文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
当グループは「輪と和を通じて、より大きく社会に貢献する」を経営理念とし、「株主、社員、地域、歴史・文化、環境」重視を基本方針とする経営を推進しております。グループの中核をなす医薬品事業は「世界の人びとの健康に貢献できる独創的な医薬品を開発し提供する創薬研究開発型企業を目指す」を経営ビジョンとし、「患者さんのために」という観点から医薬品の研究開発、品質の高い医薬品製造、適正使用のための医薬情報活動、効率的な業務とトータルマーケティング体制の構築に向けて積極的に取り組んでおります。また、グループ各社は医薬品事業を補佐するとともに、その技術を活かし、国内外で事業活動を展開しております。
当社は創薬の研究開発活動を活発に展開するとともに、領域戦略に合致した製商品・開発テーマ導入等のアライアンスも積極的に行ってまいります。これら研究開発・アライアンス投資を継続的に展開することによって、一時的に業績という視点からは影響も懸念されますが、これらへの投資は将来における当社の収益構造を確立するために必要不可欠な投資であり、その過程においては、あらゆる観点から効率性を追求し収益性を改善することによって、最終的には売上高営業利益率及び自己資本利益率を向上させることを目標としております。
世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延、国際情勢の変化、気候変動、そして原材料やエネルギー価格、物流費の高騰等により、世界経済の見通しは、一層の不透明感を増しております。このような状況下で、製薬産業を取り巻く環境は、構造的変革の渦中にあり、製薬企業には、希少疾病や新興感染症、治療薬のない難治性疾患の治療や、生活の質(Quality of life)の向上におけるイノベーションが求められております。一方、新薬の研究開発は高度化、困難化し、大きな投資を必要としており、研究開発リスクはますます増大しております。世界経済の先行きが極めて不透明な中、我が国においては、人口の少子高齢化に対応した社会保障制度の再構築が進められ、医療においては国民皆保険制度を維持するため、毎年の薬価改定を始めとした薬価制度改革などの薬剤費抑制策が実施されております。
激変する経営環境において、当社が将来にわたって社会的使命を果たし、安定的に成長していくための第一義的課題は、医療ニーズに応じた特徴ある新薬を継続的に上市していくこと、相次ぐ医薬品の回収、供給停止が行われる中で、高品質な製商品を安定して供給できる体制を維持すること、そして、適切な情報提供活動により必要な患者さんに適正に処方される販売体制を構築することにあります。当社は、創薬研究開発型企業としての持続的成長を成し遂げるため、2020年4月より中期5ヵ年経営計画「PEGASUS」をスタートさせ、以下の4つの課題に取り組んでおります。
① 国内売上の拡大
新製品群の育成、製商品導入による製品ラインナップの更なる拡充、臨床開発後期ステージの開発プロジェクトの推進と、希少疾病領域における情報提供・販売体制の構築による円滑な市場導入を進め、国内医療用医薬品事業の売上を拡大します。また、ヘルスケア食品事業においては、高品質な製品を提供することによって収益を拡大します。
② 海外収益基盤の強化
既存製品の海外収益を確保することに加え、リンザゴリクスによって新たな海外収益を獲得します。さらに、ライセンスアウトによる新たな海外収益基盤の構築を進めます。
③ 開発パイプラインの拡充
低分子にフォーカスした創薬研究を推進するとともに、領域戦略に合致したライセンスインにより、将来の安定成長を支える研究開発パイプラインを構築します。
④ 経営環境の変化に対応する経営基盤の強化
法令及びコンプライアンスを遵守し、高品質な製商品の安定供給と生産性の向上に努めます。また、ステークホルダーとの良好な関係を維持するとともに、ガバナンス体制の更なる強化を図り、ESG/SDGs経営を推進します。
当社は、「純良医薬品を通じて社会に貢献する」「会社構成員を通じて社会に奉仕する」という経営理念のもと、事業活動を通じて継続的に価値を提供するとともに、中期5ヵ年経営計画「PEGASUS」の基本戦略の一つとして「ESG/SDGsの推進」を掲げ、SDGsが目指す持続可能な社会と地球環境の実現に取り組んでおります。
