第2【事業の状況】

 

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境および対処すべき課題等は、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、「機関保証を必要とする全てのお客様に最高の保証商品とサービスを提供することにより、お客様の夢と幸せの実現をお手伝いするとともに、信用保証事業を通じて地域社会の発展に貢献する」という経営理念のもと、全てのステークホルダーの視点に立った経営施策を実施することで企業価値の向上および永続的な発展・成長を目指しております。

 

(2) 中期的な経営戦略

当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、当面は安定した雇用環境や、政府の住宅取得支援策に支えられ、住宅市場および住宅ローン市場は底堅く推移することが見込まれるものの、長期的には少子高齢化に伴う人口・世帯数の減少により新築住宅市場の縮小が見込まれます。

こうした事業環境を踏まえ、当社グループでは2023年度から2025年度の3事業年度を計画期間とする中期経営計画「Next Phase~成長と価値創造~」(以下、「本中期経営計画」という。)を策定しております。本中期経営計画では、「更なる成長と価値創造を実現する住宅ローンプラットフォーマーを目指す」をビジョンに掲げ、①基幹事業の拡大、②周辺事業への進出、③企業価値の向上、の3つの基本方針に基づき各種施策に取り組んでまいります。

 

(3) 対処すべき課題

当社グループが対処すべき課題は次の通りであります

 

①保証債務残高の積み上げ

顧客需要を的確に捉え、市場シェアの拡大による成長を目指す。

②収益源多様化の必要性

更なる成長のため、周辺事業へ進出し収益源の多様化を図る。

③資本活用の効率化

成長投資と株主還元のバランスを考慮し、資本活用の効率化を図る。

④ESG関連課題への取り組み

企業価値向上のため、信用保証事業を通じてESG関連課題への取り組みを進める。

 

こうした対処すべき課題を踏まえ、当社グループは、本中期経営計画の基本方針に基づき、今後の持続的成長ならびに安定的な利益確保を図るべく、以下の施策に取り組んでまいります。

 

[基幹事業の拡大]

国内の民間金融機関による住宅ローンは、新規貸出額が年間約19兆円、既存貸出残高が約190兆円という巨大な市場規模であり、市場シェアの拡大による成長の余地は十分に存在しております。

新規貸出市場におけるシェア拡大につきましては、商品およびサービスの開発・提供による新たな需要の発掘や、ニッチ需要の機動的な獲得などに取り組んでまいります。既存貸出市場におけるシェア拡大につきましては、他の保証会社の株式取得による保証債務残高の獲得や、RMBS(住宅ローン担保証券)の購入などに取り組んでまいります。

 

 

[周辺事業への進出]

更なる成長のため、当社グループの強みを活かし周辺事業への進出を図ることで、収益源の多様化を目指してまいります。具体的には、不動産検索サイト、不動産会社などの様々な業態から案件の受付を可能とする仕組みを構築し、住宅購入希望者が物件を選ぶ前に借入可能額を把握できるサービスなどを提供します。また、住宅ローンや住まいに関する分野でシナジーが見込める会社との協業・M&Aなどを進めることで、新たな価値創造を行ってまいります。そのほか、グループ会社である、あけぼの債権回収株式会社を活用し、金融機関からの債権管理回収業務の受託を進めてまいります。

 

[企業価値の向上]

当社グループは持続的な成長の実現に向けて、信用保証事業を通じて社会課題の解決に貢献すべく、「全国保証SDGs宣言」に基づき、重要課題の解決に取り組んでおります。具体的には、人的資本への投資、コーポレートガバナンスの充実および気候変動への取り組みなどを進めてまいります。加えて、資本政策の着実な実行により、企業価値を高めてまいります。

 

(4) 目標とする経営指標

住宅ローン保証事業を持続的に拡大していくことが企業価値向上につながると捉えており、本中期経営計画期間中に保証債務残高19兆円を目標値としております。また、事業規模拡大を見据えた成長投資の着実な実施、信用保証事業を着実に遂行するための必要資本の確保および株主還元施策を適正にコントロールしつつ本中期経営計画期間中のROEの向上を図り14%以上を目指してまいります。

