第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当企業集団の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、不断に変化する事業環境に的確に対応し、ステークホルダーの視点から当社としての企業経営のあり方を明確にするため、次の「経営理念」を掲げております。

・ IT価値を提供することにより、社会・お客さまの発展に貢献する。  (社会・お客さまの信用)

・ 変化に対応できる強靭な企業体質を構築し、企業価値の向上を図る。  (会社の繁栄)

・ 個人価値を自ら向上させ、組織貢献できる社員に活躍の場を提供する。(社員の成長)

 

(2) 経営環境

今後のわが国経済の見通しにつきましては、コロナ禍から平時に戻る中で経済活動の正常化が進み、回復基調が続くと見られる一方で、物価上昇を受けた世界的な金融引締め等による世界経済減速の影響を受けることが懸念されています。

情報サービス産業におきましては、企業の旺盛なデジタル化・DX化ニーズに加え、サイバー攻撃対策など情報セキュリティに関わるニーズもより一層拡大していくと見られることから市場は好調な状況が続くと見込まれる一方、人手不足の影響が依然として続くと見られ、人材獲得競争の激化と人件費上昇、さらに物価上昇に伴うコストアップなど収益環境が厳しくなると見込まれます。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当企業集団は、2023年4月より中期経営計画(2023年4月~2026年3月)に取り組んでおります。

 

本中期経営計画(以下、「本計画」という。)は、「100年企業」として存続していくために築いてきた礎をもとに、「情報セキュリティが確保され続けることを前提としたうえで、収益力の大幅な飛躍とその利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す」ことを基本方針とし、次の5項目について重点的に取り組んでまいります。

 

① 情報セキュリティの強化

情報セキュリティの強化は、当社事業の根幹を支え、本計画で掲げる諸施策の実施に欠かせない最も重要な取り組みと考えております。ゼロトラスト(*1)を前提とした情報セキュリティレベル強化に向けたインフラ・環境整備のほか、徹底した社員教育など情報セキュリティ強化に向けた投資活動を継続的に実施してまいります。

 

② 原点回帰、収益基盤の維持・強化

創業から50年以上にわたり築き上げてきた安定的な収益基盤の維持・強化のため、引き続き社内外のリソース確保と品質管理の強化に取り組んでまいります。また、不採算・低採算を余儀なくされている業務の採算改善・縮小・撤退を引き続き適宜実施することにより、より一層の収益基盤の安定化と強化を進めます。

 

③ 創造的分野や自社製品・技術による事業拡大

2022年10月に新設した「デジタル基盤事業部」を起点とし、デジタル基盤ビジネスの飛躍的拡大を図るとともに、情報セキュリティビジネスの安定的な拡大を推し進めていきます。加えて、自社ソリューションの強化・拡充や新技術の習得など、新たな事業領域の拡大を図ります。一方で、デジタル基盤ビジネスにおける品質管理手法の確立や、自社製品の開発標準プラットフォームを構築するなど、新たな事業領域においてもビジネス拡大の礎となる情報セキュリティや品質の確保に注力いたします。

 

④ 人(社員等)への投資の強化

当企業集団の事業活動の源泉である人材への投資を強化してまいります。さらなる処遇の改善を図るとともに、健康経営、ダイバーシティ、ワーク・ライフ・バランスの推進を一層強化し、社員が心身ともに健康で働きがいをもって活躍できる職場環境づくりに一層注力いたします。また、教育・研修等の充実を図り、社員のキャリア形成に向けた意識改革や環境整備を進めてまいります。

 

 

 

 

*1 「ゼロトラスト」とは、クラウドサービスの普及やテレワークの拡大等によりネットワークの社内・社外の境界があいまいとなる中、社内・社外にとらわれることなく情報資産にアクセスするものは全て信用せずに確認し、認証・許可を行うことにより情報資産を守る考え方です。

 

 

⑤ 社内インフラ投資の強化

社内ネットワークの無線化・高速化を進めるとともに、システム投資により社内業務の電子化・ペーパーレス化を推進し、生産性の向上とともに、一層の情報セキュリティ対策の強化を図ってまいります。さらに、執務環境の整備・見直し等による業務の効率化にも取り組んでまいります。

