文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。
(1) 会社の経営の基本方針
当社は1966年の創業以来、情報処理アウトソーサーの先駆者として、常にユーザーオリエンテッドな姿勢で顧客満足度の向上につとめ、優れた人と技術を「仕組み」で融合することを事業の原点とし、高品質なサービスを提供してまいりました。人とはきめ細やかな対応ができる専門性の高いプロフェッショナルのことであり、技術とはお客様企業の課題解決に最適なグローバルの最先端技術のことであります。事業の原点を将来にわたり磨き続けること、グローバルな展開を志すこと、そして究極的には我々の事業を通して人間と技術を結び付け、技術を人間により身近に、使いやすくしたいという考えから、当社のロゴにはpeople & technologyと記載しております。このような経営の指針のもとで、独立系総合情報サービス企業として、ますます高度化、多様化、グローバル化する情報社会での的確な事業活動の展開を通じて社会に貢献するとともに、株主様、お客様企業、社員をはじめとするすべてのステークホルダーの信頼と期待に応えてまいる所存であります。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは現在、売上高の拡大と共に、原価低減策やサービスの高付加価値化および新サービスの開発などを推進しながら売上総利益率の向上を図り、株主資本利益率(ROE)の向上に努めてまいります。
(3) 会社の対処すべき課題
(中期経営計画)
当社は、お客様企業の変革を支援するため、デジタル技術を活用した新しいサービスを提供すること、すなわち、「Global Digital Transformation Partner(お客様企業のよきデジタルトランスフォーメーションパートナー)」を目指す姿として企業メッセージに掲げ、2022年度を最終年度とする3か年の中期経営計画を策定し推進してきました。
主に、当社の事業の原点である「people & technology」、すなわち、プロフェッショナル人材と先端技術の組み合わせによりお客様の課題を解決し、付加価値の高いソリューションを提供することで高い成長性・収益性を目指し取り組んできました。この取り組みを着実に遂行してきたことにより、様々な事業においてデジタルを活用した新たなサービスを創出することができました。また、2020年より新型コロナウイルス感染症が世界的に流行し、経済活動が停止するなど未曾有の状況下において、当社は大規模な業務実行能力を活かし社会インフラとして、政府・自治体・民間企業が推進する諸政策に関連する業務支援を積極的に展開し、大きな事業成果をあげることができました。こうした取り組みの結果、2021年度には売上高・営業利益ともに過去最高額を更新することができ、事業全体の収益性においても大幅に改善することができました。
こうした成果を踏まえつつ、当社グループの長期的な目標である売上高1兆円の達成に向けて、サービス・事業のさらなる進化と、その進化を支える経営基盤の強化が必要であると考えております。消費者やITの潮流を捉え、IT活用や業務プロセスの刷新に取り組むお客様企業に対し、当社の様々な業務ノウハウやマルチコミュニケーションチャネルへの対応が出来る強みをさらに強化していきます。また、最大の成長機会である海外市場においては、グローバルクライアントへの対応力を高め、地域×サービスのカバーを拡げ、全社的に人材育成・強化を進めていきます。
このような考えのもと、当社では2023年度から2025年度までの新中期経営計画を策定し、以下の重点施策を進めます。
1. オペレーショナル・エクセレンスからテクノロジーソリューションカンパニーに進化
最新クラウドテクノロジーとデータ活用のCXプラットフォーム(全体最適化されたユーザー接点)とデジタルBPO(全体最適化された業務プロセス)のフル活用によって、デジタルで顧客体験と生産性を最大化し、カスタマーサクセスを加速。
2. アジア圧倒的No.1、グローバルCX/BPOベンダーTOP5を目指す
日本・中国・韓国・ASEAN・米国・欧州にあるグローバル170拠点の有機的連携を推進しグループの継続的成長エンジンとして強化し、グローバル企業の成長力を取り込むことで、収益の最大化を図る。グループネットワークであらたな市場機会にも挑戦していく。
3. お取引先企業、社員、株主をはじめステークホルダーの期待に応え社会に貢献する
公平・信頼・永続・品質・イノベーション・カスタマーサクセス・成長を約束し、多様な事業・サービスポートフォリオを通して社会課題を解決するパートナーであり続ける。
1. 事業モデルのプラットフォーム化(as-a-service化)
2. サービス標準化による品質、利益の構造改革
3. グローバルの市場成長に応える体制強化と人材育成
4. グローバルネットワークを最大活用した新規事業開発・R&D推進
5. グループ経営基盤整備(財務、人事、マーケティング、ESG)
また、新中期経営計画では2025年度までの目標として、売上高4,500億円以上、営業利益率6.0~8.0%を経営指標といたします。
