第2 【事業の状況】

 

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社グループは、以下の経営理念及びサステナビリティ方針のもと、企業活動を通じた社会課題解決への取り組みにより、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの企業としての持続的な成長を目指しております。

 

私たちの理念・行動指針

経 営 理 念

1. 価値ある事業空間を提供しお客様と共に発展することにより、社会に貢献します。

 

2. 信用を重んじ質を重視した経営を堅持して、お客様・株主・社員の信頼に応えます。

 

3. 革新と効率を尊び、活力ある企業風土を築きます。

企業行動指針

1. お客様本位の徹底

 お客様のニーズと信頼に応え、安全で良質な環境とサービスを提供します。

 

2. コンプライアンスの実践

 法令および規律を遵守し、高い倫理観に根ざした社会的良識をもって行動します。

 また、公正、透明、適正な取引を行い、政治、行政との健全かつ正常な関係を保ちます。

 反社会的勢力および団体とは一切関係を遮断し、毅然とした対応をします。

 

3. 社会発展への貢献

 地域との良好な関係を構築し、良き市民として積極的に社会貢献活動を行います。

 

4. 公正な情報開示

 株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションをとり、企業情報を適時、的確かつ公正に開示します。

 

5. 環境問題への取り組み

 環境保全は経営の重要な課題であることを認識し、自主的、積極的に環境問題に取り組みます。

 

6. 個性を尊重する企業風土

 ゆとりと豊かさを実現し、安全で働きやすい職場環境を確保するとともに、社員の人格、個性を十分尊重します。

 

 

サステナビリティ方針

環境問題に積極的に取り組み、未来の豊かな環境と事業活動との両立を目指します。

 1.気候変動への対応

 2.資源の持続可能な利用と循環型社会への貢献

ステークホルダーとの協働を通じ、社会全体の継続した発展を目指します。

 3.お客様への貢献

 4.株主・投資家との対話

 5.パートナー企業との協働

 6.地域社会への貢献

 7.従業員への取り組み(ウェルビーイングの取り組み)

コンプライアンスの遵守や公正な情報開示を通じて、透明性高くあり続けます。

 8.サステナブル経営への取り組みの監督

 9.コンプライアンスの遵守

 10.ESG関連情報の開示とコミュニケーション

 

 

(2)経営戦略・経営指標

当社グループは、堅実な経営基盤を堅持しつつ、営業基盤の拡大を図るために新規投資を継続的に実施して、事業の発展を目指す方針であります。中長期的に新規優良物件に対する投資を継続して推進するとともに、既存施設の見直しも進めて、経営効率の改善及び健全な財務体質の維持に努めてまいります。

この方針の下、2020年3月期から7ヵ年の中期経営計画「ここからの挑戦~新たな成長のステージへ~」を策定し、新築した虎ノ門ビル・OBPビルを計画通り稼働させるなど、既存事業の基盤を着実に築いてまいりました。

一方こうしたなか、上記中期経営計画期間中に、不動産マーケットの高騰や新型コロナウイルス感染症の影響による経済停滞やワークスタイル、ライフスタイルの変化等の影響を受け、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化いたしました

このような状況下、より高い利益成長と高い資産・資本効率を実現するためには、当社グループを取り巻く外部環境の変化に対応できる基盤や体制の一段の整備を図るとともに、新経営体制のもと2048年に迎える創立100周年を見据えた成長基盤の確立とESGを意識したサステナブル経営推進のための改革が必要と考え、上記中期経営計画を見直し、2024年3月期から2033年3月期の10ヵ年を対象とする長期経営計画を以下のとおり新たに策定いたしました。

 

(長期経営計画の概要)

 

対象期間

2024年3月期から2033年3月期の10ヵ年

基本方針

1.サステナブル経営を実現し、持続的な企業価値向上を図る。

2.投資環境の変化を見極め、ポートフォリオの拡充による企業規模の拡大と新たな収益モデルの創出を目指す。

10年後の目指す姿

社員一人一人が創意工夫と挑戦を通じて成長し、時代のニーズに応える価値ある事業空間を提供することにより、サステナブルな社会に貢献し続ける会社

 

 

 


 

 


 


 


 

 

本計画については2期に分けて計画を推進してまいります(フェーズⅠ:2024年3月期から2028年3月期、フェーズⅡ:2029年3月期から2033年3月期)。本計画期間を通じて長期保有資産の積み上げを継続的に進めていくとともに、計画の各フェーズに応じて、新規事業の収益化に向けた準備、成長基盤強化と環境変化に対する体制強化(フェーズⅠ)、新規事業の収益実現(フェーズⅡ)を図ってまいります。具体的には、健全な財務体質を堅持しつつ、多様なアセットタイプや、きめ細かいビル管理等の当社グループが持つ従来の強みを活かした成長促進を図るとともに、資産回転型事業による資産の拡充と組み換え、エクイティ投資・海外投資、一段と多様なアセットタイプへの投資等に取り組むことで、ストック事業とフロー事業のバランスのとれた収益構造への転換や、景気変動リスクを低減し、安定した収益基盤の拡充を図る方針です。そして、フロー事業への取組等によるROA向上を目指し、結果としてROEの改善・向上の実現を目指します。また、1株当たり利益を重視した安定的な配当・増配を継続し、本計画期間中の配当性向は45%程度への引き上げを目指してまいります。

併せて本計画では、GHG排出量削減目標やグリーンビル認証取得面積率の目標設定など、当社グループのマテリアリティ(重要課題)に紐付く取組課題・KPIの決定とその進捗管理を図っていくとともに、人材育成や多様な人材の確保など長期経営計画を支える人員構成とすべく、人的資本経営に向けた取組の強化を図るなど、ESGを意識したサステナビリティ戦略も推進してまいります。

