当社グループでは、中長期的な経営方針として、次の経営課題に取り組んでいます。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、存在意義、社会的使命として“Bringing value to life.”を企業理念に掲げています。
(2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標
当社グループは、当連結会計年度末まで、中期経営計画 “Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”にもとづき、①事業ポートフォリオの最適化(ドライバルク事業の抜本的見直しとコンテナ船統合会社の成功等)、②運賃安定型事業の積み上げ(物流・自動車船・自動車物流事業のシナジー構築等による強化とLNG・海洋事業の強化等)、③効率化、新たな価値創出(Digitalization and Greenへの取り組みを通じた次世代の成長分野の開拓等)を基本戦略として事業を進めて参りました。
(“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”の利益・財務目標並びに2022年度実績)
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2022年度実績 |
中期目標 (2022年目途) |
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経常損益 |
11,097億円 |
700~1,000億円 |
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ROE |
48.3% |
min 8.0% |
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自己資本比率 |
65.6% |
min 30.0% |
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D/Eレシオ |
0.28倍 |
1.50倍以下 |
(キャッシュ・フロー)
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営業活動による キャッシュ・フロー |
8,248億円(単年) |
5,700億円(5カ年累計) |
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投資活動による キャッシュ・フロー |
2,529億円(単年) |
5,200億円(5カ年累計) |
(前提)
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為替レート |
135.07円/US$ |
105.00円/US$ |
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燃料油価格 |
US$760.72/MT |
HSFO US$320/MT LSGO US$620/MT |
*HSFO = High Sulphur Fuel Oil, LSGO = Low Sulphur Gas Oil
2023年3月には中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定し、2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、その実現を目的とする2026年度までの4年間の行動計画にもとづき事業を進めます。ESGを中核に据えた成長戦略を推進し、経営戦略としては、各事業における機会とリスクを踏まえた事業戦略の方向性(両利きの経営:AX、及び事業変革:BX)を定めるとともに、人的資本の更なる充実・グループ経営の変革・ガバナンスの強化(CX)、デジタル基盤の整備推進(DX)等のコーポレート基盤の強化に加え、脱炭素に向けた取組みの加速(EX)を推進します。財務戦略としては、2026年度までに1.2兆円規模の事業投資を実施すると同時に、資本効率向上を意識した株主還元を実施します。
(“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の利益・財務目標)
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中期目標 (2026年目途) |
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当期純利益 |
2,000~3,000億円 |
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ROIC |
6.5%以上 |
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ROE |
8.0~10.0% |
(株主還元策)
当社は、資本効率性を意識した株主還元を経営上の最重要課題のひとつと位置づけています。当連結会計年度では配当性向25%を目安とし、業績の見通し等を総合的に勘案し利益配分を決定する基本方針に基づき、利益配分を決定しました。また、翌連結会計年度以降の新中期経営計画期間では連結配当性向の目安を30%へ引き上げるとともに、2024年3月期及び2025年3月期の二事業年度で合計2,000億円規模の自己株式取得を予定しています。加えて、投資機会と事業環境を勘案し、追加還元を機動的に実施する予定です。配当の詳細については、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」をご参照ください。
(3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題
中期経営計画の遂行
<前中期経営計画の振り返り>
当社グループは、2018年度から5年間の中期経営計画 “Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”において、ボラタイルな事業環境や多様に変化する社会に対応すべく、3つの基本戦略の実行に取り組んで参りました。「ポートフォリオの最適化」では、コンテナ船統合会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.は効率化と規模拡大効果により高収益を達成し、ドライバルク事業は事業の構造改革を実施し収益の下方耐性を強化しました。「運賃安定型事業の積み上げ」では、物流事業・不定期専用船事業において運賃安定型事業の収益を拡大し、「効率化と新たな価値創出」では、脱炭素化に向けた様々なグリーンビジネスに着手したほか、最新デジタル技術を駆使した取組みを強化しました。また、「ESGの経営戦略への統合」を明示し、ESGが企業経営の根幹であるとの認識のもと、当社グループ全体でESG経営への取組みを推進しました。これらの取組みの結果、前中期経営計画で掲げた利益・財務目標を達成しました。
<新中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”>
2023年3月、2023年度から開始する4年間の新たな中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定しました。2030年に向けた新たなビジョン「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」を掲げ、このビジョンの実現を目的とする2026年度までの4年間の行動計画として新中期経営計画を位置づけています。社会から必要とされ持続的に成長する企業を目指し、人口・グローバル化・テクノロジー・環境のメガトレンドの分析から2050年の事業環境を予測し、2050年のありたい姿からバックキャストし、中長期を見据えて策定しました。ESGを中核に据えた成長戦略を基本方針とし、環境問題を始めとする社会の課題の解決にも貢献することで、将来の収益力の最大化を図るとともに、企業価値・社会価値の持続的な創出に全力で取り組みます。
(経営戦略の全体像)
新中期経営計画は、両利きの経営(AX)と事業変革(BX)から成る「基軸戦略」の下、既存中核事業を深化させると同時に新規成長事業を進化させ、これを「支えの戦略」となる人材・組織・グループ経営の変革(CX)、デジタルトランスフォーメーション(DX)、エネルギートランスフォーメーション(EX)が支えます。
■基軸戦略 - 中核事業の深化と新規成長事業の進化:
既存中核事業においては、脱炭素化需要の取り込みやM&Aの活用などを通じて、更なる成長を目指します。また、新たな組織能力を構築し、コアコンピタンスをベースに進化を遂げ、新規事業を創出します。
■支えの戦略:
