第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当グループは、企業理念「フジッコの心」において私たちの目指す姿を「自然の恵みに感謝し 美味しさを革新しつづけ 全ての人々を元気で幸せにする 健康創造企業を目指します」としており、全社一丸となってその実現に取り組んでまいります。また、企業理念の下で成長戦略と効率経営の両輪を力強く推進し、企業価値の更なる向上に注力してまいります。

 

(2)経営環境

 当グループは、食品業界における惣菜製品、昆布製品、豆製品、ヨーグルト製品、デザート製品、その他製品の製造・販売を主な事業としております。

 食品業界は、生活必需品のため景気変動の影響を受けにくい特性がありますが、少子化に伴う人口減少により国内市場は量的に縮小傾向にあり、競争環境は厳しさを増しております。また、原材料やエネルギーコスト高騰の収束見通しが立たず先行き不透明な状況が続いております。

 調達・生産面では、原料、エネルギー、物流コストの上昇に対し一層の合理化・効率化が求められております。

 開発面では、多様化する消費者ニーズや新しいトレンドへの対応が求められております。

 流通面では、コンビニエンスストアやインターネットアプリを利用した宅配サービスの伸長等、消費者の流通チャネルの選択が多様化しており、従来のスーパーマーケット主体の販路に固執することなく、成長チャネルを深耕していくことが必要と考えております。

 人事面では、コロナ禍を機にWeb会議が普及し在宅勤務が浸透しました。今後は、個々の状況に応じて勤務場所や時間の選択を可能とし、より効率的で生産性が高まる働き方が求められております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略と目標とする経営指標

 このような環境の中、当グループは2022年度を初年度とする中期3か年計画をスタートいたしました。本中期3か年計画では、「工場運営の改革」・「DX(Digital Transformation)の推進」・「コーポレートガバナンスの強化」を通じて持続可能な成長に向けた“ニュー・フジッコ”の経営改革を急ぐとともに、一方では、SKU(商品アイテム数)削減後の生産性が高く収益力のある「スター商品」の拡販と「新製品開発と現有ブランドの強靭化」を進め、昆布事業、豆事業の収益基盤を強化しながら、おかず事業、ヨーグルト事業、通信販売事業を成長ドライバーとして事業拡大に注力いたします。

 2022年度は、計画初年度でしたが、急激な円安の進行やウクライナ情勢等の複合要因により、過去にない原材料とエネルギーコストの高騰が起きました。外部環境が当初の想定と大きく乖離していることから、目指す方向性は変わりませんが、中期の定量目標は見直し改めて設定いたします。2023年度におきましては、連結売上高558億円、連結営業利益13億円、連結経常利益15億円、連結当期純利益11億円を目指してまいります。

 

 中期3か年経営戦略のポイントは以下のとおりであります。

① ブランド価値の強靭化

 SKU削減後の生産性が高く収益力のある「スター商品」の配荷率アップに注力します。「スター商品」の拡販が業績復元のカギとなり、個々の単品まで物量を高め、味・品質を磨き、収益性の改善を追求する進捗管理を妥協なく進めます。

 フジッコのコアビジネスであり、収益源の昆布と豆はシェア拡大を目論みます。一方、市場規模と成長の視点より、おかず事業、ヨーグルト事業、通信販売事業を新・中期3か年の成長ドライバーとします。

 また、多様化する「販売チャネル」「顧客」のニーズを的確に捕捉し、時流に適応した新製品の開発に注力いたします。

 

② 工場運営の改革(生産性向上)

 SKU削減がすべての構造改革の出発点と位置づけ、工場運営の改革、人員の適正配置、DXの推進、ロジスティック改革を強力に進めます。

 計画生産体制の精度を高めて不意の費用発生を抑えます。また、資材搬入から包装、搬出までを自動化と連続化で繋ぎ、デジタル化運営の設計と実現に取り組み改革計画を完成させ、その実現に向けて歩みだします。

③ DXの推進(働き方改革)