 

(4) 目標とする経営指標及び経営目標

当企業集団では、本計画の推進にあたり、到達点を明確にするために経営指標及び経営目標を設定しております。

経営指標としては、引き続き、株主価値及び資本効率重視の観点から「ROE(自己資本利益率)」及び安定配当の基本方針を堅持しつつ株主の皆さまへの還元方針の目安となる「配当性向」を重視いたします。

経営目標としては、当社事業の根幹を支える情報セキュリティの強化に加え、女性活躍の推進や社員満足度の向上を掲げ、サステナブルな成長を目指してまいります。

これらの経営指標及び経営目標の進捗管理を通じて、本計画の達成を目指してまいります。

 

 

項 目

計画終了時点の

目標

備 考

経営指標

①ROE(自己資本利益率)

3.5%~4.0%

70%以上の自己資本比率を堅持することにより健全な財務体質を維持しつつ、資本効率の安定的な改善を目指します。

②配当性向(連結)

30~40%を

目安とした安定配当

安定配当方針を堅持しつつ、市場平均水準を意識してまいります。

経営目標

①情報セキュリティ及びサイバーセキュリティインシデント発生件数

0件

対策の実効性を高めることで、インシデント0件を目指してまいります。

②連結売上高セキュリティ投資比率

0.5%以上

「(一社)日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会」が推奨する「0.5%以上」を目安とし、継続的な投資を行ってまいります。

③部長級に占める女性の割合

10%以上

「女性活躍推進法」における行動計画目標として掲げている目標値であります。

④社員向け職場アンケートにおける
社員満足度の向上

社員満足度の向上により社内活性化を図ってまいります。

 

 

(5) 会社の対処すべき課題

「(2) 経営環境」に記載しております事業環境下、当企業集団が対処すべき当面の課題は、「100年企業」として存続していくために築いてきた礎をもとに、「情報セキュリティが確保され続けることを前提としたうえで、収益力の大幅な飛躍とその利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す」として策定した3ヵ年の新中期経営計画(2023年4月~2026年3月)の着実な遂行であります。

本計画の詳細については、「(3) 中長期的な会社の経営戦略」をご参照ください。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当企業集団のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

当企業集団は、社会・環境問題をはじめとするサステナビリティを巡る課題について、適切な対応に努めており、サステナビリティを巡る課題をリスクの抑制のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しております。中長期的な企業価値の向上の観点からこれらの課題へ対応するにあたり、当企業集団では、サステナビリティ基本方針を策定のうえ、取り組むべき重要課題を定めております。

 

当企業集団は、サステナビリティ基本方針として、下記を掲げております。

私たち(さくらケーシーエスグループ)は、SMBCグループの一員としてSMBCグループの定めるサステナビリティに関する方針等に沿いつつ、その中でもIT業界に属するさくらケーシーエスグループにとって、特に重要度の高い課題に重点的に取り組みます。具体的には、「情報サービスの提供」を通じ、社会の発展に貢献するために一層の飛躍を実現し、かつ企業存続の脅威となる重大リスクを回避する観点から想定される課題として4つの柱を定め、100年企業に向けた事業活動を推進します。

これからも、私たちは「社会・お客さまから必要とされるさくらケーシーエスグループであり続け、持続的に成長するデジタル社会の実現」を目指してまいります。

 

 

(2) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当企業集団のサステナビリティを巡る取組みについては、当企業集団の経営全般に関する事項を所管する経営企画部にて企画・推進しております。経営企画部にて、サステナビリティに関連する重要なリスク及び機会を特定し、それらをモニタリングするとともに、対応方針の立案と事業戦略への反映、関連部署への展開を実施しております。

また、重点項目の取組みは、当企業集団全体のリスク評価を行っている「リスク管理委員会」と連携して対応いたします。サステナビリティに関する取組みの進捗状況は、定期的に取締役会へ報告を行うとともに、当社ホームページ等で開示いたします。

 