CX(人材・組織変革・グループ経営変革)では、グループ社員35,000人の能力を活かせるよう、人事・コーポレート部門を強化し、グループ全体でのビジョンの共有とエンゲージメントを高め、グループ企業の力を最大限発揮できるプラットフォームを整えていきます。また、ESG経営を確実に支えるための経営体制を強化します。その一環として、2023年6月21日の定時株主総会において、監査等委員会設置会社への移行を内容とする定款の変更が決議されたことにより、監査等委員会設置会社に移行しました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)では、デジタル基盤の整備を推進することで変革を支え、ビジョンを実現するDXを推進します。EX(エネルギートランスフォーメーション)では、2050年ネット・ゼロ達成に向けた取り組みを計画的に加速します。2030年に向けたGHG削減戦略としては、4月に立ち上げたESG戦略本部が中心となり、サプライヤー各社と共創しながら4つの削減レバー(ハードウェア・燃料転換/最適運航/省エネ技術の実装/バイオ燃料の利用)でGHG排出量削減に取り組む体制を強化します。外航船舶の脱炭素化について、2030年までは、燃料転換の一環としてLNG焚きの新造船導入を推進することに加え、運航面でもGHG削減に寄与する技術を最大限活用します。2030年代半ば頃からは、アンモニア焚きの新造船を主軸に次世代ゼロエミッション船の本格導入・隻数拡大により燃料転換を一段と高め、GHG排出量削減を加速させます。
■財務戦略:
将来の安定的な株主リターンに繋がる投資対象に対して、2026年度までに総額1.2兆円規模の事業投資を実施します。また、資本効率向上を意識した株主還元を実施すべく、成長投資とのバランスを取りながらTSR(株主総利回り)の拡大に努めます。財務目標管理のKPIとしては、ROIC(投下資本利益率)を活用するとともに、非財務指標も設定します。中期経営計画最終年度は、連結経常利益2,700億円を目標としています。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)ガバナンス
①サステナビリティに関するガバナンス
当社グループは、当社グループが取り組むESG課題を抽出し、具体的な目標を掲げ、より一層の行動を促すために2020年4月に社長をトップとするESG経営推進体制を整えています。
2023年4月からはESG戦略本部を新設し、同本部内にESG経営グループと脱炭素グループを設置しています。また従来のESG経営推進委員会を発展させる形でESG戦略委員会へと改称し、より高頻度かつ具体的な議論を進めていきます。メンバーは各本部を代表する執行役員と外部有識者で構成し、委員会では全社方針や目標の設定とともに、各本部が策定するアクションプランの進捗確認など、ESGに関わる幅広いテーマを討議し、ESG戦略本部から経営会議や取締役会へ報告していきます。
②気候変動に関するガバナンス
当社は気候変動を重要な経営課題の一つであると認識しています。2018年12月にTCFD最終提言への賛同を表明、同提言に沿った適切な情報開示推進に努めています。2022年6月に「TCFD提言に基づく開示報告書」の初版を発行し、2023年4月には第2版を発行しました。
気候変動に関するガバナンスについては、ESG戦略本部及びESG戦略委員会を2023年4月に設置し、本部長を副社長執行役員が務め、ESG戦略の最高責任者としてESG関連業務(含む気候変動対応)執行を推進しています。気候変動対策を含むESGに関する案件は、ESG戦略委員会にて議論しています。本委員会において協議されたESG戦略に関してはESG戦略本部が取りまとめ、四半期毎に経営会議へ報告し、社長が承認しています。
ESG戦略本部とリスク管理委員会が連携し、気候変動リスクを管理し、全社リスクに統合の上、取締役会へ年一回報告しています。
(2)戦略
①サステナビリティに関する戦略
当社グループは、2023年3月に発表した中期経営計画にて、「ESGを中核に据えた成長戦略」を明示し、特に地球環境を守るための脱炭素化の活動に情熱をもって取り組み、変革を力強く進めていきます。これからも社会や産業から必要とされるSustainable Solution Providerを目指すため、グループ社員一人ひとりが経済性「Economy」のモノサシに「ESG」のモノサシを加えることから始めます。「ESG」のモノサシで徹底的に考え抜いた上で、当社グループが社会から必要とされる存在であり続けるために必要だと判断すれば、長期的な視点で、経営資源(ヒト・モノ・カネ・データ)を重点的に投入します。その結果、当社グループの企業価値が向上し、事業基盤の更なる強化が図れると考えています。
②気候変動に関する戦略
当社はESGを経営戦略に統合し、長期的な視点で社会・環境問題への貢献を目指しています。
2023年3月に当社は中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” を策定し、既存中核事業の深化と新規成長事業の開拓を進める「両利きの経営」を基軸戦略に据えて各事業の収益性を高め、「お客様への価値提供」「持続可能な社会への貢献」「投資と収益の両立」の実現を通じて持続的成長を目指しています。
2026年度までの行動計画として本中期経営計画を位置付け、ESGを中核に据え、気候変動に関するリスクと機会へ対応していきます。
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既存中核事業の深化 |
新規成長事業の開拓 |
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2050年までに気候変動も含めた事業環境の変化が見込まれる既存中核事業においては、自社船舶の低・脱炭素投資を他社に先駆けて推し進め、環境優位性・競争力を高めます。 |
気候変動影響が中立的な成長分野、および気候変動対応等により成長が見込まれる分野において、既存中核事業で培った知見をベースに積極的な事業開拓・投資を進め、収益の柱に育てます。
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③人的資本に関する戦略
2030年ビジョンの実現に向けた中期経営計画の中で、中核事業の深化と、新規事業の開拓を両輪とする基軸戦略を支える人材戦略を掲げています。具体的には、新卒採用だけでなくプロフェッショナルな人材の採用を強化し、自律的なキャリア形成を進めながら「軸のあるジェネラリスト」を育成し、適所適材の配置や挑戦機会の創出を進めることで、両利きの経営の実現を目指します。
これには、多様でイノベーティブな視点を職場のあらゆる意思決定場面で活かすことができるインクルーシブな企業風土が不可欠であり、風土醸成の一例として、女性管理職比率の増加や女性の採用比率増加、海外ナショナルスタッフの活躍推進を進めます。また、中核事業運営に欠かすことのできない海技者の確保は大きな課題でありますが、フィリピンで運営する商船大学での外国人海技者の育成、自社養成制度による日本人海技者の育成等を通じて、多様な海技者の確保を進めるとともに、職種を超えた人材の登用を図り、グループ従業員35,000人の能力を当社グループの挑戦に活かします。
(3)リスク管理
①サステナビリティに関するリスク管理
詳細は「
②気候変動に関するリスク管理
詳細は「
(4)指標及び目標
①サステナビリティに関する指標及び目標
当社グループは、「安全」「環境」「人材」をマテリアリティ(=重要課題)と位置付け競争力の向上に努めています。
2023年3月に発表した中期経営計画 “Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -” では、2030年を見据えた経営目標の非財務指標として安全・脱炭素(環境)・D&I(人材)に関わるものをあげています。
「安全」は、当社グループのすべての事業活動の基盤であり、何よりも優先すべき事項であることは言うまでもありません。船舶、飛行機、ターミナル、トラックなど、あらゆる現場での安全を最優先に、貨物の安全と安定したサービスの提供に努めています。
目標としては海、陸、空、全てにおいて「重大事故ゼロ」を掲げています。海運だけでなく陸運でも重大事故ゼロ、空運でも航空事故ゼロを目指し、当社グループが携わる全ての事業において安全を確立することで、命と環境を守ります。
当社グループは、船舶の安全運航の達成度を計測するため、事故・トラブルによって運航が停止した時間(ダウンタイム、衝突・座礁・機関事故等により本船サービスが停止したすべての時間)を指標として取り入れ、遅延時間“ゼロ”を目指し取り組んでいます。船舶の機関事故や漏電、火災等につながる可能性のある事象をいち早く検知することを目的に、SIMS(注1)で収集した機関系データの異常値分析を進めています。異常値の検知システム導入により、異常値の検知能力が高まり、重大事故の未然防止につながっています。
(注1) SIMS (Ship Information Management System:船舶パフォーマンスマネージメントシステム)エンジンや各種機器のデータをはじめ、船舶の速度や揺れ、風速や潮流といった気象情報まで、詳細な実海域データをリアルタイムにモニタリングし、船上と陸での情報共有が可能。
