当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社グループは、社名の由来でもある「Value & Quality」をスローガンとして、創業以来、価値ある製品の研究、開発、信頼を生む品質の高い製品の提供に努力してまいりました。そのなかで企業理念として「THE VALQUA WAY」を制定し、それを全グループ社員が共有したうえで、それぞれの業務における指針としております。
(2)経営戦略等
当社グループは、次期を最終年度とする2か年中期経営計画“New Frontier 2023”(NF2023)で掲げた基本方針、
《激変する世界情勢の中、「THE VALQUA WAY」のもと顧客の信頼に応え、
H(Hard)&S(Service)の両輪で新たな価値を創造し続ける企業を目指そう》
1.大胆なM&Aや業務提携の加速による新素材・新市場・新事業への参入
2.地政学リスクの増大に対応したサプライチェーン改革の断行
3.継続的な顧客価値を生み出すAI/ITソリューションの事業確立
4.新たなビジネス領域へ展開するための研究開発と人材育成の加速
5.既存事業をより強化するための設備投資の増強と販売チャネルの拡充
のもと、さらなる業容の拡大を強く意識し、諸戦略を着実にかつ迅速に推進いたします。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、創業100周年を展望する時期を迎えるにあたり、社員一人ひとりが改めてこの開拓者精神に立ち未知の領域を切り拓いていく必要があると考え、以下の通りに2027年3月期におけるありたい企業像と達成をめざす長期経営目標を設定いたしました。
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創業100周年(2027年)のありたい企業像 未来と未知に挑むチャレンジングな企業 ―人類の豊かさと地球環境に貢献するために ―
1.あくなき成長戦略の追求とモニタリング
2027年3月期経営目標 ・連結売上高 800億円 ・連結ROE 15% |
(4)経営環境
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症が収束に向かったものの、ロシアによるウクライナへの侵攻が一段の資源高やモノ不足を誘発し、グローバル経済全体に大きな影響を及ぼしました。
また、世界各地における地政学問題、米中摩擦、エネルギーコスト上昇等への警戒が高まるなか、企業の設備投資への姿勢にもそれが反映される状況となりました。
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症によって受けたダメージからの回復が期待されたものの、個人消費は円安の進行等に起因する物価高の影響を受けて伸び悩みが目立ち、また当社グループが属する製造業においては、海外におけるロックダウン、半導体及び部品の不足、原材料価格及び入手難易度の上昇等の要因により、一部の業種では生産への支障が生じることとなりました。一方海外経済は、エネルギーをはじめとする物価高が顕著なものとなり、先行きへの警戒感が個人消費に悪影響を与え、また企業の生産活動の回復に向けた動きも鈍いものとなりました。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
次期に向けては、ウクライナ情勢、米中摩擦、エネルギーおよび原材料価格など世界全体の経済回復に向けた動きに影響を与え得る多くの不透明要素が存在しており、また当社グループ周辺においては、半導体関連産業の景況悪化が懸念されております。
このような事業環境下、当社グループは、(2)経営戦略等に掲げた方針を進めてまいります。
<事業展開について>
シール製品事業につきましては、既存基盤の選択と集中による収益力の強化を進めるとともに、産業構造の変化に対応した新市場・新事業への参入を積極的に推進いたします。そして、新規・既存領域を問わず当社グループ内の製販技の連携を強化し、当社独自のシールエンジニアリングサービスの提供を行うことで、顧客の安全・安心に貢献してまいります。今後も半導体を中心に成長が期待される先端産業市場につきましては、高機能シール製品のソリューション展開・開発および生産体制の整備強化をグローバルに鋭意推進することで、将来の飛躍的な業績拡大に備えてまいります。
機能樹脂製品事業につきましては、新素材展開と事業の高付加価値化を積極的に展開することで、事業のスケールアップと収益力の強化を図ってまいります。
シリコンウエハーリサイクル事業他につきましては、NF2023の基本方針のひとつである「継続的な顧客価値を生み出すAI/ITソリューションの事業確立」のもと、収益力向上および成長につながる投資を確実に実行し、新事業の確立を目指します。
また、これまで培ってきた「コア技術」を新製品開発および既存事業へ応用するとともに、新たな成長分野へ展開するための研究開発の積極投資と開発体制の強化を行ってまいります。
地政学リスクへの対応につきましては、米中対立の激化や半導体産業の国内回帰に対応するサプライチェーンの再構築を図るとともに、改革の断行を含むさらなるリスク管理体制拡充を進めてまいります。
<サステナビリティ活動の推進と人材開発の強化>
当社グループにおけるサステナビリティとは、企業理念である「THE VALQUA WAY」のもと、健全で持続的な成長と持続可能な社会を実現することであると考えております。2022年4月には、サステナビリティ活動を加速するため、従来の「CSR」を「サステナビリティ」として拡充して捉え直し、推進体制についても「バルカーグループサステナビリティ委員会」として再定義するなど、体制を強化いたしました。持続可能な社会の実現に向けた取り組みを「VALQUA SustainableAction」として定義し、今後は以下3点の活動を重点的に進めていくことで、価値の創造と品質の向上に繋げてまいります。
1. サステナビリティ経営に資する重要課題の見直し
2. 重要課題ごとの具体的な目標設定と進捗管理
3. サステナビリティレポート等を通じた経営戦略とつながるサステナビリティ活動状況の開示拡充
また、当社はこれまで一貫して人材こそが最も重要な経営資源であり、競争力の源泉であると位置づけております。世界が未曾有の危機に直面している環境の中、改めてビジョナリー経営の強化へ立ち返り、「THE VALQUA WAY」の現場浸透を図るとともに人材開発を積極的に推進し、時代責任を担いうるバルカーパーソンの育成に積極的に取り組んでまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)TCFD提言に基づく情報開示
