文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは企業を「社会貢献の器」と捉えており、「良質廉価」を追求し、安定した納税と雇用、環境への配慮にも取り組み、事業活動を通じて社会を支え続け、人々に幸せを届けることが最大の社会貢献であると考えております。
当社グループ従業員全員が「ジェイテクトの基本理念」を日々の業務で実践できるよう、理解・浸透活動に注力しております。
(2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは損益分岐点売上比率を経営上の目標の達成状況を判断するための最も重要な指標とし、売上に左右されない体質づくりに取り組んでおります。また、経営状況を把握する指標として、売上収益、事業利益、事業利益率、棚卸資産回転月数、NET DEレシオ、ROA及びROE等の実績を用いております。
(3) 長期的な会社の経営戦略
社会を取り巻く環境は、温暖化等に代表される環境問題やエネルギー資源の枯渇、新興国の経済発展・人口増加に伴う水・食料の不足、先進国での高齢化等、様々な課題が顕在化しております。各産業分野で社会の持続的な成長に向けてテクノロジーにより社会的課題の解決が図られている中で、当社グループの売上収益の約8割を占める自動車産業においても、100年に一度の大変革期と言われているとおり、自動運転や電動化等CASEに代表される技術革新が急速に進んでおります。環境規制は更に強化され、カーボンニュートラルに向けた再生エネルギーの活用や水素社会の実現に向けた取組みも着実に進んでおります。
これらの取り巻く環境の変化に対応し、社会課題の解決を通して企業を成長させるため、2030年の目指す姿及び、その実現に向けた「長期・中期経営計画」を2021年4月に策定いたしました。
<2030年の目指す姿>
・新領域:ジェイテクトグループシーズの活用、トヨタグループ連携で勝ち抜く
・既存事業:競争力を強化し、事業の更なる成長を図る
<中期経営計画>
2030年までの10か年を、3年、3年、4年の三期に分け、第一期中期経営計画期間に当たる2021~2023年度は、「体質強化の3年」と位置付け、①人づくり、仕組みづくり、②競争力強化、③経営基盤強化、④将来への種まきの4つに取り組んでおります。第一期中期経営計画期間は失われた競争力の回復を最優先事項と捉え、価格・性能・品質・対応力の全てにおいて競争力を強化してまいります。自動車事業においては、電動化・自動運転に対応するステアリングシステムと駆動製品の開発及び、それらを実現するために必要な生産技術革新によって、更なる「安全・安心な走り」を社会に提供し、競争力を強化してまいります。産機・軸受事業においては、徹底した他社ベンチマーキングによって自動車の電動化や半導体分野等の成長領域・新分野における「良質廉価」の追求と競争力強化で、お客様に更なる付加価値を提供してまいります。工作機械・システム事業においては、当社及び当社グループがそれぞれ持つ強みを掛け合わせ、お客様のニーズに合った工作機械・製造ラインを提案し、競争力強化に取り組んでまいります。これら既存事業で創出した資金を、将来の事業の柱の創出・育成や社会課題を解決する新領域の開拓等、将来への種まきに投じてまいります。これらの取組みによって「年輪経営」を実現し、経営基盤を強化してまいります。
(4) 経営環境
当連結会計年度の当社グループを取り巻く環境は、原材料価格・物流費・エネルギー費高騰、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめとする各所での地政学リスクの顕在化や中国のゼロコロナ政策による影響はあったものの、コロナ禍からの経済活動の正常化が進み、概ね緩やかな回復傾向が継続している状況であります。
(5) 優先的に対処すべき課題
当社は「体質強化の3年」と名付けた第一期中期経営計画の目標として、損益分岐点売上比率(2019年度売上収益比)80%、事業利益1,000億円を掲げております。2023年度はこの第一期の最終年度であり、「体質強化の3年」を締めくくり、結果を出す年として、引き続き「人づくり、仕組みづくり」「経営基盤強化」「競争力強化」「将来への種まき」に注力するとともに、経営基盤強化の取組みの中に「DX(デジタルトランスフォーメーション)」と「リスク管理」を追加しました。
「人づくり、仕組みづくり」において、2022年度は「徹底的なマーケット視点への変革」を掲げ、JTEKT Ultra Compactシリーズ等、一定の成果を生みましたが、未だプロダクトアウトの発想が抜けきっていないことが課題であります。「ジェイテクトの基本理念」の要素である「本気」と「対話」を通じて、お客様さえも気付いていない「潜在ニーズ」を発掘し、最短のリードタイムでソリューションを提案することを目指してまいります。
「経営基盤強化」について、2021年度から引き続き、損益分岐点売上比率の引き下げに取り組んでまいりました。2022年度は、急激な外部環境悪化があったものの、損益分岐点売上比率の体質目標を達成するとともに、利益目標を達成することができました。第一期の最終年度である2023年度は収益体質強化の新たな施策として、中堅の当社グループ会社に対するガバナンス強化を追加することで、如何なる環境下でも黒字を確保できる体質づくりを達成してまいります。
「競争力強化」「将来への種まき」においては企業を取り巻くリスクが多様化し不確実性が高まる中で、この先10年以上にわたって継続できる事業を見極め、投資することが持続的な成長には欠かせないと考えております。自動車、産機・軸受、工作機械、これらの3つの柱に続く4本目、5本目の柱として期待しているのが、ギヤビジネスと高耐熱リチウムイオンキャパシタであります。どんな事業も、外部環境の変化によって多少の浮き沈みはありますが、複数の事業がきちんと自立し、互いに補完しながら安定した収益を上げることができれば、逆境にも耐えられる強い企業になれると考えております。他社を圧倒するNo.1 & Only Oneにこだわった製品・サービスをお客様に提供するため、成長分野と社会ニーズから当社が担うべき市場を設定し、当社グループのシナジーを活かした新しい価値を創造してまいります。
そして、2023年度は次の3か年に向けた第二期中期経営計画を策定してまいります。10年、20年後も当社グループの全従業員が安心して働ける企業グループであり続けるために、「未来のジェイテクトグループ像」を一心不乱に考える年として取り組んでまいります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) サステナビリティへの取組み
当社は、2020年度に実施した2030年の目指す姿、中期経営計画の立案プロセスにおいて、マテリアリティ(重要課題)を策定いたしました。
このマテリアリティは、様々な社会課題の中から、当社事業を通じて解決する社会課題と当社を支える事業基盤の重要課題に層別し、それぞれの実現すべき姿を表したものであります。

これらマテリアリティのなかから、当社が特に重要と判断するサステナビリティの取組みにつき、以下で環境、社会、ガバナンスの観点から整理し記載しております。なお、関連する情報については当社統合報告書(ジェイテクトレポート)や当社企業ウェブサイト(https://www.jtekt.co.jp/sustainability/)でも公表しております。
(2) 環境
当社は、人の命を最優先し、安全第一・品質第二にこだわってNo.1 & Only One を目指して、地球、世の中、お客様に貢献し続けるという基本理念を掲げております。この理念のもと、当社は環境負荷極小化社会への貢献がグループ全体で取り組むべき課題であると判断し、2016年に「環境チャレンジ2050」を策定しました。
「環境チャレンジ2050」では、「製品・技術」「低炭素社会の構築」「循環型社会の構築」「自然共生・生物多様性」「環境マネジメント」を5つの柱として環境経営に関する行動計画を明記しました。その中で、事業における中長期の気候関連リスクと機会を特定して影響を定量的に把握し、事業戦略に反映していくことが、持続的に成長できる企業の条件であると考えております。
① 地球温暖化防止
当社は、CO2排出量削減による地球温暖化防止をマテリアリティの1つとして掲げ、2018年に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)への賛同を表明しました。
(a) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は取締役会と同様に社外役員を含めた全役員で構成される「企業価値向上委員会」に報告され、監督を受けるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会、取締役会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織には環境専門部会を設置し、省エネ/資源循環/生産技術革新/エネルギーインフラ/物流/技術・研究/バリューチェーン等、スコープ3排出量の削減も含めた気候変動への対応について、各分野における実務的な検討、評価を行っております。工場レベルの体制としては、各工場において工場長を委員長とした「工場環境保全委員会」を組織しており、隔月の委員会においてCO2排出量をモニタリングしております。
