第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の基本方針

我が社は、信用を重んじ確実を旨とし、事業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献することを期する。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題

当社グループは、新型コロナウイルス感染拡大の影響をはじめとした不確実な状況や、社会・環境の急激な変化にも適応できるよう、これまで以上に経営基盤を強化するとともに、社会課題の変化を成長機会に結びつけることで将来につながるサステナブルな経営を推進するべく、2021年度から3か年の中期経営計画に取り組んでおります。その骨子は、次のとおりであります。

 

ビジョン

プラスチックの可能性を広げ、お客様の価値創造を通じて、

「未来に夢を提供する会社」を目指す

中期基本方針

SDGsに則し機能性化学分野で

「ニッチ&トップシェア」を実現、事業規模の拡大を図る

基本戦略

・競争優位性のある新製品の開発、早期戦力化

・既存製品の収益力強化、新規顧客・用途・地域の拡大

・成長領域における積極的な戦略投資(M&A、DX等)

数値目標*

最終年度(2023年度)

売上収益3,000億円 事業利益300億円 ROE10%

 

*本中期経営計画の策定時に掲げた最終年度の数値目標(売上収益2,500億円、事業利益250億円、ROE10%)は、ROEを除いて初年度である2021年度において達成することができたため、2022年度に最終年度の数値目標を見直しております。

 

本中期経営計画の最終年度である2023年度における全社取り組みの詳細については、「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。事業分野別の取り組みは次のとおりであります。

 

(半導体関連材料)

将来の市場成長を見据えて中国および台湾の新生産ラインにより生産体制を強化するとともに、先端材料向け製品や環境対応製品などの高機能材料の開発や拡販を進めることで、グローバルシェアのさらなる拡大を目指します。また、モビリティ向け戦略製品の拡販や欧米での現地生産拠点の確立、電動車向け樹脂化電動アクスルの取り組み等を通じて、モビリティ分野において確固たる地位を築きます。

 

(高機能プラスチック)

グローバルに展開する拠点間の連携により基盤製品のシェア拡大を通じて収益力を向上させ、成長分野であるモビリティ・交通、通信・制御、エネルギー・環境向けの事業強化と、不採算事業の改善により、製品ポートフォリオの変革を加速します。

 

 

(クオリティオブライフ関連製品)

・医療機器事業およびバイオ事業

営業効率の向上や製品ラインナップの拡充など、SBカワスミ株式会社との医療機器事業の統合によるグループシナジーの最大化を図るとともに、戦略製品である血管内治療や消化器向け製品のシェア拡大を目指します。バイオ事業では、自社製造の体外診断用医薬品の拡販やパートナー企業との積極的な協業などを通じて、事業規模の拡大を図ります。

・フィルム・シート事業

モノマテリアルやバイオマス材料を使用した環境対応製品の市場投入や食品包装用スキンパックの市場創出など新たな事業領域の開拓を進めるとともに、既存製品の拡販によるシェアアップを通じて、さらなる事業規模の拡大を目指します。

・産業機能性材料事業および防水関連事業

産業機能性材料では、光学制御製品や車載用絶縁材料などの差別化技術を生かした高付加価値製品への注力により、また防水関連では、住宅向けのみならず、大型の一般建築分野向けのビジネスを拡大することで、高収益のビジネスモデルへの転換を図ります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

当社グループは、基本方針である「我が社は、信用を重んじ確実を旨とし、事業を通じて社会の進運及び民生の向上に貢献することを期する。」に基づき事業活動を行っています。しかし、昨今、環境側面において、化石燃料を使うプラスチックに対するネガティブなイメージが抱かれやすいことは否めませんが、安全や安心、快適性を追求しながら、プラスチックを通じてしか発現できない実用的機能をもって社会課題を解決するという役割はこれからも重要であり続けると考えます。

当社グループが取り組むべきサステナビリティは、プラスチックの多様な機能を追求し、その可能性を更に広げながら、既存製品の環境負荷を最小化し、SDGs貢献度を高めると共に、新製品・新サービスを社会実装することにより、新たな環境的価値、社会的価値を創造していくことです。当社グループが提供するプラスチックのポジティブな本質的価値を世の中/お客様に認知いただくことで適正な経済的価値を生み出す、その総合的な取り組みを通じて、企業価値の持続的向上を図っていきます。

サステナビリティ経営の加速をはかるべく、グループ全体の取り組みの牽引をミッションとしたサステナビリティ推進部を、また全従業員がイノベーションに挑戦する企業カルチャー変革の基盤づくりを担うDE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)推進室を2023年4月に新設しました。すべての事業活動において、これからも基本方針に基づき、環境的価値、社会的価値を要件とした製品・サービスの研究、開発、製造、販売を行い、サステナブルな社会の実現に貢献できるよう、全社一丸となって取り組んでまいります。

当社グループの経営に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連のリスクおよび機会に対処するため、「SDGs貢献」、「気候変動対応」、「人的資本・多様性」に重点的に取り組んでいます。

 

(1)ガバナンス

当社グループのサステナビリティ関連のリスクおよび機会を監視、および管理するためのガバナンスの過程、統制および手続は、次に示すとおりで、この考え方は取締役会において決議しました内部統制システム構築の基本方針にも織り込まれています。

 


 

 

(2)リスク管理

サステナビリティ関連のリスクおよび機会の識別、評価、ならびに管理は、当社グループのリスクマネジメントプロセスに準拠し、実施しています。詳細については「第2 事業の状況 3.事業等のリスク (1)当社グループのリスクマネジメント体制」をご参照ください。

 

SDGs貢献
(3)戦略

SDGsは社会ニーズそのものであり、当社グループの基本方針にも通じるものであると考えています。当社グループでは、SDGsの目標3、7、8、9、12、13、14を重点的に取り組むべきSDGs領域「6+1」として定めるとともに、SDGsに寄与する製品を「SDGs貢献製品」と認定し、その売上収益比率を増加させる取り組みをSDGs推進委員会で行っています。

 

(4)指標及び目標

指標

目標

実績

SDGs貢献製品の売上収益比率

2023年度末 50%

2030年度末 70%

2021年度末 48%

2022年度末 53%(見込み)

 

自動車の電動化に欠かせないモーター磁石固定用材料、化石燃料を使わない植物由来のフェノール樹脂、フードロス削減にも寄与するスキンパック用フィルム、環境に配慮したバイオマス樹脂を用いた医薬品包装用シートなど、新商品・新技術の中からもSDGs貢献製品が次々と生み出されており、将来の当社グループを支える主力商品に成長していくと期待しています。

 

気候変動対応

(3)戦略

当社グループは2021年にTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言への賛同を表明し、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えやSDGs貢献製品比率アップに取り組むとともに、同年、全社横断のTCFDタスクチームを編成し、TCFD提言に基づく情報開示に向けた活動を推進しています。同タスクチームを中心に、2040年を想定した「気候関連シナリオ分析」を実施し、気候変動に伴う潜在的なリスクと機会を抽出しました。その中で、比較的財務影響が大きくなるであろうと想定されるリスクと機会を「シナリオ分析表」のとおり特定しました。