(3) 重要なサステナビリティ項目

当企業集団は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、2023年4月より開始した中期経営計画において、「情報セキュリティが確保され続けることを前提としたうえで、収益力の大幅な飛躍とその利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す」ことを掲げております。そのなかで、上記、ガバナンス及びリスク管理を通し、当企業集団における重要なサステナビリティを巡る課題として4項目を掲げ、以下の取組みを行っております。

 

① 事業継続につながる情報セキュリティの強化

情報セキュリティリテラシーの向上などの社員教育や、社内インフラ・環境整備による安全性の向上と情報漏えい対策の強化に取り組んでおります。

 

② 深刻化するサイバーセキュリティリスクへの対応

最適なセキュリティ投資による予防的対策の充実やゼロトラストを前提とした社内の情報セキュリティマネジメントに加え、社会・お客さま向けには情報セキュリティサービスの提供や、セキュリティ対策を組み込んだシステム構築を行っております。

 

 

③ 持続的成長の源泉である人(社員等)への投資

安定的な処遇改善や自律的キャリア形成意識の醸成を通じた人材育成に取り組んでおります。

 

④ 誰もがいきいきと活躍できる就労環境整備

健康経営の推進や子育て・介護の両立支援、シニア社員の就労機会創出などにより、社員の活躍機会を広げております。

 

なお、人材の多様性を確保するため、当企業集団における主要な事業を営む当社においては、下記の方針を定め、取り組んでおります。

 

イ 人材の多様性確保の考え方

当社は、性別や国籍にとらわれることなく能力や実績等により平等に評価する人物本位の人材登用を行っており、これらの人材が活躍できる職場環境の整備に努めております。また、社内に異なる経験・技能・キャリアを反映した多様な価値観が存在することが、企業の持続的な成長に資するとの認識のもと人事部内にダイバーシティ推進室を設置し、人材の多様性確保とそれを促す従業員意識の向上等に努めております。

 

a.女性の管理職への登用

女性の役員登用実績はありませんが、部長職については、当連結会計年度末現在においては2名、本有価証券報告書提出日現在においては3名の女性を登用しております。

また、女性従業員の新卒採用も積極的に進めております。

 

b.外国人・中途採用者の管理職への登用

当社は、管理職登用において、性別、年齢、国籍にとらわれることなく、期待する役割に応じた能力と実績により平等に評価して判断するものとしております。

 

c.その他の多様性確保

当社は、高齢者活躍の機会拡大に資するよう、定年後再雇用制度の設計見直し等諸施策を推進しております。

 

ロ 多様性の確保に向けた人材育成方針

当社は、持続的成長の原動力は人材の多様性確保であるとの認識のもと、多様な人材が当たり前に活躍できる社内風土醸成に努めております。また、2023年4月より開始した中期経営計画では重点テーマの一つに「人(社員等)への投資の強化」を掲げ、自律的キャリア形成意識醸成を支援する人材育成として、従業員が自主的に受講できる研修を大幅に拡充したほか、ダイバーシティ推進室が主体となり、アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)排除のためのセミナーを実施するなど、女性従業員の自律的キャリアアップの意識向上支援等を推進しております。

 

ハ 多様性の確保に向けた社内環境整備方針

当社は、健康経営が重要な経営課題の一つであるとの認識のもと、従業員の誰もがいきいきと働ける社内環境の整備に向けて、以下の施策を実施しております。

従業員の会社に対する意識を把握し、組織活性化に役立てるための有効なツールである従業員意識調査の活用。

・勤務間インターバル制度の導入やフレックス型シフト勤務パターンの拡充、リフレッシュルームやサテライトオフィス等の設備の充実。

・介護休暇の日数や種類の拡充、介護支援に関する情報提供やセミナーの開催。

・男性の育児休暇取得の啓蒙、育児休暇からの復職者に対する支援面談の継続実施。

・業務経験豊富な専任メンターによる従業員へのサポート体制の整備。

 

 

(4) 指標及び目標

当企業集団では、上記「(3) 重要なサステナビリティ項目」に記載の重点取組項目の進捗状況については、下記指標で管理いたします。当該指標に関連する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

なお、指標③及び④に関する目標及び実績は、当企業集団における主要な事業を営む当社のものを記載しております。

 

重点サステナビリティ項目

指標

目標

(2025年度末時点)

実績

(当連結会計年度)

