキー及び米国や欧州などの料飲店市場が好調に推移したことから、海外酒類事業、海外日本食材卸事業ともに増収となりました。売上高が増加したことにより売上総利益が増加しましたので、販売費及び一般管理費の増加による影響を吸収し、営業利益も増益となりました。

 タカラバイオグループの売上高は、抗原検査試薬を含む新型コロナウイルス検査関連試薬の大幅伸長により、増収となりました。売上構成の変化等により売上総利益は減少しました。販売費及び一般管理費は、人件費や研究管理費などが増加したため、営業利益は減益となりました。

 これらの報告セグメントにその他のセグメントを加えた当社グループの売上高は350,665百万円(前期比16.5%増)、売上総利益は119,941百万円(同5.6%増)、営業利益37,945百万円(同12.5%減)、経常利益38,706百万円(同10.5%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は21,206百万円(同2.1%増)となりました。

 以上の結果、ROEは11.0%(前期比1.3ポイント低下)、海外売上高比率は48.3%(前期比3.3ポイント上昇)となりました。

イ.経営成績に重要な影響を与える要因

 宝酒造では、高齢化・人口減少や若年層の飲酒離れにより酒類市場の長期的な縮小が見込まれ、国内酒類業界はメーカー間の競争が激化し、厳しい経営環境にあります。加えて原材料価格やエネルギー価格の高騰、物流費等のコストアップによる製造コストの上昇をいかに市場に受け入れられる形で価格転嫁するかが問われています。またサステナビリティ経営の観点から、環境問題や過剰飲酒問題は喫緊の課題であり、環境問題への対応については技術面・コスト面の課題を解決する必要があります。

 宝酒造インターナショナルグループでは、海外での和酒・日本食の潜在需要は根強く、コロナ禍の収束に伴い、今後も安定した市場拡大が見込まれます。一方で競合各社との競争のさらなる激化も見込まれ、拠点の拡大、グループシナジーの強化、競争力のある商品の開発、経営基盤の整備などが求められます。

 タカラバイオグループでは、長期的な市場の拡大が予想されておりますが、同グループが積極的に取り組んでいる遺伝子治療分野では、多様なモダリティの開発、実用化が進み、バイオベンチャーや製薬企業等、企業規模は関係なく、世界的に競争が激化しております。このような環境下、人財の確保、研究開発費の供給、知的財産権の保護など経営成績に影響を与える多くの要因が存在します。

 なお、当社グループの経営成績に影響を与える要因に関しては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」もご参照ください。

ロ.資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、営業活動から得られるキャッシュ・フローを、各事業セグメントの成長・強化領域へ積極的に投資するとともに、利益水準に応じた適切な株主還元を行い、一方で、多様な資金調達手段を確保し金融負債を利用することにより、適切な資本、負債のバランスを維持し、財務の安全性と資本の効率性の両立を図ります。

 また、当社グループの手元流動性は十分に確保されており、各セグメントの事業活動、予定している投資活動に支障はありません。さらにコミットメントラインなどのバックアップラインも適切に設定されております。

 なお、上場企業であるタカラバイオ株式会社は、タカラバイオグループの資金の調達、流動性の確保を独自に行っており、宝酒造、宝酒造インターナショナルグループは宝ホールディングス株式会社と緊密な連携を行い、効率的な資金調達、資金管理を行っております。

a キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、前年並みに税金等調整前当期純利益を計上したことに加え、棚卸資産や売上債権が減少したことにより、前連結会計年度に比べ29,101百万円の収入増加の45,478百万円となりました。また、投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得による支出などにより10,474百万円の支出となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還による支出や配当金の支払額などにより22,215百万円の支出となりました。以上の結果、現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ16,056百万円増加しており、現時点でキャッシュ・フローの状況に特段の問題はないと認識しております。

b 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資本の財源は、営業活動から得られるキャッシュ・フローのほか、主として社債および金融機関からの借入金であります。当社では安定的な資金調達のため20,000百万円の普通社債の発行登録を行うとともに、格付機関である株式会社格付投資情報センター(R&I)から長期債格付Aを、株式会社日本格付研究所(JCR)から長期債格付A+をそれぞれ取得しておりますが、当連結会計年度中は発行しておりません。

 また、短期資金の調達のため、当社は同じく株式会社格付投資情報センター(R&I)および株式会社日本格付研究所(JCR)から10,000百万円の発行枠を設定しているコマーシャル・ペーパーの格付(a-1、J-1)をそれぞれ取得しておりますが、当連結会計年度中は発行しておりません。

 さらに、機動的な資金調達および流動性の補完を目的として、継続して融資枠10,000百万円のコミットメントラインを設定しておりますが、当連結会計年度中は借入を行っておりません。

 当社グループは成長・強化領域へ積極的な経営資源の配分と投下を行うことを方針としており、当連結会計年度は、タカラバイオグループでは管理棟の建設や遺伝子治療用ベクター量産プラント導入への設備投資を、宝酒造インターナショナルグループでは海外日本食材卸事業に係る製品倉庫等への設備投資を実施いたしました。当連結会計年度の有形及び無形固定資産の取得による支出は10,618百万円となり、減価償却費を大きく上回る水準となっております。