②気候変動に関する指標及び目標
当社は気候変動対応における中期目標として、2030年にScope1(船舶・航空機)を対象に2015年度比30%削減を掲げています。この目標は2018年に2℃シナリオにてSBT認定を取得しています。2023年度中に1.5℃シナリオでのSBT認定再取得を予定しており、SBT認定再取得に際し、目標年、基準年、目標の見直しを予定しています。
また長期目標としては2050年に外航海運事業(公表主体:当社、公表時期:2021年9月)、物流事業 (公表主体:郵船ロジスティクス㈱、公表時期:2022年1月)を対象にネット・ゼロエミッションを目標に掲げています。
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目標年 |
対象 |
目標 |
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2030年 |
Scope1 (船舶・航空機) |
-30%[2015年比] (注)1 |
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2050年 |
外航海運事業 (公表主体:当社、 公表時期:2021年9月) 物流事業 (公表主体:郵船ロジスティクス㈱、 公表時期:2022年1 月) |
ネット・ゼロエミッショ ン |
(注)1. この目標は2018年に2℃シナリオにてSBT認定を取得しています。2022年度下期から2023年度中に1.5℃シナリオでのSBT認定再取得を予定しており、SBT認定再取得に際し、目標年、基準年、目標の見直しを予定しています。
当社は、GHG排出量を把握し削減目標を管理するため環境経営指標を導入しており、この指標に基づく中期目標達成に向けた進捗状況は以下の通りです。
なお環境経営指標は、IMO(International Maritime Organization)のガイドラインに準拠したGHG排出原単位を用いており、次の数式により算出しています。 環境経営指標 = 環境負荷(GHG排出量) / 事業付加価値(海上輸送重量トン・キロメートル)
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環境経営指標 (g-CO2e/トン・キロメートル) |
変化率 |
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年度 |
2015 |
2016 |
2017 |
2018 |
2019 |
2020 |
2021 |
(2015年度比) |
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Scope1 |
6.36 |
6.33 |
6.26 |
6.20 |
6.18 |
6.11 |
6.53 |
+2.67% |
③人的資本に関する指標及び目標
インクルーシブな企業風土醸成を目指し、一指標として2030年までに単体でだけでなく、連結においても女性管理職比率を30%にすることを目指しています(2023年3月末現在、単体:13.7%、連結:25.2%)。また、入社後の定期的な階層別研修やカテゴリー別研修、メンター制度やキャリア面談の機会等を通して、自律的なキャリア形成を推進し、サステナブルな組織の構築を進めることができています。グローバルでのエンゲージメントサーベイも2022年度より実施しており、今後結果を活用して組織改善を進めて行きます。
当社グループの定期船事業、航空運送事業、物流事業、不定期専用船事業、不動産業、その他の事業の事業活動において、世界各国の経済情勢、政治的又は社会的な要因等により、当社グループの事業や業績が影響を受け、その結果当社グループの株価及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、リスク管理方針及びリスク管理規則に基づき、リスク管理委員会を年2回実施し、当社の経営に大きな影響を与えうる、重要リスクの管理状況の報告と評価を行い、その結果を取締役会に報告します。当社グループは、「当社グループの継続的成長にとって影響を与えうる不確実性」をリスクと定義し、社長を委員長、本部長とESG経営担当執行役員をメンバーとするリスク管理委員会において各本部からの報告を基に重要リスクを特定し、重要リスク毎にリスク対応の推進役となる本部を決定し、グループ全体のリスク低減活動を推進します。
当社グループの事業継続に重大な影響を与えうる「最重要リスク」には、コンプライアンスリスク、重大事故などのオペレーションリスク、気候変動への対応や自然災害などの災害に関するリスク、新型コロナウイルスなどの感染症リスク、サイバーリスクがあります。また、当社グループの経営に大きな影響を与えうる「重要リスク」には、戦略リスクや市況変動リスク、オペレーショナルリスク、財務と会計リスク、人権リスク等があります。なお、毎年、リスク管理委員会において、「重要リスク」の中から「最重要リスク」を選定します。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下の通りです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(最重要リスク)
(1)コンプライアンスリスクについて
世界的にさまざまなルールの強化が進むなかで、企業にはより一層高いコンプライアンス意識が求められています。当社グループは、コンプライアンスを推進、強化するための体制の整備及び、重要方針に関する事項等を審議・決議するための場として、年2回コンプライアンス委員会を開催しています。また、毎年9月を当社グループのコンプライアンス強化月間と定め、従業員自らの行動・業務プロセスを見直すための総点検活動を実施しています。同活動で実施した社員の意識調査結果については、「コンプライアンス通信」として取り纏め、社内掲示板を通じて、複数回に分けてフィードバックを行い、社員一人ひとりのコンプライアンス意識の向上を図っています。
更に、遵法活動徹底委員会を設置し、独占禁止法、贈収賄関連法令、経済制裁などの特定の法令のみならず、法令全般及び各種許認可等も含めた遵法の徹底を図っています。
しかしながら、コンプライアンス上のリスクを完全には回避できない可能性があり、法令等に抵触する事態が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下、発生した損害に対する賠償金の支払い等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(2)重大な事故等による影響について
当社グループは、「Bringing value to life.」という企業理念のもと、海・陸・空にまたがる幅広い物流事業を展開しています。船舶や航空機等の安全運航及び環境保護対策を最重要課題と認識し、船舶においては独自の安全規格である「NAV9000」によるアセスメントを実施するなど、安全運航に努めています。船舶をはじめ各現場での実行状況は、社長を委員長とする「安全・環境対策推進委員会」で定期的にレビューされ、安全品質レベルを更に向上・改善させるシステムが構築されており、また、緊急事態に際しては、適切な対応ができる体制を整えています。しかしながら、もし不測の事故、特に油濁その他の環境汚染、乗組員、乗客、及び荷役関係者を含む訪船者の死傷、船舶の喪失又は損傷等につながる重大な事故等が発生した場合、また、船内における感染症の発生、感染症の世界規模の蔓延による検疫強化、もしくは海賊・テロ事案等保安事件が発生した場合には、貨物輸送の遅延・不能、運送契約の解除、債務不履行、過料、訴訟、罰金、営業制限、保険料の引き上げ、評判及び顧客関係の悪化といった事態に直面する可能性があり、かかるリスクを保険で適切にカバーできない場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループの航空運送事業においては、活動範囲が世界各地に及んでおり、「安全は全てに優先する」という安全方針に基づき、全社的安全推進体制を構築し、安全運航の確保に努めています。しかしながら、乗務員の死傷、航空機の喪失又は損傷等につながる重大な航空機事故が発生した場合、航空機の安全性を著しく損なう問題が発生した場合、航空機の稼働を著しく低下させる事由が発生した場合、もしくは各々の地域における政情不安、テロ、新型コロナウイルス感染症等の疫病の流行、及び自然災害等が発生した場合には、貨物輸送の遅延・不能、運送契約の解除、債務不履行、過料、訴訟、罰金、営業制限、保険料の引き上げ、評判及び顧客関係の悪化といった事態に直面する可能性があり、かかるリスクを保険で適切にカバーできない場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。また、航空機の安全性が確認できない場合、自主的に機材の運航を見合わせ、安全性が確認できるまで点検等の整備を行うことがあります。
