第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)が判断したものです。

 

当社グループは、2021年5月に中期経営ビジョン「STEP」の進捗報告を行い「STEP2.0」として公表しました。これを機に、従来、複数存在していた企業指針を整理し、以下のとおり改定しました。事業環境が大きく変化する中、ありたい姿「笑顔をつくる会社」に向けて、私たちがお客様に提供する価値である「安心と愉しさ」と経営理念である“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指し、SUBARUを自動車と航空宇宙事業における魅力あるグローバルブランドとして持続的に成長させ、中長期的な企業価値の向上を図っていきます。

 

(1) ありたい姿、提供価値、経営理念

<ありたい姿>  笑顔をつくる会社
 <提供価値>   安心と愉しさ
 <経営理念>  “お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指す

 

(2) 基本方針

<品質方針>

 私たちは何より品質を大切にしてお客様の信頼に応えます

 1.お客様に安心して長くお使いいただける商品をお届けします

 2.お客様の声に常に耳を傾け、商品とサービスに活かします

 3.法令・社会規範・社内規則を遵守し、お客様に信頼される仕事をします

 

<SUBARUグローバルサステナビリティ方針>

 私たちSUBARUグループ*は、人・社会・環境の調和を目指し、
 1.事業を通じて、地球環境の保護を含む様々な社会課題の解決と、持続可能な社会の実現に貢献します。
 2.高品質と個性を大切にし、先進の技術で、SUBARUならではの価値を提供し続け、SUBARUグループに関わるすべての人々の人生を豊かにしていきます。

 3.国際社会における良き企業市民として、人権および多様な価値観・個性を尊重し、すべてのステークホルダーに誠実に向き合います。

 4.従業員一人ひとりが、安全に安心して働くことができ、かつ働きがいを感じられるよう職場環境を向上させます。
 5.国際ルールや各国・地域の法令を遵守するとともに、その文化・慣習等を尊重し、公正で透明な企業統治を行います。
 6.ステークホルダーとの対話を経営に活かすとともに、適時かつ適切に企業情報を開示します。

 

 *:SUBARUグループ:株式会社SUBARUおよびすべての子会社

 

(3) 中期経営ビジョン「STEP」

自動車業界が大変革期にあるなか、変化を見極めスピード感をもって対応していくことが必要です。当社グループは「安心と愉しさ」の提供を通じてお客様から共感され信頼していただける存在となることを目指し、2018年7月に中期経営ビジョン「STEP」を公表し、2025年ビジョンとして次の3つの項目を掲げています。

 

<2025年ビジョン>

 1.個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる
 2.お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する
 3.多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす

 


 

2025年ビジョンの実現に向けて「組織風土改革」「品質改革」「SUBARUづくりの刷新」を重点取り組みとして活動を進めてまいりました。2018年の発表から約5年が経過いたしましたが、これらの重点取り組みは、着実に進捗しています。

「組織風土改革」については、「個の成長」に焦点を当てた活動を推進し、従業員一人ひとりが成長や働きがいを実感できるよう、エンゲージメントを高めるフェーズへ移行しています。
 「品質改革」では、品質の高さをSUBARUブランドの大事な根幹、付加価値の源泉であると位置づけています。新技術への対応を含め、その取り組み結果を実績で示すフェーズとして改革を進めています。

「SUBARUづくりの刷新」については、事業環境の変化に対応していくために「SUBARUらしさの進化」に改め、取り組みを加速させています。2020年1月の技術ミーティングにおいて発表した「死亡交通事故ゼロ※1」と「脱炭素社会への貢献」に向け、「安心と愉しさ」を支える技術をより一層進化させます。さらに、当社の強みであるAWD(全輪駆動)の制御ノウハウをモーター制御にも活用する等、電動化の時代においても「SUBARUらしさ」を強化していきます。

これらの取り組みを通じて「個性を磨き上げお客様にとってDifferentな存在になる」ことを目指し、SUBARUとお客様との深い関係をさらに深化させてまいります。

このお客様との深い関係性は、SUBARUブランドの財産であり、失われないようにしていかなければなりません。

お客様の生活に寄り添い、お客様とともに「愉しく持続可能な社会の実現」に向けて取り組んでまいります。そして、人、社会、地球までをも笑顔にしたい、そのようなSUBARUでありたいとの想いから、「笑顔をつくる会社」をありたい姿としています。

※1:SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突による歩行者・自転車等の死亡事故をゼロに

 

(4) 対処すべき課題

 ① 事業継続計画(BCP)への対応
 自動車事業においては、2020年後半から顕在化した世界的な半導体不足の影響を受け、当社グループでも工場の操業を停止する等の生産調整を余儀なくされました。現時点では、サプライチェーンマネジメントの体制強化、代替品への切り替え促進、商品の仕様の見直しや車種および工場間における部品の振り替え等の全社にまたがった活動により、生産台数も回復傾向にあります。しかしながら、半導体を含むお取引先様から調達している部品の一部において、いまだ供給リスクが残存しているものもあり、重大な経営リスクとして捉えています。引き続き、調達および製造部門を中心とした全社一丸の取り組みを強力に進め、1台でも多く、1日でも早くお客様へ商品を提供することを目指してまいります。

また、鋼材等の原材料価格や製造にかかるエネルギー価格の高騰による収益性の悪化についても課題と捉えており、収益確保に向けた取り組みを遅滞なく進めていきます。

ロシア・ウクライナ情勢に関する当社グループへの影響については、当該地域での現地生産を行っておらず、販売規模も極めて小さいことから現時点では限定的と見込んでいます。その他の地政学的リスク等も含め、引き続き状況を注視してまいります。

そのほか、近年世界的に増加しているサイバー攻撃はサプライチェーン全体の脅威となっており、部品供給の停止や工場の操業停止に発展するリスクを有するほか、販売店を含む当社グループが保有する個人情報の漏洩リスクも抱えています。当社グループのみならずお取引先様を含めたサイバーセキュリティ対策の底上げを図っています。

航空宇宙事業においては、原材料価格高騰による収益性の悪化やサプライチェーンにおける供給課題等のリスクに対し、組織改編を含め、ロジスティクス機能やサプライチェーンマネジメントの強化を進めています。

 

② 中期経営ビジョン「STEP」の推進
 当社は、2018年7月に発表した中期経営ビジョン「STEP」の進捗報告を2021年5月に行いました。重点取り組みとした「組織風土改革」「品質改革」「SUBARUらしさの進化」のこれまでの実績と今後の取り組みの方向性は以下のとおりです。

 

(組織風土改革)

2022年度も「意識を変え、行動を変え、会社を変える」を継続して合言葉に掲げ、全社で活動を推進してまいりました。具体的には、2021年度に引き続き「社長対話会」や異業種の他企業経営層リーダーを招いた当社マネジメント層との「社外対話会」を実施すること等により、マネジメント層の意識変革から全従業員への意識・行動改革へ波及させる取り組みを進めてまいりました。また、2022年度は新たに「Team-Window」という活動をスタートいたしました。これは各部門の代表として選ばれた一般従業員のメンバーが定期的に集合し、経営方針や他部門の情報等その時々の主要なトピックスについて説明を受け理解した後に、自らの職場に戻りメンバーそれぞれの言葉で情報を展開することで、会社の主要な情報の理解・浸透を図ることを目的としています。従来のマネジメントラインでの情報展開に加え、部門の代表として選ばれたメンバーが横のラインから解りやすく自部門内に情報共有を行うことで、より一層の情報理解の深化を図り、従業員一人ひとりの意識・行動の変革につなげています。

その他にも、ITツール等を活用した部門や職位を越えた全社横断的なコミュニケーションも自発的、継続的に行われており、組織の活性化の一助となっています。

加えて、「新人事制度」や「公募型ジョブローテーション」等の運用も継続して推進し、従業員が自らのキャリアビジョンを実現するためにチャレンジできる仕組みのさらなる浸透も図っています。

今後も「個の成長」をさらに強化し、仕事の成果や達成感を通じて従業員エンゲージメントを高め、「組織の成長」につなげてまいります。

 

(品質改革)

2018年より着手している品質改革は、以下の3つの切り口で活動を推進してまいりました。

1つ目は「品質最優先の意識の徹底と体制強化」です。実際に発生した不具合事例や再発防止策等を紹介する「品質キャラバン」を継続して実施する等、全社での品質意識を高める啓発活動や振り返り活動を継続的に行うことで、従業員一人ひとりの品質に対する意識のさらなる向上を図っています。

