第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針・経営戦略等

①経営の基本方針

 当社グループは、株式会社SRAとして創業以来掲げている「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という経営理念のもと、ITでユーザーの満足度を最大化することを経営の基本としてまいりました。今後もこの基本理念に沿い、急速に変化する市場環境の中で情報サービス産業への期待に応えるべく努力し、収益性と成長性の追求により企業価値と株主利益の向上を目指してまいります。

 

②経営環境に対する認識

 社会や経済のグローバル化の一層の進展、技術の進化及び労働環境向上ニーズの継続等を背景にIT投資需要は今後も増加するものと考えております。

 一方で、国内人口の減少を背景として国内需要増加に限界があると考えられるほか、労働人口減少により人材確保が難しくなる等、当社グループの持続的成長を実現していくにあたっての課題も多いと認識しております。

 また、当社グループが属する情報サービス産業では、技術の急速な進化・根本的な変革や同業間での厳しい競争が今後も予想されます。

 このような状況を踏まえ、たゆまぬ技術革新への取組み、成長する分野・地域での事業拡大、及びそれらを可能とする優秀な人材の確保とビジネスモデルの変革が極めて重要であると認識しております。

 

③当社グループ経営方針

1)2024年3月期経営方針

~環境の変化に即応した成長の実現~

〇既存事業の持続的成長と生産性向上による事業基盤安定化

〇高収益の新しいビジネスモデルの創出

〇グループ内連携強化によるシナジー発揮

〇労働力の提供から価値の提供への移行

〇受託型ビジネスから提案型ビジネスへのシフト

〇コンサルティングビジネスを核として価値の提供を行う提案型ビジネスへのシフト

 

2)成長戦略

〇既存顧客の深耕

 ・グループシナジーを強化して当社グループの製品・サービスを提供

〇ビジネスモデルの変革

 ・クラウドインフラビジネス(自動化、DevOps(*1)、セキュリティ等)への展開

 ・Low-Code/No-Code開発(*2)(OutSystems、ServiceNow等)の推進

 ・製品提案型の業務コンサルティングにより、「開発」「運用構築」「販売」のより上流から参画することでビジネスチャンスを拡大(Oracle Cloud ERP、SalesForce、AWS、BlackRock等)

〇自社IP製品×グローバルビジネスの推進

 ・自社IPの商品力向上と販売力強化(P-CON、Proxim、Cavirin、Univision、DB-Spiral等)

 ・オープンソースやクラウド対応によるセキュリティ、健康管理、データ分析、AI成長分野における新自社IP製品の開発(FIDO(*3)対応セキュリティ製品、ウェアラブルアプリ)

 ・マルチクラウドやハイブリッドクラウドへの対応サービスの充実

 ・東南アジア、特にベトナムを中心とした市場の開拓

*1 DevOps:従来分離していたソフトウェアの開発と運用のチームやプロセスを互いに連携させることで、より速くより高品質

             なサービスを提供するための考え方

*2 Low-Code/No-Code開発:できる限りソースコードを書かずにシステムを開発する手法。ビジネスの変化にシステムを素早く

                           追従させることができる。

*3 FIDO:標準規格団体である「FIDO Alliance」が定めた新しい認証方式。従来の固定パスワードに代わる安全性とUI/UXを両

           立した認証手段の標準規格

 

 

3)株主還元方針

 〇株主還元の更なる充実を目指す

 ・配当性向50%を目途に、安定的な高配当を目指す

 ・株主資本の効率的活用の指標であるROEは、安定的かつ継続的に10%以上確保を目指す

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

新型コロナウイルス感染症につきましては感染症法上の扱いが見直され、社会活動や経済活動の正常化が急速に進んでおります。

一方で、地政学的リスクの顕在化・長期化等を背景にインフレが継続しており、各国金融政策の影響も踏まえ米国を始めとして世界的な経済停滞の懸念が高まっております。

当社グループでは「環境の変化に即応した成長の実現」を経営方針として掲げており、高まるリスクに適切に対応しつつ社会の変化を捉えた事業の拡大を実現してまいります。

そのために「グループシナジーを強化し顧客ニーズの発掘と的確な対応を行うことによる既存顧客の深耕」、「クラウドインフラビジネス展開、Low-Code/No-Code開発推進、業務コンサルティング拡大によるビジネスモデルの変革」及び「提供するサービスやマーケット拡大につながる自社IP製品×グローバルビジネスの推進」を主な成長戦略として掲げております。

このような方針・戦略において、当社グループの事業の持続的成長に欠かせない人材確保は今後益々重要度が高まる課題であると考えております。海外を含めたビジネスパートナー・提携会社との関係拡充を通し優秀な人材を安定して確保していくとともに、当社グループ社員に対し成長機会を提供することにより人材底上げを図ってまいります。

また、今後も海外を含めた事業投融資は継続していく方針であり、当社グループの収益力・財務体力を踏まえた適切な判断を行い厳格な管理を行っていくと共に、投融資資産の価値変動の可能性があることを前提として安定性のある財務体質を維持するよう努めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、2024年3月期経営方針として「環境の変化に即応した成長の実現」を掲げております。

上記の方針を踏まえ経営成績に関する計数目標を以下のとおりとしております。

                                (単位:百万円)

 

2024年3月期

目標

売上高

44,500

売上総利益

11,640

売上総利益率

26.2%

販売費及び一般管理費

5,390

営業利益

6,250

経常利益

6,150

親会社株主に帰属する当期純利益

3,600

1株当たり当期純利益(円)

289.93

 

また、株主還元方針として「配当性向50%を目途に安定的な高配当」及び「ROEは安定的かつ継続的に10%以上確保」を目指すこととしております。

 

(4)開示時点における経営方針・経営戦略

新型コロナウイルス感染症は感染症法上の取扱みが見直されましたが、数年にわたる対策を通じ働き方の多様化に向けての取組みが進展し今後もその流れは変わらないものと考えております。