 DXの目的は、サステナブル経営の実現です。新・中期3か年ではDXを強く推進するため、社長執行役員を委員長とする「DX推進委員会」を発足し、“ニュー・フジッコ”の経営改革の成果をデジタル・ネットワークで繋ぎ合わせて表現することを急ぎます。また、DXの推進を通じて、場所と時間・定型業務から解放された働き方の柔軟性を追求します。

[主要DX課題]

 ・取引制度改革

 ・生産管理システムの高度化

 ・SCMシステムの導入

 ・各種システムの統合と連携

 ・人財データベースの構築

 ・定型帳票のRPA化

 ・部門ホームページの作成による情報共有化

 

④ コーポレートガバナンスの強化

 株主の皆さまをはじめ、フジッコグループを取り巻くすべてのステークホルダーからの期待と信頼に応えるため、上場会社の取締役会の責務として、経営の基本方針等の策定、内部統制の統括、経営者に対する監督(指名と報酬)についての透明性と実効性をより一層高め、持続的成長と中長期的な企業価値の向上を促し、収益力・資本効率等の改善を図ります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当グループは、この度改めて原点である企業理念に立ち返り、フジッコのパーパス(存在意義)と2030年のビジョン(目指す姿)を策定いたしました。これらの理解・浸透を進めながら、パーパスに掲げた「健康創造企業」の実現に邁進し、ビジョンである「お客様の価値ある時間に貢献」するため、2023年度は、以下の重要課題に取り組んでまいります。

「開発力」と「営業力」の強化

原材料やエネルギーコストの高騰を吸収し、また、組織を活性化して勢いづかせるために、新商品の開発力と営業力を一層強化してまいります。

原点回帰

創業の原点といえる「昆布」と「豆」を強化します。「昆布」は、親から子、子から孫へと、どの世代の食卓にも登場する仕掛けづくりに取り組みます。「豆」は、煮豆の喫食機会の底上げや「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」の販売拡大に取り組み、毎日手軽においしく食べていただける「体がよろこぶ Everyday Beans!」戦略を展開してまいります。

基本の徹底

「5Sと5ゲン」「PDCA」「5W1H」など、基本の活動を今一度徹底してまいります。

我慢の一年(再成長の準備)

スタッフの経費は我慢しコスト削減に努めます。捻出した原資は戦略的経費に充当しますが、投資か出費かを見極め成果に見合う使用とします。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

①ガバナンス

フジッコグループは、企業を取り巻く社会環境の変化や社会的課題を中長期的な視点で捉え、フジッコ独自のサステナブル経営として“5つの健康”を打ち出しております。

 サステナブル経営の実現のためには、従業員自らが変化し変革を受け入れる姿勢と、共通の価値観である組織風土の変革が必要不可欠と考えております。

 企業理念のもと、「社会のサステナビリティ」としてESGを自律的に推進し社会価値を創出することと、「企業のサステナビリティ」として資本コストを意識した持続的な稼ぐ力の発揮で経済価値を創出することの両方を同時実現させることを目指してまいります。

“5つの健康”

 私たちは、

  ・食による心身の健康維持            ・・・ 健康提供

  ・資源活用による地域活性化、日本の食文化の発展 ・・・ 健康社会

  ・環境保護                   ・・・ 地球健康

 を実現するため、

  ・社員の心身の健康維持             ・・・ 健康経営

  ・資本の蓄積と透明性のあるガバナンス      ・・・ 健全経営

 に務めます。

この5つの「健康」を通じて、人々を元気で幸せにする健康創造企業となります。

サステナビリティに関連する重要事項は、経営執行会議及び取締役会で審議・決議しております。この内、気候変動に関する事項は、リスクマネジメント委員会の専門チームとしてTCFD検討チームを設置し、気候変動シナリオに基づいたリスク・機会の特定と対応方針を策定しております。その内容は、リスクマネジメント委員会から経営執行会議へ報告・審議され、毎年2回取締役会に報告することを基本としております。

 

②リスク管理

フジッコグループは、サステナビリティリスクへの適切な対応のため、リスク管理を強化しております。具体的には、リスクマネジメント委員会において、全社的な経営リスクの洗い出しを行い、リスクが事業へ及ぼす影響度や発生頻度からリスクレベルを総合的に評価し、対応方針等を検討しております。この内、気候変動に関するリスクは、リスクマネジメント委員会の専門チームであるTCFD検討チームがリスクを所管する関連部門と対策等について協議しております。

