第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は次のとおりです。なお、本項における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものです。

 

(1) 会社の経営の基本方針

 当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社です。デジタルテクノロジーを活用しながら、保険相談、お申し込みから保険金等のお支払いまで、一貫してお客さまの視点に立った商品・サービスの提供を実現するとともに、オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指します。

 

(2) 経営環境

(事業環境)

 当社を取り巻く事業環境について、金融サービスのデジタル化という構造的なトレンドを背景として、オンライン生命保険市場の成長可能性は着実に拡大していると認識しております。生命保険の加入チャネルに関する調査*1によると、実際にインターネットを通じて加入した割合は4.0%に留まる一方、今後インターネットを通じて加入したいと回答した割合は17.4%に達しております。当社は、この実際の加入率と加入意向率の差を成長余地と捉え、オンライン生保市場の高い成長可能性を見込んでおります。

 また、昨今の新型コロナウイルス感染症の拡大により、生活者のデジタル化への適応は一層加速したものと考えております。一方で、デジタル化の浸透により、競合他社によるインターネットチャネルへの新規参入も進んでおり、オンライン生保市場における競争環境は厳しさを増しております。現在は、競争を伴いながら市場が拡大する時期にあると認識していることから、当社は成長投資を継続することで競争優位性を維持・強化し、オンライン生保のリーディングカンパニーとしてのポジションをさらに強固にしてまいります。

 

(競合他社との競争優位性)

 当社は、「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」という「ライフネットの生命保険マニフェスト」に基づき徹底したお客さま視点の事業運営を行っていることに加え、インターネットを主な販売チャネルとするビジネスモデルを生かした取組みを継続していることが、当社の競争優位性を高めていると認識しております。

 当社は、お客さまが必要な保障をご自身で選択いただけるように、シンプルでわかりやすい商品を提供するとともに、インターネットを活用することで、店舗費や人件費等の費用を削減し、低廉な保険料を実現しております。また、スマートフォンをはじめとするウェブサイトのUI/UXを洗練し続けることに取り組み、お客さまにとって利便性の高いサービスを提供しております。保険相談、お申し込みから契約後の管理、保険金等の支払いなどのお客さまとの各タッチポイントにおいて、顧客体験の向上とともに生命保険の新しい価値提供に取り組んでおります。このように、商品・サービスにおける質の向上を継続しながら、マーケティングへの投資を強化することで圧倒的な集客による当社ウェブサイトのトラフィックを実現しております。さらに、当社はオンライン生保の強みを生かして、幅広い顧客基盤とブランド力を持つビジネスパートナーと提携し、より多くのお客さまに当社の商品・サービスの価値を提供しております。

 引き続き、経営方針の重点領域に掲げた「顧客体験の革新」「販売力の強化」に注力し、オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニーを目指します。

 

 当社が、経営の柱と位置付けている「ライフネットの生命保険マニフェスト」の全文、主要商品の内容、顧客基盤、販売網等については、第1[企業の概況]3[事業の内容](2)マニフェストを基軸とした経営、(3)商品構成、(4)販売チャネルをご参照ください。

 

*1. 生命保険文化センター「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」

 

(3) 中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題

(経営方針)

 当社は、今後も着実な成長を続け、中長期において高い収益力を実現するために、経営方針を策定しております。経営方針の骨子は以下のとおりです。

 

○経営方針の骨子

経営理念

正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する

目指す姿

オンライン生保市場の拡大を力強く牽引するリーディングカンパニー

重点領域

・顧客体験の革新

 デジタルテクノロジーを活用し、全てのサービスを質的に高め進化させる

・販売力の強化

 積極的プロモーション及び代理店・ホワイトレーベルの拡大により、圧倒的な集客を実現する

経営目標

EEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)を
企業価値を表す重要な経営指標とし、早期の2,000億円到達を目指す

 当社が、目標とする経営指標をEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)と定めた理由は、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容をご参照ください。

 

(優先的に対処すべき課題)

①インターネットチャネルの中長期的な成長の再加速

 当社は、経営方針の重点領域である「顧客体験の革新」と「販売力の強化」に取り組むことで、開業来の主要チャネルであるインターネットチャネルの成長を中期的に再加速することを目指します。

 まず、お客さまが保険の購入タイミングにおいて、当社を想起していただけることや認知度を向上することを目的として、引き続き、テレビCMやオンライン広告を中心とした広告宣伝への投資やブランド力の強化を行います。

 次に、当社は、オンライン生保市場の競争環境が厳しくなる中で、認知いただいたお客さまに当社を安心して選んでいただけることが重要であると認識しております。そのために、「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」という提供価値をより一層強く届けるとともに、顧客体験の向上のためのシステム開発やデータ分析等に注力することで、お客さまに選ばれる商品・サービスを提供してまいります。

 特に2023年度は、当社の主要な顧客層である若年層に向けて、プロモーション領域に留まらない営業戦略を推進します。当社の契約業績は、開業来、若年層のお客さまから多くの支持を得て成長してきましたが、近年では中高齢層のお客さまからも選ばれるオンライン生保として事業規模を拡大しております。中長期的に営業効率を高めながらさらに規模を拡大するためには、保有契約業績の成長を再加速するための基盤づくりに注力する必要があると認識しております。そのために、当社の主要な顧客層であり、デジタルと親和性の高い若年層のお客さまの獲得に重点を置くことで、インターネットチャネルの業績伸長を目指します。開業15周年を迎え、改めて「ライフネットの生命保険マニフェスト」に立ち返り、若年層のお客さまの視点に立った顧客接点の強化や商品・サービスの提供に挑戦してまいります。

 

②パートナー企業との協業によるオンライン生保市場の拡大

 当社は、独立系かつオンライン生保のリーディングポジションにあるという強みを生かして、パートナー企業との協業に積極的に取り組み、オンライン生保市場の拡大を目指します。今後の中長期的な成長を見据え、2023年度は、個人保険事業におけるパートナー企業との協業、プラットフォーム事業の強化に加え、団体信用生命保険事業(以下、「団信事業」)への事業領域の拡大に着手します。

 個人保険事業については、ホワイトレーベル事業を中心に、KDDI株式会社や株式会社マネーフォワードといったパートナー企業の幅広い顧客基盤とブランド力を活用しながら着実な取組みを続けることで、保有契約業績への貢献度を高めることを目指します。

 プラットフォーム事業については、子会社であるライフネットみらい株式会社において、個人のお客さま向けに提供するオンライン保険代理店としてのUI/UXの向上に努めることなどにより、事業規模の拡大を目指します。また、オンライン保険代理店としての知見をもとに、新たに法人のお客さまに向けてオンライン保険ビジネスに必要なシステムやデジタルツールを提供することを目指します。その一環として、2022年10月には、三井住友カード株式会社と業務提携契約を締結し、デジタルを起点とした顧客体験の実現に向けて取組みを開始しました。今後は、個人向けと法人向けサービスの相互作用を通じて、お客さまに一層寄り添った金融サービスを構築し、オンライン生保市場の拡大に資する取組みを推進します。

 新たに開始する団信事業については、2023年7月より、auじぶん銀行株式会社の住宅ローン利用者向けに団体信用生命保険の提供を開始する予定です。2023年度においては、団信事業を新たな収益機会とするべく、着実な立ち上げを実行してまいります。将来的には、提携する銀行の拡大も視野に入れ、安定的な収益基盤となることを目指して取り組んでまいります。

 

③事業成長を支える人的資本への取組みの強化

 当社は、今後も時代の変化に対応しながら、お客さまに寄り添った商品・サービスの提供を行い、力強い成長を実現するためには、事業を支える従業員が活躍できる環境づくりが重要であると考えております。そのために、従業員に対して「多様性を大切にする」「成長の機会をつくる」ことに注力します。

 「多様性を大切にする」ための取組みとして、年齢・国籍・ジェンダーフリーの採用などを通して、多様な知見・経験・アイデアを持つ従業員が活躍できる環境を整備し、健康で明るく楽しく働きながら、個性を活かして互いに尊重できる組織を目指します。

 また、「成長の機会をつくる」ための取組みとして、成長度を測定する評価制度の運用や従業員同士がともに学ぶ機会の提供を行います。従業員の挑戦と成長を後押しし、個人の成長を組織の成長につなげるための取組みを推進します。

 

以上の取組みを推進することで、さらなる成長を目指します。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりです。なお、本項における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。

 

(1) サステナビリティに対する考え方

 ライフネット生命は、2008年の開業以来「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」というライフネットの生命保険マニフェストに基づいた経営を行っております。このマニフェストには、相互扶助という生命保険の原点を忘れずに、お客さま視点の商品・サービスの提供を追求する、という強い思いが込められております。

 私たちはサステナビリティにおいても、相互扶助の考え方を大切にしております。お客さま、パートナー企業、株主・投資家、従業員に加え、将来の世代も含めた社会を形成するさまざまなステークホルダーとの相互のつながりを大切にしながら、生命保険の新しい価値を提供し続けていくことが、当社のサステナビリティに資すると考えております。

 相互扶助という生命保険の原点を大切にしながら、オンラインの生命保険会社の強みを生かして生命保険の未来をつくる取組みを推進することで、持続可能な社会の実現と当社の企業価値の向上を目指します。

 

(2) 長期に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)

 当社は、持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指して、長期に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)を特定しました。「生命保険の未来をつくる」をテーマとして、以下の1から10までを当社のマテリアリティとして認識し、「お客さま」「社会」「従業員」のステークホルダーに対して取組みを進めるとともに、経営の基盤となる「ガバナンス」を継続的に強化してまいります。

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(マテリアリティの特定プロセス)