これらの取り組みにより、最新のデジタル技術を通じてお客様企業に最高の顧客体験と生産性改革をもたらし、サステナブルな社会の実現に貢献する「Global Digital Transformation Partner」に向けて着実な進歩を遂げていきたいと考えております。
(持続可能な社会の実現に向けた取り組み)
当社は、サステナビリティ基本方針に基づき、事業活動を通して社会課題・環境問題の解決に向けた取り組みを推進し、持続可能な社会の実現と、永続的な企業価値の向上を目指しています。サステナビリティに関する具体的な取り組みにつきましては、次項に記載しております。
当社のサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
当社は、サステナビリティ基本方針を以下のとおり定めております。
(サステナビリティ基本方針)
「お客様の満足の大きさが我々の存在価値の大きさ」という経営の基本理念のもと、お客様と共創しWell-being社会を実現します。みなさまのサステナブルトランスフォーメーションパートナーとしてSDGs/ESGを推進することが当社の存在意義と捉えています。
この基本方針に基づき、「トランスコスモスSDGs委員会」がサステナビリティに係る施策の企画立案・審議・決議を行っています。トランスコスモスSDGs委員会の委員長は、代表取締役会長が務め、その委員会のメンバーは取締役会に参加し、サステナビリティ推進の主たる活動状況の報告等をしております。
リスク管理については、広範にわたる企業リスクに対処するため、「リスクマネジメント基本規程」を整備し、各統括組織は当該規程に従い、リスク管理の社内体制を構築しております。取締役会は、トランスコスモスSDGs委員会からサステナビリティ関連リスクの報告を、各統括組織からサステナビリティ関連リスク以外のリスクの報告をそれぞれ受け、リスクを識別・評価し、統合的に管理しております。
(サステナビリティ推進体制図)

上記、ガバナンスおよびリスク管理を通して識別された当社における重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。
①気候変動への取り組み
②人的資本への取り組み
それぞれの項目に係る当社におけるサステナビリティに関する考え方および取組は、次のとおりであります。
1. ガバナンス・リスク管理
気候変動に関しては、リスクおよび収益機会にかかる対応方針と重要施策について、トランスコスモスSDGs委員会が企画・立案し、サステナビリティ推進部に検討を指示しております。サステナビリティ推進部での検討結果を、トランスコスモスSDGs委員会で審議・決議し、その審議・決議された方針および重要施策に従い、サステナビリティ推進部および各統括組織の気候変動担当者はそれを実行しております。
リスク管理については、「(1)サステナビリティ全般に関するガバナンスおよびリスク管理」に記載のとおりであります。
2. 戦略
当社では、脱炭素社会に向かうための厳しい政策・法規制が実施されることを前提とした2℃未満(1.5℃を含む)シナリオと、現在の政策の延長線上にある4℃シナリオにつき、社会環境変化に基づくシナリオ分析を行いました。今後も継続的にシナリオ分析を実施し、特定された重要な気候変動関連リスクおよび収益機会に対して対応策を講じることでリスクの低減と収益機会の確実な獲得につなげ、不確実な将来に対応できるレジリエンスを高めていきます。
リスクおよび収益機会の一例(2030年・2050年までの影響力大のもの)
※影響度につきましては、大:10億円以上、中:1億円以上10億円未満、小:1億円未満で評価しております。
3. 指標および目標
当社では、温室効果ガス排出量に関し、日本政府の中間目標を遵守し、2030年までに2021年度比46%削減、2050年までにCO2排出量「実質ゼロ」を実現します。
温室効果ガス排出量の実績(2021年度、トランスコスモス単体)
なお、気候変動への取り組みに関する詳細情報は、当社ホームページをご参照ください。
当社は、人権ならびに雇用および人材活用における多様性を尊重し、積極的な女性・中途の採用および人材育成に努めています。また、ワークライフバランスの推進やさまざまな人材育成プログラムを通じて、働く人々が各々の感性・創造性を十分に発揮できる環境を整備し、多様性のある組織の構築に努めています。
1. 戦略
当社における、人材の多様性の確保に向けた人材育成に関する方針と社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。
・人材育成方針
多様な人材を育成できるように各社員のステージ・バックグラウンド等に応じた能力開発・キャリア開発支援を行うことを基本的な方針とし、その実現を目指しております。
・社内環境整備方針
性別・年齢・国籍・障がいの有無など、多様なバックグラウンドをもった社員一人一人が、やりがいをもって能力を最大限に発揮できる職場環境の構築を基本的な方針とし、その実現を目指しております。
