第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

理念体系

MISSION -社会での役割-

人が動かす 「ヒューマンドライブ」な社会をつくる

VISION -目指す姿-

一人ひとりの心に点火する「人づくり」企業になる

VALUE -理念-

志をもって事を成す

目標にコミットし、プライドをかけて全力で共に成し遂げる。

そんな「志事」を通して、全社員で成長する。

 

パーパス(コプロ・グループの存在意義)

最高の「働き方」と最高の「働き手」を。

 当社は、企業理念体系を踏まえ、2023年3月期から2027年3月期を最終年度とした中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」の策定にあたり、当社グループのパーパス(存在意義)を『最高の「働き方」と最高の「働き手」を。』と定めました。

 本中期経営計画期間においては、パーパスの示す方向性に沿って、エンジニア一人ひとりのキャリアアップと、それを応援する幅広いサービスや仕組みを具備した「エンジニア応援プラットフォーム」の構築を軸に、DXによる業務革新、機械設計開発技術者派遣・請負サービス及びSESの拡大、組織能力の強化、組織の活性化を図る各種施策や制度設計を計画的に進めることで、持続的な成長、並びに中長期的な企業価値の向上に努めてまいります。

 

(2)目標とする客観的な指標等

 当社グループは、売上高、営業利益、Non-GAAP営業利益(注)の中期的な成長を重視しております。また、事業子会社の技術者派遣事業においては、売上高の構成要素である技術者の在籍人数、稼働率、定着率を客観的な非財務指標として重視しており、開示を継続しております。

 なお、2022年5月に公表した中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)においては、最終年度である2027年3月期の財務目標として売上高400億円、Non-GAAP営業利益50億円を掲げております。

(注)Non-GAAP営業利益は、営業利益に減価償却費、のれん償却費、株式報酬費用を足し戻した金額を計算しています。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

①「エンジニア応援プラットフォーム」の構築

中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)における中期経営戦略の核として、派遣元である当社グループが技術者のキャリアパス形成を能動的に支援するプラットフォームの構築を推進し、業界経験者だけでなく、新卒や業界未経験者がエンジニアとしての将来を見据え安心して長く経験を積むことのできるビジネスモデルを構築します。

 

②事業ポートフォリオ方針

グループの屋台骨である建設・プラント技術者派遣・紹介サービスの更なる市場シェア拡大に向けた成長投資を行いながら、付加価値の高いエンジニアに特化した人材サービス領域において、第二の主力事業・収益源の育成に向けて、市場性の高い事業への投資を推進します。

 

③建設・プラント技術者派遣・紹介

エキスパート人材と新卒及び中途採用の業界未経験者のセット派遣の拡大や、案件に求められる要件と技術者のスキルや経験値のデータベース化によるマッチング精度の向上、顧客企業・技術者双方の状況の可視化とコミュニケーションの拡充によるフォローアップの強化を通じて、現場の品質向上や働く環境を改善し、顧客企業・技術者からの信頼を獲得してまいります。

 

④機械設計開発技術者派遣・請負

中期経営計画前半では、カーボンニュートラル関連設備・装置などの需要が見込まれる有望な新規領域への参入や、重点領域(輸送用機器・産業用機械・農業機械)の既存顧客への深耕開拓を推進します。計画後半では、重点領域の新規顧客(上位メーカー)に対し、エキスパート人材を活用して案件を開拓してまいります。また、セット派遣を促進し、配属数の拡大に取り組むほか、チームリーダー制により、業務品質を底上げし、顧客企業との信頼関係構築を目指します。

 

⑤SES

中期経営計画前半では、フリーランス・派遣双方の人材を拡充し、セット派遣を通じて大型案件に対応することにより配属数の拡大を目指します。計画後半では教育機関との提携による人材拡大や、需要が見込まれるエリアへの拠点網拡大により、顧客と案件の開拓を図ってまいります。

 

⑥グローバル展開

東南アジアの教育機関と提携し、日本で働く意欲のある高度人材に基礎教育を提供し、人材不足に悩む建設・機械設計・IT領域の日本企業へ派遣・紹介するスキームの構築を目指します。また、将来的には、日本で経験を積んだ高度人材の現地日系企業への派遣を検討してまいります。海外拠点として、2021年4月にCOPRO VIETNAM CO., LTD.をベトナムに設立しております。

 

⑦M&A方針・投資戦略

コア事業を中心とした既存事業のオーガニックな高い成長に加え、非連続な成長を実現するため、積極的にM&Aを推進し、中期経営計画で掲げた業績目標の前倒し達成を目指します。

成長余力が大きく、付加価値の高いエンジニアに特化した人材サービス領域において、優秀なエンジニアが在籍する企業、及びエンジニア応援プラットフォームの構築に際して必要となるリソースを有する企業をターゲットとし、WACC(加重平均資本コスト)8%~9%をハードルレートとして設定し、当該レートを上回るM&A投資についてのみ検討を行っていく方針です。

また、事業基盤強化・効率化を目的とした投資として、エンジニア応援プラットフォームの構築、DXによる業務革新等に対して、2023年3月期~2024年3月期において、年1.5億~2億円の投資金額を見込んでおります。

 