 当社は、当事業年度において以下のプロセスによりマテリアリティを特定しました。まず、「ライフネットの生命保険マニフェスト」及び経営方針等を踏まえながら、株主・投資家からの意見、SASB(Sustainability Accounting Standards Board, サステナビリティ会計基準審議会)をはじめとするガイドライン、ESG評価機関の評価項目等を参考に課題を抽出しました。次に、抽出した課題から、ステークホルダーにとっての重要度及び当社にとっての重要度の2つの視点で、マテリアリティ候補を選定し、取締役会及び経営会議での議論を経て、マテリアリティを特定しました。マテリアリティの項目においては、定期的に確認し、外部環境の変化や当社の経営戦略を踏まえて必要に応じて見直しを行ってまいります。

 

(3) ガバナンス

 当社のサステナビリティに関する方針及び取組みは、議長である代表取締役社長と執行役員(取締役との兼務含む)で構成された執行役員会において協議・報告を行い、重要なものについては取締役会に報告しております。取締役会は、当社のサステナビリティに関する取組み等に対して、中長期的な企業価値向上の観点から議論・監督を行っております。

 また、代表取締役社長を委員長として関係役員・部門長等で構成される「リスク管理委員会」において、サステナビリティの観点を含めた事業全般のリスクに関してリスク管理を行い、リスク管理委員会での議論の内容は、取締役会に報告しております。

 当事業年度の主な取組みとして、執行役員会においては、改めてこれまでの事業運営の方針を社会課題に照らし、「ライフネット生命のマテリアリティ」の特定について協議を行うとともに、リスク管理委員会においては、サステナビリティに係るリスクの管理体制の整備やリスクの識別・評価を行い、各会議における内容を取締役会に報告しました。

 今後も、執行役員会においてサステナビリティに関連した対応の強化を目指して協議を行い、マテリアリティを踏まえた取組みを推進し、取締役会において実効的な監督を行ってまいります。

 

(4) リスク管理

 当社は、リスク管理に係る基本的な考え方を「リスク管理に関する基本方針」に定め、組織体制の確立を率先して行うことにより、サステナビリティに係るリスクも含めた各リスクの評価・改善体制を整備しております。具体的には、リスク管理に関する基本方針において、当社が管理すべきリスクを規定し、「統合的リスク管理規程」において各リスクの一次リスク管理部門を定め、リスク管理部が主な二次リスク管理部門として、リスク管理(識別・評価・対応)を統括しております。当社は、総合的なリスク管理を行うためには、組織横断的な取組みが有効との考えに基づき、代表取締役社長を委員長として関係役員・部門長等で構成されるリスク管理委員会を設置し、リスク管理委員会での議論の内容は、取締役会に報告しております。リスク管理の体制等は、第2[事業の状況]3[事業等のリスク](1)リスク管理方針、(2)リスク管理体制をご参照ください。

 

 当社のマテリアリティに対応する機会及びリスクの概要は以下のとおりです。サステナビリティに係るリスクとして、以下のリスクを個別に管理することに加え、「A-6 サステナビリティ全般に係るリスク」を管理しております。リスクの詳細は、第2[事業の状況]3[事業等のリスク](4)特に重要性が高いリスク、(5)その他の主要なリスクをご参照ください。

タイトル

マテリアリティ

機会とリスクの概要

主要なリスク

お客さまのために未来をつくる

1. 正直に わかりやすく、安くて、便利にする

2. セキュリティを高める

 当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとし、シンプルでわかりやすい商品と利便性の高いサービスを提供することで、競合他社との競争優位性を形成していると認識しております。

 今後、競争環境の変化や技術革新の進展により競争力が低下する場合、情報セキュリティへの対応の欠如等によってお客さまの信頼を損ねる場合には、当社の経営基盤を著しく毀損する可能性があります。

A-1 競争状況に係るリスク

A-11 技術革新に係るリスク

D-1 システムリスク

D-3 情報漏えいに係るリスク

D-6 保険金・給付金の支払い漏れに係るリスク

 

 

タイトル

マテリアリティ

機会とリスクの概要

主要なリスク

よりよい社会のために未来をつくる

3. パートナーシップを積極的に活用する

4. 気候変動に対応する

5. 責任ある投資をする

 当社は、インターネット直販に加え、パートナー企業の強みを相互に活用することで生命保険を通じた新たな価値提供に取り組んでおります。また、気候変動は、中長期的な視点からは当社の経営環境に影響を与える可能性があることから、今後対応を検討してまいります。加えて、生命保険会社として社会の持続可能性にも配慮した資産運用を行うことは重要であると考えております。

 当社のこれら社会課題への対応が不十分な場合、または不十分と評価される場合、追加的なコストの発生や社会的評価の悪化を通じ、当社の業績及び企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

A-3 提携先との関係及び提携先の業績に係るリスク

A-5 気候変動に係るリスク

従業員とともに未来をつくる

6. 多様性を大切にする

7. 成長の機会をつくる

 当社は、従業員自身が多様な視点を持ちお互いを尊重できる組織をつくることが、多様化するお客さまのニーズや社会に対し、柔軟に対応しながら、生命保険の新たな価値を提供することにつながると考えております。そのため、多様な従業員一人ひとりが健康で明るく楽しく働きながらそれぞれの強みを発揮し、その挑戦と成長を支える環境づくりに注力します。

 多様性のある有能な人材を採用・育成できない場合、多様性を組織の成長につなげる環境が整備できない場合は、マニフェストを基軸とした経営を行うことができず、経営戦略の遂行が困難となる可能性があります。

D-7 人材の確保・維持に関するリスク

未来をつくるガバナンス

8. ガバナンスを強くする

9. リスク管理を高める

10. 企業倫理を大切にする

 当社はマニフェストにおいて、「私たちは、常に誠実に行動する。コンプライアンスを遵守し、倫理を大切にする。」という行動指針を掲げ、高い社会性・公共性を有する生命保険会社として、経営の透明性の確保とコーポレート・ガバナンスの強化・充実を図っております。また、生命保険会社としての業務の健全性及び適切性の観点からリスク管理体制の整備に努めることで、持続的な企業価値向上の実現を目指しております。

 当社において、重大な法令等の違反や社会規範からの逸脱があった場合、あるいはリスク管理体制が有効に機能しなかった場合、さまざまなステークホルダーからの信頼を損ね、レピュテーションの低下を伴いながら企業価値を毀損する可能性があります。

D-2 法令等違反及び社会規範逸脱に係るリスク

D-9 リスク管理体制に係るリスク

 

(5) 人的資本に係る戦略並びに指標及び目標 (従業員とともに未来をつくる)

 当社は、人材を企業価値向上の源泉と捉え、従業員の可能性を最大限に引き出すため、以下のとおり、人的資本に係る方針を策定するとともに取組みを推進し、従業員とともに生命保険の未来をつくることを目指します。

 

①戦略

人材育成方針及び社内環境整備方針

当社は、多様性を大切にし、従業員一人ひとりに挑戦と成長の機会を提供することで、「ライフネットの生命保険マニフェスト」の実現を目指します。

多様性を大切にする

 時代や環境の変化にすみやかに対応し、お客さまのさまざまなニーズにそって、わかりやすく安くて便利な商品・サービスを提供するために、当社は多様性を大切にします。マニフェストのもとに集まった多様な知見・経験・アイデアを持つ従業員が、健康で明るく楽しく働きながら、それぞれの個性を活かして互いに尊重できる組織を目指します。

成長の機会をつくる

 マニフェストの実現に向けて、量的な成長と質的な変化をつづけるために、当社は従業員の成長の機会をつくります。挑戦の機会を提供することで従業員の成長を後押しし、失敗をも学びにつなげることで組織の知見を蓄え、個人の成長を組織の成長につなげることを目指します。

 

②指標及び目標

当社は、マニフェスト及び経営理念の実現に向けて、人材育成方針及び社内環境整備方針を踏まえて、以下の5つの課題に対して重点的に取り組みます。

課題

目指す姿

取組み

指標及び目標と当事業年度実績

多様性を大切にする

多様性を育む

・多様な人材がそれぞれの能力をいかんなく発揮できる状態

・各々の個性により創発が起きる状態

・部門横断でのダイバーシティ活動

・年齢・国籍・ジェンダーフリーの採用・登用

 

[指標・目標]

PRIDE指標における「ゴールド*1」の継続

[実績]

PRIDE指標における「ゴールド」を獲得

 

[指標・目標]

女性管理職比率*230%以上

産休・育休後の復帰率100%

[実績]

女性管理職比率 26.1%

産休・育休後の復帰率 100%

 

[指標・目標]

健康経営優良法人*3の認定継続

[実績]

「健康経営優良法人2023」に認定

 

元気に明るく楽しく

・前向きに、生産性高く働ける状態

・育児・介護等で働き方に制約があっても能力を発揮できる状態

・時間外労働の削減

・フレキシブルワークの実施

・「制度より風土」の文化の維持

一体感の醸成

・所属部門や役職に関係なく、お互いの強みを活かして主体的に行動できる状態

・互いに応援し助け合える状態

・社内SNS、社内イベント、部活動等を通じたコミュニケーションの促進

・自発的な部門横断活動の推進

成長の機会をつくる

[指標・目標]

ピアボーナスの活用者率*490%以上

[実績]

活用率91.3%

 

[指標・目標]

1on1面談の実施率*590%以上

[実績]

実施率80.3%

 

[指標・目標]

従業員1人当たりの研修時間24時間以上

[実績]

19.6時間

挑戦の機会の提供

・失敗を学びにつなげ、挑戦しつづけられる状態

・挑戦的な役割付与により、各自が常にストレッチしている状態

・役職任期(3~5年)制度による早期の登用

・成長度評価の運用

・1on1面談の実施

組織力を高める

・組織の出力が、個人の出力の総和より大きくなる状態

・個人の成長が組織の成長につながる状態

・後進の育成を評価項目に設定

・業務の標準化、形式知化の促進

・ピアラーニングの実施

*1. PRIDE指標とは、work with Prideが主催する企業や団体のLGBTQなどのセクシャルマイノリティに関する取組みを評価するための指標であり、ゴールドは最高評価です。