 

①本中期経営計画における目標値

 保証債務残高 19兆円

 ROE 14%以上

 

②2024年3月期の業績見通し

                                        (単位:百万円)

 

2023年3月期

実績

2024年3月期

計画

増減額

増減率

営業収益

50,272

53,000

2,727

5.4%

営業利益

39,884

40,300

415

1.0%

経常利益

41,456

42,500

1,043

2.5%

親会社株主に帰属する当期純利益

28,584

29,450

865

3.0%

1株当たり当期純利益

415.97円

428.53円

12.56円

3.0%

 

 

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方

近年、様々な社会的問題の発生や価値観の多様化などにより、ESGを重視した中長期的な経済価値と社会価値の双 方を追求するサステナビリティ経営が求められております。

当社グループは、住宅ローン保証事業という持続的な存在が求められる事業を展開しており、「機関保証を必要とする全てのお客様に最高の保証商品とサービスを提供することにより、お客様の夢と幸せの実現をお手伝いするとともに、信用保証事業を通じて地域社会の発展に貢献する」を経営理念に掲げ、すべてのステークホルダーの視点に立った経営に取り組んでおります。事業の成長とともに顧客、取引先、従業員、株主のほか、環境や社会との関わりも広がり、当社グループの持続的な成長が、地域社会の持続的発展につながるものと捉えております。サステナビリティに関する取り組みについては、推進部署である経営企画部が経営会議・取締役会に報告し、指示・監督を受けております。

当社グループは、2023年3月に中期経営計画を策定し、グループの持続的成長に向け、基幹事業の拡大、周辺事業への進出、資本活用、ESG課題への取り組みを掲げております。中でもESG課題への取り組みとして、人材の育成・気候変動への取り組み・コーポレートガバナンスの充実などを具体的施策として設定しております。

 

(2) 気候変動に対する取り組み(TCFD提言に沿った気候変動関連の情報開示)

①ガバナンス

当社グループは、地域社会の発展に貢献する企業として、地球環境保全の重要性を認識し、環境と共生するビジネススタイルを推進しております。気候変動への対策を経営戦略上の重要な課題として捉え、信用保証事業を通じて環境課題の解決に取り組み、持続可能な未来の実現を目指しています。

サステナビリティ推進部署である経営企画部は、気候変動に伴うリスクと機会の評価および管理や課題解決に向けた対応状況について、経営会議・リスク管理委員会に報告し協議することとしております。これらの内容について、経営会議において審議を行い、原則年1回もしくはその他必要に応じて取締役会に報告します。取締役会は、報告を受け、気候変動対策に関する施策の対応状況について監督・指示を行います。

 

②戦略

当社グループは、地域社会の発展に貢献する企業として、環境保全への取り組みを重要な経営課題と位置づけ、信用保証事業を通じて環境課題の解決に取り組み、持続可能な未来の実現を目指しております。事業活動に関連性が高いと想定される気候変動に伴うリスクおよび機会を洗い出し、定性的に評価・分析を行い、以下の通り特定しております。今後、定量分析実施を含め、開示内容の質と量の充実を図ります。

 

特定したリスクと機会

 

影響の内容

物理リスク

洪水等の災害発生により、担保物件が毀損。また、災害発生が保証委託者の家計収支悪化に波及することにより、与信関連費用が増大する可能性がある。

物理リスク

風水害の激甚化により、営業店および従業員が被災し、復旧費用や営業停止による損害が発生する可能性がある。

機会

気候変動により、不動産価格が下落すると、金融機関は担保物件からの回収不能リスクの外部移転を図るため、保証利用が増加する可能性がある。

 

 

 

③リスク管理

  当社では、内部統制システムの基本方針に基づきリスク管理規程を定め、当社グループの業務に内在する様々なリスクを類型化し適切な管理に努め、リスクが顕在化した場合において、生じる損失が一定の範囲内になるよう管理しております。リスク管理統括部署であるリスク統括部がリスク管理に関する事項の一元的管理および対策の検討を行い、取締役会により設置されたリスク管理委員会において、各種リスクの発生状況および管理状況、リスク管理体制の整備状況等について検証するとともに各リスクの管理部署へ対策を指示しております。