本計画の達成状況を判断するための客観的な指標は以下のとおりであります。なお、本計画においては、投資手法の多様化を事業戦略の一環としていることから、新たに償却前事業利益(事業利益(営業利益+持分法投資損益)+減価償却費)を重要な経営指標としております。

 

① 業績計画(数値目標)

 

2023年3月期
(実績)

長期経営計画

 

フェーズⅠ
2024年3月期~
2028年3月期

フェーズⅡ
2029年3月期~
2033年3月期

事業利益

(営業利益+持分法投資損益)

53億円

70億円
(2028年3月期)

140億円
(2033年3月期)

償却前事業利益

(事業利益+減価償却費)

91億円

110億円
(同上)

180億円
(同上)

自己資本比率

46.5%

30%以上 ※

ネット有利子負債

  /EBITDA倍率

6.7倍

10倍程度

ROA

(事業利益/総資産)

3.6%

4.0%以上

5.0%以上

ROE

(当期純利益/自己資本)

5.9%

6.0%以上

8.0%以上

(注)自己資本比率:自己資本/総資産

ネット有利子負債/EBITDA倍率:ネット有利子負債/償却前営業利益

ROA(事業利益/総資産):事業利益/((前連結会計年度末総資産+当連結会計年度末総資産)/2)

 

※ 財務規律を維持する上での下限値として設定しておりますが、長期経営計画最終年度の2033年3月期末の自己資本比率は40%程度を計画しているなど健全な財務体質を堅持していく方針です。

 

② 投資計画

 

長期経営計画

 

フェーズⅠ
2024年3月期~
2028年3月期
(累計)

フェーズⅡ
2029年3月期~
2033年3月期
(累計)

合計

不動産投資(A)

670億円

1,630億円

2,300億円

更新修繕投資(B)

100億円

100億円

200億円

投資回収(C)

800億円

800億円

ネット投資額

(A)+(B)-(C)

770億円

930億円

1,700億円

 

 

 

 

サステナビリティ投資

(環境投資+人材投資)

40億円

60億円

100億円

 

 

(3)優先的に対処すべき事業上の課題

今後のわが国経済は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化が進み、個人消費の回復や企業の設備投資の増加、賃金の上昇、インバウンド需要の増加等、内需を中心に緩やかな景気回復が続くとみられますが、物価上昇に伴う個人消費の伸び悩みや、資源高、人手不足を背景とした供給制約、及び海外経済の停滞に伴う輸出減等の景気下振れリスクには留意する必要があります。

不動産賃貸業界におきましては、リモートワーク等の拡大によるオフィス需要の変化は継続するとみられ、引き続き不動産市況の動向について注視していく必要があり、将来見通しは楽観視できないと考えられます。

また、少子高齢化、アフターコロナ、複雑化する国際情勢、サステナビリティに対する意識の高まり、IT技術の進展等、わが国を取り巻く環境に大きな変化がみられます。

こうした事業環境の変化に対処すべく、前項「(2)経営戦略・経営指標」にて記載のとおり、当社グループは2024年3月期から2033年3月期の10ヵ年を対象とする長期経営計画を策定いたしました。本計画に掲げる重点施策の中でも特に「次なる成長へ向けた新規事業投資戦略」と「ESGを意識したサステナビリティ戦略」の2点を重点的に対処すべき課題と捉え、取組を加速してまいります。特に重点的に対処すべき課題としております2点につきましては、以下のとおりです。

 

①次なる成長へ向けた新規事業投資戦略

(イ)首都圏を中心としたオフィス、物流倉庫、都市型商業ビルの取得

(ロ)昨今のデータ通信量の増加に応える新データセンタービル開発用地の取得

(ハ)フロー事業(資産回転型事業、エクイティ投資)への取組など投資手法の多様化

(ニ)アセットタイプの一段の多様化(法人向け賃貸レジデンス、ヘルスケア施設等)

(ホ)他社とのアライアンスも含めた海外投資の取組

 

②ESGを意識したサステナビリティ戦略

(イ)TCFD提言への取組を通じた気候変動問題への積極的な対応

(ロ)当社のマテリアリティ(重要課題)に紐付く取組課題・KPIの決定とその進捗管理(GHG排出削減目標の

設定、グリーンビル認証取得面積率の目標設定等)

(ハ)人的資本経営に向けた取組強化(人材育成、多様な人材確保、長期経営計画を支える人員構成、社内環境

整備、DX推進等)

 

上記重点的に対処すべき課題に取り組みつつ、今後とも外部環境や不動産市況等の変化を機敏に捉えながら、長期経営計画を着実に推進することによってステークホルダーの皆様の負託に応えてまいります。

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、取締役会で定めた「サステナビリティ方針」に基づき「サステナビリティ推進規程」を設け、この規程に従ってサステナビリティ推進に関する体制を整備しております。
 社内体制につきましては、最高責任者を代表取締役社長、執行責任者を執行役員管理統括と定め、各種ポリシーや目標、施策の検討・立案を目的に「サステナビリティ委員会」を設置するとともに、体制整備や各種施策の実行を目的として「サステナビリティ推進室」を設置しております。なお、「サステナビリティ委員会」の委員長は代表取締役社長とし、委員会はサステナビリティ推進室員及び各部より任命を受けた委員で構成しております。

 


 

 

委員会は原則として3ヵ月に1回以上開催し、主に以下の事項について、各部門と協力しながら全社横断的に対応しております。

 

① サステナビリティに関する取組方針の検討

② サステナビリティに関するリスクと機会の特定・評価・管理

③ サステナビリティに関するリスクの低減、機会の拡大のための取組の状況の管理

④ サステナビリティに関する取組の進捗を管理するための指標と目標の設定

 