持続的な社会の実現に向けて取り組むべき重要課題(マテリアリティ)については、当社事業との関連性とステークホルダーへの影響度の二軸から重要度の高い項目を絞り込み、事業活動と経営基盤に関するマテリアリティとして特定しました。当社事業活動に関するマテリアリティとして、「社会的に有用な製品の開発・提供」「高品質な製品の安定供給」「医療関係者、患者さんとのコミュニケーション」の3つに分類し、これらの活動を支える経営基盤に関するマテリアリティとして、「ガバナンスの強化・充実」「働きがいのある職場づくり」「環境への取り組み」及び「良き企業市民としての社会貢献」の4つに分類しております。
年度経営計画目標、中期経営計画目標の達成に向けて、経営企画部門が各部門で作成する部門方針及び組織目標の進捗状況の確認を行っております。
また、部門横断的な要素が大きい、サステナビリティ関連課題については、SDGs推進委員会のもと活動を推進してきました。2023年4月からは、サステナビリティ活動の向上とその推進・管理体制の強化を目的として、人事部門と総務部門を管掌する取締役を委員長とする体制とし、サステナビリティ推進委員会に改編しました。サステナビリティ推進委員会(旧SDGs推進委員会)では、当社が優先的に取り組むべき重要課題(マテリアリティ)の特定や、主な取り組みに対するKPIの設定、進捗状況の確認など、サステナビリティ活動における諸施策を立案するとともに、関係部門との連携のもとこれを推進し、定期的に取締役会に付議・報告しております。なお、当社のコーポレート・ガバナンス体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」 に記載しています。

当社は、全社的なリスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」に定めるとともに、取締役会の諮問機関であるリスク管理委員会のもと、当社並びにグループ会社において発生し得るリスクの発生防止に係る管理体制を整備し、その進捗状況を監視しております。また、取締役会の諮問機関としてコンプライアンス委員会を設置し、コンプライアンス推進の適正化を図るとともに、コンプライアンス・プログラムの実践に取り組んでおります。
サステナビリティ関連リスクについても重要な経営リスクの一つとして捉えており、サステナビリティ推進委員会で特定したリスクについては、年に1回以上の頻度で、事業活動に及ぼす影響度の見直しを行います。また、事業活動への影響が比較的大きいリスクについては、費用対効果と緊急度を勘案し、優先順位をつけて対応策を講じております。その管理状況については、サステナビリティ推進委員会より取締役会に付議・報告するとともに、リスク管理委員会へ報告し、全社の総合的リスクマネジメントにつなげてまいります。
(1) 人的資本に関する取り組み
①人材育成方針
経営理念にあるとおり、当社の存在意義は純良医薬品・会社構成員を通じた社会に対する貢献と奉仕にあります。新薬開発の高度化、開発リスクが高まる中で、中長期的に継続して独創的な医薬品を開発し上市するには、経営環境の変化に的確かつ迅速に対応し、より高度な専門性を持ち独自性と卓越性を有した自律的かつプロフェッショナルな人材を育成していく必要があります。このような考えのもと、当社では「自律型人材の育成」をメインビジョンとして掲げ、以下の3点を人材育成方針としています。
・会社は、社員の成長と会社の発展の同時実現を目指す教育・学習環境を提供する。
・会社は、管理者らによる実効性の高い指導・育成を支援し、計画的な次世代育成を促進する。
・会社は、社員の自己啓発を奨励し、自発的な能力・キャリア開発を支援する。
②社内環境整備方針
自律型人材を育成していく環境整備として、当社では「働きがいのある職場づくり」を経営基盤に関するマテリアリティの一つとして特定しています。「働きがいのある職場」では、社員一人ひとりが「仕事へのやりがい、使命感」、「仕事の達成感」あるいは「仕事を通じた自己の成長」を実感しているものと考え、社員のエンゲージメントを重視し、定期的に測定しています。その分析結果をもとに、新たな人事施策の検討・実施につなげるとともに、次のような取り組みをしています。
(複線型人事制度の運用)
現在の経営環境は予見性に乏しく、常に変化の渦中にあります。このような中で当社が持続的な成長を遂げるためには、「年齢や年数」にとらわれることなく早期から存分に能力を発揮し、社員同士がお互いに強く刺激し合うことによって生まれる高次の一体感を醸成させること、そして、これまでの仕事観や価値観の転換を促し、他人や標準モデルとの比較ではなく、自らが起こすべき行動や果たすべき結果に対して、より健全な緊張感の宿る企業文化へと進化させていくことが重要であると考えます。このような考えのもと、①果たしている役割の適正な処遇反映、②スペシャリストの活躍機会の強化、③チャレンジ意欲の奨励の3つをコンセプトとする多様性と将来性を重視した複線型人事制度を運用しています。