また、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みをもとに、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度において「健康経営優良法人2023(大規模法人部門)」に認定されています。今後もさらなる健康経営の発展に努めていきます。
2. 指標および目標
当社では、上記「1.戦略」において記載した、人材の多様性の確保に向けた人材育成に関する方針と社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。
①サービス品質向上への取り組み
お客様に満足していただけるサービスを提供し続けていくため、当社では、各サービス部門に役立つサービス品質に関する情報基盤の整備・活用を推進し、全社のサービス品質を強化する様々な取り組みを行っています。このようなサービス品質の継続的な改善活動は、トランスコスモスがお客様の期待を超えるサービスを提供するための礎となっています。
②個人情報保護への取り組み
お客様企業の個人情報など、お預かりしている重要な情報を適切に取り扱うための社内規程を整備しています。個人情報保護について高い意識をもち、当社事業を実施する過程で取得するあらゆる個人情報について、全従事者が遵守すべき基準として、個人情報保護方針を定め徹底を図ってまいります。
③コミュニティ参画・発展への取り組み
国内外の拠点を置く各地での地域貢献活動をはじめ、次世代育成への支援、寄付・福祉活動を継続的に実施し、コミュニティへの参画と社会貢献活動を通じた様々な社会課題の解決に取り組み、コミュニティの発展に寄与していきます。
④ガバナンスへの取り組み
コーポレート・ガバナンス、リスクマネジメント、コンプライアンス、情報セキュリティ、贈収賄・腐敗行為防止といった事業継続に不可欠な経営基盤の強化に取り組んでいます。なお、コーポレート・ガバナンスに関する取り組みにつきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。
⑤SDGsへの取り組み
責任ある企業活動と、people & technologyを軸とした事業を通じて、SDGsの達成に貢献していきます。そのためサステナビリティ推進の専任組織であるトランスコスモスSDGs委員会を通じて、SDGsを軸とした社内外でのイノベーション活動を展開し、SDGs活動の啓蒙と定着を図っています。具体的な取り組みとしては、従業員向けSDGs教育(eラーニング)、毎週のSDGsに関する勉強会を実施しています。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社および連結子会社等)が判断したものであります。
(1) 全体事業について
当社グループが情報処理アウトソーシングビジネスの先駆けとして事業を開始したのは1966年のことです。それ以来、優れた「人」と最新の「技術力」を融合し、より付加価値が高いアウトソーシングサービスを提供することで、お客様企業の競争力強化に努めてまいりました。現在では、お客様企業の売上拡大とコスト最適化を支援する総合的なアウトソーシングサービスを世界規模で提供するため事業を推進しておりますが、当社グループが提供するサービスはいずれも常に技術革新が起こっており、技術優位性および価格の維持を継続するために、常に最新の技術を開発・導入していく必要があります。しかしながら、急速に進展する技術革新に対して適切な対応ができなかった場合や、サービスが市場動向・ニーズに合わなくなった場合は、現状のビジネスが縮小または成立しなくなる可能性があり、当社グループの事業運営および業績に影響を及ぼす可能性があります。また、アジアを中心に事業のグローバル展開を推進しておりますが、それぞれの国・地域において、政治・経済・社会情勢等に起因して生じる不測の事態、法令や各種規制の制定・改正などのカントリーリスクにより、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業環境について
当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、労働人口の減少、企業のグローバル化、IoT・AIをはじめとしたデジタル技術の進展などを背景に、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるアウトソーシングサービスの需要拡大が見込め、今後も成長が続くと考えられます。しかしながら、景気の変動による受託業務の業務量の変更、お客様企業の業績状況や個人情報保護などの観点からアウトソーシングからインソーシングへ転換する動きなどが生じた場合は、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) お客様企業との契約期間について