気候変動リスクも経営に重要な影響を与えると認識しており、リスク統括部がリスク管理委員会と連携し、気候変動リスクを統合的リスク管理の枠組みの中で一元的に管理する体制の構築に取り組んでおります。

 

④指標及び目標

当社グループは、脱炭素社会の実現に向け温室効果ガス排出量について、2030年までに2013年度比50%削減、2050年までに実質ゼロとすることを目標に定めております。営業車両の電気自動車への切り替えや、事務所の使用電力を電力会社が提供する再生可能エネルギーなどに切り替える方法などにより削減目標の達成を目指してまいります。

 

(3) 人的資本への投資

①人材の育成に関する基本的な考え方

当社グループは、経営方針において、幅広い知識を持ち合わせ多様化する業務や時代の変化に柔軟かつスピーディーに対応できる人材を育成するとともに、従業員一人ひとりの力が最大限活かされる魅力的で働き甲斐のある職場環境を実現することを定めております。

 

②人材育成・職場環境整備に関する主な取り組み

a)サクセッションプラン(経営人材の育成)

当社グループの経営者層に求められる人物像について、全国保証の経営理念(フィロソフィー)を理解・実践していること、全国保証の企業文化(コア・バリュー)を持っていること、全国保証グループの将来ビジョン(経営戦略構想)を描いていることと定めております。候補者の選抜プロセスとして、マネージャークラス以上の階層を対象に、「戦略的な配置・課題遂行(OJT)」、「研修(Off-JT)」、「アセスメント」を組み合わせ育成を行い、最終的な後継候補者を絞り込みます。最終的な選抜にあたっては、恣意性が働かないよう客観性・透明性を確保するため、評定・育成会議を通じてスクリーニングしたのち、指名・報酬委員会にて経営者層としての妥当性を検証します。

 

b)研修制度(従業員全体の育成)

当社グループの研修制度は、階層別、業務別、育成風土の醸成、自己啓発の4種に大別されます。

階層別研修については、職員全体の能力を底上げすることを目的に、社内集合研修、外部セミナーおよびeラーニングなどを活用し、能力開発の機会を従業員に提供しております。

業務別研修においては、当社グループの主力業務である営業、審査および債権管理の各業務にかかる業務知識・能力の底上げを図るべくテーマ別に実施しております。

育成風土の醸成については、OJT(On-the-Job Training)を通じた教育を行い、評価者と被評価者が面談によるコミュニケーションを通じて課題の洗い出しならびに目標を設定するというサイクルを繰り返すことにより、若い世代間においても人材を育成する風土の醸成に努めております。

自己啓発につきましては、業務に直結する幅広い知識の習得や資格の取得を支援しており、雇用形態を問わず全従業員を対象に通信講座の受講料や受験料の補助を行っております。また、業務を行う上で有用な資格を取得した従業員には表彰を行いモチベーション向上を図ることで、資格取得等を促しております。

 

 

c)女性活躍の推進

当社グループでは、女性活躍推進に取り組んでおり、職員の仕事と子育ての両立を支援するとともに職員全員が働きやすい職場環境を実現するため、子供の出生・育児に関する休暇や休業等を取得しやすい環境づくり、所定外労働時間の削減、仕事と家庭の両立支援に取り組んでおります。2027年3月末までの具体的な取り組み目標は以下の通りです。

 

指標

目標

2023年3月期実績

管理職となる職階に占める

女性割合

2027年3月末までに5%以上

3.1%

管理職候補者となる職階に占める

女性割合

2027年3月末までに10%以上

6.0%

育児休業取得率

2027年3月末までに

男性60%以上、女性100%

男性125.0%
 女性100.0%

有給休暇取得日数

2027年3月末までに

年間8日以上かつ年間付与日数の50%以上

年間11.8日

 

 

