第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、「エンターテインメントを通じ人々の幸福と豊かな文化の創造に貢献する」を企業理念に掲げ、放送・配信サービスを軸に、多様なジャンルのトップエンターテインメントをお客さまに提供しています。また、デジタルマーケティングやコンタクトセンター運営業務を展開する㈱WOWOWコミュニケーションズ、番組中継・映像制作業務を中心に事業展開しているWOWOWエンタテインメント㈱、放送及びホテル・法人向け映像配信事業を展開している㈱WOWOWプラスとともに、グループ全体で事業を展開することにより、放送・配信にとどまらないエンターテインメントを提供することを経営の基本方針としております。

 

(2) 経営環境

当社グループを取り巻く事業環境は、デジタルテクノロジーの進化や新型コロナウイルス感染症の影響により急速に加速した生活者のライフスタイル及びコンテンツ接触スタイルの多様化によって急激に変化し、年々競争激化の様相を強めております。

主な事業環境変化は以下のとおりです。

・動画配信サービスの台頭によるコンテンツ及び会員獲得競争激化

・合従連衡の活発化

・デジタルテクノロジーの進化によるサービスの多様化とデータ利活用の加速

・物価高騰にともなう消費者の買い控えや消費意欲の減退

この様な環境のもと、グループの中長期的な成長を実現するために、長期ビジョン「10年戦略」及び「中期経営計画(2021-2025年度)」を策定し、環境変化に対応した戦略を推進しております。

 

(3) 経営戦略等

長期ビジョン「10年戦略」は、「社会に特別な価値を提供する存在となり、持続的な成長を実現する」ことを基本方針とし、「コンテンツがコミュニティを生み、コミュニティが文化を創る」という考えのもと、このループの実現と発展がWOWOWの存在意義ととらえ、コンテンツを軸にファンとクリエイターが集う最高のステージを提供し、エンターテインメント文化を加速させるエンジンとなることを目指します。

 

[10年戦略WOWOWループ]

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この「10年戦略」のもと、「中期経営計画(2021-2025年度)」では、会員事業構造を再設計し、映像メディア業からコンテンツ・コミュニティ業への変革、すなわち放送業からエンターテインメントコンテンツを起点とした会員事業への変革を目指しています。従来の視聴のみならず、参加、応援、体験等、コンテンツ体験を拡大するサービスを展開することにより、お客さまに"コンテンツのことがもっと好きになる。毎日の生活がもっと楽しくなる。人生がもっと豊かになる。"そんな価値を提供していきたいと考えています。

 

[中期経営計画(2021-2025年度)で実現するWOWOWの世界観]

 

コンテンツのことがもっと好きになる。毎日の生活がもっと楽しくなる。

人生がもっと豊かになる。

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(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

2023年度は、会員事業の重要な基盤である累計正味加入件数の純減トレンドからの脱却と収益拡大を実現するべく、「会員ファースト」と「独自性の追求」を方針として掲げ、以下の取組みを実行していきます。

<2023年度事業計画の方針>

「会員ファースト」と「独自性の追求」

<2023年度重点取組み>

■メディア・サービスの事業基盤復活

①コンテンツの拡充、及び独自性の追求

・「質の高さ」「多様なジャンル」「独自のキュレーション」「ライブコンテンツ」「視聴+α」の追求

 

②新規加入、利用促進、及び加入継続

・会員獲得のための新たなマーケティング活動

・既存会員の利用促進のための個別マーケティング活動

・他社との連携・協業による会員メリットの創出

 

③データ活用によるカスタマーエクスペリエンス向上

・データ活用によるコンテンツ・サービスの改善

 

■メディア・サービス外/グループ収益力拡大

①メディア・サービス外の事業拡大、新規事業開発

・TVODサービス、ECサービス等、新たなサービス開始による収益の多様化

・グループ事業成長に向けた体制強化

・投資による事業開発

 

②業務削減/効率化

・徹底的な業務見直しによるリソースの捻出、DXの推進

 

(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

事業における収益の源泉は、会員からの視聴料であることから、新規加入件数、解約件数、累計正味加入件数が重要な経営指標となります。

利益面では、収益の安定性を確保するため、グループ全体での売上高経常利益率を重要な経営指標としております。中長期的には、累計正味加入件数の増加による収益増と安定的な利益率上昇トレンドの維持、また、「メディア・サービス」以外の収入の拡大による新たな収益の柱の創出を最大目標としております。さらに、企業価値向上のために、中長期視点からキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フロー)の創出を重要な経営指標としております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティに関する考え方及び取組み

 サステナビリティに関する取組みについて、当社グループは、エンターテインメント企業として国際社会共通の目標SDGsに寄与することで、自然環境問題の啓発や、多様な価値観と表現の自由が尊重され、寛容さが育まれる社会の実現への貢献につながると考えております。SDGsの国際目標の中で、「質の高い教育をみんなに」、「ジェンダー平等を実現しよう」、「働きがいも経済成長も」、「人や国の不平等をなくそう」、「気候変動に具体的な対策を」の5つを目指し社会の持続的発展に貢献してまいります。

 環境への取組みとしては、環境に関する条約・法令を遵守するとともに、省エネ対策、コンテンツを通じた自然環境問題の啓発及び自然災害の被災者への便宜を図る等、環境に配慮した企業活動に取り組んでいます。辰巳放送センターでは、2015年に太陽光発電設備を設置し、電力の供給を行っています。(CO2削減効果:年間約46トン)

 また、「DEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)」の考え方をもとにさまざまな活動を行なっております。具体的な取組みは、当社ウェブサイト( https://corporate.wowow.co.jp/society/index.html )で開示しております。

 

 サステナビリティに係るリスクや収益機会が自社に与える影響については、当社は、以下の<ガバナンス及びリスク管理>の仕組みによりリスクの評価・管理を行っております。

 