2つ目は、製品の量産における不具合の流出を防止する「つくりの品質の改革」です。これには市場で発生した不具合に対して、迅速な解決策を講じる取り組みも含まれています。2022年度はこれまでに引き続き品質改善チームの体制強化、「品証ラボ」設備拡充による不具合調査能力の向上、部品トレーサビリティの範囲拡大等、設備や体制の構築により改善スピードの向上を図ってまいりました。また、2022年8月からは、より厳格な完成検査を実施するための「新完成検査棟」が稼働いたしました。今後も生産ラインごとに順次稼働していく予定です。

3つ目は、初期の検討段階からお取引先様も含めた新型車開発上流からの「生まれの品質の改革」です。開発責任者の権限を強化し、開発の最上流から生産・物流まで一貫した品質確保に取り組んでまいりました。

これらの取り組みにより、市場処置の件数や台数、品質関連にかかる総費用は着実に減少しています。また、2023年には上記の3つの品質改革活動を織り込んだ新型「クロストレック」を市場に導入しました。当社グループは今後も品質改革の手を緩めることなくステップアップさせ、加速する電動化をはじめとした変化の時代においても、お客様が笑顔になっていただける品質の実現を追求し続けてまいります。

 

(SUBARUらしさの進化)

「2030年死亡交通事故ゼロを目指す」「個性と技術革新で脱炭素社会へ貢献していく」ことを実現するために、当社の提供価値である「安心と愉しさ」を支える技術を強化してまいります。

死亡交通事故ゼロに向けては2020年に市場導入した高度運転支援システム「アイサイトX」に続き、2022年にはアイサイトの認識能力を強化する「広角単眼カメラ」を北米市場向け「アウトバック」、国内市場向け新型「クロストレック」「インプレッサ」に採用し、予防安全機能を強化しました。当社は運転支援システムをさらに高度化させることにより事故を回避・軽減させ、自車起因の交通事故を減らします。また、他車起因による事故に対してもAACN※2等の技術を加えることにより、死亡交通事故ゼロへ向けた取り組みを強力に進めていきます。

脱炭素社会への貢献については、2022年5月に公表したとおり、今後のさらなる電動車の車種拡充と自社製BEV※3の生産に向け、国内生産体制の戦略的再編を実施し、2023年度より5年間で2,500億円の投資を予定しています。2025年付近に開始予定の矢島工場でのBEVの自社生産については、規制動向やマーケットの動きに合わせ、より柔軟に対応できる生産体制を構築することで、矢島工場のBEV生産キャパシティを当初計画の年間10万台から、2026年頃を目途に20万台へ引き上げられるよう準備を進めています。これにより2028年以降のBEV生産キャパシティは新規に立ち上げる大泉工場と合わせて40万台規模を見込みます。

また、2026年時点にグローバルで20万台のBEV販売を目指しています。2022年に市場導入した「SOLTERRA(ソルテラ)」に加え、今後新たに3車種のBEVをSUVカテゴリーに投入することで、当社が強みとしているSUVラインアップを充実させてまいります。

今後も環境規制や市場の動向を注視しつつBEV、ハイブリッド車、ガソリン車の生産比率を柔軟に変更できる生産体制を構築しながらも、先行きが見えてきた段階では、一気に拡張させることができるよう「柔軟性と拡張性」の考え方を軸に、引き続きお客様にご満足いただけるよう商品開発と生産体制の構築を進めてまいります。

※2:Advanced Automatic Collision Notification(先進事故自動通報システム)

※3:Battery Electric Vehicle(電気自動車)

 


 

今後の激しい変化に対応しつつ、将来にわたって市場競争力をもったSUBARUらしい商品を実現するべく、より全社最適な視座を有する開発体制への転換を図ってまいりました。2023年4月から、CTO※4およびCTO室を技術本部から独立させ、実務から適度に距離をおいた環境で、かつ、より経営に近い立場で技術戦略の構築を目指すとともに、将来技術に留まらず、製造・調達をはじめとするものづくり全般の戦略企画を行ってまいります。

※4:Chief Technology Officer

 

 

 ③ アライアンスの深化

自動車業界を取り巻くイノベーションは加速しており、いわゆる「CASE※5」領域での対応が求められています。

トヨタ自動車株式会社(以下「トヨタ」という)と電動化技術、コネクテッド領域、自動運転領域等の分野で協業を深化・拡大させることを通じて、変化へ柔軟に対応してまいります。

具体的な取り組みとして、両社の強みを持ち寄りつくり上げた「SOLTERRA」の市場導入を行ったほか、2025年にはトヨタハイブリッドシステムを採用した「次世代e-BOXER」を搭載する車両の生産を開始するべく着実に準備を進めています。

また、内燃機関の活用の選択肢を広げる挑戦として、カーボンニュートラル燃料を使用したレース車両で「スーパー耐久シリーズ」に2022年シーズンより参戦しています。トヨタと協調し、かつ、競いながら、「モータースポーツを基点としたもっといいクルマづくり」を進めるとともに、エンジニアの育成やカーボンニュートラル社会の実現を目指す活動に取り組んでいます。

 ※5:Connected(コネクテッド) Autonomous(自動運転) Shared(シェアリング) Electric(電動化)

 

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)が判断したものです。

 

当社グループは「“お客様第一”を基軸に『存在感と魅力ある企業』を目指す」という経営理念のもと、ありたい姿「笑顔をつくる会社」の実現に向け、CSR重点6領域の考え方を取り入れ、SUBARUグローバルサステナビリティ方針に基づいた取り組みを推進しています。従業員一人ひとりが成長の原動力となるべく、人材への投資を行うことで「個の成長」を「組織の成長」へとつなげていきます。そして提供価値である「安心と愉しさ」をさらに進化させ、お客様との関係を深めることで、SUBARUグループの持続的な成長と持続可能な社会の実現の両立を図っていきます。

 

価値創造プロセス図


 

(1)ガバナンス

当社グループのあらゆるCSRの取り組みを議論する場として、「サステナビリティ委員会」を設置し、年2回開催しています。サステナビリティ委員会は、委員長を代表取締役社長とし、全役員がメンバーとして加わり、事業を社会的側面から考察し、取り組みの強化を図っています。SUBARUグループとして、国内、海外各拠点と連携しながらグループが一体となってサステナビリティ実現に向けたCSRの取り組みを包括的に推進し、関係する委員会や部門のPDCAの状況をモニタリングしています。また、同委員会での議論内容は取締役会に付議・報告をしています。

 


 

(2)戦略

①サステナビリティに関する戦略

当社グループは、中期経営ビジョン「STEP」に合わせ、CSRの取り組みについては「CSR重点6領域」―「人を中心とした自動車文化」「共感・共生」「安心」「ダイバーシティ」「環境」「コンプライアンス」―を定めました。この「CSR重点6領域」は、「事業の強みを活かして社会に貢献する領域」と「社会の要請に応える領域」の2つの視点から評価・検討しました。その結果、事業の強みを活かして社会に貢献する領域として、「人を中心とした自動車文化」「共感・共生」「安心」「ダイバーシティ」の4つを、社会の要請に応える領域として、「安心」「ダイバーシティ」「環境」「コンプライアンス」の4つを選定しました。「安心」と「ダイバーシティ」が重複していますが、「安心」については、社会の要請とSUBARUグループの事業の強みが合致している領域であり、「ダイバーシティ」については、社会から求められるダイバーシティだけでなく、お客様に提供する商品のダイバーシティを含めた広義のものと捉えています。

 

②人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針および社内環境整備に関する方針

当社グループは、人材の多様性の確保がSUBARU独自の価値創造を実現し続けるための重要な要素と考えており、様々な個性や価値観を持つ従業員が個々の能力を十分に発揮できるよう、性別・国籍・文化・ライフスタイル等の多様性を尊重し、働きやすい職場環境の整備に努めています。また、国内・海外の関係会社においても、それぞれの事業内容や地域性を踏まえて取り組みます。