 

d)多様な働き方の推進

当社グループは、仕事において個々の能力を最大限発揮するにはワークライフバランスが重要であると考えており、働きやすい職場環境づくりに取り組んでおります。育児・介護を目的とした短時間勤務の拡充、フレックスな勤務体系の選択など、個々の状況に応じた勤務体系が選択できるよう取り組んでおります。

 

e)従業員満足度の向上

当社グループは、働き甲斐のある職場環境の実現に取り組んでおり、職場・会社・仕事への満足度について従業員へのアンケート調査を定期的に行っております。また、人事担当部署による面談を行うことにより、従業員の現況およびキャリアビジョンの把握に努めております。

 

f)人権尊重・ハラスメントについて

当社グループは、人権の尊重が全国保証グループの社会的責任であることを認識し、事業活動全体において人権を尊重する責任を果たすべく、2023年5月に全国保証人権方針を策定しております。ハラスメントについては、行動規範、コンプライアンスマニュアル、ハラスメント防止方針においても禁止を明記しており、多様な価値観を尊重し合える職場環境づくりに取り組んでおります。

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)  信用リスク

①  代位弁済について

当社グループは、事業内容の特徴上、保証委託者の債務不履行が発生した際に金融機関等に対して代位弁済を行いますが、代位弁済の発生を防ぐために厳格な審査および延滞管理を行っております。

審査につきましては、厳格な審査基準に基づき、適切な与信判断をするための知識・経験を持つ決裁権限者および審査担当者が、定量情報と定性情報を総合的に評価したうえで、審査を行っております。

また、信用リスクの高い案件については、審査部において審査および決裁を行っており、信用リスクに応じた審査体制を敷いております。

延滞管理につきましては、延滞初期段階から金融機関と協調して債権管理業務に取り組み、代位弁済の発生低下に努めております。保証委託者の状況を早期に把握し、案件毎に対応方針を策定したうえで、延滞解消に向けた助言および督促を行っております。

しかし、国内外の著しい経済環境の悪化や金利上昇などが、保証委託者のローン返済に影響を及ぼし、代位弁済が増加する可能性があります。その結果、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  債務保証損失引当金および貸倒引当金について

当社グループでは、自己査定および償却・引当に関する規程に基づき、代位弁済前の保証債務について債務保証損失引当金、代位弁済後の求償債権について貸倒引当金を計上しております。これは、保証委託者の状況、保全状況および過去の一定期間における貸倒実績率ならびに回収可能性を考慮した回収不能見込額を算定した予想損失額に対して計上しておりますが、実際の貸倒れが予想損失額を見積った前提を上回った場合や担保価値が下落した場合に、貸倒引当金の積み増し等により与信関連費用が増加する可能性があり、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(2)  市場関連リスク

①  金利変動に関するリスク

当社グループでは、保証の引き受けによって生じる負債に見合った運用資産を適切に管理するため、債券ポートフォリオを構築する際に、各年限がほぼ均等な割合になるよう、ラダー型ポートフォリオの形成を目指しつつ、市場環境に応じながら保証委託者に対して負う当社グループの保証債務のデュレーション(残存期間)とのバランスを考慮しております。

金利の上昇局面では、資産運用利回りの上昇により当社グループの資産運用ポートフォリオの収益力が向上する一方、債券の現在価値が下落し、当社グループの純資産にマイナスの影響を与える可能性があります。

金利の低下局面では、より低い金利水準を求めて期限前償還または繰上返済される債券ならびに満期を迎えて償還される資産を再投資した際の運用利回りは従前より低くなるため、平均運用利回りは低下いたします。保証料は保証開始時に一括で受領する方法と毎月の保証債務残高に応じて受領する方法がありますが、一括して受領した場合、運用利回りが低下することで、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  信用に関するリスク

当社グループは、債券を含む有価証券や定期預金等の金融商品を保有しております。

信用格付の引下げによる債券価格の下落、債券の債務不履行(デフォルト)、運用先の金融機関の破綻等が発生した場合、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

③  為替変動に関するリスク

当社グループが保有する有価証券の一部には、為替市場の動向によって価格が下落する可能性のある有価証券が含まれております。価格の下落により、保有有価証券の評価損益の悪化、減損処理等による損失発生の可能性があります。その結果、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