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株式会社バルカーは、2021年5月に「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD*)提言への賛同を表明するとともに、提言の推進を目的に設立された「TCFDコンソーシアム」に加入しました。 当社グループでは企業理念「THE VALQUA WAY」に基づくビジョナリー経営を推進しており、社員の一人ひとりが「安全・衛生・環境は人類共通の重要テーマの一つである」ことを強く意識した企業活動を実践しております。また、創業100周年(2027年)を区切りとする長期経営目標では、ありたい企業像として「未来と未知に挑むチャレンジングな企業-人類の豊かさと地球環境に貢献するために-」を掲げ、より良き地球市民として「環境・社会・企業統治」に積極的に取組、持続可能な社会の実現に貢献できる企業となることを目指しております。このような認識・考えのもと、企業価値向上に努めてまいります。 |
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①ガバナンス
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当社グループでは、「バルカーグループサステナビリティ委員会」において、気候変動を含むサステナビリティ経営に伴う重要課題(マテリアリティ)ならびに当該課題に対する基本的な方針及び取組を審議・決定し、定期的に常務会へ報告しております。各部門及びグループ会社はこれらに基づき事業活動を進めておりますが、特に気候変動関連のグループ全体で取り組むべき施策については、当社グループの「安全・衛生・環境(SHE)委員会」において審議・決定しており、各部門・グループ各社の「安全・衛生・環境(SHE)推進チーム」の活動に反映させることで、グループ横断的かつ効果的な取組に繋げる体制としております。 |
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②リスク管理
当社グループでは、リスクマネジメントを強化するため、「リスク管理委員会」を設置し、国内外の事業環境の急激な変化と事業領域の拡大に伴って多様化するグループ経営上のリスクを一元管理しております。
気候変動関連のリスクについては、バルカーグループサステナビリティ委員会および安全・衛生・環境(SHE)委員会のほか、コーポレート部門と事業部門が連携してリスク・機会の識別や評価、対応策の検討を行っており、特定された重要なリスク・機会は、リスク管理委員会に適宜情報共有され、必要に応じて全社リスクに統合しております。全社リスクの管理状況は定期的にリスク管理委員会から常務会および取締役会に報告しており、取締役会から監督・指示を適切に受けられる体制を整えております。
③戦略
当社グループの財務に影響を及ぼす気候変動関連リスク・機会の特定にあたり、IEA(※1)やIPCC(※2)などのデータを基に、4℃シナリオ(成り行きで温暖化が進行するシナリオ)と1.5℃シナリオ(脱炭素化が進展するシナリオ)の2つのシナリオに基づき分析を実施しました。
シナリオの定義
対象期間:2050年を想定してリスク・機会を特定(ただし、財務的影響の内容については2030年を念頭に評価)
対象範囲:バルカーグループ
参照シナリオ:1.5°CにおいてはIEA NZE、IPCC RCP1.9等
4°CにおいてはIEA STEPS、IPCC RCP8.5等
※1 IEA: International Energy Agency(国際エネルギー機関)
※2 IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change(気候変動に関する政府間パネル)
シナリオ分析の結果、特定した気候変動関連の主なリスク・機会、およびそれらに対する今後の対応策は以下の通りです。
「1.5℃シナリオ(脱炭素化が進展するシナリオ)」
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シナリオの世界観 |
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財務的影響の内容 |
程度 |
時間軸(※1) |
対応策 |
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脱炭素化への移行に伴う大きな社会変化が起こることを想定しております。 例えば、カーボンプライシングの導入や脱炭素エネルギーへのシフト、リサイクル技術の進展等を見込んでおります。 また、自動車産業では次世代車の普及が急速に進む他、様々な分野でGHG(※2)削減や省エネ化に寄与する技術や製品が求められるようになり、それらに用いられる半導体の需要はより拡大することを想定しております。 |
リスク |
(政策・法規制) GHG(※2)規制強化に伴い、電力会社の電源構成の変化(再エネ由来の電力比重の増加)によるエネルギーコストの増加 |
中 |
短期 |
・全社的な省エネ設備、再生エネルギーの導入 ・製造工程における歩留まり向上、生産性改善による省エネ化、電力使用量の削減 ・製造工程における省エネ設備の導入 |
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(災害) 自然災害の激甚化により、生産拠点や事業所において操業停止による売上減少や、設備の被災による復旧コストの発生、サプライヤーからの材料調達の途絶 |
中 |
中期 |
・自社グループやサプライチェーンにおけるBCP(※3)策定と定期的な改定、実施状況のフォロー ・被災による損害を最小限に抑えるための、防災対策の見直し・強化 ・損害保険の付保 |
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機会
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(半導体市場) 脱炭素・低炭素や省エネに貢献する製品需要の増加に伴う半導体装置等向け製品売上の増加 |
大 |
中期 |
・先端市場向け製品の研究開発体制の強化 ・M&Aや業務提携による新技術の獲得(半導体市場のみ) ・顧客ニーズの調査や販売力の強化 ・供給能力の拡大 |
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(EV関連等市場) EVおよびFCV等に使用されるシール製品等の売上増加 |
中 |
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「4℃シナリオ (成り行きで温暖化が進行するシナリオ)」
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シナリオの世界観 |
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財務的影響の内容 |
程度 |
時間軸(※1) |
対応策 |
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低炭素・脱炭素への規制強化はそれほど進まず、気候変動に起因する平均気温上昇等により自然災害の激甚化を想定しております。 また、自動車産業では次世代車の普及は進展するものの、1.5℃シナリオと比べて緩やかであるため、当面はエンジン車の生産・販売が中心となることを想定しております。 ただし、技術革新の追求は止まることなく、半導体の需要はより拡大していくものと想定しております。 |