また、当社では従業員一人ひとりがSUBARUグループの持続的な成長と持続可能な社会の実現の両立を担う原動力となるべく、自律的に行動し変革をリードする人材の創出を目指すとともに、自身のキャリア形成を考え、チャレンジする風土づくりや多様な人材が活躍できる環境整備を進めています。新たな人事制度や教育プログラム、公募制ジョブローテーション等を導入し、従業員が自律的に学べる機会やチャレンジする機会を提供しています。

 

(3)リスク管理

当社グループは「人権尊重」「気候変動」等のサステナビリティ領域の課題を含む事業のリスクについて、影響度の大きな課題を優先的に対応し、日常業務としてリスクの抑制を図る活動を推進しています。リスク管理の詳細は「3 事業等のリスク」に記載しています。

 

 

(4)指標及び目標

当社グループは、「CSR重点6領域」の各領域において「2025年のありたい姿」を明確にし、さらにはそのKPIと目標値を定めることで取り組みを推進しています。

CSR重点6領域

2025年のありたい姿

主なKPIと目標※1

人を中心とした自動車文化

人の心や人生を豊かにする

パートナーとなる企業になる。

・お客様満足度調査の継続実施

(お客様評価結果の改善)

共感・共生

広く社会から信頼・共感され、

共生できる企業になる。

・お客様満足度調査の継続実施

(お客様評価結果の改善)

・IoTを活用したお客様との接点強化

(マイスバル、次期システム、テレマティクス)

安心

すべてのステークホルダーに

「最高の安心」を感じて

いただける企業になる。

・2030年に死亡交通事故ゼロ※2を目指す

・衝突時のエネルギー吸収量を1.4倍に向上

ダイバーシティ

すべての人々の多様な価値観を

尊重しつつ、多様な市場価値を

創出する事業を推進する。

・女性管理職の増加

(2025年までに2021年時点の2倍以上)

・障がい者法定雇用率の達成

・シニア人材の再雇用希望者100%

環境

企業活動を通じて

「大地と空と自然」が広がる

地球環境を大切に守っていく。

・直接排出するCO2を2030年度までに

2016年度比30%削減(総量ベース)

・2030年までに全世界販売台数の40%以上を

電気自動車(EV)+ハイブリッド車(HV)に

・2030年代前半には、生産・販売する

すべてのSUBARU車に電動技術を搭載

コンプライアンス

誠実に行動し、

社会から信頼され、

共感される企業になる。

・人権方針に基づく人権尊重の取り組み推進、

サプライチェーン全体への展開

・CSR調達活動の管理強化

・コンプライアンス研修・実務法務研修の実施

 

※1: 定量・定性ともに含む

※2: SUBARU乗車中の死亡事故およびSUBARUとの衝突による歩行者・自転車などの死亡事故をゼロに

 

(5)主な取り組み

①気候変動への対応

当社は気候変動を最も重要な課題の一つと認識しており、2050年カーボンニュートラルを目指した「長期目標」およびそのマイルストーンとして「中期目標」を策定し、目標達成に向けて取り組んでいます。

カテゴリー

時期

目標

商品
(スコープ3)

2050年

Well-to-Wheelで新車平均(走行時)のCO2排出量を、

2010年比で90%以上削減

2030年代前半

生産・販売するすべてのSUBARU車に電動技術を搭載

2030年まで

全世界販売台数の40%以上を、

電気自動車(EV)+ハイブリッド車(HV)にする

工場・オフィス
(スコープ1、2)

2050年度

カーボンニュートラルを目指す

2030年度

CO2排出量を、2016年度比30%削減(総量ベース)

 

2021年度の実績は、電動車の全世界販売台数の割合が4.9%、スコープ1,2の排出量が470,701t-CO2(2016年度比23%削減)であり、2022年度の実績は今期の統合レポートおよび当社ウェブサイトにて開示予定です。

サステナビリティ委員会の下部組織である環境委員会では、将来の社会が要求する環境水準と合致する大局的かつ中長期的な方策を議論するとともにその進捗を評価しています。この環境管理体制には気候変動に関する課題についても組み込まれ、重要な問題はサステナビリティ委員会を経て、取締役会に報告されます。

また、事業活動のライフサイクル全体で排出されるCO2の削減を通じて脱炭素社会の実現に貢献すべく、2021年度より「製品使用」「素材部品」「輸送」「廃棄」「製造」の5つの領域での担当部署を定め、ライフサイクル全体でのCO2削減を目的とした組織横断的な会議体を運営しています。この取り組みは、環境委員会にてカーボンニュートラルのための取り組みとして全体統括されています。

気候変動に関する情報開示について、当社は2023年4月にTCFDの提言に賛同しました。TCFDの推奨開示項目に関しては、TCFD対照表(https://www.subaru.co.jp/csr/tcfd/)をご参照ください。

なお、当社の気候変動に関するリスクマネジメントについては、「2.事業等のリスク (15)気候変動」をご参照ください。

 

②中核人材の多様性の確保

当社では2015年1月にダイバーシティ推進室を設置し、女性従業員、中途採用従業員、外国籍従業員等、あらゆる多様な人材がそれぞれ活躍できるよう、働きやすい職場環境の整備や適材適所の人材配置および人材育成に努めています。

 

<女性活躍>

当社では、従来「仕事と育児の両立支援」を重要な取り組みとして位置付けており、育児休業や短時間勤務等の各種制度は、法律を上回る基準で運用しています。また女性管理職育成においては、「キャリア形成支援」を軸に、「2025年までに女性管理職数を2021年時点の2倍以上」とする目標を掲げて取り組んでおり、2022年度末の管理職者数は1,084名、うち女性は27名となりました。具体的な取り組みとしては、管理職を目指す女性従業員を対象に、一人ひとりに向き合い、本人に合った育成・教育を個人単位で行う「Women’s Leadership Program(WLP)」の推進や、自分らしいキャリアを描くための各種研修の開催、さらに2022年度は新たに女性管理職のさらなる活躍を目的とした女性役員との対話会「役員フォーラム」を実施いたしました。また、主に上司を対象とした「アンコンシャスバイアス研修」等を通じて、女性の活躍を促進する風土づくりや職場環境の構築にも取り組んでいます。

 

<外国籍従業員>

当社グループでは、国籍を問わず各拠点の方針や事業に適した人材を採用しており、2022年度末において当社には外国籍従業員が88名在籍しています。このうち管理職は3名おり、製造部門および技術部門で活躍しています。今後も個人の能力や資質を踏まえた外国籍採用を行い、分け隔てない登用や人材配置を行ってまいります。

 

<中途採用従業員>

当社では、環境変化に対応し持続的な成長を図るために、近年、中途採用を積極的に進めています。2022年度末の正規従業員における中途採用従業員数は4,171名、このうち管理職は175名います。また、2020年12月には、IT企業の集積地である渋谷にAI開発拠点「SUBARU Lab(スバルラボ)」を開設し、AI開発に必要な人材のスムーズかつ的確な採用につなげる取り組み等も進めています。引き続き中途採用の推進によって、新たな知見や価値観を取り入れ、企業価値の向上につなげてまいります。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループでは緊急事態発生時の対応だけでなく、日々の企業活動において重大な影響を及ぼす様々なリスクに対し、リスク発生時のダメージを最小化するためのリスクマネジメントの実践を経営の最重要課題の一つとして推進しています。
 自動車業界は100年に一度の大変革期を迎えており、グローバルに事業を展開する当社グループは、世界情勢の変化に素早く対応し、経営の持続性の確保と経営基盤の強靱化を図りつつ、人的、社会的および経済的損失の最小化にこれまで以上に取り組んでいく必要があります。このような環境の中で事業活動を行っていくうえで、グループ全体での戦略的なリスクマネジメントの推進が不可欠であり、当社グループをリスクに強い体質にし、企業価値の向上を図ることが重要であると考えています。

 

当社グループのリスクマネジメント体制

当社は、グループのリスク顕在化と拡大を防止するため、取締役会が選任したCRMO(最高リスク管理責任者)が、リスクマネジメント・コンプライアンス活動を統括し、活動状況等を取締役会に報告しています。
 具体的な推進体制として、各部門に本部長クラスのリスク管理責任者を置き、CRMOを委員長、リスクマネジメント・コンプライアンス室および法務部からなるリスクマネジメントグループを業務執行責任範囲とする執行役員を副委員長とする「リスクマネジメント・コンプライアンス委員会」(以下「リスコン委員会」という)において、重要事項の審議・協議、決定および情報交換・連絡を行っています。
 CRMOは、リスクマネジメント・コンプライアンス室や法務部等のコーポレート部門の専門的見地からの支援を受けつつ、各事業に横断的な役割を担う経営企画部や各部門・カンパニーと密接に連携し、企業集団を通じたリスク管理の強化を推進しています。さらに、監査部が各部門および各子会社の業務遂行について計画的に監査を実施しています。

