第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。 

 

(1) 経営理念、経営方針

当社グループでは以下のとおり、「東武グループ経営理念」、「東武グループ経営方針」を定めております。

① 東武グループ経営理念

東武グループでは、「奉仕」「進取」「和親」を経営の拠り所としています。

「奉仕」:東武グループは、東武グループの全ての事業が社会に支えられていることを深く自覚し、豊かな社会の実現に貢献します。

「進取」:東武グループは、現状に甘んじることなく、常に研鑚に励み、時代を切り開く開拓者精神をもって新たな挑戦を続けます。

「和親」:東武グループは、人の和や環境との調和をもとに事業の発展と従業員の幸福を図り、社会の進展に寄与します。

 

② 東武グループ経営方針

お客様の暮らしに密着した事業を通じて沿線地域の発展に貢献する企業グループとして、安全・安心を根幹に「運輸」「レジャー」「不動産」「流通」等の事業を多角的、複合的に展開します。

お客様の視点に立ち、質の高い先進性や独創性あふれるサービスを提供し、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指します。

事業を通じて安定的に利益を創出しながら、環境にも配慮した経営を進め、お客様の生活を担う企業グループとして地域社会とともに持続的に発展することにより、企業の社会的責任を果たします。

 

(2) 経営環境、対処すべき課題

2022年度の経済情勢は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限措置が緩和される中、感染拡大防止を図りながら社会経済活動が進められ、徐々に回復する動きがみられました。

2023年度においては、社会経済活動の進展が期待される一方、働き方や生活様式の変化に伴い、お客様の需要に応える取り組みを積極的に行うとともに、社会インフラの1つである鉄道事業を中心に社会を支え、地域のさらなる発展に全力を尽くしてまいります。

 

当社グループは、2022年度から3か年を期間とした中期的な事業計画を推進しており、重点戦略として「事業構造改革と事業推進体制の再編」、「新たなビジネスモデルによる収益力の拡大」、「社会課題をニーズと捉えた事業推進による収益拡大」の3つを掲げております。

昨今の事業環境の変化を踏まえ、「事業構造改革と事業推進体制の再編」の着実な実施による目標数値の早期達成をはかるとともに、事業環境の回復傾向を捉えた収益拡大をはかる施策を機動的に実施し、次なる成長ステージへの回復を目指してまいります。

 

「事業構造改革と事業推進体制の再編」については、事業環境の変化に伴う業務内容の抜本的な見直しとデジタル技術の活用等による費用の削減と省人化等に取り組み、経営体質の強化と生産性の向上を進めております。

ホテル業における損益分岐点の引き下げや、既存事業における本社人員の3割削減については2022年度に早期に達成しており、鉄道業における固定費割合削減についても、2023年度に目標数値の早期達成を目指しております。

 

「新たなビジネスモデルによる収益力の拡大」並びに「社会課題をニーズと捉えた事業推進による収益拡大」については、既存事業の磨き上げに留まらず新たな事業を育成し、次なる成長ステージに繋げてまいります。

ソーシャルイノベーション事業として、これまで旅行業で培ったノウハウを活かし、地域の課題を解決する新たな収益事業をポートフォリオに組み入れ、今後の成長事業に繋げてまいります。デジタルマーケティングを活用した収益拡大として、グループポイントサービスである「TOBU POINT」の利用会員を増やすとともに、移動と購買のデータを一元管理することでマーケティングに活用し、2024年度の目標数値であるデジタルマーケティング対象売上400億円を2023年度に早期に達成したうえで、連結収益の拡大を目指します。沿線開発については、獨協大学前や南栗橋の取り組みをモデルケースとしたまちづくりに加え、拠点駅の開発とともに拠点と都心部を結ぶエリア開発戦略や、本年度に都市計画提案を予定している池袋エリアの再開発を推進し、沿線の価値を高めてまいります。さらに、インバウンドの取り込み強化や、MaaSの販売力強化などにより観光需要を最大限取込み、収益力を強化してまいります。

 

加えて、東武グループが有する様々な事業展開や、都心から郊外まで広域な住環境を有する沿線の特長を生かしながら、沿線の子育て世代や通勤定期券の継続利用者に「TOBU POINT」を付与する独自の取り組みなどにより、ライフスタイルに応じたサービスを推進してまいります。

 

また、昨今の環境に関する意識の高まりを好機と捉え、環境保護ニーズを捉えた新たなビジネスの創造や自社アセットの脱炭素を推進し、新たな収益機会を獲得するとともに、省エネ化による費用の抑制をはかってまいります。特に日光エリアにおいては、環境配慮型・観光MaaSである「NIKKO MaaS」を基盤とし、地域との連携をはかりながら脱炭素への取り組みを進化させるとともに、7月に運行開始する新型特急スペーシアXにより、エコリゾートとしてのエリアブランディングを強化してまいります。温室効果ガスの排出を削減する取り組みについては、日光・鬼怒川エリアで実質再生可能エネルギー100%の列車運行に加えて、電車の回生エネルギーを駅の照明等の電力に変換する電力回生インバータ装置の設置などにより、2030年度には鉄道事業におけるCO2排出量を2013年度比で約50%の削減を見込み、地球温暖化を防ぐ各種対策を継続してまいります。

 

さらに当社グループにおいては、深刻化する少子高齢化の現状に対応するため、子育てしやすい環境の整備や制度の充実をはかっております。子育て中の社員がキャリア形成できる制度の導入や、出産・育児から復帰後の活躍をサポートし、高い満足度を維持しながら働けるとともに、個々のライフステージに合わせて、柔軟で安心して働きやすい環境を整備してまいります。また、自律的なキャリア形成を通じて、能力を最大限に発揮できる環境の充実を図ってまいります。当社グループでは、人的資本の活用を通じて豊かな社会の実現に貢献し、新たな取組みにチャレンジできる組織運営を目指すことで、社会課題の解決に寄与してまいります。

 

当社グループは、1897年の設立以来、社会とともに持続的な発展を遂げてまいりました。1969年には当社社是として「奉仕」「進取」「和親」を制定、現在はこれを「東武グループ経営理念」として掲げ、安全・安心を根幹に、活力に富んだ暮らしやすく訪れたい東武沿線の実現を目指す「東武グループ経営方針」のもと、事業を通じて社会課題の解決に取組むことで、社会の持続的な発展の一端を担いつつ、当社グループも発展してまいりました。