 

(2)人的資本・多様性

①戦略

サステナブル経営を実践して、社会価値と経済価値を同時に創出し、企業の持続的な成長を図るには、従業者のエンゲージメントを高め、従業者全員の多様な能力から生まれる活力を結集することが必要不可欠であると考えております。このための人財戦略として、働き方改革、健康経営(健康増進・リテラシー向上)、経営理念に適う専門性を備えた人財の育成と強化、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を掲げ、DX活用による労働生産性の向上、有給休暇取得率や健康診断受診率の向上、自主的なキャリア形成支援、クリエイティブ人財やエキスパート人財の確保、経営理念の浸透と適材適所の人員配置、心理的安全性の担保、女性活躍推進の整備及び全員参加型経営の取り組みを進めております。

 

②指標及び目標

非財務指標の一つに従業員に関する指標を設定し、実現に向けて取り組んでおります。

 

63期

目標(65期)

総労働時間

1,971時間

1,925時間

有給休暇取得率

63.7%

80%

健康診断受診率

99.8%

100%

キャリア採用比率

77.8%

25%

女性管理職比率

7.2%

12%

(注)指標及び目標は提出会社(出向者を含む)の集計となります。

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、以下の記載内容及び将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当グループが判断したものであります。

リスク項目

リスクの説明

リスク対策

食品の安全性の

問題

食品業界におきましては、消費者の品質に対する要求は一段と高まってきております。社会全般にわたる一般的な品質問題等が発生した場合、又は当グループ固有の品質問題と直接関係がない場合であっても、風評などにより当グループの経営成績に影響を及ぼすリスクがあります。

当社では、品質保証部を中心として「ポジティブリスト制」の対応とともに、残留農薬検査システム、遺伝子組み換え検査システム、製品履歴を管理する「フジッコトレースシステム」を早くから運用してまいりました。また、「安心・安全操業」を第一に製品事故の撲滅を目的とした「事故防止委員会」の設置など新・品質保証体制の強化に努めております。

有事の際には、危機管理委員会を開催し、「製品回収マニュアル」等に基づき、対応方針等について決定の上、ホームページ上に適宜情報開示を行います。

自然災害

当グループは、大規模な自然災害の発生により、生産一時休止、物流網の混乱等が生じて商品供給が滞り、業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

大規模な災害発生の際には、直ちに対策本部を設置し、従業員の安否確認、生産・供給体制の整備を速やかに行います。また、当グループで災害発生による損害が発生した場合、いち早く事業を復旧するため、適宜、事業継続計画(BCP)に基づく訓練の実施、計画そのものの見直しを行っております。

原材料の調達及び

価格の変動

当グループの取扱製品の主原料である昆布、豆は、主に北海道等国内産のものを使用しておりますが、産地の天候等により生産量及び価格が変動し、当グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、当グループは、原材料の一部を海外から調達しており、中長期的な為替変動は、当グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。

主原料である昆布、豆は、在庫の備蓄により価格変動リスクを可能な限り抑えております。また、原料産地の複数確保、主産地との協働取り組み等を進めております。為替変動リスクについては、為替予約を行う商社の活用や長期契約による購入価格の安定化に取り組み、リスク緩和に努めてまいります。

保有有価証券の

価格変動

当グループは、売買を目的とした有価証券は保有しておりませんが、取引関係の維持・強化を目的として主要取引先の株式を所有しております。

これらの有価証券のうち、市場価格のあるものについては、全て時価にて評価されており、著しい価格変動等があれば、当グループの業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

保有有価証券については、取締役会において個別銘柄の継続保有の適否の検証を行っており、段階的に保有する銘柄数及び株式数の縮減を進めております。

法的規制などの影響

当グループは、事業活動を展開する上で様々な法的規制を受けております。

しかしながら、法的規制を遵守できない場合の事業活動の制限に加え、諸外国における輸出入規制をはじめ、法的規制の新たな強化などによる事業活動の制限の可能性があり、当グループの業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