 

 


 

リスクマネジメントの取り組み

2022年度は引き続き平時の取り組みとして、リスコン委員会において、グループ全体の「リスクマネジメント方針」と各部門の「リスクマネジメント行動指針」のもと、2020年度に作成した「リスクマップ」を強く意識しつつ、影響度の大きな課題を優先的に対応し、日常業務としてリスクの抑制を図る活動を推進しました。さらに、グループ全体にとって最適なリスク管理を行うべく、主にリスク管理責任者とリスク管理担当者を対象としたリスクマネジメント研修会と、委員会活動に関する外部機関による第三者診断を実施し、委員会メンバーのリスクリテラシー向上と委員会活動の活性化を図りました。

具体的には、大規模自然災害についての事業継続を意識した研修の開催と各部門の事業継続に備えた取り組みの実施や大規模災害時の「初動ガイドライン」策定による平時からの準備ならびに行動原則の共有・徹底を図りました。

さらに、「サイバー攻撃」「サプライチェーンの分断」等の当社グループ重点リスク低減の取り組みと、リスコン委員会での定期的フォローによる実効性向上の推進を図りました。

なお、全社的な緊急連絡体制については、「緊急事態対応基本マニュアル」に基づき整備し、定期的に「安否確認システム」の訓練等を実施することで、当社に影響を及ぼすおそれのある災害発生時の情報共有に備えています。

 

主要な事業等のリスク

当社グループの経営成績および財務状況、キャッシュ・フロー等に数百億円以上の大きな影響を与え、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事業等のリスクと対応策は以下のとおりです。
 なお、文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、当社グループに関するすべてのリスクを列挙したものではありません。

 

経済・金融環境の変動に関連するリスク

 (1) 主要市場の経済動向

当社グループの主要な市場である国および地域の経済情勢は当社グループの業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。国内はもとより、当社グループの売上収益の約7割を占める北米における景気の後退や需要の減少、価格競争の激化等が進むことにより、当社グループの提供する商品・サービスの売上収益や収益性に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 (2) 為替の変動

当社グループにおいて北米売上収益は約7割を占め、売上収益、営業利益、資産等の中には、米ドルを中心とした現地通貨建ての項目が含まれており、連結財務諸表作成時に円換算しています。通期の業績見通しにおいて想定した為替レートに対し、実際の決算換算時の為替レートに乖離が生じた場合、主に円高局面では当社グループの売上収益と財務状況はマイナスに作用し、円安局面ではプラスに作用する可能性があります。当社では為替リスクを最小限にすべく、状況に応じ為替予約等によるヘッジを実施していますが、期末日に極端な為替変動が生じた場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 (3) 金融市場の変動

当社グループは、事業活動の資金を内部資金および金融機関からの借入や社債の発行によって確保しています。また、十分な手元流動性を確保するために、一定額の現金及び現金同等物残高の確保を行っています。しかし、経済・金融危機等の発生により金融市場から適切な条件で資金調達が出来なくなった場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
 また、当社グループは市場性のある証券や債券等の金融資産を保有しており、金融市場の影響により公正価値や金利等が著しく変動した場合、金融資産の減損および年金資産の減少による従業員給付債務の増加により、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 (4) 原材料価格の変動 

当社グループは、原材料を多数のお取引先様から適時適切な量で調達していますが、特定の原材料およびお取引先様に依存している場合があります。2021年度以降、各種原材料が高騰したことを受けて、貴金属については材料の性質や機能を維持しながら原材料の使用量の調整を行う等、変動影響の軽減に取り組んでいます。今後も引き続き、原材料価格の変動や、需給状況のひっ迫等が発生した場合は、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 業界および事業活動に関連するリスク

 (5) 特定の事業および市場への集中

当社グループは、主に自動車と航空宇宙の2つの事業で構成され、“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指し、選択と集中を進め、限られた経営資源を最大限活用することで高収益なビジネスモデルを展開しています。自動車事業の売上収益が9割以上を占め、販売市場は主に北米を中心とした先進国です。また、主要拠点である国内の群馬製作所および米国のスバル オブ インディアナ オートモーティブ インク(SIA)においては、SUV(多目的スポーツ車)を中心とした生産をしています。このため、自動車事業に関わる需要や市況、同業他社との価格競争等が予測し得る水準を超えて推移した場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 (6) 市場における需要・競争環境の変化

当社グループの主力事業である自動車業界は大きな環境変化を迎えており、モビリティサービスの普及に伴う異業種からの参入や環境対応に伴うガソリン車以外の自動車へのシフト、シェアリングや自動運転普及に伴う移動手段の多様化によって、お客様の価値観や嗜好ニーズはさらに多様化していくことが予想されます。このような状況のなか、当社グループは中期経営ビジョン「STEP」を推進し、安心・安全への取り組みやアライアンスの強化、強固なブランドの構築を推進することで新たなモビリティ領域への対応、商品の環境性能向上を強化しています。2022年度は、電動化に向けた国内工場の生産体制再編計画を発表する等、常に市場の需要動向を捉え、お客様ニーズに基づく商品企画を行い、適切なタイミングと価格で新商品を開発・製造し、市場に投入することに努めています。また、デジタルイノベーションの強化に向け最新のデジタル技術やデータの戦略的活用によるビジネスプロセスの改革、新たなビジネスイノベーションの機会創出と推進を行っています。このような取り組みの一方で、当社グループの新型車や新商品が販売計画に満たない場合、デジタルイノベーションに遅れが生じた場合、現行の商品の陳腐化等が想定以上に早く進んだ場合には、販売台数の減少等により当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 (7) 商品ならびに販売・サービスに関する責任

当社グループは、品質の高さをSUBARUブランドの大事な根幹、付加価値の源泉であると位置づけており、中期経営ビジョン「STEP」において、「品質改革」を重点取り組みの一つとして活動を進めています。この取り組みは着実に進捗しており、現在は新技術への対応を含め、品質改革の取り組み結果を実績で示すフェーズとして3つの切り口で活動を推進しています。1つ目は「品質最優先の意識の徹底と体制強化」です。「品質方針」の見直しや品質マニュアルを刷新することにより、SUBARUの目指す姿を再定義し全社での啓発活動や振り返り活動を行うことで、従業員一人ひとりの品質意識の変革を促しています。2つ目は「つくりの品質の改革」で、生産準備以降の領域において不具合の流出防止を目指すものです。これには市場で発生させてしまった不具合に対して、迅速な解決策を講じることも含まれます。3つ目は「生まれの品質の改革」で、初期の検討段階から開発・設計に至るプロセスを改革し、開発最上流から生産・物流まで一気通貫で品質を確保します。
 このような品質改革への取り組みの一方で、大規模なリコール等が起こった場合、多額のコストとして品質関連費用等が発生することに加え、ブランドイメージの毀損等により、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 (8) サプライチェーンの分断

当社グループは、自動車や航空機等の製造にあたり、多数のお取引先様から部品や材料を調達しています。定期的にお取引先様の品質保証力や供給能力のチェックを行うとともに、必要に応じお取引先様の経営状況のチェックも行い、安定調達に努めています。また、有事が発生した際は、平時より整備をしている一次・二次お取引先様の部品ごとの「サプライチェーン情報データベース」に基づき、影響を受ける可能性のあるお取引先様や部品を早期に特定することにより、生産継続に必要な在庫数の確認や代替品の生産検討、さらには生産設備の復旧支援を行う等、サプライチェーン分断の影響を最小限に留める対応を取っています。しかしながら、大規模な地震や台風等の自然災害、新型コロナウイルス感染拡大の影響やその他の要因により、サプライチェーンの分断や需給のひっ迫が発生した場合、安定したコスト・納期・品質で調達が維持出来ず、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