これからも、沿線の特長や経営資源を活かしながら、社会課題の解決を通じて、将来にわたって新たな価値を創造し、家族や地域社会の人々がお互いに助け合う「共助」を基盤とした「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」を実現することで、社会に不可欠な企業集団となることを目指してまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループは、広域な鉄道ネットワークに広がる沿線地域が事業基盤であり、これまで以上に沿線を中心とした社会の持続的な発展を実現することは、当社グループの最も重要な課題であると考えております。

当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による社会の変容とともに、少子高齢化の進展、地球温暖化や廃棄物処理をはじめとした環境問題など、様々な社会課題に直面しており、新たなビジネスモデルの構築とともに、課題の解決が必要であります。

当社グループは、1897年の設立以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組むことで、社会の持続的な発展の一端を担いつつ、当社グループも発展してまいりました。

これからも、沿線の特長や経営資源を活かしながら、社会課題の解決を通じて、将来にわたって新たな価値を創造し、家族や地域社会の人々がお互いに助け合う「共助」を基盤とした「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」を実現することで、社会に不可欠な企業集団となることを目指してまいります。

この考え方のもと、当社が特定したマテリアリティ(重要課題)と、課題解決により社会の発展と企業価値の向上を持続的に創出するプロセス(価値創造プロセス)については、以下のとおりであります。

「特定したマテリアリティ」

 ①地域社会の持続的な発展

 ②企業価値創造に資するコーポレート・ガバナンス

 ③多様な社員の「能力と可能性」向上

 ④環境優位性の更なる向上などによる環境負荷の低減

 ⑤グループすべての事業の根幹である安全・安心の確保

「価値創造プロセス」

 「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現に向けた価値創造を行ってまいります。

 詳細は当社ホームページ「https://www.tobu.co.jp/corporation/management/group/」をご参照ください。

 

 

当社が特定したマテリアリティは、経営会議において審議するとともに、独立社外取締役が議長を務めるガバナンス委員会において審議、評価を行い、議長からコーポレート・ガバナンスに資する旨、取締役会に報告しております。

また、ガバナンス委員会は年2回開催され、危機管理委員会、コンプライアンス委員会、情報セキュリティ委員会、環境推進委員会等サステナビリティに資する各委員会の委員長から、活動計画及び活動報告、提言を受け、審議、評価を行い、取締役会へ上申しております。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

 ・気候変動

 ・人的資本・多様性

 ・情報セキュリティ

 ・コンプライアンス

 それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 

① 気候変動

ア.ガバナンス、リスク管理

東武グループでは、鉄道事業を中心とした高い環境優位性を更に向上させ、環境負荷・気候変動リスクの低減につなげております。また、あらゆる事業分野において、廃棄物の排出抑制をはじめとした環境保全活動や自然災害によるリスクを低減させる取組みを推進して、持続可能な社会の構築に寄与し、企業の成長との両立を図っております。

当社では、この取組みを推進すべく、環境推進委員会担当取締役を委員長とし、各本部長及び環境経営に関係する部・室の担当執行役員及び部・室長で構成する環境推進委員会を設置し、気候変動に係るリスク・機会(以下、「気候変動リスク等」と言います。)について議論・検証を行っております。

代表取締役、社外取締役及び常勤監査役を委員とし、社外取締役が議長となり会議を主宰するガバナンス委員会において、環境推進委員会委員長は気候変動リスク等にかかる活動計画及び活動報告、提言を行います。ガバナンス委員会では、その内容について審議、評価を行い取締役会へ報告する等、気候変動リスク等に対する取組みにかかるガバナンス体制を構築しております。

また、気候変動リスク等にかかる取組みについては、東武グループにおける危機管理上重要な事項と捉え、危機管理委員会へ共有を図り、適切に管理される体制を構築しております。

 


 

イ.戦略

a.シナリオ分析

連結決算上、最大の財務的影響を及ぼす当社の鉄道事業を対象に、気候変動の影響について、気候変動研究の分野で用いられる国立環境研究所による社会経済シナリオ(SSPシナリオ)のうち、持続可能な社会シナリオ(SSP1、2℃未満シナリオ)と地域分断社会シナリオ(SSP3、4℃シナリオ)を比較し、それぞれの社会における「リスク」と「機会」並びに「収益」への影響について分析しました。

 

 

▼SSPシナリオ(Shared Socioeconomic Pathways) 


 

SSP1とSSP3それぞれに、気候変動による当社鉄道事業への影響を「物理リスク」(洪水や暴風雨をはじめとした異常気象による倒壊など)と「移行リスク・機会」(低炭素経済への移行による規制の強化や新技術の導入、消費者の嗜好・行動の変化による市場や評判の変化など)に分類し、以下のとおり分析を行いました。

 

b.物理リスク

異常気象の増加に伴う水災リスクとして、鉄道事業の「施設」「設備」への財務的影響を分析しました。この分析では、洪水リスク評価モデル(注1)や気候予測データベース(注2)を使用し、鉄道事業に関する個々の資産(駅舎、線路、電気設備等)が洪水によって物理的にどの程度の損害を受けるか評価しております。過去の気象データをもとに、当社線全線における100年に一度レベルでの災害発生による被害額を計算しております。また、災害発生により運行に支障が生じた場合の収入への影響について概算で算出を行いました。

その結果、鉄道事業全体での水災リスクの影響については、SSP1とSSP3ではいずれも被害額が現行よりも増大するリスクがあるものの、SSP1の方が被害額が少ないことがわかりました。そのため、持続可能な社会を実現して気温上昇を2℃未満に抑えることは、当社が事業を営むうえで、水災リスク低減の観点からも重要と認識しております。

なお、当社では法面・橋梁強化、変電所嵩上げといった施設の補強や車両避難計画の策定等、自然災害の被害軽減のための対策にも取組んでおります。今後も環境負荷低減の取組みと合わせて、リスク低減のための取組みも進めてまいります。

 