(教育制度の運用)
人事制度と連動する形で、階層別研修を拡充しマネジメント層の強化を図っているほか、社員のより能動的な学習やリスキリングを促すために、eラーニングの拡充を通じて時間や場所の制約を受けない学習環境を整備し、ビジネス・IT知識、英会話などの継続的学習を奨励しています。
(ダイバーシティ&インクルージョンとジェンダー平等の推進)
様々な考え方や価値観を持った社員が相互に認め合い、刺激し合うことが企業にとってダイナミズムと創造性をもたらすとの認識のもと、「キッセイ薬品行動憲章」において「従業員の多様性、人格、個性を尊重し、倫理観の高揚と資質の向上に努めること」を行動規範の一つとして掲げ、全ての取締役及び社員がその実践を基本としています。
具体的には、「プラチナくるみん」の認定維持を通じた次世代育成支援や、女性活躍推進法に基づく女性社員が活躍できる基盤整備、65歳までの継続雇用制度の運用、障がい者がそれぞれの能力を発揮しながら業務に従事できる環境の提供などに取り組んでいます。
(健康経営の推進)
当社の経営理念の実現と行動憲章の実践のためには、まず社員一人ひとりが、心とからだの両面において健康でなければならないという考え方から、「キッセイ薬品健康宣言」を制定しています。そして、キッセイ健康保険組合と緊密に連携を取りながら、社員及びその家族の健康保持、増進に努めるとともに、社員一人ひとりが、「生きがい」や「働きがい」を感じながら、その能力を十分に発揮できる、健康的で活力のある職場風土づくりに取り組んでいます。
(2) 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言に基づく情報開示
気候変動対策につきましては、持続可能な開発目標(SDGs)の「目標13:気候変動対応」を重要な経営課題の一つとして認識し、経営基盤のマテリアリティの一つとして「気候変動への対応」を特定しております。気候変動が当社事業に及ぼす影響については、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures:「TCFD」)の枠組みで、1.5℃シナリオ及び4℃シナリオを想定し、グループの中核を担う医薬品事業において自社事業所が受ける影響を対象とし、リスクと機会を特定しました。特定したリスクと機会については、財務的な影響度と発生可能性の大きさから分析、評価を行い、事業戦略に与える影響度から優先順位に応じて、対応策の検討を行いました。1.5℃シナリオ※1による移行リスクとしては、将来の脱炭素関連の政策・法規制の強化によるコストの増加や、気候変動への取り組み不足によるステークホルダーからの評価低下があげられました。平均気温が4℃上昇するとした4℃シナリオ※2においては、物理的リスクとして、急性時には台風や豪雨等での水害による影響が、また慢性時には、気温上昇による空調コストの増加等があると認識しております。一方で、高効率設備導入によるエネルギー調達コストの削減や気候変動に対する積極的な取り組みや適切な情報開示による企業価値の向上等を「機会」として捉え、今後もレジリエンスの強化と開示情報の拡大に取り組んでまいります。なお、これらのシナリオ分析・評価の結果、事業戦略に重大な影響を及ぼす恐れのあるリスクは特定されませんでした。
※1.1.5℃シナリオはIEA NZEシナリオ等を参考に想定
※2.4℃シナリオはIPCC RCP8.5シナリオ等を参考に想定
(1) 人材育成方針及び社内環境整備方針に関する指標と目標について
①社員のエンゲージメントレベル
当社の経営基盤に関するマテリアリティの一つである「働きがいのある職場づくり」を推進するために、当社では社員のエンゲージメントを重視し、「人事に関する意識調査」としてエンゲージメントレベルや人事諸制度への満足度を定期的に測定しています。社員が自分の会社や仕事についてどう思い、人事諸制度をどのように捉え、何を重要視しているかなどを把握し、人事施策の検証、効果的な推進に活用しています。
この調査は、総合満足度と5つのカテゴリー(エンゲージメント、職務満足、目標管理制度、処遇・キャリア、人事制度・ワークシチュエーション)で構成された調査で、各設問について「満足度」と各設問が会社生活においてどの程度重要であるかを「重要度」として測定しています。そして、満足度と重要度の二つの指標からポートフォリオ分析を行い、「重点維持項目」「維持項目」「重点改善項目」「改善項目」を特定しています。現中期5ヵ年経営計画「PEGASUS」中に実施した調査の結果(2022年)は下表のとおりです。