当社グループのお客様企業は東京証券取引所プライム市場上場企業など大企業が多く、かつ多くのお客様企業との契約は事業の性質上、自動更新となっていることが多いなど受託業務の継続性が高く、短期間における売上高の大幅な変動はないものと考えております。ただし、お客様企業の事情による他企業への移行、あるいはお客様企業との長期間の取引関係が築けない場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 競合会社について
当社グループが提供するサービスには、デジタルマーケティングサービス、ECワンストップサービスおよびコンタクトセンターサービスを統合したCXサービスと、BPOサービスがあり、サービス分野別に競合会社が存在しています。CXサービスのうち、デジタルマーケティングサービスに関しては、大手広告代理店グループ企業、ベンチャー企業など多くの企業が参入しており、市場規模は急激に拡大しているものの、多数の競合会社が乱立している状況です。またECワンストップサービスに関しては、急速に市場規模が拡大している状況において多くの新規会社の参入が予想されます。さらに、コンタクトセンターサービスに関しては大手の寡占化が進んでおり、大手各社は、より付加価値が高いサービスの創出や提供に注力すると同時に、競争力を発揮した業種や分野以外にも進出するなど、競合状態が続いております。一方、BPOサービスに関しては、数兆円の市場規模であり、コンサルティング系、IT系、メーカー系、独立系企業等の間での競合状態が続いております。
今後は、技術進歩により当社グループの今の技術優位性がなくなり、当社グループより低価格のサービスを持つ企業が出現する等、当社グループが明確な競争優位戦略を確立できなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(5) ソフトウェア開発について
当社グループのソフトウェア開発は、お客様企業のユーザー要件などを把握した上で開発を行っておりますが、お客様企業のユーザー要件を満たすための開発費用のお見積もりと実際の開発コストとの間で乖離が発生した場合、当社グループが開発コストを負担する開発案件が発生する可能性があります。
(6) 投資先管理について
当社グループは技術革新の変化に対応した事業の展開、事業シナジーの創出などを目的に事業開発投資を行っております。投資先企業に関しましては財務・経営状態を精緻に検討し、投資先の財務状況を随時把握するように努めておりますが、投資先にはベンチャー企業や東南アジア・南米など開発途上国の企業も多く、ビジネスモデルが社会経済ニーズにマッチせず投資先企業の経営状況が悪化した場合、当社グループの投資による出資金などが回収できなくなる可能性や、国内経済環境・国際情勢の変化による株式相場の変動や為替の変動などの影響などによって評価損が発生する可能性があります。対策としては、一般的な会計基準よりも厳しい社内規程で保有有価証券の減損処理等必要な措置を適宜とることにより、当社グループの連結業績に適切に反映されるよう最大限の注意を払っています。
(7) 情報セキュリティについて
当社グループは、事業活動を通して、入手または取り扱うお客様や取引先の個人情報および機密情報などの情報資産を管理・保護していくための万全な体制が求められております。そのための基本方針として「情報セキュリティポリシー」を制定し、その遵守と継続的な改善に努めております。また、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の国際規格であるISO/IEC 27001のセキュリティ活動を通じて、お客様企業に当社グループのサービスをより安心して活用していただけるよう、情報セキュリティ管理体制の展開と継続的な強化をはかっております。しかしながら、当社グループの想定を超えた情報システムのウィルス感染やサイバー攻撃によるシステム障害、重要データの破壊、改ざん、流出等が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) 合併、買収などのM&Aについて
当社グループが提供するサービスは数多くの競合企業が存在し、淘汰の動きも早く、また合併・買収を利用して規模の利益を素早く享受し、事業拡大をしていく手法をとる傾向にあります。当社グループにおいても、関連した事業を有する企業との合併、買収および提携などを積極的に行う必要があると認識し、M&Aを実施する可能性はあります。ただし、そのM&Aが、様々な要因によって事業シナジーが発揮できない可能性や、人的・資金的に適切なコントロールができない可能性または事業環境、収益構造が変化する可能性があります。その場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) 人材の確保について