航空機を運航する当社グループ会社は、航空運送事業者として国際条約、二国間協定、IATA(国際航空運送協会)の決定事項その他の国際的取り決めに従って国際航空運送事業を営んでおり、当社グループの航空運送事業は運賃及び料金の設定に関し独占禁止法の制約を受ける場合があります。また、米国を中心に世界規模で航空保安強化に係る法規制が進むなか、保安対策費用の増加が見込まれます。加えて、民間国際航空の分野では環境負荷低減の取り組みが着実に進行しており、規制強化などによって対策費用が増加した場合は、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(3)本社及び主要な事業会社(拠点)の事業運営に重大な影響を与える自然災害等のリスクについて
地震、津波、竜巻、台風、寒波等の自然災害や戦争・テロ、紛争、その他の要因による社会混乱により、本社や主要な事業会社(拠点)が被災し、経営体制の本社機能が麻痺するリスクや本社の管理機能が麻痺することによるオペレーション上の事業継続リスクや、主要な事業会社のオペレーション機能が麻痺することによる事業継続リスクがあります。
災害や事故などで被害を受けた際に、重要な機能を可能な限り中断せず、また中断した場合にもできるだけ早急に復旧できるように、グループ会社を含む主要な事業ごとに「事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)」を策定しています。しかしながら、自然災害等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(4)情報システムセキュリティに関するリスクについて
当社グループは、その業務遂行には、ITの円滑な運用は今や欠かせない企業基盤となっており、地震・火災等の罹災に際しても、システムの安全及び安定稼動の確保に努めています。また、サイバー攻撃に対しても、多層防御によるセキュリティ対策の強化に加え、ダメージの最小化及び早期復旧にも重点を置き、定期的な訓練の実施やグローバルでの管理体制の構築を進めていますが、システムダウンが一定期間以上に及び、お客様への情報提供及び業務処理が滞ることとなった場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(5)新型コロナウイルス感染症の再拡大によるリスクについて
新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、依然として、当社グループの全ての事業に大きな影響を及ぼす可能性があります。当社グループは引き続き社内外への感染拡大防止と社員の安全確保を最優先に、船舶の安全運航を継続し、生活を支えるエネルギー、資源、その他物資の安定輸送に従事します。客船では、感染症対策プランを構築し常にアップデートを続け、徹底した対策を実施し商業クルーズを行っています。
しかしながら、特定の事務所において従業員の病欠者が増加し、サービスの提供が一時的に滞ることや、また、個別の船舶等において感染拡大することによって運航に影響が出ることや、感染拡大地域へのサービスの提供に影響が出るなど、当社グループの事業運営、業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(6)気候変動リスクへの対応について
当社グループは、ESG要素の1つである「気候変動」を重要な経営課題の一つと認識し、2021年9月に当社グループの外航海運事業における温室効果ガス排出量削減の長期目標を、「2050年までのネット・ゼロエミッション達成」と決定しました。しかしながら、本長期目標を達成するためには、アンモニアや水素等のゼロエミッション燃料の実用化が不可欠であり、そのためには現時点の水準から大きな技術革新が必要です。大型外航船の使用期間は15年から20年程度であるため、仮に革新的技術が利用可能となったとしても、全世界の船舶に普及するまでには、相当の時間とコストが発生すると見込まれています。このような認識の下、技術革新と具現化の途上においては、世界の持続的な成長に必要な輸送需要に、その時々において最も環境負荷が低いソリューションで応えつつ、社会に対して相応の負担への理解を得る必要があると考えています。
また、気候変動が当社事業に及ぼす影響を長期的な時間軸の中で適切に見極め、具体的な経営戦略等に取り組む必要もあり、これらを推進するために当社は 2020年4月に社長を責任者とした気候変動対応の管理体制を設置しました。さらにESG経営を土台とした持続的な成長戦略の策定を目的に設置した「持続的成長検討タスクフォース」にて、これまで行っていた当社独自の輸送需要予測に地球温暖化等の気候変動要素を加味し、社会的に合理的なシナリオを前提としたリスク管理と機会の把握を具体的に行いました。また、2022年3月に発表した「NYKグループESGストーリー2022」では、持続的成長検討タスクフォースの議論を踏まえ、温室効果ガス排出削減に向けた具体的な取り組みを紹介し、2050年温室効果ガス排出ネットゼロへ向けたロードマップを示しています。2023年3月にはこれらの議論を更に深化させ、中期経営計画“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定し、脱炭素に向けた取り組みの加速を推進します。
今後、当社グループが気候変動リスクに適切に対応できなかった場合には、顧客離れ、地域社会との関係悪化や船舶に対する融資が得られないなどの事態が生じ、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(重要リスク)
(7)経営戦略に関するリスクについて
当社グループは、中期経営計画に基づき、「総合物流企業の枠を超え、中核事業の深化と新規事業の成長で、未来に必要な価値を共創します」というビジョン達成に向けた具体的施策に取り組んでいます。しかしながら、事業戦略の遂行や次世代の成長分野への積極的な取組みを実行する際には、以下に記載したリスクがあります。
① 投資計画に係る影響について
当社グループは、船隊や航空機の整備等に係る投資を計画し、実行していますが、今後の世界経済の状況や海運市況及び公的規制等の動向によって、これらが計画どおりに進捗しない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
新造船の発注から竣工までには数年の年月を要し、その間の需要の変化も一つの要因です。造船スケジュールの遅延や、造船所における労働争議、造船所の経営難など造船所自体に関わる要因によっても左右されます。
また、鋼材価格の高騰等により新造船や航空機の価格が上昇し、それを適切に運賃等に反映させることができない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
② 運航船舶等の処分に関する影響と市況悪化による固定資産の減損損失について
当社グループは、海運・空運市況の著しい変動、運航する船舶や航空機の新技術開発・導入に起因する陳腐化あるいは安全規制・諸規則の変更等による物理的使用制限等により、当社グループが保有する船舶や航空機を売却する場合、又は当社グループが傭船する船舶の傭船契約解約等を実施する場合があります。その結果、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
船舶又は航空機を売却する際、常に有利な条件で売却できる保証はなく、また売却できない可能性もあります。市況が低迷し、船舶及び航空機の市場価格が下落しているときに、減価償却が済んでいない船舶及び航空機を簿価より低い価格で売却しなければならない場合もあり、その場合売却損を被る可能性もあります。また、売却をしない場合でも、市場低迷が回復せず、又は更に悪化した場合、船舶、航空機その他の固定資産の収益性低下により投資額の回収が見込めなくなる場合があります。この場合資産価値が下落して減損損失が発生し、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
傭船契約を解約又はそれに準じる行為を行う場合は、船主と協議の上、違約金等を支払う可能性があります。
③ 他社との提携戦略について
当社グループは、コンテナ船事業において、他の海運会社との戦略的提携であるザ・アライアンスのメンバーとなっています。当社グループは、コンテナ船事業の効率的かつグローバルなネットワークを保つために、かかるアライアンスが必要であると考えています。しかしながら、アライアンスの活動には、均一の安全・運航基準及び管理方針・手続を維持する難しさ、アライアンス統合及び解散の可能性、アライアンスに加盟している会社の撤退又はアライアンスによって必ずしも期待していた結果が得られない可能性、また各国規制等によりアライアンス自体が認められなくなる等のリスクを伴います。当社グループがかかる要因に適切に対処できない場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
④ 長期安定的な収益基盤の維持・構築について