次期中期経営計画年度に実施予定の調査では、人事制度や教育制度の運用を通じて、エンゲージメント・職務満足に関する設問の平均点を3.30ポイント以上にすることを目標としています。
人事に関する意識調査結果(4点満点)
満足度評価尺度※の平均
※満足度評価尺度:「大いにそうと思う(4点)」「ある程度そう思う(3点)」「あまりそう思わない(2点)」
「全くそう思わない(1点)」
②ダイバーシティ&インクルージョン
③健康経営
※年次有給休暇の取得促進を目的として、年3日を誕生日などの記念日に計画的に取得する制度
(2) 気候変動に関わる指標と目標について
気候変動に関わる指標としては、経営基盤のマテリアリティ「気候変動への対応」におけるKPIとして、CO2排出量の削減及び再生可能エネルギーの利用率を設定しています。日本政府の2050年カーボンニュートラル宣言及び2030年温室効果ガス排出量46%削減(2013年度比)目標達成に貢献するため、当社における中期的な目標として以下を設定し、活動を推進しております。
・2030年度CO2排出量目標(Scope1+2):2013年度比46%削減
・2030年度再生可能エネルギー利用率:全電力使用量の74%以上
2022年4月には長野県内の水力発電所などの電気を活用した長野県産CO2フリー電気「信州Greenでんき」を本社・松本工場、並びに塩尻工場で導入しました。その結果、当該拠点における再生可能エネルギー利用率は約34%となり、CO2排出量は年間約2,280トンの削減となりました。さらに、2023年4月1日からは新たに中央研究所、製剤研究所、第二研究所、ヘルスケア事業センター及び東海北陸支店の5事業所に導入を拡大し、これにより年間CO2排出量を約40%減(2013年度比)を見込んでおり、再生可能エネルギー利用率については2030年度目標である「全電力使用量の74%以上」を前倒しで達成する見込みです。今後も、再生可能エネルギーの利用を積極的に推進してまいります。


当グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性のある主なリスクには以下のようなものがあります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当グループが判断したものであります。
なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当グループの経営成績等の状況に与える影響については、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。当社は、リスク管理の基本方針及び管理体制を「リスク管理規程」において定めるとともに、取締役会の諮問機関であるリスク管理委員会のもと、当グループにおいて発生し得るリスクの発生防止に係る管理体制を整備し、その進捗状況を監視しております。
(1) 医薬品の研究開発に係るリスク
新薬の研究開発から承認・発売までは多額な費用と長い期間を要します。当社は創薬研究から非臨床試験、臨床試験、承認申請、承認取得まで、想定されるスケジュールと定期的な見直しによって中長期的な業績を試算しておりますが、有用な化合物を順調に発見できるとは限らず、また開発中の新薬あるいは効能追加等について、予測しているとおりの有用性を証明できるかどうか、いつ承認を得ることができるかを確実に予測することはできません。
また、海外における開発・販売等の権利を許諾した化合物あるいは製品については、導出先企業の経営状況やポートフォリオの変化、また許諾地域での開発、薬務規制等への対応に関して、想定通りに進捗しない可能性があります。
(2) 医薬品行政の動向によるリスク
日本国内においては、人口の少子高齢化に対応した社会保険制度の再構築が進められ、医療においては国民皆保険制度を維持するため、毎年の薬価改定を始めとした薬価制度改革などの薬剤費抑制策が実施されております。今後、更なる医療保険制度の改定を含む医療・薬務行政の抜本的な改革や規制の厳格化があった場合は、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 他社医薬品との競合によるリスク
販売しております医薬品と同種の適応をもつ他社医薬品との競合に加え、先発医薬品の特許満了後に発売される同成分の後発医薬品との価格的な競合に直面します。これらの競合は既存製品の売上に大きな影響を及ぼす可能性があります。
(4) 医薬品副作用発現によるリスク
医薬品には、開発段階では発見できなかった未知の副作用が発現する可能性があります。予期せぬ副作用や重篤な有害事象が発現した場合には、その使用方法が制限されたり、場合によっては販売中止になる可能性もあります。