当社グループが提供する各サービス分野において、高度な専門知識および経験を有しているような優秀な人材の確保は経営の最重要課題と考えております。優秀で意欲に満ちた魅力ある人材を確保できるよう、当社グループでは、自由で創造性に満ちた誇りある企業文化の醸成に力を入れております。また、従業員にとって、働きがいのある業務の設定や能力に応じた積極的な権限委譲も進めております。しかし、今後、お客様企業の需要に対して、当社グループが必要とする人材が必要なだけ必要な時期に確保できる保証はなく、人員計画に基づいた採用が行えなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、人事評価も半期に一度実施するなど、柔軟に対応できる人事制度を構築しております。しかし、これらの制度は逆に、評価者の能力不足や部下とのコミュニケーション不足等で納得がいく査定を行えなかった場合、従業員の意欲の低下や人材の流出に繋がる可能性があります。
(10) 特有の法的規制・取引慣行について
当社グループの事業に関連する法規制において、悪影響を与えるような法規制や、解釈が不明瞭な法規制などが制定された場合、当社グループの業績、および事業展開のスピードに影響を及ぼす可能性があります。
(11) 個人情報の漏洩の可能性について
当社グループは、2003年2月に財団法人日本情報処理開発協会(現一般財団法人日本情報経済社会推進協会)認定プライバシーマークを取得しておりますが、特にコンタクトセンターにおけるお客様企業の顧客データ(名前、住所、年齢、年収等の個人情報)の取扱いについては万全の体制で臨んでおります。当社グループでは、個人情報の取扱いに関する重要性、危険性を十分に認識しており、当社グループのホームページにて個人情報保護方針を公開しているのと同時に、行動指針や社内規程の制定およびその教育・研修を行い、個人情報管理の徹底を十分に図っております。ただし、情報収集の過程で不測の事態等により当社グループで機密漏洩事故等が発生した場合、当社グループへの多額の損害賠償請求や行政機関からのプライバシーマーク承認取消処分や罰金等が課される可能性があるとともに、当社グループの事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(12) 自然災害等について
当社グループは、お客様企業のビジネスプロセスをコスト最適化と売上拡大の両面から支援する企業として、災害や事故などの予期せぬ事態に備え、有事発生時でも事業を継続させることは、当社の最重要課題であると認識しています。そのため、当社グループは大規模災害や事故などの有事に備え、各センターにおいて事業継続計画(BCP)を策定し、取り組みの強化を図っています。また、グローバルに事業を展開する中において、地震、台風、感染症、地域紛争、テロなどの不測の事態の発生に備え、危機管理方針に基づき対策・取り組みを強化しています。しかしながら、想定を大きく上回る規模で自然災害等が発生した場合は、当社グループにおける事業が一時的または中長期的に停止するなどの事象により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(13) 感染症について
当社グループは、感染症に関する対応として、「感染拡大防止への社会的責任」と「安全配慮義務に則った従業員の安全確保」を最優先とし、その上で着実に業務継続を行うことを基本方針として実施しております。そのため、当社グループのオペレーションセンター拠点にて、密閉・密集・密接の3密環境が生まれやすい状況を回避するために、業務の縮小などについて、より一層踏み込んだ形でお客様企業への提案を推進することがあり、これに伴い受託業務量が減少する可能性があります。また、感染症拡大の影響で、当社グループのオペレーションセンターの閉鎖・縮小、さらなる企業活動の自粛に伴うサービスの需給バランスの崩れなどによって、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社等)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて24,613百万円減少し、193,842百万円となりました。このうち流動資産につきましては、「現金及び預金」や「受取手形、売掛金及び契約資産」が減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて15,566百万円減少し、135,423百万円となりました。固定資産につきましては、9,046百万円減少し、58,419百万円となりました。これは、保有上場株式の時価評価により「投資有価証券」が減少したことなどによるものであります。
負債の部につきましては、主に「1年内返済予定の長期借入金」の返済による減少などにより、前連結会計年度末に比べて16,114百万円減少し、81,461百万円となりました。