サステナビリティ最高責任者の代表取締役社長は、サステナビリティに関する取組について、委員会の出席者による各議題についての審議・検討を踏まえたうえで意思決定を行うこととしております。

これら委員会の活動内容につきましては、サステナビリティ執行責任者である執行役員管理統括が、年に1回以上経営会議及び取締役会あてに報告を行い、これにより取締役会はサステナビリティへの取組を監督しております。

また、取締役会が監督機能を適切に発揮し続けるための取組の一環として、取締役・監査役に対して毎年実施している研修のテーマにサステナビリティ課題を組み入れ、適切な知見の維持・向上にも努めております。

 

 

(2)戦略

当社グループは、サステナビリティに関する取組が当社グループの事業活動に与える影響について、その重要性が相対的に高いと考えられるサステナビリティ課題から順次影響度を評価し、事業戦略に組み込むべきと考えております。

こうした考えのもと、当社グループが持続的な企業価値の向上と持続可能な社会の実現に向けて、重要度の高い課題の中から特に優先して取り組むべきものをマテリアリティとして特定しております。

 


 

 

当連結会計年度の終了時点においては、当社グループが掲げるマテリアリティのうちE(環境)、S(社会)に関するものとして「気候変動に対するレジリエンス強化」「人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン」に関する取組を、特に重要性が高いものとして事業戦略に組み込んでおり、その内容については以下のとおりです。

 

① 気候変動に対するレジリエンス強化

気候変動がもたらす当社グループへの財務的影響を評価し、当社グループの中長期的な事業戦略に組み込むため、TCFDが提言するフレームワークに沿って、シナリオ分析を行いました。

(イ)シナリオ分析の対象とした範囲

当社グループの事業活動全体を分析の対象としています。当社グループはオフィスビル、データセンタービル、ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)、商業施設、物流倉庫等の賃貸事業と、それに付随するビル管理事業等を行っています。

(ロ)主に参照したシナリオ

TCFDの提言では、2℃以下を含む複数シナリオを踏まえて、自社の戦略のレジリエンスについて説明することが推奨されています。当社グループは主に以下のシナリオを参照しました。

 


 

(ハ)財務的影響度の評価手法

シナリオ分析を通じて特定したそれぞれのリスクと機会に対して、2030年までを「中期」、2050年までを「長期」と定義し、各時間軸における財務的影響度(単年度の損益に与える影響)を「大、中、小、極小」の4段階、発生可能性を「高、中、低」の3段階で評価しました。なお、財務的影響度については将来的に具体的な評価額を分析のうえ開示する予定としており、現在準備を進めているところです。

 

(ニ)1.5℃シナリオに基づく分析

(a)1.5℃シナリオにおいて特定した主要なリスクと機会

1.5℃シナリオでは、2050年のカーボンニュートラルに向けて事業の脱炭素化が強く求められることが想定されます。当社グループが1.5℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は以下のとおりです。

 


 

(b)リスクと機会を踏まえた取組

・省エネ機器への更新

 1.5℃シナリオで想定される省エネ規制の強化に伴う対応コストを低減することを目的のひとつとして、設備の更新時期の到来やテナントの入れ替えといったタイミングに合わせて、照明や空調の省エネ機器への切り替えを順次進めています。これまでにオフィスビルを中心に照明のLED化を進めたほか、データセンタービルでは受変電設備、空調設備の省エネ機器への更新も順次行ってきました。

 

・環境認証の取得

 環境性能の高いビルへの入居ニーズのさらなる拡大を見込み、外部評価を通じて保有するビルの状態を客観的に把握すると同時に、さらなる改善・向上のための参考とすべく、CASBEE不動産評価認証やBELS評価認証などのグリーンビル認証の取得を推進しています。

 2023年3月期末におけるグリーンビル認証の取得実績につきましては、「指標と目標」をご参照ください。

 

(ホ)4℃シナリオに基づく分析

(a)4℃シナリオにおいて特定した主なリスクと機会

4℃シナリオでは、気温上昇を抑えるための脱炭素化が1.5℃シナリオほど強く求められない一方で災害の激甚化が進み、防災・減災に対する社会からの要請が一層強まると想定されます。当社グループが4℃シナリオにおいて発生可能性を「中」以上と認識する主要なリスクと機会は下記のとおりです。

 


 

(b)リスクと機会を踏まえた取組

・風水害への対策投資

 4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減を目的のひとつに、保有物件において防潮板の設置のほか、特別高圧受変電設備の地下から上層階への更新・移設工事を順次行っています。特別高圧受変電設備とは外部から引き込んだ電力を建物内に供給するための設備で、これを上層階へ移設することで、風水害の激甚化に伴う浸水リスクを低減することができます。

 

・パートナー企業との協働訓練

 4℃シナリオで想定される風水害の激甚化に伴う損害・対応コストの低減と、BCP性能の高いビルへの入居ニーズによる収益機会の拡大を目的のひとつに、ソフト面でのレジリエンス強化の取組として、ビルの管理・運営を担うパートナー企業と協働で定期的に訓練を実施しています。訓練では、水害を想定した防潮板の設置や外部からの電力供給遮断に備えた非常用発電機の稼働といったフローを実際に行っており、ハード・ソフト両面からのレジリエンス強化によって、テナント企業にとって信頼性の高い事業空間の提供に努めています。

 

 

② 人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン

当社グループは、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がそれぞれの能力を最大化することが多様化・複雑化する社会において当社グループが持続的な成長を実現するための基盤になると考えており、斯かる認識のもと、「人材育成方針」及び「社内環境整備方針」を以下のとおり定めております。

 