その他、グループを横断した環境取組みを実現するため、ジェイテクトグループ環境連絡会を設置しており、国内・海外グループ各社の取組みの振り返りや次年度の取組み計画の審議、環境マネジメントに関する意見交換等を行います。さらに2021年には社長直轄の「カーボンニュートラル戦略室」を設置し、事業本部間の意思疎通の円滑化を進めております。
(b) 戦略
当社は、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込んで活動を推進しております。これら一連の数値目標は中長期的な環境経営の根幹となっております。
今回当社はTCFD提言に基づき、脱炭素社会への移行による影響が想定される1.5℃(2℃未満)シナリオと、気候変動が進展し、物理的な影響が顕著になる4℃シナリオという複数のシナリオを使用し、分析を行いました。分析にあたっては、CO2排出量を2013年度比60%削減とする目標年の2030年度と、「環境チャレンジ」の目標年である2050年度における事業への影響を予想し、項目別にリスク/機会として特定しました。
■使用したシナリオ
■リスク機会一覧
(注)1 時間軸 短期:現在~2025年 中期:2030年 長期:2050年
2 影響度評価は以下のとおり設定しております。
大: 影響額が100億円超のもの
中: 影響額が10億円~100億円以内のもの
小: 影響額が10億円以内のもの
1.5℃(2℃未満)シナリオにおいて想定される主なリスクとして、炭素税をはじめとする規制の導入・強化を背景とした操業費の増加や、自動車の燃費・排ガス規制の強化による内燃機関車向け製品の売上減少等を特定しました。これらのリスクを回避するために、生産プロセスの省エネ化や物流の改善、製品開発の加速等を行う必要があると考えております。一方、内燃機関車からBEV(電気自動車)やFCEV(燃料電池車)への移行は、当社事業の機会としても捉えております。当社は現在、電動車向けベアリングや耐水素ベアリング、次世代車と内燃機関車に共通する製品であるステアリングシステムや駆動部品を展開しております。特に、2022年10月にリリースした超幅狭軸受「JTEKT Ultra Compact BearingTM」は、軸受の幅寸法を極限までコンパクト化することに成功。ユニットの小型化、軽量化への貢献が可能となりました。今後はこれら製品の販売や新製品の研究開発に一層注力し、市場拡大を図ります。
(c) リスク管理
当社は、環境リスクを全社レベルのリスクマネジメント体制へ統合し、管理しております。環境リスクについては、取締役社長を委員長とする「企業価値向上委員会」が特定・評価・管理のプロセスを担っております。「企業価値向上委員会」では、「ジェイテクト環境委員会」や環境マネジメントシステム(ISO14001)で抽出されたリスクの識別・評価を行い、影響度、重要性、脆弱性、発生可能性の観点から優先順位付けした上で、回避・軽減等の対策を決定・登録・管理しており、今後の取組みについて全部署へ共有されております。また、重要リスクについては定期的に取締役会に報告しております。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、2035年までにCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を設定しております。また、中期目標の「2030年マイルストーン」としてCO2排出量を60%削減(2013年度比)するとともに、国内外のグループ会社を含め、ジェイテクトグループ全体でCO2低減活動を進めております。
■中長期目標

■スコープ別CO2排出量
(単位:千t-CO2)

② 循環型社会への貢献
当社は、循環型社会への貢献をマテリアリティの1つとして掲げ、生産における副資材使用量の削減、生産品目上発生量の多い廃棄物の削減、水使用量の削減等、様々な取組みを行っております。
(a) 戦略
当社では、「環境チャレンジ2050」に基づき、5年ごとに「環境行動計画」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込み、廃棄物及び水使用量の削減活動を推進しております。
現在、世界的な人口増加や経済成長に伴う消費拡大により、世界の資源採掘量及び廃棄物量は増加傾向にあり、その枯渇も懸念されております。このような状況において、当社の継続的な事業活動のためには生産に必要な副資材使用量及び廃棄物の削減が不可欠と考えております。特に排出量の多い汚泥、廃油を重点品目に指定し、優先的に改善を行うとともに、金型の長寿命化の取組みを行い、副資材使用量の削減活動を推進しております。
また、事業を継続する上で必要な良質な淡水は、その利用が制限された場合には当社の生産工程である熱処理、洗浄工程等の稼動に多大な影響を与える可能性があるため、水使用量削減に向けた取組みが必要となります。当社は、特に水ストレス地域であるインド・メキシコに対して水使用量の削減目標を設定する等、取組みを進めております。
(b) リスク管理
「①地球温暖化防止(c)リスク管理」の記載をご参照ください。
(c) ガバナンス
当社では、取締役社長が委員長を務める「ジェイテクト環境委員会」を中心とした環境経営の推進体制を構築しております。「ジェイテクト環境委員会」は年2回開催し、会社方針に基づいて目標値を設定するほか、方策の審議・決定及び進捗状況の管理を行っております。同委員会での審議の結果は社外取締役を含む全役員が出席する「企業価値向上委員会」に報告・審議されるとともに、対策に予算措置が必要な場合は経営役員会に上程し、経営陣の審議を経て経営戦略に反映しております。
また、「ジェイテクト環境委員会」の下部組織である環境専門部会の一つである「生産環境改善部会」において、廃棄物と水使用量の削減に関するKPIを設定し、経営役員である全社環境総括役員を筆頭として、取組みの進捗確認、議論、審議等を行っております。
(d) 指標と目標
当社は「環境チャレンジ2050」で掲げている環境負荷の極小化に向け、内製生産高当たり廃棄物量/水使用量の原単位削減目標を設定し、2025年までに2018年度比7%削減を目標として取り組んでおります。また、5年ごとに「環境取組みプラン」を策定し、毎年の会社目標へ落とし込み、活動を推進しております。
③ 環境負荷物質削減
(a) 当社の考え方、戦略
当社は製品含有化学物質管理において、環境保護や人体への影響を考慮し、環境負荷物質削減をマテリアリティの1つに掲げております。当社は、製品を提供する上での法的/社会的責任を果たすため、各種法令規制や要請を遵守することを企業活動における重要な方針としております。
(b) リスク管理
当社の製品含有化学物質管理が抱える社会/お客様へのリスクは、環境負荷物質の流出による法的責任の発生と、世の中からの信頼失墜が生じることであります。また、社内管理が不十分であると、国内外の規制変更や厳格化に対応できず、当社製品の使用が制限されることがあります。これにより、製品の供給/販売が困難となり、回収や切り替えコストの発生による価格競争力の低下がリスクとして懸念されます。
上記リスク回避のため、化学物質の安全性に関する最新の情報収集や、適切な規制遵守、社内外への製品含有化学物質管理の重要性周知等、製品含有化学物質管理の強化と改善を継続します。具体的な一例として、製品の研究や設計段階から、原材料や部品の調達時に化学物質の安全性や使用料を確認、成分表示を明確にした上で、必要に応じて顧客へ正確な情報を提供するようにしております。
(c) ガバナンス
当社では、研究開発本部副本部長が委員長を務める「製品環境委員会」を中心とした製品含有化学物質管理体制を構築しております。同委員会は年2回開催され、会社方針に基づいて課題の明確化と目標設定をするほか、方策の妥当性協議及び決定、進捗状況の管理を行っております。
また、同委員会の下部組織には、7つのワーキング・グループを設け、製品含有化学物質管理に関する全社方針の策定、国内外の体制構築、社内外の監査/教育、製品含有化学物質変更の際の設計変更や製品の切り替え推進について、役割分担と責任の所在を明確化した上で、活動を進めております。
(d) 指標と目標
当社は、製品含有化学物質管理について、2021年度からの5か年計画として、下記図に示すビジョンを策定しております。具体的には、2023年度までに顧客からの要求に積極的に対応するため、年2回以上の要管理化学物質リストの更新を行なうことや、属人化しない仕組みとして、関連する全ての全社規程の見直し等を推進します。さらに2026年度に向けて、化学物質の安全性に関する最新の情報収集や、サプライチェーンを含む関係会社の教育監査体制の仕組みを強化し、顧客要求を超える管理体制の構築を目指します。なお、これらの指標や管理体制は定期的に評価し、改善に向けた取組みを継続します。

図 2026年度に向けた当社の製品含有化学物質管理ビジョン
(3) 社会
当社は、「人づくり・仕組みづくり」にあたって、社内環境の整備と人財の育成が欠かせない要素であると考え、様々な取組みを行っております。