様々な法的規制について、各主管部門と法務や知財の担当部署が連携し、関連諸法規の遵守に万全の体制で臨んでおります。また、コンプライアンス委員会を設置し、日常の教育・研修の体系化に加え、コンプライアンスにかかる本部・事業別取り組み状況、不正行為等を共有の上、不正の兆候を確認し、重大な不正を未然に防止する機能を強化しております。

情報漏洩・システム管理に関するリスク

災害によってソフトウェアや機器が被災した場合のシステム作動不能や内部情報の消失、想定を超えた技術による不正アクセスや予測不能のコンピュータウイルス感染などによって、システム障害や情報漏洩、改ざんなどの被害を受ける可能性があります。このような事態が発生した場合、当グループの業績・財政状態や社会的信用に影響を及ぼすリスクがあります。

当グループは、販売促進キャンペーン、通信販売等により多数の個人情報をコンピュータにより管理しております。これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん、システム上のトラブルなど、万一の場合に備えて適切な保守・保全の対策を講じております。また、システムダウンについては、コンピュータウイルス感染対策としてウイルスソフトの定期更新、ウイルスメール教育テストの実施、サーバー故障対策としてクラウド化による代替サーバーの設置、定期的なバックアップを講じております。

 

リスク項目

リスクの説明

リスク対策

特定の販売チャネルへの依存

当グループの主要な販売チャネルはスーパーであります。直近の多様な流通チャネルの出現により、新興チャネルの台頭が進んだ場合、当グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。

当グループは、コンビニエンスストア、ドラッグストア、通信販売、業務用食材等の販売チャネルの拡大に取り組み、販売チャネルの分散化に注力しております。

また、人口減の進行による国内市場の縮小が予想され、海外市場の開拓を推進しております。

人手不足

当グループは、デリカ事業において人手を要する日配惣菜を製造しております。年々、工場作業員の確保に苦慮しており、人手不足からの時給単価の上昇に起因する人件費負担の増加が当グループの業績に影響を及ぼすリスクがあります。

当グループは、工場の生産性向上を図るため、SKUの削減に取り組んでおります。また、生産ラインの省人化を推進すべく、ロボット化の導入を進めております。

新型ウイルス等の感染症の拡大

当グループは、新型ウイルス等の感染拡大により、生産一時停止、物流網の混乱等が生じて商品供給が滞り、業績や財政状態に影響を及ぼすリスクがあります。

平時より一人ひとりの基本的感染対策を行っております。発症までの期間が長い感染症の拡大や治療方法が確立されていない新型ウイルスが発生した場合には、直ちに対策本部を設置し、従業員の健康状態の確認とともに、従業員の安全を配慮した生産・供給体制の整備を速やかに行います。

気候変動の影響

地球温暖化に伴う気候変動が生態系や自然環境に影響を与え、社会にも多大な影響を及ぼしつつあります。当社商品の主原料は昆布や豆を始めとする農水産物であり、生産地で気候変動の影響による不作が生じた場合、販売機会損失等のリスクがあります。

当社は、計画的な購買や複数企業からの購買によって原材料等の安定的な調達に努めております。また、社内にTCFD検討チームを組織し、気候変動におけるリスクの特定、評価、対応等について検討しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」といいます。)の状況は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和されたものの、原材料価格やエネルギー価格の高騰が依然として収まらず、景気の下振れリスクを抱えた状態が続きました。

 食品業界では、値上げが繰り返し実施され、企業は生活者の消費マインドが低下する中で厳しい経営の舵取りを迫られました。

 このような環境の中、当グループにおきましては、“ニュー・フジッコ”の経営改革に沿って、ブランド価値の強靭化、DXの準備等に取り組みました。

 売上高は、デザート製品と惣菜製品は好調に推移しましたが、これら以外の製品群が減収となり、539億15百万円(前期比2.1%減)となりました。

 利益面では、原材料・エネルギーコストの上昇や減収等により、営業利益は12億49百万円(前期比60.4%減)、経常利益は15億58百万円(前期比55.6%減)、兵庫県西宮市の土地の売却等による特別利益の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益は14億6百万円(前期比33.5%減)となりました。