①事業継続につながる情報セキュリティの強化

情報セキュリティ及びサイバーセキュリティインシデント発生件数

0件

0件

②深刻化するサイバーセキュリティリスクへの対応

連結売上高セキュリティ投資比率

0.5%以上

0.3%

③持続的成長の源泉である人(社員等)への投資

部長級に占める女性の割合

10.0%以上

4.3%

④誰もがいきいきと活躍できる就労環境整備

社員向け職場アンケートにおける社員満足度の向上

年1回のアンケート

を実施し、

社員の声を反映

アンケート未実施

 

(注) 1 指標①及び②については、当企業集団の指標であり、当企業集団の実績を掲載しております。

2 指標③及び④については、当社の指標であり、当社の実績を記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当企業集団の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当企業集団が判断したものであります。

 

(1) 情報セキュリティに関するリスク

当企業集団は、お客さまへの情報サービスの提供にあたり、個人情報や機密情報を含むさまざまな情報資産をお預かりしております。不正アクセスやサイバー攻撃、コンピューターウイルスといった情報セキュリティ上の問題及びシステムの障害、人的ミス等によりこれらの情報資産を流出させた場合には、お客さまなどからの損害賠償請求や信用失墜などにより、当企業集団の経営成績等に一定の影響を及ぼすことが考えられます。

こうしたリスクをサステナビリティに関する重要なリスクとして認識し、リスク回避のための具体的な取り組みを推進しております。また、「情報セキュリティ委員会」において管理体制を含めた情報セキュリティに関する事項全般及び個別の情報セキュリティ対策について協議を実施しているほか、個人情報保護対策としてプライバシーマークを取得しております。また、必要に応じて外部専門家の助言を取り入れるなど、情報セキュリティ管理の高度化を図っております。その他、大量の情報を取り扱うデータセンターサービスやBPOサービスの運営部署においては、第三者機関から情報セキュリティに関する国際規格「ISO/IEC 27001」の認証を受けております。

 

(2) 環境変化に伴うお客さまの情報化投資動向に関するリスク

当企業集団は、金融機関及び地方公共団体、一般事業法人など、幅広い分野・業種のお客さまに対して、情報サービスの総合的な提供を行っております。お客さまにおける情報化投資動向は、社会情勢や景気変動、法令・規制・制度変更など環境変化に左右されるため、これらによって、当企業集団の経営成績等に一定の影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応策として、新規顧客開拓や既存顧客深耕による顧客基盤の拡大及び事業ポートフォリオの再構築に取り組んでいるほか、サービス提供型のストックビジネスを強化することにより、経営成績等の安定化に取り組んでおります。また、経営成績等の急激な変動に備えるため、内部留保の充実及び十分な現預金残高の確保により、健全な財務体質の維持に努めております。

 

(3) 特定の取引先の動向に関するリスク

その他の関係会社である株式会社三井住友フィナンシャルグループ及び株式会社三井住友銀行の両社を含むSMBCグループ並びに法人主要株主である富士通Japan株式会社を含む富士通グループは、当企業集団の大口かつ安定した取引先であり、両グループの業績及び情報化投資が当企業集団の経営成績等に一定の影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応策として、両グループとの取引深耕と両グループ以外のビジネス拡大につながる新しい技術への取り組みや新しい事業領域への参入を進めるとともに、両グループの動向に左右されない一般民需分野向け直販ビジネスを強化することにより、影響の軽減を図ってまいります。

 

 

(4) システム構築業務に関するリスク

当企業集団の主力品目であるシステム構築については、お客さまからの要求が複雑化・大型化・短納期化する傾向にあり、お客さまと合意した品質・納期の未達成やコストの増加などにより不採算化することで、当企業集団の経営成績等に一定の影響を及ぼす可能性があります。