当社グループの成長戦略のひとつとして掲げている「クラウドインフラビジネスへの展開」はそのような環境下において、より一層注力すべき分野であると認識しております。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

2021年12月28日開催の取締役会において「サステナビリティ基本方針」「重点課題(マテリアリティ)」を定め、2022年4月にサステナビリティ担当役員を選任しており、各重点課題につきましてはSRAホールディングス管理本部・SRAコーポレート本部を軸に主に以下の委員会等を設置し対応を行っております。

サステナビリティ担当役員は取締役会に対しその活動報告を年次で行っているほか、内部監査部門もサステナビリティに関する運営状況を監査対象としており取締役会宛に年次報告を行っております。

重要課題

所管部署・委員会

①気候変動等地球環境に関する対応

SRAホールディングス管理本部

 リスク管理委員会

 

SRAコーポレート本部 他

SRAホールディングス管理本部

SRAコーポレート本部

②人権の尊重

グループコンプライアンス委員会

③従業員の健康・労働環境への配慮、

 公正・適正な処遇

働き方改革推進委員会

④取引先との公正・適正な取引

グループコンプライアンス委員会

個人情報保護委員会

情報セキュリティ委員会

⑤自然災害等に対する危機管理

震災対策本部

ウイルス感染対策本部等随時設置

 

(2)戦略

(a)サステナビリティに関する考え方

当社グループにとってのサステナビリティとは、創業以来の「SRAグループ企業理念」、すなわち「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という考え方に基づき、グループ各社の得意分野を活かしつつ、ITによる社会変革・未来発展に貢献することにより当社グループと社会の持続的な成長を目指すことです。

中長期的な当社グループの持続的な成長を支え、企業活動を通じ実践すべきテーマとして「SRAグループ倫理憲章」をもとに5つのサステナビリティ重要課題(マテリアリティ)を設定しております。

「SRAグループ倫理憲章」及び「サステナビリティ重要課題(マテリアリティ)」は以下のとおりです。

 

<SRAグループ倫理憲章>

① 公正で透明な企業活動を通じ、社会との健全かつ正常な関係を維持する。

② 優れたサービスの提供と品質向上に努め、顧客の信頼を獲得する。

③ 株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公正に開示する。

④ 自他の知的財産を尊重し、個人情報をはじめとする情報の保護に努める。

⑤ 社員の人格・個性を尊重し、安全で働きやすい職場環境を提供する。

⑥ 社会秩序や安全に脅威を与え、健全な経済・社会の発展を妨げる反社会的勢力との関係断絶に努める。

 

<重要課題(マテリアリティ) >

① 気候変動等地球環境に関する対応

② 人権の尊重

③ 従業員の健康・労働環境への配慮、公正・適正な処遇

④ 取引先との公正・適切な取引

⑤ 自然災害等に対する危機管理

 

 

(b)サステナビリティに関する取組

重要課題ごとの取組状況は以下のとおりです。

①気候変動等地球環境に関する対応

当社グループ企業理念の下、お客様のビジネスをITの力で変革し、それによって地球環境に対する貢献を目指しております。

 

(当社グループの取組み)

・主要子会社であるSRAは、一般社団法人情報サービス産業協会(“JISA”)の低炭素化社会実行計画に2008年から参加し、CO2の年間排出量を把握し削減に努めています。

・管理部門のペーパーレスを推進し、テレワーク等の環境整備を行ったことで、事業所面積の最適化を図り、使用電力の削減によるCO2削減を実施しました。

 

(お客様のビジネスを通じてITを活用することによる貢献)

・ペーパーレスソリューション製品であるP-CONの拡販によりお客様のペーパーレス化を促進することを通し、省資源化を推進しております(SRA)。

・AIを活用した送電鉄塔の「腐食劣化度診断システム」を東北電力ネットワークとSRA東北が共同開発しております(第4回インフラメンテナンス大賞・経済産業大臣賞を受賞)。

・高知IoPプロジェクト「施設園芸農業」に参画し省力化に貢献する取組みをしております(SRA西日本)。

・電力会社等の省力化に貢献する取組みを行っております(グループ各社)。

 

②人権の尊重

当社グループでは、性別・人種・国籍・身体的障がいの有無等に関係なく、労働者としての権利が保障されるとともに、十分な収入が確保され、適切な社会的保護が供与される働き方の維持に努めております。

ハラスメント行為等の職場における人権を侵害する行為については、従業員はもとより契約・派遣社員や社内に常駐する委託先社員を対象としたグループホットラインを設け、事態の早期解決を図っています。

障がい者雇用については現在法定目標値にはわずかに達していません(子会社である株式会社SRAの場合2.3%に対して2.2%)が、適材適所への雇用を促進すべく引き続き取組みを続けています。

女性の活躍促進については、以下③に記載のとおりです。

 

③従業員の健康・労働環境への配慮、公正・適正な処遇

従業員は当社グループの事業継続に最も不可欠なものと認識し、毎年の健康診断受診やメンタルヘルスアンケートを通じ、その健康状態の把握に努めています。

こうした取組みに対し、2020年には主要子会社のSRAが東京都情報サービス産業健康保険組合より健康優良企業の認定を受けました。

また、SRAでは「次世代育成支援対策推進法」に基づき、仕事と家庭の両立を目的とした行動計画を策定し、各種の取組みを推進しています。

女性の活躍推進についてはSRAにおいてJISAの「ダイバーシティ戦略」に賛同を表明し、多様な人材が平等に活躍できる企業を目指すとともに、女性活躍の推進に向けての取組みを行っています。

また、主要子会社のAITでは、厚生労働大臣から女性の活躍推進の取組状況が優良な事業主に与えられる「えるぼし認定(二つ星)」を2020年2月に取得しました。

 