なお、2030年と2050年のGHG排出削減目標は、カーボンプライスの引き上げ、GHG排出規制の強化、化石燃料価格の変動等(これらは1.5/2℃または4℃シナリオにおいてリスクとして抽出)への対応策として取り組んでいます。それら取り組みの前倒しを図り、長期的な移行リスクを短・中期の事業機会へと転換し、売上拡大を図ります。

2022年度に引き続き、現中期経営計画の最終年度となる2023年度もサステナビリティ推進委員会が中心となって(本シナリオ分析結果からのバックキャストによる)短期的な施策の具体化を図り、社内関係部門へ展開、スピード感をもって実行・推進しています。

 

 

◆シナリオ分析表

<1.5℃/2℃シナリオ>

 

ドライバー

想定し得るシナリオ要素

(世の中の動き)

当社影響

インパクト評価

リスク

機会

政策および法規制

カーボンプライスの引き上げ

・カーボンプライスの上昇

<1.5℃シナリオにおけるカーボンプライス(先進国)>

 2030年:140USD/t-CO2

 2040年:205USD/t-CO2

 2050年:250USD/t-CO2

 (2022年 IEA World Energy Outlook)

・製造にかかるエネルギーコストの増加による操業コストの増加

リスク

・輸送コストの増加

リスク

市場

低炭素技術の進展

・再生可能エネルギー由来の電力需要の高まりによる電力価格上昇

・操業コストの増加

リスク

・バイオマス由来原料の需要の高まりによる原料の価格上昇

・バイオマス原料の高

リスク

低炭素技術の進展に伴うガソリン需要の減少

・ナフサはこれまでの副産品でなく主産品としての地位を得る

・ガソリンやディーゼル油とともにナフサは安定的に供給されるものの、価格は上昇

・ナフサの価格上昇による仕入・調達コストの増加

リスク

人やモノの移動のデジタル代替

・炭素税やGHG排出規制などの影響により人やモノが移動するための費用負担が大きくなる

・デジタルデバイスに搭載される半導体の需要増加

・半導体関連製品の販売拡大による売上増加

機会

低炭素技術の進展

・顧客からの資源循環の要求

・3R+Renewable(持続可能な資源)関連製品への切替加速

・3R+Renewable製品の早期上市による売上増加

機会

低炭素技術製品の需要拡大

・低炭素社会へとシフト

・炭素税やGHG排出規制が強化

・経済性を考慮したCO2輸送技術の開発やそのインフラ整備が進む

・低炭素製品/サービスの販売拡大による売上増加

機会

EV関連需要の拡大(電池用部材、自動車用軽量化素材)

・自動車販売台数に占めるEV車の割合は着実に増加し、EV車の販売台数は増加

・EVを対象とした製品/サービスの販売拡大による売上増加

・自動車用軽量化素材の売上増加

機会

 

 

 

<4℃シナリオ>

 

ドライバー

想定し得るシナリオ要素

(世の中の動き)

当社影響

インパクト評価

リスク

機会

市場

化石燃料価格の変動

・原油、天然ガスは価格が上昇
原油 2021年:69USD/barrel
   2030年: 82USD/barrel
    2050年: 95USD/barrel

 天然ガス 日本 2021年:10.2USD/MBtu*
             2030年:10.9USD/MBtu*
             2050年:10.6USD/MBtu*

日本は下落 他の地域は上昇
(2022年 IEA World Energy Outlook)

*MBtu:百万英熱量

・仕入・調達コストの増加による原料コストの増加

・製造にかかるエネルギーコストの増加による操業コストの増加

リスク

物理リスク:急性

サイクロンや洪水などの異常気象の重大性と頻度の上昇

サイクロン、集中豪雨、洪水、干害などの激甚化、頻度上昇

・主要原料サプライヤー:操業停止

・自社製造拠点(国内外):操業停止

・操業の一時停止による売上減少

リスク

「レジリエントな都市づくり」が推進される

→自然災害に強い建材、産業用資材の需要増
(要求機能例:軽量/高耐久/耐衝撃/高断熱・遮熱/耐火等)

・建材向け各種シート製品、防水シート製品/サービスの売上増加

機会

・食肉用家畜の減少 → 長期保存用食品/加工品包装材の需要増

・農作物の収穫量の減少 → 青果物包装材の需要増

・各種包装フィルム製品の売上増加

機会

感染症/気温上昇に伴う疾病・移動制限

・地域病院・自宅等での診断および遠隔診断の必要性増

・環境変化に敏感な幼児・高齢者に対する医療機会(診断・治療)の増大

→POCT(POCT:Point of Care Testing)/医療機器の需要増大

・ヘルスケア製品の販売拡大/売上増加

・医薬品パッケージの需要増

機会

 

 

 

(4)指標及び目標

指標

目標

実績

CO2排出量削減

(Scope1+Scope2)

2030年度 46%以上削減

(2013年度比)

2022年度 40%削減見込み

(2013年度比)

 

化学産業界の一員として、SDGsの中でも気候変動への対応は特に重要であると考えており、2020年3月に策定した「環境ビジョン2050(ネットゼロ)」をもとに、省エネ活動、太陽光発電等の取り組みを進め、2022年1月からは国内全事業所へ再生可能エネルギー由来の電力を導入しています。

 


 


 

住友ベークライトグループCO2排出量
(Scope1+Scope2)(国内+海外) 

(注)表および図のデータには、Vaupell Holdings, Inc.(2014年6月より連結子会社化)、SBカワスミ株式会社(2020年10月より連結子会社化)の連結子会社化前のCO2データも加えております。

 

人材育成および社内環境整備に関する方針

当社グループは、人的資本・多様性に関して、「DE&Iの推進」および「人材育成の充実化」に重点的に取り組んでいます。

 

(3)戦略
DE&Iの推進

当社は、経営として取り組む重要課題の一つとして「DE&I」を掲げ、2022年10月に策定した「DE&Iの実現に向けた基本方針」に基づき、多様な人材が個性や能力を発揮し、一人ひとりの状況に応じた公正な機会が提供され、相互の理解と尊重のもとでいきいきと活躍できる会社の実現に向けて取り組んでおります。

まずは、女性の活躍推進を第一歩として、女性社員が自身のライフイベントとキャリアを両立できるよう、女性社員が次の3点を実現できることを目標に掲げて各種施策に取り組んでおります。

・安定的、長期的に働き続けることができる

・高いパフォーマンスを発揮することができる

・高い職位を目指すことができる

2022年度は女性の活躍を後押しする風土作りのために、経営層を対象としたダイバーシティ推進教育と、女性を部下に持つライン長を対象としたダイバーシティ・マネジメント教育を実施いたしました。

また、2023年4月に本活動を推進するための専任部署として、DE&I推進室を設置いたしました。女性活躍をはじめとして、シニア層の活躍、介護者の支援、外国人材の採用、障がい者雇用の拡大、LGBTQへの理解等の更なる推進に取り組みます。

 

人材育成の充実化

<人材教育(SBスクール)>

当社では人材育成に関わる教育研修や仕組みの体系を“SBスクール”と銘打ち、当社グループ事業の持続的成長に必要な多くのことを学び、体験する場を提供しております。事業活動に関わる全部門・全階層に対して、必要な教育プログラムを企画し、体系的かつ計画的に実施することにより、事業に有為な人材の育成をおこない、当社グループ事業の持続的成長と企業価値の向上を目指しております。