こうしたリスクへの対応策として、大規模システム構築案件のリスク管理強化の観点から、関連部門による「見積検討会」において受託是非の検討を行うとともに、取締役社長等本部役員をはじめプロジェクト担当部署及びその他の所管部署を構成メンバーとした「システム案件協議会」において案件毎の受託可否の判断のほか進捗状況確認や対応指示などを行う体制をとっております。さらに、「本部の所管部門による第三者検証」「不採算案件の予兆段階での早期発見」「予兆を発見した案件の個別管理及び全社的対応による早期収束」に加え、2022年4月より「大口不採算となり得る案件を集中対応により早期収束を図る専任組織」を新設するなど、社内管理体制を強化しております。また、こうした体制強化などの組織対応に加え、「プロジェクト管理ツール」によるモニタリングなどシステム面でも対応を強化しており、全社を挙げて不採算案件の発生抑制及び品質の向上に努めております。

 

(5) システム運用管理業務に関するリスク

当企業集団のシステム運用管理業務については、自社保有のデータセンターによる各種サービスやBPOサービスの提供を行っており、大規模な自然災害や設備の不具合、感染症のパンデミック、運用上のミス等によりサービスの提供に重大な支障が生じた場合には、お客さまなどからの損害賠償請求や信用失墜などにより、当企業集団の経営成績等に一定の影響を及ぼすことが考えられます。

こうしたリスクへの対応策として、各種設備の維持・強化や他のデータセンター保有事業者との相互協力・バックアップ体制の構築、運用要員の育成、執務環境の整備、一部の運用業務のリモート化など、運営体制の強化に取り組んでおります。また、第三者機関からITサービスマネジメントシステムに関する国際規格「ISO/IEC 20000」及び事業継続マネジメントシステムに関する国際規格「ISO 22301」の認証を受けております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

当連結会計年度における当企業集団の経営成績等の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当企業集団の当連結会計年度の業績につきましては、産業関連部門のシステム構築が減少したほか、金融関連部門のシステム運用管理及び公共関連部門・産業関連部門のシステム機器販売が減少したことなどにより、売上高は、前年同期比1,206百万円(4.9%)減の23,588百万円となりました。

 

一方、損益面につきましては、減収影響があったものの、不採算案件の発生抑制や生産性の向上、個々の案件収支の改善などにより売上総利益率が改善したことを主因として、営業利益は993百万円と前年同期比173百万円(21.2%)の増益、経常利益も1,038百万円と前年同期比160百万円(18.2%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益も748百万円と前年同期比146百万円(24.4%)の増益となりました。なお、特別利益として、第2四半期に固定資産売却益38百万円を計上しております。

 

連結のセグメント別売上高は、次のとおりであります。

 

①  金融関連部門

SMBCグループ向けのBPO業務量減少などによりシステム運用管理が減少したことに加え、SMBCグループ向け以外のシステム構築案件も減少したことから、売上高は6,485百万円と前年同期比546百万円(7.8%)の減収となりました。

 

②  公共関連部門

前年にあった兵庫県下自治体の庁舎移転に伴う大口システム機器販売の反動減があったものの、公団体向けのシステム開発案件の増加などがあったことから、売上高は6,987百万円と前年同期比189百万円(2.8%)の増収となりました。

 

③  産業関連部門

前年にあったERPソリューションをはじめとする大口システム開発案件、大手ベンダー向け基盤案件の減少などを主因としてシステム構築が減少しました。加えて、前年にあった大口システム機器販売案件の減少を主因としてシステム機器販売も減少したことから、売上高は10,115百万円と前年同期比849百万円(7.7%)の減収となりました。

 

 

当連結会計年度末における財政状態は、前期に計上した大口売上債権を回収したことによる現金及び預金の増加等を主因として、総資産が前期比520百万円増加し、22,808百万円となりました。また、純資産につきましても、利益剰余金の増加等を主因として、前期比492百万円増加し、17,833百万円となりました。

この結果、自己資本比率は前連結会計年度末比0.4%上昇し、78.2%となっております。

 

(2) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末比1,024百万円増加し、8,428百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比1,931百万円増加し、1,743百万円のプラスとなりました。資金が増加した主な要因は、前期末の大口売上債権の回収により大幅に当期資金が増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比360百万円増加し、201百万円のマイナスとなりました。資金減少の主な要因は、固定資産の取得による支出によるものであります。なお、前年同期比で資金が増加した主な要因は、有形固定資産の売却による収入に加え、無形固定資産の取得による支出が減少したことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期比51百万円増加し、518百万円のマイナスとなりました。資金減少の主な要因は、リース債務の返済及び配当金の支払いによるものであります。