(4)経営環境

当社グループの主要顧客先である建設業界においては、2025年開催予定の大阪万博、2027年開業予定のリニア中央新幹線(品川・名古屋間)関連、都市開発プロジェクト関連工事や、既存インフラ老朽化に伴う再整備など、引き続き堅調な建設需要が見込まれております。また、他業界に比べて顕著な高齢化と若手不足の構造的な問題に加え、2024年4月より改正労働基準法が建設業にも適用され、残業時間の上限に罰則規定が設けられる予定であるため、今までは1名の人材で完結していた業務が細分化されるなど、人材不足が一層深刻となり、企業における派遣人材の活用は今後も加速していくと予測しております。

他方、国内における雇用情勢については、少子高齢化に伴う近年の労働人口の減少を背景に人材の採用マーケットは非常にタイトであるため、業界経験者のみならず業界未経験者を含めた人材確保のハードルが上昇しており、人材を確保するための採用力、また採用した人材の育成と定着がより一層求められております。

 

(5)対処すべき課題

当社グループは、以下の事項を主要な課題として認識し、事業展開を図る方針であります。

①人材確保及び育成

人材の確保は当社グループの成長の礎であり、いかに付加価値の高いエンジニアとなり得る人材を獲得していくか、また、いかに在籍する派遣技術社員のスキルを高めていくかが重要となります。高スキルエンジニアの採用については、売り手市場が継続する見通しであるため、主力のWeb媒体に加え、在籍する社員からの紹介等も活用してまいります。また、自社運営求人サイト「現キャリ」「ベスキャリIT」の更なる集客強化・機能性向上を図るとともに、中長期的な事業成長を担う人材を確保するため、引き続き新卒採用にも注力いたします。

人材の育成については、名古屋で運営する教育施設「監督のタネ」において、より実践的な研修プログラムの開発・導入を進めております。また、リモートによる研修体制を構築し、派遣技術社員の居住エリアに囚われることなく、より多くの人材のキャリアアップを促進いたします。

また、派遣技術社員に対するフォローを当社営業社員が一貫して行い、派遣技術社員の就業状況や健康状態を細やかにサポートするための各種施策を通じて、定着率の向上を図ってまいります。

 

②労働者派遣事業の適切な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(以下、労働者派遣法)の改正への対応

労働者派遣法は1986年の施行から2023年現在までに多くの改正を繰り返しており、2007年までは需要に応じた派遣業の規制緩和、2012年以降は派遣労働者保護のための規制強化が大きな流れとなっております。これは、日雇い派遣が問題となった2007年、リーマンショックが起こった2008年頃に突然の派遣切りや雇止めにより苦境に立たされる派遣労働者が増えたこと、違法派遣が社会問題化したことなどが影響していました。2012年の改正では、派遣労働者の保護を目的とした法律であることが、法律名に明示もされることとなりました。

近年の改正も、2012年以降に行われてきた派遣労働者の保護と支援をさらに具体的に推し進めることを目的になされており、2020年の改正は、同一企業で働く正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間にある不合理な格差の解消を目指す「同一労働同一賃金」の実現に向けた重要な改正となっております。2021年の改正においては、書面による作成が必要であった派遣契約書について電磁記録での作成が認められたほか、派遣労働者に対し、キャリア支援に関する説明や雇用安定措置に関わる希望聴取を行うことが派遣事業を行う上で義務付けられることとなりました。

当社グループは「労使協定方式」に基づき派遣労働者の待遇を決定することで、計画的な教育訓練や職務経験による人材育成を経て、段階的に賃金含む待遇の改善の実施等、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行っております。

このような法改正への当社グループの適切な対応は、我が国が目指す「派遣労働者を適切に保護し、適切な管理の下で労働者派遣を行う」方針に基づいており、当社グループの持続的な成長にも繋がるものと認識しております。

労働者派遣法は、今後も社会状況や課題に対応する形で改正が行われることが想定されます。当社グループは、今後も法改正に伴う経営環境の変化に適切に対応しつつ、引き続き事業の安定・拡大に努めてまいります。

 

③営業力強化

継続的な成長のためには、既存取引の維持・新規顧客の開拓に加え、顧客企業の新たなニーズを引き出すことで取引件数を増加させる必要があります。

このために当社グループは、重点企業へのアプローチを集中して行い、多くの案件を獲得することを目指してまいります。また、営業プロセスの再構築、マッチングの強化、ツール導入による業務効率化を進め、顧客・案件情報の集約・分析することで、100%近い稼働率を維持し、中長期的に継続する就業先へのシフトが臨機応変に実施できるよう取り組んでまいります。

建設・プラント技術者派遣においては、重点企業への取引拡大に向けて取り組んでまいります。また、業務提携により付加価値の高い建設業界向けDX人材を育成する事で同業他社と差別化を図ります。

機械設計開発技術者派遣においては、電気電子設計及び生産技術領域への拡大に加えて、新規領域として組込み系を中心にしたソフトウェア開発や半導体業界へのリソース集中、及びチーム派遣の実行に向けて取り組んでまいります。

SESにおいては、新規顧客の開拓に注力し取引企業の増加を図ってまいります。現在、ITキャリア推進協会への加盟、新規アポイントの取得を行っております。更に拡大させるため外部業者からの紹介なども有効活用し浅い商流の契約を増やすことによる、エンジニアへの還元と業績の拡大を図ってまいります。