純資産の部につきましては、主に「自己株式」の取得による減少などにより、8,498百万円減少し、112,381百万円となり、自己資本比率は53.4%となりました。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する感染防止対策が浸透する中、経済社会活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化に伴う資源価格上昇、円安進行などによる物価高騰など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが展開するサービスを取り巻く環境は、引き続き、業務の効率化やコスト競争力の強化、売上拡大などに繋がるアウトソーシングサービスに対する底堅い需要に加え、コロナ禍において、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やカスタマーエクスペリエンス(CX)の向上、ECをはじめとする非接触販売チャネルの拡大、テレワーク・BCP対策などに対応するサービスへのニーズが高まっています。また、不特定多数のユーザーによって投稿された書き込みや、画像・動画などのインターネット上のコンテンツを監視するコンテンツモデレーション業務などのニーズも高まっています。
このような状況の中、当社グループは、大規模な業務実行能力を活かし、社会インフラとして、コロナ禍で政府・自治体・民間企業が推進する諸政策に関連する業務支援を展開しました。社会ニーズの落ち着きとともに、緊急性の高い一部業務においては縮小するなどの影響が出てきましたが、アウトソーシングサービスに対する底堅い需要を捉え、デジタルトランスフォーメーションパートナーとして企業の経営、事業の変革を支援するCXサービス・BPOサービスを積極的に展開し受注拡大に繋げました。また、変化する企業ニーズに対応したサービスや、加速するDX需要に対応していくためのサービスの創出・展開、組織体制の強化などに取り組みました。
お客様企業と顧客の接点となる、マーケティング・販売・顧客コミュニケ-ションをワンストップでサポートするCXサービス事業領域では、それぞれ業界トップクラスの規模を誇るデジタルマーケティングとコンタクトセンターを統合した独自のサービスモデルの拡充と公共DX支援に向けた取り組みに注力しました。独自のサービスモデルの拡充に向けた取り組みでは、オンライン上での接客サービスの強化に繋がる「セールスチャットセンター」を新たに構築しました。また、さまざまなVOC(Voice of Customer)をチャネル横断的に一元管理する仕組みを提供し、CXアナリストが戦術化してデジタルマーケティングの課題解決をお客様企業に提案、改善を実現する「VOCマーケティング」のサービス提供を開始しました。また、複数のチャネルから生じるコミュニケーションログやWebサイト上の行動データを簡単に統合、可視化、進捗管理できる「Insight BI」を開発し、展開を開始しました。さらに、メタバースを活用した新たなコミュニケーションのあり方を創出する取り組みを推進していくため、メタバース上での「バーチャルコンタクトセンター」の活用と「バーチャル空間×接客」の提供に向けて、実証実験を開始しました。
一方、公共DX支援に向けた取り組みでは、静岡県駿東郡小山町とDXに関する連携協定を締結しました。また、全国の地方自治体に対し、LINEを活用したDXツール「KANAMETO(カナメト)」の提供を推進しました。さらに、医療現場の社会課題解決への取り組みとして総務省「令和4年度 課題解決型ローカル5G等の実現に向けた開発実証」事業に採択され、聖マリアンナ医科大学病院・川崎市立多摩病院・川崎市消防局の連携によるローカル5Gなどの先進技術を活用した次世代医療のユースケース創出に向けた実証実験を開始しました。
お客様企業内の業務プロセスを、デジタル技術の活用により、シンプル・スピーディかつ正確に行い運用を最適化するBPOサービス事業領域では、主に、より高度で専門性の高いサービスを提供していくための体制強化、パートナー企業とのJV(Joint Venture)・アライアンスの推進に注力しました。サービス体制強化の取り組みでは、建設DXの支援に向け、建設業界に特化したサービスを提供する拠点として国内3拠点目となる「BPOセンター大阪淀屋橋」を開設しました。また、ノンボイスチャネルとDXソリューションを活用したヘルプデスクを中心に、DXが進む環境において最適なITサポートサービスを提供していくための拠点として、「BPOセンター札幌狸小路イースト」を開設しました。一方、JV・アライアンス推進の取り組みでは、株式会社Works Human Intelligenceが提供する統合人事システム「COMPANY®」の導入やアウトソーシングの設計、運用を支援するための体制整備に向けた協業の強化を図りました。また、東北電力株式会社と、同社の間接業務の効率化を目的とした合弁会社「東北電力トランスコスモスマネジメントパートナー株式会社」を設立することに合意しました。
引き続き当社グループは、CXサービスとBPOサービスをシームレスに繋ぎ、顧客中心のデジタル化を支援していく、お客様企業のよきデジタルトランスフォーメーションパートナーに向けた取り組みを強化していきます。
海外においては、主に、アジアを中心とした各ローカル市場およびグローバル市場において、より競争力の高いサービスの拡充と体制の強化に注力しました。