④取引先との公正・適正な取引

当社グループの倫理憲章にある「公正で透明な企業活動を通じ、社会との健全かつ正常な 関係を維持する。」を基本方針としています。

システム開発や運用・構築事業におけるビジネスパートナー各社との関係については、下請法や労働者派遣法等の関連法令の遵守を徹底し、緊密な業務提携、安定発注の推進を図っています。

販売事業については、適正な購買活動や営業活動を基本方針に、自社IP製品ビジネスや、仕入れを伴う販売ビジネスにおいて権利関係を重視した公正で透明な事業を行っています。

また、コンプライアンス担当に外部ホットライン窓口を設置しており、法令違反行為などが行われている、又はその恐れがあるときは、取引先やその他外部の関係者にも利用できる仕組みを整えています。

 

 

⑤自然災害等に対する危機管理

自然災害に対する危機管理については、事業継続の観点から震災・疫病等に対応するためSRAホールディングスにおいて災害対策本部を設置してグループ全体をカバーする体制を構築し、情報収集と経営判断とを連携させ指示を行っています。

また、防災マニュアルをグループ各社に配布して社員一人一人が有事の際に備えた行動がとれるよう教育を行っております。

 

(震災地応)

グループ各社、支社間をインターネット回線、専用回線、衛星無線の3種類の連絡方法を保有して事業所間の情報連携が必ず取れる体制とし、被災地以外に対策本部を設置し、経営と連携した事業継続を行える体制を保持しています。

 

(ウイルス感染対策)

インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症による事業活動が停止しないよう、テレワークへの切替えが容易にできる体制を構築しています。

また、お客様と連携し、社会的インフラの運用を行う部門以外は、テレワークでも生産性を落とさず、お客様の期待に応える体制を構築しています。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、SRAホールディングス管理本部・SRAコーポレート本部を軸に経営に重要な影響を与えるリスクに対して、総合的な管理を実施しています。グループコンプライアンス委員会・個人情報保護委員会・情報セキュリティ委員会等の各種委員会、震災対策・ウイルス感染対策等を目的として設けられる対策本部により認識・分析・評価を行い対応すべきリスクに対し所管部署が中心となってリスク低減に関する各種施策を実施しています。

 

(4)指標及び目標

当社グループでは下記の指標・目標を掲げております

(a)気候変動等地球環境に関する対応

<情報サービス産業協会(JISA)の低炭素化社会実行計画への参加>

JISA CO2削減自主行動計画 業界目標

(2022年度まで)

①オフィス部門についての目標水準

基準年(2006年度)比にて2030年度に37.7%削減

②データセンター部門についての目標水準

基準年(2006年度)比にて2030年度に7.8%削減

(2023年度以降)

①オフィス部門についての目標水準

基準年(2020年度)比にて2030年度に9.56%削減

②データセンター部門についての目標水準

基準年(2020年度)比にて2030年度に9.56%削減

 

ご参考:情報サービス産業における地球温暖化対策の取組 2022年9月 一般社団法人 情報サービス産業協会

https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/chikyu_kankyo/ryutsu_wg/pdf/2022_001_10_01.pdf

 

<当社グループのペーパーレス活動>

社内申請書類や契約書類の電子化、テレワークの推進等によりペーパーレス化を進めております。

 

2020年度

2022年度

増減率

SRA

831千枚

664千枚

△20.1%

その他

397千枚

302千枚

△23.8%

合計

1,228千枚

966千枚

△21.3%

 

 

 

(b)人材育成方針

当社グループを取り巻く環境として、技術の急速な進化・根本的な変革や同業間での厳しい競争が今後も予想され、たゆまぬ技術革新への取組み、成長する分野・地域での事業拡大を図っていくために優秀な人材の確保・育成が必須であると考えております。

キャリアや役職に応じた階層別研修やコンプライアンス・個人情報保護に関する年次研修、資格取得支援や手当制度を整備し、また新興国でのIT人材の育成を行う等、当社グループの発展につながる個々の社員の成長を目指しております。

特に技術人材に関しましては、当社グループの成長戦略の柱のひとつとして「ビジネスモデルの変革」を掲げており、変革を加速するために先進的な技術を駆使し新しいサービスの創出とお客様のビジネスを成功に導くことができる技術者の育成は最重要課題のひとつであり、下記のような技術人材育成方針を掲げております。

 

<技術人材育成方針>

当社グループの技術戦略に沿った技術分野に注力し、基礎技術と応用技術力向上を目指し、組織的かつ技術者が自発的に成長する機会を提供する施策を実施する。

2023年度はクラウド関連とArtificial Intelligence/Machine Learning(“AI/ML”)関連の技術分野に注力し以下の活動を中心に展開する。

・AI/MLについて、多くの技術者が基礎力を身に着けるための活動

・クラウド技術力の維持のための実践提案力向上を中心とした活動

・クラウド学習環境(AWS、Azure)を継続提供し、社員の自己研鑽を後押し、クラウドとAIサービスにおいて基本的な知見を得る活動

 

<技術人材育成指標>

・AI/MLについて、多くの技術者が基礎力を身に着けるための活動を実施(2023年度目標:G検定合格者50名)

AI/MLリテラシーから応用レベルまでの知識習得、G検定・E資格取得人材を拡充。

2023年度はAI/MLについて体系的に理解し、幅広い範囲の基礎知識を有する人材育成を優先。

既に基礎技術力を有するメンバーに対しては、AI/MLエンジニアに必要なより深い知識を学習する機会を提供し、E資格を目指す活動を展開。

・クラウド技術力の維持のための実践提案力向上を中心とした活動実施

AWS資格取得者に対して、実践的な提案能力を向上する研修を社内で開発し開催。

AWS社のパートナー向けトレーニングコースを活用し、クラウド技術者育成を継続。

・社員の自己研鑽を後押し、クラウドとAIサービスにおいて基本的な知見を得る活動実施

クラウドAWSとAzureの自己研鑽環境の提供を継続。

AWS利用はコアビジネスパートナーへ対象を拡大。

・Oracle Cloud ERP導入のコンサルティングに関する知識・スキルの証明となる認定資格の取得

(2023年度目標:導入コンサルタント認定資格取得20名、うちOracle Procurement Cloud 10名・Oracle Financials Cloud: General Ledger10名)