 

(製品分類別の売上高の状況)

 惣菜製品は、全体で前年実績を上回りました。日配惣菜は、子会社の株式会社フーズパレットが中華惣菜店舗の販売を伸ばしました。フジッコNEWデリカ株式会社の上期の苦戦が響き、通期では前年実績に届きませんでしたが、取引先開拓や製品導入を進めて10月以降は前年同月を上回る傾向で推移しました。包装惣菜は、「おばんざい小鉢 彩りあん厚あげ」の新発売やプロモーションの強化で伸長しました。

 昆布製品は、主力のカップ佃煮が「生姜こんぶ」のキラーレシピ提案や30代から40代のトライアル獲得を狙ったTVCM等のプロモーションを実施し好調に推移しましたが、塩こんぶ、とろろ昆布、だし昆布は前年実績を下回りました。カップ佃煮は、サステナビリティ課題への取り組みから生昆布を使用した「ふじっ子煮MIRAI」シリーズを開発し、販売をスタートしました。

 豆製品は、煮豆市場のダウントレンドと水煮・蒸し豆の苦戦により、前年実績を下回りました。この状況を打開するため「体がよろこぶ Everyday Beans!」戦略を展開し、その一環として、毎日の食生活で豆を手軽に美味しく食べていただけるよう、2月に「おまめさん」のTVCMを放映いたしました。

 

 ヨーグルト製品は、健康意識の高まりや巣ごもり需要で好調に推移した前期からの反動減で前年実績を下回りました。11月から12月にかけては、購買促進を狙って「家族と話したくなるヨーグルト“あのね”が聞こえる朝ごはんキャンペーン」を実施いたしました。3月には、「まるごと大豆のヨーグルト」を「まるごとSOYカスピ海ヨーグルト」としてリニューアルしました。カスピ海ヨーグルトのノウハウを活かし、よりまろやかでクリーミーかつふくよかな大豆風味をお楽しみいただけます。

 デザート製品は、フルーツセラピーシリーズの新販路開拓が寄与し、販売を伸ばしました。需要刺激策として、11月に期間限定の「フルーツセラピー ゆず~レモン果肉入り~」を発売し、2月から3月にかけて発売20周年の果汁増量企画を実施いたしました。

 

(財政状態の分析)

 当連結会計年度末の総資産は、株主還元、資本効率を意識した自己株式の取得等を進めたことにより、前連結会計年度末に比べ12億73百万円減少し、788億62百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末に比べ14億33百万円増加し、333億10百万円となりました。これは主に、有形固定資産の売却に伴う現金及び預金の増加や商品及び製品の増加によるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末に比べ27億7百万円減少し、455億52百万円となりました。これは主に、固定資産の減価償却が進んだことによるものです。

 流動負債は、前連結会計年度末に比べ1億69百万円減少し、84億7百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少によるものです。

 固定負債は、前連結会計年度末に比べ16百万円増加し、19億40百万円となりました。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ11億20百万円減少し、685億14百万円となりました。これは主に、自己株式の取得と配当金の支払によるものです。

 自己資本比率は、前連結会計年度末と同じ86.9%となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ4億96百万円増加し、132億75百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益を20億88百万円、減価償却費を36億45百万円の計上、法人税等13億17百万円の支払い等により、33億31百万円の収入(前連結会計年度は51億1百万円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得と売却等により、1億68百万円の支出(前連結会計年度は33億30百万円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出や配当金の支払等により、26億66百万円の支出(前連結会計年度は28億67百万円の支出)となりました。

③ 生産、受注及び販売の実績

イ 生産実績

 当連結会計年度における生産実績は次のとおりであります。

分類

金額(百万円)

前期比(%)

惣菜製品

18,738

100.8

昆布製品

14,597

100.8

豆製品

10,051

94.7

ヨーグルト製品

6,310

92.1

デザート製品

2,657

108.0

その他製品

1,866

93.3

合計

54,222

98.6

(注)上記金額は、販売価格により表示しております。

 