当社グループは、長期の安定契約に重点を置いており、船隊の多くを船舶の保有又は長期傭船により調達しています。しかしながら、その船隊規模に見合った貨物の長期契約が十分に獲得できない場合、それら船舶は短期契約による運航に供することとなり、運賃水準が大幅に下落すると、船舶の運航により得られる収益が、保有船及び長期傭船の固定費用を十分にまかなうことができず、その結果として当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループのドライバルク事業部門及びエネルギー事業部門においては、取引先との長期契約に重点を置いています。かかる長期契約には、決定された運賃、使用船腹量及び費用調整条項が定められ、市場環境の変化による影響を軽減するのに役立っています。しかしながら、当社グループが長期契約を結んでいる一部の取引先の経営状態等が悪化し、取引先が契約条項の全部又は一部の履行を継続できなくなる可能性があります。一方当社グループは、かかる長期契約上の義務を履行するにあたって、第三者からの傭船によって船舶を調達する場合があります。船主が、傭船期間終了前に当社グループとの契約を履行できなくなる可能性があり、これによって他の船舶を調達するための費用が発生する可能性もあります。今後このような事態が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。なお、長期契約は市況の変動による影響を軽減する効果がありますが、市況の上昇局面においても直ちに運賃に反映できなくなる可能性があります。
当社グループの重要な取引先には、自動車メーカー、製鉄会社、製紙会社、公共事業会社、電機メーカーや小売業者等が含まれています。仮に、重要な取引先との間の取引規模が縮小したり、重要な取引先を失うようなことがあれば、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(8)市況変動に関するリスクについて
① 海運市況・荷動き等の変動による影響について
当社グループは、海運市況の変動に左右されない安定的な営業収益の確保に努めていますが、世界の経済動向、国際間の荷動き、競争激化、船腹需給バランス等の影響により、運賃収入及び傭船料収入などが大きく変動する可能性があり、その結果として当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
特に、海上運賃は、船腹需給の不均衡により大幅に変動する傾向にあります。一方、船腹の供給が需要を上回ると、市場における傭船料の水準が下落する可能性があります。
なお、船腹の需要に影響を及ぼす可能性のある要因には、以下のものがあります。
・世界的、地域的な紛争、政治動向及び経済状況
・世界的な感染症の蔓延
・当社グループが輸送するエネルギー資源、原材料及び商品の需要及び在庫水準
・工場のグローバル化
・海上輸送及びその他の輸送方法の変化並びに代替輸送手段の発展
・環境及びその他の規制の動向
一方、船腹の供給に影響を及ぼす可能性のある要因には、以下のものがあります。
・新造船の竣工により増加する船腹量
・老齢船の解撤により減少する船腹量
・港及び運河の混雑又は閉鎖
・環境規制及び船舶の耐用年数を制限する可能性のあるその他の規制の変更
航空貨物の運賃は、貨物を輸送するスペースと荷動きの不均衡により大幅に変動する可能性があります。航空業界の競争環境と景気動向からもたらされる大幅な航空運賃の変動又は、取扱い貨物量の変動により当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
また、フォワーディング等の物流事業においても、海上・航空貨物と同様にスペース供給と需要の不均衡により、運賃が大幅に変動する可能性があります。物流事業での大幅な運賃の変動や取扱貨物量の変動により当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
② 為替レートの変動による影響について
当社グループの事業においては、外貨建て取引の収入が多く、為替レートの変動が損益に影響を与える可能性があります。収入と費用の通貨を一致させる施策を進めるとともに、為替予約や通貨スワップ等のヘッジ取引により、為替レート変動の影響の軽減に努めています。また、当社グループの連結財務諸表作成にあたっては、在外子会社等の財務諸表を円換算しており、為替レートが変動した場合、当社グループの財務状況が影響を受ける可能性があります。
③ 燃料価格の変動による影響について
当社グループは、世界中で当社グループが運航する船舶及び航空機に使用される燃料を常時購入しています。
燃料費は、当社グループの定期船事業、不定期専用船事業及び航空運送事業における費用の大きな割合を占めています。燃料の価格水準及び入手可能量は、世界的な原油・天然ガス需給、外国為替市場の変動、産油国やOPEC及び産ガス国の動向、環境規制の状況、戦争その他の多くの要因により変動し、これらの動向を正確に予測することは困難です。当社グループとして、燃料調達地域の分散及び燃料サーチャージの適用、ヘッジ手段としてのデリバティブ取引の利用、燃料の消費量節減等の対策を講じて業績に与える影響の軽減に努めていますが、価格の変動又は供給不足から十分に影響を軽減できない可能性があります。
④ 金利動向による影響について
当社グループは、船舶や航空機、輸送関連施設等の取得に係る設備投資需要や事業活動に係る運転資金需要に対し、内部資金を充当する他、外部から資金を調達しています。
これらの外部資金については、現在、変動金利調達と固定金利調達があり、金利環境を勘案の上その割合を注視し金利変動による影響の軽減に努めていますが、将来の金利変動によっては、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(9)投資有価証券における評価損による影響について
当社グループは、有価証券の評価基準及び評価方法として、その他有価証券のうち市場価格のない株式等以外のものについては決算期末日の市場価格等に基づく時価法を採用しています。株式市況の変動等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(10)人権問題について
当社グループは、自らの事業活動において影響を受けるすべての人々の人権が尊重されなければならないことを理解し、多様な価値観や異文化を認め合い、尊重することを企業活動の基盤とし、その責務を果たす指針として、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく「日本郵船グループ人権方針」を2022年11月に定めました。社内委員会を設置し、専門的知見を有する第三者機関からの助言を定期的に受けつつ、人権デュー・ディリジェンスをはじめとした人権尊重の取り組みを推進しています。
また、グローバルな事業活動を展開する上で、サプライチェーン全体での強制労働、児童労働、環境破壊行為などの世界的な社会問題が顕在化する中、「取引先に対するCSR ガイドライン」を策定しています。
しかしながら、当社グループの事業活動において人権問題が発生した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下により、当社グループの事業活動に悪影響を及ぼす可能性があります。
(その他経営全般に係るリスク)
(11)当社グループの重要課題「安全」「環境」「人材」について
当社グループの船舶の安全な運航のためには、優秀な船員を確保することが特に重要となります。当社グループは、優秀な船員を確保するために、教育と訓練の提供及び多様な国からの採用など、様々な手段を取ってきましたが、将来において、適切な費用で必要な技術水準を持った船員を十分に確保できるという保証はありません。例えば、2008年のリーマン・ショック前の数年間、海上輸送への需要が高かった時期においては、船員を雇用するための人件費が大幅に増加しました。新型コロナウイルス感染症の再拡大や新たな感染症等の発生により、必要な船員を合理的な費用で雇用、維持、あるいは交代できない場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループが事業を行う各地域において、当社グループの船舶は安全運航及び海難事故の防止に関する国際法を遵守する必要があります。加えて、環境保護に関する地域固有の法令及び規制を遵守する必要があります。
当社グループは、環境保全活動及び物流サプライチェーンの安全・保安対策の重要性を認識しつつ、グローバルに事業を展開・拡大しています。例えば、アンモニアや水素など将来代替燃料に向けた研究開発促進、LNG/LPG/メタノール燃料船建造の拡大、LNG燃料供給船建造の拡大、省エネ運航によるCO2排出量削減、バラスト水管理のための処理装置の搭載、藻、貝類等の船体付着物の移動防止に関する規制への対応、サイバーセキュリティ対策導入など実施しています。