 

④長時間労働の抑制

昨今の労働行政においては、働き方改革関連法案の施行により長時間労働に対する指導・監督が強化されており、企業側に従業員へのきめ細かな労務管理と安全配慮を求めるものとなっております。派遣元である当社グループは、派遣先に対して当社グループ派遣技術社員が当社グループの36協定の範囲を超えて時間外労働を行うことがないよう、IT端末貸与によりリアルタイムに勤怠状況が把握できる体制を整備しており、派遣先に対して段階的な改善を要請する通知を提示する等、適宜適切な措置を講じております。

今後も引き続き労働環境の改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでまいります。

 

⑤プライム市場上場維持基準の適合に向けて

当社は2022年4月の東京証券取引所の市場区分の再編においてプライム市場を選択しましたが、「流通株式時価総額」が上場維持基準を充たしておりません。

上場維持基準の充足に向けて、2022年5月公表の中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」(2023年3月期から2027年3月期)に基づき、各事業戦略を推し進めることで業績拡大を図るとともに、コーポレートガバナンスの充実に係る取り組みや、株式流動性の向上に係る取り組みにより、企業価値の向上を通して時価総額の拡大を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)サステナビリティ

①ガバナンス

 当社では、気候変動対応を含むサステナビリティ課題について、今後リスク管理委員会にて審議・検討を行うこととしております。リスク管理委員会は、委員長を代表取締役社長とし、当社及び当社子会社の常勤取締役及び常勤監査役、当社法務部長で構成され、原則として年に1回開催しています。

 また、リスク管理委員会にて気候変動対応を含むサステナビリティ課題に関わる重要事項について審議された場合、委員長は取締役会に対し、当該事項について報告することとしています。取締役会において必要な報告、審議、指示、監督が行われることで、気候変動対応を含むサステナビリティ課題に関わる重要事項が適切に実施される体制としています。

 

②リスク管理

 当社グループは、事業運営において土地や生産設備等を保有する必要がないため、気候変動による直接的影響は僅少であると認識しております。しかし、政府による炭素税の導入や再生エネルギー政策、次世代環境技術の進歩・革新が顧客の技術に影響を与える可能性があります。これにより、当社グループに対する顧客ニーズが変化し、当社グループがこの顧客ニーズの変化に対応できない場合、当社グループの業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 また、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言に対しては、当社グループの気候変動対応の適切さを検証するベンチマークとして活用し、持続可能な成長に向けて、成長機会の取込み及びリスクへの対応を行ってまいります。

 当社では、気候変動対応を含むサステナビリティ課題の識別、評価および管理につきましても、今後リスク管理委員会にて行うこととしております。

 

(2)人的資本

①人的資本経営に対する当社グループ見解

 当社グループは創業以来、人間力を最重要視した組織風土の醸成に努めており、経営理念から事業戦略まで、人にフォーカスをした経営を推進しております。また、2022年5月に公表した中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」においても、パーパスを『最高の「働き方」と最高の「働き手」を。』と定めており、人を尊重し可能性を最大限に引き出すことによる継続的な企業価値向上に努めております。

 なお、今後当社グループは人的資本に関する開示項目を拡充すると同時に、人的資本の重要性を再認識する機会と捉え、さらなる企業価値向上を目指します。また、人材戦略のモニタリングや多様な個性を発揮する環境整備等、人と組織を活性化させる経営についても継続して取り組んでまいります。

 

②人的資本経営に向けた取り組み概要

 人的資本経営を推進するために、人材育成の方針と一人ひとりが自律し挑戦しつづけられる環境整備の方針が、揺るぎない軸として必要不可欠であると考えております。

 加えて、当社グループの今後の方針としては、さらなる人間力向上と組織力強化に向け、改めて組織と人材の変革に注力するとともに、具体的な指標や実行施策を明示し、ステークホルダーの皆様との建設的な対話を通じた企業成長の実現を目指しております。

 

(a)多様性の確保を含む人材育成の方針について

「自ら考動し、多様な価値創出ができる人材の育成」

 当社グループは、管理社員の平均年齢が30.3歳と、業界水準と比較をしても若い傾向にあります。このような背景から、新卒入社社員を除いた研修では、業務遂行において基礎となる管理能力や問題解決能力を主として行ってまいりました。2022年5月より、新たに女性向けのキャリアアップ研修も取り入れるなど、女性が活躍できる風土を醸成しております。

 しかしながら現在、研修の種類が少なく多様な成長を促進できていない点と、研修受講者が管理職候補者のみに留まる点の2点が顕著化しており、社員育成においての重要課題であると認識しております。そのため今後につきましては、育成コンテンツの拡充とそれに伴う対象者の拡大を行う予定です。また、研修を行うことのみを目的とせず、能力開発とそのモニタリングを徹底する育成方針を定めております。

 

 

(人材育成方針の主な指標)

項目

詳細

現状

目標(2026年3月期)

育成コンテンツの拡充

社員に対して実施している研修の種類を拡充する

75種類 ※1

100種類

研修受講者数の増加

研修に参加した

社員の人数を増加させる

受講割合:42.2%

 ※2

受講割合:60%

研修受講者の

理解度と満足度の向上

研修後の理解度と満足度の調査を行う(予定)