*2. 部門長以上の役職者に占める女性の割合(当事業年度末時点)です。

*3. 経済産業省と日本健康会議が運営する健康経営優良法人認定制度に基づき認定されます。健康・医療新産業協議会健康投資ワーキンググループにおいて定められた評価基準に基づき、企業等からの申請内容を審査した上で、日本健康会議において認定されます。

*4. 月に1回以上ピアボーナスのアプリにアクセスした人の割合(年度平均)です。

*5. 年間12回(月に1回)上長と実施する面談のうち、当事業年度に実施した割合です。

(6) その他のサステナビリティに関する事項

①お客さま本位の業務運営 (お客さまのために未来をつくる)

 当社は、相互扶助という生命保険の原点を忘れずに、「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」というライフネットの生命保険マニフェストを当社の役員及び社員の行動指針として業務を運営しております。ライフネットの生命保険マニフェストは第1[企業の概況]3[事業の内容](2)マニフェストを基軸とした経営をご参照ください。

 マニフェストを踏まえ、当社では、常にお客さまの声に耳を傾け、お客さまの視点に立った商品・サービスの開発・提供を行うとともに、徹底した情報開示を「正直に」行うことで、お客さま本位の業務運営に努めており、その一環として「お客さま本位の業務運営に関する方針」(以下、「当方針」)を公表しております。また、当方針における取組み状況及び成果指標の数値を定期的に公表しております。さらに、当方針及び成果指標は、必要に応じて見直し、改善を図ることで、より良いお客さま本位の業務運営を目指しております。

 当方針並びに当方針における取組み状況及び成果指標の数値の詳細は、ライフネット生命公式ウェブサイト「お客さま本位の業務運営に関する方針」に掲載しております。
  お客さま本位の業務運営に関する方針 https://www.lifenet-seimei.co.jp/policy/cs_policy/

 また、当社は、オンライン生保の円滑な運用においては、情報セキュリティの確保が最重要課題の一つであると認識しております。当社内に存在する情報資産を守るために、「情報セキュリティ基本方針」を定めるとともに、堅牢な情報セキュリティ体制の構築に取り組んでおります。情報セキュリティ基本方針は、ライフネット生命公式ウェブサイト「情報セキュリティについて」に掲載しております。また、情報セキュリティ管理体制の整備状況は、第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](1)コーポレート・ガバナンスの概要⑦情報セキュリティ管理体制の整備状況をご参照ください。
  情報セキュリティについて https://www.lifenet-seimei.co.jp/policy/security/

 

②社会課題の解決に向けた取組み (よりよい社会のために未来をつくる)

a. 気候変動への対応

 当社は、開業来インターネットを主軸としたビジネスであることから、紙資源の削減や支店・営業所を持たないことにより温室効果ガス排出の抑制に貢献しております。現時点においては、当社のビジネスモデルや事業規模を踏まえて、目標値等は定めておりませんが、気候変動が当社を含む生命保険業界へ影響を及ぼす可能性があることを事業のリスクとして認識し、今後中長期的な視点で対応事項を検討してまいります。

 当社の当事業年度における温室効果ガス排出量のうち、Scope1(自社が直接排出する排出量)及びScope2(他社から供給された電気等の使用に伴う排出量)は以下のとおりです。

  温室効果ガス排出量(Scope1及びScope2)の実績*1

(単位:t-CO2)

 

当事業年度

Scope1

25.6

Scope2*2

79.7

合計

105.4

*1. 2022年4月~2023年3月の本社オフィス(麹町NKビル)の電気使用量及び都市ガス使用量を元に算出。当実績には、当社及び子会社(非連結)のライフネットみらい株式会社の実績が含まれております。

*2. Scope2の排出量は、GHGプロトコルにおけるマーケット基準での算定結果です。

 

b. 資産運用に関する事項

 当社は、お客さまの保険事故の発生時に確実かつ適切に保険金等をお支払いするために、堅実な資産運用方針を定め、当事業年度においても国債など高格付けの円金利資産を中心とした運用を継続しました。

 当方針、投資ポートフォリオ及び運用規模を踏まえて、現時点においては明確なESG(環境・社会・ガバナンス)の投資方針等は定めておりませんが、生命保険事業の特性や社会の持続可能性の観点から、当社内において一定の規律のもと、運用実績やリスク等に鑑み、ESGを考慮した投資を実施しております。

 

c. パートナーシップの活用

 当社は、より多くのお客さまに当社のマニフェストに基づく商品・サービスの価値を届けることに加え、生命保険の価値提供を高め企業グループの枠を超えた連携により社会の課題を解決することを目指して、パートナー企業との提携を推進しております。当事業年度においては、新たにエーザイ株式会社や三井住友カード株式会社と提携しました。エーザイ株式会社においては、日本の高齢化社会における生活者の医療・介護に係る負担の軽減に貢献することを目指して認知症領域等での協業を行ってまいります。また、三井住友カード株式会社は、子会社のライフネットみらい株式会社とともに、お客さまの新たな生活様式に対応するデジタルを起点とした顧客体験の実現を目指します。

③コーポレート・ガバナンスに関する事項 (未来をつくるガバナンス)

 コーポレート・ガバナンスに関する詳細は、第4[提出会社の状況]4[コーポレート・ガバナンスの状況等](1)コーポレート・ガバナンスの概要をご参照ください。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは次のとおりです。

 当社は、これらのリスクを認識したうえで、事態発生の回避及び発生した場合の迅速かつ適切な対応に努めます。

 なお、本項における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものです。

 

(1) リスク管理方針

 当社は生命保険会社としての財務の健全性及び業務の適切性を確保しつつ、リスク戦略を実現するため、リスク管理態勢の整備・確立が経営上極めて重要であると認識しております。これらリスク管理に係る基本的な考えを「リスク管理に関する基本方針」に定め、社内の組織態勢(図参照)を確立することにより、各リスクの評価・改善態勢を整備しております。

 

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(2) リスク管理体制

 当社が管理すべき各リスクの一次リスク管理部門を定め、リスク管理部が主な二次リスク管理部門として、リスクを統括するものとしております。また、総合的なリスク管理を行うためには、組織横断的な取組みが有効との考えに基づき、関係役員・部門長等で構成される「リスク管理委員会」を設置しております。さらに、生命保険会社にとっては、資産・負債の総合管理がリスク管理の要諦になるとの認識に立脚し、これとは別に「ALM*1委員会」を設けております。その他に、内部統制の体制整備・運営の推進を図るため、コンプライアンス体制の整備や推進状況等を協議・フォローする組織横断的な機関として、関係役員・部門長等で構成される「コンプライアンス委員会」を設置しております。

*1. Asset Liability Management(資産・負債の総合管理)

 

(3) リスクの分類

 当社は、主要なリスクについて、事業戦略リスク、保険引受リスク、市場リスク、信用リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク*1に分類しております。以下は、この分類とともに当社の主要なリスクを示したものです。

*1. オペレーショナルリスクは事務リスク、法務リスク、コンプライアンスリスク、システムリスク等に分類し管理しております。

 

リスク分類

主要なリスク

A.事業戦略リスク

A-1  競争状況に係るリスク

A-2  営業費用の投下に係るリスク

A-3  提携先との関係及び提携先の業績に係るリスク

A-4  日本国内の人口動態に係るリスク

A-5  気候変動に係るリスク

A-6  サステナビリティ全般に係るリスク

A-7  法規制に係るリスク

A-8  社会保障制度等の変更に係るリスク

A-9  他の生命保険会社の破綻に係るリスク

A-10 オンライン生保業界の風評に係るリスク

A-11 技術革新に係るリスク

B.保険引受リスク

B-1  死亡率・罹患率等に係るリスク

B-2  責任準備金の積み立てに係るリスク

C.市場リスク・信用リスク・流動性リスク

C-1  金利変動に係るリスク

C-2  再保険取引に係るリスク

C-3  株価・為替等の変動に係るリスク

C-4  社債等に係る信用リスク

C-5  流動性リスク

D.オペレーショナルリスク

D-1  システムリスク

D-2  法令等違反及び社会規範逸脱に係るリスク

D-3  情報漏えいに係るリスク

D-4  大規模災害等における事業継続性に係るリスク

D-5  事務リスク

D-6  保険金・給付金の支払い漏れに係るリスク

D-7  人材の確保・維持に関するリスク

D-8  訴訟リスク

D-9  リスク管理体制に係るリスク

 

(4) 特に重要性が高いリスク

 「(3)リスクの分類」で分類・管理している主要なリスクのうち、発生した場合の影響度及び発生可能性に鑑みて特に重要性が高いと評価されるリスク及びその内容と対応策は以下のとおりです。

 

① A-1 競争状況に係るリスク

 当社は、日本の生命保険市場において、国内生命保険会社、外資系生命保険会社、保険子会社を保有している国内の大手金融機関との競争に直面しております。競争には、価格や商品内容、契約者向けサービス、代理店手数料に関するものが含まれます。現在、金融サービスのデジタル化や新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、対面チャネルを主力としていた会社も一部オンライン化を推進するなど、新規プレイヤーが参入しており、今後、オンライン生保市場の拡大とともに競争環境の厳しさが増していく可能性は高いと考えております。当社が主力としているインターネットチャネルにおいて、当社の競争力を維持できない場合には、新契約件数の減少及び解約等の増加によって保有契約件数が減少し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、当社は保有契約の持続的な成長とオンライン生保のプラットフォーマーへの変革を目指しておりますが、当社の保有契約の成長が限定的になれば、規模の拡大と業務効率の改善による収益性の向上が実現できないこととなります。