(5) 医薬品の品質に関するリスク
最新の法令、規則及びガイドライン等を遵守して製造管理・品質管理体制を構築しておりますが、品質上の問題の発生により製品回収等を行うことになった場合は、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 知的財産に関するリスク
当グループが知的財産権を適切に保護できない場合には、他の第三者が当グループの技術等を使用して、当グループの市場における競争優位性を阻害する可能性があります。一方、当グループの事業が他の第三者が所有する知的財産権に抵触した場合は、係争やそれに伴う損害賠償、当該事業の中止につながる可能性があります。
(7) 訴訟に関するリスク
現在、当グループの経営に影響を与えるような訴訟は提起されておりませんが、当グループが国内外で継続して事業活動を行う過程において、特許関連、製造物責任、環境関連、労務関連、公正取引等に関し訴訟を提起される可能性があります。
(8) 情報セキュリティ及び情報管理に関するリスク
当グループが使用する各種情報システムに対するサイバー攻撃等により業務が阻害される可能性があります。また、当グループが保有する個人情報や機密情報の保護・管理については、社内規程の制定、社員への教育・訓練等を通じて、情報流出の防止に細心の注意を払っておりますが、予期せぬ事態により情報の流出・漏洩が発生する可能性があります。これらが顕在化した場合には、当グループの社会的信用の低下等により、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(9) サプライチェーンに関するリスク
地震、台風等に起因する火災、水害等の事故や、新型インフルエンザ等によるパンデミックの発生、さらには地域紛争の勃発などにより、当グループの事業所及び取引先が直接あるいは間接的に多大な被害を受けた場合、サプライチェーンが寸断されることにより、事業活動が縮小または停滞し、活動再開までに時間的、金額的損失が発生することで、業績あるいは財政状態に重大な影響を与える可能性があります。
新たな感染症等の発生によるパンデミックに対しては、「リスク管理規程」並びにその他社内規程等に基づき、従業員及び関係者の安全確保と製品の安定供給を重視した対策を実施しております。
(10) 保有資産に関するリスク
当グループは、保有する事業用資産及び投資有価証券等について、四半期毎にグループ会計方針に従って評価を行っております。事業用資産については、将来における投資額の回収が見込めない状況になった場合には、減損損失を計上する可能性があります。また、投資有価証券等については、市場価格のあるものは相場価格の変動により、市場価格のない非上場株式等については当該会社の純資産、将来の事業計画等を総合的に勘案し、減損損失を計上する可能性があります。
(11) 繰延税金資産の回収可能性に関するリスク
繰延税金資産の回収可能性について、回収可能性を判断する十分な課税所得を得られない場合には、繰延税金資産の取崩しが発生する可能性があります。
(12) 環境保全に関するリスク
医薬品の研究や製造の過程で使用される化学物質等の中には、環境に影響を与える物質も含まれています。各事業所においては厳格な管理を実施し環境保全に努めておりますが、これらが周辺の環境汚染の原因と判断された場合、事業所に対する法的な措置が講じられたり、環境の回復や改善のための費用等の発生により、業績あるいは財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当グループは、経営理念に基づき、グループ行動憲章において「環境問題の重要性を認識し、自主的、積極的にその保全に取り組みます。」と定めています。具体的には、当社及びグループ会社におけるISO14001環境マネジメントシステムの推進、100%再生可能エネルギーである「信州Greenでんき」の導入事業所の拡大などを行いました。
環境保全と関連する気候変動リスクについては、「第2 事業の状況 2 サステナビリティに関する考え方及び取組」に記載しているほか、当社ウェブサイト及び統合報告書等で情報開示を行っております。
なお、上記以外にも様々なリスクがあり、ここに記載されたものが当グループのすべてのリスクではありません。
当連結会計年度における当グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績