 

 

(3) 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

生産高(百万円)

前年同期比(%)

金融関連部門

 

 

  システム構築

5,536

101.3

  システム運用管理

854

69.4

  その他の情報サービス

130

73.8

  小計

6,520

94.9

公共関連部門

 

 

  システム構築

3,272

113.8

  システム運用管理

1,917

110.0

  その他の情報サービス

804

91.5

  小計

5,994

109.0

産業関連部門

 

 

  システム構築

5,410

96.2

  システム運用管理

2,071

101.6

  その他の情報サービス

1,043

87.8

  小計

8,525

96.3

合計

21,041

99.1

 

(注) システム構築の生産高については、当連結会計年度の販売実績高に仕掛増減額の販売高相当額を加味し、算出しております。なお、それ以外につきましては、販売高を記載しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

金融関連部門

 

 

 

 

  システム構築

5,213

96.3

1,737

87.4

  小計

5,213

96.3

1,737

87.4

公共関連部門

 

 

 

 

  システム構築

3,233

109.1

951

94.4

  小計

3,233

109.1

951

94.4

産業関連部門

 

 

 

 

  システム構築

5,244

101.9

1,008

90.0

  小計

5,244

101.9

1,008

90.0

合計

13,691

101.2

3,698

89.8

 

(注) システム構築以外の業務については、継続業務が大半であり、業務も多岐にわたり把握することが困難なため、システム構築についてのみ記載しております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

販売高(百万円)

前年同期比(%)

金融関連部門

 

 

  システム構築

5,463

97.9

  システム運用管理

854

69.4

  その他の情報サービス

130

73.8

  システム機器販売

37

83.9

  小計

6,485

92.2

公共関連部門

 

 

  システム構築

3,289

114.3

  システム運用管理

1,917

110.0

  その他の情報サービス

804

91.5

  システム機器販売

975

75.2

  小計

6,987

102.8

産業関連部門

 

 

  システム構築

5,357

90.8

  システム運用管理

2,071

101.6

  その他の情報サービス

1,043

87.8

  システム機器販売

1,643

89.6

  小計

10,115

92.3

合計

23,588

95.1

 

(注) 1 主な相手先別の販売実績及びそれぞれの総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高

(百万円)

割合

(%)

販売高

(百万円)

割合

(%)

富士通㈱

4,459

18.0

4,098

17.4

㈱三井住友銀行

2,221

9.0

2,189

9.3

 

 

なお、上記の販売実績以外に、㈱三井住友銀行の情報システム部門で行っているシステム関連機能については、㈱日本総合研究所を通じて取引しており、同社、同社子会社の㈱日本総研情報サービスへの販売実績は、次のとおりであります。

㈱日本総合研究所

1,793

7.2

1,817

7.7

㈱日本総研情報サービス

138

0.6

127

0.5

 

 

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)

経営者の視点による当企業集団の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当企業集団の当連結会計年度の経営成績等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当社の経営課題は収益力の向上と考えており、外部環境の変化に影響を受けない収益体質への転換を図っております。具体的には、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載のとおり、「情報セキュリティが確保され続けることを前提としたうえで、収益力の大幅な飛躍とその利益を源泉とした投資サイクルの確立によりサステナブルな成長を目指す」ことを基本方針として、重点的に取り組む5項目を確実に進めてまいります。

当企業集団の経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

当企業集団の当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

翌連結会計年度のキャッシュ・フローの見通しにつきましては、本社ビルの設備更改等による支出を主因とする投資活動による資金減少や、リース債務の返済及び配当金の増配に伴う支払額の増加により財務活動における資金減少を見込む一方、期末に増加した売上債権の回収による資金増加を主因とし、営業活動による資金増加を見込むため、翌連結会計年度末の資金は当連結会計年度末に比べて増加する見込みであります。

なお、設備投資の所要資金については、主に自己資金を充当し、必要に応じてリースを利用する予定であります。

 

セグメントごとの当連結会計年度の経営成績等につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであり、セグメントごとの課題・対策については、次のとおりであります。