 当社では、「正直に わかりやすく、安くて、便利に。」というライフネットの生命保険マニフェストのもと、お客さま視点で商品・サービスの設計・開発を行い、お客さまの当社に対するエンゲージメントを高めることで競争力の維持・強化を図っております。その他、積極的な営業費用の投下や、パートナービジネスチャネルにおける協業の推進、団体信用生命保険事業への取組み、子会社であるライフネットみらい社によるオンラインの生命保険プラットフォームの構築など、当社の今までの経験を活かした事業の拡大を進め、これまでに築き上げてきたオンライン生保市場での競争優位性を維持・強化してまいります。

 

② A-2 営業費用の投下に係るリスク

 生命保険業では一般的に、長期間にわたり平準的に保険料を収受する一方、契約前後の短期間に広告宣伝費・代理店手数料などが集中的に支出されるため、会計上の損失が生じることがあります。当社は、認知度の向上や新契約の獲得を目的として、テレビCMや検索連動型広告に代表される各種の広告宣伝を行っており、2022年度においても積極的に営業費用を投下しております。営業活動の効果が十分に得られない場合、営業活動が適切に行われない場合、又は当社が想定するほどにインターネットを通じた保険商品への購買行動が消費者に浸透しない場合には、営業費用効率が低下し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 お客さまのニーズの変化や社会経済環境の動きには様々な短期的要因や長期的要因があり、それらの影響を受けて営業費用効率も常に変動します。当社の商品・サービスやマーケティングにおいてこれらへの対応が適切になされない場合、今後、現状の規模での営業費用の投下を継続したとしても新契約業績が低下し、適正な商品の収益性が確保できないことになります。当社では、新契約の成長と営業費用効率のバランスを定期的にモニタリング・分析を行いながら、営業費用の投下を判断してまいります。これらのコントロールを通じて、営業費用の投下に係るリスクの発生可能性を抑制することができると考えております。

 

③ B-1 死亡率・罹患率等に係るリスク

 生命保険料は、予定死亡率、予定罹患率、予定解約率、予定事業費率等の基礎率に基づいて計算されております。このため、例えば、実際の死亡率が予定死亡率よりも高い水準となること、又は、過去の死亡率実績から増加することにより、想定よりも多くの保険金を支払うこととなる可能性があります。また、終身医療保険、定期療養保険、就業不能保険及びがん保険などの非伝統的なリスクを保障する商品に用いる予定罹患率は、死亡率などの伝統的なリスクを保障する生命保険商品の基礎率に比べ、相対的に高い不確実性を内包しております。さらに、当社は、これまで、定期死亡保険・終身医療保険・定期療養保険・就業不能保険・がん保険の保障性商品に限定した生命保険の販売を行っていることにより、リスク・ポートフォリオにおいて、リスクを分散させる効果が相対的に小さくなる可能性があります。

 また、現在の新型コロナウイルスを超えるような感染症の大流行や東京や大阪等の人口密集地域を襲う地震・津波・テロ等の大規模災害を原因として大量の死傷者が発生した場合、当社は保険給付に関する予測不可能な債務を負うリスクにさらされます。当社は、保険業法上の基準に従って危険準備金を積み立てておりますが、これは必ずしもあらゆる大規模災害発生時の支払いを担保するものではなく、保険金・給付金の支払いが危険準備金を超える可能性があります。

 これら死亡率・罹患率等に係るリスクは、現状の国民の死亡率や疾病・障害の罹患率の動向等に鑑みれば現時点での発生可能性は低いと考えております。当社では、死亡率や罹患率等が適正な範囲を超えることがないよう、商品開発時に保障内容や診査方法等を適切に設定するとともに、死亡率や罹患率等の状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて診査方法等の見直しや商品改定を実施する体制としております。また、ストレステストを実施し、大規模災害が発生した場合の影響や対応を確認しております。

 

④ C-1 金利変動に係るリスク

 当社は、高格付けの公社債などを資産運用の主たる手段として保有しております。今後、市場金利が大幅に上昇する場合、当社が保有している公社債の時価が想定を超えて下落する可能性があります。

 また、保険契約の将来キャッシュ・フローの価値や、それらを反映し企業価値を表すEEV(ヨーロピアン・エンべディッド・バリュー)や経済価値ベースの資本も、金利変動による影響を受けます。当社によって対処し得る程度を超えて市場環境が大きく変動した場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 現在、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢などの影響のもと世界経済や国際政治状況が大きく変化するなかで、グローバルに物価上昇が進行し、欧米各国も政策金利の引上げを行っております。これらの状況において、金利変動の蓋然性は高まっていると認識しておりますが、当社は現状では十分な資本を確保し、経済価値ベースにおいても保障性商品中心の商品ポートフォリオにより金利変動による影響は限定的と考えております。当社では、金利リスクを含む市場リスクに対しリスクリミットを設定したうえで、その状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて資産運用方針等を見直す体制としております。現在、金融経済の動向を踏まえ、金利変動リスクの抑制と財務会計上の耐性を高めることを目的として、債券のデュレーションの短期化及び会計上の保有目的区分について「その他有価証券」から「満期保有」への割合のシフトを進めております。

 

⑤ D-1 システムリスク

 当社は、インターネットを主な販売チャネルとしており、情報システムの安定運用に依拠して、生命保険の販売、引受け、契約の管理、統計データ及び顧客情報の記録・保存などの事業運営を行っております。また、当社の業容拡大、商品・サービス開発の機動性確保及び業務効率化のため、毎年一定規模の情報システム投資を行っております。しかし、事故、災害、停電、ユーザー集中、人為的ミス、妨害行為、内部・外部からの不正アクセス、ウイルス感染やネットワークへの不正侵入、外部からのサービス妨害攻撃、ソフトウエアやハードウェアの異常等の要因により、当社の情報システムが機能しなくなる可能性があります。また、情報システムの刷新にあたり問題が発生する可能性もあります。それらの場合、機会損失や追加費用が発生する可能性があります。加えてこれらが原因で、当社がお客さまに提供するサービス、保険金・給付金の支払いや保険料の収納、資産運用業務などを一時的に中断せざるを得ない事態が生じる可能性があり、その結果、お客さまの信頼及び当社のレピュテーションの低下を招くとともに、行政処分につながるおそれがあり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社では、開業以来現在に至るまで大規模なシステムトラブルなどは発生しておらず、安定したシステム運用を行っております。想定外の原因により大規模なシステムトラブルが発生する可能性は、今後も低いと考えているものの、他の金融機関と同様に存在すると考えております。当社では、情報システムを安定運用するための基本的な考え方や方策を社内規程等に定め、それらに基づく情報システムの開発、運用状況の監視、バックアップ体制の整備、障害発生時の対策等を行っております。また、外部からの攻撃等に備え、ファイアウォールやウイルス対策ソフト等による不正侵入や不正使用の防止と監視、ソフトウエアの脆弱性診断や、有事に適切な対応を図るためのCSIRT(Computer Security Incident Response Team)の運営等を行っております。

 

⑥ D-2 法令等違反及び社会規範逸脱に係るリスク

 当社は、当社又はその役員・従業員、代理店、外部委託先又は顧客による不正や法令違反、例えば、違法な保険募集、顧客情報の不正利用、顧客による詐欺・なりすまし、その他の不祥事件等により、損失を被るリスクがあります。特に、違法な募集行為や顧客情報の不正利用が発生した場合には、監督当局から行政処分を受けるほか、当社への信頼の低下、ブランドの毀損及び訴訟などの多額の費用負担につながり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、不正や法令違反には該当しない場合であっても、当社又はその役員・従業員が、社会的な規範や期待、要請に反する行為や、商慣習や市場慣行に反する行為、利用者の視点の欠如した行為に至ることにより、顧客を含むステークホルダー、市場の健全性、公正な競争、公共の利益に悪影響を及ぼす可能性があります。それらの場合、当社への信頼の低下、ブランドの毀損及び対応費用の発生につながり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社は、オンライン生保であるため保険募集に係る不正が発生しづらいことや、事業の範囲や規模が限られること等により、発生可能性は低いと考えておりますが、不祥事件等を排除又は減少させるための態勢を整備しております。当社では、コンプライアンス委員会等を通じて法令等の遵守体制の整備や遵守状況の確認を定期的に実施し、必要に応じて課題や問題の改善に取り組んでおります。加えて、役職員に対し、テーマ別や階層別の研修を通して、法令等に対する意識浸透を図っております。また、当社では、顧客を含むステークホルダーや社会からの期待に応えるため、当社の経営理念や行動指針を「ライフネットの生命保険マニフェスト」として定め、役職員への浸透と実現を図っております。その他、顧客からの問い合わせや苦情の分析等を通じて、顧客本位の業務運営の実現状況を定期的に確認しております。

 

⑦ D-3 情報漏えいに係るリスク

 当社は、インターネットを活用した生命保険事業を展開しており、顧客情報(個人情報)を中心とする様々な機密情報を主に電磁的方法により保有しております。当社役員・従業員、代理店、外部委託先による顧客情報の紛失・漏えい・不正利用が発生した場合、若しくは第三者が当社の情報システムに侵入して当社の顧客情報を不正取得した場合には、監督当局から行政処分を受けるほか、当社への信頼の低下、ブランドの毀損及び訴訟や顧客への損害賠償などの多額の費用負担により、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 情報漏えいが仮に発生した場合の影響の大きさに鑑み、当社は、情報セキュリティ管理の重要性を経営の最重要課題の一つと認識し様々な対策を行っているため、情報漏えいの発生可能性は低く抑制できていると考えております。データの持ち出し等については、データへのアクセスやコピーの制限、ログのモニタリング等の技術的な対策を行っております。また、外部からの攻撃等に備え、ファイアウォールやウイルス対策ソフトによる不正侵入や不正使用の防止と監視、ソフトウエアの脆弱性診断や、有事に適切な対応を図るためのCSIRTの運営等を行っております。