なお、2022年度は世界的な半導体の供給不足に加え、新型コロナウイルス感染拡大の影響等に伴い、当社においてもお取引先様から調達している部品の一部で供給に支障が出たことから、一部の工場で操業を停止する等の生産調整を行いました。半導体製品の供給状況に合わせて生産する車種を変更する等の対応により、お客様への商品の提供に努めていますが、今後も半導体および一部の部品の供給不足は続くと見込まれ、操業停止や生産調整を通じて、当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があります。

 

  (9) 知的財産の侵害

当社グループは、製品やサービスを通じてお客様に「安心と愉しさ」という価値をお届けするために必要な技術・ノウハウ等を知的財産として保護し、SUBARUのブランド価値の維持・向上に努めています。しかしながら、第三者が当社グループの知的財産を不当に使用した類似製品を製造した場合や、知的財産に関わる訴訟等が生じて当社に不利な判断がなされた場合には、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

  (10) サイバーセキュリティ

当社グループは、製品の開発・生産・販売等、事業活動において情報技術やネットワーク、システムを利用しています。これらの資産を守るためにサイバーセキュリティ基本方針を定め、サイバーセキュリティ部門が中心となりセキュリティマネジメントシステムを構築し、これに基づく活動をサイバーセキュリティ会議の運営を通じて行っています。具体的には従業員の意識向上に向けたセキュリティ教育や監査を定期的に実施するとともに、セキュリティ防御システムの増強も行うことで日々進化するサイバー攻撃からのリスク低減を図っています。これに加え、サイバー攻撃検知の迅速化を図るための監視とセキュリティインシデント発生時のSIRT(Security Incident Response Team)体制も整備しています。データのバックアップについては、当社データセンター内の自社運用ならびにクラウド環境において、複数箇所に分散しバックアップが取れる体制を整えており、局所的な災害等においても、事業継続や復旧の早期化に向けた対策を講じています。当社グループの情報技術やネットワーク、システムは、安全対策が施されているものの、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスによる攻撃、大規模な停電、火災等が発生した場合、重要な業務やサービスの中断、データの破損・喪失、機密情報の漏洩等が発生し、ブランドイメージの毀損や当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

  (11) コンプライアンス

当社グループは、中期経営ビジョン「STEP」において、「組織風土改革」を重点取り組みの一つとして掲げ、活動を加速してきました。特に、コンプライアンスの徹底を経営の最重要課題の一つと位置付け、法令・社内諸規程等の遵守はもとより、社会規範に則した公明かつ公正な企業活動を遂行することを従業員一人ひとりに浸透させるべく、コンプライアンス体制・組織の構築および運営、ならびに各種研修等の活動を行うことにより、コンプライアンスリスクの回避または最小化に努めています。それにも関わらず、当社グループおよび委託先等において重大な法令違反等が発生した場合、お客様の信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下等によるブランドイメージの毀損等が事業基盤に重大な影響を与え、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

 (12)ステークホルダーコミュニケーション

当社グループは、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図り、すべてのステークホルダーから満足と信頼を得るために、コーポレートガバナンスガイドラインを定め、コーポレートガバナンスの強化を経営の最重要課題の一つとして取り組んでいます。また、ディスクロージャーポリシーに基づき、フェアディスクロージャーに努め、法令に基づく開示を行っています。さらに、経営戦略や事業活動等の当社を深く理解していただくために有効と思われる会社情報を、迅速、公正公平、適正に開示しています。また、株主・投資家等と中期経営ビジョン「STEP」の進捗やESG情報について建設的な対話を図るとともに、社内関係者へのフィードバックを行う等ステークホルダーコミュニケーションの向上に努めています。しかし、インサイダー取引等の不公正取引や虚偽記載等の法令違反行為による巨額の課徴金支払い等が発生した場合は、株主や投資家をはじめとしたステークホルダーからの信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下等によるブランドイメージの毀損等が事業基盤に重大な影響を与え、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

  (13) 人権尊重

当社グループは人を第一に考え、「人を中心としたモノづくり」を行っています。「一人ひとりの人権と個性を尊重」することを、SUBARUの重要な経営課題と捉え、「SUBARU人権方針」を策定するとともに、同方針をもとに、ビジネス上の人権リスクを特定し、その対応策を策定、実行する「人権デュー・ディリジェンス」を人事、調達領域において実施しました。その中で明確化したSUBARUグループにとって特に重要なリスクについての対応策を着実に進め、継続的にリスク軽減を進めていきます。また、サプライチェーンを含め、事業に関連するビジネスパートナーやその他の関係者にも、本方針に基づく人権尊重の働きかけを行い、人権尊重の取り組みを推進しています。それにも関わらず、当社グループおよび上記関係者において、労働環境・労働安全衛生上の問題、様々なハラスメント、労働者の権利・機会の侵害、人権上の問題のある調達等を行った場合には、お客様の信用・信頼を失うことや社会的評価・評判の低下によるブランドイメージの毀損等が事業基盤に重大な影響を与え、経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

  (14) 人材の確保と育成

当社グループは、持続的な成長に向けて、中期経営ビジョン「STEP」にて掲げたありたい姿「笑顔をつくる会社」への実現に向けて人材育成を極めて重要なテーマと位置付けています。企業としての競争力を高めていくために、「SUBARUへの共感のもと、自律的に行動しチャレンジし続ける人材」を求める人材像とし、会社の風土や従業員の意識・行動の変革を目指して、自律的な能力開発とチャレンジにより個人の成長を促す体制を整備しています。
 人材確保においては、電動化対応、先進安全技術の進化、IT分野の強化といった専門領域での人材確保のため、これまで以上に積極的な採用を行っています。また、独自の価値創造を実現し続けるため、様々な個性や価値観を持つ従業員が個々の能力を十分に発揮できるよう、 性別・国籍・文化・ライフスタイル等の多様性を尊重するとともに、分け隔てなく登用し、働きやすい職場環境の整備に努めています。
 しかし、労働市場のひっ迫、異業種も含めた人材獲得競争の激化、コンプライアンス事案につながるような労務問題等の発生により人材の確保ができない場合、あるいは人材の流出が続いた場合は、当社グループの事業活動や経営に影響を及ぼす可能性があります。同様に、人材の育成が不十分な場合や、従業員の多様性が尊重された誰もが活躍できる職場環境が実現できない場合においても、当社グループの事業活動等に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (15) 気候変動

当社は、気候変動に関連する「政策・規制」「技術」「市場」等の移行リスクに関して、各専門部門が広く情報を収集し、将来予測から不確定な気候変動リスクの認識を行っています。また、気候変動の物理的なリスクに関わる操業リスクは、BCPの一環として、リスクマネジメント・コンプライアンス室が中心となり関連規程類の整備を進め、緊急時のSUBARUグループ全体にわたる情報を一元的に掌握するとともに、その対応を統括管理する体制を整えています。

これらの気候変動に関連する事項の一部は、取締役会や執行会議などで提案・議論され、特に重要な案件については取締役会の審議を経て意思決定しています。

 

気候変動に関する認識している主なリスク

 

 

 

 

規制

事業

運営

全般

各国の気候変動に関する目標の見直しにより、ビジネス全般に重大な影響を与える可能性があります。

商品

各国の燃費規制に合致しない場合、法令違反に基づく追加の費用や損失を被る、あるいは商品の販売機会が制限される可能性があります。

生産

段階

石油等の地政学的な要因によるもののほか、政府のカーボンプライシング制度の対象となり、化石燃料使用に伴うコストが上昇する可能性があります。

技術

商品

電動化は、ライフサイクル全体で収益性を確保しつつ進めることが重要であり、商品の上流・下流を巻き込んだ取り組みが進まない場合、商品のライフサイクル全体でその目的を達成できない可能性があります。

生産

段階

再生可能エネルギー利用が進まなかった場合、スコープ1、2排出量の削減対策が滞る可能性があります。

市場

商品

現時点では電動化に関する予測が難しく、将来、市場との乖離が生じることが予想されます。この乖離は過大な開発投資による損失や顧客満足の低下による販売機会の減退を招き、電動化の進行を遅らせる可能性があります。

また、電動化は中長期的に着実に進むものと考えており、ある段階で一気に市場への浸透が進んだ際、適切な技術と商品を備えていない場合、商品の販売機会に重要な影響を与える可能性があります。