(イ)人材育成方針

(a)京阪神ビルディングは、「革新と効率を尊び、活力ある企業風土」を築くことを経営理念に定め、今後の持続的な成長の実現に向けて、企業風土の根幹をなす人材育成に注力してまいります。

(b)「会社の成長は従業員一人一人の成長の総和」との考えのもと、多様な人材の確保と従業員一人一人の人格・個性・価値観に応じた育成に積極的に取り組んでまいります。

(C)新卒・経験者採用の別、性別、年齢を問わず、多様な人材が適材適所で自律的に成長することを促します。

 

(人材育成に関する取組み)  

・継続的な新卒採用と、経験者採用やシニア世代の積極的な活用等により、多様な人材の確保に努めます。 

・従業員の職務・階層別研修、自己研鑽の機会提供を目的とした資格取得支援制度等によって一人一人のスキルアップを図ります。 

 

(ロ)社内環境整備方針

(a)少人数で効率的な経営を実現するため、多様な人格・個性・価値観をもつ従業員がお互いを尊重し、全ての従業員が能力に応じて活躍できる職場環境を整備してまいります。

(b)生産性の向上と業務の効率化を図るとともに、従業員のワークライフバランスにも配慮した、多様な働き方を可能とする体制・制度の整備等により、従業員一人一人が最大限能力を発揮できる、安全で働きやすい職場環境づくりに努めます。

 

(社内環境整備に関する取組み)

・従業員が多様性を受容し、差別のない健全な職場環境を維持するために、人権研修等の社内啓蒙活動を推進しております。

・従業員を取り巻く環境の変化に拘らず、従業員一人一人が活き活きと働き、最大限のパフォーマンスを発揮できるように、育児・介護休業等の支援制度の充実に取り組むほか、書類の電子化や各種システムの導入を通じて、リモートワーク等の多様な働き方を可能とする体制の整備に努めております。

 

(3)リスク管理

 


 

 

① リスクと機会を特定・評価するプロセス

サステナビリティ執行責任者の執行役員管理統括は、サステナビリティ推進室に対して少なくとも年に1回以上、サステナビリティ課題に関連するリスクと機会の識別及び評価を指示しております。

サステナビリティ推進室は、それぞれのリスクと機会について財務的影響度、発生可能性、投資対効果など検証を行い、その進捗及び評価結果をサステナビリティ委員会へ報告しております。

サステナビリティ委員会では、サステナビリティ推進室によって特定されたリスクと機会について、その財務的影響度と発生可能性についての評価結果をもとに、優先して対応すべきリスクと機会の優先順位付けを行っております。

 

② リスクと機会を管理するプロセス

サステナビリティ最高責任者の代表取締役社長は、優先順位の高いリスクと機会についてのサステナビリティ委員会での審議結果を基に、それぞれについて対応担当部署または担当者を指定し、その対応策の策定を指示しております。

指定された担当部署あるいは担当者が策定する対策案は、その内容に応じて、サステナビリティ委員会、リスク管理委員会、経営会議、取締役会あるいは社内の適切な委員会等の会議体において審議のうえ、全社の事業・財務計画に統合され、実行されています。

また、サステナビリティ課題に関するリスクはリスク管理委員会にも共有しており、サステナビリティ課題に関連するリスクの識別・評価・管理プロセスは、全社のリスク識別・評価・管理プロセスとの統合が図られております。

 

(4)指標及び目標

当社グループはサステナビリティに関する取組の進捗を管理するための指標と目標として、サステナビリティ委員会での審議・検討を踏まえたうえで、それぞれのマテリアリティに紐づくKPIを設定しております。

そのうち特に重要性が高いものとして「戦略」の欄に記載のマテリアリティ「気候変動に対するレジリエンス強化」「人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン」に関する指標と目標は以下のとおりです。

 

① 気候変動に対するレジリエンス強化

主に移行リスクの低減及び収益機会の拡大のため、保有物件からのGHG(温室効果ガス)排出状況及び排出原単位については、Scopeごとの排出量をモニタリングするとともに、Scope1、2の排出量については、以下の削減目標とKPIを設定しました。

 

目標:Scope1、Scope2のGHG排出量を2031年3月期までに2020年3月期比で46%削減

 

KPI①:2031年3月期までに、省エネを通じてScope1、Scope2のGHG排出量を2020年3月期比で10%削減

2023年3月期実績:LED化計画に則って各ビルの照明をLEDに更新し、消費電力削減を図りました。

 

KPI②:再生可能エネルギーの利用

2023年3月期実績:当期末時点での再生可能エネルギーの利用実績はありませんでしたが、2023年4月よりオフィスビル6棟(大阪4棟、東京2棟)においてビル内で使用する全電力を再生可能エネルギー由来の環境価値を付加した電気購入に切替えを予定しております。

 

KPI③:2031年3月期までに、保有物件に占めるグリーンビル認証取得物件の面積率50%以上を達成、今後の新築物件のグリーンビル認証取得100%

2023年3月期実績:虎ノ門ビル、御成門ビル、代々木公園ビル、OBPビルの計4棟のグリーンビル認証を取得しました。これにより当社グループのグリーンビル認証取得物件は計7棟となり、2023年3月期の保有物件に占めるグリーンビル認証取得物件の面積率は、37.3%となりました。

 

 


 

 


 

なお、集計時期の都合により2022年3月期の数値を記載しております。2023年3月期の数値は、2023年7月頃に弊社ウェブサイト(URL https://www.keihanshin.co.jp/sustainability/) に公開予定です。

 

② 人的資本の向上・ダイバーシティ&インクルージョン

戦略に記載した方針に基づく取組についての指標と目標は以下のとおりです。

 

(イ)新卒採用の女性比率(5年平均値)