 

①  金融関連部門

SMBCグループの情報化投資は堅調に推移しております。このため、引き続きSMBCグループ取引に最注力し、既存案件に対する取組方法の見直しを進め、品質と生産性の向上を両立させて利益率の向上を図ってまいります。また、これまで得意としてきた情報系システム等の業務領域を拡大させるとともに、システム基盤の構築案件への取組みを強化してまいります。

 

②  公共関連部門

自治体との直接取引は、既存顧客における基幹システムの更改案件が一巡していることに加え、大きな制度改正等も予定されていないため、自治体周辺業務や文教向け自社ソリューションの競争力強化を図ってまいります。また、2025年に集中することが想定される自治体基幹システムの標準化やガバメントクラウドに対する準備に注力するとともに、その後を見据えた商品戦略策定に着手いたします。

 

③  産業関連部門

一般民需分野における情報化投資は、デジタル化・オンライン化など新たな生活様式への対応やDX関連投資等の需要が強まることが見込まれることから、商品・サービスの一層の拡充を図り、ニーズに的確に対応してまいります。また、クラウドやリモートワークの進展による通信量や処理量の増加を背景に、より高度なサービス提供等によるデジタル基盤ビジネスの拡大を図るほか、情報セキュリティに関するサービスの拡充にも注力いたします。

 

 

(2) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当企業集団の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

受注損失引当金

当企業集団は、ソフトウェアの請負契約に基づく開発案件のうち、当連結会計年度末時点で将来の損失が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積もることが可能なものについては、翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額に対して、受注損失引当金を計上しております。

開発案件の総原価の見積りに当たっては、お客さまからの要求事項をもとに、見積範囲、システム規模、リスク等を踏まえ、システム開発原価基準に基づき工数、原価を算出し、見積原価額を決定しておりますが、仕様の変更や作業内容に想定外の不具合が生じた等の事象が発生した場合に、総原価の金額に影響を与える可能性があります。

このため、一定規模以上の開発案件については、事業部に加え、社内において品質・生産性の全般を管理している品質管理部による「見積検討会」を開催し、見積審査を行うとともに、取締役社長等本部役員をはじめプロジェクト担当部署及びその他の所管部署を構成メンバーとした「システム案件協議会」において案件毎の受託可否の判断のほか進捗状況の確認を行う体制としております。加えて受注損失引当金を計上する案件については決算期毎に品質管理部にて引当金額の妥当性を検証しております。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社は、お客さまの経営課題解決に活用できるITソリューションを提供し続けるため、研究開発活動を行っております。

研究開発活動は、市場ニーズの変化や新技術への対応等、当社競争力の向上に資するものであることを基本方針として、金融・公共・産業関連の幅広い分野で培ったノウハウを活用し、より付加価値の高いサービス及び商品を提供するために実施しております。

当社では、研究開発を専門とする部署は設置しておりませんが、DX推進部を所管部とし、各事業部門において研究開発課題を選定し、実施する体制をとっております。なお、2023年4月1日付の組織変更により所管部が事業推進部へ変更となっております。

なお、子会社の株式会社KCSソリューションズは、研究開発活動を行っておりません。

 

当連結会計年度の研究開発費の計上額は11百万円であります。

 

セグメント別の研究開発活動は、次のとおりであります。

 

(1) 全社共通

全社共通における当連結会計年度の研究開発費の計上額は11百万円であり、主な活動内容は次のとおりであります。

① AI FAQチャットボット「BREAD」回答精度向上のための研究開発

「BREAD」は当社が開発したAI FAQチャットボットであります。AIによる回答精度の向上に関して、ユーザ自身で精度を向上するための仕組みの構築及び、複数カテゴリのFAQを混在して運用できる仕組みの構築について、技術研究を行いました。

本研究開発の成果は、今後の商品開発を含む当社のソフトウェア開発に活かしてまいります。

 

② システム開発のためのプラットフォーム構築に関する研究

システム開発における品質及び生産性向上を目的として、全社共通のプログラム開発作法及びJavaWebシステム向けのフレームワーク作成の技術研究を行っております。

なお、この技術研究は、2024年5月までの実施を予定しております。