理解度:80%

満足度:80%

※1 入社時、復職時を含む

※2 2023年3月期に在籍していた社員のうち、研修を受講した社員数の割合

 

(b)社内環境整備の方針について

「社員一人ひとりが志を持ち、イキイキと働ける環境の整備」

 当社グループでは、社員一人ひとりが心身ともに健康で、やりがいを感じながら仕事に取り組むことが重要であると考えております。そのため、健康経営をはじめとした社員の健康増進に加え、「労働環境」と「やりがい」に着目した人材戦略のもと、働きやすい社内環境づくりに取り組んでいます。

 今後は、DXの推進や残業時間の削減等を通して、さらなる労働環境の改善を推進するとともに、従業員エンゲージメントの向上や社内制度の改定にも注力をし、働きやすさとやりがいを追求した組織づくりに努めてまいります。

 

(社内環境整備の主な指標)

項目

詳細

現状

目標(2026年3月期)

ワークライフバランスの推進

残業時間の削減

月平均残業時間:

20.5h ※3

月平均残業時間:

17.5h

エンゲージメント向上

エンゲージメント指数

を定め、向上させる

(予定)※4

60%

(肯定的回答率)

※3 2023年3月期実績

※4 働きがいに関する項目を測定する予定

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営環境について

①建設業界への依存について

当社グループは、主要顧客が属する建設業界を中心とした人材派遣・紹介事業を行っており、当社グループの業績は官需・民需を問わず国内の建設投資動向に影響を受けます。当連結会計年度においては、国土強靭化計画等を背景とする関連予算の執行により、公共投資が底堅く推移したほか、民間建設投資はアフターコロナを見据えた設備投資意欲の向上により、業界全体としては前期を上回りましたが、今後、景気変動や経済情勢の悪化に伴い公共事業の大幅な削減や民間工事の落ち込み等により建設投資動向が著しく変動した場合、或いは何らかの影響により建設業界における人材派遣業に対する需要に構造的な変化をもたらされた場合には、受注等に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは「事業ポートフォリオの最適化」を掲げており、日本の建設業界の「ベストパートナー企業」として更なる市場シェア拡大に向けた成長投資を行いながら、付加価値の高いエンジニアに特化した人材サービス領域において、建設業界以外の新たな分野への展開としてプラント業界向けの人材派遣・紹介や子会社を通じた機械設計開発技術者派遣や上場企業を含むクライアント企業へのシステムエンジニアリングサービスの提供など、建設業界における豊富な経験を糧に、第二の主力事業・収益源の育成に向けて、市場成長性の高い事業への投資を推進するとともに、特定の企業や地域への派遣が集中しないようリスク分散を図り、ポートフォリオを構築することとしております。しかしながら、かかるリスクは当社グループのリスク管理施策によって完全に排除できる性格のものではないことから、市場の急変等の場合においては、その時期・規模に応じた影響度をもってリスクが顕在化する可能性があると認識しております。

 

②新型コロナウイルス感染症の影響について

2022年の新型コロナウイルス感染症対応は、オミクロン株という極めて感染力の強い変異株による、感染者の急激な増加、入院患者数の増加、自宅療養者数の増加といった、これまでに経験のない大きな規模での流行(第6波から第8波)に翻弄された1年であった一方、感染対策による行動制限が緩和されたことで、経済活動の正常化が進み、ウィズコロナの下で景気の持ち直しが見られた1年でもありました。

そのような環境の中、当社グループは当社独自の感染予防対策を徹底し、従業員が安心して働ける環境を提供してきました。

2023年5月8日より、新型コロナウイルスは季節性インフルエンザと同じ5類感染症に位置付けられ、特措法による様々な要請も終了しますが、新型コロナウイルスの実態は、依然として何ら変わるものではありません。

再び新型コロナウイルスの感染拡大や変異株の流行等の影響が甚大になった際に取引先である建設会社等が、感染症予防のため工事現場の稼働を長期にわたり中断や建設工事が減少した場合、また、新型コロナウイルスの感染再拡大により経済活動の停滞が長期化し取引先等の経営状況が悪化する場合等は、受注等に影響を及ぼし、当社グループの事業展開に遅れが生じ、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があると認識しております。

 

③業界の競争の激化、競合について

当社グループが属する人材派遣・紹介事業の領域では、同業他社の営業の強化や、買収・合併等により規模拡大を目指す動きも見られます。当社グループにおきましても、既存顧客のシェア拡大、新規顧客の開拓、同業の買収・合併等により積極的な事業拡大を目指してまいりますが、競争の激化に加え、新型コロナウイルスの感染再拡大リスク、ウクライナ情勢等による建築資材価格高騰や世界食糧危機、金融資本市場の変動等供給面の制約により、想定どおり事業が進まない可能性や派遣料金に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、他社動向等を緊密にモニタリングすることで、かかる事象の顕在化リスクの早期把握に努めておりますが、かかるリスクは、当社グループ独自で軽減・排除できる性格のものではないことから、顕在化の時期・影響度について確定的な予測を行うことは困難であると認識しております。

 

 