目標:50%

2023年3月期実績:66.6%

経験者採用やシニア世代の活用については時代背景等の影響があり、現状では男性に偏りがありますが、今後当社グループの将来を担っていく新卒採用については人材の多様化を前進させるとともに、性別を問わず全ての従業員が能力に応じて活躍できる環境整備の指標としております。

 

(ロ)有給休暇消化率

目標:70%以上

2023年3月期実績:76.6%

従業員のワークライフバランスにも配慮した、多様な働き方を可能とする体制・制度の整備等により、従業員一人一人が最大限能力を発揮できる、安全で働きやすい職場環境づくりの推進のため指標として採用しました。

 

 

(ハ)人材育成に係る投資額

目標:100千円/人

2023年3月期実績:56千円/人

「会社の成長は従業員一人一人の成長の総和」との考えのもと、従業員一人一人の人格・個性・価値観に応じた育成に取り組むべく、各階層に応じての研修実施等社内制度を見直してまいりました。引き続き、成長の機会提供を行っていく予定です。

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 自然災害、人的災害等

大規模な地震、風水害等の自然災害や突発的事故、火災、テロ等の人的災害が発生した場合には、当社グループの建物、設備が毀損、滅失又は劣化する等により当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。

上記に対して当社グループは、BCP対応ビルへのリニューアルを適宜実施しております。新築ビルだけでなく、既存ビルについても災害に強いビルへの転換を図り、運用面でもBCP計画の準備・訓練を行うことにより、経営成績及び財政状態への影響抑制に努めております。

 

(2) 気候変動について

当社グループは気候変動を含む環境課題への対応を重要な経営課題の一つとして認識し、マテリアリティとして、「気候変動に対するレジリエンス強化」「環境負荷低減策による資源の持続可能な利用」等を掲げ、事業を通じて気候変動に関連する社会課題の解決に貢献できるよう、取組を進めていきます。

気候変動対応を含めたサステナブル経営を全社横断的に推進するため、社長を委員長と定め、各種ポリシーや目標、各種施策の検討・立案を目的とするサステナビリティ委員会の設置、また、体制整備や各種施策の実行を目的としてサステナビリティ推進室を設置し、環境課題への対応に努めております。

なお、想定を超える事業環境の急激な変化や省エネ規制の強化、建築コスト・資材価格等の高騰により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 土地建物賃貸事業について

当社グループは、土地建物の賃貸を主たる事業としております。

貸ビル等の賃貸事業は、景気動向、企業業績、需給動向などの影響を受けやすい傾向にあります。周辺の不動産賃貸市況の動向等によっては、賃貸料の低下や空室率の上昇により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

また、当社は、不動産取得に付随して発生する不動産取得税及び登録免許税については取得時に費用処理しております。このため、当社が多額の不動産を取得した場合、不動産取得税及び登録免許税の費用計上により、当社の経営成績が大幅に変動する可能性があります。

なお、上記に対して当社グループは、オフィスビル、データセンタービル、ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)、商業施設・物流倉庫等の多様な物件を賃貸しておりますので、市況変動の影響を受ける度合いは比較的低くなっております。

今後とも4つの事業をバランスよく発展させ、また新規投資に当たっては中長期的な採算を重視しリスクの低減に努めてまいります。

 

 

(4) 大阪地区における事業展開について

当社グループの賃貸物件は、大阪府(特に大阪市)を中心とした京阪神地区に集中しております。

土地建物賃貸事業の売上高のうち大阪府の割合は、2021年3月期79.4%、2022年3月期79.5%、2023年3月期80.0%と高い水準で推移しております。

従いまして、大阪地区における大規模な地震その他の災害、貸ビルの需給動向等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

土地建物賃貸事業の売上高の地区別構成比

 

2021年3月期(%)

2022年3月期(%)

2023年3月期(%)

大阪府
(うち大阪市)

79.4

(74.3)

79.5

(75.0)

80.0

(75.7)

兵庫県

3.2

2.7

2.6

京都府

3.6

3.1

3.0

首都圏

12.5

13.6

13.4

その他

1.3

1.1

1.0

合計

100.0

100.0

100.0

 

上記に対して当社グループは、関西圏への集中リスク低減のため、長期経営計画でも掲げているとおり、首都圏への投資を積極的に進めてまいります。なお、2022年11月には将来に向けて不動産価値の向上が期待できる開発用地として南青山土地を取得し、2023年6月には浅草駅前ビルを取得しました。

 

(5) 特定の取引先への依存度について

当社グループの売上高のうち、最近の2連結会計年度において販売依存度が総販売実績の10%を超える取引先は下表のとおりであります。

 

相手先

2022年3月

2023年3月

売上高(千円)

割合(%)

売上高(千円)

割合(%)

日本中央競馬会

3,473,000

19.5

3,481,805

18.4

エクイニクス・ジャパン㈱

2,985,753

16.8

3,424,760

18.1

ソフトバンク㈱

2,183,378

12.3

2,407,041

12.7

 

 

ウインズビル(場外勝馬投票券発売所)の賃貸は、1949年以来、当社グループの事業の中心を占めております。当社グループと日本中央競馬会は、原則として3年毎に賃貸料等の条件を見直すこととなっております。

エクイニクス・ジャパン㈱の売上高は、大部分が長期賃貸借契約に関連するものでありますが、同社との賃貸料については協議のうえ改定できるものとしております。

ソフトバンク㈱の2023年3月期における売上高の内1,631百万円(67.8%)が長期賃貸借契約に関連するものでありますが、同社とは原則として2年毎に賃貸料等の条件を見直すこととなっております。

上記3社への売上集中に対して当社グループは、既存ビルや新規ビルの開発・取得を通じ入居テナントの多様化を図るとともに、今後とも適切なサービスの提供、テナントリレーションの強化を通じて、退去リスクの低減、賃料水準の維持・改善に努めてまいります。