“SBスクール”は、従業員一人ひとりの成長こそが、事業の持続的成長の源泉になると考え、在籍する全ての従業員を受講対象者としており、在学期間は従業員が当社に入社してから退職するまでの全ての期間です。

求める人材・育てたい人材

住友ベークライト流自立的人材像

■仕事に必要な新知識・新技能の習得に意欲的な、成長志向型人材

■今が最悪、絶えずもっとよい仕事を考える、変革志向型人材

■より高い仕事の成果のため、自身の力と周囲の力の和が発想できる、チーム型人材

■知識と技能に優れ、国内・外の仕事において通用し成果を生み出す、プロフェッショナル人材

 

 

<DX推進/データサイエンティストの育成>

当社は、データサイエンスを活用したイノベーションを推進し、持続的な成長を実現するために、DX推進やマテリアルズ・インフォマティクス(MI*)技術の社内実装にむけて2021年から高度なデジタルスキルを有する人材の社内育成に注力しています。これまでに累計200名超にリテラシー等に関する基礎教育を、45名に対してデータサイエンティストとしてのスキルを磨くための長期研修を実施してまいりました。彼らの活躍により、データ科学技術を取り入れた研究・開発業務の効率化や省コスト化、製品機能の向上など、多くの成果が生まれています。

今後データサイエンスの活用および全社的なDXをさらに推進するため、2023年度から新たに関連する教育講座を増設するとともに、褒賞制度も含めたデータサイエンティスト社内認定制度を新規導入します。この制度は、当社におけるデータサイエンティストの役割や立ち位置を明確化し、スキルを磨き実践的な成果を上げた社員を社内認定することで、継続的に高い成果を生み出す体制を構築するものです。

さらに認定者以外にも、各種教育を通じてプログラミングやデータ分析技術に精通し、課題解決が可能な「データ活用人材」の輩出を目指します。

*MIとは…データ科学と物質・材料に関するデータとを駆使して新規材料の発見や高機能化など材料科学の諸問題を解明するための科学技術的手法

 


 

(4)指標及び目標
DE&Iの推進

「戦略」において記載した多様な人材の確保と活躍に関する方針および社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取り組みが行われているものの、必ずしも連結グループに属する全ての会社において行われているわけではないため、連結グループにおける記載は困難であります。このため、次の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。

 

 

<連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のデータ>

指標

目標

実績(当事業年度)

女性管理職比率

2025年4月までに5%

3.8%

男性の育児休業取得率

2024年3月までに50%

25.9%

障がい者雇用率

2025年3月までに2.7%

2.7%

 

 

・女性管理職比率の向上

これまでも性差なく管理職への登用を行ってきましたが、積極的な女性採用と離職の防止などの施策に加え、今後推進するDE&I活動を通じた各種施策により、同比率の向上を目指していきます。

 

●管理社員における女性比率の推移


 

(注)1 執行役員を除く管理社員を対象としています。
2 管理社員の資格を有した出向者を含みます。
3 比率は各年度末の値です。
4 住友ベークライト単体の数値です。

 

・男性の育児休業取得率の向上

当社では育児目的休暇として「妻の出産休暇」を設けており、出産日を基準に3日前から2週間後までの間に断続的に5日(有給)の休暇を取得することを可能としています。また、2023年10月の法改正により新たに創設された「出生時育児休業」については、男性従業員の育児休業取得の妨げとならないよう、取得期間の初めの5日を有給(100%)としております。その結果、妻の出産休暇との合計で10労働日について有給での休暇取得が可能となっております。

これらの育児に関する制度を周知するとともに、男性従業員が育児に参加するために柔軟に休暇が取得できる職場環境を整備し男性育児休業取得率の更なる向上に取り組んでまいります。

 

・男女の賃金の差異の低減

男性従業員の支払い賃金を100とした場合の女性従業員の賃金割合は、全労働者69.5%、正規雇用労働者70.1%、パート・有期労働者84.7%となります。

当社の賃金(例月の基準内賃金、諸手当、賞与)において、性別により支給条件が異なる賃金項目はありませんが、正規雇用労働者については管理社員の平均勤続年数が男性と女性で差があること(男性は女性の1.4倍)、非正規労働者については再雇用嘱託社員の賃金水準が採用区分で異なっており現時点で定年を迎えている賃金水準の高い本社採用社員のほとんどが男性であることから賃金差異が生じております。これらの要因に対して、積極的な女性採用と離職の防止、管理社員への登用拡大等により、男女の賃金差異の低減に取り組んでまいります。

 

・障がい者雇用率の維持・向上

当社は法令に定めるとおり障がい者を雇用していくことを、企業の社会的な使命の一つと捉えております。障がいがありながら仕事をしていくために必要な配慮を行いつつ、ほかの従業員と同様に安全・安心な職場で、その能力を継続的に発揮・育成できる環境づくりに努めております。

また、障がいのある学生をインターンシップとして受け入れるなど、個人にあった仕事や働き方を見つける機会を提供するとともに、継続的な採用活動に取り組んでおります。

 

●最近5年間の障がい者雇用率推移


 

(注)各年度の障がい者雇用率は、各月1日時点の障がい者数の合計値を、同時点の常用雇用者数の合計値で除して算定しています。

 

人材育成の充実化

DX推進/データサイエンティストの育成に関わる指標および目標は下表のとおりです。

指標

目標

データサイエンティスト認定者の輩出

2023年度末 40名

2026年度末 90名

データ活用人材

2023年度末 95名

2026年度末 250名

 

 

 

3 【事業等のリスク】

 

(1) 当社グループのリスクマネジメント体制

 当社グループのリスクマネジメント体制は次のとおりであります。

[サステナビリティ推進委員会]

グループのサステナビリティ活動を継続的かつ全社的に行う母体として設置しています。下部委員会であるリスクマネジメント委員会の方針・計画・実績・外部公表する項目および数値について承認し、これらを取締役会に報告しています。

[リスクマネジメント委員会]

当社グループの経営成績等に重要な影響を与える主要リスクの選定、主要リスクの対応策の妥当性確認、追加検討すべき対策についての指示などを個別リスク主管部、各事業部門に対して行っています。リスクマネジメント委員会の委員は、社長、事業統轄役員、個別リスク主管部の長で構成されています。2022年度は4回開催されました。

[個別リスク主管部]

総務本部・人事本部・経理企画本部・生産技術本部・研究開発本部・情報システム部・調達本部などの個別リスク主管部は、所管するリスクについて、当社グループの各事業部門と連携を取りながら、当社グループ全体の対応策を立案・推進しています。

[各事業部門]

当社グループの営業部門、工場、研究開発部門などの各事業部門は、本来業務の一部として、自部門、自社の業務遂行上のリスクを適切に管理するためにさまざまな対策を講じています。

 

 

 

●リスクマネジメント体制

 


 

なお、上記のほか、当社グループは、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりの企業統治体制を整え、リスクマネジメントを含む内部統制システムを整備・運用しております。

 

当社グループにおける主要リスクの選定・承認は年1回実施しており、そのプロセスは次のとおりであります。

・リスクマネジメント委員会は、各事業部門・個別リスク主管部の統轄役員から 「主要リスク抽出質問票」(リスクの内容と当該リスクが顕在化した場合の影響、発生可能性、影響度、現状とっている主な対応について、事業部門・個別リスク主管部としての評価を記入)の回答を収集。また、社長からのヒアリングを実施。