 

(c)社内環境整備

①人材の多様性

主要子会社である株式会社SRAでは次世代育成支援対策推進法・女性活躍推進法に基づき「一般事業主行動計画」を策定し取組みを行っております。

<行動計画骨子>

・計画期間:2021年4月1日~2026年3月31日までの5年間

・目標:採用者に占める女性比率を35%以上とする

従業員の在宅勤務比率を100%以上とする(全従業員が在宅勤務を行った経験者とする)

新入社員女性比率(株式会社SRA)

 

男性

女性

女性比率

2020年度

25名

15名

37.5%

2021年度

16名

10名

38.5%

2022年度

27名

8名

22.9%

3年合計

78名

33名

29.7%

(管理職に占める女性労働者の割合、労働者の男女の賃金の差異につきましてはP.8をご参照ください。)

 

 

また、従来からある米国・オランダ・中国・シンガポールに加え、2017年12月にセルビアに現地法人を設立、2022年7月にNAL HOLDINGS JOINT STOCK COMPANY(本社:ベトナム ハノイ市、代表取締役社長:Pham Manh Lan)(NAL)への資本参加を行い海外拠点の拡充を図った他、韓国での就職セミナー参加を通じて継続的に採用を行う等地域や国籍を問わず人材の多様性を高める取組みを行っております。

 

②従業員の健康・労働環境への配慮

・次世代育成支援対策推進法に基づく育児休業取得に関する目標

計画期間内(2020年4月1日~2025年3月31日)に育児休業の該当者の取得率を次の水準以上とする。

男性社員:計画期間中に1人以上取得すること

女性社員:取得率を75%以上にすること

(株式会社SRA)

年度

男性社員

女性社員

2020年度

7名中1名(14.3%)

2名中2名(100%)

2021年度

14名中2名(14.3%)

該当者なし

2022年度

17名中5名(29.4%)

1名中1名(100%)

 

・健康促進支援

健康管理支援ツール(アプリ)の利用、社員支援プログラム(EAP)の提供。

2020年に株式会社SRAが東京都情報サービス産業健康保険組合から健康優良企業として認定。

 

・メンタルヘルスケアプログラム

ストレスチェックによる気づきから医師面接やカウンセリングによる相談や学習コンテンツによる学びまで社員のメンタルヘルスケアを総合的にサポートし、こころの健康増進に取組み。

ストレスチェックの受験率 2021年度:82.6%、2022年度:88.3%、目標:100%(当社グループ)

 

・働き方改革推進

株式会社SRAでは以下の取組みを通じて社員が自己啓発や研修参加等自己の成長のため、また家庭や生活のための有意義な時間が持てるよう支援を行っている。

労働時間削減:年次有給休暇取得率100%を目指す。

記念日休暇、全社年休取得デー、計画年休の施策を実施。

多様な働き方の推進:フレックスタイム制度

テレワーク勤務制度(総務省2021年テレワーク先駆者百選に認定)

2022年度テレワーク比率50.2%(前年度比0.5%増)

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

[特に重要なリスク]

①当社グループを取り巻く環境の変化に関するリスク

当社グループが属する情報サービス産業では、技術進化が著しく速く顧客ニーズも多様化・高度化が継続することに加え、他社との競合も更に激化していくものと認識しております。

また、当社グループの事業活動は、国内外の経済情勢や顧客企業のIT投資動向、各種法規制や税制・会計基準の変更などの影響を受けます。

そのような環境の変化に対し、「ビジネスモデルの変革」、「自社IP製品×グローバルビジネスの推進」といった成長戦略を掲げ事業拡大推進に取組んでおりますが、想定を超える急激な社会情勢の変化が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

②システム開発におけるプロジェクトの採算に関するリスク

当社グループの主要事業である開発事業においては、業務を一括して請け負い完成責任を負う一括請負契約を締結する場合があります。

受注時には一定の利益が期待されるプロジェクトであっても、開発作業開始後の仕様変更、当初の見積りを超えた作業工程の発生などにより採算が悪化することがあります。また、検収後に瑕疵保証等の追加費用が発生する可能性があります。

このような期待された採算を下回るプロジェクトの発生を抑制すべく、受注時におけるリスク要因のレビュー、見積り精度の向上に努めるとともに、プロジェクト管理体制を強化しております。

当社グループ内で開発事業における中心的な役割を担う株式会社SRAでは、一定金額以上のプロジェクトにつき専任部署が想定されるリスクを指摘しつつ進捗管理及び品質管理を行い、遅延等の問題発生の可能性が高まったと判断した場合には支援を行う体制を構築しているなど、採算悪化を防ぐ対策を講じております。

また、特に大きな問題が発生する場合も想定し、株式会社SRAの代表取締役社長を対策本部長とした全社プロジェクトとして対応を行う体制としております。

しかしながら、想定以上に期待された採算を下回るプロジェクトが発生した場合には、業績に影響を与える可能性があります。

 

③海外事業投融資に関するリスク

当社グループは海外の成長市場開拓を目指し、現地企業との業務・資本提携、M&Aなどにより積極的な事業投融資を行っていく方針です。

事業投融資を行う際には事前調査の実施はもとより投融資先経営陣と十分な意見交換を行い、また投融資実行後には一定の基準を設け対象案件を特定し定期的に取締役会においてモニタリング報告を行っております。