ロ 受注実績

 当グループは、市場動向の予測に基づく見込生産を行っており、受注生産は行っておりません。

 

ハ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。

分類

金額(百万円)

前期比(%)

惣菜製品

18,625

100.4

昆布製品

14,422

99.5

豆製品

9,969

94.8

ヨーグルト製品

6,430

93.1

デザート製品

2,578

105.4

その他製品

1,890

87.8

合計

53,915

97.9

(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱日本アクセス

8,738

15.9

7,991

14.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度におきましては、2022年4月よりスタートしました中期3か年計画(2022年度~2024年度)の初年度として、「ブランド価値の強靭化」「工場運営の改革」「DXの推進」「コーポレートガバナンスの強化」に取り組みました。

 当グループの2022年度末(2023年3月31日)の財政状態につきまして、以下のとおり分析しております。

 総資産は、前連結会計年度末に比べ12億73百万円減少し、788億62百万円となりました。これは主に、自社物件や投資有価証券の売却による現金及び預金の増加がある一方で、自己株式の取得による現金及び預金の減少、減価償却に伴う有形固定資産の減少があったことによるものと分析しております。

 負債合計は、前連結会計年度末に比べ1億53百万円減少し、103億48百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少によるものであります。

 純資産は、前連結会計年度末に比べ11億20百万円減少し、685億14百万円となりました。これは主に、株主還元や資本効率(ROE)の向上を目的とした増配並びに自己株式の取得によるものであります。

 当グループの経営成績につきまして、2022年度の達成・進捗状況は以下のとおり分析しております。

指標

2022年度(期初計画)

2022年度(実績)

2022年度(計画差)

売上高

55,300百万円

53,915百万円

△1,384百万円 (97.5%)

営業利益

3,200百万円

1,249百万円

△1,950百万円 (39.1%)

親会社株主に帰属する当期純利益

2,400百万円

1,406百万円

△993百万円 (58.6%)

自己資本利益率

(ROE)

3.5%

2.0%

△1.5pt

 売上高は計画に対して13億84百万円の減少(計画比2.5%減)となりました。前期までのSKU削減分の売上高を主力の「スター商品」で補う計画とし、「スター商品」は伸長したものの、市場トレンド等の影響もあって想定に届かない結果となりました。

 利益面については、計画的な生産による残業の削減やデジタルを取り入れた働き方改革による各種経費の削減に取り組みましたが、原材料やエネルギー価格が当初の計画より高騰し、営業利益は計画に対して19億50百万円の減少(計画比60.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、自社物件の売却による特別利益の計上があったものの、計画に対して9億93百万円の減少(計画比41.4%減)となりました。自己資本当期純利益率(ROE)は利益の減少に伴い、2.0%となりました(計画差1.5pt減)。

 当グループの経営成績に重要な影響を与える要因として、原材料やエネルギーコストの高騰、人口減少による市場縮小や労働力不足等があります。原材料やエネルギーコストの高騰は、収束の見込みが立っておらず、厳しい経営の舵取りを強いられていますが、値上げ対応や生産性向上の取り組みを進めて企業活動を継続してまいります。人口減少につきましては、新たな食シーンの提案やSNS等を活用し、世代を超えて当グループの製品をご愛顧いただけるように取り組むとともに、「新たな成長の芽」となる新規事業の推進や海外も含めた新市場開拓に挑戦してまいります。特に2023年度は、営業力と開発力の強化に一層注力してまいります。労働力不足につきましては、デジタルネットワークを取り入れた業務の効率化を一層進めるとともにAI・ロボットを活用した生産技術の開発で、抜本的な生産性向上に取り組んでまいります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、営業活動によるキャッシュ・フローとして33億31百万円の収入(前連結会計年度は51億1百万円の収入)があり、本業で稼いできた現金及び預金を手元資金として基幹システムのアップグレード、鳴尾工場の佃煮製品の箱詰め無人化等に係る投資を行いました。投資活動によるキャッシュ・フローは、このような投資がある一方で、自社物件の売却等による収入があり、1億68百万円の支出(前連結会計年度は33億30百万円の支出)となりました。また、自己株式の取得や配当金の支払等により、財務活動によるキャッシュ・フローとして、26億66百万円の支出(前連結会計年度は28億67百万円の支出)がありました。