評判

事業

運営

全般

脱炭素化への取り組みが不十分な場合、ブランド価値の毀損による人材採用や販売での悪影響および資金調達の困難による資本コスト上昇の可能性があります。

物理リスク

急性

事業

運営

全般

気候変動の顕在化に伴う各地での集中豪雨の多発による原材料供給の停滞や工場浸水による操業リスクが考えられます。

慢性

天然資源を使用しているタイヤ、電動化技術に使用する金属資源の調達が困難になる可能性があります。

 

しかしながら、現時点での将来予測が極めて困難な気候変動リスクの影響および発現によっては、研究開発費用等の増加、顧客満足やブランドイメージの低下等による販売機会の逸失により、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

その他事業活動に影響を与える各国規制やイベント性のリスク

  (16) 事業活動に影響を与える各国の政治・規制・法的手続き

当社グループは北米を中心に世界各国において事業を展開しています。海外市場での事業活動には、以下のようなリスクが内在しており、当該リスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

・政治的、経済的要因

・法律または規制の変更
・課税、関税、その他の税制変更

 

また、環境等に関して当社グループが受ける主な法的規制は、国内外ともに自動車の燃費、排出ガス、省エネルギーの推進、騒音、リサイクル、製造工場からの汚染物質排出レベルおよび自動車等の安全性に関するものです。今後、法的規制が強化されることによりコスト等の増加が、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。

 

  (17) 災害・戦争・テロ・感染症等の影響 

当社グループは特に、経営に重要な影響を及ぼしかつ通常の意思決定ルートでは対処困難な緊急性が求められるクライシスリスク、自然災害・事故・内部人的要因・外部人的要因・社会的要因(国内・海外)・コンプライアンスリスクに分類し、有事の際に最適な対応ができる体制を整備しています。しかしながら、事業継続に影響を及ぼす災害・戦争・テロ・感染症等の発生により、当社グループの事業活動が妨げられ、原材料・部品の購入、生産、製品の販売および物流、サービスの提供等に遅延や停止が生じる可能性があります。このような遅延や停止が長期化する場合、当社グループの経営成績や財政状態に大きく影響を及ぼす可能性があります。
 なお、ロシア・ウクライナ情勢に関する当社グループへの影響については、当該地域での現地生産を行っておらず、販売規模も小さいことから現時点では限定的と見込んでいますが、当社製品に使用する調達部品や原材料等の供給について引き続き状況を注視していきます。

 

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要ならびに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
 なお、中期経営計画の進捗については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等  (4)対処すべき課題 ②  中期経営ビジョン「STEP」の推進」をご参照ください。

 

(1) 経営成績

 当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響が徐々に縮小し全体としては回復基調となりました。一方、ロシア・ウクライナ情勢をめぐる混乱の長期化、エネルギーコスト上昇等に伴うインフレの進行や各国の金利政策に伴う急激な為替の変動、米国および欧州での金融不安等、依然として不安定な状況が続いています。

このような経営環境のなか、当社グループでは中期経営ビジョン「STEP」の重点取り組みである「組織風土改革」「品質改革」「SUBARUらしさの進化」の3つの項目について、改革を着実に推し進めてまいりました。また、収益確保に向けても、1台でも多くのクルマを生産しお客様にお届けするべく全社一丸での活動を進めるとともに、価格政策および売上構成の改善、コストの圧縮等バリューチェーン全体で様々な取り組みを推進してまいりました。

 

(売上収益)

自動車売上台数の増加、価格政策および売上構成の改善ならびに為替変動による増収効果により3兆7,745億円と前連結会計年度に比べ1兆299億円37.5%)の増収となりました。

 

(営業利益)

原材料価格の高騰および諸経費等の増加があったものの、売上収益の増加により2,675億円と前連結会計年度に比べ1,770億円195.7%)の増益となりました。

 

(税引前利益)

2,784億円と前連結会計年度に比べ1,714億円(160.2%)の増益となりました。

 

(親会社の所有者に帰属する当期利益)

2,004億円と前連結会計年度に比べ1,304億円186.3%)の増益となりました。

 

(単位 金額:百万円、比率:%)

 

売上収益

 

 

親会社の所有者に

為替レート

営業利益

税引前利益

帰属する

(利益率)

(利益率)

当期利益

 

 

 

 

(利益率)

 

2023年3月

3,774,468

267,483

278,366

200,431

135円/米ドル

 

7.1

(7.4)

(5.3)

141円/ユーロ

2022年3月

2,744,520

90,452

106,972

70,007

112円/米ドル

 

3.3

(3.9)

(2.6)

130円/ユーロ

増減

1,029,948

177,031

171,394

130,424

 

増減率

37.5

195.7

160.2

186.3

 

 

 

 

セグメントごとの経営成績は次のとおりです。

(単位 金額:百万円、比率:%)

 

売上収益

セグメント利益

2022年3月

2023年3月

増減

増減率

2022年3月

2023年3月

増減

増減率

自動車

2,677,465

3,690,551

1,013,086

37.8

92,541

263,261

170,720

184.5

航空宇宙

62,291

79,019

16,728

26.9

△7,005

△2,082

4,923

70.3

その他

4,764

4,898

134

2.8

4,782

6,261

1,479

30.9

調整額

134

43

△91

△67.9

合計

2,744,520

3,774,468

1,029,948

37.5

90,452

267,483

177,031

195.7

(注)1.売上収益は、外部顧客への売上収益です。

   2.セグメント利益の調整額は、セグメント間取引消去です。

 

 
(自動車事業)

当社の重点市場である米国の自動車全体需要は前年並みの約1,420万台となりました。また、国内の自動車全体需要は約435万台と前連結会計年度を約4%上回る結果となりました。

このような事業環境のなか、半導体の供給不足等による生産制約が年間を通じてあったものの、柔軟に生産計画を調整する等影響の最小化に努めたことにより、当連結会計年度における生産台数は前連結会計年度に比べ14.7万台(20.3%)の増加となりました。

重点市場である米国を中心にSUBARU車の需要は強く、売上台数は堅調に推移し、海外は75.3万台と前連結会計年度に比べ10.8万台16.8%)の増加、国内は10.0万台と前連結会計年度に比べ1.0万台11.4%)の増加となりました。その結果、海外と国内の売上台数の合計は85.2万台と前連結会計年度に比べ11.8万台16.1%)の増加となりました。

売上収益は、前述のとおり為替の変動や自動車売上台数の増加、価格政策および売上構成の改善等により、3兆6,906億円と前連結会計年度に比べ1兆131億円37.8%)の増収となりました。またセグメント利益は、原材料価格の高騰および諸経費等の増加があったものの、売上収益の増加により、2,633億円と前連結会計年度に比べ1,707億円184.5%)の増益となりました。

 

なお、当連結会計年度の連結売上台数は次のとおりです。

 

(単位 台数:万台、比率:%)

 

2022年3月

2023年3月

増減

増減率

国内合計

8.9

10.0

1.0

11.4

 

登録車

7.3

8.1

0.9

11.7

 

軽自動車

1.7

1.9

0.2

10.3

海外合計

64.5

75.3

10.8

16.8

 

北米

55.5

63.5

8.0

14.3

 

欧州

1.5

2.3

0.8

54.8

 

豪州

3.3

4.4

1.1

32.2

 

中国

1.4

1.0

△0.4

△26.8

 

その他地域

2.7

4.1

1.3

49.2

総合計

73.4

85.2

11.8

16.1

 

 

(航空宇宙事業)

「ボーイング777」等の引き渡しならびに哨戒機「P-1」および輸送機「C-2」向けの生産が増加したこと等により、売上収益790億円と前連結会計年度に比べ167億円26.9%)の増収となりました。また、セグメント損失は21億円と前連結会計年度に比べ49億円70.3%)改善しました。

 

 

(その他事業)

売上収益は49億円と前連結会計年度に比べ1億円2.8%)の増収となりました。また、セグメント利益は63億円と前連結会計年度に比べ15億円30.9%)の増益となりました。

 

生産、受注および販売の実績は、次のとおりです。

 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。なお、自動車の生産台数は、半導体の供給不足等による生産制約が年間を通じてあったものの、柔軟に生産計画を調整する等影響の最小化に努めたことにより、前連結会計年度を上回りました。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日

前年同期比(%)

自動車

 

 

 

小型・普通自動車

(万台)

87.4

+20.3

航空宇宙

(百万円)

105,352

+57.8

 