しかしながら、急激な経済情勢の悪化、株式・為替市場の変動などの「当社グループを取り巻く環境の変化」、政治・文化・制度・法律・会計規則・商習慣などの違いによる「海外事業に特有なリスクの顕在化」、並びに経営陣交代・資本構成の変動・事業戦略の転換・業績変動などの「投融資先企業の変化」により、投融資評価額に想定を超えた変動が発生した場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

当連結会計年度においては海外事業投融資等に関する特別損失4,255百万円等を計上しました。

当社グループでは成長戦略のひとつとして「グローバルビジネスの推進」を掲げており、海外事業投融資には引き続き注力してまいりますが、当社グループの業績に与える影響度につき、より一層慎重に見極めながら進めていく所存です。

 

[重要なリスク]

④金融市場・情勢に関するリスク

当社グループが保有する金融商品には市場性のある株式等があり、株式市場や金融市場の動向による時価変動の影響を受けております。これらの金融商品の時価が著しく下落した場合には、評価損等の計上を行うことになります。

また、海外事業投融資の一環としての外貨建貸付金については、為替相場の変動に応じ為替差損益を計上する必要があり、前連結会計年度末比で円高になった場合には差損を計上することとなります。

当連結会計年度末においては、前連結会計年度末比で円安になったことに伴い為替差益1,226百万円を計上しております。

これらの市場動向につきましては、定期的なモニタリング並びにタイムリーな情報収集を行いつつ、必要に応じリスク低減策を講じるべく備えておりますが、想定以上の急激な変動が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤大規模災害や重大な伝染病等に関するリスク

気候変動を背景にして発生していると考えられる異常気象や、地震等の自然災害、火災・テロ・暴動等の人為的災害も含めた種々の要因により、当社グループの人材・設備、顧客やビジネスパートナーに直接・間接の被害が発生する可能性があります。

また、新型インフルエンザや新型コロナウイルス等の感染症の流行により、当社グループ及びその関係者のみならず社会全体の活動が制限される可能性があります。

当社グループでは上記のような被害や事業活動が制限されるような事象が発生した場合にも、関係者と協議しつつテレワークを始めとする柔軟な業務態勢をとることにより、影響を抑制する取組みを行っております。

しかしながら、想定を超える深刻な被害や影響が発生した場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥情報セキュリティに関するリスク

当社グループでは、業務上、顧客企業が保有する個人情報や機密情報を取り扱う場合があります。

これらの重要情報につきましては、情報セキュリティガイドラインの整備、情報セキュリティ認証の取得や社員教育・研修、及び内部監査の定期的な実施等を通じて適切な管理を行っております。

しかしながら、想定外のコンピューターウイルスや不正アクセス等のサイバー攻撃、人為的過失等の理由により、運用サービスの停止や機密情報の漏洩、改竄、紛失、消失等が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜の事態を招き、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦人材確保・育成に関するリスク

技術進化が著しくかつ厳しい競争に晒される環境の中にあって、当社グループが顧客の信頼を得て持続的成長を実現していくためには、専門的な情報技術を持ち顧客の潜在的なニーズにも対応できる人材を適時的確に確保あるいは育成していくことが極めて重要であると認識しております。

このため、当社グループでは広く採用活動を行っているほか、技術等の習得のための研修の充実、社員の自主性を重んじた希望業務へのチャレンジ制度の提供、働き方改革を通した勤務環境の向上等、様々な施策を通じて人材の確保・育成に努めております。

しかしながら、同業他社等との人材獲得競争は激しく、人材確保・育成が計画どおりに進まない場合には、採用コストや人件費の増加につながるほか競争力の低下を招くことになり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ビジネスパートナー及び製品仕入先に関するリスク

当社グループは開発事業及び運用・構築事業においてビジネスパートナーを活用しております。

事業拡大に合わせた技術者の計画的補充、自社で保有していない技術の補完、並びに業務量変動への機動的対応による生産性の向上等、人材確保の最適化を目的としているものです。

また、販売事業においては顧客の多様なニーズに応えるため、国内外の製品仕入先より多種多様なソフトウエア製品等を調達し提供しております。

当社グループは業務の安定性や効率性の維持・向上のため、ビジネスパートナー及び製品仕入先との良好な取引関係の維持に努めております。

しかしながら、ビジネスパートナーの事情により人材の調整が適時適切に行えない、又は製品仕入先の事業戦略の変更等により製品確保が適時適切に行えない場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

(1)当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

①経営成績等の状況

 当社グループは、2023年3月期経営方針として「環境の変化に即応した成長の実現」を掲げ、「①既存顧客の深耕」「②ビジネスモデルの変革」「③自社IP製品×グローバルビジネスの推進」を成長戦略の柱として業務推進を行いました。

 

1)経営成績

当連結会計年度の経営成績は、以下のとおりとなりました。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前連結会計年度比(%)

売上高

42,864

6.6

売上総利益

10,755

8.2

営業利益

6,004

10.4

経常利益

7,201

11.4

親会社株主に帰属する

当期純利益

879

△75.4

 

(環境認識)

 当連結会計年度は新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の平常化が進捗した一方で、ウクライナ問題が長期化し世界的な景気後退懸念の広がる中で、米国の金融機関の破綻が発生する等先行きの不透明感が増すこととなりました。

 

(対応方針・施策と実績)

社会活動や経済活動が平常化に向けて進む中で高収益ビジネスへのシフトをさらに進めた結果、当連結会計年度は前連結会計年度に比べ、売上高が増収、売上総利益、営業利益、経常利益が増益となりました。

売上高は42,864百万円(前連結会計年度比6.6%増)、売上総利益は高収益ビジネスへのシフト等により利益率が24.7%から25.1%へと向上し10,755百万円(同8.2%増)となりました。