① 労働安全衛生(社内環境整備①)
(a) 当社の考え方、戦略
当社では「全ての災害は必ず防ぐことができる」を全社安全衛生理念とし、全従業員が一体となって全員参加の安全衛生活動や快適な職場環境づくりに取り組んでおります。またオールジェイテクトにおいても、安全衛生理念を表したグローバルメッセージ"All for One in Life"を発信し、命と健康を中心に置いた活動を通じて災害ゼロ実現を目指しております。

これら活動の一例として、機械加工に伴い騒音や粉塵が発生する職場や、熱処理工程等の高温になる職場、化学物質を取り扱う危険な職場等に対して、労働安全衛生に関する法令に基づき年に2回作業環境の測定を実施し、特に改善が必要と判断した職場については、優先順位に基づき改善を進め、着実に成果を上げております。
(b) リスク管理
当社では、過去の災害から重大な障害となる製造過程における6点の災害(重点6災害)、特に「挟まれ・巻き込まれ」のリスクがある設備に対して、リスクレベルによるランク付け、ラベル表示を行い、確実に改善が完了するよう、計画の立案~推進まで全社一丸となって取り組んでおります。
これら労働災害未然防止の為、OSHMSを基にした安全衛生マネジメントシステムを運用しております。各現場においてはリスクアセスメントによるリスク管理を行い、労働災害防止に取り組んでおります。
また、労働災害発生時の情報伝達にも取り組んでおり、労働災害発生時は、「発生部署→工場安全担当部署→総括安全衛生管理者→全社」と、全社規程により伝達ルートが定められ、適切に運用されております。これら各労働災害の事例は全社に情報共有され、再発防止に取り組んでおります。
(c) ガバナンス
当社は、健康で安全・安心で働きやすい快適な職場環境づくりを目指して、取締役社長を委員長とし、経営層を含めた各工場・事業所の安全衛生業務事務局メンバーで構成された「全社安全衛生委員会」を設け、国内外のグループ会社を含めた安全・衛生の一元管理体制を構築しております。この「全社安全衛生委員会」は、期央・期末の年2回開催され、安全スコアの振り返りや従業員の声に基づき、安全・衛生・防火に関する方針展開と進捗状況の確認を実施し、その結果は全従業員に展開されております。
また、「全社安全衛生委員会」の活動を補う組織として、全社安全衛生推進会議を毎月開催し、安全に関するトップメッセージ、年度方針の進捗状況に加え、災害事例の横展開や再発防止事項の即時展開も行っております。さらに各工場・事業所においては、事業所長を委員長にした各安全衛生委員会を設置し、安全衛生活動の実施・確認や、従業員の困りごと等、労使での協議に加え、各工場・事業所の特色に合わせた安全衛生活動や工場長から一般作業者まで参画した安全・衛生パトロールの結果等を報告し、問題点の抽出と改善計画についての対策検討を行っております。

(d) 指標と目標
当社では、前述の「全ての災害は必ず防ぐことができる」という全社安全衛生理念にもとづき、事業活動における死亡災害をはじめとするあらゆる災害の予防を目標としております。
② 健康経営(社内環境整備②)
(a) 当社の考え方、戦略
当社では、企業の持続的成長を実現する上で、従業員が心身共に健康であることが必要不可欠であると考え、「従業員の心身の健康増進」を重要な経営課題の1つに設定しております。
従業員の生活習慣等の行動と休職状況等の結果の両面で総合的に評価し、PDCAサイクルを回す取組みを行い、その結果を当社企業ウェブサイトで公表しております。

(b) リスク管理
従業員の健康問題による労働損失を重要なリスクと捉え、アブセンティーズム(健康問題による欠勤)に重点を置いた取組みを実施しております。具体的には私傷病による休務者数・休務日数で評価を行い、メンタルヘルス不調者対応や生活習慣病の予防・改善、健康意識向上に注力しております。これら各施策を通じて、従業員一人ひとりが健康にいきいきと働ける会社を目指します。
(c) ガバナンス
取締役社長を責任者とする経営層が中心となり、人事機能部署、労働組合、健康保険組合で「健康経営推進体制」を組織し、一体となって健康経営を推進しております。
「全社安全衛生委員会」では健康経営施策の計画・結果等を報告し、各施策について承認を得た上で、各職場や従業員に展開しております。

(d) 指標と目標
当社では、健康経営の取組みにあたって様々な管理指標を設定しておりますが、その成果を測る指標としては健康経営度調査の結果を採用しております。健康経営度調査とは経済産業省主催で毎年実施している健康経営の取組み状況に関する調査で、自社の健康経営に対する客観的な評価を確認することができると考えております。
当社では2025年までにこの調査で上位評価である500位以内に入り、「健康経営優良法人(ホワイト500)」の認定を取得することを目標としております。
③ 人財育成
(a) 当社の考え方、戦略
当社は、「人づくり、仕組みづくり」を中期経営計画の重点取組みとして掲げており、以下の2点を人財育成の基本方針とし、従業員一人ひとりが主体的に取り組んでおります。
人財育成の基本方針
1.私たちは、社員を企業活動に不可欠な財と考え、「人づくり」に取り組みます。
2.私たちは、「自ら学び、共に成長する文化」を醸成します。
<事技職従業員の人財育成>
OJT、Off-JT、キャリア開発の3つの柱で構成され、OJTでは、対話と実践を通じてメンバーの主体性を引き出すための定期的な面談やOJTトレーナー制度を実施。Off-JTでは、当社の仕事の基本である「問題解決力」を強化する研修を軸として、職位別、年齢別、テーマ別研修等、体系的に実施するとともに、自発的な学びの促進のため、e-ラーニングによる選択型教育を実施。キャリア開発では、従業員の自己実現のため、キャリア面談やサクセッションプラン、社内公募制度があり、従業員の価値観に応じて自発的なキャリア選択ができる環境を整備しております。
<技能職従業員の人財育成>
全社教育、職場教育、自己啓発の3つの柱で構成。全社教育では、高等学園での教育を基礎とするキャリア開発プログラム(階層別教育)のほか、監督者研修、専門技能研修、TWI監督者訓練員養成講習、TWI10時間講習を実施。職場教育では、技能伝承に必要な専門技能のOJT教育、業務に必要な資格取得の特別教育・技能講習等を行っております。新任監督者研修では、生産調査部と連携しTPSの実践訓練を実施し、理解度向上に力を入れております。自己啓発では、国家技能検定、QC検定、自主保全士等の取得に挑戦できるよう支援しております。
(b) リスク管理
日本国内における少子化、要求される人財の高度化や雇用の流動化のなかで事業活動に必要かつ有用な人財の確保は困難の度を増しており、当社は、人財の育成は事業継続の根本的な課題の一つと認識しております。このような考え方のもと、当社は心身両面での人財の育成に取り組んでまいります。
<高いモチベーション維持と能力向上>
人財育成、評価、処遇の3要素を有機的に結びつけ、入社から退社まで高いモチベーションを維持しながら能力向上を図れるよう、各種人事制度を関係づけて構築しております。
(c) ガバナンス
取締役社長を委員長とする「企業価値向上委員会」にて報告をしております。また、重要指標については適切に社外公表を行っております。
(d) 指標と目標
当社は、環境の変化に対応し、未来志向をもってお客様のニーズに応えるために必要なものとして、従業員一人ひとりの問題解決能力を特に重視しております。そのため、Off-JTである問題解決研修を入社以降の複数年と主任(係長級の役職)登用時に対象従業員の全てに受講させることとしており、人財育成の主要な指標・目標として同研修への参加率を掲げております。
④ ダイバーシティ
(a) 当社の考え方、戦略
当社では、経営環境の変化が年々加速する中で、企業が成長するためには、性別・国籍・年齢・文化等の様々な属性を問わず、多様な人財が活躍することが不可欠であると考えております。そのため、それぞれの能力や経験、特性を最大限に活かすダイバーシティ&インクルージョン(以下、D&I)を重要な経営戦略の一つと位置づけ、取組みを進めております。
D&I方針
1.多様な人財が意欲的に仕事に取り組むことができる職場環境や、働き方の仕組みを整備することで、適材適所を実現し、その能力を最大限発揮できるマネジメントを行う
2.従業員一人ひとりが仕事を通して成長することによって、企業の成長を目指す
なお、当社が2023年4月に制定した人権方針においては、当社事業における人権上の課題(重点取組事項)としてハラスメント及び差別を取り上げておりますが、これらは人権へのリスクであるとともに、当社のダイバーシティ推進にあたっての対処すべき課題(リスク)でもあると考えております。
(b) リスク管理
優秀な人財の確保やイノベーション創出においてD&Iは不可欠であるため、多様性を活かす環境整備の充実によりそれらの機会損失のリスクを低減できると考えております。また、D&Iに対する無理解により差別やハラスメントを引き起こすリスクも把握しており、全従業員に向けたD&Iや障がい者、LGBTQに関する研修を実施し理解活動にも努めております。