リスク |
(災害) 自然災害の激甚化により、生産拠点や事業所において操業停止による売上減少や、設備の被災による復旧コストの発生、サプライヤーからの材料調達の途絶 |
大 |
短期 |
・自社グループやサプライチェーンにおけるBCP(※3)策定と定期的な改定、実施状況のフォロー ・被災による損害を最小限に抑えるための、防災対策の見直し・強化 ・損害保険の付保 |
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機会 |
(半導体市場) 脱炭素・低炭素や省エネに貢献する製品需要の増加に伴う半導体装置等向け製品売上の増加 |
大 |
短期 |
・先端市場向け製品の研究開発体制の強化 ・M&Aや業務提携による新技術の獲得(半導体市場のみ) ・顧客ニーズの調査や販売力の強化 ・供給能力の拡大 |
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(市場/EV関連等) EVおよびFCV等に使用されるシール製品等の売上増加 |
中 |
長期 |
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※1 時間軸:短期3年以内、中期4~6年、長期10年以上
※2 GHG:Greenhouse Gas(二酸化炭素などの温室効果ガス)
※3 BCP:Business Continuity Plan(事業継続計画)
今回、当社グループの気候変動関連のシナリオ分析を実施した結果、分析で使用したいずれのシナリオにおいても、高いレジリエンスを有していると評価しました。
今後、特定したリスクへの対応と機会への実現に向けて、取組をより一層推進してまいります。
また当社グループは持続可能な社会の実現を目指しており、経営予算、事業計画の決議を行う際には、経営理念である「THE VALQUA WAY」や「創業100周年(2027年)のありたい企業像」に従い、気候変動問題を考慮することとしております。
例えば、設備投資予算では環境投資予算を区分管理し、取締役会において決議しております。
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④指標と目標
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当社グループでは、気候変動影響の緩和に向けて、合理化・原価低減活動や、老朽化設備の更新、太陽光発電による自家発電等により、短期では売上高原単位(t-CO2/百万円)(※1)前年度比1%減を目標として、温室効果ガスの排出量削減に取組んでおります。 また、その実績については右図のとおり、温室効果ガス排出量(Scope1(※2)、2(※3))を算定し、温室効果ガス排出量の状況をモニタリングしております。これらモニタリング結果を踏まえて、今後は当社グループにおける合理的な中期・長期の温室効果ガス削減目標を設定し、削減目標を開示してまいります。 |
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Scope3(※4) についてもモニタリングを続けており、HPで公開しております。
https://www.valqua.co.jp/social/environment/ (第123期データは2023年7月以降掲載予定)
※1 売上高原単位(t-CO2/百万円):Scope1、2として算出した温室効果ガス排出量を当該年度の売上高で除した
値
※2 Scope1:事業者自らによる温室効果ガス直接排出
※3 Scope2:他社から供給された電気、熱・蒸気の使用に伴う間接排出
※4 Scope3:Scope1、2を除いて、原料調達から生産、販売、廃棄までにおける間接排出
※ 温室効果ガス算定方法:「地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)」に基づく温室効果ガス排出量算 定・報告・公表制度の各燃料及び電力の排出係数、海外工場所在国の電力の排出係数を毎年再確認し算定
(2)人的資本
当社グループでは、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。
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指標 |
目標 |
実績(当連結会計年度) |
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管理職に占める女性労働者の割合 |
2027年3月までに15% |
13.1% |
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男性労働者の育児休業取得率 |
- |
12.5% |
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労働者の男女の賃金の差異 |
- |
69.1% |
①人材の育成に関する方針
企業において、最も重要な経営資本は社員です。人的資本が競争力の源泉であり、事業の成長と社会の発展のために、当社ではグループ共通の企業理念であるTHE VALQUA WAYのもと、社員それぞれが最大限の力を発揮できる職場環境づくりと、人材の育成を実施しています。バルカーは今年度、創業97年目を迎えます。創業100周年を超えて発展を続けるため、事業の変革を推進し、そのために必要な人材の育成と配置を実施しています。事業の変革の一例として、シール製品や高機能樹脂製品といったハード面に加え、お客様にさらなる安全性、効率性と快適性をお届けするために、設備の遠隔監視や定期点検を一元管理できるMONiPLATなど、デジタルを含めたサービスの拡充を行っています。このような新たな取組を企画・実行し、バルカーの将来を作るために、グループ人材ポートフォリオに基づいた採用・育成計画を策定するとともに、グループの枠を超えて国籍・性別・年齢などにとらわれることなく、優秀な社員にはチャンスを与えてチャレンジを促しています。
②ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)
今後、日本を中心に労働人口が減少していく中で、多様な人材がそれぞれの能力を最大限に発揮することが求められます。バルカーでは、執行役員や部長相当職に30代を登用する一方、優秀な人材については60歳を超えても関係会社の社長を任せるなど、国籍・性別・年齢や新卒・中途等のバックグラウンドにとらわれず、適材適所の人材登用を行っています。その結果、当社単体では、執行役員の平均年齢が2019年度58.0歳から2022年度は55.5歳となりました。また、女性管理職比率は2019年度11.1%から2022年度は13.1%へ上昇、取締役の女性役員比率は2019年度から2022年度まで28.6%を維持しています。また、男女問わず、多様なキャリアをサポートする仕組みの一つとして、副業制度などを導入しているほか、ライフイベントとキャリアを両立するための仕組み作りも推進しています。2022年度にはパパ育休制度も開始し、同年の男性の育児休業取得率は、12.5%です。