(2)事業運営について

①人材の確保について

付加価値の高いエンジニアとなり得る人材の獲得は当社グループの成長の推進力であり、採用力等人材の確保は当社グループの強みであります。付加価値の高いエンジニアを確保するために建設業界、機械設計エンジニア、ITエンジニアの経験者だけでなく未経験者もターゲットとして有料媒体で積極的に募集を行っております。

近年、国内における施工管理技術者及び機械設計エンジニアやITエンジニア等の需要は逼迫しており、経験者を中心とした労働需給はタイト化していますが、当社グループは、取引先からの月間の取得案件数が3,000件を超える等旺盛な人材需要に対して採用コストを積極投入しており、採用戦略の更なる強化を図っております。

しかしながら、今後の技術者採用市場の動向によっては、人材の確保に難航するおそれや採用コストが増加する可能性もあり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、技術者採用市場の動向を緊密にモニタリングすることで、かかる事象の顕在化リスクの早期把握に努めておりますが、かかるリスクは当社グループのリスク管理施策によって完全に排除できる性格のものではないことから、市場の急変等の場合においては、その時期・規模に応じた影響度をもってリスクが顕在化する可能性があると認識しております。

 

②海外展開について

当社グループでは今後、技術者派遣・紹介の領域で海外事業を展開する方針であります。東南アジアの教育機関と提携し、人材不足に悩む建設・機械設計・IT領域の日本企業への派遣及び現地日系企業への派遣等の展開を予定しております。展開においてはビジネスリスクを最小限にすべく対策を講じたうえで進めてまいりますが、展開先の政治・経済の情勢変化や法規制変更及び為替リスク等の影響により、事業展開に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、2020年4月にシンガポールに現地法人を、2021年4月にベトナムに現地法人を、それぞれ設立しており、今後はASEAN(東南アジア)における人材育成及び人材派遣・紹介事業の実現に向け、現地での事業構築を積極的に進めることとしておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響、不利な政治的要因の発生、テロや紛争等の勃発、予期せぬ法律や規制の変更などの影響によって、事業展開の推進に遅れが生じる可能性があります。

 

③代表者への依存について

当社グループの創業者であり代表取締役社長である清川甲介は、当社の株式を直接、又は資産管理会社を通じて間接的に所有する、創業以来の最高経営責任者であります。同氏は、当社グループの主要顧客先である建設業界向けの人材派遣・紹介事業に関する豊富な経験と知識を有しており、経営方針や事業戦略の決定、遂行において極めて重要な役割を果たしております。

当社グループでは、取締役会や中期経営計画会議等における役員及び幹部社員の情報共有や経営組織の強化を図り、同氏に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、経営方針や事業戦略の決定、遂行に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、取締役会をはじめとした特定の人物に依存しないガバナンス体制に基づく事業運営を行っており、また、最高経営責任者の後継者についても、経営状況や対処すべき課題に応じて最適な後継者を選定できるよう、指名・報酬委員会にて審議検討を予定している事等、現状体制に特記すべき問題は認めていないことから、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

④買収・合併、業務提携、新規事業等について

当社グループは今後、人材ビジネス事業及びその周辺事業等の事業拡大や新規事業分野の開拓のため、買収・合併、新会社設立、業務提携等を進めていく方針であります。これらの施策については十分な事前調査及び検討を実施してまいりますが、当該事業が当初想定した収益計画と大きく乖離した場合には、のれんの減損損失等の発生により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)労務リスクについて

①就業環境について

当社グループでは2,954人の派遣技術社員を雇用しております(2023年3月期)。また毎年多数の派遣技術社員を採用していることから、採用時の人物評価及びスキル・保有資格確認等による人材品質確保、コンプライアンスを重視した労務管理を含む派遣技術社員の管理の充実、教育研修体制の強化、従業員満足度向上等の取組みを実践しております。

しかしながら、労働安全衛生や雇用関係等に関して派遣技術社員との間で紛争が発生し、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループが派遣する派遣技術社員が派遣先で業務中又は通勤途上において負傷・疾病・障害・死亡となった場合は、使用者である当社グループに災害補償義務が課せられます。これらの労災事故に関しても当社グループは、派遣技術社員からの定期的なヒアリングにより、派遣先の就業環境におけるリスクの未然防止に努めておりますが、当該事象が発生した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、派遣技術社員の紛争・労災事故を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

②長時間労働・過重労働について

当社グループは労働環境の改善、適正な労働時間の管理や時間外労働の抑制等に継続的に取り組んでおりますが、長時間労働・過重労働に起因する休職、人材の流出、重大な事故等が発生し当社グループの信用に著しい低下がみられた場合、当社グループの事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、2024年3月までは時間外労働の上限規制の適用が猶予・除外されていますが、2024年4月以降は猶予・除外がなくなり上限規制が適用されるため、時間外労働や休日に係る規制が強化された場合、事業活動に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態にも影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、長時間労働削減プロジェクトの推進や、社員へのIT端末貸与による勤務状況の把握などの内部管理体制を整備することにより、長時間労働・過重労働に起因する休職、人材の流出、重大な事故等を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