環境整備においては、特に介護や育児等のライフイベントによりキャリアを中断することのないよう仕事と家庭の両立支援制度の充実に力を入れております。具体的には、法定以上の育児短時間制度の整備や託児所支援、ベビーシッター補助制度、カムバックサポート制度(退職した社員の復職制度)等を整備しております。また、両立支援ガイドブックの作成や全従業員に向けた両立支援研修も実施しており、ライフイベントとキャリアを両立しやすい職場風土の醸成にも力を入れております。
女性比率(管理職・正社員等)や男性育児休業取得率等により多様性の評価を行っております。
(c) ガバナンス
D&I取組みの方向性については、取締役社長を委員長とする「企業価値向上委員会」にて報告・審議をしており、取組み状況の進捗については経営管理本部担当役員に適宜報告をしております。
(d) 指標と目標
当社は、上記のとおり様々な観点からD&Iに関する取組みを行っておりますが、特に仕事と家庭の両立支援を重視する立場から、男女の別に関わらず活躍できる環境整備を進めております。そのため、厚生労働省等の施策も参照し、女性管理職人数と男性の育児休業取得率をD&Iの主要な指標と定め、2025年度時点での目標を掲げております。
(4) ガバナンス
当社は、企業の社会的責任を果たし、企業価値を持続的に向上させるため、コーポレート・ガバナンスの継続的な充実に取り組んでおります。
① コンプライアンス
(a) 当社の考え方、戦略
当社は、コンプライアンスが企業価値を支える前提・基礎であり、基本理念を実現するために不可欠なものであると位置づけ、「JTEKTグローバル・コンダクト・ガイドライン」を役職員の行動指針として、継続的なコンプライアンス・プログラムを実施しております。
具体的には、毎年の実施計画にもとづき、全ての役職員に対し、時々の事例を元にした全社教育、啓発活動を行うとともに、階層別、役職別の各役割に応じた教育を実施しております。また、社内各部署及び国内外のグループ会社におけるコンプライアンスの体制整備、運用、各施策の実施等の状況をモニタリングし、従業員へのアンケート結果も含めた分析を行っております。
当社は、これらの成果をもとに次年度の実施計画を立案するというプロセスを繰り返すことで、コンプライアンス違反のない事業活動を目指しております。
(b) リスク管理
当社の多岐にわたる事業活動においては各種法令による規制を受けるほか、社会の一員として要求される社会規範のレベルは高いものであり、これらに違反する事態の発生は大きなリスクであると理解しております。
そのなかでも、主力製品の性質及び多くの国と地域に顧客をはじめとするステークホルダーを有することに鑑み、公正な取引慣行の遵守が強く求められているとの考えから、当社は、カルテル行為と腐敗行為(贈収賄や横領等)の防止に特に重点を置いております。
当社は、これらリスクの顕在化を未然に防止し、早期に発見するため、前述のコンプライアンス・プログラムの実施に加え、当社グループの誰もが利用できる内部通報制度を整えるとともに、社外ステークホルダーからの苦情等を受け付ける各種窓口を設置することで、日々リスク管理に努めております。
(c) ガバナンス
以上のコンプライアンスに関する取組みの状況及び課題については、内部監査部門及び監査役による監査を受けるとともに、取締役をはじめとする経営層が多く出席する経営会議において定期的に報告され、確認を受けております。
(d) 指標と目標
当社は、継続的な施策の実施によって違反行為の発生リスクを低減し、独自に設定する重要法令違反(カルテル行為、腐敗行為等を含む当社が独自に設定する事項)を発生させないことを目標としております。
② サイバーセキュリティ
(a) 当社の考え方、戦略
当社は、会社情報、得意先・お客様情報の取り扱いに対し、様々な情報技術ネットワークやシステムを利用しております。また、当社グループ製品においても、運転支援機能や各種サービスに対し、様々な情報技術システムが利用されております。当社は、これらに対するサイバー攻撃をはじめとする日々高まる情報セキュリティリスクを経営上の重要なリスクとして認識し、継続して対策強化に取り組んでおります。
(b) リスク管理
サイバー攻撃による情報リスクへの脅威は増加しており、いくら安全対策が施されていても、情報システムの障害発生や機密情報が外部流出するリスクはあります。さらにサプライチェーンを含めた事業活動が一時的に中断するリスクもあります。このような事態となった場合は、当社グループの事業活動の停滞や、社会的信用低下により、当社グループの財務状況及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
そのため、情報技術ネットワークやシステム利用においては、必要な防御策を施した上で、攻撃による侵入や不正通信を監視し、万が一の場合に対応できる体制を整備しております。また、当社製品においても、該当製品にはセキュリティを考慮した設計、開発を行なっており、脆弱性等のリスクが発見された場合に対応できる体制も整備しております。
また、サプライチェーンも含めたリスクに対しては、2022年より、当社仕入先との対話を通じた対策強化の取組みを開始しました。
(c) ガバナンス
CISO(最高情報セキュリティ責任者)及び専門部署を設置し、様々な情報技術システムの利用や、当社製品に搭載される情報技術システムに対する安全性確認、及びその脅威に対する情報収集、展開をグループ全体で実施し、早期検知および対応に努めております。
(d) 指標と目標
当社は、事業継続・生産計画への影響、損害額、社会に対するインパクト等を勘案した独自の基準に基づく「重要インシデント」を指標として設定し、これを発生させないことを目標としております。
(5) サステナビリティに関する指標と目標
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(自動車業界及び自動車市場への依存)
当社グループは、ステアリングシステム、駆動部品、ベアリング及び工作機械等の製造販売を主な事業としております。
このうち、ステアリングシステム及び駆動部品は、ともに大半を自動車業界向けに製造販売しております。ベアリングは各産業において広く使用される部品でありますが、当社グループでは、その売上収益の過半が自動車業界向けであります。また、工作機械につきましても、その受注は自動車業界からのものが中心であります。
なお、当社の筆頭株主であるトヨタ自動車株式会社との取引金額は、連結売上収益の16.4%を占めております。
当社グループは、日本をはじめグローバルな自動車の需要見通し及び顧客より提示される自動車の販売見通し等を総合的に検討・判断した上で経営資源の効率的な投入を行っております。また、ベアリング及び工作機械における自動車業界以外の幅広い顧客層の維持に努めているほか、現代において解決が求められる社会的課題に対し、当社グループがこれまで培ってきた技術の活用を提案するために、様々な新規事業を企画し、自動車以外の業界に対しても展開しております。
しかし、これらの取組みが必ず功を奏する保証はなく、当社グループの売上収益減少や投下資本の回収の遅れにつながることがあります。これらのことから自動車業界及び自動車市場の動向は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(価格競争)
当社グループ製品の市場における価格競争は大変激しいものとなっております。
このような状況下でも、当社グループは、それぞれの製品分野において技術的に進化した製品を送り出す世界的なリーディング・カンパニーであると自負しており、より魅力的な製品を低価格で提供できるよう、「ジェイテクトの基本理念」の要素である「本気」と「対話」を通じて顧客さえも気付いていない「潜在ニーズ」の発掘、不断の技術開発、製造原価の低減等に努めております。
しかし、将来においても市場で優位を占め続けることができるという保証はありません。特に自動車業界における価格競争は大変厳しいものとなっており、当社グループは、各製品及び市場において競争激化の渦中にあり、競合先である他自動車部品メーカーの一部は当社グループよりも低価格で製品を提供しております。さらに、モータリゼーションの進展その他の顧客ニーズの変化や高度化に伴い、新しい競合先の台頭又は既存競合先の躍進・連携により、当社グループの競争力が相対的に低下したときは市場でのシェアを失う可能性があります。また、長期的な事業戦略の上で、収益性を犠牲にして製品価格を下げるといった判断を余儀なくされる場合があります。
このように、価格競争の結果としての市場シェアの縮減や収益性の低下は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
(新製品開発)
当社グループは、斬新で魅力ある新製品・新技術の開発に邁進し、顧客からの支持をいただいてまいりました。今後も製品開発力の強化はもちろんのこと、生産準備期間の短縮、コストの低減、品質の向上等、様々な面から施策を講じて顧客の要求を満たすべく努力してまいります。
しかし、これら開発には多くの資金と資源を投入する必要がある一方で、顧客からの支持を得て売上につながる確実な保証はありません。また、顧客からは一層の技術の高度化、開発期間の短縮等を求められ、当社グループは同種製品を扱う競合先との激しい開発競争に晒されております。そのため、当社の施策が将来にわたって常に競合先を上回る競争力を保持し続けることができるという保証はありません。