売上高につきましては、全体で67,493百万円(前連結会計年度比3.2%増)となりました。そのうち当グループの中核をなす医薬品事業では、昨年5月にEAファーマ株式会社と共同開発を行いました潰瘍性大腸炎治療薬「カログラ錠」を、昨年6月に顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬「タブネオスカプセル」を、そして本年4月に慢性特発性血小板減少性紫斑病治療薬「タバリス錠」を、それぞれ新発売いたしました。コロナ禍の中、従来からのリアル面談と各種デジタルツールを効果的に活用したハイブリッド型の医薬情報活動を推進いたしましたことなどにより、これら新製品の市場導入を計画どおりに進め、また、過活動膀胱治療薬「ベオーバ錠」、腎性貧血治療薬「ダルベポエチンアルファBS注JCR」などの売上、並びにコ・プロモーションフィーが伸長しました。さらに、技術料売上、輸出売上なども増加し、増収となりました。これらにより、医薬品事業の売上高は前連結会計年度に比べ2,096百万円(3.9%)増加し、56,243百万円となりました。
情報サービス事業の売上高は8,285百万円(前連結会計年度比7.0%増)、建設請負事業の売上高は2,343百万円(前連結会計年度比20.5%減)、物品販売事業の売上高は621百万円(前連結会計年度比14.3%増)となりました。
売上原価につきましては、医薬品事業において技術料売上やコ・プロモーションフィーの増加などにより売上原価率が改善し、医薬品事業以外の事業においても事業構成の変化などにより売上原価率が改善したことから、売上原価率は0.2ポイント低下しました。
利益面では、増収に加え、売上原価率が若干改善しましたものの、研究開発費を主とした販売費及び一般管理費の増加を吸収することができず、営業損失を計上しました。経常利益につきましては、前連結会計年度に比べ営業損失が273百万円改善した一方、受取配当金や有価証券評価益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ237百万円の利益の減少となりましたが、前連結会計年度に比べ36百万円(6.4%)増加し、598百万円となりました。
特別損益は、投資有価証券売却益が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ利益が2,862百万円減少しました。
以上により、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ2,826百万円(17.1%)減少の13,680百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ2,393百万円(18.5%)減少の10,528百万円となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.医薬品事業は販売計画に基づく生産計画により生産しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.医薬品事業における主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2)財政状態
・総資産
当連結会計年度末の総資産は221,200百万円となり、前連結会計年度末に比べ16,887百万円減少しました。流動資産は現金及び預金が減少しましたが、棚卸資産などが増加しましたことにより、1,299百万円増加し100,641百万円となりました。固定資産は投資有価証券の減少などにより、18,186百万円減少し120,558百万円となりました。
・負債
当連結会計年度末の負債は26,385百万円となり、前連結会計年度末に比べ9,521百万円減少しました。流動負債は、支払手形及び買掛金が増加しましたが、未払法人税等、契約負債が減少しましたことなどにより、3,786百万円減少し14,957百万円となりました。固定負債は繰延税金負債の減少などにより5,735百万円減少し、11,428百万円となりました。
・純資産
当連結会計年度末の純資産は194,814百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,365百万円減少しました。主な要因は、その他有価証券評価差額金が減少しましたことによります。
この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の84.6%から87.7%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末より4,120百万円減少し、当連結会計年度末では48,884百万円(前連結会計年度末比7.8%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動の結果、当連結会計年度において6,679百万円の支出となりました。仕入債務の増加などの収入増加要因がありました一方で、棚卸資産の増加、契約負債の減少、法人税等の支払額の増加などが支出増加要因となりました。