(注)1 過去の気象データをもとに、数万通りの降水可能性をコンピュータ上で仮想的に再現した評価モデル

   2 文部科学省による「気候変動リスク情報創生プロジェクト」等による大規模気候予測データベース

 

c.移行リスク・機会

SSP1では、炭素税の導入や脱炭素に向けた規制強化等により、エネルギーや資材の調達費用が増加し、財務的な負担が増加するリスクがあります。一方、クリーンエネルギー技術の進展等をはじめとした次世代技術の普及、特にMaaSや自動運転の実験など当社で既に取組んでいる施策を機会と捉え、鉄道運行等の関連コストの減少や業務効率化の可能性のほか、鉄道の環境優位性を維持することによる代替輸送機関からの転移等、収益向上の機会を得られることが推定されました。

 

d.収益に与える影響

物理リスク・移行リスクのほかに考慮すべき要素として、将来的な人口動態変化による鉄道収入への影響を分析しました。日本の人口動向は少子高齢化や人口減少は見込まれるものの、社会的に子育て環境を整えるシナリオのSSP1に対して、SSP3では経済停滞等により一層人口減少が進行することが見込まれます。

その結果、SSP1とSSP3では、2050年度には鉄道収入でSSP3の方が大きく減収することがわかりました。そのため、持続可能な社会を実現して気温上昇を2℃未満に抑えることは、当社が事業を営むうえで、将来的な収益確保の観点からも重要と認識しております。

 

 

以上を踏まえ、今後も地域社会とともに持続的な成長を目指していく東武グループは、事業を運営するうえでSSP1の実現を目指すことが重要と考え、今後も気候変動に関する各種取組みを進めてまいります。

なお、上記シナリオ分析にて抽出したリスクと機会、それぞれの評価と対策の詳細については、当社ホームページ 「https://www.tobu.co.jp/corporation/kankyo/tcfd/」をご参照ください。

 


 

ウ.指標と目標

当社では、環境優位性の更なる向上等による環境負荷の低減を解決すべき重要課題として捉えております。鉄道事業においては、2030年度にCO2排出量約50%削減(2013年度比)の達成を見込み、その実現のため「省エネ車両への置き換え・保有車両数の適正化」「駅、車両等の照明LED化」「高効率変圧器への更新」を中心に様々な環境負荷低減への取組みを行っております。

特に、日光・鬼怒川エリアは「国際エコリゾート日光」と位置付け、同エリアにおける東武グループの事業活動によるCO2排出ゼロを目指しております。その一環として、2022年4月より、日光・鬼怒川エリアを走行する列車及び都心から同エリアへアクセスする特急列車にかかる電力相当を再生可能エネルギー由来の電力に実質的に置き換えることにより、同エリアの鉄道輸送にかかるCO2排出量実質ゼロを実現しております。

2050年でのCO2排出量実質ゼロに向けて、今後も東武グループでは環境負荷低減のための取組みを進めてまいります。

・2022年度 温室効果ガス排出量

Scope1

128,683 t-CO2

Scope2

378,521 t-CO2

 

 

② 人的資本・多様性

当社グループは、広域な鉄道ネットワークに広がる沿線地域を事業基盤として「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を目指しており、そのために必要な人材とは、当社グループ経営理念「奉仕」「進取」「和親」を行動原理として、自ら考え自ら行動し、街と街、人と街など、さまざまな「つなぐ」ビジネスモデルを実現できる人材であります。

 

また、このような人材の活躍を促すためには、安全技術のように、長期にわたって継続的に磨き込んでいく能力と、刻々と変化する事業環境の下で新たな商品・サービス提供によって価値を創造することのできる能力の両面を育てていく必要があります。

この基本的な考え方を人材育成方針及び社内環境整備方針に反映させ、今後も多様な社員の「能力と可能性」の向上を図り、企業価値の持続的向上を目指してまいります。

 
ア.戦略

当社グループは現在、2022年度から3か年を期間とした中期的な事業計画を推進しており、「事業構造改革と事業推進体制の再編」、「新たなビジネスモデルによる収益力の拡大」、「社会課題をニーズと捉えた事業推進による収益拡大」を重点戦略として、経営体質の強化と生産性向上、既存事業の磨き上げとともに、新たな事業の育成によって、次なる成長ステージにつなげていくことを目指しております。

今般、中期的な事業計画に適合した人材の多様性の確保を含む人材育成方針と、この方針を実現するための社内環境整備方針を下記のとおり策定し、経営環境の変化と同時に、労働力不足の深刻化、人生100年時代の到来、個人のキャリア観が変化する中でも、継続的な企業価値の向上を実現する人材の育成を図ってまいります。

 

《人材育成方針》

東武グループ経営理念を行動原理とし、事業と地域社会の持続的成長を担う

自ら考え自ら行動できる人材の育成

 

a.当社が求める人材

既存事業をさらに磨き上げることによる「信頼」と、変革を恐れない新たな発想による「価値創造」により、ビジネスチャンスの開拓を地域社会の持続的成長につなげていく人材。

b.当社が求める人材に必要な共通コンピテンシー

(a)[安全・安心]東武グループ各事業の信頼獲得

(b)[自覚・自律]自らの能力最大化による自己実現と組織貢献

(c)[対話・洞察]お客様や社員等との対話を通した課題発見

(d)[受容・変革]多様性やニーズを受容した新たな発想

(e)[協働・共創]周囲を巻き込んだオンリーワンの価値創造

 

《社内環境整備方針》

(方針-1) 時代に即した変化を促す人材育成への支援

安全や技術の伝承を通して専門分野を伸ばしながら他分野との連携ができる人材育成への支援と、企業環境の変化に柔軟に対応し、価値創造できる人材育成への支援を図ります。

(方針-2) 安心して働き、能力を発揮し続けられる働き方整備

ダイバーシティ&インクルージョンの推進とともに、社員一人ひとりが個人の属性やライフステージにかかわらず、お互いを尊重しあい、安心して働きやすく、能力を最大限に発揮できる働き方を整備してまいります。更に社員の健康維持・増進の取組みを行い、働きがい向上を通じた更なる価値の提供を目指します。

 

イ.指標及び目標

当社では、上記「ア.戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

実績

再雇用への移行率

100%に近い水準の継続

89.3%(2022年度実績)

配偶者出産休暇取得率

100%に近い水準の継続

95.5%(2022年度実績)

新卒採用者数に占める

女性採用者比率(10年前との比較)