 当グループの資本の財源及び資金の流動性に係る情報は次のとおりであります。

 当グループは、従来から製品売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、自己資金と高い水準の自己資本比率をもって直近の設備投資等には自己資金を充当してまいりました。

 2022年4月より、新・中期3か年計画がスタートし、持続可能な成長に向けた“ニュー・フジッコ”の経営改革を推進してまいります。今後の投資計画は、「ブランド価値の強靭化」「工場運営の改革」「DXの推進」等を

 

進める方針でありますが、これらの投資資金については直接金融又は間接金融の多様な手段の中から、当社にとって有利な手段を選択し、資金調達を検討してまいります。

 「営業活動によるキャッシュ・フロー」の最大化とともに、財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の極小化を図ってまいります。また、不要な有利子負債は避け、投資計画の妥当性を勘案し、資金の使用時期と金額については慎重に判断してまいります。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって必要となる会計上の見積りは、合理的な基準に基づき行っております。当グループでは、特に以下の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定が重要であると考えております。

 

a.未払販売奨励金に係る見積り

 販売奨励金については、支払い率が期中を通じて概ね一定のもの、一定期間の販売実績に応じて支払い率が変動するもの等、いくつかの形態が存在し、販売から一定期間後に支払い額が確定する点に特徴があります。特に取引の都度支払額を交渉する形態については発生の都度、取引条件が異なるため、発生時期や条件が多種多様です。このため、3月分の販売奨励金については、2月までの実際請求額に基づく販売奨励金比率を基礎として3月に発生した増減理由等を加味して見積計上しており、実際の確定額は見積りと異なる可能性があります。

 

b.事業用資産の減損に係る見積り

 当グループは、事業用資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、各工場を基礎としてグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについては回収可能価額を見積り、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、減損損失として計上しております。

 回収可能価額は、使用価値又は正味売却価額により測定し、いずれか大きい方の金額としております。使用価値は営業活動から生じる将来キャッシュ・フローをもとに見積っております。土地の正味売却価額は、路線価又は固定資産税評価額に一定の調整を行い見積っております。ただし、投資期間を通じた長期的な見積りとなるため、社会環境や事業環境等の変化により回収可能性を著しく低下させる変化が見込まれた場合には、減損損失の計上が必要となる場合があります。

 

c.その他有価証券の減損に係る見積り

 当グループは、取引関係の維持・強化のために取引先の株式を保有しております。これらの株式には、価格変動性の高い上場株式と、市場価格のない非上場株式が含まれております。上場株式は、期末日における時価が帳簿価格の50%以上下落した場合、または、2年間連続して30%以上下落した場合には減損処理を行っております。非上場株式については、非上場会社の決算書を基に株式の評価額を見積り、今後の回復可能性を判断して減損処理を行っております。

 

d.繰延税金資産に係る見積り

 繰延税金資産の帳簿価額は毎期見直し、将来において繰延税金資産の全部又は一部が回収できるだけの十分な課税所得を獲得できない可能性が高い部分については、帳簿価額を減額しております。

 将来の課税所得は、事業計画やその時点で入手可能な経済的要因等をもとに仮定しております。ただし、一時差異が解消されるまでの長期的な見積りとなるため、事業環境等に変化が見られた場合には、見積りが実際の結果と異なる可能性があります。

 

e.退職給付債務に係る見積り

 退職給付債務は、数理計算上の仮定に基づいて算出しております。この仮定には、割引率、予想昇給率、退職率等が含まれております。当グループは、使用した数理計算上の仮定は妥当なものと判断しておりますが、将来の不確実性を伴う仮定となるため、景気変動による予想昇給率の変化等、仮定自体の変更により退職給付債務の計上額に影響を与える可能性があります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 特に記載すべき事項はありません。

 