具体的には、グローバルなTrust & Safetyサービスの提供を開始しました。Trust & Safetyサービスは、不特定多数のユーザーによって投稿されたインターネット上のコンテンツ(書き込み・画像・動画)を監視するモニタリング業務(投稿監視)のことで、本サービスを専門的に提供する拠点として、インドネシア、タイなどにセンターを開設しました。
韓国市場では、韓国の子会社transcosmos Korea Inc.(トランスコスモスコリア)がクラウドコンタクトセンター分野のグローバルリーダーであるGenesysと公式パートナーシップを締結しました。また「AIコンタクトセンター」の構築に向け、韓国の光州広域(クァンジュクァンヨク)市と投資協約協定を締結し、同市に新たなオペレーション拠点「クァンジュセンター」を開設しました。さらに、日本で展開しているコンタクトセンター音声認識ソリューション「transpeech(トランスピーチ)」の韓国での展開を開始しました。
東南アジア市場では、マレーシアおよびシンガポール向けの越境ECサービスにおいて、事前調査や顧客獲得を目的としたライブコマースの提供を開始しました。またインドネシアにおいて、ボイスbotを活用したCXサービスの提供を開始しました。
海外においては、現在、27の国と地域、100拠点でサービスを提供できる体制が確立されており、今後も現地企業のほか、現地に進出する多くのお客様企業の売上拡大・コスト最適化を支援するサービスを幅広く提供していきます。
以上の結果、当期の連結業績は、売上高373,830百万円となり前期比5.6%の増収となりました。利益につきましては、不透明な経済環境の中、売上は順調に拡大したものの、収益性が低下したことなどにより、営業利益は23,290百万円となり前期比9.9%の減益、経常利益は23,072百万円となり前期比20.2%の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は15,767百万円となり前期比26.6%の減益となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(単体サービス)
当社における新型コロナ関連業務を除く既存事業の受注増加などにより、売上高は244,513百万円と前期比2.4%の増収となりました。セグメント利益は、不透明な経済環境の中、売上は順調に拡大したものの、収益性が低下したことなどにより、15,929百万円と前期比10.7%の減益となりました。
(国内関係会社)
国内関係会社につきましては、一部の上場子会社やBPOサービス事業子会社の受注増加などの影響により、売上高は43,208百万円と前期比7.7%の増収となり、セグメント利益につきましては、3,741百万円と前期比1.5%の増益となりました。
(海外関係会社)
海外関係会社につきましては、韓国・東南アジア・中国各子会社における受注増加などにより、売上高は98,309百万円と前期比13.7%の増収となりました。一方、損益については、主に中国子会社で為替の影響等により一時的に採算性が悪化したことにより、セグメント利益は3,629百万円と前期比16.4%の減益となりました。
なお、セグメント利益につきましては、連結損益計算書における営業利益をベースにしております。
(重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定)
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたっては、期末日における資産・負債の金額および報告期間における収益・費用の金額に影響する見積り、判断および仮定を使用する必要があります。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積りおよび仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(今後の見通し)
2024年3月期については、引き続きお客様企業の売上拡大・コスト最適化といったニーズに対し、デジタルトランスフォーメーションパートナーとして企業の経営、事業の変革を支援するCXサービス・BPOサービスを積極的に展開し、さらにアジア市場を中心としたグローバルで事業展開を加速させていくことで、前期実績を上回る業績を確保することを目指します。
なお、当社グループの事業は、あらゆる業種・業界のお客様との取引で成り立っており、変化の激しい経済環境の中、短期的な視点で企業活動の動向を見極めることは大変困難であります。よって、当社グループの2024年3月期連結業績予想については、合理的な算定ができないため記載しておりません。
(生産、受注及び販売の状況)
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は外部顧客に対する生産に基づくものであります。
2 金額は販売価格で表示しております。
② 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は外部顧客に対する受注に基づくものであります。