50%程度

16.7%(2013年度入社)

→50.0%(2023年度入社)

障がい者雇用率

(グループ適用による合算)

法定雇用率(2.3%)を上回る

水準の継続

3.37%

(2022年6月1日現在)

 

(注) 管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5従業員の状況 (4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

③ 情報セキュリティ

ア.ガバナンス・リスク管理

当社グループは、鉄道や電波塔などの重要な社会インフラをはじめとした様々なサービスを提供する企業グループとして、多くの情報システムを使用しております。これらへのサイバー攻撃や不正なアクセス、コンピューターウイルスへの感染や人為的不正操作等により、当該システム機能に重大な障害が発生し事業の運営に支障することで、業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。当社グループでは、事業を安定かつ継続的に行うべく、情報システム機能の確保をはかるために各種の情報セキュリティ対策を講じております。

当社における情報セキュリティマネジメントに関するガバナンス体制として、ICT推進部担当執行役員を委員長とした情報セキュリティ委員会を設置し、情報セキュリティマネジメントの実施状況及び実施計画の報告を行い、同委員会の議事についてはガバナンス委員会に報告を行っております。

当社グループにおいては、「情報セキュリティポリシー」に則り規程類を制定し、適時見直しを行っているほか、グループ会社の情報セキュリティに関する取り組み状況のモニタリングを実施し、PDCAサイクルにより情報セキュリティ対策に取り組んでおります。また、定期的にグループ会社に対する教育を行い、役職員の情報セキュリティに対する意識の向上を図っております。

当社においては、重要なインフラである鉄道事業の持続性を確保するため、鉄道運行にかかわる重要なシステムの社外ネットワークとの隔離や許可されたプログラムのみ実行できる環境を構築しております。役員を含めた全パソコンユーザーに対しては、情報セキュリティeラーニング、標的型メール攻撃を模擬した実体験型の訓練を実施しております。あわせて、高度化、複雑化するサイバー攻撃等の情報セキュリティインシデントに対応するため、専門チーム「TOBU-CSIRT」により、「有事における迅速な対応」と「平時における未然防止活動」に取り組んでおり、外部専門家が業務用ネットワークを常時監視し、異常検知の際は担当者に発報を行いインシデントに迅速に対応できる体制を確保しているほか、当社内での情報セキュリティインシデント発生を想定したシナリオにもとづく対応訓練を実施しております。また、サプライヤーとの契約にはセキュリティ条項を組み入れ、万が一の際に迅速な調査が行える体制を整えております。

 

④ コンプライアンス 

ア.ガバナンス・リスク管理

当社グループにおいては、「東武グループコンプライアンス基本方針」を制定し、法令順守や健全な職場環境の形成などを記載したコンプライアンス・マニュアルの整備や、グループ全社員へコンプライアンス教育の強化をはかるなど、法令順守の徹底と不祥事発生の防止に努めるほか、東武グループ全社員に対して内部通報窓口の周知による利用促進等を行うなど、コンプライアンスの確保に取り組んでおります。

当社では、取引先等と相互に信頼関係を構築するために法令及び健全な商習慣に従い、公平・公正かつ透明な選定・取引を行うことをコンプライアンス・マニュアルにおいて定め、研修・教育などを通じ、贈収賄・汚職の防止に取り組んでおります。また、インサイダー情報について厳重な管理を行うとともに、eラーニング等を活用した教育などにより、インサイダー取引禁止の徹底を図っております。さらに、当社グループにおいては、反社会的勢力に対し、毅然とした対応を行うとともに、その排除に向け、「東武グループ連絡協議会」を開催し、グループ内において反社会的勢力に対する防備を固め、情報及び対応策などを共有する体制を構築しております。

また、当社では総務法務部担当執行役員を委員長としたコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス経営の推進、コンプライアンス経営の実施状況の把握、評価及び見直し等を行うとともに、同委員会の議事について社外取締役が議長を務めるガバナンス委員会に報告を行っております。

なお、当社は取引先との共存共栄の構築を目指し、2023年4月に「パートナーシップ構築宣言」を公表いたしました。同宣言の取り組みを推進することで、取引先の事業継続と取引適正化に貢献してまいります。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクとして、「事業環境・ビジネスモデルに影響を与えるリスク」「安全・安心の確保に関するリスク」「経営資源の確保に関するリスク」「ガバナンスに関するリスク」の4つを設定いたしました。それぞれのリスク顕在化を防ぐための取り組みは以下に記載のとおりです。

なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

 

(1) 事業環境・ビジネスモデルに影響を与えるリスク

① 法的規制 

東武鉄道が展開している鉄道事業においては、鉄道事業法第3条により、路線及び鉄道事業の種別ごとに国土交通大臣の認可を受けなければなりません。同様に、運賃の設定・変更についても同法第16条により、鉄道事業者は旅客運賃等の上限を定め、国土交通大臣の認可を受けなければならず、国土交通大臣は、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えないものであるかどうかを審査して認可しております(総括原価方式)。また、認可を受けた運賃等の上限の範囲内で運賃等を設定・変更する場合は、国土交通大臣に届け出ることとなっております。

鉄道を取り巻く社会経済環境が大きく変化している中、コストコントロールを徹底しても生じる原価を適時適切に運賃に反映できない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、鉄道事業以外の当社グループ会社が展開する各種事業においても、様々な法令・規則等の規制の適用を受けており、これら法的規制が変更された場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 出生率の低下による人口減少・少子高齢化の急激な加速

わが国の合計特殊出生率は2016年より減少傾向に転じ、出生数の減少も続いております。新型コロナウイルス感染症の影響により出生率と出生数の低下にさらに拍車がかかっており、今後地域によって差はあるものの、人口減少と少子高齢化がさらに進行することが想定されます。

そのため、当社グループにおいては、相互直通運転を活用したシームレスな輸送をはじめ利便性や速達性の向上により快適な通勤・通学輸送と魅力ある観光輸送の提供、並びに良質で暮らしやすい住環境・サービスの提供や観光誘客を推進しております。これらの取り組みをとおして当社沿線の価値向上を図り、定住化促進と交流人口の創出に努めております。

しかしながら、消費活動の基盤となる人口減少と少子高齢化が沿線地域で急激に加速した場合、鉄道事業を中心に東武沿線を主たるマーケットとして事業を展開している当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ ライフスタイルの変化