当社グループが業界と市場の変化に対応しきれず、あるいは必要十分な資源を投入することができないことにより、競合先よりも魅力ある新製品を開発できない場合には、中長期的な市場シェアの縮減や製品の売上減少につながり、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、製品の製造に使用する原材料や部品その他の多くを外部の事業者からの供給に頼っております。
そのため、これら供給元の生産能力不足や廃業、市況の変化等による価格の高騰や品不足、工場火災のような事故や地震のような自然災害の発生等の様々な要因により、半導体その他の主要な原材料や部品の調達に支障をきたすことがあります。
このようなリスクを回避するため、当社グループでは、各種の原材料や部品等を複数の事業者から調達し、安定的な供給の維持を図っております。
しかし、供給元の選択肢は限定的である場合もあり、供給が不安定となるリスクを完全に払拭できるものではありません。このようなリスクが顕在化した場合、製品の生産不能による売上の減少や顧客に対する供給責任、製造原価の上昇による収益性の低下等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、「品質」を経営の最重要事項の一つとして掲げ、顧客から認められた世界水準を満足する品質管理基準に則って製品を製造しております。また、品質問題の発生に備え、製品保証引当金による会計上の手当、保険加入による製造物責任等のリスクヘッジも行っております。
しかしながら、製品の開発・製造等における品質上のリスクの全てを将来にわたって完全に排除することは困難であり、また、リスクヘッジのための諸施策をもってしても、大規模なリコールへの対応や製造物責任等に基づく高額の賠償請求に対して、その全てをカバーできないことも想定されます。さらには、製品の品質不良が原因となって災害や人身事故等が発生した場合には製品、ひいては当社グループ自体の社会的信頼の低下を招き、顧客との取引停止等につながることがあります。
これらに伴う支出及び品質問題に起因する社会的信用の低下や顧客との取引停止等は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、これまでの製品開発において蓄積してきた技術・ノウハウを当社の知的財産権として適切に保全、活用しております。しかしながら、これらの技術・ノウハウは、特定の国・地域においてはその法制度上の制限等により、知的財産権としての完全な保護を受けることが困難な場合があります。このような場合には、第三者が当社グループの知的財産権を使って類似した製品を製造する等の行為を十分に阻止できない可能性があります。
また、当社グループは第三者の知的財産権を尊重し、紛争等に巻き込まれることを防止するため、第三者知的財産権の事前調査等の対策を行っております。しかしながら、全世界の全ての権利を完璧に把握することは困難であり、将来的に当社グループの製品において第三者の知的財産権が発見され、製品の製造販売に支障をきたす可能性は排除できません。
これら知的財産権に内在する問題に起因する、製品販売の機会喪失や、第三者からの損害賠償請求等に基づく支出によって、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業拡大や競争力の強化等を目的として、M&Aや資本参加、資本提携等を行うことがあります。これらの企画においては事業戦略上の意義を確認し、リスクを踏まえた慎重な検討により最善と考える方法を選択し、また、実現した後は当初の目的を達成できるよう努めておりますが、その全てが計画通りに成功を収める保証はありません。
これら企画の目標達成が遅延、不可能となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、多様な顧客のニーズに対応し、また、事業活動上のリスクを分散するため、グローバルな事業展開を行っており、連結売上収益に占める海外売上収益の割合は61.9%を占めております。欧州、米州、アジア等多くの国・地域で製品の生産と販売活動を行っており、また、取引先も多岐の産業分野に属しているため、グローバルベースの経済状況変化は勿論のこと、当社グループが生産、販売を行っている特定の国・地域の経済状況の変動や、取引先の属する産業の景気変動が、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
連結財務諸表作成にあたり、現地通貨で作成される海外関係会社の財務諸表を円換算しているため、現地通貨における価値が変わらなくとも、当社グループの連結財務諸表は為替レートの変動による影響を受けます。
また、当社グループが日本で生産し、輸出する事業においては、円高の進行により価格競争力の低下を招く可能性があります。一方、急激な円安進行は、原材料等や物流、エネルギーの調達コスト高騰を招く可能性があります。海外で使用する原材料等の現地調達比率の向上や為替予約等により当該リスクの軽減を図っておりますが、全てのリスクを排除することは困難であります。従いまして、当社グループの財政状態及び経営成績等は、為替レートの変動の影響を受ける可能性があります。
(3) 政治・規制・法的手続・災害等に関するイベント性のリスク
当社グループは、東海・東南海・南海地震や暴風、豪雨等の大規模自然災害、世界規模の感染症拡大(パンデミック)の発生等を想定し、これら災害に起因する被害の最小化を図るために、当社グループの事業に影響を及ぼしうることを想定し、異常事態への対応体制や緊急時の事業継続計画(BCP)策定等の施策を講じております。
しかしながら、これら施策により災害発生によるリスクを完全に回避することは難しい可能性があります。また、顧客又は供給元の罹災等、当社グループによる施策のみでは回避しきれないものも存在します。
これら災害が当社グループに与える影響は多岐にわたり、顧客の生産停止等による需要の停滞、労働力及び原材料等の不足による供給停止又は世界景気の後退等により、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
なお、現在、新型コロナウイルス感染症に収束の兆しが見え始めている状況ではあるものの、感染症の影響以外にも、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、米国における金融不安を端緒とする景気後退、中国自動車市場の急速な電動化の影響といったリスクが懸念されております。当社グループでは、様々な施策を講じて従業員の安全確保、生産体制の維持に努めておりますが、自動車業界をはじめとする産業における需要の停滞等が予想され、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性がありますが、現時点では具体的な影響額の算定は困難であります。
当社グループは、大気汚染、水質汚濁、廃棄物処理、有害物質の排除、土壌・地下水汚染等に関する日本及び諸外国の環境に関する規制を受けており、それらを遵守するために必要な経営資源を投入しております。また気候変動をはじめとした地球環境問題は、その課題の解決に貢献できれば好影響を及ぼす可能性がある一方、対応を誤れば将来にわたり当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性もあります。
当社グループは、製品の生産工程において、温室効果ガス、産業廃棄物、環境負荷物質等の発生を極力抑えるよう設計・製造の各段階で対策を講じておりますが、これらの対策により、現在及び過去の生産活動に関わる環境への影響を完全に排除することは困難であり、規制や市場の要求が厳格化した場合や、当社グループの活動に起因して環境への悪影響が発生したと判明した場合には、必要な対策を講じるために費用負担が増加することが見込まれます。
特にカーボンニュートラルへの対応が不十分と評価された場合には取引の継続にも関わる可能性があり、これらの事態が、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業運営に関連して各国の法令の適用を受けており、これらを遵守しつつ企業価値の向上に努めることを責務と考えております。また、事業遂行の過程で関わる顧客をはじめとする第三者との間では、公正で相互利益を基礎とした関係の構築を重視しております。当社グループでは、このような企業としてのあり方の実践のため、法令違反を未然に防止するための仕組みづくり、定期的な社内点検や役職員に対する教育等を継続して実施しております。
しかしながら、これらの取組みをもってしても、当社グループの事業活動に伴い、各国各種の法令等への違反や利害の対立に起因する訴訟紛争が発生する可能性を、完全に排除することはできません。