 

(5) その他の主要なリスク

 「(3)リスクの分類」で分類・管理している主要なリスクのうち、「(4)特に重要性が高いリスク」以外のリスクの内容は以下のとおりです。

 

① A-3 提携先との関係及び提携先の業績に係るリスク

 当社は、インターネットを通じた生命保険商品の直接販売に加えて、生命保険業界内外の企業との業務提携を通じた販売チャネルの拡大を経営方針の重点領域として掲げ、取り組んでおります。当社の提携先が事業上の問題に直面した場合、業界再編などによって戦略を転換した場合、又は当社が魅力的な提携相手でなくなったと判断された場合などには、当社との業務提携が解消される、又は提携内容が変更される可能性があります。また、今後当社以外の競合会社との提携が進む可能性があります。その結果、当社は事業戦略の変更を迫られ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② A-4 日本国内の人口動態に係るリスク

 1960年代後半以降、日本国内の合計特殊出生率は総じて減少傾向にあり、依然として低い水準にあります。その中で、15歳から64歳までの人口(以下、「生産年齢人口」)も減少しております。このような人口動態の変化が、日本国内における生命保険市場に悪影響を与える可能性があります。また、当社が販売する生命保険商品の顧客基盤は、主にこの生産年齢人口に属しております。生産年齢人口が今後も減少し続けた場合、当社の主力商品である定期死亡保険に対する需要が減少することになり、中長期的に当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。当社では、人口動態の変化などの社会情勢の変化も踏まえながら、お客さまのニーズに応える商品・サービスを開発してまいります。

 

③ A-5 気候変動に係るリスク

 気候変動への対応は、国際社会全体で取り組む大きな社会課題となっており、企業に対しても気候変動への適応と緩和に対する取組みが求められております。当社においても、気候変動は中長期的な業績に悪影響を及ぼす可能性があります。例えば温暖化に伴い感染症が増加する場合や、異常気象が健康へ悪影響を及ぼす場合、自然災害等による被害が増加する場合には、保険金・給付金の支払いが増加する可能性があります。また、当社が社債等を通じて投資する企業において、自然災害等の被害の増加や、低炭素社会への移行に向けた制度変更、消費者選好の変化等による悪影響を受ける場合、当該企業への投資価値が低下する可能性があります。

 

④ A-6 サステナビリティ全般に係るリスク

 社会環境や自然環境の悪化、人権や平和への侵害によって、中長期的な当社事業の成長可能性と持続可能性が低下する可能性があります。そのため、持続可能な社会に向けての取組みは、当社においても社会的使命を果たしつつ長期的に企業価値を向上させていくため、事業戦略の一部として重要であると認識しております。

 当社は、第2[事業の状況]2[サステナビリティに関する考え方及び取組](2)長期に取り組むべきマテリアリティ(重要課題)に記載のとおり、マテリアリティを特定するとともに、持続可能な社会の実現に向けた取組みを行っております。これらへの当社自身の取組みが不十分と評価される場合、または、当社が社債等を通じて投資する企業の取組みに問題がある場合、追加的なコストの発生や社会的評価の悪化を通じ、当社の業績及び企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ A-7 法規制に係るリスク

 当社は、保険業法の規定による生命保険業免許を受けた保険会社であり、保険業法等による規制と金融庁の広範な監督の下にあります。保険会社に適用される法規制の改正は、当社の保険販売に影響を及ぼす、又は法規制に対応するための予期せぬ追加コストの発生により当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 例えば、情報漏えいに対する問題意識の高まりなどから、保険募集におけるインターネットの利用を制約するような法規制が導入された場合、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、ソルベンシー規制として、保険監督者国際機構(International Association of Insurance Supervisors: IAIS)が国際的な規制を、金融庁が国内向けの規制を、いずれも経済価値ベースで新たに導入することを検討しており、当社においても準備を進めておりますが、実際に導入される規制の内容が当社の想定と異なる可能性もあります。このように新たな規制や基準等が導入された場合には、これらに含まれる制約が、当社の事業、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。さらに、保険業法は、内閣総理大臣(原則として金融庁長官に権限委任。以下同じ)に対して、免許の取消し、業務の停止、立入検査、報告又は資料の提出など、保険業に関する広範な監督権限を与えております。特に、保険業法では、当社が、法令に基づく内閣総理大臣による処分を受けた場合、定款、事業方法書、普通保険約款、保険料及び責任準備金の算出方法書などの基礎書類に定めた事項のうち特に重要なものに違反した場合、免許に付された条件に違反した場合、又は公益を害する行為をした場合に、内閣総理大臣が保険業法第133条に基づき、当社の免許を取り消すことができると定めております。仮に、当社の免許が取り消されることとなれば、当社は事業活動を継続できなくなり、解散となる可能性があります。

 

⑥ A-8 社会保障制度等の変更に係るリスク

 生命保険は、相互扶助の原理に基づき、国の社会保障制度を補完する私的保障の中核を担っております。当社の商品も、国の社会保障制度を前提として設計されており、中長期的に社会保障制度の変更があった場合、訴求力を失う可能性があります。

 また、私的保障の充実を促す仕組みである生命保険料控除制度が税制改正により縮小若しくは廃止となった場合、当社の新契約件数の獲得、ひいては当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ A-9 他の生命保険会社の破綻に係るリスク

 当社は、国内の他の生命保険会社とともに、破綻した生命保険会社の契約者を保護する生命保険契約者保護機構(以下、「保護機構」)への負担金支払い義務を負っております。将来的に、国内の他の生命保険会社が破綻した場合や、保護機構への負担金の支払いに関する法的要件が変更された場合には、保護機構に対する追加的な負担を求められ、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、他の生命保険会社の破綻は、生命保険業界全体に対する消費者の評価にも悪影響を与え、生命保険会社に対するお客さまの信頼を損なう可能性があります。この生命保険会社に対する不信感の影響で、当社の新契約件数の減少及び解約等による保有契約件数の減少を招き、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ A-10 オンライン生保業界の風評に係るリスク

 インターネットを通じた生命保険商品の販売は、様々なメディアにおいて「オンライン生保」という業種・業態として認知を高めつつあります。このような業界認知の向上は、当社の認知度向上及び成長にプラスに寄与する側面もある一方、同業他社において個人情報の漏えいやシステム障害等の問題が生じた場合は、オンライン生保業界全体に対する消費者の評価に悪影響を与え、新契約件数の減少や解約等による保有契約件数の減少により、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、オンライン生保の提携先としての魅力が毀損され、ビジネスパートナーとの協業に悪影響を与える可能性もあります。

 

⑨ A-11 技術革新に係るリスク

 当社は、インターネットを活用した生命保険業務を展開していることから、インターネットとその関連技術に精通し続けることが当社の成長において不可欠です。IT関連業界は、技術革新のスピードが速く、新技術の登場により当業界の技術標準又は顧客の利用環境が変化することから、新技術への対応が遅れた場合、当社の提供する保険商品及びサービスが劣後し、業界内での競争力の低下を招き、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ B-2 責任準備金の積み立てに係るリスク

 当社は、法令に従い、将来の保険金・給付金支払いに備えた責任準備金を積み立てております。これらの責任準備金は、一定の前提に基づいて計算されておりますが、これらの前提は不確実なものであることから、当社の実績が試算の前提条件より大きく悪化した場合には、責任準備金の積み増しが必要となります。また、責任準備金の計算に用いる標準生命表や標準利率、その他の計算方法が金融庁により改定された場合には、責任準備金の積み増し負担が増加する可能性があります。これらの場合、当社の業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ C-2 再保険取引に係るリスク

 当社は、主に保険引受リスクの軽減のため、再保険会社と再保険契約を締結しております。しかし、再保険契約は、取引先の存在が前提となるカウンターパーティ・リスクが伴うことから、現在の契約が履行されない場合や、将来適切な条件で締結できない場合及び再保険の締結自体ができない場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ C-3 株価・為替等の変動に係るリスク

 当社は、運用資産の一部として海外の債券や国内外の株式なども保有しております。これらは、適切なリスクコントロールのうえ投資を実施しているため、市場リスクに与える影響は限定的であると認識しておりますが、予期せぬ市場の変動等により株価下落・クレジットスプレッド拡大・円高などが進行した場合に、時価が下落することや、予期せぬタイミングで売却することなどにより、当社が損失を被る可能性があります。

 また、一部において、純投資目的に加えて当社の企業価値又は業績の向上を目的とした株式投資を行っており、今後も行う可能性があります。投資先の選定にあたっては、必要な検討を実施したうえで投資判断を行っておりますが、市場経済の動向や投資先の財務内容及び業績が悪化した場合や為替の変動が発生した場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬ C-4 社債等に係る信用リスク

 当社は、主に高格付けの公社債などへ投資しているため信用リスクに与える影響は限定的であると認識しておりますが、保有する公社債の発行体の業績が著しく悪化し信用力が低下した場合、時価の下落に加え、元利金不払い等の債務不履行が生じる可能性があります。また、当社が保有するその他の資産についても、取引先の破綻等により、回収不能に陥る可能性があります。それらの場合、当該資産の価値が減少又は消失し、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑭ C-5 流動性リスク

 当社は、保険金・給付金の支払いに対応するために必要な一定程度の預貯金を含め、手元流動性を確保した資産運用を行っております。しかし、感染症の大流行・地震・津波・テロなどの大規模災害により、急遽、多額の保険金・給付金の支払いが求められた場合、当社の資金繰りに悪影響を及ぼす可能性や、不利な条件での資産の売却を強いられ当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。さらに、大規模災害が金融市場の混乱につながった場合など、資産の処分が全くできなくなった場合、保険金・給付金の支払いが遅延する可能性があります。その結果、当社のレピュテーションが低下し、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑮ D-4 大規模災害等における事業継続性に係るリスク