<ガバナンス及びリスク管理>

 企業を取り巻く環境が複雑性を増す中、企業活動に重大な影響を及ぼすリスクを全社的に管理する体制を構築することが重要であることを踏まえ、「リスク管理委員会」を設置しています。「リスク管理委員会」では、サステナビリティに関連するリスクを含め、重要な企業リスクと部門リスクに選別して管理した上で、年度計画を策定し、事業活動や収益等への影響が大きいリスクに関するグループ全体の取組みを推進・サポートし、当該取組みの進捗のモニタリングを行っております。「リスク管理委員会」で協議及び承認された内容は、定期的に取締役会へ報告され、取締役会において当該報告の内容に関する管理・監督を行っております。

 

 詳細については「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」をご参照ください。

 

(2) 人的資本に関する取組み

 当社グループは、「会員ファースト」「独自性の追求」の姿勢を貫き、会員の期待と信頼に応える独自性の高いコンテンツとサービスを提供することを掲げています。

 競合にはない新しい価値を生み出し、お客さまがWOWOWに抱く「驚き」「共感」「発見」「感動」の期待に応え、信頼を勝ちうるためには、様々なバックグラウンドや、考え方、年齢や性別、性的指向、障がいの有無等にかかわらず、多様な人財が、今までにないコンテンツやサービスを生み出していく必要があります。多様な人財がお客さまに既視感のない新鮮な驚きや感動をお届けするうえで、あらゆる人財が、個を生かし、心理的安全性が担保された状態で生き生きと活躍できる環境を整備します。

 

 なお、グループ各社において人的資本に関する取組みを推進しておりますが、当社では関連する指標のデータ管理とともに具体的な取組みが行われているものの、全てのグループ会社において行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。そのため、本項における各指標値は当社のみの集計値となります。

 

①ガバナンス

 採用や育成等の重要な人事施策、人員・人件費に関する計画、組織の改定等の人財戦略に関しては、社長執行役員を議長とする経営会議にて、具体的な課題や施策について審議し、「重要事項決裁規程」に基づき決裁しております。進捗状況は経営会議にて報告し、共有しております。

 また、グループ各社の人事部門責任者による会議を定期的に開催し、グループ各社の課題や施策の取組み状況等について共有、意見交換をしております。

 

②戦略

 長期ビジョン「10年戦略」及び「中期経営計画(2021-2025年度)」に基づき、多様な人財の採用と多様性の尊重、自律的な成長・キャリア形成支援による育成、発揮能力による処遇、柔軟で自律的な働き方の実現に取り組んでおります。

 

A 多様な人財の採用

 社内に新鮮な風を吹かせ、当社の新たな事業領域を成長させるためにも、異なる事業や業界において培われた経験・知見は必要不可欠と考えており、当社は毎年一定数の新卒採用に加えて、キャリア採用を実施しております。

 また、障がいの有無にかかわらず、多様な社員が、それぞれの個性と能力を発揮できる分野で活躍しており、2026年の法定雇用率を超えた雇用率をすでに実現しております。パラアスリートも採用し、競技活動のサポートを行うほか、パラスポーツの普及啓発活動等に取り組んでおります。

 そして、新たに入社した社員が当社の雰囲気や取り組む業務に慣れるまでの期間を短くし、いち早く力を発揮してもらうため対面でのオンボーディングを原則とし、職場全体で新入社員を受け入れる風土を大切にしております。

<キャリア採用、障がい者雇用率の状況>

 

2022年度

2021年度

2020年度

従業員に占めるキャリア採用者の割合(%)

39.7

35.8

35.1

障がい者雇用率(%)

3.15

3.13

2.56

 

B 女性の活躍推進

 多様なお客さまの期待にお応えするために、当社では性別に関係なく、社員一人ひとりの持ち味や得意、志向を踏まえ、発揮能力に応じたキャリア形成の道を開いています。

 採用時の比率については、男女間での顕著な差異はなく、2023年3月31日時点におけるスタッフ職の割合は44.3%ですが、40代後半以降の女性の割合が少なく、それに伴い管理職層における女性の割合は21.8%となっています。管理職における女性の割合については、2025年3月までに25%、2028年3月までに35%へ伸ばすことを目標としております。

 これを実現していくために、男女、スタッフ職・管理職を問わず育児休業取得の推奨、時間外勤務のない勤務・時短の勤務といった勤務時間の柔軟性に加え、テレワーク制度といった勤務場所のフレキシビリティを全社員に展開することにより、ワークライフバランスがとれた就業環境の整備を図っております。また、ベビーシッター補助制度等、ライフステージに応じた様々なキャリアサポートの充実化に取組み、目標としている女性社員の育児休業取得者の復職率100%を達成しています。

 

<女性の状況>

 

2022年度

2021年度

2020年度

従業員(%)

31.9

32.1

31.1

採用した従業員(%)

35.5

50.0

30.0

管理職(%)

21.8

20.3

10.8

 

<男女別の状況>

 

2022年度

2021年度

2020年度

男性

女性

男性

女性

男性

女性

平均年齢(歳)

43.2

37.5

43.5

36.8

43.0

37.2

育児休業取得率(%)

50.0

100.0

50.0

100.0

36.4

100.0

育児休業後の復職率(%)

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

100.0

 

C 発揮能力による処遇

 年齢や性別、障がいの有無や子育て・介護の状況といった属性ではなく、発揮能力で評価・登用を行うことが、社員一人ひとりのモチベーション、働き甲斐の維持と向上に繋がり、当社の事業計画を達成するうえでも、社員の納得感を得るうえでも大切だと考えております。

 社員一人ひとりが自分に期待されている役割にふさわしい目標、組織目標と連鎖した目標を設定し、成果と行動による評価、評価を反映した登用を推進しています。

 またこの一環として、一定の年齢で職務・待遇を決める職位・ジョブグレード定年制度を2022年度に廃止いたしました。

 