④  株価変動に関するリスク

当社グループが保有する有価証券の一部には、市場性のある株式が含まれておりますが、株価が下落した場合に、保有株式に減損または評価損が発生する可能性があります。その結果、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(3)  オペレーショナルリスク

①  システムリスク

当社グループの保証業務の多くの部分がシステム化していることから、コンピューターシステムの機器障害・回線障害ならびに誤作動等により、正常な業務運営が妨げられることがないようにシステム全般に適切なセキュリティ対策を講じております。しかしながら、ソフトウエアの不具合や外部からの不正アクセス等により、システムの安定的な運用が困難となった場合、社会的信用に悪影響を及ぼし、当社グループの事業運営や業績および財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  事務リスク

当社グループでは、不正確な事務処理あるいは事故および不正等による業務品質の低下を防止するために、各種規程や業務マニュアルに基づいた事務処理を徹底しております。また、各種業務をシステム化することにより、人為的ミスの少ない効率的な事務処理体制の構築を進めております。しかしながら、不正や過失等に起因する不適切な事務が行われることにより、損失が発生する可能性があり、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(4)  流動性リスク

当社グループは、今後予想される代位弁済や保証委託契約の対象となるローンの繰上完済に伴う未経過保証料の返戻に対応するために十分な流動性を維持できるよう、保証債務および求償債権の管理と資産運用ポートフォリオの構築をしております。急激な景気後退等により代位弁済が急増した場合には、流動資産が減少し、その他の資産を不利な条件で解約や処分することを強いられる可能性があります。

また、当社は格付機関より信用格付を取得しております。その信用格付が引き下げられた場合、ローンの金利負担が増加する可能性があり、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(5)  情報リスク

当社グループでは、情報セキュリティにかかる規程・細則および情報セキュリティ管理体制の整備や役職員に対する教育の徹底によって、機密情報や個人情報の漏洩の対策を講じておりますが、外部からのサイバー攻撃等による不正アクセスや役職員および業務委託先による人為的なミスや事故等により機密情報や個人情報が外部へ漏洩した場合、当社グループの信用が失墜し、業績および財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(6)  法務・コンプライアンスに係るリスク

当社グループは、業務を遂行するうえで様々な法令等の適用を受けており、その遵守に努めておりますが、これらの法令等の遵守ができなかった場合には、社会的信用に悪影響を及ぼし、業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

また、これらの法令等が将来において変更・廃止され、あるいは、新たな法令が施行される可能性があり、その内容によっては、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

(7)  規制・制度変更に伴うリスク

当社グループでは、現時点での法令、規則、政策および会計基準等に従って業務を遂行しておりますが、将来における規制および引当金の計上基準を含めた会計基準の変更といった各種制度の変更等により、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(8)  経営戦略リスク

当社グループでは、経営戦略や計画を策定し、施策の実施、取り組みを行っておりますが、様々な要因によりこれらの戦略が当初予定されていたほど将来性がない、または、収益性が損なわれるなど、期待された効果を発揮しない可能性があります。その結果、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

(9)  その他リスク

①  景気、金利および住宅市場の動向等の外部環境による影響

当社グループは、主に保証委託者が金融機関等からの借入に対して連帯保証をすることを中核とした「信用保証事業」を行っているため、保証委託希望者の心理動向、市場金利の動向、住宅の建設動向、消費税やその他不動産に係る税制の改正、日本国内の人口減少等の影響を受ける可能性があります。

そのため、住宅購入意欲の低減、住宅ローン金利の上昇、住宅ローン市場の縮小等により、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

②  繰延税金資産に関するリスク

繰延税金資産の計算は、将来の課税所得に関する仮定を含む様々な見積りに基づいているため、実際の結果が大きく異なる可能性があります。将来的な会計基準の変更により、当社グループが計上できる繰延税金資産の金額に制限が設けられる場合や、将来の課税所得見通しに基づき当社グループが繰延税金資産の一部を回収できないとの結論に至った場合には、繰延税金資産が減額される可能性があります。その結果、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