 感染症の大流行や、人口密集地域や広範囲を襲う地震・津波・テロ・国家間紛争等の大規模災害が発生した場合、保険引受リスクや流動性リスクへの影響に加え、当社役職員・関係職員の被災・罹患や当社施設の損壊、外部の業務委託先の機能停止等により、当社の事業継続への影響や追加費用が発生する可能性もあります。当社は、地震等で被災した場合を想定して事業継続計画を策定しておりますが、この事業継続計画の想定を超えるような大規模災害が発生した場合、当社の業務運営に重大な支障をきたす可能性があります。なお、このような状況においては、当社が事業を継続できていた場合も、社会・経済全体の活動が低下することにより、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑯ D-5 事務リスク

 当社が構築した事務リスク管理体制が有効に機能することなく、事務手続き上の重大な過失が起こった場合、当社の風評の低下又は財務上の損害をもたらす可能性があるとともに、行政処分を受ける可能性があります。また、当社の外部委託先や代理店の不適切な事務処理が原因で、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社は、2024年3月期第1四半期より、連結財務諸表について国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することを決定し、それらの財務諸表を作成するための事務体制を構築しておりますが、その開示に向けた準備が遅延した場合、または、対応の不備等による開示情報の重大な誤謬が発生した場合、当社の風評の低下又は財務上の損害をもたらす可能性があります。

 

⑰ D-6 保険金・給付金の支払い漏れに係るリスク

 生命保険業界全体が保険金等の「不払い問題」を契機に以後継続的に支払い体制の強化を図る中で、当社においても、正確かつ迅速な支払いを行うための不断の努力を重ねております。しかし、事務手続き上の重大な過失や保険金・給付金の支払い漏れが発生した場合、行政処分の如何にかかわらず、当社への信頼の低下等を通じ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑱ D-7 人材の確保・維持に関するリスク

 当社は、時代や環境の変化にすみやかに対応し、お客さまのさまざまなニーズにそった商品やサービスを提供するため、高い専門性を有する多様な人材の確保に努めております。また、事業の成長及び企業価値の向上につなげるべく、人材の育成に努めております。しかし、人材の確保及び育成に関する環境整備が不十分な場合、または重大な人事・労務問題の発生により当社の信頼が著しく低下した場合、必要な人材が採用できず、また、社外に人材が流出することにより、当社の業績及び企業価値に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑲ D-8 訴訟リスク

 当社は、主に予防法務に重点を置き、弁護士などと相談しながら訴訟の発生リスクを極小化しており、現在までのところ、重大な訴訟は発生しておりません。しかし、生命保険事業に関連した訴訟が発生し当社が不利な結果を被る可能性もあり、将来にわたって当社の社会的信用や業績に影響を及ぼす訴訟や係争が発生する可能性があります。また、同様に、他社が係争中の訴訟を含め、生命保険会社に不利な判決が下された場合に、潜在的な訴訟の可能性や顧客への対応に係る事務コストが高まる可能性があります。

 

⑳ D-9 リスク管理体制に係るリスク

 当社は、リスク管理に関係するあらゆる事項の報告を行う全社横断的な機関である「リスク管理委員会」を設置し、適切なリスク管理を行っております。しかし、リスクを把握する上で必要となる過去の実績や経験の蓄積が十分ではない可能性があり、当社のリスク管理体制が有効に機能しなかった場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における国内経済は、行動制限の緩和により、個人消費や企業の設備投資をはじめとする多くの需要項目が、コロナ禍前水準へと回復基調に向かいました。他方、世界的にみられる物価上昇や金利上昇は、国内経済においても影響を及ぼし、依然見通しは不確実性が高い状況が続いております。

 生命保険業界においては、主に当事業年度の上半期における新型コロナウイルス感染症の急激な感染拡大により、コロナ関連の保険金・給付金のお支払いが急増しました。2022年9月からは、政府の対応を踏まえ、お支払いに係る取扱いを見直しております。

 このような状況において、当社は、「正直に経営し、わかりやすく、安くて便利な商品・サービスを提供することで、お客さま一人ひとりの生き方を応援する」という経営理念のもと、インターネットを主な販売チャネルとする生命保険会社として2023年5月に開業15周年を迎えました。当事業年度においても、お客さま視点での商品・サービスの提供を継続し、保有契約件数は55万件を突破するなど着実な成長を実現しました。また、主な取組みとして、団体信用生命保険事業への事業領域拡大に向けたパートナー企業との提携や、国際財務報告基準(IFRS)の2023年度からの導入に向けた対応等を推進した1年となりました。

 

(契約の状況)

 当事業年度の新契約の年換算保険料*1は、前事業年度比95.9%の3,919百万円、新契約件数は、前事業年度比97.9%の98,532件となりました。

 当事業年度末の保有契約の年換算保険料は、前事業年度末比111.7%の24,033百万円、保有契約高は、前事業年度末比108.4%の3,633,704百万円となりました。保有契約件数は、前事業年度末比112.1%の568,674件となり、保有契約者数は、360,364人となりました。また、当事業年度の解約失効率*2は、6.5%(前事業年度6.6%)となりました。

*1.年換算保険料とは、1回当たりの保険料について保険料の支払い方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額をいいます。当社商品の保険料は全て月払いのみとなっているため、1ヶ月当たりの保険料に12を乗じたものを年換算保険料としております。

*2.解約失効率は、解約・失効の件数を月々の保有契約件数の平均で除した比率を年換算した数値です。

 

(収支の状況)

 当事業年度の保険料等収入は、保有契約の増加に伴う保険料の増加及び修正共同保険式再保険における再保険収入の増加に伴い、前事業年度比114.9%の29,207百万円となりました。また、資産運用収益は、金銭の信託運用益の増加や有価証券売却益の増加等により、前事業年度比146.9%の977百万円となりました。その他経常収益は、83百万円となりました。この結果、当事業年度の経常収益は、前事業年度比115.7%の30,268百万円となりました。

 保険金等支払金は、主に新型コロナウイルス感染症に係る給付金の増加及び修正共同保険式再保険における再保険料の増加に伴い、前事業年度比143.6%の12,445百万円となりました。保険金及び給付金支払額の保険料に対する割合は、前事業年度の20.7%から27.4%となりました。なお、新型コロナウイルス感染症に係る保険金及び給付金支払額は1,378百万円です。責任準備金等繰入額は、前事業年度比108.0%の7,453百万円となりました。責任準備金繰入額の保険料に対する割合は、前事業年度の34.1%から31.5%となりました。資産運用費用は、主に有価証券売却損の計上により、185百万円となりました。事業費は、広告宣伝費を中心とした営業費用の投下等により、前事業年度比110.9%の13,463百万円となりました。事業費のうち、営業費用は前事業年度比105.0%の8,672百万円、保険事務費用は前事業年度比117.9%の1,506百万円、システムその他費用は前事業年度比126.4%の3,284百万円となりました。その他経常費用は、前事業年度比98.6%の1,669百万円となりました。これらにより、当事業年度の経常費用は前事業年度比119.7%の35,217百万円となりました。

 以上の結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度のマイナス3,245百万円に対して、マイナス4,949百万円となりました。当期純利益は、前事業年度のマイナス3,319百万円に対して、マイナス5,164百万円となりました。

 また、生命保険会社の収益性を示す指標のひとつである基礎利益は、新型コロナウイルス感染症に係る給付金の増加や事業費の増加等により、前事業年度のマイナス3,213百万円に対して、マイナス5,072百万円となりました。内訳は、危険差益2,292百万円、費差益マイナス7,429百万円、利差益64百万円です。

 当社は、契約業績の継続的な成長を目指すとともに、財務健全性の維持を目的として、2019年度から新契約の一部(以下、出再契約)を対象とした修正共同保険式再保険を行っております。修正共同保険式再保険は、出再契約のリスク及び収支構造の一部を一定期間再保険会社に移転するもので、当該再保険を活用することで、新契約に係る費用の負担が、会計上の資本を急激に減少させる状況を緩和することが可能となります。具体的には、当該再保険では、新契約獲得の初年度に、出再契約に係る新契約費の一部を出再手数料として収受します。そのため、経常収益が増加します。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。そのため、当該期間において、経常利益及び純利益は減少することとなります。再保険貸の償却が完了し、再保険契約を終了させると、その後の出再契約の利益は当社に帰属することとなります。以上により、当事業年度においては、当該再保険により経常収益は5,671百万円増加(前年同期は4,852百万円増加)、経常利益及び当期純利益は608百万円増加(前年同期は1,283百万円増加)しております。

 

(財政状態)

 当事業年度末の総資産は、68,600百万円(前事業年度末67,820百万円)となりました。主な勘定残高として、高格付けの公社債を中心とする有価証券は、45,606百万円となりました。また、再保険貸4,602百万円のうち、修正共同保険式再保険に係る未償却出再手数料の残高は4,295百万円となりました。

 負債は、主に責任準備金が増加したことにより、53,026百万円(前事業年度末45,749百万円)となりました。主な勘定残高は、責任準備金49,632百万円、支払備金1,364百万円となりました。

 純資産は、当期純損失を計上したこと及びその他有価証券評価差額金が減少したことにより、15,574百万円(前事業年度末22,071百万円)となりました。なお、修正共同保険式再保険の活用により、純資産のうち利益剰余金には、未償却出再手数料の残高分を増加させる効果を含んでおり、資本の急激な減少を緩和しております。一方、収受した出再手数料は、再保険貸に資産計上された後、一定の期間において再保険収支に基づいて段階的に償却されます。それに応じて、当該期間において、純資産が減少することとなります。