 

(6) 資産価格の変動

当社グループが保有する資産(土地、建物、投資有価証券等)について、時価下落や収益性低下等があれば、固定資産の減損会計、金融商品会計に基づく会計処理により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

上記に対して当社グループは、土地、建物等の賃貸不動産については地域ポートフォリオの分散、立地を重視した投資を行うことによって、時価下落の影響を最小限に抑えるよう努めております。また、資産の入れ替え、バリューアップ等により、収益性低下の防止にも取り組んでまいります。投資有価証券については、個別銘柄毎に定量的及び定性的な観点を踏まえて、毎年取締役会において検証を行い、保有の意義が乏しいと判断される銘柄については売却を検討いたします。

 

 

(7) 感染症の拡大

新型コロナウイルス感染症は収束に向かっているとみられ、社会経済活動の正常化が期待されておりますが、感染症の拡大が再発し、また局地的な流行が発生した場合、当社グループの業績及び事業活動が大きく影響を受ける可能性があります。

当社グループでは従業員の健康と安全維持のため、就業規則の見直しや各種感染予防対策を講じてきました。新たな感染症の発生等により状況が大きく変化した場合には、政府や自治体の要請等も踏まえ、在宅勤務や時差出勤等の柔軟な働き方の促進に努めます。

 

(8) 有利子負債への依存度

当社グループは、営業地盤の拡充と安定化を目指し、賃貸不動産の新築・取得を進めてきましたが、これらの建設資金や取得資金の多くを金融機関からの借入及び社債発行により調達しております。有利子負債の大部分は固定金利でありますが、借換えや新たな投資のための将来の資金調達に関しては、金利の変動により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

なお、連結総資産に対する連結有利子負債の割合は下表のとおりであります。

 

 

2021年3月

2022年3月

2023年3月

有利子負債残高(A)(千円)

66,645,150

64,859,950

67,156,550

総資産額(B)(千円)

154,043,383

149,994,569

152,321,306

有利子負債依存度(A/B)(%)

43.3

43.2

44.1

 

上記に対して当社グループは、足許の低金利環境を活かし、有利子負債の平均調達利率の低減に取り組んでおります。また、低金利のメリットを長期にわたり享受するべく、平均返済期間の長期化に取り組んでおります。

 

(9) コンプライアンス

当社グループにおいて、法令等に抵触する事態が発生した場合には、罰則や賠償等が課せられ社会的信用を損なうため、当社グループの事業活動に大きな制約を受けるとともに、経営成績や財政状態に大きな影響を受ける可能性があります。

上記に対しまして、当社グループでは人事総務部を主管部門とし、各部よりコンプライアンス委員を選出し、コンプライアンス委員会を定期的に開催しております。同委員会においては、各部におけるコンプライアンス取組について項目ごとに検証するとともに、全社的な研修会を開催しており、法令等の遵守について周知徹底に努めております。

 

(10) 法令・税制の変更

当社グループは、土地建物賃貸を主な事業の内容とし、それに付随するビル管理等の事業活動を行っております。従って当社グループが営む事業は、主として不動産・建築等各種の法令や条例による規制を受けております。これらの変更によっては、当社グループの業績や業務遂行が影響を受ける可能性があります。また関連する各種税制の変更によっても、当社グループの業績や財政状態が影響を受ける可能性があります。

上記に対して当社グループは、関連する法令や税制の改定について常に情報を収集し、適切に対応してまいります。

 

(11) 情報セキュリティ

当社グループは、事業活動において入手した顧客情報や取引先情報などの重要情報をITシステム上で取り扱っております。それらの情報に関し、ウイルス感染やサイバー攻撃などにより機密情報が漏洩した場合、当社グループの事業活動に重大な影響が生じるだけでなく、社会的信用の喪失、お客様の喪失、損害賠償請求などが発生する可能性があります。

当社グループでは、これら重要情報の取扱にあたり、規程や管理体制の構築、従業員の教育、ウイルス感染や不正アクセスなどを防止するセキュリティ対策を実施し、継続的に対策強化を図っています。

 

 

当社グループは上記リスクのうち「自然災害、人的災害等」が特に重要なリスクとして認識しておりますが、当該リスクが顕在化する可能性や時期を予測することは困難であります。斯かるリスクが顕在化した場合は「土地建物賃貸事業について」「大阪地区における事業展開について」等に影響を及ぼすことになります。

当社グループを取り巻くさまざまなリスクについては、リスク管理の方法や対応方針などの基本事項を「リスク管理規程」として定め、この規程に基づき全体的なマネジメントを行うため、社長直轄の全社横断的な組織として「リスク管理委員会」を設置し対応しております。同委員会では、当社グループが持つリスクを一つ一つ認識・評価し、そのリスクの特性に応じた対策、対策の進捗管理と定期的な見直しを行っており、総合的なリスクの管理状況をとりまとめております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナウイルス感染を警戒した行動制限の緩和、全国旅行支援の効果等により個人消費の増加が続き、水際対策緩和や円安効果でインバウンド需要が伸びるなど景気は緩やかに持ち直しております。一方、ロシア・ウクライナ情勢に端を発したエネルギー価格の高騰、世界的なインフレにより先行き不透明な状況にあります。

不動産賃貸業界におきましては、リモートワーク等の普及により事業拠点を見直す動きが広がる一方で、ビジネス地区における大規模な新規開発によりオフィスの供給増加も見込まれ、引き続き空室率は高水準で推移しております。