既存又は将来の法令違反に対する処分及び訴訟紛争により、制裁金等又は損害賠償責任等を負担するに至った場合の支出、さらには法令等に違反したことによる社会的信用の低下に起因する様々な結果は、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度の事業環境は、原材料価格・物流費・エネルギー費高騰、ウクライナ情勢を契機とする各所での地政学リスクの顕在化や中国のゼロコロナ政策による影響はあったものの、コロナ禍からの経済活動の正常化が進み、概ね緩やかな回復傾向が継続しました。
当社は自動運転・電動化、循環型社会への貢献、DX等、変化し続ける時代への対応が求められている中、社会課題の解決を通して企業を成長させるため、2021年4月に「長期・中期経営計画」を策定し、その第一期中期経営計画の2年目にあたる2022年度は「人づくり、仕組みづくり」「経営基盤強化」「競争力強化」「将来への種まき」に取り組んでまいりました。
当社では、One JTEKTとしてグループシナジーを最大化し、盤石な基盤と機動力を有する強い企業となるために、第一期中期経営計画の重点取組みとして、ジェイテクトの基本理念を実践できる「人づくり、仕組みづくり」を掲げております。
当期は「ジェイテクトの基本理念」を従業員一人ひとりが実践できるよう、動画メッセージや社内報を活用した浸透活動に注力しました。その象徴として、2022年8月には、アフターマーケット事業本部内での「おもしろいことをやろう」という呼びかけに、「ジェイテクトの基本理念」の中央に掲げる「本気」を持った仲間が集まり、自転車用高性能軸受「ONI BEARINGTM」を開発・商品化することができました。お客様のために何ができるかを考え、行動できる企業集団への変革を実感しております。
加えて、2023年4月には当社グループ統一デザインのユニフォームを採用しました。また、国内15社のグループ合同入社式を開催しました。これらの取組みにより、グループ会社間や事業間に存在する壁を取り払い、真の「One JTEKT」として一体感のある「人づくり、仕組みづくり」を着実に進めております。
「経営基盤強化」では、「収益体質強化」と「事業基盤強化」に注力いたしました。
収益体質強化では指標となる損益分岐点売上比率(2019年度売上収益比)にこだわり、欧州・北米における構造改革の着実な推進とグローバル規模での徹底的な原価低減と固定費削減を進めた結果、2020年度時点で92%であった損益分岐点売上比率を、外部環境を除いた体質評価ではありますが2022年度には82.5%にまで引き下げることができました。
事業基盤強化では、グループガバナンスを強化し、個社ごとに利益を追求して事業推進する個別最適経営からグループ一体経営へと舵を切りました。One JTEKTとして着実かつスピーディーにシナジーを発揮していくには、情報共有や活発な議論を通じてベクトルを合わせていくことが大変重要になります。現在、経営課題検討会で当社の経営役員と各社、地域の経営陣とでグループ全体最適の視点から課題や方向性を徹底的に議論しておりますが、今後は経営層のみにとどまらず、各階層での交流を促し、One JTEKTとしての結束を図っていきたいと考えております。
また、「競争力強化」においては、グループ会社の多様なシーズを活用したグループ一体営業やクロスセールス活動を加速させ、お客様に更にご満足いただける商品・サービスの提供に注力しております。当期は、2022年4月の事業ブランド統一を契機に、様々な展示会にて国内グループ会社とともに共同出展を実施するとともに、国内・海外のグループ会社を「JTEKT」を冠する社名に変更することで、当社グループの持つ多種多様なNo.1 & Only One製品を「JTEKT」ブランドとして拡販・PRする体制を構築してまいりました。加えて、循環型社会に貢献することを目的として、軸受をはじめ、ステアリングや駆動製品においてもアフターマーケット事業を強化し、グローバルでのプロダクトライフを通じてお客様を支えるサービスの拡充を進めております。
同時に、製品開発手法においてもプロダクトアウトからマーケットインへの転換を推し進めることで、今まで以上に価値ある製品・サービスをお客様に提供することを目指しております。工作機械では2022年4月に、マーケットインの発想で開発した「良質廉価」な新製品を市場に投入しました。今後も競争力の高い製品をお客様にお届けするべく、市場環境の変化や将来ニーズをしっかりと見つめ、改革を進めてまいります。
「将来への種まき」については、ジェイテクトグループがこれまでに培ってきた既存技術やノウハウを組み合わせ、社会課題を解決し、人々の安心・快適な暮らしを実現するための新たな技術の創出に取り組んでおります。既存領域を効率化することで生み出したリソーセスを、自動運転対応等の先行領域や、新規領域へ振り向けるほか、カーボンニュートラルに向けた研究、DX による基盤強化等、将来のビジネスモデルを見据えた戦略投資を進めてまいりました。当社の主力事業である自動車事業では、将来的なBEV(電気自動車)や自動運転適応車の拡大に貢献するために、ステアバイワイヤシステムと補助電源としての高耐熱リチウムイオンキャパシタを組み合わせたステアリングシステムの開発を進めている他、2022年9月にはBEVの心臓部であるeAxleの小型化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.TM」を開発・発表しました。
また、新ビジネスとしては、コオロギの食品としての可能性に注目し研究を進めております。当社の持つIoE(Internet of Everything)ソリューションやグループ会社の設備を含めた自動化技術、データ・品質管理技術を活用した飼育・加工一貫プラントにより、効率的かつ持続的なタンパク源の創出に貢献してまいります。
当社では「地球のため、世の中のため、お客様のため」に、環境へ配慮した取組みにも注力しております。近年、国内外のお客様からのカーボンニュートラルへの要求は具体的になりつつあり、カーボンニュートラル実現に向けた取組み等、気候変動への対応の重要性は日に日に高まっております。2022年5月に宣言したオールジェイテクトでの「2035年カーボンニュートラル達成」に向けて、生産技術革新による省エネの推進、再生可能エネルギーの積極的な導入、モデル工場での実証を通じた新エネルギーの採用に取り組み、加えて、全従業員が主体的に日常業務の改善を通じた徹底的な省エネ活動に取り組むことで、かけがえのない地球を次世代につなぐための挑戦を続けております。
また、2018年に賛同を表明したTCFD*については、既に環境報告書及びホームページにて、フレームワークに沿った開示をしておりますが、複数のシナリオ(1.5℃/4℃)でのリスク及び機会の分析等、有価証券報告書や環境報告書での更なる開示に向けた取組みを進めております。
*TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures):気候関連財務情報開示タスクフォース
当連結会計年度の連結業績につきましては、次のとおりであります。
売上収益は1兆6,781億46百万円と前連結会計年度に比べ2,497億20百万円(17.5%)の増収となりました。事業利益につきましては626億58百万円となり、前連結会計年度に比べ203億11百万円(48.0%)の増益となりました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は342億76百万円と前連結会計年度に比べ135億93百万円(65.7%)の増益となりました。
なお、売上収益事業利益率は3.7%と前連結会計年度より0.8ポイント上昇しております。
セグメントの業績につきましては、次のとおりであります。
「自動車」におきましては、為替の影響もあり、日本や北米、アジアを中心に全地域で販売が回復したことにより、売上収益は前連結会計年度に比べ1,773億30百万円(18.4%)増収の1兆1,426億93百万円、事業利益は、原材料価格・物流費・エネルギー費高騰の影響はあるものの、販売増や為替の影響に加え、原価低減の活動やコストアップの影響を売価へ転嫁する取組みの成果等により、前連結会計年度に比べ162億15百万円(109.7%)増益の309億92百万円となりました。
「産機・軸受」におきましては、中国を除く全地域で販売が増加したことにより、売上収益は前連結会計年度に比べ399億19百万円(12.8%)増収の3,515億7百万円となりました。事業利益は、原材料価格等の高騰影響が大きいものの、為替影響や原価低減の効果等により、前連結会計年度に比べ6億49百万円(4.0%)増益の170億40百万円となりました。
「工作機械」におきましては、日本や北米を中心に販売が増加したことにより、前連結会計年度に比べ売上収益は324億70百万円(21.4%)増収の1,839億45百万円、事業利益は38億22百万円(38.5%)増益の137億58百万円となりました。
財政状態につきましては、次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産は、為替の影響もあり営業債権や棚卸資産が増加したこと等により、1兆4,413億55百万円と前連結会計年度末に比べ548億92百万円の増加となりました。
負債につきましては、為替の影響等による営業債務の増加や引当金の増加により、7,406億19百万円と前連結会計年度末に比べ145億71百万円の増加となりました。