③社内環境整備に関する方針
バルカーでは階層別研修や昇格時研修、自己啓発支援、各部門でのOJTや業務研修に加え、選抜研修として「海外経営幹部養成」や役員候補の育成「CEO塾」等を実施し、個々人の成長とキャリア支援を促しています。また、当社は即戦力である中途採用がメインとなっていることから、2022年度は中途社員のスムーズな定着に向けたオンボーディング研修をリニューアルしました。今後、さらに事業の在り方が変革する中で、社員のリスキリングや、高齢化に対応したコア技術継承など、攻めと守りの両面で育成を強化してまいります。
当社グループは、事業活動に関するリスク管理を所管するリスク管理委員会(委員長CEO、副委員長COO)を設置し、経営上重要なリスクの抽出・評価および執行におけるリスク管理状況の確認を行ない、常務会および取締役会に定期的に報告しております。また、特に品質、貿易管理、法令違反、安全・衛生・環境、経済安全保障、情報セキュリティのリスクについては、関係する執行役員を構成員とする各専門委員会でそれぞれ管理しており、リスク管理委員会はこれらの委員会の活動状況の報告を受け、最終的に全社リスクとして評価し、管理しております。
これらの管理を通じて、有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、リスクの顕在化の不測の事態に備え、主要取引銀行との間で合計30億円のコミットメントラインを設定しており、緊急時の流動性を確保しております。
Ⅰ. 事業に関わるリスク
(1) 品質に関するリスク
当社グループは、厳格な品質管理基準に従い製品の製造を行なっており、品質・安全性の確保に万全を期しておりますが、製品の予期せぬ欠陥の発生およびそれに起因する事故の発生の可能性を払拭することはできません。多額の賠償費用が発生する可能性に備え、製造物責任保険(PL保険)に加入しているものの、補償限度額を超える場合や問題が発生したことによるブランドイメージの低下が生じた場合には、売上高の減少、収益の悪化原因となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(2) 新製品開発に関するリスク
当社グループは、研究開発活動を積極的に展開し、シール製品および機能樹脂製品の業界においては先駆的な役割を果たしております。また、新たな技術探索とオープンイノベーションによる外部技術活用を積極的に展開し、営業機能と開発機能を合体させた体制による効率的な顧客接点構築およびソリューション活動、更には創業100周年以降を見据えた強靭な中長期開発体制の整備も進めております。しかしながら、様々な内外の環境変化によって、着手している研究開発テーマの進捗や個々の新製品販売が、全て計画通りに実行できるものではなく、新製品開発や販売の結果次第では、当社グループの業績および成長計画に影響を与える場合があります。
(3)環境規制・気候変動対応
当社グループは、環境に関する各種法規制を遵守するとともに、GHG排出量削減や環境負荷物質の使用低減、資源の有効活用等の環境課題に取り組み、創業100周年に向けて人類の豊かさと地球環境に貢献するためにチャレンジを続けております。また、気候変動がもたらす異常気象がサプライチェーンに与える影響や低炭素社会が実現できなかった場合のエネルギー価格の高騰等の事業に与える影響を評価し、対策を強化しております。しかしながら、各国の法規制強化や、予期せぬ事故や自然災害等の非意図的な環境汚染等が発生した場合、事業活動への制限や多額の対策費用等が必要となる可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(4) 石綿問題に関するリスク
当社グループは、2006年9月1日施行の労働安全衛生法施行令による「アスベスト全面禁止」に先立ち、2006年7月31日をもって一切の石綿製品の供給を停止いたしました。石綿代替品(ノンアスベスト製品)の品揃えは他社に先駆け完了しておりますので、今後ともノンアスベスト製品の強力な販売活動を展開していく所存であります。2006年3月27日施行の「石綿による健康被害の救済に関する法律」に基づく被害者救済策が講じられておりますが、当社の対応といたしましては、以下の措置を継続して講じております。
・石綿関連の質問や相談に応じるための「相談窓口」の開設
・従業員および元従業員のうち、希望された方への健康診断の実施
・当社ホームページでのアスベストに関する情報の開示
当社規定による補償金や見舞金の支払いによる費用負担は、限定的なものでありますが、今後も継続する可能性があります。また、健康被害に関して損害賠償請求の訴訟を受けており、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(5) 他社との業務提携等に伴うリスク
当社グループは、中期経営計画(NF2023)に則り、新素材・新市場・新事業への参入に向けた大胆なM&Aや業務提携に積極的に取り組んでおります。取締役会や常務会をはじめとする社内承認プロセスを通じて様々な視点から検証し、リスクの低減に努めておりますが、当初想定していなかった事情により投資先や提携先に財務上その他事業上の問題が生じ、又は市場と当社の意図に乖離が生じる可能性があり、その場合には当初予定した通りの成果を得ることはできず、当社グループの業績、財政状態及び成長計画に影響を与える場合があります。
(6) 原材料価格変動と調達に伴うリスク
当社グループは、国内外から部品や原材料を購入して製品の製造を行なっており、調達のマルチソース化や適時適量な在庫の確保などにより、最適なサプライチェーンの構築に努めております。さらに現在、中期経営計画(NF2023)に則り、地政学リスクの増大に対応したサプライチェーン改革の断行を進めておりますが、当社グループが提供する一部の部品や原材料については、市場ニーズに応えるための高い品質・性能を追求する結果、供給が滞った際の代替調達先や十分な物量を確保できない場合があります。その場合、地政学リスクによる需給の逼迫や価格変動等が原因となり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(7) 海外事業展開に関するリスク
当社グループは、グローバルに生産および販売拠点を構築しており、カントリーリスクの分散化を図っておりますが、各国において法律や規制の変更、疫病、テロ、戦争、その他の要因による社会的混乱等が生じた場合、グループの事業活動に支障が生じ、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(8) 人材に関するリスク
当社グループは、中期経営計画(NF2023)で掲げた戦略に沿って、企業理念である「THE VALQUA WAY」のもと顧客の信頼に応え、新たな価値を創造し続ける企業を目指し、「発想の転換」と「大胆なCX」で創業100周年に向け新たな成長の土台づくりにチャレンジしております。当社グループは多様な人材が活躍し、多様な働き方が実現できるような労働環境や体制の整備等、当社グループの魅力を高める取り組みに努めておりますが、戦略を担う優秀な人材を採用または開発・育成することができない場合や人材の流出を防止できない場合、当社グループの業績および成長計画に影響を与える場合があります。