③労働基準法・労働安全衛生法その他関係法令

昨今の労働行政の動きでは、長時間労働に対する指導・監督の強化が行われており、企業側に従業員へのきめ細やかな労務管理と安全配慮を求めるものとなっております。派遣元である当社は、派遣先に対して、当社グループの36協定の範囲を超えて時間外労働を当社グループ派遣技術社員が行うことがないよう、各派遣技術社員の時間外労働時間の累計に応じ、段階的に派遣先に対し改善を要請する通知を提示するなど、適時必要と考える措置を講じるよう努めております。しかしながら、派遣元である当社グループの労務管理と安全配慮の取り組みが派遣先にて十分に反映されない場合、事業活動、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、派遣元である当社グループの労務管理と安全配慮の取り組みが派遣先にて十分に反映されない事象を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

また、今後の規制強化及び労働基準法をはじめとする法適応の動向によっては、契約の解除による売上減少や労働問題の発生、有給休暇取得の義務化などに伴うコストの増加、2024年4月以降の建設業界における時間外労働の上限規制の適用等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、労働基準法をはじめとする法的規制の変更等の外部要因に起因するリスクについては、関連法令の改正等の動向をモニタリングすることにより顕在化のリスクを早期に把握し体制の整備を行う方針でありますが、かかる外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社グループが制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積ることは困難であると認識しております。

 

(4)機密情報、個人情報等の管理について

当社グループの派遣技術社員は、業務上、顧客の機密情報を知り得る可能性があります。また、派遣事業の遂行にあたり、派遣技術社員の氏名・住所・電話番号等の個人情報を取り扱っております。そのため、情報セキュリティに関する各種規程を整備・運用し、プライバシーマークの取得や役職員への教育研修等を通じて、情報及び情報機器の適正な取扱いを徹底させております。

当社グループでは、ネットワークセキュリティ等を強化することで、当社グループ情報システムのデータ損失や漏洩への対策を進めております。

以上のような対策にも関わらず、当社グループが保有する機密情報や個人情報が外部流出した場合、当社グループへの損害賠償請求等により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループ情報システムにおけるデータ損失や漏洩により、当社グループの事業運営に支障が生じる可能性があります。

当社グループは、個人情報管理体制の適切な運用に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

 

(5)訴訟について

当社グループでは、従業員に対して必要に応じた教育機会を設けるなどして法令遵守を徹底し、取引先等との関係においても訴訟リスクを低減するよう努めておりますが、不測の事態により当社グループに関連する訴訟、紛争が発生した場合において、訴訟や損害賠償等による費用等の発生や社会的な信用低下により、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、訴訟、紛争を惹起することのない事業運営に努めておりますが、かかる外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社グループが制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積もることは困難であると認識しております。

 

(6)自然災害・事故等について

当社グループは、全国に営業拠点を有しており、地震、津波、台風などの自然災害が発生した場合に対して迅速かつ的確な対応をしてまいりますが、想定外の大規模災害が起きた場合、一定の事業運営が困難になる可能性があります。また人材ビジネスの事業性質上、多数の技術者及び顧客基盤を有していることから、派遣技術社員の安否確認や契約内容の調整など、多大な業務負荷を要することが想定されるため、当社グループの事業運営に影響を与えるとともに、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクの低減に努めておりますが、かかるリスクは当社グループ独自のリスク管理施策のみをもって軽減・回避出来るものではなく、リスクが顕在化した場合には、その頻度・規模等に応じた影響を被る可能性がありますが、その影響度について確定的な見積りを行うことは困難であると認識しております。

 

(7)許認可及び法規制について

当社グループは、労働者派遣事業者及び有料職業紹介事業者として、厚生労働大臣の許可等を受け事業を行っております。本書提出日現在における当社グループの許可・届出状況については下記のとおりであります。

取得・登録者名

許可名称及び

所管官庁

許可番号

取得年月

有効期限

株式会社コプロ・エンジニアード

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派23-301486

2015年5月

2028年4月30日

株式会社コプロ・エンジニアード

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

23-ユ-301317

2015年5月

2028年4月30日

株式会社アトモス

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派23-301816

2017年3月

2025年2月28日

株式会社アトモス

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

23-ユ-300624

2008年9月

2026年8月31日

バリューアークコンサルティング株式会社

労働者派遣事業許可

厚生労働省

派13-302218

2006年11月

2024年10月31日

バリューアークコンサルティング株式会社

有料職業紹介事業許可

厚生労働省

13-ユ-301751

2007年1月

2024年12月31日

上記の許可・届出について、事業停止、許可取消及び事業廃止となる事由は労働者派遣法第14条並びに職業安定法第32条に定められております。当社グループは、法令違反等の未然防止に取り組んでおり、本書提出日現在、当該許可等の取消し、又は事業の停止等となる事由は発生しておりません。しかしながら、派遣先の指示により労働者派遣法で禁止されている適用除外業務にあたる建設業務を行う等、何らかの要因で当該事業許可等の取消し、又は事業の停止等を命じられるようなことがあれば、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法令遵守を徹底するとともに、内部管理体制を整備することにより、事業停止、許可取消及び事業廃止となる事由を惹起することのない事業運営に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性は低いものと認識しております。