・「主要リスク抽出質問票」で抽出されたリスクについて、影響度と発生可能性を掛けあわせて算出したリスク値が高いものを主要リスク候補として、リスクマネジメント委員会にてリスクマップの作成、主要リスクの選定・承認、主要リスクに対する次年度の対応計画への反映を実施。

・サステナビリティ推進委員会は、選定された主要リスクおよび主要リスクに対する対応計画を承認し、取締役会に報告。

 

 

●主要リスクの選定・承認フロー


 

■  発生可能性のレベル選択の目安

レベル

発生可能性のレベル選択の目安

1) 発生可能性-低

100年に1回程度~10年に1回程度

2) 発生可能性-中

数年に1回程度~年に1回程度

3) 発生可能性-高

年に複数回以上

 

 

■  影響度のレベル選択の目安

レベル

影響度のレベル選択の目安

 (下記の複数が当てはまる場合は、一番影響度のレベルが高いものを選択)

金銭的影響

人命

評判(レピュテーション)

稼働への影響

1)影響度-小

~5,000万円

・医師の手当てが必要な

 傷病者が発生

・日常の管理で解決する

・1拠点に限り数日程度

  の稼働に影響

2)影響度-中

5,000万円~

10億円

・入院が必要な傷病者が

 発生

・マスメディア・WEB媒

  体に(悪い意味で)小さ

  く取り上げられる

・一部の取引先や消費者

  の信用を失う

・1拠点に限り数週間の

  稼働に影響

・複数拠点で数日程度の

  稼働に影響

3)影響度-大

10億円~

・死亡者が1名以上発生

・傷病者が多数発生

・マスメディアやWEB媒

  体に(悪い意味で)大々

  的に取り上げられる

・取引先や消費者の信用

  を著しく失う

・1拠点に限り数ヶ月以

  上稼働に影響

・複数拠点で数週間の稼

  働に影響

 

 

 

(2) 主要リスクの内容と顕在化した際の影響、主要リスクへの対応策

本報告書に記載した当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要リスクには、下記のものがあります。ただし、これらは当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項は、「第2 事業の状況」の他の項目、「第5 経理の状況」の各注記、その他においても個々に記載しておりますので、併せてご参照ください。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

      主要リスクとして挙げた各リスク項目のリスクマップ上の位置

 

発生可能性

影響度

・法令および規制への対応

・製品の品質

・ 災害・事故・パンデミック

・ 地政学リスク

・ 情報セキュリティインシデント

・ 環境負荷低減対策

 

 

 

・原材料の供給問題、価格変動

 

 

 

 

 

 

1.原材料の供給問題、価格変動について

発生時期:短期

発生可能性:高

影響度:中

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・原材料については、原燃料価格の高騰によるサプライヤーの減産、素原料の入手困難による廃番、事業撤退、気候変動による寒波や洪水などの自然災害、感染症の拡大による供給停止や物流の混乱による遅れ、法令の改正や環境規制の強化に起因する供給の停止や廃番、原料需給ひっ迫、原油・非鉄金属などの相場に連動した価格の高騰、さらには原材料メーカーの事業ポートフォリオ見直しによる事業撤退が起こる可能性があり、そのような場合には、売上減少や収益性の悪化、事業の継続に支障が生じる可能性があります。

 

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・当社グループでは安定調達を第一に考え、重要原料につき調達先の複数化、適正在庫の確保などによりリスクの低減に努めております。日本国内から調達している重要原料の調達先約100社については、水害・地震・火災・パンデミックなどのBCP(事業継続計画)について調達先との協議を重ね、対策実施あるいは計画作成まで完了しました。欧米や中国から調達している重要原料の調達先約80社についても、代替品や安全在庫3ヶ月分以上の確保に向けた対応を進めております。また、新規原材料の採用にあたっては、BCP対策有無の確認に加え、現在製造や流通が禁止されている物質だけではなく、将来的に製造や流通が禁止される蓋然性の高い物質を含まないことを採用の基準の一つとし、リスク低減を図っております。

・植物や鉱物などの天産物由来の原料については、地域が変わることによって生じる組成や成分の違いをコントロールする技術開発にも継続して取り組んでおります。

・主要原材料の価格変動については顧客と協議の上、フォーミュラ制(原料価格変動分を製品価格に自動反映)を適用することも進めております。

・近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、サプライチェーンのBCP対応が重要視されております。このため、上記のような対応を充実化させることは当社グループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

 

2.災害・事故・パンデミックについて

発生時期:不定(ただし新型コロナは短期)

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・当社グループでは、想定される災害・事故等のうち「地震」「爆発・火災」「風水害」「パンデミック」を重大事態と位置付けております。特に近年、気候変動による大型の「風水害」や、新型コロナウイルス感染症に代表される世界規模の「パンデミック」が現実の事態となっており、当社グループのみならずサプライチェーン全体への影響を考える必要があります。

・これらの事態が発生した場合は、近隣住民・従業員の人的被害、施設・設備の損壊や電気・ガス・水道・通信機能の停止により、製品の供給を継続できない状況が発生する恐れがあります。また、顧客・調達先・物流の機能停止によるサプライチェーン分断により、事業活動の継続性が確保できない可能性があります。これらの結果、多額の損害賠償の請求を受けるなど、経営成績等に悪影響が及ぶ可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・当社グループでは、災害・事故等の発生時の事業の継続性を確保するためBCPを策定し、必要に応じて関係先と共有しております。また、減災対応や持続性確保として、これまでも適正在庫の確保、国内外事業所での生産体制の二重化、予備品の増強や復旧体制の制度化といった対策を行ってきました。なお、東日本大震災の際には、宇都宮事業所の建屋や設備の一部に損壊がありましたが、このBCPに従った行動で当社グループにおける被害を最小限に抑えることができました。

・一方で、当社グループでは、気候変動の影響や科学技術の進歩により、災害・事故等の発生頻度や影響の大きさ・範囲は、毎年変化するものであると認識しております。最新の情報を踏まえてこれらの対策の妥当性を毎年検証し、今後もBCPの見直しおよび訓練を実施してまいります。

・調達先各社の協力を得て実施しているサプライチェーンの上流におけるBCP確認と追加対応策の検討については、前述の「1.原材料の供給問題、価格変動について」のリスクへの対応・機会欄に記載のとおりです。

・また、上記災害のうち、当社グループの要因で引き起こされる可能性のある「爆発・火災」については、国内外の事業所で発生したヒヤリハット情報も取り込み、原因解明・対策立案・当社グループ全体への対策展開を進めております。2023年度は、日本国内で導入されている爆発・火災事故に直結する機器への異常予兆管理システムの海外事業所への展開を計画しております。

・2020年以降感染が拡大している新型コロナウイルス感染症への社内の対応については、本社に緊急対策本部と対策事務局を設置し、感染状況に応じた対策を検討し、都度通知文を発信するなど柔軟に運用いたしました。また、これらの運用を踏まえて「全社『新型感染症』対策マニュアル」の見直しを適宜行っております。関係会社においても、このマニュアルを参考に、所在国の法令・規制や就業規則の違いなどを考慮した上で、それぞれ対策体制、行動計画等を策定するよう努めました。