D 自律的な成長とキャリア形成支援

 当社は、自律的に学び成長し、社内外のメンバーと積極的に繋がって共創しながら、お客さまの体験価値を高める取組みを実行できる人財を求めております。当社では、必要なスキルや知識、能力を習得または向上させるために、社員の自律的な学習機会を支援しています。時代の潮流に即した実践的な講座をいつでもどこでも学習できるeラーニングサービスを導入するほか、自らの業務やスキル向上につながる選択型の研修を充実させ、社員自らが立案した研修プログラムの費用を支援する制度も設けています。

 また、最新のデジタルテクノロジーを活用するための思考力や発想力を習得する研修や、組織のミッションや目標を達成するために多様な人財がそれぞれの個性や能力を発揮するためのマネジメント、リーダーシップを強化するプログラム、次世代の経営リーダーを育成するプログラム等も実施しております。

 

 キャリア形成については、社員が自らの意志で主体的にキャリアを形成することができるよう、キャリアデザイン研修や自己申告制度を実施しております。これまでの経験や現在担当する職務、役割について振り返りながら、自分の強みや課題を洗い出し、将来のキャリア意向を描いて、所属長や人事部門との1on1を行っております。そして、異動や配置へ反映しております。

 今後も社員の自律的な学びを促進して学ぶ意欲を醸成し、また、社員一人ひとりのキャリア形成を支援し、人財育成に力を入れて取り組んでまいります。

 

<研修費の状況>

 

2022年度

2021年度

2020年度

従業員一人当たり(千円)

80

53

57

 

E フィードバック文化の醸成、率直な社内コミュニケーションの推進

 当社の事業の根幹であるエンターテインメントは、社内外の仲間とともにお客さま起点で徹底的に考え、信頼関係を醸成しながら創出できるものと考えております。

 これを実現するためには、心理的安全性が担保されている中でお互いに率直に意見を交換し、フィードバック文化を醸成していくことが大切です。

 管理職に対する多面フィードバック(多面評価)の実施や会社の風土や働きがいに対する定期的なアンケート調査の実施、経営による会社方針発表に対するフィードバックの募集等を行い、改善や変革に繋げるフィードバックを推進しております。

 

2022年度

2021年度

2020年度

働き方アンケート 働きがい指数

3.62

3.57

働き方アンケート回答率(%)

68.3

69.3

離職率(%)

4.9

3.6

1.7

(注)1.働き方アンケートは2021年度より開始し、各年度の年度末の状況を確認するアンケートの指数(5段階評価における平均値)及び回答率を記載しております。

2.離職率は、定年退職、早期退職制度の利用による退職、会社都合による退職、臨時従業員の退職を除いて集計しております。

 

F 多様な個の尊重

 当社の行動指針には「個の可能性を信じ、個を活かす」ことを定めております。性別、人種、国籍、性的指向、障がいの有無等にかかわらず、全ての社員が個の力を最大限に発揮し、多様な価値観や個性を互いに尊重して認め合える安心な環境を整備するために、社内におけるDEI(ダイバーシティ、エクイティ、インクルージョン)の意識の浸透を促し、違いに寛容な組織文化を醸成することを重視しております。

 2022年度は、全社員に5回のワークショップへの参加を義務付け、社内、コンテンツ、サービスの3軸におけるDEIの考え方について、役職や年代を超えてディスカッションを実施いたしました。

 また、就業規則と関連規程を改定し、法的婚姻関係はない事実婚関係あるいは同性のパートナーを配偶者と定義するとともに、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント、マタニティーハラスメントに加え、性的指向、性自認、障がいに関するハラスメントについても、ハラスメント防止の対象として明記いたしました。

 

G 柔軟で自律的な働き方

 多様性・生産性・創造性を高めることで企業価値を向上させると同時に、社員一人ひとりがいきいきと働ける組織を協創することを目的として、ライフステージや業務に応じた自分に合うワークスタイルを実現できるよう、全社員を対象としたフルフレックス制度やテレワーク、フリーアドレス等様々な制度や環境を用意しております。

 テレワークについては社員の声や意見を考慮し、コミュニケーション不足にならないよう、「会社に来て働く目的」「対面で集まる意味」をあらためて考えました。アイデアを出して企画や施策等を考える打合せや、業務の引き継ぎ、新入社員のオンボーディング、プロジェクトやイベント等の協働する取組みの場面では、できる限り対面を優先し、「一緒に仕事をする相手・職場・チーム・会社にとっての最適」をベースにその日の働き方を決める事としております。そして、これらの趣旨を含めて、今後の働き方について社長メッセージを全社へ発信いたしました。

 また、育児・介護に加えて、傷病の治療においても仕事の両立を支援するため、時間外勤務がない勤務、時短の勤務を可能としております。

 さらには、三大疾病保険、団体長期障害所得補償保険にも会社負担で加入し、安心して治療に専念できる体制を整えております。

 

H 健康促進

 お客さまを笑顔にするエンターテインメントをお届けするためには、当社で働く社員が心身ともに健康であることが必要不可欠と考え、社員の健康促進をサポートしております。

 35歳以降の定期健康診断は人間ドックとしており、胃カメラや脳ドッグ、マンモグラフィーといった検診項目の費用補助も行い、病気の早期発見に取り組んでおります。インフルエンザや風しんといった感染症予防についても、ワクチン接種費用を一部会社が負担しております。

 ストレスチェックは年に2回実施しており、回答率はいずれも90%以上、高ストレス者の割合は他社平均を下回る水準で推移しております。各部門の結果は、ラインマネジメントへフィードバックし、マネジメントへの活用、改善を促しております。

 また、産業医と保健師が連携する体制を整え、心身に不調があれば気軽に健康相談を受けることができます。

2021年度には「健康宣言」を行い、「健康経営優良法人」に2回認定(2021年度、2023年度)を受けております。

 

③リスク管理

 当社の成長の原動力は人財です。社員の退職や採用力の低下によって人財不足になれば、企業の競争力に大きな影響を与えます。社員の自律的な学びやキャリア形成、ワークライフバランスを支援し、働きがいを感じながら、能力を最大限に発揮することができる環境を整えることで、リスクの低減に努めております。