 当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、3,158.2%(前事業年度末3,182.8%)となり、充分な支払余力を維持しております。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、第2[事業の状況]3[事業等のリスク]に記載のとおりです。

 

(商品・サービスなどの取組み)

 当事業年度においては、中長期の持続的な成長の実現に向けて、パートナー企業との提携及び取組みを積極的に推進しました。2022年8月にauじぶん銀行株式会社と、団体信用生命保険に関する業務提携契約を締結しました。これにより、当社は従来の個人保険事業に加えて、新たに団体信用生命保険事業を2023年7月から開始する予定です。また、2022年8月にはエーザイ株式会社と資本業務提携契約を締結し、生活者の医療・介護に係る負担の軽減に貢献することを目指して、両社で認知症領域等での協業に取組みます。さらに、2022年10月には三井住友カード株式会社と、当社子会社であるライフネットみらい株式会社及び当社の3社間において、業務提携契約を締結し、2023年3月よりSMBCグループ会員向けポータルサイト上で当社グループの商品・サービスの提供を開始しております。加えて、既存のパートナー企業を通じた商品開発にも注力しました。KDDI株式会社を通じて販売している商品をPontaポイントがたまる「auの生命ほけん」としてリニューアルしたほか、株式会社カカクコム・インシュアランスが運営する「価格.com保険」において、終身医療保険「じぶんへの保険3」価格.com保険限定プランの提供を開始しました。

 次に、顧客体験の向上に向けたサービスの提供にも取組みました。ご契約者向けに「電子保険証券」と「かぞく登録制度」を導入しご契約者がより便利に当社のサービスを活用いただけるようになりました。

 さらに、当事業年度は外部機関からの多数の評価を獲得しました。商品では、定期死亡保険「かぞくへの保険」が「価格.com保険アワード2022年版」において生命保険の部(定期保険)で6年連続総合第1位を受賞しました。サービスでは、コンタクトセンターとウェブサイトが2022年「HDI格付けベンチマーク(公開格付け調査・生命保険業界)」において業界最多記録(当社調べ)となる10回目の最高評価を受賞しました。さらに、実際に契約手続きをされたお客さまが評価する「J.D. パワー2023年生命保険契約満足度調査SM」では、ダイレクト型チャネル部門で3年連続第1位に選ばれ、当社が経営方針の重点領域として掲げている「顧客体験の革新」への注力がお客さまからの高い評価につながったものと考えております。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、事業費が増加したことにより、2,705百万円の収入(前事業年度2,783百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得及び売却や無形固定資産の取得により、245百万円の支出(前事業年度7,749百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、2百万円の支出(前事業年度9,668百万円の収入)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、10,219百万円(前事業年度末7,761百万円)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

 生命保険業においては、該当する情報がないため記載しておりません。

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりです。本項における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものです。

①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営状況の分析等

 当社は、EEV(ヨーロピアン・エンべディッド・バリュー)を当社の企業価値を表す最も重要な指標と位置づけ、経営方針の経営目標に掲げております。なお、経営方針については、第2[事業の状況]1[経営方針、経営環境及び対処すべき課題等](3)中長期的な経営戦略及び優先的に対処すべき課題をご参照ください。

 また、EEVの持続的な成長を支える経営指標として、成長性指標・収益性指標・健全性指標を設定しております。各指標の説明、成果及び分析は以下のとおりです。

(EEVについて)

 EV(エンベディッド・バリュー)は、「修正純資産」と「保有契約の将来利益現価」を合計した指標であり、当社が用いるEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)は、EV(エンベディッド・バリュー)の種類のひとつです。

 「修正純資産」は、期末の純資産に調整額(負債中の内部留保等)を合計して算出します。当年度の純利益がプラスの場合は、修正純資産を増加させる要因となり、マイナスの場合は、修正純資産を減少させる要因となります。「保有契約の将来利益現価」は、現在の保有契約から生じる将来の利益を現在価値に割り引いたもので、新契約を獲得すると、一般的には保有契約の将来利益現価が増加します。

(EEVを経営指標として定めた理由)

 生命保険契約は、一般的に新規の契約を獲得する時に多くの費用がかかるものの、収益となる保険料収入を生み出す期間は長期となるため、費用と収益の発生にタイムラグが生じます。現在の法定会計(日本基準)上の損益計算書では、新規の契約獲得に係る費用を初年度に一括計上する一方で、収益となる保険料収入は長期にわたって計上されます。そのため、新規の契約が増加するほど当年度に計上される費用が増加し、当期の利益にマイナスの影響を与える構造となっております。特に、当社のように保有契約に占める新契約の割合が大きい生命保険会社においては、当期の法定会計上の損益計算書の損益が損失の計上となる傾向にあります。当社は、超長期となるビジネスである生命保険会社の企業価値を評価するためには、法定会計に加えて、将来の利益も含めた長期の収益性を示すEV(エンベディッド・バリュー)も考慮する必要があると考え、経営方針の経営指標として定めております。

(EEV計算結果と変動要因分析)

 当事業年度末のEEVは、前事業年度末比6.9%増加の124,666百万円となりました。修正純資産は18,367百万円、保有契約の将来利益現価は106,299百万円となりました。

(百万円)

 

2022年3月末

2023年3月末

増減

EEV

116,604

124,666

8,062

修正純資産

25,168

18,367

△6,801

保有契約の将来利益現価

91,435

106,299

14,863

 また、前事業年度末から当事業年度末までのEEVの変動要因分析は以下のとおりです。

 なお、修正EV増加額につきましては、EEVの変動のうち、「新契約価値」「将来利益現価の割り戻し」「保険関係の前提条件と実績の差異」の合計額を修正EV増加額と定義したもので、当社の期間業績を表す指標と位置付けております。

(百万円)

2022年3月末EEV

116,604

 

修正EV増加額

4,376

 

2022年度の新契約価値

3,506

 

将来利益現価の割り戻し

1,430

保険関係の前提条件と実績の差異

△560

保険関係の前提条件の変更

4,281

 

経済的前提条件と実績の差異

△639

 

2023年3月末EEVの調整*1

43

 

2023年3月末EEV

124,666

 

*1. 資本の増減による項目

 前事業年度末から当事業年度末にかけて、EEVは8,062百万円増加しました。当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症に係る給付金等の支払いの増加、金利上昇による有価証券の評価下落、将来の事業費のインフレ率の引き上げ等がEEVの成長を押し下げたものの、主に修正EV増加額及び保険関係の前提条件の変更による増加によりEEVは伸長しました。

 主な増加要因のうち、修正EV増加額につきましては、その構成要素である当事業年度に獲得した新契約から生じた新契約価値が主にEEVの成長に寄与しました。次に、保険関係の前提条件の変更につきましては、主に保険事故発生率(死亡率及び罹患率)の前提を当社の実績等を踏まえて見直しを行った結果、EEVが増加しました。

 

(EEVの持続的な成長を支える経営指標)

 当社は、成長性指標として保有契約業績及び新契約業績、収益性指標*2として営業費用効率及び営業費用を除く事業費率、健全性指標としてソルベンシー・マージン比率を設定し、EEVの持続的な成長を支える経営指標としております。各指標の結果分析は以下のとおりです。

 成長性指標について、当事業年度末の保有契約業績は、年換算保険料が前事業年度末比111.7%の24,033百万円、件数が前事業年度末比112.1%の568,674件となりました。保有契約業績は、主に新契約業績及び解約失効率により増減します。2022年度の新契約業績においては、年換算保険料が前事業年度比95.9%の3,919百万円、件数が前事業年度比97.9%の98,532件となりました。当事業年度は、新型コロナウイルス感染症拡大等の影響を受け当第2四半期において過去最高の新契約業績を達成したものの、下半期の当該感染症の感染縮小に伴い、保障性の生命保険商品のニーズ低下が継続したことなどにより、当事業年度を通じた成長速度は緩やかとなりました。また、解約失効率においては、前事業年度の6.6%から6.5%となり、ほぼ同水準を維持しております。成長性指標については、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](1)経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況もご参照ください。

 収益性指標については、営業費用効率(営業費用を新契約件数で除した新契約1件当たりの営業費用)及び営業費用を除く事業費率(事業費*3のうち、営業費用を除いた事業費を保険料収入で除した割合)を指標としております。営業費用効率は、前事業年度の8.2万円から8.8万円となりました。当事業年度は、新型コロナウイルス感染症の拡大と縮小の中で、営業費用効率が短期的に大きく変動する1年となりました。特に下半期においては、保障性の生命保険商品の需要低下の継続により、新契約の獲得が想定どおりに進捗しなかったことから、営業費用効率は低下しました。また、当事業年度の営業費用を除く事業費率は、保有契約の増大に伴い保険料収入が増加した一方、団体信用生命保険等の新規事業への投資を行ったことにより、21.3%(前事業年度19.5%)と増加しました。

 健全性指標のソルベンシー・マージン比率は、3,158.2%(前事業年度末3,182.8%)で、充分な水準を確保しております。ソルベンシー・マージン比率についての詳細については、第2[事業の状況]4[経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析](2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容のc. ソルベンシー・マージン比率もご参照ください。

*2.当社の収益性指標は、財務報告において、当事業年度(2022年度)までは、従前適用している日本基準を踏まえて「営業費用効率」及び「営業費用を除く事業費率」を設定しておりましたが、2023年度より新たに国際財務報告基準(IFRS)を任意適用することから、それぞれ「保険獲得キャッシュ・フロー効率」及び「保険獲得キャッシュ・フローを除く経費率」に変更します。なお保険獲得キャッシュ・フローとは保険契約群団の獲得増加に直接起因する費用であり主に従来の営業費用に新契約査定に係る費用及びシステムに係る費用を加えたものです