・近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、BCPの整備・運用、生産体制の二重化、サプライチェーンのBCP対応が重要視されております。このため、上記のようなBCP対応を充実化させることは当社グループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

 

 

 

3.法令および規制への対応について

発生時期:不定

発生可能性:低

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・当社グループはグローバルに事業活動を展開しており、日本および諸外国において、様々な分野にわたる広範な法令および規制に服しております。このうち、機能性化学品メーカーである当社グループの事業内容に密接に関わる法令および規制としては、化学物質規制、廃棄物・排水・粉塵の排出に係る規制などがあります。例えば、化学物質規制に関しては、POPs条約への規制物質追加に伴う日本の化審法の第一種特定化学物質が増加予定、欧州REACHやCLPに改正の動きなど、世界的に大きく変化しています。これらの法令や規制の変更に対しては、新たな対策コストが発生する可能性があります。

・また、万一当社グループが現在または将来の法令および規制を遵守できなかった場合には、刑事罰・課徴金・民事訴訟による多額の損失発生、信用失墜などにより経営成績等への悪影響を及ぼす可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・当社グループは、事業活動を進めるにあたって、法令および企業倫理を順守することが極めて重要であると認識し、コンプライアンス重視の経営を推進しております。当社グループのコンプライアンス違反リスクの極小化、コンプライアンスのための仕組みづくりの推進、コンプライアンス意識の啓蒙活動の推進を行うため、「コンプライアンス委員会」を設置しております。2022年度は、コンプライアンス委員会を2回開催し、コンプライアンスに関する主要リスクへの対策の目標設定、住友ベークライトグループ倫理規範の制定にあたっての内容確認・承認、公益通報者保護法改正を念頭に置いた内部通報制度の見直しにあたっての内容確認・承認、内部通報制度の実効性や対応の妥当性の確認などを行いました。

・総務本部(贈収賄・競争法・安全保障貿易管理コンプライアンスなど)、人事本部(労務コンプライアンス)、生産技術本部(化学品規制・排出規制・安全衛生コンプライアンスなど)、研究開発本部(知財コンプライアンス)、経理企画本部(会計・税務コンプライアンス)などの個別リスク主管部は、当社グループの各部門と連携を取りながら、社内ルールなどの仕組みづくりや教育の実施、事業部門への指導・支援を適宜進めております。例えば、上記で例示した化学物質規制への対応に関しては、当社グループでは各国の最新の化学物質規制への対応もキャッチアップ可能な化学物質管理システムを運用・維持管理することにより、各国の法規制に対する抜け漏れを防ぎ、リスクの低減に努めております。

・当社の監査室、生産技術本部、総務本部等の内部監査を担当する部署では、「内部統制システム構築の基本方針」「内部監査規程」「財務報告に係る内部統制基本規程」「モノづくり監査規程」「安全保障輸出管理規程」等に基づき、当社および海外を含む関係会社を対象として、実地での往査と被監査部門での自己監査結果の点検による書面監査を適宜組み合わせて監査・評価を行っております。監査・評価は、各部門における業務の適法性および各種基準への適合性の観点からモニタリングを行っており、発見され指摘事項として挙げられた不備については、当該部門に対して書面による是正報告を求めております。2022年度のコンプライアンス状況については、環境、人権、労働、安全衛生、製品・サービスの提供や使用、顧客情報やデータの管理、適切な会計処理、公正な取引などの観点でこれらの監査・評価を行った結果、法令や規則に対する重大な違反はありませんでした。

・当社グループでは、コンプライアンス違反の早期発見・未然防止を図るため、コンプライアンス違反またはそのおそれを知った場合に、社内窓口(監査室長)または社外窓口(弁護士)に通報できる、内部通報制度(当社グループでは「コンプライアンス通報制度」と称しています。)を導入しております。当社グループの役員、従業員だけでなく、当社グループのステークホルダー(退職者、採用応募者、取引先を含む)も通報することが可能です。通報者のプライバシーを厳重に保護するとともに、通報により通報者が不利益を被

 

 らないよう必要な措置を講じております。また、当社グループ共通の「コンプライアンス通報制度」に加え、関係会社によっては、所在国の法令上の要求や会社の規模などを考慮した上で独自の内部通報制度を設置しております。

・近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、上記のような法令・規制への対応、コンプライアンス体制の整備・運用が重要視されております。このため、上記のような法令・規制への対応、コンプライアンス体制の整備・運用の維持改善をすることは当社グループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

4.製品の品質について

発生時期:不定

発生可能性:低

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・当社グループの製品は、自動車・航空機・医療機器・電子材料等の直接・間接に人命に関わる用途にも使用されております。そのため、大規模な製品事故が発生した場合、顧客に損害を与えたり、社会に悪影響を及ぼしたりする結果、損害賠償やリコール等で多額の費用負担が発生するばかりでなく、当社グループに対する信用失墜により、経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。

・また、科学技術の進歩や顧客市場や使用方法の変化により、上市後に顧客等から求められる品質管理水準が高くなり、予期せぬ品質問題が生じることもあります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・当社グループは国際的な品質管理基準(ISO 9001のほか、製品の用途に応じてIATF 16949(自動車部品)、ISO 13485(医療機器)、AS 9100(航空宇宙産業)など)に準拠した品質マニュアルに従い、各種製品の設計管理から製造・販売までの一貫した品質管理体制をとっております。

・当社グループでは、有資格者による内部監査や外部監査による現地品質監査により、品質管理状態の検証を年1回行い、各所で抽出された懸念事項を全社で共有して改善する活動を進めるとともに、FMEA、FTAという手法を用いた潜在的品質リスクの洗い出しとその低減対応を行うなどの改善活動を行っております。変更管理、初動管理には特に注意を払った活動を行っております。直近では、海外関係拠点のマザー機能を有する国内主要4拠点においてAI/IoT技術を駆使した人的変動要素の排除とトレーサビリティの強化を行っており、現在、海外主力5工場への展開を進めております。

・また、当社グループでは国内外の全事業所で発生した品質問題について直ちに共有し、一元管理するシステムを構築して、対応の遅れが無いよう逐次監視すると共に、品質問題の初動対応と被害拡大防止、発生と流出防止の対策が効果的であるかの検証を行っております。

・すべての製品に完全に不良や欠陥が無いこと、および将来にわたって全く品質クレームやリコールが発生しないことまでは保証できませんが、これらの取り組みにより、安心して使用できる製品提供に努めてまいります。

・顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、上記のような国際的な品質管理基準に沿った品質管理体制の整備・運用、認証の取得などが重要視されています。このため、上記のような品質管理体制の維持改善をすることは、当社グループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

 

5.地政学リスクについて

発生時期:不定

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・米中貿易摩擦やロシア・ウクライナ情勢などの国際関係の変化を背景に、各国の経済安全保障政策が強化され、最先端技術の国外流出を阻止するための法規制や、制裁・法規制の対象となった企業との輸出入取引や資金決済が停止となる可能性があります。これらの情勢変化や政策に適切に対応できない場合、刑事罰、行政罰ならびに民事訴訟、さらにブランドに対する社会的信頼の喪失につながる可能性があります。また、戦争・紛争が発生した場合には、当社グループ社員の人命・資産が脅かされることに加え、物流・調達・インフラの寸断により事業継続に支障をきたす可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・戦争・紛争テロ・暴動等のリスクに対しては、リスクコンサルタント等の専門家や政府関係機関等より情報収集を行うとともに、従業員の安全確保を最優先としつつ、事業継続や情報管理の観点も考慮した海外拠点の危機管理マニュアルの整備、実効性の強化を進めております。