これまでの新型コロナウイルス感染症の影響により、働き方や日常生活において新しい生活様式が浸透・定着し、今後もニーズの変化・多様化が続き、新型コロナウイルス感染症発生前の状態には戻らないことを想定しております。

そのため、当社グループにおいては、事業環境が変化する中でも利益を確保できるよう事業構造改革を行い、事業運営体制の見直しやコスト削減施策による効率化と省力化を進めてまいります。また、EC事業の拡張やTOBU POINTを活用したデジタルマーケティングに取り組むほか、郊外居住需要の高まりをビジネスチャンスと捉えたサービスの提供や沿線の価値を高める開発を推進する等、事業の持続的発展を目指してまいります。

しかしながら、移動を前提としないライフスタイルが定着した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 競争環境の変化

当社グループは、鉄道事業をはじめ幅広い事業を展開しており、事業環境の大きな変化や急速な技術革新に伴う新たな競合サービス・競合事業者の出現等により、需給関係の悪化や競争激化が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、事業環境の変化やお客様ニーズの変容を的確にとらえ、グループ各社で培ったノウハウやデジタル技術などを活かしつつ、新たな技術や外部からの知見を取り入れて事業に活かしてまいります。それにより、お客様へ最適なサービスを迅速かつ柔軟に提供しサービス向上をはかるとともに、生産性を向上することで利益の確保につなげてまいります。

 

⑤ パンデミック等の発生

パンデミック等により外出制限や出控えが発生した場合には、運輸事業やレジャー事業を中心に利用者が急減し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、パンデミック等により従業員の感染が多発した場合には、事業運営に支障が生じ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、従業員の基本的な感染症予防策を継続的に実施するとともに、感染状況に応じた事業継続計画や感染対策を講じることでお客様が安全・安心にご利用いただけるよう取り組み、国民の安定的な生活の確保に欠かせない社会インフラの1つである鉄道事業を中心に社会を支え、事業を継続してまいります。

 

 

(2) 安全・安心の確保に関するリスク
① 安全・安心の確保

当社グループでは、安全・安心の確保はお客様の信頼を得るうえで最も重要であると考え万全を期しておりますが、万が一、重大な事故を発生させ長期的に事業を運営できなくなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、「安全はすべての事業の根幹である」との信念のもと、お客様と従業員の安全確保を最優先に安全管理体制の確立に努めるとともに、安全のための設備投資や教育・訓練などに継続して取り組み、安全・安心の確保に努めております。

 

② 気候変動による事業運営・維持への影響

気候変動による事業運営・維持に関するリスクの内容については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)重要なサステナビリティ項目 ① 気候変動」に記載のとおりであります。

 

③ 不測の事故・災害等の発生による事業運営・維持への影響

当社グループは、鉄道事業をはじめ幅広い事業を展開しておりますが、不測の事故や災害、テロ・戦争の発生等外的要因により、長期的に事業を運営できなくなった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、大規模な自然災害等の緊急事態に備え事業継続計画を整備するなど危機管理体制の充実強化に努めるとともに、自然災害に強いインフラの整備やテロ対策など、安全確保のための対策にも継続して取り組んでまいります。

 

④ 個人情報の管理

当社グループは、各事業において顧客の個人情報を含むデータベースを管理しており、情報が流出した場合には損害賠償や信用の低下等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、情報の取得及び利用に際しての社内での保護規程類を定め管理体制を整備するとともに社員教育を実施し、関係者の情報管理を徹底するほか、情報処理を社外に委託する場合も秘密保持の整備、監督を強化する等、取り扱いには十分留意し情報管理を行っております。

 

⑤ 情報セキュリティ対策

情報セキュリティに関するリスクの内容については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)重要なサステナビリティ項目 ③ 情報セキュリティ」に記載のとおりであります。

 

(3) 経営資源の確保に関するリスク

① 人手不足

当社グループは、鉄道事業をはじめ多くの労働力を必要としております。出生率の低下による人口減少と高齢化は、一層早いスピードで進むことが想定され、労務費の高騰及び採用難等により人手不足が顕在化した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、人材確保のために、多様な知識や価値観を持つ人材の登用や育成、安定した雇用や多様化する働き方への対応、福利厚生の充実等、働きやすく働き続けられる柔軟で安心な就労環境の確保を図ってまいります。さらに、自動運転等を含むデジタル技術の活用等により生産性の向上を進め、効率的な事業運営体制を構築してまいります。

 

② 原材料や資源の価格高騰並びに調達不足

当社グループは、鉄道事業をはじめとして多くのインフラ設備を活用し、動力として電力や燃料を使用しております。また、各事業においてはさまざまな原材料を使用しています。自然災害の発生や海外情勢の悪化などにより原材料や資源の価格が高騰した場合や、調達不足が継続した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては省エネに資する高効率車両や設備を導入するほか、設備の適正化や見直しによるエネルギー消費や温室効果ガス排出量の削減、適切な時期での調達を行う等、コスト抑制とともに持続可能な社会の構築に取り組んでおります。

 

 

③ 有利子負債残高の増加並びに調達金利の変動

当社グループは、各事業で継続的に行っている設備投資等の必要資金を、主として社債や金融機関からの外部借入れによって調達しており、将来への成長投資等により高水準の有利子負債残高を保有しています。今後、金利が一段と上昇した場合や、格付機関が当社の格付を引き下げた場合には、金利負担の増大や資金調達条件の悪化を招くことにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、昨今の金利上昇傾向を踏まえて連結有利子負債残高の適切な管理に努め削減をはかるとともに、資金の調達手段の多様化を進めることにより、中長期の金利環境を勘案しつつ適時最適な方法による調達を行っております。

 

④ 保有資産の価値下落

当社グループは、多様な事業展開を行う上で必要な資産や、株式などの投資有価証券等を保有しております。収支管理の徹底や事業構造改革の実施により、事業採算性を高め資産価値の向上をはかるとともに、投資有価証券については保有意義の検証を行い、中長期的に希薄と考えられる場合は段階的に縮減を図っております。

しかしながら、保有資産のキャッシュ・フロー創出力の低下や株価の大幅な下落等によりその時価が著しく下落した場合は、減損損失または評価損等を計上することにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4) ガバナンスに関するリスク
① コンプライアンス