今後、これらに関連する対策費用が増加した場合や、特定の地域における法令又は規制を遵守することが困難となった場合には、当該地域における当社グループの事業運営が制限され、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(12)グローバルな事業展開による影響について
当社グループの活動の範囲は、世界各地に及んでおり、各々の地域における経済状況等により影響を受ける可能性があります。具体的には、以下に掲げるいくつかのリスクが内在しています。
・政治的又は経済的要因
・事業・投資許可、租税、為替管制、国際資産の没収、独占禁止、通商制限など公的規制の影響
・他社と合弁・提携する事業の動向により生じる影響
・戦争、暴動、テロ、海賊、感染症、ストライキ、サイバー攻撃、その他の要因による社会的混乱
・地震、津波、台風等の自然災害の影響
・各国規制・制裁などの把握不全
これらリスクに対しては、グループ内での情報収集、外部コンサルタント起用等を通じ、その予防・回避に努めていますが、これらの事象が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
船員を含む当社グループの従業員の一部は、労働組合に所属しており、当社グループの従業員によってストライキ、業務停止又はサボタージュが行われた場合、さらには北米の港湾施設など当社グループ従業員以外の第三者によるストライキ又は業務停止によっても、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。加えて、戦争や政治的な要因も、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、中東を含め世界中の紛争やテロ及びロシア・ウクライナ情勢等による治安・情勢不安・各国規制・制裁の強化等の影響を受けます。なお、ロシア・ウクライナ情勢の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」をご参照ください。 当社グループ船舶は2022年12月閣議決定され海上自衛隊派遣が行われているオマーン湾、アラビア海北部、アデン湾、更にはテロの脅威が報告されている紅海、緊張状態が続くホルムズ海峡を航行しています。また、海賊被害は近年減少していますが、今もなお海賊行為が発生するマラッカ・シンガポール海峡、セルベス・スールー海、西アフリカ沿岸及びソマリア海賊襲撃エリアであるアデン湾、アラビア海、インド洋などを航行しています。当社グループでは、関係機関からの情報収集及びアデン湾地域では海上自衛隊の護衛を受けるなど、海賊行為について対策を講じていますが、テロ及び海賊の襲撃を受けた場合、あるいは政情不安及び戦闘などが起こった場合、当社グループの事業運営に影響を及ぼす可能性があります。今後、これら水域が通常の戦争保険除外地域として指定された場合(一部水域は既に指定されています。)には、保険料の水準及び保険金の支払いに影響を与える可能性があります。また、物流事業等、特定の国において行う事業活動は、当該事業を行う国の治安・情勢不安等による事業環境の悪化により、事業の縮小、廃止、撤退等を決定する場合があり、その場合当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
(13)訴訟その他の法定手続の発生について
当社グループの定期船事業、航空運送事業、物流事業、不定期専用船事業、不動産業、その他の事業の事業活動において、各種の訴訟や規制当局による調査及び処分に関するリスクを有しています。以下の事例も含め、訴訟等の内容及び結果によっては、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。
当社グループは、2012年9月以降自動車等の貨物輸送に関して独占禁止法違反の疑いがあるとして、海外当局の調査対象となっています。
また、完成自動車車両等の海上輸送について、主要自動車船社と共同して運賃を設定したとして、請求金額を特定しないまま損害賠償及び差し止め等を求める集団民事訴訟を、一部の地域にて提起されていますが、現時点ではこれらの調査・訴訟の結果を合理的に予測することは困難です。
なお、上記は当社グループが事業を継続する上で、予想される主なリスクを具体的に例示したものであり、これらに限定されるものではありません。
1.経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下のとおりです。
(1)経営成績の状況
|
|
(単位:億円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 |
|
売上高 |
22,807 |
26,160 |
3,352 |
14.7% |
|
売上原価 |
18,273 |
21,059 |
2,785 |
15.2% |
|
販売費及び一般管理費 |
1,844 |
2,137 |
293 |
15.9% |
|
営業利益 |
2,689 |
2,963 |
274 |
10.2% |
|
経常利益 |
10,031 |
11,097 |
1,066 |
10.6% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
10,091 |
10,125 |
34 |
0.3% |
|
平均為替レート |
112.06円/US$ |
135.07円/US$ |
23.01円 円安 |
|
平均消費燃料油価格 |
US$531.19/MT |
US$760.72/MT |
US$229.53 高 |
(概況)
当連結会計年度の業績は、売上高2兆6,160億円、営業利益2,963億円、経常利益1兆1,097億円、親会社株主に帰属する当期純利益1兆125億円となりました。なお、営業外収益で持分法による投資利益として8,119億円を計上し、うち、当社持分法適用会社であるOCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(“ONE社”)からの持分法による投資利益計上額は当連結会計年度において7,703億円となりました。
<セグメント別概況>
当連結会計年度のセグメント別概況は以下のとおりです。
|
(単位:億円) |
|
|
売上高 |
経常利益 |
||||||
|
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
増減率 |
前連結 会計年度 |
当連結 会計年度 |
増減額 |
||
|
ロラ ジイ スナ テ| ィ& ク ス 事 業 |
定期船事業 |
1,905 |
2,007 |
101 |
5.3% |
7,342 |
7,913 |
571 |
|
航空運送事業 |
1,887 |
2,180 |
293 |
15.6% |
740 |
618 |
△122 |
|
|
物流事業 |
8,474 |
8,624 |
149 |
1.8% |
587 |
543 |
△44 |
|
|
不定期専用船事業 |
9,745 |
12,408 |
2,662 |
27.3% |
1,391 |
2,121 |
730 |
|
|
そ の 他 事 業 |
不動産業 |
42 |
33 |
△8 |
△20.3% |
21 |
13 |
△7 |
|
その他の事業 |
1,704 |
2,345 |
641 |
37.6% |
△12 |
△22 |
△9 |
|
<定期船事業>
コンテナ船市況は、第2四半期の半ばまでは旺盛な輸送需要及び港湾混雑によるサプライチェーンの混乱により需給がひっ迫する状況が続いたものの、夏場以降は北米等での在庫積み上がりやインフレ等の複合要因により輸送需要の減退が見られ、また世界的な港湾混雑の解消により船腹供給量が増加し、その結果、スポット運賃が下落しました。ONE社においては、上期が好調だったことにより前連結会計年度に引き続き高い利益水準となりました。
ターミナル関連部門では、北米のターミナルを一部売却した影響で取扱量は前連結会計年度比で減少しましたが、一部ターミナルでのコンテナ滞留に伴う付帯収入が増加し、収支に貢献しました。
以上の結果、定期船事業全体では前連結会計年度比で増収増益となりました。
<航空運送事業>
航空運送事業では、第3四半期以降に世界的な景気の減速や海上貨物の一部が航空輸送に切り替わる動きが弱まったこと等も影響し、輸送重量は前連結会計年度比で減少しました。運賃は、半導体製造装置等の好調な輸送需要や好況下に締結した輸送契約により、高い水準を維持しました。費用面では、燃料費等が増加しました。
以上の結果、航空運送事業全体では前連結会計年度比で増収減益となりました。
<物流事業>
航空貨物取扱事業では、スポット案件の獲得や機動的な購買の見直しによるコスト削減により、一定の利益水準を確保しましたが、荷動きが低迷する中、取扱量及び利益水準は前連結会計年度を下回りました。
海上貨物取扱事業では、取扱量は前連結会計年度比で減少しましたが、長期契約や付帯サービスの拡販により一定の利益水準を確保しました。