投資活動の結果、当連結会計年度において6,001百万円の収入となりました。長期前払費用の計上などの支出がありました一方で、投資有価証券の売却による収入などがありました。
財務活動の結果、当連結会計年度において3,420百万円の支出となりました。主な要因は、配当金の支払いです。
なお、2024年3月期における重要な資本的支出の予定はありません。
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況につきまして、新型コロナウイルスの感染拡大による重要な影響はありませんでした。
当グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があることから、実際の結果と異なる可能性があります。
なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
・当社とメディシノバ社との切迫早産及び喘息急性発作治療薬ベドラドリンの日本を除く全世界における独占的開発及び販売権に関する契約
・当社とオブシーバ社との子宮筋腫及び子宮内膜症治療薬リンザゴリクスの日本その他の一部アジアを除く全世界における独占的開発及び販売権に関する契約
なお、オブシーバ社がセラメックス社(英国)と締結していたリンザゴリクスの北米、アジア以外における商業化に関するサブライセンス契約の一部は、当社に自動承継されています。当社とセラメックス社との契約状況につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載しております。
(2) 技術導入契約
(4) 取引契約関係
当グループの中核である医薬品事業では、経営ビジョンである「世界の人びとの健康に貢献できる独創的な医薬品を開発し提供する創薬研究開発型企業を目指す」の実現のため、研究開発におけるコア領域を定め、積極的に研究開発投資を行うことにより、新薬創出と開発の加速を図っております。また、グローバル市場への進出と拡大を目指し、創製品の技術導出及び導入品のサブライセンスによる国際展開を推進しております。
医薬品事業における当連結会計年度の研究開発の状況は次のとおりであります。
丸石製薬株式会社と共同開発を行っております透析患者におけるそう痒症治療薬ジフェリケファリン(一般名、開発番号:MR13A9)につきましては、同社より昨年9月に承認申請が行われました。
当社の創製品であります、子宮筋腫・子宮内膜症治療薬リンザゴリクス(一般名、開発番号:KLH-2109)につきましては、子宮筋腫を適応症として国内第Ⅲ相臨床試験を実施しております。
海外においては、当社がオブシーバ社(スイス)との間で締結したリンザゴリクスの日本などアジアの一部を除く全世界における独占的な開発権及び販売権を許諾したライセンス契約は、昨年11月末日にて終結しました。なお、同契約に従い、終結と同時に当社に自動承継された、オブシーバ社とセラメックス社(英国)間の本剤の北米、アジア以外における商業化に関するサブライセンス契約は、最新の状況に即した諸条件の見直しが終了し、本年4月に更改されました。現在、2023年度中の欧州における本剤の発売に向け、セラメックス社による市場導入準備が進められています。
また、本剤の米国における開発は、自社では行わず、他社との提携について検討してまいります。なお、子宮筋腫を適応症とする本剤の新薬承認申請(NDA)はオブシーバ社により、昨年8月に取り下げられています。
リンザゴリクスのアジア地域における技術導出につきましては、一昨年9月に中国においてバイオジェニュイン社(中国)に独占的な開発権及び販売権を許諾したことに続き、昨年11月、シンモサバイオファーマ社(台湾)に台湾における独占的権利を許諾しました。
当社は、創薬研究開発型企業として持続的成長を図るため、低分子にフォーカスした創薬研究体制を一層強化し、創薬テーマをスピーディーかつ継続的に臨床開発ステージに進めること及び、領域戦略に合致したライセンス活動により製品ポートフォリオの拡充を図っております。なお、研究開発費の総額は
情報サービス事業では、医療・介護等の社会課題解決に向けたシステム開発をはじめ、各分野向けパッケージソフトの開発、次世代技術の取り込みを推進しており、研究開発費の総額は
当連結会計年度の研究開発費の総額は