コンプライアンスに関するリスクの内容については「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組(2)重要なサステナビリティ項目 ④ コンプライアンス」に記載のとおりであります。

 

② 人権

当社グループにおいては、働きやすい制度や職場環境を整備し多様な人材が活躍しておりますが、人権を侵害する問題が発生した場合には、社会的制裁や信用の失墜などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

そのため、当社グループにおいては、人権について組織的・継続的に教育を行う体制を整え、社員の正しい認識と理解を深めるとともに、社員が活き活きと働くことのできる職場環境づくりに引き続き取り組むなど、人権の尊重に向けて継続して取り組んでおります。

 

なお、上記は当社グループの事業等について予想される主なリスクを例示したものであり、ここに記載されたものが当社グループのすべてのリスクではありません。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月23日)現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

当連結会計年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に伴う行動制限措置が緩和される中、感染拡大防止をはかりながら社会経済活動が進められ、緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方、緊迫する海外情勢の長期化や為替の急激な変動のほか、資源価格や物価の上昇、製品供給の制約は続いております。

当社グループにおきましては、「中期的な事業計画」を策定のうえ、事業構造改革等を通じて、強靭な経営体質の構築を進めました。また、感染症対策を継続しながら需要回復を積極的に取り込む施策を実施するとともに、グループ共通ポイント「TOBU POINT(略称“トブポ”)」をはじめとしたデジタル技術を活用したグループ収益の拡大策を強化いたしました。

 

2022年度の連結業績は、以下のとおりであります。

① 営業収益

不動産事業における賃貸借契約見直しや分譲マンションの販売戸数減による減収はあるものの、旅行業におけるソーシャルイノベーション事業の拡大のほか、運輸事業における行楽や通勤利用の回復、レジャー事業における国内旅行需要や外国人旅行客の回復及び前年に営業制限があった百貨店業の回復等により増収となり、営業収益は614,751百万円(前期比21.5%増)となりました。

② 営業利益

資源価格高騰による動力費や水道光熱費の増加のほか、前年までに抑制していた修繕費の増加はあるものの、運輸事業、レジャー事業及び流通事業の増収により、営業利益は56,688百万円(前期比129.2%増)となりました。

③ 経常利益

営業外収益については、雇用調整助成金等の助成金収入や前年計上した旅行業における受取補償金の減少等により、5,323百万円(前期比55.3%減)となりました。

営業外費用については、前年計上した旅行業における支払補償費や有利子負債返済による支払利息の減少等により7,196百万円(前期比22.0%減)となり、経常利益は54,815百万円(前期比100.0%増)となりました。

④ 親会社株主に帰属する当期純利益

特別利益については、工事負担金等受入額の増加等により、8,735百万円(前期比189.5%増)となりました。

特別損失については、収益性が悪化した物件の減損損失や固定資産圧縮損の増加等により18,391百万円(前期比181.9%増)となりました。

 

これらの結果、税金等調整前当期純利益は45,159百万円(前期比88.9%増)を計上し、法人税等を控除した当期純利益は29,148百万円(前期比116.1%増)となりました。また、ここから非支配株主に帰属する当期純損失を控除した親会社株主に帰属する当期純利益は29,179百万円(前期比116.9%増)となりました。

 

セグメントごとの業績を示すと、次のとおりであります。

なお、当社グループでは、「事業構造改革と事業推進体制の見直し」の一環として、グループ会社の機能強化と効率化を目的に連結子会社を再編したことに伴い、当連結会計年度より、セグメントの区分を変更しております。これにより、前期比較については、変更後の区分にもとづいて記載しております。

各セグメントの営業利益をセグメント利益としております。また、各セグメントの営業成績のうち「調整額」は内部取引消去額を表しております。

 

(運輸事業)

鉄道業におきまして、当社では、安全・安心で暮らしやすく、そして選ばれる沿線を目指して、様々な取組みを進めております。

安全面では、竹ノ塚駅付近、清水公園~梅郷間、とうきょうスカイツリー駅付近及び春日部駅付近において高架化工事を推進したほか、大山駅付近の高架化工事着手に向けて東京都と施行協定を締結いたしました。また、ホーム上の安全対策として、竹ノ塚駅、獨協大学前<草加松原>駅及び越谷駅2・3番ホームにおいてホームドアの使用を開始いたしました。さらに、駅設備のバリアフリー化を促進するため、鉄道駅バリアフリー料金の収受を開始いたしました。また、災害対策として、車両避難訓練及び異常時総合訓練、代行バス輸送訓練等を実施したほか、車内傷害事件等のテロ等不審者・不審物対応訓練を警察・消防と連携し取り組みました。

営業面では、特急スペーシアの新型車両「SPACIA X(スペーシア エックス)」について運行開始に向けたプロモーションを推進いたしました。また、相鉄新横浜線・東急新横浜線開業に合わせ、東上線から日吉駅・新横浜駅を経由して海老名駅・湘南台駅までの直通運転を開始いたしました。これにより、東海道新幹線の新横浜駅へのダイレクトアクセスが可能となり、利便性が向上いたしました。

さらに、新型コロナウイルス感染症の影響で行事等が相次ぎ休止となった高校3年生を対象に、新成人としての旅立ちにエールを込めて、当社線全線に無料乗車、東京スカイツリー等3施設に無料入場できる「#みらいエールきっぷ」を贈呈したほか、冬の日光・鬼怒川エリアの魅力発信と誘客を目的とした「日光・鬼怒川エリア週末フリーデー」を実施するなど、「人にやさしく 人と地域が共に輝きつづける社会」の実現を目指した取組みを進めました。

一方、厳しい事業環境下においても安定した利益を確保できる体制を構築すべく、これまでに策定した事業構造改革を着実に実施し、固定費の削減を行いました。

バス・タクシー業におきまして、東武バスセントラル㈱では、お客様への最適なサービスの提供と安定的なバス事業の運営のため、花畑営業所を事業区域が重なる足立営業事務所に統合し、経営資源の集約をはかりました。

 

運輸事業全体としては、行動制限がないことによる行楽利用の回復や、引き続き固定費の削減に努めたこと等により、営業収益は189,189百万円(前期比9.1%増)、営業利益は19,381百万円(前期比64.7%増)となりました。