・輸出入規制や経済制裁、物流・調達・インフラの寸断の影響を軽減、極小化するため、輸出入規制や経済制裁などの情報収集、マルチファブ化やマルチソース化を進めております。

 

 

 

 

6.情報セキュリティインシデントについて

発生時期:不定

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・近年、サイバー攻撃は巧妙化、高度化しており、不正アクセスやサイバー攻撃を受け、企業が保有する情報が流出する事件が多発しています。当社グループがサイバー攻撃を受け、重要なシステムの誤作動や停止、保有する機密情報の流出が発生した場合、社会的信用の失墜、事業活動の混乱や停滞、取引先等への補償などの費用発生により、当社グループにおける経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・当社グループでは、情報セキュリティインシデント発生に備えた組織横断的機関である「SUMIBE-CSIRT」を設置し、定例会議などを通してトピックスの共有、情報セキュリティ事故発生を未然に防ぐための対策策定、事故発生時の対応手順の整備を行う一方で、有事の際には経営層を含めた対応や外部セキュリティ関係機関との連携を行う体制としております。

・情報セキュリティインシデントを予防するための具体的な取り組みとしては、不正攻撃の標的となる脆弱性への対応の徹底、セキュリティ対策製品の導入によるリスク検知、外部セキュリティ企業とも連携したサイバー攻撃の常時監視等の対策を行っております。さらに、日本シーサート協議会やサイバー情報共有イニシアティブ(J-CSIP)等、サイバー攻撃に関する情報共有や対応強化を行う外部団体に参加し、積極的な情報入手を図っております。引き続き、外部セキュリティ企業支援のもと、グローバルで連携したインシデント対応体制の確立を進めていきます。

・また、差し迫るサイバーリスクに対しては、適宜当社グループ内に注意喚起を発信、また国内外の全役員、従業員を対象に、サイバーリスクのトレンドを踏まえた情報セキュリティ教育を定期的に実施する等、情報セキュリティインシデントへの予防強化と情報セキュリティへの意識向上に取り組んでおります。セキュリティインシデント発生時の被害の最小化と早期復旧を図るべく、社内でのインシデント発生訓練に加え、外部団体との合同訓練にも参加する等、体制の強化にも取り組んでおります。

・社内セキュリティ人材の強化策として、国家資格である「情報処理安全確保支援士」の取得を進めており、2023年3月末時点で情報システム部門に所属する人員のうちの約10%がこの資格を有しております。また、日本国外の拠点におけるセキュリティ人材配置・育成も進めていきます。

・近年では、顧客による取引開始や取引継続の条件の一要素として、上記のような情報セキュリティ管理体制の整備・運用が重要視されております。このため、上記のような情報セキュリティ管理体制の整備・運用の維持改善をすることは当社グループにとっての「機会」にもなると考えております。

 

 

 

 

7.環境負荷低減対策について

発生時期:中長期

発生可能性:中

影響度:大

[ リスクの内容および当該リスクが顕在化した場合の影響 ]

・日本政府による2050年カーボンニュートラル宣言、2030年度に温室効果ガスの46%削減(2013年度比)が表明された後、2021年のCOP26では1.5℃目標に向かって世界が努力することが合意され、地球規模での気候変動問題への対応が求められています。温室効果ガス排出規制の強化、カーボンプライシングなどが具体的なリスクとして考えられますが、これらの対策が遅れている企業は市場から淘汰されていくリスクがあると認識しております。

 

[ リスクへの対応・機会 ]

・2050年に向けたカーボンニュートラルの達成は、有機化学産業に属する当社グループにとっての重要課題と認識しております。当社グループは、気候変動への取組み強化を進める中で「環境ビジョン2050(ネットゼロ)」を掲げ、2021年6月には、2030年目標として「CO2排出量46%削減(2013年度比)」を、2050年目標として「カーボンニュートラルに挑戦」を設定しております。これらの目標に向かって、経営トップを長とする横串組織において活動を促進しております。法令・規制遵守はもとより、CO2削減や省エネルギーの目標の策定、進捗管理、モニタリングを行っております。2022年1月より、リスク対応の1つとして日本国内の全事業所において再生可能エネルギー由来の電力(水力、地熱、太陽光、風力、バイオマス)に切り替えたことで、日本国内における2030年度目標を大幅に前倒しで達成することができました。さらに、欧州のグループ会社でも同様に、再生可能エネルギー由来の電力への100%切り替えが完了しています。

・環境負荷低減に必要なイノベーション技術の開発については、社内開発はもとより、産学官連携プログラムや産業界プロジェクトに積極参画し、遅滞ない開発を目指してまいります。技術的なイノベーションをより計画的に進めていけるよう、2035年までの全社環境開発ロードマップの策定も行いました。

・気候変動は当社グループにとってリスクである一方で、機会としても捉えております。当社グループは、長年にわたり継続して取り組んでいるレスポンシブル・ケア活動の一環で、環境負荷低減対策にも積極的に取り組んでまいりました。さらに、当社グループとして設定したSDGs重点項目(気候変動含む7項目:SDGs目標3、7、8、9、12、13、14)の中でSDGs貢献製品の2023年度売上収益比率50%以上を目標に取り組んでおります。2022年度売上収益比率は53%の見込みであり、2023年度目標を前倒しで達成できそうです。

・リスクマネジメント委員会では、TCFDタスクチームを設置し、当社主要事業についてシナリオ分析を行いました。電気自動車(EV)を中心とした自動車関連製品、半導体関連製品、常温保存や鮮度保持機能を有する食品包装用高機能フィルム等が「機会」になると見込んでおります。また機会に関連して、使用する原料や製品の廃棄について、資源循環(3R+Renewable)の観点からケミカルリサイクル、マテリアルリサイクル技術の確立、バイオマス原料の活用が不可欠と認識しており、早期の戦略立案とその実行に努めてまいります。

・これらの活動の状況と結果は統合報告書やCDP(カーボンディスクロージャープログラム)他を通じ継続的かつ積極的に外部発信してまいります。

 

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況)

(1) 当期の経営成績の状況

当期の経済環境は、ウクライナ情勢の長期化による資源価格の高騰とそれらに伴う物価全般の上昇、中国における新型コロナウイルスの感染者増加による景況悪化、コロナ禍からの回復過程により生じた巣ごもり関連需要の終了など激しい変化がみられました。また為替相場は昨年後半に記録的な円安・ドル高となるなど、期を通じて円安傾向が続きました。

このような情勢のもと、当社グループの売上収益は、円安為替評価による海外売上の増加に加え、原料価格上昇に対応して製品価格改定を行った結果、前期と比べ8.3%増(以下の比率はこれに同じ)の2,849億39百万円となりました。損益につきましては、半導体関連材料および高機能プラスチック製品の市況悪化に加え、海外拠点での人手不足を背景とする人件費増加、エネルギーコストの高騰などにより、事業利益は、3.9%減の254億48百万円、営業利益は、0.3%減の248億23百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は、受取利息・受取配当金の増加等により10.9%増の202億89百万円(過去最高益)となりました。