 また、社員の健康を損なうことがないよう、勤務時間管理や休暇の取得に関するラインマネジメントへの指導や労働組合との月1回の会議、産業医と保健師とが連携した長時間労働者への医師面談を実施する等労務管理体制を整え、労務管理に関するリスクの低減にも努めております。

 

④指標と目標

 

2022年度

目標値

2025年度

働き方アンケート 働きがい指数

3.62

3.70

働き方アンケート回答率(%)

68.3

75.0

入社後3年以内の定着率(%)

96.8

100

管理職に占める女性の割合(%)

21.8

25.0

 

3【事業等のリスク】

(1)方針

 「エンターテインメントを通じて、人々の幸福と豊かな文化の創造に貢献します」という企業理念を実現するため、当社は、社会的責任を自覚し、公正かつ適切な経営の遂行に際して直面し得る重大なリスクの管理体制を整備・運用することが、極めて重要であると認識し、リスク管理を経営の重要な戦略の一つと位置付けています。

 当社は、当社グループの事業活動を取り巻く、さまざまな不確実性に対する的確な管理と、危機発生時における迅速かつ適切な対応によって、問題の回避や損失の極小化及び事業継続の確保に努め、企業価値の向上に取り組みます。

 

(2)体制について

 当社は、当社グループの事業継続マネジメントを含むリスク管理を推進する体制として、当社の社長執行役員を委員長、リスク管理担当執行役員を副委員長、執行役員及び子会社社長を委員として構成するリスク管理委員会を設置しております。

 リスク管理委員会は、原則として事業年度で1回及び必要に応じて会議を開催し、当社グループのリスク管理に関わる活動の計画及び進捗状況を把握し、その対策について継続的な改善を検討します。委員会会議には当社の常勤監査等委員が出席し、報告を受けるとともに意見を述べ、監査のために必要な情報を取得します。

また、リスク管理委員会事務局は、コンプライアンス相談窓口を運営し、違反行為の発生・拡大を防ぎ、違反行為の早期発見と是正による自浄作用を機能させ再発防止を行うことで、コンプライアンスの徹底とコンプライアンス経営の強化を図ります。

リスクが顕在化し、事業継続を脅かす危機に至った場合は、リスク管理委員会の指示により、委員長、副委員長、当該事態に関係する委員により構成される危機対策本部を設置し、対策の実施及び事態の復旧にあたります。

リスク管理に関する活動状況は、定期的及び重大な事態の発生時に取締役会に報告します。

 

<当社グループのリスク管理推進体制>

 

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(3)運用状況について

 「リスク管理方針」及び「リスク管理規程」を定め、運用を行っております。リスク管理委員会事務局は、原則として事業年度で1回及び必要に応じて、ワーキンググループを招集し、事業継続を脅かす事態に繋がる重要なリスク及びBCP策定が必要な事業領域の特定、見直しと、それぞれの主管部門の特定、見直しを行っております。

 重要リスク主管部門は、担当する重要リスクの対応について活動計画を策定し、その内容に沿って教育、訓練等を含む活動を実施、推進しております。また、リスク対策マニュアルを整備、改善し、必要な準備や周知を行っております。

 BCP主管部門は、特定された事業領域についてのBCPを策定、改善し、必要な準備や教育、訓練、周知を行っております。

 

 各部門は、重要リスク主管部門が定めた活動計画に沿って、自部門での活動の実施、推進を行うとともに、重要リスクに繋がる自部門のリスクの特定、対策の検討及び対応に関する活動計画の策定を行い、活動を実施、推進しております。

 子会社は、その事業に合わせて、各社の重要リスクの特定、対策の検討、対応に関する活動計画の策定及びBCPの策定を行い、その内容に沿った活動を行っております。

 リスク管理委員会事務局は、これらの活動状況を把握し、リスク管理委員会に報告しております。

 

(4)重要な影響を及ぼすリスクについて

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。

 

<特に重要なリスク>

 

① 加入者獲得・維持に関わるリスク

 当社グループの主要な収入は、加入者からの視聴料収入であることから、新規加入者の獲得及び解約による正味加入者数の増減が、当社グループの収入と利益を大きく左右いたします。

 家計における可処分所得や情報サービス関連支出には一定の限界があると考えられるため、景気動向または災害の影響等外部環境の変化によって、エンターテインメント・コンテンツに振り向けられる支出割合や優先度が変化し、当社グループの加入件数に係る計画に影響が生じる可能性があります。

 また、1日24時間のうちコンテンツ視聴に費やす時間にも一定の限界があると考えられます。多メディア、多チャンネル化の中で当社グループの番組を視聴する時間が抑制され、当社グループの加入者獲得計画に影響が生じる可能性もあります。

 さらに、デジタル・テクノロジーの進化によって、コンテンツ産業は急激に変化しており、競争激化の様相を強めております。動画配信を中心とした低価格で利便性の高い新たなサービスの出現に伴い、生活者のコンテンツ接触スタイルが多様化することで、顧客離れが発生し、正味加入者数が減少することで、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは引き続き、加入者の多様化したニーズに対応した、コンテンツの開発やビジネスの構築に取り組んでまいりますが、事業が想定通りに伸長しない場合や、当社グループの計画以上にコンテンツの調達や開発だけでなく、広告宣伝及び販売促進等の加入推進活動の強化が必要になった場合は、このコストが当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(新型コロナウイルス感染症に関するリスク情報)

 今後、新たな変異株の発生等当該感染症の影響が世界的にさらに深刻化した場合には、国内外のイベントが延期または中止となり、当社グループが放送を予定しているスポーツ、音楽ライブ、ステージ等が放送できなくなる可能性があります。その他、現在、制作を企画している連続ドラマWやドキュメンタリー等のオリジナルコンテンツの制作ができなくなる可能性があります。これにより、競争力のある上質なコンテンツを調達または開発できず、他社との差別化ができなくなることにより、加入件数に係る計画に影響が生じ、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② コンテンツに関わるリスク