 

(営業成績)

業種別

当連結会計年度
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益(百万円)

前期比(%)

鉄道業

141,477

10.5

バス・タクシー業

27,068

9.2

貨物運送業

21,064

0.6

小計

189,609

9.1

調整額

△420

営業収益計

189,189

9.1

 

 

(提出会社の鉄道業成績)

種別

単位

第202期

第203期

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

営業日数

 

365

365

営業キロ

 

キロ

463.3

463.3

客車走行キロ

 

千キロ

276,984

265,373

 

定期

千人

483,013

507,884

輸送人員

定期外

251,971

290,536

 

734,984

798,420

 

定期

百万円

53,209

55,325

旅客収入

定期外

59,246

70,765

 

112,455

126,090

運輸雑収

 

13,962

13,850

収入合計

 

126,417

139,940

1日平均収入

 

346

383

乗車効率

 

23.3

26.7

 

(注) 1 乗車効率の算出方法

  乗車効率=延人キロ(駅間通過人員×駅間キロ程)÷(客車走行キロ×平均定員)×100

  乗車効率とは、客車走行車両定員に対する旅客輸送量を見るためのものであります。

2 定期外旅客収入は、特急料金及び座席指定料金を含んでおります。

 

 

 


 

(レジャー事業)

スカイツリー業におきまして、「東京スカイツリー®」では、従前の事前販売に加えて、当日WEB予約券(当日販売する時間指定券)を販売し、また、繁忙日の展望台の営業時間を拡大することで入場時の混雑緩和につなげ、入場者数の増加とお客様サービスの向上に努めました。さらに、イベント割や全国旅行支援等、政府施策の活用や人気コンテンツとのコラボレーションイベントの開催等により誘客をはかりました。

ホテル業におきまして、各ホテルでは、インバウンドの入国制限緩和や全国的な新型コロナウイルスの感染状況の落ち着きに伴い、急激に回復した需要を確実に取り込みました。また、需要と供給の最適化をはかりながら、客室単価の引き上げにも注力いたしました。

旅行業におきまして、東武トップツアーズ㈱では、旅行需要の完全回復には至っていない中、旅行業で培ってきた予約管理等の後方業務のほか、会場の設営、運営力等を活かしたソリューションビジネスを推進し、自治体等の各種感染防止対策事業や認証事業を受託するなど、旅行販売以外の事業拡大により増収に努めました。

遊園地・観光業におきまして、「東武動物公園」では、人気アニメとのコラボレーション企画の開催のほか、「水上木製コースターレジーナⅡ(ドゥーエ)」をリニューアルオープンさせるとともに、「東武ワールドスクウェア」では、園内展示物等をライトアップさせたナイトミュージアム「世界の夜あそび」を開催し、誘客に努めました。

レジャー事業全体としては、前期の落込みからの回復や旅行業における収益の拡大により、営業収益は188,354百万円(前期比83.6%増)、営業利益は19,470百万円(前期は1,072百万円の営業損失)となりました。

 

(営業成績)

業種別

当連結会計年度
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益(百万円)

前期比(%)

遊園地・観光業

4,418

7.6

スポーツ業

5,903

△5.8

旅行業

147,219

97.3

ホテル業

20,086

69.1

スカイツリー業

10,832

85.8

小計

188,460

83.5

調整額

△106

営業収益計

188,354

83.6

 

 

(不動産事業)

スカイツリータウン業におきまして、「東京スカイツリータウン®」では、年間を通じ開業10周年として誘客策を実施し、冬季ではイルミネーションをリニューアルしたほか、クリスマスマーケットや、4年ぶりとなるプロジェクションマッピングを実施いたしました。また、「東京ソラマチ®」では、開業以来初のフロア全面リニューアルを実施し、5階に「みんなの遊び場 ソラフルパーク」を開業させるなどさらなる誘客に努めました。さらに、「東京ミズマチ®」を一部拡大しラケットスポーツの専用施設「パデル東京ミズマチ」を誘致するなど、浅草~東京スカイツリータウンエリアの賑わいの創出をはかりました。

不動産賃貸業におきまして、当社では、居室内ワークスペースの導入等在宅ワークのニーズに対応した新築賃貸マンション「ソライエアイル越谷蒲生」を完成させ、都内に勤務する単身世帯を中心に沿線外からの流入をはかりました。また、新柏駅高架下にて、東武アーバンパークライン初の「EQUiA(エキア)」ブランドとなる商業施設「EQUiA新柏」を開業させたほか、獨協大学前エリアにて、新たな商業施設「TOBU icourt/トーブ イコート」を開業させるなど増収をはかりました。また、サテライトオフィス「Solaie +Work(ソライエプラスワーク)」においてTOBU POINTサービスとの連携によりお客様の利便性向上に努めました。

不動産分譲業におきまして、当社では、沿線価値向上と沿線定住人口増加を目的として、分譲マンション「ソライエグラン流山おおたかの森(シーズンスクエア)」(流山市)及び「ソライエテラス(イースト)」(草加市)の販売を開始したほか、産官学連携による次世代まちづくり推進プロジェクト「BRIDGE LIFE Platform 南栗橋」(久喜市)において分譲戸建「BLP南栗橋スマートヴィラ」の販売を開始いたしました。

不動産事業全体としては、マンションの販売戸数の縮小等により、営業収益は60,915百万円(前期比2.6%減)となり、電気料金の単価増等により、営業利益は13,681百万円(前期比12.3%減)となりました。

 

 

(営業成績)

業種別

当連結会計年度
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益(百万円)

前期比(%)

不動産賃貸業

36,174

△5.4

不動産分譲業

13,845

△7.0

スカイツリータウン業

11,025

14.3

小計

61,045

△2.8

調整額

△130

営業収益計

60,915

△2.6

 

 

(流通事業)

百貨店業におきまして、㈱東武百貨店では、次世代のお客様にも来店いただけるように、池袋店において、百貨店初となる「DAISO」等の3ブランド複合ショップを誘致いたしました。

ストア業におきまして、㈱東武ストアでは、再開発が進む湾岸エリアに2店舗目となる晴海三丁目店を新たにオープンいたしました。また、TOBU POINTアプリの提示によるポイント付与・利用を開始し、ポイント会員の新規開拓による日常利用会員の基盤強化をはかりました。