 当社は、当社の信用力を生かして外部資金を一括して調達し、タカラバイオグループを除く主要な連結子会社に必要資金を貸し付けるとともに、一部の国内連結子会社とはCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入するなど、各社の余剰資金を当社へ集中し一元管理することにより、資金効率の向上と金融費用の極小化を図っております。

 当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末に比べ16,056百万円増加の91,785百万円となり、現時点で十分な手元流動性を維持しております。

ハ.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営戦略、経営環境、優先的に対処すべき事業上・財務上の課題および経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりであります。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

6【研究開発活動】

 当社グループは蓄積された発酵技術を基礎に、バイオテクノロジーの技術を応用し、主に宝酒造、タカラバイオグループの各部門で幅広い研究活動を展開しております。

 当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は8,949百万円であり、各セグメントにおける研究内容等は次のとおりであります。

(宝酒造)

 当セグメントにおいては、宝酒造株式会社の商品第一部、商品第二部および研究開発センターを中心に、消費者ニーズに沿った商品、消費者に新しい価値を提案する商品の開発を目的に、機能や成分による差異化技術、微生物の育種、原料・素材の探索・開発ならびに生産技術の研究開発を行っております。

 焼酎では、全量芋焼酎「一刻者」の上質なブランドイメージを向上させるため、三年以上貯蔵・熟成した長期貯蔵酒の中から、特にまろやかで口あたりの良い原酒のみを厳選した「一刻者」<極円熟>を発売しました。

 清酒では、松竹梅白壁蔵「澪」を日本を代表するスパークリング日本酒として国内外で育成していくため、さらにフルーティな酒質へとリニューアルしたことに加え、すっきりした甘さを求めるユーザーの声に応えるべく「澪」<CLEAR>を新発売しました。また、品質にこだわるパックユーザー向けに、山田錦を使用し独自酵母の華やかな香りを特長とする上撰松竹梅<山田錦純米>「サケパック」を発売しました。

 ソフトアルコール飲料では、ノンアルコールチューハイの新ブランドとして、タカラ「辛口ゼロボール」を発売しました。タカラ「焼酎ハイボール」のおいしさを濃縮した独自素材(タカラ「焼酎ハイボール」エキス)を開発し使用することで、キレのある辛口の味わいは残しつつ、ノンアルコールでもしっかりとした飲みごたえとお酒感を実現しました。

 調味料では、新たな健康訴求でブランド価値を高めるため、タカラ本みりん「醇良」等のデザインをリニューアルし、「食塩ゼロ」訴求を追加しました。また、加工業務用向けに炭火焼きの本格的な味わいを付与できる調味料「炭火焼き上手」や消臭機能を有する液体タイプの肉の軟化剤「お肉やわらか上手<液体タイプ>」を上市しました。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は367百万円であります。

(タカラバイオグループ)

 当セグメントにおいては、日本のタカラバイオ株式会社、米国のTakara Bio USA, Inc.、中国の宝生物工程(大連)有限公司を中心に研究開発活動を展開しております。

 試薬・機器事業では、遺伝子工学研究用試薬、細胞工学研究用試薬等の開発を進めております。また、試薬と機器のシステム化により利便性を向上させる開発等も進めております。コロナ禍においては、新型コロナウイルス検出用PCR関連製品等の開発も進めております。当連結会計年度においては、mRNAワクチン関連試薬、サル痘ウイルス検出用PCR試薬、コンパクトで操作性に優れたPCR装置等の開発を行いました。

 受託事業では、再生・細胞医療・遺伝子治療の開発、製造支援事業であるCDMO受託に関する研究開発に注力しております。当連会計年度においては、細胞加工やウイルスベクターの生産効率性向上や大量製造に関する研究開発、新規遺伝子解析/検査受託メニュー等の開発を進めました。

 遺伝子医療事業では、高効率遺伝子導入技術レトロネクチン法、siTCR技術等の応用開発に加え、創薬基盤技術の開発・事業化に取り組んでおります。当連結会計年度においては、脳指向性アデノ随伴ウイルスベクターの応用化開発、次世代CAR遺伝子治療法であるCD19・JAK/STAT・CAR遺伝子治療(開発コード:TBI-2001)のカナダでの臨床試験開始の準備等を進めるほか、NY-ESO-1・siTCR遺伝子治療(開発コード:TBI-1301)の製造販売承認申請に向けた準備を進めました。また、mRNAワクチンの開発・製造に必要となる製造補助剤等の開発に取り組みました。

 また、上記事業に分類しきれない事業横断的な研究開発も推進しております。同グループとしては、各研究開発プロジェクトの相互作用・フィードバック効果を利用して、戦略的な研究開発の推進を目指しております。

 なお、当セグメントに係る研究開発費は8,575百万円であります。