③  災害・感染症リスク

当社は、全国に事業を展開しておりますが、本社、営業拠点、子会社を東京都に有しており、万が一、東京都を含む広域の災害が発生した場合、あるいは東京都を中心とする局地的な災害等が発生した場合は、当社グループ役職員、事業所およびその他設備に甚大な被害が及ぶ可能性があります。

また、大規模かつ広範囲な災害や感染症等の流行を原因として多くの建物への被害や死者が出た場合には、当社グループの事業運営や業績および財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

④  風評リスク

風評リスクは各種リスクとの連鎖性を有しており、顕在化した場合には、当社グループに否定的な内容の報道、インターネット上の掲示板への書き込み等がなされ、拡散した場合にお客様や市場関係者間の評判の悪化や風説の流布等で信用が低下することにより、当社グループの業績や財務状況に不利な影響が及ぶ可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前連結会計年度との比較・分析の記載はしておりません。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進んだことで、個人消費および雇用・所得環境・企業収益の一部に持ち直しの動きがみられました。一方では、世界的な金融引き締め政策や不安定な国際情勢を背景とした景気の下振れリスクから先行き不透明な状況が続きました。

住宅市場につきましては、政府の住宅取得支援策や住宅ローンの低金利環境が継続したものの、新設住宅着工戸数のうち、持家と分譲住宅の合計は、資材価格高騰による建設コストの増加が住宅着工を抑制する要因となったことで、前年同期を下回りました。住宅ローン市場につきましても、住宅価格高騰による消費者の購入意欲の低下などを背景に住宅市場同様に弱い動きとなりました。

このような事業環境のもと、当社グループは中期経営計画「Beyond the Border」の最終年度として「事業規模拡大」、「事業領域拡大」ならびに「企業価値向上」の課題を中心に各種施策に取り組んでまいりました。

事業規模拡大におきましては、金融機関との関係強化や既存住宅ローン市場へのアプローチに取り組みました。金融機関との関係強化につきましては、提携金融機関の利用率向上のため、当社保証商品の説明会や勉強会を実施したほか、例年ご好評いただいておりますキャンペーンを実施し、住宅ローン獲得に向けた営業推進にお役立ていただきました。また、利便性向上に向けた取り組みとして、デジタルを活用したサービスの提供に努めました。既存住宅ローン市場へのアプローチにつきましては、他の保証会社の株式取得(子会社化)について決議したほか、当社グループにとって保証債務残高獲得と同様の効果をもたらすRMBS(住宅ローン担保証券)を取得しました。

事業領域拡大におきましては、住宅購入者、住宅販売者ならびに金融機関の住宅ローンに関する課題を解決すべく、WEB申込とAI審査を利用した住宅ローン申込スキームの実証実験を開始しました。グループ会社を活用した事業領域拡大につきましては、金融機関から債権管理回収業務を受託したほか、他社で対応できない信用保証の領域拡大に引き続き取り組みました。

企業価値向上におきましては、TCFD提言への賛同表明および情報開示を実施したほか、人材育成や女性活躍推進など重要課題(マテリアリティ)解決に向けた取り組みを着実に進めました。

 

この結果、当連結会計年度の経営成績は、営業収益は50,272百万円となり、営業利益は39,884百万円経常利益は41,456百万円親会社株主に帰属する当期純利益は28,584百万円となりました。

なお、当社グループの報告セグメントは「信用保証事業」のみであるため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