さらに、事業構造改革の一環として、リテール事業及び商社機能を統合するグループ事業の再編を行い、競争力の強化や新事業展開による事業拡大に向けた体制を整えました。

流通事業全体としては、百貨店業における前期の臨時休業による落込みからの回復等により、営業収益は163,438百万円(前期比6.0%増)、営業利益は2,602百万円(前期は4,022百万円の営業損失)となりました。

 

(営業成績)

業種別

当連結会計年度
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益(百万円)

前期比(%)

百貨店業

56,767

13.8

ストア業

73,062

△2.5

その他業

35,717

15.1

小計

165,547

6.2

調整額

△2,109

営業収益計

163,438

6.0

 

 

(その他事業)

建設業におきまして、東武建設㈱では、宇都宮市においてLRT軌道工事を、東武谷内田建設㈱では、墨田区において介護事業所の全階内装改修工事を、東武緑地㈱では、三郷市において商店街区の環境整備工事をそれぞれ完了させました。

そのほか、東武ビルマネジメント㈱では、日光市において医療施設の清掃、警備及び設備管理業務を受注するなど増収に努めました。

その他事業全体としては、営業収益は81,902百万円(前期比4.4%増となったものの資材価格の高騰等により営業利益は2,646百万円(前期比22.7%減)となりました。

 

(営業成績)

業種別

当連結会計年度
(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)

営業収益(百万円)

前期比(%)

建設業

52,503

3.9

その他業

29,931

5.9

小計

82,434

4.6

調整額

△532

営業収益計

81,902

4.4

 

 

 

なお、当社グループのサービス、生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種のサービス、製品であっても、その内容、形式等は必ずしも一様ではなく、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

(2) 財政状態の状況

当連結会計年度末の総資産は、売掛金の増加等により1,738,195百万円となり、前連結会計年度末と比べ48,339百万円(前期比2.9%増)の増加となりました。

負債は、有利子負債は減少したものの買掛金の増加等により1,257,620百万円となり、前連結会計年度末と比べ26,984百万円(前期比2.2%増)の増加となりました。

純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により480,575百万円となり、前連結会計年度末と比べ21,355百万円(前期比4.7%増)の増加となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、69,074百万円となり、前連結会計年度末に比べて23,188百万円増加しました。

当連結会計年度末に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益45,159百万円に、減価償却費53,354百万円等を加減算した結果、101,115百万円の資金収入となりました。前連結会計年度に比べて税金等調整前当期純利益が増加したこと等により34,264百万円の資金収入の増加となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、52,711百万円の資金支出となりました。前連結会計年度に比べて工事負担金等受入による収入が減少したこと等により21,746百万円の資金支出の増加となりました

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、25,285百万円の資金支出となりました。前連結会計年度に比べて長期借入金の借入による収入が増加したこと等により9,720百万円の資金支出の減少となりました。

 

(資金需要の主な内容)

当社グループの資金需要は、営業取引に係る運転資金、設備投資等に係る資金、有利子負債の返済並びに配当等の資金を主としております。

設備投資につきましては、「第3 設備の状況」に記載のとおりであります。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

短期的な運転資金は、各事業が生み出す営業キャッシュ・フローに加え、取引銀行との総額90,000百万円の貸出コミットメント契約やコマーシャル・ペーパーの発行並びに、当社グループではキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)によりグループ内の余剰資金を有効に活用しております。

また、運輸事業や流通事業を中心に日々の収入金があり、必要な流動性は確保しているとともに、十分な水準の資金を保有しております。

設備投資等の長期的な必要資金については、営業活動で得た資金に加え、主力事業である鉄道事業の特性を鑑み、長期安定的な資金調達を行うために、借入金のほか、社債の発行及びシンジケート・ローンの組成、リース等の多様な選択肢の中から最適な調達方法を採用しております。

同時に、年度別償還額の集中を避けることで、将来の借り換えリスクの低減に努めているとともに、金利上昇リスクに備え、固定金利と変動金利のそれぞれの負債残高のバランスを考慮しております。

また、2022年6月には、環境課題解決に資する事業の資金調達手段として、当社初となる「グリーンボンド」を発行いたしました。当社グループにおけるサステナビリティ経営の推進及び沿線地域社会の持続的発展を実現していくことを目的に、調達した資金は、新型の鉄道車両及び太陽光発電システムに係る設備投資資金並びにリファイナンスに充当いたしました。

 

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準にもとづき作成されております。その作成にあたり経営者は、資産・負債及び報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行わねばなりません。これらの見積りについては、過去の実績や状況等に応じ合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。

① 株式等の投資

当社グループが保有する株式等の有価証券及びのれんについては、将来の株式市況の悪化または投資対象会社の業績不振等により時価の著しい下落が生じた際には、損失の計上が必要となる場合があります。

② 販売用不動産の評価

当社グループが保有する販売用不動産については、地価の下落や市況悪化等により時価の下落が生じた場合には、損失の計上が必要となる場合があります。

③ 固定資産の減損

当社グループが保有する固定資産のうち、減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、経営環境に変化が生じ当初想定した収益が見込めないなど、将来キャッシュ・フローの見積りに用いた仮定に変更があった場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。

④ 退職給付費用及び債務

当社グループの従業員退職給付費用及び債務は、割引率等数理計算上で設定される前提条件や年金資産の長期期待運用収益率にもとづいて算出されております。したがって、前提条件または制度に変化や変更が生じた場合には、退職給付費用及び退職給付債務に影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 繰延税金資産

当社グループは、将来の課税所得の計画にもとづき慎重にかつ実現(回収)可能な範囲において繰延税金資産を計上しておりますが、将来において既に計上している繰延税金資産の全部または一部を実現(回収)できないと判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できないと判断した繰延税金資産を取崩すとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額に加算し、当期純利益を減少させる場合があります。同様に、現時点で評価性引当額として繰延税金資産を計上していない項目について、将来においてその全部または一部を実現(回収)できると判断した場合には、当該判断を行った連結会計年度において、実現(回収)できると判断した金額を繰延税金資産として計上するとともに、同額を法人税等調整額として法人税、住民税及び事業税の金額から控除し、当期純利益を増加させる場合があります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。