ロジスティクス事業では、欧米を中心に人件費・光熱費等の高騰に伴う価格改定を進めるとともに、需要の底堅い一般消費財の取扱いが事業を牽引し、堅調に推移しました。
内航輸送事業では、フィーダー貨物運賃高騰による好影響を受けました。
以上の結果、物流事業全体では前連結会計年度比で増収減益となりました。
<不定期専用船事業>
自動車輸送部門では、世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染症による完成車生産への影響が徐々に緩和され、前連結会計年度比で輸送台数は増加しました。港湾の混雑や航海中の荒天影響による運航スケジュールの乱れが一部見られたものの、最適な配船計画と本船運航により船舶の稼働率を向上させ、顧客の輸送要請に柔軟に対応しました。自動車物流でも、完成車荷動きの回復に伴い各国において取扱台数を伸ばしました。また、新規ビジネス獲得と事業投資を進めて収益性向上に取り組みました。
ドライバルク事業部門では、ケープサイズの市況は、4月下旬以降に季節外れの高騰が見られましたが、その後は景気後退懸念が顕在化して下落しました。パナマックスサイズの市況は、5月までは前年同期を上回る水準を保ったものの、その後はケープサイズの不調に合わせて下落しました。ハンディマックス及びハンディサイズの市況もパナマックスサイズに同調する形で低迷し、全船型で通期での市況は前連結会計年度を下回りました。このような環境下、時機を捉え好市況下で獲得した輸送契約に加え、先物取引を用いた市況変動リスク低減の取組みが業績を下支えしました。また、効率的な運航によるコスト削減に努めました。
エネルギー事業部門では、VLCC(大型原油タンカー)の市況は、長らく低迷していたものの7月頃から急回復し、11月下旬にピークに達した後、変動の大きい状況が続きましたが、夏場以降は総じて堅調に推移しました。石油製品タンカーの市況は、ロシア・ウクライナ情勢の影響によりトレードパターンが変化し、輸送距離が延びたことで船腹需給が引き締まりました。VLGC(大型LPGタンカー)は、米国からアジア地域への長距離輸送が増加し、中東出し輸出も堅調の中、年末には揚地やパナマ運河での滞船も影響して船腹需給が引き締まりました。通期でのタンカー市況は総じて前連結会計年度の水準を大きく上回りました。LNG船は、安定的な収益を生む長期契約に支えられて順調に推移しました。また海洋事業は、FPSO(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)、ドリルシップ、シャトルタンカーが概ね想定どおりに順調に稼働しました。
以上の結果、不定期専用船事業全体では前連結会計年度比で増収増益となりました。
なお、エネルギー事業部門において、ロシア・ウクライナ情勢への対応により、サハリンⅡプロジェクト等のLNG輸送に関連して特別損失を計上しました。
<不動産業、その他の事業>
不動産業は、前連結会計年度における子会社株式の一部譲渡に伴い、前連結会計年度比で減収減益となりました。
その他の事業は、燃料油販売事業が好調であったことに加え、船用品・舶用資材販売事業も堅調に推移しました。客船事業は、電気関係機器不具合への対応や乗組員の新型コロナウイルス感染の影響等により限られたクルーズ催行となりました。その結果、その他の事業では前連結会計年度比で増収となりましたが、損失を計上しました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末と比べて304億円減の1,962億円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益1兆834億円、減価償却費1,216億円、持分法による投資損益△8,119億円、利息及び配当金の受取額4,572億円などにより8,248億円(前年同期5,077億円)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、船舶を中心とする固定資産の取得及び売却などにより△2,529億円(前年同期△1,485億円)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金やリース債務の返済、社債の償還や配当金の支払い等により△5,812億円(前年同期△2,375億円)となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
当社グループは国際的な海上貨物運送業を中核として多角的事業を展開しているため、生産、受注の各実績を求めることが実務的に困難であり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示していません。
当連結会計年度における売上高をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
|
セグメントの名称 |
金額(百万円) |
前年同期比(%) |
|
定期船事業 |
200,705 |
105.3 |
|
航空運送事業 |
218,095 |
115.6 |
|
物流事業 |
862,446 |
101.8 |
|
不定期専用船事業 |
1,240,816 |
127.3 |
|
不動産業 |
3,352 |
79.7 |
|
その他の事業 |
234,512 |
137.6 |
|
計 |
2,759,929 |
116.2 |
|
消去 |
(143,863) |
151.2 |
|
合計 |
2,616,066 |
114.7 |
(注) 売上高に対する割合が10%以上の顧客はいません。
2.経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの財政状態及び経営成績等の状況に関する分析・検討の内容は以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績等の分析
当連結会計年度末の総資産は、船舶を中心とする有形固定資産の増加や、ONE社をはじめとする持分法適用会社の利益計上に伴う投資有価証券の増加等により、前連結会計年度末に比べ6,967億円増加し、3兆7,767億円となりました。有利子負債は社債や借入金等の減少により前連結会計年度末に比べ1,142億円減少して6,940億円となり、負債合計額は前連結会計年度末に比べ691億円減少し1兆2,518億円となりました。純資産の部では、利益剰余金が6,226億円増加し、株主資本とその他の包括利益累計額の合計である自己資本が2兆4,786億円となり、これに非支配株主持分463億円を加えた純資産の合計は、2兆5,249億円となりました。これらにより、有利子負債自己資本比率(D/Eレシオ)は0.28に、また自己資本比率は65.6%となりました。なお、D/Eレシオ算定上の有利子負債は連結貸借対照表上に計上されている負債のうち、借入金、社債及びリース債務を対象としています。経営成績については「1.経営成績等の状況の概要(1)経営成績の状況」をご参照ください。
(2)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループは、2018年4月から開始する5カ年の中期経営計画として“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”を策定しました。“Staying Ahead 2022 with Digitalization and Green”の利益・財務目標並びに2022年度実績については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標及び(3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題」をご参照ください。
また当社グループは、2023年4月から開始する4カ年の中期経営計画として“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”を策定しました。“Sail Green, Drive Transformations 2026 - A Passion for Planetary Wellbeing -”の利益・財務目標については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中長期的なグループ経営戦略及び目標とする経営指標及び(3)中長期的なグループ経営戦略と優先的に対処すべき課題」をご参照ください。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況
「1.経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
② 資金需要
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社グループの不定期専用船事業運営に関する海運業費用です。この中には燃料費・港費・貨物費等の運航費、船員費・船舶修繕費等の船費及び借船料などが含まれます。このほか物流事業や航空運送事業等の運営に関する労務費等の役務原価、各事業についての人件費・情報処理費用・その他物件費等の一般管理費があります。一方、設備資金需要としては、中期経営計画における船舶脱炭素化投資など既存事業への投資、新規事業やM&A投資を予定しています。当連結会計年度中には1,988億円の設備投資を行いました。