2 金額は販売価格で表示しております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は外部顧客に対する売上高に基づくものであります。
2 金額は販売価格で表示しております。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ8,483百万円収入が増加し、24,253百万円の収入となりました。主な収入の増加要因としては、売上債権の回収が進んだことにより、「売上債権の増減額」が増加したことであります。減少要因としては「税金等調整前当期純利益」や「仕入債務の増減額」が減少したことによるものであります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ1,591百万円支出が増加し、7,814百万円の支出となりました。この主な要因は、「有形固定資産の取得による支出」や「定期預金の預入による支出」が増加したことによるものであります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、当連結会計年度において31,895百万円の支出(前連結会計年度は4,218百万円の収入)となりました。この主な要因は、「自己株式の取得による支出」や「長期借入金の返済による支出」が増加したことや、前連結会計年度に計上していた「転換社債型新株予約権付社債の発行による収入」の減少によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前連結会計年度末に比べて14,492百万円減少し、49,366百万円となりました。
資本の財源および資金の流動性については、下記のとおりとしております。
① 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金需要やセンター拡張等の設備投資のほか、業務または資本提携等、事業推進上の要請に基づく株式投資等であります。
② 財務政策
当社グループは、営業活動により得られる資金を、運転資金や設備投資資金、事業開発投資資金に充当していくことを基本としておりますが、状況に応じて、銀行借入や社債、株式発行など、その時点で最適と思われる手法で資金調達を行っていく考えであります。
(出資持分譲渡契約不履行による契約解除)
2020年4月16日、当社連結子会社であるTranscosmos Digital Marketing Cayman Co., Ltd.は、同社が保有する特思尓大宇宙(北京)投資咨詢有限公司(連結子会社、以下「DM北京」といいます。)の出資持分全部を、北京華一銀河科技有限公司に2021年1月を譲渡実行予定日とする契約を締結し、2020年11月27日には譲渡実行予定日を最長2021年8月まで、2021年8月17日には譲渡実行予定日を最長2022年2月まで、さらに、2021年12月29日には譲渡実行予定日を最長2022年6月まで延長する覚書を締結しておりましたが、契約条件に定める支払期日までに本件譲渡代金の決済がなされず、今後、契約の履行には至れないとの判断から、双方協議の上、2022年6月29日に当社経営会議の決議を受け、契約不履行により契約を解除することといたしました。
なお、2021年8月の契約不履行時点において回収した違約金43百万元(約7.4億円)については、2022年3月期第2四半期の連結決算にて特別利益として計上済のため、今回の契約解除による2023年3月期の連結決算における影響はありません。
当連結会計年度における研究開発活動は、お客様企業の売上拡大とコスト最適化を実現するサービスメニューを継続的に開発すべく研究を重ねております。主に、CXサービス、BPOサービスの各サービスにおいて、より顧客満足度を高めるための高付加価値なサービスを創り続けるための研究開発を行っております。
単体サービスにおける主な取り組みとしては、①グローバルECや越境ECなどECワンストップサービスの強化に向けた調査・研究、②ChatGPTをはじめとした生成系AI(Generative AI)など最先端テクノロジー導入による業務プロセス自動化に向けた調査・研究、③CX(顧客体験)・DX(デジタルトランスフォーメーション)など最新ソリューション動向および取組事例等の調査・研究、④LINEなどのチャットプラットフォームを活用した新たな顧客コミュニケーションサービスの研究・開発、⑤メタバースやNFT(デジタル資産)・Web3など最先端技術を活用した新ビジネスモデルの調査・研究、⑥ニューノーマル時代に向けたリモート・非接触環境における新たなコミュニケーション技術およびソリューション動向の調査・研究、その他、経済活動や所属する業界活動を啓蒙する団体などを通じたマーケティング調査・分析を実施するなど、引き続き、新たな技術・仕組みを取り入れたサービスの調査・研究開発を推進しております。
国内関係会社の主な取り組みとしては、単体サービスとのシナジー効果を追求し、新規顧客の開拓や収益機会の拡大につなげていくためのより専門的、先進的な製品・サービスの研究開発に注力しております。
以上の取り組みの結果、各セグメントの研究開発費は、単体サービスで