営業利益は売上総利益の増益に加え販売費及び一般管理費の抑制により6,004百万円(同10.4%増)、経常利益は為替差益の増加を主因として7,201百万円(同11.4%増)となり、売上総利益も含め過去最高の利益水準となりました。

親会社株主に帰属する当期純利益は海外事業投融資等に関する特別損失(投資有価証券評価損1,517百万円・投資有価証券売却損435百万円・貸倒引当金繰入額2,300百万円等)を計上した結果、879百万円(同75.4%減)となりました。

 

 

(セグメント別)

セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

セグメントの名称

売上高

(百万円)

前連結会計年度比(%)

営業利益

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

開発事業

23,701

9.4

4,728

14.3

運用・構築事業

5,804

2.5

1,731

4.9

販売事業

13,359

3.8

1,117

2.0

セグメント調整

△1,573

合計

42,864

6.6

6,004

10.4

(注)1.売上高はセグメント間の取引を相殺消去しております。

2.各セグメントの営業利益には全社費用を含んでおりません。

 

当連結会計年度では、前連結会計年度比で開発事業、運用・構築事業及び販売事業の全事業で増収増益となりました。

開発事業では、当社グループ顧客の主要な業種である金融業及び製造業に対する業務が伸長した結果、増収増益となりました。

運用・構築事業では、情報サービス業や通信業の顧客に対する業務が伸長し増収増益となりました。

販売事業では、海外子会社の機器販売が減少したものの、株式会社AIT及び株式会社SRAでは増加した結果、当事業全体で増収増益となりました。

 

2)財政状態

 上記経営成績の結果、当連結会計年度末の財政状態は下記のとおりとなりました。

(単位:百万円)

 

当連結会計年度末

(2023年3月31日)

前連結会計年度末比(%)

総資産

42,387

5.5

純資産

26,016

2.6

自己資本比率

61.2%

△1.8

 

(総資産)

 総資産は前連結会計年度末比2,211百万円増加しました。

 現金及び預金の増加3,782百万円、長期貸付金の増加2,204百万円、貸倒引当金の増加2,300百万円、投資有価証券の減少1,919百万円が主な変動要因です。

 

(純資産)

 純資産は前連結会計年度末比654百万円増加しました。

 親会社株主に帰属する当期純利益が879百万円であったのに対し配当金支払額が1,604百万円であり利益剰余金が前連結会計年度末比725百万円減少したこと、及びその他有価証券評価差額金の増加1,257百万円が主な変動要因です。

 

(自己資本比率)

 上記の結果として、自己資本比率は61.2%と前連結会計年度末比1.8%低下しました。

 

②2023年3月期経営方針に対する取組み結果

1)経営目標値

2023年3月期の経営目標値に対し、親会社株主に帰属する当期純利益・一株当たり当期純利益は未達であったものの、売上高・売上総利益・営業利益・経常利益は上回る結果となりました。

(単位:百万円)

 

2023年3月期

目標

2023年3月期

実績

売上高

42,500

42,864

売上総利益

10,500

10,755

売上総利益率

24.7%

25.1%

販売費及び一般管理費

5,300

4,751

営業利益

5,200

6,004

経常利益

5,200

7,201

親会社株主に帰属する

当期純利益

3,300

879

1株当たり当期純利益(円)

267.50

71.13

 

2)成長戦略

(ビジネスモデルの変革)

 クラウド型基幹システムの導入コンサルティングサービスに関しましては、2022年4月にOracle Cloud ERPの自社への導入を行うとともに、「Oracle Cloud ERP導入支援サービス」を開始いたしました。当社グループの今後のクラウドインフラビジネスやコンサルティングビジネスの柱のひとつとすることを目指しております。

その一環としてOracle Cloud ERPに関わる技術者養成に向けた資格取得支援のために当連結会計年度にはOracle Universityの受講支援を行いました。

同じく2022年4月には株式会社SRAの組織であった先端技術研究所(“KTL”)を当社の組織として再編いたしました。技術力のシンボルであるKTLを当社グループの統括会社である当社に移行し、グループ全体の技術やビジネスの連携を一層強化することを企図したものです。

 また、当社グループの注力分野であるクラウド関連技術の強化を図るべくAWSの認定資格の取得の奨励・支援を継続しております。

前連結会計年度には認定資格者数が100名を超える企業として「AWS 100 APN Certification Distinction」に認定されており、当連結会計年度にはAWS技術者としての最高位にあたる2022 APN AWS Top Engineersに2名選出されました。

当連結会計年度末ではAWS中級資格であるアソシエート以上の資格者数が125名(前連結会計年度末比30名増)となり、製品・サービスの創出に向けた取組みが加速・進展し今後のビジネス拡大の基盤が更に強化されました。

 

(グローバルビジネスの拡大)

 当社グループでは「成長性の高い東南アジアを中心とした海外市場への展開」を課題の柱のひとつとして掲げております。

 株式会社SRAでは、2020年6月にNALと業務提携契約を締結いたしましたが、更なる関係強化を図るべくNAL株式の36%取得を含む新たな資本・業務提携契約を締結し当連結会計年度に出資を完了しております。

 

3)株主還元方針

 当連結会計年度におきましては、売上総利益・営業利益・経常利益は過去最高水準であり、「配当性向50%を目途に安定的な高配当を目指す」、「ROEは安定的にかつ継続的に10%以上確保を目指す」との方針のもと、前連結会計年度に比べ10円増配し1株当たりの年間配当を140円といたしました。

 

4)その他の取組み

(人材:活力あふれる組織づくり)

 当社グループでは「優位性をもって対応できる人材を育成し、その人材を活かしたグループ経営を推進する」との方針を掲げ活動を行いました。

 株式会社SRAでは事業部単位で目標を設定することで新規技術を扱える技術者の育成を推進することを企図し、クラウド関連の認定資格の取得を強力に推奨・支援することにより技術者層の充実を図りました。