一方で、当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、技術者の高齢化及び若手不足の構造的な問題は依然として続いており、 派遣技術社員の無期雇用への転換の増加及び当社グループの顧客による派遣契約の縮小や、直接雇用契約への切り替えの増加などが、当社グループの対応を上回る速度で推移した場合、受注等に影響を及ぼす可能性があります。その結果、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

また、2020年4月1日に施行された改正労働者派遣法は、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)と派遣労働者との不合理な待遇差を解消すること等を目的とし、(ⅰ)派遣先均等・均衡方式、あるいは、(ⅱ)派遣元労使協定方式のいずれかの方式を選択することとなっており、当社グループは「派遣元労使協定方式」を選択しております。

本改正への対応は、我が国が目指す「派遣労働者の同一労働同一賃金」の方針に基づいており、当社グループは、この改正に対応するとともに、取引先に対して適切なチャージアップ(派遣技術社員一人当たりの契約単価の向上)の交渉を推進し、利益の確保・積み上げを図ってまいりますが、当社グループの対応を上回る速度でコストが増加した場合には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、法的規制の変更等の外部要因に起因するリスクについては、関連法令の改正等の動向をモニタリングすることにより顕在化のリスクを早期に把握し体制の整備を行う方針でありますが、かかる外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社グループが制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積ることは困難であると認識しております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染対策による行動制限が緩和されたことで経済活動の正常化が進み、ウィズコロナの下で景気の持ち直しが見られました。

このような経済環境の中、当社グループの主要顧客が属する建設業界においては、国土強靭化計画等を背景とする関連予算の執行により、公共投資が底堅く推移したほか、民間建設投資はアフターコロナを見据えた設備投資意欲の向上により、製造業を中心に増加し、全体としては前期を上回りました。当社グループにおいても、建設業界が抱える技術者の高齢化及び若手不足の構造的な問題は依然として続いており、技術者派遣事業の足もとの受注状況は前期を大きく上回る水準で推移しています。加えて、新型コロナウイルス感染症の影響も軽微であることから、外部環境は堅調に推移しております。

このような事業環境のもと、当社グループは2022年5月に公表した中期経営計画「コプロ・グループ Build the Future 2027」の実現に向け、中長期の成長を見据えた取組みを推進しております。

当社グループのコアサービスである建設技術者派遣を展開する株式会社コプロ・エンジニアードでは、取引先からの月間の取得案件数が3,000件を超える等旺盛な人財需要に対して、事業成長の礎である技術者を確保することを優先課題に掲げ、採用活動の強化、並びに定着率の改善に係わる取組みを推進いたしました。採用面においては、先行投資として採用コストを積極投入し、有料媒体や自社求人サイト「現キャリ」を通した求人を拡大いたしました。加えて、入口となる面接数の拡大を始めとした採用活動量の底上げに取り組んだ結果、当連結会計年度における採用人数は1,472人と過去最高を記録し、前期比638人の増加となりました。また、技術社員が安心して長く働ける環境を提供するために、工事案件を豊富に有し、高い契約継続率が見込めるターゲット企業への深耕営業に継続して注力したほか、条件を満たした有期雇用技術社員を対象に無期雇用への転換を進めたことにより、退職人数が抑制され、定着率は74.4%(前期比5.0pt増)と改善いたしました。更には、高砂熱学工業株式会社の連結子会社であるヒューコス株式会社の労働者派遣事業を2022年4月1日付で吸収分割により承継したことにより、大手サブコンで経験を培った高スキルの技術者122人が移籍いたしました。これらの取組みにより、当連結会計年度末における技術者数は2,777人(前連結会計年度末1,995人)となりました。また、2022年11月14日付で建設業向けDXを手がけるスパイダープラス株式会社と業務提携契約を締結いたしました。人財の付加価値向上を目的に、同社が提供する建設DXサービス「SPIDERPLUS」に関する研修を技術者に対して行い、建設現場のDX化に対応できる即戦力人財の育成に取り組んでおります。

機械設計開発技術者派遣・請負サービスを展開する株式会社アトモスにおいては、首都圏の需要取り込みを目的に東京支店を開設したほか、採用面では大手メーカー出身のエキスパート人財に加え、未経験者の採用も強化いたしました。これらの結果、当連結会計年度末における技術者数は159人(前連結会計年度末116人)となりました。

SESを展開するバリューアークコンサルティング株式会社においては、2021年10月のM&Aによるグループイン以降、営業体制を順次強化していることも奏功し、事業年度末の季節性要因により2022年4月の稼働人数は一時的に減少したものの、5月以降は増加傾向に転じ、当連結会計年度末における稼働技術者数は100人(前連結会計年度末90人)となりました。また、2023年3月には、登録者 8,000 人以上の国内最大級ITエンジニア向け案件紹介サイト「ハッピーエンジニア」を全面リニューアルし、新たに「ベスキャリIT」としてオープンいたしました。ユーザーインターフェース等の使い勝手を改良したほか、イメージキャラクターとしてお笑いコンビの宮下草薙のお二人を起用し、ブランディングの強化を図っております。

2021年4月にベトナム社会主義共和国に設立した海外事業子会社COPRO VIETNAM CO., LTD.においては、人材難に悩む日系企業と日本での就業を希望するベトナム人学生をつなぐことを目的に、現地の理工系国立大であるハノイ工業大学と2022年5月に提携いたしました。また、7月からは学生の募集及び日本語教育等の無償提供を順次開始いたしております。引き続き、サービス展開の基盤固めを行ってまいります。