③ 財務政策
当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金については、財務の健全性を損なうことなく、また、過度に特定の市場リスクに晒されることなく安定的に確保するために、金融機関からの借入や社債、コマーシャル・ペーパーの発行による調達を行うこととしているほか、船舶に関してはリース等を活用しています。
当社グループの主要な設備である船舶投資については、営業活動によって個々の船舶が将来収受する運賃もしくは貸船料収入の通貨や期間にあわせた長期の借入のほか、社債発行により調達した資金や内部留保した資金も投入しています。運転資金については、主に期間が1年以内の短期借入並びにコマーシャル・ペーパーの発行により調達することとしていますが、一部長期の借入によっても調達しています。2023年3月31日現在の短期及び長期借入金の残高は4,962億円で、通貨は円のみならず米ドル等の外貨建借入金を含んでおり、金利は変動及び固定です。また、資本市場から調達した社債の残高は、2023年3月31日現在970億円となっています。
当社グループは、資金の流動性確保に努めており、2023年3月31日現在1,000億円のコマーシャル・ペーパー発行枠に加え、予備的借入枠として円建て及び米ドル建てコミットメントライン(借入枠)を有しているほか、キャッシュマネージメントシステム等を活用しグループ内金融による資金効率向上にも取組んでいます。
なお、当社は国内2社、海外1社の格付機関から格付を取得しています。2023年3月31日現在の負債格付(長期)は、日本格付研究所(JCR):「A+」、格付投資情報センター(R&I):「A」、ムーディーズ・インベスターズ・サービス:「Ba1」となっています。
(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されています。その作成にあたっては経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りが必要となります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案して合理的に判断していますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社は、特に以下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えています。
① 収益の認識
当社グループの収益の認識は、主に一定の期間にわたり充足される履行義務として、航海期間及び輸送期間における日数等に基づき進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識しています。
② 貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しています。将来、債務者の財政状況の悪化等の事情によってその支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
③ 投資の評価について
当社グループは、金融機関や取引先等の株式を保有しています。これらの株式は、市場価格が存在する株式等に関して原則として市場価格にて評価を行い、市場価格の存在しない株式等に関しては投資先の財政状態等を勘案し、価値の下落が一時的でないと判断する場合には減損処理を行います。
④ 減価償却資産の償却
当社グループは、有形及び無形の減価償却資産を保有しています。これらの減価償却資産は、合理的と判断される償却方法及び償却期間で償却されていますが、実際の資産価値の減価は会計上の減価償却による貸借対照表価額の減少とは異なる場合があります。
⑤ 退職給付
従業員の退職給付債務及び費用は、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されています。これらの前提条件には、割引率、昇給率、退職率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。当社グループは毎年数理計算の基礎となる前提条件を見直しており、必要に応じて、その時々の市場環境等をもとに調整を行っています。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合、退職給付債務及び費用に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っています。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少し繰延税金資産の一部又は全部を将来実現できないと判断した場合、あるいは税率変動等を含む各国税制の変更等があった場合、その判断を行った期間に繰延税金資産が減額され税金費用が計上されます。
⑦ 固定資産の減損
当社グループは、原則として事業用資産においては投資の意思決定を行う事業ごとにグルーピングを行い、賃貸不動産、売却予定資産及び遊休資産等においては個別物件ごとにグルーピングを行っています。資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額しています。なお、資産グループの回収可能価額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い価額としています。正味売却価額は第三者により合理的に算定された評価額等により、使用価値は将来キャッシュ・フローに基づき算定しています。
(5)今後の見通し
定期船事業について、コンテナ船部門では、市況の高騰が落ち着く中、スポット運賃及び年間契約の運賃水準を考慮し、また世界経済の動向や消費地での過剰在庫の解消等が輸送需要に与える影響を注視して見通しを策定しています。
航空運送事業では、2023年3月7日に、当社とANAホールディングス株式会社(以下、「ANAHD」という。)との間で、当社連結子会社である日本貨物航空株式会社の全株式をANAHDに対して譲渡することに関する基本合意書を締結しており、その内容もふまえて見通しを策定しています。
物流事業では、航空貨物取扱事業及び海上貨物取扱事業において、取扱量は当連結会計年度(2023年3月期)と比較して増加するものの、利益水準は低下することを見込みます。ロジスティクス事業では、欧州での取扱量の減少を見込むものの、これまで進めてきた価格改定の推進や北米地域での事業が安定して推移する見通しであることから、利益水準の低下は限定的であると想定しています。
不定期専用船事業について、自動車事業部門では、世界的な半導体不足による完成車生産への影響は解消に向かい、輸送台数は当連結会計年度並みとなる見通しです。
ドライバルク事業部門では、当連結会計年度に好調だったハンディマックス以下の小型船型における市況が落ち着く見込みです。
エネルギー事業部門では、VLCC(大型タンカー)の市況は底堅く推移し、VLGC(大型LPGタンカー)の市況は船腹供給量の増加により当連結会計年度と比較して軟化する見通しです。また、LNG船や海洋事業の収益は、中長期の安定契約に支えられ、堅調に推移する見通しです。
以上を踏まえ、翌連結会計年度 (2024年3月期)は減収減益を見込んでいます。
(注)2024年3月期より、「自動車輸送部門」は「自動車事業部門」へ名称を変更しています。
該当事項はありません。
当社グループでは、㈱MTIを核とし、㈱日本海洋科学を始めとするグループ会社や社外パートナーと共に、顧客や取引先も含めたESG経営に資するようデジタル技術を活用して当社グループのDX化を図る最先端の研究を日々行っています。社会的課題である温室効果ガス(GHG)削減のための研究、安全運航を目的とした自律操船の研究等も引き続き行いながら、新たに東京大学内に社会連携講座(MODE)を、複数の社外パートナーと共に開設しました。これにより上記の研究を更に進めるだけでなく、サステナブルな海上物流を実現する次世代のシミュレーション共通基盤の開発、デジタルエンジニアリングを活用した海事分野の技術開発、またこれらのモデルベース開発、モデルベース・システムズエンジニアリングの高度な知識を有する人材の育成等にも取り組んでいます。
またグリーンビジネスへの取組みとして、アンモニア・水素を始めとするカーボンニュートラルな新燃料の導入及びサプライチェーンの構築、液化二酸化炭素の海上輸送、並びに海洋エネルギー開発について社外パートナーとともに複数の研究開発と事業開発案件を進めています。また、今後普及が見込まれる洋上風力関連事業についても引き続き積極的に推進します。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は