*3.当社は事業費を、営業費用、保険事務費用、システム・その他費用の3つに分類しております。営業費用を除く事業費とは、保険事務費用とシステム・その他費用の合計を指します。なお2022年度の営業費用を除く事業費は4,790百万円です。

 

b. 経常利益等の明細(基礎利益)

(a) 基礎利益

 基礎利益とは生命保険業における収益性を示す指標のひとつです。具体的には、保険契約者から収受した保険料等の保険料等収入、資産運用収益及び責任準備金戻入額等その他経常収益等で構成される基礎収益から、保険金等支払金、責任準備金等繰入額、資産運用費用、事業費及びその他経常費用等から構成される基礎費用を控除したものとして計算されます。

 基礎利益と経常利益との差及びその内訳は、以下のとおりです。

                               (単位:百万円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日

  至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日)

基礎利益                  A

△3,213

△5,072

キャピタル収益

190

497

 

金銭の信託運用益

11

155

売買目的有価証券運用益

有価証券売却益

178

296

金融派生商品収益

為替差益

その他キャピタル収益

45

キャピタル費用

0

180

 

金銭の信託運用損

売買目的有価証券運用損

有価証券売却損

180

有価証券評価損

金融派生商品費用

為替差損

0

0

その他キャピタル費用

キャピタル損益               B

190

317

キャピタル損益含み基礎利益         A+B

△3,023

△4,755

臨時収益

 

再保険収入

危険準備金戻入額

その他臨時収益

臨時費用

222

194

 

再保険料

危険準備金繰入額

222

194

個別貸倒引当金繰入額

特定海外債権引当勘定繰入額

貸付金償却

その他臨時費用

臨時損益                  C

△222

△194

経常利益                              A+B+C

△3,245

△4,949

注1.当事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益28百万円を含んでおります。

 2.前事業年度の基礎利益には、金銭の信託運用益59百万円を含んでおります。

3.当事業年度より、投資信託解約益45百万円をキャピタル損益に含んでおります。なお、前事業年度は、投資信託解約益を基礎利益に含んでおります。

 

(b) 三利源について

 基礎利益は「危険差損益」、「費差損益」及び「利差損益」に分解することも可能であり、これらを三利源と呼んでおります。生命保険料の計算は、予定発生率(死亡率、入院率など)、予定利率、予定事業費率(付加保険料部分)の3つに基づいております。これらの「予定」と実績との差によって生命保険会社の利益(基礎利益)が生じていると考え、それぞれの差分を算出することによって、基礎利益がどのような要因から生じているのかを明らかにするのが利源分析の考え方です。

 

危険差損益

想定した保険金・給付金の支払額(予定発生率)と実際に発生した支払額との差

費差損益

想定した事業費(予定事業費率)と実際の事業費支出との差

利差損益

想定した運用収支(予定利率)と実際の運用収支との差

(注)当社の利源分析は、保険数理上合理的な方法を採用しておりますが、具体的な計算方法は他の保険会社と異なることがあります。当社では保険料の内訳計算等について責任準備金の積立方式を考慮した方式とし、解約・失効による利益(解約失効益)は、費差損益に含めております。

 

(c) 基礎利益の内訳(三利源)

 当事業年度の基礎利益及び三利源の状況は以下のとおりです。前事業年度の3,213百万円のマイナスに対して、5,072百万円のマイナスとなりました。

(単位:百万円)

 

前事業年度

(自 2021年4月1日
  至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

基礎利益

△3,213

△5,072

 

危険差損益

3,348

2,292

 

費差損益

△6,648

△7,429

 

利差損益

86

64

 

c. ソルベンシー・マージン比率

(a) ソルベンシー・マージン(支払い余力)の考え方

 ソルベンシー・マージン比率とは、大災害や株式市場の暴落など、通常の予測の範囲を超えて発生するリスクに対応できる「支払い余力」を有しているかどうかを判断するための経営指標・行政監督上の指標のひとつです。具体的には、純資産などの内部留保と有価証券含み益などの合計(ソルベンシー・マージンの総額=支払い余力)を、定量化した諸リスクの合計額で除して求めます。なお、ソルベンシー・マージン比率が200%以上であれば、行政監督上、健全性についてのひとつの基準を満たしているとされます。

ソルベンシー・マージン比率 =

ソルベンシー・マージン総額

 × 100(%)

リスクの合計額 × 1/2

 

(b) ソルベンシー・マージン比率

 当事業年度末のソルベンシー・マージン比率は、3,158.2%となり、支払余力は引き続き高水準を維持しております。

                                   (単位:百万円)

項   目

前事業年度末

(2022年3月31日)

当事業年度末

(2023年3月31日)

(A) ソルベンシー・マージン総額

37,758

31,943

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

資本金等

21,373

16,252

価格変動準備金

102

124

危険準備金

2,226

2,420

一般貸倒引当金

(その他有価証券評価差額金(税効果控除前)・繰延ヘッジ損益(税効果控除前))×90%

(マイナスの場合100%)

872

△678

土地の含み損益×85%

(マイナスの場合100%)

全期チルメル式責任準備金相当額超過額

13,184

15,679

負債性資本調達手段等

全期チルメル式責任準備金相当額超過額及び負債性資本調達手段等のうち、マージンに算入されない額

△1,854

控除項目

その他

(B) リスクの合計額

  0102010_003.png

2,372

2,022

 

 

 

 

 

 

保険リスク相当額        R1

1,077

1,043

第三分野保険の保険リスク相当額 R8

379

400

予定利率リスク相当額      R2

3

4

最低保証リスク相当額      R7

資産運用リスク相当額      R3

1,745

1,291

経営管理リスク相当額      R4

96

82

(C) ソルベンシー・マージン比率

0102010_004.jpg

3,182.8%

3,158.2%

(注) 以上の数値は、保険業法施行規則第86条、第87条及び平成8年大蔵省告示第50号の規定に基づいて算出しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、事業費が増加したことにより、2,705百万円の収入(前事業年度2,783百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、有価証券の取得及び売却や無形固定資産の取得により、245百万円の支出(前事業年度7,749百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、2百万円の支出(前事業年度9,668百万円の収入)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、10,219百万円(前事業年度末7,761百万円)となりました。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については以下のとおりであります。

 当社は、保険料収入を主な資金の源泉としております。また、保険金・給付金の支払いに対応するために必要な一定程度の預貯金を含め、手元流動性を確保したうえで資産運用を行っております。

 当事業年度においても、公社債など高格付けの円金利資産を中心とした運用を継続しました。また、適切なリスク管理のもとで国内外の株式や債券などを対象とした投資信託への投資を通じて、資産の多様化を行っております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りや予測について、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実績はこれらと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に以下の重要な会計方針の適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社の財務諸表に大きな影響を及ぼします。

 

a. 金融商品の時価の算定方法

 有価証券は、時価法に基づいて評価しております。時価は、原則として市場価格に基づいて算定しておりますが、市場価格がない場合には将来キャッシュ・フローの現在価値等に基づく合理的な見積りによることとしております。将来、見積りに影響する新たな事実の発生等により、見積り額は変動する可能性があります。

 

b. 有価証券の減損処理

 売買目的有価証券以外の有価証券のうち、時価が取得価額に比べて著しく下落した場合、回復する見込みがあると認められる場合を除き、合理的な基準に基づく減損処理を行うこととしております。今後の金融市場の状況によっては、多額の有価証券評価損を計上する可能性があります。

 

c. 繰延税金資産及び繰延税金負債

 繰延税金資産及び繰延税金負債については、「税効果会計に係る会計基準(平成10年10月30日企業会計審議会)」に基づき、認められる額を計上しております。

 

d. 貸倒引当金の計上基準

 当社は、債権の貸倒れによる損失に備えるため、資産の自己査定基準及び償却・引当基準に則り、債務者の状況に応じ、債権の回収不能時に生じる損失の見積り額について、貸倒引当金を計上することとしております。将来、債務者の財務状況が悪化し支払い能力が低下した場合には、引当金の計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。

 

e. 支払備金の積立方法

 保険契約に基づいて支払義務が発生したと認められる保険金等について、事業年度末時点の未払いの金額を見積り、支払備金として積み立てております。今後、見積りに影響する新たな事実の発生や裁判の判例等により、支払備金の計上額が当初の見積り額から変動する可能性があります。

 

f. 責任準備金の積立方法

 保険契約に基づく将来における債務の履行に備えるため、責任準備金を積み立てております。当社は責任準備金の見積りに使用される基礎率は合理的であると考えておりますが、実際の結果が著しく異なる場合、あるいは基礎率を変更する必要がある場合には、責任準備金の金額に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2015年4月、KDDI株式会社(以下「KDDI社」)と資本業務提携契約を締結しました。当資本業務提携契約により、当社は、KDDI社を割当先とする第三者割当により新株式を発行し、資金調達を行いました。また、2019年12月には、KDDI社の金融事業に係る組織再編が行われ、KDDI社が保有する全ての当社株式がauフィナンシャルホールディングス株式会社(以下「auFH社」)に承継されたことに伴い、auFH社を加えた三社間で業務提携契約を締結しました。引き続き、両社と連携し、それぞれの顧客基盤・ブランド・事業ノウハウなどの強みを活かした商品・サービスを共同で提供してまいります。

 また、当社は、2022年8月にauじぶん銀行株式会社(以下「auじぶん銀行」)との間で団体信用生命保険に関する業務提携契約を締結しました。当業務提携契約に基づき、当社はauじぶん銀行が提供する住宅ローンに係る団体信用生命保険の引受保険会社になるとともに、両社の事業の成長に向けた取組みを推進してまいります。なお、当社は、2023年7月1日より、auじぶん銀行の住宅ローン利用者向けに団体生命信用保険の提供を開始する予定です。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。