 

(ESGへの取組み)

 当社グループは創業以来、「自らの職業的実践を通じ、コンピュータサイエンスの諸分野を発展させ、それによって人類の未来に貢献する」という経営理念を掲げており、ITでユーザーの満足度を最大化することを通して社会への貢献を果たすべく努力を続けております。

 具体的には、創業以来広く社会に対してオープンソース・ソフトウェアの普及に努めているほか、自社IP製品(P-CON)によるペーパーレス推進提案を通じお客様のESG対応サポートの実施、及び社会インフラの安全性向上に資する技術に関する電力会社との共同開発等を行っております。

 また、当社グループ内での取組みでは、働き方改革の一環としてテレワークや雇用延長への対応を始め、子育て支援制度の改善、多様な働き方に向けた制度の整備を行うなど、勤務環境向上のための施策を進めております。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

①キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは5,141百万円、投資活動によるキャッシュ・フローは△315百万円、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,313百万円でした。

 その結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ3,683百万円増加し13,586百万円となりました。

 当社グループはベースの事業活動から得られる営業キャッシュ・フローをもとに、2023年3月期計画で掲げた「ビジネスモデルの変革」及び「株主還元の更なる充実」の実現に向け、将来の成長のための投資と株主への還元を行っております。

 

1)営業活動によるキャッシュ・フロー

 税金等調整前当期純利益は2,965百万円であり、貸倒引当金の増減額2,299百万円、投資有価証券評価損益1,517百万円や為替差損益△1,226百万円等を勘案、法人税等支払額△1,631百万円であったこと等を反映し、営業活動によるキャッシュ・フローは5,141百万円となりました。

 

2)投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度ではソフトウエアの開発に伴う関係会社株式取得△236百万円、投資有価証券取得△205百万円、定期預金預入190百万円、無形固定資産取得△165百万円及び貸付金回収451百万円等を行いました。

 その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは△315百万円となりました。

 

3)財務活動によるキャッシュ・フロー

 株主還元として「配当性向50%を目途に安定的な高配当を目指す」、「ROEは安定的にかつ継続的に10%以上確保を目指す」との方針のもと、前連結会計年度期末配当として1株当たり年90円、当連結会計年度中間配当として1株当たり年40円の配当と前連結会計年度比で年10円の増配とし、1,604百万円の配当を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは△1,313百万円となりました。

 

②資本の財源及び資金の流動性

 当社グループは、キャッシュ・マネジメント・システムを採用しており、グループ内の資金を一元的に管理しグループ会社間の資金融通を機動的に行うことにより、効率的な資金運営を行っております。

 また、株式会社SRAにおいては、取引金融機関6社との間で総額5,800百万円のコミットメントライン契約を締結しており、グループベースで資金調達が必要となった場合に機動的に行えるよう備えております。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物は13,586百万円、コミットメントラインの未使用枠金額は5,800百万円であることから、十分な流動性を確保しております。

 

 

(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これらの見積り及び判断は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。

 

連結財務諸表の作成で用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

<貸付金>

短期貸付金及び長期貸付金については、貸付先の経営成績・財政状態等に注視して回収可能性を判断しており、貸付先の財政状態の悪化等により貸付金の回収可能性が著しく低下した場合は貸倒引当金を計上しております。

上述の見積り及び仮定において、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見積りに用いた仮定が変化し、貸付先の経営成績及び財政状態がさらに悪化した場合、翌連結会計年度以降の短期貸付金・長期貸付金の計上金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による当社グループの現時点での会計上の見積りに与える重要な影響はないものと考えております。しかしながら、今後の影響には不確定要素が多く、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績等に影響を与える可能性があります。
 

(4)生産、仕入、受注及び販売の実績

①生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前連結会計年度比(%)

開発事業(百万円)

23,342

6.2

運用・構築事業(百万円)

5,798

2.4

合計(百万円)

29,140

5.4

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

②仕入実績

当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前連結会計年度比(%)

販売事業(百万円)

7,692

7.3

合計(百万円)

7,692

7.3

(注)1.金額は、仕入価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

 

③受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

受注残高

(百万円)

前連結会計年度比

(%)

開発事業

23,645

4.2

5,702

△1.0

運用・構築事業

6,045

6.3

2,902

9.0

販売事業

14,040

7.4

4,874

16.2

合計

43,730

5.5

13,478

6.9

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については相殺処理しております。

④販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前連結会計年度比(%)

開発事業(百万円)

23,701

9.4

運用・構築事業(百万円)

5,804

2.5

販売事業(百万円)

13,359

3.8

合計(百万円)

42,864

6.6

(注)1.金額は、販売価格によっております。

2.セグメント間の取引については、相殺処理しております。

3.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループの研究開発活動は、研究開発及びその成果に基づくビジネス展開から構成されます。

株式会社SRAの先端技術研究室においては、研究開発分野としてソフトウェアに関わる基礎研究及び技術開発研究に取り組んでおります。前年度に引き続き高品質ソフトウェアに関する基礎研究、ソフトウェア検証に関わるモデル検査技術の研究開発及び諸科学の発展に寄与するコンピューティング技術の開発と公開をテーマとして、一部公的研究費助成金(科研費)も獲得しながら進めています。ソフトウェア技術を核としたデジタルトランスフォーメーションを、専門家との共同研究や国内外の研究コミュニティとの醸成を通して、産業、教育、学術といった社会の多様な側面で推進するべく、オープンソース・ソフトウェアを基盤とする技術活用のための研究開発を継続しております。これらは、主に特定のセグメントに区分できない基礎研究であります。