また、資本につきましては、当期利益の計上等により、7,007億35百万円と前連結会計年度末に比べ403億20百万円の増加となりました。
なお、1株当たり親会社所有者帰属持分は前連結会計年度の1,819円47銭から1,945円44銭に増加いたしました。
また、社債及び借入金につきましては、2,551億70百万円と前連結会計年度末に比べて65億91百万円減少しました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(3) 長期的な会社の経営戦略」や「(5) 優先的に対処すべき課題」に記載しております様々な取組みにより、経営上の目標達成につなげてまいります。
連結キャッシュ・フローにつきましては、次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、法人所得税の支払い等による資金の減少があったものの、税引前利益の計上等により、当連結会計年度は782億79百万円の資金の増加となりました。(前連結会計年度は670億39百万円の資金の増加)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出等により、当連結会計年度は521億9百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は252億65百万円の資金の減少)
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金の返済や配当金の支払い等により、当連結会計年度は287億7百万円の資金の減少となりました。(前連結会計年度は435億31百万円の資金の減少)
これらに換算差額を加減算した結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は1,238億50百万円となりました。
(注) 1 金額は平均販売価格によっております。
2 上記の金額には、外注加工費及び購入部品費が含まれております。
当社グループの販売高の大部分を占める、自動車業界向け部品については、納入先から提示される生産計画を基に、当社グループの生産能力等を勘案して生産を行っております。
なお、工作機械の受注実績は以下のとおりであります。
(注) 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び、将来に関する仮定及び報告期間末における見積りの不確実性の要因となる事項は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「2.作成の基礎 (4)重要な会計上の判断、見積り及び仮定」及び「3.重要な会計方針」に記載しております。
① 売上収益
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度に比べ2,497億20百万円(17.5%)増収の1兆6,781億46百万円となりました。
セグメント別に見ると次のとおりであります。
「自動車」は前連結会計年度に比べ1,773億30百万円(18.4%)増収の1兆1,426億93百万円となりました。地域別の主な内訳は、日本4,051億67百万円(405億97百万円、11.1%の増収)、アジア・オセアニア3,379億49百万円(414億70百万円、14.0%の増収)、北米2,234億7百万円(577億32百万円、34.8%の増収)であります。
「産機・軸受」は前連結会計年度に比べ399億19百万円(12.8%)増収の3,515億7百万円となりました。地域別の主な内訳は、日本1,532億31百万円(74億63百万円、5.1%の増収)、北米892億33百万円(219億76百万円、32.7%の増収)、アジア・オセアニア564億40百万円(39億69百万円、7.6%の増収)であります。
「工作機械」は前連結会計年度に比べ324億70百万円(21.4%)増収の1,839億45百万円となりました。地域別の主な内訳は、北米874億82百万円(256億67百万円、41.5%の増収)、日本800億27百万円(78億83百万円、10.9%の増収)、アジア・オセアニア148億63百万円(18億20百万円、10.9%の減収)であります。
② 事業利益
当連結会計年度の事業利益は、前連結会計年度に比べ203億11百万円(48.0%)増益の626億58百万円となりました。
セグメント別に見ると次のとおりであります。
「自動車」は、材料費や物流費の高騰によるマイナス要因を販売増加や為替の影響に加え、原価改善の効果等によりカバーし、前連結会計年度に比べ162億15百万円(109.7%)増益の309億92百万円となりました。
「産機・軸受」は、材料費や物流費の高騰の影響はあるものの、販売増加や為替影響、原価改善の効果が大きく、前連結会計年度に比べ6億49百万円(4.0%)増益の170億40百万円となりました。
「工作機械」は、販売増加の効果等により前連結会計年度に比べ38億22百万円(38.5%)増益の137億58百万円となりました。
③ その他の収益・その他の費用
その他の収益は、固定資産売却益が増加しましたが、雇用調整助成金の減少や前連結会計年度に退職給付に係る負債戻入額を計上したこと等により、前連結会計年度に比べ6億48百万円(7.3%)減少の82億91百万円となりました。
その他の費用は、操業休止関連費用の減少や前連結会計年度に売却目的で保有する資産に係る評価減の計上がありましたが、製品保証引当金繰入額の増加等により、前連結会計年度に比べ67億39百万円(45.3%)増加の216億24百万円となりました。
④ 金融収益・金融費用
金融収益は、円安進行に伴う為替差益の増加や受取利息の増加等により、前連結会計年度に比べ3億7百万円(17.5%)増加の107億73百万円となりました。
金融費用は、円安進行に伴う支払利息の増加等により、前連結会計年度に比べ16億70百万円(48.8%)増加の50億90百万円となりました。
⑤ 親会社の所有者に帰属する当期利益
上記の要因等により、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ135億93百万円(65.7%)増益の342億76百万円となりました。
当社グループは、2030年の目指す姿を達成するための第一期中期経営計画期間の目標を以下のとおりとしております。また、2023年度に事業利益1,000億円の達成を目指し、中期経営計画を推進してまいります。
第一期中期経営計画(期間:2021~2023年度)の目標
※2019年度売上収益比
なお、実績につきましては、インフレに伴う急激なコストアップの影響を除いた体質評価としております。
また、これらの目標につきましては、達成を保証するものではありません。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資、研究開発費等の長期資金需要と、当社製品製造のための材料及び部品購入等の運転資金需要であります。
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、適切な流動性の維持及び健全な財政状態の維持を財務方針としております。
現金及び現金同等物等の流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、市場あるいは金融機関からの資金調達を通じ、現行事業の推進と事業拡大に必要となる資金を確保できる状況と考えております。
また、グループ各社に偏在する余剰資金の相互融通を図る等、資金効率の向上に努めております。
該当事項はありません。
当社グループでは、「ジェイテクトの基本理念」に掲げる「全員参加」のもと、グループで保有する多様なシーズを掛け合わせシナジーを発揮することで、No.1 & Only One の製品やサービスを開発し、成長市場に投入することで、より多くのお客様に価値を提供するとともに、環境・安全・エネルギー・少子高齢化等の社会課題の解決に貢献しております。軸受や工作機械で培った、トライボロジー(潤滑、摩擦)、材料、システム制御、計測・解析、成形・加工等、多様な要素・基盤技術を進化・融合させることで、これからも変化し続ける自動車・産業機器での多様なニーズに応えてまいります。
また、既存領域の開発を徹底的に効率化する一方で、新規・先行領域の研究開発への投資を強化することで、新たな価値づくりに挑戦し、更なる成長を目指してまいります。
自動車の分野では、シャシー周りの当社製品をシステムとして最適化し、完成車メーカーが担ってきた「走る、曲がる」の領域を一括で任せていただけるシステムサプライヤーを目指しております。
産業機器の分野においては、多岐にわたる成長市場において、小型・軽量化、高効率化、長寿命化等、多様なニーズに応えるNo.1 & Only One 製品の提供を目指しております。
また、新事業の開発にも力を入れており、少子高齢化、過疎化、食料不足等の社会課題解決に向けた取組みを進め、地球や世の中、お客様への貢献を目指してまいります。
なお、当連結会計年度における研究開発費は