ROEにつきましては、分子である親会社の所有者に帰属する当期利益が前期と比べ増加したものの、為替変動の影響により分母である親会社の所有者に帰属する持分の増加額が上回った結果、0.1%減の8.4%となりました。

 

(セグメント別販売状況)

① 半導体関連材料

[売上収益 79,540百万円(前期比 5.0%増)、事業利益 15,323百万円(同 7.2%減)]

 

半導体関連材料は主力の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料が、前年度好調だったパソコンやスマートフォンなど民生向けの需要が、巣ごもり需要終了の影響等により冷え込み、在庫調整局面が長期化していることから販売数量が減少しました。売上収益については原料価格上昇に伴う価格改定と円安影響により増加しましたが、事業利益はコスト削減の取り組みにもかかわらず販売数量減少の影響が大きく前期比減益となりました。

感光性ウェハーコート用液状樹脂は、主要用途であるメモリー需要が堅調に推移しており、販売数量、売上収益ともに前期並みで推移しました。

半導体用ダイボンディングペーストは、民生用途の需要減少、顧客での在庫調整が長期化し、販売数量、売上収益は前期を下回りました。

半導体パッケージ基板材料「LαZ®」シリーズは、中国市場のスマートフォン需要低迷が長期化しており売上収益が減少しました。

 

② 高機能プラスチック

[売上収益 102,351百万円(前期比 11.0%増)、事業利益 4,637百万円(同 21.9%減)]

 

高機能プラスチックは、主力の工業用フェノール樹脂およびフェノール樹脂成形材料が、中国での新型コロナウイルス感染者数増加による生産・消費活動の停滞影響で国内・アジア地域の販売数量が大幅に減少しました。製品価格の改定、北米の経済環境改善等による売上収益の押上げ要因はありましたが、主力のアジア地域での販売数量減少分をカバーできず事業利益は前期を大きく下回りました。

銅張積層板は、エアコン用、LED照明用基板の販売が好調に推移してきましたが、年明け以降、顧客での在庫調整局面に入ったことにより売上収益は前期比で横ばいでした。

航空機内装部品は、航空産業の事業環境改善を背景に売上収益が大幅に増加し、収益力も生産合理化や製品価格改定で改善しました。

 

 

③ クオリティオブライフ関連製品

[売上収益 102,273百万円(前期比 8.3%増)、事業利益 9,210百万円(同 24.0%増)]

 

クオリティオブライフ関連製品は医療機器製品、ビニル樹脂シートおよび複合シートの販売が好調に推移しており、過去最高の売上収益、事業利益となりました。

医療機器製品は、北米向けの採血キット、アジア向けの血液バッグなど輸出販売が好調なことに加え、北米の医療機器製造子会社の業績も好調なことから、売上収益は大幅に増加しました。

バイオ関連製品は、高付加価値品の販売に注力しましたが、国内向け一般品の販売が減少したこともあり売上収益は前期並みでした。

ビニル樹脂シートおよび複合シートは、産業用途が半導体市況の悪化、スマートフォンの販売減などの影響を受けて販売数量が減少しましたが、医薬品包装用途はジェネリック医薬品向けを中心に好調を持続し、食品包装用途も堅調に推移したことから売上収益は前期比で大幅に増加しました。

ポリカーボネート樹脂板および塩化ビニル樹脂板は、原料価格上昇等に対応して製品価格改定を進めて収益力改善に努めてきましたが、サングラス用の偏光板用途で需要回復が遅れており、売上収益は前期比で横ばいでした。

防水関連製品は、新築住宅向け屋根防水工事を中心に需要が回復基調で売上収益は増加しました。

 

(2) 当期の財政状態の状況

①資産の部

資産合計は、前連結会計年度末に比べ76億21百万円増加し、3,784億57百万円となりました。

主な増減は、現金及び現金同等物の減少と、棚卸資産および有形固定資産の増加であります。

②負債の部

負債合計は、前連結会計年度末に比べ179億35百万円減少し、1,207億66百万円となりました。

主な増減は、コマーシャル・ペーパーの償還による減少であります。

③資本の部

資本合計は、前連結会計年度末に比べ255億56百万円増加し、2,576億92百万円となりました。

主な増減は、当期利益の計上および為替変動影響による増加と、配当金の支払による減少であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末の現金および現金同等物(以下、資金)は、前連結会計年度末に比べ95億97百万円減少し、996億20百万円となりました。

①営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られた資金は236億18百万円となりました。

これは主に、税引前利益および減価償却費による収入と、営業債務の減少による支出の結果であります。前期と比べると43億2百万円の収入の減少となりました。

②投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動に用いた資金は156億48百万円となりました。

これは主に、有形固定資産の取得による支出の結果であります。前期と比べると51億80百万円の支出の増加となりました。

③財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動に用いた資金は229億54百万円となりました。

これは主に、コマーシャル・ペーパーの償還による支出と、配当金の支払による支出の結果であります。前期と比べると36億46百万円の支出の増加となりました。

 

 

(4) 資本の財源および資金の流動性に係る情報

  ①財務戦略の基本的な考え方

 当社グループは、健全かつ安定した財務基盤の維持を前提に、資産効率の向上を図り、事業活動の成長と拡大のための投資を継続的に行い、安定かつ継続的に株主還元を行うことを財務戦略の基本方針としております。

 財務基盤に関しては、親会社所有者帰属持分比率は65%を超え、ネットキャッシュは500億円超のプラスという状況で、安定した水準を維持しております。引き続き財務体質の改善、信用力向上のための取組みに努めてまいります。また、資産効率に関しては、以下の施策をこれまで以上に強力に推進してまいります。

・収益性向上による営業キャッシュ・フロー確保のため、低採算・不採算事業の撲滅改善、製造原価の低減に加え、開発効率の向上や間接業務の効率化等の費用削減。

・資産のスリム化のため、売掛債権の回収促進、棚卸資産の適正水準や滞留の管理強化、政策保有株式の適宜見直し、不要・遊休資産の処分・売却の徹底、グローバルおよびリージョナルファイナンスによるグループ内資金の効率的な活用。

 また、当社グループ事業の成長と拡大のための研究開発および設備投資、さらなる成長スピードを加速させるためのM&A、DX等の戦略的な投資を積極的に実施してまいります。自己資金や外部から借り入れた資金をこれらの投資に配分しますが、様々なリスクに見合った財務健全性の確保と、適正な財務レバレッジコントロールの観点から、適切な負債・資本のバランスとして親会社所有者帰属持分比率は最低50%を維持してまいります。さらに株主還元では配当性向30%を目安に、連結業績に応じて安定した配当を継続して実施してまいります。

 

②資金需要

 当社グループの資金需要の主なものは、生産効率および品質の維持向上、生産能力増強を目的とした設備投資等の長期の資金需要と、製品製造のための原材料および部品の購入費、製造経費、販売費及び一般管理費等の運転資金需要のほか、M&A、DX等の戦略的投資のための需要があります。

 