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

 ② 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
 なお、自動車事業については見込生産を行っています。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前年同期比(%)

受注残高(百万円)

前年同期比(%)

航空宇宙

89,782

△38.9

312,636

+4.0

 

(注)セグメント間の取引については相殺消去しています。

 

③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

  至 2023年3月31日

前年同期比(%)

自動車

(百万円)

3,690,551

+37.8

航空宇宙

(百万円)

79,019

+26.9

その他

(百万円)

4,898

+2.8

合計

(百万円)

3,774,468

+37.5

 

(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しています。

  

(2) 財政状態

 ① 資産の状況

当連結会計年度末の資産は、3兆9,442億円と前連結会計年度末に比べ4,004億円の増加となりました。主な要因は、定期預金の増加等により「その他の金融資産(流動)」が1,454億円増加したこと、米国の販売子会社における新車在庫の増加等により「棚卸資産」が1,099億円増加したこと、為替の影響等により「現金及び現金同等物」が965億円増加したこと等です。
 

② 負債の状況

負債は、1兆8,342億円と前連結会計年度末に比べ1,915億円の増加となりました。主な要因は、買掛金の増加等により「営業債務及びその他の債務」が1,037億円増加したこと、為替の影響等により「その他の非流動負債」が458億円増加したこと、為替の影響および前受金の増加等により「その他の流動負債」が371億円増加したこと等です。
 

③ 資本の状況

資本は、2兆1,099億円と前連結会計年度末に比べ2,089億円の増加となりました。主な要因は、当期利益の計上および配当金の支払いにより「利益剰余金」が1,574億円増加したこと、為替換算調整勘定の増加等により「その他の資本の構成要素」が526億円増加したこと等です。

                                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

2022年3月31日

当連結会計年度

2023年3月31日

増減

資産合計

3,543,753

3,944,150

400,397

負債合計

1,642,734

1,834,203

191,469

資本合計

1,901,019

2,109,947

208,928

 

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、9,795億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は5,038億円(前連結会計年度は1,957億円の増加)となりました。主な要因は、税引前利益2,784億円、減価償却費及び償却費2,398億円、営業債務及びその他の債務の増加978億円、棚卸資産の増加920億円等です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は3,368億円(前連結会計年度は1,797億円の減少)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出(売却による収入との純額)1,290億円、定期預金の増加1,103億円、無形資産の取得及び内部開発に関わる支出599億円等です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は1,223億円(前連結会計年度は985億円の減少)となりました。主な要因は、親会社の所有者への配当金の支払額506億円、リース負債の返済による支出503億円等です。

 

                                          (単位:百万円)

 

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日

増減

営業活動によるキャッシュ・フロー

195,651

503,759

308,108

投資活動によるキャッシュ・フロー

△179,723

△336,813

△157,090

財務活動によるキャッシュ・フロー

△98,502

△122,307

△23,805

現金及び現金同等物の期末残高

883,074

979,529

96,455

 

 

(4) 資本政策の方針

① 財務戦略の基本的な考え方

当社グループは、“お客様第一”を基軸に「存在感と魅力ある企業」を目指し、選択と集中を進め、経営資源を最大限活用することで高収益なビジネスモデルを展開し、強固な財務体質と高い資本効率を維持し、中長期的な企業価値の向上を図っています。中期経営ビジョン「STEP」において、「資本収益性」「財務健全性」「株主還元」の3つの要素を資本政策の重要な指標とし、中長期的に自己資本利益率(ROE)と自己資本比率のバランスを高次元で保ちつつ、適切な株主還元を行うことを基本方針としています。具体的には、自己資本比率は50%を維持し、高い財務健全性の確保にも努めつつ、業界高位の営業利益率(8%)、ROE10%以上を目指していきます。「2030年に死亡交通事故ゼロ」、「個性と技術革新による脱炭素社会実現への貢献」に向けて、「SUBARUらしさ」を進化させる取り組みをより加速させるために必要な設備投資・研究開発支出に加え、人材への投資にも注力しています。また、今後の電動車開発の拡大・加速を見据え、国内生産体制の戦略的再編に向けて2023年度より5年間で2,500億円の投資を行っていきます。(2022年5月発表)株主還元の考え方については、配当を主に継続的かつ安定的な還元を基本としつつ、業績連動の考え方に基づき、毎期の業績、投資計画、経営環境を勘案して決定(連結配当性向:30%~50%)します。自己株式取得は、状況に応じて機動的に実施します。なお、2023年5月11日に資本効率の向上を目的に400 億円(取得上限総額)の自己株式の取得を行うとともに、取得した自己株式の全株消却を行うことを発表しました。

 

② 経営資源の配分に関する考え方と資金調達及び資金の流動性に係る分析 

当社グループは、経営環境を考慮しつつ、適切な手元資金水準を維持しながら、資金調達計画を経営会議において審議し、戦略的投資と研究開発費等の成長に向けた経営資源の適切な配分を安定的に行っています。当社グループの資金調達および資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、主要銀行からの借入とコミットメントライン契約の締結、ならびに社債の発行を行っており、現在必要とされる流動性の水準を満たしていると考えています。当連結会計年度末における有利子負債の残高(リース債務を含まず)は3,126億円と、前連結会計年度に比べて214億円の減となりました。デット・エクイティ・レシオは0.15と、安全性を維持しています。今後の設備投資や研究開発の投資計画によっては資金の追加調達、現預金残高の取り崩しをする可能性があります。
 コミットメントライン約2,000億円に加え、社債ならびにコマーシャル・ペーパー発行枠を設定する等、合計約4,000億円の資金調達枠を確保し、資金需要に機動的に対応できる体制を整えています。
 また、当社は 国内の格付機関である格付投資情報センターから格付を取得しており、有価証券報告書提出日現在においての格付は「 シングルAマイナス(安定的)」となっています。強固な財務体質を維持し、上記資金調達枠を保持していることから、当社グループの事業運営に必要な運転資金および投資資金に関しては問題なく確保できるものと認識しています。

 

(5) 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、様々な見積りによる判断が行なわれていますが、見積りに内在する不確実性により、実際の結果は異なることがあります。
 連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しており、特に重要な見積りを伴う会計方針は以下のとおりです。

 

① 損失評価引当金

当社グループは、各報告日において、金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大したかどうかを評価 しており、当該信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、当該金融商品に係る損失評価引当金を12ヶ月の予想信用損失に等しい金額で測定しています。また、当該金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融資産に係る損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。ただし、営業債権、リース債権および契約資産については、常に損失評価引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定しています。
 将来、取引先等の財務状況が悪化する等により支払能力が低下した場合、引当金の追加計上または貸倒損失が発生する可能性があるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。

 

 

 製品保証引当金

当社グループは、製品販売時に付与した保証約款に基づく製品保証とともに、主務官庁への届出等に基づいて個別に無償の補修を行っています。
 保証約款に基づく製品保証の対象は、各国における保証約款に基づき、期間および走行距離や不具合の原因等により決定しています。
 保証約款に基づく製品保証の保証修理費用は、製品を販売した時点で引当金を認識しており、保証期間内に不具合が発生して部品を修理または交換する際に発生する費用の総額について、過去の補修実績、過去の売上台数を基礎として将来の発生見込みに基づく最善の見積りにより引当計上しています。
 主務官庁への届出等に基づく個別の保証修理費用は、経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、その債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に引当金を認識しており、製品の不具合に関する過去の経験を基礎として算定した1台当たり将来保証修理費用等および対象台数に基づく最善の見積りにより引当計上しています。
 当社グループは、発生が見込まれる保証修理費用について、現在入手可能な情報に基づき必要十分な金額を引当計上していると考えていますが、製品保証引当金の計算では将来複数年にわたり生じる保証修理費用を予測しているため、実際の保証修理費用が見積りと乖離することにより、製品保証引当金を追加計上する必要が生じる可能性があることから、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。

③ 従業員給付

当社グループは、従業員給付のうち退職給付について、将来の退職給付の支払いに備えるため、当連結会計年度末における退職給付債務および年金資産の見込額に基づき、退職給付を計上していますが、この計算は主として数理計算上で算定される前提条件に基づいて行われています。この前提条件には、割引率、将来の給与水準、退職率、死亡率等が含まれており、それぞれの条件は現時点で十分に合理的と考えられる方法で計算されています。当社は、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用および債務に影響を与える可能性があるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。