②財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、442,945百万円となりました。

流動資産は、183,180百万円となりました。この主な内訳は、現金及び預金164,959百万円であります。

固定資産は、259,765百万円となりました。この主な内訳は、投資有価証券227,200百万円であります。

負債合計は、237,326百万円となりました。

流動負債は、32,194百万円となりました。この主な内訳は、前受収益17,559百万円であります。

固定負債は、205,131百万円となりました。この主な内訳は、長期前受収益174,719百万円であります。

純資産合計は、205,619百万円となりました。この主な内訳は、利益剰余金194,979百万円であります。

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、112,659百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果、増加した資金は28,700百万円となりました。主な増加要因は税金等調整前当期純利益41,282百万円等であります。一方、主な減少要因は法人税等の支払額12,462百万円等であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果、減少した資金は36,042百万円となりました。主な減少要因は定期預金の預入による支出60,900百万円、投資有価証券の取得による支出52,807百万円等であります。一方、主な増加要因は定期預金の払戻による収入59,050百万円、投資有価証券の売却及び償還による収入13,870百万円、有価証券の売却及び償還による収入10,220百万円等であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果、減少した資金は9,159百万円となりました。減少要因は配当金の支払額9,159百万円であります。

 

④生産、受注および販売の状況

a)生産実績

  該当事項はありません。

 

b)受注状況

  該当事項はありません。

 

c)販売実績

 当連結会計年度の販売実績を示すと、次の通りであります。

セグメント名

金額(百万円)

信用保証事業

50,272

 

     (注)  上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

①重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債の残高および収益・費用の金額に影響を与える会計上の見積り等は、過去の実績や現在の状況ならびに現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積り等を採用しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積り等と異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。重要な会計上の見積りおよび仮定につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

 

②財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

財政状態および経営成績の状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況、②財政状態の状況」に記載の通りです。

各種指標については以下の通りです。

 

a)受付件数、実行件数および新規保証実行金額

民間金融機関住宅ローン保証における受付件数、実行件数および新規保証実行金額につきましては、資材価格高騰による建設コストの増加や住宅価格高騰による消費者の購入意欲の低下などの影響を受け、前期より減少しました。

 

民間金融機関住宅ローン保証における受付件数、実行件数および新規保証実行金額の推移

 

 

 

(単位:件、百万円)

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

受付件数

310,416

308,120

292,807

実行件数

57,113

61,188

54,563

新規保証実行金額

1,495,085

1,669,604

1,573,082

 

     (注) 2022年3月期以前は、当社単体の数値を記載しております。

 

b)保証債務残高

保証債務残高および保有契約件数は、民間金融機関保証における住宅ローン保証が堅調に推移していることから、増加を続けております。

 

イ.保証債務残高および保有契約件数の推移

 

 

 

(単位:件、百万円)

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

区分

件数

金額

件数

金額

件数

金額

当社グループ合計

911,606

14,629,759

944,553

15,356,458

969,447

15,944,904

当社

849,697

14,258,758

884,814

15,011,326

912,380

15,623,987

 

民間金融機関

834,998

14,205,624

871,599

14,966,584

900,556

15,586,752

 

 

住宅ローン

802,634

14,137,985

837,131

14,897,065

863,785

15,516,164

 

 

カードローン

19,949

1,570

22,473

1,724

25,479

1,928

 

 

教育ローン

82

54

56

35

37

21

 

 

その他

12,333

66,014

11,939

67,759

11,255

68,638

 

公的機関・その他

14,699

53,133

13,215

44,742

11,824

37,234

子会社

61,909

371,000

59,739

345,131

57,067

320,917

 

 

 

ロ.当社民間金融機関住宅ローン保証における業態別保証債務残高および保有契約件数の推移

 

 

 

(単位:件、百万円)

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

区分

件数

金額

件数

金額

件数

金額

民間金融機関

802,634

14,137,985

837,131

14,897,065

863,785

15,516,164

 

銀行

334,902

6,715,790

366,192

7,428,318

392,266

8,035,725

 

信用金庫

373,100

5,979,209

373,404

5,965,530

372,070

5,928,295

 

信用組合

35,141

462,154

35,845

479,194

36,271

491,871

 

JA

58,005

957,268

60,082

997,106

61,526

1,032,267

 

JF・労働金庫・その他

1,421

23,149

1,550

26,576

1,601

27,702

 

未提携

65

413

58

340

51

301

 