自動車事業は、クルマの基本機能の一つである“曲がる”を担うステアリングシステム、“走る”を支える駆動領域のドライブライン製品(※1)、トルクコントロールデバイス(※2)、ハブユニット、地球環境に貢献するFCEV(燃料電池車)向け高圧水素バルブ・減圧弁を提供しております。
ステアリング領域では、モビリティの安全性及びユーザビリティ向上のためにドライバーと自動化システムの協調操舵を可能とする制御技術を開発しており、当社が今まで培ってきた操舵感のノウハウを運転支援・自動運転の領域に拡大するとともに多様化するニーズに対応してまいります(※3)。
駆動領域では、BEV(電気自動車)向けの次世代製品として、超小型の「JTEKT Ultra Compact Diff.TM」(※4)を開発し、「eAxleの小型化」、「電費向上」、「安全安心な走り」に貢献してまいります。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
・人中心の自動操舵制御システム「PairdriverTM」を新開発し、人と自動化システムの調和により安全・安心・快適な自動運転に貢献
・電動化に貢献する「JTEKT Ultra Compact Diff.TM」を新開発し、eAxleの更なる小型化、高出力密度化に貢献
・「FRベース4WD車両向け 電子制御カップリング(ITCC®)」(※5)と「軽量・コンパクト 電動チルト・テレスコ付きステアリングコラム」(※6)を新開発し、「MAZDA CX-60」に採用
・「低振動ドライブシャフト」(※7)を開発し、「LEXUS RX」に採用
※1 ドライブシャフト、プロペラシャフト等の駆動力を伝達するための製品であります。
※2 エンジンからの回転力を前後左右の駆動力へ配分を行うための機構であります。
※3 自動運転・運転支援時のレーントレース性を確保しながら、運転者による滑らかな操舵協調を可能とする制御技術であります。
※4 従来の標準デフに対し、差動ギヤ構造を一新した超小型デフ(容積5割以上低減)製品であります。
※5 電子制御によって前後輪の駆動力を路面状況や車速に応じて連続的に変化させ伝達することで、車両の優れた運動性能と高い燃費性能の両立に貢献する製品であります。
※6 シンプル構造、コンパクト設計により、軽量化・車両空間拡大に貢献したステアリングコラム製品であります。
※7 ドライブシャフトのジョイント部分の溝構造を変更し、摩擦力(振動)低減を図った製品であります。
産機・軸受事業では、2022年4月1日付で事業ブランドをKOYOからJTEKTに統一し、事業部間やグループ各社との連携を今まで以上に強化し、加速する自動車の電動化や、産機分野での多様化する使用環境に対応する新たな商品の開発に取り組んでおります。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
◆eAxleの信頼性向上と更なる小型化・軽量化に貢献
・JTEKT Ultra Compact Bearing® (JUCB)を開発。2016年に開発した高剛性組合せ樹脂保持器をベースに、独自の金型設計、成形手法により、強度を維持しつつ保持器幅を極限まで縮小。軸受幅寸法を30%、重量を26%低減
・JTEKT Ultra Compact Seal® (JUCS)を開発。新開発ゴム材で幅寸法20%縮小と低温時のオイル密封性を両立
・JTEKT Ultra Earth Bearing® (JUEB)を開発。軸受シールに相当する部材に導電機能を持たせることで、回転時の異音や軸受寿命の低下となる電食を抑制。軸受と別にeAxleに組み込む導電部材を不要とし、eAxleの小型化、組立工数削減に貢献
これらの軸受、シール製品は、当社自動車事業部のJTEKT Ultra Compact Diff.TMとともに、JTEKT Ultra Compactシリーズとして、eAxleのコンパクト化〜BEVの電費向上、航続距離延長、車両レイアウトの自由度向上に貢献します。
◆産機用軸受で今後成長が見込まれる半導体やロボット減速機の市場に対応した技術を開発
・ロボット減速機用薄肉軸受を開発。長寿命化技術を超薄肉軸受に適用し、信頼性向上・小型化に貢献
・フィルム製造装置用高耐食軸受を開発。軸受の長寿命化、お客様の稼働率向上に貢献
◆自転車用軸受市場に本格参入
・自転車用高性能軸受「ONI BEARINGTM」(鬼ベアリング)を発売。ジェイテクトが1984年に世界で初めて実用化したセラミックボール軸受の技術を結集するとともに、自動車・産業機械向け軸受で培った知見を活かし、自転車用軸受市場に本格参入。従来のロードバイク用軸受に比べ、圧倒的な低トルク性能により漕ぎ出しの軽さとホイール速度維持を実現。より速くより快適な走りに貢献
工作機械業においては、モノづくりイノベーションカンパニーとして、お客様のモノづくりの価値を高めることを目指しております。研究開発活動においては、JTEKTグループのシーズ技術を活かし、新しいニーズに応え続ける商品開発と次世代を見据えた技術開発を推進しております。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
・小型円筒研削盤 G1 Series (Type General,Luxury)を発売開始、中型円筒研削盤 G3 (Type General,Luxury)を開発、JIMTOF2022に出展。スリープIN・ウェイクUP機能により非加工時間の消費電力を最大75%削減。また株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム製省エネ油圧ユニット トヨパックECOⅡプラス採用により、消費電力当社従来比50%削減
・広幅円筒研削盤C6040Eを開発、JIMTOF2022に出展 (株式会社ジェイテクトマシンシステム)。
同一工作物で異なる径の同時研削ができ圧倒的なスペース生産性、低コスト、省エネに寄与
・立形複合研削盤G3VUシリーズを開発、JIMTOF2022に出展 (株式会社ジェイテクトマシンシステム)。
ATC(自動工具交換装置)搭載で内径・外径・端面をワンチャックで研削が可能となり、加工効率を飛躍的に向上
・新ビトリファイドCBN ホイール「削楽~ SAKURA ~」を開発、JIMTOF2022に出展 (株式会社ジェイテクトグライディングツール)。長寿命かつ形状安定性や研削加工時間短縮に貢献
・横形マシニングセンタFH5000シリーズを開発。主軸剛性+36%、機械剛性+20%(いずれも当社従来比)により、圧倒的な切削性を実現。またJTEKT製グリース潤滑軸受を搭載した高速主軸、省エネユニット(株式会社ジェイテクトフルードパワーシステム製)採用により、CO2排出量を大幅に削減
・「稼働アップNavi®Pro」機能を強化。生産管理システムデータと工場内オペレーションデータを横断的に収集・蓄積・可視化することで、発生する課題をリアルタイムに把握し可動率の向上に貢献
(4) その他新領域
当社は、取り巻く環境の変化を先読みして持続的に成長するために、少子高齢化や環境・エネルギー・食料問題といった将来の社会課題に対するニーズと、既存の事業で培った技術やノウハウといったシーズを掛け合わせることで、新規事業領域の創出に取り組んでおります。また当連結会計年度は新規事業の創出をスピーディに推進するための新組織として「事業開発領域」を立ち上げました。当連結会計年度の主な成果としては、以下のとおりであります。
◆アクティブ・ライフ事業
・介護用アシストスーツ「J-PAS fleairy® (フレアリー)」が第10回ロボット大賞優秀賞(ビジネス・社会実装部門)を受賞。介護作業の負担軽減を通して介護人材不足という社会課題の解決に貢献
・在宅介護での介助者の負担軽減に貢献するために、介助用車いす電動アシストユニット「軽e®(かるいー)」を日進医療器株式会社と協業で開発
・医療現場における看護業務の負荷軽減に貢献する病院ベッド搬送アシストユニット「ラクステア®」を、株式会社ジェイテクトマシンシステムが久留米大学(福岡県久留米市)と共同開発
◆蓄電デバイス事業
・高耐熱リチウムイオンキャパシタがダカール・ラリー参戦車両への採用実績等により評価され、第72回 自動車技術会賞 技術開発賞を受賞。今後市場拡大が見込まれるドローン業界にも積極的に進出しており、同キャパシタを搭載した水素燃料電池ドローンの飛行試験に成功。更なるコスト競争力向上と低温出力アップを目指し、第二世代品を開発中
◆歯車事業
・自動車事業、産機・軸受事業、工作機械事業で培った歯車関係技術を集約し、スカイビング、歯研の3D歯面修整加工技術開発、軸受と歯車の一体開発を推進。自動車、産業用ロボット等の歯車装置の小型化、静粛性向上に貢献
◆サスティナブルフード
・コオロギの食品としての可能性に着目し、当社の技術を活かした安全・安心・高機能な食料資源の開発を推進。将来の食料資源、タンパク質供給源の多様化に向けた解決策として、既存事業で培った自動化技術、データ・品質管理技術を基盤とした飼育・加工一貫プラントにより、安全・安心・高品質なタンパク質の生産を目指す
◆ドローン関連技術
・物流課題解決のため、産業用ドローンに強みを持つ株式会社プロドローンと技術連携を推進。その中で、愛知県、株式会社プロドローン、名古屋鉄道株式会社とともに、社会課題解決と地域振興を目指す共同プロジェクトに着手