株式会社SRAのプロダクトサービス事業部は、自社製品・サービスの開発と販売を手掛けており、そのための技術開発や技術検証に取り組んでおります。当社グループが今まで蓄積してきた技術や業務の知見を活用した新たなビジネス創出を目指して研究開発を進めております。またSRA OSS合同会社はオープンソース・ソフトウェアのサポートビジネスや製品ビジネスを手掛けており、オープンソース・ソフトウェアの研究開発を通じて新たな製品サービスの創出やコミュニティに対する貢献をしております。これらは、主に販売セグメントに係る研究開発であります。

当連結会計年度での研究開発は、当社のグループ会社である株式会社SRAの先端技術研究室及びプロダクトサービス事業部が中心に行っております。研究開発費の総額は275百万円であります。

 

(1) 高品質ソフトウェアに関する基礎研究

先端技術研究室では、ソフトウェア開発研究の核として、ソフトウェアの信頼性や生産性を高める技術として注目されている、形式仕様の研究開発を継続的に進めております。形式仕様の中でも歴史が長いVDM(Vienna Development Method)の国際的な研究コミュニティである Overtureコミュニティに参加し、VDMの言語仕様の改訂などへの協力を継続しています。当社独自の形式仕様研究として、信頼性や生産性に加えて操作性や有用性を高めることを目的に、UI技術やアジャイル開発技術、ライブプログラミング技術、プログラム自動生成技術などとの連携によって創造的なシステム仕様の策定を支援する開発環境 ViennaTalkを開発し、学術論文として報告するとともに、オープンソース・ソフトウェアとして公開しております。

 

(2) ソフトウェアの正しさを検証する技術開発研究

ソフトウェアの振る舞いを自動的に解析してその正しさを検査するためのモデル検査技術の開発研究を行っております。先端技術研究室では、生物の集団行動が引き起こす創発的な性質を利用する点を特徴とした研究を進めています。本研究テーマは、独立行政法人日本学術振興会科学研究費助成事業において基盤研究(C)として採択され、2022年度から3年間の研究助成が開始しております。

当連結会計年度では、従来の一集団を使った検査技術に対して、複数の集団の存在を仮定した新しい技術を開発しました。従来よりも高い検査性能を確認し、その成果を海外の学術会議で発表しました。引き続き、検査性能のさらなる向上とユーザにとって使いやすい技術の実現を目指し、研究開発に取組みます。

 

(3) 科学的コンピューティングのための技術開発

先端技術研究室では、科学の諸分野にソフトウェア技術を通して貢献することを目指しております。さまざまな分野の学術研究者と協力して、研究を推進し研究成果を広く応用展開するための、プラットフォームとなるソフトウェアを開発しております。開発を進めているマルチエージェントシミュレーション環境 re:Mobidyc は、生物学や環境学での数理モデルの構築と検証に特化したもので、現在、オープンソース・ソフトウェアとして一般に公開しています。また、データサイエンス分野においては、OLAP技術の応用を支援するための専用のデータ可視化ソフトウェアを開発しています。量子化学の分野においても引き続き、膨大な量の化学反応経路のデータに対して、インタラクティブな探索や分子構造の類似性によるナビゲーションを提供するソフトウェアを開発しています。

 

 

(4) オープンソース・ソフトウェア

オープンソース・ソフトウェアに関しては、継続的に情報収集と整備を進めており、このような活動から得た様々なオープンソース・ソフトウェアに対する各種の知見に、ソフトウェア工学の研究成果を組み合わせることによって、オープンソース・ソフトウェアをベースとするソフトウェア開発プロジェクトの統合管理環境「ProjDepot」、テスト自動化支援環境「Testablish」を構築し、改良を続けております。すでに、グループ内の多くの開発プロジェクトがこの環境を利用しており、プロジェクトの開発状況の可視化と生産性向上に寄与しております。

オープンソース・ソフトウェアのデータベースでワールドワイドに開発されている「PostgreSQL」においては、SRA OSS合同会社が開発に貢献しており、PostgreSQLに貢献する企業として開発コミュニティが選出するMajor Sponsor企業の16社のうちの1社として、グローバルに認知されています。合わせてビジネスでの活用を目的とした研究開発も行っており、PostgreSQLの機能を拡充するソフトウェアとして、多機能なクラスタ機能を提供する「Pgpool-II」や、大規模システムでの活用が期待される増分ビューメンテナンスの機能を提供する「pg_ivm」の開発・提供を行うとともに、国内外のカンファレンス等で講演等の活動を行いました。

 

(5) 新規製品・サービスビジネス

当社グループではビジネスモデル変革の一つとして自社の製品・サービスビジネスに取り組んでおります。

株式会社SRAのプロダクトサービス事業部では、自社製品・サービスビジネスを推進し、サービスを主体とするビジネスモデルへのシフト、デジタルトランスフォーメーションへの対応などを積極的に進めております。

当連結会計年度では、株式会社SRA東北と共同で、同社が保持するAI判定技術をスマートグラスと組み合わせた点検プロダクトの研究開発及び検証、従来のパスワード認証よりも安全かつ使いやすい認証方法であるFIDO2とWAFを連携させたプロダクトの研究開発及び検証、疑似触覚を利用したスマートフォンによるリハビリ用アプリの開発検証、既存ソリューションである文教システム(UniVision)の次期バージョンのアーキテクチャの開発及び検証、ヘルスケアサービスビジネスの検証を実施しました。検証結果として有効と判断したものにつきましては、今後製品化する予定です。

 

これらはいずれも、高度で高品質なソフトウェアの実現に有益となる技術・環境・ツールを目指して進めているものです。実務レベルへの適用を随時行いつつ、国内外の大学や研究機関との連携を通して最新の技術動向を取り入れながら、研究成果を継続的に構築していく実用型の研究です。これらの研究成果の一部は、コンサルテーションや他機関との協同研究開発作業等にも活かされております。