(注) 1.JAとは農業協同組合、信用農業協同組合連合会を指します。

2.JFとは漁業協同組合、信用漁業協同組合連合会を指します。

3.未提携とは、合併や破綻した金融機関が保有していた当社保証付きの住宅ローン債権を引き継ぎ、当社と保証契約が未締結の金融機関を指します。

 

c)提携金融機関数

当社グループは外部の保証機関を求める金融機関等のニーズに応え、保証シェアの拡大を図るべく未提携金融機関へ新規契約締結に向けたアプローチを継続しております。

 

金融機関業態別提携金融機関数の推移

 

 

 

(単位:機関)

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

銀行

95

94

95

信用金庫

243

243

243

信用組合

100

100

100

JA

277

274

265

JF・労働金庫・その他

29

22

19

合 計

744

733

722

 

(注) 1.当社単体の数値を記載しております。

   2.JAとは農業協同組合、信用農業協同組合連合会を指します。

3.JFとは漁業協同組合、信用漁業協同組合連合会を指します。

4.各事業年度末時点の提携金融機関数を集計しております。

5.提携金融機関数が減少した理由は、金融機関の合併によるものです。

 

d)延滞金額

先行き不透明な経済環境が続くなか、延滞初期段階から金融機関と協調し返済正常化を目的とした相談・助言を行い、保証委託者の実態について早期把握に努めたことから、保証債務残高に対する延滞金額の割合は低位で推移しております。

 

延滞金額の推移

 

 

 

(単位:百万円)

 

2021年3月
(金額:2020年9月末時点)

2022年3月
(金額:2021年9月末時点)

2023年3月
(金額:2022年9月末時点)

延滞金額

23,321

20,629

22,494

 

(注) 1.2022年3月末以前は、当社単体の数値を記載しております。

     2.延滞金額につきましては、延滞期間が3ヶ月以上の保証引受金額を集計しています。

 

e)代位弁済金額および求償債権回収金額

イ.代位弁済金額

延滞初期段階から保証委託者の現状と将来の返済能力を早期に把握し、延滞長期化の防止および返済正常化に取り組んでいることから、保証債務残高に対する代位弁済金額の割合は低位で推移しております。

 

代位弁済金額の推移

 

 

 

(単位:百万円)

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

代位弁済金額

10,484

9,396

10,778

 

     (注) 2022年3月期以前は、当社単体の数値を記載しております。

 

ロ.求償債権回収金額

当社グループが代位弁済後において取得する求償債権につきましては、その殆どに不動産担保が設定されております。回収期間の短縮化と回収金額の最大化を図るという基本方針に基づき、保証委託者の実態に応じた物件売却(任意売却・競売)を実施し、迅速かつ最大限の回収に努めております。

 

求償債権回収金額の推移

 

 

 

(単位:百万円)

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

求償債権回収金額

7,751

7,124

7,103

 

     (注) 2022年3月期以前は、当社単体の数値を記載しております。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況につきましては、「4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。

資本の財源および資金の流動性につきましては、以下の通りです。

当社グループにおける運転資金の需要は、代位弁済金の支払ならびに販売費および一般管理費等の営業費用の支払となります。当社のビジネスモデルにおいては、保証引受の役務と同時に対価である保証料を収受することが多く、必要資金の流動性および源泉の安定的確保が可能であることから、運転資金については自己資金にて対応することとしております。

 

④経営戦略の現状と見通し

当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、当面は安定した雇用環境や政府の住宅取得支援策に支えられ、住宅市場および住宅ローン市場は底堅く推移することが見込まれるものの、長期的には少子高齢化に伴う人口・世帯数の減少により新築住宅市場の縮小が見込まれます。

こうした事業環境を踏まえ、当社グループでは2023年度から2025年度までの3事業年度を計画期間とする中期経営計画「Next Phase~成長と価値創造~」を策定しております。この中期経営計画では「更なる成長と価値創造を実現する住宅ローンプラットフォーマーを目指す」をビジョンとして掲げ、①基幹事業の拡大、②周辺事業への進出、③企業価値の向上、の3つの基本方針に基づき各種課題の解決に取り組んでまいります。

なお、2024年3月期の業績見通しについては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)目標とする経営指標」に記載の通りです。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

金額が僅少のため、記載を省略しております。