 当社グループは営業放送開始以来、総合エンターテインメントを主軸に放送その他のサービスを提供しており、時代の流れに沿って、視聴者の要望に応え、かつ満足を得られるような各種コンテンツの調達と制作に努めております。

 コンテンツの調達面では、安定して視聴者に供給することを第一義と考え、契約先との関係強化等の対策に注力してまいりますが、現在放送、配信しているコンテンツのすべてが、将来にわたっても継続的に確保できるという保証はなく、あるコンテンツの放送を継続できなくなった場合、それに不満な加入者が加入契約を解約することにより、正味加入者の減少に伴い、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、国内の有料、無料問わず、放送、配信サービスの競合増加、コンテンツ流通のグローバル化の進展により、コンテンツ獲得競争が激化しております。それにより、コンテンツ調達コストが増加し、当社グループが取得を希望するコンテンツが調達できない、または、割高なコンテンツを調達した結果、正味加入者数の減少、または番組調達コストの増加により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、コンテンツの制作面では、「WOWOWにしかできない」「WOWOWでしか見られない」といった、WOWOWならではのエンターテインメントをお客さまへ提供すべく、クリエイターとの関係を強固にし、オリジナルコンテンツを中心とする差別化された希少性、独占性の高いコンテンツの開発に取り組んでおります。

 しかしながら、コンテンツの制作面においても、競合の増加により、優秀なクリエイターの確保が困難になることで上質なコンテンツが制作できない、または制作費が高騰する等により、正味加入者数の減少、または番組制作コストの増加により、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、年間を通じて、コンテンツの投下時期の集中等により、コストバランスが変動するため、四半期単位で業績が変動することがあります。特に第4四半期においては、スポーツコンテンツが期中を通じて開催されること、大型のアワードや音楽ライブ等が集中し、番組費が増加する傾向にあります。そのため、他の四半期と比較して利益水準を低下させる傾向があります

 

<その他の主要なリスク>

 

① BS(放送衛星)利用に関わるリスク

 BS自体に発生するリスクには、軌道上のBSが正常に作動するかどうか、隕石や宇宙の塵等との衝突、その他軌道上における事故によって故障しないかどうか、BSの設計寿命に相当する期間その機能を維持、継続することができるかどうか等があります。

 BS放送サービスは、BS自体の不具合、または地球局の天災、あるいは人為的な原因の事故により停止することがあります。こうしたリスクを低減するため、予備衛星を打ち上げることによりバックアップ体制をとっておりますが、これら不具合または事故により放送サービスが停止した場合、当社グループは加入者からクレームを受ける可能性があります。

 なお、当社の有料放送約款では、衛星デジタル有料放送サービスを月のうち半分以上提供しなかった場合においては、衛星デジタル有料放送サービスに係る当該月分の有料放送料金を請求しないことを記載しております。サービス停止の期間が上記約款に規定の期間を超えると収入が見込めなくなる場合もあり、その場合は当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当社グループの地上設備に関するリスク

 当社グループが所有する設備、あるいはリースした設備に不具合が生じたり、地震等の不可抗力により当該設備に損害が発生する可能性があります。

 これらの設備のうち、特に番組編成・放送運行システム、配信運行システム、顧客管理システム等の設備は、重大な不具合が生じた場合には、それぞれ現用系統のほか、予備系統や予備データを有し、二重化あるいは三重化された設備になっています。現用系統に不具合が生じても、即時に予備系統に切り替えることで、障害を最小限に止める対策を講じておりますが、発生したリスクの規模によっては、放送、配信サービスの停止、料金徴収等の顧客管理業務の停止等の事態が発生し、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 また、自社開発した顧客管理システムにおいてアクセス権やプログラム変更に係る内部統制の整備及び運用が適切に行われていない場合には、会員収入計上の根拠となるデータの信頼性が損なわれ、会員収入の計上額を誤る可能性があります。

 さらに配信サービスにおいては、アクセス等の一時的な過負荷等により、システムダウン、サービス提供の停止等が発生し、加入獲得の機会損失や加入契約の解約により、正味加入者が減少し、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 加えて、当社グループの設備は、東京都江東区辰巳に一極集中しており、当該地区が自然災害や、テロ・紛争に巻き込まれた場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 なお、当社の有料放送約款では、衛星デジタル有料放送サービスを月のうち半分以上提供しなかった場合においては、衛星デジタル有料放送サービスに係る当該月分の有料放送料金を請求しないことを記載しております。

サービス停止の期間が上記期間を超えると収入が見込めなくなる場合もあり、その場合は当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

③ B-CASカードのセキュリティに関わるリスク

 当社グループは、BSデジタル放送で使用するB-CASカードに関しては、持分法非適用関連会社の㈱ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(以下、B-CAS社という)と、カード使用契約並びに暗号化業務の委託契約を締結しております。B-CAS社では、B-CASカードのセキュリティ向上策の実施、そしてさらなるセキュリティ対策の検討をしております。また、当社グループでは、4K8K放送用受信機に搭載されている新CASの開発管理団体である一般社団法人新CAS協議会に出資参画し、CASのICチップ化というさらなるセキュリティ向上がなされた技術的措置を講じております。

 今後B-CASカードがICチップに置き換わっていくことで、一定のリスク低減が見込まれます。さらに、当社グループはB-CASカードによる不正視聴が発覚した場合、有料放送事業者各社及びB-CASカードの所有者であるB-CAS社等との連携や、不正視聴機器の利用による不正視聴の法的対処が実現できるよう関係省庁との連携を強化してまいります。

 しかしながら、ICカードであるB-CASカードのセキュリティが破られ、当社グループの有料サービスの課金を免れる可能性があります。違法なB-CASカードを無効にできない事態が生じた場合、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 映画製作・配給投資に関わるリスク