割引率が変動した場合の確定給付制度債務に与える影響額については、連結財務諸表注記の「19 従業員給付(4)数理計算の仮定」を参照ください。

 

④ 金融資産

当社グループは、価格変動性の高い公開会社の株式、株価の決定が困難である非公開会社の株式、国債、社債および投資信託等を保有しています。
 純損益を通じて公正価値で測定する金融資産については、投資価値の変動により損失が発生することがあるため、連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があると考えています。

 

⑤ 繰延税金資産

繰延税金資産は将来減算一時差異等を使用できるだけの課税所得が稼得される可能性が高い範囲内で認識し、繰延税金負債は原則としてすべての将来加算一時差異について認識しています。当該見積りは、将来の不確実な経済条件の変動等によって影響を受ける可能性があり、実際に発生した課税所得の時期および金額が見積りと異なった場合、翌連結会計年度の有価証券報告書において、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

2006年3月 トヨタ自動車株式会社と業務提携

2008年4月 トヨタ自動車株式会社、ダイハツ工業株式会社と開発・生産における新たな協力関係に合意

2019年9月 トヨタ自動車株式会社と長期的連携関係のさらなる発展・強化を目指し、新たな業務資本提携に合意

 

6 【研究開発活動】

当社グループは中期経営ビジョン「STEP」において、2025年ビジョンとして次の3項目を掲げています。

 

1.個性を磨き上げ、お客様にとってDifferentな存在になる

2.お客様一人一人が主役の、心に響く事業活動を展開する

3.多様化する社会ニーズに貢献し、企業としての社会的責任を果たす

 

その実現のため、「会社の質の向上」「強固なブランドの構築」「集中戦略を軸とした持続的成長」の3つの取り組みに集中し、研究開発活動を進めています。当連結会計年度におけるグループ全体での研究開発支出は1,078億円です。セグメントごとの研究開発活動状況および研究開発支出は次のとおりです。このうち、連結損益計算書の「研究開発費」に計上されている金額は1,144億円です。研究開発支出との差額は主に、開発資産等への振替額・償却額等です。

 

(1) 自動車事業

自動車の研究開発では、中期経営ビジョン「STEP」で掲げる「安心と愉しさ」の提供を通じて、お客様から共感され、信頼していただける存在となることを目指し商品の開発を推進しています。当事業に関わる研究開発支出は1,052億円です。

① 安心・安全への取り組み

SUBARUは「人の命を守る」ことにこだわり、2030年の死亡交通事故ゼロ※1の実現に向けて取り組みを進めています。これらの取り組みの結果、日本、米国 、欧州をはじめとする国内外の第三者機関による安全性能試験・評価において高い評価を受けており、最高ランクの評価を多数獲得しています。

2022年6月には運転支援システム「アイサイト」搭載車の世界累計販売台数が、500万台を達成しました。2008年5月に日本で発売して以来、14年1カ月での達成となります。アイサイトは、世界で初めてステレオカメラのみで、自動車だけでなく歩行者、二輪車までも対象としたプリクラッシュブレーキや、全車速追従機能付クルーズコントロール等を実現したシステムであり、ステレオカメラの優れた認識性能を強みにSUBARUの予防安全性能向上を支えてきました。 

また、2022年にはアイサイトの認識能力を強化する広角単眼カメラを北米市場向け「アウトバック」の一部グレード、新型「クロストレック」「インプレッサ」に新たに採用しました。広角単眼カメラはアイサイトのステレオカメラに加わるもう一つの眼として機能するもので、ステレオカメラよりもさらに広い範囲を認識できることが特徴です。これにより、歩行者や自転車の認識性能を高めるとともに、認識した情報をアイサイトのシステムと連携して処理することで、低速で交差点に進入する際の横断自転車や歩行者との衝突回避や、万が一、衝突してしまった場合の被害軽減を支援します。

SUBARUは今後も、SUBARUの総合安全思想の軸である「0次安全」「走行安全」「予防安全」「衝突安全」「つながる安全」を追求し、世界中のお客様へ「安心と愉しさ」を提供するとともに、2030年死亡交通事故ゼロを目指していきます。

※1:SUBARU乗車中の死亡事故および衝突による歩行者・自転車などの死亡事故をゼロに。

 

 国内外の第三者機関による評価は以下リンク先をご参照ください。

i.日本

・SUBARU 「レガシィ アウトバック」が、JNCAP「自動車安全性能2021 ファイブスター大賞」を受賞

(https://www.subaru.co.jp/news/2022_05_25_141000/)

・SUBARU 「SOLTERRA」がJNCAP「自動車安全性能2022ファイブスター賞」を受賞

(https://www.subaru.co.jp/news/2022_11_07_162151/)

 

ⅱ.米国

・SUBARU 米国IIHSが新設したシートベルトリマインダー評価で最高評価を獲得(米国仕様車が対象)

(https://www.subaru.co.jp/news/2022_04_06_175152/)

・SUBARU BRZ(アイサイト装着車)とフォレスターがIIHS安全性評価でトップセイフティピックプラスを獲得

 (米国仕様車が対象)

 (https://www.subaru.co.jp/news/2022_05_18_171730/)

・SUBARU 「アウトバック」がIIHSの新たな側面衝突試験において試験車両で唯一、最高評価を獲得

 (米国仕様車が対象)

 (https://www.subaru.co.jp/news/2022_08_25_151726/)

・SUBARUの3車種が2022年IIHSトップセイフティピックプラスを獲得

 (https://www.subaru.co.jp/news/2022_11_09_164415/)

・SUBARUの2023年モデルが新基準を採用したIIHS安全性評価で5つの賞を獲得(米国仕様車が対象)

 (https://www.subaru.co.jp/news/2023_03_08_150940/)

 

ⅲ.欧州

・SUBARU「ソルテラ」がユーロNCAPの2022年安全性能テストで最高評価「ファイブスター」獲得

 (https://www.subaru.co.jp/news/2022_11_30_115157/)

 

② 新商品開発状況

 当連結会計年度において、「安心と愉しさ」でお客様の笑顔をつくるべく、以下の商品を展開しました。

i. 2022年9月に、新型「クロストレック」を世界初公開しました。新型「クロストレック」は、コンパクトなボディ、SUBARU独自のシンメトリカルAWDをベースとした本格的なSUV性能、ラギッドかつスポーティなデザインを組み合わせることにより、都会からアウトドアシーンまで幅広く活用できる多用途性を実現したクロスオーバーSUVです。従来型の個性的なデザインをさらに際立たせ、動的質感にもより磨きをかけました。また、新世代アイサイトに加え、広角単眼カメラも日本仕様として初めて採用することで、高い安全性能を実現しました。

 

ⅱ. 2022年11月、ロサンゼルスオートショーにおいて、新型「インプレッサ」(米国仕様車)を、世界初公開しました。第6世代となる新型「インプレッサ」は、愉しくなる優れた運動性能、安心できる先進安全装備、とことん使えるユーティリティ等、その機能や実用性をさらに高めました。フルインナーフレーム構造の採用による高いボディ剛性や、2ピニオン電動パワーステアリングの採用により動的質感や性能を向上。また、新世代アイサイトを標準装備し、安全性能も高めました。

 

(2) 航空宇宙事業 

航空宇宙カンパニーは将来にわたる持続的成長に向け、新規事業開拓および生産性向上を中心とした以下の研究開発を行っています。回転翼機分野では、新中型ヘリコプターについて、ユーザーの運用におけるさらなる安心・安全につながる装備品の搭載や原価低減に関する研究を継続し、商品価値の向上に取り組んでいます。固定翼機分野では、お客様への提供価値向上に向けて、操縦/整備教育システムの開発や、構造の軽量化に向けた新材料や適用技術の開発、サプライチェーンを含めた生産プロセスにおけるDX推進に取り組んでいます。その他、将来モビリティの社会受容性を高めるべく、制御技術の向上や電動化に関する研究開発に取り組んでおり、組立・塗装作業の自動化等の生産技術分野においても、コスト競争力を高める研究開発に積極的に取り組んでいます。

当事業に関わる研究開発支出は26億円です。

 

(3) その他事業 

株式会社スバルITクリエーションズにおける情報システム開発に係る研究開発費を中心とした、その他事業全体の研究開発支出は1億円です。