これらの結果、当連結会計年度の業績につきましては、建設技術者派遣の株式会社コプロ・エンジニアードの技術者数が増加したことに加え、株式会社アトモス、バリューアークコンサルティング株式会社においても技術者数が伸長し、当連結会計年度末の連結技術者数が3,036人(前連結会計年度末2,201人)と増加したため、売上高が18,791,365千円(前期比20.5%増)となりました。利益面につきましては、売上高の増加に伴い売上総利益が増加した一方、積極的な先行投資による採用費の増加、事業拡大に必要な営業部門の増強による人件費の増加、連結子会社の増加に伴う販売費及び一般管理費の増加等により、営業利益は1,321,738千円(同18.5%減)、経常利益は1,324,251千円(同18.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、864,595千円(同10.2%減)となりました。

なお、当社グループは技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。

 

②財政状態の状況

(資産の部)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,153,920千円増加し、9,995,239千円となりました。これは流動資産が1,003,508千円増加、固定資産が150,411千円増加したことによるものであります。

流動資産の増加は主に、現金及び預金が348,342千円増加、売掛金が673,052千円増加したことによるものであります。

固定資産の増加は主に、連結子会社の支店移転等に伴い有形固定資産が176,365千円増加、のれんの償却等により無形固定資産が11,233千円減少、投資その他の資産が14,719千円減少したことによるものであります。

 

(負債の部)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ616,913千円増加し、2,883,068千円となりました。これは、流動負債が551,446千円増加、固定負債が65,467千円増加したことによるものであります。

流動負債の増加は主に、未払法人税等が156,794千円減少した一方で、未払金が399,630千円増加、未払消費税等が249,713千円増加したことによるものであります。

固定負債の増加は主に、資産除去債務(固定負債)が48,991千円増加したことによるものであります。

 

(純資産の部)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ537,007千円増加し、7,112,171千円となりました。

これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益を864,595千円計上したことにより、利益剰余金が493,154千円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,369,815千円となり、前連結会計年度末に比べ348,777千円増加いたしました。

各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得た資金は1,011,233千円(前期は824,767千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益1,319,019千円、売上債権の増加額673,052千円及び法人税等の支払額516,153千円によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は291,898千円(同1,264,136千円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出217,084千円及び無形固定資産の取得による支出71,448千円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は372,185千円(同825,027千円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額371,877千円によるものです。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは、技術者派遣事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しておりますが、派遣先の業種別に示すと次のとおりであります。

 

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。

サービス

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

派遣

建築・プラント

17,473,235

118.4

機械設計開発

511,800

237.0

紹介

建設・プラント

76,959

109.9

請負

機械設計開発

509,404

114.0

SES

219,965

231.5

合計

18,791,365

120.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の財政状態に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

当社グループの当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、18,791,365千円(前期比20.5%増)となりました。

建設技術者派遣の株式会社コプロ・エンジニアードの技術者数が増加したことに加え、株式会社アトモス、バリューアークコンサルティング株式会社においても技術者数が伸長し、当連結会計年度末の連結技術者数が3,036人(前連結会計年度末2,201人)と増加したため、売上高が伸長いたしました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、13,216,160千円(同23.0%増)となりました。売上高の増加に伴う増加であります。この結果、売上総利益は5,575,205千円(同15.1%増)となりました。また、売上総利益率は29.7%となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、4,253,467千円(同32.0%増)となりました。これは積極的な先行投資による採用費の増加、事業拡大に必要な営業部門の増強による人件費の増加によるものであります。この結果、営業利益は1,321,738千円(同18.5%減)となりました。

 

(営業外収益、営業外費用及び経常利益)

営業外収益は4,094千円(同196.6%増)、営業外費用は不動産賃貸費用966千円の計上等により1,580千円(同48.5%減)となり、この結果、経常利益は1,324,251千円(同18.2%減)となりました。

 

(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)

特別利益として固定資産売却益227千円、特別損失として固定資産除却損5,459千円を計上した結果、税金等調整前当期純利益は1,319,019千円(同15.2%減)となりました。

また、法人税、住民税及び事業税が108,390千円減少した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は864,595千円(同10.2%減)となりました。

 

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境に由来するリスク、事業内容に由来するリスク等様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。これらの経営成績に重要な影響を与えるリスクに対応するため、組織体制の更なる強化等を行ってまいります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの資金需要の主なものは、事業規模拡大に伴い必要となる運転資金、及び当社グループが将来に向けた更なる付加価値向上を図るための設備投資であります。これらの資金需要は手許資金で賄うことを基本としております。余裕資金の運用は定期預金を中心とした安全で流動性の高い金融資産であり、流動性を確保しております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、現在の経営環境及び予測や取得可能な情報に基づき、企業価値を最大限に向上させるよう経営戦略の見直し及び再検討を随時行っております。

また、関連法規制の遵守は経営上最も重要な課題と位置付けており、法令遵守に対する一層の意識向上と体制強化を図るため、社内教育や継続的な施策を実施し、社会的信用をより一層得ることに努めてまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。