(9) 情報セキュリティに関するリスク
当社グループは、事業を展開するなかで重要な技術情報や取引先・顧客情報、その他様々な情報を保有しております。当社グループでは、情報セキュリティリスクについて重大な課題と捉えており、情報セキュリティ委員会が中心となって最新のテクノロジーを使用したセキュリティシステムの導入など、グループ全体のセキュリティ管理体制を強化し、積極的な対策を講じております。しかしながら、サイバー攻撃や内部的過失や盗難などのリスクを完全に排除できるものではなく、これらの情報が流出した場合には、当社グループの信用低下やグループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(10) 法的規制に関するリスク
当社グループは、国内外の法的規制に十分留意した事業活動を行なっており、定期的に事業活動を展開する各国の法改正状況を把握したうえで対応を重ねておりますが、各国の規制に対応するためのコスト増や事業活動の制約となる法改正などが生じた場合には、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(11) 為替相場の変動に関するリスク
当社グループは、海外現地法人による生産および販売を通じて、輸出入取引を行なっております。取引に伴う為替の変動リスクについては、これを極小にすべく細心の注意を払っておりますが、そのリスクの全てを完全に排除することは不可能であり、著しい為替相場の変動は、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
II. 事業基盤に関わるリスク
(1) 感染症等に係るリスク
新型コロナウィルス感染症に関しては、関連する行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化に向けた動きが進んでおりますが、一方で今後も新たな変異株の流行や新たな感染症の出現なども考えられます。これらの重大な感染症の流行が発生した場合には経済活動の制限や当社グループや顧客の操業度低下・停止によるサプライチェーンの寸断、ならびに信用不安などにより当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(2) 地震等の自然災害に関わるリスク
当社グループは、大規模災害等事業の継続を脅かす事象が発生した場合に備えて従業員の安全確保や事業中断に伴う影響の極小化ならびに迅速な事業継続を実現するためのBCP(事業継続計画)を策定しております。加えて定期的な防災訓練や必要物資の備蓄等を実施、安否確認システムを導入する等リスクの分散、極小化に取り組んでおります。しかしながら、このような対策をもってしても全ての被害や影響を回避できるとは限らず、結果的に生産活動の停止・サプライチェーンの混乱を招く可能性があり、当社グループの業績および財政状態に影響を与える場合があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症が収束に向かったものの、ロシアによるウクライナへの侵攻が一段の資源高やモノ不足を誘発し、グローバル経済全体に大きな影響を及ぼしました。
また、世界各地における地政学問題、米中摩擦、エネルギーコスト上昇等への警戒が高まるなか、企業の設備投資への姿勢にもそれが反映される状況となりました。
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症によって受けたダメージからの回復が期待されたものの、個人消費は円安の進行等に起因する物価高の影響を受けて伸び悩みが目立ち、また当社グループが属する製造業においては、海外におけるロックダウン、半導体及び部品の不足、原材料価格及び入手難易度の上昇等の要因により、一部の業種では生産への支障が生じることとなりました。一方海外経済は、エネルギーをはじめとする物価高が顕著なものとなり、先行きへの警戒感が個人消費に悪影響を与え、また企業の生産活動の回復に向けた動きも鈍いものとなりました。
このような事業環境下当社グループは、当期から開始した2か年中期経営計画“New Frontier 2023”(NF2023)で掲げた「成長を守る」という視点に立ち、地政学リスクの増大に対応したサプライチェーンの見直し、半導体など成長市場に向けた製品競争力・供給能力の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)を柱とする攻守両面の企業改革等に取り組みました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高が621億7千8百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益が88億7千7百万円(同27.3%増)、経常利益が90億2千9百万円(同25.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が67億4千6百万円(同39.3%増)となりました。
なお、第4四半期連結会計期間(3か月)における受注高は155億1百万円、当四半期末の受注残高は139億3千万円となりました。
セグメント別の業績は次のとおりであります。
(シール製品事業)
シール製品事業は、半導体製造装置・デバイス向けなどの先端産業市場の売上が高水準の実績になったことに加え、国内のプラント定期修繕の動向を反映してプラント市場の販売も堅調に推移し、売上高は401億3千万円(前年同期比14.7%増)、セグメント利益は67億4千万円(同22.4%増)となりました。
(機能樹脂製品事業)
機能樹脂製品事業は、高機能化学品用などのプラント市場及び先端産業市場の売上が拡大したことに加え、一般産業機器や輸送用機器向けなどの機器市場向けの販売も堅調に推移し、売上高は189億3千2百万円(前年同期比25.5%増)、セグメント利益は22億3千6百万円(前年同期比62.9%増)となりました。
(シリコンウエハーリサイクル事業他)
シリコンウエハーリサイクル事業他は、主力事業は堅調に推移したものの、新規事業分野を含むH&S事業は開発費用等が先行的に発生し、売上高は31億1千6百万円(前年同期比1.1%増)、セグメント損失は9千9百万円(前年同期はセグメント利益9千3百万円)となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産につきましては、総資産が前連結会計年度末に比べ83億7百万円増加し、685億7百万円となりました。流動資産は412億3千万円となり、62億9千4百万円増加しました。この主な要因は、原材料及び貯蔵品の増加20億6千8百万円、売掛金の増加18億9千7百万円、商品及び製品の増加18億6百万円等によるものであります。