 当社グループは、当社グループで放送する映画の内容を充実させること及び当該映画の公開による各種収益を得ることを目的として、特定の映画作品に製作・配給投資を行っております。この映画製作・配給投資には、当社企画で他社からも製作出資を募るもの、他社企画の映画に出資者として参加するもの、さらに、日本国内又は特定地域における映画配給権のみに出資するもの等があります。投資した映画は、製作が終了するまでの間に、経済環境や映画の内容変更等様々な理由により製作費等が不足し、追加の投資が必要になるリスクがあります。

 また、映画作品は、完成後の劇場公開、DVDその他のビデオグラムの販売、ペイ・パー・ビュー、ペイテレビ等の有料放送、動画配信会社、地上波放送等の無料放送へコンテンツのマルチユースによって収益を得ますが、映画製作・配給投資の事業特性として不確実性を常に含んでいるものであり、これらの公開及び販売状況により、映画作品への投下資金を回収できない可能性があり、さらには利益を得られない可能性もあります。

 

⑤ 著作権等の知的財産権に関わるリスク

 メディアのデジタル化に伴ってコンテンツの複製が容易になったため、私的録画以外の予想し得ない権利侵害行為(例えば違法コピーの販売)から映画やテレビ番組等の著作権を保護する目的で、違法に複製ができないような技術的保護手段が講じられております(コピーガード又はコピー・プロテクション)。そこで、当社グループは、放送権の権利元の要請に応じてコピーガードの信号を放送電波に付加して放送しております。

 現時点ですべての権利元から前述のコピーガードのすべての方式について同意を得ておりますが、今後、技術の進歩により、放送権の権利元から新しいコピーガードの方法の採用を要求される、あるいは放送権許諾の条件とされる場合が考えられます。

 また、著作権等の知的財産権には、当社グループのみならずコンテンツ制作者、コンテンツ供給者、コンテンツ販売代理店、受託放送事業者、受信機メーカー等が関係しており、それぞれが自らの責任において権利侵害等を犯さぬよう努力しております。しかしながら、これらのリスクが顕在化する可能性を根絶することは事実上困難であり、著作権等の知的財産権をめぐり、関係者間で問題が発生して当社グループに波及した場合、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 放送関連法制度に関わるリスク

 当社グループの事業は、我が国において多くの法的規制を受けており、総務大臣からの認定又は免許等の対象となっております。今後、放送関連法制度や総務省の判断が何らかの事情により当社に不利な方向に変更された場合、当社グループの経営に悪影響を与える可能性があります。また、当社グループが適用法令や許可条件に従わなかった場合、認定や免許が取り消され、事業を停止又は終了しなければならない可能性があり、当社グループは放送事業に関するサービスの提供または将来の新たな認定や免許取得が困難となる可能性が生じます。

 当社グループの主要な業務に係る許認可等の取得状況は以下のとおりです。下記許認可は何れも5年毎の更新が必要であり、取消事由に該当する事象は発生していないものと認識しておりますが、当該許認可等が取り消された場合には、当社グループの事業活動に重要な影響を及ぼす可能性があります。よって、認定又は免許等の内容の順守を徹底し、日々の放送を行っております。

 

 

許認可等の名称

更新期限

内容

A 衛星基幹放送の業務認定

2023年10月26日

2024年6月16日

2025年10月18日

2027年1月23日

基幹放送局提供事業者の保有する基幹放送局(人工衛星)を用いて放送を行うために総務大臣から受けた認定

B BSデジタル地球局免許

2023年10月31日

地球局(渋谷・菖蒲)から、BSデジタル放送信号をBSデジタル放送衛星に向けて送信する無線局開設のために、総務大臣から受けた免許

 

⑦ お客さまの個人情報に関わるリスク

 当社グループは、すべての事業で取り扱う個人情報及び従業員等の個人情報の取り扱いに関し、個人情報保護法及び番号法をはじめとした個人情報の取り扱いに関する法令、国が定める指針その他の規範を遵守いたします。さらに、個人情報の適正な管理の一環として、個人情報保護マネジメントシステムの構築・運用を行うことで、個人情報保護に関する取組みを推進しております。

 また、㈱WOWOWコミュニケーションズは「一般財団法人日本情報経済社会推進協会」より、個人情報の適切な取り扱いを行う事業者に付与されるプライバシーマークの付与認定を受けております。

 当社グループは、加入者と締結した加入契約により取得した加入者情報・契約情報等の個人情報を管理しており、個人情報をマーケティング等適切な目的に使用する場合には、個人情報の管理に細心の注意を払い、関係企業に守秘義務を負わせる等の対策を徹底しております。それにもかかわらず、結果的に個人情報が当社グループ等から漏洩した場合は、当社グループは加入契約に基づいて法的責任を負う可能性があり、個人情報保護が不十分であるとの社会的批判を受けること等によって、当社グループの事業及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 為替レートの変動に関するリスク

 当社グループが調達するコンテンツには海外から現地通貨建てで購入するコンテンツが含まれております。

当社グループは主要通貨間の為替レートの短絡的な変動による悪影響を最小限にするため通貨ヘッジ取引を行っておりますが、急激なレートの変動により当社グループの業績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります(一般的に他の通貨に対する円安は当社グループの業績に悪影響を及ぼし、円高は好影響をもたらします)。

 

⑨ 投資有価証券に関するリスク

 当社グループは、事業上必要と判断した会社の株式の保有や出資等を行っております。上場株式については株式市場における時価下落、非上場株式等については対象会社の財政状態の悪化等により、保有有価証券の評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が継続する中、水際対策の緩和や政府による旅行支援策等により、経済活動は徐々に正常化に向かい始めました。しかしながら、世界的な金融引き締めを背景とした景気の下振れ懸念や、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化と円安を背景とした資源・原材料価格の高騰等により、依然として先行きは不透明な状況にあります。