6【研究開発活動】

(1)「豆」に関する研究

 神戸大学と長年共同で取り組んでいる「黒豆ポリフェノール クロノケア®」の機能性研究では、「一過性の疲労感の軽減」「一時的な日中の眠気の軽減」「パソコンやスマートフォンなどのディスプレイ作業により生じる一過性の疲労感の軽減」について機能性表示食品の届出を行い、全て受理されました。「疲労感の軽減」と「日中の眠気の軽減」の2つのヘルスクレームや「ディスプレイ作業による生じる一過性の疲労感の軽減」が受理されている成分は他に知られておりません。さらに、「クロノケア®」の長期摂取の影響を調べた試験では、摂取により疲労感と血管機能がともに改善されること、特に摂取期間が長くなるにつれてその効果が高いこと、血管機能については血管年齢及び毛細血管の本数が改善されることが確認されました。この研究成果は、第27回日本フードファクター学会学術集会(2022年10月)で発表いたしました。これらの成果をもとに、健康食品素材「クロノケア®」と、これを配合した通販商品「黒豆粒のチカラ」の販売に注力いたします。そして、今後も継続して豆に関する機能性研究に取り組んでまいります。

 大豆イソフラボンの機能性研究では、株式会社ダイセルとの共同研究により、当社が開発した大豆イソフラボン素材「フジフラボン®」と発酵オリゴ糖の一種であるラクトビオン酸を合わせて摂取することで、イソフラボンの吸収が促進され、肌の乾燥を自覚する健常な成人女性の肌の機能(角層水分量、経皮水分蒸散量、皮膚粘弾性)が改善することを明らかにいたしました。この研究成果は、第76回日本栄養・食糧学会大会(2022年6月)にて発表し、「薬理と治療(2022年50巻5号817-833)」誌に論文が掲載されました。今後は、この研究結果を用いて機能性表示食品への受理を目指し、株式会社ダイセルと協力して健康素材原料「フジフラボン®」の素材販売を推進してまいります。

 大豆は、植物性のたんぱく質が豊富な資源として利用されております。徳島大学と共同でタクシー運転手の方を対象に「蒸し大豆」の継続摂取試験を行い、大豆摂取により筋力が向上することが明らかになりました。座業従事者、運動不足の方の筋力の維持・向上に寄与する事が期待されます。なお、この研究成果は日本栄養食糧学会の英文誌である「Journal of Nutritional Science and Vitaminology」誌に論文が掲載されました(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jnsv/68/6/68_521/_article/-char/en)。

 

(2)「乳酸菌」に関する研究

 「カスピ海ヨーグルト」で使用される「カスピ海乳酸菌」は室温での発酵が可能な事から、この乳酸菌を使うと簡単に家でヨーグルトを手作りすることが出来ます。一方、超高齢化社会においてフレイル予防の重要性が注目されており、当事者の行動変容を起こすことが求められております。そこで、高齢者の方に自宅で継続的にヨーグルトを手作りしていただいたところ、ヨーグルトの手作りにより精神・社会的フレイル指標が改善することが明らかになりました。この研究成果は園田学園女子大学との共同研究成果であり、第9回日本サルコペニアフレイル学会大会(2022年10月)で発表いたしました。この内容は広く一般消費者の皆様に認知いただけるよう、当社主催のウェブセミナー「イキイキシニアの健康習慣 正しく知っておきたい「フレイル」と手作りヨーグルトのヒミツ」でも紹介いたしました。

 また、「カスピ海乳酸菌」は長寿地域と知られるコーカサス地方を起源とする乳酸菌です。「カスピ海乳酸菌」による線虫の寿命延伸に関する研究成果が微生物学の専門誌「Microbiology Spectrum」誌に掲載されました(https://doi.org/10.1128/spectrum.00454-21)。

 

(3)「昆布」に関する研究

 地球温暖化に伴う海洋環境の変化の影響を受け、コンブの生産量は年々減少しております。現在、北海道大学及びコンブ産地との共同研究により高水温などストレス環境に耐性を持つコンブ株の育成に取り組んでおります。コンブ株の育成には、5年以上の長期間を要しますが、こうした長期的な観点での技術開発にも注力しております。

 

 なお、当連結会計年度の研究開発費は973百万円であります。