有形固定資産は179億6千3百万円となり、4億1千7百万円増加しました。この主な要因は、土地の増加3億7千万円等によるものであります。無形固定資産は13億7千7百万円となり、1億3千8百万円減少しました。この主な要因は、ソフトウエアの減少1億2千5百万円等によるものであります。投資その他の資産は79億3千5百万円となり、17億3千2百万円増加しました。この主な要因は、投資有価証券の増加16億6千9百万円等によるものであります。それらの結果、固定資産は272億7千6百万円となり、20億1千2百万円増加しました。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ36億9百万円増加し、228億3千万円となりました。流動負債は165億9千1百万円となり、32億5千4百万円増加しました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の増加15億2千4百万円、未払法人税等の増加4億3千7百万円、短期借入金の増加3億4千3百万円、1年内返済予定の長期借入金の増加3億2千3百万円、契約負債の増加3億1千1百万円等によるものであります。
固定負債は62億3千8百万円となり、3億5千4百万円増加しました。この主な要因は、リース債務の増加4億1千8百万円等によるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ46億9千7百万円増加し、456億7千7百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加43億5千6百万円、為替換算調整勘定の増加10億円、非支配株主持分の減少7億6千7百万円等によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億3千万円増加し、当連結会計年度末には81億9千1百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は、44億2百万円(前年同期比15.8%減)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益100億4千3百万円、減価償却費26億7千3百万円、棚卸資産の増加45億6千6百万円、売上債権の増加16億4千8百万円、法人税等の支払額23億7千6百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、13億3千4百万円(前年同期比63.9%減)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得・売却による純支出13億4千8百万円、投資有価証券の取得による支出6億5千2百万円、無形固定資産の取得による支出3億3千5百万円、連結の範囲の変更を伴う関係会社出資金の売却による収入10億2千8百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、34億4百万円(前年同期比88.3%増)となりました。
これは主に、配当金の支払額23億8千2百万円、非支配株主への配当金の支払額5億4千万円、自己株式の取得による支出5億2百万円等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
シール製品事業(百万円) |
16,576 |
122.0 |
|
機能樹脂製品事業(百万円) |
12,666 |
135.1 |
|
シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円) |
2,871 |
99.4 |
|
合計(百万円) |
32,114 |
124.2 |
(注) 上記の金額は、販売価格によっております。
b. 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
シール製品事業(百万円) |
12,251 |
100.6 |
|
機能樹脂製品事業(百万円) |
6,292 |
115.6 |
|
シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円) |
179 |
93.6 |
|
合計(百万円) |
18,722 |
105.1 |
c. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
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セグメントの名称 |
受注高(百万円) |
前年同期比(%) |
受注残高(百万円) |
前年同期比(%) |
|
シール製品事業 |
41,404 |
112.4 |
6,785 |
123.1 |
|
機能樹脂製品事業 |
19,314 |
108.0 |
6,970 |
105.8 |
|
シリコンウエハーリサイクル事業他 |
3,028 |
95.8 |
173 |
66.4 |
|
合 計 |
63,747 |
110.2 |
13,930 |
112.7 |
d. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年同期比(%) |
|
シール製品事業(百万円) |
40,130 |
114.7 |
|
機能樹脂製品事業(百万円) |
18,932 |
125.5 |
|
シリコンウエハーリサイクル事業他(百万円) |
3,116 |
101.1 |
|
合計(百万円) |
62,178 |
116.9 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当期の事業環境は、当社を含む資本財製造業においては、半導体や部品の不足、海外のロックダウンなどの影響を受け、さらに、原材料の価格と入手難易度が一段と上昇したことにより、総じて厳しい事業環境となりました。
このような状況下当社は、当期から開始した2か年中期経営計画NF2023で掲げた「成長を守る」という視点に立ち、足許そして将来の収益拡大に向け、地政学リスクの増大に対応したサプライチェーンの見直し、半導体など成長市場に向けた製品競争力・供給能力の強化、そして、DXを柱とする攻守両面の企業改革に取り組みました。
しかしながら、その当期中というわずか1年の間でも当社が想定していなかった事態が多く発生しているように、昨今の世界情勢、そして事業環境の変化は大きくなる一方でございます。過去最高業績を記録した今だからこそ「成長を守る」という視点からすべての工程そして企業活動を再チェックし、「伸ばすところは伸ばし、正すところは正す」ことを徹底、健全かつ持続的な成長の実現を図って参ります。
業績の半期推移につきましては、売上高及び全利益科目、そして利益率で前年度下期と当上期を上回る結果となりました。
なお、この下期の売上高と各利益は、過去最高の半期実績となっております。
前期からの営業利益の変動要因につきましては、上期・下期とも売上高及び全利益で前年同期を上回り、かつ、半期トレンドでみましても、この下期で、売上高は3半期連続、売上総利益及び営業利益は4半期連続の増加となりました。前期からの営業利益の変動要因ですが、当期の売上総利益は、前期比で42億円超の増額となりましたが、これは、戦略製品などの売上高の拡大に加え、生産能力の増強、各生産拠点における効率化施策などの効果によるものであります。一方、販管費については前期比で約23億円増えましたが、これには、DX商材拡充に向けた人材の獲得のほか、販売数量の拡大や営業活動の正常化という前向きの理由によるところが大きいと考えております。