このような経済環境の下、当連結会計年度における当社グループの業績は、累計正味加入件数の減少に伴い会員収入(注)が減少したこと等により、売上高は771億1百万円と前期に比べ25億56百万円(△3.2%)の減収となりました。また、費用面では、当連結会計年度における番組費が、サッカー等大型スポーツコンテンツの戦略的な投下を行った前期に比べ大幅に減少しましたが、売上高減に伴う利益減の影響等により、営業利益は32億25百万円と前期に比べ20億43百万円(△38.8%)の減益、経常利益は35億47百万円と前期に比べ18億1百万円(△33.7%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は23億98百万円と前期に比べ18億41百万円(△43.4%)の減益となりました。

(注)当連結会計年度より当社グループの事業戦略と整合性をとることを目的に、従来「有料放送収入」としていた収益の名称を「会員収入」に変更しております。

 

各セグメントの経営成績は次のとおりです。

 

<メディア・コンテンツ>

当連結会計年度はライブエンターテインメントの独占性の強化と大型オリジナルコンテンツの開発に取り組みました。スポーツでは、「UEFAチャンピオンズリーグ」、「LPGA女子ゴルフツアー」、テニス、ラグビー等のスポーツコンテンツが新規加入をけん引し、「全米オープンテニス」では、全試合・全コート配信及び4K生中継をはじめ、グランドスラムをより楽しめるよう、オンラインを通じて顧客体験価値の向上に資するイベント等を実施しました。音楽ではNCT 127、東方神起等のライブが好評を得たほか、当社初のハリウッドとの日米共同制作ドラマ「TOKYO VICE」、「連続ドラマW フェンス」等のオリジナルコンテンツを放送・配信しました。

また、新しいお客さまの獲得に加え、既存のお客さまの満足度向上にも経営資源を投下し、加入継続率向上にも取り組みました。お客さまの利用時間や接触時間の増加を図るため、WOWOWオンデマンドはコンテンツを大幅に拡充し、2022年7月にUI/UXの改善を実施しました。さらに、Amazon Fire TVシリーズのアプリ内課金に対応し、テレビデバイスの対応機器を拡張する等の取組みを行いました。

しかしながら、他社の動画配信サービスとの競争激化、目的番組の終了による解約件数増加の影響等により、正味加入件数は純減と厳しい結果となりました。

以上の結果、当連結会計年度におけるメディア・コンテンツセグメントの売上高は、713億51百万円と前期に比べ26億16百万円(△3.5%)の減収、セグメント利益は28億20百万円と前期に比べ18億53百万円(△39.7%)の減益となりました。

当連結会計年度の加入件数の状況は次表のとおりとなりました。

(単位:件)

 

第38期

2022年3月期

第39期

2023年3月期

対前年差

対前年増減率

新規加入件数

611,860

551,401

△60,459

△9.9%

解約件数

722,920

672,260

△50,660

△7.0%

正味加入件数

△111,060

△120,859

△9,799

累計正味加入件数

2,680,411

2,559,552

△120,859

△4.5%

内)複数契約(注)1

379,057

356,597

△22,460

△5.9%

内)宿泊施設契約(注)2

77,254

81,150

3,896

5.0%

(注)1. 同一契約者による2契約目と3契約目については、月額2,530円(税込)の視聴料金を990円(税込)に割引しており、当該割引の対象となる契約を「複数契約」と呼称しております

2. 宿泊施設の客室で視聴するための宿泊施設事業者との契約については、視聴料金を個別に定めており、当該契約を「宿泊施設契約」と呼称しております

 

<テレマーケティング>

テレマーケティング業務等の外部売上及びグループ内部売上が増加したことにより、売上高は101億31百万円と前期に比べ1億31百万円(1.3%)の増収となりました。セグメント利益は、外部顧客からの新規受注に係る初期コストがかさんだこと等により、4億4百万円と前期に比べ1億89百万円(△31.9%)の減益となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ15億75百万円減少し、257億57百万円となりました。

 

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は32億19百万円(前期比32億2百万円減)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益34億79百万円、減価償却費37億22百万円及び棚卸資産の減少額11億93百万円の計上であり、主な減少要因は仕入債務の減少額16億42百万円、その他の資産の増加額15億69百万円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は23億3百万円(前期比1億91百万円増)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入58億84百万円であり、主な減少要因は、定期預金の預入による支出50億98百万円及び有形固定資産の取得による支出13億7百万円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は25億15百万円(前期得られた資金は8億52百万円)となりました。主な減少要因は、配当金の支払額17億19百万円及び自己株式の取得による支出7億78百万円です。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当連結会計年度における売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

売上高(百万円)

対前年増減率(%)

メディア・コンテンツ

71,335

△3.5

テレマーケティング

5,766

0.9

合計

77,101

△3.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主要な販売の相手先は一般視聴者であり、主な相手先別に記載するべきものはありません。

3.「メディア・コンテンツ」セグメントには会員収入62,987百万円(対前年増減率△5.0%)を含んでおります。

 

加入件数の状況、加入方法及び有料放送の料金体系を示すと、以下のとおりです。

A 加入件数の状況

「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」における加入件数の状況をご参照ください。

 

B 加入方法

(A) デジタル機器(直接受信)による視聴の場合

加入申込は、カスタマーセンターでの電話による受付及びインターネット等を通じて顧客と当社が直接契約する形態と特約店業務委託契約をしている電器店等を通じて行う形態があります。

 

(B) ケーブルテレビ局経由による視聴の場合

加入申込は、当社が契約しているケーブルテレビ局を通じて行っております。

 

(C) スカパー経由による視聴の場合

加入申込は、スカパーJSAT㈱を通じて行っております。

 

(D) ひかりTV経由による視聴の場合

加入申込は、㈱アイキャストを通じて行っております。

C 有料放送の料金体系

区分

視聴料

備考

衛星デジタル有料放送サービス

月額視聴料 2,530円(税込)

(プログラムガイド込み)

衛星デジタル有料放送サービスに更に衛星デジタル有料放送サービスを追加して有料放送契約を締結する場合の衛星デジタル有料放送サービス(複数契約)

月額視聴料  990円(税込)

(プログラムガイドなし)