③資金調達

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、自己資金および外部資金を有効に活用しております。

 資金調達にあたっては、様々な手段の中から、その時々の市場環境も考慮したうえで、当社グループにとって最適かつ有利な手段を機動的に選択しております。

 当社グループは、主要な取引先金融機関との間で長年にわたり良好な関係を維持しており、長期借入金、短期借入金、シンジケートローン等による資金調達のほか、緊急時の手元流動性と資金調達枠の確保を目的として、取引先金融機関との間に短期借入金枠およびコミットメントラインを設定しております。さらに金融市場からの安定的な資金調達能力の維持向上に努め、国内2社の格付機関から格付けを取得し、コマーシャル・ペーパーの発行による資金調達も行っております。

 これらにより運転資金および設備資金に加え、戦略的な投資に対しても十分な流動性が確保でき、機動的かつ円滑な資金調達が可能となっております。

 

(5) 生産、受注および販売の実績

①生産実績および受注実績

当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産を行わないため、セグメントごとに生産規模および受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産の実績については、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (セグメント別販売状況)」に関連付けて示しております。

 

 

②販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比増減(%)

半導体関連材料

79,540

5.0

高機能プラスチック

102,351

11.0

クオリティオブライフ関連製品

102,273

8.3

その他

775

21.3

合計

284,939

8.3

 

(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

(6) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上収益、事業利益、ROEを業績目標の指標に設定しております。

中期経営計画で掲げた最終年度(2023年度)の数値目標は「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境および対処すべき課題」および「第2 事業の状況 2.サステナビリティに関する考え方及び取組」に、各指標の当連結会計年度における達成状況については「(1) 当期の経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(7) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積りおよび見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

  該当事項はありません。

 

 

6 【研究開発活動】

当社は、経営方針の一つとして、持続可能な世界を実現するために2015年に国連で採択されたSDGsについて、全社規模で必要な施策を推進しております。当連結会計年度の研究・開発においても、社会課題解決につながる顕在ニーズのみならず潜在ニーズにも応えていくために、3つの創生領域として掲げる「高集積デバイス」、「自動車・航空機」、「ヘルスケア」領域において、SDGsを意識したイノベーションによる競争優位性の高い革新的製品および技術の開発を推進しております。また、3R(リデュース、リユース、リサイクル)活動やカーボンニュートラルを目指した環境課題に研究・開発段階から取り組むと共に、LCA(ライフサイクルアセスメント)による環境影響評価ができる人材育成を推進しております。

当社グループは、中長期的視野に立ち新製品およびそれに必要な要素技術の研究を担当する先端材料研究所およびバイオ・サイエンス研究所、生産技術開発を担当するコーポレートエンジニアリングセンター、全社のデータ駆動型の研究・開発を推進するMI推進プロジェクト、ならびに新製品の商品化および現製品の改良研究を担当する各製品別5研究所(情報通信材料研究所、HPP技術開発研究所、フィルム・シート研究所、産業機能性材料研究所、およびSBカワスミ株式会社の殿町メディカル研究所)、さらに光電気複合インターポーザ事業開発推進部、炭素材開発プロジェクトチーム、次世代電動アクスル事業化推進プロジェクトチーム、光回路材料開発プロジェクトチーム、電子調光デバイス開発推進プロジェクトチームという体制で、当社のコア事業分野である①半導体関連材料、②高機能プラスチック、③クオリティオブライフ関連製品における各マーケット動向に即座に対応すべく、研究・開発活動を進めております。

2022年1月1日に発足したMI推進プロジェクトが2022年度に本格的な活動を開始いたしました。MI技術を社内展開し、高機能性材料開発や製造条件の最適化といった従来手法では早期解決が困難であった課題に対して新規有望材料の発見や開発期間の短縮といった成果が得られています。さらに全社研究・開発データの統合管理基盤の構築とデータ科学のスキルを有する研究者の育成の取組を通じて、一層のR&D効率化や新製品創出力の向上を目指していきます。

また、海外研究・開発拠点として、コーポレート部門は米国に研究・開発拠点、情報通信材料関係は中国、台湾、シンガポール、米国、ベルギーにオープンラボ機能を持った研究・開発拠点、高機能プラスチック関係は米国、カナダ、ベルギー、スペイン、中国、インドネシアに研究・開発拠点を設けており、国内組織と緊密な連携をとりながらグローバル市場のニーズに対応しております。

また、新規事業・研究開発テーマを継続的かつ着実に創出できる組織を目指し、当社グループに適したイノベーションマネジメントシステムを構築、全社展開を開始いたしました。当社グループにとっての新規市場に関する情報の入手、適社性や競争優位性の判断、フィージビリティスタディを迅速に進めることで、新規事業への挑戦を続けています。

 

当連結会計年度における当社グループ全体の研究開発費は11,582百万円であります。なお、この中には基礎研究等費用2,530百万円が含まれております。

各セグメント別の研究・開発活動は次のとおりであります。

 

①半導体関連材料

半導体封止用エポキシ樹脂成形材料、半導体用液状樹脂、半導体用感光性樹脂およびパッケージ基板用材料の開発に重点的に力を入れております。当連結会計年度は、「モーターステーター用エポキシ樹脂」、「車載向けTCU用封止材」、「2.5D 次世代ファンアウト型パッケージ用封止材」、「高熱伝導モールドアンダーフィル用封止材」、「パワー半導体用Si Bare向けAgシンタリングペースト」、「パワーデバイス向け感光性絶縁材料」、「次世代パッケージ用低CTEプリプレグ材料」を開発、上市しました。

なお、当セグメントに係る研究開発費は、3,784百万円であります。

 

②高機能プラスチック

高機能成形材料と精密成形技術を基盤技術として、自動車、電機部品用等の産業資材用樹脂、成形材料および成形品の開発を進めております。特に環境対応材料に注力した開発を進めております。当連結会計年度は、「パワーモジュール用エポキシ樹脂注型材」、「機構部品用高強度フェノール樹脂成形材料」、「バッテリー用高絶縁不飽和ポリエステル樹脂成形材料」、「バイオマス原料を利用した環境配慮フェノール樹脂成形材料」、「環境対応コンミテータ用フェノール樹脂成形材料」、「バッテリー用難燃フェノール樹脂成形材料」、「車載ギア用速硬化フェノール樹脂」、「摩擦材用高耐熱フェノール樹脂」、「半導体用絶縁ポリマー」を開発、上市しました。

なお、当セグメントに係る研究開発費は、1,779百万円であります。

 

③クオリティオブライフ関連製品

医療機器・用具、バイオ関連製品、医薬・食品等各種包装用材料および建築材料を中心に開発を進めております。医療機器については特に低侵襲治療分野に注力した開発を進めております。当連結会計年度は、「胃ろう用ボタン型カテーテル」、「内視鏡用針状高周波ナイフ」、「胆管狭窄治療用ステント非円筒型」、「胆管狭窄治療用ステント一方弁付き」、「ピロリ菌検査用胃液採取キット」、「頭頚部用能動マイクロカテーテル」、「再生医療用細胞培養容器」、「バイオマス原料使用医薬品包装用フィルム」、「紙板対応バリアスキンパックフィルム」、「樹脂封止工程用離型フィルム」、「超耐候ポリカーボネートシート」、「アイウェア用ハイコントラスト偏光板」、「新熱線カットポリカーボネートフィルム」を開発、上市しました。

なお、当セグメントに係る研究開発費は、3,489百万円であります。