なお、当期で大きく円安方向に動いた外国為替の変動による影響ですが、売上高で前期比約25億円、営業利益では約6億円の増加要因になったと認識しております。
当期末のバランスシートにつきましては、総資産、特に流動資産は相応の規模で増加しましたが、これは売上拡大に加え、使用する原材料や仕入れ品の価格上昇が反映されております。
なお、有利子負債の増額につきましては、戦略製品のサプライチェーンの整備やDXの推進、H&S商材などの開発強化に向け、借り入れを増やしたことによるものです。
キャッシュ・フローでは、営業キャッシュ・フローが棚卸資産の増加を反映して減少した一方で、投資キャッシュ・フローは、中国子会社の一部株式や台湾の旧工場の土地売却を反映した水準となり、それらの結果、フリー・キャッシュ・フローは、前期比ほぼ倍増となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与えた要因としては、主要3市場(先端産業市場、機器市場、プラント市場)の内、先端産業市場とプラント市場では前期比二桁台の伸びとなりました。
まず、先端産業市場ですが、その大幅な拡大には、高機能シール製品における生産の効率化による生産能力の向上やプロダクトミックスの変動、そして、ふっ素樹脂特殊タンク製品の台湾新工場の通年に亘る業績寄与が反映されております。
機器市場では、半導体や部品不足の影響を受けて生産調整を行った顧客があったものの、全体としては経済回復の動きもあり、前期並みの実績となりました。
プラント市場では、国内の大型定期修繕の件数増加を反映するとともに、高純度・高機能化学品プラント向けふっ素樹脂特殊タンク製品への旺盛な需要が続き、売上が高水準に推移しました。
海外ではアジアと北米がともに伸長しておりますが、これは、両地域とも先端産業市場向けの拡大に加え、プラント市場におけるふっ素樹脂特殊タンク製品の販売増加を映したものであります。
当社グループの経営上の目標の達成状況につきましては、「総資産当期純利益率(ROA)」及び「自己資本利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「総資産当期純利益率(ROA)」は10.5%(前年同期比1.9ポイント改善)、「自己資本利益率(ROE)」は15.9%(前年同期比3.0ポイント改善)となりました。
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
(シール製品事業)
主力のシール製品事業では、先端産業市場向けの拡大に加え、年度要因による国内プラントメンテナンス件数の増加もあり、前期比二桁の増収増益となりました。先端産業市場向けの結果に比べ目立ちませんが、機器市場やプラント市場において、当社が顧客側のサプライチェーンでのボトルネックとならぬように生産の適正化に努めるとともに、原材料などのコスト上昇分の販売価格への適切な反映を進めたことも、この業績を生み出した大きな要因と考えております。
セグメント資産につきましては、404億9百万円(前年同期比22.7%増)となりました。
(機能樹脂製品事業)
機能樹脂製品事業では、ふっ素樹脂加工品が国内半導体製造装置メーカー向けで、また、ふっ素樹脂特殊タンク製品が海外半導体デバイスメーカーと高純度・高機能化学品メーカー向けでそれぞれ販売を伸ばし、業績をけん引しました。
一方、利益の面では、上海のロックダウンや原材料価格の上昇といったマイナスにつながる要素が多かったものの、販売・生産数量の増加に加え、販売価格の見直しや事業構造改革の効果が寄与し、前期比で60%を超す増益を達成しました。
当セグメントは永年収益性が低迷しており、その解決は当社に課せられた重要な経営課題でありました。しかし、当期ついにセグメント利益率が10%を超し、断固たる決意のもと進めてきた事業改革が、実を結びつつあると実感しております。今後も原材料の調達など、難しい問題が多く出てくることが予想されますが、業容の拡大と収益性の高位安定を両立すべく、新たな施策を絶やすことなく打ち出し、実施いたします。
セグメント資産につきましては、163億1千万円(前年同期比16.2%増)となりました。
(シリコンウエハーリサイクル事業他)
主力のシリコンウエハーリサイクル事業は、旺盛な需要を反映した推移を示していたものの、第4四半期に発生した設備トラブルの影響もあり、通期では伸び悩む結果となりました。一方、新たな顧客価値の創造を目的としたH&S事業においては、当該商材の合計では、開発費用の負担などにより赤字が継続しているものの、いわゆる「仕込み案件」の件数が増加するなど、業績寄与に向けたスピードは一段と加速していると実感しております。
セグメント資産につきましては、26億8百万円(前年同期比5.8%減)となりました。
経営者の問題認識と今後の方針について
次期に向けては、ウクライナ情勢、米中摩擦、エネルギー及び原材料価格など世界全体の経済回復に向けた動きに影響を与え得る多くの不透明要素が存在しており、また当社グループ周辺においては、半導体関連産業の景況悪化が懸念されております。
このような事業環境下において当社グループは、次期を最終年度とする2か年中期経営計画NF2023で掲げた基本方針、
《激変する世界情勢の中、「THE VALQUA WAY」のもと顧客の信頼に応え、
H(Hard)&S(Service)の両輪で新たな価値を創造し続ける企業を目指そう》
1.大胆なM&Aや業務提携の加速による新素材・新市場・新事業への参入
2.地政学リスクの増大に対応したサプライチェーン改革の断行
3.継続的な顧客価値を生み出すAI/ITソリューションの事業確立
4.新たなビジネス領域へ展開するための研究開発と人材育成の加速
5.既存事業をより強化するための設備投資の増強と販売チャネルの拡充
のもと、創業100周年期にあたる2027年3月期に向けて設定した長期経営目標数値『連結売上高800億円、ROE15%以上』の達成をより確かなものにし、そしてさらなる業容の拡大を強く意識し、諸戦略を着実にかつ迅速に推進いたします。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度はエラストマー製品等のシール製品事業、ふっ素樹脂製品等の機能樹脂製品事業、シリコンウエハーリサイクル等のシリコンウエハーリサイクル事業他にて設備投資を実施するなどの既存事業の成長に向けた投資を着実に推進しました。
このように、当社グループにおける主な資金需要は、健全で持続的な成長を実現するための成長投資と考えており、これらの投資資金は、内部留保金の配分とともに、金融機関からの借入金等により充当しております。なお、借入金のうち、短期借入金は、主に営業取引に係る資金調達であり、長期借入金は、主に設備投資に係る資金調達であります。
手許の運転資金につきましては、グループファイナンスを通じて、国内連結子会社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで、資金効率の向上を図っております。