ただし、同一世帯による同一口座から視聴料の引落しを受ける衛星デジタル有料放送サービス契約1契約につき新たな衛星デジタル有料放送サービス2契約までとする。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、決算日における資産・負債の数値並びに当該連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行います。

見積り及び判断の基礎としては、過去の実績や合理的と考えられる査定方式を採っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性により、見積りと異なる場合があります。見積りに大きな影響を及ぼす重要な会計方針の主要なものは以下のとおりです。

 

A 固定資産の減損処理

当社グループは、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損して、当該差額を減損損失として計上しております。

固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等を合理的に見積った上で計算するため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の見積りに変更があった場合、当社グループで減損損失が計上される可能性があります。

 

B 繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、当該見積額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

C 投資有価証券の減損処理

当社グループは、長期的な取引関係維持または将来における事業の多角化を見据え、特定の有価証券を保有しております。これらの株式のうち、市場価格のない株式等以外のものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理をしております。市場価格のない株式等について実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない限り、減損処理をしております。

将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在簿価に反映されていない追加的な評価損の計上が必要となる可能性があります。

 

当連結会計年度において、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

A 連結経営成績の推移

最近5期間における経営成績(重要な経営指標)は、以下のように推移しております。

回次

第35期

第36期

第37期

第38期

第39期

決算年月

2019年3月

2020年3月

2021年3月

2022年3月

2023年3月

新規加入件数

(件)

660,191

563,915

542,246

611,860

551,401

解約件数

(件)

635,100

610,642

605,541

722,920

672,260

正味加入件数

(件)

25,091

△46,727

△63,295

△111,060

△120,859

累計正味加入件数

(件)

2,901,493

2,854,766

2,791,471

2,680,411

2,559,552

売上高

(百万円)

82,623

82,450

79,165

79,657

77,101

経常利益

(百万円)

7,531

9,225

6,934

5,349

3,547

売上高経常利益率

(%)

9.1

11.2

8.8

6.7

4.6

営業活動による

キャッシュ・フロー

(百万円)

5,017

9,982

5,961

6,422

3,219

 

 

2019年3月期

 累計正味加入件数増加に伴い会員収入が前期に比べ増加したことや、テレマーケティング事業における外部売上の増加等により、売上高は前期に比べ1.3%の増収となりました。一方で、戦略的なコンテンツ強化による番組費の増加等により、経常利益は前期に比べ29.6%の減益、経常利益率は4.0ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ46.8%の減少となりました。

 

2020年3月期

 累計正味加入件数の減少に伴う会員収入の減少等により、売上高は前期に比べ0.2%の減収となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期、中止に伴い番組費が減少したこと等により、経常利益は前期に比べ22.5%の増益、経常利益率は2.1ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ99.0%の増加となりました。

 

2021年3月期

 累計正味加入件数の減少に伴う会員収入の減少等により、売上高は前期に比べ4.0%の減収となりました。新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期・中止に伴い番組費が減少しましたが、4Kや配信関連費用等が増加したことや、貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、経常利益は前期に比べ24.8%の減益、経常利益率は2.4ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ40.3%の減少となりました。

 

2022年3月期

 累計正味加入件数の減少に伴い会員収入は減少しましたが、テレマーケティング業務等その他収入の増加により、売上高は前期に比べ0.6%の増収となりました。一方、大型スポーツコンテンツへの戦略的な投下により番組費が増加したため、経常利益は前期に比べ22.9%の減益、経常利益率は2.1ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ7.7%の増加となりました。

 

B 当連結会計年度(2023年3月期)の経営成績の分析

(A) 加入件数

当連結会計年度における加入件数の状況は、他社の動画配信サービスとの競争激化、目的番組の終了による解約件数増加の影響等により新規加入件数は551,401件(対前年増減率△9.9%)、解約件数は672,260件(同△7.0%)、新規加入件数から解約件数を差し引きました正味加入件数は△120,859件となり、当連結会計年度末の累計正味加入件数は2,559,552件(同△4.5%)と4期連続純減と厳しい結果になりました。また、当連結会計年度末時点において、複数契約は356,597件(同△5.9%)、宿泊施設契約は81,150件(同5.0%)となりました。

(B) 売上高

累計正味加入件数の減少に伴う会員収入の減少等により、売上高は771億1百万円と前期に比べ25億56百万円(△3.2%)の減収となりました。

 

(C) 経常利益

番組費は減少したものの、売上高の減少による利益減等の影響により35億47百万円となり、前期に比べ18億1百万円(△33.7%)の減益となりました。

 

(D) 営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動の結果得られた資金は32億19百万円(前期比32億2百万円減)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益34億79百万円、減価償却費37億22百万円及び棚卸資産の減少額11億93百万円の計上であり、主な減少要因は仕入債務の減少額16億42百万円、その他の資産の増加額15億69百万円です。

 

C 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループを取り巻く事業環境は、年々競争激化の様相を強めております。それに伴い事業運営のリスク要因等も多種・多様化しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

当社グループの売上高の源泉は加入者からの視聴料です。したがって、加入者を如何にして増やし続けるか、その為に何をするかが重要な課題であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。さらに、当社グループの基幹事業は放送です。加入への誘引、加入していただいたお客さまの視聴の継続に大きく影響を及ぼすのは、放送の内容、番組、コンテンツです。質の高いコンテンツを獲得することは、必要不可欠であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。

 

D 資本の財源及び資金の流動性について

(A) 当社グループの資金状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度に比べ15億75百万円減少し、257億57百万円となりました。詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

(B) 財政政策

当社グループは、運転資金及び設備投資等の資金につきましては、自己資金により充当しております。

次期の運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金、取引銀行4行と個別契約しております総額32億70百万円の当座貸越契約及び取引銀行4行と2021年5月31日に締結いたしました総額100億円のコミットメントライン契約により確保しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当社グループは、高品位でかつ多様なサービスを提供するために、先端技術、サービスを保有する企業等と連携、規格化検討へ参加する等の活動を中心に研究開発を推進しております。

なお、研究開発費は当社グループ独自には計上しておりません。