このような環境の中、当社においては営業活動に注力した結果、当期末時点の空室率は1.46%に留まり、引き続き高い稼働率を維持しております。加えて、当社は首都圏でのアセット強化の一環として、2022年11月に東京都港区南青山で土地を取得する等、次なる成長に向けた新規投資に積極的に取り組むと共に、既存ビルにおいては、自然災害への予防保全や省エネ化推進を図ることで資産価値向上に努めてまいりました。

当期の連結業績は、2021年4月に竣工したOBPビルの稼働率向上を主因として、売上高は18,879百万円と前期比1,063百万円(6.0%)の増収となりました。売上原価は、前年度のOBPビル取得に係る不動産取得税等の初期費用の負担がなくなったものの、電気代の高騰による費用増により、売上総利益は7,084百万円と前期比419百万円(6.3%)の増益に留まりました。つれて営業利益は5,375百万円と前期比250百万円(4.9%)の増益となりました。

営業外損益では、前期の245百万円の費用(純額)から、当期は334百万円の費用(純額)となり、88百万円増加しました。その結果、経常利益は5,040百万円と前期比161百万円3.3%)の増益となりました。

特別損益では、前期の2,547百万円の利益(純額)から、当期は投資有価証券及び固定資産の売却による特別利益が減少したこと等により978百万円の利益(純額)となり、1,569百万円減少しました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は4,186百万円と前期比978百万円18.9%)の減益となりました。

 

 

当社グループは、土地建物賃貸を主たる事業としている「土地建物賃貸事業」の単一セグメントであります。なお、当社グループが展開する事業部門別の状況は以下のとおりであります。

 

 

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高(百万円)

割合(%)

売上高(百万円)

割合(%)

オフィスビル事業

4,286

24.1

4,476

23.7

データセンタービル事業

9,073

50.9

9,903

52.5

ウインズビル事業

3,473

19.5

3,498

18.5

商業施設・物流倉庫等事業

982

5.5

1,001

5.3

17,815

100.0

18,879

100.0

 

 

①オフィスビル事業

当社グループは大阪・東京のビジネス地区を中心に計8棟のオフィスビルを保有・賃貸しております。最新の物件はデータセンタービルの運営ノウハウを活かした高度なBCP機能を有するほか、築年数が経過したビルでも、計画的な設備更新やメンテナンスにより、新築ビルと遜色のない、安全で快適な事業空間の提供に努めています。

働き方改革の進展によるオフィスの在り方の見直しと大規模物件の竣工による新規供給が相まって、オフィスの空室率の上昇が懸念されていますが、当社グループのオフィスビル事業への影響は軽微で、高い稼働率を維持しております。連結売上高は、既存の瓦町ビルに加えて、当年度に取得した南青山土地が収益獲得に貢献したことにより、前年同期比189百万円(4.4%)増収の4,476百万円となりました。

 

②データセンタービル事業

当社グループは大阪都心部に計8棟のデータセンタービルを保有・賃貸しております。24時間365日絶えず稼働するデータセンタービルでは、免震構造等の採用による高い防災性能、大型非常用発電機による安定的な電力供給、先進のセキュリティシステム等により、高い信頼性を確保しております。また、30年以上にわたるデータセンタービル賃貸実績に基づく、充実した保守管理サービスも高く評価されております。

デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進を背景にデータセンターの需要は今後も堅調に推移するものと見込んでおります。連結売上高は、昨年度に竣工したOBPビルのほか、既存ビルでは西心斎橋ビルにおいて機器室の稼働が向上したため、前年同期比830百万円(9.2%)増収の9,903百万円となりました。

 

③ウインズビル事業

ウインズビルは日本中央競馬会(JRA)が主催するレースの投票券を場外で発売する施設で、当社グループは京都・大阪・神戸の都心部に計5棟を保有・賃貸しております。当事業の歴史は創業時にさかのぼり、長年にわたって安定的な収益を生み出す中核事業の一つとなっております。

インターネット投票の普及が進み、ウインズビルでの投票券の売上比率は低下傾向にありますが、固定賃料で賃貸しておりますので業績への影響は軽微であります。連結売上高は前年同期比25百万円(0.7%)増収の3,498百万円となりました。

 

④商業施設・物流倉庫等事業

当社グループは首都圏・関西圏を中心に6棟の商業施設・物流倉庫等を展開しております。商業施設はターミナル駅、物流倉庫は幹線道路近くと交通利便性の高い立地をターゲットとし、収益物件の取得に向けて情報収集活動に努めております。連結売上高は前年同期比18百万円(1.9%)増収の1,001百万円となりました。 

 

 

生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。

 当社グループの主な事業は、土地建物賃貸事業であり、①生産実績②受注実績の該当はありません。

③販売実績

 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

日本中央競馬会

3,473,000

19.5

3,481,805

18.4

エクイニクス・ジャパン㈱

2,985,753

16.8

3,424,760

18.1

ソフトバンク㈱

2,183,378

12.3

2,407,041

12.7

 

 

(2) 財政状態

当連結会計年度末における総資産は152,321百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,326百万円1.6%)増加しました。現金及び預金は4,563百万円、未収消費税等は還付により1,850百万円各々減少したものの、2022年11月に南青山土地の信託受益権取得により信託土地が8,655百万円増加したことが主な要因であります。

負債合計は81,450百万円となり、前連結会計年度末比1,966百万円2.5%)増加しました。固定資産の取得に要する資金調達を行ったこと等により有利子負債が2,296百万円増加したことが主な要因であります。

純資産合計は70,870百万円となり、前連結会計年度末比360百万円0.5%)増加しました。その他有価証券評価差額金は225百万円減少したものの、利益剰余金が708百万円増加したことが要因であります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況 

科目

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

2,736

8,917

投資活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△8,652

△12,104

財務活動によるキャッシュ・フロー(百万円)