また、現預金残高と有利子負債残高を一定範囲にコントロールし、経営環境の変化に対応するための資金の流動性を確保しながら資金管理を行っております。
当社グループにおける当連結会計年度における流動比率は248.5%(前連結会計年度261.9%)となっており、キャッシュ・フロー対有利子負債比率は1.3倍となりました。直近5ヵ年における以下の数表の通りであります。
|
|
第119期 2019年3月期 |
第120期 2020年3月期 |
第121期 2021年3月期 |
第122期 2022年3月期 |
第123期 2023年3月期 |
|
流動比率(%) |
212.4 |
254.9 |
275.9 |
261.9 |
248.5 |
|
自己資本比率(%) |
66.2 |
69.3 |
67.7 |
66.0 |
66.0 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
78.5 |
64.0 |
71.4 |
78.1 |
88.3 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(倍) |
0.7 |
0.6 |
0.9 |
1.0 |
1.3 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
100.8 |
71.6 |
66.3 |
84.3 |
39.5 |
当社グループでは、業績の大幅な悪化による手許資金減少、或いは生産会社の稼働停止や主要顧客の稼働停止等不測の事態に備え、主要取引銀行との間で30億円のコミットメントラインの締結を行っております。このように、リスクに対応するとともに、今後の事業展開においても、感染症をめぐる市場の変化や、回復後に訪れるであろう変化の芽を的確に捉え、スピーディーに対応してまいりたいと考えております。2024年3月期の新規の設備投資は、事業基盤の再構築を目指し、キャッシュ・フローを重視しながら、次なる飛躍に繋げてまいります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。
連結財務諸表の作成に際しては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び予測を行わなければなりません。したがって、当該見積り及び予測については不確実性が存在するため、将来生じる実際の結果はこれらの見積り及び予測と異なる場合があります。
当社は、特に以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。
a. 固定資産の減損処理
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
b. 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を慎重に計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積に依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(提出会社)
製品売買契約
独占販売権の保有契約
|
① 相手方の名称 |
米国ガーロック社(GARLOCK SEALING TECHNOLOGIES,LLC) |
|
② 契約品目 |
当社及びガーロック社の主要ブランド製品 |
|
③ 契約内容 |
当社主要製品について、ガーロック社がアメリカ(北米、南米及び中米)及び欧州における通常販売権を、ガーロック社の主要製品について、当社が日本における独占販売権及び中国、韓国、台湾における通常販売権をそれぞれ保有する契約 |
|
④ 契約期間 |
自 2011年7月26日 至 2013年7月25日(満了日以降は1年毎の自動更新) |
当社グループは、高度なシール技術を核としたトータルシールエンジニアリングと機能樹脂加工技術の応用により、市場課題へのソリューションを重視した技術開発、製品開発、システム開発を軸にした研究開発活動を推進するとともに、当社創業100周年を見据えた研究開発体制の整備を進めております。当連結会計年度においては、引き続き外部技術探索とオープンイノベーションによる外部技術の活用、取り込みの充実を図るとともに、環境、エネルギー、半導体、プラント、産業機器などの市場分野を対象に、グローバルに顧客の高度な要求に応えることができる高収益ハード(高機能商品)およびサービス開発(H&S開発)を実施しております。又、デジタルトランスフォーメーションに向けた活動として、マテリアルインフォマティクスの活用技術など、H&S商品開発へのデータサインエス技術の応用、リモートでの開発環境構築に向けたIT/AIインフラの充実を進めております。
当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は
(1) シール製品事業
シール製品におきましては、シールエンジニアリングをコア技術として、グローバル市場に対して、ニーズに合わせた技術開発、製品開発、周辺システム開発を継続的に進めております。プラント・機器関連分野では、コア技術の高度化による継続性のある差別化技術開発により、顧客の環境対応や安定操業に貢献する製品、メンテナンス管理を容易にする製品やシステムの開発などを進めております。エラストマー分野におきましては、外部技術探索による新素材と、当社保有技術との融合により、成長が期待される水素エネルギー市場に対応可能な製品の開発や、半導体次世代製造装置へのスペックイン開発活動をグローバルに展開しております。また、建設機械等の産業機器市場を対象に、機器の予知保全を支援するシステム商品の開発を進めております。
当製品事業に係る研究開発費は、
(2) 機能樹脂製品事業
機能樹脂製品におきましては、半導体産業で使用される薬液の要求性能が継続して高くなっており、製品の低パーティクルへの要求レベルを満たすための技術ソリューションの開発を継続的に進めております。コア技術となる樹脂加工技術については、オープンイノベーションを積極的に活用することにより、品質の向上を行うとともに、樹脂材料の改質、複合をはじめとした差別化技術開発により、独創的な機能材料の開発を進めております。また、半導体産業等の各種プラントを対象に、薬液ライニングタンクの安定・安全稼働に貢献する保全技術の開発を進めております。
当製品事業に係る研究開発費は、
(3) シリコンウエハーリサイクル事業他
シリコンウエハーリサイクル事業他におきましては、外部先端技術をグローバルに探索し、オープンイノベーションによる外部研究機関や企業とのコラボレーションを推進しつつ、最大限の顧客価値を提供できる新規事業を創出する取り組みを進めております。外部技術を適切に取り込むことによって、ハード(H)としての製品開発だけではなくサービス(S) 開発にも注力しております。新素材探索やセンシング/IoT技術の取り込み等、当社保有のコア技術と組み合わせることで、材料技術の高度化と、お客様の安全・安心につながる予知保全、日常保全に繋がる価値・サービスの構築・開発を進めております。
当事業に係る研究開発費は、