△5,757

△1,376

現金及び現金同等物の増減額(百万円)

△11,674

△4,563

現金及び現金同等物の期末残高(百万円)

9,876

5,312

 

 

①現金及び現金同等物

当連結会計年度末における現金及び現金同等物は5,312百万円となり、前期末比4,563百万円減少しました。

 

②営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られた資金は8,917百万円(前連結会計年度は2,736百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益6,019百万円、減価償却費3,818百万円、前期に計上した未収消費税等1,850百万円の還付により主要な資金を得ましたが、法人税等の支払額1,635百万円、投資有価証券売却益1,006百万円の特別利益の控除要因がありました。

 

③投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により使用した資金は12,104百万円(前連結会計年度は8,652百万円の支出)となりました。投資有価証券の売却により1,087百万円の資金を得ましたが、南青山土地の信託受益権や関目高殿住宅等の有形固定資産の取得により12,895百万円の支出がありました。

 

④財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により使用した資金は1,376百万円(前連結会計年度は5,757百万円の支出)となりました。固定資産取得資金として、長期借入れにより4,700百万円を調達しましたが、配当金の支払額1,912百万円、自己株式の取得1,760百万円、長期借入金の返済1,703百万円、短期借入金の返済700百万円の支出がありました。

 

 

⑤資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの資金需要の主なものは、新たなビルの取得、開発及び所有ビルの改修工事等の設備投資に係る資金であります。その所要資金は自己資金、金融機関からの借入及び社債の発行により調達しております。また、当社の事業は資金回収に長期間を要するため、返済・償還期限を長めに設定しております。当連結会計年度末の有利子負債の内訳については、連結附属明細表の「社債明細表」及び「借入金等明細表」に記載のとおりであります。

当社グループは2019年10月に策定した中期経営計画「ここからの挑戦~新たな成長のステージへ~」に基づいて事業を推進してまいりました。同計画で掲げる経営指標の2020年3月期から2023年3月期までの推移は以下のとおりです。

 

指標

2020年

3月期

(初年度)

2021年

3月期

(2年目)

2022年

3月期

(3年目)

2023年3月期

2026年

3月期

(目標)

(4年目)

(目標)

(目標比)

売上高(億円)

153

153

178

188

186

101%

220

営業利益(億円)

54

52

51

53

55

96%

80

経常利益(億円)

52

50

48

50

51

98%

75

税引後償却前経常利益

(億円)

58

57

71

73

71

103%

100

総資産(億円)

1,366

1,540

1,499

1,523

1,666

91%

1,950

ネット有利子負債(億円)

451

450

549

618

752

82%

920

ネット有利子負債

/EBITDA倍率(倍)

5.9

6.0

6.2

6.7

8.2

7.3

自己資本(億円)

642

704

703

707

737

96%

820

自己資本比率(%)

47.0

45.7

46.9

46.5

44.2

+2.3%P

42.0

ROA

(営業利益/総資産)(%)

4.0

3.6

3.4

3.6

4%台

を確保

4%台

を確保

 

(注)税引後償却前経常利益:経常利益×(1-法定実効税率)+減価償却費

ネット有利子負債/EBITDA倍率:ネット有利子負債/償却前営業利益

自己資本比率:自己資本/総資産

ROA(営業利益/総資産):営業利益/((前連結会計年度末総資産+当連結会計年度末総資産)/2)

 

(補足)

1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

2.有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

3.ネット有利子負債は、有利子負債残高から現金及び預金残高を減算しております。

4.償却前営業利益は、営業利益に減価償却費を加算しております。

 

(新たな長期経営計画策定について)

こうしたなか、上記中期経営計画期間中に、不動産マーケットの高騰や新型コロナウイルス感染症の影響による経済停滞やワークスタイル、ライフスタイルの変化等の影響を受け、当社グループを取り巻く事業環境は大きく変化いたしました。このような状況下、より高い利益成長と高い資産・資本効率を実現するためには、当社グループを取り巻く外部環境の変化に対応できる基盤や体制の一段の整備を図るとともに、新経営体制のもと2048年に迎える創立100周年を見据えた成長基盤の確立とESGを意識したサステナブル経営推進のための改革が必要となってまいりました。こうしたことから、上記中期経営計画を見直し、当社グループは、2023年5月に長期経営計画(2024年3月期から2033年3月期の10ヵ年を対象)を新たに策定いたしました。

本計画期間中は自己資本比率30%以上、ネット有利子負債はEBITDA(償却前営業利益)の10倍程度の堅持を掲げるなど健全な財務体質の維持を図りつつ、資産回転型事業やエクイティ投資・海外投資、一段と多様なアセットタイプへの投資等を検討することで、ストック事業とフロー事業のバランスのとれた収益構造への転換や、景気変動リスクを低減し、安定した収益基盤の拡充を図る方針です。そして、フロー事業への取組等によるROA向上を目指し、結果としてROEの改善・向上の実現を目指します。なお、本計画においては、投資手法の多様化を事業戦略の一環としていることから、新たに償却前事業利益(事業利益(営業利益+持分法投資損益)+減価償却費)を重要な経営指標としております。本計画の詳細については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略・経営指標」に記載しております。

 

(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

① 固定資産の減損

「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 資産除去債務

当社グループは、一部の借地について、不動産賃貸借契約に基づく退去時の原状回復に係る債務等を有しておりますが、当該債務に関連する賃借資産の使用期間が明確でなく、また、現時点において将来退去する予定もないことから、資産除去債務を合理的に見積もることができません。そのため、当該債務に見合う資産除去債務を計上しておりません。

将来の退去時期が明らかになるなど、当該債務額を合理的に見積もることが可能になった場合には、その時点で当該債務に見合う資産除去債務を計上することになります。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。